(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】ネイルカバー
(51)【国際特許分類】
A45D 29/00 20060101AFI20220516BHJP
【FI】
A45D29/00
(21)【出願番号】P 2018095405
(22)【出願日】2018-05-17
【審査請求日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】P 2018083109
(32)【優先日】2018-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】712004462
【氏名又は名称】ホーオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】高山 圭一
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05540243(US,A)
【文献】特開2009-273873(JP,A)
【文献】登録実用新案第3214668(JP,U)
【文献】韓国登録実用新案第20-0341760(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の除去液を含浸させた除去液含浸部材を爪上に保持させるネイルカバーであって、
指先に装着する際に
ヒンジ部を介し左右の端縁部を指先の側方へ開閉可能に構成され、その内部に爪を含む指先が入り得る
先細りテーパ形状の空間が形成されるカバー部材と、
前記カバー部材を閉じる方向に付勢する付勢手段と、
指先側を前方側として前記カバー部材の前後方向の中央側にそれぞれ設けられ、前記カバー部材の
左右の端縁部を開かせるための
左右のつまみ部と、を備え、
前記カバー部材の前記前方側の内面の上部には、それぞれ左右方向に延びつつ前後方向に所定間隔をなす複数の凸部が、前記先細りテーパ形状の空間中で後方側になるほど長くなるように設けられており、
前記つまみ部を指先の
前記爪上側に配した状態で、該つまみ部により前記カバー部材を開閉操作することで指先に着脱可能に装着され、その装着状態
の前記カバー部材が、前記複数の凸部を介し前記除去液含浸部材を爪に接触させて保持することを特徴とするネイルカバー。
【請求項2】
前記カバー部材が、略筒状に組み合わせられ
た左右一対の部材で構成されており、
該左右一対の部材が、ヒンジ部材を介して開閉可能に結合されるとともに、前記付勢手段に付勢されて互いに当接する左右の上側ストッパ縁部を有しており、
前記左右のつまみ部は、前記左右の上側ストッパ縁部が互いに当接するとき、前記ヒンジ部材より前記カバー部材に近い基端側では、前記左右の上側ストッパ縁部から離れた外周面上の所定位置から立ち上がって互いに略平行に面対向し、前記ヒンジ部材より前記カバー部材から離れる上端側では、上端に近いほど互いに離れるように広がっていることを特徴とする請求項1に記載のネイルカバー。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記つまみ部から後方側の主体部が前記つまみ部の前方側に位置する先端部よりも前記先細りテーパ形状が緩くなっており、かつ、前記つまみ部側である上側内面の湾曲度合が、指先の側面に接触する下側内面の湾曲度合よりも緩やかで平坦に近いことを特徴とする請求項
1または2に記載のネイルカバー。
【請求項4】
指先に装着された状態で、前記カバー部材
は、前記左右の端縁部が指先の指腹側を露出させるよう離間することを特徴とする請求項
1ないし3のいずれか一項に記載のネイルカバー。
【請求項5】
前記カバー部材は、内面が略円筒状および略角筒状のうちのいずれか一方の形状であり、外面が略円筒状および略角筒状のうちのいずれか一方の形状であることを特徴とする請求項1
ないし4のいずれか
一項に記載のネイルカバー。
【請求項6】
前記カバー部材は、弾性体によって略筒状に形成され、指先に装着した状態において指腹側に全長にわたる切欠きが形成され、
前記付勢手段は、前記カバー部材自身の弾性によるものであり、弾性変形により前記カバー部材が開閉可能であることを特徴とする請求項1に記載のネイルカバー。
【請求項7】
指先に装着された状態で、前記カバー部材における前記切欠きを挟んだ
左右の端縁部の間で指腹が
露出することを特徴とする請求項6に記載のネイルカバー。
【請求項8】
前記左右のつまみ部が、前記ヒンジ部より前記左右の端縁部に近い基端側では、前記カバー部材の外周面上の所定位置から立ち上がって互いに面対向する一方、前記ヒンジ部より前記左右の端縁部から離れる上端側では、上端に近いほど互いに離れるように広がっていることを特徴とする請求項6または7に記載のネイルカバー。
【請求項9】
前記複数の凸部の間に複数の凹部が形成されており、
前記凹部は、前記カバー部材の周方向および周方向に交差する方向のうちの少なくとも周方向に延びていることを特徴とする請求項1なしい8のいずれか一項に記載のネイルカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指先に装着されるネイルカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
爪に塗着させたマニキュアを除去する際に、除去液を含浸させた綿状体を爪上に保持するネイルカバーが知られている。ネイルカバーで綿状体を保持することで、除去液をマニキュアに浸透させ、この後、綿状体でマニキュアを払拭することにより、マニキュアをクリアに除去することができるものである。この種のネイルカバーとしては、例えば事務用品の指サックのようなゴム製の指先を覆う形態のものが簡素なものとして挙げられる。また、用途として爪に塗着させたマニキュアが乾燥するまで保護するカバーといったものも種々提供されている。例えば、円筒を縦割りに二分割した形態で、一方を指の腹側のカバー部、他方を爪側のカバー部とし、これらカバー部を指先側に設けたヒンジで開閉可能に連結した構成のものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記指サック形式のカバーは、指に隙間なくフィットするため使用中でも指先が使えるものであるが、抜け止め手段がないため、強い摩擦を受けると指から抜ける方向に動き、それに追従して綿状体も動いてしまうおそれがある。また、上記特許文献1に開示されているカバーは、ヒンジとは反対側の端部どうしを結合して装着する構成であるが、確実に抜け止めが達成される構成とは言えず、カバーとともに綿状体が動いてしまう可能性がある。さらに、ヒンジが指先にあってカバーを縦方向に開閉させるため、開閉に要するスペースが比較的大きく、このため、使い勝手に劣るとともにコンパクトな使用感を得にくいというものであった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、指への装着状態が動くことなく安定し、使い勝手に優れるとともにコンパクトな使用感を得ることができるネイルカバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のネイルカバーは、所定の除去液を含浸させた除去液含浸部材を爪上に保持させるネイルカバーであって、指先に装着する際に指先の側方へ開閉可能に構成され、その内部に爪を含む指先が入り得る空間が形成されるカバー部材と、前記カバー部材を閉じる方向に付勢する付勢手段と、前記カバー部材を開かせるためのつまみ部と、を備え、前記つまみ部を指先の爪側に配した状態で、該つまみ部により前記カバー部材を開閉操作することで指先に着脱可能に装着され、その装着状態で、前記除去液含浸部材を爪に接触させて保持することを特徴とする。
【0007】
本発明のネイルカバーは、つまみ部を操作して開かせたカバー部材を指先に上側(爪側)から被せ、次いで開いた状態を解除すると、付勢部材によりカバー部材が閉じる方向に動いて指先を弾性的に把持し、これにより指先に装着される。また、つまみ部を操作してカバー部材を開き、上方(爪の表面から離れる方向)に離すことにより、指先から外すことができる。爪に塗着させたマニキュアを除去する際には、除去液を含浸させた綿状体を爪に被せ、上記のようにして本ネイルカバーを指先に装着することで綿状体を挟んで保持する。これにより綿状体はマニキュアに押し付けられた状態で爪上に保持され、その間、除去液をマニキュアに浸透させることができる。
【0008】
本発明のネイルカバーによれば、付勢部材により装着状態が保持されるため、本ネイルカバーが物に接触したり摩擦を受けたりしても指先から抜けたり外れたりすることが起こりにくい。このため、指先への装着状態が安定し、上記のように綿状体を挟んだ場合、綿状体が移動することが抑えられる。また、指先に装着する際に指先の側方へ開閉可能に構成されるため、カバー部材の開閉のためのスペースは上記のように縦方向に開閉する従来のものに比べ小さい。また、つまみ部を操作することで手軽にカバー部材の開閉を行うことができる。これらにより、使い勝手に優れるとともにコンパクトな使用感を得ることができる。さらに、つまみ部が指の側面側ではなく爪側に配されて装着されることにより、つまみ部が隣の指に干渉せず、違和感が生じにくい。
【0009】
本発明のネイルカバーは、前記カバー部材が、略筒状に組み合わせられ、対向する周方向端部のうちの一方側に設けられたヒンジを介して開放可能に支持される左右一対の部材で構成されることを特徴とする。本発明のネイルカバーによれば、略筒状のカバー部材の周方向一端部どうしをヒンジで結合して開閉する構造であるため、カバー部材の開閉のためのスペースは上記のように縦方向に開閉する従来のものに比べ小さいものとすることができる。
【0010】
また、本発明のネイルカバーは、前記付勢手段は、弾性変形することで前記カバー部材を構成する左右一対の部材を開閉可能に支持する構成であり、前記ヒンジは、該付勢手段で構成されることを特徴とする。本発明のネイルカバーは、ヒンジが付勢手段の機能も果たすため、ヒンジと付勢手段と設けるものに比べてよりコンパクトな構造を実現することができる。
【0011】
本発明のネイルカバーは、指先に装着された状態で、開閉動作により離接する前記カバー部材の端縁の間で指腹が露出可能となる形態を含む。この形態によれば、本ネイルカバーを装着したまま、露出する指腹で、タブレット端末やスマートフォン等の電子端末機器のタッチパネルを操作することができる。
【0012】
本発明のネイルカバーは、前記カバー部材が、内面が略円筒状および略角筒状のうちのいずれか一方の形状であり、外面が略円筒状および略角筒状のうちのいずれか一方の形状であることを特徴とする。この構成によれば、一対のガイド部材が種々の形状で組み合わせられた多様な構造でかつコンパクトなネイルカバーを提供することが可能になる。
【0013】
本発明のネイルカバーは、前記カバー部材が、弾性体によって略筒状に形成され、指先に装着した状態において指腹側に全長にわたる切欠きが形成され、前記付勢手段は、前記カバー部材自身の弾性によるものであり、弾性変形により前記カバー部材が開閉可能である形態を含む。この形態によれば、カバー部材を閉じる方向に付勢する部材が不要となり、付勢手段を別体で設けるものに比べてよりコンパクトかつ軽量な構造が実現できる。
【0014】
このネイルカバーにおいて、指先に装着された状態で、前記カバー部材における前記切欠きを挟んだ両側の端縁の間で指腹が露出可能となる形態としてもよい。この形態によれば、本ネイルカバーを装着したまま、露出する指腹で、タブレット端末やスマートフォン等の電子端末機器のタッチパネルを操作することができる。
【0015】
また、本発明のネイルカバーは、前記カバー部材の内面に凹部または凸部が形成されている形態を含む。この形態によれば、凹部または凸部が上記綿状体に係合して滑り止めとなり、綿状体をより確実に保持することができる。この場合の凹部または凸部の形態としては、多数の点状の凹凸を形成したものも挙げられる。また、前記凹部としては、前記カバー部材の周方向および周方向に交差する方向のうちの少なくともいずれか一方の方向に延びる複数の溝が挙げられる。また、前記凸部としては、前記カバー部材の周方向および周方向に交差する方向のうちの少なくともいずれか一方の方向に延びる複数の凸条が挙げられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、指への装着状態が動くことなく安定し、使い勝手に優れるとともにコンパクトな使用感を得ることができるネイルカバーが提供されるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るネイルカバーの斜視図であって、(A):閉じた状態、(B):開いた状態を示す。
【
図2】第1の実施形態に係るネイルカバーが閉じた状態の(A):平面図、(B):(A)のB-B断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係るネイルカバーが開いた状態の(A):内面図、(B):外面図である。
【
図4】第1の実施形態に係るネイルカバーの使用状態の斜視図である。
【
図5】第1の実施形態に係るネイルカバーの使用状態を指先側から見た場合の正面図である。
【
図6】第1の実施形態に係るネイルカバーの使用状態を下側から見た場合の斜視図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係るネイルカバーの斜視図であって、(A):閉じた状態、(B):開いた状態を示す。
【
図8】第2の実施形態に係るネイルカバーの使用状態の斜視図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態に係るネイルカバーの斜視図であって、(A):閉じた状態、(B):開いた状態を示す。
【
図10】第3の実施形態に係るネイルカバーの使用状態の斜視図である。
【
図11】本発明の第4の実施形態に係るネイルカバーの斜視図であって、(A):閉じた状態、(B):開いた状態を示す。
【
図12】第4の実施形態に係るネイルカバーの使用状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
[1]構成
図1~
図3は本発明の第1の実施形態に係るネイルカバー100を示しており、
図4~
図6はネイルカバーを使用している状態を示している。ネイルカバー100は、概ね左右対称の形状とされた一対の半円筒状のカバー部材1A、1Bがヒンジ2
(ヒンジ部)を介して開閉可能に支持されたクリップ状のもので、一対のつまみ部3を指で操作することにより左右方向(
図1(B):矢印L-R方向)に開閉させることができるようになっている。
図1(A)、(B)は、それぞれネイルカバー100が閉じた状態、開いた状態を示している。ネイルカバー100は、ヒンジ2が備える
ばね22(付勢手段)の作用で通常は略円筒状に閉じるように組み合わされる。
【0019】
図1(A)の矢印F-Bはネイルカバー100内の中心を通る線と平行な方向を示し、指先に装着された状態においてFが前方(指先方向)、Bが後方を指している。以下で言う前後方向は当該矢印方向に基づく。また、以下で言う上下方向は、爪を上に向けてネイルカバー100を装着した状態における上下方向を言う(
図4参照)。
【0020】
閉じた状態で対向するカバー部材1A、1Bの周方向端部のうちの上側の端部付近の外周面には、つまみ部3が形成されている。また、これらつまみ部3の対向面には、ヒンジ片21a、21bがそれぞれ形成されている(ここでは、カバー部材1A側をヒンジ片21a、カバー部材1B側をヒンジ片21bとする)。双方のつまみ部3およびヒンジ片21a、21bは、相手側のカバー部材1A(1B)と一対の状態で前後方向の中央部に形成されている。
【0021】
図3(A)、(B)は、開いたネイルカバー100の内周面側、外周面側をそれぞれ示しており、同図に示すようにカバー部材1A、1Bは前方(
図3で上方)に向かうにしたがい先細りとなるテーパ状に形成されている。この場合、テーパの度合が前後で変化しており、つまみ部3より後方が比較的緩いテーパの主体部15となっており、つまみ部3より前方の先端部16が後方よりもテーパの度合が比較的強くなっている。
【0022】
また、カバー部材1A、1Bは、
図2(B)に示すように、指先に違和感なくフィットするように、つまみ部3側である上側
(上側内面)の湾曲度合が緩やかで平坦に近く、指先の側面に接触する下側
(下側内面)は上側よりも湾曲度合が若干強く形成されている。
【0023】
つまみ部3とヒンジ片21a、21bが形成された上側の周方向端部の縁11
(ストッパ縁部)は、カバー部材1A、1Bが閉じると互いに当接する。換言すると、その縁11どうしがストッパとなってそれ以上は閉じないようになっている。その閉状態では、
図2(B)に示すように他方側(下側)の周方向端部の縁12
(左右の端縁部)は当接せず間が空くようになっており、縁12は開閉動作により離れたり接近したりする。
【0024】
つまみ部3は面方向が前後方向に沿った側面視矩形板状で、上記縁11からやや離れた位置の外周面から羽根状に立ち上がっている。各つまみ部3は、根元から高さの半分程度までは互いに平行で、途中から互いに離れて広がる形状となっている。また、つまみ部3は、
図5に示すように、隣り合う指にネイルカバー100を装着した場合において隣の指やネイルカバー100に干渉せず、隣り合うカバー部材1A、1Bが接触することを妨げない形状および寸法となっている。
【0025】
ヒンジ片21a、21bは、1つのカバー部材1A(1B)につき前後方向に間隔をあけて一対ずつ形成されている。ヒンジ片21a、21bは、面方向が左右方向に沿った板状片であり、中心付近に軸孔(図示略)が形成されている。ヒンジ片21a、21bは、相手側のカバー部材1A(1B)に向かって縁11から突出している。この場合、
図2に示すように、一方(
図2で左側)のカバー部材1Aのヒンジ片21aの前後の間隔は、他方(
図2で右側)のカバー部材1Bのヒンジ片21bの前後の間隔より広く、前後にオフセットされている。そして、左側の前後のヒンジ片21aの間に右側のヒンジ片21bが互いに摺動可能に挿入されている。
【0026】
左右のヒンジ片21a、21bの軸孔にはピン23が貫通され、ピン23を軸にカバー部材1A、1Bが回動可能となっている。ピン23およびヒンジ片21a、21b(ヒンジ部材)によってヒンジ2が構成されている。そして、ばね22によりカバー部材1A、1Bは閉じる方向に付勢されている。ばね22は、コイル部221と2つの腕部222を有する一般的なねじりコイルばねであって、ヒンジ片21bの間に配されたコイル部221にピン23が挿通されることで支持され、腕部222が左右のつまみ部3の内側の面に弾性的に当接している。
【0027】
図3(A)に示すように、カバー部材1A、1Bの内面上部であって先端部16および先端部16から主体部15にわたる部分には、左右方向に延びる複数の凸条(凸部)13が等間隔をおいて形成されている。凸条13は、縁11の近傍の一端部がその縁11に沿って揃っている。そして、カバー部材1A、1Bのテーパ形状に追従するように、前から後に向かうにしたがって長さがしだいに長くなっている。
【0028】
以上が第1の実施形態のネイルカバー100の構成である。カバー部材1A、1Bの材質は任意であるが、例えば樹脂を射出成形したものが挙げられ、また、その樹脂が半透明のものも用いられる。
【0029】
[2]使用方法
上記ネイルカバー100は、爪に塗着させたマニキュアを除去する際に、次のようにして使用される。
【0030】
図4は指先にネイルカバー100を装着した使用状態を示しており、同図で符号Cは、爪に塗着させたマニキュアの除去液を含浸させたコットン等の綿状体である。ネイルカバー100を使用するにあたっては、
図4に示すように予めその綿状体Cをマニキュアに被せておく。
【0031】
ネイルカバー100を使用するには、まず、左右のつまみ部3を両側から指で挟んで近付けるようにつまむことで、
図1(B)に示すようにカバー部材を左右に開く。そして、先端部16を指先方向に向けて綿状体Cの上から指先にカバー部材1A、1Bを被せ、つまみ部3を離す。カバー部材1A、1Bはばね22によって閉じる方向に動き、指先を弾性的に把持する。以上でネイルカバー100は指先に装着される。綿状体Cはマニキュアに押し付けられて爪上に保持され、除去液がマニキュアに浸透していく。
【0032】
除去液がマニキュアに十分浸透する時間が経過したら、つまみ部3を指で挟んでカバー部材1A、1Bを開き、次いで上方に移動させてネイルカバー100を指先から外す。この後、綿状体Cでマニキュアを払拭して爪からマニキュアを除去する。
【0033】
[3]作用効果
上記ネイルカバー100によれば、ばね22により装着状態が保持されるため、ネイルカバー100が物に接触したり摩擦を受けたりしても指先から抜けたり外れたりすることが起こりにくい。このため、指先への装着状態が安定し、綿状体Cが移動することが抑えられる。
【0034】
また、半円筒状のカバー部材1A、1Bの上側の端部どうしをヒンジ2で結合して開閉する構造であるため、省スペースでネイルカバー100を開閉させることができる。また、つまみ部3を操作することで手軽に開閉を行うことができる。これらにより、使い勝手に優れるとともにコンパクトな使用感を得ることができる。
【0035】
また、ネイルカバー100は、つまみ部3を指の側面側ではなく上側(爪側)に配して装着される。これに加え、
図5に示したように、隣り合う指にネイルカバー100を装着した場合において、つまみ部3は、隣の指やネイルカバー100に干渉せず、隣り合うカバー部材1A、1Bが接触することを妨げない形状および寸法となっている。このため、つまみ部3が隣の指に干渉せず、違和感が生じにくい。
【0036】
また、ネイルカバー100が閉じた通常状態では上記のように下側の縁12は当接せず、間が空くようになっている。このため指先に装着した状態では、
図5および
図6に示すように左右の縁12の間は大きく空き、指腹が露出する。このため、ネイルカバー100を装着したまま、露出する指腹で、タブレット端末やスマートフォン等の電子端末機器のタッチパネルを操作することができる。
【0037】
また、カバー部材1A、1Bの内面に形成された複数の凸条13は、綿状体Cに係合して滑り止めとなり、このため、綿状体Cをより確実に保持することができる。
【0038】
また、ネイルカバー100は全体的に先細りのテーパ状に形成されているため、指先の太さに応じて装着位置を前後方向に変えることにより、常に適切な弾性力を受けた状態で指先に装着することができる。すなわち、比較的細い指先の場合には後側に装着し、比較的太い指先の場合には前側に装着するという使用方法が採られる。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係るネイルカバー100Aについて
図7及び
図8を参照して説明する。
図7及び
図8において、第1の実施形態に係るネイルカバー100と同様の構成要素には同一の符号を付している。
【0040】
[1]構成
図7及び
図8に示すように、ネイルカバー100Aは、一対のカバー部材1C、1Dと、カバー部材1C、1Dを閉じる方向に付勢する付勢部材5と、カバー部材1C、1Dを開かせるためのつまみ部3と、を有している。
【0041】
ネイルカバー100Aは、カバー部材1C、1Dが、略筒状に組み合わせられ、対向する周方向端部のうちの一方側に設けられたヒンジ(ヒンジ部)を介して開放可能に支持される左右一対の部材で構成されることは第1の実施形態に係るネイルカバー100と同様である。但し、ネイルカバー100Aにおいては、ヒンジは付勢手段(付勢部材5)により構成されている。
【0042】
具体的に、一対のカバー部材1C、1Dは、概ね左右対称なそれぞれ略角筒状の形状であって、互いに組み合わせた際に対向するそれぞれの内面が略半円筒形状に削られた形状をしている。つまり、ネイルカバー100Aは、一対のカバー部材1C、1Dが、内面が略円筒形状であり、外面が略角筒状の形状のものである。一対のカバー部材1C、1Dは、この例に限らず、内面が略円筒状および略角筒状のうちのいずれか一方の形状であり、外面が略円筒状および略角筒状のうちのいずれか一方の形状のものとすることができる。
【0043】
つまみ部3は、一対のカバー部材1C、1Dのいずれか一方の上面に設けられ、該上面から鉛直方向に延びて立設され、徐々に外方に向かって開く形態の舌片状の部材により構成されている。つまみ部3の形状は、これに限らず、様々な形状とし得るものである。
【0044】
付勢部材5は、ネイルカバー100Aを指先に装着した際に、指の延びる方向と略平行な中心軸を有する筒状(チューブ状)の弾性体部材により構成される。付勢部材5は、周方向へ弾性変形可能なものであり、当該弾性変形を行い易くするため、上記中心軸に沿って外周全体にわたるスリット5aが形成されている。付勢部材5は、その外周上の互いに反対側の2箇所、つまり上記中心軸を挟む対向する2カ所で一対のつまみ部3の何れか一方の側面に固着されている。これにより、付勢部材5は、一対のつまみ部3がそれぞれの上面に固着された一対のカバー部材1C、1Dを、指の延びる方向と直交する方向(指の側方)に開閉可能に支持するようになっている。
【0045】
付勢部材5は、上述した周方向へ弾性変形可能な構造により、例えば、
図7(A)に示す通常状態では、スリット5aが最大に開くように弾性変形することで一対のカバー部材1C、1Dが上方側では縁11の間が互いに近接し、下側では縁12の間が開いた状態となるようにカバー部材1C、1Dを支持している。また、付勢部材5は、左右のつまみ部3を互いに近づく方向につまむ操作を行った際には、
図7(B)に示すように、スリット5aが閉じるように
弾性変形することで一対のカバー部材1C、1Dが上方側では互いに近接しつつ、下方側において両者が指先を挿入可能な幅に達するまで開いた状態となるようにカバー部材1C、1Dを支持可能である。
【0046】
上述したカバー部材1C、1Dの開閉に際し、付勢部材5は、例えば、左右のつまみ部3を互いに近づく方向につまむ操作に合わせて周方向に弾性変形して一対のカバー部材1C、1Dの
図7(B)に示す状態での開放を可能にする。一方で、付勢部材5は、
図7(B)に示すカバー部材1C、1Dが開放されている状態でつまみ部3から指を離すことで、上述した弾性変形の状態から戻ろうとする弾性力によって周方向に変形し、カバー部材1C、1Dの
図7(A)に示すカバー部材1C、1Dが閉じられた通常状態への復帰を可能とする。
【0047】
このように、付勢部材5は、一対のカバー部材1C、1Dを閉じる方向に付勢可能なものであり、本発明における付勢手段(弾性部材)およびヒンジを構成する。ヒンジの機能を兼ねる当該付勢手段としては、外周上の互いに反対側の2箇所でカバー部材1C、1Dのいずれか一方に固定され、弾性変形によって当該カバー部材1C、1Dを開閉可能に支持する構造を有するものであればよく、例えば、第1の実施形態に係るばね22(
図2参照)や板ばね等、各種のばね部材を用いることもできる。要するに、本実施形態において、ヒンジ構造は、ばねであってもプラスチック製の弾性体であってもよい。
【0048】
ネイルカバー100Aにおいて、一対のカバー部材1C、1Dの両者が閉じたとき(
図7(A)参照)に形成される略円筒状の空間は、爪を含む指先が入り得る空間であるが、その周方向のサイズが指先の周方向サイズより小さいサイズとなっている。すなわち、ネイルカバー100Aにおいては、第1の実施形態に係るネイルカバー100と同様、指先に装着された状態(
図8参照)でつまみ部3の開閉動作により離接するカバー部材1C、1Dの縁12の間で指腹が露出可能となるように離間するよう設定されている。
【0049】
また、ネイルカバー100Aは、一対のカバー部材1C、1Dの内面に凹部または凸部が形成されている。これら凹部または凸部の形態としては、第1の実施形態に係るネイルカバー100と同様の複数の凸条(凸部)13を設ける構成であってもよい。カバー部材1C、1Dの材質も、第1の実施形態とのものと同様、例えば樹脂を射出成形したものや、その樹脂が半透明のものを用いることができる。
【0050】
[2]使用方法
本実施形態に係るネイルカバー100Aは、通常状態では、下側の縁12の間が空くようにカバー部材1C、1Dが閉じた状態(
図7(A)参照)であり、この状態から左右のつまみ部3を両側から指で挟んで近付けるようにつまむことで、カバー部材1C、1Dを左右に開くことができる(
図7(B)参照)。
【0051】
ネイルカバー100Aを使用するにあたっては、マニキュアの除去液を含侵させた綿状体Cを、爪に塗着させたマニキュアに予め被せておく。そのうえで、左右のつまみ部3を両側からつまんで
図7(B)に示すようにカバー部材1C、1Dを左右に開き、この状態で、
図8に示すように先端部16を指先方向に向けて綿状体Cの上から指先にカバー部材1C、1Dを被せ、つまみ部3を離す。これにより、カバー部材1C、1Dは弾性部材の周方向の弾性変形によって閉じる方向に動き、
図8に示すように指先を弾性的に把持する。以上でネイルカバー100Aは指先に装着される。綿状体Cはマニキュアに押し付けられて爪上に保持され、除去液がマニキュアに浸透していく。
【0052】
除去液がマニキュアに十分浸透する時間が経過したら、つまみ部3を指で挟んでカバー部材1C、1Dを開き、次いで上方に移動させてネイルカバー100Aを指先から外す。この後、綿状体Cでマニキュアを払拭して爪からマニキュアを除去する。
【0053】
[3]作用効果
本実施形態に係るネイルカバー100Aは、内部に爪を含む指先が入り得る空間が形成される一対のカバー部材1C、1Dを有する点、カバー部材1C、1Dの上方に設けられ、該カバー部材1C、1Dを閉じる方向に付勢する付勢手段を有する点、指先に装着された状態でカバー部材の縁12の間で指腹が露出可能になる点、カバー部材の内面に凹部または凸部が形成されている点については第1の実施形態に係るネイルカバー100と同様の構成であり、これらの構成により、ネイルカバー100と同等の作用効果を奏することができる。
【0054】
加えて、本実施形態に係るネイルカバー100Aは、カバー部材1C、1Dを指先の側方に開放可能に支持するヒンジが、当該カバー部材1C、1Dを閉じる方向に付勢する付勢手段により構成されるため、付勢手段がヒンジ2とは別体で構成される第1の実施形態に係るネイルカバー100に比べてよりコンパクトな構造とすることができる。
【0055】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係るネイルカバー100Bについて
図9及び
図10を参照して説明する。
図9及び
図10において、ネイルカバー100Bにおける第2の実施形態に係るネイルカバー100Bと同様の構成要素には同一の符号を付している。
【0056】
[1]構成
図9及び
図10に示すように、ネイルカバー100Bは、一対のカバー部材1E、1Fと、カバー部材1E、1Fを閉じる方向に付勢する付勢部材5と、カバー部材1E、1Fを開かせるためのつまみ部3と、を有している。
【0057】
ネイルカバー100Bは、第2の実施形態に係るネイルカバー100Aとはカバー部材1E、1Fの構成のみが異なり、他の構成は同じものである。カバー部材1E、1Fは、略筒状に組み合わせられ、対向する周方向端部のうちの一方側に設けられたヒンジ(ヒンジ部)を介して開放可能に支持される左右一対の部材で構成される。ネイルカバー100Bにおいても、ヒンジは付勢部材5(付勢手段)により構成されている。
【0058】
具体的に、一対のカバー部材1E、1Fは、指先に装着された状態で指の延びる方向に沿った折り曲げ部18により所定の角度で内側に折り曲げられた概ね左右対称の折り曲げ板部材で構成される。一対のカバー部材1E、1Fは、その上面に設けられる左右のつまみ部3を介して、折り曲げ部18の間に爪を含む指先が入り得る空間が形成されるよう組合せられた形態で支持される。すなわち、ネイルカバー100Bは、一対のカバー部材1E、1Fが、内面及び外面の双方が略角筒状の形状を有した構造となっている。
【0059】
付勢部材5は、第2の実施形態でも述べた通り、周方向へ弾性変形可能な構造により、例えば、
図9(A)に示す通常状態では、スリット5aが最大に開くように弾性変形することで一対のカバー部材1E、1Fが上方側では縁11が互いに近接し、下側では縁12の間が開いた状態となるように当該カバー部材1E、1Fを支持している。一方で、付勢部材5は、左右のつまみ部3を互いに近づく方向につまむ操作を行った際には、
図9(B)に示すように、スリット5aが閉じる方向に弾性変形することで一対のカバー部材1E、1Fが上方側では互いに近接しつつ、下方側において両者が指先を挿入可能な幅に達するまで開いた状態となるようにカバー部材1E、1Fを支持することとなる。
【0060】
上述したカバー部材1E、1Fの開閉に際し、付勢部材5は、例えば、左右のつまみ部3を互いに近づく方向につまむ操作に合わせて周方向に弾性変形して一対のカバー部材1E、1Fの
図9(B)に示す状態での開放を可能にする。一方で、付勢部材5は、
図9(B)に示すカバー部材1E、1Fが開放されている状態でつまみ部3から指を離すことで、上述した弾性変形の状態から戻ろうとする弾性力によって周方向に変形し、カバー部材1E、1Fの
図9(A)に示すカバー部材1E、1Fが閉じられた通常状態への復帰を可能とする。
【0061】
このように、付勢部材5は、一対のカバー部材1E、1Fを閉じる方向に付勢可能なものであり、本発明における付勢手段(弾性部材)およびヒンジを構成する。ヒンジの機能を兼ねる当該付勢手段としては、外周上の互いに反対側の2箇所でカバー部材1E、1Fのいずれか一方に固定され、弾性変形によって当該カバー部材1E、1Fを開閉可能に支持する構造を有するものであればよく、例えば、第1の実施形態に係るばね22(
図2参照)や板ばね等、各種のばね部材を用いることもできる。要するに、本実施形態においても、ヒンジ構造はばねであってもプラスチック製の弾性体であってもよい。
【0062】
ネイルカバー100Bにおいては、第2の実施形態に係るネイルカバー100Aと同様、指先に装着された状態(
図10参照)でつまみ部3の開閉動作により離接するカバー部材1E、1Fの縁12の間で指腹が露出可能となるように離間するよう設定されている。また、ネイルカバー100Bは、一対のカバー部材1E、1Fの内面に、例えば、第1及び第2の実施形態と同様の凹部または凸部が形成されている。
【0063】
[2]使用方法
本実施形態に係るネイルカバー100Bを使用するにあたっては、マニキュアの除去液を含侵させた綿状体Cを、爪に塗着させたマニキュアに予め被せておく。そのうえで、
図9(A)に示す閉じた状態から左右のつまみ部3を両側からつまんで
図9(B)に示すようにカバー部材1E、1Fを左右に開き、この状態で、
図10に示すように先端部16を指先方向に向けて綿状体Cの上から指先にカバー部材1E、1Fを被せ、つまみ部3を離す。これにより、カバー部材1E、1Fは付勢部材5によって閉じる方向に動き、
図10に示すように指先を弾性的に把持する。以上でネイルカバー100Bは指先に装着される。綿状体Cはマニキュアに押し付けられて爪上に保持され、除去液がマニキュアに浸透していく。
【0064】
除去液がマニキュアに十分浸透する時間が経過したら、つまみ部3を指で挟んでカバー部材1E、1Fを開き、次いで上方に移動させてネイルカバー100Bを指先から外す。この後、綿状体Cでマニキュアを払拭して爪からマニキュアを除去する。
【0065】
[3]作用効果
本実施形態に係るネイルカバー100Bは、内部に爪を含む指先が入り得る空間が形成される一対のカバー部材1C、1Dを有する点、カバー部材1C、1Dの上方に設けられ、該カバー部材1C、1Dを閉じる方向に付勢する付勢手段を有する点、指先に装着された状態でカバー部材の縁12の間で指腹が露出可能になる点、カバー部材の内面に凹部または凸部が形成されている点については第1の実施形態に係るネイルカバー100と同様の構成であり、これらの構成により、ネイルカバー100と同等の作用効果を奏することができる。
【0066】
本実施形態に係るネイルカバー100Bは、カバー部材1E、1Fを指先の側方に開放可能に支持するヒンジが、当該カバー部材1E、1Fを閉じる方向に付勢する付勢手段により構成されるため、付勢手段がヒンジ2とは別体で構成される第1の実施形態に係るネイルカバー100に比べてよりコンパクトな構造とすることができる。また、カバー部材1E、1Fは、内面および外面が略角筒状で形成されるため、第2の実施形態に係るネイルカバー100Aのように内面が略円筒状で外面が略角筒状のものに比べてより軽量化が可能になる。また、それ以外の作用効果は、第1の実施形態に係るネイルカバー100と同様である。
【0067】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係るネイルカバー100Cについて説明する。本実施形態に係るネイルカバー100Cは、
図9及び
図10に示すように、単体のカバー部材1Gと、カバー部材1Gの両側に取り付けられる左右一対のつまみ部3と、を有している。
【0068】
[1]構成
カバー部材1Gは、弾性体により略筒状に形成され、指先に装着した状態において指腹側に全長にわたる切欠き部19が形成されている。カバー部材1Gは前方(
図11の矢印Fで示す方向)に向かうにしたがい先細りとなるテーパ状に形成されている。カバー部材1G
(ヒンジ部)は、弾
性によって、切欠き部19を挟んだ両側の端縁19a、19b
(左右の端縁部)間の距離が規定の距離より大きくなる状態に開くことができるとともに(
図11(B)参照)、上記距離が既定の距離となるように復帰させることが可能となっている(
図11(A)参照)。
【0069】
つまみ部3は、カバー部材1Gの開閉を行うための操作部として設けられる。つまみ部3は、直線辺31を有する半円形状の薄板部材で構成される。つまみ部3は、直線辺31が、カバー部材1Gにおける切欠き部19を挟んだ両側の端縁19a、19bに沿うように当該カバー部材1Gの左右両側面に取り付けられている。左右一対のつまみ部3は、両者を近づく方向につまむ操作を行うことによりカバー部材1Gを
図7(B)に示す状態に開かせる一方で、両者から指を離すことによりカバー部材1Gを
図7(A)に示す状態に閉じることを可能としている。
【0070】
このように、本実施形態に係るネイルカバー100Cは、カバー部材1Gの弾性変形により、切欠き部19を挟んだ両側の端縁19a、19bの間の距離が変化するよう開閉可能な構造を有する。この構造においては、カバー部材1Gを閉じる方向に付勢する付勢手段は、カバー部材1Gの弾性により実現されることとなる。
【0071】
ネイルカバー100Cにおいては、指先に装着された状態(
図12参照)でカバー部材1Gの切欠き部19を挟んだ縁12の間で指腹が露出可能となるように離間するよう設定されている。また、ネイルカバー100Cにおいても、カバー部材1Gの内面に、例えば、端縁19a、19bの近接部分に第1及び第2の実施形態と同様の凹部または凸部が形成されている構成としてもよい。
【0072】
ネイルカバー100Cにおいては、カバー部材1Gは、
図11に示すようなテーパの度合いが一定のものに限らず、例えば、先端部16から後端部17にかけてテーパの度合が前後で変化したものであってもよい。例えば、カバー部材1Gは、つまみ部3より後方が比較的緩いテーパの主体部を構成し、つまみ部3より前方の先端部16が後方よりもテーパの度合が比較的強くなっているものであってもよい。また、つまみ部3は、
図11に示すようにカバー部材1Gの両側面に取り付けるものに限らず、極力、カバー部材1Gの鉛直方向上方に外周位置に設けるようにしてもよい。
【0073】
[2]使用方法
本実施形態に係るネイルカバー100Cを使用するにあたっては、マニキュアの除去液を含侵させた綿状体Cを、爪に塗着させたマニキュアに予め被せておく。そのうえで、
図11(A)に示す閉じた状態から左右のつまみ部3を両側からつまんで
図11(B)に示すようにカバー部材1Gを切欠き部19の端縁19a、19b間の距離が大きくなるように開かせ、その状態で、
図12に示すように先端部16を指先方向に向けて綿状体Cの上から指先にカバー部材1E、1Fを被せ、つまみ部3を離す。これにより、カバー部材1Gは自身の弾性力により端縁19a、19b間の距離が小さくなる方向に動き、
図12に示すように指先を弾性的に把持する。以上でネイルカバー100Cは指先に装着される。綿状体Cはマニキュアに押し付けられて爪上に保持され、除去液がマニキュアに浸透していく。
【0074】
除去液がマニキュアに十分浸透する時間が経過したら、つまみ部3を指で挟んでカバー部材1Gを開き、次いで上方に移動させてネイルカバー100Cを指先から外す。この後、綿状体Cでマニキュアを払拭して爪からマニキュアを除去する。
【0075】
[3]作用効果
本実施形態に係るネイルカバー100Cは、内部に爪を含む指先が入り得る空間が形成されるカバー部材1Gを有する点、カバー部材1Gを閉じる方向に付勢する付勢手段を有する点、指先に装着された状態でカバー部材1Gの隙間(切欠き部19)を通して指腹が露出可能になる点、カバー部材の内面に凹部または凸部が形成されている点については第1の実施形態に係るネイルカバー100と同様の構成であり、これらの構成により、ネイルカバー100と同等の作用効果を奏することができる。
【0076】
これに加え、本実施形態に係るネイルカバー100Cは、カバー部材1Gが単体で構成され、かつ、カバー部材1Eを閉じる方向に付勢する付勢手段はカバー部材1G自身の弾性によるものであることを特徴としている。これにより、ネイルカバー100Cは、付勢手段がヒンジ2、付勢用チューブ等の弾性部材(付勢部材5)で構成されているものに比べてよりコンパクトかつ軽量な構造を実現することができる。
【0077】
(他の実施形態)
本発明では、第1の実施形態で説明したように、綿状体Cの滑り止めとしてカバー部材1A、1Bの内面に凹部または凸部が形成されている形態を含み、上記実施形態では凸部として複数の凸条13が形成されている。凸部の形態としては凸条13に限定されず、多数の点状の凸部であってもよい。また、凹部としては、多数の点状の凹部や複数の溝が挙げられる。上記凸条13は、カバー部材1A、1Bの周方向(左右方向)に沿って延びているが、周方向に交差する方向に延びていてもよい。また、複数の溝の場合も、カバー部材1A、1Bの周方向または周方向に交差する方向に延びる形態のいずれでもよい。さらに複数の凸条および溝は、周方向と周方向に交差する方向の両方に延びる格子状に形成されていてもよい。このような変形が可能であることは第2から第4の実施形態においても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、ネイルカバーとして好適に利用される。
【符号の説明】
【0079】
100、100A、100B、100C ネイルカバー
1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G カバー部材
2 ヒンジ(ヒンジ部)
3 つまみ部
5 付勢部材(付勢手段、ヒンジ部、弾性部材)
5a スリット
11 周方向端部の縁(上側ストッパ縁部)
12 周方向端部の縁(左右の端縁部)
13 凸条(凸部)
15 主体部
19 切欠き部
19a、19b 端縁(左右の端縁部)
21a、21b ヒンジ片(ヒンジ部材)
22 ばね(付勢手段)
23 ピン(ヒンジ部材)