(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】タッピングサドルに使用するための幾何学的な加熱素子
(51)【国際特許分類】
F16L 41/04 20060101AFI20220516BHJP
F16L 41/08 20060101ALI20220516BHJP
F16L 47/03 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
F16L41/04
F16L41/08
F16L47/03
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018080537
(22)【出願日】2018-04-19
【審査請求日】2021-01-20
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518066574
【氏名又は名称】ゲオルク フィッシャー ヴァーフィン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Georg Fischer Wavin AG
【住所又は居所原語表記】Ebnatstrasse 111, 8200 Schaffhausen, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス ヒュシー
(72)【発明者】
【氏名】ディアク ペトリー
(72)【発明者】
【氏名】エトヴィン ハープリュッツェル
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-042566(JP,A)
【文献】特開平10-267184(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19510963(DE,A1)
【文献】特開平11-294673(JP,A)
【文献】特開2001-050462(JP,A)
【文献】特開2011-089599(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102004023338(DE,A1)
【文献】国際公開第2005/106313(WO,A1)
【文献】特開平07-301385(JP,A)
【文献】特開平10-089583(JP,A)
【文献】特開平06-185689(JP,A)
【文献】特表2000-516689(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104061397(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 41/04
F16L 41/08
F16L 47/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送するプラスチック製の主管(7)用のタッピングサドル(1)であって、
管片(2)と、サドルピース(4)
とを備え、
前記管片(2)は、中心軸線(11)を有しており
、
前記サドルピース(4)の内径部(5)には、幾何学的な加熱素子(6)が配置されており、該幾何学的な加熱素子(6)は、主管外周面における前記タッピングサドル(1)の融着に用いられる、タッピングサドル(1)において、
前記幾何学的な加熱素子(6)が、
ワイヤからなる巻線(8)を有しており、
前記巻線(8)は、外側巻線領域(10)と内側巻線領域(9)とを有しており、
前記内側巻線領域(9)の巻線は、蛇行状のループ(12)をなして前記管片(2)の中心軸線(11)と同心の円に沿って延びて
おり、
前記蛇行状のループ(12)は、前記管片(2)の内径部内へ突出しており、前記蛇行状のループ(12)は、前記サドルピース(4)に配置されていることを特徴とするタッピングサドル(1)。
【請求項2】
前記幾何学的な加熱素子(6)は、支持体材料を有しており、前記巻線(8)
は、前記支持体材料に配置されている、請求項1記載のタッピングサドル(1)。
【請求項3】
前記蛇行状のループ(12)は、径方向に延びる複数の巻線区間(13)を有しており、該巻線区間(13)は、前記中心軸線(11)と同心に配置された円に沿って環状に配置されており、円弧部分(14)によって
、相互に接続されている、請求項1または2記載のタッピングサドル(1)。
【請求項4】
前記円弧部分(14)が径方向部分である、請求項3記載のタッピングサドル(1)。
【請求項5】
前記タッピングサドル(1)は、さらにドリル(3)を備えている、請求項3または4記載のタッピングサドル(1)。
【請求項6】
前記ドリル(3)は、前記管片(2)内に配置されており、該ドリル(3)に配置された雄ねじ(16)を用いて、前記管片(2)内で軸方向にシフト可能である、請求項5記載のタッピングサドル(1)。
【請求項7】
前記ドリル(3)の剪断縁部は、前記巻線区間(13)の領域において、前記蛇行状のループ(12)を切断する、請求項
5または6記載のタッピングサドル(1)。
【請求項8】
前記ドリル(3)は、前記主管(7)および前記サドルピース(4)の穿孔の際に、前記内側巻線領域(9)または前記蛇行状のループ(12)を切断する、請求項
5から7までのいずれか1項記載のタッピングサドル(1)。
【請求項9】
蛇行状に延びる前記内側巻線領域(9)の前記巻線区間(13)は、前記ドリル(3)の剪断縁部に対して、または前記サドルピース(4)内で生じた剪断縁部に対して直角に配向されている、請求項
5から8までのいずれか1項記載のタッピングサドル(1)。
【請求項10】
前記外側巻線領域(10)の前記巻線(8)は、渦巻き状、多角形状または蛇行状に延びている、請求項1から
9までのいずれか1項記載のタッピングサドル(1)。
【請求項11】
前記管片(2)は、雌ねじ(15)付き管片(2)である、請求項1から10までのいずれか1項記載のタッピングサドル(1)。
【請求項12】
請求項1から
11までのいずれか1項記載のタッピングサドル(1)に加熱素子として使用するための幾何学的な加熱素子(6)であって、
前記幾何学的な加熱素子(6)
が、ワイヤからなる巻線(8)を有しており、
前記巻線(8)は、外側巻線領域(10)と内側巻線領域(9)とを有しており、
前記内側巻線領域(9)の巻線(8)では、管片(2)の中心軸線(11)と同心の円に沿って蛇行状のループ(12)が延びていることを特徴とする、幾何学的な加熱素子(6)。
【請求項13】
前記幾何学的な加熱素子(6)は、支持体材料を有しており、前記巻線(8)は
、前記支持体材料に配置されている、請求項
12記載の幾何学的な加熱素子(6)。
【請求項14】
前記巻線(8)は、サドルピース(4)内に固定されている、請求項
12記載の幾何学的な加熱素子(6)。
【請求項15】
前記蛇行状のループ(12)は、径方向に延びる複数の巻線区間(13)を有しており、該巻線区間(13)は、前記中心軸線(11)と同心に配置された円に沿って環状に配置されており、円弧部分(14)によって
、相互に接続されている、請求項
12記載の幾何学的な加熱素子(6)。
【請求項16】
前記円弧部分(14)が径方向部分である、請求項15記載の幾何学的な加熱素子(6)。
【請求項17】
前記巻線(8)は、支持体材料に縫合されている、請求項
12記載の幾何学的な加熱素子(6)。
【請求項18】
媒体を搬送するプラスチック製の主管(7)を穿孔するための方法であって、
請求項1から
11までのいずれか1項記載のタッピングサドル(1)を、前記主管(7)の外周面に配置するステップと、
前記主管(7)の外周面に前記タッピングサドル(1)を融着するステップと、
前記主管(7)を穿孔し、前記タッピングサドル(1)のサドルピース(4)を貫通穿孔するステップと、を含む方法において、
前記穿孔が、前記サドルピース(4)内に配置された幾何学的な加熱素子(6)を貫通して行われ、その際
、前記幾何学的な加熱素子(6)の巻線(8)の内側巻線領域(9)を通って穿孔され、ワイヤが切断されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッピングサドルに使用するための幾何学的な加熱素子に関し、さらに、媒体を搬送するプラスチック製の主管用のタッピングサドルであって、雌ねじ付き管片と、サドルピースと、好ましくはドリルとを備え、管片は、中心軸線を有しており、ドリルは好ましくは管片内に配置され、好ましくはドリルに配置された雄ねじを用いて管片内で軸方向にシフト可能であり、サドルピースの内径部には、好ましくはワイヤからなる幾何学的な加熱素子が配置されており、幾何学的な加熱素子は、主管外周面におけるタッピングサドルの融着に用いられる、タッピングサドルに関する。
【背景技術】
【0002】
タッピングサドルおよび管タッピング継手は、従来技術から公知であり、分岐管を主管に接続するのに用いられている。欧州特許出願公開第0679831号明細書には、分岐連結部を製造するための接続成形体が開示されており、そこに使用される加熱素子は、巻線支持体を有しており、巻線支持体内に設けられた溝に抵抗ワイヤが挿入された後で、巻線支持体が接続成形体に素材結合により埋め込まれる。
【0003】
この実施形態は、管片の内径部領域におけるサドルピース内径部への移行部に、欠陥のある抵抗ワイヤによってコールドゾーンが形成され、このコールドゾーンが長期にわたる圧力特性のもとで弱体箇所とみなされる欠点を有している。なぜなら、媒体圧力によってサドルに力が加わり、それが管からのサドルの剥がれを引き起こすからである。
【0004】
コールドゾーンを可及的に減少させ、これによって融着ゾーンを管片の内径部の近傍に移動させる変化形態が対策を講じるために存在するが、このこと自体は、この変化形態が望ましくないワイヤ離脱および溶融物離脱の傾向になるという欠点をもたらす。
【0005】
欧州特許出願公開第0565397号明細書には、プラスチック部分を融着するための加熱抵抗体を製造するための方法が開示されている。この加熱抵抗体は、格子として製造されるかまたは円筒状の管部品の形態の格子としても製造され、その後で、円筒状形態部の圧縮によって平坦な鍔状の形態にもたらされる。ここでの欠点は、この加熱抵抗体が支持体材料に固定されていないことにあり、そのためワイヤが相互に望ましくなくシフトし、プラスチック部分からワイヤが離脱する傾向にある。
【0006】
中国特許出願公開第105299372号明細書および日本国特許第5832248号公報も同様に、特定の巻線経過を有するタッピングサドル用の加熱巻線を開示している。しかしながら、これらの加熱巻線における欠点は、それらが中央領域に大きなコールドゾーンを有しており、このコールドゾーンが既に前述したように弱体箇所を形成し、そこにおいて接合部が容易に剥がれやすいことにある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、中央部にあるかまたは孔部に直接続くコールドゾーンが除去され、融着の弱体化をもたらす恐れのあるワイヤ離脱または溶融物離脱を生じさせない、タッピングサドルと、穿孔(タッピング)のための方法と、対応する幾何学的な加熱素子とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、本発明により、幾何学的な加熱素子が、好ましくはワイヤからなる巻線を有しており、この巻線は、外側巻線領域と内側巻線領域とを有しており、内側巻線領域の巻線は、蛇行状のループを成して管片の中心軸線と同心の円に沿って延びていることによって解決される。
【0009】
好ましくは、巻線は、支持体材料に配置されている。蛇行状のループは、管片の内径部内へ突出しており、それらはもちろんサドルピースに埋め込まれている。これらのループは、穿孔の際にドリルによって蛇行状の加熱素子領域が切断される程度に管片の領域内に突出している。これにより、融着された領域は、ドリル孔部まで到達する。もちろん、融着過程は、穿孔の前に実施されており、これにより内側巻線領域または巻線の内側巻回部は、融着過程の間はまだ切断されていない。
【0010】
媒体を搬送するプラスチック製の主管用の本発明によるタッピングサドルは、好ましくはドリルのシフトに用いられる雌ねじ付き管片を含んでおり、ただしこの場合、管片は雌ねじなしで実施されていてもよく、例えば外部ツールもしく外部ドリルを用いて穿孔することも可能である。もちろん、タッピングサドルは、雌ねじを備え対応する雄ねじ付きドリルを備えたさらに別の管片が適合化可能である管片を有することも可能である。したがって、このことは適合化可能なT型穿孔部付きのタッピングサドルに相応する。
【0011】
管片は、中央軸線を有しており、この中央軸線は、ドリルの中央軸線にも相応している。タッピングサドルは、さらにサドルピースを有しており、サドルピースの内径部には、主管における融着に用いられる幾何学的な加熱素子が配置されている。好ましくは、管片内に配置されているドリルは、管片内の雌ねじに対応する雄ねじを備えており、これによってドリルは軸方向にシフトすることができる。既に前述したように、タッピングサドルの穿孔は、外部ドリルを用いても可能である。
【0012】
幾何学的な加熱素子は、好ましくは支持体材料および巻線を有する。この支持体材料は、好ましくはポリエチレンから製造される。巻線は、相応に巻回されたワイヤによって形成される。ワイヤは、好ましくは、縫合、プレスまたはカムの巻付けによって支持体材料に固定されるが、しかしながらプラウニングも可能であり、巻線がサドルピース内に直接プラウニングされることで支持体材料も省くことができる。巻線は内側領域と外側領域とを有しており、内側巻線領域では、管片の中心軸線と同心の円に沿って蛇行状のループが延びている。個々のループと中心軸線との間の間隔はそれぞれ同一である。
【0013】
好ましくは、蛇行状のループは、径方向に延びる複数の巻線区間または中心軸線から径方向に離れるように延びる巻線区間を有しており、この巻線区間は、中心軸線と同心に配置された円に沿って環状に配置されており、さらに円弧部分、好ましくは径方向部分によって、相互に接続されている。蛇行状のループの内側円弧部分または径方向部分は、好ましくは全て同じ幅だけ中心軸線から離間されている。この内側巻線領域の配置構成は、穿孔された状態における内側コールドゾーンの解消に用いられる。閉鎖されたサドルピース内に埋め込まれた蛇行状のループは、管片の中空空間の領域内に突出し、これによって、サドルピースの貫通穿孔の際には、サドルピースのプラスチックを貫通して穿孔するだけでなく、ドリルは、内側巻線も貫通して穿孔するかまたは蛇行状のループを分断する。これにより、管片に直接接続する内側コールドゾーンを回避することができる。その代わりに、内側巻線は管片に直接隣接する。融着は穿孔の前に行われ、中央部におけるコールドゾーンなしの配置構成によって、ワイヤ離脱または溶融物離脱を生じさせることなくサドルピースと主管との間の良好な接続が保証される。さらに、内部領域における主管からのサドルピースの剥離も、コールドゾーンがないことによって回避することができる。
【0014】
好ましくは、外側巻線は、内側巻線の周りに配置され、好ましくは同じワイヤから形成される。外側巻線の好ましい実施形態として、渦巻き状または蛇行状の配置構成が好適であることがわかっており、また多角形状の配置構成も好適であることがわかっている。
【0015】
好ましい実施形態では、ドリルが、主管およびサドルピースの穿孔の際に、内側巻線領域または蛇行状のループを切断する。これにより、管片に直接接続するサドルピースの内側領域において、コールドゾーンが管片に直接接続しなくなることが可能となる。これにより、主管からサドルピースが剥離する不所望な作用を回避することができる。
【0016】
好ましくは、ドリルの剪断縁部は、巻線区間の領域において、蛇行状のループを切断する。この分離箇所により、ドリルによるワイヤの引っ掛かりと、ワイヤの引き裂きとを回避することができる。
【0017】
さらに、蛇行状に延びる内側巻線領域の巻線区間は、ドリルの剪断縁部に対して、またはサドルピース内で生じた剪断縁部に対して直角に配向されることが好ましいことがわかった。このことは、既に前述したように、ワイヤが望ましくないほどにドリル内で引っ掛かることを回避させる。
【0018】
巻線の外側巻線領域は、渦巻き状、多角形状または蛇行状に延ばすことが可能であるが、他の配置構成も考えられる。
【0019】
好ましくは、巻線は、断線や継ぎ目のない恒常的に延びるワイヤによって形成される。
【0020】
本発明による幾何学的な加熱素子は、タッピングサドルにおいて、加熱素子として使用するために用いられる。この幾何学的な加熱素子は、サドルの内径部に配置され、タッピングサドルと主管との融着に用いられる。幾何学的な加熱素子は巻線を有しており、ここでの巻線は、好ましくはワイヤから形成される。好ましい実施形態として、幾何学的な加熱素子が支持体材料を有するケースが示される。
【0021】
支持体材料は、好ましくはサドルピースと同じ材料であり、例えばポリエチレンから製造される。
【0022】
巻線は、内側領域と外側領域とを有しており、内側巻線領域の巻線では、管片の中心軸線と同心の円に沿って蛇行状のループが延びている。
【0023】
蛇行状のループは、好ましくは径方向に延びる複数の巻線区間を有しており、この巻線区間は、中心軸線と同心に配置された円に沿って環状に配置され、円弧部分によって、好ましくは径方向部分によって、相互に接続されている。
【0024】
支持体材料への巻線の固定を確実にし、ワイヤのシフトを回避するために、好ましくは、巻線は支持体材料に縫合されており、それにもかかわらず、ここでのワイヤは、縫合により、加熱の際の膨張の可能性も得られる。ここではまた他の固定タイプも考えられる。
【0025】
好ましくは、巻線は、内側巻線領域において、蛇行状のワイヤ配置構成を有し、外側巻線領域において、渦巻き状、蛇行状、または多角形状のワイヤ配置構成を有する。
【0026】
媒体を搬送するプラスチック製の主管を穿孔するための本発明による方法は、
タッピングサドルを主管の外周面に配置するステップと、
主管の外周面にタッピングサドルを融着するステップであって、この融着を、幾何学的な加熱素子の加熱を用いて実施するステップと、
タッピングサドルのサドルピースを貫通穿孔し、主管を穿孔するステップと、を含み、穿孔が、サドルピース内に配置された幾何学的な加熱素子を貫通して行われ、その際、好ましくは、幾何学的な加熱素子の巻線の内側巻線領域を通って穿孔され、ワイヤが切断される。
【0027】
穿孔は、外部ドリルを用いても、管片内に配置されたドリルを用いても、実施することができる。
【0028】
以下では本発明の実施例を図面に基づき説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】外側領域に渦巻き状の配置構成部を有する本発明による幾何学的な加熱素子
【
図3】外側領域に蛇行状の配置構成部を有する本発明による幾何学的な加熱素子
【
図4】外側領域に多角形状の配置構成部を有する本発明による幾何学的な加熱素子
【
図5】従来技術から公知のタッピングサドルの融着および穿孔された部分断面図
【
図6】本発明によるタッピングサドルの融着および穿孔された部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1に示されている図面は、媒体を搬送するプラスチック製の主管用の本発明によるタッピングサドル1を断面図で示している。このタッピングサドル1は、中心軸線11を有した管片2を備えており、その内部にはドリル3が配置されている。タッピングサドル1は、ドリルを含むさらに別の管片が適合化可能である管片を有していてもよいし、タッピングサドル1に固定可能であるT型穿孔部を有していてもよい。もちろん、タッピングサドルを貫通穿孔することができる外部ドリルも考えられるが、
図1にはこの実施形態は示されていない。ドリル3は、好ましくは管片2内の雌ねじ15に対応する雄ねじ16を有しており、これによって、ドリル3を軸方向に位置調整することができる。タッピングサドル1は、主管7上に配置されるサドルピース4を有している。このサドルピース4の内径部5には、タッピングサドル1を主管7に融着するのに用いられる幾何学的な加熱素子6が配置されている。
図1に示されている実施形態では、穿孔はまだ実施されていない。なぜなら、サドルピース4が、管片2への開放貫通路をまだ有していないことが見て取れるからである。これにより、巻線8または内側巻線領域9のワイヤが管片2の内側領域内に延在することも明確に見て取れる。したがって、融着されたサドルピース4および主管7の穿孔の際には、蛇行状に形成されている内側巻線領域9を通って貫通穿孔され、これによって、幾何学的な加熱素子6の巻線8または融着ゾーン18が、穿孔によって生じる円筒状の開口部まで到達し、そのため内部にコールドゾーンは生じない。
【0031】
図2は、幾何学的な加熱素子6の巻線8の可能な配置構成を示している。この巻線は、好ましくは、一定して延びているワイヤによって形成されており、好ましくは断線を有さない。この巻線8は、内側巻線領域9と外側巻線領域10とを有しており、これらは異なる配置構成を有している。内側巻線領域9は、蛇行状の巻線を有しており、ここでは蛇行状のループ12が、中心軸線11と同心の円に沿って配置されている。これらのループ12は、好ましくは中心軸線11と同心に延びる円に沿って規則的に配置されている。これらの蛇行状のループ12は、好ましくは径方向に配向された巻線区間13を有しており、この巻線区間13は、それらの端部が円弧部分または径方向部分14を介して相互に接続されている。これらの内側円弧部分または径方向部分14は、好ましくは中心軸線11からすべて同じ距離を有している。ドリル3は、穿孔の際に、内側巻線領域9、好ましくは巻線区間13を通って切断し、好ましくは巻線8,9の巻線区間は、ドリルに対して直角方向を向き、これによって、穿孔の際の望ましくないワイヤの引き抜きを回避することができる。外側巻線領域10は、異なる構成であってもよい。
図2には、本発明による幾何学的な加熱素子6の一実施形態が示されており、この実施形態は、外側巻線領域10の渦巻き状の配置構成を有している。
図3および
図4には、外側巻線領域10のさらに別の可能な配置構成が示されている。
図3では、外側巻線領域10内のワイヤは蛇行状に延びており、
図4では、外側巻線領域10のワイヤは、多角形状に配置されている。もちろん、外側巻線領域またはそのワイヤ経過のさらに別の配置構成も考えられる。
【0032】
図5および
図6は、既に主管7に融着されておりかつ既にドリルで穿孔されているタッピングサドル1の部分断面図を示している。
図5は、従来技術から公知のタッピングサドルを示しており、ここでは、サドルピース4と主管7との間の孔部に、コールドゾーン17が直接存在し、そのため主管7からのサドル部分4の剥離が生じ得ることが明確に見て取れる。
図6は、本発明によるタッピングサドル1を示しており、これは、サドルピース4内に埋め込まれている本発明による加熱素子幾何学的形状部6を有している。ここでは、巻線8の内側巻線領域9が、ドリルによって切断され、これによって、孔部に直接隣接するのはコールドゾーンではなく加熱ゾーンであることが明確に見て取れる。このことは、内部領域における管片2下方の、孔部の縁部領域においても、またはサドルピース4の領域においても、良好な融着を直接保証する。穿孔管片1と主管7との融着は、もちろん穿孔の前に実施され、それに伴い、幾何学的な加熱素子6のワイヤは、融着の後で初めて切断される。
図6では、穿孔アーマチュア1が、コールドゾーンの回避によって、孔部に直接接し、主管から剥離されないことが明確に見て取れる。
【符号の説明】
【0033】
1 タッピングアーマチュア
2 管片
3 ドリル
4 サドルピース
5 サドルピース内径部
6 幾何学的な加熱素子
7 主管
8 巻線
9 内側巻線領域
10 外側巻線領域
11 中心軸線
12 ループ
13 巻線区間
14 円弧部分、径方向部分
15 雌ねじ
16 雄ねじ
17 コールドゾーン
18 融着ゾーン