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特許7073332半導体ウェハ上の均一な厚さの金属層の電着
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】半導体ウェハ上の均一な厚さの金属層の電着
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/00 20060101AFI20220516BHJP
   C25D 17/06 20060101ALI20220516BHJP
   C25D 21/00 20060101ALI20220516BHJP
   C25D 7/12 20060101ALI20220516BHJP
   B05B 1/20 20060101ALI20220516BHJP
   B05B 3/02 20060101ALI20220516BHJP
   B05B 3/06 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
C25D17/00 Z
C25D17/06 C
C25D21/00 Z
C25D7/12
B05B1/20 101
B05B3/02 H
B05B3/06 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019503353
(86)(22)【出願日】2017-07-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 US2017042323
(87)【国際公開番号】W WO2018017452
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-07-03
(31)【優先権主張番号】62/364,538
(32)【優先日】2016-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519016963
【氏名又は名称】テクニク,インク.
【氏名又は名称原語表記】TECHNIC,INC.
【住所又は居所原語表記】47 Molter Street,Cranston,RI 02910(US)
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハラディル,ジョージ
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06001235(US,A)
【文献】特開2012-082450(JP,A)
【文献】特開2002-266098(JP,A)
【文献】特開平05-195183(JP,A)
【文献】特表2002-503766(JP,A)
【文献】特開2005-064016(JP,A)
【文献】特開平04-311591(JP,A)
【文献】中国実用新案第204874804(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/00-21/22
C25D 5/00-7/12
B05B 1/00-3/18
B05B 7/00-9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハ上への金属又は金属合金の電着のための装置であって、
内壁と外壁とを備える円筒型のメッキセルであって、開いた頂部と、中央開口を有する閉じた底部とを有する円筒型のメッキセルと、
前記メッキセルの内部に配置され、中心に穴を有するように形成されたアノードと、
導体ウェハを含むカソードであって、前記半導体ウェハの電気メッキされる表面が前記アノードと向き合い、前記アノードに対して間隔を空けられるように位置決めされている、カソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に電気的接触をもたらす電源と、
電気メッキされる前記半導体ウェハの前記表面にメッキ液を送達するための溶液噴霧手段であって、前記アノードと前記カソードとの間に配置され、少なくとも1つの中空クロスバーを備え、前記少なくとも1つの中空クロスバーは、前記少なくとも1つの中空クロスバーの一方の端部又は一方の端部の近くから前記少なくとも1つの中空クロスバーの他方の端部又は他方の端部の近くまで延びる列の中に配列された一連の間隔を空けられた穴を有する、溶液噴霧手段と、
電気メッキ液を保持し、前記メッキセルに出入りするように循環させるための電気メッキ液保持タンクと、
前記電気メッキ液保持タンクから電気メッキ液を前記溶液噴霧手段に送り込むように位置決めされたポンプと、
第1の端部と第2の端部とを有し、前記第1の端部で前記少なくとも1つの中空クロスバーの中央に取り付けられてTバーを形成する中空支持バーであって、前記中空支持バーは前記Tの垂直部分であり、前記少なくとも1つの中空クロスバーは、前記中空支持バーの頂部に、前記少なくとも1つの中空クロスバーの中の間隔を空けられた前記穴の前記列が前記カソードに向けられるように、位置決めされる、中空支持バーと、
前記メッキセルの外側底部の中央に取り付けられたメッキセルマニホルドと、
前記中空支持バーの周り、かつ前記メッキセルマニホルドの中に配置される2つの玉軸受レースを備える軸受アセンブリと、を備え
前記中空支持バーの前記第2の端部は、前記アノード内の穴及び前記メッキセルの底部の前記中央開口を通して、前記メッキセルの外側底部の中央に取り付けられた前記メッキセルマニホルドの中まで、嵌め込まれて延びるように形成されており、
前記軸受アセンブリは、前記中空支持バーを前記中空支持バーの垂直軸の周りに回転させ、それにより前記カソード又は前記溶液噴霧手段のいずれかを回転させ、前記カソード又は前記溶液噴霧手段が回転する際に、メッキされる前記半導体ウェハの前記表面に連続的に及び繰り返して噴霧するものであり、
前記少なくとも1つの中空クロスバーは、前記溶液噴霧手段を前記少なくとも1つの中空クロスバーの軸周りに推進するための手段を含んでおり、
前記溶液噴霧手段を前記少なくとも1つの中空クロスバーの軸の周りに推進するための手段は、少なくとも一対の横穴を含み、前記横穴対の1つは前記少なくとも1つの中空クロスバーの一方の側の端部近くに形成され位置決めされ、前記横穴対の他の1つは、前記少なくとも1つの中空クロスバーの反対側の端部近くに形成され位置決めされる、装置。
【請求項2】
前記溶液噴霧手段は、中心軸の周りに回転し、メッキされる半導体ウェハの表面に、電気メッキ液を繰り返し及び連続的に噴霧する、請求項に記載の装置。
【請求項3】
メッキされる前記半導体ウェハは、中心軸の周りに、前記電気メッキ液が前記ウェハ上に前記溶液噴霧手段によって繰り返し及び連続的に噴霧されるように、回転する、請求項に記載の装置。
【請求項4】
半導体ウェハ上への金属又は金属合金の電着のための装置であって、
内壁と外壁とを備える円筒型のメッキセルであって、開いた頂部と、中央開口を有する閉じた底部とを有する円筒型のメッキセルと、
前記メッキセルの内部に配置され、中心に穴を有するように形成されたアノードと、
導体ウェハを含むカソードであって、前記半導体ウェハの電気メッキされる表面が前記アノードと向き合い、前記アノードに対して間隔を空けられるように位置決めされている、カソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に電気的接触をもたらす電源と、
電気メッキされる前記半導体ウェハの前記表面にメッキ液を送達するための溶液噴霧手段であって、前記アノードと前記カソードとの間に配置され、少なくとも1つの中空クロスバーを備え、前記少なくとも1つの中空クロスバーは、前記少なくとも1つの中空クロスバーの一方の端部又は一方の端部の近くから前記少なくとも1つの中空クロスバーの他方の端部又は他方の端部の近くまで延びる列の中に配列された一連の間隔を空けられた穴を有する、溶液噴霧手段と、
電気メッキ液を保持し、前記メッキセルに出入りするように循環させるための電気メッキ液保持タンクと、
前記電気メッキ液保持タンクから電気メッキ液を前記溶液噴霧手段に送り込むように位置決めされたポンプと、
第1の端部と第2の端部とを有し、前記第1の端部で前記少なくとも1つの中空クロスバーの中央に取り付けられてTバーを形成する中空支持バーであって、前記中空支持バーは前記Tの垂直部分であり、前記少なくとも1つの中空クロスバーは、前記中空支持バーの頂部に、前記少なくとも1つのクロスバーの中の間隔を空けられた前記穴の前記列が前記カソードに向けられるように、位置決めされる、中空支持バーと、
前記メッキセルの外側底部の中央に取り付けられたメッキセルマニホルドと、
前記中空支持バーの周り、かつ前記メッキセルマニホルドの中に配置される2つの玉軸受レースを備える軸受アセンブリと、を備え
前記中空支持バーの前記第2の端部は、前記アノード内の穴及び前記メッキセルの底部の前記中央開口を通して、前記メッキセルの外側底部の中央に取り付けられた前記メッキセルマニホルドの中まで、嵌め込まれて延びるように形成されており、
前記軸受アセンブリは、前記中空支持バーを前記中空支持バーの垂直軸の周りに回転させ、それにより前記溶液噴霧手段も回転させ、前記溶液噴霧手段が回転する際に、メッキされる前記半導体ウェハの前記表面に連続的に及び繰り返して噴霧するものであり、
前記少なくとも1つの中空クロスバーは、前記溶液噴霧手段を前記少なくとも1つの中空クロスバーの軸周りに推進するための手段を含んでおり、
前記溶液噴霧手段を前記少なくとも1つの中空クロスバーの軸の周りに推進するための手段は、少なくとも一対の横穴を含み、前記横穴対の1つは前記少なくとも1つの中空クロスバーの一方の側の端部近くに形成され位置決めされ、前記横穴対の他の1つは、前記少なくとも1つの中空クロスバーの反対側の端部近くに形成され位置決めされる、装置。
【請求項5】
半導体ウェハ上への金属又は金属合金の電着のための装置であって、
内壁と外壁とを備える円筒型のメッキセルであって、開いた頂部と、中央開口を有する閉じた底部とを有する円筒型のメッキセルと、
前記メッキセルの内部に配置され、中心に穴を有するように形成されたアノードと、
前記半導体ウェハを含むカソードであって、前記半導体ウェハの電気メッキされる表面が前記アノードと向き合い、前記アノードに対して間隔を空けられるように位置決めされている、カソードと
前記アノードと前記カソードとの間に電気的接触をもたらす電源と、
電気メッキされる前記半導体ウェハの前記表面にメッキ液を送達するための溶液噴霧手段であって、前記アノードと前記カソードとの間に配置され、少なくとも1つの中空クロスバーを備え、前記少なくとも1つの中空クロスバーは、前記少なくとも1つの中空クロスバーの一方の端部又は一方の端部の近くから前記少なくとも1つの中空クロスバーの他方の端部又は他方の端部の近くまで延びる列の中に配列された一連の間隔を空けられた穴を有する、溶液噴霧手段と、
電気メッキ液を保持し、前記メッキセルに出入りするように循環させるための電気メッキ液保持タンクと、
前記電気メッキ液保持タンクから電気メッキ液を前記溶液噴霧手段に送り込むように位置決めされたポンプと、
第1の端部と第2の端部とを有し、前記第1の端部で前記少なくとも1つの中空クロスバーの中央に取り付けられてTバーを形成する中空支持バーであって、前記中空支持バーは前記Tの垂直部分であり、前記少なくとも1つの中空クロスバーは、前記中空支持バーの頂部に、前記少なくとも1つの中空クロスバーの中の間隔を空けられた前記穴の前記列が前記カソードに向けられるように、位置決めされる、中空支持バーと、
前記メッキセルの外側底部の中央に取り付けられたメッキセルマニホルドと、
前記中空支持バーの周り、かつ前記メッキセルマニホルドの中に配置される2つの玉軸受レースを備える軸受アセンブリと、を備え
前記中空支持バーの前記第2の端部は、前記アノード内の穴及び前記メッキセルの底部の前記中央開口を通して、前記メッキセルの外側底部の中央に取り付けられた前記メッキセルマニホルドの中まで、嵌め込まれて延びるように形成されており、
前記軸受アセンブリは、前記中空支持バーを前記中空支持バーの垂直軸の周りに回転させ、それにより前記カソードも回転させ、前記溶液噴霧手段が回転する際に、メッキされる前記半導体ウェハの前記表面に連続的に及び繰り返して噴霧するものであり、
前記少なくとも1つの中空クロスバーは、前記溶液噴霧手段をその軸周りに推進するための手段を含んでいる、装置。
【請求項6】
前記溶液噴霧手段をその軸の周りに推進するための前記手段は、少なくとも一対の横穴を含み、前記横穴対の1つは前記少なくとも1つの中空クロスバーの一方の側の端部近くに形成され位置決めされ、前記横穴対の他の1つは、前記少なくとも1つの中空クロスバーの反対側の端部近くに形成され位置決めされる、請求項に記載の装置。
【請求項7】
半導体ウェハの上に金属又は金属合金を電気メッキする方法であって、請求項1、請求項4、及び請求項5のいずれか一項に記載の装置を使用して、前記半導体ウェハの上に金属又は金属合金を電着させるステップを含む、方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの中空クロスバーの中の間隔を空けられた前記穴は、前記中空支持バーの近傍から前記少なくとも1つの中空クロスバーの一方の端部及び他方の端部に向かって、径が順次小さくなるよう形成されている、請求項1、請求項4、及び請求項5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記溶液噴霧手段は、メッキ性能向上のための遮蔽板を有する請求項1、請求項4、及び請求項5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記遮蔽板は、前記少なくとも1つの中空クロスバーの上又は下において、前記メッキセルの前記内壁に取り付けられている円板型リングで構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記遮蔽板は、前記少なくとも1つの中空クロスバーに取り付けられ、前記少なくとも1つの中空クロスバーと共に回転するよう構成されている、請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電気メッキの分野に関し、より具体的には、半導体ウェハの電気メッキの分野、並びにメッキされる金属又は金属合金の均一な層を必要とする他の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
電着はよく知られており、広く用いられる技術である。これは、物品の表面上への、電流によって駆動される電気化学的作用による、溶液からの金属又は金属合金の堆積を必要とする。電着は、基板と呼ばれる導電性表面を、1つ又はそれ以上の金属塩の溶液と接触させ、溶液を通して表面に電流を通すことによって行われる。従って、基板表面は、電気化学セルのカソードである。溶液からの金属カチオンが、基板表面において、電流からの電子によって還元され、その結果、還元された金属又は金属合金が表面上に堆積する。
【0003】
半導体ウェハの電気メッキは、半導体製造の常法になっている。メッキ手順は、ウェハの全表面がメッキされる裏面金属化、及びフォトレジストがウェハの表面に塗布され、選択されたレジストの空地のみがメッキされるパターンメッキを含む。パターンメッキは典型的には隆起又は柱、電気的相互接続を創出するため、或いはフリップチップ相互接続用途のために用いられる。一般に堆積される金属は銅、金及び錫を含む。金属層は、ウェハの表面にわたって高度に均一であることが必要である。高度に均一な層とは、10%未満、好ましくは5%未満の厚さ変動係数を有するものである。これは、ウェハ表面にわたって非常に均一な電流密度及び非常に均一な溶液攪拌をもたらすメッキ設備及び手順を必要とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
半導体ウェハ上への金属又は金属合金の電着のための装置が提供される。この装置は、アノードが内部に配置されたメッキセルを含む。半導体ウェハを含むカソードは、電気メッキされる表面がアノードに向き合い、それから間隔を空けられるように、位置決めされる。電源がアノードとカソードとの間の電気的接触をもたらす。ウェハとの電気的接触は、ウェハの縁との連続的接触をもたらすように形成された導電リングを介して、又は内部へ延びてウェハの縁と接触する、直径が導電リングより僅かに小さい絶縁されていない導電フィンガを有する電気的に絶縁された導電リングを介して、なされる。
【0005】
本装置は、メッキ液を、電気メッキされる半導体ウェハの表面に送達するための溶液噴霧手段を含む。溶液噴霧手段はアノードとカソードとの間に配置される。溶液噴霧手段は、少なくとも1つの中空クロスバーを含むが、2、3、4、5又はそれ以上の中空クロスバーを含み得る。単数のクロスバー又は複数のクロスバーは、クロスバーの1つの端部又は1つの端部近くから、クロスバーの他の端部又は他の端部近くまで延びる列の中に配列された一連の間隔を空けられた穴を有するように形成される。溶液噴霧手段はさらに、その一端部で中空クロスバーの中央に取り付けられて「Tバー」を形成する中空支持バーを含み、この支持バーはTの垂直部分であり、クロスバーの中の間隔を空けられた穴の列がカソードに向けられるように、中空クロスバーが支持バーの頂部に位置決めされる。代替的に、クロスバーをその一端部で支持バーに取り付けて、同様に「Lバー」を形成し、クロスバー内の間隔を空けられた穴の列がカソードに向けられるようにすることができる。2つより多くのクロスバーが存在する場合、支持バーは、クロスバーが中央に位置決めされた支持バーからメッキセルの内側に向かって直角に放射状に延びるように、取り付けられる。
【0006】
この実施形態において、アセンブリはその軸の周りに溶液送達アセンブリを推進するための手段を含む。好ましい実施形態において、推進するための手段は、中空クロスバーの中の少なくとも一対の横穴を含み、横穴対のうちの1つは、クロスバーの一方の側の端部近くに形成され位置決めされ、横穴対のうちの他の1つはクロスバーの反対側の端部の近くに形成され位置決めされる。代替的な実施形態において、その軸の周りに溶液送達アセンブリを推進するための手段は、支持バーと機能的に接続され、支持バーをその軸の周りに回転させ、それにより、クロスバーを回転させ、半導体ウェハのメッキされる表面に電気メッキ液を噴霧する、分離したモータを含む。
【0007】
本装置はまた、電気メッキ液を保持し、メッキセルに出入りするように循環させるための、電気メッキ液保持タンクを含むことができ、溶液噴霧手段はさらに、電気メッキ液保持タンクから電気メッキ液を溶液噴霧手段の中に送るためのポンプを含むことができる。
【0008】
好ましい実施形態において、溶液噴霧手段は、中心軸の周りに回転して、メッキされる半導体ウェハの表面に、電気メッキ液を繰り返し及び連続的に噴霧する。代替の実施形態において、メッキされる半導体ウェハがその中心軸の周りに回転し、それにより電気メッキ液がウェハ上に、静止した溶液噴霧手段によって繰り返し及び連続的に噴霧される。ウェハとの電気的接触は、ウェハと共に回転する導電リング又は導電フィンガを介してなされる。別の実施形態においては、ウェハ及び溶液噴霧手段の両方が中心軸の周りに回転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の装置のメッキセル部分の側断面図である。
図2】外部タンク内に位置決めされ、メッキ電源及び循環ポンプに接続された、図1に示される装置の側断面図である。
図3】本発明の装置のカソード取り付け部分の拡大側断面図である。
図4A】後に説明される、オプションとしてのカソード遮蔽板を含む、本発明の装置の上面図である。
図4B図4Aに示される装置の側断面図である。
図5A】本発明の装置の溶液送達アセンブリのクロスバー部分の実施形態の上面図である。
図5B】本発明の装置の溶液送達アセンブリのクロスバー部分の実施形態の上面図である。
図5C】本発明の装置の溶液送達アセンブリのクロスバー部分の実施形態の上面図である。
図5D】本発明の装置の溶液送達アセンブリのクロスバー部分の実施形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、半導体ウェハ基板の上に金属又は金属合金の均一層を、電着によって形成するための装置及び方法である。本明細書で定義される均一層は、10%未満、好ましくは5%未満の厚さ変動係数CVを有する。
【0011】
本発明の一実施形態において、電気的絶縁材料で作製されたメッキセル6が準備される。このメッキセルは、開いた頂部と中央開口9を有する底部とを有する円筒型の形状である。アノード4は、メッキセルの底部に位置決めされる。アノードは円形で、メッキセルの内径よりある程度小さい直径を有する。アノードは、白金メッキニオブ、白金メッキチタン、又は酸化イリジウムで構成される、寸法的に安定な不溶性電極とすることができ、或いは、可溶性電極、例えば銅とすることができる。半導体ウェハの電気メッキのための適切なアノードの選択は、当技術分野における技能の範囲にある。アノード4は、その中心に穴を有するように形成される。これは、図1に示されるように、電源14の正端子に、ワイヤ18、絶縁されたアノード導電リング40及びチタンネジ42を介して、電気的に接続される。
【0012】
本明細書で説明される実施形態において、メッキセルは垂直に位置決めされる。メッキセルはまた、当業者であれば認識することになるように、水平に、又は上下逆にさえも、位置決めすることもできるが、これは、セルの取り付け及び取り外しを複雑にするであろう。
【0013】
メッキセルは、半導体ウェハの直径より僅かに小さい直径を有することが必要である。フランジ8は、メッキセルの頂部に取り付けられる。これは、ウェハが配置される円周棚をもたらす。カソード導電リング10は、電源の負端子に電気的に接続される。一連の導電性バネフィンガ7が、カソード導電リング10に、ネジ9によって取り付けられ、ウェハ2の縁部除外範囲と電気的に接触する。任意の数の導電性フィンガ7を用いることができるが、4~8個のフィンガが普通である。代替的に、ウェハの縁部除外範囲と接触するために、連続接触リングを用いることができる。導電リング10は、導電性フィンガと接触する場所を除いて電気的に絶縁されることが有利である。
【0014】
本明細書で示されるように、カソード2、即ち、メッキされる半導体ウェハは、メッキされる面がアノードに向き合うように位置決めされる。一実施形態において、カソードは、メッキセル6の縁上に位置決めされるカソード台8によって静止位置に保持することができる。カソード台は、カソードをメッキセルの頂部の適切な静止位置に保持することができる限り、頂部近くのセルの側部又は任意の他の位置に取り付けることができる。カソード台は、図3に詳しく示される。これは、非導電性材料、最も普通にはポリマで作製された台自体8を備える。台8は、メッキセルの側壁の上端部に取り付けられ、金属、普通はステンレス鋼から作製されたカソード導電リング10を収容し、これに、図4Aにおいて最も良く見ることができるように、導電性バネフィンガ7がネジ9を介して取り付けられる。ゴムガスケット11がセルの内側部分をカソード導電リング10からシールし、溶液がカソード導電リング10と接触するのを防ぐ。ウェハ2は、保持クリップ36を介して台8に着脱可能に取り付けられるディスク34によって、所定の場所に保持され、保持クリップ36は、ウェハをメッキセルに取り付け及び取り外すことを可能にするように、ディスク34を保持するか又は解放するように回転する。
【0015】
電源は、DC電源、又はパルス電源、又は周期的パルス反転電源とすることができる。これは、ワイヤ18を介してアノードに、及びワイヤ12を介してカソードに接続される。
【0016】
本装置はさらに溶液噴霧手段を含み、これは一実施形態において、図1に示されるように、中空、管状の支持バー20、及び中空、管状のクロスバー22から構成される溶液送達アセンブリを備える。管状のクロスバーは、その中央で、支持バーの端部の1つに、垂直に取り付けられる。この実施形態において、アセンブリはそれ故にT型構造を形成する。支持バーの他の端部、クロスバーに取り付けられていない端部は、アノード内の穴及びメッキセルの底部の開口部内の穴を通して、メッキセルの外側底部の中央に取り付けられたメッキセルマニホルド26の中まで、嵌め込まれて延びるように形成される。これは、これをその垂直軸の周りに回転させることができる軸受アセンブリ25の中に嵌め込まれる。軸受アセンブリ25は、図1に示されるように、支持バーの周り及びマニホルドの中に配置される2つの玉軸受レースを備える。
【0017】
支持バーは中空で、管状として言及され図示されているが、断面が円形である必要はない。任意の中空形状が、クロスバーをカソードに対して水平に間隔を空けられた適切な位置に保つ機能を果たす限り、正常に作用するであろう。
【0018】
クロスバー22は中空であり、クロスバーの一方の端部からクロスバーの他方の端部まで大体広がる一連の間隔を空けられた溶液噴霧穴24を有するように形成される。溶液噴霧穴は、図5に示されるように、ウェハと向き合うクロスバーの側面に沿って、直線上に位置を定められる。クロスバーはさらに、閉じた端部を有するように形成される。閉じた端部の各々の近くに、少なくとも一対のクロスバー横穴28がある。クロスバー横穴の各々の対は、その対が頂部穴を跨ぐようにクロスバーの上に位置決めされる、即ち、一対の内の1つのクロスバー横穴がクロスバーの一方の側に位置付けられ、一対の内の他のクロスバー横穴が、クロスバーの他方の側に位置付けられる。図5を参照されたい。
【0019】
支持バーと同様に、クロスバー22は、断面が円形の、即ち丸い必要はない。これは、長方形、正方形、三角形、卵形など、メッキされる半導体ウェハの表面にメッキ液を噴霧する機能を果たすことを依然として可能にする任意の形状にすることができる。溶液送達アセンブリの高さは、クロスバーが、カソードに対して、至近距離で間隔を空ける位置にあるようにする。クロスバーとカソードとの間の距離は、約5~50mmの範囲にする必要がある。図示されるように、クロスバーは中央で支持バーの上に取り付けられるので、アセンブリが回転すると、ウェハはクロスバーの両半分からの流体と接触する。
【0020】
本明細書で示される溶液送達アセンブリは例示的なものである。支持バーがクロスバーの中央に取り付けられて、図5Aに示されるようなT型構造を形成する必要はない。支持バーは、図5Cに示されるように、端部に取り付けられてL型構造を形成することが可能である。代替的に、このアセンブリは、図5Bに示されるように、支持バーと、それらの端部の1つで支持バーに取り付けられる3つのクロスバーとを備えることができ、或いは、このアセンブリは、支持バーと、正方形又は図5Dに示されるような「X」構造の4つのクロスバーとを備えることが可能である。
【0021】
メッキセル6は、図2に示されるように、メッキ液保持タンク1の内部に取り外し可能に取り付けられる。マニホルド26上のAcmeネジ山27は、液保持タンク1の底部に固定された受け入れポート17の中にねじ込まれる。メッキセルのマニホルド26は、メッキセルを保持タンク内に固定し、さらにメッキ液の流れのための導管としての役割を果たす。マニホルド26は、ポンプ32の放出口33に接続される。ポンプ32の引き入れ口31は、メッキ液保持タンクに接続される。メッキ液は、メッキ液保持タンク1から、引き入れ口31を通してポンプ内に引き入れられる。メッキ液は放出口33を介してポンプから出て、マニホルド26を介してメッキセルに入る。メッキセル6の開いた頂部の近くの壁の中に形成された溶液出口穴30は、メッキ液がメッキセルを出て、液保持タンク1に戻るのを可能にする。従って、メッキ液は、動作中にアセンブリを通って連続的に流れる。
【0022】
メッキ液は、メッキ液保持タンクからマニホルド26及び溶液送達アセンブリ16を介してメッキセルに供給される。導管からの溶液は溶液送達アセンブリ16の支持バー20に入り、クロスバー22内に向かって上方に流れ、一連の間隔を空けられた溶液出口穴24から、カソードの上に流れ出る。溶液出口穴30は、ガスがウェハ表面上にトラップされるのを防ぐため、又はトラップされるガスの量を少なくとも最少にするために、ウェハ表面に可能な限り接近して位置付ける必要がある。流体はまたクロスバー22の端部にある端部穴28から流れ出て、これが溶液送達アセンブリ16をその垂直軸の周りに回転させる。これは、メッキ中にカソード表面に当たるメッキ液の連続的に回転する噴霧器をもたらす。
【0023】
動作中、メッキ液保持タンク1内の電気メッキ液は、ポンプ32により、マニホルド26及び溶液送達アセンブリ16の支持バーを介して、メッキセル6に注入される。溶液は、支持バーの底部から上方に向かってクロスバー22の中に流れ、溶液噴霧穴24及び端部穴28を介して溶液送達アセンブリを出て、メッキセル内に入る。メッキセル6が流体で満たされると、流体は、メッキセル溶液出口穴30を介してメッキセルから流出し、メッキ液保持タンク1内に戻る。流体がクロスバー内の一連の穴を出る際に、クロスバーを通り及びクロスバー横穴28から出る流体の流れの力が、溶液送達アセンブリをその垂直軸の周りに回転させ、この力が、メッキされる静止した半導体ウェハと接触するメッキ液の連続的に回転する噴霧器をもたらす。代替的に、溶液送達アセンブリは、クロスバーの横穴なしに形成することができ、外部の機械的手段を用いて溶液送達アセンブリを回転させることができる。
【0024】
オプションとして、そのアセンブリは、図4Aに示されるように、補助遮蔽板37及び/又は回転遮蔽板36を含む。この遮蔽板の目的は、厚さCVを最小にすることによってメッキ性能を向上させることである。補助遮蔽板37は、メッキセル内、クロスバーの上又は下に取り付けることができる円板型リングで構成される。この遮蔽板の幅は、種々の幅を試験し、最小の変動係数をもたらす幅を選択することによって、実験的に決定することができる。本発明者等の実験は、補助遮蔽板の幅を約1~約2cmにする必要があることを示した。三角形遮蔽板36は平坦な、扇型又は三角形状の構造であり、その最も鋭く角度を付けられた端部でクロスバー22に取り付けられる。ウェハが静止し、溶液噴霧手段が回転する実施形態において、三角形遮蔽板は、クロスバー22と共に回転する。
【0025】
代替的実施形態において、半導体ウェアが回転する取り付け具に保持され、溶液噴霧手段は静止する。ウェハとの電気的接触は、ウェハと共に回転する導電リング又はフィンガを介してなされる。この実施形態において、溶液噴霧手段は、回転するウェハに対して間隔を空けて位置決めすることができ、タンクの外に位置決めすることができるポンプ放出口から流体を供給される。
【0026】
別の代替的実施形態において、メッキチャンバをメッキ液貯留槽の外部に置くことができる。この実施形態において、開口30においてメッキチャンバを出る液は、メッキチャンバの外部の上部周囲に固定された桶によって集められる。この桶によって集められた液は、管を介してメッキ液貯留槽に結合され、桶から貯留槽まで重力によって流れる。貯留槽からの溶液は、ポンプ及び配管を介してメッキチャンバの入り口に供給することができる。本発明は、溶液貯留タンクの内部又は外部に位置付けられたメッキチャンバを用いて実行することができる。
図1
図2
図2A
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D