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特許7072929固体微粒子およびその製造方法とそれを含む薬物組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】固体微粒子およびその製造方法とそれを含む薬物組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/58 20060101AFI20220516BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20220516BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 31/18 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20220516BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
A61K31/58
A61K47/14
A61K47/44
A61K47/04
A61K9/16
A61K47/10
A61K31/18
A61K9/48
A61P13/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020558672
(86)(22)【出願日】2018-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 CN2018117622
(87)【国際公開番号】W WO2019137103
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】201810023696.8
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520255676
【氏名又は名称】シャンハイ ダブリュディー ファーマシューティカル カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100203828
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多村 久美
(72)【発明者】
【氏名】トン リャン チャン
(72)【発明者】
【氏名】マー ウェンポー
(72)【発明者】
【氏名】ワン リン
【審査官】福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/114521(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/076516(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/111397(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/230504(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体微粒子であって、前記固体微粒子は0.33%の疎水性薬物活性成分、13.20~33.00%の疎水性可溶化液体、8.17~19.80%のノニオン性界面活性剤、および66.67%の多孔固体顆粒を含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率であること
前記疎水性薬物活性成分は、デュタステリドであること;
前記疎水性可溶化液体は、プロピレングリコールモノカプリル酸エステルII型であること;
前記ノニオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン35ヒマシ油またはポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルであること;
前記多孔固体顆粒は、リン酸水素カルシウムであること、
を特徴とする、固体微粒子。
【請求項2】
記疎水性可溶化液体の含有量は16.34%、16.50%、24.50%または24.75%で、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率であること、
るいは、前記ノニオン性界面活性剤の含有量は8.25%、16.33%または16.50%で、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率であること、
るいは、前記固体微粒子は、酸化防止剤をさらに含み、前記酸化防止剤の含有量は0.33%で、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率であること、
特徴とする請求項1に記載の固体微粒子。
【請求項3】
記酸化防止剤はジブチルヒドロキシトルエンおよび/またはブチルヒドロキシアニソールであること、を特徴とする請求項2に記載の固体微粒子。
【請求項4】
記固体微粒子は0.33%のデュタステリド、24.75%のプロピレングリコールモノカプリル酸エステルII型、8.25%のポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルおよび66.67%のリン酸水素カルシウムを含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率であること、
あるいは、前記固体微粒子は0.33%のデュタステリド、16.50%のプロピレングリコールモノカプリル酸エステルII型、16.50%のポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルおよび66.67%のリン酸水素カルシウムを含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率であること、
あるいは、前記固体微粒子は0.33%のデュタステリド、13.20%のプロピレングリコールモノカプリル酸エステルII型、19.80%のポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリルおよび66.67%のリン酸水素カルシウムを含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率であること、
あるいは、前記固体微粒子は0.33%のデュタステリド、24.75%のプロピレングリコールモノカプリル酸エステルII型、8.25%のポリオキシエチレン35ヒマシ油および66.67%のリン酸水素カルシウムを含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率であること、
あるいは、前記固体微粒子は0.33%のデュタステリド、16.50%のプロピレングリコールモノカプリル酸エステルII型、16.50%のポリオキシエチレン35ヒマシ油および66.67%のリン酸水素カルシウムを含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率であること、
あるいは、前記固体微粒子は0.33%のデュタステリド、13.20%のプロピレングリコールモノカプリル酸エステルII型、19.80%のポリオキシエチレン35ヒマシ油および66.67%のリン酸水素カルシウムを含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率であること、
あるいは、前記固体微粒子は、0.33%のデュタステリド、24.50%のプロピレングリコールモノカプリル酸エステルII型、8.17%のポリオキシエチレン35ヒマシ油、0.33%のジブチルヒドロキシトルエン、および66.67%のリン酸水素カルシウムを含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率であること;
あるいは、前記固体微粒子は、0.33%のデュタステリド、16.34%のプロピレングリコールモノカプリル酸エステルII型、16.33%のポリオキシエチレン35ヒマシ油、0.33%のジブチルヒドロキシトルエン、および66.67%のリン酸水素カルシウムを含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率であること、
を特徴とする請求項1に記載の固体微粒子。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の固体微粒子の製造方法であって、
(1)前記固体微粒子が酸化防止剤を含まない場合、前記薬物活性成分および前記疎水性可溶化液体および前記ノニオン性界面活性剤を混合して溶液を得る工程、
あるいは、前記固体微粒子が酸化防止剤を含む場合、酸化防止剤、前記薬物活性成分および前記疎水性可溶化液体および前記ノニオン性界面活性剤を混合して溶液Aを得る工程、ならびに
(2)前記多孔固体顆粒を工程(1)における前記溶液と混合する工程、
あるいは、前記多孔固体顆粒を工程(1)における前記溶液Aと混合する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の固体微粒子およびタムスロシンを含む薬物組成物。
【請求項7】
前記薬物組成物が、硬カプセル剤の形態であること;
あるいは、前記タムスロシンが、タムスロシンの徐放ピルまたは塩酸タムスロシンの徐放ピルであること、
ことを特徴とする、請求項6に記載の薬物組成物。
【請求項8】
良性前立腺肥大症の治療に使用するための、請求項6又は7に記載の薬物組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は出願日が2018年01月10日の中国特許出願CN 201810023696.8の優先権を要求する。本願は上記中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
技術分野
本発明は、固体微粒子およびその製造方法とそれを含む薬物組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術
Glaxo Smithkline Pharmaceuticals製のAvodart(登録商標)軟ゼラチンカプセルは、男性の前立腺肥大の良性前立腺肥大症(BPH)の治療に使用される。Avodart(登録商標)の活性成分はデュタステリドである。デュタステリドは選択的なステロイド5α還元酵素阻害剤で、5α還元酵素はテストステロンをDHTに転換する細胞内酵素である。デュタステリドは、化学名が(5α,17β)-N-[2,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]-3-オキソ-4-アザアンドロスタ-1-エン-17-カルボキサミドで、化学式がC2730622で、分子量は528.5で、下記構造式を有する:
【化1】
【0004】
デュタステリドは、白色から浅黄色の粉末で、融点が242℃~250℃で、エタノール(44 mg/mL)、メタノール(64 mg/mL)およびポリエチレングリコール400(3 mg/mL)に可溶であるが、水に不溶である。
【0005】
疎水性の薬物活性成分(active pharmaceutical agent、API)、たとえばデュタステリドは、水性媒体、たとえば胃腸管において難溶であるため、その生物利用能が低く、一般的に当該問題は可溶化技術によって解決される。市販品であるAvodart(登録商標)軟ゼラチンカプセルは0.5 mgのデュタステリドを含有し、デュタステリドはカプリル酸/カプリン酸のモノグリセリド/ジクリセリドおよびジブチルヒドロキシトルエンの混合物に溶解している。
【0006】
米国特許出願20130052263では、デュタステリドを含む疎水性化合物の溶解度を増加させることができる配合が公開された。
【0007】
軟カプセルの製造過程は繁雑で、高コストで低効率である。また、軟カプセルは保存期間内で崩壊または溶出が遅くなる現象が生じやすく、このような現象の要因はカプセルのシェル材料が架橋して老化し、巨大な網状構造になることで、軟カプセルがペプシンの環境に依存するようになり、それがなければ薬物の吸収に影響が生じる。そのため、米国特許9,622,981では、液体で充填された硬カプセル製剤が公開され、軟カプセルの製造コストを降下させると同時に、軟ゲル剤形の生物利用能と安定性を維持することができる。しかしながら、液体で充填された硬カプセルは、製造および保存期間で生じうる液体漏出を防ぐために、密封工程が必要になる。また、硬カプセルにおける水分は充填させた液体製剤に移動し、硬カプセルの水分含有量の低下につながり、硬カプセルが破裂することがある。
【0008】
米国特許9,005,608では、有益薬物であるコエンザイムQ(CoQ10)を送達するための処方が公開されたが、CoQ10の過飽和自己乳化配合を多孔固体顆粒の孔に配合すると、溶解したCoQ10の再結晶を防止することができる。
【0009】
もう一つはGlaxo Smithkline Pharmaceuticals製の市販品であるJalyn(登録商標)カプセルで、デュタステリドおよびタムスロシンの薬物組成物で、同様に良性前立腺肥大(BPH)症の治療に使用される。タムスロシンはα1Aアドレナリン受容体拮抗剤である。各Jalyn(登録商標)カプセルにデュタステリドの軟ゼラチンカプセルおよび塩酸タムスロシンのピルが含まれ、当該軟カプセルおよびピルは#00サイズの硬シェルカプセルに封じられている。単一の製品と比べ、組み合わせの製品はより良い治療効果を示すが、Jalyn(登録商標)カプセルの#00サイズはFDA推奨の最大限に達している。そのため、BPH患者、特に高齢患者は飲みにくい。
【0010】
そのため、硬カプセルにおけるデュタステリドおよびタムスロシンの組み合わせを収容し、サイズがJalynカプセルよりも顕著に小さく、かつJalyn(登録商標)カプセルと生物学的同等性を有する、新規な経口投与製剤が必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
発明の概要
本発明の解決しようとする課題は、既存技術において疎水性薬物活性成分(active pharmaceutical agent、API)、たとえばデュタステリドなどの、生物利用能が低い、そしてその市販品剤形のサイズが大きい、患者の適応性が劣るといった欠陥に対し、固体微粒子およびその製造方法とそれを含む薬物組成物を提供することである。当該固体微粒子は有効にAPIの溶解性および薬物の溶出度を改善し、同時に有効に市販品のAvodart(登録商標)およびJalyn(登録商標)における軟カプセルが架橋しやすい、Jalyn(登録商標)の剤形のサイズが大きすぎるといった問題を改善することができる。
【0012】
本発明は、多孔固体顆粒および非水性液体配合を含み、前記非水性液体配合は0.10~4.00%の疎水性薬物活性成分、28.00~99.90%の疏水性可溶化液体、0~70.00%のノニオン性界面活性剤および0~1.00%の酸化防止剤を含み、前記百分率とは非水性液体配合における重量百分率で、前記疏水性可溶化液体は中鎖モノ/ジグリセリド、および/または、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルを含む固体微粒子を提供する。
【0013】
本発明において、前記疎水性薬物活性成分の含有量は0.10~2.00%または0.18~2.00%でもよく、前記百分率とは前記非水性液体配合における重量百分率である。
【0014】
本発明において、前記疎水性薬物活性成分の含有量は0.18%、0.83%、0.84%、0.91%、0.93%、0.99%、1.00%、1.08%、1.09%、1.23%、1.25%、1.64%、1.67%、1.96%または2.00%でもよく、前記百分率とは前記非水性液体配合における重量百分率である。
【0015】
本発明において、前記疎水性可溶化液体の含有量は32.50~99.07%、39.60~99.01%または49.50~74.26%でもよく、前記百分率とは前記非水性液体配合における重量百分率である。
【0016】
本発明において、前記疎水性可溶化液体の含有量は32.50%、39.60%、46.00%、47.06%、49.02%、49.18%、49.50%、59.41%、59.87%、60.67%、60.83%、61.73%、63.00%、65.57%、72.55%、73.51%、74.26%、75.00%、82.16%、82.43%、83.33%、98.27%、98.79%、99.01%または99.07%でもよく、前記百分率とは前記非水性液体配合における重量百分率である。
【0017】
本発明において、前記ノニオン性界面活性剤の含有量が0ではない場合、前記ノニオン性界面活性剤の含有量は15.00~66.67%、24.51~59.41%または24.75~49.50%でもよく、前記百分率とは前記非水性液体配合における重量百分率である。
【0018】
本発明において、前記ノニオン性界面活性剤の含有量が0ではない場合、前記ノニオン性界面活性剤の含有量は15.00%、16.43%、16.49%、23.75%、24.51%、24.75%、27.27%、32.79%、36.00%、37.04%、38.33%、38.79%、39.60%、48.99%、49.18%、49.50%、50.98%、52.00%、59.41%または66.67%でもよく、前記百分率とは前記非水性液体配合における重量百分率である。
【0019】
本発明において、前記酸化防止剤の含有量が0ではない場合、前記酸化防止剤の含有量は0.10~1.00%または0.17~0.83%でもよく、前記百分率とは前記非水性液体配合における重量百分率である。
【0020】
本発明において、前記酸化防止剤の含有量が0ではない場合、前記酸化防止剤の含有量は0.17%、0.28%、0.33%、0.51%、0.83%または1.00%でもよく、前記百分率とは前記非水性液体配合における重量百分率である。
【0021】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記非水性液体配合は0.10~2.00%の疎水性薬物活性成分、97.00~99.80%の中鎖モノ/ジグリセリドおよび0.10~1.00%の酸化防止剤を含み、前記百分率とは非水性液体配合における重量百分率である。
【0022】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記非水性液体配合は0.10~4.00%の疎水性薬物活性成分、95.00~99.90%のプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルおよび0~1.00%の酸化防止剤を含み、前記百分率とは非水性液体配合における重量百分率である。
【0023】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記多孔固体顆粒と前記非水性液体配合の重量比は本分野の通常の配合比、好ましくは2:1~3:1、より好ましくは2:1でもよい。
【0024】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記固体微粒子は0.025~3.00%の疎水性薬物活性成分、5.00~59.90%の疎水性可溶化液体、0~45.00%のノニオン性界面活性剤、0~0.60%の酸化防止剤および40.00~75.00%の多孔固体顆粒を含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0025】
本発明において、前記疎水性薬物活性成分の含有量は0.10~2.00%、たとえば0.33%、0.10%または0.5%でもよく、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0026】
本発明において、前記疎水性可溶化液体の含有量は5.00~39.90%、11.50~35.00%または13.20~33.00%でもよく、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0027】
本発明において、前記疎水性可溶化液体の含有量は11.50%、12.00%、13.20%、15.00%、16.34%、16.50%、20.00%、24.50%、24.75%、25.00%、30.00%、31.50%、33.00%、35.00%、35.50%、35.70%、36.40%、36.50%または39.90%でもよく、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0028】
本発明において、前記疎水性可溶化液体が中鎖モノ/ジグリセリドである場合、前記疎水性薬物活性成分の含有量は好ましくは0.025~1.20%で、前記中鎖モノ/ジグリセリドの含有量は好ましくは24.50~59.90%、たとえば25.00%または30.00%で、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0029】
本発明において、前記疎水性可溶化液体がプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルである場合、前記疎水性薬物活性成分の含有量は好ましくは0.025~2.40%で、前記プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルの含有量は好ましくは23.00~59.90%、たとえば24.50%、24.75%、25.00%、30.00%、31.50%、33.00%、35.00%、35.50%、35.70%、36.40%、36.50%または39.90%で、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0030】
本発明において、前記ノニオン性界面活性剤の含有量は0~40.00%でもよい。前記ノニオン性界面活性剤の含有量が0ではない場合、前記ノニオン性界面活性剤の含有量は4.50~40.00%、8.17~19.80%または8.25~16.50%でもよく、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0031】
本発明において、前記ノニオン性界面活性剤の含有量が0ではない場合、前記ノニオン性界面活性剤の含有量は4.50%、5.00%、8.17%、8.25%、9.50%、10.00%、13.00%、15.00%、16.33%、16.50%、18.00%、19.80%、20.00%、23.00%または40.00%でもよく、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0032】
本発明において、前記酸化防止剤の含有量が0ではない場合、前記酸化防止剤の含有量は0.025~0.60%、たとえば0.10%、0.30%または0.33%でもよく、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0033】
本発明において、前記多孔固体顆粒の含有量は40.00~75.00%または60.00~70.00%でもよく、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0034】
本発明において、前記多孔固体顆粒の含有量は40.00%、40.70%、45.00%、49.50%、50.00%、59.50%、60.00%、63.67%、64.57%、64.67%、66.67%、69.5%、69.57%、69.67%、70.00%、74.50%または75.00%でもよく、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0035】
本発明において、前記非水性液体配合の含有量は25.00~60.00%でもよく、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0036】
本発明において、前記非水性液体配合の含有量は25.00%、25.50%、30.00%、30.33%、30.43%、30.50%、33.33%、35.33%、35.43%、36.33%、40.00%、40.50%、50.00%、50.50%、55.00%、59.30%または60.00%でもよく、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0037】
本発明において、前記疎水性薬物活性成分はデュタステリド、フィナステリド、カルベジロール、イソトレチノイン、フェンタニル、スフェンタニル、ザレプロン、テストステロン、プロゲステロン、ヒドロキシプロゲステロン、ノルプロゲステロン、ノルゲストレル、クロロチアジド、フロセミド、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、ベタメタゾン、ダナゾール、フェニトイン、ジゴキシン、ジピリダモール、メフェナム酸、グリセオフルビン、ケトコナゾール、イトラコナゾール、グリベンクラミドおよびβ-カロテンから選ばれる1種または複数種でもよいが、デュタステリドが好ましい。
【0038】
本発明において、前記中鎖モノ/ジグリセリドとは、グリセリンが一つまたは二つのC6-C12の脂肪酸とエステル化してなるエステル鎖である。市販の中鎖モノ/ジグリセリドは、Abitec製のCapmul@製品を含んでもよい。
【0039】
本発明において、前記疎水性可溶化液体が中鎖モノ/ジグリセリドを含む場合、前記中鎖モノ/ジグリセリドの中鎖はC8-C10の脂肪酸鎖が好ましい。前記中鎖モノ/ジグリセリドは、カプリル酸/カプリン酸モノ/ジエステル(Capmul MCM)、たとえばカプリル酸/カプリン酸モノグリセリド/ジクリセリドが好ましい。
【0040】
本発明において、前記プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルとは、プロピレングリコールが一つのC6-C12の脂肪酸とエステル化してなるエステル鎖である。
【0041】
本発明において、前記疎水性可溶化液体がプロピレングリコールモノ脂肪酸エステルを含む場合、前記プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルはC8-C12の脂肪酸鎖が好ましい。前記プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルは、プロピレングリコールモノラウリン酸エステル(II型)(LAUROGLYCOL 90)および/またはプロピレングリコールモノカプリル酸エステル(II型)(CAPRYOL 90)が好ましく、プロピレングリコールモノカプリル酸エステル(II型)(CAPRYOL 90)がより好ましい。
【0042】
本発明において、前記ノニオン性界面活性剤の種類はポリエチレングリコール化型および/またはポリオール化型が好ましく、ポリエチレングリコール化型がより好ましい。
【0043】
中では、前記ポリエチレングリコール化型のノニオン性界面活性剤はポリオキシエチレン35ヒマシ油(Kolliphor(登録商標)ELP)および/またはポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル(LABASOL ALF)が好ましい。
【0044】
中では、ポリオール化型のノニオン性界面活性剤はポリソルベート80(Polysorbate 80 TM)が好ましい。
【0045】
本発明において、前記酸化防止剤は本分野の通常の酸化防止剤でもよいが、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)および/またはブチルヒドロキシアニソール(BHA)が好ましく、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)がより好ましい。
【0046】
本発明において、前記多孔固体顆粒は本分野の通常の多孔担体でもよいが、リン酸水素カルシウム(Fujicalin)、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(Neusilin)およびシリカのうちの1種または複数種が好ましく、リン酸水素カルシウム(Fujicalin)がより好ましい。
【0047】
本発明において、前記多孔固体顆粒の比表面積>30 m2/gで、かつ流動性を維持しながら、少なくとも0.40 mL/gの前記非水性液体配合を吸着していることが好ましい。
【0048】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記固体微粒子は0.0025~3.00%の疎水性薬物活性成分、5.00~59.90%の疎水性可溶化液体、0~45.00%のノニオン性界面活性剤、0.025~0.60%の酸化防止剤および40.00~75.00%の多孔固体顆粒を含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0049】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記固体微粒子は0.33%のデュタステリド、33.00%のプロピレングリコールモノカプリル酸エステル(II型)(CAPRYOL 90)および66.67%のリン酸水素カルシウム(Fujicalin)を含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0050】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記固体微粒子は0.33%のデュタステリド、24.75%のプロピレングリコールモノカプリル酸エステル(II型)(CAPRYOL 90)、8.25%のポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル(LABASOL ALF)および66.67%のリン酸水素カルシウム(Fujicalin)を含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0051】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記固体微粒子は0.33%のデュタステリド、16.5%のプロピレングリコールモノカプリル酸エステル(II型)(CAPRYOL 90)、16.5%のポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル(LABASOL ALF)および66.67%のリン酸水素カルシウム(Fujicalin)を含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0052】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記固体微粒子は0.33%のデュタステリド、13.2%のプロピレングリコールモノカプリル酸エステル(II型)(CAPRYOL 90)、19.80%のポリオキシエチレン(カプリル/カプリン酸)グリセリル(LABASOL ALF)および66.67%のリン酸水素カルシウム(Fujicalin)を含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0053】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記固体微粒子は0.33%のデュタステリド、24.75%のプロピレングリコールモノカプリル酸エステル(II型)(CAPRYOL 90)、8.25%のポリオキシエチレン35ヒマシ油(Kolliphor(登録商標)ELP)および66.67%のリン酸水素カルシウム(Fujicalin)を含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0054】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記固体微粒子は0.33%のデュタステリド、16.50%のプロピレングリコールモノカプリル酸エステル(II型)(CAPRYOL 90)、16.50%のポリオキシエチレン35ヒマシ油(Kolliphor(登録商標)ELP)および66.67%のリン酸水素カルシウム(Fujicalin)を含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0055】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記固体微粒子は0.33%のデュタステリド、13.20%のプロピレングリコールモノカプリル酸エステル(II型)(CAPRYOL 90)、19.80%のポリオキシエチレン35ヒマシ油(Kolliphor(登録商標)ELP)および66.67%のリン酸水素カルシウム(Fujicalin)を含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0056】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記固体微粒子は0.33%のデュタステリド、24.50%のプロピレングリコールモノカプリル酸エステル(II型)(CAPRYOL 90)、8.17%のポリオキシエチレン35ヒマシ油(Kolliphor(登録商標)ELP)、0.33%のジブチルヒドロキシトルエン(BHT)および66.67%のリン酸水素カルシウム(Fujicalin)を含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0057】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記固体微粒子は0.33%のデュタステリド、16.34%のプロピレングリコールモノカプリル酸エステル(II型)(CAPRYOL 90)、16.33%のポリオキシエチレン35ヒマシ油(Kolliphor(登録商標)ELP)、0.33%のジブチルヒドロキシトルエン(BHT)および66.67%のリン酸水素カルシウム(Fujicalin)を含み、前記百分率とは前記固体微粒子における重量百分率である。
【0058】
また、本発明は、上記固体微粒子の製造方法であって、
(1)前記固体微粒子がノニオン性界面活性剤および酸化防止剤を含まない場合、前記薬物活性成分および前記疎水性可溶化液体を混合して溶液を得る工程、
あるいは、前記固体微粒子がノニオン性界面活性剤および/または酸化防止剤を含む場合、ノニオン性界面活性剤および/または酸化防止剤、前記薬物活性成分および前記疎水性可溶化液体を混合して溶液Aを得る工程、
(2)前記多孔固体顆粒を工程(1)における前記溶液と混合する工程、
あるいは、前記多孔固体顆粒を工程(1)における前記溶液Aと混合する工程、
を含む方法を提供する。
【0059】
工程(1)において、前記混合の手段は本分野の通常の混合手段でもよく、ボルテックスが好ましい。
【0060】
工程(2)において、前記多孔固体顆粒は、さらに流動化剤を含む。前記流動化剤は本分野の通常の流動化剤でもよく、シリカが好ましい。
【0061】
また、本発明は、上記固体微粒子およびタムスロシンを含む薬物組成物を提供する。
【0062】
本発明において、前記薬物組成物は本分野の通常の剤形、たとえば硬カプセル剤でもよい。前記硬カプセル剤の製造方法は本分野の通常の製造方法でもよく、具体的に、上記固体微粒子およびタムスロシンを2ピース型硬カプセルに充填すればよい。
【0063】
本発明において、前記タムスロシンは本分野の通常の市販品、たとえばタムスロシンの徐放ピルまたは塩酸タムスロシンの徐放ピルとして得られる。
【0064】
本発明の一つの好適な実施形態において、前記薬物組成物は併用してもよく、前記薬物組成物における固体微粒子はデュタステリドの固体微粒子が好ましい。併用の場合、前記薬物組成物および前記タムスロシンの徐放ピルは2ピース型硬カプセルで封じればよく、前記硬カプセルのサイズは#0以下である。
【0065】
本発明において、前記薬物組成物におけるタムスロシンは、本発明に係る固体微粒子と反応せず、薬物および本発明の固体微粒子の薬理活性に影響しないものであれば、本分野の通常の治療薬に入れ替えてもよい。
【0066】
本発明において、前記「・・・を含む」は「・・・からなる」と表現してもよい。
【0067】
たとえば、多孔固体顆粒および非水性液体配合を含み、前記非水性液体配合は0.10~4.00%の疎水性薬物活性成分、28.00~99.90%の疏水性可溶化液体、0~70.00%のノニオン性界面活性剤、0~1.00%の酸化防止剤を含み、前記百分率とは非水性液体配合における重量百分率で、前記疏水性可溶化液体は中鎖モノ/ジグリセリド、および/または、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルを含む固体微粒子が挙げられる。
【0068】
また、多孔固体顆粒および非水性液体配合からなり、前記非水性液体配合は0.10~4.00%の疎水性薬物活性成分、28.00~99.90%の疏水性可溶化液体、0~70.00%のノニオン性界面活性剤、0~1.00%の酸化防止剤からなり、前記百分率とは非水性液体配合における重量百分率で、前記疏水性可溶化液体は中鎖モノ/ジグリセリド、および/または、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステルからなる固体微粒子と表現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】

図1図1は実施例4における各製剤および市販品Avodart(登録商標)のpH=3の溶出媒体におけるデュタステリドの溶出曲線図である。
図2図2は実施例5における各製剤および市販品Avodart(登録商標)のpH=3の溶出媒体におけるデュタステリドの溶出曲線図である。
図3図3は実施例6における各製剤および市販品Avodart(登録商標)のペプシンを含有しないpH=1の溶出媒体におけるデュタステリドの溶出曲線図である。
図4図4は実施例6における各製剤および市販品Avodart(登録商標)のペプシンを含有するpH=1の溶出媒体におけるデュタステリドの溶出曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本分野の常識に反しないことを前提に、上記各好適な条件を任意に組み合わせれば、本発明の各好適な実例が得られる。
【0071】
本発明で用いられる試薬および原料はいずれも市販品として得られる。
【0072】
本発明の積極的な進歩効果は以下の通りである。
【0073】
(1)本発明の固体微粒子は、疎水性の薬物活性成分の溶出速度と溶出度を向上させ、たとえばデュタステリドの場合、本発明で製造されるデュタステリド硬カプセル製剤は0~30minにおける溶出度が市販品であるAvodartよりも約11%~30%速い。
【0074】
(2)本発明の固体微粒子を硬カプセル剤とする場合、pHが3以上の水性媒体において、疎水性薬物活性成分、たとえばデュタステリドの多孔固体顆粒における潜在的な吸着を最低限にさせ、かつペプシンの環境に依存しない。
【0075】
(3)本発明の硬カプセル剤の製造方法は、簡便で、特殊な設備を使用する必要がなく、産業化大規模生産に適する。本発明におけるデュタステリド液体固体微粒子は密封することなく、容易に2ピース型硬カプセルに充填することができる。
【0076】
液体で充填された硬カプセル(米国特許番号9,622,981)と比べ、有効にテープ状重合体による2ピース型硬カプセルの密封に潜在する液体漏出問題を解決する。
【0077】
軟ゼラチンカプセルと比べ、本発明の固体微粒子は充填体積が顕著に小さい。また、本発明の硬カプセルは、高い水分含有量は湿度に敏感な製品に不利、可塑剤が充填物に移行して余計な不純物が生じる、そして3~7日のトレイ乾燥の製造過程といった、軟ゼラチンカプセルの欠点を克服することができる。
【実施例
【0078】
具体的な実施形態
以下、実施例の形によってさらに本発明を説明するが、これによって本発明を記載された実施例の範囲内に限定するわけではない。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常の方法および条件、あるいは商品の説明書に従って選ばれた。
【0079】
実施例1
疎水性可溶化液体とFujicalinを重量比2:1で混合し、固体微粒子のタップ密度およびかさ密度を測定して固体微粒子の流動性を推算した。
【0080】
圧縮度(C.I.)およびハウスナー比(H.R.)は以下の公式で計算することができる。
【0081】
C.I.=100 ×((V0 - Vf)/V0
H.R.=V0/Vf
ここで、V0およびVfはそれぞれ固体微粒子のかさ密度およびタップ密度である。
【0082】
米国薬典第39章<1174「粉末流動」>では、粉末の流動性の圧縮度およびハウスナー比との関連性が示された(表1)。
【0083】
【表1】
測定結果は表2に示すように、プロピレングリコールモノラウリン酸エステル(II型)(LAUROGLYCOL 90)、プロピレングリコールモノカプリル酸エステル(II型)(CAPRYOL 90)、カプリル酸/カプリン酸モノグリセリド/ジクリセリド(I型)(Capmul MCM)などの疎水性可溶化液体はいずれも優れた流動性を示した。
【0084】
【表2】
【0085】
実施例2
Capryol 90とKolliphor(登録商標)ELPを重量比1:1で混合した後、Fujicalinと混合し、さらに異なる重量比でシリカと混合した。固体のタップ密度およびかさ密度を測定して固体微粒子の流動性を推算した。
【0086】
表3の測定結果から、シリカを含まない固体微粒子はFujicalinと非水性液体配合の重量比が2:1、3:1の場合いずれも優れた流動性を有することがわかる。
【0087】
【表3】
【0088】
実施例3
固体微粒子を製造する時、各成分の含有量は下記表に記載の通りで、その百分率とは固体微粒子における重量百分率である。
【0089】
【表4-1】
【0090】
表4に示すデュタステリド固体微粒子の配合で得られた固体微粒子は、ハウスナー比が1.00~1.18で、流動性が良い。
【0091】
表4に示すデュタステリド固体微粒子の配合で得られた固体微粒子を実施例4の製造方法によって硬カプセル製剤にした後、さらに実施例4に記載の検出方法によって溶出度を検出したところ、その溶出度が製剤A-2に相当し、0~15minにおける放出が先発製剤であるアボダートよりも約18%~25%速い。
【0092】
実施例4
デュタステリド固体微粒子の硬カプセルを製造し、デュタステリド製剤の処方は下記表の通りである。
【0093】
【表5】
【0094】
カプセルの製造プロセス:
(1)処方量のデュタステリド、CAPRYOL 90を取り、均一に混合し、5分間ボルテックスする。
【0095】
(2)処方量の界面活性剤であるLABASOL ALFを入れ、清澄な溶液を得る。
【0096】
(3)上記溶液を多孔顆粒と混合し、自由に流動可能な固体微粒子を得る。
【0097】
(4)151 mgの固体微粒子を#2硬カプセルに充填する。各カプセルは0.5 mgのデュタステリドを含む。
【0098】
溶出度の検出:
本実施例における各処方で製造された硬カプセルおよび市販品であるAvodart(登録商標)を取り、0.001N HCl、1%ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)900mLを溶出媒体とし、温度が37±0.5℃で、USP II(パドル法)における記載に従い、75rpmの速度で撹拌し、それぞれ15分、30分、45分および60分でサンプリングし、サンプル溶液を0.45μmろ膜でろ過した後、HPLC法によって含有量を検出し、そしてデュタステリドの溶出度を検出し、クロマトグラフィーの条件は表6を参照し、溶出度のデータは図1を参照する。
【0099】
【表6】
【0100】
結論:本発明の製剤AB、A-1、A-2およびA-3は0~15minにおける放出が先発製剤であるアボダートよりも約18%~25%速い。
【0101】
実施例5
デュタステリド製剤の処方は下記表の通りである。
【0102】
【表7】
【0103】
製造プロセスおよび溶出度の検出は実施例4と同様である。溶出度のデータは図2を参照する。
【0104】
結論:本発明の製剤B-1、B-2およびB-3は0~15minにおける放出が先発製剤であるアボダートよりも約11%~30%速く、0~60minでも、B-1、B-2の放出はアボダートよりも少し速い。
【0105】
実施例6
実施例5で製造されたB-2および市販品であるAvodart(登録商標)を取り、0.1N HCl、1%ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)900mLを溶出媒体とし、温度が37±0.5℃で、USP II(パドル法)における記載に従い、75rpmの速度で撹拌し、溶出媒体に0.40%そのペプシンが含有されたか、含有されていなかった。
【0106】
検出方法は実施例4と同様である。溶出度のデータは図3および図4を参照する。
【0107】
結論:
図3では、実施例5で製造された製剤B-2はAvodart(登録商標)と比べ、ペプシンがない溶出媒体において、製剤B-2はより速い放出速度および累積溶出度を有することが示された。
【0108】
図4では、実施例5で製造された製剤B-2はAvodart(登録商標)と比べ、ペプシンがある溶出媒体において、硬カプセルと軟カプセルの溶出曲線は類似することが示された。
【0109】
Avodart(登録商標)ゼラチン軟カプセルと比べ、製剤B-2の硬カプセルにおけるデュタステリドはより一致した溶出度を示し、溶出媒体におけるペプシンの存在の有無に影響されず、これはAvodart(登録商標)軟ゼラチンカプセルの潜在的な架橋によって、薬物の溶出がペプシンに依存するからと推測される。
【0110】
実施例7
実施例5の処方および製造方法に従い、171.6 mgのタムスロシンの徐放ピルを150 mgのデュタステリド固体微粒子(製剤B-2)とともに入れたサイズ0#の硬ゼラチンカプセルを製造した。各カプセルは0.4 mgのタムスロシンおよび0.5 mgのデュタステリドを含む。
【0111】
実施例8
デュタステリド製剤の処方は下記表の通りである。
【0112】
【表8】
【0113】
製造プロセスおよび溶出度の検出は実施例4と同様である。
【0114】
製剤B-4の溶出データは実施例5における製剤B-1に相当し、製剤B-5の溶出データは実施例5における製剤B-2に相当する。
【0115】
比較例2
下記表の処方に従い、デュタステリド固体微粒子の硬カプセルを製造し、製造方法、検出方法は実施例4と同様である。Captex(登録商標)355はカプリル酸(C8)およびカプリン酸(C10)のトリグリセリドである。
【0116】
【表9】
【0117】
疎水性可溶化液体が中鎖トリグリセリドを含む場合、製造されたデュタステリド固体微粒子の自己乳化性能が本願のデュタステリド固体微粒子よりも顕著に低く、その溶出度も本願のデュタステリド固体微粒子よりも顕著に低かった。
【0118】
以上、本発明の具体的な実施形態を記述したが、当業者にとって、これらは例示の説明だけで、本発明の原理と実質に反しないという前提下において、これらの実施形態に対して様々な変更や修正をすることができる。そのため、本発明の保護範囲は添付の請求の範囲によって限定される。
図1
図2
図3
図4