(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】地盤復旧オーガー及び地盤復旧方法
(51)【国際特許分類】
E02D 3/08 20060101AFI20220516BHJP
E02D 3/12 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
E02D3/08
E02D3/12 102
(21)【出願番号】P 2021175718
(22)【出願日】2021-10-27
【審査請求日】2021-10-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515085945
【氏名又は名称】株式会社エスエスティー協会
(74)【代理人】
【識別番号】100125818
【氏名又は名称】立原 聡
(72)【発明者】
【氏名】飯田 哲夫
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-229872(JP,A)
【文献】特開2019-123993(JP,A)
【文献】特開2018-066199(JP,A)
【文献】実開昭50-048405(JP,U)
【文献】特開2001-207768(JP,A)
【文献】実開昭48-020203(JP,U)
【文献】実開昭56-154492(JP,U)
【文献】特開平11-032598(JP,A)
【文献】特許第6884255(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/08
E02D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に開いた穴を地盤復旧材料により埋めるための地盤復旧オーガーであって、
前記地盤復旧オーガーが、
回転軸の周りで少なくとも第1の回転方向に回転可能なシャフトと、
前記第1の回転方向における前記シャフトの回転に伴って前記シャフトの上端から下端に向けて前記地盤復旧材料を搬送するための螺旋搬送部と、
前記螺旋搬送部に固定された1つ以上の突起と、
を備え、
前記螺旋搬送部が、螺旋状に延びた板状の螺旋ブレードを備え、
前記螺旋ブレードが、前記シャフトに固定された螺旋内縁部と前記シャフトから離れた螺旋外縁部とを備え、
前記螺旋内縁部が、連続的に螺旋を描くように延びており、
前記螺旋外縁部が、連続的に螺旋を描くように延びており、
前記螺旋ブレードが、半径方向において前記螺旋内縁部と前記螺旋外縁部との間の距離ぶんの幅をもって連続的に螺旋を描くように延びており、
前記螺旋搬送部が、前記螺旋外縁部に固定された補助部を備え、
前記補助部が、前記回転軸に平行な回転軸方向に延びた補助外面を備え、
前記回転軸方向における前記補助外面の高さが前記回転軸方向における前記螺旋ブレードの厚さより長く、
前記突起が、前記補助外面に固定されており、
前記突起
の全体が、前記回転軸から離れる方向に
おいて前記螺旋外縁部より外側で前記
補助外面から突出しており、
前記突起が、前記第1の回転方向において前記突起の前側に位置する傾斜面を備え、
前記傾斜面が、前記地盤復旧材料と前記地盤の構成材料との少なくとも一方を前記穴の側面に向けて送る面であり、
前記傾斜面が、前記回転軸に近い傾斜面内縁部と前記回転軸から遠い傾斜面外縁部とを備え、
前記第1の回転方向において前記傾斜面内縁部が前記傾斜面外縁部より前方に位置して
おり、
前記回転軸方向における前記突起の高さが前記回転軸方向における前記螺旋ブレードの前記厚さより長い、
地盤復旧オーガー。
【請求項2】
前記突起が、前記第1の回転方向において前記傾斜面の反対側に位置する背面を備え、
前記背面が、前記回転軸に近い背面内縁部と前記回転軸から遠い背面外縁部とを備え、
前記突起が、前記傾斜面外縁部と前記背面外縁部との間において前記回転軸から離れる方向を向いた中継面を備える、
請求項1に記載の地盤復旧オーガー。
【請求項3】
前記地盤復旧オーガーが、複数の前記突起を備え、
前記螺旋搬送部の一巻き当たりの前記突起の数が偶数個となるように、前記回転軸を中心として一定の角度間隔で前記突起が位置している、
請求項1又は請求項2に記載の地盤復旧オーガー。
【請求項4】
前記傾斜面が、平面であって、斜め上を向くように傾いている、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の地盤復旧オーガー。
【請求項5】
前記地盤復旧オーガーが、
前記シャフトの前記下端に固定されたヘッドと、
前記ヘッドに固定された1つ以上のヘッドブレードと、
を備え、
前記ヘッドブレードが、前記回転軸から離れる方向に前記ヘッドから突出しており、
前記ヘッドブレードが、前記穴内において前記地盤復旧材料を締め固めるための横傾斜面を備え、
前記横傾斜面が、前記回転軸に近い横傾斜面内縁部と前記回転軸から遠い横傾斜面外縁部とを備え、
前記第1の回転方向において前記横傾斜面内縁部が前記横傾斜面外縁部より前方に位置しており、
前記回転軸に直交する方向において、前記突起のうち前記回転軸から最も遠い部分と前記回転軸との間の距離が、前記ヘッドブレードのうち前記回転軸から最も遠い部分と前記回転軸との間の距離に等しい、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の地盤復旧オーガー。
【請求項6】
前記穴内において前記地盤復旧材料を前記回転軸方向に向けて締め固めるためのヘッドブレードを備える、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の地盤復旧オーガー。
【請求項7】
地盤復旧オーガーを使用して地盤に開いた穴を地盤復旧材料により埋める地盤復旧方法であって、
前記地盤復旧オーガーが、
回転軸の周りで少なくとも第1の回転方向に回転可能なシャフトと、
前記第1の回転方向における前記シャフトの回転に伴って前記シャフトの上端から下端に向けて前記地盤復旧材料を搬送するための螺旋搬送部と、
前記螺旋搬送部に固定された1つ以上の突起と、
を備え、
前記螺旋搬送部が、螺旋状に延びた板状の螺旋ブレードを備え、
前記螺旋ブレードが、前記シャフトに固定された螺旋内縁部と前記シャフトから離れた螺旋外縁部とを備え、
前記螺旋内縁部が、連続的に螺旋を描くように延びており、
前記螺旋外縁部が、連続的に螺旋を描くように延びており、
前記螺旋ブレードが、半径方向において前記螺旋内縁部と前記螺旋外縁部との間の距離ぶんの幅をもって連続的に螺旋を描くように延びており、
前記螺旋搬送部が、前記螺旋外縁部に固定された補助部を備え、
前記補助部が、前記回転軸に平行な回転軸方向に延びた補助外面を備え、
前記回転軸方向における前記補助外面の高さが前記回転軸方向における前記螺旋ブレードの厚さより長く、
前記突起が、前記補助外面に固定されており、
前記突起
の全体が、前記回転軸から離れる方向に
おいて前記螺旋外縁部より外側で前記
補助外面から突出しており、
前記突起が、前記第1の回転方向において前記突起の前側に位置する傾斜面を備え、
前記傾斜面が、前記回転軸に近い傾斜面内縁部と前記回転軸から遠い傾斜面外縁部とを備え、
前記第1の回転方向において前記傾斜面内縁部が前記傾斜面外縁部より前方に位置しており、
前記回転軸方向における前記突起の高さが前記回転軸方向における前記螺旋ブレードの前記厚さより長く、
前記地盤復旧方法が、
前記地盤復旧オーガーを前記穴内に配置することと、
前記穴内において前記シャフトを前記第1の回転方向に回転させることにより、前記シャフトの前記上端から前記下端に向けて搬送される前記地盤復旧材料と地盤の構成材料との少なくとも一方を、前記突起の前記傾斜面に沿って前記穴の側面に向けて送ることと、
を含む、地盤復旧方法。
【請求項8】
前記地盤復旧オーガーが、前記穴内において前記地盤復旧材料を前記回転軸方向に向けて締め固めるためのヘッドブレードを備え、
前記地盤復旧方法が、
前記地盤復旧材料と地盤の前記構成材料との少なくとも一方を、前記突起の前記傾斜面に沿って前記穴の前記側面に向けて送っている間に、前記ヘッドブレードにより前記穴内において前記地盤復旧材料を前記回転軸方向に向けて締め固めることを含む、
請求項7に記載の地盤復旧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤復旧オーガー及び地盤復旧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば地盤に築造物を構築する場合、地盤を所望の強度に高めるために例えば円柱状の杭が地盤内に埋設される。一例において埋設は、地盤に例えばセメント系固化材を含む材料を圧入して周囲の土と混合し、固化させることにより行われる。他の例として埋設は工場で形成された既製杭を打設することにより行われる。一般的に、固化した杭又は既製杭は周囲の地盤より固い。
【0003】
一方で、築造物を解体し撤去して土地を明け渡す場合などにおいて、地盤復旧が要求される。地盤復旧では、例えば地盤に埋設された杭がある場合、その杭を撤去するとともに、撤去後に地盤に開いた円柱状の穴を埋めることが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
杭を形成する場合、例えば特許文献1に開示されているようなオーガーが使用されて、下方向及び横方向に締め固めることにより強固な杭が形成される。地盤復旧の場合にも、特許文献1と同様のオーガーを使用することが可能である。
【0006】
ここで、一般的にオーガーの回転中に穴の側面が崩落して側面の凹凸が大きくなる場合がある。穴の側面が崩落すると、オーガーの回転がスムーズではなくなり、又は、ヘッドのブレードによる締め固めが不十分になり、又は、ヘッドのブレードにより十分に締め固めるために長い時間が必要となる。特許文献1のオーガーを使用する場合、穴の比較的下方では、ヘッドに設けられたブレードが回転することにより、穴の下方と側面に向けて材料が締め固められる。しかしながら、ヘッドのブレードより上方では締め固めを行っていない。本発明者は、上記のような穴の側面の崩落を一層効果的に防ぐため、又、ヘッドのブレードによる締め固めを長い時間をかけず十分に行うために、ヘッドのブレードより上方においても締め固めを行うことが有効であることを見出した。
【0007】
本発明の目的のうちの1つは、地盤復旧中に穴の側面の崩落を防ぎながら、長い時間をかけずに穴の内部と周辺地盤を十分に締め固めることができる地盤復旧オーガー及び地盤復旧方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様の地盤復旧オーガーは、地盤に開いた穴を地盤復旧材料により埋めるための地盤復旧オーガーであって、地盤復旧オーガーが、回転軸の周りで少なくとも第1の回転方向に回転可能なシャフトと、第1の回転方向におけるシャフトの回転に伴ってシャフトの上端から下端に向けて地盤復旧材料を搬送するための螺旋搬送部と、螺旋搬送部に固定された1つ以上の突起と、を備え、突起が、回転軸から離れる方向に螺旋搬送部から突出しており、突起が、第1の回転方向において突起の前側に位置する傾斜面を備え、傾斜面が、回転軸に近い傾斜面内縁部と回転軸から遠い傾斜面外縁部とを備え、第1の回転方向において傾斜面内縁部が傾斜面外縁部より前方に位置している、地盤復旧オーガーである。
【0009】
第1の態様によれば、穴の中でシャフトを第1の回転方向に回転させたとき、突起の傾斜面が穴の側面に対して「こて」で摺るように動くので、穴の崩落を防ぐことができる。更に本態様によれば、傾斜面と穴の側面との間隔が傾斜面内縁部から傾斜面外縁部に向けて徐々に狭くなるので、穴の中でシャフトを第1の回転方向に回転させたとき、傾斜面内縁部から傾斜面外縁部に向けて移動する地盤復旧材料又は地盤の構成材料により穴の側面を締め固めることができる。
【0010】
第2の態様の地盤復旧オーガーは、突起が、第1の回転方向において傾斜面の反対側に位置する背面を備え、背面が、回転軸に近い背面内縁部と回転軸から遠い背面外縁部とを備え、突起が、傾斜面外縁部と背面外縁部との間において回転軸から離れる方向を向いた中継面を備える、第1の態様に記載の地盤復旧オーガーである。
【0011】
第2の態様によれば、突起が中継面を備えるので、傾斜面外縁部と背面外縁部とが直接交差する場合に比べて、突起が穴の側面に突き刺さりにくくなり、又、より十分に締め固めることができる。
【0012】
第3の態様の地盤復旧オーガーは、複数の突起を備え、螺旋搬送部の一巻き当たりの突起の数が偶数個となるように、回転軸を中心として一定の角度間隔で突起が位置している、第1の態様又は第2の態様に記載の地盤復旧オーガーである。
【0013】
第3の態様によれば、螺旋搬送部の一巻き当たりの突起の数が偶数個であるので、回転軸に沿って見たとき、回転軸を中心として両側に対称的に突起が位置することとなる。従って、突起と穴の側面との間に加わる力が回転軸を中心として対称的となり、地盤復旧オーガーのぶれを小さくすることができる。
【0014】
第4の態様の地盤復旧オーガーは、螺旋搬送部が、螺旋状に延びた板状の螺旋ブレードを備え、螺旋ブレードが、シャフトに固定された螺旋内縁部とシャフトから離れた螺旋外縁部とを備え、螺旋搬送部が、螺旋外縁部に固定された補助部を備え、補助部が、回転軸に平行な回転軸方向に延びた補助外面を備え、回転軸方向における補助外面の高さが回転軸方向における螺旋ブレードの厚さより長く、突起が、補助外面に固定されており、回転軸方向における突起の高さが回転軸方向における螺旋ブレードの厚さより長い、第1の態様から第3の態様のいずれか一つに記載の地盤復旧オーガーである。
【0015】
第4の態様によれば、螺旋ブレードの厚さより長い補助外面に、螺旋ブレードの厚さより長い突起が固定されているので、螺旋ブレードに直接突起を固定する場合に比べて安定して突起を固定することができる。また、螺旋ブレードの厚さに制限されずに突起の高さを決定できるので、1つの突起で一度に広い高さ範囲を締め固めることができる。
【0016】
第5の態様の地盤復旧オーガーは、地盤復旧オーガーが、シャフトの下端に固定されたヘッドと、ヘッドに固定された1つ以上のヘッドブレードと、を備え、ヘッドブレードが、回転軸から離れる方向にヘッドから突出しており、ヘッドブレードが、穴内において地盤復旧材料を締め固めるための横傾斜面を備え、横傾斜面が、回転軸に近い横傾斜面内縁部と回転軸から遠い横傾斜面外縁部とを備え、第1の回転方向において横傾斜面内縁部が横傾斜面外縁部より前方に位置しており、回転軸に直交する方向において、突起のうち回転軸から最も遠い部分と回転軸との間の距離が、ヘッドブレードのうち回転軸から最も遠い部分と回転軸との間の距離に等しい、第1の態様から第4の態様のいずれか一つに記載の地盤復旧オーガーである。
【0017】
第5の態様によれば、突起のうち回転軸から最も遠い部分と回転軸との間の距離が、ヘッドブレードのうち回転軸から最も遠い部分と回転軸との間の距離に等しいので、比較的上方にある突起が穴の側面の崩落を防ぐように摺り、更に締め固め、同時に、比較的下方にあるヘッドブレードが穴の側面を地盤復旧材料とともに締め固めることができ、結果として、穴の内部及び周辺地盤を長い時間をかけず十分に、かつ同程度の固さに締め固めることができる。
【0018】
第6の態様の地盤復旧オーガーは、穴内において地盤復旧材料を回転軸方向に向けて締め固めるためのヘッドブレードを備える、第1の態様から第5の態様のいずれか一つに記載の地盤復旧オーガーである。
【0019】
第6の態様によれば、突起により穴の側面を締め固めると同時に、ヘッドブレードにより回転軸方向においても地盤復旧材料を締め固めることができるので、長い時間をかけずに穴の内部と周辺地盤を締め固めることができる。
【0020】
第7の態様の地盤復旧方法は、地盤復旧オーガーを使用して地盤に開いた穴を地盤復旧材料により埋める地盤復旧方法であって、地盤復旧オーガーが、回転軸の周りで少なくとも第1の回転方向に回転可能なシャフトと、第1の回転方向におけるシャフトの回転に伴ってシャフトの上端から下端に向けて地盤復旧材料を搬送するための螺旋搬送部と、螺旋搬送部に固定された1つ以上の突起と、を備え、突起が、回転軸から離れる方向に螺旋搬送部から突出しており、突起が、第1の回転方向において突起の前側に位置する傾斜面を備え、傾斜面が、回転軸に近い傾斜面内縁部と回転軸から遠い傾斜面外縁部とを備え、第1の回転方向において傾斜面内縁部が傾斜面外縁部より前方に位置しており、地盤復旧方法が、地盤復旧オーガーを穴内に配置することと、穴内においてシャフトを第1の回転方向に回転させることにより、シャフトの上端から下端に向けて搬送される地盤復旧材料と地盤の構成材料との少なくとも一方を、突起の傾斜面に沿って穴の側面に向けて送ることとを含む地盤復旧方法である。
【0021】
第7の態様によれば、穴の中でシャフトを第1の回転方向に回転させたとき、突起の傾斜面が穴の側面に対して「こて」で摺るように動くので、穴の崩落を防ぐことができる。更に本態様によれば、傾斜面と穴の側面との間隔が傾斜面内縁部から傾斜面外縁部に向けて徐々に狭くなるので、穴の中でシャフトを第1の回転方向に回転させたとき、傾斜面内縁部から傾斜面外縁部に向けて移動する地盤復旧材料又は地盤の構成材料により穴の側面を締め固めることができる。
【0022】
第8の態様の地盤復旧方法は、地盤復旧オーガーが、穴内において地盤復旧材料を回転軸方向に向けて締め固めるためのヘッドブレードを備え、地盤復旧方法が、地盤復旧材料と地盤の構成材料との少なくとも一方を、突起の傾斜面に沿って穴の側面に向けて送りながら、ヘッドブレードにより穴内において地盤復旧材料を回転軸方向に向けて締め固めることを含む、第7の態様に記載の地盤復旧方法である。
【0023】
第8の態様によれば、突起により穴の側面を締め固めると同時に、ヘッドブレードにより回転軸方向においても地盤復旧材料を締め固めることができるので、長い時間をかけずに穴の内部と周辺地盤を締め固めることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、地盤復旧中に穴の側面の崩落を防ぎながら、長い時間をかけずに穴の内部と周辺地盤を十分に締め固めることができる地盤復旧オーガー及び地盤復旧方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本実施形態の地盤復旧オーガーの正面図である。
【
図7】下向きに見たときの
図1の7-7線における断面図である。
【
図8】上向きに見たときの
図1の8-8線における断面図である。
【
図9】前方左斜め上方から見た
図1の突起付近の部分的な拡大斜視図である。
【
図10】前方左斜め上方から見た
図1のヘッド付近の部分的な拡大斜視図である。
【
図11】後方右斜め下方から見た
図1のヘッド付近の部分的な拡大斜視図である。
【
図12】
図1の地盤復旧オーガーを使用した地盤復旧方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<地盤復旧オーガー>
(全体)
図1は一実施形態における、地盤に開いた穴を地盤復旧材料により埋めるための地盤復旧オーガー10の正面図である。
図2は地盤復旧オーガー10の背面図である。
図3は、地盤復旧オーガー10の左側面図である。
図4は、地盤復旧オーガー10の右側面図である。
図5は、地盤復旧オーガー10の平面図である。
図6は、地盤復旧オーガー10の底面図である。
図7は、下向きに見たときの
図1の7-7線における断面図である。
図8は、上向きに見たときの
図1の8-8線における断面図である。
【0027】
本明細書で示される方向(例えば、上下、左右、前後)は、特に断りのない限り相対的な位置関係を表すために用いられているのであって、実際の使用時の方向を限定するわけではない。構成要素の形状は、本明細書で開示された実施形態の技術思想が実現される限り、記載された表現に基づく厳密な幾何学的な形状に限定されない。
【0028】
図1から
図6に示すように、地盤復旧オーガー10は、シャフト11、螺旋搬送部12、9つの突起13、ヘッド14、左側ヘッドブレード15-1、及び右側ヘッドブレード15-2を備える。地盤復旧オーガー10の構成要素は相互に一体的に強固に固定されている。
図1から
図4の一点鎖線の間の部分は、同様の形状を上下に連続させた部分であるので省略されている。
【0029】
(シャフト)
図1に示すように、シャフト11は上下方向に延びた仮想的な回転軸16を中心とした円筒形である。回転軸16に平行な方向を回転軸方向と呼ぶ。回転軸16を通り回転軸16に直交する放射状の方向を半径方向と呼ぶ。
図5に示すようにシャフト11は、回転軸16の周りで少なくとも第1の回転方向17に回転可能である。また、シャフト11は、第1の回転方向17と逆の第2の回転方向18にも回転可能である。回転は図示しない装置を使用して行われる。
【0030】
(螺旋搬送部)
図1に示すように、螺旋搬送部12は、螺旋ブレード21と補助部22とを備える。螺旋ブレード21はシャフト11の上端から下端付近まで、シャフト11を螺旋状に巻くように延びた板状部材である。螺旋ブレード21は、シャフト11の側面に沿って螺旋状に延びた螺旋内縁部23と、半径方向においてシャフト11から離れてシャフト11の周りで螺旋状に延びた螺旋外縁部24とを備える。螺旋ブレード21は、螺旋内縁部23においてシャフト11に固定されている。螺旋ブレード21は半径方向において螺旋内縁部23と螺旋外縁部24との間の距離ぶんの幅をもつ。螺旋搬送部12は、第1の回転方向17におけるシャフト11の回転に伴ってシャフト11の上端から下端に向けて地盤復旧材料を搬送する役割を果たす。
【0031】
補助部22は、螺旋外縁部24に固定された板状部材であり、螺旋ブレード21の下端から2周より少し長い位置までの範囲において、螺旋外縁部24から下方に延びている。
図8に示すように、半径方向における補助部22の厚さは、半径方向における螺旋ブレード21の幅よりも非常に小さい。
図1に示すように、補助部22は回転軸16から離れる方向を向いた補助外面25を備える。補助外面25は回転軸16に平行に延びている。補助外面25は回転軸16を中心とする仮想的な円筒に沿った形状をもつ。回転軸方向における補助外面25の高さは、回転軸方向における螺旋ブレード21の厚さより長い。回転軸方向における補助外面25の高さは、回転軸方向における螺旋ブレード21の1周分の間隔より短い。半径方向における回転軸16から補助外面25までの距離は一定である。
【0032】
他の例において、半径方向における補助部22の厚さは図示されるものより大きくても小さくてもよい。他の例において、補助部22は板状部材以外であってもよい。他の例において、補助部22が設けられている範囲(すなわちシャフト11の周りを巻く長さ)は、図示される範囲より短くてもよく、又は長くてもよい。螺旋ブレード21に対して補助部22が設けられている範囲の開始点及び終了点は図示されるものと異なっていてもよい。他の例において、補助部22は、螺旋外縁部24から部分的に、又は全体的に上方に延びていてもよい。
【0033】
(突起)
図1に示すように、螺旋搬送部12には複数の突起13が固定されている。本例では螺旋搬送部12の補助外面25に9個の突起13が固定されている。他の例において突起13の個数は、9個より多くてもよく、又は少なくてもよい。突起13はいずれも同一形状であり、螺旋搬送部12に沿って螺旋状に90度ずつ回転移動させた位置に配置されている。
図5に示されるように上方から下方を見たとき、前側の3つの突起13(
図1)が重なる位置にあり、右側の2つの突起13(
図4)が重なる位置にあり、後側の2つの突起(
図2)が重なる位置にあり、左側の2つの突起13(
図3)が重なる位置にある。
【0034】
図1から
図4に示すように、本例では、螺旋搬送部12の一巻き当たりの突起13の数が偶数個となるように、回転軸16を中心として一定の角度間隔で螺旋状に突起13が位置している。他の例において、突起13の数は奇数個であってもよい。他の例において、上方から下方を見たときの突起13の角度間隔は一定でなくてもよい。他の例において、突起13の形状は異なっていてもよい。
【0035】
図1から
図4に示すように、突起13は、回転軸16から離れる方向に螺旋搬送部12の補助外面25から突出している。
図9は、前方左斜め上方から見たときの突起13付近の部分的な拡大斜視図である。
図9は、
図1において前側に上下に3つ並んだ突起13のうち真ん中の突起13を示している。
図9に示すように、突起13は、傾斜面31と背面32と中継面33と上面34と下面35とを備える。
【0036】
図7に示すように、傾斜面31は、第1の回転方向17において突起13の前側に位置する(本明細書において、回転方向の説明に用いる前後は地盤復旧オーガー10の構成の説明に用いる前後とは異なる)。傾斜面31は、回転軸16に近い傾斜面内縁部41と回転軸16から遠い傾斜面外縁部42とを備える。第1の回転方向17において傾斜面内縁部41は傾斜面外縁部42より前方に位置している。
図9に示すように、傾斜面31、傾斜面内縁部41、及び傾斜面外縁部42はいずれも回転軸方向に平行である。傾斜面内縁部41は下端付近の一部を除いて概ね全体が補助外面25に接続されている。本例では傾斜面31は平面である。他の例において傾斜面31は、曲面、凹凸を含む面など、他の形状であってもよい。
【0037】
図7に示すように、背面32は、第1の回転方向17において傾斜面31の反対側、すなわち突起13の後側に位置する。背面32は、回転軸16に近い背面内縁部43と回転軸16から遠い背面外縁部44とを備える。
図9に示すように、背面32、背面内縁部43、及び背面外縁部44はいずれも回転軸方向に平行である。背面32はおおむね回転軸16を通る仮想平面上にある。本例では背面32は平面である。他の例において背面32は、曲面又は凹凸を含む面など、他の形状であってもよい。他の例において、背面32は回転軸方向に対して上下に傾いていてもよい。他の例において、背面32は回転軸16を通らない平面上にあってもよい。他の例において、第1の回転方向17において背面内縁部43は、背面外縁部44より後方に位置していてもよく、又は背面外縁部44より後方に位置していてもよい。
【0038】
図7に示すように、突起13は、傾斜面外縁部42と背面外縁部44との間において回転軸16から離れる方向を向いた中継面33を備える。中継面33は、回転軸方向に平行である。本例では、中継面33と傾斜面31との間の内側の角度は約120度である。中継面33と傾斜面31との間の内側の角度は約120度~約150度の間であることが好ましいが、他の角度であってもよい。本例では、中継面33と背面32との間の内側の角度は約90度であるが、他の角度であってもよい。一例において、中継面33は、回転軸16と傾斜面外縁部42又は背面外縁部44とを通る平面に直交する。本例では中継面33は平面である。他の例において、中継面33は、曲面又は凹凸を含む面など、他の形状であってもよい。中継面33は、例えば回転軸16を中心とした仮想的な円筒の一部であってもよい。
【0039】
本例では、半径方向における回転軸16と傾斜面外縁部42との間の長さは、回転軸16と背面外縁部44との間の長さより長い。他の例において、回転軸16と傾斜面外縁部42との間の長さは、回転軸16と背面外縁部44との間の長さと同じであってもよい。他の例において、回転軸16と傾斜面外縁部42との間の長さは、回転軸16と背面外縁部44との間の長さより短くてもよい。回転軸16を中心として傾斜面外縁部42を通る仮想的な円筒に対して傾斜面外縁部42において接する接平面を考えるとき、接平面に対する中継面33の傾きは、「こて」として作用するために±10度の範囲であること、その中でも±5度の範囲であることが好ましい。
【0040】
図9に示すように、突起13は、傾斜面内縁部41と背面内縁部43との間の大部分の領域において補助外面25に固定されている。本例では、回転軸方向における傾斜面内縁部41の高さ、背面内縁部43の高さ、及び、補助外面25の高さは同じである。
【0041】
図9に示すように、上面34は突起13の上側に位置して上を向いており、傾斜面31、中継面33、及び背面32の各上端縁部で各面に接続されている。下面35は突起13の下側に位置して下を向いており、傾斜面31、中継面33、及び背面32の各下端縁部で各面に接続されている。上面34及び下面35は、回転軸方向に直交する平面に平行である。上面34の半径方向内側の縁部が補助外面25の上縁部と交差する。下面35の半径方向内側の縁部が補助外面25の下縁部と交差する。突起13は、おおむね上面34を下面35まで下方向に平行移動させた形状をもつ。回転軸方向における突起13の高さは、回転軸方向における螺旋ブレード21の厚さより長い。
【0042】
傾斜面31、傾斜面内縁部41、及び傾斜面外縁部42は回転軸方向に平行であり、結果として、回転軸方向における傾斜面31の全体で均一に穴の側面を締め固めやすくなる。他の例において、傾斜面31が回転軸方向に対して上向きに傾いていてもよい。傾斜面31が斜め上を向くように傾いている場合、地盤復旧材料又は地盤の構成材料が傾斜面31からこぼれ落ちにくくなるので、穴の側面を締め固めやすくなる。
【0043】
(ヘッド)
図1に示すように、ヘッド14はシャフト11の下端に固定されており、シャフト11の下端から下方に向かって径が徐々に小さくなる中空の円錐形部材である。ヘッド14の形状を規定する円錐の中心は回転軸16に一致する。半径方向において、ヘッド14の上端の直径はシャフト11の直径に一致している。ヘッド14とシャフト11との固定は直接的であってもよく、間接的であってもよい。すなわち、ヘッド14とシャフト11との間に別の構成要素が存在してもよい。例えば、地盤復旧オーガー10は、ヘッド14とシャフト11との間に円錐台形の中継部を備えてもよく、中継部の母線の傾斜角度がヘッド14の母線の傾斜角度と異なっていてもよい。
【0044】
(ヘッドブレード)
図10は、前方左斜め上方から見たときのヘッド14付近の部分的な拡大斜視図である。
図11は、後方右斜め下方から見たときのヘッド14付近の部分的な拡大斜視図である。
図10に示すように、左側ヘッドブレード15-1はヘッド14の外面の比較的上部に固定されており、
図6に示すように、回転軸16から離れる方向に、及び左側に向かってヘッド14から突出している。
図10に示すように、左側ヘッドブレード15-1は左側支持板51-1と左側傾斜板52-1とを備える。
【0045】
左側支持板51-1は、回転軸16(
図6)を通る平面に沿って広がる板状部材である。左側支持板51-1の半径方向内側の端縁部はヘッド14に固定されている。左側支持板51-1の上端縁部及び下端縁部は半径方向に延びている。左側支持板51-1の半径方向外側の端縁部は左側傾斜板52-1に固定されている。左側支持板51-1と左側傾斜板52-1との境界は回転軸方向に平行である。
【0046】
図6に示すように、左側傾斜板52-1は、回転軸方向に平行な平面に沿って広がる板状部材である。下方から上方に見たとき、左側傾斜板52-1は、左側支持板51-1の仮想的な延長線に対して約30度傾いている。
図10に示すように、左側傾斜板52-1の上端縁部及び下端縁部は回転軸16(
図6)に直交する平面に平行である。左側傾斜板52-1の半径方向内側の端縁部は左側支持板51-1に固定されている。左側傾斜板52-1の半径方向外側の端縁部は回転軸方向に平行である。
図6に示すように、第1の回転方向17(
図6)において左側傾斜板52-1の半径方向内側の端縁部は、左側傾斜板52-1の半径方向外側の端縁部より前方に位置している。
【0047】
左側傾斜板52-1は、穴の側面に向かって地盤復旧材料を締め固めるための左側横傾斜面53-1を備える。左側横傾斜面53-1は、左側傾斜板52-1の1つの面であり、第1の回転方向17(
図6)の前方に位置し、回転軸方向に平行である。左側横傾斜面53-1は、回転軸16(
図6)に近い左側横傾斜面内縁部54-1と、回転軸16(
図6)から遠い左側横傾斜面外縁部55-1とを備える。第1の回転方向17(
図6)において左側横傾斜面内縁部54-1が左側横傾斜面外縁部55-1より前方に位置している。左側横傾斜面内縁部54-1は、左側支持板51-1と左側傾斜板52-1との接続部分に位置する。左側横傾斜面外縁部55-1は回転軸方向に平行である。
【0048】
図11に示すように、右側ヘッドブレード15-2はヘッド14の外面の比較的下部(すなわち、左側ヘッドブレード15-1より下方)に固定されており、
図6に示すように、回転軸16から離れる方向に、及び右側に向かってヘッド14から突出している。
図11に示すように、右側ヘッドブレード15-2は右側支持板51-2と右側傾斜板52-2と下側傾斜板56と角板57とを備える。
【0049】
右側支持板51-2は、回転軸16(
図6)を通る平面に沿って広がる板状部材である。右側支持板51-2の半径方向内側の端縁部はヘッド14に固定されている。右側支持板51-2の上端縁部及び下端縁部は半径方向に延びている。右側支持板51-2の半径方向外側の端縁部は右側傾斜板52-2に固定されている。右側支持板51-2と右側傾斜板52-2との境界は回転軸方向に平行である。
【0050】
右側傾斜板52-2は、回転軸方向に平行な平面に沿って広がる板状部材である。上方から下方に見たとき、右側傾斜板52-2は、右側支持板51-2の仮想的な延長線に対して約30度傾いている。右側傾斜板52-2の上端縁部及び下端縁部は回転軸16(
図6)に直交する平面に平行である。右側傾斜板52-2の半径方向内側の端縁部は右側支持板51-2に固定されている。右側傾斜板52-2の半径方向外側の端縁部は回転軸方向に平行である。第1の回転方向17(
図6)において右側傾斜板52-2の半径方向内側の端縁部は、右側傾斜板52-2の半径方向外側の端縁部より前方に位置している。
【0051】
右側傾斜板52-2は、穴の側面に向かって地盤復旧材料を締め固めるための右側横傾斜面53-2を備える。右側横傾斜面53-2は、右側傾斜板52-2の1つの面であり、第1の回転方向17(
図6)の前方に位置し、回転軸方向に平行である。右側横傾斜面53-2は、回転軸16(
図6)に近い右側横傾斜面内縁部54-2と、回転軸16(
図6)から遠い右側横傾斜面外縁部55-2とを備える。第1の回転方向17(
図6)において右側横傾斜面内縁部54-2が右側横傾斜面外縁部55-2より前方に位置している。右側横傾斜面内縁部54-2は、右側支持板51-2と右側傾斜板52-2との接続部分に位置する。右側横傾斜面外縁部55-2は回転軸方向に平行である。
【0052】
下側傾斜板56は、右側支持板51-2の下端縁部から斜め下方に延びている。角板57は、右側傾斜板52-2の下端縁部と下側傾斜板56の半径方向外側の端縁部とを接続している。下側傾斜板56の下端縁部及び角板57の下端縁部は回転軸方向に直交する平面に平行に延びている。第1の回転方向17(
図6)において下側傾斜板56の上端縁部は、下側傾斜板56の下端縁部より前方に位置している。下側傾斜板56は、穴内において回転軸方向に向けて地盤復旧材料を締め固めるための下傾斜面58を備える。下傾斜面58は、下側傾斜板56のうち第1の回転方向17(
図6)の前方に位置する。第1の回転方向17(
図6)において下傾斜面58の上端縁部は下傾斜面58の下端縁部はより前方に位置している。
【0053】
左側ヘッドブレード15-1と右側ヘッドブレード15-2とを区別せずに、ヘッドブレード15と呼ぶ。左側支持板51-1と右側支持板51-2とを区別せずに、支持板51と呼ぶ。左側傾斜板52-1と右側傾斜板52-2とを区別せずに、傾斜板52と呼ぶ。左側横傾斜面53-1と右側横傾斜面53-2とを区別せずに、横傾斜面53と呼ぶ。左側横傾斜面内縁部54-1と右側横傾斜面内縁部54-2とを区別せずに、横傾斜面内縁部54と呼ぶ。左側横傾斜面外縁部55-1と右側横傾斜面外縁部55-2とを区別せずに、横傾斜面外縁部55と呼ぶ。
【0054】
図6に示すように、回転軸16に直交する方向において、突起13のうち回転軸16から最も遠い部分と回転軸16との間の距離は、ヘッドブレード15のうち回転軸16から最も遠い部分と回転軸16との間の距離に等しい。本例では、ヘッドブレード15のうち回転軸16から最も遠い部分は、効率の高い締め固めを実現する観点から横傾斜面外縁部55(
図10及び
図11)である。回転軸16から左側横傾斜面外縁部55-1(
図10)までの距離は、右側横傾斜面外縁部55-2(
図11)から回転軸16までの距離に等しい。他の例において、ヘッドブレード15のうち回転軸16から最も遠い部分は、他の部分であってもよい。
【0055】
本例では、突起13のうち回転軸16から最も遠い部分は、効率の高い締め固めを実現する観点から傾斜面外縁部42である。他の例において、突起13のうち回転軸16から最も遠い部分は、他の部分であってもよく、例えば、背面外縁部44又は中継面33であってもよい。
【0056】
左側ヘッドブレード15-1と右側ヘッドブレード15-2とが回転軸16を中心として約180度ずれて配置されているので、締め固め時の左右のバランスが良い。また、左側ヘッドブレード15-1と右側ヘッドブレード15-2とが上下にずれて配置されているので、地盤復旧材料が左側ヘッドブレード15-1と右側ヘッドブレード15-2との間で締め固めに使われないまま塊になって動くことを防ぎやすい。
【0057】
<地盤復旧方法>
次に、上記の地盤復旧オーガー10を使用して地盤に開いた穴を地盤復旧材料により埋める地盤復旧方法について説明する。
図12は、地盤復旧方法を説明するためのフローチャートである。予め地盤には穴が設けられている。穴は、例えば、地盤を補強するために埋設されていた円柱状の杭を抜いた後に形成されたおおむね円柱状の穴である。地盤復旧方法は、地盤の穴を地盤復旧材料により埋めるために実行される。
【0058】
地盤復旧材料としては、種々の材料を使用することができ、例えば地盤と同じ材料が挙げられる。環境に悪影響を及ぼさない観点からはセメントを含まないことが望ましく、例えば、粘土と砂とを含む混合材料が挙げられる。例えば、地盤復旧材料は、地上で予め混合される。
【0059】
まず、ステップ61において、
図1の地盤復旧オーガー10を地盤の穴内に配置する。次に、ステップ62において、穴内においてシャフト11を第1の回転方向17(
図5)に回転させる。シャフト11が回転している間に、螺旋搬送部12の上端に地盤復旧材料を載せると、地盤復旧材料がシャフト11の上端から下端に向けて搬送される。
【0060】
ヘッド14付近では下傾斜面58に沿って地盤復旧材料が下方に送られ、下傾斜面58が「こて」のように作用することで、地盤復旧材料が下方に向かって締め固められながら、上方に積み上がっていく。地盤復旧材料の積み上げに伴って、地盤復旧オーガー10が徐々に上昇する。更に、横傾斜面53が穴の側面に対して「こて」のように作用することで、地盤復旧材料が穴の側面(水平方向)に向かって締め固められる。
【0061】
更に、シャフト11が回転しているとき、地盤復旧材料と地盤の構成材料(例えば穴の側面から崩れた土)との少なくとも一方が、突起13の傾斜面31に沿って穴の側面に向けて送られる。その結果、突起13の傾斜面31及び中継面33が「こて」のように作用することで、地盤復旧材料又は地盤の構成材料が穴の側面(水平方向)に向かって締め固められる。本実施形態では、中継面33が傾斜面31と同様の効果を発揮する。
【0062】
穴が地盤復旧材料又は地盤の構成材料により埋められて行くにつれて、地盤復旧オーガー10が徐々に上昇する。所望の深さまで穴が埋められたとき、本方法が終了する。「こて」のような作用により地盤復旧材料又は地盤の構成材料に含まれるある程度の気泡や水分が排出されるため、穴内の地盤復旧材料及び周辺地盤が締め固められる。
【0063】
(まとめ)
本実施形態によれば、穴の中でシャフト11を第1の回転方向17に回転させたとき、突起13の傾斜面31が穴の側面に対して「こて」で摺るように動くので、穴の崩落を防ぐことができる。更に本態様によれば、傾斜面31と穴の側面との間隔が傾斜面内縁部41から傾斜面外縁部42に向けて徐々に狭くなるので、穴の中でシャフト11を第1の回転方向17に回転させたとき、傾斜面内縁部41から傾斜面外縁部42に向けて移動する地盤復旧材料又は地盤の構成材料により穴の側面を締め固めることができる。
【0064】
本実施形態によれば、突起13が中継面33を備えるので、傾斜面外縁部42と背面外縁部44とが直接交差する場合に比べて、突起13が穴の側面に突き刺ささりにくくなり、又、十分に締め固めることができる。更に、中継面33を傾斜面31と同様に「こて」のように作用させることができる。
【0065】
本実施形態によれば、螺旋搬送部12の一巻き当たりの突起13の数が偶数個であるので、回転軸16に沿って見たとき、回転軸16を中心として両側に対称的に突起13が位置することとなる。従って、突起13と穴の側面との間に加わる力が回転軸16を中心として対称的となり、地盤復旧オーガー10のぶれを小さくすることができる。
【0066】
本実施形態によれば、螺旋ブレード21の厚さより長い補助外面25に、螺旋ブレード21の厚さより長い突起13が固定されているので、螺旋ブレード21に直接突起13を固定する場合に比べて安定して突起13を固定することができる。また、螺旋ブレード21の厚さに制限されずに突起13の高さを決定できるので、1つの突起13で一度に広い高さ範囲を締め固めることができる。
【0067】
本実施形態によれば、突起13のうち回転軸16から最も遠い部分と回転軸16との間の距離が、ヘッドブレード15のうち回転軸16から最も遠い部分と回転軸16との間の距離に等しいので、比較的上方にある突起13が穴の側面の崩落を防ぐように摺り、更に締め固め、同時に、比較的下方にあるヘッドブレード15が穴の側面を地盤復旧材料とともに締め固めることができ、結果として、穴の内部及び周辺地盤を長い時間をかけず十分に、かつ同程度の固さに締め固めることができる。
【0068】
本実施形態によれば、突起13により穴の側面を締め固めると同時に、ヘッドブレード15により回転軸方向(下方向)においても地盤復旧材料を締め固めることができるので、長い時間をかけずに穴の内部と周辺地盤を締め固めることができる。
【0069】
本開示の発明は上述の実施形態に限定されない。当業者が本開示に基づいて上述の実施形態に種々の変更を加えることが考えられるため、そのような変更された実施形態も本開示の発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
10…地盤復旧オーガー、11…シャフト、12…螺旋搬送部、13…突起、
14…ヘッド、15…ヘッドブレード、15-1…左側ヘッドブレード、
15-2…右側ヘッドブレード、16…回転軸、17…第1の回転方向、
18…第2の回転方向、21…螺旋ブレード、22…補助部、23…螺旋内縁部、
24…螺旋外縁部、25…補助外面、31…傾斜面、32…背面、33…中継面、
34…上面、35…下面、41…傾斜面内縁部、42…傾斜面外縁部、
43…背面内縁部、44…背面外縁部、51…支持板、51-1…左側支持板、
51-2…右側支持板、52…傾斜板、52-1…左側傾斜板、52-2…右側傾斜板、
53…横傾斜面、53-1…左側横傾斜面、53-2…右側横傾斜面、
54…横傾斜面内縁部、54-1…左側横傾斜面内縁部、
54-2…右側横傾斜面内縁部、55…横傾斜面外縁部、
55-1…左側横傾斜面外縁部、55-2…右側横傾斜面外縁部、56…下側傾斜板、
57…角板、58…下傾斜面
【要約】
【課題】地盤復旧中に穴の側面の崩落を防ぎながら、長い時間をかけずに穴の内部及び周辺地盤を十分に締め固めること。
【解決手段】地盤復旧オーガー10は、回転軸16の周りで少なくとも第1の回転方向17に回転可能なシャフト11と、第1の回転方向17におけるシャフト11の回転に伴ってシャフト11の上端から下端に向けて地盤復旧材料を搬送するための螺旋搬送部12と、螺旋搬送部12に固定された1つ以上の突起13とを備える。突起13が、回転軸16から離れる方向に螺旋搬送部12から突出しており、突起13が、第1の回転方向17において突起13の前側に位置する傾斜面31を備え、傾斜面31が、回転軸16に近い傾斜面内縁部41と回転軸16から遠い傾斜面外縁部42とを備え、第1の回転方向17において傾斜面内縁部41が傾斜面外縁部42より前方に位置している。
【選択図】
図9