(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】異なる厚さの液晶セルを使用した液晶可変リターダ
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20220516BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20220516BHJP
G01J 4/04 20060101ALI20220516BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1347
G01J4/04 A
G02F1/133 580
(21)【出願番号】P 2018207826
(22)【出願日】2018-11-05
【審査請求日】2021-11-05
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】アレックス・ヘギー
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-109676(JP,A)
【文献】特開2010-273039(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0213453(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1347
G01J 4/04
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、前記装置が、
液晶可変リターダであって、
第1の厚さを有する第1の液晶セルと、
前記第1の厚さ未満である第2の厚さを有する第2の液晶セルとを備える液晶可変リターダと、
前記液晶可変リターダのリターダンスを示すフィードバック信号を提供するフィードバックセンサと、
前記フィードバックセンサならびに前記第1及び第2の液晶セルに結合された制御器であって、前記制御器が、
目標リターダンス軌道及びフィードフォワード制御モデルに基づいて、第1の信号を前記第1の液晶セルに印加し、
前記フィードバック信号及び前記目標リターダンス軌道に基づいて、第2の信号を前記第2の液晶セルに印加するように動作可能な制御器と、を備える、装置。
【請求項2】
前記液晶可変リターダに熱的に結合された温度センサをさらに備え、前記温度センサからの温度信号が入力されて前記フィードフォワード制御モデルのパラメータを変化させる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記フィードバック信号が、前記フィードフォワード制御モデルのパラメータをさらに調整するために使用される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記液晶可変リターダの入力側に第1の及び出力側に第2の偏光子をそれぞれさらに備え、前記第1及び第2の偏光子が、前記第1及び第2の液晶セルの配列方向に対して名目上45度の角度の偏光軸で配向され、前記第1及び第2の偏光子が、互いに垂直または平行である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記フィードバックセンサが、光検出器と、前記第1及び第2の偏光子、ならびに前記液晶可変リターダによって前記光検出器を照射する単色光源と、を備え、前記光検出器が、それに応答して電気出力を作成する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記制御器が、前記電気出力を前記液晶可変リターダの前記リターダンスを示す前記フィードバック信号に変換するようにさらに動作可能である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1及び第2の信号が、前記光路遅延の関数として変えるインターフェログラムを作るために前記液晶可変リターダの時変光路遅延を引き起こす、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の偏光子から放射された光の空間依存性強度パターンを記録するように結合された画像センサをさらに備え、
前記制御器が、前記画像センサに結合され、
前記液晶可変リターダのリターダンスを変えて、
光の前記空間依存性強度パターンの前記画像センサの記録を前記液晶可変リターダのリターダンスの変化と同期させるように構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記第1及び第2の液晶セルのうちの少なくとも1つにおける残留リターダンスを補正する、液晶波長板をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記制御器に結合された液晶波長板をさらに備え、前記制御器が、最小リターダンスを有する第1の状態と最大リターダンスを有する第2の状態との間で前記液晶波長板を切り替えるように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記フィードバックセンサが、少なくとも前記第1の液晶セルの静電容量を検出する回路を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記第1及び第2の液晶セルのうちの少なくとも1つが、ダブルネマチックセルを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記第1及び第2の液晶セルのうちの少なくとも1つが、パイセルまたは光学補償曲げセルを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の液晶セルが、前記第2の液晶セルの応答時間の少なくとも25倍の応答時間を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
方法であって、前記方法が、
液晶可変リターダの温度を示す温度信号を受信する
工程であって、前記液晶可変リターダが、第1の厚さを有する第1の液晶セルと、前記第1の厚さ未満である第2の厚さを有する第2の液晶セルとを備える、
前記受信する
工程と、
目標リターダンス軌道及び前記液晶可変リターダのフィードフォワード制御モデルの出力に基づいて前記第1の液晶セルに第1の信号を印加する
工程であって、前記フィードフォワード制御モデルのパラメータを前記温度信号に基づいて修正する、
前記印加する
工程と、
前記液晶可変リターダからのリターダンスフィードバック信号を受信する
工程と、
前記リターダンスフィードバック信号に応答して前記第2の液晶セルに印加される第2の信号を変える
工程と、を含む、方法。
【請求項16】
前記液晶可変リターダを通じて光センサに透過した単色光に応答する前記光センサの電気出力を決定する
工程と、
前記電気出力に基づいて前記リターダンスフィードバック信号を決定する
工程と、をさらに含む、請求項1
5に記載の方法。
【請求項17】
前記第1及び第2の液晶セルのうちの少なくとも1つの静電容量を決定する
工程と、
前記静電容量に基づいて前記リターダンスフィードバック信号を決定する
工程と、をさらに含む、請求項1
5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本開示は、異なる厚さのLC層を使用する液晶可変リターダに関する。一実施形態では、液晶可変リターダは、それぞれ第1及び第2の厚さを有する第1及び第2の液晶セルを有し、第2の厚さは第1の厚さ未満である。フィードバックセンサは、液晶可変リターダのリターダンスを示すフィードバック信号を提供する。制御器は、フィードバックセンサ、ならびに第1及び第2の液晶セルに結合される。制御器は、目標リターダンス軌道及びフィードフォワード制御モデルに基づいて、第1の信号を第1の液晶セルに印加するように動作可能である。制御器は、フィードバック信号及び目標リターダンス軌道に基づいて、第2の信号を第2の液晶セルに印加する。
【0002】
別の実施形態では、液晶可変リターダは、第1の最大リターダンスを有し、液晶波長板は、第1の最大リターダンス未満である第2の最大リターダンスを有する。液晶波長板は、第1の状態において、液晶可変リターダのリターダンスと対向する最小リターダンスを有するように、液晶可変リターダに対して配向される。液晶波長板に結合された制御器は、液晶波長板を第1の状態から第2の状態に切り替えるように動作可能である。第2の状態では、液晶波長板は、第2の最大リターダンスを有する。
【0003】
別の実施形態では、方法は、液晶可変リターダの温度を示す温度信号を受信することを伴う。液晶可変リターダは、第1の厚さを有する第1の液晶セルを有し、第1の厚さ未満である第2の厚さを有する第2の液晶セルを有する。第1の信号は、液晶可変リターダの目標リターダンス入力軌道及びフィードフォワード制御モデルの出力に基づいて、第1の液晶セルに印加される。フィードフォワード制御モデルのパラメータは、温度信号に基づいて修正される。リターダンスフィードバック信号は、液晶可変リターダから受信され、第2の液晶セルに印加された第2の信号は、リターダンスフィードバック信号に応答して変えられる。
【0004】
種々の実施形態のこれら及び他の特徴及び態様は、以下の詳細な説明及び添付の図面を参照して理解し得る。
【図面の簡単な説明】
【0005】
以下の議論は、複数の図面における同様の/同じ構成要素を識別するために同じ参照番号が使用され得る以下の図面を参照する。図面は、必ずしも縮尺通りではない。
【0006】
【
図1A】例示的な実施形態による液晶可変リターダの図である。
【
図1B】例示的な実施形態による液晶可変リターダの図である。
【
図1C】例示的な実施形態による液晶可変リターダの図である。
【
図2】例示的な実施形態による装置のブロック図である。
【
図3】例示的な実施形態によるリターダンス制御構成のブロック図である。
【
図4A】他の例示的な実施形態による装置のブロック図である。
【
図4B】他の例示的な実施形態による装置のブロック図である。
【
図5】例示的な実施形態による方法のフローチャートである。
【
図6】例示的な実施形態による方法のフローチャートである。
【
図7】別の例示的な実施形態による装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、光検知に使用される液晶デバイスに関する。一般に、液晶(LC)材料は、電場または磁場などの外部刺激を印加することによって選択的に変更することができるいくつかの結晶特性(例えば、LC分子の局所平均配列を示すLCダイレクタなどの内部構造の配向)を有する液体である。LCダイレクタの配向の変化は、LC材料の光学特性を変更する、例えば、LC複屈折の光軸を変化させる。液晶の選択可能な配向は、広範囲の用途(例えば、電子ディスプレイ)を有するが、本開示は、可変光学リターダ、またはLC可変リターダ(LCVR)として既知のデバイスの一種に関する。
【0008】
LCVRは、液晶を通過する光の直交する2つの偏光の間に、可変光路遅延または可変リターダンスを生成する。LCVR内の1つ以上の液晶セルは、電気的に同調可能な複屈折素子として機能する。液晶セルの電極間の電圧を変えることによって、セル分子は、その配向を変化させ、入射偏光方向における第1の光線と直交偏光における第2の光線との間の可変光路遅延を作ることが可能である。この経路遅延は、第1の光線と第2の光線との間の波長依存性位相シフトを引き起こす。
【0009】
LCVRは、電気的に制御可能な光路遅延を生成するため、干渉計、特に偏光干渉計内で使用されることがある。偏光干渉計は、偏光素子を複屈折素子と組み合わせてインターフェログラムを生成する共通経路干渉計(干渉計の両アームが同じ幾何学的経路に従うことを意味する)であり、これにより複屈折素子によって誘発される光路遅延は、空間的及び/または時間的に変わる。
【0010】
LCVRを有する偏光干渉計を作るために、LCVRは、名目上平行または垂直の偏光軸を有する第1の偏光子と第2の偏光子との間に置かれる。LCVRの遅軸(可変光路遅延を伴う偏光軸)は、第1の偏光子の偏光方向に対して名目上45度配向される。入射光は、第1の偏光子によって入射偏光方向に偏光される。LCVRの遅軸は、この入射偏光方向に対して45度であるので、偏光された入射光は、LCVRの遅軸に平行に偏光された光の一部及びこの軸に垂直に偏光された光の一部に関して説明することができる。
【0011】
光がLCVRを通過するとき、光は、第1の偏光と第2の偏光との間の波長依存性相対位相シフトを取得し、それによって偏光状態の波長依存性変化をもたらす。第1の偏光子に平行または垂直に配向された第2の偏光子またはアナライザは、LCVRの遅軸に平行に偏光された光の部分を垂直に偏光された光の部分と干渉させ、LCVRの出力における波長依存性偏光状態を、光検出器または焦点面アレイによって検知することができる波長依存性強度パターンに変化させる。LCVRのリターダンスを変えながらこの強度を検知することにより、入射光のスペクトル特性を確認するために使用することができる、入射光のインターフェログラムを測定することが可能である。
【0012】
LCVRに基づく偏光干渉計は、多くの用途を有し得る。例えば、このようなデバイスは、入射光のスペクトル情報を非スペクトル分解検出器で容易に測定される強度パターンにエンコードするその能力のために、ハイパースペクトル画像化用途に使用されてもよい。ハイパースペクトル画像化は、高密度にサンプリングされた微細分解スペクトル情報が各ピクセルに提供される画像を含んでもよい、ハイパースペクトルデータセットまたはデータキューブを取得するための方法及びデバイスを指す。
【0013】
偏光干渉計によって提供される波長依存性強度パターンは、入射光のスペクトルのコサイン変換にほぼ対応する。LCVRのリターダンスの関数として空間依存性強度パターンを偏光干渉計の出力に記録することにより、LCVRによって画像化されたシーンのすべての点によって生成されたインターフェログラムを同時にサンプリングすることができる。これから、ハイパースペクトルデータキューブは、リターダンス軸に沿って逆コサイン変換またはフーリエ変換などの変換を記録された空間依存性インターフェログラムに適用することによって、名目上回復することができる。
【0014】
ハイパースペクトルデータキューブを正確に計算するために、上記の変換を適用するために使用される処理装置は、個々のインターフェログラムサンプルごとにそのクリアアパーチャにわたるLCVRのリターダンス状態を精密に知る必要がある。さらに、ハイパースペクトルデータキューブを最も正確に計算するためには、ゼロリターダンス及び/またはそれを超える、及び/またはそれ未満のリターダンスを測定することが望ましい。
【0015】
補償されていないLCVRは、典型的には、最低のリターダンス状態であっても、いくつかの残留リターダンスを有する。すなわち、LCVRは、最小リターダンスから最大リターダンスまでスキャンすることができ、ゼロリターダンスの状態に到達することも、ゼロリターダンスの状態を通過することもない。いくつかのLCVRは、遅軸がLCVRの遅軸に対して垂直に配列した波長板の追加によって補償され得るが、これらの波長板のリターダンス補償は、温度及び/または波長の関数として変わる可能性があり、したがって、それらは、ハイパースペクトル画像化用途にとって理想的に好適ではない。本明細書で記載される実施形態では、LVCRは、リターダンスの正確な制御を可能にする特徴を含み、またゼロリターダンスを超える、ゼロリターダンス、及びゼロリターダンス未満のリターダンスにアクセスすることを可能にする。
【0016】
図1Aにおいて、ブロック図は、例示的な実施形態によるLCVR100を示す。LCVR100は、基板104及びLC層106を有する第1のLCセル102を含む。基板104は、LC層106を制御するための電極及び配列層を有する。LCVR100は、隣接する電極及び配列層を含む基板112と114との間に配置されたLC層110を有する第2のLCセル108を含む。基板112は、例えば、層106、110の両方を制御する電極及び配列層を有するセル102、108の両方の一部とみなし得ることに留意されたい。一方または両方のLCセル102、108は、視野角を増加させるために、パイセル及び/または光学補償曲げ(OCB)セルを含んでもよい。以下に詳細に説明する理由により、LCセル102は、LCセル108よりも実質的に厚いことに留意されたい。
【0017】
いくつかの実施形態では、LCVRは、
図1B及び1Cの図に示されるように、ダブルネマチックLCセルを利用してもよい。LCVR120は、基板124、125、及びLC層126、127を有する第1のLCセル122を含む。基板124、125は、LC層126、127を制御するための電極及び配列層を有する。LCVR120は、基板129~131及びLC層132、133を有する第2のLCセル128を含む。基板125、129、及び130は、それぞれ隣接するLC層を個別に制御する電極及び配列層を有してもよい。
図1Aに示す例と同様に、第1のセル122は、第2のセル128よりも厚い(したがって、より大きな最大リターダンスを有する)。
【0018】
セル122及び128は、ダブルネマチックLCセルであり、これは、積層されたサブセルの中間基板の周りにミラーされたLC配列を有する2つのサブセルを有するLCセルである。
図1Cに示すように、LCセルのラビング方向は、各基板124、125、129~131上の矢印によって示され、各基板のいずれかの側の液晶層の分子がそれに沿って配向する好ましい方向である。したがって、各基板124、125、129~131上の矢印の方向に偏光された光(異常光線またはe光線)は、直交に偏光された光(常光線またはo光線)に対して遅れる。したがって、LCセル122、128について、層126及び132のリターダンスの一次角依存性は、層127及び133のリターダンスの一次角依存性によってそれぞれ打ち消される。
【0019】
上述のように、LCVRは、ハイパースペクトル画像化などの用途に使用される偏光干渉計に使用されてもよい。ハイパースペクトル画像化デバイス200の一例が
図2のブロック図に示されている。デバイス200は、LCVR206の遅軸に対して名目上45度、入射偏光方向に入射光212を偏光する第1の偏光子202を有する偏光干渉計201を含む。LCVR206は、
図1A~1Cに関連して記載した実施形態のいずれかに従って構成されてもよく、少なくとも第1の厚いLCセル206A及び第2の薄いLCセル206Bを含む。セル206A~Bは、任意の順序で配列されてもよく、例えば、薄いセル206Bを厚いセル206Aに対して左側に置いてもよいことに留意されたい。
【0020】
LCVR206内の液晶セルは、電気的に同調可能な複屈折素子として機能する。LCセル206A~B間の電圧を変えることによって、液晶分子は、それらの配向を変化させる。この配向の変化は、入射光212のe光線とo光線との間の可変光路遅延を作ることを可能にする。この経路遅延は、2つの光線間の波長依存性位相シフトを引き起こし、それによって全偏光状態における波長依存性変化をもたらす。
【0021】
第1の偏光子202に対して平行または垂直に配向された第2の偏光子208またはアナライザは、e光線とo光線とを干渉させることによって、波長依存性偏光状態を波長依存性強度パターンに変化させる。(経路遅延の関数としての)強度パターンは、例えば、マイケルソン干渉計によって生成されたインターフェログラムと同等である。したがって、強度パターンは、経路遅延の関数としての入射光のスペクトルのコサイン変換に対応する。
【0022】
ハイパースペクトル画像化デバイスは、入射光212を偏光干渉計201の入力側201Aに集束させるレンズ210と、偏光干渉計201の出力端201Bから発する強度パターンを受信するための画像センサ214(例えば、焦点面アレイ)と、制御器216とを含んでもよい。制御器216は、セルの電極間に印加される電圧を変えることによって、第1及び第2のLCセル206A~B内のLC分子の配向を変えることができるデジタル及びアナログ回路を含んでもよい。LCVR206が
図1B~Cに示すようにダブルネマチックセルを使用する場合、そのとき、サブセル間の電極に追加の電圧を印加してもよく、このため、制御器216は、
図2に示すよりも多くの信号線を使用してもよいことに留意されたい。
【0023】
LVCR206上の電圧を制御器216によって変化させるときに画像センサ214を介して一連の画像化を記録することにより、画像中のすべての点におけるインターフェログラムを同時にサンプリングすることができ、ハイパースペクトルデータキューブは、空間的に変わるインターフェログラムの光路遅延に対する逆コサイン変換によって回復することができる。LVCRを使用するハイパースペクトル画像化デバイスのさらなる詳細は、米国特許出願第2016/0123811号に見出すことができる。
【0024】
ハイパースペクトル画像化に使用されるLCVRは、高いリターダンス、したがって狭いスペクトル分解能を達成するために、比較的厚いLC層を有する。所与のLCセル(例えば、ダブルネマチックLCセル)内に2つ以上のLC層が使用される場合、LC層は、制御スキームを単純化するために、例えば、同じ波形で層を駆動することができるように、厚さが等しくてもよい。これらのセルの厚さが大きいことは、それらが長い時間定数を有することを意味するので、フィードフォワード制御のいくつかの形態は、LCVRの全状態を制御するために及びフィードバック制御のみが遅すぎるときにLCVRの特性に影響を及ぼす条件を補償するために使用されてもよい。例えば、LCVRのリターダンスは、温度に依存するので、LCVR206に熱的に結合された温度センサ218は、特定のリターダンス状態を達成するために、制御器216を介してLVCRに印加された電圧についての補償値を計算するために使用されてもよい。しかしながら、LCVR206に印加されたときの時間の関数として所望のリターダンス軌道を生成する理想制御出力からのフィードフォワード制御出力の偏差のために、リターダンス誤差と呼ばれるこの所望のリターダンス軌道からの偏差が存在し得る。
【0025】
制御理論の分野で既知の2種類の制御は、フィードフォワード制御及びフィードバック制御である。フィードフォワード制御は、ある特定の出力軌道に影響を及ぼすために、システム及びそのダイナミクスに関する知識を使用する。これは、典型的には、大きな熱質量を伴う温度制御システムに既知の熱擾乱が導入されたときなどのダイナミックスに関連する長い時定数を有する用途で使用される。そのような状況における時定数は、長過ぎてフィードバック制御だけでは効果的ではない場合がある。フィードバック制御は、システム出力軌道の偏差/誤差を所望の軌道から測定し、負のフィードバックをシステム入力に適用して偏差を補正する。フィードバック制御は、制御ループの時定数が対象の時間スケールに対して短いときに良好に機能する。
【0026】
種々の用途のために高リターダンスLCVRに使用される厚いLCセル層では、フィードバック制御は、制御ループの時定数が種々の用途にとって対象のタイムスケールに対して長過ぎる場合があるため、あまり効果的ではない可能性がある。時定数を短縮するために、液晶層の厚さを減少させることができるが、これは、LCVRの全リターダンスストロークを減少させる。したがって、同じリターダンスを達成するためにはより多くのLC層を追加する必要があり、システムの複雑さが増す。本明細書に記載される実施形態は、LCVRを、フィードフォワード制御のみによって制御される1つ以上の層と、主にフィードバック制御によって制御される1つ以上の他の層とに分離することによって、これらの限界を克服することができる。
【0027】
この例は
図2に示されており、第1のLC層206Aは、第2のLC層206Bと比較して相対的に厚い。より厚いセル206Aは、フィードフォワード制御によって制御され、より薄いセル206Bは、フィードバック制御によって制御される。フィードバック制御されたセル206Bは、より厚いフィードフォワードセル206Aのみにフィードバック制御を適用することによって、十分急速に補正することができなかった全リターダンスの誤差について迅速に補正するために使用することができる。一般に、リターダンス誤差、または所望のリターダンス軌道からの偏差は、LCVRの全リターダンスストロークに比べて小さいので、より薄いセル206Bは、これらの誤差に対応するのに十分な厚さであればよく、依然として、リターダンス誤差の短い時定数の変動に迅速に反応することができる。
【0028】
例えば、ハイパースペクトル画像化用途に使用される単一層のLCセルについての典型的なLC層の厚さは、50ミクロンであってもよい。LCセルの応答時間は、厚さの二乗に比例するので、5ミクロンの厚さのより薄いセルは、より厚いセルの応答時間よりも100倍短い(すなわち1/100th)応答時間を有するが、名目上最大10%のリターダンス誤差を補償することができる。より薄いセル206Bの応答時間がはるかに短いので、それを使用して、リターダンス誤差を生じるよりもはるかに速い速度でリターダンス軌道を補正することができる。これは、リターダンス誤差が、より厚いセル206Aの応答時間によって制限された速度でしか生じず、理想フィードフォワード信号の誤算に応答して生じるからである。実用的な用途では、より厚いセルは、より薄いセルが、より厚いセルよりも少なくとも25倍の応答時間を有するように、より薄いセルよりも少なくとも5倍厚くてもよい。
【0029】
リターダンスフィードバック信号を提供するために、単色光源(例えば、レーザダイオード220)を使用して、画像センサ214の一部(例えば、1つ以上のピクセル)及び/または偏光干渉計201を介してフォトダイオードなどの別の光学センサ222に照射することができる。画像センサ214及び/または光学センサ222は、偏光干渉計201の出力端201Bから発する光の検出された強度に基づいて変わる電気出力を提供する。次に、制御器216は、偏光干渉計201を通過した光の現在及び以前に検出された強度に基づいて、LCVR206の全リターダンス状態を計算する。制御器216は、LCVR状態に関するこの情報をフィードバックとして使用して、セルのうちの1つ、例えば、LCVR206内のより薄いLCセル206Bに印加するために次の電圧を計算する。また、この情報を使用して、フィードフォワード制御器に関するその制御アルゴリズムを更新して、次にそのリターダンスがある特定の軌道をたどるように指令されたときにLCVR206Aのより正確なモデルを提供することができる。このようにして、ある特定のリターダンス軌道を生じさせるための理想電圧波形からの偏差が反復的に補正され、電圧波形は、それらの理想値に収束し、瞬時リターダンス誤差を補正するためにフィードバック制御器への依存度が低くなる。
【0030】
図3において、制御図は、例示的な一実施形態によるフィードバック及びフィードフォワード配列を示す。フィードバック制御器300は、第2の比較的薄いLC層206Bを囲む電極に出力信号305を印加する。フィードバック制御器300は、入力302、例えば、時間の関数としての所望のリターダンス軌道、または所望のリターダンス軌道の特定の時間における特定のリターダンスを利用する。入力302は、フィードバック制御器300への入力などの
図3の1つの位置における瞬時リターダンス、及びフィードフォワード制御器306への入力などの
図3の別の位置におけるリターダンス軌道を表すことができることに留意されたい。フィードバック信号304は、例えば、レーザダイオード220または他の光源(例えば、発光ダイオード)によって照射される偏光干渉計201の応答に基づいて、画像センサ214または光検出器222から得られる。典型的には、このフィードバック信号304は、既知の波長の単色光源のインターフェログラムである。
【0031】
フィードバック信号304は、リターダンス信号308を得るために、リターダンス抽出器311を介して処理される。リターダンス誤差信号321は、加算ブロック320によって得られ、LC層206Bに印加される出力信号305を調整するために制御器300によって使用される。フィードバック信号304は、経路323によって示されるように、LC層206A、206Bの静電容量測定の代わりに、またはそれに加えて導出され得ることに留意されたい。また、経路325及び327によって示されるように、リターダンス信号308及び/または入力302は、フィードバック制御器300に直接送信されてもよい。制御器300には、これらの信号の両方に依存するより複雑な動作が存在してもよい。
【0032】
フィードフォワード制御器306は、少なくとも第2の比較的厚いLC層206Aを囲む電極に出力信号312を印加する。フィードフォワード制御器306は、入力302を利用して出力信号312を調整して、時間の関数としてLCVR206のリターダンスを制御し、出力信号312は、LC層206Aのフィードフォワード動的制御モデル、例えば、異なる温度及び/またはリターダンススキャン時間に対応するように出力信号312を調整するものに基づいて調整される。上述したように、例えば、リターダンス誤差信号321の平均絶対値が所与の閾値を超える場合、フィードフォワード制御器306の動作点を規定するパラメータを調整することができる。フィードフォワード制御器306は、リターダンス抽出器311からリターダンス信号308を直接的に得て処理してもよく、または経路307によって示されるように、フィードバック信号300を介して、誤差信号321または誤差信号321から導出されたいくつかの他のメトリックを受信してもよい。フィードフォワード制御器306の出力信号312は、少なくとも温度センサ218から受信した信号310に基づいて変えてもよい。フィードバック制御器300の出力信号はまた、経路309によって示されるように、検知された温度に依存してもよい。
【0033】
フィードバック及びフィードフォワード制御器300、306は共に、画像センサ214によって測定されたインターフェログラムの精度を向上させる。インターフェログラムは、ハイパースペクトル画像化データまたはハイパースペクトルデータキューブを得る信号プロセッサ314によって処理される。場合によっては、信号プロセッサ314は、そのインターフェログラムからハイパースペクトル画像化データを計算するときに、所与のインターフェログラムについてのリターダンス軌道に関する情報を使用してもよい。例えば、インターフェログラムサンプルをインターフェログラムにフーリエ変換を適用してハイパースペクトルデータキューブを計算する前に、均一なリターダンスステップで補間してもよい。これは、リターダンス情報をリターダンス抽出器311から信号プロセッサ314に伝達する経路315によって示される。制御器300、306、及び他の処理ブロック311、314は、1つ以上の制御器デバイス、例えば、システムオンチップ、特定用途向け集積回路などの上に実装されてもよく、したがって、制御器及び/または制御器デバイスと総称してもよいことに留意されたい。
【0034】
上述したように、LCVRは、典型的には、偏光干渉計内で使用されるとき、正の経路遅延及び負の経路遅延の両方にまたがるゼロパス遅延またはそれに近いインターフェログラムの測定を防止することができる、その最低リターダンス状態でいくつかの残留リターダンスを有する。これは、インターフェログラム信号の大部分がゼロパス遅延及びその近くに存在するので望ましくない。その最低リターダンス状態でのLCVRの残留リターダンスは、LCVRをゼロパス遅延(または負のパス遅延)状態にすることができる固定波長板(LCVR遅軸に対して90°の遅軸)の追加によって対処することができる。これは、例示的な実施形態による偏光干渉計400のブロック図である
図4Aに見られる。
【0035】
偏光干渉計400は、第1の偏光子402、LCセル404、LC波長板406、及び第2の偏光子408を含む。
図4に示す構成要素は、上述した同名の構成要素と同様に構成されてもよく、例えば、いくつかの実施形態では、LCVR404は、1つ以上のダブルネマチックセル及び/または薄い/厚いセルの組み合わせを含んでもよい。制御器410は、上述のように、リターダンスを変えるためにLCVR404に信号を印加する。波長板406は、LCセル404の残留リターダンスを補正するために提供される。
【0036】
液晶は、一般的な波長板材料とは異なる分散特性を有することに留意されたい。また、液晶の分散は、温度の変化によって大きく変わる可能性がある。したがって、波長板406が方解石または石英などの共通波長板材料から製作された場合、各波長は、温度によって変わるように、LCVR404のわずかに異なる状態でゼロパス遅延を達成する。これは、LCVR404で得られたインターフェログラムに位相誤差を導入し、これらのインターフェログラムから計算されたハイパースペクトル画像においてアーチファクトを引き起こす可能性がある。例証された波長板406は、LCVR404で使用されるのと同じ液晶材料から作製されることによりこれを克服する。このようにして、波長板406及びLCVR404の残りの両方が同じ分散特性を有することによって、すべての波長が、広い温度範囲にわたってLCVR404の同じ状態でゼロパス遅延を達成する。
【0037】
LC波長板406は、一般に、LCVR404の最大リターダンスのわずかな部分を補償することを意図しているので、LCVR404自体のLC層の組み合わせの厚さと比較して、一般に非常に薄い。このように、LC波長板406は、一般に、LCVR404の最大リターダンスよりも小さい最大リターダンスを有する。
図4Aに示すように、液晶波長板406は、固定されており、例えば制御器410によって駆動されない。他の実施形態では、液晶波長板を2つの状態の間で能動的に駆動してもよい。これは、
図4Bに示されており、
図4Bは、
図4Aの構成要素が
図4Aに関して記載された同様の/同じ構成要素と同じ参照番号を使用する、別の例示的な実施形態による偏光干渉計411を示す。
【0038】
偏光干渉計411は、制御器410によって2つの状態の間で駆動される電極416A~Bを含むLC波長板416を含む。例えば、ある状態では、液晶ダイレクタが電極に対して垂直に駆動され得るので、LC波長板416は、最小リターダンスを有する。他の状態では、液晶ダイレクタが電極に対して平行に駆動され得るので、LC波長板416は、最大リターダンスを有する。上記は正の複屈折を仮定しており、逆の場合は負の複屈折が生じる。
【0039】
ハイパースペクトル画像化に使用されるとき、第1の状態と第2の状態との間で選択することにより、検出された干渉計信号をゼロパス遅延またはゼロリターダンスについて名目上対称または名目上片面(クリッピングまたは非対称)にすることができる。名目上片面のインターフェログラムは、絶対パス遅延が最も大きく、したがって最高のスペクトル分解能を達成する。しかしながら、位相誤差が存在する場合、それらは、計算されたハイパースペクトル画像データにアーチファクトを導入してもよく、この場合、位相情報を回復するのに十分な両面の対称インターフェログラムを十分に測定することが望ましい。この波長板の各状態について測定されたものである2つのインターフェログラムは、負の経路遅延-Lから正の経路遅延+2Lまで名目上測定されたインターフェログラムに組み合わせることもできる。したがって、位相補正及び高スペクトル分解能の利点を同時に実現することができる。
【0040】
図5において、フローチャートは、例示的な実施形態による方法を示す。本方法は、LCVRの温度を示す温度信号を受信すること500を伴う。LCVRは、第1のLCセル及び第2のLCセルを含み、第1のLCセルは、第2のLCセルよりも厚い。第1のLCセルに印加されるフィードフォワード信号は、温度信号に応じて変わる501。リターダンス誤差信号は、LCVRを通して光を受信するように結合されたセンサを介して受信される502。リターダンス誤差信号に応答して、第2の液晶セルに印加された信号が変わる503。
【0041】
図6において、フローチャートは、別の例示的な実施形態による方法を示す。LC波長板は、第1の状態において、液晶波長板が最小リターダンスを有するように、LCVRに対して配向される600。これは、偏光干渉計で使用されるとき、干渉計出力をゼロパス遅延について名目上片面(片面インターフェログラム)にさせることができる。液晶波長板は、第1の状態から最大リターダンスを誘発する第2の状態に切り替えられる601。最大リターダンスは、偏光干渉計で使用されるとき、干渉計出力をゼロパス遅延について名目上対称にさせる最大パス遅延をもたらす。
【0042】
他の実施形態では、第1の状態の最小リターダンスを使用して、LCVRの残留リターダンスを補償することができる。または、第1の状態が名目上片面インターフェログラムを生じさせるために使用される場合、LCVRの残留リターダンスは、
図4Aに示されるような受動または固定波長板などのさらに別の波長板またはLC層によって補償することができる。
【0043】
図7において、ブロック図は、例示的な実施形態による装置700を例証する。装置700は、中央処理装置、サブプロセッサ、デジタル信号プロセッサなどの1つ以上のプロセッサを含んでもよいデバイス制御器702を含む。制御器702は、以下により詳細に記載される機能モジュールを含むメモリ704に結合される。メモリ704は、揮発性メモリと不揮発性メモリとの組み合わせを含んでもよく、当技術分野で既知のような命令及びデータを記憶してもよい。
【0044】
この装置は、装置700の外部から光を受信する外部インターフェース708を含む光学セクション706を含む。外部インターフェース708は、装置700の外部から内部光学部品に光を通過させるのに好適な窓、レンズ、フィルタなどを含んでもよい。この例では、インターフェース708は、外部レンズ710に結合されるように構成される。
【0045】
偏光干渉計712は、装置700の光学セクション706内にある。偏光干渉計712は、例えば、電気信号線を介して制御器702に結合される。制御器702は、偏光干渉計712に信号を印加して、干渉計712の一部であるLCVR712Aに時変光路遅延またはリターダンスを生じさせる。この時変光路遅延は、光路遅延の関数として変わるインターフェログラムを作る。インターフェログラムは、制御器702にも結合されている画像センサ714(例えば、一連のセンサピクセルまたは焦点面アレイ)によって検出される。偏光干渉計712及びLCVR712Aは、前述の実施形態と同様に構成されてもよい。
【0046】
フィードバックセンサ716及びフィードフォワードセンサ718は、LCVR712Aと一体化されてもよいし、LCVR712Aに取り付けられてもよい。一般に、フィードフォワードセンサ718は、フィードフォワード制御モデルに組み込まれ得るLCVR712A内のLCセルの状態(例えば、温度)を検知する。フィードバック制御モジュール720は、フィードバックセンサ716を介して作成された信号を使用して、LCVR712Aの少なくとも1つのLCセル(例えば、比較的薄いLCセル)を制御する。一実施形態では、フィードバックセンサ716は、光検出器信号からリターダンスを抽出するために信号処理と組み合わされた、干渉計712の一方の側の単色光源及び干渉計712の他方の側の光検出器である。上述のように、画像センサ714は、フィードバックセンサ716の一部として使用されてもよい。他の実施形態では、フィードバックセンサ716は、干渉計712内のLCセルのうちの1つ以上の静電容量を測定する回路を含むことができる。この静電容量信号は、ルックアップテーブルまたは他の手段によってリターダンス信号に変換することができる。
【0047】
フィードフォワード制御モジュール722は、フィードフォワードセンサ718を介して作成される信号(例えば、温度信号)を、LCVR712Aの少なくとも1つの他のLCセル(例えば、比較的厚いLCセル)を制御するために使用されるフィードフォワード制御モデルへの入力として使用する。温度は、フィードフォワード制御モデルの動作点を調整し、モデルの出力は、LCVR712Aの1つ以上のLCセルに適用される制御入力を修正するために使用される。フィードフォワード制御モジュール722によって使用される制御モデルは、フィードバックモジュール720によって検知されるリターダンス誤差に基づいてさらに調整されてもよい。例えば、フィードフォワード制御モデルの出力は、所望のリターダンス軌道からのLCVR712Aのリターダンス軌道の系統的な偏差を補償するようにさらに調整することができる。このようにして、フィードバック制御モジュール720は、主として、より薄いLCセルを使用して、所望のリターダンス軌道からのリターダンスの短時間スケール、ランダム(系統的ではない)偏差を補償する。
【0048】
いくつかの実施形態では、偏光干渉計712は、LCVR712A中のLC層の残留リターダンスを補償するLC波長板712Bを含んでもよい。そのような場合、LC波長板712Bは、固定であっても非駆動であってもよい。他の実施形態では、LC波長板712Bは、最小及び最大リターダンスをそれぞれ有する第1の状態と第2の状態との間でLC波長板712Bを切り替える波長板制御モジュール724によって駆動されてもよい。これらの状態は、離散状態、例えば、中間状態ではないが、離散状態間をトグル式に切り替えるために使用される信号は、例えば、フィードバックまたはフィードフォワード調整を介して局所条件に基づいて変えてもよい。
【0049】
装置700は、偏光干渉計712を通過する光の部分の相対的な経路遅延がある期間にわたって修正される、ハイパースペクトルイメージャとして構成されてもよい。この経路遅延は、画像センサ714の各ピクセルで検知される時間及び位置依存性インターフェログラムをもたらす。インターフェログラムは、パス遅延の関数として記録された信号の逆コサイン変換またはフーリエ変換を実行することによって処理され、ハイパースペクトルデータキューブをもたらす。この処理は、画像処理モジュール726によって実行されてもよい。処理の一部または全部は、データ転送インターフェース728を介して装置700に結合されたコンピュータ730などの外部デバイスによって実行されてもよい。
【0050】
上述の種々の実施形態は、特定の結果を提供するために相互作用する回路、ファームウェア、及び/またはソフトウェアモジュールを使用して実装されてもよい。関連分野の当業者は、当技術分野で一般的に既知の知識を使用して、モジュラーレベルで、または全体として、そのような記載された機能性を容易に実装することができる。例えば、本明細書に例証されるフローチャート及び制御図は、プロセッサによる実行のためのコンピュータ可読命令/コードを作るために使用されてもよい。そのような命令は、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶され、当技術分野で既知のように実行のためにプロセッサに転送されてもよい。上に示した構造及び手順は、上で記載した機能を提供するために使用することができる実施形態の代表例に過ぎない。
【0051】
他に示さない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される特徴の大きさ、量、及び物理的特性を表すすべての数字は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、反対に示されない限り、上記の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本明細書に開示される教示を利用して当業者が得ようと試みる所望の特性に応じて変えることができる近似値である。端点による数値範囲の使用には、その範囲内のすべての数(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)及びその範囲内の任意の範囲が含まれる。
【0052】
例示的な実施形態の前述の説明は、例証及び説明のために提示されたものである。包括的であること、または実施形態を開示された精密な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示に照らして、多くの修正及び変形が可能である。開示された実施形態のいずれかまたはすべての特徴は、個別にまたは任意の組み合わせで適用することができ、限定することを意図したものではなく、純粋に例証するものである。本発明の範囲は、この詳細な説明によって限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲によって決定されることが意図される。