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特許7073054レセプタクルコネクタ及びレセプタクルコネクタの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】レセプタクルコネクタ及びレセプタクルコネクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20220516BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R43/00 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017133978
(22)【出願日】2017-07-07
(65)【公開番号】P2018022682
(43)【公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2016145901
(32)【優先日】2016-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】武井 一統
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 聡一
(72)【発明者】
【氏名】山田 清孝
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-160360(JP,A)
【文献】特開2011-100686(JP,A)
【文献】特開2011-129397(JP,A)
【文献】特開2004-055463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
24/00-24/86
43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグコネクタのプラグコンタクトと接触する第1接触部及び第2接触部並びに、基板に実装する接続部を有する複数のレセプタクルコンタクトと、該レセプタクルコンタクトが保持及び配列され、前記プラグコネクタが嵌合されるハウジングと、を備えるレセプタクルコネクタであって、
前記レセプタクルコンタクトは、前記接続部から立設するとともに前記第2接触部を持つ弾性部と、前記弾性部から平板状に横設された保持部と、前記保持部から立設する前記第1接触部と、を有し、
前記保持部の幅方向両端部及び、前記保持部の長手方向両端部と2つの立設部分である前記第1接触部及び前記弾性部との間に連設する湾曲部の前記第1接触部及び前記弾性部寄りの部分は、実装時に前記第1接触部及び前記弾性部が基板側から視認できないように、前記基板に対向する下面側にて前記ハウジングによって覆われており、前記保持部の幅方向中央部分は前記下面側にて露出していることを特徴とするレセプタクルコネクタ。
【請求項2】
前記保持部の前記幅方向両端部は、前記接触部の両側縁位置よりも外側に張り出した一対の幅拡張部分であることを特徴とする請求項1記載のレセプタクルコネクタ。
【請求項3】
前記保持部の前記幅方向両端部は、それぞれ幅寸法が0.03mm以上0.12mm以下であることを特徴とする請求項1または2記載のレセプタクルコネクタ。
【請求項4】
プラグコネクタのプラグコンタクトと接触する第1接触部及び第2接触部並びに、基板に実装する接続部を有する複数のレセプタクルコンタクトと、該レセプタクルコンタクトが保持及び配列され、前記プラグコネクタが嵌合されるハウジングと、を備えるレセプタクルコネクタの製造方法であって、
板状部材から、前記接続部と、該接続部から立設させ、少なくとも1回以上湾曲させるとともに前記第2接触部を持たせた弾性部と、該弾性部から平板状に横設した保持部と、該保持部から立設させた前記第1接触部とを有する所定形状の前記レセプタクルコンタクトに形成する第1工程と、
前記所定形状のレセプタクルコンタクトを、一方の金型部材と他方の金型部材からなる金型のうちの前記一方の金型部材に配置し、前記第1接触部の両側縁位置よりもそれぞれ外側に張り出した前記保持部の一対の幅拡張部分を、前記一方の金型部材との型締め位置まで移動させた前記他方の金型部材の部位で前記プラグコネクタが嵌合される方向から押圧当接した状態で、前記金型内のハウジング形状を形成する空間へ樹脂を充填し、前記一方の金型部材は、前記保持部との対向面に形成され、前記保持部の前記一対の幅拡張部分の間の部分を載置されて前記一対の幅拡張部分を前記対向面から離間させる段部を有し、前記段部によって離間された前記保持部の前記一対の幅拡張部分と前記一方の金型部材の前記対向面との間に樹脂を充填することにより、前記レセプタクルコンタクトの前記保持部の前記一対の幅拡張部分が前記保持部の長手方向両端部と2つの立設部分である前記第1接触部及び前記弾性部との間に連設する湾曲部の前記第1接触部及び前記弾性部寄りの部分とともに一体成形された前記ハウジングを形成する第2工程と、
を少なくとも含み、
前記第2工程において、前記一対の幅拡張部分は前記保持部の長手方向両端部と前記第1接触部及び前記弾性部との間に連設する湾曲部の前記第1接触部及び前記弾性部寄りの部分とともに、実装時に前記第1接触部及び前記弾性部が基板側から視認できないように、前記基板に対向する下面側にて前記ハウジングによって覆われることを特徴とするレセプタクルコネクタの製造方法。
【請求項5】
前記幅拡張部分は、それぞれ幅寸法が0.03mm以上0.12mm以下であることを特徴とする請求項4記載のレセプタクルコネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器や電子機器等の基板間を接続するコネクタに関し、特に、相手側のプラグコネクタと着脱可能に嵌合するレセプタクルコネクタ及びレセプタクルコネクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一方の基板に実装したプラグコネクタと、他方の基板に実装したレセプタクルコネクタとを嵌合することにより、電気機器や電子機器等の基板間の導通がなされている。これらの従来のレセプタクルコネクタは、プラグコネクタが嵌合されるハウジングに、プラグコネクタのプラグコンタクトと接触する接触部と他方の基板に接続される接続部とを有する複数のレセプタクルコンタクトが保持及び配列されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
また、上記のようにハウジングに保持及び配列されたレセプタクルコンタクトには、基板の腐食を防止するため、接続部にコンフォーマルコーティング等の溶剤を塗布する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-238519号公報
【文献】特開2013-016410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レセプタクルコンタクトとハウジングとの間に隙間が形成されていると、接続部に塗布された溶剤が接触部まで濡れ上がってしまい、プラグコネクタとの嵌合時に基板間の接続不良が発生するおそれがある。
【0006】
また、レセプタクルコンタクトとハウジングとの間に隙間が形成されることを防止するため、レセプタクルコンタクトをハウジングに一体成形することが考えられる。しかしながら、一体成形するためには、金型でレセプタクルコンタクトを両側から挟持して樹脂を充填しなければならず、従来のレセプタクルコンタクトの構造では、接触部等を傷つけることなく挟持するスペースがないため、レセプタクルコンタクトの両側に金型による穴が形成され、レセプタクルコネクタの品質が低下するおそれがある。
【0007】
このように、従来のレセプタクルコネクタの構造では、一体成形する際に金型による穴が形成されて、溶剤の濡れ上がりによる接続不良等のレセプタクルコンタクトの品質が低下するおそれがあるため、品質の低下を抑制しつつ接続安定性を向上することが可能なレセプタクルコネクタの構造が求められてきた。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、品質の低下を抑制しつつ接続安定性を向上することが可能なレセプタクルコネクタ及びレセプタクルコネクタの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明に係るレセプタクルコネクタは、プラグコネクタのプラグコンタクトと接触する第1接触部及び第2接触部並びに、基板に実装する接続部を有する複数のレセプタクルコンタクトと、該レセプタクルコンタクトが保持及び配列され、前記プラグコネクタが嵌合されるハウジングと、を備えるレセプタクルコネクタであって、
前記レセプタクルコンタクトは、前記接続部から立設するとともに前記第2接触部を持つ弾性部と、前記弾性部から平板状に横設された保持部と、前記保持部から立設する前記第1接触部と、を有し、
前記保持部の幅方向両端部及び、前記保持部の長手方向両端部と2つの立設部である前記第1接触部及び前記弾性部との間に連設する湾曲部の前記第1接触部及び前記弾性部寄りの部分は、実装時に前記第1接触部及び前記弾性部が基板側から視認できないように、前記基板に対向する下面側にて前記ハウジングによって覆われており、前記保持部の幅方向中央部分は前記下面側にて露出していることを特徴とする。
【0010】
上記のレセプタクルコネクタは、レセプタクルコンタクトの保持部の幅方向両端部及その保持部の長手方向両端部と2つの立設部である第1接触部及び弾性部との間に連設する湾曲部の第1接触部及び弾性部寄りの部分が、実装時に2つの立設部が基板側から視認できないように、前記基板に対向する下面側にて前記ハウジングによって覆われている。このため、基板の腐食を防止するため、接続部にコンフォーマルコーティング等の溶剤を塗布した場合に、接続部に塗布された溶剤が接触部まで濡れ上がり、プラグコネクタとの嵌合時に基板間の接続不良が発生する事態を防止することができる。したがって、本発明のレセプタクルコネクタによれば、品質の低下を抑制しつつ接続安定性を向上することができる。
【0011】
本発明の一態様に係るレセプタクルコネクタにおいて、保持部の幅方向両端部は、前記接触部の両側縁位置よりも外側に張り出した一対の幅拡張部分である。
【0012】
本発明の一態様に係るレセプタクルコネクタにおいて、保持部の幅方向両端部は、それぞれ幅寸法が0.03mm以上0.12mm以下である。保持部の幅方向両端部の幅寸法が0.03mm以上0.12mm以下であることにより、レセプタクルコンタクトの大型化を避けつつ、ハウジングによるレセプタクルコンタクトの保持安定性を高めることができるとともに、上記溶剤の濡れ上がりをより確実に防止することができる。
【0013】
また、上述した課題を解決するため、本発明に係るレセプタクルコネクタの製造方法は、プラグコネクタのプラグコンタクトと接触する第1接触部及び第2接触部並びに、基板に実装する接続部を有する複数のレセプタクルコンタクトと、該レセプタクルコンタクトが保持及び配列され、前記プラグコネクタが嵌合されるハウジングと、を備えるレセプタクルコネクタの製造方法であって、
板状部材から、前記接続部と、該接続部から立設させ、少なくとも1回以上湾曲させるとともに前記第2接触部を持たせた弾性部と、該弾性部から平板状に横設した保持部と、該保持部から立設させた前記第1接触部とを有する所定形状の前記レセプタクルコンタクトに形成する第1工程と、
前記所定形状のレセプタクルコンタクトを、一方の金型部材と他方の金型部材からなる金型のうちの前記一方の金型部材に配置し、前記第1接触部の両側縁位置よりもそれぞれ外側に張り出した前記保持部の一対の幅拡張部分を、前記一方の金型部材との型締め位置まで移動させた前記他方の金型部材の部位で前記プラグコネクタが嵌合される方向から押圧当接した状態で、前記金型内のハウジング形状を形成する空間へ樹脂を充填し、前記一方の金型部材は、前記保持部との対向面に形成され、前記保持部の前記一対の幅拡張部分の間の部分を載置されて前記一対の幅拡張部分を前記対向面から離間させる段部を有し、前記段部によって離間された前記保持部の前記一対の幅拡張部分と前記一方の金型部材の前記対向面との間に樹脂を充填することにより、前記レセプタクルコンタクトの前記保持部の前記一対の幅拡張部分が前記保持部の長手方向両端部と2つの立設部分である前記第1接触部及び前記弾性部との間に連設する湾曲部の前記第1接触部及び前記弾性部寄りの部分とともに一体成形された前記ハウジングを形成する第2工程と、
を少なくとも含み、
前記第2工程において、前記一対の幅拡張部分は前記保持部の長手方向両端部と前記第1接触部及び前記弾性部との間に連設する湾曲部の前記第1接触部及び前記弾性部寄りの部分とともに、実装時に前記第1接触部及び前記弾性部が基板側から視認できないように、前記基板に対向する下面側にて前記ハウジングによって覆われることを特徴とする。
【0014】
上記のレセプタクルコネクタの製造方法は、レセプタクルコンタクトの一対の幅拡張部分に、プラグコネクタが嵌合される方向から移動させた金型部材の部位が押圧当接した状態で金型内のハウジング形状を形成する空間へ樹脂を充填する。このため、金型でレセプタクルコンタクトを保持した際の跡がハウジングに残ることがなく、レセプタクルコンタクトとハウジングとの間(保持部とハウジングとの間)に隙間が形成されることを抑制することができる。したがって、品質の低下を抑制しつつ接続安定性を向上することが可能なレセプタクルコネクタの製造方法を提供することができる。
【0015】
本発明の一態様に係るレセプタクルコネクタの製造方法において、前記幅拡張部分は、それぞれ幅寸法が0.03mm以上0.12mm以下である。
【0016】
このように、前記幅拡張部分の幅寸法をそれぞれ0.03mm以上0.12mm以下とすることにより、金型内のハウジング形状を形成する空間に樹脂を充填する際に一方の金型部材の部位が押圧当接した一対の幅拡張部分の破損を抑制しつつ、レセプタクルコネクタの大型化を防止することができる。
【0017】
また、本発明に係るレセプタクルコネクタの製造方法において、前記一方の金型部材は、前記保持部との対向面に形成され、前記保持部の前記一対の幅拡張部分の間の部分載置されるとともに前記一対の幅拡張部分を前記対向面から離間させる段部を有している。
【0018】
そして、本発明に係るレセプタクルコネクタの製造方法において、前記第2工程で、前記段部によって離間された前記保持部の前記一対の幅拡張部分と前記一方の金型部材の前記対向面との間に樹脂が充填されることにより、前記一対の幅拡張部分が前記保持部の長手方向両端部と2つの立設部分である前記第1接触部及び前記弾性部との間に連設する湾曲部の前記第1接触部及び前記弾性部寄りの部分とともに一体成形された前記ハウジングが形成され、前記一対の幅拡張部分は、前記保持部の長手方向両端部と前記第1接触部及び前記弾性部との間に連接する湾曲部の前記第1接触部及び前記弾性部寄りの部分とともに、実装時に2つの立設部分である前記第1接触部及び前記弾性部が基板側から視認できないように、前記基板に対向する下面側にて前記ハウジングによって覆われる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、レセプタクルコンタクトとハウジングとの間に隙間が形成されないため、接続部に塗布した溶剤等が接触部等に濡れ上がることがなく、品質の低下を抑制しつつ接続安定性を向上することが可能なレセプタクルコネクタおよびレセプタクルコネクタの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係るレセプタクルコネクタとプラグコネクタとからなる電気コネクタの概略構成を示すための分解斜視図である。
図2図1のレセプタクルコネクタを底面側から示した斜視図である。
図3図3(a)は図1のレセプタクルコネクタの側面図であり、図3(b)は、図3(a)中のI-I線に沿う断面図である。
図4】本実施形態に係るレセプタクルコネクタのレセプタクルコンタクトを示すための図であり、図4(a)は、本実施形態に係るレセプタクルコンタクトを一側から見た斜視図であり、図4(b)は、本実施形態に係るレセプタクルコンタクトを他側から見た斜視図であり、図4(c)は、本実施形態に係るレセプタクルコンタクトの平面図である。
図5図5(a)は、図1のレセプタクルコネクタの底面図であり、図5(b)は、図5(a)中のII-II線に沿う断面図である。
図6】本実施形態に係るレセプタクルコネクタタブ部を示すための図であり、図6(a)は、本実施形態に係るレセプタクルコネクタタブ部を一側から見た斜視図であり、図6(b)は、本実施形態に係るレセプタクルコネクタタブ部を他側から見た斜視図である。
図7】本実施形態に係る金型の構成を示すための図であり、図7(a)は、本実施形態に係る一方の金型部材を示す斜視図であり、図7(b)は、本実施形態に係る他方の金型部材を示す斜視図である。
図8図7(a)の一方の金型部材を示す斜視図である。
図9】本実施形態に係る他方の金型部材を一方の金型部材との型締め位置まで移動した状態を示すための斜視図であり、図9(a)は、本実施形態に係る他方の金型部材が一方の金型部材に当接した状態を示す斜視図であり、図9(b)は、本実施形態に係る金型内のハウジング形状を形成する空間に樹脂が充填された状態を示すための概略断面図である。
図10図9において、他方の金型部材を一方の金型部材との型締め位置まで移動させた状態での該他方の金型部材とレセプタクルコンタクトとの関係を示した斜視図である(一部のレセプタクルコンタクトは図示を省略している。)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係るレセプタクルコネクタの製造方法について図面を参照して説明する。なお、本実施形態に係るレセプタクルコネクタは、プラグコネクタと嵌合して電気機器や電子機器等の基板間を接続する電気コネクタを構成するレセプタクルコネクタである。
【0022】
[1.電気コネクタの概略構成]
はじめに、図1を参照して、本実施形態に係る電気コネクタ1の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る電気コネクタ1の概略構成を示すための図であり、電気コネクタ1を構成するプラグコネクタ12とレセプタクルコネクタ14の分解斜視図である。
【0023】
図1に示すように、電気コネクタ1は、一側の基板に実装されるプラグコネクタ12と、他側の基板に実装されるレセプタクルコネクタ14とを備える。このプラグコネクタ12とレセプタクルコネクタ14とは着脱自在に嵌合することが可能であり、プラグコネクタ12とレセプタクルコネクタ14とを基板に実装し、矢印A方向又は矢印B方向(嵌合方向A又は嵌合方向B)に2つのコネクタ12、14が嵌合することにより基板間を電気的に接続する。
【0024】
プラグコネクタ12は、コルソン合金、ベリリウム銅、リン青銅等の導電性の金属をプレス加工することによって略L字形状に形成されたプラグコンタクト21と、プラグコンタクト21が保持及び配列されて後述するハウジング45が嵌合されるブロック25と、電気コネクタ1の長手方向Xの両端側に配置されたプラグ側タブ部27とを備えている。
【0025】
プラグコンタクト21は、後述するレセプタクルコンタクト41と接触可能なプラグ側第1接触部211及びプラグ側第2接触部212と、一側の基板に接続されるプラグ側接続部213と、プラグ側第1接触部211とプラグ側第2接触部212との間で湾曲したプラグ側湾曲部214とを有している。
【0026】
ブロック25は、電気絶縁性のプラスチックで形成されており、長手方向Xに延びる両縁部である一対のブロック縁部26a,26bが形成されている。この一対のブロック縁部26a,26bには、プラグコンタクト21のプラグ側第1接触部211がそれぞれ対向するようにブロック縁部26a又はブロック縁部26bに保持及び配列されている。また、ブロック縁部26aとブロック縁部26bは湾曲しており、この湾曲した部分はプラグ側湾曲部214と一致して長手方向Xに沿って連続している。
【0027】
また、ブロック25は、一対のブロック縁部26a,26b間、すなわち、ブロック縁部26a又はブロック縁部26bに保持及び配列されたプラグ側第1接触部211間で長手方向Xに沿って連続して凹形状を有するブロック側嵌合口251が形成されている。このブロック側嵌合口251は、後述するハウジング45のレセプタクル側嵌合凸部453が挿入可能に形成されている。なお、上記プラグ側タブ部27には、一側の基板と接続することが可能な一側基板接続部271が形成されている。
【0028】
図1及び図2(a)に示すように、レセプタクルコネクタ14は、コルソン合金、ベリリウム銅、リン青銅等の導電性の金属をプレス加工することによって形成されたレセプタクルコンタクト41と、レセプタクルコンタクト41が保持及び配列されてプラグコネクタ12が嵌合されるハウジング45と、長手方向Xの両端側に配置されて他側の基板に半田付けされるレセプタクル側タブ部47を備えている。
【0029】
ハウジング45は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(66PA、46PA)、液晶ポリマー(LCP)、ポリカーボネート(PC)、これらの合成材料等の電気絶縁性のプラスチックを射出成形することによって形成されている。このハウジング45には、長手方向Xに延びる両縁部である一対のハウジング縁部46a,46bが形成されている。この一対のハウジング縁部46a,46bには、レセプタクルコンタクト41が保持及び配列されている。また、ハウジング縁部46aとハウジング縁部46bは湾曲しており、この湾曲した部分は後述する第2湾曲部433と一致して長手方向Xに沿って連続している。
【0030】
上記ハウジング45は、図1に示すように、レセプタクルコンタクト41を保持する保持穴451と、嵌合方向B側に凹んだ部分であるレセプタクル側嵌合凹部452a,452bと、ハウジング縁部46aとハウジング縁部46bとの間で長手方向Xに沿って連続して略凸形状を有するレセプタクル側嵌合凸部453と、長手方向Xの一方及び他方に配置されたタブ挿入穴454とを有する。
【0031】
保持穴451は、後述するレセプタクル側第1接触部411が弾性変形した場合に、ハウジング45の幅方向Yにレセプタクル側第1接触部411の弾性変形を許容することが可能な形状に形成されている。
【0032】
レセプタクル側嵌合凹部452a,452bは、後述するレセプタクル側第1接触部411とレセプタクル側第2接触部412とで形成される凹形状と略同様の凹形状を有している。そして、レセプタクル側嵌合凹部452a,452bと、レセプタクル側第1接触部411とレセプタクル側第2接触部412とにより、ハウジング45には、長手方向Xに連続して延びるハウジング凹部462a,462bが形成される。
【0033】
レセプタクル側嵌合凸部453は、上述したブロック側嵌合口251が挿入可能に形成されている。また、タブ挿入穴454は、上述したプラグ側タブ部27が挿入可能に形成されている。
【0034】
[2.レセプタクルコンタクトの構成]
次に、図3(b)、図4及び図5(b)を参照して、レセプタクルコンタクト41の構成について説明する。図3(b)は、図3(a)中のI-I線に沿う断面図であり、図4は、本実施形態に係るレセプタクルコネクタ14のレセプタクルコンタクト41を示すための図であり、図4(a)は、レセプタクルコンタクト41を一側から見た斜視図であり、図4(b)は、レセプタクルコンタクト41を他側から見た斜視図であり、図4(c)は、レセプタクルコンタクト41を第2立設部418側から見た平面図であり、図5(b)は、図5(a)中のII-II線に沿う断面図である。
【0035】
図3(b)、図4(a)及び図4(b)に示すように、レセプタクルコンタクト41は、プラグ側第1接触部211と接触するレセプタクル側第1接触部411と、プラグ側第2接触部212と接触するレセプタクル側第2接触部412と、他側の基板に接続されるレセプタクル側接続部413とを有している。
【0036】
また、レセプタクルコンタクト41は、レセプタクル側接続部413から立設させ、少なくとも1回以上湾曲させた弾性部414と、弾性部414から平板状に横設した保持部415とを有し、レセプタクル側第1接触部411は保持部415から延在している。
【0037】
より具体的には、弾性部414は、レセプタクル側接続部413から湾曲した第1湾曲部431と、保持部415の面する側に延びる第1立設部432と、第1立設部432とレセプタクル側第2接触部412との間で湾曲した第2湾曲部433とを有している。
【0038】
さらに、レセプタクルコンタクト41は、レセプタクル側第2接触部412と保持部415との間で湾曲した第3湾曲部416と、保持部415から湾曲した第4湾曲部417と、保持部415の面する側に延びる第2立設部418と、第2立設部418から湾曲した第5湾曲部419とを有している。すなわち、レセプタクルコンタクト41は、レセプタクル側第1接触部411とレセプタクル側接続部413との間で5箇所において湾曲することにより弾性変形可能に形成されている。
【0039】
また、レセプタクルコンタクト41は、レセプタクル側第1接触部411とレセプタクル側接続部413との間で、レセプタクル側第1接触部411、第5湾曲部419、第2立設部418、第4湾曲部417、保持部415、第3湾曲部416、レセプタクル側第2接触部412、第2湾曲部433、第1立設部432、第1湾曲部431、レセプタクル側接続部413が順に配置されている。
【0040】
上記のレセプタクル側第1接触部411には、第5湾曲部419より幅が狭い幅狭部511が形成されている。この幅狭部511は、プラグコンタクト21とレセプタクルコンタクト41とを接触させる場合に、レセプタクル側第1接触部411とレセプタクル側第2接触部412との間にプラグ側湾曲部214を挿入しやすく、また、レセプタクル側第1接触部411が弾性変形してプラグ側第1接触部211と接触しやすくするため、第5湾曲部419より幅が狭く形成されている。
【0041】
また、上記のレセプタクル側第2接触部412には、レセプタクル側第1接触部411側に突出した突出部441が設けられている。この突出部441は、プラグ側第1接触部211が接触可能に形成されている。
【0042】
さらに、上記の保持部415は、レセプタクル側第1接触部411の両側縁位置よりもそれぞれ外側に張り出した、幅方向両端部である一対の幅拡張部分442を有している。具体的には、図4(c)に示すように、一対の幅拡張部分442により保持部415の幅W1は、レセプタクル側第1接触部411、第5湾曲部419、第2立設部418の幅W2より広く形成されており、幅拡張部分442の幅W3の寸法は、例えばそれぞれ0.03mm以上0.12mm以下である。幅寸法W3が0.03mmより小さいと、樹脂充填部656に樹脂を充填する際、後述する可動金型部材651の幅拡張部分当接部655が押圧当接した一対の幅拡張部分442が破損するおそれがあり、幅寸法W3が0.12mmを超えると、レセプタクルコネクタ14が大型化するからである。図5(b)に示すように、保持部415の幅方向両端部は、実装時に基板に対向する下面側にてハウジング45によって覆われている。保持部415の幅方向両端部間の中央部分は、外部に露出している。
【0043】
なお、本実施形態では、上述したレセプタクルコンタクト41は、レセプタクル側第1接触部411、第5湾曲部419、第2立設部418に対して、第4湾曲部417、保持部415、第3湾曲部416、レセプタクル側第2接触部412、第2湾曲部433、第1立設部432、第1湾曲部431、レセプタクル側接続部413の幅の方が広い形状である場合を図示して説明したがこれに限定されない。すなわち、レセプタクルコンタクト41の幅は、一対の幅拡張部分442を含む保持部415の幅寸法がレセプタクル側第1接触部411の幅寸法より大きい形状であれば、他の形状であってもよい。
【0044】
[3.レセプタクル側タブ部の構成]
次に、図6を参照して、レセプタクル側タブ部47の構成について説明する。図6は、本実施形態に係るレセプタクルコネクタ14の両端部に位置するレセプタクル側タブ部47を示すための図であり、図6(a)は、レセプタクル側タブ部47を一側から見た斜視図であり、図6(b)は、レセプタクル側タブ部47を他側から見た斜視図である。
【0045】
なお、レセプタクル側タブ部47は、レセプタクルコネクタ14と同様に、コルソン合金、ベリリウム銅、リン青銅等の導電性の金属をプレス加工することによって形成されており、レセプタクルコンタクト41とともに一体成形されている(図1参照)。
【0046】
図6(a)及び図6(b)に示すように、レセプタクル側タブ部47は、レセプタクルコネクタ14の上面側に位置するタブ上面部471aと、レセプタクルコネクタ14の両側面に位置するタブ側面部417b,471cと、長手方向X(図1参照)の両端部に位置してタブ上面部471aから略直角に突出したタブ突出部471dとを有している。
【0047】
上記レセプタクル側タブ部47は、プラグ側タブ部27と接触可能に形成してもよい。また、プラグ側タブ部27と接触することにより、レセプタクルコネクタ14とプラグコネクタ12とを電気的に接続可能にしてもよい。
【0048】
[4.金型の構成]
次に、図7図10を参照して、幅拡張部分442に当接して樹脂を充填することによりハウジング45を形成する金型16について説明する。図7は、本実施形態に係る金型16の構成を示すための図であり、図7(a)は、金型16を構成する一方の金型部材である固定金型部材611をレセプタクルコンタクト41を保持した状態で示す斜視図であり、図7(b)は、金型16を構成する他方の金型部材である可動金型部材651を示す斜視図である。図8は、図7(a)の固定金型部材611を示す斜視図である。図9は、本実施形態に係る可動金型部材651を固定金型部材611との型締め位置まで移動した状態を示すための斜視図であり、図9(a)は、可動金型部材651が固定金型部材611に当接した状態を示す斜視図であり、図9(b)は、可動金型部材651の樹脂充填部656に樹脂が充填された状態を示すための概略断面図である。図10は、可動金型部材651を固定金型部材611との型締め位置まで移動した状態における可動金型部材651とレセプタクルコンタクト41との関係を示した斜視図である。
【0049】
なお、本実施態様では、金型16は縦型成形機であることを前提に、可動金型部材651と固定金型部材611という表現にした。つまり、動く方と動かない方ということで、可動と固定という表現をした。この場合(縦型)には固定金型部材611側にエジェクタピン(図示省略)が搭載される。一方、横型成形機で考えると、可動と固定が逆になり、可動金型部材側にエジェクタピンが搭載されている。そして、以下の説明では、一方の金型部材が固定金型部材611、他方の金型部材が可動金型部材651である縦型成形機の場合について説明するが、当然に一方の金型部材が可動金型部材、他方の金型部材が固定金型部材となる横型成形機であってもよい。
【0050】
なお、図7図9及び図10は、図示の便宜上、一部のレセプタクルコンタクト41の幅拡張部分442に当接する金型16を図示しているが、金型16は、ハウジング45に一体成形される全てのレセプタクルコンタクト41の幅拡張部分442に当接可能な形状を有しているものとする。すなわち、図7図9及び図10では、一部のレセプタクルコンタクト41と金型16の一部とを図示しており、その他の部分は省略する。また、図7図9及び図10で金型16に保持及び配列されているものは、製造過程におけるレセプタクルコンタクト41に相当する部分(レセプタクルコンタクト相当部)であるが、以下ではレセプタクルコンタクト41として説明する。
【0051】
図7及び図9に示すように、金型16は、レセプタクルコンタクト41を配置する固定金型部材(一方の金型部材)611と、プラグコネクタ12が嵌合される方向(図9(a)及び図9(b)の嵌合方向B)から固定金型部材611との型締め位置まで移動可能な可動金型部材(他方の金型部材)651とを有している。
【0052】
図7(a)及び図8に示すように、固定金型部材611は、レセプタクルコネクタ14を製造するための装置側(図示省略)に固定されている固定側本体612と、レセプタクル側接続部413が挿入される固定側第1保持穴613と、保持部415の下面が搭置される段部614と、型締め位置まで移動した可動金型部材651と当接する金型当接部615とが形成されている。段部614は、レセプタクルコンタクト41の保持部415が載置された状態で保持部415の一対の幅拡張部分442を固定金型部材611の対向面から離間させる。
【0053】
図7(b)に示すように、可動金型部材651は、固定金型部材611に対して移動可能な可動側本体652と、弾性部414を挿入可能な弾性部挿入穴653と、第5湾曲部419を挿入可能な湾曲部挿入穴654と、可動金型部材651の部位であって一対の幅拡張部分442に押圧当接する幅拡張部分当接部655と、樹脂が充填される樹脂充填部656(ハウジング45の形状を形成する空間)とを有している。
【0054】
そして、図9(a)及び図9(b)に示すように、上記の固定金型部材611と可動金型部材651は、型締め位置(図9(a)及び図9(b)に示す位置)でレセプタクルコンタクト41を上下方向(嵌合方向B及び嵌合方向Bと反対方向)から挟んで樹脂充填部656に樹脂を充填することにより、ハウジング45を形成することが可能な形状を有している。このとき、図10に示すように、レセプタクルコンタクト41の保持部415の幅拡張部分442には、可動金型部材651の幅拡張部分当接部655が当接する。
【0055】
[5.レセプタクルコネクタの製造方法]
次に、上述したレセプタクルコネクタ14の製造方法について説明する。なお、本実施形態に係るレセプタクルコネクタ14の製造方法は、板状部材を変形させることにより所定形状のレセプタクルコンタクト41を形成する第1工程と、金型16の樹脂充填部656に樹脂を充填することによりレセプタクルコンタクト41が一体成形されたハウジングを形成する第2工程とを少なくとも行う。なお、板状部材を所定形状に形成する第1工程は、板状部材からレセプタクルコンタクト41に相当する部分を打ち抜く打ち抜き加工、板状部材を曲げてレセプタクルコンタクト41に相当する部分を形成する曲げ加工等のうちの少なくとも1以上の加工によりレセプタクルコンタクト41を形成する工程である。
【0056】
はじめに、レセプタクルコンタクト41を形成するための母材となる金属帯板によりレセプタクルコネクタ相当部を形成する。より具体的には、2枚の金属帯板のそれぞれの一方の端部を上下方向から金型で挟み金属帯板を変形させて、上述したレセプタクルコンタクト41を形成するためのレセプタクルコネクタ相当部を形成する(第1工程)。
【0057】
次に、2枚の金属帯板にそれぞれ形成されたレセプタクルコネクタ相当部を、互いに近接して向かい合う配置関係を維持した状態で固定金型部材611に保持する。より具体的には、固定側第1保持穴613にレセプタクル側接続部413に相当する部分を挿入し、段部614上に保持部415に相当する部分を載置する(図7(a)参照)。
【0058】
次に、固定金型部材611に対して可動金型部材651を型締め位置(図9(a)及び図9(b)に示す位置)まで移動する。可動金型部材651を型締め位置まで移動すると、幅拡張部分442に相当する部分が幅拡張部分当接部655に押圧当接する。上述したように、レセプタクルコンタクト41は一対の幅拡張部分442を有している。このため、嵌合方向Bから一対の幅拡張部分442に相当する部分を幅拡張部分当接部655で押さえることができる。
【0059】
また、可動金型部材651を型締め位置まで移動すると、金型当接部615が可動側本体652と当接する。そして、可動金型部材651の弾性部挿入穴653には弾性部414に相当する部分が挿入され、湾曲部挿入穴654には第5湾曲部419に相当する部分が挿入される。なお図示を省略するが、レセプタクル側タブ部47も金型16によって長手方向X(図1参照)の両端部に保持される。
【0060】
次に、幅拡張部分当接部655が押圧当接した状態で樹脂充填部656に樹脂を充填することにより、ハウジング縁部46a,46bにレセプタクルコンタクト41に相当する部分が一体成形されたハウジング45を形成する(第2工程)。具体的には、レセプタクルコンタクト41の保持部415に相当する部分においては、保持部415が固定金型部材611の段部614に載置されて、保持部415の幅拡張部分442と固定金型部材611の対向面との間の隙間g(図7(a)参照)に樹脂が充填されるので、保持部415の幅方向両端部である幅拡張部分442はハウジング45を構成する樹脂によって覆われる。
【0061】
樹脂充填部656に樹脂が充填されると、レセプタクルコンタクト41に相当する部分とともに、長手方向X(図1参照)の両端部においてレセプタクル側タブ部47がハウジング45に一体成形される。
【0062】
また、ハウジング45には、レセプタクルコンタクト41が保持される保持穴451が形成される。この保持穴451は、プラグコネクタ12とレセプタクルコネクタ14とが嵌合して、レセプタクル側第1接触部411が弾性変形した場合に、ハウジング45の幅方向Y(図1参照)に弾性変形を許容することが可能に形成される。
【0063】
さらに、ハウジング45には、レセプタクル側嵌合凹部452a,452bと、レセプタクル側嵌合凸部453と、タブ挿入穴454が形成される。レセプタクル側嵌合凹部452a,452bは、レセプタクル側第1接触部411とレセプタクル側第2接触部412とで形成される凹形状と略同様の凹形状に形成される。これにより、レセプタクル側嵌合凹部452a,452bと、レセプタクル側第1接触部411とレセプタクル側第2接触部412とにより、ハウジング縁部46a,46bに沿って長手方向Xに延びるハウジング凹部462a,462bが形成される。
【0064】
その後、レセプタクルコネクタ相当部を切断してレセプタクルコネクタ相当部以外の金属帯板と分離することによって、ハウジング縁部46a,46bに複数のレセプタクルコンタクト41が一体成形によりハウジング45に保持及び配列されたレセプタクルコネクタ14が製造される。
【0065】
[6.プラグコネクタとレセプタクルコネクタとの嵌合]
次に、プラグコネクタ12とレセプタクルコネクタ14との嵌合について説明する。なお、プラグコネクタ12とレセプタクルコネクタ14との嵌合状態を示す図を省略するが、上述したレセプタクルコネクタ14を以下に説明するようにプラグコネクタ12と嵌合することが可能である。なお、上述したプラグコネクタ12は、一側基板接続部271が不図示の一側の基板に半田付けされており、レセプタクルコネクタ14は、タブ側面部471b,471c及びタブ突出部471dの端部が不図示の他側の基板に半田付けされている。そして、プラグコネクタ12とレセプタクルコネクタ14との嵌合は、嵌合方向A又は嵌合方向B(図1参照)からプラグコネクタ12とレセプタクルコネクタ14とを嵌め合わせることにより行う。
【0066】
上述したプラグコネクタ12とレセプタクルコネクタ14とが嵌合すると、レセプタクル側嵌合凹部452aにブロック縁部26aが挿入され、レセプタクル側嵌合凹部452bにブロック縁部26bが挿入され、レセプタクル側嵌合凸部453がブロック側嵌合口251に挿入される。
【0067】
ブロック縁部26a,26bがレセプタクル側嵌合凹部452a,452bに挿入されると、プラグコンタクト21とレセプタクルコンタクト41が接触する。より具体的には、レセプタクル側第1接触部411が弾性変形することによりレセプタクル側第2接触部412との距離が広がり、レセプタクル側第1接触部411とレセプタクル側第2接触部412との間にプラグ側湾曲部214が挿入される。そして、プラグ側湾曲部214は、レセプタクル側第1接触部411がプラグ側第1接触部211と接触し、レセプタクル側第2接触部412がプラグ側第2接触部212と接触する接触位置まで挿入される。プラグ側湾曲部214が接触位置まで挿入されると、突出部441がプラグ側第2接触部212に当接することにより、レセプタクルコンタクト41からプラグコンタクト21が抜けることを防止する。
【0068】
また、タブ挿入穴454をプラグ側タブ部27に挿入可能に形成してもよい。また、プラグ側タブ部27が挿入されることにより、プラグ側タブ部27とレセプタクル側タブ部47とを電気的に接続してもよい。なお、プラグ側タブ部27とレセプタクル側タブ部47は、プラグコネクタ12との電気的な接続を行わずに他側の基板に半田付けされているのみでもよい。
【0069】
上記のように、プラグコネクタ12とレセプタクルコネクタ14とを嵌合することによりプラグコンタクト21とレセプタクルコンタクト41とを接触させ、プラグコネクタ12が実装された一側の基板とレセプタクルコネクタ14が実装された他側の基板とを電気的に接続することが可能となる。
【0070】
[7.作用効果]
以上のようなレセプタクルコネクタ14の製造方法は、プラグコネクタ12のプラグコンタクト21と接触する接触部(レセプタクル側第1接触部411、レセプタクル側第2接触部412)、及び基板に実装する接続部(レセプタクル側接続部413)を有する複数のレセプタクルコンタクト41と、該レセプタクルコンタクトが保持及び配列され、プラグコネクタ12が嵌合されるハウジング45と、を備えるレセプタクルコネクタ14の製造方法であって、接続部と、該接続部から立設させ、少なくとも1回以上湾曲させた弾性部414と、弾性部414から平板状に横設した保持部415と、保持部415から延在する接触部とを有するレセプタクルコンタクト41を、板状部材を所定形状に形成する第1工程と、所定形状のレセプタクルコンタクト41を、一方の金型部材(固定金型部材611)と他方の金型部材(可動金型部材651)からなる金型16を構成する一方の金型部材に配置し、接触部の両側縁位置よりもそれぞれ外側に張り出した保持部415の一対の幅拡張部分442を、プラグコネクタ12が嵌合される方向(嵌合方向B)から、一方の金型部材との型締め位置まで移動させた他方の金型部材の部位(幅拡張部分当接部655)が押圧当接した状態で、金型内のハウジング形状を形成する空間(樹脂充填部656)へ樹脂を充填することにより、レセプタクルコンタクト41の保持部415の幅拡張部分442が一体成形されたハウジング45を形成する第2工程と、を少なくとも含む。
【0071】
上述したレセプタクルコネクタ14の製造方法によれば、レセプタクルコンタクト41の一対の幅拡張部分442に、嵌合方向Bから移動させた可動金型部材651の幅拡張部分当接部655が押圧当接した状態で樹脂充填部656に樹脂を充填する。このため、金型16でレセプタクルコンタクト41を保持した際の跡(例えば、レセプタクルコンタクトの幅方向から挟持した跡)がハウジングに残ることがない。また、一対の幅拡張部分442に幅拡張部分当接部655が押圧当接した状態で樹脂を充填するため、レセプタクルコンタクト41とハウジング45との間(保持部415とハウジング45との間)に隙間が形成されることを抑制することができる。このため、基板の腐食を防止するための溶剤をレセプタクル側接続部413に塗布した場合、塗布した溶剤がレセプタクル側第1接触部411やレセプタクル側第2接触部412まで濡れ上がることがない。したがって、品質の低下を抑制しつつ接続安定性を向上することが可能なレセプタクルコネクタ14の製造方法を提供することができる。
【0072】
また、幅拡張部分442は、それぞれ幅寸法が0.03mm以上0.12mm以下であることが好ましい。幅寸法W3が0.03mmより小さいと、樹脂充填部656に樹脂を充填する際、幅拡張部分当接部655が押圧当接した一対の幅拡張部分442が破損するおそれがあり、幅寸法W3が0.12mmを超えると、レセプタクルコネクタ14が大型化するからである。
【0073】
さらに、レセプタクル側第2接触部412には、レセプタクル側第1接触部411側に突出した突出部441が設けられている。このため、プラグコンタクト21のプラグ側湾曲部214がレセプタクル側第1接触部411とレセプタクル側第2接触部412との間に挿入された際、突出部441がプラグ側第1接触部211に当接することにより、プラグコンタクト21がレセプタクルコンタクト41から抜けるのを防止することができる。
【0074】
また、実施形態のレセプタクルコネクタ14は、レセプタクルコンタクト41の保持部415の幅方向両端部が、実装時に基板に対向する下面側にてハウジング45によって覆われている。このため、基板の腐食を防止するため、レセプタクル側接続部413にコンフォーマルコーティング等の溶剤を塗布した場合に、レセプタクル側接続部413に塗布された溶剤がレセプタクル側第1接触部411及びレセプタクル側第2接触部412まで濡れ上がり、プラグコネクタ12との嵌合時に基板間の接続不良が発生する事態を防止することができる。したがって、実施形態のレセプタクルコネクタ14によれば、品質の低下を抑制しつつ接続安定性を向上することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 電気コネクタ
12 プラグコネクタ
14 レセプタクルコネクタ
16 金型
21 プラグコンタクト
25 ブロック
41 レセプタクルコンタクト
45 ハウジング
46a,46b ハウジング縁部
47 レセプタクル側タブ部
211 プラグ側第1接触部
212 プラグ側第2接触部
213 プラグ側接続部
251 ブロック側嵌合口
411 レセプタクル側第1接触部
412 レセプタクル側第2接触部
413 レセプタクル側接続部
414 弾性部
415 保持部
416 第3湾曲部
417 第4湾曲部
418 第2立設部
419 第5湾曲部
431 第1湾曲部
432 第1立設部
433 第2湾曲部
441 突出部
442 幅拡張部分
452a レセプタクル側嵌合凹部
452b レセプタクル側嵌合凹部
453 レセプタクル側嵌合凸部
454 タブ挿入穴
611 固定金型部材
612 固定側本体
613 固定側第1保持穴
614 段部
615 金型当接部
651 可動金型部材
652 可動側本体
653 弾性部挿入穴
654 湾曲部挿入穴
655 幅拡張部分当接部
656 樹脂充填部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10