(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04847 20220101AFI20220516BHJP
G06F 3/04883 20220101ALI20220516BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20220516BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20220516BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
G06F3/04847
G06F3/04883
H04Q9/00 331A
B60H1/00 103A
G06F3/01 560
(21)【出願番号】P 2018170182
(22)【出願日】2018-09-12
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 康茂
(72)【発明者】
【氏名】大谷 教明
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-175175(JP,A)
【文献】特開2018-098732(JP,A)
【文献】国際公開第2015/045482(WO,A1)
【文献】特開2019-204272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/04847
G06F 3/04883
H04Q 9/00
B60H 1/00
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作面と、前記操作面に指または手が接触しまたは接近したことを検知しさらに接触しまたは接近した指または手が移動したことを検知するセンサと、前記センサからの検知出力に基づいて被制御機器を制御する制御部と、が設けられた操作装置において、
(a)前記制御部では、前記センサによって前記操作面に指または手が接触しまたは接近したことが検知されたときに操作開始と判定し、
(b)操作開始と判定された後のいずれかの時点で、前記センサで検知された前記指または手が、前記操作面に沿って、第1の距離を移動したと判定されたときに、前記被制御機器の動作を規定範囲で切替え、
(c)前記第1の距離を移動した後に、前記指または手が、前記操作面に沿って前記第1の距離と異なる
第2の距離を移動したと判定されたときに、前記被制御機器の動作を前記(b)の前記規定範囲と同等の範囲で切替
え、
前記(b)において、前記第1の距離を移動している前記指または手の速度または加速度を測定し、
前記(c)では、前記(b)で測定された前記速度または加速度に応じて、前記第2の距離を設定することを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記(b)で測定された前記速度または加速度が基準値よりも遅いときは、前記第2の距離を前記第1の距離よりも長く設定し、
前記(b)で測定された前記速度または加速度が基準値よりも速いときは、前記第2の距離を前記第1の距離よりも短く設定する請求項1記載の操作装置。
【請求項3】
(d)前記第2の距離を移動した後に、前記指または手が、前記操作面に沿って第3の距離を移動したと判定されたときに、前記被制御機器の動作を前記(b)の前記規定範囲と同等の範囲で切替え、
前記(d)では、前記第3の距離を前記第2の距離と同じ距離に設定する請求項1
または2記載の操作装置。
【請求項4】
(d)前記第2の距離を移動した後に、前記指または手が、前記操作面に沿って第3の距離を移動したと判定されたときに、前記被制御機器の動作を前記(b)の前記規定範囲と同等の範囲で切替え、
前記(c)において、前記第2の距離を移動している前記指または手の速度または加速度を測定し、
前記(d)では、前記(c)で測定された前記速度または加速度に応じて、前記第3の移動距離を設定する請求項1
または2記載の操作装置。
【請求項5】
前記(b)の第1の距離は、操作開始を起点として設定される請求項1
ないし4のいずれかに記載の操作装置。
【請求項6】
前記(b)
の第1の距離は、操作開始から前記指または手が所定の距離だけ移動した後に設定される請求項1
ないし4のいずれかに記載の操作装置。
【請求項7】
前記指または手が、前記操作面に沿って互いに直交する異なる方向へ移動したと判定されたときに、前記被制御機器が移動方向に応じて異なる制御モードで切替えられる請求項
1ないし6のいずれかに記載の操作装置。
【請求項8】
前記指または手の移動軌跡が、直交するいずれかの方向を基準としてその方向に対して所定角度の範囲内で傾いているとき、前記移動軌跡に沿う移動距離の前記基準となる方向での成分に基づいて、前記指または手の移動距離が判定される請求項
7記載の操作装置。
【請求項9】
前記(b)
では、前記指または手が第1の距離を移動したと判定されたときにフィードバック動作が行われ
前記(c)では、前記指または手が、前記第2の距離を移動したと判定されたときに、フィードバック動作が行われる請求項1ないし
8のいずれかに記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作面に接触しまたは接近した指または手を検知するセンサを備え、検知されている指または手の移動によって被制御機器の動作状態を連続的にまたは段階的に変化させることができる操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、操作装置に関する発明が記載されている。
この操作装置には、指で操作されるセンサ操作パネルと、2桁の数字を表示する表示器とが備えられている。
【0003】
センサ操作パネルに表示された開始点に指を接触させ、指を第1の方向である右方向へ移動させると、表示器の1の位の数字を順次増加させることができる。また、指を開始点から第1の方向と垂直な第2の方向である上方へ移動させると、表示器の10の位の数字を順次増加させることができる。この2桁の数字の変化に応じて、ファンの電力段階を変化させ、または照明システムの輝度設定などを行うことができる。
【0004】
さらに、センサ操作パネルでは、開始点を基準とする第1の方向に対して最大で45度の角度でセクタ境界が設定されており、セクタ境界の角度範囲内あれば、指が第1の方向に対して斜めに移動したときも、正常に操作することができる。このセクタ境界は、第2の方向に対しても同様にして設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の操作装置では、センサ操作パネルの開始点に接触した指を第1の方向または第2の方向へ移動させたときに、指が一定の距離を移動する度に被制御機器の動作が同じ範囲だけ切替えられるのが一般的である。特許文献1の例では、指が一定の距離を移動する度に、表示器の数字が「1」、「2」、「3」・・・の順で1つずつ増加するように設定される。
【0007】
このような操作装置において、被制御機器の動作を一定の範囲で切替えるための指の移動距離の設定が長すぎると、センサ操作パネルに最初に接触した指を移動させたときに、被制御機器の動作がなかなか切替わらないように感じることがある。特許文献1の例では、開始点に接触させた指を第1の方向または第2の方向へ移動させたときに、表示器に表示されている数字がなかなか増加しないため、正常に操作しているのか否か不安を感じることがある。
【0008】
逆に、被制御機器の動作を一定の範囲で切替えるための指の移動距離の設定が短すぎると、センサ操作パネルに最初に接触した指を移動させたときに、指が少し動いただけで被制御機器の動作がすぐに切替わってしまう。特許文献1の例では、開始点に接触させた指を第1の方向または第2の方向へ少し移動させただけで、表示器に表示されている数字が2段階や3段階と不用意に増加する現象が発生する。
【0009】
車載用の操作装置では、運転中に操作面が手によってブラインド状態で操作されることになる。そのため、被制御機器の動作を切換えるための指の移動距離の設定が長すぎたりあるいは短すぎたりすると、操作面で指が検知された直後の操作で、操作に不安を感じ、その結果、誤操作に繋がることが多くなる。
【0010】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、操作面に接触しまたは接近させた指や手の移動によって、被制御機器の動作を違和感なく切替えることができる操作装置を提供することを目的としている。
【0011】
また、本発明は、操作面に接触しまたは接近させた指や手の操作状態を反映させて、その後の操作を行うことで、操作意思に応じた被制御機器の動作を切替えることができる操作装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、操作面と、前記操作面に指または手が接触しまたは接近したことを検知しさらに接触しまたは接近した指または手が移動したことを検知するセンサと、前記センサからの検知出力に基づいて被制御機器を制御する制御部と、が設けられた操作装置において、
(a)前記制御部では、前記センサによって前記操作面に指または手が接触しまたは接近したことが検知されたときに操作開始と判定し、
(b)操作開始と判定された後のいずれかの時点で、前記センサで検知された前記指または手が、前記操作面に沿って、第1の距離を移動したと判定されたときに、前記被制御機器の動作を規定範囲で切替え、
(c)前記第1の距離を移動した後に、前記指または手が、前記操作面に沿って前記第1の距離と異なる第2の距離を移動したと判定されたときに、前記被制御機器の動作を前記(b)の前記規定範囲と同等の範囲で切替え、
前記(b)において、前記第1の距離を移動している前記指または手の速度または加速度を測定し、
前記(c)では、前記(b)で測定された前記速度または加速度に応じて、前記第2の距離を設定することを特徴とするものである。
【0018】
本発明の操作装置は、前記(b)で測定された前記速度または加速度が基準値よりも遅いときは、前記第2の距離を前記第1の距離よりも長く設定し、
前記(b)で測定された前記速度または加速度が基準値よりも速いときは、前記第2の距離を前記第1の距離よりも短く設定する。
変更
【0019】
本発明の操作装置は、前記(b)の第1の距離が、操作開始を起点として設定される。あるいは、前記(b)の第1の距離が、操作開始から前記指または手が所定の距離だけ移動した後に設定される。
【0020】
本発明の操作装置は、前記指または手が、前記操作面に沿って互いに直交する異なる方向へ移動したと判定されたときに、前記被制御機器が移動方向に応じて異なる制御モードで切替えられるものとして構成される。
【0021】
本発明の操作装置は、前記(b)では、前記指または手が第1の距離を移動したと判定されたときにフィードバック動作が行われ
前記(c)では、前記指または手が、前記第2の距離を移動したと判定されたときに、フィードバック動作が行われることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の操作装置は、操作面に接触しまたは接近した指または手が、第1の距離を移動したときに、被制御機器の動作が段階的にあるいは連続的に予め決められた規定範囲で切替えられるが、その後は、指または手の操作状態に応じて、あるいは操作者の意図に対応して、被制御機器を規定範囲と同等な範囲で切替えるための指または手の移動距離が変化する。そのため、例えば、車体振動が発生している状態での操作や、ブラインド状態での操作の際に、なるべく正常な操作となるように導くことができ、誤操作も生じにくくなる。
【0023】
例えば、第1の距離をその後の切替えのための距離よりも短く設定しておけば、操作面で検知された直後の指または手を短い距離で移動させるだけで、被制御機器の動作を規定範囲で切替えることができ、操作が適正に行われていることを直ちに認識できるようになる。特に、指または手が第1の距離を移動したときにフィードバック動作を行うと、指または手を短い距離で移動させるだけで被制御機器が正常に切替えられていることを直ちに認識することができる。その後は、指または手がやや長めの距離で移動する度に、被制御機器の動作が切替えられることになるため、例えば、第1の距離の移動後は、指の動きによって被制御機器の微調整などを行いやすくなる。
【0024】
逆に、第1の距離をその後の切替えのための距離よりも長く設定しておくと、操作開始直後の指または手の移動により、被制御機器が不用意に多段階で変化してしまうのを防止することができる。第1の距離を移動した後は、指または手を短い距離で移動させるだけで、被制御機器の動作を規定範囲で切替えることができるため、その後の切替え操作を迅速に行うことが可能になる。
【0025】
また、手または指が第1の距離を移動しているときの速度または加速度を測定し、その速度または加速度に応じて、その後に被制御機器の動作を規定範囲と同等の範囲で切替えるための移動距離を設定すると、操作者の意図を反映した操作が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態の車載用の操作装置が装備された自動車の車室内の構造を示す斜視図、
【
図2】
図1に示す車載用の操作装置に設けられた操作表示部の操作面を示す正面図、
【
図3】
図1に示す車載用の操作装置に設けられた情報表示部の情報表示画面を示す正面図、
【
図4】操作面に対する第1の方向の操作を示す説明図、
【
図5】操作面に対する第2の方向の操作を示す説明図、
【
図6】本発明の第1実施形態における、第1の方向の操作と、被制御機器の動作の切替えとの関係を示す説明図、
【
図7】本発明の第1実施形態における、第2の方向の操作と、被制御機器の動作の切替えとの関係を示す説明図、
【
図8】第1の方向の操作と、被制御機器の動作の切替えとの関係の変形例を示す説明図、
【
図9】本発明の第2実施形態における、第1の方向の操作と、被制御機器の動作の切替えとの関係を示す説明図、
【
図10】本発明の第2実施形態における、第1の方向の操作と、被制御機器の動作の切替えとの関係の変形例を示す説明図、
【
図11】本発明の第3実施形態における、第1の方向への指の走査速度(または加速度)と、その後の距離の設定との関係を示す説明図、
【
図12】本発明の第3実施形態における、第1の方向の操作と、被制御機器の動作の切替えとの関係を示す説明図、
【
図13】本発明の第3実施形態における、第1の方向の操作と、被制御機器の動作の切替えとの関係の変形例を示す説明図、
【
図14】本発明の第3実施形態における、第1の方向の操作と、被制御機器の動作の切替えとの関係の変形例を示す説明図、
【
図15】本発明の第3実施形態における、第1の方向の操作と、被制御機器の動作の切替えとの関係の変形例を示す説明図、
【
図16】本発明の第3実施形態における、第1の方向の操作と、被制御機器の動作の切替えとの関係の変形例を示す説明図、
【
図17】本発明の実施形態の車載用の表示装置の構成を示すブロック図、
【
図18】操作面を操作して被制御機器の動作の切替えるときの制御動作を示すフローチャート、
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に、本発明の実施形態の車載用の操作装置10を装備した自動車の車室内の構造が示されている。
【0028】
自動車1の車室内では、運転席の前方にステアリングホイール2が設けられ、ステアリングホイール2の前方および双方にインストルメントパネル3とダッシボード4が設けられている。運転席の側方にはアームレスト5が設けられ、アームレスト5にシフトレバー6が設けられている。
図1に示す自動車1は、自動運転機能を備えたものであってもよいし、自動運転機能を備えないものであってもよい。
【0029】
図17に示すように、本発明の実施形態の車載用の操作装置10は、操作表示部20と情報表示部30を有している。
図1に示すように、操作表示部20はアームレスト5に設置され、情報表示部30はダッシボード4に設置されている。情報表示部30は、ダッシボード4の内部に収められた収納姿勢と、ダッシボード4から上方へ部分的に突出する第1表示姿勢と、さらに完全に突出する第2表示姿勢とに切替え可能である。
【0030】
図17に示すように、操作表示部20は液晶表示パネルやエレクトロルミネッセンス表示パネルなどの表示パネル21を有している。
図1に示す操作表示部20の表面に透過性のパネルが設けられ、パネルの一部が操作面(操作表示面)22となっている。表示パネル21で生成される画像は操作面22に現れる。また、操作面22のパネルの内面に静電センサ23が配置されており、静電センサ23によって、操作面22への指または手の接触または接近を検知でき、さらに検知された指または手が操作面22に沿って移動したことを検知できるようになっている。
【0031】
図17に示すように、操作表示部20に押圧センサ24が設けられている。押圧センサ24は、操作面22のパネルの背部に設けられた圧電素子やフォースセンサ素子などであり、指または手で操作面22を形成しているパネルが押されたことを検知できるようになっている。
【0032】
図17に示すように、操作面22を形成するパネルの内部にフィードバック素子25が設けられている。フィードバック素子25は、電磁ソレノイド機構や、重心が偏心した分銅を回転させるモータ機構を備えたものである。フィードバック素子25を動作させると、操作面22に触れている指や手にフィードバック力が与えられる。
図17に示すように、車載用の操作装置10には発音部26も含まれている。発音部26は車室内に装備されたスピーカである。指や手を操作面22から離した状態で、静電センサ23で指や手の移動を検知するいわゆるホバリング操作を行うときには、発音部26から音を発することで操作者に操作状態のフィードバックが与えられる。
【0033】
図1に示すように、情報表示部30も表示パネルを有している。表示パネルは液晶表示パネルまたはエレクトロルミネッセンス表示パネルである。情報表示部30は、車室内に向けられた面に透明のパネルを有している。このパネルの一部が情報表示画面31となり、表示パネルで生成された情報画像が情報表示画面31に現れる。
図3に示すように、情報表示画面31には、オートモード切替え画像32、温度表示画像33、風量表示画像34、および送風口切替え画像35が表示されている。
図5に示すように、操作表示部20の操作面22に表示される釦表示52を操作することによって、運転席と助手席での気温の同期設定が行われるが、情報表示画面31には、この同期設定の切替え状態も表示される。なお、情報表示部30の代わりに、運転席の前方に位置するHUD(ヘッドアップディスプレイ)に各種情報が表示されてもよい。
【0034】
図17に示すように、操作表示部20に制御ボード41が設けられている。制御ボード41はCPUとメモリならびにI/Oポートを備えている。制御ボード41は、表示パネル21の画像表示制御を行うとともに、静電センサ23ならびに押圧センサ24で検知された検知出力を受信して処理する。さらにフィードバック素子25の駆動制御も行なう。
図17に示すように、車載用の操作装置10に主制御部42が設けられている。主制御部42はCPUを主体としメモリとI/Oポートを備えている。主制御部42と制御ボード41はBUS43で接続されており、主制御部42と制御ボード41との間で各種情報の通信が行われる。主制御部42と制御ボード41によって「制御部40」が構成されている。情報表示部30と発音部26のそれぞれの動作は主制御部42によって制御される。
【0035】
図17に示すように、主制御部42によって、車室内に装備された被制御機器45の動作が切替えられる。実施形態では、被制御機器45がエアーコンディショナであり、操作表示部20を操作することで、エアーコンディショナの風量や温度設定が切替えられ、さらに送風口が切替えられる。ただし、被制御機器45が、音響装置やカーナビゲーション装置などであってもよいし、さらには自動車の運転機能にかかわる制御機器であってもよく、操作表示部20の操作によってこれら被制御機器45の動作が切替えられてもよい。
【0036】
図2に、操作表示部20の操作面(操作表示面)22が示されている。操作面22は、車室内のアームレスト5の表面に設置されて、天井の方向および車室の内方の双方に向くように斜め上向きの姿勢に配置されている。操作表示部20によって、自動車1に装備された複数の被制御機器45を操作することができ、制御すべき被制御機器45を選択することによって、操作面22に、選択した被制御機器45に対応した異なる制御用画像が表示される。実施形態では、被制御機器45としてエアーコンディショナが選択されており、操作面22に、エアーコンディショナを制御する制御用画像が表示されている。
【0037】
図2に示すように、操作面22に表示された制御用画像では、釦表示51,52が最少限の数である2か所にのみ表示されており、しかも釦表示51と釦表示52が操作面22の上方(X1方向)の端部であって、左右方向(X1-X2方向)に離れて位置している。静電センサ23によって釦表示51または釦表示52の領域内に指が接触したことが検知されると、あるいは釦表示51または釦表示52の領域内で指が所定の距離以内に接近したことが検知されると、制御部40において、釦表示51または釦表示52が操作されたと認識される。
【0038】
実施形態の表示形態では、釦表示51がエアーコンディショナのオートモードを設定するためのものであり、釦表示51に指を触れまたは接近したことが検知されると、制御部40の制御動作によって、オートモードの設定または設定解除の切替えが行われる。このとき、
図3に示す情報表示画面31に表示されているオートモード切替え画像32の表示状態が変化する。釦表示52は運転席と助手席での気温の同期設定を行うものであり、釦表示52に指を触れまたは接近させることで、同期設定または同期設定の解除が行われる。
【0039】
操作面22において、最少限の数の釦表示51と釦表示52が互いに距離を空けて配置されているため、運転者はブラインド状態であっても釦表示51と釦表示52を誤りなく操作しやすくなっている。さらに、運転者の指が釦表示51または釦表示52の領域内に触れたときに、制御部40からの指令によってフィードバック素子25が駆動され、操作面22を構成するパネルから指にフィードバック力が与えられると、正しく操作できたことをさらに確認しやすくなる。また、運転者の指が釦表示51または釦表示52に所定距離以内で接近したことが検知されて切替え操作が行われるときは、フィードバック動作として、発音部26から音を発生させることで、運転者が、正しく操作されていることを確認しやすくなる。
【0040】
図2に示す操作表示部20の操作面22は、釦表示51と釦表示52を除くほぼ全域がスライド操作領域となっている。
図4に示すように、操作面22におけるスライド操作領域において、指Fを操作面22に触れまたは操作面22に所定の距離内で接近させて指Fが検知状態となった直後に、指Fを第1の方向(X1-X2)方向に直線的に移動させると、エアーコンディショナのファンスピードすなわち風量を切替える操作ができる。
図5に示すように、操作面22におけるスライド操作領域において、指Fを操作面22に触れまたは操作面22に所定の距離内で接近させて指Fが検知状態となった直後に、指Fを第2の方向(Y1-Y2)方向に直線的に移動させると、エアーコンディショナの温度設定を切替える操作ができる。
図4における操作および
図5に示す操作は、操作面22のスライド操作領域のどの場所を起点としてもよい。指Fが移動すると、制御部40では、その相対移動距離をカウントすることで切替え制御が行われる。また、指Fの操作で風量が切替えられると、
図3に示す情報表示画面31の風量表示画像34が変化し、温度設定が切替えられると、温度表示画像33が変化する。
【0041】
また、指Fで操作する代わりに、手Hにおける指F以外のいずれかの箇所(例えば手のひら)を操作面22に触れまたは操作面22に所定の距離内で接近させることによって、エアーコンディショナの風量を切替え、または温度設定を切替えてもよい。ただし、以下では、指Fを検知し指Fの移動によって風量や温度設定が切替えられるものとして説明する。
【0042】
図2に示す操作表示部20では、指Fまたは手Hで操作面22を押し込むと、押圧センサ24が動作する。制御部40では押圧センサ24の検知出力によって操作面22が押されたと判定されると、エアーコンディショナの送風口の位置の切替えが行われる。また、操作面22が押されると、フィードバック素子25が駆動され、操作面22を構成しているパネルから指Fまたは手Hにフィードバック力が与えられる。
図2と
図4および
図5に示すように、操作面22の中央部分に送風口の変化を示す送風口切替え画像53が表示されており、操作面22が押されたことが押圧センサ24で検知されると、送風口の位置が切替えられるとともに、操作面22に表示されている送風口切替え画像53の表示形態が変化する。さらに
図3に示す情報表示画面31に表示されている送風口切替え画像35の表示も変化する。
【0043】
図6に、操作面22に接触または接近させた指Fを第1の方向(X1-X2)方向に移動させて、エアーコンディショナの風量を変化させる第1実施形態の切替え操作の詳細が示されている。
【0044】
図6では、静電センサ23が指Fの接触を検知しまたは指の接近を検知した最初の検知位置がTで示されている。制御部40では、指が検知されたときに操作が開始されたと認識する。検知されている指Fが検知位置Tから第1の方向のプラス方向(X1方向)へ移動するとその相対移動距離に応じて、エアーコンディショナのファンスピードが徐々に早くなって風量が増大し、検知されている指Fが検知位置Tから第1の方向のマイナス方向(X2方向)へ移動するとその相対移動距離に応じて、エアーコンディショナのファンスピードが徐々に遅くなって風量が低下する。
【0045】
図6において、最初の検知位置Tから指FがX1方向へ移動すると、制御部40で指Fの移動距離が相対移動距離としてカウントされる。カウントされている距離が第1の距離L1に至ると、指Fが切替え境界S1に至ったと判定され、制御部40では、被制御機器45の動作を予め決められた規定範囲で切替える。すなわちエアーコンディショナの風量が一定の範囲で増加するように切替えられる。指Fが検知位置Tから第1の距離L1を移動する間に、風量を連続的に変化させてもよいし、段階的に変化させてもよい。あるいはファンスピードを1段階だけ変化させて風量を1段階だけ増加させてもよい。いずれにせよ、指Fが第1の距離L1を移動する間の風量の増加幅は予め決められている。
【0046】
図6において、指Fが第1の距離L1を超えてX1方向に移動すると、さらに切替え境界S1からの移動距離が相対移動距離としてカウントされる。切替え境界S1からの指Fの移動距離が、第1の距離L1よりも長い第2の距離L2になると、指Fが切替え境界S2に至ったと判定される。指Fが第2の距離L2を移動する間に、エアーコンディショナの風量が規定範囲で増加するように切替えられる。指Fが切替え境界S1から第2の距離L2を移動する間に、風量を連続的に変化させてもよいし、段階的に変化させてもよい。あるいは1段階だけ風量を増加させてもよい。ただし、指Fが第2の距離L2を移動する間での風量の増加幅は、指Fが第1の距離L1を移動する間における風量の増加幅と同じである。すなわち、指Fが第1の距離L1を移動する間と、第2の距離L2を移動する間とで、制御部40では、被制御機器45の動作を同じ規定範囲で切替える。
【0047】
その後も、指FがX1方向へ移動し、その移動距離が第2の距離L2になる度に、切替え境界S3,S4,・・・に至ったと判定される。指Fが第2の距離L2を移動する度に、エアーコンディショナの風量が一定の範囲である規定範囲で増加するように切替えられる。第2の距離L2は全て等距離であり、第2の距離L2は第1の距離L1よりも長い。そして、第2の距離L2を移動する度に、エアーコンディショナの風量が、第1の距離L1を移動したときと同じ範囲だけ増加するように切替えられる。
【0048】
図6において、最初の検知位置Tから指FがX2方向へ移動するときも、制御部40で指Fの移動距離が相対移動距離としてカウントされる。カウントされている距離が第1の距離L1となると、指Fが切替え境界-S1に至ったと判定される。その間にエアーコンディショナの風量が規定範囲で低下するように切替えられる。その後に指Fの移動距離が第2の距離L2になると、切替え境界-S2に至ったと判定され、エアーコンディショナの風量がここでも規定範囲で低下するように切替えられる。このときも、第2の距離L2は第1の距離L1よりも長く、指Fが第1の距離L1を移動する間と、第2の距離L2を移動する間とで、エアーコンディショナの風量の低下範囲が同じである。
【0049】
図6に示す操作では、最初に検知された指Fを検知位置Tから短い距離である第1の距離L1を移動させるだけで、エアーコンディショナの風量が所定の範囲で増加するため、指Fで風量を迅速に切替えることができるとともに、操作が正常に行われていることを、操作を開始した直後の早い時期に確認することができる。特に、指Fが第1の距離L1だけ移動したときに、フィードバック素子25で指にフィードバック力を与え、または発音部26からの音の発生でフィードバックを与え、さらに
図3に示す情報表示画面31に表示されている風量表示画像34を所定の範囲で変化させることで、運転者がブラインド状態で操作しているときであっても、正常な操作が行われていることを早い時期に認識しやすくなる。
【0050】
また、指Fが第1の距離L1を移動した後は、第1の距離L1よりも長い第2の距離L2を移動する度に、エアーコンディショナの風量が第1の距離L1の移動のときと同じ幅で切替えられる。このときの指Fの移動距離に対する風量の変化幅が狭くなるため、指Fによって風量の微調整を容易に行えるようになる。この場合も、指Fが第2の距離L2を移動する度に、フィードバック素子25または発音部26によって操作者である運転者にフィードバックが与えられ、
図3に示す情報表示画面31の風量表示画像34の変化によって、運転者が操作状態を確認できるようになる。
【0051】
次に、
図5に示すように、操作面22に接触しまたは接近した指Fを第2の方向のプラス方向(Y1方向)に移動させると、エアーコンディショナの温度設定が連続的にまたは段階的に高くなり、指Fを第2の方向のマイナス方向(Y2方向)へ移動させると、エアーコンディショナの温度設定が連続的にまたは段階的に低くなる。このときには、常に指Fが等距離だけ動く度に、温度設定が同じ範囲だけ変化する。ただし、
図7に示すように、エアーコンディショナの温度設定を切替える操作においても、
図6に示した風量の切替えと同様に、第1の距離L1と第2の距離L2のように異なる距離の移動によって温度設定を同じ規定範囲で切替えるように設定することが可能である。
【0052】
図7に示す例では、静電センサ23によって最初に指Fが検知された検知位置Tから、指FをY1方向へ第1の距離L1を移動させるだけ、エアーコンディショナの温度設定が所定の範囲(例えば2℃や5℃の規定範囲)で連続的にまたは段階的に高くなる。その後は、指Fを第1の距離L1よりも長い第2の距離L2で移動させる度に、エアーコンディショナの温度設定が、第1の距離L1の移動のときと同じ範囲(例えば2℃や5℃の規定範囲)で連続的にまたは段階的に高くなる。指Fを検知位置TからY2方向へ移動させると、第1の距離L1の移動で、エアーコンディショナの温度設定が所定の範囲(例えば2℃や5℃の規定範囲)で連続的にまたは段階的に低くなり、その後、第1の距離L1よりも長い第2の距離L2を移動する度に、同じ範囲で温度設定が低くなる。
【0053】
図7の操作では、エアーコンディショナの温度設定を変えるときに、検知位置Tから指Fを短い距離移動させるだけで、温度を敏感に変化させることができ、正常な動作が行われていることを早い時期に認識できるようになる。また、指Fが第1の距離L1を移動したときに運転者にフィードバックし、さらに
図3に示す情報表示画面31の温度表示画像33を変化させることで、運転者がブラインド状態で操作しているときであっても、正常な操作ができていることを短時間で知ることができる。第1の距離L1を移動した後は、それよりも長い第2の距離L2を移動させることで、第1の距離L1と同じ範囲で温度設定を切替えることができるため、微細な温度調整を行うことが可能になる。
【0054】
図6と
図7に示す例では、指Fの検知位置Tから第1の距離L1を移動する間に被制御機器45の動作が規定範囲で切替えられ、その後は、同じ第2の距離L2を移動する度に、被制御機器45の動作が第1の距離L1の移動のときと同じ規定範囲で切替えられる。ただし、
図8に変形例として示すように、指Fが第1の距離L1を通過した後に、第2の距離L2、第3の距離L3、第4の距離L4のように、移動距離が段階的に長くなる度に、被制御機器45の動作が第1の距離L1の移動のときと同じ規定範囲で切替えられてもよい。すなわち、第1の距離L1<第2の距離L2<第3の距離L3<第4の距離L4<・・・、であり、指Fがそれぞれの距離を移動する度に、被制御機器45の動作が同じ範囲で切替えられてもよい。
【0055】
次に、
図7に示すように、指Fの移動軌跡Iが、Y1-Y2方向に対して傾いている場合には、その傾き角度θが所定の範囲(例えば45度内)であれば、移動軌跡Iに沿う移動距離のY1-Y2方向の成分が、第1の距離L1や第2の距離L2に相当する距離と判定される度に、被制御機器45の動作が同じ範囲で切替えられるようにすることができる。これは、指FがX1-X2方向に対して角度を有する軌跡で移動したときも同じである。
【0056】
図9に、本発明の第2実施形態の操作方法が示されている。
第2実施形態では、静電センサ23によって指Fが最初に検知された検知位置Tから、第1の方向でのプラス方向(X1方向)へ向けて第1の距離Laで移動させると、その間に、エアーコンディショナの風量が連続的にまたは段階的に所定の規定範囲で増加する。その後は、指Fが第1の距離Laよりも短い一定の第2の距離Lbを移動する度に、エアーコンディショナの風量が第1の距離Laを移動したときと同じ規定範囲で増加し、これが繰り返される。これは、指Fを検知位置Tからマイナス方向(X2方向)へ移動させたときも同じである。第1の距離Laを移動する間にエアーコンディショナの風量が所定の範囲で低下し、その後は、X2方向へ第2の距離Lbだけ移動する度に、エアーコンディショナの風量が、第1の距離Laを移動したときと同じ範囲で低下する。また、指FをY1-Y2方向へ移動させてエアーコンディショナの温度設定を変化させるときも同じように実施することができる。
【0057】
図9に示す第2実施形態では、操作面22で検知状態となった指Fを、検知位置Tから長い距離で移動させることで、被制御機器45の動作を所定の範囲で切替える。よって、操作開始直後の指Fの不用意な移動により、被制御機器が多段階で変化してしまうのを防止することができる。車載用の操作装置10では、操作しようとする指Fや手Hが、車体振動に伴って不用意に大きく動くことがあるが、第2実施形態では、指Fが操作開始直後に車体振動で大きく動いたとしても、被制御機器45の初期の切替えを正常に行うことができる。そして、第1の距離Laを移動した後は、指Fの移動距離が短くても、被制御機器の動作を切替えることができるため、第1の距離を移動した後の、その後の切替え操作を迅速に行うことが可能になる。
【0058】
図10は、
図9に示す第2実施形態の変形例を示している。
図10に示す変形例では、指Fが検知位置Tから最初に第1の距離Laを移動したときに、被制御機器45の動作が所定の範囲で切替えられ、その後は、第2の距離Lb、第3の距離Lc、第4の距離Ldのように、移動距離が段階的に短くなる度に、被制御機器45の動作が第1の距離Laの移動のときと同じ範囲で切替えられる。すなわち、第1の距離La>第2の距離Lb>第3の距離Lc>第4の距離Ld>・・・、であり、指Fがそれぞれの距離を移動する度に、被制御機器45の動作が同じ範囲で切替えられる。
【0059】
図6ないし
図8に示す第1実施形態では、指Fが検知された検知位置Tを起点として第1の距離L1が設定され、
図9と
図10に示す第2実施形態でも、検知位置Tを起点として第1の距離Laが設定されている。ただし、検知されている指Fが検知位置Tから所定時間または所定距離だけ移動した後に、第1の距離L1または第1の距離Laが設定されてもよい。例えば、検知位置Tから指Fを移動させたときに、その移動が制御部40で認識され始めた後に、第1の距離L1,Laが設定される。あるいは、検知位置Tから指Fが動いて何らかの操作が行なわれた後に、第1の距離L1または第1の距離Laが設定されてもよい。
【0060】
図11と
図12に、本発明の第3実施形態の操作方法が示されている。
図12に示す操作方法では、検知位置Tを起点として第1の距離Lw0が予め決められている。検知位置Tで検知された指Fが、第1の距離Lw0を移動しているときに、被制御機器45の動作が規定範囲で切替えられる。例えば、エアーコンディショナの風量が所定の範囲で切替えられ、または温度設定が所定の範囲で切替えられる。その後は、指Fが第1の距離Lw0と異なる距離Lwxだけ移動する間に、被制御機器45の動作が同じ規定範囲で切替えられる。指Fが第1の距離Lw0を移動するときに被制御機器45の動作が切替えられる規定範囲と、指Fが距離Lwxを移動するときの被制御機器45の動作の切替え範囲は同等である。ただし、この操作方法では、指Fが第1の距離Lw0を移動しているときに、静電センサ23からの検知出力に基づいて制御部40で指Fの速度または加速度を測定し、その測定値に応じて、その後の距離Lw0を設定する。ここでの速度または加速度は、指Fが第1の距離Lw0を移動するときの速度または加速度の平均値、または速度または加速度の最大値などである。
【0061】
この場合も、指Fの移動距離が第1の距離Lw1に至ったとき、およびその後に距離Lwxに至る度にフィードバック動作が行われ、フィードバック素子25が動作し、または発音部26が動作する。さらに情報表示画面31に、被制御機器45の動作範囲の切替え状態が表示される。
【0062】
図11に、測定された指Fの速度Vxと、次の区間で設定される指Fの移動距離Lwxとの関係が示されている。
図11には、速度Vxが示されているが、加速度を使用する場合も同じである。制御部40には、速度Vxの基準値V0、V1、V2、V3、がしきい値として記憶されている。V0<V1<V2<V3である。基準値V0は、速度ゼロであり、あるいは速度ゼロから動き出したときの微小速度である。指Fが第1の距離Lw0を移動しているときの速度VxがV0-V1の間の値のときは、次に設定される距離LwxがLw1である。速度VxがV1-V2の間の値のとき、距離LwxがLw2であり、速度VxがV2-V3の間の値のとき、距離LwxがLw3である。Lw1>Lw2>Lw3である。速度Vxと距離Lwxは、さらに多数の段階で設定することが可能である。
【0063】
図12に示す例では、第1の距離Lw0を移動する指Fの速度VxがV2-V3の間の速い値であるため、その後に設定される距離LwxがLw3のように短くなっている。
図12では、第1の距離Lw0において指Fが速い速度(加速度)で動いているため、制御部40では、操作者の意図として、被制御機器45の動作を速く切替えたい、と予測し、その後の距離Lwxを短い距離Lw3に設定している。この場合、指Fが第1の距離Lw0を通過した後は、指Fを少し動かすだけで、被制御機器45の動作の切替えを広い範囲で迅速に行えるようになる。
【0064】
図13に示す例では、第1の距離Lw0を指Fが移動しているときの速度VxがV0-V1の間の遅い値であるため、その後に設定される距離LwxがLw13のように長くなっている。
図13では、第1の距離Lw0において指Fが遅い速度(加速度)で動いているため、制御部40では、操作者の意図として、被制御機器45の動作を細かく切替えたい、と予測し、その後の距離Lwxを長い距離Lw1に設定している。この場合には、指Fが第1の距離Lw0を通過した後に、指Fの移動により被制御機器45の動作の微調整を行ないやすくなる。
【0065】
図12と
図13では、第1の距離Lw0が検知位置Tを起点として設定されているが、第1実施形態と第2実施形態と同様に、第3実施形態でも、検知位置Tから指Fがある程度移動した後に第1の距離が設定されてもよい。
【0066】
図14に示す第3実施形態の変形例では、
図6に示した第1実施形態と同様に、検知位置Tを基準として第1の距離L1が設定され、その後に第1の距離L1よりも長い予め決められた第2の距離L2が1区間または複数区間設定されている。そして、指Fが距離L1を移動しているとき、または距離L2を移動しているときの速度(または加速度)が測定され、距離L2を移動した後に、測定した速度(または加速度)に応じてその後の距離Lwxを設定する。すなわち、前記距離L1または前記距離L2を新たな第1の距離として設定し、この第1の距離を移動する指Fの速度(または加速度)に応じてその後の距離Lwxを設定する。ここでも、指Fが距離L1を移動する間、距離L2を移動する間、および距離Lwxを移動する間で、被制御機器45の動作を切替える範囲が同じ規定範囲である。
【0067】
図15に示す第3実施形態の変形例では、
図9に示した第2実施例と同様に、検知位置Tを起点として第1の距離Laが設定され、その後に第1の距離Laよりも短い第2の距離Lbが設定されている。ここでは、前記距離Laまたは前記距離Lbを新たな第1の距離として設定し、指Fがここを移動しているときの速度(または加速度)を測定し、その測定値に基づいてその後の距離Lwxを設定する。ここでも、指Fが距離Laを移動する間、距離Lbを移動する間、および距離Lwxを移動する間で、被制御機器45の動作を切替える範囲が同じ規定範囲である。
【0068】
図16は本発明の第3実施形態のさらなる変形例を示している。
この変形例では、静電センサ23が指Fを検知した検知位置Tとなった後のいずれかの距離の区間を新たな第1の距離とし、その新たな第1の距離を移動する指Fの速度(または加速度)を測定し、その測定値に応じてその後の距離を設定する。
図16に示す例では、指Fが距離Lw1を移動しているときに、この距離Lw1を新たな第1の距離とし、その間に指Fの速度(または加速度)を測定する。その速度がV1-V2の間であるときは、その後に距離Lw2を設定する。その後は、距離Lw2を新たな第1の距離とし、この新たな第1の距離Lw2を移動する指Fの速度を測定する。測定した速度がV2-V3の間であれば、その後に距離Lw3を設定する。さらに、距離Lw3を移動する指Fの速度がV1-V2の間であれば、その後に距離Lw2を設定する。指Fがそれぞれの距離を移動する間で、被制御機器45の動作を切替える範囲は同じ規定範囲である。
【0069】
図16に示す変形例では、検知状態の指Fが移動しているとき、移動速度(または加速度)の変化に対応してその後の距離を変えていくことで、常に操作者の意図を反映した操作を行うことができる。なお、
図16では、1つの距離の区間を移動している指Fの速度(または加速度)に応じて、その後の区間の距離が区間ごとに順番に変化していくが、例えば、一度距離Lw1が設定されたら所定時間または所定区間数その距離を変化させずに繰り返し、その後、測定された速度(または加速度)に応じて新たな距離を設定し、その新たな距離を所定時間または所定区間数で繰り返してもよい。
【0070】
図1に示すように、情報表示部30の情報表示画面31は、運転席の前方に位置し、操作面22に比べて、運転者が見やすい位置に配置されており、この情報表示画面31に、オートモード切替え画像32、温度表示画像33、風量表示画像34、および送風口切替え画像35が表示されている。さらには、運転席と助手席での気温の同期設定に関する切替え情報も表示されている。操作面22に対する操作に連動して、見やすい位置にある情報表示画面31の表示画像を変化させることで、運転者が操作面22をブラインド操作しやすくなる。
【0071】
次に、
図18に示すフローチャートに基づいて、制御部40における一連の制御動作を説明する。
【0072】
図18に示すフローチャートは、
図6と
図7に示した第1実施形態あるいは
図9に示した第2実施形態の制御動作を示している。すなわち、指Fを操作面22に沿って第1の方向(X1-X2方向)へ移動させるときと、第2の方向(Y1-Y2方向)へ移動させるときのいずれにおいても、指Fが第1の距離(L1またはLa)を移動する間に被制御機器45の動作が所定の範囲で切替えられ、その後は、第1の距離よりも長い距離あるいは短い距離である第2の距離(L2またはLb)を移動する度に、被制御機器45の動作が同じ範囲で切替えられるときの制御動作を示している。フローチャートでは、それぞれの制御ステップを「ST」と示している。
図11ないし
図16に示した第3実施形態においても、基本的な制御フローは
図18と同じである。第3実施形態は、
図18のフローチャートに、測定された速度または加速度に応じて次の距離(
図18では第2の距離)を決める処理が付加されるだけである。
【0073】
図18のST1では、静電センサ23が指Fを検知した否か監視する。指Fが操作面22に接触し、あるいは操作面22に所定距離以内に接近したときに、指Fが検知される。指Fが検知されると、制御部40は、ST2において操作が開始されていると認識する。
【0074】
ST3で検知状態の指Fが移動したか否かが監視される。ST3では、指Fが移動することを待つが、所定時間を経ても移動しないとき、または、指Fが移動することなく非検知状態となったときは、動作を終了する。ST3で検知状態の指Fが移動したと判定されたときは、ST4に移行して、指Fの移動方向が第1の方向(Y方向)であるか第2の方向(Y方向)であるかを判定する。ST5において、指Fの移動方向が
図4と
図6に示す第1の方向(X方向)と判定されたときは、被制御機器45であるエアーコンディショナに対する制御モードが風量制御モードに設定される。指Fの移動方向が
図5と
図7に示す第2の方向(Y方向)と判定されたときは、エアーコンディショナに対する制御モードが温度制御モードに設定される。
【0075】
ST6では、検知状態の指Fが第1の距離(L1またはLa)を移動したか否か監視する。指Fの移動距離が第1の距離に至るまでの間は、ST7-1において、指Fの検知が継続しているか監視される。指Fが非検知状態となったらST8-1に移行して操作を終了する。指Fの移動距離が第1の距離に至ったと判定されると、ST9に移行し、制御部40では、第1段の切替え操作状態であると認識する。
【0076】
ST10-1では、第1の距離を移動していたときの指Fの移動方向が正方向であったか負方向であったかが判定される。ST10-1で、指Fの移動方向が正方向であったと判断されるとST11-1に移行してプラスモードの動作が実行される。ST5で風量制御モードが設定されているときは、指FのX1方向への移動に伴ってエアーコンディショナの風量が規定範囲で増加され、温度制御モードが設定されているときは、指FのY1方向への移動に伴って設定温度が規定範囲で高くなる。ST11-1では、同時にフィードバック動作が行われ、フィードバック素子25と発音部26の少なくとも一方が動作させられて、操作者に操作切替え完了であることが知らされる。
【0077】
ST10-1で、指Fの移動方向が負方向であったと判断されるとST12-1に移行してマイナスモードの動作が実行される。ST5で風量制御モードが設定されているときは、指FのX2方向への移動に伴ってエアーコンディショナの風量が規定範囲で低下させられ、温度制御モードが設定されているときは、指FのY2方向への移動に伴って設定温度が規定範囲で低くなる。ST12-1でも、同時にフィードバック動作が行われ、フィードバック素子25と発音部26の少なくとも一方が動作させられて、操作者に操作切替え完了であることが知らされる。
【0078】
その後は、ST13に移行して、検知状態の指Fがさらに第2の距離(L2またはLb)を移動したか否かを監視する。第2の距離を移動する間にST7-2で指Fの検知状態が継続しているかを監視し、指Fが非検知状態となったら、ST8-2に移行して操作を終了する。ST13で指Fが第2の距離を移動したと判定されたら、ST14に移行し、制御部40でさらに次の段の切替え操作状態であると認識する。
【0079】
ST10-2では、第2の距離を移動していたときの指Fの移動方向が正方向であったか負方向であったかが判定される。正方向であればST11-2に移行し、ST11-1と同じプラスモードの動作が実行され、フィードバック動作が行われる。負方向であればST12-2に移行し、ST12-1と同じプラスモードの動作が実行され、フィードバック動作が行われる。
【0080】
なお、被制御機器45が、音響装置やカーナビゲーション装置、あるいは自動車の運転機能にかかわる制御機器である場合でも、操作面22で検知された指または手によって
図6から
図16に示す操作を行うことによって、各種被制御機器45の動作が所定の範囲で切替えられる。
【符号の説明】
【0081】
10 車載用の操作装置
21 表示パネル
22 操作面
23 静電センサ
24 押圧センサ
25 フィードバック素子
26 発音部
31 情報表示画面
40 制御部
F 指
H 手
L1,La 第1の距離
L2,Lb 第2の距離
T 最初の検知位置
Vx 指の移動速度
LWx 速度に応じて設定される距離