(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】パラメータ設定のリアルタイム絵文字表現を備えたユーザインターフェース
(51)【国際特許分類】
B23K 9/095 20060101AFI20220516BHJP
B23K 9/12 20060101ALI20220516BHJP
B23K 9/10 20060101ALI20220516BHJP
B25J 13/02 20060101ALI20220516BHJP
G06F 3/04817 20220101ALI20220516BHJP
【FI】
B23K9/095 505B
B23K9/12 331Q
B23K9/10 Z
B25J13/02
G06F3/0481 170
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017190290
(22)【出願日】2017-09-29
【審査請求日】2020-07-03
(32)【優先日】2016-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510202156
【氏名又は名称】リンカーン グローバル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】マシュー エー.オルブライト
(72)【発明者】
【氏名】ブルース ジョン シャントリー
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ ジェイ.ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】ランス エフ.ガイモン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ジェイ.スピーカー
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-500178(JP,A)
【文献】国際公開第97/010919(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0129581(US,A1)
【文献】国際公開第2016/136831(WO,A1)
【文献】特開平06-087075(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0181292(US,A1)
【文献】特表2016-525945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/00 - 9/32、10/00 - 10/02
B25J 13/02
G06F 3/04817
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットと、
ロボットコントローラと、
前記ロボットへ取り付けられた電気アークトーチと、
前記電気アークトーチへ電力出力を供給するように構成された電源と、
複数の電源パラメータを調整するためのユーザインターフェースであって、ディスプレイを含むユーザインターフェースと、
前記複数の電源パラメータのそれぞれの設定を受信するように構成されたプロセッサと
を含む電気アーク生成システムであって、
前記プロセッサは、前記複数の電源パラメータの前記設定を解析し、かつ前記複数の電源パラメータの前記設定を解析した結果に基づき、現在のパラメータ設定に関連する絵文字警告を表示するように前記ディスプレイを制御するようにさらに構成され、前記絵文字警告は、前記現在のパラメータ設定の調整方向をグラフィック的に示し、
前記プロセッサは、前記電気アークトーチの動作角度に基づき、前記複数の電源パラメータの前記設定のうちの1つまたは複数を自動的に調整するように構成され
、
前記プロセッサは、複数の選択可能ウィーブ形状をグラフィック的に描写するそれぞれの絵文字を同時に表示するように前記ディスプレイを制御するように構成され、前記ロボットコントローラは、前記複数の選択可能ウィーブ形状のうちの選択された1つに基づき、前記ロボットの運動を制御するように構成され、前記それぞれの絵文字は変更されたウィーブパラメータに基づいて自動で調整される、電気アーク生成システム。
【請求項2】
前記ユーザインターフェースおよび前記プロセッサを含むロボット制御ペンダントをさらに含む、請求項1に記載の電気アーク生成システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記複数の電源パラメータの前記設定を、前記電源により供給される設定の1つまたは複数の範囲と比較するように構成される、請求項1に記載の電気アーク生成システム。
【請求項4】
前記プロセッサによりアクセス可能なメモリであって、前記複数の電源パラメータの前記設定と電気アークトーチ角度の範囲とを含む溶接テンプレートを格納するメモリをさらに含み、前記プロセッサは、前記動作角度が前記電気アークトーチ角度の範囲の外にある場合に、前記複数の電源パラメータの前記設定のうちの前記1つまたは複数を自動的に調整するように構成される、請求項1に記載の電気アーク生成システム。
【請求項5】
前記動作角度は、前記プロセッサにより予め定められ、かつ作業角度、移動角度およびレベル角度のそれぞれを含み、および前記電気アークトーチ角度の範囲は、作業角度範囲、移動角度範囲およびレベル角度範囲のそれぞれを含む、請求項4に記載の電気アーク生成システム。
【請求項6】
前記電気アークトーチは溶接トーチである、請求項1に記載の電気アーク生成システム。
【請求項7】
前記電気アークトーチはプラズマトーチである、請求項1に記載の電気アーク生成システム。
【請求項8】
ロボットアームと、
前記ロボットアームの移動を制御するように構成されたロボットコントローラと、
前記ロボットアームへ取り付けられた溶接トーチと、
前記溶接トーチへ電力出力を供給するように構成された溶接電源と、
前記ロボットコントローラへ作動可能に接続されたロボット制御ペンダントであって、前記溶接電源の複数の溶接パラメータを調整するためのユーザインターフェースを含み、前記ユーザインターフェースはディスプレイを含む、ロボット制御ペンダントと
を含むアーク溶接システムであって、
前記ロボットコントローラと前記ロボット制御ペンダントのうちの少なくとも1つは、前記複数の溶接パラメータのそれぞれの設定を受信し、かつ前記溶接トーチの溶接角度に基づき、前記設定のうちの1つまたは複数を自動的に調整するように構成されたプロセッサを含
み、
前記プロセッサは、複数の選択可能ウィーブ形状をグラフィック的に描写するそれぞれの絵文字を同時に表示するように前記ディスプレイを制御するように構成され、前記ロボットコントローラは、前記複数の選択可能ウィーブ形状のうちの選択された1つに基づき、前記ロボットアームの運動を制御するように構成され、前記それぞれの絵文字は、変更されたウィーブパラメータに基づいて自動で調整される、アーク溶接システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記複数の溶接パラメータの前記設定を解析し、かつ前記複数の溶接パラメータの前記設定を解析した結果に基づき、現在のパラメータ設定に関連する絵文字警告を表示するように前記ディスプレイを制御するようにさらに構成され、前記絵文字警告は、前記現在のパラメータ設定の調整方向をグラフィック的に示す、請求項
8に記載のアーク溶接システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記調整方向のグラフィック指示と共に複数の溶接ビード絵文字を表示するようにさらに構成される、請求項
9に記載のアーク溶接システム。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記複数の溶接パラメータの前記設定を、前記溶接電源により供給される設定の1つまたは複数の範囲と比較するようにさらに構成される、請求項
9に記載のアーク溶接システム。
【請求項12】
前記プロセッサによりアクセス可能なメモリであって、前記複数の溶接パラメータの前記設定と溶接角度の範囲とを含む溶接テンプレートを格納するメモリをさらに含み、前記プロセッサは、前記溶接角度が前記溶接角度の範囲の外にある場合に、前記複数の溶接パラメータの前記設定のうちの前記1つまたは複数を自動的に調整するように構成される、請求項
8に記載のアーク溶接システム。
【請求項13】
前記溶接角度は、前記プロセッサにより予め定められ、かつ作業角度、移動角度およびレベル角度のそれぞれを含み、および前記溶接角度の範囲は、作業角度範囲、移動角度範囲およびレベル角度範囲のそれぞれを含む、請求項
12に記載のアーク溶接システム。
【請求項14】
溶接電極へ溶接出力を供給するように構成された電源と、
前記溶接電極を含む溶接トーチと、
ロボットアームであって、前記溶接トーチは該ロボットアームに取り付けられている、ロボットアームと、
複数の溶接パラメータを調整するためのユーザインターフェースであって、ディスプレイを含むユーザインターフェースと、
前記複数の溶接パラメータのそれぞれの設定を受信するために前記ユーザインターフェースへ作動可能に接続されたプロセッサと
を含むアーク溶接システムであって、
前記プロセッサは、前記複数の溶接パラメータの前記設定を解析し、かつ前記複数の溶接パラメータの前記設定を解析した結果に基づき、現在のパラメータ設定に関連する絵文字警告を表示するように前記ディスプレイを制御するように構成され、前記絵文字警告は、前記現在のパラメータ設定の調整方向をグラフィック的に示し、前記プロセッサは、前記調整方向のグラフィック指示と共に複数の例示的溶接ビード絵文字を表示するようにさらに構成さ
れ、
前記プロセッサは、前記溶接トーチの所定の溶接角度に基づき、前記複数の溶接パラメータの前記設定のうちの1つまたは複数を自動的に調整するように構成され、前記プロセッサは、複数の選択可能ウィーブ形状をグラフィック的に描写するそれぞれの絵文字を同時に表示するように前記ディスプレイを制御するように構成され、かつ前記ロボットアームは、前記複数の選択可能ウィーブ形状のうちの選択された1つに基づき、前記溶接トーチの移動を制御するように構成され、前記それぞれの絵文字は、変更されたウィーブパラメータに基づいて自動で調整される、アーク溶接システム。
【請求項15】
前記プロセッサによりアクセス可能なメモリであって、前記複数の溶接パラメータの前記設定と溶接トーチ角度の範囲とを含む溶接テンプレートを格納するメモリをさらに含み、前記プロセッサは、前記所定の溶接角度が前記溶接トーチ角度の範囲の外にある場合に、前記複数の溶接パラメータの前記設定のうちの前記1つまたは複数を自動的に調整するように構成される、請求項
14に記載のアーク溶接システム。
【請求項16】
前記所定の溶接角度は、作業角度、移動角度およびレベル角度のそれぞれを含み、および前記溶接トーチ角度の範囲は、作業角度範囲、移動角度範囲およびレベル角度範囲のそれぞれを含む、請求項
15に記載のアーク溶接システム。
【請求項17】
ロボットアームと、
前記ロボットアームの移動を制御するように構成されたロボットコントローラと、
前記ロボットアームへ取り付けられた溶接トーチと、
前記溶接トーチへ電力出力を供給するように構成された溶接電源と、
前記ロボットコントローラへ作動可能に接続されたロボット制御ペンダントであって、前記溶接電源の複数の溶接パラメータを調整するためのユーザインターフェースを含み、前記ユーザインターフェースはディスプレイを含む、ロボット制御ペンダントと、
を含むアーク溶接システムであって、
前記ロボット制御ペンダントは、複数の選択可能ウィーブ形状をグラフィック的に描写するそれぞれの絵文字を同時に表示するように前記ディスプレイを制御するように構成されたプロセッサを含み、前記ロボットコントローラは、前記複数の選択可能ウィーブ形状のうちの選択された1つに基づき、前記ロボットアームの移動を制御するように構成され、
前記プロセッサは、前記溶接パラメータのそれぞれの設定を受信し、現在のパラメータ設定の複数の調整方向の設定の解析結果に基づいて、該
現在のパラメータ設定に関連する絵文字警告を表示するよう前記ディスプレイを制御するようにさらに構成されている、アーク溶接システム。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記調整方向のグラフィック指示と共に複数の例示的溶接ビード絵文字を表示するようにさらに構成されている、請求項17に記載のアーク溶接システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本明細書により、2016年10月3日出願の米国仮特許出願第62/403,315号明細書の利益が主張される。
【0002】
本開示は、溶接電源、プラズマカッター電源などのアーク生成電源のコントローラおよびユーザインターフェースに関する。より具体的には、本開示は、リアルタイムでかつ視覚的またはグラフィカルな方法で情報を動的に描写するコントローラおよび関連するグラフィカルユーザインターフェースと、このようなコントローラおよびユーザインターフェースを使用して電源パラメータを調整する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
所望の結果を達成するために溶接手順のパラメータを調整することは溶接の分野ではよく知られている。これは、特定の電圧または電流でまたは特定の頻度で溶接電源を設定することを含み得る。いくつかの溶接物に関して、溶接継手の深い溶け込みを実現することが望ましいことがあり得るが、一方、別の用途では、深い溶け込みのための電源設定が隣接材料を損傷または破壊し得る。したがって、操作者は、特定用途の材料および継手構成に整合するために1つまたは複数の溶接パラメータを調整し得る。
【0004】
ガスタングステンアーク溶接(GTAW)は、タングステン不活性ガス(TIG)溶接としても知られる1つの周知のタイプの溶接プロセスである。ガスメタルアーク溶接(GMAW)およびフラックス入りアーク溶接(FCAW)は、他の周知の溶接プロセスである。スティック溶接(SMAW)およびサブマージアーク溶接(SAW)は、さらに他のタイプの溶接プロセスである。各溶接プロセスは、溶接アークを確定するために、溶接電源から電力が供給される電極を利用する。溶接電源の例としては、位相制御、パルス幅変調インバータ電源が挙げられる。いくつかの溶接プロセスでは、電極は、GMAW、FCAWおよびスティック溶接の場合と同様に消耗する。対照的に、TIG溶接プロセスの電極は消耗しない。各タイプの溶接では、溶接電源パラメータは溶接周期を制御するように設定される。
【0005】
溶接プロセスを制御するために使用されるパラメータは、電極送り速度、電流および/または電圧を含む。いくつかのGMAW溶接機はまた、電源の応答に影響を与えるインダクタンス制御を有する。他の溶接パラメータは、正電圧のデューティサイクルが負電圧のものより一定割合だけ大きく、より浅いアーク溶け込みを生じるACバランスを含み得る。逆もより深い溶け込みに当てはまり得る。溶接電源により生成されるアーク幅またはアークの種類を含む溶接プロセスの他の側面も溶接手順または溶接プロファイルを調整することにより影響を受ける。溶接プロセスを制御するために使用される追加パラメータは、電極突出(すなわち、電極がコンタクトチップから突出する長さ)、ウィーブ溶接のウィーブ長、ウィーブ形状またはパターン、およびウィーブ頻度を含む。
【0006】
適切な制御のため、動作パラメータは特定用途の最適設定(例えば、使用されるガス混合、プレート厚さおよび継手タイプ)に設定されるべきである。従来技術の溶接機は、操作者がテーブルまたは数式からセットアップパラメータを計算することを必要としてきた。あるいは、設定は、溶接者経験に基づきまたは試行錯誤により設定され得る。
【0007】
溶接操作者が誤ったデータを与えるか、またはセットアップパラメータを不適切に計算すると、劣悪な溶接品質または溶接機および消耗品の非効率的使用が生じ得る。したがって、溶接品質は溶接パラメータの適切なセットアップに依存する。より経験豊富な操作者は、溶接プロファイル内の特定の調整がどのような影響を溶接継手に及ぼすことになるかを正確に理解する。しかし、それほど経験豊富でない溶接者は、所望の溶接が実現されるまで様々な方法で溶接プロファイルを調整することにより実験を行い得る。これは、品質の低下、生産性の喪失および材料費の増加を生じ得る。
【0008】
参照により本明細書に援用する2010年8月24日発行の(特許文献1)は、溶接プロファイルの変化がどのように溶接プロセスに影響を与えるかを操作者が理解するのを支援する溶接機ユーザインターフェースを開示している。溶接電源上のグラフィック表示は、操作者が溶接波形の特徴などの溶接パラメータを調整し、かつこのような変更がどのように波形に影響を与えるかを視覚的に観察できるようにする。グラフィック表示はまた、溶接パラメータに対する変更がどのように溶接プロセスに影響を与えるかを示す絵文字またはアイコンを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
不適切な設定およびその結果の溶接へのそれらの潜在的影響を操作者に警告するために、不適切なパラメータ設定の直観的かつグラフィカルな指示を表示することが望ましいであろう。直観的かつグラフィカルな方法でパラメータ選択および/または調整を操作者に提供することも望ましいであろう。溶接およびプラズマ切断動作は、多くの場合、ロボットにより自動的に行われており、ロボットとトーチ電源との両方のためのグラフィカルなユーザ制御を単一ユーザインターフェース内に取り込むことが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下の概要は、本明細書で論述される装置、システムおよび方法のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために単純化された概要を提示する。この概要は、本明細書で論述される装置、システムおよび方法の広範な概要ではない。この概要は、このような装置、システムおよび方法の重要な要素を識別するまたはその範囲を描写することを意図していない。その唯一の目的は、後に提示されるさらに詳細な説明の前置きとして単純化された形式でいくつかの概念を提示することである。
【0012】
本発明の1つの態様によると、アーク生成システムが提供される。アーク生成システムは、ロボットと、ロボットへ取り付けられた電気アークトーチと、電気アークトーチへ電力出力を供給するように構成された電源と、複数の電源パラメータを調整するためのユーザインターフェースとを含む。ユーザインターフェースはディスプレイを含む。本システムは、複数の電源パラメータのそれぞれの設定を受信するように構成されたプロセッサをさらに含む。プロセッサは、複数の電源パラメータの設定を解析し、かつ複数の電源パラメータの設定を解析した結果に基づき、現在のパラメータ設定に関連する絵文字警告を表示するようにディスプレイを制御するようにさらに構成される。前記絵文字警告は、現在のパラメータ設定の調整方向をグラフィック的に示す。プロセッサは、電気アークトーチの所定の動作角度に基づき、複数の電源パラメータの設定のうちの1つまたは複数を自動的に調整するように構成される。
【0013】
本発明の別の態様によると、ロボットアームと、ロボットアームの移動を制御するように構成されたロボットコントローラと、ロボットアームへ取り付けられた溶接トーチと、溶接トーチへ電力出力を供給するように構成された溶接電源と、ロボットコントローラへ作動可能に接続されたロボット制御ペンダントとを含むアーク溶接システムが提供される。ロボット制御ペンダントは、溶接電源の複数の溶接パラメータを調整するためのユーザインターフェースを含み、ユーザインターフェースはディスプレイを含む。ロボットコントローラとロボット制御ペンダントのうちの少なくとも1つは、複数の溶接パラメータのそれぞれの設定を受信し、かつ溶接トーチの所定の溶接角度に基づき、設定のうちの1つまたは複数を自動的に調整するように構成されたプロセッサを含む。
【0014】
本発明の別の態様によると、溶接電極へ溶接出力を供給するように構成された電源と、複数の溶接パラメータを調整するためのユーザインターフェースであって、ディスプレイを含むユーザインターフェースと、複数の溶接パラメータのそれぞれの設定を受信するためにユーザインターフェースへ作動可能に接続されたプロセッサとを含むアーク溶接システムが提供される。プロセッサは、複数の溶接パラメータの設定を解析し、かつ複数の溶接パラメータの設定を解析した結果に基づき、現在のパラメータ設定に関連する絵文字警告を表示するようにディスプレイを制御するように構成される。絵文字警告は、現在のパラメータ設定の調整方向をグラフィック的に示す。プロセッサは、前記調整方向のグラフィック指示と共に複数の例示的溶接ビード絵文字を表示するようにさらに構成される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】例示的ユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【
図4】例示的ユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【
図5】例示的ユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【
図6】例示的ユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【
図7】例示的ユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【
図8】例示的ユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【
図9】例示的ユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【
図10】例示的ユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【
図11】例示的ユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【
図12】例示的ユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【
図13】例示的ユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【
図14】例示的ユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【
図15】例示的ユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【
図16】例示的ユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【
図17】例示的ユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態は、溶接電源、プラズマカッター、被覆加工および耐摩耗加工機器など、アーク生成電源のコントローラおよびユーザインターフェースに関する。より具体的には、本発明は、このような電源と、リアルタイムでかつ視覚的またはグラフィカルな方法で情報を動的に描写するコントローラおよび関連するグラフィカルユーザインターフェースとを含むロボットシステムと、このようなコントローラおよびユーザインターフェースを使用して電源パラメータを調整する方法に関する。次に、本発明について添付図面を参照して説明する。ここで、本明細書を通して同じ要素を指すために同じ参照符号が使用される。様々な図は図面間でも所与の図面内でも必ずしも原寸に比例して描かれていないことと、部品のサイズは添付図面の理解を容易にするために任意に描かれることとを理解すべきである。以下の説明では、説明の目的のために、多くの特定の詳細が本発明を詳細に理解するために記載される。しかし、本発明がこれらの特定の詳細無しに実施され得ることは明らかであろう。加えて、本発明の他の実施形態が可能であり、本発明は説明されるものと別の方法で実施され行われ得る。本発明を説明するのに使用される用語および語法は、本発明の理解を容易にする目的のための採用されており、限定として取られるべきでない。
【0017】
図1は、例示的ロボットシステム100を示す。本システムは、ツールを支援する移動式機械アセンブリを含む。移動式機械アセンブリは、図示のような6軸連節工業用ロボットアームなどのロボット102または円周パイプ溶接機などの他のタイプの移動式機械アセンブリであり得る。アームツールまたはエンドエフェクタの端がロボット102へ取り付けられる。アームツールの例示的端は、アーク溶接トーチおよびプラズマ切断トーチなどの電気的アークトーチ104を含む。
【0018】
説明の容易さのために、本システムの態様は、アーク溶接トーチを採用するアーク溶接システムに関連して論述される。しかし、このような態様はまた、プラズマカッターなどの他のタイプのシステムおよびツールへ適用可能であることを理解すべきである。
【0019】
トーチ104は、加工物に対して溶接作業を行うためにアーク108がトーチと加工物110との間に生成される消耗ワイヤ電極などの電極106を含み得る。ロボット102は、コンピュータベースロボットコントローラ112からの制御命令に基づき、溶接中のトーチ104の移動を制御する。
図2を参照すると、ロボットコントローラ112は、プロセッサ111、メモリ113、およびユーザインターフェース114を含み、かつロボット102の移動を制御するために必要とされる追加部品をさらに含み得る。メモリ113(例えば、非一時的コンピュータ可読媒体)は、本明細書ではプロセッサ111により実行されると、自らに割り当てられた機能をロボットコントローラ112に行わせるプログラム命令を格納し得る。
【0020】
ロボットコントローラ112は、ロボットコントローラへ作動可能に接続された携帯型制御ペンダントまたは教示ペンダント116を含む。制御ペンダント116は、ディスプレイと様々なユーザ入力とを有するユーザインターフェース118を含む。制御ペンダント116は、プロセッサ115、本明細書ではプロセッサにより実行されると、自らに割り当てられた機能を制御ペンダント116に行わせるプログラム命令を格納するためのメモリ117などを含み得る。制御ペンダント116を使用することにより、操作者は、様々な動作がロボット102により行われるようにプログラムまたは調整し得る。操作者はまた、ロボット102に関するユーザインターフェース118情報およびロボットが電極106を使用して加工物110に対して行う動作に関する情報をディスプレイ上で視認し得る。
【0021】
システム100は、電源120をさらに含む。電源120は、アーク108を生成するために電力出力をトーチ104へ供給する。電源120は、入力電力(例えば、ユーティリティ電源)を、加工物110に対して動作を行うのに好適なアーク波形(例えば、溶接波形)に変換する。電源120は、所望のアーク波形を生成するための電子回路(例えば、PWMインバータ、チョッパなど)を含み得る。電源120は、プロセッサ119、メモリ121、および加工物110に対して行われる動作の様々なパラメータ(例えば、電圧、電流、ワイヤ送り速度、ACバランスなど)を調整するためのユーザインターフェース122をさらに含み得る。ロボットコントローラ112および制御ペンダント116のように、電源120のメモリ121は、本明細書ではプロセッサ119により実行されると、自らに割り当てられた機能を電源に行わせるプログラム命令を格納し得る。
【0022】
図2に示すように、ロボットコントローラ112および制御ペンダント116は、双方向通信のために作動可能に接続される。通信は有線であっても無線であってもよい。ロボットコントローラ112の様々なパラメータは、制御ペンダント116へ送信され得、例えば制御ペンダント上のユーザインターフェース118を介して制御ペンダントにおいて調整され得る。ロボットコントローラ112はまた、電源120との双方向通信のために電源120へ作動可能に接続され得る。ロボットコントローラ112および電源120は、加工物110の溶接中にアークの状態とロボット102の移動とを連携させるために運転情報とパラメータ設定とを伝達し得る。いくつかの実施形態では、ロボットコントローラ112は、電源120内のパラメータを設定および調整し得、電源はロボットコントローラ内のパラメータを設定および調整し得る。制御ペンダント116はまた、電源パラメータを(電源から直接またはロボットコントローラ112を介してのいずれかで)受信および表示し得る。したがって、制御ペンダント116は、電源120へ作動可能に接続され得、操作者が制御ペンダントから直接電源パラメータを視認および調整できるようにし得る。
【0023】
上で論述されたユーザインターフェース114、118、122は、ロボットパラメータ、溶接パラメータ、プラズマ切断パラメータなどのパラメータを絵文字の形式で操作者へグラフィック的に提示し、パラメータに対する変更がどのようにロボットプロセス、溶接プロセス、プラズマプロセスなどへ影響を与えることになるかを操作者へ視覚的に示すためのディスプレイを含み得る。パラメータが調整されると、プロセス変更の表現はリアルタイムで発生し得る。すなわち、パラメータが調整されると、パラメータ、プロセスまたはプロセスの他の結果の絵文字表現も変化することになる。さらに、パラメータは、パラメータの様々な値または設定にそれぞれ対応するパラメータの複数の絵文字表現の中から選択することにより変更され得る。
【0024】
様々なユーザインターフェース114、118、122のディスプレイは、ディスプレイメモリおよびディスプレイ処理回路を含む電子回路により制御され得る。ディスプレイ処理回路は、ディスプレイが配置される装置を制御するために使用されるものとは別個のプロセッサを含み得る。ディスプレイはタッチスクリーンディスプレイであり得、ディスプレイは、ユーザインターフェース114、118、122の一部を形成するソフトキーおよびロータリエンコーダなどの様々な入力装置に関連付けられ得る。
【0025】
上で指摘したように、ディスプレイは、ロボットプロセス、または溶接プロセス、またはロボット移動と溶接プロセスとの組み合わせの一部またはパラメータを描写する絵文字を示し得る。例えば、ディスプレイは、溶接トーチの先端、溶接電極および加工物を表す絵文字アイコンを示し得る。パラメータ調整は、リアルタイムで絵文字の外観を変更することにより視覚的に描写され得る。例えば、電極突出が調整されることになると、調整は、電極が溶接トーチから突出すると思われる長さを変更(延長/縮小)することにより表示され得る。また、溶接自体上の突出に対する調整の結果は、絵文字またはアニメーション化された溶接プロセスで示され得る。例えば、表示される溶接ビードの形状(凸状、凹状など)は、突出が調整されると変更され得る。別の例は、ロボット102により行われるウィーブパターンに対する変更である。操作者がウィーブ頻度などのパラメータを変更すると、「密または粗」ウィーブのいずれかの視覚的表示が表示またはシミュレートされ得、その結果の溶接と溶接への影響(例えば、スカロッピング)とが示され得る。さらに、いくつかのパラメータ設定が間違っていると判断されると、絵文字警告が操作者へ提供され得る。絵文字警告は、パラメータがどのように(例えば、上へ、下へ、オン、オフなど)変更されるべきかをさらにグラフィック的に示唆する可能性がある。このような絵文字ベースの表示方法は、操作者がその影響を理解するために変更設定により実際に溶接することなくパラメータ変更の影響をより容易に理解できるようにし得る。操作者が、変更されているパラメータとその変更の影響とを想像しようとするのではなく、様々な変数の値またはパラメータの設定を変更すると、ディスプレイは溶接が発生する前に変更のリアルタイム視覚的表示を提供し得る。絵文字としてのパラメータのグラフィック表示およびパラメータの調整に起因するその結果の溶接への影響の視覚的表示は、操作者のための高度に直観的な制御インターフェースを提供し得る。
【0026】
次に、ロボットコントローラ112および電源120の動作を制御するための様々なインターフェース画面について論述する。インターフェース画面は、上記プロセッサ111、115、119の任意のものの制御下で上記ユーザインターフェース114、118、122の任意のものの上に表示され得る。しかし、制御ペンダント116はハンドヘルドおよび携帯型であるため、インターフェース画面を制御ペンダント上に実装し、制御ペンダントをロボットコントローラ112と電源120との両方のための共通ユーザインターフェースとして使用するのが望ましいことがあり得る。
【0027】
図3は、ロボットアーム102の移動を含む溶接プロセス(
図1)、電源120の動作、およびアーク108の生成を制御するための例示的ユーザインターフェースのスクリーンショットとである。
図3の画面は、様々な他の制御画面が選択され得る主画面300である。特に、溶接編集およびチューニング(チューニング302)、電源状態および様々な手動機能(溶接機304)、シーム追跡状態およびチューニング(WolfTrack 306)、溶接モード選択(設定308)および他の設定(設定310)のための1つまたは複数の画面は、主画面300のアイコンを介してアクセスされ得る。
【0028】
図4~
図6は、溶接モード選択(設定308)に対応するスクリーンショット312、314、316を提供する。溶接モードは、
図4~
図6に示す画面から検索、選択、および編集され得る。多様な利用可能溶接モードが表示され得、そのうちの1つが使用および/または編集するために選択される。各溶接モードは一意の識別子(番号、名称など)を有し得る。特定溶接モードの選択は、行われるべき溶接プロセス(GMAW)、ガスタイプ、電極特性、ワイヤ送り速度、電圧、電流など、選択モードに対応する特性の表示をトリガし得る。選択された溶接モードの格納パラメータの値は、必要に応じて表示および変更され得る。
図4では「モード21」がハイライトされた。「情報」アイコン318の選択は、選択された溶接モードに関する詳細情報を提供する画面314(
図5)を立ち上げ得る。選択された溶接モードまたは選択された溶接モードのパラメータは、ロボットによる溶接作業中の使用のために電源へ伝達され得る。「検索」アイコン320の選択は、特定のパラメータ(例えば、溶接プロセス、ワイヤタイプ、ガスタイプなど)に従って様々な利用可能溶接モードを検索するための検索画面316(
図6)を立ち上げ得る。
【0029】
図7は、シーム追跡状態およびチューニング(WolfTrack 306)機能画面318のスクリーンショットを提供する。溶接シーム追跡に関連する様々なパラメータ(追跡モード、利得Y、利得Z、基準電圧、基準電流、実電圧、実電流、YおよびZ補正など)が表示および/または変更され得る。シーム追跡器が活性状態または故障状態であるかどうか、追跡センサはOKであるかどうか、アークが検知されたかどうかなど、シーム追跡器の現在の状態320が操作者へ表示され得る。追跡パラメータを変更した結果は、変更の影響を操作者へ迅速に伝えるために画像またはアニメーション化された溶接シミュレーション322として表示され得る。
【0030】
図8は、電源状態および手動機能(溶接機304)画面324のスクリーンショットを提供する。この画面から、溶接電圧、電流およびワイヤ送り速度などの電源パラメータが視認および調整され得る。ガスおよび水が活性化され、それに伴う問題が発生したかどうか、溶接ワイヤが絡まったかどうかなど、溶接作業の現在状態326も表示され得る。画面324は、ワイヤ送り速度が上下に調整され得る絵文字328、330を含む。
【0031】
図9~
図14は、溶接編集およびチューニング(チューニング302)画面に対応するスクリーンショットを提供する。
図9および
図10において、溶接速度、ウィーブ長、ウィーブ幅、ドゥエル左、ドゥエル右、溶接機モード、電圧およびワイヤ送り速度などの溶接およびロボットパラメータが必要に応じて選択および調整され得る。第1のウィンドウ332内の溶接またはロボットパラメータの1つをハイライトすることで、第2のウィンドウ334内のパラメータの選択または調整を提供し得る。パラメータを調整する影響は、絵文字もしくはアニメーションでおよび/またはテキストフォーマットでグラフィック的に表示され得る。
【0032】
上で指摘したように、本明細書で論述されるインターフェース画面は、制御ペンダント116のユーザインターフェース118(
図2)上に表示され得、ロボット102および電源120のパラメータは、制御ペンダントを使用して設定および調整され得る。制御ペンダント116内のプロセッサ115は、ユーザインターフェース118を介して操作者から設定を受信し、ロボットコントローラ112および/または電源120へ設定を送信し得る。制御ペンダント116内のプロセッサ115はまた、操作者による表示および調整のために現在のパラメータ設定をロボットコントローラ112および/または電源120から受信し得る。
【0033】
制御ペンダント116は、操作者により入力された現在の設定との比較のためにパラメータ設定の許容範囲を受信および/または格納し得る。プロセッサ115は、ロボットコントローラ112または電源120から受信された許容範囲と比較することにより現在の設定を解析し得る。操作者の現在のパラメータ設定が許容範囲外であると、プロセッサ115は、現在の設定が範囲外であることを示す現在のパラメータ設定に関連する絵文字警告を表示するようにディスプレイを制御し得る。さらに、絵文字警告は、許容範囲内に移動させるために現在のパラメータ設定の推奨調整をグラフィック的に示し得る。例えば、絵文字警告は、パラメータの推奨調整方向を、またはパラメータが活性化されるべきか非活性化されるべきかを示すことができる可能性がある。パラメータWFS(ワイヤ送り速度)の例示的絵文字警告336が
図9に示される。ウィンドウ334では、制御ペンダントが現在の溶接手順のための50~490ipm(毎分インチ)の受容可能かつ有効なWFS範囲を電源から受信したことがわかる。しかし、WFS設定は661ipmである。現在のWFS設定は許容範囲外であるため、制御ペンダントは、感嘆符を有する下方向き矢印の形式で絵文字警告を表示する。警告336はまた、調整が推奨されていることを示すために赤または黄色などの色を取り込み得る。絵文字画像は警告を同時に提供し、パラメータ設定の推奨調整方向(下方)を示す。
【0034】
図11では、範囲外パラメータ設定に関する追加絵文字情報が操作者へ提供され得ることがわかる。「情報」アイコン338の選択は、ハイライトされたパラメータの追加情報の表示をトリガすることになる。絵文字情報は、パラメータの調整方向340と不適切な溶接ビード342の断面とを含み得る。不適切な溶接ビード342が発生するかまたは予想されると、調整方向340は、どのように選択パラメータを調整するかを操作者に通知し得る。例えば、凸状溶接ビード、溶け落ち、アンダーカット、過剰はね返りまたは異常アークが発生するかまたは予想されると、WFSは、表示調整方向340により示されるように低減されるべきである。逆に、凹状ビードまたは劣悪な溶接溶け込みが発生するかまたは予想されると、WFSは増加されるべきである。いくつかの実施形態では、パラメータの範囲外状態は、範囲外パラメータの推奨調整方向に対応する追加絵文字情報のみを表示するためにプロセッサにより使用される。
図9において、例えば、WFSが余りに高く設定され、かつ推奨調整方向が下方であるため、情報アイコン338の選択は、WFSの下方調整に関する追加情報のみの表示と、WFSが下方に調整されれば生じるであろう不適切な溶接ビードの画像の表示とを生じ得る。不適切な溶接ビードはまた、必要に応じてアニメーション化された方法で表示され得る。
【0035】
溶接編集およびチューニング画面は「ブロッキング」アイコン342を含み得る。溶接、シーム追跡およびウィービングは、ブロッキングアイコン342を選択し、次に、活性/非活性化される動作に対応するアイコンを選択することにより、溶接編集およびチューニング画面から活性化および非活性化され得る(
図12)。
【0036】
図13および
図14は、操作者へ伝えられ得る追加のグラフィック情報を示す。例えば、選択のために利用可能な様々なウィーブ形状344の外観または様々なウィーブ長346および/もしくは頻度が表示され得る。結果として得られる加工物および溶接ビードも表示され得る。例えば、ウィーブ頻度が調整された結果の溶接ビードが描写され得る。
図14に示すように、ウィーブ形状またはパターンは、溶接トーチの移動長に沿ったウィーブパターンの高さおよび幅を示す透視三次元図で表示され得る。操作者は表示画像の中から所望のウィーブ形状、頻度、長さなどを選択し得、ロボットコントローラは、加工物上に選択像に一致する溶接ビードを生成するようにロボットアームの運動を制御し得る。
【0037】
溶接編集およびチューニング画面から、溶接テンプレートが溶接作業中の使用のために生成またはロードされ得る。溶接テンプレートは、プロセッサの1つまたは複数によるアクセスのために上で論述されたメモリの1つまたは複数に保存され得る。溶接テンプレートは、全体またはほぼ全体の溶接作業を定義するための電源パラメータとロボットパラメータとの両方を含み得る。
図15~
図17は、例示的テンプレート画面を示す。溶接編集およびチューニング画面(
図9~
図14)は、テンプレート検索画面350を活性化するための「テンプレート」アイコン348を含み得る。テンプレート検索画面350から、利用可能格納テンプレートが、溶接継手タイプ、溶接位置(例えば、1F-4F、1G-4Gなど)、加工物厚さ、金属のタイプ、または他のパラメータなどの判断基準に基づきフィルタ処理され得る。溶接継手タイプおよび溶接位置などのいくつかのフィルタ処理パラメータも絵文字で表示され得る(352)。特定の溶接テンプレートが、フィルタ判定基準を満足するテンプレートのリスト354から選択され得る。
【0038】
テンプレートに関する詳細情報を表示するために、「情報」アイコン356が選択され得る。
図16に示すように、詳細情報は、テンプレートの名称、その著者、溶接材料、溶接タイプおよび位置、材料厚さ、溶接サイズ、および他の情報(例えば、ウィーブパターン、ウィーブ長および頻度、電源パラメータなど)を含み得る。テンプレートは、作業角度範囲、移動角度範囲、レベル角度範囲およびロール角度範囲(トーチ角度)などのCARW(コンピュータ支援ロボット溶接)データ358を含み得る。CARWデータに関連する「情報」アイコン360の選択は、
図17に示すようにCARWデータの絵文字表示を活性化し得る。CARW角度データがトーチの様々な溶接または動作角度の範囲であることが
図17でわかる。溶接角度の範囲は、トーチ角度の最大値および最小値に加えて定格値を含み得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、トーチ角度の範囲は電圧、電流、WFSなどの電源パラメータに関連付けられ得る。制御ペンダント116内のプロセッサ115などのプロセッサ(
図1および2)は、テンプレート内のトーチ角度の範囲を逸脱する溶接作業中の実際のトーチ角度に基づき、電源パラメータ設定の1つまたは複数を自動的に調整し得る。溶接中にロボットにより制御されるトーチ角度がテンプレート内の範囲の1つを逸脱すると、プロセッサ115は、この逸脱に対処するために溶接中に溶接パラメータ設定を上または下へ自動的に調整し得る。
【0040】
溶接中の実際のトーチ角度は、加工物上の障害物を回避するためにテンプレート内のプログラム範囲から逸脱する必要があり得る。船内で溶接する際、例えば、船内の障害物はトーチ角度を現在のテンプレート内の範囲から逸脱させ得る。このような逸脱が発生すると、制御ペンダント116内のプロセッサ115またはロボットコントローラ112内のプロセッサは、逸脱の原因となる溶接パラメータを自動的に調整し得る。例えば、トーチ角度の1つまたは複数がテンプレートから逸脱するように溶接トーチがオーバーヘッド溶接位置に回転されなければならない場合、溶接電圧または電流などの電源パラメータが若干低減されるか、またはトーチの位置に対処するためにウィーブパターンが変更されるか、または移動速度が増加される可能性がある。トーチ角度がテンプレート内の許容範囲へ戻ると、プロセッサは溶接パラメータ設定をそれらの定格値へ自動的に戻し得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、3DCADファイルなどの加工物データがプロセッサによりアクセス可能なメモリ内に格納され得る。加工物データは潜在的障害物の位置およびサイズに関する情報を含み得る。プロセッサは、加工物データを解析し、加工物データからロボット制御溶接ルート、経路または順序を計画し得る。プロセッサはまた、溶接ルート、経路または順序の一部として所定のトーチ角度を計画し得る。所定のトーチ角度がテンプレート内の範囲から逸脱すると、プロセッサは溶接パラメータ調整を計画溶接手順の一部として格納し得る。
【0042】
図18は、上で論述されたプロセッサの1つまたは複数により行われ得る例示的プロセスの流れ図を提供する。溶接される加工物に関するCADファイルは、プロセッサによりアクセス可能なメモリ内にロードされ得る(工程S10)。CADファイル内のデータから、プロセッサは溶接経路を判定し(工程S20)、溶接経路内の障害物を識別し得る(工程S30)。プロセッサはまた、溶接経路に沿っておよび任意の識別された障害物に照らして作業角度、移動角度、およびレベル角度などのトーチ角度を判断し得る(工程S40)。次に、プロセッサはトーチ角度を溶接テンプレートと比較し(工程S50)、トーチ角度が溶接テンプレート内に格納された範囲内であるかどうかを判断し得る(工程S60)。トーチ角度のいずれかが溶接テンプレート内の範囲から逸脱すると、プロセッサは、対応する調整された溶接パラメータ設定を格納し得る(工程S70)。
【0043】
本明細書で論述され、かつ絵文字としておよび/または溶接アニメーションの一部としてキストで表示されるインターフェース画面および/またはテンプレート内に含まれ得る例示的パラメータおよび他の情報は、以下のものを含む:
テンプレート名、著者、タイムスタンプ
溶接サイズ
継手タイプ - フィレ、ラップ、ベベル、V字溝など
関節位置 - 1F、2F、1G、2Gなど
加工物材料タイプ
材料厚さ(最小および最大)
CARW(コンピュータ支援ロボット溶接)データ:
作業角度 - トーチ/加工物角度
移動角度 - トーチプッシュ/プル角度
レベル角度 - 継手が理想1F、2Fなどの状態からどの程度遠くまで変化し、かつ依然として所望の結果を達成し得るかを記述する。
ロール角度 - 継手が理想1F、2Fなどの状態からどの程度遠くまで変化し、かつ依然として所望の結果を達成し得るかを記述する。
溶接機およびロボット動作/タイミング制御:
開始データ
消去時間
プリフロー時間
引っ掻きタイプ
開始移動遅延
点火制御
熱位相速度
熱位相距離
熱制御
ビードデータ:
溶接速度
以下のようなウイーブデータ:
ウィーブ長
ウィーブ幅
ドゥエル左
ドゥエル右
ウィーブ高度化データ:
ウィーブ形状
ウィーブタイプ
ウィーブ高さ
ドゥエル中心
ウィーブ方向
ウィーブ傾斜
ウィーブ配向
ウィーブバイアス
追加(追跡)データ:
追跡タイプ
利得y
利得z
トラックバイアス
最大補正
最終データ:
冷却時間
充填時間
充填制御
焼き戻し時間
焼き戻し制御
ロールバック時間
後フロー時間
角度溶接機データは以下のものを含み得る:
溶接機モード(例えば、ワイヤタイプ、ワイヤサイズおよびガスタイプを確定するため)
電圧
ワイヤ送り(例えば、速度)
電流(モード毎に変化)
制御_1(モード毎に変化)
制御_2(モード毎に変化)
制御_3(モード毎に変化)
制御_4(モード毎に変化)
マルチパスパラメータ - マルチパス溶接内の後続パスのデータ(ルートパスに対するツール位置/配向を含む)
計算適応制御 - 適切に充てんするために適応化堆積を必要とする溶接継手を変更するため
アーク追跡制御パラメータを介したPowerWave
パス間クリーニング(研削または針スケーリング)必要要件
予備加熱必要要件。
【0044】
本開示は一例であり、本開示に含まれる教示の公平な範囲から逸脱することなく詳細を追加、修正、削除することにより、様々な変更形態がなされ得ることは明白である。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲が必然的にそのように限定されている限りにおいて以外では、本開示の特定の詳細に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0045】
100 ロボットシステム
102 ロボット
104 電気アークトーチ
106 電極
108 アーク
110 加工物
111 プロセッサ
112 ロボットコントローラ
113 メモリ
114 ユーザインターフェース
115 プロセッサ
116 制御ペンダント
117 メモリ
118 ユーザインターフェース
119 プロセッサ
120 電源
121 メモリ
122 ユーザインターフェース
300 主画面
302 チューニング
304 溶接機
306 WOLFTrack
308 設定
310 設定
312、314、316、324、350 スクリーンショット
318 情報アイコン
320 検索アイコン
322 アニメーション化された溶接シミュレーション
326 現在状態
328 絵文字
330 絵文字
332 第1のウィンドウ
334 第2のウィンドウ
336 警告
338 情報アイコン
340 調整方向
342 ブロッキングアイコン
344 ウィーブ形状
346 ウィーブ長
348 テンプレートアイコン
352 絵文字表示
354 テンプレートリスト
356 情報アイコン
358 CARWデータ
360 情報アイコン
S10~S70 工程