(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】占有空間用開閉扉構造およびそれを備えた占有空間貸出所
(51)【国際特許分類】
E05B 1/00 20060101AFI20220516BHJP
E05B 15/02 20060101ALI20220516BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20220516BHJP
A47H 23/01 20060101ALI20220516BHJP
E06B 9/42 20060101ALI20220516BHJP
E06B 3/94 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
E05B1/00 311E
E05B15/02 A
E04H1/12 302B
E04H1/12 302Z
A47H23/01 A
E06B9/42 Z
E06B3/94
(21)【出願番号】P 2021187440
(22)【出願日】2021-11-17
【審査請求日】2021-11-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】321010450
【氏名又は名称】株式会社ファーストキャビンHD
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】米良 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】秋広 重信
(72)【発明者】
【氏名】洲崎 海
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】実公昭57-55483(JP,Y2)
【文献】登録実用新案第3231983(JP,U)
【文献】特開2020-162962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施錠装置の設けていない開閉扉と構造体で仕切られた
利用客用の占有空間にあって、当該占有空間の出入口に設けられた開閉扉とそれに隣り合う構造体部分の当該占有空間外側にそれぞれ外ハンドル及び当該占有空間内側にそれぞれ内フックを備え、当該外ハンドルが環状を形成することを特徴とした占有空間用開閉扉構造。
【請求項2】
開閉扉がアコーディオンカーテン、ロールスクリーン、引き戸、開き戸又は折れ戸のいずれかであることを特徴とした請求項1記載の占有空間用開閉扉構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載の占有空間用開閉扉構造を備えて占有空間を貸し出す占有空間貸出所。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、カプセルホテルに代表される簡易宿所や漫画喫茶・ネットカフェに代表される個室サービスなどの各占有空間に設けられた出入口用の開閉扉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の法律では、簡易宿所であるカプセルホテルには、利用客の占有する各占有空間(カプセルルーム)の扉に施錠装置を設けることは禁止されている。一方、各占有空間に浴室や洗面等の設備は無く、ホテル内に設けられた共同浴場を利用することになる。そのため、共同浴場・買い物等で占有空間を空ける場合や就寝中などにおける占有空間のセキュリティーやプライバシーが問題になる。
【0003】
こうした中、特許文献1では、カプセルルームの本体枠とカーテンにカマ錠を取り付け、利用客が内側から施錠できるようにするとともに、ホテル関係者はマスターキーにて事件事故発生時は外側から開錠できるようにする考案(考案の名称:カプセルルームのカーテン錠)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の「カプセルルームのカーテン錠」は、ホテル関係者がマスターキーにて事件事故発生時は外側から開錠できるようにするとは言っても、カプセルホテルの運営者側がカプセルルームの出入口(カーテン)にカマ錠(施錠装置)を取り付けることは、上記の通り現在の法律に違反することになる。
【0006】
そこで、本願発明者は、現在の法律に違反しないで、簡易宿所(カプセルホテル)又は個室サービス(漫画喫茶やネットカフェ等)などの各占有空間におけるセキュリティーやプライバシー等を確保・保護できて、ユーザ(利用客)が安心・安全に簡易宿所又は個室サービスなどを利用できるようにすることを目的にして、本願発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、施錠装置の設けていない開閉扉と構造体で仕切られた占有空間にあって、当該占有空間の出入口に設けられた開閉扉とそれに隣り合う構造体部分の当該占有空間外側にそれぞれ外ハンドルを備え、当該外ハンドルが環状を形成することを特徴とした占有空間用開閉扉構造である。
第2の発明は、施錠装置の設けていない開閉扉と構造体で仕切られた占有空間にあって、当該占有空間の出入口に設けられた開閉扉とそれに隣り合う構造体部分の当該占有空間内側にそれぞれ内ハンドル又は内フックを備え、当該内ハンドルが環状を形成することを特徴とした占有空間用開閉扉構造である。
第3の発明は、施錠装置の設けていない開閉扉と構造体で仕切られた占有空間にあって、当該占有空間の出入口に設けられた開閉扉とそれに隣り合う構造体部分の当該占有空間外側にそれぞれ外ハンドル及び当該占有空間内側にそれぞれ内ハンドル又は内フックを備え、当該外ハンドル及び当該内ハンドルが環状を形成することを特徴とした占有空間用開閉扉構造である。
第4の発明は、開閉扉がアコーディオンカーテン、ロールスクリーン、引き戸、開き戸又は折れ戸のいずれかであることを特徴とした同占有空間用開閉扉構造である。
第5の発明は、上記第1から第4の発明に係る占有空間用開閉扉構造を備えた占有空間貸出所である。
【発明の効果】
【0008】
上記した本願発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)各占有空間に一対の環状の外ハンドルを備えることで、各占有空間の外側から開閉扉の開け閉めが容易に行えるだけでなく、当該占有空間の利用客が外側から防犯チェーン(鍵付きチェーン)や錠前などを使用してその一対の外ハンドルを離間不能に結束できる。それによって、開閉扉を開けることができなくなるので、利用客が占有空間を不在にする場合でも、当該占有空間のセキュリティーやプライバシー等を確保・維持できる。また、セキュリティーボックスなどに保管できない大型の所持品(例えば、スーツケースなど)をその防犯チェーンや錠前に掛けておくことで、当該所持品の盗難等も防ぐことができる。
(2)各占有空間に一対の環状の内ハンドルを備えることで、各占有空間の内側から開閉扉の開け閉めが容易に行えるだけでなく、当該占有空間の利用客が内側から防犯チェーン(鍵付きチェーン)や錠前などを使用してその一対の内ハンドルを離間不能に結束できる。それによって、開閉扉を開けることができなくなるので、利用客が占有空間内に居る場合(特に就寝中など)でも、当該占有空間のセキュリティーやプライバシー等を確保・維持できる。また、外ハンドルの場合と同様に大型の所持品(例えば、スーツケースなど)をその防犯チェーンや錠前に掛けておくことで、当該所持品の盗難等も防ぐことができる。なお、利用客が占有空間に居る場合は、防犯チェーンや錠前などでなくても、タッセル等のバンド状のものであれば十分なので、一対の環状の内ハンドルに代えてバンドを引っ掛けられる一対の内フックであってもよい。
(3)占有空間の外側に一対の外ハンドルを、内側に一対の内ハンドル又は内フックを備えることで、各占有空間の外側と内側から開閉扉の開け閉めが容易に行えるだけでなく、利用客が当該占有空間に居るときも居ないときもいずれの場合でも当該占有空間のセキュリティーやプライバシー等を確保・維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本願発明に係る簡易宿所用開閉扉構造の第1実施形態を示す説明図(1)。
【
図2】本願発明に係る簡易宿所用開閉扉構造の第1実施形態を示す説明図(2)。
【
図3】本願発明に係る簡易宿所用開閉扉構造の第2実施形態を示す説明図(1)。
【
図4】本願発明に係る簡易宿所用開閉扉構造の第2実施形態を示す説明図(2)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び
図2は、本願発明に係る占有空間用開閉扉構造の第1実施形態を示す説明図である。
図1に示すように、占有空間用開閉扉構造の第1実施形態は、カプセルホテルの各占有空間10にあって、占有空間10の出入口となるアコーディオンカーテン20と、それに隣接する構造体部分50との外側に、それぞれ略コ字形の外ハンドル30,40を取り付ける。これによって、占有空間10の外側にいる利用客は、外ハンドル30,40を使用してアコーディオンカーテン20の開け閉めを自在に行うことができる。
【0011】
また、外ハンドル30,40は、被取付対象との間に環状を形成する。そして、利用客がこの一対の外ハンドル30,40へ鍵付きの防犯チェーン60等を通すことで、アコーディオンカーテン20は開けられなくなり、利用客が当該占有空間10を留守にする際、外側から当該占有空間10のセキュリティーやプライバシー等を確保・維持できるようになる。
【0012】
なお、防犯チェーン60は、アコーディオンカーテン20と構造体部分50との間に隙間が生じないように、長さ調整のできるものが好ましい。また、防犯チェーン60を、スーツケース70など大型の所持品に通すことで、これらの盗難を防止することができる。
【0013】
図2は、外ハンドル30,40の取付位置を図示したものである。
図2左図は、左右に開閉するアコーディオンカーテン20であり、この場合、アコーディオンカーテン20の外側左端部のアルミ枠部分に外ハンドル30を取り付け、それに隣接する構造体部分(FRP面)50に外ハンドル40を取り付ける。これにより、外ハンドル30は、アコーディオンカーテン20の開閉の際の取っ手になるとともに、利用客が防犯チェーン60を使って外ハンドル30と外ハンドル40を結束し、外側からアコーディオンカーテン20の閉塞状態を保持できる。
【0014】
図2右図は、上下に開閉するロールスクリーン25であり、この場合、ロールスクリーン25の外側下端部のアルミ枠部分に外ハンドル30を取り付け、それに隣接する構造体部分(FRP面)50に外ハンドル40を取り付ける。これにより、外ハンドル30は、ロールスクリーン25の開閉の際の取っ手になるとともに、利用客が防犯チェーン60を使って外ハンドル30と外ハンドル40を結束し、外側からロールスクリーン25の閉塞状態を保持できる。
【0015】
図3及び
図4は、本願発明に係る占有空間用開閉扉構造の第2実施形態を示す説明図である。
図3に示すように、占有空間用開閉扉構造の第2実施形態は、カプセルホテルの各占有空間10にあって、占有空間10の出入口となるアコーディオンカーテン20と、それに隣接する構造体部分50との内側に、それぞれ内フック35,45を取り付ける。これによって、占有空間10の内側にいる利用客は、内フック35,45を使用してアコーディオンカーテン20の開け閉めを自在に行うことができる。
【0016】
また、利用客がこの一対の内フック35,45へタッセル65等のバンドを通すことで、アコーディオンカーテン20は開けられなくなり、利用客が当該占有空間10に在室中であっても、内側から当該占有空間10のセキュリティーやプライバシー等を確保・維持できるようになる(特に利用客が就寝中などに効果的である)。なお、利用客が占有空間10内に在室中なので、タッセル65等のバンドで十分であるが、より高度なセキュリティーやプライバシー等を求めるのであれば、第1実施形態と同様に内ハンドル(図示省略)を取り付けて、防犯チェーンなどを使用してもよい。この場合の防犯チェーンについては、第1実施形態での説明と共通する。
【0017】
図4は、内フック35,45の取付位置を図示したものである。
図4左図は、左右に開閉するアコーディオンカーテン20であり、この場合、アコーディオンカーテン20の内側右端部のアルミ枠部分に内フック35を取り付け、それに隣接する構造体部分(FRP面)50に内フック45を取り付ける。これにより、内フック35は、アコーディオンカーテン20の開閉の際の取っ手になるとともに、利用客がタッセル65を使って内フック35と内フック45を結束し、内側からアコーディオンカーテン20の閉塞状態を保持できる。
【0018】
図4右図は、上下に開閉するロールスクリーン25であり、この場合、ロールスクリーン25の内側下端部のアルミ枠部分に内フック35を取り付け、それに隣接する構造体部分(FRP面)50に内フック45を取り付ける。これにより、内フック35は、ロールスクリーン25の開閉の際の取っ手になるとともに、利用客がタッセル65を使って内フック35と内フック45を結束し、内側からロールスクリーン25の閉塞状態を保持できる。
【0019】
上記のように第1実施形態では、占有空間10の外側からの占有空間用開閉扉構造を説明し、第2実施形態では、占有空間10の内側からの占有空間用開閉扉構造を説明したが、1の占有空間10が双方の占有空間用開閉扉構造を備えていてもよいし、いずれか一方の占有空間用開閉扉構造を備えるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本願発明に係る占有空間用開閉扉構造は、開閉扉を備えて占有空間と共用空間とが仕切られているカプセルホテルなどの簡易宿所や漫画喫茶・ネットカフェなどの個室サービス等に幅広く利用できるものである。
【符号の説明】
【0021】
10 占有空間
20 アコーディオンカーテン
25 ロールスクリーン
30 外ハンドル
35 内フック
40 外ハンドル
45 内フック
50 構造体部分
60 防犯チェーン
65 タッセル
70 スーツケース
【要約】
【課題】 簡易宿所(カプセルホテル)や個室サービス(漫画喫茶・ネットカフェ)等の各占有空間におけるセキュリティーやプライバシー等を確保・保護できて、ユーザ(利用客)が安心・安全に占有空間を利用できるようにすることにある。
【解決手段】 カプセルホテルの各占有空間10にあって、占有空間10の出入口となるアコーディオンカーテン20と、それに隣接する構造体部分50との外側に、それぞれ略コ字形の外ハンドル30,40を取り付ける。これによって、占有空間10の外側にいる利用客は、外ハンドル30,40を使用してアコーディオンカーテン20の開け閉めを自在に行うことができる。また、外ハンドル30,40は、被取付対象との間に環状を形成し、利用客がこの一対の外ハンドル30,40へ鍵付きの防犯チェーン60等を通してアコーディオンカーテン20の閉塞状態を保持する。
【選択図】
図1