(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】光学フィルムの製造装置及び製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20220516BHJP
B29C 71/00 20060101ALI20220516BHJP
B29B 13/00 20060101ALI20220516BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
G02B5/30
B29C71/00
B29B13/00
G02F1/1335 510
(21)【出願番号】P 2017147951
(22)【出願日】2017-07-31
【審査請求日】2020-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植田 幸治
(72)【発明者】
【氏名】安藤 卓也
(72)【発明者】
【氏名】久保 聡
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 陽介
【審査官】沖村 美由
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-107949(JP,A)
【文献】特開2017-045529(JP,A)
【文献】特開2011-224985(JP,A)
【文献】特開2015-206880(JP,A)
【文献】国際公開第2015/046128(WO,A1)
【文献】特開2012-240370(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0228300(US,A1)
【文献】特開2017-007177(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203948(WO,A1)
【文献】特開2014-191155(JP,A)
【文献】特開2010-158788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
B29C 71/00
B29B 13/00
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料フィルムを搬送しながら前記原料フィルムの水分含有率を調整するための調湿処理を行う光学フィルムの製造装置であって、
前記原料フィルムを搬入する又は搬出するための開口を備えた搬送用開口部を1以上有し、前記調湿処理を行うための調湿炉と、
前記搬送用開口部の外壁面が結露することを抑制するための結露抑制装置と、を有し、
前記調湿炉内の圧力は、前記調湿炉の外の圧力よりも高く、
前記結露抑制装置は、前記調湿炉の外部において前記搬送用開口部の少なくとも1つに設置され
、かつ、前記開口に沿って設置されている、光学フィルムの製造装置。
【請求項2】
前記調湿炉は、前記原料フィルムを加湿する加湿処理を行う加湿炉である、請求項1に記載の光学フィルムの製造装置。
【請求項3】
前記結露抑制装置は、
前記搬送用開口部の前記開口から流出する前記調湿炉内の調湿気体を吸引するための吸引装置、
前記搬送用開口部の前記開口に対してカーテン状にエアを供給するためのエア供給装置、及び、
前記搬送用開口部の前記外壁面を加温するための加温装置、のうちの少なくとも1つである、請求項1又は2に記載の光学フィルムの製造装置。
【請求項4】
前記結露抑制装置は、前記吸引装置であり、
前記吸引装置は、前記調湿炉の外部であって、前記搬送用開口部の前記開口を通過する前記原料フィルムのフィルム面の少なくとも上方側において前記開口に沿って設置されている、請求項3に記載の光学フィルムの製造装置。
【請求項5】
前記結露抑制装置は、前記吸引装置であり、
前記吸引装置は、サクションボックスである、請求項3又は4に記載の光学フィルムの製造装置。
【請求項6】
前記結露抑制装置は、前記吸引装置であり、
前記吸引装置は、さらに、吸引した前記調湿気体を加熱するための加熱部を有する、請求項3~5のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造装置。
【請求項7】
前記結露抑制装置は、前記エア供給装置であり、
前記エア供給装置が供給する前記エアの温度は、前記調湿気体の露点温度より高い温度である、請求項3に記載の光学フィルムの製造装置。
【請求項8】
原料フィルムを搬送しながら前記原料フィルムの水分含有率を調整するための調湿処理を行う光学フィルムの製造方法であって、
前記調湿処理は、前記原料フィルムを搬入する又は搬出するための開口を備えた搬送用開口部を1以上有する調湿炉内で行い、
前記調湿炉の外部であって前記搬送用開口部の少なくとも1つに
設置され、かつ、前記開口に沿って設置されている結露抑制装置により、前記搬送用開口部の外壁面が結露することを抑制する結露抑制処理を行い、
前記調湿炉内の圧力は、前記調湿炉の外の圧力よりも高い、光学フィルムの製造方法。
【請求項9】
前記調湿処理は、加湿処理である、請求項8に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記結露抑制処理は、
前記搬送用開口部の前記開口から流出する前記調湿炉内の調湿気体を吸引する吸引処理、
前記搬送用開口部に対してカーテン状にエアを供給するエア供給処理、及び、
前記搬送用開口部の前記外壁面を加温する加温処理、のうちの少なくとも1つである、請求項8又は9に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項11】
前記結露抑制処理は、前記吸引処理及び前記加温処理のうちの少なくとも一方であり、
前記原料フィルムの厚みは、1μm以上200μm以下である、請求項10に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項12】
前記結露抑制処理は、前記吸引処理であり、
前記吸引処理では、前記調湿炉の外部であって、前記搬送用開口部の前記開口を通過する前記原料フィルムのフィルム面の少なくとも上方側において前記開口に沿って前記調湿気体を吸引する、請求項10又は11に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項13】
前記結露抑制処理は、前記吸引処理であり、
さらに、前記吸引処理で吸引した前記調湿気体を加熱する加熱処理を行う、請求項10~12のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項14】
前記結露抑制処理は、前記エア供給処理であり、
前記エア供給処理において供給される前記エアの温度は、前記調湿炉内の前記調湿気体の露点温度よりも高い温度である、請求項10に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項15】
前記光学フィルムは、偏光フィルム、前記偏光フィルムに貼合される保護フィルム、及び、前記偏光フィルムの一方の面又は両面に前記保護フィルムを貼合した偏光板のうちのいずれかである、請求項8~14のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムの製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置(液晶表示装置、有機EL表示装置等)には、偏光板、位相差板等の各種の光学フィルムが用いられている。光学フィルムは、通常、長尺の原料フィルムを連続的に巻き出して搬送しながら様々な処理が施されて製造される。原料フィルムに施される処理の一つとして、原料フィルムに加湿処理等を行う調湿処理が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、調湿処理を施して光学フィルムを製造するための光学フィルムの製造装置及び製造方法であって、良好な品質を有する光学フィルムを製造することができる光学フィルムの製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下に示す光学フィルムの製造装置及び製造方法を提供する。
〔1〕 原料フィルムを搬送しながら前記原料フィルムの水分含有率を調整するための調湿処理を行う光学フィルムの製造装置であって、
前記原料フィルムを搬入する又は搬出するための開口を備えた搬送用開口部を1以上有し、前記調湿処理を行うための調湿炉と、
前記搬送用開口部の外壁面が結露することを抑制するための結露抑制装置と、を有し、
前記結露抑制装置は、前記搬送用開口部の少なくとも1つに設置されている、光学フィルムの製造装置。
【0006】
〔2〕 前記調湿炉は、前記原料フィルムを加湿する加湿処理を行う加湿炉である、〔1〕に記載の光学フィルムの製造装置。
【0007】
〔3〕 前記結露抑制装置は、
前記搬送用開口部の前記開口から流出する前記調湿炉内の調湿気体を吸引するための吸引装置、
前記搬送用開口部の前記開口に対してカーテン状にエアを供給するためのエア供給装置、及び、
前記搬送用開口部の前記外壁面を加温するための加温装置、のうちの少なくとも1つである、〔1〕又は〔2〕に記載の光学フィルムの製造装置。
【0008】
〔4〕 前記結露抑制装置は、前記吸引装置であり、
前記吸引装置は、前記調湿炉の外部であって、前記搬送用開口部の前記開口を通過する前記原料フィルムのフィルム面の少なくとも上方側において前記開口に沿って設置されている、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の光学フィルムの製造装置。
【0009】
〔5〕 前記結露抑制装置は、前記吸引装置であり、
前記吸引装置は、サクションボックスである、〔3〕又は〔4〕に記載の光学フィルムの製造装置。
【0010】
〔6〕 前記結露抑制装置は、前記吸引装置であり、前記吸引装置は、さらに、吸引した前記調湿気体を加熱するための加熱部を有する、〔3〕~〔5〕のいずれかに記載の光学フィルムの製造装置。
【0011】
〔7〕 前記結露抑制装置は、前記エア供給装置であり、
前記エア供給装置が供給する前記エアの温度は、前記調湿気体の露点温度より高い温度である、〔3〕に記載の光学フィルムの製造装置。
【0012】
〔8〕 原料フィルムを搬送しながら前記原料フィルムの水分含有率を調整するための調湿処理を行う光学フィルムの製造方法であって、
前記調湿処理は、前記原料フィルムを搬入する又は搬出するための開口を備えた搬送用開口部を1以上有する調湿炉内で行い、
前記搬送用開口部の少なくとも1つにおいて、前記搬送用開口部の外壁面に結露することを抑制する結露抑制処理を行う、光学フィルムの製造方法。
【0013】
〔9〕 前記調湿処理は、加湿処理である、〔8〕に記載の光学フィルムの製造方法。
〔10〕 前記結露抑制処理は、
前記搬送用開口部の前記開口から流出する前記調湿炉内の調湿気体を吸引する吸引処理、
前記搬送用開口部に対してカーテン状にエアを供給するエア供給処理、及び、
前記搬送用開口部の前記外壁面を加温する加温処理、のうちの少なくとも1つである、〔8〕又は〔9〕に記載の光学フィルムの製造方法。
【0014】
〔11〕 前記結露抑制処理は、前記吸引処理及び前記加温処理のうちの少なくとも一方であり、
前記原料フィルムの厚みは、1μm以上200μm以下である、〔10〕又は〔11〕に記載の光学フィルムの製造方法。
【0015】
〔12〕 前記結露抑制処理は、前記吸引処理であり、
前記吸引処理では、前記調湿炉の外部であって、前記搬送用開口部の前記開口を通過する前記原料フィルムのフィルム面の少なくとも上方側において前記調湿気体を吸引する、〔10〕又は〔11〕に記載の光学フィルムの製造方法。
【0016】
〔13〕 前記結露抑制処理は、前記吸引処理であり、
さらに、吸引した前記調湿気体を加熱する加熱処理を行う、〔10〕~〔12〕のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
【0017】
〔14〕 前記結露抑制処理は、前記エア供給処理であり、
前記エア供給処理において供給される前記エアの温度は、前記調湿炉内の前記調湿気体の露点温度よりも高い温度である、〔10〕に記載の光学フィルムの製造方法。
【0018】
〔15〕 前記光学フィルムは、偏光フィルム、前記偏光フィルムに貼合される保護フィルム、及び、前記偏光フィルムの一方の面又は両面に前記保護フィルムを貼合した偏光板のうちのいずれかである、〔8〕~〔14〕のいずれかに記載の光学フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、原料フィルムを搬送しながら調湿処理を行っても良好な品質を有する光学フィルムを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の光学フィルムの製造装置の調湿炉付近の一例を模式的に表す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の光学フィルムの製造装置は、原料フィルムを搬送しながら原料フィルムの水分含有率を調整するための調湿処理を行うものであり、
原料フィルムを搬入する又は搬出するための開口を備えた搬送用開口部を1以上有し、調湿処理を行うための調湿炉と、
搬送用開口部の外壁面が結露することを抑制するための結露抑制装置と、を有し、
結露抑制装置は、搬送用開口部の少なくとも1つに設置されている。
【0022】
また、本発明の光学フィルムの製造方法は、原料フィルムを搬送しながら原料フィルムの水分含有率を調整するための調湿処理を行うものであり、
調湿処理は、原料フィルムを搬入する又は搬出するための開口を備えた搬送用開口部を1以上有する調湿炉内で行い、
搬送用開口部の少なくとも1つにおいて、搬送用開口部の外壁面が結露することを抑制する結露抑制処理を行う。
【0023】
原料フィルムの水分含有率を調整するための調湿処理とは、原料フィルムに含まれる水の含有量を調整する処理をいう。また、原料フィルムとは、少なくとも調湿処理を行う前のフィルムをいい、光学フィルムとは、原料フィルムに対し少なくとも調湿処理を行って製造されたフィルムをいう。光学フィルムは、原料フィルムに調湿処理以外の処理が施されたものであってもよい。なお、以下では、調湿処理を行う前の原料フィルムを、調湿前の原料フィルムといい、調湿処理を行った後の原料フィルムを、調湿後の原料フィルムということがある。
【0024】
調湿炉で行われる調湿処理は、原料フィルムの水分含有率を調整するものであるため、調湿炉内は、調湿処理条件に応じた温度及び湿度の調湿気体で満たされている。調湿気体は、原料フィルムの水の含有量を調整するために水蒸気を含むことができる。調湿気体に含まれる水蒸気は、調湿炉外に流出したときに冷却等により凝縮すると、調湿炉の搬送用開口部の外壁面が結露することがある。この結露によって生じた結露水は、搬送用開口部の開口を通過する原料フィルムに付着し、原料フィルムを汚染する可能性がある。
【0025】
上記の光学フィルムの製造装置及び光学フィルムの製造方法では、搬送用開口部の少なくとも1つに結露抑制装置を設けることによって、調湿炉内から流出する調湿気体に含まれる水蒸気が凝縮し、搬送用開口部の外壁面が結露することを抑制することができる。これにより、搬送用開口部の外壁面に付着した結露水が、搬送用開口部の開口を通過中の原料フィルムに付着することにより、原料フィルムが汚染されることを抑制することができる。したがって、原料フィルムに付着した結露水がその後に乾燥されることにより、得られる光学フィルムに乾燥跡等の外観不良が生じることを抑制し、また、得られる光学フィルムのカールの状態や光学特性等の諸特性に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0026】
以下、図面を参照して本発明の光学フィルムの製造装置の好ましい実施形態について説明する。
【0027】
[第1の実施形態]
(吸引装置を備えた光学フィルムの製造装置)
図1に、光学フィルムの製造装置1の調湿炉付近を模式的に表す側面図を示す。光学フィルムの製造装置1は、長尺の原料フィルムを巻回した巻回体から巻き出される等により連続的に搬送される原料フィルム5に、水分含有率を調整するための調湿処理を施して光学フィルムを製造する装置である。
図1中の矢印は原料フィルム5の搬送方向を示す。
【0028】
光学フィルムの製造装置1は、
図1に示すように調湿炉3を有し、原料フィルム5に対する調湿処理は、調湿炉3に原料フィルム5を搬送しながら行われる。
図1に示す調湿炉3では、その内部が2つに区画されており、二段階で調湿処理を行えるようになっている。調湿炉3には、原料フィルム5を調湿炉3内に搬入する又は調湿炉3外へ搬出するための開口31を有する搬送用開口部30が設けられている。搬送用開口部30とは、開口31と開口31の周囲をなす調湿炉3の外壁を含む領域をいい、開口31の周囲をなす調湿炉3の外壁とは、通常、開口31の外周から1m以内の範囲にある外壁をいう。また、光学フィルムの製造装置1は、調湿炉3の搬送用開口部30の外壁面が結露することを抑制するための結露抑制装置として吸引装置7を有する。
【0029】
(調湿炉)
調湿炉3は、原料フィルム5を搬送しながら原料フィルム5に対して調湿処理を施すものであり、例えば調湿炉3内の調湿雰囲気によって原料フィルム5の水分含有率を調整することができる。調湿炉3での調湿処理によって原料フィルム5の水分含有率を調整することにより、光学フィルムのカールの状態や光学特性等を所望の状態に調整することができる。調湿炉3内の調湿雰囲気は、原料フィルムの種類や調湿処理条件に応じて適宜設定すればよいが、例えば、調湿処理として加湿処理を行う場合には、温度30℃~80℃、湿度30RH%以上に調整することができ、調湿処理として除湿処理を行う場合には、温度30~100℃、湿度30RH%未満に調整することができる。
【0030】
光学フィルムの製造装置1に備えられる調湿炉3は、1つであってもよく2つ以上であってもよい。また、調湿炉3内は1つの空間であってもよく、調湿炉3内で行う調湿処理の条件に応じて、例えば
図1に示すように、2以上に区画されて2段階以上の調湿処理を施すものであってもよい。
【0031】
調湿炉3は、その内部空間を満たす調湿気体によって、調湿処理条件に応じた温度及び湿度の調湿雰囲気に調整されており、これにより、原料フィルム5の水分含有率を所望の大きさに調整することができる。調湿炉3は、調湿炉3内を所定の調湿雰囲気とするための図示しない調湿器を備えることができる。調湿器としては、調湿処理条件に応じて公知のものを用いることができ、例えば、調湿炉3内に調湿気体を供給することにより、調湿炉3内の調湿処理条件に応じた調湿雰囲気に調整することができる。
【0032】
調湿炉3は、原料フィルム5中の水分含有率を高めるための加湿処理を行う加湿炉であってもよく、原料フィルム5中の水分含有率を低減するための除湿処理を行う除湿炉であってもよい。調湿炉3外に流出した調湿気体によって搬送用開口部30の外壁面が結露する現象は、調湿炉3が加湿炉である場合に生じやすいため、本実施の形態の光学フィルムの製造装置1は、調湿炉3が加湿炉であり、この加湿炉において加湿処理を行う場合に特に好適に用いることができる。
【0033】
調湿炉3には、調湿炉3内に調湿前の原料フィルム5を搬入する、又は、調湿後の原料フィルム5を搬出するための開口31を有する搬送用開口部30が設けられている。搬送用開口部30は、
図1に示すように、調湿炉3内に調湿前の原料フィルム5を搬入するための開口である搬入用開口31aを有する搬入部30aと、調湿後の原料フィルム5を搬出するための開口である搬出用開口31bを有する搬出部30bとを有することができる。なお、
図1には、調湿炉3に搬入部30aと搬出部30bとをそれぞれ1つずつ有する例を示しているが、搬入部が搬出部を兼ねるものであってもよく、例えば調湿炉3内において複数の原料フィルムを搬送する等のために、搬入部や搬出部を2以上有するものであってもよい。
【0034】
調湿炉3には、搬送される原料フィルム5を支持する複数の案内ロールを設置することができる。調湿炉3内に配置される複数の案内ロールは、例えば
図1に示すように、調湿炉3内の上方側に配置された上方ロール61と、調湿炉内の下方側において隣合う上方ロール61の間に配置された下方ロール62とを有することができる。これにより、調湿炉3内の各区画において、上方ロール61及び下方ロール62によって交互に原料フィルム5を支持し、原料フィルム5をジグザグに搬送することができるため、調湿炉3内での原料フィルム5の搬送経路を長くして調湿処理効率を向上し、調湿炉3の小型化を図ることができる。
【0035】
(吸引装置)
吸引装置7は、調湿炉3内の調湿雰囲気を形成する調湿気体のうち、搬送用開口部30の開口31から流出する調湿気体を吸引して回収するものである。調湿気体は凝縮性成分である水蒸気を含むため、調湿炉3外に流出して冷却等されると、水蒸気が凝縮して結露を生じやすい。吸引装置7が調湿炉3外に流出する調湿気体を吸引することにより、調湿炉3外の大気中に放出される水蒸気を低減し、搬送用開口部30の外壁面が結露することを抑制することができる。
【0036】
吸引装置7は、調湿炉3に設けられた搬送用開口部30のうちの少なくとも1つに設置することができ、
図1に示すように、調湿炉3のすべての搬送用開口部30に設置してもよい。吸引装置7は、例えばサクションボックスである。サクションボックスは、例えばその全体が直方体等の箱型形状であり、その一面に調湿気体を吸引するための多数の貫通孔を有し、他の面にサクションボックス内に吸引された調湿気体を排出するための排気孔を有するものである。
【0037】
吸引装置7は、搬送用開口部30の外壁面が結露することを抑制するために、調湿炉3の外部に設けることが好ましい。また、調湿炉3の外部の大気中に放出される調湿気体を低減するために、吸引装置7は、原料フィルム5のフィルム面の上方側及び下方側の少なくとも一方に、搬送用開口部30の開口31に沿って設置することが好ましく、この開口31の、原料フィルムの幅方向の幅と同幅かそれよりも幅広の大きさを有することが好ましい。吸引装置7は、
図1に示すようにフィルム面の上方側及び下方側の両方に設けることができるが、搬送用開口部30の外壁面が結露した場合、この結露によって生じた結露水が自重により落下して、搬送用開口部30の開口31を通過する原料フィルム5に付着することがあるため、吸引装置7は、調湿炉3の搬送用開口部30の開口31を通過する原料フィルム5のフィルム面の少なくとも上方側に配置することが好ましい。
【0038】
吸引装置7は、吸引装置7内に吸引された調湿気体中の水蒸気が凝縮し、吸引装置7が結露することを抑制するために、調湿気体を加熱する加熱部を有していてもよい。これにより、吸引された調湿気体が吸引装置7内で冷却されて、調湿気体中の水蒸気が凝縮し、吸引装置7に結露水が発生することを抑制し、この結露水が原料フィルム5を汚染することを抑制することができる。加熱部としては、公知の加熱装置を用いることができ、例えば、ヒーター、抵抗発熱体、誘導加熱装置、マイクロ波照射装置等を挙げることができる。加熱部は、調湿炉3内の調湿気体の露点温度よりも高い温度となるように、吸引装置7を加熱することが好ましい。
【0039】
(原料フィルム及び光学フィルム)
光学フィルムの製造装置1で製造される光学フィルムは、原料フィルムに対し少なくとも調湿処理を行って得られるものである。光学フィルムとしては、偏光フィルム、偏光フィルムに貼合される保護フィルム、偏光フィルムの一方の面又は両面に保護フィルムを貼合した偏光板、位相差フィルム、輝度向上フィルム、反射フィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム、半透過反射フィルム、光拡散フィルム等、画像表示装置等に用いられる光学機能を有するフィルムを挙げることができる。原料フィルムは、これらの光学フィルムを製造するために用いられる原料フィルムであって、少なくとも調湿処理が施される前のものである。
【0040】
偏光フィルムは、直線偏光子であることが好ましく、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂層にヨウ素や二色性染料等の二色性色素が吸着配向されてなるものを用いることができる。このような偏光フィルムは、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対し、一軸延伸、二色性色素による染色、ホウ酸処理、水洗処理等を施すことによって製造することができる。光学フィルムが偏光フィルムである場合、調湿処理は、例えば上記の水洗処理後に行われる加熱乾燥後を経た、偏光フィルムを製造するための原料フィルムの水分含有率を調整するために行われる。
【0041】
保護フィルムは、光学機能を有さない単なる保護フィルムであってもよいし、位相差フィルムや輝度向上フィルムといった光学機能を併せ持つ保護フィルムであってもよい。保護フィルムの材質としては特に限定されるものではないが、透光性を有する熱可塑性樹脂を用いることができる。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂等の鎖状ポリオレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂等の環状ポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等の酢酸セルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂等、当分野において公知の熱可塑性樹脂を挙げることができる。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルから選択される少なくとも一方を意味する。光学フィルムが保護フィルムである場合、調湿処理は、例えば偏光フィルムと貼合する前において、保護フィルムを製造するための原料フィルムの水分含有率を調整するために行われる。
【0042】
光学フィルムが偏光板である場合、調湿処理は、例えば偏光フィルムと保護フィルムとを貼合した積層体の水分量を調整するために行われる。
【0043】
原料フィルムの厚みは特に限定されず、通常1μm以上であればよく、2μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、また、通常200μm以下であればよく、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。吸引装置7を備える光学フィルムの製造装置1は、原料フィルムの厚みが1μm以上20μm以下と小さい場合にも、原料フィルムの調湿炉への搬入時や調湿炉からの搬出時に、原料フィルムのばたつき、しわ、折れ込み等の搬送不良を引き起こしにくいため、特に薄手の原料フィルムに調湿処理を行う際に好適に用いることができる。
【0044】
また、原料フィルムに少なくとも調湿処理を施して得られる光学フィルムの厚みは特に限定されないが、通常1μm以上200μm以下であり、光学フィルムが偏光フィルムである場合には、その厚みは5μm以上30μm以下であり、光学フィルムが保護フィルムの場合には、その厚みは10μm以上80μm以下であり、光学フィルムが偏光板である場合には、その厚みは30μm以上200μm以下である。
【0045】
(吸引装置を用いた光学フィルムの製造方法)
図1に示す光学フィルムの製造装置1では、調湿炉3の搬入部30aから、調湿前の原料フィルム5を連続的に調湿炉3内に搬入し、調湿炉3内で調湿処理が施された調湿後の原料フィルムを、調湿炉3の搬出部30bから搬出する。このとき、調湿炉3内は、調湿処理条件に応じた調湿気体で満たされ、調湿炉3の搬送用開口部30である搬入部30aや搬出部30bには、調湿前後の原料フィルム5が通過するための搬入用開口31a及び搬出用開口31bが設けられている。そのため、この搬入用開口31a及び搬出用開口31bから調湿炉3内の調湿気体が流出することがある。調湿炉3外へ流出した調湿気体中の水蒸気は、調湿炉3外の温度、湿度、圧力等の条件によっては凝縮し、搬送用開口部30の外壁面が結露することがある。
【0046】
光学フィルムの製造装置1では、調湿炉3の搬送用開口部30に設けられた吸引装置7が、調湿炉3外に流出した調湿気体を吸引して回収することにより、搬送用開口部30の外壁面が結露することを抑制する結露抑制処理が行われる。これにより、搬送用開口部30の外壁面に付着した結露水が、搬送用開口部30の開口31を通過する原料フィルム5上に落下する等により原料フィルム5を汚染することを抑制することができる。また、吸引装置7が加熱部を有している場合には、加熱部により、吸引装置7が吸引した調湿気体を加熱する加熱処理を行うことができる。これにより、吸引装置7によって吸引された調湿気体中の水蒸気が凝縮することを抑制することができるため、吸引装置7に結露水が付着し、この結露水が原料フィルム5を汚染することを抑制することができ、良好な品質の光学フィルムを得ることができる。
【0047】
吸引装置7は、調湿炉3の外部において、原料フィルム5のフィルム面の少なくとも上方側に、搬送用開口部30の開口31に沿って設けられることにより、結露の原因となる水蒸気を含む調湿気体を効率的に吸引することができる。特に、上記したように調湿炉3内に調湿器から調湿気体が供給されている場合には、調湿炉3内の圧力(内圧)は調湿炉3の外の圧力(外圧)よりも高くなっているため、調湿炉3内の調湿気体は、搬送用開口部30の開口31を通じて調湿炉3外へより一層流出しやすくなっている。そのため、調湿炉3の外部に吸引装置を設けることにより、調湿炉3外に流出する調湿気体を効率的に吸引することができる。また、原料フィルム5のフィルム面の上方側に吸引装置7を設けることにより、搬送用開口部30の外壁面のうち、フィルム面の上方側に位置する外壁面が結露することを効率的に抑制することができる。
【0048】
吸引装置7における吸引圧力は、通常2.0kPa以上5.0kPa以下であり、吸引気体の流速は、5m/s以上30m/s以下とすることができる。
【0049】
[第2の実施形態]
(エア供給装置を備えた光学フィルムの製造装置)
本実施の形態の光学フィルムの製造装置は、結露抑制装置として、第1の実施形態の光学フィルムの製造装置1の吸引装置7に代えて、エア供給装置を備えている点において第1の実施形態とは異なっている。以下では、第1の実施形態で説明したものと同じ部材については、その説明を省略する。
【0050】
本実施の形態の光学フィルムの製造装置1は、搬送用開口部30の外壁面が結露することを抑制するための結露抑制装置としてエア供給装置を備えている。エア供給装置は、搬送用開口部30の開口31に対してカーテン状にエアを供給するものであり、これにより、調湿炉3内から調湿気体が流出することを抑制して、搬送用開口部30の外壁面に結露することを抑制することができる。
【0051】
(エア供給装置)
エア供給装置は、搬送用開口部30の開口31に対してカーテン状にエアを供給することによって、搬送用開口部30の開口31から調湿炉3内の調湿気体が流出することを抑制するものである。エア供給装置は、水蒸気を含む調湿気体が調湿炉3外に流出することを抑制するため、調湿炉外に放出される水蒸気の量が減少し、搬送用開口部30の開口31周辺の外壁面に結露することを抑制することができる。エア供給装置は、調湿炉3に設けられた搬送用開口部30のうちの少なくとも1つに設置することができ、調湿炉3のすべての搬送用開口部30に設置してもよい。また、光学フィルムの製造装置は、エア供給装置と、上記第1の実施形態で説明した吸引装置とを有するものであってもよい。
【0052】
エア供給装置は、搬送用開口部30の開口31にカーテン状のエア(カーテン流)が形成されるようにエアを供給できるものであれば特に限定されない。エア供給装置は、例えば、開口31の上部側から下部側に向けてエアを供給してカーテン流を形成する吹き下ろし方式であってもよく、開口31の左右両側から互いに対向するようにエアを供給してカーテン流を形成する横吹き方式であってもよい。カーテン流は、開口31の、原料フィルムの幅方向の幅と同幅かそれよりも幅広の大きさに形成されることが好ましい。また、カーテン流は、調湿炉3内での原料フィルム5の搬送に悪影響を及ぼさないように、調湿炉3外において搬送用開口部30の開口31に形成されることが好ましい。
【0053】
エア供給装置が供給するエアの温度は、調湿炉3内の調湿気体中の凝縮性成分である水蒸気が結露する温度(調湿気体の露点温度)よりも高い温度であることが好ましく、通常1℃~50℃である。エアの温度を調湿気体の露点温度よりも高くすることにより、エア供給装置が供給するエアによって調湿気体中の水蒸気が凝縮することを抑制し、搬送用開口部の外壁面に結露水が付着することを抑制することができる。供給するエアの温度は、通常、調湿気体の露点温度より3℃以上高くすればよく、供給するエアの湿度は、40%RH以下とすればよい。
【0054】
エア供給装置が供給するエアの吹出し速度は、原料フィルムの搬送に悪影響を及ぼさない範囲で任意に選定することができ、搬送用開口部30の開口31の大きさや、原料フィルム5の厚み等にも依存するが、通常2m/sec以上であり、4m/sec以上であることが好ましく、通常20m/sec以下であり、15m/sec以下であることが好ましい。
【0055】
(エア供給装置を用いた光学フィルムの製造方法)
本実施の形態の光学フィルムの製造装置においても、
図1に示す光学フィルムの製造装置1と同様に、調湿炉3の搬入部30aから、調湿前の原料フィルム5を連続的に調湿炉3内に搬入し、調湿炉3内で調湿処理が施された調湿後の原料フィルムを、調湿炉3の搬出部30bから搬出する。このとき、エア供給装置が、調湿炉3の搬送用開口部30の開口31に対してカーテン状にエアを供給することにより、搬送用開口部30の外壁面が結露することを抑制する結露抑制処理が行われる。
【0056】
エア供給装置が供給するカーテン状のエアにより、調湿炉3内から調湿炉3外に流出する調湿気体の量が低減され、調湿炉3内から調湿炉3外に流出する水蒸気の量が低減される。これにより、搬送用開口部30の外壁面が結露し、この結露によって生じた結露水が搬送用開口部30の開口31を通過する原料フィルム5上に落下する等により、原料フィルム5を汚染することを抑制することができ、良好な品質の光学フィルムを得ることができる。また、エア供給装置から供給されるエアの温度を、調湿気体の露点よりも高くすることにより、調湿気体中の水蒸気が凝縮することを抑制し、搬送用開口部30の外壁面に結露水が付着することをより一層抑制することができる。
【0057】
上記したように調湿炉3内に調湿器から調湿気体が供給されている場合、調湿炉3内の圧力(内圧)は調湿炉3の外の圧力(外圧)よりも高くなっているため、調湿炉3内の調湿気体は、搬送用開口部30の開口31を通じて調湿炉3外へ流出しやすくなっている。そのため、調湿炉3の外部においてエア供給装置を設けて搬送用開口部30の開口31に対してカーテン状のエアを供給することにより、結露の原因となりやすい調湿気体が調湿炉3外に放出されることを抑制することができるため、搬送用開口部30が結露することを抑制することができる。
【0058】
[第3の実施形態]
(加温装置を備えた光学フィルムの製造装置)
本実施の形態の光学フィルムの製造装置は、結露抑制装置として、第1の実施形態の光学フィルムの製造装置1の吸引装置7に代えて、加温装置を備えている点において第1の実施形態とは異なっている。以下では、第1の実施形態で説明したものと同じ部材については、その説明を省略する。
【0059】
本実施の形態の光学フィルムの製造装置は、搬送用開口部の外壁面に結露することを抑制するための結露抑制装置として加温装置を備えている。加温装置は、搬送用開口部30の外壁面を加温するものであり、これにより、調湿炉3内から調湿気体が流出した場合にも、調湿炉3内から流出した調湿気体が調湿炉3外で冷却される等により、調湿気体中の水蒸気が搬送用開口部30の外壁面に結露水として付着することを抑制することができる。
【0060】
(加温装置)
加温装置は、搬送用開口部30の外壁面を加温することによって、調湿炉3内から流出した調湿気体中の水蒸気が、搬送用開口部30の外壁面に結露することを抑制するものである。加温装置が搬送用開口部30の外壁面を加温することにより、この外壁面によって、調湿炉3外に流出した調湿気体中の水蒸気が冷却されることを抑制し、搬送用開口部30の外壁面に結露することを抑制することができる。加温装置は、調湿炉3に設けられた搬送用開口部30のうちの少なくとも1つに設置することができ、調湿炉3のすべての搬送用開口部30に設置してもよい。また、光学フィルムの製造装置は、加温装置とともに、上記第1の実施形態で説明した吸引装置、上記第2の実施形態で説明したエア供給装置、又はこれら双方のうちのいずれかを有するものであってもよい。
【0061】
加温装置は、搬送用開口部30の外壁面を直接的に又は間接的に加温することができるものであれば特に限定されず、公知の加熱装置を用いることができる。加温装置としては、例えば、ヒーター、抵抗発熱体、誘導加熱装置、マイクロ波照射装置等を挙げることができる。
【0062】
加温装置は、搬送用開口部30の外壁面を、調湿炉3内の調湿気体中の凝縮性成分である水蒸気が結露する温度(調湿気体の露点温度)よりも高い温度に加温することが好ましい。搬送用開口部30の外壁面を加温装置によって、調湿気体の露点温度よりも高い温度に加温することにより、調湿気体に含まれる水蒸気が外壁面で冷却されることを抑制し、水蒸気が結露水として外壁面に付着することを抑制することができる。外壁面の温度は、通常、調湿気体の露点温度よりも3℃以上高くすればよい。
【0063】
加温装置を備える光学フィルムの製造装置は、原料フィルムの厚みが1μm以上20μm以下と小さい場合にも、原料フィルムの調湿炉への搬入時や調湿炉からの搬出時に、原料フィルムのばたつき、しわ、折れ込み等の搬送不良を引き起こしにくいため、特に薄手の原料フィルムに調湿処理を行う際に好適に用いることができる。
【0064】
(加温装置を用いた光学フィルムの製造方法)
本実施の形態の光学フィルムの製造装置においても、
図1に示す光学フィルムの製造装置1と同様に、調湿炉3の搬入部30aから、調湿前の原料フィルム5を連続的に調湿炉3内に搬入し、調湿炉3内で調湿処理が施された調湿後の原料フィルム5を、調湿炉3の搬出部30bから搬出する。このとき、加温装置が、調湿炉3の搬送用開口部30の外壁面を加温することにより、搬送用開口部30の外壁面に結露することを抑制する結露抑制処理が行われる。
【0065】
加温装置が搬送用開口部30の外壁面を加温することにより、調湿炉3外に流出した調湿気体に含まれる水蒸気が外壁面で冷却されることを抑制することができる。これにより、調湿気体に含まれる水蒸気が結露水となって搬送用開口部30の外壁面に付着することを抑制することができ、良好な品質の光学フィルムを得ることができる。また、加温装置により、搬送用開口部30の外壁面を調湿気体の露点温度よりも高い温度に加温することにより、調湿炉3外に流出した調湿気体の水蒸気が冷却されて凝縮することを抑制することができ、搬送用開口部30の外壁面が結露することをより一層抑制することができる。
【0066】
上記したように調湿炉3内に調湿器から調湿気体が供給されている場合、調湿炉3内の圧力(内圧)は調湿炉3の外の圧力(外圧)よりも高くなっているため、調湿炉3内の調湿気体は、搬送用開口部30の開口31を通じて調湿炉3外へ流出しやすくなっている。そのため、加温装置によって搬送用開口部30の外壁面を加温することにより、結露の原因となりやすい調湿気体が調湿炉3外に流出しても、搬送用開口部30の外壁面によって冷却されることを抑制することができるため、搬送用開口部30が結露することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 光学フィルムの製造装置、3 調湿炉、5 原料フィルム、7 吸引装置(結露抑制装置)、30 搬送用開口部、30a 搬入部、30b 搬出部、 31 開口、31a 搬入用開口、31b 搬出用開口、 61 上方ロール、62 下方ロール