(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】カメラおよび車両
(51)【国際特許分類】
G03B 11/04 20210101AFI20220516BHJP
B60R 1/22 20220101ALI20220516BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20220516BHJP
G03B 17/55 20210101ALI20220516BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20220516BHJP
【FI】
G03B11/04 A
B60R1/22
G03B15/00 V
G03B17/55
G03B30/00
(21)【出願番号】P 2021203907
(22)【出願日】2021-12-16
【審査請求日】2021-12-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515021345
【氏名又は名称】有限会社エスアンドアールプロジェクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村松 富士夫
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-344396(JP,A)
【文献】特開2000-027021(JP,A)
【文献】特開2019-053096(JP,A)
【文献】実開昭54-050350(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 11/04
B60R 1/22
G03B 15/00
G03B 17/55
G03B 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する筐体と、
前記筐体の内部に設けられ、前記開口部を通る光を集光するレンズと、
前記開口部を開閉するシャッターと、
前記シャッターの内面に取り付けられ、前記レンズに接触可能な接触部材と、
を備え
、
前記接触部材は、磁性材料を含んでおり、前記磁性材料の磁力によって前記シャッターに接着していることを特徴とする、カメラ。
【請求項2】
前記接触部材は、ラバーで形成されることを特徴とする、請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
前記レンズを加熱する加熱部材をさらに備えることを特徴とする、請求項1
または2に記載のカメラ。
【請求項4】
前記加熱部材は、前記接触部材の内部に埋め込まれたヒータであることを特徴とする、請求項
3に記載のカメラ。
【請求項5】
前記加熱部材は、赤外線を照射する光源であることを特徴とする、請求項
3に記載のカメラ。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載のカメラを備えた車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外で使用されるカメラに関し、特に車両の外側に取り付けられるカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の外側に取り付けられるカメラでは、カメラレンズに汚れが付着しやすいため、シャッター付きカメラが用いられている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シャッターが開いている間にカメラレンズは風雨に晒されるため、頻繁にカメラレンズの汚れを拭き取る必要があり、手間がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、メンテナンスの負担が少ないカメラを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を含む。
項1.
開口部を有する筐体と、
前記筐体の内部に設けられ、前記開口部を通る光を集光するレンズと、
前記開口部を開閉するシャッターと、
前記シャッターの内面に取り付けられ、前記レンズに接触可能な接触部材と、
を備えることを特徴とする、カメラ。
項2.
前記接触部材は、ラバーで形成されることを特徴とする、項1に記載のカメラ。
項3.
前記接触部材は、磁性材料を含むことを特徴とする、項1または2に記載のカメラ。
項4.
前記レンズを加熱する加熱部材をさらに備えることを特徴とする、項1~3のいずれかに記載のカメラ。
項5.
前記加熱部材は、前記接触部材の内部に埋め込まれたヒータであることを特徴とする、項4に記載のカメラ。
項6.
前記加熱部材は、赤外線を照射する光源であることを特徴とする、項4に記載のカメラ。
項7.
項1~6のいずれか1項に記載のカメラを備えた車両。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、メンテナンスの負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】(a)および(b)は、カメラの断面図である。
【
図3】(a)および(b)は、カメラの平面図である。
【
図4】(a)は、カメラの部分拡大図であり、(b)は、チップヒータの斜視図である。
【
図7】カメラおよび補助カメラを作動させる手順の一例を示すフローチャートの一部である。
【
図8】カメラおよび補助カメラを作動させる手順の一例を示すフローチャートの一部である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
(全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る車両100の平面図である。車両100は、セダンタイプの乗用車であり、車体の外側にカメラ1a、1b、1c、1dおよび補助カメラ1e、1fを備えている。
【0011】
4つのカメラ1a、1b、1c、1dは、車両100のルーフ上に設けられている。具体的には、カメラ1a、1b、1c、1dはそれぞれ、ルーフの前側、左側、右側および後側に設けられている。
図1において、各カメラ1a、1b、1c、1dから放射状に延びる線で示される領域は、カメラの撮影領域を示している。補助カメラ1eは、前方のナンバープレート付近に設けられており、補助カメラ1fは、後方のナンバープレート付近に設けられている。
【0012】
カメラ1a、1b、1c、1dおよび補助カメラ1e、1fの構造は、互いに同一である。以下では、カメラ1a、1b、1c、1dおよび補助カメラ1e、1fを区別しない場合は、カメラ1と称する。
【0013】
(カメラの構造)
図2(a)および(b)は、カメラ1の断面図であり、
図3(a)および(b)は、カメラ1の平面図である。
【0014】
カメラ1は、筐体2と、レンズ3と、シャッター4と、接触部材5とを備えており、車両100の車体面101に取り付けられる。筐体2は、略直方体状であり、上面に円形の開口部21を有する。レンズ3は、筐体2の内部に設けられ、開口部21を通る光を集光する。
【0015】
シャッター4は、開口部21を開閉するものであり、図示しない駆動機構によって図面の横方向にスライド可能である。
図2(a)および
図3(a)は、シャッター4が閉じた状態を示しており、
図2(b)および
図3(b)は、シャッター4が開いた状態を示している。本実施形態では、カメラ1が作動した場合に、シャッター4が開き、カメラ1が停止した場合に、シャッター4が閉じるようになっている。シャッター4は、単体の円盤であるが、平面視の形状は特に限定されない。
【0016】
接触部材5は、シャッター4の内面に取り付けられており、レンズ3に接触可能である。接触部材5の形状は、断面が半楕円形状であり、筐体2の内側に緩やかに突出している。本実施形態では、
図2(a)に示すように、シャッター4が閉じた状態において、接触部材5がレンズ3に接触する。これにより、シャッター4の開閉時にレンズ3の表面の汚れ(塵、埃など)が接触部材5によって除去される。
【0017】
接触部材5は、レンズ3に傷が付かないように、柔軟な弾性素材で形成されており、本実施形態では、ラバーで形成されている。これにより、接触部材5は、レンズ3との接触時にレンズ3からの押圧力によって変形し、レンズ面の大部分に接触する。
【0018】
さらに、接触部材5は、磁性材料を含んでおり、磁性材料の磁力によってシャッター4に接着している。接触部材5は、磁性粉末を混ぜたゴムフェライト粉末を溶解して、所定の形状に硬化成形することにより製造できる。磁性材料の磁力は、接触部材5がレンズ3に接触した時に、シャッター4に対して位置ずれしない程度のものであればよい。
【0019】
なお、接触部材5を接着剤によってシャッター4に接着してもよいが、磁力によって接着することにより、接触部材5の脱着が容易になる。また、接触部材5の表面を撥水加工してもよい。
【0020】
このように、本実施形態では、シャッター4の開閉時に、接触部材5によって自動的にレンズ3の汚れが拭き取られるため、人手によって頻繁にレンズ3の汚れを拭き取る必要がなくなり、メンテナンスの負担を軽減することができる。
【0021】
図4(a)は、カメラ1の部分拡大図である。接触部材5の内部には加熱部材6が埋め込まれている。
図4(b)に示すように、加熱部材6は平板のチップヒータであるが、接触部材5に埋め込み可能な形状、大きさであれば特に限定されない。加熱部材6には、図示しない配線が接続されており、加熱部材6および配線は、接触部材5の製造時に組み込まれる。
【0022】
加熱部材6をON/OFFするタイミングは特に限定されないが、本実施形態では、加熱部材6は、シャッター4が開いている間(カメラ1作動時)のみONになり、シャッター4が閉じている平常時(カメラ1停止時)はOFFになる。これにより、シャッター4が開いている間に筐体2内に入り込んだ雨や雪を、加熱部材6の熱によって蒸発させることができるとともに、シャッター4を閉じたときに水分が残留していても、加熱部材6の余熱で水分を蒸発させることできる。また、複雑なON/OFF制御をすることなく、電力を節約することができる。
【0023】
図5は、カメラ1の変形例を示す断面図である。
図5では、レンズ3の近傍に加熱部材7が設けられている。加熱部材7は、赤外線を照射する光源(豆電球)であり、赤外線によって、筐体2内に入り込んだ水分を蒸発させる。加熱部材7をON/OFFするタイミングは特に限定されないが、本実施形態では、加熱部材7は、シャッター4が開いている間のみONになり、シャッター4が閉じている平常時はOFFになる。
【0024】
なお、加熱部材7は、
図4に示す加熱部材6に代えて設けてもよいし、加熱部材6と併用してもよい。また、加熱部材7は白熱電球であってもよい。
【0025】
(カメラの制御)
図6は、本実施形態に係る車両100の機能ブロック図である。車両100は、カメラ1a、1b、1c、1dと、補助カメラ1e、1fと、制御部10と、モニタ11と、バッテリ12と、スイッチング部13と、シフトレバー14と、ウィンカレバー15と、を備えている。
【0026】
制御部10は、車両100の動作全般を制御するコンピュータである。制御部10は、論理回路などによってハードウェア的に実現してもよいし、所定のプログラムを実行することによってソフトウェア的に実現してもよい。
【0027】
モニタ11は、車両100内の運転者が容易に視認可能な位置に設けられ、カメラ1a、1b、1c、1dおよび補助カメラ1e、1fが撮影した画像を表示することができる。カメラ1a、1b、1c、1d、補助カメラ1e、1fおよびモニタ11は、スイッチング部13の各スイッチを介してバッテリ12に接続されている。制御部10は、運転者によるシフトレバー14やウィンカレバー15への操作等に応じて、スイッチング部13の各スイッチのON/OFF制御を行う。スイッチがONになると当該スイッチに接続されたカメラが作動し、当該カメラが撮影した画像がモニタ11に表示される。
【0028】
本実施形態では、制御部10は、特に幼児の轢禍事故を防止するために、カメラ1a、1b、1c、1d、補助カメラ1e、1fを以下のように制御している。
図7および
図8は、カメラ1a、1b、1c、1dおよび補助カメラ1e、1fを作動させる手順の一例を示すフローチャートである。
【0029】
ステップS1においてエンジンが起動された後、シフトレバー14がリバース(R)にシフトされた場合(ステップS2においてYES)、カメラ1dおよび補助カメラ1fが作動し、車両100の後方および後方直下の映像がモニタ11に表示される(ステップS3)。これにより、幼児が、カメラ1dやミラーでは死角となる車両100の後尾直下に隠れていたとしても、運転者は、発車前に補助カメラ1fの映像によって幼児の存在に気付くことができる。
【0030】
その後、車両100が所定距離(例えば3~5m)移動した場合(ステップS4においてYES)、補助カメラ1fが停止し、カメラ1dのみが作動する(ステップS5)。
【0031】
シフトレバー14がドライブ(D)にシフトされた場合(ステップS6においてYES)、カメラ1aおよび補助カメラ1eが作動し、車両100の前方および前方直下の映像がモニタ11に表示される(ステップS7)。これにより、幼児が、カメラ1aやミラーでは死角となる車両100のボンネット直下に隠れていたとしても、運転者は、発車前に補助カメラ1eの映像によって幼児の存在に気付くことができる。
【0032】
その後、車両100が所定距離(例えば3~5m)移動した場合(ステップS8においてYES)、補助カメラ1eが停止し、カメラ1aのみが作動する(ステップS9)。
【0033】
その後、運転者がウィンカレバー15を操作してウィンカ左を点滅させた場合(ステップS11においてYES)、カメラ1bが作動し、車両100の左方向の映像がモニタ11に表示される(ステップS12)。その後、ウィンカレバー15が戻った場合(ステップS13においてYES)、カメラ1bが停止し、カメラ1aのみが作動する(ステップS14)。
【0034】
また、運転者がウィンカレバー15を操作してウィンカ右を点滅させた場合(ステップS15においてYES)、カメラ1cが作動し、車両100の右方向の映像がモニタ11に表示される(ステップS16)。その後、ウィンカレバー15が戻った場合(ステップS17においてYES)、カメラ1cが停止し、カメラ1aのみが作動する(ステップS18)。
【0035】
特に、幼児は危険認識が無いため、車両100の死角となる領域に潜むといった行動をとることがあるが、本実施形態では、車両100の発車前に補助カメラ1e、1fによって、カメラ1a、1b、1c、1dでは死角となる車体前方直下および後方直下の領域の映像がモニタ11に表示されるため、運転者が死角に潜む幼児の存在に気付き、轢禍事故を防止することができる。また、発車後、所定距離を移動した場合は、車両100が元の死角領域を通過しているため、補助カメラ1eまたは1fは停止され、カメラ1aまたは1bの映像のみがモニタ11に表示される。なお、人工知能による認識技術により、モニタ11に幼児等が映し出された場合、音声等で運転者に報知することがより好ましい。
【0036】
(付記事項)
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、車両用カメラに好適であるが、これに限定されず、防犯カメラなどの屋外に設置されるカメラに適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 カメラ
1a カメラ
1b カメラ
1c カメラ
1d カメラ
1e 補助カメラ
1f 補助カメラ
2 筐体
21 開口部
3 レンズ
4 シャッター
5 接触部材
6 加熱部材
7 加熱部材
10 制御部
11 モニタ
12 バッテリ
13 スイッチング部
14 シフトレバー
15 ウィンカレバー
100 車両
101 車体面
【要約】
【課題】メンテナンスの負担が少ないカメラを提供する。
【解決手段】カメラ1は、開口部21を有する筐体2と、筐体2の内部に設けられ、開口部21を通る光を集光するレンズ3と、開口部21を開閉するシャッター4と、シャッター4の内面に取り付けられ、レンズ3に接触可能な接触部材5と、を備える。
【選択図】
図2