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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】車両の室内灯の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/51 20170101AFI20220516BHJP
   B60Q 3/46 20170101ALI20220516BHJP
   B60Q 3/54 20170101ALI20220516BHJP
【FI】
B60Q3/51
B60Q3/46
B60Q3/54
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018169755
(22)【出願日】2018-09-11
(65)【公開番号】P2020040534
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】小松 学
(72)【発明者】
【氏名】千田 祐希
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-83794(JP,A)
【文献】実開平7-25696(JP,U)
【文献】特開2006-41998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の室内に設けられ、略円形状の取付孔が形成された壁部と、
前記壁部の前記取付孔に取り付けられる室内灯と、を備える車両の室内灯の取付構造であって、
前記室内灯は、
中心軸線が延びる軸線方向から見たときに円形をなす本体部と、
前記本体部の前記軸線方向の一方の端部側に設けられる発光部と、
前記本体部の周面に設けられ、取付時に前記取付孔に引っ掛けられる引掛爪と、
前記本体部の周面に設けられ、取付時に前記取付孔の内周縁に押し付けられることで撓む複数の撓み爪と、を備え、
前記取付孔の前記内周縁には、
前記引掛爪、及び複数の前記撓み爪の何れかに対し、周方向における一方への移動を規制する第1の規制部と、
前記引掛爪、及び複数の前記撓み爪の何れかに対し、前記周方向における他方への移動を規制する第2の規制部と、が形成される、車両の室内灯の取付構造。
【請求項2】
前記第1の規制部は、前記引掛爪に対して形成され、
前記第2の規制部は、前記撓み爪に対して形成される、請求項1に記載の車両の室内灯の取付構造。
【請求項3】
前記取付孔の前記内周縁には、前記周方向の複数の位置に、径方向の内側へ突出して、前記本体部を位置決めする位置決め部が形成される、請求項1又は2に記載の車両の室内灯の取付構造。
【請求項4】
前記第1の規制部は、前記引掛爪に対して形成され、
前記取付孔の前記内周縁のうち、前記第1の規制部と前記中心軸線を挟んで反対側の位置には、前記位置決め部が形成され、当該位置決め部は、他の位置に形成される前記位置決め部よりも、前記本体部の周面と当接したときの当該周面に対する当接面積が小さい、請求項3に記載の車両の室内灯の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の室内灯の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の室内構造が示されている。この室内構造では、運転者の状態を検出するための機器や、運転者の状態を運転者や乗員に通知するための機器が室内運転席の周囲に設けられている。室内構造は、室内灯を有しており、運転者の覚醒度などに応じた色の光りを発している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-115023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、多数の乗客が搭乗するバスなどの大型の車両などでは、緊急状態を広く乗客に知らせるための手段が求められていた。このような手段として、室内灯を発光させることで、乗客に通知する手段が挙げられる。このような室内灯の発光は、可能な限り多数の乗客が視認できることが好ましい。室内灯の取り付け環境について、例えば、室内灯を取り付ける壁部が天井内板のように柔らかい材料で構成されている場合、壁部の取付孔に室内灯をめり込ませることで、当該室内灯の回転などの移動を容易に防止することができる。しかしながら、乗客にとって見えやすい位置の壁部が変形を伴わない硬い材料の場合もある。このような場合、壁部に取り付けられた室内灯が、回転等、移動してしまう場合がある。
【0005】
本発明は、壁部の材料に関わらず、取付後の室内灯の移動を抑制できる車両の室内灯の取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両の室内灯の取付構造は、車両の室内に設けられ、略円形状の取付孔が形成された壁部と、壁部の取付孔に取り付けられる室内灯と、を備える車両の室内灯の取付構造であって、室内灯は、中心軸線が延びる軸線方向から見たときに円形をなす本体部と、本体部の軸線方向の一方の端部側に設けられる発光部と、本体部の周面に設けられ、取付時に取付孔に引っ掛けられる引掛爪と、本体部の周面に設けられ、取付時に取付孔の内周縁に押し付けられることで撓む複数の撓み爪と、を備え、取付孔の内周縁には、引掛爪、及び複数の撓み爪の何れかに対し、周方向における一方への移動を規制する第1の規制部と、引掛爪、及び複数の撓み爪の何れかに対し、周方向における他方への移動を規制する第2の規制部と、が形成される。
【0007】
本発明に係る車両の室内灯の取付構造において、室内灯は、中心軸線が延びる軸線方向から見たときに円形をなす本体部と、本体部の軸線方向の一方の端部側に設けられる発光部と、本体部の周面に設けられ、取付時に取付孔に引っ掛けられる引掛爪と、本体部の周面に設けられ、取付時に取付孔の内周縁に押し付けられることで撓む複数の撓み爪と、を備える。従って、室内灯を壁部に取り付ける時、引掛爪が取付孔に引っ掛けられ、撓み爪が取付孔の内周縁に押し付けられて撓みながら、取付が行われる。ここで、取付孔の内周縁には、引掛爪、及び複数の撓み爪の何れかに対し、周方向における一方への移動を規制する第1の規制部と、引掛爪、及び複数の撓み爪の何れかに対し、周方向における他方への移動を規制する第2の規制部と、が形成される。このような構成により、第1の規制部は、室内灯の周方向における一方への移動を規制し、第2の規制部は、室内灯の周方向における他方の移動を規制することができる。すなわち、壁部が室内灯をめり込ませることができないような硬い材料で構成されていたとしても、各規制部による規制により、室内灯の周方向への移動が抑制される。以上により、壁部の材料に関わらず、取付後の室内灯の移動を抑制できる。
【0008】
本発明に係る車両の室内灯の取付構造において、第1の規制部は、引掛爪に対して形成され、第2の規制部は、撓み爪に対して形成される。例えば、第1の規制部及び第2の規制部が撓み爪のみに対して形成された場合、引掛爪を取付孔に引っ掛けた後、各撓み爪を取付孔に押し込む際の作業が各規制部と干渉することで行いにくくなる可能性がある。これに対し、第1の規制部が引掛爪に対して形成されている場合、引掛爪を取付孔に引っ掛けた後、作業者は、一箇所の撓み爪のみについて、第2の規制部との位置関係を考慮して取付孔に押し込めばよいので、作業を容易に行うことができる。
【0009】
本発明に係る車両の室内灯の取付構造において、取付孔の内周縁には、周方向の複数の位置に、径方向の内側へ突出して、本体部を位置決めする位置決め部が形成される。これにより、位置決め部は、取付後における室内灯のがたつきを抑制することができる。
【0010】
本発明に係る車両の室内灯の取付構造において、第1の規制部は、引掛爪に対して形成され、取付孔の内周縁のうち、第1の規制部と中心軸線を挟んで反対側の位置には、位置決め部が形成され、当該位置決め部は、他の位置に形成される位置決め部よりも、本体部の周面と当接したときの当該周面に対する当接面積が小さい。引掛爪は、取付時において最初に取付孔に引っ掛けられ、室内灯を取付孔に押し込む際に、支点となる箇所である。従って、第1の規制部、すなわち引掛爪から最も遠い反対側の位置にて、位置決め部と周面との間の摩擦が大きくなると、押し込むために必要な力が大きくなる。従って、当該位置決め部が、他の位置に形成される位置決め部よりも、本体部の周面に対する当接面積が小さいことで、押し込みに必要な力を低減することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、壁部の材料に関わらず、取付後の室内灯の移動を抑制できる車両の室内灯の取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る車両の室内灯の取付構造を採用した車両の室内構造を示す概略平面図である。
図2】仕切部を後方から前方へ向かって見た時の図である。
図3】室内灯の壁部への取付時の様子、及び取付後の取付構造を示す概略図である。
図4】室内灯の取付構造を壁部の裏側から見た斜視図である。
図5】取付孔を表面側から見た図である。
図6】撓み爪の拡大斜視図である。
図7】(a)は引掛爪の拡大斜視図であり、(b)は室内灯の取付構造の拡大断面図である。
図8】(a)は比較例に係る取付孔を表面側から見た図であり、(b)は比較例に係る室内灯の取付構造の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る車両の室内灯の取付構造を採用した車両の室内構造を示す概略平面図である。本実施形態における車両とは、多数の乗員が搭乗するための乗員搭乗用の大型車両を示している。図1に示すように、車両150としてバスが例示されている。従って、車両150の室内空間は、前後方向に長手方向を有する長方形状をなしている。
【0015】
図1に示すように、車両150は、前側に設けられた出入口101Aと、前後方向における中央位置付近に設けられた出入口101Bと、を備える。車両150は、室内の最前部に設けられた運転席102と、複数の座席103と、運転席102の後部に設けられた仕切部104と、を主に備える。座席103の配列は特に限定されるものではないが、図1に示すレイアウトの例では、室内の左側の領域に前後方向に沿って複数の座席103が配列されており、室内の右側の領域に前後方向に沿って複数の座席103が配列されている。左側の座席103の列と、右側の座席103の列との間にはスペースが設けられている。当該スペースは、乗客が移動するための通路、又は乗客が立ち上がった状態で乗車するためのスペースとして用いられる。
【0016】
運転席102は、室内の最前部における右側に設けられている。右側の座席103の列のうち、最も前側に位置する座席103を「座席103A」とする。このとき、仕切部104は、運転席102と座席103Aとの間に設けられる。この仕切部104には、室内灯1が設けられる。当該箇所には、本実施形態に係る車両150の室内灯1の取付構造100が適用される。
【0017】
図2に、室内灯1の取付位置の一例を示す。図2は、仕切部を後方から前方へ向かって見た時の図である。図2に示すように、仕切部104は、車両150の側面111に沿って、床面から天井110に至るまで上下方向に延びている。仕切部104は、天井側に設けられたパネル部12と、パネル部12の下側に設けられた手すり部11と、を備えている。パネル部12は、サイネージや広告などを設置するために用いられる板状の部材である。パネル部12は、室内の前側に配置されており、且つ、高い位置に配置されているため、室内の広範囲にわたる位置から、乗客が視認しやすい部材である。パネル部12は、前後方向に一対の板状の壁部10が対向することで内部空間SPを有している(図3参照)。パネル部12の内部空間SPには、パネル部12に取り付けられた室内灯1やサイネージなどの配線等が収納されている。
【0018】
室内灯1は、車両150の室内の前側において、仕切部104のパネル部12に設けられている。室内灯1は、車両150内で緊急事態が発生したときに発光する、いわゆるフラッシャランプである。例えば、室内灯1は、運転者に運転困難になるような異常が発生した場合に、発光部2にて発光を行う。室内灯1は、ドライバー異常時対応システムが作動したタイミングにて、発光を行ってよい。その他、室内灯1は、追突被害軽減ブレーキシステムが作動したタイミングで発光を行ってもよい。本実施形態では、室内灯1として、円形のランプが採用されている。
【0019】
図3は、室内灯の壁部への取付時の様子、及び取付後の取付構造を示す概略図である。図3(a)は、取付前における室内灯及び壁部を示す概略図、図3(b)は、取付中における室内灯及び壁部を示す概略図、及び図3(c)は、取付後における取付構造を示す概略図である。なお、図3のうち、壁部10については、取付孔50の中心の位置にて切断した断面が示されている。
【0020】
図3に示すように、壁部10には、略円形状の取付孔50が形成されている。室内灯1は、当該取付孔50に挿入された状態で、壁部10への取付が行われる。壁部10は、樹脂板(例えば、アクリル板や塩ビ板など)や金属板などのような高い剛性を有する材料によって構成されている。すなわち、壁部10は、天井内板(例えば、ウレタンパッドなどの材料によって構成される)のように柔軟性を有することで室内灯1の取付時に多少の変形が生じるような部材ではなく、剛性を有することで変形が生じない部材である。取付孔50の内周縁も剛性を有する材料によって構成される。室内灯1は、その中心軸線CL1が、取付孔50の中心軸線と一致するように取り付けられる。取付孔50の詳細な形状については、後述する。室内灯1は、発光部2と、本体部3と、引掛爪4と、複数の撓み爪6と、ソケット部7と、を備える。
【0021】
本体部3は、中心軸線CL1が延びる軸線方向から見たときに円形をなす部分である(図4も参照)。本体部3は、軸線方向の一方の端部3eと、他方の端部3fとを有する。端部3eは、内部空間SPとは反対側の端部であり、端部3fは、内部空間SP側の端部である。本体部3の内部には、電子部品や配線等が収容されている。発光部2は、本体部3の軸線方向の一方の端部3e側に設けられ、発光を行う部分である。発光部2は、軸線方向から見て円形をなしている(図2参照)。発光部2は、本体部3及び取付孔50よりも大きな直径を有している。従って、発光部2の外周縁は、本体部3の端部3eの外周縁よりも外周側へ広がり、取付状態においては、取付孔50の内周縁よりも外周側へ広がっている。例えば、発光部2は、中央側の本体部2aの外周部から突出する接続部2cにて本体部3に嵌め込まれ、接続部2cより外周側のフランジ部2bにて壁部10の内周縁付近を覆う(図7(b)参照)。室内灯1を壁部10に取り付けたとき、本体部3は、取付孔50及び内部空間SPの内部に配置され、発光部2は、取付孔50を覆うように、当該取付孔50の外部に配置される。
【0022】
引掛爪4は、本体部3の周面に設けられ、取付時に取付孔50に引っ掛けられる部分である。引掛爪4は、周面3aのうちの周方向における所定箇所から、径方向外側へ向かって延びる。引掛爪4は、軸線方向において、発光部2の縁部から端部3f側へ離間した位置に配置される。撓み爪6は、本体部3の周面3aに設けられ、取付時に取付孔50の内周縁に押し付けられることで撓む。撓み爪6は、周方向に複数設けられる。複数の撓み爪6と引掛爪4とは、周方向において互いに離間した状態で配置される。作業者が室内灯1を取付孔50に押し込むときは、撓み爪6が撓むことによる弾性力に抗しながら、室内灯1を押し込む。室内灯1が取付孔50にある程度まで押し込まれると、撓み爪6の撓みが一部又は全部解除され、元の状態に復元される。これにより、撓み爪6が取付孔50の内周縁に引っ掛かることで、室内灯1が取付孔50に支持される。ソケット部7は、外部のコネクタ70と接続される部分である。
【0023】
次に、室内灯1を壁部10に取り付ける手順について説明する。図3(a)に示すように、作業者は、本体部3の端部3fを壁部10の取付孔50に向けるように、室内灯1を壁部10の手前側に配置する。このとき、作業者は、内部空間SPから取付孔50を介してコネクタ70を取り出し、ソケット部7に接続する(図3(b)も参照)。
【0024】
次に、図3(b)に示すように、作業者は、室内灯1全体を壁部10に対して斜めに傾斜させて、引掛爪4及び当該引掛爪4付近の本体部3の一部を取付孔50に挿入する。そして、作業者は、取付孔50の内周縁に引っ掛ける。作業者は、引掛爪4を支点として、本体部3のうち、引掛爪4と反対側の部分を取付孔50に押し込む。このとき、撓み爪6が取付孔50の内周縁と接触することで撓むため、作業者は、撓み爪6が撓むことによる弾性力に抗しながら、室内灯1を押し込む。これにより、図3(c)に示すように、室内灯1の壁部10への取付が完了する。
【0025】
次に、図4図7を参照して、室内灯1の取付構造100の詳細な構成について説明する。図4は、室内灯の取付構造を壁部の裏側から見た斜視図である。図5は、取付孔を表面側から見た図である。図6は、撓み爪の拡大斜視図である。図7(a)は引掛爪の拡大斜視図であり、図7(b)は室内灯の取付構造の拡大断面図である。なお、以降の説明においては、軸線方向のうち、発光部2から本体部3側へ向かう方向は、発光部2から立ち上がる方向である「高さ方向D1」として説明する。すなわち、発光部2から高さ方向D1へ離れた位置ほど上側の(高い)位置に該当し、発光部2に近い位置ほど下側の(低い)位置に該当する。なお、ここでの「上」「下」「高い」「低い」は、鉛直方向に沿った上下の位置関係を示す言葉ではないものとする。また、中心軸線CL1周りの周方向のうち、裏側から表側を見たときに反時計回りの方向を「回転方向D2」とし、時計回りの方向を「回転方向D3」とする。なお、以降の説明において、室内灯1の各構成要素と取付孔50の各部分との位置関係は、室内灯1が取付孔50に完全に取り付けられた状態を基準として説明がなされるものとする。
【0026】
図4に示すように、本体部3は、高さ方向D1において発光部2側から順に、周面3a、及び周面3bを有する。周面3aは周面3bよりも直径が大きく、本体部は周面3aの位置にて取付孔50に支持される。また、周面3aの高さ方向D1の上側の端部と、周面3bの高さ方向D1の下側の端部との間には、段差部3cまたは段差部3dが形成されている。段差部3dは、段差部3cよりも高さ方向D1において高い位置に配置されている。本体部3のうち、周方向において引掛爪4と重なる位置であって、高さ方向D1において周面3bに対応する位置には、ソケット部7が形成される。段差部3dは、ソケット部7の回転方向D2側及び回転方向D3側に隣り合う位置に、それぞれ形成される。また、周方向において、引掛爪4と中心軸線CLを挟んで反対側の位置に、段差部3dが形成される。ソケット部7と隣り合う段差部3dと、引掛爪4の反対側の段差部3dとの間には、段差部3cがそれぞれ形成される。
【0027】
引掛爪4は、周方向における所定の位置において、周面3aから径方向へ突出する片部によって構成される。図7(a)に示すように、引掛爪4は、高さ方向D1と垂直に広がる長方形板状の形状を有している。引掛爪4は、本体部31と、押さえ部32と、ストッパ部33と、を備える。本体部31は、径方向に長手方向を有するように延びる板状の部分である。本体部31は、壁部10の裏面よりも高い位置に配置される。押さえ部32は、本体部31の先端側において下方へ(壁部10側へ)向かって傾斜する部分である。押さえ部32は、壁部10の裏面と近接又は接触する位置に配置される。
【0028】
ストッパ部33は、本体部31から下方へ向かって延びる部分である。ストッパ部33は、周面3aから外周側へ離間しており、押さえ部32よりも内周側へ離間した位置において、周方向に延びるように設けられる(図5も参照)。ストッパ部33は、高さ方向D1において、本体部31の下面から、少なくとも壁部10の裏面よりも低い位置まで延びる。ストッパ部33は、取付孔50の後述の溝部51内に配置され、当該溝部51の縁部と周方向において当接することによって、室内灯1の回転方向D2への回転移動を止める部分である。
【0029】
図4に示すように、本体部3には、二つの撓み爪6が設けられる。引掛爪4を基準として、回転方向D3へ鈍角をなす位置に設けられる撓み爪6を撓み爪6Aとし、回転方向D2へ鈍角をなす位置に設けられる撓み爪6を撓み爪6Bとする。なお、撓み爪6A,6Bは、設けられる位置が異なる以外、互いに同様の構成を有する。撓み爪6A,6Bは、段差部3cに対応する位置に設けられる。図6(a),(b)に示すように、撓み爪6A,6Bは、周方向から見て、直角三角形状を描く板状の部材によって構成される。撓み爪6A,6Bは、本体部21と、立ち上がり部22と、屈曲部23と、ストッパ部24と、延長部26(図6(b)参照)と、を備える。
【0030】
立ち上がり部22は、段差部3cから上方へ向かって立ち上がると共に、周方向へ延びる板状の部分である。本体部21は、立ち上がり部22の上端部から外周側へ向かって斜め下方へ傾斜し、且つ周方向へ延びる板状の部分である。本体部21の下側の端部は、周面3aから外周側へ離間した位置であって、壁部10の裏面よりも高い位置に配置される。屈曲部23は、本体部21の下側の端部から内周側へ向かって屈曲し、周方向へ延びる板状の部分である。
【0031】
ストッパ部24は、屈曲部23の内周側の端部から下方へ向かって延びる部分である。ストッパ部24は、周面3aから外周側へ離間しており、本体部21の下側の端部よりも内周側へ離間した位置において、周方向に延びるように設けられる(図5も参照)。ストッパ部24は、高さ方向D1において、屈曲部23の下面から、少なくとも壁部10の裏面よりも低い位置まで延びる。なお、屈曲部23及びストッパ部24の回転方向D2側の端部は切り欠かれている。撓み爪6Aのストッパ部24は、取付孔50の後述の溝部52内に配置され、溝部52の縁部と径方向に当接することで、当該縁部を押圧する。また、撓み爪6Aのストッパ部24は、当該溝部52の縁部と周方向に当接することによって、室内灯1の回転方向D3への回転移動を止める部分である。撓み爪6Bのストッパ部24は、取付孔50の後述の溝部53内に配置され、溝部53の縁部と径方向に当接することで、当該縁部を押圧する。
【0032】
図6(b)に示すように、延長部26は、ストッパ部24の上側の端部から内周側へ延びる板状の部分である。延長部26は、ストッパ部24のうち、回転方向D3における端部付近の一部に対応する箇所にのみ設けられる。ここで、本体部3の周面3aには、撓み爪6A,6Bに対応する箇所に開口部73が形成される(図5も参照)。延長部26は、開口部73の内部まで延びており、先端側にて下方へ向けて屈曲している。延長部26の当該屈曲した部分は、少なくとも壁部10の裏面よりも低い位置まで延びる(図5も参照)。延長部26の先端側の部分は、他の部分には接続されておらず、自由端部となっている。
【0033】
室内灯1を取付孔50に取り付ける時、撓み爪6A,6Bの本体部21が取付孔50の内周縁と当接しながら、室内灯1が取付孔50に押し込まれる。このとき、本体部21は、立ち上がり部22の上端部を支点として、内周側へ撓む。このとき、延長部26の先端部が開口部73に入り込むように移動することで、本体部21の下端部付近、屈曲部23、及びストッパ部24は、内周側へ移動する。そして、屈曲部23が取付孔50から抜け出すと、本体部21の下端部付近、屈曲部23、ストッパ部24及び延長部26が復元力によって外周側へ移動する。これにより、ストッパ部24が取付孔50の内周縁を押圧しながら当接する状態(図6に示す状態となる)となる。このとき、本体部21の下端部及び屈曲部23は、取付孔50の内周縁よりも外周側に配置されるため、撓み爪6A,6Bは、室内灯1の取付孔50から脱落することが防止される。
【0034】
図5を参照して、取付孔50の構成について説明する。なお、図5では、室内灯1のうち、壁部10の裏面と対応する高さ位置における断面が示されている。ただし、本体部3の内部構造などの断面は省略されており、本体部3の外側のケースだけが示されている。また、室内灯1の中心軸線CL1が、取付孔50の基準点となる中心点と一致する様に配置されている。よって、本体部3の周面3aによって描かれる円は、取付孔50に対して仮想的に設定される基準円として見なすことができる。よって、以降の説明においては、取付孔50の内周縁の形状は、基準円である周面3aを基準として説明する。
【0035】
図5に示すように、取付孔50の内周縁には、溝部51,52,53と、位置決め部54,56,57と、が形成される。溝部51は、引掛爪4に対応する位置に設けられる。溝部52は、撓み爪6Aに対応する位置に設けられる。溝部53は、撓み爪6Bに対応する位置に設けられる。位置決め部54は、溝部51と中心軸線CL1を挟んで反対側の位置、すなわち撓み爪6Aと撓み爪6Bとの間の領域に対応する位置に設けられる。位置決め部56は、引掛爪4と撓み爪6Aとの間の領域に対応する位置に設けられる。位置決め部57は、引掛爪4と撓み爪6Bとの間の領域に対応する位置に設けられる。
【0036】
溝部51には、前述のようにストッパ部33が配置される(図7(a)参照)。溝部51は、周縁部51aと、端縁部51bと、端縁部51cと、を備える。周縁部51aは、本体部3の周面3aから外周側へ離間する位置にて、周面3aと対向するように周方向へ延びる。周縁部51aは、周方向においてストッパ部33に対応する位置に設けられており、板状のストッパ部33に合わせて直線状に延びる形状を有している。周縁部51aは、ストッパ部33の外周面と略同位置に形成される。周縁部51aの周方向における長さは、少なくともストッパ部33の周方向における長さよりも長い。端縁部51bは、周縁部51aの回転方向D2側の端部から、内周側へ向かって延びる。端縁部51bは、周縁部51aと略垂直をなしている。端縁部51bの内周側の端部は、径方向において、ストッパ部33の内周面よりも内周側であって、周面3aから外周側へ離間した位置に配置される。端縁部51cは、周縁部51aの回転方向D3側の端部から、内周側へ向かって延びる。端縁部51cは、周縁部51aに対して鈍角をなして傾斜している。端縁部51cの内周側の端部は、径方向において、ストッパ部33の内周面よりも内周側であって、周面3aから外周側へ離間した位置に配置される。なお、取付状態においては、ストッパ部33は、端縁部51cよりも端縁部51b寄りの位置に配置される。
【0037】
溝部52には、前述のように撓み爪6Aのストッパ部24が配置される(図6(b)参照)。溝部52は、周縁部52aと、端縁部52bと、周縁部52cと、を備える。周縁部52aは、本体部3の周面3aから外周側へ離間する位置にて、周面3aと対向するように周方向へ延びる。周縁部52aは、周方向において撓み爪6Aのストッパ部24に対応する位置に設けられており、板状のストッパ部24に合わせて直線状に延びる形状を有している。周縁部52aは、撓みが解除された状態のストッパ部24の外周面よりも、内周側の位置に形成される。これにより、周縁部52aは、撓み爪6Aが撓んだ状態にて、ストッパ部24と当接する。周縁部52aの周方向における長さは、少なくともストッパ部24の周方向における長さよりも長い。端縁部52bは、周縁部52aの回転方向D3側の端部から、内周側へ向かって延びる。端縁部52bは、周縁部52aと略垂直をなしている。端縁部52bの内周側の端部は、径方向において、ストッパ部24の内周面よりも内周側であって、周面3aから外周側へ離間した位置に配置される。周縁部52cは、周縁部52aの回転方向D2側の端部から、回転方向D2側へ向かって周方向に円弧を描くように延びる。なお、取付状態においては、ストッパ部24は、周縁部52cよりも端縁部52b寄りの位置に配置される。
【0038】
溝部53には、前述のように撓み爪6Bのストッパ部24が配置される(図6(a)参照)。溝部53は、周縁部53aと、端縁部53bと、周縁部53cと、を備える。周縁部53aは、本体部3の周面3aから外周側へ離間する位置にて、周面3aと対向するように周方向へ延びる。周縁部53aは、周方向において撓み爪6Bのストッパ部24に対応する位置に設けられており、板状のストッパ部24に合わせて直線状に延びる形状を有している。周縁部53aは、撓みが解除された状態のストッパ部24の外周面よりも、内周側の位置に形成される。これにより、周縁部53aは、撓み爪6Bが撓んだ状態にて、ストッパ部24と当接する。周縁部53aの周方向における長さは、少なくともストッパ部24の周方向における長さよりも長い。端縁部53bは、周縁部53aの回転方向D2側の端部から、内周側へ向かって延びる。端縁部53bは、周縁部53aに対して鈍角をなすように延びている。端縁部53bは、ストッパ部24と周方向において離間した位置に配置される。端縁部53bの内周側の端部は、径方向において、ストッパ部24の内周面よりも内周側であって、周面3aから外周側へ離間した位置に配置される。周縁部53cは、周縁部53aの回転方向D3側の端部から、回転方向D3側へ向かって周方向に円弧を描くように延びる。なお、取付状態においては、ストッパ部24は、周縁部53cよりも端縁部53b寄りの位置に配置される。
【0039】
溝部51の端縁部51bは、引掛爪4に対し、周方向における回転方向D2への移動を規制する第1の規制部80として機能する。すなわち、第1の規制部80は、引掛爪4に対して形成され、当該引掛爪4の回転方向D2への移動を規制することにより、室内灯1全体の回転方向D2の移動範囲を制限している。溝部52の端縁部52bは、撓み爪6Aに対し、周方向における回転方向D3への移動を規制する第2の規制部81として機能する。すなわち、第2の規制部81は、撓み爪6Aに対して形成され、当該撓み爪6Aの回転方向D3への移動を規制することにより、室内灯1全体の回転方向D3の移動範囲を制限している。
【0040】
取付状態においては、ストッパ部33は、第1の規制部80と当接、または近接する位置に配置される。これに対し、第1の規制部80は、ストッパ部33の回転方向D2側の縁部と当接することにより、当該ストッパ部33のそれ以上の回転方向D2への移動を規制している。取付状態においては、撓み爪6Aのストッパ部24は、第2の規制部81と当接、または近接する位置に配置される。これに対し、第2の規制部81は、当該ストッパ部24の回転方向D3側の縁部と当接することにより、当該ストッパ部24のそれ以上の回転方向D3への移動を規制している。
【0041】
取付時に引っ掛からないように、作業性の観点から、第1の規制部80及び第2の規制部81は、ストッパ部33及び撓み爪6Aのストッパ部24に対して僅かな回転を許容する位置に配置されている。すなわち、ストッパ部33が第1の規制部80と当接している状態では、当該ストッパ部24は第2の規制部81から僅かに離間している。なお、当該離間距離は、撓み爪6Bのストッパ部24と端縁部53bとの間の距離よりも小さい。撓み爪6Aのストッパ部24が第2の規制部81と当接している状態では、ストッパ部33は第1の規制部80から僅かに離間している。なお、当該離間距離は、撓み爪6Bのストッパ部24と端縁部53bとの間の距離よりも小さい。
【0042】
位置決め部54,56,57は、周方向の三箇所の位置にて、径方向の内側へ突出して、本体部3を位置決めする部分である。なお、位置決め部54,56,57は、取付後の本体部3の周面3aと当接していてもよいが、常に周面3aと当接している必要はなく、寸法公差の範囲で、周面3aとの間に僅かな隙間が形成されるように、当該周面3aと近接していてもよい。例えば、車両150の停車時に位置決め部54と周面3aとの間に僅かな隙間が形成されていても、走行時の振動などで本体部3が位置決め部54側へ移動する場合がある。このような場合、位置決め部54が周面3aと当接して受け止めることで、本体部3が大きく動くことを防止し、当該本体部3を定められた領域内に留めておくことができる。他の位置決め部56,57についても同様の作用を奏することができる。これにより、本体部3が、位置決め部54,56,57によって位置決めされる。
【0043】
位置決め部54は、第1の規制部80を有する溝部51及びストッパ部33の位置から略180°の位置、すなわち、中心軸線CL1を挟んで反対側の位置に形成される。位置決め部54は、溝部52の周縁部52cの回転方向D2における端部と、溝部53の周縁部53cの回転方向D3における端部との間に形成される。位置決め部54は、先端が円弧状をなすように、湾曲した形状を有する。この場合、位置決め部54は、円弧部分の先端部分にて周面3aと接触する。このように、位置決め部54は、他の位置に形成される位置決め部56,57よりも、本体部3の周面3aに対する当接面積が小さい。なお、当接面積とは、位置決め部54が周面3aと当接したときの面積である。寸法公差などによって、取付後の本体部3の周面3aと位置決め部54との間に僅かな隙間が形成されている場合、本体部3が位置決め部54側に移動することで周面3aと位置決め部54とが当接したときの面積が、当接面積に該当する。
【0044】
位置決め部56は、溝部51の第1の規制部80の内周側の端部から回転方向D2へ周方向に延びる周縁部50bと、溝部52の第2の規制部81の内周側の端部から回転方向D3へ周方向に延びる周縁部50bと、の間に形成される。位置決め部56は、略台形状の形状を有しており、先端側に受け部56aを有する。受け部56aは、周面3aに対応する形状を有しており、位置決め部56が周面3aに当接したときには、当該周面3aを受けるように当接する。位置決め部57は、溝部51の端縁部51cの内周側の端部から回転方向D3へ周方向に延びる周縁部50bと、溝部53の端縁部53bの内周側の端部から回転方向D2へ周方向に延びる周縁部50bと、の間に形成される。位置決め部57は、略台形状の形状を有しており、先端側に受け部57aを有する。受け部57aは、周面3aに対応する形状を有しており、位置決め部57が周面3aに当接したときには、当該周面3aを受けるように当接する。
【0045】
次に、本実施形態に係る室内灯1の取付構造100の作用・効果について説明する。
【0046】
まず、比較例に係る取付構造について図8を参照して、説明する。図8(a)は比較例に係る取付孔を表面側から見た図であり、図8(b)は比較例に係る室内灯の取付構造の拡大断面図である。比較例に係る取付構造においては、取付対象である壁部として、バスの天井内板(例えば、ウレタンパッドなどの材料によって構成される)のように、柔らかい部材が採用される。この場合、室内灯1を壁部にめり込ませることも可能となる。例えば、図8(b)に示すように、発光部2のフランジ部2bが壁部210にめり込んでいる。また、図8(a)に示すように、取付孔160の内周縁には、引掛爪に対して形成された溝部151と、撓み爪に対する浅い溝部152,153が形成されているだけであり、他の部分は、略円形状に形成されている。このような大雑把な形状であっても、フランジ部2b、引掛爪及び撓み爪が壁部210の材料にめり込むことで、室内灯の回転やがたつきが抑制される。
【0047】
しかしながら、取付対象が硬い材料である壁部10であった場合、図7(b)に示すように、フランジ部2bなどの室内灯1の各部分は、壁部10の材料にめり込むことができない。従って、硬い壁部10に対して、図8(a)に示すような取付孔160を採用した場合、取付後の室内灯1には回転やがたつきが発生してしまう。
【0048】
これに対し、本実施形態に係る車両150の室内灯1の取付構造100において、室内灯1は、中心軸線CL1が延びる軸線方向から見たときに円形をなす本体部3と、本体部3の軸線方向の一方の端部3e側に設けられる発光部2と、本体部3の周面3aに設けられ、取付時に取付孔50に引っ掛けられる引掛爪4と、本体部3の周面3aに設けられ、取付時に取付孔50の内周縁に押し付けられることで撓む複数の撓み爪6A,6Bと、を備える。従って、室内灯1を壁部10に取り付ける時、引掛爪4が取付孔50に引っ掛けられ、撓み爪6A,6Bが取付孔50の内周縁に押し付けられて撓みながら、取付が行われる。ここで、取付孔50の内周縁には、引掛爪4に対し、周方向における一方の回転方向D2への移動を規制する第1の規制部80と、撓み爪6Aに対し、周方向における他方の回転方向D3への移動を規制する第2の規制部81と、が形成される。このような構成により、第1の規制部80は、室内灯1の周方向における一方の回転方向D2への移動を規制し、第2の規制部81は、室内灯1の周方向における他方の回転方向D3への移動を規制することができる。すなわち、壁部10が室内灯1をめり込ませることができないような硬い材料で構成されていたとしても、各規制部80,81による規制により、室内灯1の周方向への移動が抑制される。以上により、壁部10の材料に関わらず、取付後の室内灯1の移動を抑制できる。
【0049】
本実施形態に係る車両150の室内灯1の取付構造100において、第1の規制部80は、引掛爪4に対して形成され、第2の規制部81は、撓み爪6Aに対して形成される。例えば、第1の規制部80及び第2の規制部81が撓み爪6A,6Bのみに対して形成された場合、引掛爪4を取付孔50に引っ掛けた後、各撓み爪6A,6Bを取付孔50に押し込む際の作業が各規制部80,81と干渉することで行いにくくなる可能性がある。これに対し、第1の規制部80が引掛爪4に対して形成されている場合、引掛爪4を取付孔50に引っ掛けた後(このとき、第1の規制部80に対する引掛爪4の位置決めはある程度行うことができる)、作業者は、一箇所の撓み爪6Aのみについて、第2の規制部81との位置関係を考慮して取付孔50に押し込めばよいので、作業を容易に行うことができる。
【0050】
本実施形態に係る車両150の室内灯1の取付構造100において、取付孔50の内周縁には、周方向の複数の位置に、径方向の内側へ突出して、本体部3を位置決めする位置決め部54,56,57が形成される。これにより、位置決め部54,56,57は、取付後における室内灯1のがたつきを抑制することができる。
【0051】
本実施形態に係る車両150の室内灯1の取付構造100において、第1の規制部80は、引掛爪4に対して形成され、取付孔50の内周縁のうち、第1の規制部80と中心軸線CL1を挟んで反対側の位置には、位置決め部54が形成され、当該位置決め部54は、他の位置に形成される位置決め部56,57よりも、本体部3の周面3aと当接したときの当該周面3aに対する当接面積が小さい。引掛爪4は、取付時において最初に取付孔50に引っ掛けられ、室内灯1を取付孔50に押し込む際に、支点となる箇所である。従って、第1の規制部80、すなわち引掛爪4から最も遠い反対側の位置にて、位置決め部54と周面3aとの間の摩擦が大きくなると、押し込むために必要な力が大きくなる。例えば、位置決め部56,57は支点である引掛爪4に近いため、てこの原理により、摩擦が大きくても、小さい力で押し込むことができる。従って、当該位置決め部54が、他の位置に形成される位置決め部56,57よりも、本体部3の周面3aに対する当接面積が小さいことで、押し込みに必要な力を低減することができる。
【0052】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0053】
例えば、発光部の形状は円形に限定されず、形状は特に限定されず、多角形状などの形状を適宜採用してよい。
【0054】
上述の実施形態では、第2の規制部81が撓み爪6Aに対して設けられていたが、撓み爪6Aに代えて、撓み爪6Bに対して設けられてもよい。また、第1の規制部80が引掛爪4に対して設けられていたが、撓み爪6Bに対して設けられてもよい。また、第1の規制部80は回転方向D2の移動を規制し、第2の規制部81は回転方向D3の移動を規制していた。これに代えて、第1の規制部80は回転方向D3の移動を規制し、第2の規制部81は回転方向D2の移動を規制してよい。
【0055】
位置決め部の配置は、上述の実施形態の態様に限定されず、適宜変更されてもよい。また、位置決め部の数も、1つでもよく、2つでもよく、4つ以上でもよい。
【0056】
上述の実施形態では、車両としてバスを例示したが、車両は路面電車、鉄道車両、モノレールなどであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…室内灯、2…発光部、3…本体部、4…引掛爪、6A,6B…撓み爪、10…壁部、54,56,57…位置決め部、80…第1の規制部、81…第2の規制部、100…取付構造。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8