(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】光センサを有する眞空バルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 37/00 20060101AFI20220516BHJP
F16K 51/02 20060101ALI20220516BHJP
F16K 51/00 20060101ALI20220516BHJP
G01N 21/3563 20140101ALI20220516BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20220516BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
F16K37/00 F
F16K51/02 A
F16K51/00 F
G01N21/3563
G01N21/27 A
H01L21/02 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018041462
(22)【出願日】2018-03-08
【審査請求日】2020-12-21
(32)【優先日】2017-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ホーファー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ベーム
(72)【発明者】
【氏名】アードリアン・エッシェンモーザー
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-080517(JP,A)
【文献】特開2000-120918(JP,A)
【文献】実開昭62-055779(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 37/00
F16K 51/02
F16K 51/00
G01N 21/3563
G01N 21/27
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眞空バルブシステムであって、
体積流量又は質量流量を制御し、及び/又は、プロセス体積をガス密にシールするための眞空バルブ(40、40’、40”、40”’)を備え、
前記眞空バルブは、
・開口軸(14)を規定する弁開口部(12、42)の周りに伸ばされる弁座と、
・前記弁開口部(12、42)を実質的にガス密方法で閉じるための弁閉鎖体(13、41)、特に弁体と、及び
・少なくとも2つのシール面(15、18、45、48)であって、
・前記少なくとも2つのシール面の第1シール面(15、45)が、前記弁座に設けられ、かつ前記弁開口部(12、42)の周りに伸ばされ、
・前記少なくとも2つのシール面の第2シール面(18、48)が、前記弁閉鎖体(13、41)に設けられ、かつ前記第1シール面(15,45)に対応して形成されている、
シール面(15、18、45、48)と、
・前記弁閉鎖体(13、41)に結合された駆動ユニット(16)であって、
その駆動ユニットは、
前記弁閉鎖体(13、41)が
、
・開位置(O)、そこにおいて前記弁閉鎖体(13、41)は前記弁開口部(12、42)を少なくとも部分的に開放する位置、から、閉位置、そこにおいて前記第2シール面(18、48)は前記第1シール面(15、45)の方向に押圧され且つ前記弁開口部(12、42)は実質的にガス密に閉じられる位置、へ移動可能である、
よう
に規定された方法で、夫々の弁開状態の変更及び調整を提供できるように設計されている
駆動ユニット(16)と、
を有し、
前記眞空バルブシステムは、
さらに光学的センサユニット(20、30、50、60、70、80)を有し、
前記光学的センサユニット(20、30、50、60、70、80)は
、
・前記弁閉鎖体(13、41)が試験位置であるときに、前記光学的センサユニット(20、30、50、60、70、80)
は、光検出軸が前記シール面(15、18、45、48)の1つの少なくとも部分に対す
る光学的測定信号
を生成でき、且つ、前記光学的測定信号を検出できる方
向へ配向さ
れるように配設
されることで、前記シール面からの前記光学的測定信号を検出して提供できるように配向及び配設されて設計される、
こ
とを特徴とする、
前記眞空バルブシステム。
【請求項2】
前記シール面(15、18、45、48)の1つの少なくとも部分に対する前記測定信号は、前記弁閉鎖体(13、41)の特定の試験位置においてのみ発生させられうる、
ことを特徴とする、
請求項1に記載の眞空バルブシステム。
【請求項3】
前記眞空バルブ(40、40’、40”、40”’)は、外部環境から分離された真空領域を画定する、
ことを特徴とする、
請求項1又は2に記載の眞空バルブシステム。
【請求項4】
・前記光学的センサユニット(20、30、50、60、70、80)は、少なくとも部分的に前記真空領域内に配設され、且つ
・前記検出軸は、前記第2シール面(18、48)のための前記光学的測定信号を検出するために前記弁座の方向に向けられている、
ことを特徴とする、
請求項3に記載の眞空バルブシステム。
【請求項5】
前記眞空バルブ(40、40’、40”、40”’)は、少なくとも前記光学的測定信号に対して透過性の透過窓(22、62)を有する、
ことを特徴とする、
請求項1~4の何れか1項に記載の眞空バルブシステム。
【請求項6】
前記光学的センサユニット(20、30、50、60、70、80)は、前記光学的測定信号が、前記透過窓(22、62)を介して前記光学的センサユニット(20、30、50、60、70、80)によって検出されるように前記外部環境に配設され、特に前記検出軸が前記透過窓(22、62)内にある、
ことを特徴とする、
請求項5に記載の眞空バルブシステム。
【請求項7】
前記透過窓(22、62)は、少なくとも2つのシール面(15、18、45、48)の1つの少なくとも一部分を形成する、
ことを特徴とする、
請求項5又は6に記載の眞空バルブシステム。
【請求項8】
前記光学的センサユニット(20、30、50、60、70、80)は、前記光学的測定信号を検出し且つ導くための光ファイバ(31、51、81、82)を備え、特に、前記光ファイバの少なくとも一部分、特にファイバ端部、が前記真空領域内に存在し、且つ少なくとも2つのシール面(15、18、45、48)の少なくとも1つに対する前記光学的測定信号を検出するように配設かつ配向されている、
ことを特徴とする、
請求項1~7の何れか1項に記載の眞空バルブシステム。
【請求項9】
前記光学的センサユニット(20、30、50、60、70、80)は、前記弁閉鎖体(13、41)に接続され、特に前記弁閉鎖体(13、41)の少なくとも一部分に一体化されている、
ことを特徴とする、
請求項1~8の何れか1項に記載の眞空バルブシステム。
【請求項10】
前記光学的センサユニット(20、30、50、60、70、80)は、
・カメラ、
・赤外線検出器、特に近赤外線検出器、特にNIR分光器、
・散乱光センサ、及び/又は
・ラマン検出器
を有するビーム検出モジュール(23、53、63、83)を備えている、
ことを特徴とする、
請求項1~9の何れか1項に記載の眞空バルブシステム。
【請求項11】
前記眞空バルブシステムは、検出された測定信号が処理ユニットによって処理され、且つ前記検出された測定信号に基づいて状態情報が生成されうるように形成された前記処理ユニットを備えている、
ことを特徴とする、
請求項1~10の何れか1項に記載の眞空バルブシステム。
【請求項12】
・前記状態情報は、前記第1又は第2シール面(15、18、45、48)の化学的、機械的、及び/又は、構造的完全性に関する情報を提供し、及び/又は
・前記状態情報は、画像処理によって、及び/又は、前記検出された測定信号の実際と目標の比較によって生成される、
ことを特徴とする、
請求項11に記載の眞空バルブシステム。
【請求項13】
前記状態情報に基づいて、材料組成及び/又は材料組成の変化が、少なくとも2つのシール面(15、18、45、48)の1つの少なくとも検出可能な部分について推定されうる、
ことを特徴とする、
請求項11又は12に記載の眞空バルブシステム。
【請求項14】
前記状態情報は、
・前記少なくとも2つのシール面(15、18、45、48)の1つの少なくとも前記検出可能な部分の視覚的表現、特に前記シール面(15、18、45、48)の少なくとも前記検出可能な部分の画像として、又は
・分光測定信号、特に波長-強度曲線、を具現化するグラフ、又は
・前記検出された測定信号と特定の許容値との関係を特定する出力信号、
として生成される、
ことを特徴とする、
請求項11~13の何れか1項に記載の眞空バルブシステム。
【請求項15】
前記弁座は、
・前記眞空バルブに構造的に接続された前記眞空バルブの一部分によって形成されている、特に、前記弁座は、前記眞空バルブのハウジングに形成されている、又は
・プロセスチャンバ、特にチャンバハウジング、に備えられる、
ことを特徴とする、
請求項1~14の何れか1項に記載の眞空バルブシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眞空バルブ及び光学的センサユニットから形成されたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
体積流量又は質量流量を制御するための、かつ弁ハウジング内に形成された開口部を通してつながる流路の実質的にガス密の閉鎖のための眞空バルブは、一般に、従来技術とは異なる実施形態において知られており、特に、可能であれば汚染された粒子の存在なしに保護された雰囲気中で行われなければならないIC、半導体又は基板の製造の分野における真空チャンバシステムにおいて用いられる。この種の真空チャンバシステムは特に、加工又は製造されるべき半導体素子又は基板を受け入れるための少なくとも1つの真空チャンバを備え、この真空チャンバは排気可能であり、少なくとも1つの真空チャンバ開口部を有し、そこを通して半導体素子又は基板が真空チャンバの内及び外へ案内され得、且つ真空チャンバを排気するために少なくとも1つの真空ポンプをも備えうる。例えば、半導体ウエハや液晶基板の製造設備において、高感度の半導体素子又は液晶素子が、複数のプロセス真空チャンバを順次通過し、その中でプロセス真空チャンバ内に置かれた部品が、加工デバイスによって各場合に加工される。プロセス真空チャンバ内での作業プロセスの間及びチャンバからチャンバへの搬送中の両方において、高感度半導体素子又は基板は、常に保護された雰囲気内、特に空気のない環境内に置かれなければならない。
【0003】
この目的のために、周辺弁が一方で、ガス入口部又はガス出口部を開閉するために用いられ、他方で切替弁が、部品の導入及び取り外しのために、真空チャンバの切替え開口部を開閉するために使用される。
【0004】
半導体部品を通過させられた眞空バルブはまた、記載された適用分野及び関連する寸法の理由で眞空切替弁と呼ばれ、主に矩形の開口断面の理由で矩形弁と呼ばれ、及び通常の動作原理の理由で仕切り弁、矩形弁、又は切替仕切り弁と呼ばれる。
【0005】
周辺弁は特に、真空チャンバと真空ポンプ又は別の真空チャンバとの間のガス流の開ループ制御又は閉ループ制御に用いられる。周辺弁は例えば、プロセス真空チャンバ又は搬送チャンバと真空ポンプ、大気又は別のプロセス真空チャンバとの間のパイプシステム内に配置される。ポンプ弁とも呼ばれるこの種の弁の開口断面は、真空切替弁の場合よりも一般に小さい。周辺弁は、使用分野に応じて、開口部を完全に開閉するために使用されるだけではなく、開位置とガス密閉位置との間での開口部断面の連続的調整による流量の開ループ制御又は閉ループ制御にも使用されるので、それら周辺弁は制御弁とも呼ばれる。ガス流の開ループ制御又は閉ループ制御のための潜在的な周辺弁は、振子式弁である。
【0006】
典型的な振子式弁(例えば米国特許(US 6,089,537)(Olmsted)から公知であるような)の場合に、一般的に円形の弁体は、同様に略円形の開口部を覆う第1のステップにおいて、開口部を開放する位置から開口部を覆う中間位置に回転的方法で旋回させられる。仕切り弁(例えば、米国特許(US 6,416,037)(Geiser)又は米国特許(US 6,056,266)(Blecha)に記載されているような)の場合に、弁体は、開口部と同様に通常長方形であり、この第1のステップにおいて、開口部を開放する位置から開口部を覆う中間位置に直線的方法で摺動させられる。この中間位置において、振子式弁又は仕切り弁の弁体は、開口部を囲む弁座から離れて反対側にある。第2のステップにおいて、弁体と弁座との間の距離はより小さくされ、弁体と弁座が互いに均一に押圧され、開口部が実質的にガス密に閉鎖される。この第2の移動は好ましくは、弁座に対して実質的に垂直方向に行われる。例えば、シールは、弁体の閉鎖体側に配設され且つ開口を囲む弁座に押圧されるところのリングシールによって、又は弁体の閉鎖体側が押圧されるところの弁座上のリングシールのどちらかによって提供されうる。2つのステップで行われる閉鎖動作によって、弁体と弁座との間のシールリングは、第2のステップにおける弁体の移動が、弁座に対して垂直に実質的に直線状に行われるので、シールリングを破壊する剪断力をほとんど受けない。
【0007】
異なるシール装置が、例えば米国特許(US 6,629,682 B2)(Duelli)のような従来技術から公知である。リングシール及び眞空バルブのシールに適した材料は、例えばFPMとも呼ばれるフッ素ゴム、特に商品名「Viton」で知られるフルオロエラストマー、及びパーフルオロゴム(略してFFPM)である。
【0008】
開口部にわたる弁体の回転運動(振子式弁の場合)と、並進運動(仕切り弁の場合)と、開口部への垂直の実質的な並進運動とのこの組合せを達成するための異なる駆動システムは、従来技術例えば、振子式弁については米国特許(US 6,089,537号)(Olmsted)から、そして仕切り弁については米国特許(US 6,416,037)(Geiser)から公知である。
【0009】
弁体は、必要なガス密性が全ての加圧領域内において確保されるように弁座に押し付けられなければならず、シール媒体、特にOリングの形態のシールリングに損傷を与える。過度の圧縮応力の結果が回避される。これを確実にするために、既知の弁は弁体の接触圧力の制御を提供し、これは弁体の両側の間の圧力差に応じて制御される。しかしながら、特に、大きな圧力変動又は負圧から過圧への変化、又はその逆の場合には、シールリングの全周に沿って均一な力分布を確保することが常に可能であるとは限らない。弁に加えられる圧力に起因する支持力からシーリングリングを切り離すことが一般に求められている。この目的のために、例えば、米国特許(US 6,629,682)(Duelli)は、封止リングと隣接する支持リングとからなるシール媒体を備えた眞空バルブを提案している。
【0010】
求められるガス密性を達成するために、過剰圧及び陰圧の両方のための必要性として、第2の移動ステップに加えて又は代わりに、いくつかの公知の振子式弁又はゲート弁が、追加的又は代替的に第2移動ステップへ、開口部を取り囲む弁リングを備え、垂直方向に弁体まで変位可能であり、且つガス密方法で弁を閉じるために弁体に対して押圧される。弁体に対して能動的に変位可能であるところの弁リングを有するこの種の弁は、例えばドイツ国特許(DE 1 264 191 B1、DE 34 47 008 C2)、米国特許(US 3,145,969)(Zweckによる)及びドイツ国特許(DE 77 31 993 U)から公知である。米国特許(US 5,577,707)(Brida)において、開口部を有する弁ハウジングと、開口部を通る流量を制御するための開口部の上方で平行に旋回可能な弁体とを備えた振子式弁が、記載されている。開口部を取り囲む弁リングは、複数のばね及び空気圧シリンダによって弁体の方向に能動的に垂直に移動可能である。この振子式弁の可能な開発が、米国特許出願公開(US 2005/00676603 A1)(Lucas他)において提案されている。
【0011】
上述の弁は、とりわけ真空チャンバ内における高感度半導体素子の製造に使用されるので、対応するシール効果も、この種のプロセスチャンバに対して確実に保証されなければならない。この目的のために、プレスの際にシーリング材及び/又はシーリング材と接触するシーリング面の状態は特に重要である。眞空バルブの耐用年数の期間中に、シール材又はシール面の一般的な摩耗が生じうる。
【0012】
潜在的に生じうる漏洩を回避するために、又はシールの品質を十分に高いレベルで一定に保つために、弁閉鎖体は、通常、ある時間間隔で交換又は更改される。この種の保守サイクルは、通常、一定期間内に予想される開閉サイクル数に基づいて決定される。このようにして、漏洩の発生を可能な限り排除することができるように、保守は通常、慎重に行われる。
【0013】
この種のサービス要件は、シール材又は弁体のみに限定されず、特に弁体に対応する眞空バルブの一部を形成する弁座にも及ぶ。弁座のシール面の構造、例えば弁座に形成された溝は機械的荷重の影響を受ける。したがって、弁の動作に起因する溝の構造的変更は、シールに対して有害でありうる。対応する保守間隔は、通常この理由のために定義される。
【0014】
この弁の保守の欠点は、それが実行される際の注意深い方法にある。保守の影響を受ける部品は、通常の寿命又は実際の寿命が経過する前に、通常、更新又は交換される。この種の各保守ステップは、一般に、製造プロセスについてのある種の故障期間並びに技術的及び財政的出費の増加を伴う。これは、全体として、必要以上に短い間隔での、且つ一般的に要求されるべきよりもより頻繁な生産の故障期間を意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って本発明の目的は、最適化された弁の保守を可能にし、ひいては可能なプロセス停止時間の改善、すなわち低減を可能にするところの改良された眞空バルブシステムを提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、プロセス容積のより信頼性の高いシールを達成することができる、特にシールの品質を予測することができるこの種の弁システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これらの目的は、独立請求項の特徴を実現することによって達成される。代替の又は有利な方法で本発明を展開する特徴は、従属請求項から推論することができる。
【0018】
本発明の基本的な概念は、眞空バルブを光学センサと組み合わせること、並びにそれらが眞空バルブのシール面の1つを監視するために使用されうるように、弁及び光学センサを設計することである。次いで、シール面又はシール材からの光学的測定信号が、センサを使用して検出されることができ、かつ走査された領域に関する状態情報が、これらの信号に基づいて導出されうる。
【0019】
従ってそれにより、シール面の状態に関する情報が、アクセス可能になる。シーリング面(シーリング材)の化学組成又は構造設計に関するいかなる変化も監視され、継続的に評価されうる。、シール面のメンテナンス又は交換時期は、このようにして作られうるデータによって決定されうる。例えば、弁のガス密性の不具合は、このようにして大いに予測され得て、(一時的に)選択されよく調整された対策がとられうる。従って保全間隔は、より良くスケジューリングされ得、且つより効率的に実行されうる。ここで同時に、プロセスの完全性が維持され、保護される。
【0020】
例えば、測定領域における表面挙動(圧縮性)、色(例えばシーリング材の)、化学組成、形状、及び/又は汚れは、シーリング面又はエラストマーシーリング材に関する関連状態情報として使用されうる。
【0021】
本発明は、体積流量又は質量流量を制御するための、及び/又はガス密方法でプロセス容積を密閉するための眞空バルブを備えた眞空バルブシステムに関しており、眞空バルブは、弁座を有し、開口軸と、実質的にガス密的な態様で弁開口部を閉じるための弁閉鎖体、特に弁体とを含む。
【0022】
ここで弁座は、眞空バルブの一体化部分でありえ、特に、弁ハウジングの一部分を具現化しうる。代わりに弁座は、真空チャンバの開口部によって形成されることができ、かつ弁座に対して移動可能な弁閉鎖体との協働において本発明の意味での眞空バルブを形成しうる。
【0023】
眞空バルブはさらに、少なくとも2つのシール面を有し、この少なくとも2つのシール面の第1のシール面は、弁座に設けられ、かつ弁開口部の周りに伸ばされ、そしてこの少なくとも2つのシール面の第2のシール面は、弁閉鎖体に設けられ、かつ第1シール面に対応して形成されている。
【0024】
特に、2つのシール面のうちの1つは、シール材を備えている。シーリング材は、例えば、シーリング面上で硬化されるか、又は弁閉鎖体若しくは弁座の溝内にOリングとして存在するポリマーベースの材料(例えば、エラストマー、特にフルオロエラストマー)でありうる。従って本発明の範囲内で、シール面は好ましくは、弁開口部(閉鎖位置)を閉じるためにシール材が押圧状態でその間に存在するところのそれらの面であると考えられる。
【0025】
駆動ユニットは、弁閉鎖体に連結され、弁閉鎖体の夫々の位置によって画定された夫々の弁開放状態を提供するために、弁閉鎖体が所定の方法で変更及び調整されうるように設計されている。弁閉鎖体は、弁閉鎖体が弁開口部を少なくとも部分的に開放する開位置から、第2シール面が第1シール面の方向に押圧されて弁開口部が実質的にガス密方法で閉鎖される閉位置に、かつその逆に移動可能である。
【0026】
駆動ユニットは、例えば電動モータ(ステップモータ)として、又は複数のモータの組み合わせとして、又は空気圧駆動部として形成される。特に、駆動部は、少なくとも2つの(実質的に直交する)方向に弁閉鎖体を移動させる。
【0027】
眞空バルブシステムは、さらに光学的センサユニットを有しており、光学的センサユニットは、光学的測定信号を検出するように設計されている。センサユニットはそのように配設され、光学的センサユニットの光検出軸(又は検出軸によって規定された検出領域)は、シール面の1つの少なくとも部分に対する測定信号が検出されうるように配向されている。測定信号は、弁閉鎖体の試験位置において生成されうる。試験位置は、ここでは特に、弁閉鎖体の開位置、中間位置、又は閉位置に対応する。
【0028】
検出軸、例えばセンサユニットのカメラの光軸は、好ましくは検査されるべきシール面の1つの方向に向けられており、シール面の少なくとも一部分はカメラの検出領域(視野)内に存在し、そしてこの部分の画像は記録されうる。
【0029】
1実施態様において、シール面の1つの少なくとも一部分に対する測定信号は、弁閉鎖体の特定の試験位置においてのみ発生させられうる。このようにして例えば、弁閉鎖体のシール面が開弁位置においてのみ検出軸の周りの検出領域に存在するように、検出軸及び弁は設計されうる。例えば、弁が開かれるたびに、現在の状態が記録され得、シール面の現在の品質が確認されうる。
【0030】
特に、眞空バルブは、外部環境(例えば真空チャンバ内の幾何学的領域)から分離されているところの真空領域を画定する。
【0031】
本発明の1実施態様において、光学的センサユニットは、真空領域内に少なくとも部分的に配設されることができ、検出軸が、第2のシール面の光学的測定信号を検出するために弁座の方向に向けられうる。この種の配設により、特に、(プロセス容積において)内方に配設された弁座のシール面をチェックすることが、有利に可能である。この目的のために、センサユニットは例えば、一体化されたコンパクトな設計で実現され得、そしてチャンバ壁上に平坦に配設されうる。
【0032】
眞空バルブシステムはまた、少なくとも光学的測定信号に対して透過性の透過窓を有しうる。測定用放射(これはセンサユニットによって放射され及び/又は受光されるべきである)は、真空領域から外部環境へ又はその逆に、透過窓によって伝達されうる。真空領域の外側に配設された検出器によって、真空領域内に配置されたシール面のための信号が受信され得、真空を保持しながら対応する情報が生成されうる。ここで例えば、検出器のための電源及び検出器自体は、真空領域に導入される必要はなく、従って構造に係る費用が比較的低く保証されうることが特に有利である。
【0033】
言い換えれば、光学的センサユニットは、光学的測定信号が透過窓を介して光学的センサユニットによって検出されうるように外部環境に配設されうる。特に、センサユニットの検出軸は、透過窓内に存在し、すなわち透過窓を通して延在している、
【0034】
本発明の特定の実施態様によれば、透過窓は、少なくとも2つのシール面のうちの1つの少なくとも一部分を形成しうる。例えば、窓が第2のシール面の一部分として設けられ、第2のシール面がシール材を含む場合、シール材の裏側に関する情報が、生成されうる。このように配設された透過窓によって、シール材と基板との間の界面又は境界層は、アクセス可能である。例えば、シール材とこのシール材を支持する基板との間の接着状態が、結果として調べられうる。
【0035】
光学的センサユニットは、光学的測定信号を検出し且つ導くための光ファイバを備えうる。代わりに、この目的のために、光路が自由空間光学系に形成されうる。光ファイバは、例えば弁閉鎖体内に延在することができ、弁閉鎖体上のシール材のための接着面に結合されうる。ファイバはまた、真空チャンバのチャンバ壁を通って延在することができ、このようにして、チャンバ内部で測定を可能にすることができる。
【0036】
例えば、光ファイバの少なくとも一部分、特にファイバ端部(フェルール付き)は、真空領域内に存在することができ、少なくとも2つのシール面の少なくとも1つの面ための光学的測定信号を検出するように配設され且つ配向されうる。
【0037】
光学的センサユニットは、ファイバ又は自由空間光学系によって弁閉鎖体に接続されうる。特にセンサユニット(例えばセンサユニットの光ファイバ)は、弁閉鎖体の少なくとも部分に統合されている。
【0038】
1実施態様において、光学的センサユニットは、ビーム検出モジュールを備えることができ、このビーム検出モジュールは、カメラ、赤外線検出器、特に近赤外検出器、特にNIR分光器、散乱光センサ、及び/又はラマン検出器を有する。このようにして、異なる化学的、構造的、又は画像ベースの分析可能性を有する異なるセンサシステムが考えられうる。例えば、粗さ分析が、シール面の光学的記録によって行われ得、又は化学分析が分光法によって行なわれうる。
【0039】
これに代え又はこれに加えて、センサユニットは、例えば、ラインセンサを備えうる。これは、特に形成されたシール面を走査するために特に有利でありうる。シール面は、これにより走査されるべき領域全体にわたってより迅速に走査されうる。
【0040】
本発明によれば、眞空バルブシステムは、検出された測定信号が処理ユニットによって処理され且つ状態情報が検出された測定信号に基づいて生成されるように形成された処理ユニットを備えうる。検出された測定信号は、評価されうるユーザ情報を提供するために、さらに処理されうる。
【0041】
状態情報は特に、第1又は第2のシール面の機械的及び/又は構造的完全性に関する情報を提供しうる。例えば、シール面の一部分の画像に基づいて、要求されたシール効果が達成されるか否かが、画像内で識別可能なシール面の構造によって評価されることが可能である。特に、シール面への汚損又は損傷が識別されうる。
【0042】
状態情報は、このようにして画像処理によって、及び/又は検出された測定信号に対する実際の標的比較によって生成されうる。このための基礎が、ここでは、好ましくは、シール面の現在記録されている視覚画像、及び、特に基準としての、シール面の目標状態を表している走査された領域についての比較画像によって提供される。
【0043】
状態情報に基づいて、材料組成及び/又は材料組成の変化が、少なくとも2つのシール面のうちの1つの少なくとも走査可能な部分について推定されうる。これは、特にセンサユニットの検出器(ビーム検出モジュール)が化学分析モジュール(例えばIR分光計)として形成され、且つ状態情報が走査されたシール面領域についてのスペクトル分解された強度分布を提供するときの場合である。
【0044】
対応する基準スペクトルの使用で、及び基準スペクトルとの比較によって、例えばシール材の化学構造における変化は、効率的に確認されうる。これに基づいて、シール材の品質における経時変化及び関連する劣化の評価は、また確認されうる。この代わりに又は追加的に、検査された要素又は材料の化学組成が、目下生成されたスペクトルから直接決定されうる。
【0045】
本発明によれば、状態情報は、少なくとも2つのシール面のうちの1つの少なくとも走査可能な部分の視覚的表現として、特にシール面の少なくとも走査可能な部分の画像として提供されうる。
【0046】
この代わりに又は追加的に、状態情報は、分光測定信号、特に波長-強度曲線を具現化するグラフとして生成されうる。これは、特にセンサユニットが対応する化学分析モジュールを含むときの場合である。
【0047】
状態情報はまた、検出された測定信号の特定の許容値に対する関係を特定する出力信号として生成されうる。この種の信号(光学的又は音響的)によって、例えば、プロセスが、要求された公差内で実行されるかどうか、又はこの種の公差の望ましくないアンダーシュート又はオーバーシュート(例えば、圧力レベル)が予期されるどうかを示すことが可能である。
【0048】
眞空バルブの弁座は、眞空バルブに構造的に接続された眞空バルブの一部によって、形成されうる。特に弁座は、眞空バルブのハウジング上に形成されるか、又はプロセスチャンバ(特にチャンバハウジング)によって提供されうる。
【0049】
眞空バルブ及びセンサユニットは一体化された設計において実現されうること、及びこのシステムはそれに対応して特定の眞空バルブであると考えられうることを理解されたい。
【0050】
本発明による装置及び本発明による方法は、図面に概略的に示された特定の例示的な実施態様に基づいて、これ以降より詳細にかつ単に例示的に説明され、本発明のさらなる利点についても議論される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】振子式弁を有する、本発明による眞空バルブシステムの可能な実施態様の断面図である。
【
図2a】或る閉位置における切替弁を有する眞空バルブシステムの実施態様を示す。
【
図2b】別の閉位置における切替弁を有する眞空バルブシステムの実施態様を示す。
【
図2c】さらに別の閉位置における切替弁を有する眞空バルブシステムの実施態様を示す。
【
図2d】異なる閉位置における切替弁を有する眞空バルブシステムの実施態様を示す。
【
図3】切替弁及びセンサユニットを有する、本発明による弁システムの別の実施態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
振子式弁を有する、本発明による弁システムの可能な実施形態が
図1に断面で示されている。実質的にガス密に流路Fを遮断する弁は、開口部12を備える弁ハウジング11を有する。ここで、開口部12は円形の断面を有する。弁閉鎖体13(弁体)の閉位置では、開口部12は、弁体13によってガス密に閉鎖される。弁はここでは弁体13の開位置Oで示されている。
【0053】
開口部12は弁座によって取り囲まれている。この弁座は、シール面15によって形成され、それは弁体13の方向(閉位置における)において軸方向に向いており、開口軸14を横切って延在し、この場合には円形リングの形状を有し且つ弁ハウジング11内に形成されている。
【0054】
弁は、弁体13をさらに有し、この弁体13は、旋回可能であり、加えて、開口軸14に実質的に平行に、且つ開口軸14の方向に移動可能である。
【0055】
弁体13は、ディスク上の横方向に配設され且つ開口軸14に垂直に延在するアーム13aによって電気駆動部16(モータ)に接続されている。このアーム13aは、弁体13の閉位置に、開口軸14に沿って幾何学的に投影された開口部12の開口断面の外側に配置されている。
【0056】
電気駆動部16は、弁体13(振子式弁の場合の従来型として)が、開口軸14への横断的な、そして開口部12の断面にわたって実質的に平行な、そして開口軸14に垂直な、開位置Oと中間位置との間での旋回軸17の周りの旋回運動の形態での、駆動部16の横方向移動によって旋回されうるように、並びに開口軸14の方向に平行に行われる駆動部16の長手方向移動によって直線的に移動可能なように、対応する伝達機構を使用して形成される。開位置Oにおいて、弁体13は、第1開口部12の横隣に配設された保持部分に配置されており、開口部12及び流路Fは開放される。中間位置において、弁体13は第1開口部12の上方に離間して配置され、開口部12の開口断面部を覆う。閉位置において、開口部12はガス密に閉鎖され、流路Fは、弁閉鎖体13(弁体)と弁座のシール面15との間のガス密接触の結果をもたらすように中断される。
【0057】
弁の自動制御化された開閉を可能にするために、弁は電子制御システムを備えることができ、その電子制御システムは、弁体13がガス密にプロセス容積を密封するため、又はこの容積の内部圧力を制御するためにそれに応じて可動であるような方法で設計され駆動部16に接続される。
【0058】
弁閉鎖体13の調整のために、弁開口部12に対して特定の開口断面が設定され、ひいては単位時間当たりにプロセス容積から排気されうるガスの潜在的量が設定される。この目的のために弁閉鎖体13は、特に可能な限り層流である媒体流を達成するために円形から偏倚した形状を有しうる。
【0059】
本例示的な実施態様において、駆動部16は電気モータとして形成され、伝達機構は、駆動部16が駆動されたときに、これが横方向移動又は縦方向移動のいずれかの結果が生じるように切り換えられうる。駆動部16及び伝達機構は、制御システムによって電子的に作動させられる。この種の伝達機構、特にスロット付きレバーゲートを用いた伝達機構は、従来技術として公知である。また、横方向移動及び縦方向移動を行うために複数の駆動部を使用することも可能であり、この場合、制御システムが駆動部の作動を引き受けている。
【0060】
記載された振子式弁による流量の正確な制御は、開位置Oと横方向の移動による中間位置との間の弁体13の旋回運動だけではなく、主として弁体13の中間位置、すなわち長手方向の動きによる閉位置の間の開口軸14に沿った直線的な運動によって可能である。上述の振子式弁は、高精度の制御作業のために使用されうる。
【0061】
弁座を別にして、弁体13もまたシール面18を有している。図示された実施態様において、シーリング材、例えばフルオロポリマーが、弁体13のシール面18上に硬化される。このようにしてシール材は、弁座上で、加硫によって、例えば重合体として硬化されうる。あるいは、シールは、例えば弁座の溝内のOリングとして実施しうる。シール材はまた、弁座に接着することができ、したがって、シールを具現化することができる。別の実施態様において、シールは、弁体38上に、特にシール面15上に配設されうる。これらの実施態様の組み合わせもまた考えられうる。
【0062】
シール面18は、弁座のシール面15にその形状及び寸法に関して対応する方法で適用される。弁の閉位置において、弁体13のシール面18が、弁座のシール面15に押し付けられ、所望のシール効果(特にガス密性)がそれらの間に押圧されたシール材によって提供される。
【0063】
振子式弁(例えば、真空チャンバ内における)によって制御された作業プロセスにおいて一般的に保証されるところの信頼性に関する重要な因子は、複数のシール面の1つの又はシール材自体の潜在的な摩耗である。プロセスに悪影響を及ぼさないようにするために、シール面は事前に注意深く補修され、及び/又は定期的に交換された。本発明によって、複数のシール面の少なくとも1つの(及びこのシール面に対して少なくとも部分的に)現在の状態が検出されえ、検出された状態に応じて対応、例えばサービスが取られうる。補修の時期又は時間は、これにより時間最適化された方法でスケジュールされかつ実行される。
【0064】
本発明によれば、少なくとも1つのセンサユニットが、シール面の状態を検出するというこの目的のために設けられている。
図1による実施態様において、この種の2つのセンサユニットが示されている。しかし本発明は、個別のセンサユニットを有する実施態様にも拡張されることを理解されたい。上述のような(少なくとも)1つのセンサユニットと眞空バルブとの組み合わせは、本発明による眞空バルブシステムを形成する。
【0065】
図1による眞空バルブシステムは、第1センサユニット20を有する。センサユニット20は、弁ハウジング11の外側に設けられている。弁ハウジング11は、第1窓22を有し、その窓は、射出され又はセンサユニット20によって検出された(又は両方の)測定用放射が、窓22を通して伝達されうるように実現されている。さらに、ビーム偏向要素21(例えばミラーまたはプリズム)が設けられており、これにより、測定用放射が、特定の測定領域の方へ且つ離れるように案内されうる。ここで、ビーム偏向素子21は、測定領域の方向におけるセンサユニット20の検出軸の配向を備えている。
【0066】
図から分かるように、透過窓22は、開位置Oにおいて、シール面18に対する(したがって封止材の一部分に対する)測定信号が、得られるように配設されている。対応する測定を行うために、シール面18は窓22に押し付けられうるか又は或る距離を保持しうる。
【0067】
センサユニット20は、赤外線放射による材料分析を可能にする分光計23を含む。したがって、偏向要素21の窓22手段を介してシール面18と整列することができる赤外線放射は、センサユニット20により省略されうる。射出された放射とシール面18、特にシール材との相互作用に続いて、反射された放射は、シール材を用いて、次にセンサユニット20によって検出される。好ましくは、2つの別個のチャネル又は光路が、放射及び検出のために設けられる。
【0068】
シール面18又はシール材の材料組成に関する情報は、射出された放射線及び検出された放射線(2つのビームのスペクトル)の決定、ならびに個々のスペクトルに関しての比較から導き出すことができる。例えば、材料の現在の状態(例えば、一定期間にわたる化学物質の変化)に関する結論は、シール材に関する目標スペクトルとの比較によって推測することができる。
【0069】
一般に、センサユニット20は、(近)赤外分光計の原理に従って構成されうる。
【0070】
第2センサユニット30は、画像検出ユニット(例えば、CCD又はCMOSカメラ)として具体化される。センサユニット30に接続された光ファイバ31の自由端は、弁ハウジング11を貫通している。自由端は、たとえばスリーブ32又はフェルールによって弁ハウジング11内に埋め込むことができ、ファイバ端部は位置及び方向に関して固定された方法で配置される。
【0071】
示された変形態様において、ファイバ31は、ファイバ端部の配向によって確定的に決られる画像検出軸が弁座のシール面15の方向に向くように配向される。光学的モジュールは、シール面15の鮮明な画像を検出できるようにスリーブ32内に設けられうる。
【0072】
したがって、センサユニット30は、図示された開位置Oにおける、又は弁体13が開口部12を覆わず且つファイバ端部の反対側の弁座が隠されていない任意の位置におけるシール面15の状態を決定することを可能にする。したがって、シール面15の一部分の画像が記録されることができ、且つ状態情報がこの画像に基づいて生成されうる。例えば、検出された画像は、画像処理によって分析され得、適切とされる基準画像と比較されうる。例えば、(シール材の)材料残留物は、これによって識別され得、又はシール面15の磨耗を確認することができる。これらの状態の各々は、漏れの増加又はプロセスの信頼性の欠如の潜在的な原因を表しうる。
【0073】
図示された振子式弁の代わりに、本発明による眞空バルブシステムは、他の眞空バルブタイプ、例えば、フラップ弁、仕切り弁、又はバタフライ制御弁として知られているものを備えうる。特に、圧力制御弁を有するシステムは、真空領域での使用のために設計されている。さらに、振子式弁であってその閉鎖体が一方向にのみ動きうるものも使用しうる。
【0074】
異なる閉位置に切替弁を有する眞空バルブシステムの様々な実施態様が、
図2a~
図2dに示されている。実施態様は、ある特徴に関して部分的にのみ相互に異なっており、したがって図面は以下においては実質的に一緒に説明され、いくつかの例においては実施態様間の相違点のみが説明される。前の図で既に説明した参照符号及び特徴はいつも再度議論されるとは限らない。
【0075】
図示された切替弁40、40’、40”は、特にゲート弁の形態である。眞空バルブ40、40’、40”は、矩形の平面閉鎖要素41を有し、この閉鎖要素41は、開口部42上でガス密に閉じるための閉鎖面を有している。開口部42は、閉鎖要素41に対応する断面を有し、壁43内に形成されている。開口部42は、第1シール面45を提供する弁座によって囲まれている。
【0076】
開口部42は、壁43の左側に位置する第1ガス領域Lを、壁43の右側の第2のガス領域Rへ接続する。壁43は、例えば真空チャンバのチャンバ壁によって形成されている。眞空バルブ40、40’、40”は、チャンバ壁43と閉鎖要素41との協働によって形成される。
【0077】
閉鎖要素41は、調整アーム46上に配設され、この調整アーム46は棒状で幾何学的調整軸Vに沿って延在する。調整アーム46は、駆動ユニット47へ機械的に結合されており、それによって、壁43の左側の第1ガス領域L内の閉鎖体材41は、駆動ユニット47による調整アーム46の開位置O(
図2a及び
図2b)と中間位置(
図2c)を介し閉位置(
図2d)との間での移動によって動かされうる。
【0078】
開位置Oにおいて、閉鎖要素41は、
図2aに示されるように、開口部42の突出領域の外側に位置し、これを完全に解放する。
【0079】
調整軸Vに平行な且つ壁43に平行な軸方向における調整アーム46の移動によって、閉鎖要素41は、駆動ユニット47により開位置Oから中間位置に移動させられうる。
【0080】
図2cに示されたように、この中間位置において、閉鎖面は、開口部42を覆い且つ開口部42に対向して弁座のシール面45から離れて配置され、そのシール面は、開口部42を取り囲んでいる。
【0081】
調節アーム46を、調整軸Vを横切る方向、即ち例えば壁43及び弁座に垂直に移動させることによって、閉鎖要素41は中間位置から閉位置に移動させることができる(
図2d)。
【0082】
閉位置において、閉鎖要素41の閉鎖面は、開口部42をガス密に閉鎖し、第1ガス領域Lを第2ガス領域Rからガス密に分離する。
【0083】
このようにして、眞空バルブ40、40’、40”は、駆動ユニット47による閉鎖要素41及び調節アーム46のL字型の移動によって開閉される。したがって、図示された切替弁は、Lタイプ弁とも呼ばれる。
【0084】
閉鎖要素41は、弁座のシール面45に対応する別のシール面48を有する。シール面48は、閉鎖要素の周りに延在し、シール材を支持する。閉位置において、シール面48はシール面45に押し付けられ、シール材は2つのシール面45と48との間で押圧される。
【0085】
図示された切替弁40、40’、40”は、典型的には、プロセス容積部(真空チャンバ)を封止するため、及び容積部にものを出し入れするために設けられている。開位置と閉位置との間の頻繁な変化は、この種の使用を伴うルーチンである。シール面45及び48の摩耗の増加の兆候が結果として生じうる。少なくとも1つのセンサユニットが、この磨耗を監視するために本発明に従って設けられている。この種のセンサユニットと弁40、40’、40”との組み合わせは、本発明による眞空バルブシステムを形成する。
【0086】
図2aによれば、検出器53、光ファイバ51、及びハウジング43を通る伝達チャネルを提供する光学部品52を有する第1センサユニット50が、シール面48の状態を識別することができるように設けられている。対応する検出が、開位置におけるセンサユニット50によって可能になる。光学部品52は、ハウジングに接続されているか又はその内部に形成されており、光学部品52の領域における領域Lと領域Rとの間にガス密シールが存在する。
【0087】
開位置におけるシール面48の一部分は、光学部品52に対向して配置され、測定放射は、光学部品52及び光ファイバ51を介して検出器53によって検出されうる。この種の構成によって、シール面48又はシール面48を代表する領域は、定期的に、例えば開位置が採用される各時ごとに分析され得、そしてプロセスの信頼性に関して評価されうる。
【0088】
例えば、プロセス期間にわたるシーリング材の変動(変化)は、センサユニット50を用いて監視されうる。例えば、表面挙動、検出可能領域の色、化学組成、形状、又は汚れが、ここで確認されるであろう。これらの要因の1つに関する変化は、前記シーリング材によって生成され得るシーリング効果の質を推測するために使用されうる。さらに、将来起きうる補修又は残存サービス寿命が予測されうる。
【0089】
ユニット50により生成されうるデータのタイプは、検出器51の実施態様によって決定的に決定される。例えば検出器は、光学カメラ又は分光器として形成されうる。
【0090】
図示された実施態様において、検出器51は、赤外線分光器として具体化され、光学的測定用の放射の検出に加えて、シール面48の方向への赤外光の放射も提供される。この目的のために、光ファイバ51は、2つの空間的に分離された光路:出射光路及び検出光路を有する。
【0091】
ここで、赤外光がシール材に向かって放出されると同時に、シール材に関連するスペクトルが検出されうる。シール材の材料組成は、スペクトル(例えば、波長による光強度)に基づいて推定することができ、例えば材料組成の基準と比較することができる。この種の比較は、弁の動作中に連続的に行うことができ、シール面48の長期間の監視が提供されうる。例えば、材料の老化及びその結果として生じる材料の脆性又は多孔性の増加を識別することができ、これに基づいて、弁体41又はシールの交換のための整合時間が確立されうる。
【0092】
検出器53は、代わりに壁43から分離されて配設されることが理解されるべきである。特に、検出器53は、弁ユニットから熱的及び構造的に切り離されうる。ここで、関連する測定信号の検出は、対応して寸法を取られた光ファイバ51(特にファイバの長さ)によってのみ提供される。
【0093】
図2bは、本発明による弁システムの別の実施態様を示す。
図2aのセンサユニット50の代わりに、ここには別の設計の2つのセンサユニット60、70が、設けられている。弁40’の構造は、
図2aの弁40の構造に実質的に対応している。
【0094】
センサユニット60の検出器61は、シール面48の化学分析のための近赤外分光計として形成される。この目的のために、赤外線領域(例えば、λ>800nm)に規定されたスペクトルを有する測定用放射が、放射されかつシール面48の方に向けられている。
【0095】
弁の壁43内に一体化された窓62が、センサユニット60のために設けられている。窓62は、壁43と一緒に気体領域L及びRのガス密分離を形成する。開口部42は、気体領域L及びRの閉じ得る接続を提供する。窓62は特に、放射された測定用放射と、シール面との相互作用に続いて検出器61によって検出されるべきである測定用放射とが、窓61を通って実際的には損失なしに透過されるように形成されている。
【0096】
湾曲した偏向ミラー61は、シール面48によって提供されるシール材上に測定用放射を導くと同時に合焦するために設けられている。このようにして、シール材の照射がこれにより強化されうるので、得られた測定用信号の改善が達成されうる。偏向ミラー61は、シール面48の方向に焦点を生成するだけでなく、検出器63での測定用放射の対応する検出をも提供する。
【0097】
シール面48又は(ポリマーベースの)シール材への照射の結果として、特定の材料を形成する分子内の或るエネルギー状態が励起されて、放射線吸収をもたらす。吸収又は振動刺激は、次に検出されるスペクトルにおいて同定することができる。本発明の材料組成は、これに基づいて推測されうる。
【0098】
図2bから分かるように、センサユニット60による対応する分析は、弁40’の開位置においてのみ実行されうる。勿論、この種の複数のセンサ装置がシール面48のコースにわたって配置され、従ってシール面48の多数の点が検査されうることが考えられる。
【0099】
さらに、
図2bによる眞空バルブシステムは、別のセンサユニット70を有する。センサユニット70は、一体型設計で具体化され、少なくとも1つの画像検出センサ及び光学システムを有する。センサユニット70は、画像検出領域(視野、FoV)がシール面45と一直線になるように弁壁又はチャンバ壁43上に配置され、シール面45の少なくとも一部は視覚的にセンサユニット70によって捕捉される。センサユニット70又はそのハウジングは、ガス容積部Lに対してガス密シールが存在するように設計されている。
【0100】
この種のセンサユニット70は、例えば真空容積部内に配設されることができ、従って内側に配置されたシール面の監視を可能にすることができる。次いで、ガス領域Lを真空プロセスチャンバの内部容積に等しくする。
【0101】
図2cは、ゲート弁40”が中間位置に存在する、本発明による弁システムの別の実施態様を示す。中間位置では、弁体41は弁開口部42に対向して配置され、シール面45及び48は互いに接触しない。
【0102】
図2cの弁システムは、切替弁40”及びセンサユニット70を備えている。
図2bによるセンサユニット70は、壁側シール面45の状態情報を生成するために設けられている。中間位置において、シール面45が弁体41によって完全には覆われていないので、カメラユニット70を用いて、走査されるべきシール面領域の少なくとも一部分を走査することが特に可能である。このようにして、状態情報は、これにより作られうる。センサユニット70は、特に、少なくとも部分的に直線的に延在するシールの整合監視のためのラインセンサとして形成しうる。
【0103】
図2dにおいて、弁40”とセンサ70とを備える弁システムが、弁体41の閉鎖位置において示されている。弁体41のシール面48は、ここでは弁壁43のシール面45に押し付けられている。弁体41のシール面48は、弁壁43のシール面45によって覆われ、もはやユニット70による画像の捕獲のためにアクセス可能ではない。
【0104】
図3は、切替弁40”’及びセンサユニットを含む本発明による弁システムの別の実施態様を示す。弁40”’自体は、
図2a~2dの1つからの弁40,40’、40”と実質的に同様に具現化される。
【0105】
前述したシステムとの相違は、本実施態様において状態情報は、シール面48の後側の方向から検出できる測定データに基づいて生成されうることにある。この目的のために、弁体41は、内部光路81を有する。光路81は、例えば光ファイバによって具体化される。光ファイバの一端は、シール面48の後側に結合されている。ここでシール面48は、光ファイバを通して記録され又は放出されるべき測定用放射のために、特に透過な方法で具現化され、例えば透明な窓領域として具現化されうる。
【0106】
光路81は、(別の)光ファイバ82によってセンサ83に接続される。センサ83は好ましくは、カメラ又はラインセンサとして形成され、画像は、シール面48の後側から取り込まれうる。光路81は、例えば、シール面48に沿って周回するような方法で、又はシール面の後側の少なくとも1点が光路81を通してアクセス可能であるような方法で設けられうる。
【0107】
画像比較(目標と実際の比較)によって、シール面48の現在の状態、特にシール面48に塗布されたポリマー系シール材の現在の状態を推定されうる。例えば、シール面48からのシール材の剥離又はシールアセンブリの他の何らかの障害が確認されうる。
【0108】
センサ83は、測定用放射のためのビーム源を有する、且つシール面48と相互作用した後に測定用放射を検出するための検出器とを有する分光計として、代替的に形成されうることを理解されたい。2つの別の光路は、好ましくは測定用放射の放出及び受け取りのために備えられ、特定の光ファイバを備えうる。
【0109】
描かれた図は、可能な例示的な実施態様のみを概略的に示していることが理解されるべきである。種々のアプローチがまた、本発明に従って互いに、且つ従来技術の眞空バルブと、且つ真空プロセスと組み合わせることができる。