(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20220516BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20220516BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L33/60
(21)【出願番号】P 2017518810
(86)(22)【出願日】2015-10-07
(86)【国際出願番号】 KR2015010590
(87)【国際公開番号】W WO2016056837
(87)【国際公開日】2016-04-14
【審査請求日】2018-07-24
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】10-2014-0136095
(32)【優先日】2014-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0008212
(32)【優先日】2015-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0008213
(32)【優先日】2015-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507194969
【氏名又は名称】ソウル セミコンダクター カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEOUL SEMICONDUCTOR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】97-11, Sandan-ro 163 beon-gil, Danwon-gu,Ansan-si,Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミョン ジン
(72)【発明者】
【氏名】オー,グァンウン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ナム,キ ボム
(72)【発明者】
【氏名】オー,ジ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク,サン シン
(72)【発明者】
【氏名】イム,マイケル
【合議体】
【審判長】山村 浩
【審判官】清水 督史
【審判官】野村 伸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-103512(JP,A)
【文献】特表2008-506246(JP,A)
【文献】特開2014-60283(JP,A)
【文献】特開2011-29497(JP,A)
【文献】特表2011-514667(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0078669(US,A1)
【文献】特開2011-66463(JP,A)
【文献】特開2010-157608(JP,A)
【文献】特開2010-135277(JP,A)
【文献】特開2009-188274(JP,A)
【文献】特開2008-166782(JP,A)
【文献】特開2005-285800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁を有するハウジングと、
前記ハウジング
のうち前記内壁より内周側の第1表面に配置される発光ダイオードチップと、
シリコン系列、エポキシ系列、PMMA系列、PE系列及びPS系列のうちの少なくとも一つを含み、前記発光ダイオードチップ上に配置される波長変換部と、
前記波長変換部内に分布し、500nm~540nmの波長範囲内にピーク波長を有する光を放出する第1蛍光体と、
前記波長変換部内に分布し、600nm~650nmの波長範囲内にピーク波長を有する光を放出する第2蛍光体と、を含み、
前記発光ダイオードチップが放出する光のピーク波長は415nm~430nmの波長範囲内に位置し、
前記波長変換部は、
前記発光ダイオードチップを覆う第1波長変換部と、
前記第1波長変換部を覆う第2波長変換部と、
を含み、
前記波長変換部は、前記内壁を露出しないように前記ハウジングの内壁に接触して配置され、前記内壁の外周側における前記ハウジングの第2表面には配置されず、前記内壁の内周側の領域において凸となる曲面形状の表面を有し、
前記内壁は、前記第1表面と前記第2表面との間において、前記第1表面および前記第2表面に対して傾斜し、
前記第1波長変換部と前記第2波長変換部との境界は、前記傾斜した前記内壁と接触し、
前記第1波長変換部は前記第2蛍光体を含有し、
前記第2波長変換部は前記第1蛍光体を含有し、
前記第1波長変換部は、前記第2波長変換部に覆われる部分において、当該第2波長変換部の側に凸となる曲面形状を有し、
前記第1波長変換部は、前記第2波長変換部よりも硬度が低い、発光装置。
【請求項2】
前記第1蛍光体は、LuAG、YAG、窒化物及びシリケート系列の蛍光体のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2蛍光体は、CASN、CASON及びSCASN系列蛍光体のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記波長変換部内に分布し、450nm~480nmの波長範囲内にピーク波長を有する光を放出する第3蛍光体をさらに含む、請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第3蛍光体は、SBCA、BAM、シリケート及び窒化物系列蛍光体のうちの少なくとも一つを含む、請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記発光ダイオードチップは、前記第1蛍光体及び前記第2蛍光体のそれぞれから放出される光の合成によって白色光が形成され、
前記白色光の演色指数(CRI)は85以上である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記発光ダイオードチップから放出された光を反射する第1リフレクタを含み、
前記第1リフレクタは、無機材料、有機材料、金属材料及び金属酸化物材料のうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記第1リフレクタを覆う第2リフレクタをさらに含み、
前記第2リフレクタは、無機材料又は金属材料を含む、請求項7に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。具体的に、本発明は、信頼性、演色性及び光量が向上した発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)パッケージは、半導体のp-n接合構造を有する化合物半導体であって、少数キャリア(電子又は正孔)の再結合によって所定の光を発散する素子を称する。発光ダイオードを含む発光装置は、消費電力が少なく、寿命が長く、小型化が可能である。
【0003】
発光装置は、波長変換手段である蛍光体を使用して白色光を具現することができる。すなわち、蛍光体を発光ダイオードチップ上に配置し、発光ダイオードチップの1次光の一部と、蛍光体によって波長変換された2次光との混色を通じて白色光を具現することができる。このような構造の白色発光装置は、安値で、原理的及び構造的に簡単であるため広く用いられている。
【0004】
具体的に、青色発光ダイオードチップ上に青色光の一部を励起光として吸収し、黄緑色又は黄色を発光する蛍光体を塗布することによって白色光を得ることができる。大韓民国公開特許10-2004-0032456号を参照すると、青色で発光する発光ダイオードチップ上に、その光の一部を励起源として黄緑色及び黄色で発光する蛍光体を付着し、発光ダイオードの青色発光と蛍光体の黄緑色及び黄色発光によって白色で発光する発光ダイオードを開示している。
【0005】
しかし、このような方式を使用する白色発光装置は、黄色蛍光体の発光を活用するので、放出される光の緑色及び赤色領域のスペクトル欠乏によって演色性が低い。特に、白色発光装置をバックライトユニットとして使用するとき、色フィルタを透過した後の低い色純度によって自然色に近い色の具現が難しい。
【0006】
このような問題を解決するために、青色発光ダイオードチップと、青色光を励起光として緑色及び赤色を発光する蛍光体とを使用して発光ダイオードを製造する。すなわち、青色光と青色光によって励起されて出る緑色光及び赤色光の混色を通じて、高い演色性を有する白色光を具現することができる。このような白色発光ダイオードをバックライトユニットとして使用する場合、色フィルタとの一致度が非常に高いので、自然色により近い映像を具現することができる。しかし、青色発光ダイオードチップを使用する発光ダイオードは、青色光の強度が相対的に強いので、これを照明として使用する場合、人体に様々な副作用、例えば、睡眠障害などが発生するおそれが高い。例えば、メラトニンの抑制がもたらされ、その結果、生体周期リズムが影響を受けてしまい、例えば、睡眠障害などが発生するおそれが高い。
【0007】
一方、白色光を具現するために、青色発光ダイオードチップの代わりに、紫外線発光ダイオードチップを使用してもよい。紫外線発光ダイオードチップを使用する発光装置は、高い演色性を具現することができ、蛍光体の組み合わせによる色温度の変換が容易なだけでなく、優れた収率を有することができる。しかし、紫外線発光ダイオードチップは、相対的に高いエネルギーを有する波長の光を放出するので、封止材の劣化現象又はクラック現象などが発生し、さらに、めっきされたリードフレームの変色などの問題が発生し得る。よって、紫外線発光ダイオードチップを含む発光装置は、発光装置の信頼性において問題を有する。
【0008】
これによって、上述した問題を解決できる発光装置の開発が要求される。
【0009】
一方、R9は、強い赤色に対する指標であって、皮膚色、美術作品、衣類、食料品などと関係した分野で重要である。紫色に近い光を放出する発光ダイオードチップを使用する場合、CRIが90以上であると共に、R9が50以上の値を有するためには、長波長領域でピーク波長を有するCASN系列蛍光体を適用する。しかし、長波長のCASN系列蛍光体を使用するとき、R9は増加するが、光量が4%以上減少するという問題があり、適用において限界を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、向上した信頼性及び演色性を有する発光装置を提供することにある。
【0011】
本発明が解決しようとする他の課題は、向上した視感度及び光量を有する発光装置を提供することにある。
【0012】
本発明が解決しようとする更に他の課題は、向上したCRI及びR9数値を有する発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施例に係る発光装置は、ハウジングと、前記ハウジングに配置される発光ダイオードチップと、前記発光ダイオードチップ上に配置される波長変換部と、前記波長変換部内に分布し、緑色光帯域のピーク波長を有する光を放出する第1蛍光体と、前記波長変換部内に分布し、赤色光帯域のピーク波長を有する光を放出する第2蛍光体と、を含み、前記発光ダイオードチップが放出する光のピーク波長は415nm~430nmの波長範囲内に位置してもよい。
【0014】
また、前記第1蛍光体は、LuAG、YAG、窒化物及びシリケート系列の蛍光体のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0015】
前記第2蛍光体は、CASN、CASON及びSCASN系列蛍光体のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0016】
前記第1蛍光体が放出する光の緑色光帯域のピーク波長は500nm~540nmの波長範囲内に位置し、前記第2蛍光体が放出する光の赤色光帯域のピーク波長は600nm~650nmの波長範囲内に位置してもよい。
【0017】
前記波長変換部内に分布し、青色光帯域の光を放出する第3蛍光体をさらに含み、前記第3蛍光体は、SBCA、BAM、シリケート及び窒化物系列蛍光体のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0018】
前記第3蛍光体が放出する光の青色光帯域のピーク波長は450nm~480nmの波長範囲内に位置してもよい。
【0019】
前記発光ダイオードチップは、前記第1蛍光体及び前記第2蛍光体のそれぞれから放出される光の合成によって白色光が形成され、前記白色光の演色指数(CRI)は85以上であってよい。
【0020】
前記波長変換部は、シリコン、エポキシ、PMMA、PE及びPSのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0021】
前記波長変換部と前記発光ダイオードチップとの間に配置されるバッファ部をさらに含み、前記バッファ部は前記波長変換部より低い硬度を有してもよい。
【0022】
前記波長変換部は、前記発光ダイオードチップを覆う第1波長変換部と、前記第1波長変換部を覆う第2波長変換部と、を含み、前記第1波長変換部は前記第2蛍光体を含有し、前記第2波長変換部は前記第1蛍光体を含有してもよい。
【0023】
前記ハウジングは、前記発光ダイオードチップから放出された光を反射するリフレクタをさらに含んでもよい。
【0024】
前記ハウジングは、前記リフレクタを覆うバリアリフレクタをさらに含んでもよい。
【0025】
本発明の一実施例に係る発光装置は、前記発光ダイオードチップからの光によって励起され、シアン(Cyan)光帯域の光を放出する第1蛍光体と、前記発光ダイオードチップからの光によって励起され、赤色光帯域の光を放出する第2蛍光体と、を含み、前記発光ダイオードチップが放出する光のピーク波長は415nm~430nmの波長範囲内に位置し、前記発光ダイオードチップは、前記第1蛍光体及び前記第2蛍光体のそれぞれが放出する光の合成によって白色光が形成され、前記白色光の光スペクトルは、500nm~600nmの波長範囲内で40%以上が分布してもよい。
【0026】
前記第1蛍光体が放出する光のシアン光帯域のピーク波長は500nm~540nmの波長範囲内に位置し、前記第2蛍光体が放出する光の赤色光帯域のピーク波長は600nm~650nmの波長範囲内に位置してもよい。
【0027】
前記白色光の演色指数(CRI)は85以上であってもよい。
【0028】
前記第1蛍光体は、LuAG、YAG、窒化物及びシリケート系列の蛍光体のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0029】
前記第2蛍光体は、CASN、CASON及びSCASN系列蛍光体のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0030】
前記発光ダイオードチップからの光によって励起され、青色光帯域のピーク波長を有する光を放出する第3蛍光体をさらに含み、前記第3蛍光体は、SBCA、BAM、シリケート及び窒化物系列蛍光体のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0031】
前記第3蛍光体が放出する光の青色光帯域のピーク波長は450nm~480nmの波長範囲内に位置してもよい。
【0032】
本発明の更に他の実施例に係る発光装置は、白色発光装置において、415nm~435nmの範囲内のピーク波長を有する光を放出する発光ダイオード、及び前記発光ダイオード上に位置する波長変換部を含み、前記波長変換部は、赤色光帯域のピーク波長を有する光を放出する第1レッド蛍光体及び第2レッド蛍光体、緑色光帯域のピーク波長を有する光を放出するグリーン蛍光体、並びにシアン光帯域のピーク波長を有する光を放出するシアン蛍光体を含み、前記第1レッド蛍光体と前記第2レッド蛍光体は異なる物質であり、前記発光装置から放出された光は90以上のCRI値を有する。これによって、演色性に優れるだけでなく、光量に優れた発光装置を提供することができる。
【0033】
前記第1レッド蛍光体は、化学式A2MF6:Mnで表現される蛍光体を含んでもよく、前記Aは、Li、Na、K、Rb、Ce及びNH4からなる群から選ばれるいずれか一つで、前記Mは、Si、Ti、Nb及びTaからなる群から選ばれるいずれか一つである。
【0034】
前記グリーン蛍光体は、シリケート系列の蛍光体を含んでもよい。
【0035】
前記シリケート系列の蛍光体は、化学式(Ba,Sr,Ca)2SiO4:EUで表現される蛍光体を含んでもよい。
【0036】
前記第2レッド蛍光体はCASN系列の蛍光体を含んでもよい。
【0037】
前記CASN系列の蛍光体は、化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EU又はCaAlSiN3:EUで表現される蛍光体を含んでもよい。
【0038】
前記シアン蛍光体はLuAG系列の蛍光体を含んでもよい。
【0039】
前記LuAG系列の蛍光体は、化学式Lu3Al5O12:Ce又は一部のAlが他の3族元素に置換された化学式Lu3(Al,X)5O12:Ce(Xは、Al以外の3族元素)で表現される蛍光体を含んでもよい。
【0040】
前記シアン蛍光体と前記グリーン蛍光体の質量比は、8~9.9:0.1~2であり、前記第2レッド蛍光体と前記第1レッド蛍光体の質量比は2.5~5:7.5~5であってもよい。前記質量比を満足する場合、演色性に優れるだけでなく、光量に優れた発光装置を提供することができる。
【0041】
前記第1レッド蛍光体及び前記第2レッド蛍光体は600nm~660nmの波長を有する光を放出し、前記緑色蛍光体は520nm~550nmの波長を有する光を放出し、前記シアン蛍光体は490nm~550nmの波長を有する光を放出してもよい。
【0042】
前記波長変換部は、前記発光ダイオードの少なくとも一部を覆ってよい。
【0043】
本発明の更に他の実施例に係る発光装置は、白色発光装置において、415nm~435nmの範囲内のピーク波長を有する光を放出する発光ダイオードと、前記発光ダイオード上に位置する波長変換部と、を含み、前記波長変換部は、化学式A2MF6:Mnで表現される第1レッド蛍光体、化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EU又は化学式CaAlSiN3:EUで表現される第2レッド蛍光体、化学式(Ba,Sr,Ca)2SiO4:EUで表現されるグリーン蛍光体、及び化学式Lu3Al5O12:Ce又は一部のAlが他の3族元素に置換された化学式Lu3(Al,X)5O12:Ce(XはAl以外の3族元素)で表現されるシアン蛍光体を含み、前記シアン蛍光体と前記グリーン蛍光体の質量比は8~9.9:0.1~2であり、前記第2レッド蛍光体と前記第1レッド蛍光体の質量比は2.5~5:7.5~5であってよく、前記Aは、Li、Na、K、Rb、Ce及びNH4からなる群から選ばれるいずれか一つで、前記Mは、Si、Ti、Nb及びTaからなる群から選ばれるいずれか一つで、前記Xは、Al以外の3族元素である。これによって、演色性に優れるだけでなく、光量に優れた発光装置を提供することができる。
【0044】
本発明の更に他の実施例に係る発光装置は、白色発光装置において、415nm~435nmの範囲内のピーク波長を有する光を放出する発光ダイオード、及び前記発光ダイオード上に位置する波長変換部を含み、前記波長変換部は、赤色光帯域のピーク波長を有する光を放出するレッド蛍光体、緑色光帯域のピーク波長を有する光を放出するグリーン蛍光体、及びシアン光帯域のピーク波長を有する光を放出するシアン蛍光体を含み、前記発光装置から放出された光は90以上のCRI値を有し、下記の式1の光量変化率が100%超過である発光装置を提供することができる。
【0045】
[式1]
光量変化率(%)=[F1/F0]×100
F1:前記発光装置から放出された光の光量(lm)
F0:蛍光体として、化学式Lu3Al5O12:Ce又は一部のAlが他の3族元素に置換された化学式Lu3(Al,X)5O12:Ce(XはAl以外の3族元素)で表現されるLuAG系列の蛍光体、及び化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EUで表現されるCASN系列の蛍光体のみを含む波長変換部を有する発光装置から放出された光の光量(lm)
【0046】
本発明の更に他の実施例に係る発光装置は、白色発光装置において、415nm~435nmの範囲内のピーク波長を有する光を放出する発光ダイオードと、前記発光ダイオード上に位置する波長変換部と、を含み、前記波長変換部は、赤色光帯域のピーク波長を有する光を放出する第1レッド蛍光体及び第2レッド蛍光体、並びにシアン光帯域のピーク波長を有する光を放出するシアン蛍光体を含み、前記第1レッド蛍光体と前記第2レッド蛍光体は互いに異なる物質であり、前記発光装置から放出された光は、90以上のCRI値を有し、50以上のR9値を有してもよい。これによって、演色性に優れるだけでなく、光量に優れた発光装置を提供することができる。
【0047】
前記第1レッド蛍光体は、化学式A2MF6:Mnで表現される蛍光体を含んでもよい。前記Aは、Li、Na、K、Rb、Ce及びNH4からなる群から選ばれるいずれか一つで、前記Mは、Si、Ti、Nb及びTaからなる群から選ばれるいずれか一つである。
【0048】
前記第2レッド蛍光体はCASN系列の蛍光体を含んでもよい。
【0049】
前記CASN系列の蛍光体は、化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EUで表現される蛍光体を含んでもよい。
【0050】
前記シアン蛍光体はLuAG系列の蛍光体を含んでもよい。
【0051】
前記LuAG系列の蛍光体は、化学式Lu3Al5O12:Ce又は一部のAlが他の3族元素に置換された化学式Lu3(Al,X)5O12:Ce(XはAl以外の3族元素)で表現される蛍光体を含んでもよい。
【0052】
前記第2レッド蛍光体と前記第1レッド蛍光体の質量比は0.5~4:6.5~9.5であってもよい。これによって、演色性に優れるだけでなく、光量に優れた発光装置を提供することができる。
【0053】
前記第1レッド蛍光体及び第2レッド蛍光体は600nm~660nmの波長を有する光を放出し、前記シアン蛍光体は490nm~550nmの波長を有する光を放出してもよい。
【0054】
前記波長変換部は、前記発光ダイオードの少なくとも一部を覆ってもよい。
【0055】
本発明の更に他の実施例に係る発光装置は、白色発光装置において、415nm~435nmの範囲内のピーク波長を有する光を放出する発光ダイオードと、前記発光ダイオード上に位置する波長変換部と、を含み、前記波長変換部は、化学式A2MF6:Mnで表現される第1レッド蛍光体、化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EUで表現される第2レッド蛍光体、及び化学式Lu3Al5O12:Ce又は一部のAlが他の3族元素に置換された化学式Lu3(Al,X)5O12:Ceで表現されるシアン蛍光体を含み、前記第2レッド蛍光体と前記第1レッド蛍光体の質量比は0.5~4:6.5~9.5であってよい。前記Aは、Li、Na、K、Rb、Ce及びNH4からなる群から選ばれるいずれか一つで、前記Mは、Si、Ti、Nb及びTaからなる群から選ばれるいずれか一つで、前記XはAl以外の3族元素である。
【0056】
本発明の更に他の実施例に係る発光装置は、白色発光装置において、415nm~435nmの範囲内のピーク波長を有する光を放出する発光ダイオードと、前記発光ダイオード上に位置する波長変換部と、を含み、前記波長変換部は、赤色光帯域のピーク波長を有する光を放出するレッド蛍光体、及びシアン光帯域のピーク波長を有する光を放出するシアン蛍光体を含み、前記発光装置から放出された光は、90以上のCRI値を有し、50以上のR9値を有し、下記の式1の光量変化率が98.8%以上である発光装置。
【0057】
[式1]
光量変化率(%)=[F1/F0]×100
F1:前記発光装置から放出された光の光量(lm)
F0:蛍光体として、化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EUで表現されるCASN系列の蛍光体、及び化学式Lu3Al5O12:Ce又は一部のAlが他の3族元素に置換された化学式Lu3(Al,X)5O12:Ce(XはAl以外の3族元素)で表現されるLuAG系列の蛍光体のみを含む波長変換部を有する発光装置から放出された光の光量(lm)
【発明の効果】
【0058】
本発明に係る発光装置は、高い視感度を有する波長領域帯に密集している光スペクトルを有する光を放出できるので、視感度及び光量を向上させることができる。また、可視光線波長領域内でピーク波長を有する発光ダイオードチップを使用することによって、発光装置の信頼性を向上させることができ、発光装置から放出される白色光の演色性を向上させることができる。
【0059】
本発明に係る発光装置は、高い演色性を有すると同時に、高い光量を有する光を放出することができる。
【0060】
本発明に係る発光装置は、高いCRI及びR9値を有すると同時に、高い光量を有する光を放出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】本発明の一実施例に係る発光装置を説明するための概略的な断面図である。
【
図2】本発明の他の実施例に係る発光装置を説明するための概略的な断面図である。
【
図3】本発明の更に他の実施例に係る発光装置を説明するための概略的な断面図である。
【
図4】本発明の更に他の実施例に係る発光装置を説明するための概略的な断面図である。
【
図5】本発明の更に他の実施例に係る発光装置を説明するための概略的な断面図である。
【
図6】本発明の更に他の実施例に係る発光装置を説明するための概略的な断面図である。
【
図7】本発明に係る発光装置と従来技術に係る発光装置から放出する光のスペクトルを比較するためのグラフである。
【
図8】本発明の更に他の実施例に係る発光装置を説明するための断面図である。
【
図9】本発明の更に他の実施例に係る発光装置を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。次に紹介する実施例は、本発明の属する技術分野の通常の技術者に本発明の思想を十分に伝達するために例として提供されるものである。よって、本発明は、以下で説明する実施例に限定されるものではなく、他の形態に具体化されてもよい。そして、各図面において、構成要素の幅、長さ、厚さなどは便宜のために誇張して表現されてもよい。また、一つの構成要素が他の構成要素の「上部に」又は「上に」あると記載された場合、各部分が他の部分の「直上部」又は「直上に」ある場合だけでなく、各構成要素と他の構成要素との間に更に他の構成要素がある場合も含む。明細書全体にわたって同一の参照番号は同一の構成要素を示す。
【0063】
図1は、本発明の一実施例に係る発光装置を説明するための概略的な断面図である。
【0064】
図1を参照すると、発光装置は、ハウジング101、発光ダイオードチップ102、波長変換部104、第1蛍光体105及び第2蛍光体106を含む。
【0065】
本実施例において、ハウジング101上には、発光ダイオードチップ102、波長変換部104、第1蛍光体105及び第2蛍光体106が配置されてもよい。ハウジング101には、発光ダイオードチップ102に電力を入力するためのリード端子(図示せず)が設置されてもよい。ハウジング101は、発光ダイオードチップ102の実装のための実装領域を含んでもよく、発光ダイオードチップ102はペーストなどを通じて前記実装領域上に実装されてもよい。第1及び第2蛍光体105、106は波長変換部104内に分布してもよく、波長変換部104は発光ダイオードチップ102の少なくとも一部領域を覆ってもよい。
【0066】
ハウジング101は、ポリマーなどを含む一般的なプラスチック、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)、LCP(liquid crystalline polymer)、PA(polyamide)、IPS(polyphenylene sulfide)又はTPE(thermoplastic elastomer)などで形成されたり、メタル又はセラミックで形成されたりしてもよい。但し、ハウジング101を形成する物質がこれに制限されることはない。一方、ハウジング101は、発光ダイオードチップ102、第1及び第2蛍光体105、106から放出される光の反射のために傾斜した内壁を含んでもよい。
【0067】
波長変換部104は、シリコン系列、エポキシ系列、PMMA(polymethyl methacrylate)系列、PE(polyethylene)系列及びPS(polystyrene)系列のうちの少なくとも一つを含む物質で形成されてもよい。波長変換部104は、上述した物質と第1及び第2蛍光体105、106との混合物を用いた射出工程を通じて形成してもよい。また、波長変換部104は、別途の鋳型を用いて製作した後、これを加圧又は熱処理することによって形成してもよい。波長変換部104は、凸レンズ形態、平板形態(図示せず)、及び表面に所定の凹凸を有する形態などの多様な形状に形成することができる。本発明に係る発光装置においては、凸レンズ形態を有する波長変換部104を開示したが、波長変換部104の形状がこれに限定されることはない。
【0068】
本発明において、発光ダイオードチップ102は、415nm~430nmの波長範囲内に位置するピーク波長を有する光を放出してもよい。また、発光ダイオードチップ102が放出する光のピーク波長の半値幅(full width half maxium:FWHM)は40nm以下であってもよい。
【0069】
本実施例において、発光装置が一つの発光ダイオードチップ102を含むことを示したが、これに制限されることはない。よって、本発明に係る発光装置は、図示した発光ダイオードチップ102と同一のピーク波長又は異なるピーク波長の光を放出する少なくとも一つの発光ダイオードチップをさらに含んでもよい。
【0070】
発光ダイオードチップ102から放出される光を通じて、第1蛍光体105及び第2蛍光体106が励起され得る。第1蛍光体105は、励起によってシアン光帯域のピーク波長を有する光を放出することができ、第2蛍光体106は、励起によって赤色光帯域のピーク波長を有する光を放出することができる。
【0071】
第1蛍光体105が放出する光のシアン光帯域のピーク波長は、500nm~540nmの波長範囲内に位置してもよい。第1蛍光体105は、LuAG系列、YAG系列、β-サイアロン(beta-SiAlON)系列、窒化物系列及びシリケート系列のうちの少なくとも一つを含んでもよいが、これに制限されることはない。よって、発光ダイオードチップ102を通じて励起され、500nm~540nmの波長範囲内に位置するシアン光帯域のピーク波長を有する光を放出できる蛍光体であれば、その種類に制限なく第1蛍光体105への適用が可能である。一方、第1蛍光体105がLuAG系列蛍光体を含む場合、前記LuAG系列蛍光体は、化学式LuxAlyOz:Ce又は化学式Lux(Al,Ga)yOz:Ceで表現される蛍光体であってよい。
【0072】
第2蛍光体106が放出する光の赤色光帯域のピーク波長は、600nm~650nmの波長範囲内に位置してもよい。第2蛍光体106は、CASN、CASON及びSCASNで表現される窒化物系蛍光体であってよいが、これに制限されることはない。
【0073】
人の目が光を感じる電磁波は380nm~760nmの波長範囲を有し、人の目は555nmの波長を有する緑色の光を最も明るく感じる。よって、人の目は、555nmの波長より長いか短い波長を有する光に対しては暗くなることを感じる。これは、波長λの光束Fλ[単位:lm]をそれに対する放射束ρ[単位:W]で割った値、すなわち、Fλ/ρ[lm/W]で表現されてよく、前記555nmの波長を有する緑色の光に対する視感度を最大視感度と言う。そのため、発光装置から放出される白色光に対して人の目が感じる光量、すなわち、視感度を高めるためには、発光装置は555nmの波長を中心に密集した光スペクトルを有する光を放出しなければならない。
【0074】
本発明において、発光ダイオードチップ102は、415nm~430nmの波長範囲内にピーク波長が位置する光を放出してもよく、第1蛍光体105は、発光ダイオードチップ102から放出される光を通じて励起され、500nm~540nmの波長範囲にピーク波長が位置する光を放出し、第2蛍光体106も、発光ダイオードチップ102から放出される光を通じて励起され、600nm~650nmの波長範囲にピーク波長が位置する光を放出する。これによって、本発明に係る発光装置が放出する白色光は、上述した最大視感度を有する光、すなわち、555nmの波長を有する緑色の光を中心に密集した光スペクトルを有する。より具体的には、本発明に係る発光ダイオードが放出する白色光の光スペクトルは、555nmの波長を中心に、500nm~600nmの波長範囲内で少なくとも40%以上が分布してもよい。
【0075】
従来技術に係る青色発光ダイオードチップを用いた発光装置は、本発明に係る発光装置と比較して、相対的に長波長を有する赤色光帯域のピーク波長を有する光を放出する蛍光体を用いる。よって、従来技術に係る発光装置は、555nmの波長を有する光を中心に密集した光スペクトルを有する白色光を放出しにくい。よって、本発明に係る発光装置は、従来技術に係る発光装置と比較して、高い視感度及び光量を有する白色光を放出することができる。さらに、本発明に係る発光装置は、紫外線発光ダイオードチップを含まないので、紫外線発光ダイオードチップから放出される紫外線によってパッケージの構成が損傷することを防止することができる。一方、本発明に係る発光装置が放出する光は、演色指数(CRI)が85以上であってもよい。さらに、本発明に係る発光装置が放出する光は、演色指数(CRI)が90以上であってもよい。
【0076】
[実験例1]
【0077】
上述した本発明の発光装置の視感度及び光量などの向上を確認するために、下記の実験を実施した。まず、比較のために、2つの発光装置サンプルを準備する。サンプル1は、従来技術に係る発光装置であって、450nmのピーク波長を有する光を放出する発光ダイオードチップ、化学式Lu3Al5O12:Ceで表現されるシアン蛍光体、及び化学式CaAlSiN3:Euで表現される赤色蛍光体を含む。サンプル2は、本発明の一実施例に係る発光装置であって、425nmのピーク波長を有する光を放出する発光ダイオードチップ、化学式Lu3(Al,Ga)5O12:Ceで表現されるシアン蛍光体(第1蛍光体)、及び化学式(Sr,Ca)AlSiN3:Euで表現される赤色蛍光体(第2蛍光体)を含む。2つの発光装置サンプルに印加される電流は100mAで、上述した条件を除いた全ての条件が同一な状態で実験を実施した。
【0078】
サンプル1及びサンプル2から放出される白色光を分析した結果、サンプル1は109.5lm/Wの視感度を示し、サンプル2は115.1lm/Wの視感度を示した。また、色座標が同一な場合、サンプル1は33.35lmの光量(flux)を示し、サンプル2は36.08lmの光量を示した。一方、演色指数CRI(color rendering index)において、サンプル1は演色指数90を示し、サンプル2は演色指数92.5を示した。すなわち、本発明の一実施例に係る発光装置は、従来技術に係る発光装置と比較して、視感度、光量及び演色指数(CRI)においていずれも向上することを確認できた。特に、視感度においては5.1%、光量においては8.2%向上することを確認できた。
【0079】
図2は、本発明の他の実施例に係る発光装置を説明するための概略的な断面図である。
【0080】
図2を参照すると、発光装置は、ハウジング101、発光ダイオードチップ102、波長変換部104、第1蛍光体105、第2蛍光体106及び第3蛍光体107を含む。本実施例に係る発光装置は、本発明の一実施例に係る発光装置と比較して、第3蛍光体107を含むことを除いては同一である。よって、同一の構成に対する重複する説明は省略する。
【0081】
図2を参照すると、本実施例に係る発光装置は第3蛍光体を含む。第3蛍光体107は、青色光帯域のピーク波長を有する光を放出してもよい。具体的に、第3蛍光体107は、発光ダイオードチップ102から放出される光を通じて励起され、450nm~480nmの波長範囲内に位置するピーク波長を有する光を放出することができる。第3蛍光体107は、SBCA系列、BAM(Ba-Al-Mg)系列、シリケート系列、及び窒化物系列のうちの少なくとも一つを含んでもよいが、これに制限されることはない。よって、発光ダイオードチップ102から放出される415nm~430nmの波長範囲にピーク波長が位置する光を通じて励起され、450nm~480nmの波長範囲内に位置するピーク波長を有する光を放出できる蛍光体であれば、その種類に制限なく第3蛍光体107への適用が可能である。
【0082】
[実験例2]
【0083】
第3蛍光体107をさらに含む本実施例に係る発光装置において視感度及び光量などが向上することを確認するために、下記のような実験を実施した。従来技術に係る発光装置サンプルとしては、上述した実験例1のサンプル1を準備した。続いて、本実施例に係る発光装置サンプルとしてサンプル3を準備し、前記サンプル3は、425nmのピーク波長を有する光を放出する発光ダイオードチップ、化学式Lu3(Al,Ga)5O12:Ceで表現されるシアン蛍光体(第1蛍光体)、化学式(Sr,Ca)AlSiN3:Euで表現される赤色蛍光体(第2蛍光体)、及び化学式(Sr,Ba)10(PO4)6Cl2:Euで表現される青色蛍光体(第3蛍光体)を含む発光装置である。2つの発光装置サンプルに印加される電流は100mAであり、上述した条件を除いた全ての条件が同一な状態で実験を実施した。
【0084】
サンプル1及びサンプル3から放出される白色光を分析した結果、サンプル1の白色光は109.5lm/Wの視感度を示し、サンプル3の白色光は116.5lm/Wの視感度を示した。色座標が同一な状態で、サンプル1の白色光の光量は33.35lmを示し、サンプル3の白色光の光量は36.57lmを示した。一方、サンプル1の白色光の演色指数(CRI)は90を示し、サンプル3の白色光の演色指数(CRI)は92を示した。すなわち、本実施例に係る発光装置は、従来技術に係る発光装置と比較して、視感度及び光量の向上はもちろん、演色指数も向上することを確認できた。具体的に、視感度は6.4%程度、光量は9.7%程度向上することを確認できた。
図7は、本実施例に係る発光装置と従来技術に係る発光装置の光スペクトルを比較するためのグラフである。
図7を参照すると、線aは、従来技術に係る発光装置サンプルであるサンプル1の光スペクトルを示し、線bは、本実施例に係る発光装置サンプルであるサンプル3の光スペクトルを示す。グラフに示したように、サンプル3の光スペクトルは、最大視感度を有する波長である555nmの波長を中心に従来技術と比較して、より密集していることが分かる。
【0085】
図3は、本発明の更に他の実施例に係る発光装置を説明するための概略図である。
【0086】
図3を参照すると、発光装置は、ハウジング101、発光ダイオードチップ102、波長変換部104、第1蛍光体105、第2蛍光体106及びバッファ部109を含む。本実施例に係る発光装置は、バッファ部109を除いては前記一実施例に係る発光装置とほぼ類似するので、同一の構成要素に対する重複する説明は省略する。
【0087】
バッファ部109は、発光ダイオードチップ102と波長変換部104との間に配置されてもよい。バッファ部は、シリコン、エポキシ、PMMA(polymethyl methacrylate)、PE(polyethylene)及びPS(polystyrene)のうちの少なくとも一つを含む物質で形成されてもよい。バッファ部109の硬度は、波長変換部104の硬度より小さくてもよい。バッファ部109を用いて、発光ダイオードチップ102から発生する熱による波長変換部104の熱的ストレスを防止することができる。本実施例に係るバッファ部109は、発光ダイオードチップ102の周辺領域に配置された場合を開示したが、ハウジング101の左側壁と右側壁の全てに接するように広い領域に配置されてもよい。
【0088】
図4は、本発明の更に他の実施例に係る発光装置を説明するための概略的な断面図である。
【0089】
図4を参照すると、本実施例に係る発光装置は、ハウジング101、発光ダイオードチップ102、波長変換部104、第1蛍光体105、第2蛍光体106、リフレクタ111及びバリアリフレクタ112を含んでもよい。本実施例に係る発光装置は、リフレクタ111及びバリアリフレクタ112を除いては前記一実施例に係る発光装置とほぼ類似するので、同一の構成要素に対する重複する説明は省略する。
【0090】
リフレクタ111は、発光ダイオードチップ102と離隔して側面に配置されてもよい。リフレクタ111は、発光ダイオードチップ102、第1及び第2蛍光体105、106から放出される光の反射を極大化し、発光効率を増大させることができる。リフレクタ111は、反射コーティングフィルム及び反射コーティング物質層のうちのいずれか一つで形成されてよい。リフレクタ111は、耐熱性及び耐光性に優れた無機材料、有機材料、金属材料及び金属酸化物材料のうちの少なくとも一つで形成されてもよい。一例として、リフレクタ111は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、二酸化チタン(TiO2)などの高い反射率を有する金属又は金属酸化物を含んで構成されてよい。リフレクタ111は、ハウジング101上に金属又は金属酸化物を蒸着又はコーティングすることによって形成してもよく、金属インクを印刷することによって形成してもよい。また、リフレクタ111は、ハウジング101上に反射フィルム又は反射シートを接着することによって形成してもよい。
【0091】
バリアリフレクタ112はリフレクタ111を覆ってもよい。バリアリフレクタ112は、発光ダイオードチップ102から放出される熱によるリフレクタ111の劣化などを防止することができる。バリアリフレクタ112は、耐光性及び反射率の高い無機材料又は金属材料で形成されてもよい。
【0092】
図5は、本発明の更に他の実施例に係る発光装置を示す断面図である。
【0093】
図5を参照すると、本実施例に係る発光装置は、ハウジング101、発光ダイオードチップ102、波長変換部104、第1蛍光体105及び第2蛍光体106を含み、波長変換部104は、第1波長変換部104b及び第2波長変換部104aをさらに含んでもよい。本実施例に係る発光装置は、第1波長変換部104b及び第2波長変換部104aを除いては前記一実施例に係る発光装置とほぼ類似するので、重複する説明は省略する。
【0094】
第1波長変換部104bは、第1及び第2発光ダイオードチップ102、103を覆ってもよい。第2波長変換部104aは第1波長変換部104bを覆ってもよい。第1波長変換部104bは、第2波長変換部104aと同一の硬度を有する物質で形成されたり、異なる硬度を有する物質で形成されたりしてもよい。本実施例において、第1波長変換部104bの硬度は第2波長変換部104aの硬度より低くてもよく、この場合、上述した実施例のバッファ部109と同様に、発光ダイオードチップ102、103による熱ストレスを緩和することができる。
【0095】
第1波長変換部104bは、赤色光帯域のピーク波長を有する光を放出する第2蛍光体106を含有してもよい。第2波長変換部104aは、シアン光帯域のピーク波長を有する光を放出する第1蛍光体105を含有してもよい。長波長を放出する蛍光体を下部に配置し、短波長を放出する蛍光体を上部に配置することによって、第1蛍光体105から発光されたシアン光が第2蛍光体106に再度吸収されて損失することを防止することができる。
【0096】
図6は、本発明の更に他の実施例に係る発光装置を説明するための概略的な断面図である。
【0097】
図6を参照すると、発光装置は、ハウジング101、発光ダイオードチップ102、波長変換部104、第1蛍光体105、第2蛍光体106及び蛍光体プレート118を含む。本実施例に係る発光装置は、蛍光体プレート118を除いては前記一実施例に係る発光装置とほぼ類似するので、同一の構成要素に対する重複する説明は省略する。
【0098】
蛍光体プレート118は、発光ダイオードチップ102と離隔して波長変換部104の上部に配置され、第1及び第2蛍光体105、106を含んでもよい。前記蛍光体プレート118は、本発明の一実施例に係る波長変換部104と同一の物質、又は高い硬度を有する物質で形成されてもよい。
【0099】
第1及び第2蛍光体105、106が発光ダイオードチップ102と離隔して配置されるので、第1及び第2蛍光体105、106及び蛍光体プレート118の熱又は光による損傷を減少させることができる。よって、第1及び第2蛍光体105、106の信頼性を向上させることができる。一方、蛍光体プレート118と発光ダイオードチップ102との間には、波長変換部104の代わりに空の空間が形成されてもよい。
【0100】
図8は、本発明の一実施例に係る発光装置を説明するための断面図である。
【0101】
図8を参照すると、前記発光装置は、発光ダイオード102及び波長変換部130を含み、ベース101をさらに含んでもよい。
【0102】
本実施例において、発光ダイオード102はベース101上に配置されてもよい。ベース101は、例えば、図示したハウジングであってもよい。
【0103】
前記ハウジングは、上部方向に開口されたキャビティを含んでもよく、前記キャビティ内に発光ダイオード102が実装されてもよい。前記キャビティの側面は傾斜するように形成されてもよく、これによって、発光ダイオード102から放出された光が反射され、本実施例の発光装置の発光効率を向上させることができる。さらに、前記キャビティの内部側面には反射性物質がさらに位置してもよい。
【0104】
ベース101がハウジングで形成された場合、前記ハウジングは、ポリマーなどを含む一般的なプラスチック、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)、LCP(liquid crystalline polymer)、PA(polyamide)、IPS(polyphenylene sulfide)又はTPE(thermoplastic elastomer)などで形成されたり、メタル又はセラミックで形成されたりしてもよい。但し、本発明がこれに限定されることはない。
【0105】
また、ベース101は、少なくとも二つのリード端子を含んでもよく、前記リード端子と発光ダイオード102は電気的に接続されてもよい。前記リード端子は、発光装置を外部の電源に接続させてもよい。発光ダイオード102は、前記リード端子上に位置してもよい。
【0106】
一方、ベース101は、これに限定されるものではなく、発光ダイオード102を支持できる構成であれば制限されなく、多様な公知の構成を含むこともできる。例えば、ベース101は、リードフレームのように発光ダイオード102が実装される導電性又は絶縁性の基板、PCBを含んでもよく、発光ダイオード102から発生した熱を放出するヒートシンクなどをさらに含んでもよい。
【0107】
発光ダイオード102は、n型半導体層及びp型半導体層を含み、正孔と電子との結合を通じて光を放出できる構造を有してもよい。発光ダイオード102は、水平型、垂直型又はフリップチップ型などの構造を有してもよく、発光ダイオード102の構成及び形態は制限されない。
【0108】
発光ダイオード102は、可視光領域のピーク波長を有する光を放出してもよく、特に、415nm~435nmの範囲内に位置するピーク波長を有する光を放出してもよい。上述した範囲のピーク波長を有する光を放出する発光ダイオード102を含むことによって、発光ダイオードから放出された紫外線によって発光装置の信頼性及び発光効率が低下することを防止することができ、また、約450nmの波長帯の光を最小化し、人体に対する有害性を最小化することができる。
【0109】
波長変換部130は、発光ダイオード102上に位置してもよく、発光ダイオード102を少なくとも部分的に覆ってよく、さらに、発光ダイオード102を封止してもよい。すなわち、波長変換部130は、発光ダイオード102の光放出経路上に位置してもよい。
【0110】
波長変換部130は、担持部131、前記担持部131内に不規則的に分散・配置されたレッド蛍光体135、グリーン蛍光体137、及びシアン蛍光体139を含んでもよい。
【0111】
担持部131は、蛍光体135、137、139を担持できる物質であれば制限されなく、透明又は半透明特性を有してもよい。担持部131は、例えば、シリコン系列、エポキシ系列、PMMA(polymethyl methacrylate)系列、PE(polyethylene)系列及びPS(polystyrene)系列のうちの少なくとも一つを含む高分子で形成されてもよく、ガラスなどの無機物で形成されてもよい。
【0112】
担持部131が高分子物質で形成された場合、波長変換部130は、発光ダイオード102から放出された光を波長変換する役割をすると共に、発光ダイオード102を封止する封止材としての役割をすることもできる。また、波長変換部130はベース101上に位置してもよく、本実施例のように、ベース101がキャビティを含む場合、波長変換部130は前記キャビティ内に配置されてもよい。さらに、波長変換部130の上面は、凸レンズ形態、平板形態(図示せず)、及び表面に所定の凹凸を有する形態などの多様な形状に形成され得る。本実施例によると、波長変換部130は凸レンズ形態を有するものとして開示されたが、これに限定されることはない。
【0113】
レッド蛍光体135、グリーン蛍光体137及びシアン蛍光体139は、担持部131内に不規則的に分散されて配置されてもよい。
【0114】
具体的に、レッド蛍光体135は、入射された光を励起させることによって赤色光を放出することができ、グリーン蛍光体137は、入射された光を励起させることによって緑色光を放出することができ、シアン蛍光体139は、入射された光を励起させることによってシアン光を放出することができる。これによって、本発明の発光装置は、発光ダイオード102から放出された紫色(violet)光、レッド蛍光体135によって励起された赤色光、グリーン蛍光体137によって励起された緑色光、及びシアン蛍光体139によって励起されたシアン光とが混色されることによって白色光を放出することができる。
【0115】
一方、本実施例の発光装置によって放出された白色光は、90以上のCRI値を有してもよい。
【0116】
レッド蛍光体135から放出されるレッド光のピーク波長は、600nm~660nmの波長範囲内に位置してもよい。レッド蛍光体135は、第1レッド蛍光体133及び第2レッド蛍光体134を含む。
【0117】
前記第1レッド蛍光体133は、化学式A2MF6:Mnで表現される蛍光体を含み、前記Aは、Li、Na、K、Rb、Ce及びNH4からなる群から選ばれるいずれか一つで、前記Mは、Si、Ti、Nb及びTaからなる群から選ばれるいずれか一つである。本発明で使用される第1レッド蛍光体133は、625nm~660nmの波長範囲でピーク波長を有してもよい。第2レッド蛍光体134はCASN系列蛍光体を含んでもよい。本発明で使用されるCASN系列蛍光体は、600nm~650nmの波長範囲でピーク波長を有してもよい。CASN系列蛍光体は、化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EU又は化学式CaAlSiN3:EUで表現される蛍光体を含んでもよい。
【0118】
グリーン蛍光体137はシリケート系列の蛍光体を含んでもよい。本発明で使用されるシリケート系列の蛍光体は、520nm~550nmの波長範囲でピーク波長を有してもよい。シリケート系列の蛍光体は、化学式(Ba,Sr,Ca)2SiO4:EUで表現される蛍光体を含んでもよい。
【0119】
シアン蛍光体139はLuAG系列の蛍光体を含んでもよい。本発明で使用されるLuAG系列の蛍光体は、490nm~550nmの波長範囲でピーク波長を有してもよい。LuAG系列の蛍光体は、化学式Lu3Al5O12:Ce又は一部のAlが同族元素、例えば、Ga、Inなどに置換された化学式Lu3(Al,X)5O12:Ce(XはAl以外の3族元素)で表現される蛍光体を含んでもよい。具体的に、LuAG系列の蛍光体は、一部のAlがGaに置換された化学式Lu3(Al,Ga)5O12:Ceで表現される蛍光体を含んでもよい。特に、一部のAlがGaに置換された化学式Lu3(Al,Ga)5O12:Ceで表現される蛍光体は、490nm~520nmの波長範囲でピーク波長を有してもよく、具体的に、約505nmのピーク波長を有してもよい。
【0120】
波長変換部内の第2レッド蛍光体134と第1レッド蛍光体133の質量比は、2.5~5:7.5~5であってもよい。具体的に、波長変換部内の化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EU又は化学式CaAlSiN3:EUで表現される蛍光体と化学式A2MF6:Mnで表現される蛍光体の質量比は2.5~5:7.5~5であってもよく、前記Aは、Li、Na、K、Rb、Ce及びNH4からなる群から選ばれるいずれか一つで、前記Mは、Si、Ti、Nb及びTaからなる群から選ばれるいずれか一つである。
【0121】
波長変換部内のLuAG系列の蛍光体とシリケート系列の蛍光体の質量比は8~9.9:0.1~2であってもよい。具体的に、波長変換部内の化学式Lu3Al5O12:Ce又は一部のAlが他の3族元素に置換された化学式Lu3(Al,X)5O12:Ce(XはAl以外の3族元素)で表現される蛍光体と化学式(Ba,Sr,Ca)2SiO4:EUで表現される蛍光体の質量比は8~9.9:0.1~2であってもよい。
【0122】
本発明の実施例によると、CRIが90以上であり、光量に優れた発光装置を提供することができる。
【0123】
具体的に、本発明の実施例に係る白色発光装置は、下記の式1の光量変化率が100%超過であってよい。
【0124】
[式1]
光量変化率(%)=[F1/F0]×100
F1:前記発光装置から放出された光の光量(lm)
F0:蛍光体として、化学式Lu3(Al,Ga)5O12:Ceで表現されるLuAG系列の蛍光体、及び化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EUで表現されるCASN系列の蛍光体のみを含む波長変換部を有する発光装置から放出された光の光量(lm)
【0125】
実施例及び比較例
【0126】
実施例1:発光装置の製造
【0127】
図8を参照すると、約425nmのピーク波長を放出する発光ダイオードとして、サイズが860μm×540μmである四角形の発光チップをリードフレーム(図示せず)上に実装させた。
【0128】
リードフレームの上端に、キャビティを有するハウジングをEMC(Epoxy Molding Compound)を使用してトランスファーモールディング方法で形成させた。
【0129】
本発明の蛍光体に、波長変換部の全体重量を基準にして90重量%のシリコン樹脂を混合し、スラリーを製作した後、これをハウジングのキャビティに滴下した。その後、150℃の温度で熱処理し、シリコン樹脂を硬化することによって、波長変換部を含む発光装置を製造した。前記工程において、蛍光体は、LEDランプの色度(CIE)がx=0.458~0.462、y=0.412~0.417の範囲に入るように、予め必要な数量の蛍光体を準備しておき、スラリーを製造するようにした。また、前記工程において、波長変換部が、化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EUで表現される第2レッド蛍光体と化学式K2SiF6:Mnで表現される第1レッド蛍光体を4:6の質量比で含み、化学式Lu3(Al,Ga)5O12:Ceで表現されるLuAG系列の蛍光体と化学式(Ba,Sr,Ca)2SiO4:EUで表現されるシリケート系列の蛍光体を9:1の質量比で含むように製造した。
【0130】
比較例1:発光装置の製造
【0131】
前記実施例1において、化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EUで表現される第2レッド蛍光体と化学式K2SiF6:Mnで表現される第1レッド蛍光体を、4:6の質量比ではなく、7:3の質量比で含むことを除いては実施例1と同一の方法で発光装置を製造した。
【0132】
比較例2:発光装置の製造
【0133】
前記実施例1において、化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EUで表現される第2レッド蛍光体と化学式K2SiF6:Mnで表現される第1レッド蛍光体を、4:6の質量比ではなく、2:8の質量比で含むことを除いては実施例1と同一の方法で発光装置を製造した。
【0134】
比較例3:発光装置の製造
【0135】
前記実施例1において、化学式K2SiF6:Mnで表現される第1レッド蛍光体と化学式(Ba,Sr,Ca)2SiO4:EUで表現されるシリケート系列の蛍光体を使用しないことを除いては、実施例1と同一の方法で発光装置を製造した。
【0136】
実験例
【0137】
実施例1及び比較例1~3の発光装置に対して電源(100mAの定格電流、6.1Vの電圧)を供給し、CRI値及びR9を測定した。また、実施例1及び比較例1~3の光量(lm)を測定し、比較例3の光量を100%基準にしたときの各実施例及び比較例の光量変化率(Δ)を%単位で表現した。前記数値は下記の表1に示す。
【0138】
【0139】
前記表1を参照すると、本発明の実施例に係る発光装置は、CRIが90以上であると同時に、光量変化率(%)が104.4%であるので、第1レッド蛍光体を使用しない比較例3に比べて光量が増加することを確認できる。その一方で、比較例2は、CRIが90以上であるが、光量変化率が99.0%と示され、光量が低下することを確認できる。比較例1は、光量変化率が105.4%であるので、光量には利得があったが、CRIが89.1に過ぎないので、演色性が低下することを確認できる。比較例3の数値は評価のための基準値であって、比較例3に対する確認は意味がない。
【0140】
図9は、本発明の更に他の実施例に係る発光装置を説明するための断面図である。
【0141】
図9を参照すると、前記発光装置は、発光ダイオード102及び波長変換部130を含み、ベース101をさらに含んでもよい。
【0142】
本実施例において、発光ダイオード102はベース101上に配置されてよい。ベース101は、例えば、図示したハウジングであってもよい。
【0143】
前記ハウジングは、上部方向に開口されたキャビティを含んでもよく、前記キャビティ内に発光ダイオード102が実装されてもよい。前記キャビティの側面は傾斜するように形成されてもよく、これによって、発光ダイオード102から放出された光が反射され、本実施例の発光装置の発光効率を向上させることができる。さらに、前記キャビティの内部側面には反射性物質がさらに位置してもよい。
【0144】
ベース101がハウジングで形成された場合、前記ハウジングは、ポリマーなどを含む一般的なプラスチック、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)、LCP(liquid crystalline polymer)、PA(polyamide)、IPS(polyphenylene sulfide)又はTPE(thermoplastic elastomer)などで形成されたり、メタル又はセラミックで形成されたりしてもよい。但し、本発明がこれに限定されることはない。
【0145】
また、ベース101は、少なくとも二つのリード端子を含んでもよく、前記リード端子と発光ダイオード102は電気的に接続されてもよい。前記リード端子は、発光装置を外部の電源に接続させてよい。発光ダイオード102は、前記リード端子上に位置してもよい。
【0146】
一方、ベース101は、これに限定されるものではなく、発光ダイオード102を支持できる構成であれば制限されなく、多様な公知の構成を含むこともできる。例えば、ベース101は、リードフレームのように発光ダイオード102が実装される導電性又は絶縁性の基板、PCBを含んでもよく、発光ダイオード102から発生した熱を放出するヒートシンクなどをさらに含んでもよい。
【0147】
発光ダイオード102は、n型半導体層及びp型半導体層を含み、正孔と電子との結合を通じて光を放出できる構造を有してもよい。発光ダイオード102は、水平型、垂直型又はフリップチップ型などの構造を有してもよく、発光ダイオード102の構成及び形態は制限されない。
【0148】
発光ダイオード102は、可視光領域のピーク波長を有する光を放出してもよく、特に、415nm~435nmの範囲内に位置するピーク波長を有する光を放出してもよい。上述した範囲のピーク波長を有する光を放出する発光ダイオード102を含むことによって、発光ダイオードから放出された紫外線によって発光装置の信頼性及び発光効率が低下することを防止することができる。また、約450nmの波長帯の光を最小化することによって、人体に対する有害性を最小化することができる。
【0149】
波長変換部130は、発光ダイオード102上に位置してもよく、発光ダイオード102を少なくとも部分的に覆ってよく、さらに、発光ダイオード102を封止してもよい。すなわち、波長変換部130は、発光ダイオード102の光放出経路上に位置してもよい。
【0150】
波長変換部130は、担持部131、前記担持部131内に不規則的に分散・配置されたレッド蛍光体134、及びシアン蛍光体139を含んでもよい。
【0151】
担持部131は、第1及び第2レッド蛍光体133、135を担持できる物質であれば制限されなく、透明又は半透明特性を有してもよい。担持部131は、例えば、シリコン系列、エポキシ系列、PMMA(polymethyl methacrylate)系列、PE(polyethylene)系列及びPS(polystyrene)系列のうちの少なくとも一つを含む高分子で形成されてもよく、ガラスなどの無機物で形成されてもよい。
【0152】
担持部131が高分子物質で形成された場合、波長変換部130は、発光ダイオード102から放出された光を波長変換する役割をすると共に、発光ダイオード102を封止する封止材としての役割をすることもできる。また、波長変換部130は、ベース101上に位置してもよく、本実施例のように、ベース101がキャビティを含む場合、波長変換部130は前記キャビティ内に配置されてよい。さらに、波長変換部130の上面は、凸レンズ形態、平板形態(図示せず)、及び表面に所定の凹凸を有する形態などの多様な形状に形成され得る。本実施例によると、波長変換部130は凸レンズ形態を有するものと開示されたが、これに限定されることはない。
【0153】
レッド蛍光体134及びシアン蛍光体139は、担持部131内に不規則的に分散されて配置されてもよい。
【0154】
具体的に、レッド蛍光体134は、入射された光を励起させることによって赤色光を放出することができ、シアン蛍光体139は、入射された光を励起させることによってシアン光を放出することができる。これによって、本発明の発光装置は、発光ダイオード102から放出された紫色光、レッド蛍光体134によって励起された赤色光、及びシアン蛍光体139によって励起されたシアン光が混色されることによって白色光を放出することができる。
【0155】
一方、本実施例の発光装置によって放出された白色光は、90以上のCRI値を有してもよい。また、本実施例の発光装置によって放出された白色光は、50以上のR9値を有してもよい。
【0156】
レッド蛍光体134から放出されるレッド光のピーク波長は600nm~660nmの波長範囲内に位置してもよい。レッド蛍光体134は、第1レッド蛍光体133及び第2レッド蛍光体134を含む。
【0157】
前記第1レッド蛍光体133は、化学式A2MF6:Mnで表現される蛍光体を含み、前記Aは、Li、Na、K、Rb、Ce及びNH4からなる群から選ばれるいずれか一つで、前記Mは、Si、Ti、Nb及びTaからなる群から選ばれるいずれか一つである。本発明で使用される第1レッド蛍光体133は、625nm~660nmの波長範囲でピーク波長を有してもよい。
【0158】
第2レッド蛍光体134はCASN系列蛍光体をさらに含んでもよい。本発明で使用されるCASN系列蛍光体は、600nm~650nmの波長範囲でピーク波長を有してもよい。CASN系列蛍光体は、化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EU又は化学式CaAlSiN3:EUで表現される蛍光体を含んでもよい。
【0159】
シアン蛍光体139は、LuAG系列の蛍光体を含んでもよい。本発明で使用されるLuAG系列の蛍光体は、490nm~550nmの波長範囲でピーク波長を有してもよい。LuAG系列の蛍光体は、化学式Lu3Al5O12:Ce又は一部のAlが同族元素、例えば、Ga、Inに置換された化学式Lu3(Al,X)5O12:Ce(XはAl以外の3族元素)で表現される蛍光体を含んでもよい。具体的に、LuAG系列の蛍光体は、一部のAlがGaに置換された化学式Lu3(Al,Ga)5O12:Ceで表現される蛍光体を含んでもよい。特に、一部のAlがGaに置換された化学式Lu3(Al,Ga)5O12:Ceで表現される蛍光体は、490nm~520nmの波長範囲でピーク波長を有してもよく、具体的に、約505nmのピーク波長を有してもよい。
【0160】
波長変換部内の第2レッド蛍光体134と第1レッド蛍光体133の質量比は0.5~4:6.5~9.5であってもよい。具体的に、波長変換部内の化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EU又は化学式CaAlSiN3:EUで表現される蛍光体と化学式A2MF6:Mnで表現される蛍光体の質量比は0.5~4:6.5~9.5であってもよく、前記Aは、Li、Na、K、Rb、Ce及びNH4からなる群から選ばれるいずれか一つで、前記Mは、Si、Ti、Nb及びTaからなる群から選ばれるいずれか一つである。
【0161】
本発明の実施例によると、CRIが90以上で、R9が50以上であり、光量に優れた発光装置を提供することができる。具体的に、本発明の発光装置は、CRIが90以上で、R9が50以上であると同時に、紫色発光ダイオードに短波長CASN系列のレッド蛍光体のみを使用する従来の発光装置に比べて光量が1%以下に低下することに過ぎないので、結果的に光量にも優れる。
【0162】
具体的に、本発明の実施例に係る白色発光装置は、下記の式1の光量変化率が98.8%以上であってもよい。
【0163】
[式1]
光量変化率(%)=[F1/F0]×100
F1:前記発光装置から放出された光の光量(lm)
F0:蛍光体として、化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EUで表現されるCASN系列の蛍光体、及び化学式Lu3Al5O12:Ce又は一部のAlが他の3族元素に置換された化学式Lu3(Al,X)5O12:Ce(XはAl以外の3族元素)で表現されるLuAG系列の蛍光体のみを含む波長変換部を有する発光装置から放出された光の光量(lm)
【0164】
実施例及び比較例
【0165】
実施例2:発光装置の製造
【0166】
図9を参照すると、約425nmのピーク波長を放出する発光ダイオードとして、サイズが860μm×540μmである四角形の発光チップをリードフレーム(図示せず)上に実装させた。
【0167】
リードフレームの上端には、キャビティを有するハウジングをEMC(Epoxy Molding Compound)を使用してトランスファーモールディング方法で形成させた。
【0168】
本発明の蛍光体に、波長変換部の全体重量を基準にして90重量%のシリコン樹脂を混合し、スラリーを製作した後、これをハウジングのキャビティに滴下した。その後、150℃の温度で熱処理し、シリコン樹脂を硬化することによって、波長変換部を含む発光装置を製造した。前記工程において、蛍光体は、LEDランプの色度(CIE)がx=0.458~0.462、y=0.409~0.417の範囲に入るように、予め必要な数量の蛍光体を準備しておき、スラリーを製造するようにした。
【0169】
また、前記工程において、波長変換部が、化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EUで表現される第2レッド蛍光体と化学式K2SiF6:Mnで表現される第1レッド蛍光体を3:7の質量比で含み、化学式Lu3(Al,Ga)5O12:Ceで表現されるLuAG系列の蛍光体を含むように製造した。
【0170】
実施例3:発光装置の製造
【0171】
前記実施例2において、化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EUで表現される第2レッド蛍光体と化学式K2SiF6:Mnで表現される第1レッド蛍光体を、3:7の質量比ではなく、2:8の質量比で含むことを除いては実施例2と同一の方法で発光装置を製造した。
【0172】
比較例4:発光装置の製造
【0173】
前記実施例2において、化学式K2SiF6:Mnで表現される第1レッド蛍光体を使用しないことを除いては、実施例2と同一の方法で発光装置を製造した。
【0174】
比較例5:発光装置の製造
【0175】
前記実施例2において、化学式K2SiF6:Mnで表現される第1レッド蛍光体の代わりに、化学式CaAlSiN3:EUで表現されるCASN系列の蛍光体を使用し、化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EUで表現される第2レッド蛍光体と化学式CaAlSiN3:EUで表現されるCASN系列の蛍光体を7:3の質量比で含むことを除いては、実施例2と同一の方法で発光装置を製造した。
【0176】
比較例6:発光装置の製造
【0177】
前記実施例2において、化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EUで表現される第2レッド蛍光体と化学式K2SiF6:Mnで表現される第1レッド蛍光体を、3:7の質量比ではなく、4:6の質量比で含むことを除いては実施例2と同一の方法で発光装置を製造した。
【0178】
比較例7:発光装置の製造
【0179】
前記実施例2において、化学式(Sr,Ca)AlSiN3:EUで表現される第2レッド蛍光体と化学式K2SiF6:Mnで表現される第1レッド蛍光体を、3:7の質量比ではなく、7:3の質量比で含むことを除いては実施例2と同一の方法で発光装置を製造した。
【0180】
実験例
【0181】
実施例2及び比較例4~4の発光装置に対して電源(100mAの定格電流、6.1Vの電圧)を供給し、CRI値及びR9値を測定した。また、実施例2及び比較例4~4の光量(lm)を測定し、比較例4の光量を100%基準にしたときの光量変化率(Δ)を%単位で表現した。前記数値は下記の表2に示す。
【0182】
【0183】
前記表2を参照すると、本発明の実施例2及び3に係る発光装置は、CRIが90以上で、R9が50以上であると同時に、光量変化率が99.0%又は99.7%である。よって、第1レッド蛍光体を使用しない比較例4に比べて光量が1%以下に低下することに過ぎないので、光量にも優れることが分かる。その一方で、比較例4、3及び4は、CRIが90以上であるが、R9が50以下である。また、比較例5は、CRIが90以上で、R9が50以上であるが、光量変化率が95.5%であるので、第1レッド蛍光体を使用しない比較例4に比べて光量が4%以上低下するという問題があることを確認できる。よって、特定の質量比で蛍光体を配合した場合、CRIが90以上で、R9が50以上であると共に、光量に優れた発光装置を提供することができる。
【0184】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で多様な修正、変更及び置換が可能であろう。よって、本発明に開示された実施例及び添付の図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施例及び添付の図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されることはない。本発明の保護範囲は、下記の特許請求の範囲によって解釈しなければならなく、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものとして解釈すべきであろう。