(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】ラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)を含む組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/747 20150101AFI20220516BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20220516BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220516BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220516BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20220516BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20220516BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20220516BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20220516BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20220516BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220516BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20220516BHJP
A61K 31/575 20060101ALI20220516BHJP
A61K 31/702 20060101ALI20220516BHJP
A23L 33/135 20160101ALI20220516BHJP
【FI】
A61K35/747
A61P3/06
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K47/36
A61K47/12
A61K47/04
A61K9/48
A61K9/19
A61K47/26
A61K47/46
A61K31/575
A61K31/702
A23L33/135
(21)【出願番号】P 2018517343
(86)(22)【出願日】2016-11-02
(86)【国際出願番号】 GB2016053389
(87)【国際公開番号】W WO2017077285
(87)【国際公開日】2017-05-11
【審査請求日】2019-11-05
(32)【優先日】2015-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【微生物の受託番号】NCTC ECGC13110402
(73)【特許権者】
【識別番号】516128485
【氏名又は名称】オプティバイオティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202577
【氏名又は名称】林 浩
(72)【発明者】
【氏名】オハラ ステファン パトリック
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/067947(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/067948(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体における低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベルの低
減において使用するための、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)2830(ECGC13110402)またはその1つもしくは複数の変異株を含む組成物。
【請求項2】
個体における上昇した低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベル
の処置において使用するための、
または、個体における低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベルの上昇の予防において使用するための、ラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)またはその1つもしくは複数の変異株を含む組成物。
【請求項3】
前記ラクトバチルス・プランタルムが、用量あたり1×10
5~1×10
12細胞の範囲内の量で存在する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ラクトバチルス・プランタルムが、用量あたり1×10
8~1×10
10細胞の範囲内の量で存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記ラクトバチルス・プランタルムが、用量あたり約1.8×10
9細胞を与える活性株約120mgの量で存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
以下の物質、トウモロコシデンプン、ステアリン酸マグネシウム、および二酸化ケイ素のうちの1つ以上をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
1日2回の投与のための、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
カプセル化されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ラクトバチルス・プランタルムが濃縮された形態および/または凍結乾燥された形態にある、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
ビタミン、ミネラル、植物性化学物質、酸化防止剤、充填剤材料、およびそれらの組合せから選択される1つ以上の活性成分をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記充填剤材料が、マルトデキストリン、スクロース、またはベータグルカンのうちの1つ以上を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
以下の物質、スタチン、ステロール、および/またはスタノールのうちの1つ以上をさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
オリゴ糖をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記オリゴ糖が、酵素反応により、前記ラクトバチルス・プランタルムの株によって生産される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記オリゴ糖がガラクト-オリゴ糖(GOS)を含む、請求項13または14に記載の組成物。
【請求項16】
1日1回または2回、用量あたり1×10
5~10
12細胞の範囲内の量で投与される、
個体における上昇した低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベル
を処置する方法において使用するための、
または、個体における低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベルの上昇を予防する方法において使用するための、
ラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)、またはその1つもしくは複数の変異株。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コレステロールの処置、予防または制御において使用するためのラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)2830(ECGC13110402)を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
心血管疾患(CVD:cardiovascular disease)は世界的に死因の第1位である。世界保健機関(WHO:World Health Organisation)は、2020年までに、すべてのヒトの死の最大40%がCVDに関係することになると予測している。上昇した血中コレステロールレベル、特に低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C:low density lipoprotein cholesterol)の増大したレベルは、CVDおよび冠動脈疾患(CAD:coronary artery disease)にとって既知の危険因子である。それゆえに、コレステロールレベル、特にLDL-Cレベルを低減し、制御するための治療法が、さかんに研究されている。
【0003】
現在使用されているコレステロール降下療法の大部分はスタチンである。しかし、スタチンにはコンプライアンスに影響を及ぼすさまざまな不耐性および安全性の懸念があり、またスタチンは高価である。スタチンの可能な代替物として植物ステロールおよび植物スタノールが調査されている。しかし、7%~10.5%のLDL-Cの平均低減を達成するには、これらの物質を、ティースプーン3~4杯と、多量に服用する必要がある。植物ステロールおよび植物スタノールは高価なので、これは問題である。
【0004】
それゆえに、血中コレステロールプロファイルを改良するためのプロバイオティクスなどの非薬物療法への関心も高まっている。いくつかの研究が、脂質、グルコース、およびエネルギー代謝の調節におけるシグナリング分子としての胆汁酸の役割を同定している。胆汁酸は、食事性脂肪および食事性コレステロールを循環へと輸送する。胆汁酸調節因子を調節することによるコレステロールレベルの低減における微生物株の使用は公知である。胆汁酸塩ヒドロラーゼ(BSH:Bile Salt Hydrolase)活性プロバイオティクスは管腔内胆汁酸脱抱合を増加させて、増加した循環脱抱合型胆汁酸塩レベルをもたらすことが、ヒトおよび動物研究において示されている。胆汁酸は腸内で脱抱合されるので、食事性および胆汁性コレステロールの吸収が低減し、胆汁の再循環が改変されて、より良好な血中(LDL-C)レベルの制御をもたらす。いくつかの研究が、市販ヨーグルト中のプロバイオティクスを試験して、その脂質降下効果を示している。
【0005】
特許文献1では、高上部胃腸生残特徴を持つBSH活性プロバイオティクスとして、ラクトバチルス・プランタルム株が提唱されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高コレステロールのための改良された処置または代替的処置を提供することが、本発明の目的である。個体におけるコレステロールレベルを処置し、予防し、または他の形で制御する方法を提供することも、本発明の目的である。個体におけるコレステロールレベルを低減するために使用することができるプロバイオティック組成物を提供することは、本発明のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様では、個体における総コレステロール(TC:total cholesterol)レベルおよび低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベルの低減または調整において使用するための、ラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)またはその1つもしくは複数の変異株を含む組成物が提供される。
【0009】
本発明の第2態様では、個体における上昇した総コレステロール(TC)レベルおよび低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベルの管理、処置または予防において使用するための、ラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)またはその1つもしくは複数の変異株を含む組成物が提供される。
【0010】
本発明の第3態様では、個体における高コレステロール血症の管理、処置または予防において使用するための、ラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)またはその1つもしくは複数の変異株を含む組成物が提供される。
【0011】
本発明の第4態様では、高コレステロール血症の処置または予防のための医薬品の製造において使用するためのラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)が提供される。
【0012】
本発明の第5態様では、高コレステロール血症の処置または予防方法におけるラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)が提供される。
【0013】
本発明の第6態様では、高コレステロール血症の管理、処置または予防のための栄養補助食品(food supplement)または食品材料の製造において使用するための、ラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)が提供される。
【0014】
関連する態様において、高コレステロール血症は軽度高コレステロール血症であることが好ましい。
【0015】
好ましくは、ラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)は105cfu~1012cfuの範囲内の量で個体に投与されるであろう。より好ましくは、ラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)は108cfu~1010cfuの範囲内の量でありうる。ただし、個体の状態に応じて異なる投与量が投与されうることは理解されるであろう。最も好ましくは、ラクトバチルス・プランタルムは、約1.8×109cfuを与える活性株約120mgの量である。
【0016】
本組成物は、剤形の製造および摂取後のその破壊に必要な賦形剤を、さらに含みうる。本組成物は崩壊剤、結合剤、潤滑剤および流動促進剤をさらに含みうる。
【0017】
本組成物は、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrollidone)、デンプングリコール酸ナトリウムおよびカルボキシメチルセルロースから選択される1つ以上の崩壊剤を、さらに含みうる。
【0018】
本組成物は、デンプン、サッカライド、セルロース、糖アルコール、ゼラチン、ポリビニルピロリドンおよびポリエチレングリコールから選択される1つ以上の結合剤を、さらに含みうる。好ましくは、本組成物はトウモロコシデンプンをさらに含む。
【0019】
本組成物は、タルク、炭酸マグネシウム、ヒュームドシリカおよび二酸化ケイ素から選択される1つ以上の流動促進剤を、さらに含みうる。好ましくは、本組成物は二酸化ケイ素をさらに含む。
【0020】
本組成物は、ステアリン酸、植物性ステアリンおよびステアリン酸マグネシウムから選択される1つ以上の潤滑剤をさらに含みうる。好ましくは、本組成物はステアリン酸マグネシウムをさらに含む。
【0021】
投与頻度も個体の状態に依存するであろうが、好ましくは、本組成物は1日2回投与されるであろう。
【0022】
本組成物は1日のうちのいつ投与されてもよい。しかし好ましくは、本組成物は食前に投与される。
【0023】
本組成物が、例えば粉末、錠剤、またはカプセル剤の形態など、容易に投与される任意の形態をとりうることは、当業者には理解されるであろう。あるいは、本組成物は食品材料または食品添加物の形態をとりうる。本組成物は、固形または液状の食品材料と混合することができる飲用可能な流動体、スプレッドおよび/または粉末の形態をとりうる。本組成物は、例えば食品/飲料に配合されるまたは食品/飲料と並行して消費される、健康補助食品(dietary supplement)として使用することができるであろう。
【0024】
本組成物は、腸環境での、成分のうちの1つ以上の放出プロファイルを修飾するための賦形剤または担体化合物を、さらに含みうる。放出は、コレステロール吸収を低減するのに最も適当な時間に起こるべきである。典型的には、培養物は、それが小腸の腸細胞に到達するまでは、比較的完全な形で生き残らなければならない。
【0025】
本組成物はカプセル化することができる。数多くのカプセル化技法が当業者には明らかであるだろう。そして使用されるカプセル化技法は、消化管通過時に要求されるラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)の安定性に適合しているであろう。
【0026】
ラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)は濃縮および/または凍結乾燥されうる。好都合なことに、ラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)は、パイロット規模の試験製造において優れた凍結乾燥生残性を示している。
【0027】
本組成物は、ビタミン、ミネラル、植物性化学物質、酸化防止剤、およびそれらの組合せから選択される1つ以上の活性成分を、さらに含みうる。
【0028】
ビタミンは、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、およびビタミンなどの脂溶性ビタミン、ならびにそれらの組合せを包含しうる。いくつかの実施形態において、ビタミンは、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンB群(チアミン、すなわちB1、リボフラビン(riboflavoin)、すなわちB25、ナイアシン、すなわちB3、ピリドキシン、すなわちB6、葉酸、すなわちB9、シアノコバラミン(cyanocobalimin)、すなわちB12、パントテン酸、ビオチン)などの水溶性ビタミン、ならびにそれらの組合せを包含しうる。
【0029】
ミネラルは、ナトリウム、マグネシウム、クロム、ヨウ素、鉄、マンガン、カルシウム、銅、フッ化物、カリウム、リン(phosphorous)、モリブデン、セレン、亜鉛、およびそれらの組合せを包含しうるが、これらに限定されるわけではない。
【0030】
酸化防止剤は、アスコルビン酸、クエン酸、ローズマリー油、ビタミンA、ビタミンE、リン酸ビタミンE、トコフェロール、リン酸ジ-アルファ-トコフェリル、トコトリエノール、アルファリポ酸、ジヒドロリポ酸、キサントフィル、ベータクリプトキサンチン、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、ベータ-カロテン、カロテン、混合カロテノイド、ポリフェノール、フラボノイド(fiavonoid)、およびそれらの混合物を包含しうるが、これらに限定されるわけではない。
【0031】
植物性化学物質は、カロテノイド(cartotenoid)、クロロフィル、クロロフィリン、繊維、フラバノイド、アントシアニン(anthocyamn)、シアン化物(cyaniding)、デルフィニジン、マルビジン、ペラルゴニジン、ペオニジン、ペツニジン、フラバノール、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、没食子酸エピガロカテキン(epigailocatechingallate)、テアフラビン、テアルビジン、プロアントシアニン、フラボノール、ケルセチン、ケンペロール、ミリセチン、イソラムネチン、フラボノンヘスペレチン(flavononeshesperetin)、ナリンゲニン、エリオジクチオール、タンゲレチン、フラボン、アピゲニン、ルテオリン、リグナン、フィトエストロゲン、レスベラトロール、イソフラボン、ダイゼイン、ゲニステイン、グリシテイン、大豆イソフラボン、およびそれらの混合物を包含しうるが、これらに限定されるわけではない。
【0032】
本組成物は、ラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)に特に適合しているプレバイオティクスを含みうる。本プレバイオティクスは、ラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)の成長および生残性を選択的に高めうる。
【0033】
本組成物は1つ以上の充填剤をさらに含みうる。本組成物は、以下から選択される1つ以上の充填剤を、さらに含みうる:マルトデキストリン、スクロース、またはコレステロール低減能を持つ充填剤。好ましくは、本組成物は、コレステロールを低減することで本組成物中の他の賦形剤のコレステロール低減/制御機能を協同的に強化することができるベータグルカンを、さらに含む。
【0034】
本組成物は、1つ以上のスタチン、ステロールおよび/またはスタノールと共に投与されうる。好都合なことに、公知のコレステロール降下治療薬との共投与は、強化されたコレステロールの低減および/または制御をもたらすことができる。植物ステロールは、アテローム性プラークの一部ならびに植物ステロールおよび植物スタノールの長期使用者の網膜に見いだされている血清中植物ステロールのレベルを増加させることが示されている。BSH活性プロバイオティック細菌は、循環コレステロールおよび循環植物ステロールを低減することが示されている。それゆえに、植物ステロールとBSH活性プロバイオティクスとの組合せは、コレステロールレベルを低減/制御し、植物ステロールの血清中レベルを低減して、ステロール製品の安全性プロファイルを有利に改良することができる。機構上、BSH活性細菌は、胆汁酸塩脱抱合を増加させステロール吸収を低減するので、スタチンと補完的に働いて、LDL受容体活性および血清コレステロールのクリアランスを増幅するはずである。それゆえに、BSH活性プロバイオティクスとスタチンの共投与は、より大きな血清中LDL-Cの低減をもたらすことで、スタチン投与量の低減を可能にし、よってコストおよび副作用を低減し、患者コンプライアンスを改善できる可能性がある。
【0035】
好ましくは、本組成物は4℃以下で保存される。この温度範囲では細菌の成長が安定化するので、組成物の安定性が保証される。
【0036】
本組成物は、ラクトバチルス・プランタルムの株の成長に特異的なプレバイオティック成長培地を、さらに含みうる。プレバイオティック成長培地は、好ましくは、逆酵素反応により、ラクトバチルス・プランタルムの株によって生産されうるであろう。この酵素は、糖分解酵素またはグリコシダーゼ酵素を含みうる。これらの糖分解酵素またはグリコシダーゼ酵素は細菌または真菌に由来しうる。
【0037】
プレバイオティック成長培地は、ガラクト-オリゴ糖(galacto-oligosacharide)(GOS)、グルコ-オリゴ糖(gluco-oligosacharide)、またはフルクト-オリゴ糖(FOS)などのオリゴ糖を、さまざまな濃度で含みうる。オリゴ糖の形態は、本株のβ-ガラクトシダーゼ、α-ガラクトシダーゼ、α-およびβ-グルコシダーゼ、α-マンノシダーゼ、ならびにβ-キシロシダーゼの逆反応によって生産される形態と実質的に同じであることが好ましい。
【0038】
プレバイオティック成長培地は、安全性、耐性、および貯蔵寿命に悪影響を及ぼすことなく腸内で本株の最適な成長および生残をもたらす量で存在しうる。
【0039】
本発明のさらなる一態様によれば、1日2回、1×105~1012細胞の範囲内の量で投与される、高コレステロール血症を予防し、処置し、または調整する方法において使用するための、ラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)、またはその1つもしくは複数の変異株が提供される。
【0040】
より好ましくは、ラクトバチルス・プランタルムは、1×108~1×1010細胞の範囲内の量で投与されうる。最も好ましくは、ラクトバチルス・プランタルムは約1.8×109細胞の量で投与される。ラクトバチルス・プランタルムが活性株約120mgの量で投与されることも好ましい。
【0041】
ラクトバチルス・プランタルムは、朝食および夕食の直前、食中、または食後に投与されうる。好ましくは、ラクトバチルス・プランタルムは、朝食および夕食の直前に投与される。
【0042】
ラクトバチルス・プランタルムは、薬として、または健康補助食品として、投与されうる。
【0043】
ラクトバチルス・プランタルムは凍結乾燥された形態をとりうる。
【0044】
ラクトバチルス・プランタルムは、1つ以上の追加コレステロール降下成分と共に投与されうる。そのような成分はスタチン、ステロールおよび/またはスタノールを含みうる。さらにまた、ラクトバチルス・プランタルムは、1つ以上のプロバイオティクスおよび/またはプレバイオティクスと共に投与されうる。ラクトバチルス・プランタルムは、ラクトバチルス・プランタルムの株の成長に特異的なプレバイオティック成長培地と組み合わせて投与されうる。プレバイオティック成長培地は、好ましくは、逆酵素反応により、ラクトバチルス・プランタルムの株によって生産されうるであろう。プレバイオティック成長培地はオリゴ糖を含むことができ、そのオリゴ糖は好ましくはガラクト-オリゴ糖(GOS)を含むであろう。
【0045】
好ましくは、ラクトバチルス・プランタルムは、投与前は4℃以下で保存される。
【0046】
本発明のさらなる一態様によれば、医薬品または栄養補助食品の調製において使用するためのラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)またはその1つもしくは複数の変異株を生産する方法であって、
a)培養ブロスを生産するのに十分な条件下でラクトバチルス・プランタルムを発酵させる工程、
b)ラクトバチルス・プランタルム細胞の濃縮物が形成されるように培養ブロスからラクトバチルス・プランタルムを濃縮する工程、
c)混合物が形成されるように濃縮物を凍結保護物質にさらす工程、および
d)混合物を凍結乾燥する工程
を含む方法が提供される。
【0047】
上述の方法によるラクトバチルス・プランタルム細胞の凍結乾燥に関する生残率は70%超である。さらにまた、好都合なことに、本方法はラクトバチルス・プランタルム細胞を最大8×1011cfu/gの量で生産することが見いだされている。
【0048】
本方法は、当然、上述の組成物のためのラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)またはその1つもしくは複数の変異株を、さらに言えば上述のラクトバチルス・プランタルム2830(ECGC13110402)を、生産するのに適しているであろう。
【0049】
本発明のいくつかの態様に関して列挙した本組成物の特徴のうちのいくつかが、本方法において投与される組成物と交換可能であるだろうことは、当業者には明らかであるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の実施形態を、単なる例として、以下に説明する。
【0051】
ラクトバチルス・プランタルムECGC13110402を含む製剤を49人の軽度高コレステロール血症成人に投与することにより、安全性、コンプライアンスならびにコレステロールの低減および制御の程度を確立するために、ヒトボランティア試験を行った。この試験は、英国レディング大学(University of Reading)の食品栄養科学部(Department of Food and Nutritional Sciences)により、独立して実行された。この試験はヘルシンキ宣言に従って実行され、すべてのボランティアから文書によるインフォームドコンセントを得た。試験プロトコールはレディング大学の研究倫理委員会によって承認された。
【0052】
被験者は30~65歳の男女であった。被験者が直近6ヶ月以内の心血管イベントの既往を有している場合、甲状腺機能障害に関係する続発性異常脂質血症が存在する場合、被験者が過去3ヶ月間に脂質代謝に影響を及ぼす何らかの薬物を使用していた場合、被験者にアルコール乱用の経歴がある場合、被験者が過去6ヶ月間に抗生物質の投薬を受けていた場合、または被験者が直近の1ヶ月間にプレバイオティクス/プロバイオティック調製物を摂取していた場合、その被験者は除外した。
【0053】
本試験の開始に先だって、組み入れ基準を満たす被験者をスクリーニングした。ベースライン血液サンプルを採取し、被験者のBMIおよび血圧を測定した。総合的健康状態を決定するために、スクリーニング血液サンプルを全血球数(FBC:full blood count)および肝機能検査(LFT:liver function tests)について分析した。総コレステロール(TC)、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C:high density lipoprotein cholesterol)、空腹時トリアシルグリセロール(TAG:triacylglycerol)およびビタミンDも測定した。胆汁酸ならびにメタゲノム研究およびメタボロミクス研究のために、尿、血液および糞便を収集した。
【0054】
この試験は単一施設前向き無作為化二重盲プラセボ対照並行群間治験であった。被験者を、プラセボまたはラクトバチルス・プランタルムECGC13110402による処置の2群に、ランダムに分配した。プラセボ群および処置群に、ブリスター包装されたDR1カプセル剤を与えた。処置群には、1カプセルあたり1.8×109細胞の用量をもたらす120mgの活性ラクトバチルス・プランタルムECGC13110402を与え、これを、1日1回、または1日2回、朝食時に1回および夜に1回、健康補助食品として投与した。参加者には、治験期間を通して日常の食事または身体活動を変えないように勧告した。習慣的食事を事前検証済みの5日間食事日記(週末2日および平日3日)によって評価した。
【0055】
活性製剤およびプラセボ製剤に関する製剤の詳細をそれぞれ下記表1および表2に示す。
【0056】
【0057】
【0058】
ボランティアを試験開始の2週間前に事前スクリーニングし、あらゆるプレ/プロバイオティクス摂取を差し控えるように勧告した。試験は処置期間(12週)およびウォッシュアウト期間(4週)の二相からなった。この試験は、選抜時のベースライン来院、中間時点での来院、および処置期間の終了時点での来院(それぞれ0週目、6週目および12週目)、ならびにウォッシュアウト期間後の4回目の来院(16週目)を含んだ。
【0059】
初期分析セットでは、2つの群が十分に対応していることを保証するために、ベースラインでの人口統計的変数およびアウトカム変数を調べた。連続変数は対応のないt検定を使って分析し、一方、カテゴリー変数にはカイ二乗検定を使用した。
【0060】
2つの試験群間の試験アウトカムを、時点間の変化に関して分析した。ベースライン~中間点(0~6週)、中間点~終了点(6~12週)、ベースライン~終了点(0~12週)、および終了点~ウォッシュアウト(12~16週)の4つの試験期間を、アウトカムの変化について調べた。各分析のためのデータはその分析における2つの特定時点に限定した。分析は共分散分析(ANCOVA)を使って行った。後者の時点をアウトカム変数として使用し、先の時点を共変量とみなした。このアプローチは、テスト群および対照群の可変的出発値を考慮するので、群間で経時的変化を単純に比較するより、数学的に好ましい。
【0061】
最初の分析セットでは、すべての試験参加者およびさまざまな患者サブグループを考慮した。これらのサブグループは、ベースライン総コレステロール(<5mmol/l、5~5.9mmol/lおよび≧6.0mmol/l)、性別ならびに年齢(<50歳、50~59歳、≧60歳)に基づいた。
【0062】
この試験を通してボランティアによって報告された安全性、コンプライアンス、または耐性の問題はなかった。3人のボランティアは、無関係な病気のために抗生物質処置を受け、そのため以後の試験への参加から除外されることになったため、試験から離脱した。
【0063】
ボランティアには、試験の継続期間を通して毎日、胃腸症状日記に記入し、経験した有害作用があれば報告するように依頼した。腹痛、腹部膨満および鼓腸に関するGI症状は、ボランティアにより、なし(0)、軽度(1)、中等度(2)、または重度(3)として記録された。ベースラインから12週までの自己申告された胃腸(GI)症状の平均スコア(表3)は、1日あたりの便通または便硬度(ブリストル便性状チャート)において群間に有意差がないことを示した。活性剤群ではボランティアの1人が中等度の腹痛、腹部膨満および鼓腸を報告し、一方、プラセボ群では、2人のボランティアが中等度の鼓腸を報告した。ベースラインから12週までの処置期間中に重度のGI副作用を報告した試験参加者はなく、処置群間で便の形態および頻度に有意差は観察されなかった。他のボランティアは全員、症状なしと報告した。
【0064】
【0065】
ベースライン特徴(総コレステロール、身体測定値、収縮期圧および拡張期圧)をプラセボ群(n=23)と活性剤群(n=23)との間で比較した。それらを下記表4に示す。これらの結果は、それらの人口統計(年齢、性別)に関して、またはベースラインでの脂質測定値もしくは身体測定値のいずれについても、2つの試験群間に有意差がないことを示唆した。
【0066】
【0067】
試験中の脂質測定値の変化が、2つの試験群間でどのように異なるかを調べるために、独立した統計分析を行った。4対の時点間(0~6週、0~12週、6~12週、12~16週)の変化を調べた。別段の表示がある場合を除き、ベースラインと処置の終了時との間(0~12週)のデータの分析だけを示す。他の時点間での臨床的または統計的に有意な差異は強調する。これらを表3~5に要約する。
【0068】
表5~7は、ベースラインおよび12週における処置終了時での平均および標準偏差を示している。表5は、全被験者(n=46)について、ベースラインから12週までの脂質測定値の変化を示している。表6は、<5mmol/lのTCを持つ被験者(n=23)について、ベースラインから12週までの脂質測定値の変化を示している。表7は、5~5.9mmol/lのTCを持つ被験者(n=17)について、ベースラインから12週までの脂質測定値の変化を示している。6.0+mmol/lについても分析を実行したが、この群には6人の被験者(活性3人、プラセボ3人)しか含まれていなかったので、適当な但し書きを付して、統計的有意差だけを報告する。
【0069】
ANCOVA分析による群差を平均差および対応する信頼区間で報告する。これらは、ベースライン値について調整して、活性剤群のアウトカムからプラセボ群のアウトカムを差し引いた値として報告されている結果の有意性を示すP値を報告する。
【0070】
TC濃度、LDL-C濃度、HDL-C濃度およびTAG濃度を、mmol/lの単位で表す。
【0071】
群を、表5~7に示すようにベースラインコレステロールレベルに従って、また年齢(<50歳 n=16;50~59歳 n=18;≧60歳,n=12)および性別(女性=32、男性n=14)に従って、層別化した。
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
総コレステロール(TC)は、ベースラインから12週までに、プラセボ群と比較して、すべての群において低減した(表5~7)。全被験者におけるTCレベルのベースライン調整値は、活性剤群ではプラセボ群と比較して0.12mmol/l低く、2.3%の減少であった。ベースラインTC濃度による層別化では、高TCサブグループと中~低サブグループとの間の差異が明らかになった。TC<5.0mmol/lサブグループでは、ベースラインと処置終了時との間の変化が、活性剤群ではプラセボ群と比較して4.2%低かった(0.19mmol/l低かった)。同様に、TC 5~5.9mmol/l群では、ベースライン調整処置終了時TC濃度が活性剤群では0.23mmol/l低く、これは4.17%の低減に相当した。TC≧6.0mmol/l(0~6週)群では、36.7%の低減に相当する2.44mmol/lの統計的に有意な低減が、TCに観察された(P=0.045)(表5~7ではデータ省略)。しかし、この群のサイズは極めて小さいので(n=3プラセボ/3活性)、その統計的有意性にもかかわらず、群関連性(group relevance)はこの効果に寄与しないはずである。TCに対する性別の有意な効果は同定されなかった。大半の結果は統計的に有意でなかったが、プラセボと比較した場合に、活性剤処置群ではTCが減少するという、共通の群傾向があった。これらの結果は、TCの初期レベルが高い患者は、他の患者よりも大きなTCの低減による恩恵を受けうることも示唆した。
【0076】
HDL-Cは、プラセボ群でも活性剤群でも、ベースラインと12週との間でわずかに増加した。可変的ベースラインについて調整すると、全被験者群およびTC<5mmol/l群ではHDL-C濃度が、プラセボと比較した場合に、活性剤群では0.06mmol/l(4.5%)および0.09mmol/l(7.4%)高かった。この差の大半は6~12週期間に起こり、この期間では、全被験者群(p=0.06)でもTC<5mmol/l群(p=0.09)でも、統計的有意に近い差が見られた。この期間において、全被験者群およびTC<5mmol/l群は、プラセボ群と比較した場合に、それぞれ0.09mmol/l(6.5%)および0.10mmol/l(7.8%)のHDLコレステロールレベルの平均増加を示した。
【0077】
年齢層別化では、60+群(n=12)における統計的に有意な群差(p=0.03)が明らかになり、この60+群では、プラセボ群と比較した場合に、HDLコレステロールが平均で0.23mmol/l(+14.7%)増加した。ベースラインTC濃度および性別による層別化では、HDLレベルに対する有意な処置効果は明らかにならなかった。
【0078】
LDL-Cコレステロールは、すべての活性剤処置群において、ベースラインと12週との間で低減した。この効果はプラセボ群では観察されなかった。
【0079】
可変的ベースラインについて調整すると、全被験者群ではLDL-C濃度が、プラセボと比較した場合に、平均で0.24mmol/l(7.2%)低かった。TC<5.0mmol/l群におけるLDL-C濃度は、活性剤群ではプラセボ群と比較して、0.39mmol/l(13.9%)有意に低かった(P=0.03)。これらの低減には臨床的意義および商業的意義がある。TC 5.0~5.9mmol/l群では、LDL-Cが平均0.47mmol/lの減少(13.1%)を示したが、これは統計的有意性に到達しなかった。LDL低減効果は、0~6週期間と6~12週期間の両方にわたって一貫して生じるようであった。これらの結果は、LDLコレステロールの初期レベルが高い患者は、他の患者よりも大きなLDL-Cの低減による恩恵を受けうることを示唆している。
【0080】
性別による層別化では、女性ボランティアにおいて、男性と比べてより顕著なLDL-C低減効果が明らかになった(p=0.06)。活性剤群濃度は、女性の場合、プラセボと比較して0.41mmol/l(12.4%)低く、一方、活性剤男性群ではプラセボと比較して0.06mmol/l(1.8%、P=0.06)の増加が観察された(P=0.83)。
【0081】
年齢による層別化は、年齢の増加に伴って増えるLDL-C濃度の減少を示した。<50歳群ではベースライン調整LDL-C濃度にわずかな変化しか観察されなかった(0.08mmol/lの増加)。LDL-Cの減少は、50~59群(0.49mmol/l)および≧60歳群(0.31mmol/l)では、より顕著であり、プラセボと比較して活性剤群ではそれぞれ15%および9.14%の減少に相当した。
【0082】
全被験者群、TC≦5mmol/l群、またはTC 5~5.9mmol/l群において、活性剤またはプラセボの摂取処置後に、トリアシルグリセリド(triacylgyceride)濃度に対する有意な効果は観察されなかった。年齢層別化は、60+群に、プラセボ群と活性剤群との間で、0.48mmol/l(53.9%)の統計的に有意な(p=0.002)トリグリセリドの低減を示した。このトリグリセリドの大きな低減は、全テスト期間にわたって一貫しており、6~12週期間では0.26mmol/l(32.9%)の統計的に有意な低減(p=0.03)およびベースライン~6週期間では0.28mmol/l(31.4%、p=0.07)の低減であった。
【0083】
ベースラインから12週後の処置終了時までの身体測定値の変化を、プラセボ処置群および活性剤処置群の全被験者(n=46)について、以下の表8に示す。表8には、ベースラインおよび12週後に測定された各アウトカムについて、平均値および標準偏差が示されている。ANCOVA分析による群差も平均差および対応する信頼区間で示す。これらは、ベースライン値について調整して、活性剤群のアウトカムからプラセボ群のアウトカムを差し引いた値として報告されている。結果の有意性を示すP値を報告する。体重はkg、BMIはkg/m2、胴囲はcmの単位で表されている。
【0084】
【0085】
ベースラインと12週における処置終了時点との間で、体重、BMIおよび胴囲に関連する身体測定パラメータに、有意な変化は認められなかった。
【0086】
これらの結果は、ラクトバチルス・プランタルムECGC13110402が、高コレステロール血症被験者および軽度高コレステロール血症被験者において、血中のTCおよびLDL-Cを低下させる可能性を有することを示している。
【0087】
活性ラクトバチルス・プランタルムECGC13110402カプセル剤およびプラセボカプセル剤は、試験の継続期間を通して、4℃で保存した。試験のベースライン時、6週時および12週時(処置の終了時)に製品安定性をチェックしたが、細菌数に有意な変化は観察されなかった。プラセボカプセル剤において細菌成長は検出されなかった。
【0088】
安全性パラメータの分析は、ラクトバチルス・プランタルムECGC13110402消費の有害な作用を示さなかった。ラクトバチルス・プランタルムは、米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)によってGRAS(Generally Regarded as Safe:一般に安全と認められる)とみなされている広く使用されるプロバイオティクスであり、欧州食品基準庁(European Food Standard Agency)による特定微生物の安全性推定(QPS:Qualified Presumption of Safety)指定を有する。これは、ラクトバチルス・プランタルムECGC13110402が高コレステロール血症を処置するための安全で有効な処置である可能性を有することを示唆するものであるだろう。
【0089】
ラクトバチルス・プランタルムECGC13110402に関して工業的スケールアップ実験も行った。以下の作業を行った:a)さまざまな低アレルギー性培地をチェックするために行われたフラスコテスト、b)試験を行うための、1~5Lの発酵、少量の濃縮および凍結乾燥、c)さまざまな凍結保護物質のテスト、d)さまざまな凍結乾燥曲線のテスト、e)80Lでの発酵、濃縮および凍結乾燥。最終工程は80L発酵槽での生産であり、これは、(i)細胞数>8×1011cfu/g、(ii)Aw:0.11、(iii)いかなる賦形剤でも希釈/規格化されていない、凍結乾燥された、濃縮バイオマス量700gをもたらした。それゆえにこの特定株は、製造上の観点から、極めて有望であると思われる。細胞の生残率は70%超であることが見いだされ、収率は極めて高い1.25%であった。
【0090】
上記の実施形態は、特許請求の範囲によって与えられる保護の範囲を限定しようとするものではなく、むしろ本発明をどのように実施しうるかの例を記載するためのものである。
【0091】
生物の寄託
本願は、寄託された生物学的材料の以下の表示に関係する。
名称:欧州細胞カルチャーコレクション(European Collection of Cell Cultures)
所在地:英国SP4 0JGソールズベリー、ポートンダウン、イングランド公衆衛生局ポートンダウン(Public Health England Porton Down)、ナショナル・コレクション・オブ・タイプ・カルチャーズ(National Collection of Type Cultures)、PHEカルチャー・コレクションズ(PHE Culture Collections)、微生物部門(Microbiological Services)
日付:2013年11月4日
受託番号:13110402