(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】生活支援装置、及び、生活支援ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20220516BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20220516BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G06Q30/02 380
(21)【出願番号】P 2021155244
(22)【出願日】2021-09-24
【審査請求日】2021-09-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 電気通信回線を通じて公開、令和 2年10月23日、https://www.youtube.com/watch?v=xyTBNNrwWQw、UIST 2020(33rd ACM Symposium on User Interface Software and Technology)
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521418850
【氏名又は名称】五十嵐 俊治
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100119220
【氏名又は名称】片寄 武彦
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 俊治
【審査官】西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-139366(JP,A)
【文献】特開2009-015736(JP,A)
【文献】特開2021-061057(JP,A)
【文献】特開2019-175251(JP,A)
【文献】特開2012-168734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G08B23/00-31/00
G16Z99/00
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の生活環境にて使用される複数の負荷の使用状況を推定する負荷使用状況推定部と、
前記使用状況に基づいて、前記対象者に推奨される推奨行動の実施状況を解析する行動解析部と、
前記実施状況に基づいて、前記対象者の行動変容を誘導する報知情報を生成し、前記報知情報を報知部から出力させる行動変容誘導部と、
前記報知情報を出力させた後の前記使用状況の変化に応じて前記行動変容が行われたか否かを判定する行動変容判定部と、
前記行動変容の判定結果に基づいて、前記推奨行動の実施を支援する支援処理を行う支援処理部とを備え
、
前記支援処理部は、
前記支援処理を行うタイミングで前記対象者に対する広告情報を取得し、その取得した前記広告情報から前記使用状況及び前記推奨行動の行動種別の少なくとも一方に応じて前記広告情報を選択し、その選択した前記広告情報に基づいて前記支援処理を行う、
生活支援装置。
【請求項2】
対象者の生活環境にて使用される複数の負荷の使用状況を推定する負荷使用状況推定部と、
前記使用状況に基づいて、前記対象者に推奨される推奨行動の実施状況を解析する行動解析部と、
前記実施状況に基づいて、前記対象者の行動変容を誘導する報知情報を生成し、前記報知情報を報知部から出力させる行動変容誘導部と、
前記報知情報を出力させた後の前記使用状況の変化に応じて前記行動変容が行われたか否かを判定する行動変容判定部と、
前記行動変容の判定結果に基づいて、前記推奨行動の実施を支援する支援処理を行う支援処理部と、
前記対象者に対する広告情報を取得し、その取得した前記広告情報から前記使用状況及び前記推奨行動の行動種別の少なくとも一方に応じて前記広告情報を選択し、その選択した前記広告情報に基づいて前記推奨行動の行動内容を更新する第2の推奨行動更新部とを備える、
生活支援装置。
【請求項3】
前記行動解析部は、
前記使用状況に基づいて、前記推奨行動の実施状況を行動種別毎に解析し、
前記行動変容誘導部は、
前記行動種別毎の前記実施状況に基づいて、前記報知情報を前記行動種別毎に生成し、前記行動種別毎の前記報知情報を前記報知部から出力させ、
前記行動変容判定部は、
前記行動変容が行われたか否かを前記行動種別毎に判定し、
前記支援処理部は、
前記行動種別毎の前記行動変容の判定結果に基づいて、前記支援処理を前記行動種別毎に行う、
請求項1
又は請求項2に記載の生活支援装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項
3のいずれか一項に記載の生活支援装置と、
前記報知部を有する生活支援ロボットとを備える、
生活支援ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用電気機械器具の稼働状況と連携することによって、生活支援ロボットとのコミュニケーションを改善する生活支援装置、及び、生活支援ロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、見守りの対象となる対象者が居住している宅内に設置されて、遠隔から対象者の生活の様子を見守るシステムが提案されている。例えば、特許文献1に開示された見守り監視システムは、複数台の監視カメラ、マイク、スピーカ等を対象者の宅内に設置し、監視カメラにより対象者を撮像したり、マイク及びスピーカにより対象者と遠隔の家族とが会話したりすることを可能とするシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された見守り監視システムでは、監視カメラが宅内に設置されるため、対象者としては大きな安心感を得られる。一方、監視カメラにより自身の生活の様子が撮像されるため、対象者は、居心地が悪く、監視カメラの存在をストレスに感じることが既往の研究からも明らかにされている。
【0005】
また、特許文献1に開示された見守り監視システムでは、遠隔にいる家族は、マイク及びスピーカを介して対象者と会話することができる。しかしながら、遠隔にいる家族が、監視カメラで常に対象者の行動を把握し、例えば、食事、入浴、睡眠等に関して対象者に推奨される推奨行動を取るように、対象者の行動変容を適時に誘導することは現実的に難しい。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、対象者のストレスを軽減しつつ、対象者との対話を通じて対象者の支援を適切に実施することを可能とする生活支援装置、及び、生活支援ロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであって、本発明の一実施形態に係る生活支援装置は、
対象者の生活環境にて使用される複数の負荷の使用状況を推定する負荷使用状況推定部と、
前記使用状況に基づいて、前記対象者に推奨される推奨行動の実施状況を解析する行動解析部と、
前記実施状況に基づいて、前記対象者の行動変容を誘導する報知情報を生成し、前記報知情報を報知部から出力させる行動変容誘導部と、
前記報知情報を出力させた後の前記使用状況の変化に応じて前記行動変容が行われたか否かを判定する行動変容判定部と、
前記行動変容の判定結果に基づいて、前記推奨行動の実施を支援する支援処理を行う支援処理部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態に係る生活支援装置によれば、行動解析部が、対象者により使用される複数の負荷の使用状況に基づいて推奨行動の実施状況を解析する。そのため、対象者のストレスを軽減しつつ、対象者の行動を把握することができる。また、行動変容誘導部が、推奨行動の実施状況に基づいて対象者の行動変容を誘導する報知情報を出力し、行動変容判定部が、報知情報を出力させた後の使用状況の変化に応じて行動変容が行われたか否かを判定し、支援処理部が、行動変容の判定結果に基づいて、推奨行動の実施を支援する支援処理を行う。そのため、対象者との対話を通じて対象者の支援を適切に実施することができる。
【0009】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】生活支援システム1の一例を示す全体構成図である。
【
図2】生活支援ロボット3(生活支援装置10)の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1の推奨行動テーブル311Aの一例を示すデータ構成図である。
【
図4】第2の推奨行動テーブル311Bの一例を示すデータ構成図である。
【
図5】生活支援ロボット3(生活支援装置10)の健康管理の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】生活支援ロボット3(生活支援装置10)の異常対応に関する動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る生活支援システム1の一例を示す全体構成図である。生活支援システム1は、生活環境11にて生活する対象者Uの日常の行動として、対象者Uに推奨される推奨行動が実際に行われているかどうかの実施状況を見守ることで、対象者Uの生活における健康管理や異常対応等を支援するためのシステムである。本実施形態では、対象者Uは、高齢者施設の各個室で生活している高齢者であるものとして説明するが、対象者Uは、自宅に一人暮らしの高齢者でもよい。また、対象者Uの年齢は、特に高齢に限られない。
【0013】
生活環境11は、主に室内空間であり、生活環境11では、分電盤12から電力の供給を受けて動作する複数の負荷13が使用される。分電盤12は、複数の負荷13に電力を供給する電力供給経路の一部に設置されており、商用電源に接続される主幹ブレーカ120と、主幹ブレーカ120に接続されて商用電源からの電力を分岐して複数の負荷13に供給する複数の分岐ブレーカ121とを備える。なお、生活環境11の間取りや広さ等は特に限定されない。
【0014】
負荷13は、各種の電化製品(家庭用電気機械器具)であり、例えば、テレビ、空調機(エアコン)、冷蔵庫、IH調理器、電子レンジ、炊飯器、電気ポット、コーヒーメーカー、電気式給湯器、換気扇、洗濯機、温水洗浄便座、電動リクライニングベッド、照明機器等が含まれる。負荷13は、操作部(例えば、負荷本体に設けられたボタンや赤外線通信等を用いたリモコン等)を介して対象者Uにより操作されることで動作するものでもよいし、タイマー等の自動設定に従って動作するものでもよい。なお、負荷13の数や設置場所等は特に限定されない。
【0015】
推奨行動は、日常の行動を分類した行動種別毎に予め定められる。推奨行動は、主に対象者Uの健康管理や異常対応を考慮して、例えば、対象者U本人、家族、主治医等により定められる。行動種別は、例えば、食事、服薬、排泄、外出、睡眠、昼寝、テレビ、空調、入浴、シャワー等が挙げられるが、これらに限られない。
【0016】
生活支援システム1は、その構成要素として、分電盤12に設置された電力計2と、生活支援装置10として動作する生活支援ロボット3と、対象者Uに対して支援サービスを提供する支援事業者が管理する生活支援管理装置4とを備える。電力計2と生活支援ロボット3との間、及び、生活支援ロボット3と生活支援管理装置4との間は、各種のデータを送受信可能な通信網5により接続される。通信網5は、任意の通信方式を採用すればよく、有線でもよいし、無線でもよい。なお、負荷13が通信網5に接続されていてもよい。
【0017】
電力計2は、分電盤12の電力線(本実施形態では、主幹ブレーカ120の二次側)にクランプされて、その電力線に流れる電流値を計測する電流センサで構成される。電力計2は、所定のサンプリング周期にて電流値を計測することで、電流値の時系列変化を示す電力波形を、通信網5(例えば、Wi-Fi(登録商標)等)を介して生活支援ロボット3に送信する。
【0018】
生活支援ロボット3は、対象者Uにより持ち運び可能な据置型の装置であり、生活環境11内の任意の場所に設置される。生活支援ロボット3は、音声や表示(文字、アイコン、画像等)を利用して対象者Uとの対話を行う対話機能を有し、例えば、汎用又は専用のコンピュータ等を内蔵する。生活支援ロボット3は、電力計2から電力波形を受信し、その電力波形に基づいて、対象者Uにより行われた対象者行動を取得する。そして、生活支援ロボット3は、状況に応じて対象者Uと対話したり、負荷13に負荷制御データを送信することで負荷13を制御したり、各種の情報(通報情報、行動記録データ等)を生活支援管理装置4に送信したりする。
【0019】
生活支援管理装置4は、例えば、サーバやクラウドとして機能する汎用又は専用のコンピュータ等で構成される。生活支援管理装置4は、生活支援ロボット3からの通報情報を受信し、電子メールや電話等の任意の通報手段により対象者Uの支援者(家族や支援事業者(具体的には、高齢者施設の介護福祉士、ホームヘルパー、施設管理者等))に連絡する。生活支援管理装置4は、生活支援ロボット3にて取得された各種の情報(行動記録データ等)を受信し、データベースに蓄積する。
【0020】
なお、
図1では、生活支援システム1の全体構成を図示したが、生活支援ロボットシステムは、生活支援ロボット3と、生活支援管理装置4とを少なくとも備えて構成される。また、
図1では、生活支援管理装置4には、1台の生活支援ロボット3が接続された場合が図示されているが、複数の対象者Uの各生活環境11にてそれぞれ使用される複数台の生活支援ロボット3が接続されてもよい。なお、生活支援管理装置4には、複数の高齢者施設にそれぞれ設置された生活支援ロボット3が接続されてもよいし、一人暮らしの高齢者(対象者U)の自宅に設置された生活支援ロボット3が接続されてもよい。
【0021】
(生活支援ロボット3の構成)
図2は、本発明の実施形態に係る生活支援ロボット3(生活支援装置10)の一例を示すブロック図である。
【0022】
生活支援ロボット3は、CPU、MPU、GPU等のプロセッサにより構成される制御部30と、HDD、SDD、メモリ等により構成される記憶部31と、通信網5との通信インターフェースであるネットワーク通信部32と、負荷13との間で赤外線通信を行う赤外線通信部33と、マイク等により構成される音声入力部34と、スピーカ等により構成される音声出力部35と、ディスプレイ、タッチパネル等により構成される表示出力部36と、ボタン、スイッチ、タッチパネル等により構成される操作入力部37と、各種のセンサ(例えば、温湿度センサ、照度センサ、イメージセンサ(カメラ)、加速度センサ、ジャイロセンサ等)により構成されるセンサ群38とを備える。なお、上記の各部32~37の一部又は全てが省略されてもよいし、センサ群38を構成するセンサの一部又は全てが省略されてもよい。
【0023】
記憶部31には、生活支援プログラム310、推奨行動テーブル311、電力波形特徴データ312、音声認識データ313、発話データ314、及び、行動記録データ315が記憶されている。なお、記憶部31に記憶された上記の各種の情報は、生活支援管理装置4から更新情報を受信し、適宜更新されてもよい。
【0024】
推奨行動テーブル311は、主に健康管理に用いられる第1の推奨行動テーブル311Aと、主に異常対応に用いられる第2の推奨行動テーブル311Bとから構成される。本実施形態では、推奨行動テーブル311を2つのテーブルに分けたものとして説明するが、1つのテーブルで構成されていてもよいし、3つ以上のテーブルで構成さていてもよい。
【0025】
図3は、本発明の実施形態に係る第1の推奨行動テーブル311Aの一例を示すデータ構成図である。
図4は、本発明の実施形態に係る第2の推奨行動テーブル311Bの一例を示すデータ構成図である。第1及び第2の推奨行動テーブル311A、311Bは、各レコードに対応する行動種別毎に、推奨行動に関する情報を各フィールドにそれぞれ記憶する。
【0026】
第1の推奨行動テーブル311Aには、
図3に示すように、行動種別毎に、推奨行動の行動内容と、推奨行動の実施状況を判断する際の判断対象とする負荷13と、推奨行動の実施状況が未実施である場合の支援処理として行う未実施時処理内容と、行動記録データ315に記録する記録内容とが記憶される。
【0027】
第2の推奨行動テーブル311Bには、
図4に示すように、行動種別毎に、推奨行動の行動内容と、推奨行動の実施状況を判断する際の判断対象とする負荷13と、推奨行動の実施状況の異常の有無を判断するための異常判断基準と、推奨行動の実施状況が異常判断基準を満たす場合の支援処理として行う異常時処理内容とが記憶される。
【0028】
判断対象の負荷13は、1つの行動種別に対して1又は複数の負荷13が設定されており、複数の負荷13が設定される場合には、それらが使用される時系列の順序がさらに設定されてもよい。
【0029】
図3に例示する第1の推奨行動テーブル311Aには、6レコード分、すなわち、6種類の行動種別(食事、服薬、排泄、外出、睡眠、テレビ)が登録されており、
図4に例示する第2の推奨行動テーブル311Bには、4レコード分、すなわち、4種類の行動種別(食事、空調、入浴、シャワー)が登録されている。なお、第1及び第2の推奨行動テーブル311A、311Bには、共通の行動種別が登録されていてもよいし、異なる行動種別が登録されていてもよいし、
図3及び
図4に例示した以外の行動種別が登録されていてもよい。また、第1及び第2の推奨行動テーブル311A、311Bは、例えば、対象者U本人、家族、主治医等により操作入力部37を介して編集可能に構成されており、レコードの追加や削除等が適宜行われてもよいし、各フィールドに設定される内容が適宜変更されてもよい。
【0030】
電力波形特徴データ312は、負荷13毎に、電力波形の特徴(電流立ち上がり時の大きさや傾き、電流立ち下がり時の大きさや傾き等)を記憶する。なお、電力波形特徴データ312は、電力波形の特徴と、負荷13との相関関係を所定の機械学習アルゴリズムにより機械学習させた学習モデルでもよい。その場合、電力波形特徴データ312としての学習モデルは、例えば、電力波形を入力することで、その電力波形が計測されたときに使用されたと推定される負荷13の使用状況を出力する。
【0031】
音声認識データ313は、生活支援ロボット3が、音声入力部34を介して入力された対象者Uの音声データから対象者Uの発話内容を認識するためのデータやプログラムを記憶する。発話データ314は、音声出力部35を介して各種の状況に応じた発話内容を発話するためのデータやプログラムを記憶する。行動記録データ315は、対象者Uにより行われた対象者行動と、対象者Uにより発話された音声とを、その行動や音声が取得された日時とともに記憶する。なお、行動記録データ315は、電力波形のデータをさらに記憶してもよい。
【0032】
制御部30は、生活支援プログラム310を実行することにより、負荷使用状況推定部300、行動解析部301、行動変容誘導部302、行動変容判定部303、支援処理部304、第1の推奨行動更新部305A、第2の推奨行動更新部305B、及び、第3の推奨行動更新部305Cとして機能する。
【0033】
負荷使用状況推定部300は、複数の負荷13に電力を供給する分電盤12に設置された電力計2から電力波形を取得し、その電力波形から負荷13の使用状況を推定する。具体的には、負荷使用状況推定部300は、電力波形特徴データ312を参照し、電力計2にて計測された電力波形の時系列変化からどの負荷13が使用されているか、例えば、どの時点でオンされて、どの時点でオフされたかといった各負荷13の使用状況を推定する。
【0034】
行動解析部301は、負荷13の使用状況に基づいて、推奨行動の実施状況を解析する。そして、行動解析部301は、その推奨行動の実施状況が未実施であるか否か、及び、その推奨行動の実施行動が異常判断基準を満たすか否かを判定する。
【0035】
具体的には、行動解析部301は、負荷13の使用状況から対象者Uにより行われた対象者行動を取得するとともに、推奨行動テーブル311を参照し、対象者行動に基づいて推奨行動の実施状況が未実施であるか否か、対象者行動に基づいて推奨行動の実施状況が異常判断基準を満たすか否かを行動種別毎に判定する。
【0036】
例えば、行動種別が「食事」の場合には、行動解析部301は、負荷13の使用状況として、食事に必要な負荷13(例えば、キッチン照明等)が規定の時間帯に使用されたことを条件に、推奨行動としての「食事」が実施されたものとして判定する。また、行動種別が「外出」の場合には、行動解析部301は、例えば、生活に必要な負荷13(室内全体の照明等)が使用されている状態から、それらの負荷13の使用が停止された状態が所定の期間だけ継続したことを条件に、推奨行動としての「外出」が実施されたものとして判定する。さらに、行動種別が「睡眠」の場合には、行動解析部301は、例えば、生活に必要な負荷13(室内全体の照明等)が使用されていない状態から、寝室照明が点灯し、さらに、リビング照明、キッチン照明の順に点灯したことを条件に、推奨行動としての「睡眠(起床)」が実施されたものとして判定する。なお、上記のような複数の負荷13が使用される順序は、生活環境11の間取りや対象者Uの生活習慣に応じて設定されれればよい。
【0037】
行動変容誘導部302は、行動種別毎の推奨行動の実施状況に基づいて、対象者Uの行動変容を誘導する報知情報を行動種別毎に生成し、その報知情報を音声出力部35及び表示出力部36の少なくとも一方(報知部)から出力させる。報知情報は、行動変容を誘導する内容を含むものであればよい。例えば、音声出力部35が、報知情報として、発話(報知)する発話内容は、発話データ314に記憶されており、表示出力部36が、報知情報として表示する表示内容は、発話データ314に基づいて文字等で表示される。
【0038】
行動変容判定部303は、音声出力部35及び表示出力部36の少なくとも一方から報知情報を出力させた後の負荷13の使用状況の変化に応じて対象者Uの行動変容が行われたか否かを行動種別毎に判定する。例えば、行動変容判定部303は、負荷使用状況推定部300と連携することで、負荷使用状況推定部300により負荷13の使用状況の変化が検出(推定)された場合には、対象者Uの行動変容が行われたと判定する。また、行動変容判定部303は、音声入力部34を介して入力された対象者Uの音声データから対象者Uの発話として、例えば、推奨行動を行った旨の発話内容が認識された場合には、対象者Uの行動変容が行われたと判定する。
【0039】
支援処理部304は、行動種別毎の行動変容の判定結果に基づいて、推奨行動の実施を支援する支援処理を行う。具体的には、支援処理部304は、行動変容が行われず、推奨行動の実施状況が未実施である場合の支援処理として、推奨行動の行動内容を報知部から出力させる。また、支援処理部304は、対象者Uの行動変容が行われず、推奨行動の実施状況が異常判断基準を満たす場合の支援処理として、推奨行動にて使用する判断対象の負荷13を、当該推奨行動として実施すべき操作に応じて制御するか、推奨行動の実施状況を通報する通報情報をネットワーク通信部32を介して送信するかのうち少なくと一方を行う。支援処理部304が判断対象の負荷13を制御する負荷制御手法としては、当該推奨行動として実施すべき操作に応じた負荷制御データ(例えば、任意のAPIに基づくデータ)を、ネットワーク通信部32又は赤外線通信部33を介して送信する。
【0040】
その際、支援処理部304は、推奨行動テーブル311を参照し、行動種別毎に設定された支援処理を行うように、例えば、推奨行動の実施状況が未実施である場合には、第1の推奨行動テーブル311Aの未実施時処理内容に従って支援処理を行い、推奨行動の実施状況が異常判断基準を満たす場合には、第2の推奨行動テーブル311Bの異常時処理内容に従って支援処理を行う。
【0041】
また、支援処理部304は、支援処理を行うタイミングで対象者Uに対する要望情報を取得し、その要望情報に基づいて支援処理を行うようにしてもよい。例えば、支援処理部304は、要望情報として、対象者U本人の要望(生活習慣に関するもの等)を、音声入力部34又は操作入力部37を介して取得してもよいし、家族や主治医(医療機関)からの要望(疾病治療や予防に関するもの等)、又は、高齢者施設からの要望(高齢者施設内の生活規則や共用施設の利用ルールに関するもの等)を、生活支援管理装置4や外部の情報提供装置からネットワーク通信部32を介して取得してもよいし、上記のように取得した要望情報が記憶部31に記憶されている場合には、記憶部31を参照することで取得してもよい。これにより、適時適切な支援処理を行うとともに、各種の要望を反映させた情報を提供することができる。
【0042】
さらに、支援処理部304は、支援処理を行うタイミングで対象者Uに対する広告情報を取得し、その広告情報に基づいて支援処理を行うようにしてもよい。例えば、支援処理部304は、広告情報として、高齢者施設からの広告(高齢者施設内の有料プログラムや有料イベントへの参加に関するもの等)、又は、近隣地域の企業、店舗、行政からの広告(地域内のセールやイベント、出張サービス、配達サービス、行政プログラムに関するもの等)を、生活支援管理装置4や外部の情報提供装置からネットワーク通信部32を介して取得してもよいし、上記のように取得した広告情報が記憶部31に記憶されている場合には、記憶部31を参照することで取得してもよい。そして、支援処理部304は、その取得した広告情報に基づいて広告リストを生成し、その広告リストから、負荷13の使用状況及び支援対象の行動種別の少なくとも一方に応じて、支援処理を行うタイミングにおける対象者Uに適切な広告情報を選択し、その選択した広告情報に基づいて支援処理を行う。
【0043】
具体的には、行動記録データ315に、負荷13の使用状況として、コーヒーメーカーが日常的に使用されていることが記録されている場合には、支援処理部304は、食事に関する支援処理を行うタイミングでは、コーヒー豆やコーヒーメーカーの機器類に関する広告情報を選択すればよいし、外出に関する支援処理を行うタイミングでは、喫茶店やコーヒー豆のセールに関する広告情報を選択すればよい。また、主治医(医療機関)からの要望情報として、日常的に運動を取り入れるように要望されている場合には、支援処理部304は、外出に関する支援処理を行うタイミングでは、高齢者施設内で行われるエクササイズ等の有料プログラムに関する広告情報を選択してもよいし、近隣のスポーツジムの体操プログラムに関する広告情報を選択してもよい。これにより、適時適切な支援処理を行うとともに、各種の広告を反映させた情報を提供することができる。
【0044】
第1の推奨行動更新部305Aは、対象者Uに対する要望情報を取得し、その要望情報に基づいて推奨行動の行動内容(第1及び第2の推奨行動テーブル311A、311Bの推奨行動のフィールド)を更新する。第1の推奨行動更新部305Aは、例えば、プッシュ方式及びプル方式にて要望情報を取得するものであり、要望情報を取得するタイミングは、支援処理部304が支援処理を行うタイミングとは異なるタイミングでもよい。要望情報の内容は、支援処理部304が取得する要望情報と同様であるため、説明を省略する。
【0045】
第2の推奨行動更新部305Bは、対象者Uに対する広告情報を取得し、その取得した広告情報から負荷13の使用状況及び推奨行動の行動種別の少なくとも一方に応じて対象者Uに適切な広告情報を選択し、その選択した広告情報に基づいて推奨行動の行動内容(第1及び第2の推奨行動テーブル311A、311Bの推奨行動のフィールド)を更新する。第2の推奨行動更新部305Bは、例えば、プッシュ方式及びプル方式にて広告情報を受け付けるものであり、広告情報を受け付けるタイミングは、支援処理部304が支援処理を行うタイミングとは異なるタイミングでもよい。広告情報の内容は、支援処理部304が取得する広告情報と同様であるため、説明を省略する。
【0046】
第3の推奨行動更新部305Cは、負荷13の使用状況に基づいて対象者Uの活動量を算出し、その活動量に基づいて推奨行動の行動内容(第1及び第2の推奨行動テーブル311A、311Bの推奨行動のフィールド)を更新する。例えば、第3の推奨行動更新部305Cは、負荷13の使用状況から生活環境11内での対象者Uの移動軌跡を推定し、その移動軌跡に基づく移動距離から対象者Uの活動量を算出してもよいし、テレビの視聴時間から対象者Uの活動量を算出してもよいし、対象者Uの外出頻度や外出時間から対象者Uの活動量を算出してもよい。そして、第3の推奨行動更新部305Cは、対象者Uの活動量が所定の基準値より少ない場合には、推奨行動の実施を促して対象者Uの活動量を増加させるように、例えば、行動種別が「テレビ」の場合の推奨行動の行動内容に対する規定の時間を短く変更したり、行動種別が「外出」の場合の推奨行動の行動内容に対する外出頻度を多く変更したりする。これにより、対象者Uの認知症や鬱等の精神疾患を予防することができる。
【0047】
(生活支援システム1の動作)
次に、上記構成を有する生活支援ロボット3(生活支援装置10)の動作について説明する。
【0048】
図5は、本発明の実施形態に係る生活支援ロボット3(生活支援装置10)の健康管理に関する動作の一例を示すフローチャートである。
図5に示す一連の処理は、例えば、第1の推奨行動テーブル311A(
図3)に設定された行動種別毎に実行されるものであり、複数の行動種別が設定されている場合には、
図5に示す一連の処理が並行して実行される。ここでは、「外出」の行動種別に対する動作を中心に説明する。
【0049】
まず、ステップS100にて、生活支援ロボット3の制御部30は、第1の推奨行動テーブル311Aを参照し、特定の行動種別(「外出」)に対して設定された情報(推奨行動の行動内容、判断対象の負荷13、未実施時処理内容、及び、記録内容)を取得する。
【0050】
次に、ステップS110にて、負荷使用状況推定部300は、電力計2から電力波形を所定の周期で受信し、その電力波形から判断対象の負荷13(「室内全体の照明」)の使用状況を推定する。
【0051】
次に、ステップS120にて、行動解析部301は、負荷使用状況推定部300により推定された判断対象の負荷13(「室内全体の照明」)の使用状況に基づいて推奨行動の実施状況を解析(判断)することで、対象者Uにより行われた対象者行動を取得する。
【0052】
次に、ステップS130にて、行動解析部301は、その対象者行動に基づいて、推奨行動の行動内容が未実施であるか否かを判定する。例えば、行動解析部301は、「外出」の行動種別に対する対象者行動として、「室内全体の照明」を消灯したことに応じて、推奨行動の行動内容が実施したと判定する。
【0053】
そして、行動解析部301が、推奨行動の行動内容が未実施であると判定した場合には(ステップS130:Yes)、ステップS131にて、行動変容誘導部302は、対象者Uの行動変容を誘導する報知情報を生成し、その報知情報を報知部から出力させる。例えば、「外出」の行動種別に対する報知情報には、外出するように誘導する情報が含まれる。その際、行動変容誘導部302は、推奨行動を行う前の事前行動(例えば、行動種別が「外出」の場合には、室内全体の照明を消灯等)を誘導する報知情報を生成し、その報知情報を報知部から出力させるようにしてもよい。
【0054】
次に、ステップS140にて、行動変容判定部303は、音声出力部35から報知情報を出力させた後の負荷13の使用状況の変化に応じて対象者Uの行動変容が行われたか否かを判定する。例えば、行動変容判定部303は、負荷使用状況推定部300と連携することで、負荷使用状況推定部300により負荷13の使用状況の変化が検出(推定)された場合には、対象者Uの行動変容が行われたと判定する。また、行動変容判定部303は、音声入力部34を介して入力された対象者Uの音声データから対象者Uの発話として、例えば、推奨行動を行った旨の発話内容が認識された場合には、対象者Uの行動変容が行われたと判定する。
【0055】
そして、行動変容判定部303が、対象者Uの行動変容が行われなかったと判定した場合には(ステップS140:No)、ステップS150にて、支援処理部304は、未実施時処理内容に従って支援処理を行う。例えば、「外出」の行動種別に対する未実施時処理内容が、「推奨行動提示と確認」と設定されている場合には、支援処理部304は、推奨行動の行動内容を提示するとともに、その行動内容を実施する予定があるか(又は実施済みか)を確認する報知情報を生成し、その報知情報を報知部から出力させる。ここでの報知情報は、ステップS131にて出力された報知情報と同じ内容を含むものでもよい。
【0056】
なお、支援処理部304が、支援処理を行うタイミングにおいて、例えば、日常的に運動を取り入れるように求める要望情報を生活支援管理装置4から取得した場合には、その旨を含む報知情報を生成し、その報知情報を報知部から出力させるようにしてもよい。また、支援処理部304が、支援処理を行うタイミングにおいて、例えば、高齢者施設内で行われるエクササイズ等の有料プログラムに関する広告情報を生活支援管理装置4から取得した場合には、その旨を含む報知情報を生成し、その報知情報を報知部から出力させるようにしてもよい。
【0057】
次に、ステップS160にて、支援処理部304は、推奨行動の実施状況等の記録内容(「外出」の行動種別の場合には、外出の有無と時間)を行動記録データ315に登録する。なお、ステップS130にて、行動解析部301が推奨行動の行動内容が実施済みであると判定した場合(S130:No)、及び、ステップS140にて、行動変容判定部303が対象者Uの行動変容が行われたと判定した場合にも(ステップS140:Yes)、ステップS160が行われる。
【0058】
以上のようにして、
図5に示す一連の処理が終了する。なお、行動解析部301が、推奨行動を実施済みと判定した場合(ステップS130:No)や、行動変容判定部303が、対象者Uの行動変容が行われたと判定した場合(ステップS140:Yes)において、行動変容誘導部302は、推奨行動を行った後の事後行動(例えば、行動種別が「入浴」の場合には、水分補給、行動種別が「食事」の場合には、服薬等)を誘導する報知情報を生成し、その報知情報を報知部から出力させるようにしてもよい。
【0059】
図6は、本発明の実施形態に係る生活支援ロボット3(生活支援装置10)の異常対応に関する動作の一例を示すフローチャートである。
図6に示す一連の処理は、例えば、第2の推奨行動テーブル311B(
図4)に設定された行動種別毎に実行されるものであり、複数の行動種別が設定されている場合には、
図6に示す一連の処理が並行して実行される。ここでは、「空調」の行動種別に対する動作を中心に説明する。
【0060】
まず、ステップS200にて、生活支援ロボット3の制御部30は、第2の推奨行動テーブル311Bを参照し、特定の行動種別(「空調」)に対して設定された情報(推奨行動の行動内容、判断対象の負荷13、異常判断基準、及び、異常時処理内容)を取得する。
【0061】
次に、ステップS210にて、負荷使用状況推定部300は、ステップS110と同様に、判断対象の負荷13(「エアコン」)の使用状況を推定する。次に、ステップS220にて、行動解析部301は、ステップS120と同様に、判断対象の負荷13(「エアコン」)の使用状況に基づいて推奨行動の実施状況を解析(判断)することで、対象者Uにより行われた対象者行動を取得する。次に、ステップS230にて、行動解析部301は、ステップS130と同様に、その対象者行動に基づいて、推奨行動の行動内容が未実施であるか否かを判定する。例えば、行動解析部301は、「空調」の行動種別に対する対象者行動として、「エアコン」を動作させたことに応じて、推奨行動の行動内容が実施したと判定する。
【0062】
そして、行動解析部301が、推奨行動の行動内容が未実施であると判定した場合には(ステップS230:Yes)、ステップS231にて、行動変容誘導部302は、ステップS131と同様に、対象者Uの行動変容を誘導する報知情報を生成し、その報知情報を報知部から出力させる。例えば、「空調」の行動種別に対する報知情報には、エアコンを動作させるように誘導する情報が含まれる。
【0063】
次に、ステップS240にて、行動変容判定部303は、ステップS140と同様に、音声出力部35から報知情報を出力させた後の負荷13の使用状況の変化に応じて対象者Uの行動変容が行われたか否かを判定する。
【0064】
そして、行動変容判定部303が、対象者Uの行動変容が行われなかったと判定した場合には(ステップS240:No)、ステップS250にて、行動解析部301が、対象者行動及び異常判断基準に基づいて、対象者行動が異常判断基準を満たすか否かを判定する。具体的には、行動解析部301は、「空調」の行動種別に対する対象者行動として、「エアコン」を動作させておらず、室温が規定の温度以上又は規定の温度以下であることに応じて、異常判断基準を満たすと判定する。
【0065】
そして、行動解析部301が、異常判断基準を満たすと判定した場合には(ステップS250:Yes)、ステップS260にて、支援処理部304は、異常時処理内容に従って支援処理を行う。例えば、「空調」の行動種別に対する未実施時処理内容が、「自動制御+管理者への通報」と設定されている場合には、支援処理部304は、推奨行動の実施状況を判断する際の判断対象の負荷13(「エアコン」)に対して、当該推奨行動として実施すべき操作に応じた負荷制御データ(エアコンのオン操作)を送信するとともに、対象者Uの支援者に対して通報情報を送信する。なお、通報情報は、生活支援管理装置4を経由することなく、対象者Uの支援者に対して直接送信されてもよい。
【0066】
以上のようにして、
図6に示す一連の処理が終了する。なお、
図5及び
図6は、別々のフローチャートである場合について説明したが、健康管理に関する機能(
図5)と、異常対応に関する動作(
図6)とが実現されるものであれば、生活支援ロボット3(生活支援装置10)は、
図5及び
図6の例に限られず、1つフローチャートに沿って動作するものでもよい。また、生活支援ロボット3(生活支援装置10)は、健康管理に関する動作(
図5)、及び、異常対応に関する動作(
図6)のいずれか一方を行うものでもよい。
【0067】
したがって、本実施形態に係る生活支援システム1によれば、行動解析部301が、対象者Uにより使用される複数の負荷13の使用状況に基づいて推奨行動の実施状況を解析する。そのため、対象者Uのストレスを軽減しつつ、対象者Uの行動を把握することができる。また、行動変容誘導部302が、推奨行動の実施状況に基づいて対象者Uの行動変容を誘導する報知情報を報知部から出力させ、行動変容判定部303が、報知情報を出力させた後の使用状況の変化に応じて行動変容が行われたか否かを判定し、支援処理部304が、行動変容の判定結果に基づいて、推奨行動の実施を支援する支援処理を行う。そのため、対象者Uとの対話を通じて対象者Uの支援を適切に実施することができる。
【0068】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0069】
例えば、上記実施形態では、生活支援ロボット3が、生活支援装置10として動作する場合について説明したが、生活支援装置10は、生活支援ロボット3とは別体の装置として構成されていてもよい。その場合には、生活支援装置10は、生活支援ロボット3との間で各種の情報を送受信することで、対象者Uの生活を支援するようにすればよい。また、生活支援管理装置4が、生活支援装置10として動作するようにしてもよく、その場合には、生活支援装置10は、複数の生活支援ロボット3との間で各種の情報を送受信することで、複数の対象者Uの生活を支援するようにしてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、生活支援ロボット3が、対象者Uにより持ち運び可能で生活環境11内に設置される据置型の装置で構成された場合について説明したが、生活支援ロボット3の形態は適宜変更してもよい。例えば、生活支援ロボット3は、車輪走行や歩行等を行うアクチュエータを備え、生活環境11内を自律的に移動する自律移動型の装置で構成されていてもよい。また、生活支援ロボット3が、手指状や腕状のアクチュエータを備える場合には、生活支援ロボット3が、支援処理部304による負荷制御手法を実現してもよく、例えば、支援処理部304からの負荷制御データに基づいて、アクチュエータにより負荷13の操作部(例えば、負荷本体に設けられたボタンや赤外線通信等を用いたリモコン等)を操作するようにしてもよい。さらに、生活支援ロボット3は、例えば、テレビ、スマートフォン、タブレット等の任意の装置(複数の装置でもよい)の画面に、ロボット(キャラクター)が表示されるようなエージェント型のユーザインタフェースにより実現されていてもよいし、壁や天井に埋め込まれることで部屋と一体的に構成されていてもよい。また、生活支援ロボット3は、部屋の各所に設置されて、複数の生活支援ロボット3が連携するようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、電力計2が、主幹ブレーカ120の二次側に設置された場合(集中設置型)について説明したが、電力計2は、負荷13に電力を供給する電力供給経路に設置されていればよく、複数の電力計2が設置されていてもよい。例えば、電力計2は、各分岐ブレーカ121の二次側に設置されてもよいし、スマートプラグのように、コンセントと負荷13のコンセントプラグの間に設置されてもよい。このような個別設置型の場合には、負荷使用状況推定部300は、各電力計2から電力波形をそれぞれ取得することで、各負荷13の使用状況を推定するようにすればよい。さらに、電力計2が、通電状態と遮断状態とを切替可能な切替スイッチを備える場合には、電力計2が、支援処理部304による負荷制御手法を実現してもよく、例えば、支援処理部304からの負荷制御データ(通電又は遮断)に基づいて、切替スイッチを切り替えるようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、負荷使用状況推定部300は、電力計2により取得された電力波形に基づいて各負荷13の使用状況を推定する場合について説明したが、負荷使用状況推定部300は、各負荷13との間で、例えば、任意のAPIに基づくデータを送受信することで、各負荷13の使用状況(ON/OFF、動作設定、電力使用量等)を取得するようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、行動解析部301が、負荷13の使用状況に基づいて推奨行動の実施状況を解析する場合について説明したが、行動解析部301は、センサ群38により取得された情報をさらに参照することで、推奨行動の実施状況を解析するようにしてもよい。また、行動変容判定部303は、センサ群38により取得された情報をさらに参照することで、負荷13の使用状況の変化を検出(推定)するようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、推奨行動テーブル311における推奨行動の行動内容は、例えば、対象者U本人、家族、主治医等により定められる場合について説明したが、行動解析部301が、対象者Uにより行われた過去の対象者行動である行動記録データ315を参照し、その行動記録データ315を解析することで、推奨行動の行動内容及び異常判断基準の少なくとも一方を変更するようにしてもよい。例えば、行動解析部301が、過去の一定期間(例えば、3か月や1年等)に蓄積された行動記録データ315に対して統計処理を行い、食事の時間帯、入浴、睡眠、テレビにかかる時間、排泄の頻度等の統計指標(平均、分散等)を算出し、その統計指標の算出結果に基づいて、推奨行動の行動内容及び異常判断基準の少なくとも一方を変更してもよい。具体的には、例えば、食事の時間帯の平均が8時台、13時台、19時台である場合には、行動解析部301は、推奨行動の行動内容における規定の時間帯を、8時台、13時台、19時台に変更してもよい。これにより、対象者Uの日常的な行動パターンに合わせて、対象者Uの支援を実施することができる。
【0075】
また、上記実施形態では、行動変容誘導部302が、推奨行動を行う前の事前行動を誘導する報知情報、及び、推奨行動を行った後の事後行動を誘導する報知情報を生成し、その報知情報を報知部から出力させる場合について説明したが、推奨行動テーブル311が、事前行動の内容、事前行動に対する報知情報の内容、事後行動の内容、事後行動に対する報知情報の内容が登録可能に構成されていてもよい。その場合には、行動変容誘導部302は、推奨行動テーブル311を参照し、事前行動又は事後行動を誘導する報知情報を出力させるようにすればよい。
【0076】
また、上記実施形態では、支援処理部304が、未実施時処理内容及び異常時処理内容に従って支援処理を行う場合について説明したが、支援処理部304は、他の処理内容に従って支援処理を行うようにしてもよいし、ネットワーク通信部32を介して外部情報を参照して支援処理を行うようにしてもよい。外部情報としては、例えば、近隣の地域情報(店舗の位置や営業時間、友人宅の位置等)、支援事業者の支援体制情報(家族や家族宅の位置、支援事業者における支援者(介護福祉士、ホームヘルパー、施設管理者等)の位置、勤務時間等)が挙げられる。
【0077】
また、上記実施形態では、生活支援装置10が、推奨行動の行動種別の1つとして、「外出」の実施状況を見守る場合について説明したが、生活支援装置10は、対象者Uが深夜の時間帯に外出しないように見守るようにしてもよい。例えば、行動解析部301は、対象者Uが外出すると判定し、その時間帯が深夜であるか否かに応じて、外出行動の実施状況に異常があるか否かを判定し、行動変容誘導部302は、外出行動に異常があると判定された場合には、対象者Uに対して外出しないように誘導する誘導情報を生成し、その報知情報を報知部から出力させるようにしてもよい。また、支援処理部304は、対象者Uが外出済みで外出行動に異常があると判定された場合には、生活支援管理装置4に対して通報情報を送信するようにしてもよい。その際、通報情報には、外出と判定された時刻、近隣の地域情報、立寄り先の候補や捜索範囲の情報等が含まれる。
【0078】
また、上記実施形態では、生活支援プログラム310は、記憶部31に記憶されたものとして説明したが、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、生活支援プログラム310は、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供されてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…生活支援システム、2…電力計、3…生活支援ロボット、4…生活支援管理装置、
5…通信網、10…生活支援装置、11…生活環境、12…分電盤、13…負荷、
30…制御部、31…記憶部、32…ネットワーク通信部、33…赤外線通信部、
34…音声入力部、35…音声出力部、36…表示出力部、37…操作入力部、
38…センサ群、120…主幹ブレーカ、121…分岐ブレーカ、
300…負荷使用状況推定部、301…行動解析部、302…行動変容誘導部、
303…行動変容判定部、304…支援処理部、305A…第1の推奨行動更新部、
305B…第2の推奨行動更新部、305C…第3の推奨行動更新部、
310…生活支援プログラム、
311…推奨行動テーブル、311A…第1の推奨行動テーブル、
311B…第2の推奨行動テーブル、312…電力波形特徴データ、
313…音声認識データ、314…発話データ、315…行動記録データ
【要約】 (修正有)
【課題】対象者のストレスを軽減しつつ、対象者との対話を通じて対象者の支援を適切に実施する生活支援装置及び生活支援ロボットシステムを提供する。
【解決手段】生活支援システム1において、生活支援装置としての生活支援ロボット3は、対象者の生活環境にて使用される複数の負荷の使用状況を推定する負荷使用状況推定部300と、使用状況に基づいて、推奨行動の実施状況を解析する行動解析部301と、実施状況に基づいて、対象者の行動変容を誘導する報知情報を生成し、報知情報を音声出力部35及び表示出力部36の少なくとも一方(報知部)から出力させる行動変容誘導部302と、報知情報を出力させた後の使用状況の変化に応じて行動変容が行われたか否かを判定する行動変容判定部303と、行動変容の判定結果に基づいて、推奨行動の実施を支援する支援処理を行う支援処理部304と、を備える。
【選択図】
図2