(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】液体塗布ユニットおよび塗布装置
(51)【国際特許分類】
B05C 1/02 20060101AFI20220516BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20220516BHJP
B01F 35/00 20220101ALI20220516BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20220516BHJP
【FI】
B05C1/02 101
B05C11/10
B01F15/00 B
B01F15/00 C
B01F15/02 C
(21)【出願番号】P 2018168068
(22)【出願日】2018-09-07
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 透
(72)【発明者】
【氏名】艾 東克隆
(72)【発明者】
【氏名】山中 昭浩
【審査官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-055286(JP,A)
【文献】特開2008-307455(JP,A)
【文献】特開2008-126208(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1678407(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/02
B05C 11/10
B01F 35/00
B01F 35/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗布物に液体材料を塗布すべく延在方向に沿って駆動可能な塗布針と、
内壁面に囲まれた領域に前記液体材料を収納し、前記塗布針を前記液体材料に浸漬させる塗布液容器と、
前記塗布液容器内の前記液体材料を撹拌すべく前記延在方向周りに回転可能な撹拌子とを備え、
前記塗布液容器の最下部には、前記塗布針を突出させる容器貫通孔が形成されており、かつ前記塗布液容器の最上部には、前記撹拌子を嵌合させる容器開口部が形成されており、
前記塗布液容器は、前記塗布針の前記延在方向に交差する水平方向に沿って移動可能であり、
前記撹拌子は、前記延在方向に関する前記容器貫通孔側に形成された、前記延在方向に沿って延びる羽根部と、前記羽根部よりも前記延在方向に関する前記容器開口部側に形成された、前記羽根部よりも前記水平方向に沿う寸法が大きい案内構造部とを含み、
前記撹拌子は、前記塗布針を前記延在方向に貫通させる撹拌子貫通孔が形成され、前記撹拌子貫通孔は前記容器貫通孔に通じることが可能な位置に配置される、液体塗布ユニット。
【請求項2】
前記撹拌子の前記羽根部の第1中心軸と、前記塗布針の第2中心軸とは同軸であり、
前記塗布液容器の前記容器貫通孔の第3中心軸と、前記塗布液容器の前記容器開口部の第4中心軸とは同軸である、請求項1に記載の液体塗布ユニット。
【請求項3】
前記第1中心軸と、前記第2中心軸と、前記第3中心軸と、前記第4中心軸とは、互いに同軸である、請求項2に記載の液体塗布ユニット。
【請求項4】
前記容器開口部には、前記塗布針の前記延在方向および前記水平方向に対して傾斜した傾斜面が形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の液体塗布ユニット。
【請求項5】
前記案内構造部は前記延在方向に沿って延びる円筒形状である、請求項1~4のいずれか1項に記載の液体塗布ユニット。
【請求項6】
前記撹拌子の回転を支持するベース体をさらに備え、
前記塗布液容器は、前記ベース体との間で、磁力により前記水平方向に沿って移動可能に接続されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の液体塗布ユニット。
【請求項7】
前記撹拌子には、前記撹拌子に回転力を伝達する動力伝達部材が含まれる、請求項1~6のいずれか1項に記載の液体塗布ユニット。
【請求項8】
前記撹拌子の前記案内構造部の表面には、前記案内構造部よりも摩擦係数の低い低摩擦係数部が設けられている、請求項1~7のいずれか1項に記載の液体塗布ユニット。
【請求項9】
前記撹拌子の前記案内構造部は、前記水平方向に関する外側に突出する曲面部を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の液体塗布ユニット。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の
液体塗布ユニットと、
前記塗布針により前記液体材料を塗布される前記被塗布物を保持する保持台とを備える、塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体塗布ユニットおよび塗布装置に関し、特に、塗布針を用いて被塗布物に液体材料を塗布する液体塗布ユニット、および当該液体塗布ユニットを含む塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Rapid Frequency Identifier)タグなどの微細な回路を印刷(塗布)方式で描画するプリンテッドエレクトロニクス技術が急速に発展してきている。微細な回路のパターンおよび電極パターンを形成する方式としては、印刷方式およびインクジェット方式などが一般的である。しかし微細な回路のパターンおよび電極パターンを形成する方式としては、塗布針を用いた方式も注目されている。塗布針を用いた方式によれば、広範囲の粘度の材料を用いて微細な塗布ができるためである。塗布針を用いて液体材料の微細な塗布を行なう方法は、たとえば特開2007-268353号公報(特許文献1)および特開2015-112576号公報(特許文献2)に開示されている。これらの各文献においては、塗布液容器内に塗布針が浸漬されている。塗布液容器の最下部の容器貫通孔から塗布針が突出することで、塗布針の先端部に付着した液体材料が被塗布物に塗布される。
【0003】
しかし塗布を行なう液体材料が導電性粉体を含有した導電性液体材料である場合、または導電性粉体にその他の粉体もしくは粒子等が混合された液体材料である場合には、時間の経過により混合物が沈殿しやすくなる場合がある。そこでこのような場合に、塗布液容器内の液体材料を撹拌する方法として、羽根状部材を含む撹拌子を塗布液容器内に挿入し、モータまたは圧縮空気等で外部より撹拌子を回転駆動させて行う撹拌方法は一般的によく知られている。たとえば特開2005-120956号公報(特許文献3)には、塗布液容器内に撹拌子を設置し、塗布液容器内に貯留された液体材料を撹拌することにより当該液体材料を均一に保つ方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-268353号公報
【文献】特開2015-112576号公報
【文献】特開2005-120956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
塗布液容器の最下部の容器貫通孔から塗布針を突出させることによる塗布方式においては、容器貫通孔と塗布針とが位置ずれしないように考慮することが重要となる。特開2007-268353号公報および特開2015-112576号公報のように塗布液容器内に撹拌子がなく、塗布針のみが貫通する構成においては、塗布針を容器貫通孔に容易に位置合わせすることができる。しかし特開2005-120956号公報のように塗布液容器内に撹拌子を有する構成においては、撹拌子が挿入された状態で、塗布液容器の容器開口部側から容器貫通孔を視認することは困難である。撹拌子が容器貫通孔を上方から隠すように配置されるためである。また精密な位置合わせ方法について、特開2005-120956号公報においては特段の配慮がなされていない。
【0006】
本発明は以上の課題に鑑みなされたものである。その目的は、塗布液容器内の液体材料用の撹拌子を有する構成において、塗布針を塗布液容器の容器貫通孔に対して精密に位置合わせ可能とする、液体塗布ユニットおよび塗布装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る液体塗布ユニットは、塗布針と、塗布液容器と、撹拌子とを備える。塗布針は、被塗布物に液体材料を塗布すべく延在方向に沿って駆動可能である。塗布液容器は、内壁面に囲まれた領域に液体材料を収納し、塗布針を液体材料に浸漬させる。撹拌子は、塗布液容器内の液体材料を撹拌すべく延在方向周りに回転可能である。塗布液容器の最下部には、塗布針を突出させる容器貫通孔が形成されており、かつ塗布液容器の最上部には、撹拌子を嵌合させる容器開口部が形成されている。塗布液容器は、塗布針の延在方向に交差する水平方向に沿って移動可能である。撹拌子は、延在方向に関する容器貫通孔側に形成された、延在方向に沿って延びる羽根部と、羽根部よりも延在方向に関する容器開口部側に形成された、羽根部よりも水平方向に沿う寸法が大きい案内構造部とを含む。撹拌子は、塗布針を延在方向に貫通させる撹拌子貫通孔が形成され、撹拌子貫通孔は容器貫通孔に通じることが可能な位置に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、塗布液容器が水平方向に沿って移動可能である。このため塗布液容器を移動させることにより、塗布針を確実に、塗布液容器の容器貫通孔に対して精密に位置合わせすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に従った塗布装置の模式図である。
【
図2】実施の形態1における、
図1に示した塗布装置に含まれる液体塗布ユニットを示す模式図である。
【
図3】
図2中の点線で囲まれた領域IIIの構成をより詳細に示す概略拡大断面図である。
【
図4】
図2中の撹拌子の部分を中心に点線で囲まれた領域IV,Vの概略拡大断面図である。
【
図5】
図4の撹拌子をZ方向負側からZ方向正側に向けて平面視した態様を示す概略正面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る液体材料塗布方法を示す概略断面図である。
【
図7】比較例における液体塗布ユニットへの塗布液容器の取り付けの第1工程を示す模式図である。
【
図8】比較例における液体塗布ユニットへの塗布液容器の取り付けの第2工程を示す模式図である。
【
図9】本実施の形態における液体塗布ユニットへの塗布液容器の取り付けの第1工程を示す模式図である。
【
図10】本実施の形態における液体塗布ユニットへの塗布液容器の取り付けの第2工程を示す模式図である。
【
図11】実施の形態2における、
図1に示した塗布装置に含まれる液体塗布ユニットを示す模式図である。
【
図12】実施の形態3における、
図1に示した塗布装置に含まれる液体塗布ユニットを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に従った塗布装置の模式図である。
図1を用いて、本実施形態に従った塗布装置を説明する。なお、説明の便宜のため、X方向、Y方向、Z方向が導入されている。
図1を参照して、本発明の実施形態である塗布装置は、処理室と、当該処理室の内部に配置されたY軸テーブル2と、X軸テーブル1と、Z軸テーブル3と、液体塗布ユニット4と、観察光学系6と、当該観察光学系6に接続されたCCDカメラ7と、制御部とを主に備えている。制御部は、モニタ9と、制御用コンピュータ10と、操作パネル8とを含む。
【0011】
処理室の内部においては、当該処理室の底部上にY軸テーブル2が設置されている。このY軸テーブル2は、Y軸方向に移動可能になっている。具体的には、Y軸テーブル2の下面にガイド部が設置されている。当該ガイド部は、処理室の底面に設置されたガイドレールに摺動可能に接続されている。また、Y軸テーブル2の下面にはボールねじが接続されている。当該ボールねじをモータなどの駆動部材により動作させることにより、Y軸テーブル2はガイドレールに沿って(Y軸方向に)移動可能になっている。また、Y軸テーブル2の上部表面上は、処理される対象物である基板5を搭載する搭載面となっている。したがってY軸テーブル2は、液体材料を塗布される被塗布物である基板5を保持する保持台としての機能を有している。
【0012】
Y軸テーブル2上には、X軸テーブル1が設置されている。X軸テーブル1は、Y軸テーブル2をX軸方向に跨ぐように設置された構造体上に配置されている。X軸テーブル1には、Z軸テーブル3が接続された移動体がX軸方向に移動可能に設置されている。移動体は、たとえばボールねじを用いてX軸方向に移動可能となっている。なお、X軸テーブル1は上記構造体を介して処理室の底面に固定されている。そのため、上述したY軸テーブル2は、X軸テーブル1に対してY軸方向に移動可能になっている。
【0013】
X軸テーブル1に接続された移動体には、上述のようにZ軸テーブル3が設置されている。Z軸テーブル3には、観察光学系6および液体塗布ユニット4が接続されている。観察光学系6は塗布される被塗布物である基板5の塗布位置を観察するためのものである。CCDカメラは、観察した画像を電気信号に変換する。Z軸テーブル3は、これらの観察光学系6および液体塗布ユニット4をZ軸方向に移動可能に保持している。
【0014】
これらのY軸テーブル2、X軸テーブル1、Z軸テーブル3、観察光学系6および液体塗布ユニット4を制御するための制御用コンピュータ10および操作パネル8、さらに制御用コンピュータに付随するモニタ9は、処理室の外部に設置されている。モニタ9は、上述したCCDカメラ7で変換された画像データや、制御用コンピュータ10からの出力データを表示する。操作パネル8は、制御用コンピュータ10への指令を入力するために用いられる。
【0015】
図2は、実施の形態1における、
図1に示した塗布装置に含まれる液体塗布ユニットを示す模式図である。
図2を参照して、本実施の形態の液体塗布ユニット4は、モータ41、歯車42、ベース体43を主に有する塗布機構である。その他、液体塗布ユニット4には、実際に塗布作業に寄与する部材として塗布液容器21、塗布針24、撹拌子26、軸受ベース部36、磁石37、強磁性体38および軸受44を有している。
【0016】
塗布針24は、Z方向すなわちほぼ鉛直方向に沿って延在している。塗布針24はベース体43に取り付けられている。塗布針24は、静止するベース体43に対してZ方向に往復運動可能な構成を有している。言い換えれば塗布針24は、延在方向であるZ方向に沿って駆動可能である。このことは
図2中における矢印VTにより示される。塗布針24は、
図2において、Z方向に関する下側が先端部であり、上側が付根部である。
【0017】
塗布液容器21は、塗布針24の付根部よりもZ方向の下方に配置されている。塗布液容器21は後述する内壁面を有している。塗布液容器21は、内壁面により囲まれる領域が空間部分となっている。塗布液容器21は、上記の空間部分に塗布針24の少なくとも一部が貫通するように、塗布針24を収納することができる。
【0018】
撹拌子26は、塗布針24の延在する方向に沿う表面を取り囲むように配置されている。すなわち撹拌子26は、塗布針24の延在するZ方向に沿うように延びている。撹拌子26はその少なくとも一部を、塗布液容器21の内壁面により囲まれる空間部分に収納することができる。したがって撹拌子26はZ方向に沿って延在している。
【0019】
撹拌子26の周囲には軸受ベース部36が配置されている。軸受ベース部36は、たとえばベース体43と一体となっている。この軸受ベース部36と、撹拌子26との間に軸受44が取り付けられている。これにより撹拌子26は、延在方向であるZ方向の軸周りに回転可能である。
【0020】
液体塗布ユニット4を構成するモータ41の回転軸41aは、図中に示されZ方向に沿って延びる中心軸周りに回転する。モータ41の回転軸41aには歯車42が取り付けられている。このため歯車42はモータ41の回転軸41aの回転に合わせて、上記中心軸周りに回転する。この歯車42が撹拌子26の一部分としての歯車と噛み合うように配置されている。このため、歯車42の回転に伴い、撹拌子26はZ方向の軸周りに回転する。すなわち撹拌子26は軸受44によりZ方向の軸周りに回転可能に支持されている。
【0021】
図3は、
図2中の点線で囲まれた領域IIIの構成をより詳細に示す概略拡大断面図である。
図3を参照して、液体塗布ユニット4において、塗布液容器21には内壁面21ifにより囲まれる領域が形成されている。内壁面21ifにより囲まれる領域としての空間部分の内部には、液体材料11が収納されている。この液体材料11は、被塗布物に塗布される材料である。このように液体材料11は、塗布液容器21の内壁面21ifにより形成された収納部分の内部に保持されている。
【0022】
内壁面21ifに囲まれた空間部分に塗布針24が貫通する。このため塗布針24は、液体材料11に浸漬される。
【0023】
塗布液容器21のZ方向に関する最下部には、容器貫通孔21phが形成されている。すなわち容器貫通孔21phは、塗布液容器21のうち、被塗布物である基板5(
図1参照)などが対向する底部に形成されている。この容器貫通孔21ph内を塗布針24がZ方向下方に移動することにより、塗布針24の少なくとも一部を塗布液容器21の最下部よりも下方に突出させることができる。より具体的には、塗布針24は塗布針先端部24ndと、塗布針付根部24gとを有している。塗布針先端部24ndは塗布針付根部24gよりもZ方向の下側に配置されている。塗布針先端部24ndの最下部は、その他の領域に比べて、XY平面に沿う方向の寸法すなわち幅が狭くなるように尖っている。容器貫通孔21ph内を塗布針先端部24ndがZ方向下方に移動することにより、塗布針先端部24ndが塗布液容器21の外側に露出するように突出される。
【0024】
塗布液容器21のZ方向に関する最上部には、容器開口部21opが形成されている。容器開口部21opは、内壁面21ifに囲まれた液体材料11を収納する領域内に、Z方向の上側から撹拌子26を嵌合させるために設けられている。容器開口部21opは、Z方向上側からの当該内壁面21ifに囲まれる空間部分への入口の部分に相当する。このため容器開口部21opは内壁面21ifに連なっている。
【0025】
容器開口部21opの壁面は、内壁面21ifに比べて、平面視におけるサイズが大きい。言い換えれば容器開口部21opの壁面は、内壁面21ifに比べて、XY平面に沿う方向の幅が大きい。容器開口部21opには傾斜面21tpが形成されている。傾斜面21tpは、Z方向上側に向かうにつれて、XY平面に沿う容器開口部21opの寸法が大きくなるように傾斜している。すなわち傾斜面21tpは塗布針24の延在方向(Z方向)および水平方向(XY平面に沿う方向)に対して傾斜した方向に延びている。
【0026】
以上のように、容器開口部21opの壁面は、内壁面21ifに連なっている。さらに内壁面21ifは容器貫通孔21phにも連なっていることが好ましい。ここで容器貫通孔21phは、内壁面21ifに比べて、XY平面に沿う方向の幅が小さいことが好ましい。このようにすれば、表面張力の作用により、塗布液容器21が収納する液体材料11が容器貫通孔21phから下方に漏出することが抑制されるためである。
【0027】
このため内壁面21ifは、Z方向下方に向けてXY平面に沿う方向の幅が小さくなる、傾斜面21tpとは別の他の傾斜面21tを有することがより好ましい。内壁面21ifは、
図3に示すようにZ方向上方においてその幅が狭くならないようにZ方向に沿って延びる第1領域と、当該第1領域よりもZ方向下方の領域において下方に向けて漸次幅が狭くなる他の傾斜面21tとを含むことが好ましい。ただし撹拌子26の形状によっては、内壁面21ifはその全体においてZ方向下方に向けて漸次幅が狭くなる他の傾斜面21tとなっている構成であってもよい。
【0028】
内壁面21ifの最下部(他の傾斜面21tの最下部)は、容器貫通孔21phに連なっている。このため
図3に示すように、Z方向の上側から下側へ、容器開口部21op、内壁面21if(他の傾斜面21t)、および容器貫通孔21phが一続きに連なる構成であることが好ましい。
【0029】
再度
図2および
図3を参照して、塗布液容器21は、塗布針24の延在方向に交差する水平方向すなわちY方向(X方向)に沿って移動可能である。すなわち
図2に示すように、塗布液容器21は図中の矢印HZに示す方向に移動可能である。この移動は、磁石37により可能となっている。すなわち、液体塗布ユニット4には、撹拌子31の回転を支持するベース体43が含まれている。塗布液容器21は、上記ベース体43との間で、磁石37の磁力により水平方向に沿う移動が可能となるように接続されている。より具体的には、たとえば
図2において、ベース体43と、塗布液容器21とは互いに対向している。この互いに対向する部分において、ベース体43には磁石37が、塗布液容器21には強磁性体38が、それぞれ配置されている。ベース体43の磁石37と塗布液容器21の強磁性体38とにより、ベース体43と塗布液容器21とを互いに引き寄せる磁力が発生する。磁石37と強磁性体38との接触界面はXY平面に沿って延びている。これにより塗布液容器21はベース体43の表面に吸着したまま移動することが可能となっている。
【0030】
撹拌子26は、塗布液容器21の内壁面21ifに囲まれる空間部分に少なくともその一部が配置される。撹拌子26は容器開口部21opを入口として下方へ挿入されるように、当該空間部分内に導入される。これにより撹拌子26は、塗布液容器21内の液体材料11にその少なくとも一部が浸漬される。したがって撹拌子26は、塗布液容器21内の液体材料11を撹拌可能である。ここで
図4は、
図2中の撹拌子の部分を中心に点線で囲まれた領域IV,Vの概略拡大断面図である。
図5は、
図4の撹拌子をZ方向下側からZ方向上側に向けて平面視した態様を示す概略正面図である。
図3~
図5を参照して、撹拌子26は、羽根部26aと、案内構造部26bとを主に有している。
【0031】
羽根部26aは、撹拌子26のうちその延在方向(Z方向)に関する容器貫通孔21ph側すなわち下側に形成されている。羽根部26aはZ方向に沿って延びている。羽根部26aは、
図3においてZ方向に沿って延びる一点鎖線、すなわち撹拌子26の中心部を延びる軸から、
図5に示す平面視において径方向(XY平面に沿う方向)に放射状に延びる部材が複数集まるように形成されている。一例として
図5では、羽根部26aは4つの放射状に延びる部材により構成される。4つの放射状に延びる部材において、中心軸周りの方向である周方向において隣接する1組の部材が中心軸となす角度は90度であることが好ましい。ただし当該部材の数はこれに限らず、たとえば3つの部材が、上記中心軸となす上記角度が120度となるように配置されてもよい。あるいは6つの部材が、中心軸となす上記角度が60度となるように配置されてもよい。
【0032】
図3に示すように、羽根部26は、その先端部すなわち下部において、羽根部傾斜面26tが形成されている。すなわち当該領域においては羽根部26の幅方向の寸法が、Z方向下側へ向かうにつれて漸次小さくなるように羽根部26の外表面は傾斜している。言い換えれば羽根部26は塗布針24と同様に、最下部にて幅が狭くなるように尖った形状を有している。羽根部26が尖った形状を有する先端部の外表面は、塗布液容器21の内壁面21ifが傾斜した他の傾斜面21tに沿うような形状を有することが好ましい。言い換えれば羽根部26の尖った形状の表面と、他の傾斜面21tとは、断面図におけるZ方向に対する角度がほぼ等しくなるように、断面図にてほぼ平行となることが好ましい。
【0033】
案内構造部26bは、撹拌子26のうち、羽根部26aよりもその延在方向に関する容器開口部21op側すなわち上側に形成された領域である。
図3および
図4に示すように、案内構造部26bは、羽根部26aよりも水平方向(たとえばY方向)に沿う寸法が大きい。
【0034】
案内構造部26bは、Z方向に沿って延びる円筒形状である。その円筒形状のZ方向に沿って延びる部分のうち最も外側の表面は、
図3に示す外壁面26stである。また当該外壁面26stは、羽根部26aの各部材の最も外側の表面でもある。案内構造部26bは羽根部26aよりも幅が広いため、
図3に示すように、羽根部26aと案内構造部26bとの境界部において外壁面26stが段差部26sを形成している。
【0035】
さらに撹拌子26は、撹拌子歯車部26gを有している。撹拌子歯車部26gは、案内構造部26bよりもZ方向の上側に形成されている。撹拌子歯車部26gは、平面視において(XY平面に沿う方向において)案内構造部26bよりも寸法(幅)が大きく形成されている。撹拌子歯車部26gの歯は、モータ41の回転軸41aに接続された歯車42の歯と噛み合うように配置されている。このためモータ41の回転軸41aの回転により歯車42が回転すれば、それに伴い撹拌子歯車部26gが回転する。撹拌子歯車部26gは案内構造部26bおよび羽根部26aと一体として撹拌子26を構成している。このため撹拌子歯車部26gが回転すれば、案内構造部26bおよび羽根部26aはいずれも、
図3のZ方向に延びる一点鎖線を中心軸として回転する。以上をまとめれば、撹拌子26には、撹拌子26全体に回転力を伝達する動力伝達部材としての撹拌子歯車部26gが含まれている。このような構成を有するため、撹拌子26は、モータ41から供給される回転力を利用して回転することが可能となる。ただし当該動力伝達部材は撹拌子歯車部26gに限られない。たとえば動力伝達部材として、撹拌子歯車部26gのような歯車の代わりに、プーリーが用いられてもよい。
【0036】
撹拌子26には、その中央部に、撹拌子貫通孔26phが形成されている。撹拌子貫通孔26phは
図3における一点鎖線が示す中心軸を囲むように形成されている。撹拌子貫通孔26phは、その内部に塗布針24をZ方向に沿って移動させ、貫通させる。このため撹拌子貫通孔26phの延びる方向に交差する方向の寸法(幅)は、塗布針24の塗布針付根部24gおよび塗布針先端部24ndの同方向の寸法(幅)よりも大きい。撹拌子貫通孔26phは、撹拌子歯車部26g、案内構造部26bおよび羽根部26aのすべてを貫通するように、平面視における撹拌子26の中央部に(中心軸を囲むように)形成されている。
【0037】
また撹拌子貫通孔26phは、容器貫通孔21phに通じることが可能な位置に配置される。すなわち
図3に示すように、撹拌子貫通孔26phは、Z方向から見て容器貫通孔21phと重なるように配置されている。より詳しくは、撹拌子貫通孔26phは容器貫通孔21phの真上に、平面視において少なくとも部分的に重なる位置に配置される。なお
図3に示すように、撹拌子貫通孔26phは容器貫通孔21phよりもXY平面に沿う方向の寸法が大きいことが好ましい。
【0038】
再度
図3を参照して、撹拌子26の羽根部26aの中心軸としての第1中心軸lostと、塗布針24の中心軸としての第2中心軸londとが示されている。これらはそれぞれ撹拌子26、塗布針24の中心を示し、撹拌子貫通孔26ph内を通るようにZ方向に沿って延びている。第1中心軸lostと第2中心軸londとは同軸である。ただし、実際にはわずかな誤差が発生するため、第1中心軸lostと第2中心軸londとの間には、XY平面に沿う方向に関してある程度の位置の誤差が生じることが許容される。ただし上記の誤差は5μm以下であることが好ましい。
【0039】
また塗布液容器21の容器貫通孔21phの中心軸としての第3中心軸liphと、塗布液容器21の容器開口部21opの中心軸としての第4中心軸liopとは同軸である。ただし、実際にはわずかな誤差が発生するため、第3中心軸liphと第4中心軸liopとの間には、XY平面に沿う方向に関してある程度の位置の誤差が生じることが許容される。ただし上記の誤差は5μm以下であることが好ましい。
【0040】
以上をまとめれば、第1中心軸lost、第2中心軸lond、第3中心軸liphおよび第4中心軸liopは互いに同軸である。ただし上記の4つの中心軸のうち任意に抽出した2つの中心軸間の間隔の誤差は、上記の通り5μm以下であることが好ましい。
【0041】
図6は、本発明の実施の形態に係る液体材料塗布方法を示す概略断面図である。なお
図6においては、特に塗布液容器21およびその内部に配置される液体材料11および塗布針24の部分を示しており、他の部分の図示を省略している。また
図6においては、塗布液容器21および塗布針24以外の、液体塗布ユニット4を構成する各部材の図示を省略することで簡略化されている。
【0042】
図6の左側の図には塗布針24が上昇している状態が示されている。
図6の右側の図には塗布針24が下降している状態が示されている。
図6を参照して、左側の図に示すように、塗布液容器21内に、液体材料11が保持されている。塗布針24の先端部は、塗布液容器21内の液体材料11に浸されている。なおこのとき、塗布針24の先端部は、液体材料11が塗布される被塗布物である基板5と対向するように配置されている。
図6の左側の図は、基板5の表面に液体材料11を供給する前段階としての、塗布針24の先端部に液体材料11が付着される工程を示している。
図6の左側の図は、塗布針24の先端部が
図6の塗布液容器21の内部に位置する第1状態に相当する。
【0043】
図6の右側の図を参照して、
図6の左側の図の状態から塗布針24が下降する。具体的には、それまで塗布液容器21内に先端部が収納されていた塗布針24が、
図6の左側の図の状態に比べて下方に移動する。塗布針24の下降によりその先端部は容器貫通孔21phから塗布液容器21の外側に突出し、基板5の被塗布面上に接触する。これにより、塗布針24の先端部に付着されていた液体材料11が基板5の塗布対象面上に供給される。
図6の右側の図は、塗布針24の先端部が容器貫通孔21phを通って塗布液容器21の外側に位置する第2状態に相当する。
図6の右側の図が示す塗布工程が終われば、再度塗布針24はその先端部が容器貫通孔21phの上側に位置するまで上昇し、
図6の左側の図の状態となる。このようにして
図6の矢印Dおよび矢印Uが示すように、左側の状態(第1状態)と右側の状態(第2状態)とを交互に繰り返すことが可能に構成されている。
【0044】
次に、
図7および
図8の比較例、ならびに
図9および
図10の本実施の形態を対比しながら、本実施の形態の液体塗布ユニット4、およびこれを含む塗布装置の作用効果について説明する。
図7は比較例における液体塗布ユニットへの塗布液容器の取り付けの第1工程を示す模式図である。
図8は比較例における液体塗布ユニットへの塗布液容器の取り付けの第2工程を示す模式図である。
図7を参照して、比較例における液体塗布ユニットも基本的に本実施の形態の液体塗布ユニットと同様の構成を有している。このため同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただし比較例においては撹拌子26を有さず、その代わりに塗布液容器21の内壁面21ifの最上部に蓋28が設けられている。
【0045】
図8を参照して、液体塗布ユニット4においては、塗布液容器21の最下部に形成された容器貫通孔21phから、塗布針24の先端部すなわち塗布針先端部24ndの少なくとも一部を下方に突出させる。このため、塗布液容器21を液体塗布ユニット4に取り付ける際には、塗布針24の第2中心軸londと、塗布液容器21の容器貫通孔21phの第3中心軸liphとのXY平面上に関する位置をほぼ一致させる(同軸とする)ことが求められる。そのために、比較例においては、蓋28の平面視における中央部には蓋貫通孔28phが形成されている。蓋貫通孔28phはその平面視での第5中心軸lldが容器貫通孔21phの平面視での第3中心軸liphとほぼ同軸になる位置に形成されている。このため
図8を参照して、まず塗布液容器21の蓋28に設けられた蓋貫通孔28phの第5中心軸lldの位置を目安として、塗布針24が蓋貫通孔28ph内に挿入される。その後、塗布針24が挿入された蓋貫通孔28phを案内用の部材として、塗布針24の第2中心軸londと塗布液容器21の容器貫通孔21phの第3中心軸liphとの位置が合致するように、塗布液容器21が液体塗布ユニットに取り付けられる。
【0046】
しかし以上の手順で塗布針24を容器貫通孔21phに対して位置合わせする技術は、撹拌子26が存在せず、小さな蓋貫通孔28phの中心位置を頼りに位置合わせすることが可能な場合に適用可能である。塗布される液体材料11がたとえば導電性粉体を含有した導電性液体材料、その他の粉体、および粒子の混合物である場合には、時間の経過により混合物中の紛体などが沈殿しやすい。このため塗布液容器21内で保持される液体材料11は撹拌されることが好ましい。この観点から本実施の形態では撹拌子26が設けられる。撹拌子26を第1中心軸lost周りに回転させることにより、液体材料11を均質化し、安定した状態を保つことができる。
【0047】
ところが本実施の形態のように、液体材料11を撹拌するための撹拌子26を有する場合には、塗布針24のみを有する場合に比べて、これと塗布針24とを含めた全体は平面視において占めるサイズが大きい。小さな蓋貫通孔28phに撹拌子26を通すことはできない。このため、蓋貫通孔28phの第5中心軸lldの位置精度を頼りに、塗布針24と、容器貫通孔21phの第3中心軸liphとの位置合わせを行なうことは困難である。
【0048】
そこで本実施の形態の液体塗布ユニット4への塗布液容器21の取り付け手順は以下の通りとなる。
図9は本実施の形態における液体塗布ユニットへの塗布液容器の取り付けの第1工程を示す模式図である。
図10は本実施の形態における液体塗布ユニットへの塗布液容器の取り付けの第2工程を示す模式図である。
図9および
図10を参照して、本実施の形態の液体塗布ユニット4に含まれる撹拌子26は、羽根部26aと案内構造部26bとを有している。羽根部26aは液体材料11を撹拌させる領域である。このため羽根部26aにより撹拌された液体材料11の流路を確保する観点から、羽根部26aの外壁面26stと、これが対向する塗布液容器21内の内壁面21ifとの隙間を広く確保している。すなわち羽根部26aは内壁面21ifに対し、水平方向に沿う寸法を十分に小さくしている。
【0049】
これに対し、案内構造部26bの水平方向に沿う寸法は、羽根部26aの水平方向に沿う寸法より大きい。すなわち撹拌子26が塗布液容器21内に挿入された状態において、案内構造部26bの外壁面26stは内壁面21ifに対向している。内壁面21ifが鉛直方向に沿って延びる領域(他の傾斜面21t以外の領域)において、外壁面26stと内壁面21ifとの間隔GP(
図3参照)が、羽根部26aの外壁面と内壁面21ifとの間隔よりも狭くなっている。このため塗布液容器21に対する撹拌子26の挿入される位置のXY平面に沿う方向に関する精度を向上させることができる。
【0050】
これは以下の理由に基づく。仮に案内構造部26bの水平方向(XY平面に沿う方向)の寸法を羽根部26aと同等に小さくすれば、案内構造部26bの外壁面26stとこれに対向する内壁面21ifとの間隔GP(
図3参照)が大きくなる。羽根部26aは内壁面21ifに対し、水平方向に沿う寸法を十分に小さくしているためである。このようになれば、案内構造部26bが水平方向において塗布液容器21内に収納された状態で移動できる領域が広くなり、案内構造部26bに対して内壁面21ifの配置され得る位置にばらつきが生じる。すなわち塗布液容器21の取り付けられる位置に大きな誤差が生じ得る。このようになれば、塗布針24の第2中心軸londと、塗布液容器21の第3中心軸liphとの位置ずれが大きく生じる可能性がある。これは本実施の形態においては撹拌子26と塗布針24とは同軸であるためである。そこで案内構造部26bの水平方向の寸法を羽根部26aの水平方向の寸法に比べて大きくすれば、案内構造部26bの外壁面26stと内壁面21ifとの間隔GPが小さくなる。このため案内構造部26bの中心、つまり撹拌子26の第1中心軸の塗布液容器21に対する位置精度を高めることができる。その結果、撹拌子26と同軸である塗布針24の、塗布液容器21の第3中心軸liphに対する位置精度も高められる。
【0051】
したがって本実施の形態においては、
図3に示す間隔GPが、外壁面26stを内壁面21if内に挿入可能な程度に極力狭くされることが好ましい。
【0052】
本実施の形態においては、
図10に示す状態のとき、第1中心軸lost、第2中心軸lond、第3中心軸liphおよび第4中心軸liopがすべて同軸である。このため、塗布液容器21を取り付けるときに、第1中心軸lostと第4中心軸liopとを位置合わせするだけで、塗布針先端部24ndと容器貫通孔21phとを容易に位置合わせすることができる。このため塗布液容器21の取り付けが非常に容易で、塗布針先端部24ndが、容器貫通孔21phからスムーズに突出する液体塗布ユニット4を提供することができる。
【0053】
次に、本実施の形態においては、塗布液容器21は水平方向に沿ってベース体43に対して相対的に移動可能である。具体的には、塗布液容器21とベース体43との間には磁石37による力が生じている。磁石37と強磁性体38との接触界面はXY平面に沿って(すなわち水平方向に沿って)延びている。これにより塗布液容器21は、ベース体43との間で水平方向に沿って移動可能となっている。磁石37はベース体43のZ方向最下部の塗布液容器21と対向する面の部分に設けられている。強磁性体38は塗布液容器21のZ方向最上部のベース体43と対向する面の部分に設けられている。これにより、少なくとも水平方向に関しては塗布液容器21の取り付け位置に自由度が生じる。このため塗布液容器21を適宜水平方向にスライドさせることにより、所望の位置に配置されるよう合わせることができる。
【0054】
またたとえ、撹拌子26の回転駆動時に、撹拌子26と塗布液容器21とが接触して摩擦力が発生したとしても、当該摩擦力の発生を収束させることができる。上述のように磁石37および強磁性体38の間の磁力により塗布液容器21はベース体43に対して水平方向に沿って移動可能であるためである。
【0055】
以上の次第で、本実施の形態によれば、撹拌子26を有する場合であっても、塗布針24に対して塗布液容器21を正確な位置に取り付けることが可能となる。
【0056】
その他、本実施の形態においては、容器開口部21opには、塗布針24の延在方向(Z方向)および水平方向(XY平面に沿う方向)に対して傾斜した傾斜面21tpが形成されている。すなわち容器開口部21opは下側よりも上側においてその間口が広くなっている。このため容器開口部21opは、上側から撹拌子26を容易に挿入することができる形状となっている。
【0057】
また案内構造部26bは延在方向に沿って延びる円筒形状となっている。このため外壁面26stと内壁面21ifとの間隔GP(
図3参照)をなるべく小さくし、かつ撹拌子26の回転を妨げることがない形状とすることができる。
【0058】
実施の形態2.
図11は、実施の形態2における、
図1に示した塗布装置に含まれる液体塗布ユニットを示す模式図である。
図11を参照して、本実施の形態における液体塗布ユニット4は、たとえば
図2に示す実施の形態1の液体塗布ユニット4と基本的に同様の構成を有している。このため
図11において実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただし本実施の形態においては、撹拌子26の案内構造部26bの表面には、案内構造部26bよりも摩擦係数の低い低摩擦係数部51が設けられている。低摩擦係数部51は、案内構造部26bの外壁面26st(
図3参照)の少なくとも一部に、内壁面21if(
図3参照)と対向するように設けられている。この点において本実施の形態は実施の形態1と構成上異なっている。なお
図11に示した液体塗布ユニットにおいては
図2と同様にモータ41および歯車42が設けられるが、
図11においてはこれらの図示が省略されている。
【0059】
以上のような構成を有することにより、案内構造部26bの表面上の低摩擦係数部51とこれに対向する内壁面21ifとがたとえ接触しても、両者間に大きな摩擦力が及ぼされることが抑制される。このため撹拌子26の回転が大きく妨げられることが抑制される。
【0060】
実施の形態3.
図12は、実施の形態3における、
図1に示した塗布装置に含まれる液体塗布ユニットを示す模式図である。
図12を参照して、本実施の形態における液体塗布ユニット4は、たとえば
図2に示す実施の形態1の液体塗布ユニット4と基本的に同様の構成を有している。このため
図11において実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。ただし本実施の形態においては、撹拌子26の案内構造部26bは、水平方向に関する外側に突出する曲面部62を有している。曲面部62は塗布液容器21の内壁面21ifに対向するように配置されている。以上の点において本実施の形態は、曲面部62を有さず平坦な外壁面26st(
図3参照)を有する実施の形態1と構成上異なっている。なお
図12に示した液体塗布ユニットにおいては
図2と同様にモータ41および歯車42が設けられるが、
図12においてはこれらの図示が省略されている。
【0061】
以上のような構成を有することにより、案内構造部26bに形成された曲面部62とこれに対向する内壁面21if(
図3参照)とがたとえ接触しても、それ以外の案内構造部26bの外壁面26stの部分が内壁面21ifと接触する可能性が低減される。このため両者が接触する領域は、曲面部62上の一部の領域に限定される。このため当該接触する領域における接触抵抗は、たとえば平坦な外壁面26stのほぼ全体が内壁面21ifと接触する場合に比べて小さくなる。したがって撹拌子26の回転が大きく妨げられることが抑制される。
【0062】
なお図示されないが、実施の形態2(
図11)の低摩擦係数部51と実施の形態3(
図12)の曲面部62との双方を有する構成であってもよい。つまり、曲面部62の表面が低摩擦係数部51となっていてもよい。
【0063】
以上に述べた各実施の形態(に含まれる各例)に記載した特徴を、技術的に矛盾のない範囲で適宜組み合わせるように適用してもよい。
【0064】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
1 X軸テーブル、2 Y軸テーブル、3 Z軸テーブル、4 液体塗布ユニット、5 基板、6 観察光学系、7 CCDカメラ、8 操作パネル、9 モニタ、10 制御用コンピュータ、11 液体材料、21 塗布液容器、21if 内壁面、21op 容器開口部、21ph 容器貫通孔、21t 他の傾斜面、21tp 傾斜面、24 塗布針、24g 塗布針付根部、24nd 塗布針先端部、26 撹拌子、26a 羽根部、26b 案内構造部、26ph 撹拌子貫通孔、26st 外壁面、28 蓋、28ph 蓋貫通孔、36 軸受ベース部、37 磁石、38 強磁性体、41 モータ、41a 回転軸、42 歯車、43 ベース体、44 軸受、51 低摩擦係数部。