IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 浜松ホトニクス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-リニアイメージセンサ 図1
  • 特許-リニアイメージセンサ 図2
  • 特許-リニアイメージセンサ 図3
  • 特許-リニアイメージセンサ 図4
  • 特許-リニアイメージセンサ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】リニアイメージセンサ
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/028 20060101AFI20220516BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
H04N1/028 Z
H01L27/146 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2016166673
(22)【出願日】2016-08-29
(65)【公開番号】P2018037720
(43)【公開日】2018-03-08
【審査請求日】2019-04-26
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100110582
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 昌聰
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】高 哲也
【合議体】
【審判長】五十嵐 努
【審判官】渡辺 努
【審判官】木方 庸輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-41188(JP,A)
【文献】特開平11-234473(JP,A)
【文献】特開平8-289083(JP,A)
【文献】特表2008-541564(JP,A)
【文献】特表2005-509378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N1/024-1/036
G01J1/00-1/60
H01L27/14-27/148
H01L31/00-31/02
H01L31/08-31/10
H04N5/30-5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々入射光量に応じた電圧値を出力する複数の単位ユニットが一次元状に配列されたリニアイメージセンサであって、
前記複数の単位ユニットそれぞれは、
光入射に応じて電荷を発生させるフォトダイオードと、
前記フォトダイオードの一端にゲートが接続されるとともに第1基準電位入力端にドレインが接続されるMOSトランジスタと、前記MOSトランジスタのソースと接続ノードとの間に設けられた動作制御スイッチと、前記接続ノードと第2基準電位入力端との間に設けられた電流源とを含み、前記動作制御スイッチがオン状態である期間に、前記MOSトランジスタの前記ゲートの電圧値に応じた電圧値を前記接続ノードから出力するソースフォロワアンプと、
入力端子および出力端子を有するアンプと、前記アンプの前記入力端子と前記出力端子との間に設けられ前記ソースフォロワアンプから出力される電圧値に応じた量の電荷を蓄積する容量部と、前記アンプの前記入力端子と前記出力端子との間に前記容量部に対して並列的に設けられ前記容量部における電荷蓄積をリセットするためのリセットスイッチとを含み、前記容量部における電荷蓄積量に応じた電圧値を出力するチャージアンプと、
を備える、
リニアイメージセンサ。
【請求項2】
前記チャージアンプは、前記動作制御スイッチがオフ状態である期間に前記リセットスイッチをオン状態として前記容量部における電荷蓄積をリセットする、
請求項に記載のリニアイメージセンサ。
【請求項3】
前記チャージアンプは、前記容量部の容量値が可変であり、前記容量部における電荷蓄積量および前記容量値に応じた電圧値を出力する、
請求項またはに記載のリニアイメージセンサ。
【請求項4】
前記チャージアンプは、前記リセットスイッチがオン状態である期間に前記容量部の容量値を変更する、
請求項に記載のリニアイメージセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアイメージセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フォトダイオードおよびアンプを各々備える複数の単位ユニットが一次元状に配列された構成を有するリニアイメージセンサが知られている(特許文献1,2を参照)。このリニアイメージセンサの各単位ユニットにおいて、フォトダイオードは光入射に応じて電荷を発生させ、アンプはフォトダイオードにおいて発生した電荷の量に応じた電圧値を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-141562号公報
【文献】特表2002-534005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成を有するリニアイメージセンサは、消費電力の抑制が困難であるという問題を有する。本発明は、消費電力を抑制することができるリニアイメージセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のリニアイメージセンサは、各々入射光量に応じた電圧値を出力する複数の単位ユニットが一次元状に配列されたリニアイメージセンサである。複数の単位ユニットそれぞれは、(1) 光入射に応じて電荷を発生させるフォトダイオードと、(2) フォトダイオードの一端にゲートが接続されるとともに第1基準電位入力端にドレインが接続されるMOSトランジスタと、MOSトランジスタのソースと接続ノードとの間に設けられた動作制御スイッチと、接続ノードと第2基準電位入力端との間に設けられた電流源とを含み、動作制御スイッチがオン状態である期間に、MOSトランジスタのゲートの電圧値に応じた電圧値を接続ノードから出力するソースフォロワアンプと、を備える。
【0006】
本発明において、複数の単位ユニットそれぞれは、(3) 入力端子および出力端子を有するアンプと、アンプの入力端子と出力端子との間に設けられソースフォロワアンプから出力される電圧値に応じた量の電荷を蓄積する容量部と、アンプの入力端子と出力端子との間に容量部に対して並列的に設けられ容量部における電荷蓄積をリセットするためのリセットスイッチとを含み、容量部における電荷蓄積量に応じた電圧値を出力するチャージアンプを更に備えるのが好適である。
【0007】
本発明において、チャージアンプは、動作制御スイッチがオフ状態である期間にリセットスイッチをオン状態として容量部における電荷蓄積をリセットするのが好適である。チャージアンプは、容量部の容量値が可変であり、容量部における電荷蓄積量および容量値に応じた電圧値を出力するのが好適である。また、チャージアンプは、リセットスイッチがオン状態である期間に容量部の容量値を変更するのが好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のリニアイメージセンサは消費電力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態のリニアイメージセンサ1の構成を示す図である。
図2図2は、各単位ユニット10の第1構成例を示す図である。
図3図3は、各単位ユニット10の第1構成例の動作を説明するタイミングチャートである。
図4図4は、各単位ユニット10の第2構成例を示す図である。
図5図5は、各単位ユニット10の第2構成例の動作を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0011】
図1は、本実施形態のリニアイメージセンサ1の構成を示す図である。リニアイメージセンサ1は、N個の単位ユニット10~10、読出回路20および制御部30を備える。リニアイメージセンサ1は、制御部30により制御されて、各単位ユニット10に含まれるフォトダイオードへの入射光量に応じた電圧値を読出回路20からビデオライン40へ順次に出力する。ここで、Nは2以上の整数であり、nは1以上N以下の各整数である。
【0012】
N個の単位ユニット10~10は、共通の構成を有しており、一次元状に一定ピッチで配列されている。各単位ユニット10は、フォトダイオードを含み、該フォトダイオードへの入射光量に応じた電圧値を出力する。
【0013】
読出回路20は、N個のホールド回路21~21、N個のスイッチ22~22およびN個のスイッチ23~23を含む。各ホールド回路21は、スイッチ22を介して単位ユニット10の出力端と接続されており、スイッチ22がオン状態からオフ状態に転じる直前に単位ユニット10から出力されていた電圧値を保持する。各ホールド回路21は、スイッチ23を介してビデオライン40と接続されており、スイッチ23がオン状態であるときに、保持している電圧値をビデオライン40へ出力する。
【0014】
スイッチ22~22は、制御部30から与えられる制御信号により制御されて、互いに同じタイミングでオン/オフが切り替えられる。スイッチ23~23は、制御部30から与えられる制御信号により制御されて、順次に一定期間だけオン状態となる。制御部30は、読出回路20のスイッチ22~22およびスイッチ23~23それぞれのオン/オフを制御する他、単位ユニット10~10それぞれの動作をも制御する。
【0015】
以下では、図2および図3を用いて各単位ユニット10の第1構成例について説明し、図4および図5を用いて各単位ユニット10の第2構成例について説明する。
【0016】
図2は、各単位ユニット10の第1構成例を示す図である。各単位ユニット10は、フォトダイオード50、MOSトランジスタ51、MOSトランジスタ52およびソースフォロワアンプ60を備える。ソースフォロワアンプ60は、MOSトランジスタ61、動作制御スイッチ62および電流源63を含む。
【0017】
フォトダイオード50は、光入射に応じて電荷を発生させる。フォトダイオード50のアノードは、第2基準電位(例えば接地電位)が入力される第2基準電位入力端と接続される。MOSトランジスタ61のゲートは、MOSトランジスタ51を介してフォトダイオード50のカソードと接続されるとともに、MOSトランジスタ52を介して、第1基準電位(例えば電源電位)が入力される第1基準電位入力端と接続される。MOSトランジスタ61のドレインは第1基準電位入力端と接続される。
【0018】
動作制御スイッチ62は、MOSトランジスタ61のソースと接続ノード64との間に設けられている。動作制御スイッチ62はMOSトランジスタにより構成され得る。電流源63は、接続ノード64と第2基準電位入力端との間に設けられている。電流源63は、MOSトランジスタを含んで構成され得る他、抵抗器により構成されてもよい。
【0019】
MOSトランジスタ51,52それぞれのオン/オフは、制御部30から与えられる制御信号により制御される。MOSトランジスタ52がオン状態であるとき、MOSトランジスタ61のゲート電位が初期化される。MOSトランジスタ51,52がオン状態であるとき、フォトダイオード50の接合容量における電荷の蓄積が初期化される。MOSトランジスタ51がオン状態であってMOSトランジスタ52がオフ状態であるとき、MOSトランジスタ61のゲート電位は、フォトダイオード50への入射光量に応じたものとなる。
【0020】
また、動作制御スイッチ62のオン/オフも、制御部30から与えられる制御信号により制御される。動作制御スイッチ62がオン状態である期間、第1基準電位入力端からMOSトランジスタ61、動作制御スイッチ62および電流源63を経て第2基準電位入力端へ電流が流れ、MOSトランジスタ61のゲート電位に応じた電圧値が接続ノード64から出力される。一方、動作制御スイッチ62がオフ状態である期間では、ソースフォロワアンプ60は、電流が流れず、パワーダウン状態となる。
【0021】
図3は、各単位ユニット10の第1構成例の動作を説明するタイミングチャートである。動作制御スイッチ62は一定周期でオン/オフが切り替えられる。動作制御スイッチ62がオン状態である期間、MOSトランジスタ61のゲート電位に応じた電圧値が単位ユニット10から出力され、スイッチ22がオン状態からオフ状態に転じる直前に単位ユニット10から出力されていた電圧値がホールド回路21により保持される。動作制御スイッチ62がオフ状態である期間、N個のスイッチ23~23が順次に一定期間だけオン状態となって、N個のホールド回路21~21により保持されていた電圧値が順次にビデオライン40へ出力される。
【0022】
動作制御スイッチ62がオン状態である期間ではソースフォロワアンプ60に電流が流れるのに対して、動作制御スイッチ62がオフ状態である期間ではソースフォロワアンプ60に電流が流れない。動作制御スイッチ62がオン状態である期間の長さは、オン/オフ切り替え周期の例えば15%程度とすることができる。本実施形態のリニアイメージセンサ1は、非使用時に動作制御スイッチ62をオフ状態とすることができるので、消費電力を抑制することができる。
【0023】
なお、動作制御スイッチ62がオフ状態からオン状態に転じた際におけるソースフォロワアンプ60の再起動は速い。したがって、ソースフォロワアンプ60の非使用時に、動作制御スイッチ62をオフ状態として、ソースフォロワアンプ60をパワーダウン状態とすることができる。
【0024】
図4は、各単位ユニット10の第2構成例を示す図である。この図4に示される各単位ユニット10は、図2に示された構成に加えて、容量素子70およびチャージアンプ80を更に備える。チャージアンプ80は、アンプ81、容量部82およびリセットスイッチ83を含む。
【0025】
アンプ81は、反転入力端子、非反転入力端子および出力端子を有する。アンプ81の非反転入力端子は、固定のバイアス電位が入力される。アンプ81の反転入力端子は、容量素子70を介して、ソースフォロワアンプ60の接続ノード64と接続されている。
【0026】
容量部82は、アンプ81の反転入力端子と出力端子との間に設けられている。容量部82は、ソースフォロワアンプ60から出力される電圧値に応じた量の電荷を蓄積する。容量部82の容量値は、固定であってもよいが、可変であるのが好適である。容量部82は、容量素子84、容量素子85およびスイッチ86を含んで構成されることで、容量値を可変とすることができる。容量素子85およびスイッチ86は直列的に接続され、これらと容量素子84とは並列的に設けられている。スイッチ86がオン/オフの何れの状態であるかによって、容量部82の容量値が異なり、チャージアンプ80のゲインが異なる。スイッチ86のオン/オフは、制御部30から与えられる制御信号により制御される。
【0027】
リセットスイッチ83は、アンプ81の反転入力端子と出力端子との間に容量部82に対して並列的に設けられている。リセットスイッチ83がオン状態であるとき、容量部82における電荷蓄積がリセットされる。リセットスイッチ83がオフ状態であるとき、容量部82における電荷蓄積量および容量部82の容量値に応じた電圧値がアンプ81の出力端子から出力される。リセットスイッチ83のオン/オフは、制御部30から与えられる制御信号により制御される。
【0028】
図5は、各単位ユニット10の第2構成例の動作を説明するタイミングチャートである。動作制御スイッチ62、スイッチ22~22およびスイッチ23~23それぞれのオン/オフの切り替えタイミングは、図3に示されたものと同じである。したがって、第1構成例の場合と同様に、第2構成例の場合においても消費電力を抑制することができる。
【0029】
第2構成例の場合においては、動作制御スイッチ62がオフ状態である期間に、リセットスイッチ83がオン状態となって、容量部82における電荷蓄積がリセットされる。また、リセットスイッチ83がオン状態である期間に、スイッチ86のオン/オフが切り替えられて、容量部82の容量値が変更される。動作制御スイッチ62がオフ状態である期間に、チャージアンプ80においてリセットスイッチ83およびスイッチ86それぞれのオン/オフの切り替えが行われる。したがって、これらのスイッチのオン/オフの切り替えの際にノイズが発生したとしても、そのノイズの影響がフォトダイオード50やソースフォロワアンプ60に及ぶことが抑制され、安定した動作が可能となる。
【0030】
なお、上記の実施形態の動作例ではN個の単位ユニット10~10が同一タイミングで動作したが、N個の単位ユニット10~10は順次に動作して順次に電圧値を出力してもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…リニアイメージセンサ、10~10…単位ユニット、20…読出回路、21~21…ホールド回路、22~22…スイッチ、23~23…スイッチ、30…制御部、40…ビデオライン、50…フォトダイオード、51,52…MOSトランジスタ、60…ソースフォロワアンプ、61…MOSトランジスタ、62…動作制御スイッチ、63…電流源、64…接続ノード、70…容量素子、80…チャージアンプ、81…アンプ、82…容量部、83…リセットスイッチ、84,85…容量素子、86…スイッチ。
図1
図2
図3
図4
図5