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特許7073358人工涙液、コンタクトレンズ及び薬剤担体組成物並びにその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】人工涙液、コンタクトレンズ及び薬剤担体組成物並びにその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/26 20060101AFI20220516BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 47/40 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220516BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220516BHJP
   A61P 27/04 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
A61K47/26
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/40
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/02
A61K47/12
A61K9/08
A61P27/02
A61P27/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019520562
(86)(22)【出願日】2017-10-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 US2017056252
(87)【国際公開番号】W WO2018071619
(87)【国際公開日】2018-04-19
【審査請求日】2020-09-23
(31)【優先権主張番号】62/535,380
(32)【優先日】2017-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/563,154
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/519,011
(32)【優先日】2017-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/452,045
(32)【優先日】2017-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/428,031
(32)【優先日】2016-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/407,271
(32)【優先日】2016-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519132104
【氏名又は名称】ピー・エス・セラピー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホーン,ジェラルド
【審査官】今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0377210(US,A1)
【文献】特開2012-056875(JP,A)
【文献】特開2010-204597(JP,A)
【文献】特開2013-237638(JP,A)
【文献】特開2015-197479(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0015632(US,A1)
【文献】国際公開第2011/040433(WO,A1)
【文献】日本医薬品集 一般薬 2009-10年版,2008.9.1,p.849-851
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.01%w/v~約4.0%w/vのポリソルベート、約0.7%w/v~約5.0%w/vのポロキサマー407、約0.01%w/v~約3%w/vのポロキサマー188、約0.01%w/v~約1.0%w/vのポリオキシル及び約0.01%w/v~約5.0%w/vのヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンからなる群から選択される、1つ以上の非イオン性界面活性剤
セルロース誘導体、カルボマー、ガム、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポビドン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、キトサン、ヒアルロネート及びヒアルロン酸からなる群から選択される、1つ以上の粘性剤;
塩化ナトリウム、塩化カリウム及びマグネシウムイオンからなる群から選択される、1つ以上の電解質;
約0.1%w/v~約4%w/vのポリオール;並びに
6.0未満のpH;125mosm以上のオスモル濃度;メントール及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、流涙を誘発する手段
を含む、人工涙液組成物であって、
w/vが、全組成物の体積に対する重量を表す、人口涙液組成物
【請求項2】
1つ以上の粘性剤の濃度が、組成物に約1~約5000cpsの低剪断粘度、及び、約30cps以下の最終高剪断粘度を与える濃度である、請求項1に記載の人口涙液組成物。
【請求項3】
1つ以上の非イオン性界面活性剤の全体の濃度が、約2.0%w/v~約4.0%w/vである、請求項1又は2に記載の人工涙液組成物。
【請求項4】
リオールが、約0.5%w/v~約4.0%w/vのマンニトールであり;並びに
1つ以上の電解質が、約0.05%w/v~約0.1%w/vの塩化マグネシウム、塩化ナトリウム及び約0.1%w/v~約0.5%w/vの塩化カリウムから選択され
請求項1~3のいずれか一項に記載の人工涙液組成物。
【請求項5】
組成物のオスモル濃度が、約350ミリオスモル~約450ミリオスモルであり、組成物の低剪断粘度が約1~約5000cpsであり、最終高剪断粘度が約30cps以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の人口涙液組成物。
【請求項6】
約0.1%w/v~約0.12%w/vのソルベートをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の人工涙液組成物。
【請求項7】
約0.05%w/v~約0.2%w/vのEDTAをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の人工涙液組成物。
【請求項8】
ポロキサマー407及びポリオキシル40ヒマシ油の組み合わせからなる非イオン性界面活性剤であって、全体の濃度が約2%w/v~約4%w/vである非イオン性界面活性剤;
カルボマー及びポリエチレングリコールの組み合わせからなる粘性剤;
マンニトール、ソルビトール及びそれらの組み合わせから選択されるポリオールであって、全体の濃度が約1%w/v~約4%w/vであるポリオール;
塩化ナトリウム;
メントール;並びに
クエン酸緩衝液
を含む、人工涙液組成物であって、
w/vが、組成物の全体積に対する重量を表す、人工涙液組成物。
【請求項9】
任意選択的に、眼科薬剤;
ポロキサマー、ポリソルベート、シクロデキストリン、アルキルアリールポリエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、チロキサポール及びポリオキシルからなる群から選択され、全体の濃度が約1.5%w/v~約5.9%w/vである1つ以上の非イオン性界面活性剤;
約0.05%w/v~約1.75%w/vのカルボキシメチルセルロース;
約0.25%w/v~約2.5%w/vのマンニトール;
約0.25%w/v~約1.0%w/vのポリエチレングリコール400;
約0.05%w/v~約0.1%w/vの塩化マグネシウム;
塩化ナトリウム;
約0.1%w/v~約0.12%w/vのソルベート;並びに
約3ミリモルのリン酸緩衝液又は約4ミリモル~5ミリモルのクエン酸緩衝液
を含む、薬剤担体組成物であって、
w/vが、前記組成物の全体積に対する重量を表す、薬剤担体組成物。
【請求項10】
1つ以上の非イオン性界面活性剤が、3.0%w/vのポリソルベート80及び2.0%w/vのヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンであり;
ポリエチレングリコール400が、約0.75%w/vの濃度であり;
マンニトールが、約1.5%w/vの濃度であり;
カルボキシメチルセルロースが、約1.40w/vの濃度であり;
塩化ナトリウムが、約0.90w/vの濃度であり;
ソルベートが、約0.1w/vの濃度であり;及び
緩衝液が、4ミリモルのクエン酸緩衝液である、
請求項に記載の組成物。
【請求項11】
1つ以上の非イオン性界面活性剤が、約1%w/vのポリソルベート80、約1%w/vのポロキサマー407、約0.2%w/vのポロキサマー188及び約0.25%w/vのポリオキシルヒマシ油である、請求項に記載の組成物。
【請求項12】
眼科薬剤;
3.0%w/vのポリソルベート80;
2.0%w/vのヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリン;
0.75%w/vのポリエチレングリコール400;
1.5%w/vのマンニトール;
0.1%w/vの塩化マグネシウム;
1.40%w/vのカルボキシメチルセルロース;
0.90%w/vの塩化ナトリウム;
0.1%w/vのソルベート;
メントール;及び
4.0ミリモルのクエン酸緩衝液
を含む、薬剤担体組成物。
【請求項13】
眼科薬剤;
約1%w/vのポリソルベート80;
約1%w/vのポロキサマー407;
約0.2%w/vのポロキサマー188;
約0.25%w/vのポリオキシル40ヒマシ油;
カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール及びそれらの組み合わせからなる群から選択される粘剤;
0.5%w/vのマンニトール;並びに
約0.05%w/v~約0.1%w/vの塩化マグネシウム
を含む、薬剤担体組成物であって、
w/vが、前記組成物の全体積に対する重量を表す、薬剤担体組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽度ドライアイ人工涙液組成物、中度ドライアイ人工涙液組成物、重度ドライアイ人工涙液組成物、極度ドライアイ人工涙液組成物;コンタクトレンズ多目的保存溶液組成物、コンタクトレンズ装用処理組成物、コンタクトレンズ用食塩水強化ブリスターパック保存組成物、並びに眼科及び皮膚科用途向け局所薬剤担体プラットホーム組成物を対象とする。これらの組成物は、1つ以上の非イオン性界面活性剤、並びに(1つ以上の)非ニュートン性増粘剤、ポリオール及び電解質から選択される2つ以上の賦形剤;又は低張電解質/塩化ナトリウム濃縮物;並びに任意選択的に眼科用抗生物質、ステロイド、非ステロイド、免疫抑制剤、緑内障、又は眼上若しくは眼内への局所送達のための他の薬剤を含む。本発明はさらに、ヒト又は哺乳動物のドライアイを含むが、これに限定されない広範な眼表面疾患である上皮症を治療する方法を対象とする。本発明はさらに、本発明の組成物を被覆若しくは注入した、コンタクトレンズ、涙点プラグ、ペレット、又は眼の表面に薬剤を送達するために使用されるその他の任意の器具を対象とする。
【背景技術】
【0002】
人工涙液
眼は涙液を生じ、涙液は、まばたきしている間に眼全体に広がる。涙液特有の成分は、まばたきの過程と組み合わせられて、粘液層、水性層及び脂質層で構成された涙液層を形成する。この涙液層は、以下を含む、涙液層の完全性を損ない得る大きな力を受ける:1)蒸発、2)眼表面に沿った拡散(これは、高剪断のまばたきにより促される。)、3)排出(これは、まばたきの力による涙液のポンピングにより促される。)、及び4)眼瞼の涙液メニスカスに沿った低剪断の流れ。涙液層を維持するために、涙液層は、まばたきするたびに新しい涙液層成分が絶えず補給され、これは、涙液層破壊及び角膜表面の神経興奮により引き起こされる。この独特の仕組みは、環境と眼の表面との間のバリアを形成し、眼に入る可能性のあるあらゆる刺激物を除去する。さらに、涙液は、血漿由来の濾過された極めて重要な成分を含み、これらの成分は、眼表面に栄養を与え、感染リスクを低減し、眼表面組織の修復を促進する。単に、健常でない涙液層は、視覚的品質及び/又は視力の低下につながるため、健常な涙液層が、最適な視覚に必要である。眼表面に影響する眼内又は眼外の手術、ドライアイ症候群、眼の手術後のドライアイ、投薬及び/又は保存剤の毒性並びにコンタクトレンズ溶液及び/又はコンタクトレンズ使用による眼表面異常を含む、涙液の量又は品質の低下の原因になり得るいくつかの事象が存在する。
【0003】
涙液層は、最も重要な唯一の光学面である。角膜上のその涙液層の品質及び時間に影響する障害は、視覚の品質を劇的に変え得る。これらの障害には、シルマーテストにより測定される量の減少、涙液層破壊時間の短縮及び涙液プリズム(すなわち、涙液が流れる下眼瞼に沿ったメニスカスの大きさ)の減少が含まれる。残念ながら、健常な涙液層の真の大きさ:各層の厚さ及び/又は体積、各層内の組成物、並びに涙液層の得られる流動特性及び安定化は容易に測定されない。涙液の異常は、粘液層、水性層及び脂質層のうちの1つ以上の組成異常から、これらの層のうちの1つ以上の厚さ及び/又は体積の減少を含む量の異常まで、並びにそれらの組み合わせの広範囲の涙液不全として現れる。
【0004】
ドライアイは、涙液層の厚さ又は涙液層の組成における何らかの異常に対する総称である。ドライアイは一般的な悩みであり、十分な量を生成したり、粘液層、水性層又は脂質層の涙液成分の適切なバランスを維持したりする眼の不全によって引き起こされる。いずれの例においても、眼を通常は覆う涙液層が不安定になる(すなわち、もはや眼全体を均一に十分な時間覆わない)。十分な時間とは、典型的には約8秒である。涙液層の不安定性が原因となって、涙液が玉になり、表面被覆ドライスポットを残す一方、刺激物を除去できない。これらのドライスポット及び刺激物は、ドライアイに関連する状態、例えば、灼熱痛、刺痛、掻痒及び疲れ目の多くの原因となる。ドライアイの症状は、瞬目間の時間を延ばす活動、例えば、長時間のコンピュータ使用及び読書により悪化する可能性がある。軽度の涙液層の破壊でさえも、涙液層破壊時間(「TBUT」)を短縮して、過剰なまばたきにつながる可能性がある。まばたきは、視覚が最適化される短時間の完全で一様な涙液層の被覆を実現することができる。しかし、この緩和は突発的で短寿命であり、涙液層が完全に破壊して、さらに頻繁なまばたきの効果がなくなる場合がある。
【0005】
ドライアイは、多くの場合、角膜神経を切断する何らかの切開術又は切除術の後に発生し、涙液分泌の神経性トリガーの減少、又は異常拡散を引き起こし、ドライスポット(凹窩)を増加させる外面の破壊による。術式には以下が含まれる:白内障切開;角膜移植手術;緑内障手術濾過胞;及び任意の角膜の切開又は切除手術を含むが、これらに限定されない眼の角膜又は強膜手術。眼の手術後のドライアイは、患者の痛みの増加、感染リスクの増加、視覚の低下並びに局所薬及び保存剤に対する感受性の増加につながる可能性がある。この感受性の増加は、眼表面疾患を悪化させ、ドライアイと同様の総体的症状を有し、上皮の修復時間が長くなる可能性がある。
【0006】
ドライアイを軽減又は緩和するために設計された現行の人工涙液組成物は高分子を含み、この高分子は、涙液層の粘液層、水性層及び/又は脂質層を模倣するように作用して、涙液層の安定性を保ち、急速な蒸発を防ぐ。高粘度人工涙液組成物は、より長く持続する涙液層を維持する。しかし、これらの組成物は、まばたきしている間、眼瞼に粘性抵抗を引き起こして不快な「粘り着く」知覚を生じ、適用が困難であり、眼瞼に痂皮を形成する可能性がある。これらの高粘度組成物はまた、典型的には数分間以上の霧視を生じる。低粘度組成物は、持続性の涙液層を維持しないが、その理由は、部分的に、蒸発によりこれらの水性溶液をより急速に失い、まばたきの力による涙液のポンピングにより促されて排出されるからである。
【0007】
ドライアイを治療するための現行の人工涙液組成物は、以下を含む多くの理由により不十分である:i)現行の人工涙液組成物は、短時間、典型的には15分以下のみ安定な涙液層を維持し、その後、涙液の特性はベースラインに戻る;ii)より高粘度の配合物は、わずかにより長く(約25分以下)持続し、比較的長い時間(Refresh(登録商標)Celluvisc(400cps)については12分もの間)霧視を生じ、しばしば、十分薄くなって安定化するまで急いでまばたきする必要がある;iii)現行の人工涙液組成物は、乾燥を軽減する蒸発シールドを形成しないか、水性層を安定化しない添加脂質若しくは脂質様物質による合成的な感触及び/又は油のような感触を有する;iv)現行の人工涙液組成物は、眼瞼の結膜上に保護被覆を形成せず、及び/又はマイボーム腺内の脂質濃縮物を十分に溶解せず、いずれも、そのようなマイボーム腺の濃縮及び機能不全(「MGD」)によって特徴づけられるドライアイの特徴である;v)現行の人工涙液組成物は、上皮細胞の修復のために生理学的に増強された環境を提供せず、完全性を維持しない;vi)現行の人工涙液組成物は、コンタクトレンズ表面、角膜上皮又は眼瞼の結膜に付着する可能性のあるタンパク質、コレステロール又は乾燥した粘液を防止せず、低減せず、又はこれらの溶解を助けず、これらの細胞膜を刺激するか、さもなければ破壊する;vii)現行の人工涙液組成物は、涙液分泌を著しく促進せず、又は存在している涙液への長時間の曝露を実現せず、存在している涙液を保持しない(処方箋薬、例えば、Restasis(登録商標)又はXiidra(登録商標)は、涙液分泌の増加を試みるが、わずかしか増加させない。);viii)現行の人工涙液組成物は、より高い浸透圧及びより大きい濡れ角をもたらし、涙液の拡散をより困難に、より不均一にする。
【0008】
水性の涙液層を保持する蒸発シールディングを形成する取り組み、例えば、脂質又はリン脂質の添加は、生じる合成的な油のような不自然な知覚だけでなく、不十分な水性層の安定化及び非常に短時間の滴下注入、又はより粘性のある、わずかにより長く持続する人工涙液の長時間のかすみによっても損なわれる。結膜嚢内に人工涙液を保持して、まばたきごとにより多くの人工涙液を角膜全体に引き寄せることが目標であるが、毛管引力により涙管から大量に排出され、従来の涙液配合物によるこの利益は限定される。市場に出ている最も長く持続する人工涙液は、高濃度の粘度増加剤を使用している。Celluvisc(登録商標)(Celluviscは、Allergan,Inc.の登録商標である。)(これは、高粘度カルボキシメチルセルロース(「CMC」)1%を使用している-粘度約350センチポアズ(「cps」)。)及びRefresh Liquigel(登録商標)(Refresh Liquigelは、Allergan,Inc.の登録商標である。)(これは、0.35%高粘度CMC及び0.65%低粘度CMCのブレンドを使用している-約70cps。)がそのような2つの組成物である。これらの高粘度人工涙液組成物は持続性であるが、最長10分以上持続する著しくかすんだ視野を生じる。
【0009】
人工涙液組成物は進歩した。この進歩は、TBUTを測定する困難の改善、追加の濡れの時間、並びに粘度に対するかすみの程度及び時間に基づいたものであった。人工涙液の第一世代は、他の電解質及び特定の無機質を添加した単純な食塩溶液であったが、依然として今日の点眼薬、例えば、Theratears(登録商標)(Theratearsは、Advanced Vision Research,Inc.の登録商標である。)に見られる。第二世代は、天然及び合成高分子、特にポリビニルアルコール及びセルロース誘導体粘性剤を加えることによって開発された。第二世代による最も自然な感覚の、したがって一般に好まれる配合物は、Refresh(登録商標)tears(Refreshは、Allergan Pharmaceuticals,Inc.の登録商標である。)である。第三世代は、ヒアルロン酸(ヒアルロネート)を加えることによって開発された。第三世代は、非ニュートン流動特性を与えることにより、涙管による排出がより遅くなるよう促し、眼により長く保持されるよう促す。しかし、第三世代の涙液層の安定化及び保持は中程度にすぎない。第三世代はまた、かすむ時間を短縮し、涙液層を安定化する。しかし、第三世代の配合物は、さらに油のようであり、それらの不自然な「水分不足の」知覚により、第二世代による今日市場に出ている多くの製品よりも一般に好まれない。さらに、第三世代は、第二世代との治療上、臨床上の差異をほとんど示していない。脂質系水中油型(「O/W」)エマルションからなる第四世代が開発された。第四世代のO/Wエマルションは、涙液層の蒸発を減少させ、脂質層を安定化し、時間を延長する。これらの配合物は、安定化のために非イオン性又はカチオン性界面活性剤の添加を必要とする。しかし、これらの配合物は、拡散の向上を促進せず、眼全体に有用な補助的な水性層安定剤を与えず、又は高剪断のまばたきの涙液のポンピングを抑制せず、保持の向上は最小限になる。これらの配合物は、1.0%以上での界面活性剤の既知の毒性のために、従来の人工涙液中の低濃度の界面活性剤により制限され得る。さらに、第三世代と同じく、第四世代の人工涙液は、最小限の治療上の検出可能な臨床上の利益、及び合成的で快適性が劣る品質を有する。
【0010】
コンタクトレンズ溶液
コンタクトレンズは、最も効果的であるために、毎日長時間装用されなければならず、許容される場合、終夜装用され得る。この時間の間、涙液の巨大分子成分からなる残屑並びに環境からの微粒子がレンズ表面に堆積し、装用者に刺激を与え、視覚を低下させる。そのような残屑及び微粒子をコンタクトレンズ表面から除去する従来の方法は、洗浄及びすすぎの別々のステップを含み、いずれも、コンタクトレンズを眼から取り出す必要がある。さらに、コンタクトレンズの洗浄及びすすぎ両方のために使用することができる多目的溶液も存在する。しかし、これらの多目的溶液は、洗浄がうまくいかない傾向があり、その理由は、すすぎ後に眼に装用されるとき、使用者にとって快適なままでなければならないからである。効率的な洗浄は重要であるが、その理由は、ファンデルワールス力によるコンタクトレンズ表面への突発的な細菌の結合でさえバイオフィルムを形成するからである。このバイオフィルムは、タンパク質、多糖及び脂質の混合物であり、親水性及び/又は疎水性成分の程度が様々である。バイオフィルムは、抗菌溶液の有効性を低下させ、微生物の付着率を増加させる。これらの微生物のうち最も危険なものには、アカントアメーバ属種(Acanthamoeba spp.)の胞子及びフザリウム属(Fusarium)菌の糸状体が含まれる。これらの病原微生物が付着すると、角膜炎の治療が厳しく、困難になる場合があり、その後の感染により部分的に、又はさらには完全に視力を喪失する恐れがある。多くのコンタクトレンズは、コンタクトレンズに抗菌化合物を取り込んで、そのような寄生に対抗している。しかし、これらの取り組みが必ずしも効果的であるとは限らず、長い装用時間は、病原性感染のリスクを高める。
【0011】
長く装用する使用者には、少数の製品、例えば、Alcon Opti-tears Comfort Contact Lens Dropsが存在し、これは、コンタクトが眼上にある間に適用できる。これらの滴剤は、コンタクトレンズを湿らせ、残屑の除去に少しばかり役立つ。しかし、これらの滴剤が付着物を溶解又は防止する能力は実質的に存在しない。さらに、これらの滴剤は、多目的溶液又は2ステップ溶液のいずれよりも洗浄能力が劣り、多くのバイオフィルムに対してわずかに効果があるだけである。
【0012】
現在利用可能なコンタクトレンズ溶液は、コンタクトレンズ装用者にあまり安心感を与えない。人工涙液のカテゴリーとして、これらの滴剤がもたらすのは、非常に短時間のほとんど臨床的に意義がないドライアイの緩和であり、大部分は、付着物又はバイオフィルムの除去に対する利益がない電解質溶液である。保存溶液として、これらの溶液は、レンズを消毒して、その形状の保持を可能にするのみである。しかし、コンタクトレンズ装用に関する基本的な課題は、レンズ表面に付着するタンパク質、粘液及び脂質又は脂質エステルである。前述のように、これらの付着物は、コンタクトレンズ表面に結合するますます強力なマトリックスを形成する。次いで、これらの付着物は、上皮を刺激し、微生物の侵入及び感染を誘発し、内側のコンタクトレンズ表面に沿って光を回折させる曇りが原因で、視覚、特に薄明視を劇的に低下させる可能性がある。これらの課題は、そのより小さい水性層の体積に起因するドライアイに間接的に関連し、その体積は、より多くの付着物をレンズ表面に形成させる。
【0013】
薬剤担体
眼科薬の有効性は、ノンコンプライアンスにより著しく限定される。コンプライアンスは、快適性の低下、刺激、及び数分~数十分続く(これは多くの薬剤に共通している。)視力喪失の一時的な品質によって悪影響を受ける。特に、これらの副作用は、高親油性薬剤に一般に使用される懸濁液、又は高親水性薬剤に関する非常に高い局所濃度の要件が原因である。
【0014】
経眼送達担体の基本的な課題は、快適性を改善すること;注入時のかすみ目を最小限にすること;薬剤の溶解性を向上させること;薬剤の滞留時間を向上させ、角膜の透過を増加させて、より多くの眼球内送達を実現すること;全身性の薬剤吸収を低下させること;及び局所副作用を最小限にすることである。残念ながら、これらの目的は、現行の眼科配合物によって達成されていない。
【0015】
現行の人工涙液担体は、薬剤の可溶化に使用することができるが、薬剤の滞留時間を向上させたり、他の有効性の利益を提供したりしない。より粘性のある人工涙液は、高濃度の粘度増加剤、例えば、Celluvisc(登録商標)(Celluviscは、Allergan,Inc.の登録商標である。)(高粘度カルボキシメチルセルロース(CMC)1%-粘度約350センチポアズ(cps))及びRefresh Liquigel(登録商標)(Refresh Liquigelは、Allergan,Inc.の登録商標である。)(0.35%高粘度CMC及び0.65%低粘度CMCのブレンド-約70cps)を使用しているが、これらの配合物のかすみ目は長時間であり、10分間以上持続する場合があり、コンプライアンスを大幅に低下させる。これらの人工涙液担体はまた、薬剤をゆっくり浸出させず、むしろ大量に放出して排出する。
【0016】
ゲル化剤が使用されてきており、薬剤の滞留時間の向上及び薬剤の溶解性の改善にある程度成功している。当然、そのような薬剤は、液体として注入され、次いで、ほとんどすぐにゲル相になり、ここで、薬剤の滞留時間が向上され、薬剤放出時間が延長される。チモプティックゲル(ジェランガム)、AzaSite(登録商標)(Azasiteは、Insite Vision,Inc.の登録商標である。)(ポリカルボフィル、ポロキサマー)及びBesivance(登録商標)(Besivanceは、Bausch&Lomb,Inc.の登録商標である。)、(ポリカルボフィル、ポロキサマー)、0.3%アルギネートKeltrol(登録商標))(Keltrolは、CP Kelco U.S.,Inc.の登録商標である。)は、そのような薬剤の例であり、ポリカルボフィル-ポロキサマーゲルは、商業的にDurasite(登録商標)(Durasiteは、Insite Vision,Inc.の登録商標である。)として知られる。
【0017】
しかし、大部分のゲル化剤は:1)注入時にかすみを増し;2)眼瞼及び睫毛で覆われたゲル残渣を生じさせ;3)注入時に刺激/刺痛を引き起こし;4)かなりの活性薬剤を全身に放出させ、全身性副作用を有し得る。全身性副作用が最小限の薬剤、又は数日の急性使用のみが意図される薬剤の場合、これらの問題は幾分緩和されるが、全身作用のプロファイルがより顕著な薬剤、特に親油性薬剤、とりわけ慢性使用の薬剤としての場合、これらの問題はコンプライアンスに重大な影響を与え得る。
【0018】
ゲル化剤は、高粘性状態に相転移し、典型的には、それらが相転移した後に500~1000cps以上に達する。イオン性、pH及び熱的トリガーが典型的に使用される。しかし、まばたきごとに高剪断力が、そのような相修飾層を分離した粒子へと破壊し、粒子は、鼻涙管内から鼻甲介へと容易に排出され、そこで残留薬剤は、体循環に容易に入り得る。多くのゲル化剤は、様々な分子量のポロキサマーと、増粘剤又は他のゲル化剤とを組み合わせ、注入時、液体からゲルへの所望の相転移を引き起こす。典型的には、ポロキサマーを使用し、第2のゲル化剤を使用しない配合物の場合、体温(37℃)でゲル転移温度に達するためには15%以上のポロキサマー濃度が必要である。
【0019】
Patel(Int.J. of Pharm.Chem.Sci.,Vol.1,October-December 2012)には、ポロキサマー及び粘度増加剤-低分子量、低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC E50LV)1.5%並びにブリモニジンの使用が記載されており、1%~19%のHPMCを含むポロキサマーの試験濃度において、in vitroで15%未満の臨床的に有用なゲル化能は記載されていない。涙液層の希釈を考えると、これは、典型的には、点眼時にゲルへの相転移を実現するために約21%のポロキサマーを必要とする。例えば、Qian(Drug Dev.And Industrial Pharmacy,2010,36(1):1340-1347)には、ゲルへの好ましい相転移を実現するための、21%ポロキサマー407及び10%ポロキサマー188を使用するメタゾラミド(炭酸脱水酵素阻害薬(緑内障))のin-situゲル化系が記載されている。in situゲルと同様の制限を伴う高粘度ゲル、具体的には、眼瞼及び睫毛の残渣並びに粘性のある眼瞼の抵抗という最もひどいノンコンプライアンスの要因と、より短いが依然として著しく長時間の視野のかすみを伴うより少ない量のその両方の要因とのトレードオフを伴う高粘度ゲルが記載されている。
【0020】
低粘性剤の使用は、困難な状況を逆転させる。快適性が良好であり、視覚が良好であり、表面残渣が存在しないように、他の組成物は、低粘性剤を含む配合物との適合性の最適化を試みている。しかし、そのような配合物では、涙液がほとんどすぐに希釈され、in situゲル又は粘液ゲルに対して薬剤の滞留時間が著しく限定される。したがって、配合物は、適合性を改善するか、又は有効性を向上させるが、両方ではない。これは、ドライアイ用担体にしばしば見られる。70cpsのRefresh Liquigel(登録商標)及び300cpsのCelluvisc(登録商標)がそのような例であり、視野のかすみが認められる。
【0021】
したがって、当技術分野において、一般に眼表面疾患、特にドライアイ症候群を患っている人のために、涙液分泌並びに/又は涙管による排出の減少及び蒸発シールドの形成による持続性の涙液隔離を促進し、眼の表面又はレンズを刺激するか、さもなければ眼の表面又はレンズに付着する可能性のある粒子の有機マトリックスを溶解する持続性の人工涙液が必要とされている。この人工涙液配合物は、長時間の霧視又は不快で合成的な知覚及び/若しくは油のような知覚を生じることなく、これらの品質を実現すべきである。さらに、この人工涙液配合物は、界面活性剤の毒性を除去することにより、1%超の界面活性剤濃度の安全な使用を可能にすべきである。
【0022】
さらに、当技術分野において、コンタクトレンズの洗浄、保存及び/又は湿潤組成物が必要とされている。この組成物は、不快感を減らし、残屑及び微粒子の蓄積を減らし、装用時間を向上させる一方、装用者にとって快適であるべきである。特に、この組成物は、バイオフィルムの形成並びにアカントアメーバ属(Acanthamoeba)の胞子及びフザリウム属(Fusarium)の糸状体の付着を減らすべきである。
【0023】
最後に、当技術分野において、眼又は皮膚の表面に薬剤を保持することができる局所薬剤担体が必要とされている。この担体は、使用者にとって快適であるべきであり、眼又は皮膚の表面における薬剤の滞留時間、吸収性、安全性又は有効性を向上させるべきである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0024】
【文献】Patel,Int.J.of Pharm.Chem.Sci.,Vol.1,October-December 2012
【文献】Qian,Drug Dev.And Industrial Pharmacy,2010,36(1):1340-1347
【発明の概要】
【0025】
人工涙液
特定の実施形態において、本発明は、1つ以上の非イオン性界面活性剤、並びに増粘剤、ポリオール及び電解質から選択される少なくとも1つの賦形剤は、向上した治療用涙液向上の所望の特性を与える、驚くべき意外な組み合わせを含む人工涙液組成物を対象とする。
【0026】
好ましい実施形態において:
1つ以上の非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、ポリソルベート、シクロデキストリン、アルキルアリールポリエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、チロキサポール及びポリオキシルからなる群から選択され;
増粘剤は、セルロース誘導体、カルボマー、ガム、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポビドン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、キトサン並びにヒアルロネート及びヒアルロン酸からなる群から選択され、より好ましくはセルロース誘導体は、カルボキシメチルセルロース(「CMC」)高分子量ブレンド、CMC低分子量ブレンド、CMC中分子量ブレンド、メチルセルロース、メチルセルロース4000、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)高分子量ブレンド、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース2906、カルボキシプロピルメチルセルロース(CPMC)高分子量ブレンド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;
ポリオールは、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、イソソルビド、エリトリトール、グリセロール、マルチトール及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;及び
電解質は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マグネシウムイオン及びそれらの組み合わせから選択される。
【0027】
別の好ましい実施形態において、本発明は、1つ以上の非イオン性界面活性剤及びポリオールを含む人工涙液組成物を対象とする。
【0028】
別の好ましい実施形態において、本発明は、1つ以上の非イオン性界面活性剤及び電解質を含む人工涙液組成物を対象とする。
【0029】
別の好ましい実施形態において、本発明は、1つ以上の非イオン性界面活性剤、ポリオール及び電解質を含む人工涙液組成物を対象とする。
【0030】
別の好ましい実施形態において、本発明は、1つ以上の非イオン性界面活性剤、増粘剤及びポリオールを含む人工涙液組成物を対象とする。
【0031】
別の好ましい実施形態において、本発明は、1つ以上の非イオン性界面活性剤、増粘剤及び電解質を含む人工涙液組成物を対象とする。
【0032】
別の好ましい実施形態において、本発明は、1つ以上の非イオン性界面活性剤、増粘剤、ポリオール及び電解質を含む人工涙液組成物を対象とする。
【0033】
別の好ましい実施形態において、本発明は、1つ以上の非イオン性界面活性剤、並びに増粘剤、ポリオール及び電解質から選択される少なくとも1つの賦形剤、並びに誘発された流涙及びその長時間の隔離をもたらす、6.0未満のpH;約250mosm以下のオスモル濃度、350mosm以上のオスモル濃度;約0.05~約0.20mMのメントール及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、流涙を誘発する手段を含む人工涙液組成物を対象とする。
【0034】
別の好ましい実施形態において、本発明は、1つ以上の非イオン性界面活性剤、並びに増粘剤、ポリオール及び電解質からなる群から選択され、全濃度が約1.5%w/v~約5.9%w/vである1つ以上の賦形剤を含む人工涙液組成物を対象とする。
【0035】
別の好ましい実施形態において、本発明は、
ポロキサマー、ポリソルベート、シクロデキストリン、アルキルアリールポリエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、チロキサポール及びポリオキシルからなる群から選択され、全濃度が約1.25%w/v~約7.0%w/vである、好ましくは、約0.01%w/v~約4.0%w/vのポリソルベート、約0.01%w/v~約3.0%w/vの1つ以上のポロキサマー、約0.01%w/v~約1.0%w/vのポリオキシル及び約0.01%w/v~約5.0%w/vのヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンからなる群から選択される1つ以上の非イオン性界面活性剤;
セルロース誘導体、カルボマー、ガム、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポビドン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、キトサン、ヒアルロネート、ヒアルロン酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される増粘剤;
塩化ナトリウム、塩化カリウム、マグネシウムイオン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される約0.01%w/v~約0.90%w/vの電解質であり、好ましくは、約0.01%w/v~約0.25%w/vのマグネシウムイオン、約0.10%w/v~約0.90%w/vの塩化ナトリウム、約0.1%w/v~約0.5%w/vの塩化カリウム及びそれらの組み合わせから選択される、電解質;
約0.1%w/v~約4%w/vのポリオールであり、好ましくは、0.25%w/v~約2.5%w/vのマンニトール又は0.5%w/v~約2.5%w/vのグリセロールである、ポリオール;並びに
任意選択的に、約0.01ミリモル~約0.25ミリモルのメントール及び/又は約0.1%w/vのソルベート
を含み、
好ましくは、増粘剤の濃度が、組成物に約0.1~約1,000センチポアズ(cps)の粘度を与え、好ましくは組成物のオスモル濃度が、約125ミリオスモル~約450ミリオスモルであり、好ましくは、低剪断粘度が約1~約1000cpsであり、最終高剪断粘度が約30cps以下である、人工涙液組成物を対象とする。
【0036】
別の好ましい実施形態において、本発明は、
ポロキサマー、ポリソルベート、シクロデキストリン、アルキルアリールポリエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、チロキサポール及びポリオキシルからなる群から選択され、全濃度が約1.25%w/v~約7.0%w/vである1つ以上の非イオン性界面活性剤であり、好ましくは、約0.01%w/v~約4.0%w/vのポリソルベート、約0.01%w/v~約3.0%w/vの1つ以上のポロキサマー、約0.01%w/v~約1.0%w/vのポリオキシル及び約0.01%w/v~約5.0%w/vのヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンからなる群から選択される、1つ以上の非イオン性界面活性剤;
約0.1%w/v~約0.75%w/vの塩化ナトリウム;
約0.01mM~約0.25mMのメントール;
任意選択的に、約0.1%w/v~約4%w/vのポリオールであり、好ましくは、約1.0%w/v~約2.5%w/vの濃度のマンニトール又はグリセロールである、ポリオール;
任意選択的に、セルロース誘導体、カルボマー、ガム、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポビドン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、キトサン、ヒアルロネート、ヒアルロン酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される粘性剤を含み、好ましくは、約1~約1,000センチポアズの粘度を有し;並びに
任意選択的に、約0.01%w/v~約0.25%w/vのマグネシウムイオン
を含む、人工涙液組成物を対象とする。
【0037】
別の好ましい実施形態において、本発明はさらに、ドライアイを治療する方法であって、本発明の組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法を対象とする。
【0038】
別の好ましい実施形態において、本発明はさらに、点状表層角膜炎、上皮剥離、手術後、例えば、緑内障後の吻合、白内障後、屈折矯正手術後の眼表面異常、ドライアイ症候群、乾性角結膜炎、切開手術若しくは切除手術、例えば、角膜/緑内障手術、白内障切開、角膜移植、緑内障手術濾過胞の後のドライアイ、投薬、保存剤、コンタクトレンズ溶液及びコンタクトレンズ使用によって引き起こされる眼表面異常からなる群から選択される眼表面の欠陥、欠損並びに疾患を治療する方法又は眼内炎を治療する方法を対象とする。
【0039】
別の好ましい実施形態において、本発明はさらに、眼痛を治療する方法であって、本発明の組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法を対象とする。
【0040】
別の好ましい実施形態において、本発明はさらに、角膜手術後の創傷治癒を促進する方法であって、本発明の組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法を対象とする。
【0041】
別の好ましい実施形態において、本発明はさらに、マイボーム腺機能不全を治療する方法であって、本発明の組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含み、好ましくは組成物が、約0.01%w/v~約1.0%w/vの1つ以上のポロキサマー、好ましくはポロキサマー188、ポリオキシルアルキル、好ましくはポリオキシルヒマシ油を含み、全非イオン性界面活性剤濃度が約1.5%w/v~約5.9%w/vであり、好ましくはNaClが約0.20%w/v~約0.50%w/vであるように、ポロキサマー、ポリソルベート、シクロデキストリン、アルキルアリールポリエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、チロキサポール及び他のポリオキシルの群から選択された1つ以上の別の非イオン性界面活性剤を含んでもよい、方法を対象とする。
【0042】
コンタクトレンズ組成物
1つの実施形態において、本発明のすべての人工涙液組成物は、コンタクトレンズ組成物として使用することができる。
【0043】
別の好ましい実施形態において、本発明はさらに、
ポリソルベート、ポリオキシル、シクロデキストリン、ポロキサマー、アルキルアリールポリエーテル及びポリオキシエチレングリコールアルキルエーテルからなる群から選択され、全濃度が約1.5%w/v~約5.9%w/vである1つ以上の非イオン性界面活性剤;
塩化ナトリウム;
任意選択的に、ポリオール;並びに
任意選択的に、粘性剤
を含む、コンタクトレンズ保存組成物を対象とする。
【0044】
別の好ましい実施形態において、本発明はさらに、全濃度が約1.25%w/v~約7.0%w/vの1つ以上の非イオン性界面活性剤を被覆若しくは注入した涙点プラグ又はペレットを対象とし、好ましくは1つ以上の非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、ポリソルベート、シクロデキストリン、アルキルアリールポリエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル及びポリオキシルから選択される。
【0045】
別の好ましい実施形態において、本発明はさらに、コンタクトレンズ装用時間を延長する方法であって、本発明の組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法を対象とする。
【0046】
別の好ましい実施形態において、本発明はさらに、コンタクトレンズ上のアカントアメーバ属種(Acanthamoeba spp.)のシスト数を減少させる方法であって、本発明の組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法を対象とする。
【0047】
別の好ましい実施形態において、本発明はさらに、ドライアイを治療する方法であって、本発明の人工涙液組成物をコンタクトレンズの表面に適用するステップであり、任意選択的に、適用が、一晩の保存又はそれを必要とする対象の眼にコンタクトを注入する直前である、ステップ、及びコンタクトレンズを、それを必要とする対象の眼に挿入するステップ、及び任意選択的に、コンタクトレンズを挿入する前に、本発明の組成物を対象の眼に投与するステップを含む方法、を対象とする。
【0048】
別の好ましい実施形態において、本発明はさらに、コンタクトレンズ付着物を減少させる方法であって、本発明のコンタクトレンズ組成物を、コンタクトレンズ表面に、及び任意選択的にコンタクトレンズが挿入される眼に適用するステップを含む、方法を対象とする。
【0049】
薬剤担体
1つの実施形態において、本発明のすべての人工涙液組成物は、薬剤担体として使用することができる。
【0050】
別の好ましい実施形態において、本発明はさらに、眼科薬剤、並びに1つ以上の非イオン性界面活性剤、並びに増粘剤、ポリオール及び電解質から選択される少なくとも1つの賦形剤を含む眼科薬剤担体組成物であって、好ましくは眼科薬剤が、シクロスポリン、プロスタグランジン、抗生物質、ムスカリン受容体アゴニスト、非ステロイド性抗炎症剤、ステロイド性抗炎症剤、GLC.アセチルサリチル酸、サリチル酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、組成物を対象とする。
【0051】
別の実施形態において、本発明の組成物は、眼科薬剤を可溶化又はカプセル化することができて、眼の表面への長時間の曝露を実現することができる。この長時間の曝露は、薬剤をより長く作用させ、薬剤の眼への浸透を増加させることができる。本発明における使用に適した眼科薬剤には、シクロスポリン、プロスタグランジン、抗生物質、非ステロイド性抗炎症剤、ステロイド性抗炎症剤又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
別の好ましい実施形態において、本発明は、好ましくは、本発明の組成物を被覆又は注入したコンタクトレンズ、涙点プラグ及びペレットからなる群から選択される眼科薬剤送達手段を対象とする。
【0053】
別の好ましい実施形態において、本発明はさらに、眼の表面における薬剤滞留時間を向上させる方法であって、
眼科薬剤を本発明の組成物に懸濁又は溶解させて、眼科薬剤組成物を生成するステップ;及び
眼科薬剤組成物を、それを必要とする対象の眼に注入するステップ
を含む、方法を対象とする。
【0054】
別の好ましい実施形態において、本発明はさらに、乾燥型加齢黄斑変性症、滲出型加齢黄斑変性症又は糖尿病を治療する方法であって、本発明の眼科薬剤担体を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法を対象とする。
【0055】
別の好ましい実施形態において、本発明はさらに、局所薬剤、並びに1つ以上の非イオン性界面活性剤、並びに増粘剤、ポリオール及び電解質から選択される少なくとも1つの賦形剤を含む局所薬剤担体組成物であって、好ましくは眼科薬剤が、シクロスポリン、プロスタグランジン、抗生物質、非ステロイド性抗炎症剤、ステロイド性抗炎症剤、GLC及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、組成物を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】非イオン性界面活性剤濃度に対するMoisture-Lock(商標)Indexのグラフである。Moisture-Lockは、PS Therapies,Ltdが所有している商標である。
図2】様々な%w/vの非イオン性界面活性剤濃度における経時的なMoisture-Lock(商標)効果の値のグラフである。
図3】食塩水/Refresh(登録商標)CL中で保存されたコンタクトレンズを眼に挿入した後の涙液層破壊(時間に対するパーセント)を示す図である。
図4】本発明の組成物Y中で保存されたコンタクトレンズを眼に挿入した後の涙液層破壊(時間に対するパーセント)を示す図である。
図5図3及び図4に示した涙液層破壊の曲線下面積(パーセント×sec)を示す図である。
図6】本発明の組成物中に保存後のコンタクトレンズを示す図である。
図7】5.0%w/vのポロキサマー407及び0.75%w/vの高分子量カルボキシメチルセルロースを含む組成物の剪断速度を示す図である。
図8】組成物#C12及びRestasis(登録商標)の注入後の涙液量のシルマーテストを示す図である。
図9】組成物#C12の平均ミセルサイズを示す図である。
図10】Restasis(登録商標)の平均ミセルサイズを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明の発見
人工涙液
本発明は、人工涙液を配合して眼の十分な表面積を覆い、脂質を添加することなく涙液層の水性層及び脂質層を安定化することができる蒸発性の涙液シールドを形成することができるという驚くべき発見を対象とする。特に驚くべきは、非イオン性界面活性剤の全濃度を、本発明の組成物の存在下で、1.0%w/v(これは、先行技術の眼科製剤において有毒であることが示されている。)をはるかに上回るまで増加させることができるという発見である。さらにいっそう驚くべきは、全非イオン性界面活性剤濃度が最高7.0%w/vまでの本発明の組成物を、毒性を伴わずに日常的に眼に注入することができることである。さらに、本発明の組成物は、驚くべきことに、蒸発性の涙液シールドを形成させ、この蒸発性の涙液シールド下に保持される自然な流涙を誘発するよう配合することができる。そのような組成物の発見は新規であり、その理由は、脂質を含む本人工涙液は、蒸発性の涙液シールドを形成せず、油のような不自然な感覚を残さないからである。さらに、本発明の人工涙液組成物は、涙液層の脂質層を安定化すると共に、水性層を安定化及び拡散する。涙液層のすべての3つの層の成分は、涙液がうまく機能するために極めて重要である。最後に、本発明の人工涙液組成物により形成されたナノミセルの形状は、眼の表面のかなりの部分を覆うことにより、蒸発に対する改善されたバリアを形成する。これらのナノミセルは、直径約12~約20ナノメートル、直径約12~約14ナノメートル、直径約15~約20ナノメートル又は直径約19ナノメートルであり得る。
【0058】
詳細には、特定の濃度範囲の非イオン性界面活性剤を使用して形成されたナノミセル層の存在は、非極性表面及び極性表面からなる。この両面は、本発明の組成物が、涙液層の自然な脂質層及び水性層を安定化することを可能にするだけでなく、蒸発バリアの形成も可能にする。ナノミセル層は、その界面に沿った拡散により何らかの疎水性表面に向いているとき、その好ましい最低のエネルギーレベルになる。眼の疎水性表面には、本来の涙液の脂質層及び空気-涙液界面の両方が含まれる。おそらく最も重要であるのは、これらの特異的な相互作用によりもたらされる効果である。具体的には、1)非極性シール、2)脂質層及び水性層の極性並びに非極性の安定化、3)まばたきによる拡散性の改善、及び4)本発明の組成物により形成されたより大きな涙液層プリズムが、いわゆるMoisture-Lock(商標)効果を生じる。Moisture-Lock(商標)効果は、シルマーのストリップ測定又はフェノール糸による涙液量の分析により、ある程度定量化することができる。しかし、これらの試験は、これらの測定を不正確にし得る反射性流涙を含む多くの環境変数のために、正確に使用することが難しいことで有名である。効果のより正確な表現は、感じられる追加の濡れの時間の定性的測定である=。これは、本発明の(1つ以上の)非イオン性界面活性剤成分の特定の組み合わせに対して、とりわけ非イオン性界面活性剤の全濃度に対して特に高感度であることが明らかになっている。さらに、組成物及び別の賦形剤の粘度は、これらの変数のカスタマイズを必要とする様々な条件に対して、本発明において重要な役割を果たす。しかし、これらの変数を固定してMoisture-Lock(商標)効果を分析すると、Moisture-Lock(商標)効果が現れる範囲が明確になる。以下の実施例1を参照されたい。
【0059】
Moisture-Lock(商標)効果は、本発明の組成物により形成されたナノミセル層下にシールされている涙液成分、特に水性成分の何らかの自然な分泌により生じる。そのような隔離は、極めて重要な水性の因子を長時間接触させ、血清点眼投与に見られるものとよく似た大きな治療上の利益及び快適性の利益をもたらす。軽度~極度のMoisture-Lock(商標)効果は、ごくわずかな流涙を生じることにより、例えば、pH又は浸透圧を調整することにより引き起こされ得ること、次いで、本発明の涙液隔離特性により増幅されることが見出された。
【0060】
本人工涙液組成物で利用される特定の非イオン性界面活性剤の同様に重要な濃度範囲及び特有の組み合わせは、普通ならマイボーム管を詰まらせるはずの脂質を溶解する。マイボーム管は、涙液の蒸発を減少させる自然な涙液成分を分泌する役目を負う。マイボーム腺機能不全として既知のこの臨床状態は、多くのドライアイ患者を苦しめるだけでなく、緑内障患者、及び絶えず点眼薬を使用しなければならない他の人々の一般的な悩みでもある。
【0061】
本発明の人工涙液組成物はまた、自然な涙液の水性成分の分泌を中程度に刺激する。次いで、形成された蒸発シールドは、Moisture-Lock(商標)効果として患者が感じるものにより、この自然な水性層の蒸発を防ぐ。自然な涙液の刺激の正味の効果は、涙液を隔離する能力と組み合わせられて、処方箋薬、例えば、Restasis(登録商標)及びXiidra(登録商標)(Restasisは、Allergan,Inc.の登録商標であり、Xiidraは、SARcode Bioscience Inc.の登録商標である。)により実現されるよりも、さらに長く自然な涙液要素に眼を曝露させることを可能にする。臨床研究において、Restasis(登録商標)及びXiidra(登録商標)はそれぞれ、ドライアイの治療において、涙液の産生をわずかに促進させるだけであり、様々な臨床結果を伴うことが明らかになっている(すなわち、50%以下の利益で、何カ月も必要とし、多くの場合、従来の人工涙液と比べて臨床的に意義がないか、又はわずかに臨床的に意義があるのみ)。
【0062】
本発明の組成物は、涙液隔離の見出された手段により、自然な涙液の産生においてシールする広範なシールドを形成する。pH調整、浸透圧調整、又は成分、例えば、メントールの添加によって誘発され得る自然な流涙の些細なトリガーさえも、より多量の自然な涙液に眼を曝露させることにより、本発明の利益を拡大させることができる。この涙液量曝露は、自然な涙液分泌のみにより涙液量を増加させるRestasis(登録商標)又はXiidra(登録商標)により実現される曝露よりも多い。さらに、これらの局所薬は、性質上処方箋であり、月300ドルと非常に費用がかかる。しかし、本発明は、人工涙液組成物を配合するための一般に安全と見なされる成分を、これらの先行技術の配合物と比べて真に驚くべき意外な結果と組み合わせる新規の手段を発見している。
【0063】
人工涙液は、従来から、眼のための潤滑の外部源である。しかし、本人工涙液組成物はさらに、長時間の接触及び眼の表面の濡れのために自然な涙液中でシールし、増殖因子、リゾチーム、並びに眼の治癒及び保護を助ける他の涙液成分に眼を曝露させる。特定の理論に拘束されることは望まないが、本人工涙液組成物により形成された保護シールドは、密充填された大きなナノミセル構造の形成と共に涙液の濡れ角を小さくし、表面領域全体をシールし、Moisture-Lock(商標)効果の意外な結果をもたらす。この効果は、前世代の人工涙液では不可能であった。Moisture-Lock(商標)効果は、長時間にわたる自然な涙液合成を誘発することと同等であり、おそらく涙点管を詰まらせることよりも重要である。涙点管の詰まりは、ドライアイ患者が低頻度で放出する涙液を隔離し、及び/又は本発明の組成物より効果的でない。さらに、本発明の組成物は名目上、眼内の涙液の排出を誘発し、隔離し、制限し、それに伴うかすみ目は、最も極端な治療上の必要にのみ必要な最も極端な粘度においてさえ、わずかゼロ~数十秒である。これは、例えば400センチポアズでかすみ目の安定化に10分以上要する先行技術の配合物とは全く対照的である。
【0064】
好ましい実施形態において、本発明は、1つ以上の非イオン性界面活性剤及び電解質を含む人工涙液組成物であって、電解質濃度により劇的な影響を受け、好ましくは低浸透圧の電解質濃度により最適化される所望の流体の流れ及び非ニュートン性(眼瞼の剪断に対して非線形)の粘度特性を実現するような、組成物を対象とする。
【0065】
別の好ましい実施形態において、本発明はさらに、人工涙液組成物が眼上にある時間を長くし、自然な水性層及び脂質層を安定化することができる人工涙液組成物を対象とする。好ましくは、組成物はさらに、増殖因子、抗菌因子並びに他のタンパク質及び栄養素を含む安定化された自然な水性層への眼の曝露時間を長くする。
【0066】
水性層へのこの長時間の曝露によりもたらされる利益は、現在、血液を遠心沈殿させ、血漿又は多血小板血漿を保存し、その後、眼に局所注入することによってのみ可能である。自然な水性層へのこの長時間の曝露による利益は、涙液層破壊時間の測定により、部分的に評価することができる。しかし、涙液層破壊時間は、涙液機能を定量化するための時代遅れの手段であり、栄養豊富な水性層への角膜上皮の曝露の実際の量及び時間よりも臨床的関連が少ない。商業的には、市場を独占している主要な配合物(Allergan(登録商標)Refresh(登録商標)製品ライン)は、合成的な油のような感触ではなく、水分を加えた最も爽やかな知覚を示す。本発明において、以下の実施例1に記載の「Moisture-Lock(商標)Index」は、最も許容及び所望される人工涙液のこの重要な知覚の程度及び時間とより良く相関する。
【0067】
別の好ましい実施形態において、本発明はさらに、ドライアイを治療する方法であって、本発明の組成物を、それを必要とする対象の眼に投与するステップを含み、投与によって、非イオン性界面活性剤層下の涙液層の隔離を実現し、好ましくは、非イオン性界面活性剤層が、疎水性脂質層又は空気と並んでいる疎水性外層による水性層の保持を可能にする、方法を対象とする。この層は、水の浸透に影響されず、親水性の反対側の面を与える。この反対側の面は、水性層を安定化し、誘発された正常な涙液の水性成分、並びに本発明の治療成分、例えば、眼との長時間の接触を維持するためのポリオール及び電解質をもたらす。
【0068】
本発明の別の利点は、粘性剤、特にセルロース誘導体、カルボマー、ガム、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポビドン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、キトサン並びにヒアルロネート及びヒアルロン酸を添加すると、まばたき間に低剪断非ニュートン高粘度になり、まばたき中に高剪断低粘度になるという驚くべき発見である。まばたき間の低剪断粘度は、眼全体の本人工涙液組成物の拡散を助け、まばたき中の高剪断粘度は、蒸発シールドの破壊及び排出を防ぐ。したがって、粘度が変化する能力は、涙液の蒸発及び排出を強く抑制することにより、Moisture-Lock(商標)効果の増幅を助ける。さらに、本発明の特定の粘性剤を添加すると、注入時に粘度が300~400センチポアズ(「cps」)になるが、60秒以内でもはやかすみ目を生じない。さらに、これらの粘性剤は、まばたき間(低剪断条件)は約70cps、各まばたき中(高剪断条件)は30cps未満、好ましくは20cps未満の差異を与える。これは、同様に粘性のある従来の滴剤、例えば、Refresh Celluvisc(登録商標)の視力回復より約10倍速い。
【0069】
本発明のさらに別の発見は、眼の表面を保護し、修復を容易にすることができるポリオール及び電解質の含有である。これらの別の賦形剤はまた、他の処方滴剤、例えば、抗生物質、ステロイド、非ステロイド及び/又は緑内障点眼薬からの保存剤の毒性の影響を低減させることができる。本発明は、ポリオールの濃度が約0.5%w/v超、特に、約1.25%w/v超であることが好ましいことを発見している。
【0070】
要約すると、本発明の組成物の驚くべき発見には以下が含まれる:
i)臨界ミセル濃度10-3M~10-4Mを超える、約1.5%w/v~約7.0%w/v、好ましくは約5.5%w/v未満の非イオン性界面活性剤濃度を使用することにより、かなりの蒸発シールドを形成するための、十分に表面が被覆されたナノミセル層の形成;
ii)約0.005%w/vを超えるが約0.20%w/v未満、より好ましくは約0.01%w/v~約0.10%w/vのポリオキシルを加えることによる、最も好ましくはポリオキシルヒマシ油を加えることによる、眼又はコンタクトレンズの表面の脂質及び/又は脂質付着物の溶解;
iii)特定の粘性剤を加えることによって、注入時に高粘度を有し、通常の涙液粘度に速やかに平衡化し、次いで、まばたき間及びまばたき中にそれぞれ通常の粘度及び高粘度の間で上下し、したがって、視野のかすみを減らし、組成物が眼上にある時間を延ばす組成物の提供;並びに
iv)ポリオール及び塩の形態のマグネシウムイオンを加えることによる、神経の再生及び上皮の修復の改善の可能性を含む別の利益の提供。
【0071】
本発明以前は、非イオン性界面活性剤が、人工涙液中で、又はコンタクトレンズ用保存/浸漬溶液として、非常に低い濃度で使用された。本発明の濃度範囲での非イオン性界面活性剤の使用は、局所適用には毒性が強すぎると考えられていた。本発明の発見は、全濃度が約1.25%w/v~約7.0%w/v、好ましくは約1.5%w/v~約6.0%w/v、約2.8%w/v~約5.9%w/v、約2.0%w/v~約4.0%w/v及び約3.0%w/v~約3.5%w/vの非イオン性界面活性剤、約0.5%w/v以上の濃度のポリオール、並びに10cps以上の粘度を与える粘性剤の特有の組み合わせを含むと、毒性を防止することができることである。
【0072】
いくつかの一般用医薬(「OTC」)滴剤は、自然な涙液の脂質成分の外部源を提供する。これらの滴剤には以下が含まれる:Soothe(登録商標)XP(Sootheは、Bausch&Lomb Incorporatedにより製造され、同社から入手でき、同社の登録商標である。)及びRetaine(登録商標)(Retaineは、OcuSoft,Inc.により製造され、同社から入手でき、同社の登録商標である。)(それぞれ軽質鉱油及び鉱油を含む。);Systane Balance(登録商標)(Systane Balanceは、Alcon,Inc.により製造され、同社から入手でき、同社の登録商標である。)(これはプロピレングリコールを含む。);並びにRefresh Optive(登録商標)Advanced(Refresh Optiveは、Allergan,Inc.により製造され、同社から入手でき、同社の登録商標である。)(これは、カルボキシメチルセルロースナトリウム、グリセリン及びポリソルベート80を含む)。
【0073】
これらのOTC涙液配合物は、以下の不利な点を有する:1)自然な脂質層の最小限の非イオン性界面活性剤安定化、2)水性層の拡散を向上させる濡れ角の最小限の減少、3)改善されたナノミセルの幾何構造の見出された利点には不十分な非イオン性界面活性剤、及び4)蒸発シールド保護に必要な表面被覆。
【0074】
驚くべきことに、本発明の組成物は、下眼瞼縁に沿った大きな涙液プリズム厚の形成に反映された、長時間にわたる「涙液の湧出」を引き起こすことが見出された。特定の理論に拘束されることは望まないが、自然な、いくつかの組成物においては誘発された流涙が、低蒸発性のナノミセルの堅牢なシールド下に隔離されたままになり、水性層及び安定化された脂質層の厚さを増大させると考えられる。眼瞼縁に沿ったより大きな涙液プリズムにも関わらず、涙液が疎水性の空気界面を横切ったり、頬を伝って流れ落ちたりする傾向がないような非線形(非ニュートン)粘性並びにまばたき間の厚さの増大及び非常に小さい濡れ角により、本発明の大部分の組成物において知覚がさらに向上する。従来の涙液が、10~20分間の何らかの別の快適性及び潤滑をもたらし得る場合、開示の発明は、1時間以上の新規の知覚を生じる。この新規の知覚は、閉じ込められた涙液の感覚であり、これは、60分もの間眼瞼縁に溢れるほどまで水分で溢れた両眼瞼のライニングの結果生じる。その結果、涙液の長時間の閉じ込めの特有の現象が、ドライアイ患者にとって「涙液の湧出」の大きな治療上の潜在的な結果及び極めて爽やかな知覚を伴って生じる。この現象は、本明細書において、以下、Moisture-Lock(商標)効果と呼ばれ、Moisture-Lock(商標)Indexにより測定される。
【0075】
全非イオン性界面活性剤濃度範囲がミセル層を形成し、この層が、十分に充填されて眼表面を劇的に覆い、極めて小さい濡れ角で拡散し、脂質及び水性安定剤のように作用すると考えられる。この層はまた、空気又は脂質疎水性界面に沿って拡散し、非極性の端部を並べて、堅牢な非蒸発性の表面を形成する。驚くべきことに、添加された(1つ以上の)非イオン性界面活性剤が臨界ミセル濃度(「CMC」)を超える臨界濃度において、そこに濃度ミセルトリガー(「CMT」)が生成され、これが、眼表面に沿ってコンフルエンス又はニアコンフルエンスを誘発し、合成的な油のような感触を与える脂質の添加を必要とせずに蒸発の減少を引き起こすことが見出されている。さらに、このCMTは、驚くべきことに、(1つ以上の)非イオン性界面活性剤のCMCそれぞれの約15~600倍の範囲内で生じて、見出された非蒸発シールドを形成し、結果としてMoisture-Lock(商標)効果を生じることが見出されている。この効果は、この範囲内のピークまで保持され、上限濃度(「CUL」)で表面毒性を持ち始めると共に、効果が低下し始める。この効果の低下は、おそらく、(1つ以上の)ミセル層の幾何学的構成の変化の結果である。
【0076】
CMTにあるミセル層又はCMTの上方のミセル層が、濃度範囲にその上限としてのCULを与え、その範囲内で、被覆/シールド効果が、以下の2つ以上のいくつかの観察された新規の特性と共に生じると考えられる:
i)涙液層の蒸発を減少させ、湿度、涙液量又は涙液層破壊時間に対する感受性を低下させる蒸発シールドの形成(涙液層破壊時間は、時間に対する、涙液の化学により促進されるビーディングにより決定され、刺激及び他の因子の影響を受けるため、正確な測定が困難な変数である。);
ii)角膜表面及び何らかの凹窩(すなわち、ドライスポットを生じる、角膜上皮に沿った不規則な組織分布)の大部分を即座に被覆する極めて低い表面張力の実現;
iii)涙液の排出が最小限になり、新規の涙液充填の眼瞼結膜嚢デポーがゆっくり使い果たされるまで、まばたきごとの再循環により、角膜表面に沿った涙液層の被覆が最適化されるような、まばたき間のかなりの停滞、及びまばたき中のそのまばたきの高剪断垂直成分に主として沿った容易な流れを生じる非ニュートン流体の流れ;
iv)従来の涙液製品(Liquigel(登録商標)150cps、Celluvisc(登録商標)400cps)が、それぞれ約10~20分間の範囲で霧視を生じるのに対し、より低粘度でかすみがなく、400cpsもの高い粘度でも約15秒間以下のごくわずかなかすみであり、したがって、ごく最小限の粘性がある従来の涙液の快適性及び視覚を伴う、従来の涙液配合物の非常に粘性のある涙液代替を越える利益を提供する;
v)隔離(これは、従来の涙液に見られるものとは異なり、眼瞼縁に沿った数十分間の「湧昇」効果を生じ、1時間以上の向上した非線形の非ニュートン性の剪断効果を有する添加された粘性剤の条件下で、ヒト涙液成分を角膜上皮と長時間接触させる、非蒸発シールド下の産生された涙液の明らかな「閉じ込め」を意味する。);
vi)誘発された自然な涙液の上述のvに記載の隔離、特に、低pH、変更されたオスモル濃度、又は賦形剤、例えば、メントールの添加が、そのような誘発及び長時間の保持をもたらす好ましい実施形態における隔離;
vii)ポリオール及び/又はマグネシウムイオンの形態の賦形剤の添加による快適性の付加、上皮の保護、及び修復性の上皮表面の完全性のための環境向上;
viii)挿入前にコンタクトレンズ上に置かれると、装用中に注入されたとき、特にコンタクト注入後少なくとも16時間コンタクトレンズ表面の付着物を減少させ、注入時に視覚を向上させ、快適性の改善を容易にする持続性の被覆効果をもたらし、したがって、通常の8秒の涙液層破壊と比べて、驚くべきことに見出された少なくとも24秒間の最小限の涙液の分散により、上皮症を減少させる被覆;
ix)コレステロールエステル、同時に処方され得る、又は他の状態の治療に必要であり得る他の滴剤-例えば、特に抗生物質、非ステロイド、ステロイド及び緑内障局所薬からの保存剤を含み(ただし、これらに限定されない。)、眼瞼結膜に付着し、除去が困難であると共に、涙液層内の部分を刺激する脂質付着物の蓄積を減らす、マイボーム腺機能不全において起こるけん化からの保護;並びに
x)涙液からの増殖因子が、様々な外面に関連する生理的ストレス及び疾患状態に、長時間の有益な保護及び修復の利益を提供して、快適性及び角膜表面の健康を改善する、2つ以上の認められる上述の特徴の組み合わせによる累積効果。
【0077】
特定の理論に拘束されることは望まないが、約1.5%w/v~約5.5%w/vの濃度範囲(臨界ミセル限界値は、約1×10-3M~1×10-4Mの範囲である。)のポリソルベート20、60及び80;チロキサポール、ポロキサマー188及び407;ポリオキシル30及び40ヒマシ油;ヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリン、ガンマシクロデキストリンを含むシクロデキストリン、Brij(登録商標)35、78、98及び700(ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル;Brijは、Uniqema Americas LLCの登録商標である。);Span(登録商標)20、40、60及び80(ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート及びソルビタンモノオレエート;Spanは、Uniqema Americas Inc.の登録商標である。)又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない眼科用途に利用できる大部分の非イオン性界面活性剤が、重要な特徴、例えば以下をもたらすことが見出されたと考えられる:
i)眼に注入時の疎水性表面の並置に起因する成層による最低エネルギーの幾何構造-眼表面の最も近くから最も遠くまでは、上皮、脂質層及び空気界面である;
ii)角膜上皮及び結膜上皮、自然な脂質涙液層並びに空気界面を含め、曝露され得る眼、又は保護シールド若しくは被覆として効果的に機能するほど同様に密充填され得る眼に注入時の1つ以上の疎水性表面との並置に起因する成層による最低エネルギーの幾何構造;
iii)水性層の上に成層又は密充填されたとき、蒸発を著しく抑制する好ましい濃度範囲内の十分な密度;
iv)より平滑でより均一な表面を保持し、マイボーム腺脂質を溶解して、その厚さをさらに増大させる、脂質層の平滑化;
v)低表面張力及び濡れ角、並びに高剪断の各まばたきによる、上皮表面、特に凹窩(涙液層が均一に被覆できない、又は全く被覆できない角膜の組織分布の隆起した領域)の被覆に起因する優れた拡散性;
vi)上述の機能のそれぞれを異なる界面活性剤により促進することができて、約1.5%w/v~約5.5%w/vの濃度範囲が、個々の界面活性剤濃度の総和を表す1つ以上の非イオン性界面活性剤の提供;並びに
vii)ポリオキシル、特にポリオキシルヒマシ油が、マイボーム腺分泌物を優先的に可溶化することができる場合。
【0078】
本発明の別の驚くべき発見は、例えば、約0.20%w/v以上まで電解質濃度を増加させることによりもたらされるような軽度の高浸透圧の長時間のMoisture-Lock(商標)効果である。特に、塩化ナトリウムがこの目的のために好ましい。高浸透圧の涙液により生じる非常に穏やかだがわずかな刺激が初期の流涙の増加を誘発し、これが、ミセル層下で「固定」されると考えられる。次いで、この涙液分泌が、非ニュートン流動特性によりさらにシールされ、価値のある変力性の増殖因子及び他の栄養素及び生理的成分を眼の表面に与える。これらの非ニュートン流動特性は、まばたき間の低剪断時の粘度増加により涙液の排出を制限する一方、まばたき中の高剪断時に引き起こされる低粘度により視力を改善することにより、シーリングを実現する。
【0079】
別の驚くべき知見は、ポリオール、特にマンニトール及び/又はマグネシウムイオン、特にその組み合わせが、保存剤及び/又は酸化防止剤の効果を含むがこれらに限定されない、上皮症からの角膜表面の保護を実現するという新規の発見である。
【0080】
別の意外な知見は、酸化防止剤の添加が、効果の時間を延長することである。涙液配合物である酸化防止剤、特にEDTAは、上皮毒性を引き起こすという長年の見解を考えると、この発見は驚くべきことである。
【0081】
a)濃度、特に(1つ以上の)粘性剤の濃度、b)上皮保護賦形剤、例えば、ポリオール、例えば、マンニトール、並びにc)電解質、特にマグネシウムイオン及びNaClの添加の変化は、濡れ効果(すなわち、Moisture-Lock(商標)効果)の時間、初期のかすみ(すなわち、約0~15秒)の程度、並びに保護効果及び治療効果を含む様々な他の効果を測定する手段を提供する。本発明の組成物のこの可変性は、様々な状態の治療を可能にする。
【0082】
ある種の状態、例えば、マイボーム腺機能不全(「MGD」)は、眼瞼マッサージ及び搾油法、例えば、眼瞼縁に沿った綿球ロールを利用することができる。これらの状態はまた、全非イオン性界面活性剤濃度(すなわち、約1.5%w/v~約5.9%w/v、より好ましくは約2.5%w/v~約4.0%w/v)のCMT範囲内で形成された堅牢な非イオン性界面活性剤表面層を利用することができる。特定の非イオン性界面活性剤の濃度が高い場合、例えば、約0.001%w/v~約2.0%w/v、より好ましくは約0.010%w/v~約1.0%w/vの濃度のポリオキシル、好ましくはポリオキシルヒマシ油、最も好ましくはポリオキシル30又は40ヒマシ油は、MGDの治療のためのそのような配合物をさらに強化することができる。さらに、ポリオキシルヒマシ油へのほぼ等しいポリエチレングリコール-400の添加は、組成物の安定性を向上させることが見出されている。
【0083】
本発明は、高度な粘膜付着性と、まばたき間及びまばたき中のレオロジー特性における温度感受性の変化とを組み合わせる。これらのレオロジー特性は、かすみのない生理的なまばたきを可能にし、平衡後、選択された実施形態に応じて約15~60秒以内に、約5~10μmの薄い涙液層を形成する。驚くべきことであったのは、本発明が、
a)典型的には約1時間以上の長時間の濡れ及び水和作用を生じ;
b)注入時に、数十秒、典型的には30秒以下の最小限のかすみを生じ(上の表2参照);
c)眼瞼又は睫毛の痂皮を形成せず、長時間の濡れ作用のみ眼瞼縁に沿って感じられ;
d)非常に低い(4未満)又は高い(7を超える)pHで快適な注入を可能にし;
e)非イオン性界面活性剤層の堅牢な疎水性バリアにより、長時間の涙液隔離及び誘発された(Moisture-Lock(商標)効果)への曝露及び自然な涙液を実現し(表11並びに図1及び図2参照);並びに
f)涙液分泌のわずかな漸増のみを示す現世代の処方箋ドライアイ製品であるRestasis(登録商標)及び/又はXiidra(登録商標)以上の眼表面への涙液曝露の増加の可能性をもたらすことである。
【0084】
上皮毒性を軽減することができる本発明の賦形剤は、ポリオール及び電解質のうちの1つ以上を含み、驚くべきことに、本発明の非イオン性界面活性剤の組み合わせは、約0.10%w/v~約0.90%w/v、より好ましくは約0.20~約0.50%w/v、最も好ましくは約0.25%w/v~約0.35%w/vのNaClによりさらに向上されることが見出されている。通常の等張液には、典型的には、0.90%w/vのNaClが必要であろう。好ましい実施形態において、第2の電解質はマグネシウムイオンである。さらに好ましい実施形態において、マグネシウムイオンの源はMgClである。さらにより好ましい実施形態において、MgClは、約0.01%w/v~約0.25%w/v、より好ましくは約0.05%w/v~約0.15%w/v、最も好ましくは約0.075%w/v~約0.125%w/vの濃度である。ポリオールは、好ましくはマンニトールであり、より好ましくは、マンニトールは、約0.25%w/v~約4.0%w/v、さらにより好ましくは約1.5%w/v~約3.0%w/v、最も好ましくは約2.0%w/v~約2.5%w/vの濃度である。特定の理論に拘束されることなく、これらの賦形剤は、単独で、又は組み合わせで、上皮の修復、損傷した神経細胞成分の回復を促進し、痛みを軽減し、より速やかな上皮表面の平滑化及び健康を促進し、点状表層角膜症を減少又は排除すると考えられる。点状表層角膜症は、刺激物への曝露による一般的な眼表面異常である。これらの刺激物は、特に、抗生物質、ステロイド、非ステロイド及び緑内障薬を含む大部分の点眼薬に見られる保存剤である。これらの刺激物に起因する白内障手術後の毒性、及び慢性眼疾患、例えば、緑内障のための投薬時の毒性を考えると、本発明の組成物は、随伴症状を大幅に緩和することができる。
【0085】
本発明は、約1.5%w/v~約7%w/v、より好ましくは約2.0%w/v~約6.0%w/v、さらにより好ましくは約2.5%w/v~約5.5%w/v、最も好ましくは約3.0%w/v~約5.0%w/vの全界面活性剤濃度を必要とし、1つ以上の非イオン性界面活性剤はそれぞれ、10-3~10-4Mの範囲内の臨界ミセル濃度(ミセル形成が起こり、表面張力がもはや低下しない濃度)を有する。非イオン性界面活性剤は、シクロデキストリン(ヒドロキシプロピルガンマシクロデキストリン、ガンマシクロデキストリン及びベータ-シクロデキストリンが最も好ましい。);ポリオキシルソルベート(Tween(登録商標)80、60、40又は20を含むすべてのTween(登録商標)ソルベート(ポリソルベート;Tweenは、Uniqema Americas,LLCの登録商標である。)を含む。);他のポリオキシル(最も好ましいのは、ポリオキシルヒマシ油及びポリオキシルステアレートである。);アルキルアリールポリエーテル(最も好ましいのは、チロキサポールである。);アルキルエーテル(すべてのBrij(登録商標)アルキルエーテル(最も好ましいのは、Brij(登録商標)35、78、98及び700である。)を含む。);Span(登録商標)20、40、60及び80(ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート及びソルビタンモノオレエート)並びにトコフェロール(ビタミンE)のうちの1つ以上からなっていてもよい。
【0086】
非ニュートン粘性成分は、ドライアイ又はドライアイに関連する状態の治療の臨床上の必要に比例してますます重要である。非ニュートン粘性成分は、コンタクトレンズ及び涙点プラグを含む挿入された器具がない状態で特に重要である。非ニュートン粘性成分は、粘度が、まばたき間に約30cps超、好ましくは約35~約50cps、最も好ましくは約70~約400cpsであり、各まばたき中に約30cps未満、好ましくは約25cps未満、最も好ましくは約20cps以下であるとき、まばたき間の涙液の排出を減少させる。好ましい実施形態において、非線形の剪断粘度の比は、約5:1~約10:1のまばたき間対まばたきの粘度である。驚くべきことに、好ましい範囲内の非イオン性界面活性剤及び低い(約20cps未満又は最高約500cps)粘性剤の組み合わせは、高粘度での視覚及び改善された流動特性の驚くべき釣合いをもたらす。下の表3の組成物#64の図4に見られるように、初期の400cpsの配合物を有し、50秒で非常に良好な視覚に視覚的に平衡化する。市販の高粘度涙液配合物、例えば、Refresh Celluvisc(登録商標)も400cpsで、多くの調査において、正常な視覚に平衡化するのに、本発明の好ましい(1つ以上の)非イオン性界面活性剤及び10cps~500cpsの間の粘性剤の驚くべき発見よりも10倍超長い10~15分を要することが示された。セルロース誘導体、例えば、HPMC、HPC、HPEC及びCMC;Carbopol(登録商標)化合物、例えば、Carbopol(登録商標)90及び94;ヒアルロネート;並びにガム、例えば、グアー及びローカストガムを含むが、これらに限定されない本発明の好ましい実施形態のための粘性剤。
【0087】
本発明の驚くべき発見は、好ましい実施形態、特に、ポリソルベート又はシクロデキストリンを、単独で、又は互いに及び/若しくは他の非イオン性界面活性剤と組み合わせて使用する配合物を適用すると、最適化された涙液層水分保持の特性を有することができることである。図1を参照されたい。この涙液層水分保持は、本明細書においてMoisture-Lock(商標)として既知である。よりいっそう驚くべきことは、シリコーン及び/又はハイドロゲルポリマーからなるソフトコンタクトレンズを含むがこれに限定されないソフトコンタクトレンズを、ブリスターパック内又は液体を保持する他の包装内に本発明の組成物と共に保存すると、組成物がコンタクトレンズ表面に強く密着して、付着物を減少させる。本発明の組成物中に保存されたこれらのコンタクトが対象の眼上に置かれると、組成物は、涙液層破壊時間を大幅に延長する一方、涙液の分散を減少させる。この密着は、涙液層を安定化する強く結合した非蒸発性の被覆を形成し、快適性を向上させ、コンタクトレンズ不耐の対象にも任意選択のドライアイ治療法を提供する。以下の実施例5で説明し、図3に示す通り、コンタクトレンズ及び挿入前の眼に生理食塩水を適用すると、涙液層破壊が8秒で始まり、20秒までに40%分散した。生理食塩水を下の表3の組成物#64で置き換えると、20秒で起こった分散は0%であり、24秒で起こった分散はわずか8%であった。さらに、薄明視力は著しく改善され、コンタクトレンズ付着物は著しく減少した。図6Bを参照されたい。
【0088】
コンタクトレンズ装用者の最も重篤な合併症のうちの1つは、重篤な角膜炎、特にシュードモナス(pseudomonas)感染症、アカントアメーバ(acanthamoeba)感染症及びフザリウム(fusarium)感染症の発生であり、これらは、重度の視力喪失につながる恐れがある。Simmons PA et al,Effect of patient wear and extent of protein deposition on adsorption of acanthamoeba to five types of hydrogel contact lenses,Optom Vis Sci,1996 Jun,73(6),362-368及びMiller MJ,et al.,Adherence of Pseudomonas aeruginosa to hydrophilic contact lenses and other substrata,J Clin Microbiol,1987 Aug,25(8),1392-1397を参照されたい。本発明の好ましい実施形態の適用後に減少したコンタクトレンズ付着物に関連する劇的に減少したバイオバーデンは、実施例5に記載し、図6Bに示す通り、コンタクトレンズ装用者における重篤な細菌性及び/又は真菌性角膜炎のリスクを大幅に低減する驚くべき意外な知見である。装用中の別の滴剤あり又はなしのレンズ装用前のそのような適用は、挿入前又は装用中の適用時に、長期被覆による付着物を防止し、及び/又は付着物を溶解する。付着物のこの減少は、細菌及び/又は真菌のバイオバーデンを減少させる可能性がある。
【0089】
表2の人工涙液組成物36~57及び表3~8の人工涙液組成物58~89は、表2の人工涙液組成物1~35よりも優れた濡れ及びMoisture-Lock(商標)効果を与える。この優れた有効性は、特有の組み合わせ及び非イオン性界面活性剤の濃度によって引き起こされると仮定される。さらに、組成物36~57へのポリオール及びマグネシウムイオンの添加は、ポリオール及びマグネシウムイオンを含まない組成物よりも、濡れ及びMoisture-Lock(商標)効果をさらに向上させると仮定される。
【0090】
明らかに、本発明の組み合わせ、濃度及び比の中に驚くべき効果が存在するように見受けられる。特に非イオン性界面活性剤の範囲及び組み合わせは、粘度、電解質及び保護賦形剤、例えば、ポリオール及びマグネシウムイオンに関して、驚くべき効果をもたらす。特に驚くべきは、電解質と、最終粘度、かすみ又はかすみがないこと、及び快適性との関係である。好ましい実施形態は、一滴で数十分~最長1時間、涙液層の安定性を向上させ、長時間のMoisture-Lock(商標)効果及び水性層の湧昇をもたらす。粘度に対して、霧視の時間が現行の人工涙液と比べたとき短縮され、多種多様な状態に対して効果がさらに長くなり、臨床的に改善される。
【0091】
コンタクトレンズ組成物
さらに、本発明の組成物により実現される涙液隔離の新規の手段がコンタクトレンズ表面に適用できることが見出された。コンタクトレンズへの適用は、堅牢なシーリング層を形成し、コンタクトレンズ不耐のドライアイ患者が、単に包装内又は注入時のレンズの被覆により、治療的コンタクトレンズ効果及び治療様式を実現できるようになる。さらに、本発明の組成物により実現される涙液隔離の新規の手段は、涙点プラグ又はペレットの表面に適用できることが見出された。
【0092】
さらに、眼に挿入する前に、1つ以上の非イオン性界面活性剤の全濃度が約1.5%w/v~約5.9%w/v、好ましくは約2.5%w/v~約3.5%w/v、最も好ましくは約3.0%w/vの本発明の組成物をコンタクトレンズに浸漬又は適用すると、食塩水及び他の市販のコンタクトレンズ快適性局所配合物のいずれよりも、涙液層破壊時間(「TBUT」)及び涙液の分散が劇的に減少することが見出された。以下の実施例8~11を参照されたい。コンタクトレンズ業界は、一日中の装用時間又は装用累積時間に伴ってコンタクトレンズ耐性を失う問題に対する解答を見出せなかった。具体的には、本発明の組成物以前は、(1つ以上の)添加剤が安全で効果的であることが明らかになっていなかった。
【0093】
コンタクトレンズが製造されるとき、得られた製品は、視力矯正を助けるためにできるだけ平滑な表面を作るよう研磨される。しかし、現在製造されるコンタクトレンズは、完全に平滑な表面を持たない。本発明の組成物により形成されたナノミセルは、浸透してコンタクトレンズに密着し、スネレン視力表において約1行分、レンズの視力矯正能力を改善することが見出された。特定の理論に拘束されることは望まないが、この視力改善は、本発明のナノミセルが水を結合し、レンズ表面に水を保持して、はるかに平滑なレンズ表面を作り、光の透過を改善し、付着物を減少させることに起因する可能性がある。さらに、一般用医薬コンタクトレンズ溶液に本発明の組成物を希釈しても、レンズを平滑化するナノミセルの能力は低下しない。
【0094】
好ましい実施形態はまた、上皮の安全性を向上させ、これは、局所的に、並びにブリスターパック内のコンタクトレンズ保存及び貯蔵寿命のための組成物としての適用において、本発明の利点である。第一に、セルロース誘導体、カルボマー、ガム、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポビドン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、キトサン及びヒアルロネート、ヒアルロン酸並びにそれらの組み合わせを含む粘性剤はさらに、濃度と共に増加するはずの非イオン性界面活性剤のわずかな上皮毒性を軽減する。毒性に関しては、以下の順番が最も強い毒性~最も弱い毒性であるように見受けられる:Brij(登録商標)、ポリオキシルステアレート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポロキサマー、ポリオキシルアリールエーテル及びポリオキシルヒマシ油。第二に、ポリオール、例えば、マンニトールはさらに、上皮毒性を軽減する。コンタクトレンズ保存組成物としての又はコンタクトレンズを使用しながらの局所滴剤としての使用のための本発明の好ましい実施形態は、低剪断時に5~25cpsの粘度になる粘性剤、及び約0.50%w/v~約2.5%w/vの好ましい濃度のポリオール、例えば、マンニトールを含む。本発明の別の利点は、コンタクトレンズ保存組成物として使用されるとき、保存剤を含まない0.09%食塩溶液を単に加えることによって、組成物を再活性化して、組成物のすべての本来の利益を提供することができるという驚くべき発見である。
【0095】
眼科薬剤担体
本発明の別の驚くべき発見は、本発明に加えられた眼科薬剤が、薬剤が眼の表面にある時間を長くし、角膜全体の透過を増加させ、全身性吸収を低下させて、薬剤送達に理想的なプラットホーム担体を生成する一方、多くのそのような活性薬剤、例えば、非ステロイド、抗生物質及び緑内障薬の場合は生じる得るドライアイの症状及び刺激を軽減することである。この薬剤担体は特に、Restasis(登録商標)に現在見られるシクロスポリン-Aの治療の時間を長くし、利益を増大させるのに有用であり得る。これらの組成物は、エマルションの形成を必要とせずに最高0.09%及び約0.05%~約0.09%のシクロスポリン-Aを配合できる場合がある。好ましい実施形態において、本発明のシクロスポリン-A薬剤担体は乳化剤を含んでいなくてもよい。本発明のシクロスポリン-A薬剤担体は、直径約12~約20ナノメートルのナノミセルを形成する。さらに、本発明のシクロスポリン-A薬剤担体は、涙液を最長60分間溢れさせる。
【0096】
本発明の別の驚くべき発見は、本発明、特に治療用賦形剤、例えば、ポリオール及び/又はマグネシウムイオンの存在下、保存剤のうちの1つ以上により生じる保存剤の毒性影響の抑制である。涙液配合物保存剤は上皮毒性を引き起こすという長年の見解を考えると、この発見は驚くべきことであり、潜在的に非常に重要であるが、その理由は、例えば、緑内障又は炎症のための多くの慢性使用の眼科薬が、しばしばそれらの使用期間を制限する誘発された上皮毒性の影響が生じることにより損なわれるからである。
【0097】
本発明の別の驚くべき発見は、薬剤の徐放である。薬剤のピーク濃度は、時間を約50%長くすることができる(例えば、2~4時間)。
【0098】
皮膚組成物及び薬剤担体
さらに、本発明の組成物は、瘢痕防止用付着防止剤としての麻酔ジェルに、埋め込み型器具に、徐放性含浸包帯に、非経口剤に、吸入剤に、スプレーに、局所ローションに、局所ゲルに、局所液剤に、アンチエイジングスキン製品、例えば、昼夜用製品及び目の下の製品に、日焼け止めに、ボディウォッシュに、治療用シャンプーに、制汗剤に、皮膚線条用に、シェービングクリームに、ブレードグライド(blade glide)コーティングとして、OTCリドカイン組成物に、OTCコルチゾン組成物に、Ben-Gay(登録商標)を含むBen-Gay(登録商標)のような製品に、ざ瘡を治療するために、コラーゲン系製品に、レチナール系製品に、乾燥皮膚を治療するために、皮膚炎、乾癬を治療するために、瘢痕又はポートワイン母斑を軽減又は除去するために、発毛を促進するために、非刺激性ヘアダイとして、及び顔面萎縮症のために使用できることが見出されている。
【0099】
意外なことは、本発明の眼科組成物を、皮膚の老化及び他の欠陥の防止、治療並びに最小化又は根絶のために使用できることである。しかし、本明細書に開示の、生理学に基づくpHでのナノミセルの非イオン性界面活性剤組成物の投与及び使用は、クレンジング、穏やかな剥離及び修復性の保湿の効果を顔面組織にもたらす利益を有する。この効果は、処方された治療計画に基づいて、皮膚の細かいしわ~中程度のしわ、美白、並びにそばかす、年齢による斑点及び/又は肝斑のサイズの縮小を管理する部位に、目に見える改善をもたらすことができる。
【0100】
皮膚の最上層に浸透する長期の保湿効果はまた、長期の水和作用を皮膚にもたらし、皮膚の色合い及びきめを保つ。さらに企図されているのは、一般的な染みの除去、皮膚厚の減少(経時的な瘢痕除去における補助的使用)、乾燥皮膚並びに弾力性及びコラーゲンの改善である。本発明の組成物の用途としてさらに企図されているのは、正常な毛穴の大きさの維持並びに水和作用の増大であり、これらも顔面皮膚の張りを向上させることができるため、全体的な平滑性を改善する。
【0101】
本発明の組成物は液滴を含んでもよく、これらの液滴は、水性相、少なくとも1つの油、4つ以上の非イオン性界面活性剤の混合物を、特定の濃度範囲で、局所塗布されたローションの形態又は他の適合性の薬学的に許容される形態で含んでもよい。軽症例では、この基本組成物を、皮膚の唯一の治療方法として使用することができる。しかし、より重篤な症例では、適合性の高い基本配合物を、既知の活性薬剤物質、例えば、Botox(登録商標)、レチノイド、及びその他の任意の実績のある局所治療のいずれかと組み合わせることができる。具体的には、特定の非イオン性ナノ粒子が、皮膚の上層への浸透を促進し、これは、有効性を向上させる。
【0102】
液体クレンザーのカテゴリー内では、刺激が最も少ないクレンザーは、モイスチャライザーと組み合わせた非イオン性/シリコーン系界面活性剤を含むことになり、その理由は、これらが、水分皮膚バリア及び正常皮膚細菌叢を最も乱さないからである。これはクレンザーの品質を表しているが、これらの同じ利益及びいくつかの新しい知見は、クレンジング後の使用が、患者の皮膚の状態に利益をもたらし、指図通りに使用されるとき、普通なら自尊心及び社会的受容に悪影響を及ぼすはずの多くの皮膚の状態を効果的に管理できることを示す。本発明の発見は、老化する皮膚を取り巻く問題のほとんどを、非イオン性界面活性剤のみにより、又は皮膚に使用される特定の活性薬剤治療と組み合わせられたとき、効果的に管理できることである。
【0103】
定義
本明細書において使用されるとき、「組成物」という用語は、特定量の特定成分を含む生成物、並びに特定量の特定成分の組み合わせにより直接的又は間接的に生じる任意の生成物を包含するものとする。
【0104】
本明細書において使用されるとき、「約」各特定値と定義されている量、重量などに関するすべての数値は±10%である。例えば、「約5%w/v」という語句は「4.5%w/v~5.5%w/v」と理解されるべきである。したがって、記載の値の10%以内の量が、特許請求の範囲により包含される。
【0105】
本明細書において使用されるとき、「%w/v」は、全組成物の重量パーセントを指す。
【0106】
本明細書において使用されるとき、「対象」という用語は、ヒト又は他の動物を指すが、これらに限定されない。
【0107】
本出願全体にわたって、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈により特に明確に定められていない限り、複数の指示対象を含む。
【0108】
本明細書において使用されるとき、「ポリオール」という用語は、有機反応に利用可能な複数のヒドロキシル官能基を有する化合物、例えば、ポリオールモノマー、例えば、グリセリン、ペンタエリトリトール、エチレングリコール及びスクロースを指す。さらに、ポリオールは、プロピレンオキシド又はエチレンオキシドと反応させたグリセリン、ペンタエリトリトール、エチレングリコール及びスクロースを含むポリオールポリマーを指し得る。
【0109】
本発明の成分
本発明にしたがって使用され得る非イオン性界面活性剤には、ポロキサマー、ポリソルベート、シクロデキストリン、アルキルアリールポリエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、チロキサポール及びポリオキシルが含まれるが、これらに限定されない。ポロキサマーは、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))の2本の親水性鎖が両側に隣接するポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))の中央の疎水性鎖から構成される非イオン性トリブロックコポリマーである。ポリソルベートは、脂肪酸でエステル化されたエトキシル化ソルビタン由来の油状液体である。シクロデキストリンは、1位及び4位で互いに結合された5個以上のα-D-グルコピラノシド単位から構成されている。ポリオキシルは、ステアレート及びポリオキシエチレンジオールのモノ-並びにジエステルの混合物である。好ましい実施形態には、ポロキサマー-ポロキサマー188及びポロキサマー407;ポリソルベート-ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、チロキサポール、Brij(登録商標)35、Brij(登録商標)78、Brij(登録商標)98及びBrij(登録商標)700、Span(登録商標)20、Span(登録商標)40、Span(登録商標)60、Span(登録商標)80;シクロデキストリン-2-HP-シクロデキストリン、ブチレート化塩あり若しくはなしのイオン電荷を持つ(例えば、アニオン性)ベータ-シクロデキストリン(Captisol(登録商標);(スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン、Captisolは、Cydex Pharmaceuticalsの登録商標である。)、ヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリン、ガンマシクロデキストリン;並びにポリオキシル-ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシル30ヒマシ油、ポリオキシル35ヒマシ油及びポリオキシル40水素化ヒマシ油;又はそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。ポリオールは、「非イオン性界面活性剤」という用語に含まれていない。本発明の全非イオン性界面活性剤濃度は、約1.25%w/v~約7.0%w/v、好ましくは、1.5%w/v~約7.0%w/v、好ましくは約1.5%w/v~約6.0%w/v、より好ましくは約1.5%w/v~約5.9%w/v、より好ましくは約1.5%w/v~約5.5%w/v、より好ましくは約2.0%w/v超及び6.0%w/v未満、約2%w/v~約4%w/v、より好ましくは約2.5%~約5.9%w/v未満、より好ましくは約2.5%w/v~約5.5%w/v、より好ましくは約2.5%w/v~約3.5%w/v、より好ましくは約2.8%w/v~約5.9%w/v、より好ましくは約3%w/v~約5%w/v、より好ましくは約3%w/v~約3.5%w/vである。
【0110】
好ましい実施形態において、1つ以上の非イオン性界面活性剤には、ポリソルベート、例えば、ポリソルベート80が含まれる。
【0111】
さらに好ましい実施形態において、ポリソルベートの量は、約0.01%w/v~約4.0%w/v、好ましくは約0.5%w/v~約3.5%w/v、好ましくは約0.5%w/v、1%w/v、1.5%w/v、2%w/v、2.5%w/v、2.75%w/v、3%w/v及び3.5%w/vである。
【0112】
他の好ましい実施形態において、1つ以上の別の非イオン性界面活性剤には、ポロキサマー、例えば、ポロキサマー188及び/又はポロキサマー407、ポリオキシル、例えば、ポリオキシル35ヒマシ油又はポリオキシル40水素化ヒマシ油を含むポリオキシルヒマシ油、シクロデキストリン、例えば、ヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリン並びにチロキサポールが含まれる。
【0113】
他のさらに好ましい実施形態において、別の非イオン性界面活性剤のうちの1つは、約0.01%w/v~約3%w/v、好ましくは、約0.2%w/v~約1%w/v、好ましくは、約0.1%w/v、0.2%w/v、0.7%w/v、1%w/v及び5%w/vのポロキサマー407である。
【0114】
他のさらに好ましい実施形態において、別の非イオン性界面活性剤のうちの1つは、約0.01%w/v~約3%w/v、好ましくは、約0.1%w/v~約1%w/v、好ましくは約0.01%w/v、0.1%w/v、0.2%w/v、0.4%w/v、0.5%w/v及び0.75%w/vのポロキサマー188である。
【0115】
他のさらに好ましい実施形態において、別の非イオン性界面活性剤のうちの1つは、約0.001%w/v~約2.0%w/v、好ましくは、約0.005%w/v~約0.2%w/v、好ましくは、約0.01%w/v~約1%w/v、好ましくは、約0.01%w/v~約0.1%w/v、好ましくは、約0.25%w/v~約1%w/v、好ましくは約0.001%w/v、0.01%w/v、0.1%w/v、0.25%w/v、0.5%w/v及び1%w/vのポリオキシルヒマシ油である。
【0116】
他のさらに好ましい実施形態において、別の非イオン性界面活性剤のうちの1つは、約0.01%w/v~約5%w/v、好ましくは約0.5%w/v~約5%w/v、好ましくは、約1.5%w/v~約3.0%w/v、好ましくは、約0.25%w/v、0.5%w/v、0.7%w/v、0.75%w/v、1%w/v、1.5%w/v、2%w/v、2.5%w/v、3%w/v、3.5%w/v、4%w/v及び5%w/vのヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンである。
【0117】
他の好ましい実施形態において、0.005%w/v~4.0%w/vのチロキサポールの添加が、組み合わせで、又はポリソルベートの代替として、全非イオン性界面活性剤濃度が7%w/vを超えないように追加されてもよい。
【0118】
ポリオキシル35ヒマシ油は、約0.25%w/v~約5.00%w/v;好ましくは約0.25%w/v~約1.50%w/v;より好ましくは約0.75%w/v~約1.0%w/vの量で存在してもよい。
【0119】
本発明にしたがって使用され得る増粘剤は、非ニュートン性増粘剤であり、これには、セルロース誘導体、カルボマー(Carbopol(登録商標))、ガム及びヒアルロン酸(ヒアルロネート)、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポビドン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール及びキトサンが含まれるが、これらに限定されず;セルロース誘導体については、特に好ましいのは、濃度により累積的にin situゲルへの相転移が引き起こされないような、カルボキシメチルセルロース(「CMC」)高分子量ブレンド、CMC低分子量ブレンド、CMC中分子量ブレンド、メチルセルロース、メチルセルロース4000、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(「HPC」)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース高分子量ブレンド(「HPMC」)、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース2906、カルボキシプロピルメチルセルロース高分子量ブレンド(「CPMC」)、ヒドロキシエチルセルロース、又はヒドロキシエチルセルロース及びヒアルロン酸のうちの1つ以上である。このタイプの増粘剤により本発明の組成物に与えられる非ニュートン特性が図7に示されており、この図は、まばたき中及びまばたき間の粘度の差を示す。この粘度は、特定の臨床治療を標的にするために変更することができる。特定の粘度及び増粘剤は、約30cps以下、より好ましくは約25cps以下、最も好ましくは約20cps以下のまばたき中(高剪断速度)の粘度を実現することができる。特定の臨床治療は、以下のまばたき間(低剪断速度)の粘度を使用することができる:
i.コンタクトレンズ使用:約1~約5cps;
ii.軽度~中度ドライアイ人工涙液:約5cps~約100cps;
iii.中度~重度ドライアイ人工涙液:約100cps~約250cps;及び
iv.重度ドライアイ人工涙液:約250~約5000cps。
【0120】
好ましい実施形態において、粘度増加賦形剤は、CMC低分子量ブレンド、CMC中分子量ブレンド、CPMC、HPC及びHPMC又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0121】
さらに好ましい実施形態において、CMCの量は、CMCが、0.10%w/v、0.20%w/v、0.25%w/v、0.3%w/v、0.4%w/v、0.5%w/v、0.55%w/v、0.62%w/v、0.65%w/v、0.75%w/v、1.0%w/v、1.25%w/v、1.35%w/v、1.38%w/v、1.40%w/v及び1.45%w/vを含む約0.05%w/v~約1.75%w/vのHPMC濃度と同等の組成物の粘度を与えるような量である。
【0122】
他のさらに好ましい実施形態において、HPCの量は、1.0%w/v、1.25%w/v、1.40%w/v、1.50%w/v又は1.75%w/vを含む約0.10%w/v~約1.75%w/vである。
【0123】
他のさらに好ましい実施形態において、HPMCの量は、Methocell(登録商標)(Dow-Corning)の分子量に基づいて、約0.10%w/v~約1.75%w/v、好ましくは約0.1%w/v~約1.5%w/v、約0.5%w/v~約1.25%w/v、約0.65%w/v~約1.0%w/v、約1%w/v~約1.35%w/v、約1.25%w/v~約1.35%w/v、約1.35%w/v~約1.5%w/v、約1.35%w/v~約1.45%w/v、好ましくは約0.10%w/v、0.20%w/v、0.25%w/v、0.3%w/v、0.4%w/v、0.5%w/v、0.55%w/v、0.62%w/v、0.65%w/v、0.75%w/v、0.85%w/v、1.0%w/v、1.25%w/v、1.3%w/v、1.35%w/v、1.38%w/v、1.40%w/v、1.45%w/v及び1.48%w/vである。
【0124】
他の実施形態において、本発明は、約0.05%w/v~約2.0%w/v;好ましくは約0.1%w/v~約0.4%w/vの量のグリセリンをさらに含む。
【0125】
本発明における使用に適したポリオールには、マンニトール、グリセロール、エリトリトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール、イソソルビド及びマルチトールが含まれるが、これらに限定されない。さらに好ましい実施形態において、ポリオールはマンニトールである。別のさらに好ましい実施形態において、ポリオールは、約0.1%w/v~約4%w/v、約0.25%w/v~約5.5%w/v、約0.25%w/v~約4.0%w/v、約0.25%w/v~約2.5%w/v、約1%w/v~約4%w/v、約1%w/v~約2.5%w/v、約1.5%w/v~約3.0%w/v、約1.5%w/v~約2.5%w/v、約2%w/v~約2.5%w/v並びに約1%w/v及び2.5%w/vの濃度である。
【0126】
本発明における使用に適した電解質には、マグネシウムイオン、塩化ナトリウム(「NaCl」)、塩化カリウム(「KCl」)及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。さらに好ましい実施形態において、マグネシウムイオンは、塩化マグネシウム由来である。別のさらに好ましい実施形態において、全電解質濃度は、約0.01%w/v~約0.90%w/v、好ましくは約0.2%w/v~約0.5%w/vの濃度である。さらに好ましい実施形態において、マグネシウムイオンは、MgClとして、約0.01%w/v~約0.25%w/v、好ましくは約0.05%w/v~約0.15%w/v及び約0.075%w/v~約0.125%w/vの濃度であり、NaClは、約0.1%w/v~約0.90%w/v、好ましくは、約0.1%w/v~約0.75%w/v、約0.1%w/v~約0.5%w/v、約0.2%w/v~約0.75%w/v、約0.2%w/v~約0.5%w/v、約0.2%w/v~約0.4%w/v、約0.25%w/v~約0.75%w/v、約0.25%w/v~約0.5%w/v、約0.25%w/v~約0.35%w/v、より好ましくは約0.3%w/v~約0.4%w/v、さらにより好ましくは約0.2%w/v、0.25%w/v、0.3%w/v、0.35%w/v、0.4%w/v、0.5%w/v、0.7%w/v及び0.75%w/vの濃度であり、KClは、約0.1%w/v~約0.5%w/vの濃度である。
【0127】
別の好ましい実施形態において、本発明の組成物のオスモル濃度は、約125ミリオスモル(「mosm」)~約450mosm、より好ましくは約350mosm~約450mosm、最も好ましくは約200mosm~約250mosmである。
【0128】
本発明における使用に適した保存剤には、塩化ベンザルコニウム(「BAK」)、ソルベート、メチルパラベン、ポリプロピルパラベン、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、パーボレート、硝酸フェニル水銀及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、保存剤は、BAK、ソルベート又はそれらの組み合わせである。好ましい実施形態において、保存剤は、約0.005%w/v~約0.15%w/vの濃度である。さらに好ましい実施形態において、BAKは、約0.005%w/v~約0.02%w/vの濃度であり、ソルベートは、約0.015%w/v~約0.15%w/vの濃度である。
【0129】
本発明における使用に適した酸化防止剤には、シトレート、EDTA、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソール及びブチル化ヒドロキシトルエン並びにそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、保存剤は、約0.05%w/v~約0.2%w/vの濃度である。
【0130】
特定の実施形態において、メントールを本発明の組成物中で使用することができる。好ましくは、メントールは、約0.01~約1.00mM、約0.025~約0.07mM、約0.07~約0.2mM、約0.07~約0.1mM、約0.1~約0.25mM、約0.1~約0.2mM、約0.15~約0.25mM並びに約0.07mM、0.1mM、0.14mM、0.15mM及び0.2mMの濃度である。
【0131】
本発明にしたがって使用され得る緩衝液及びpH調整剤には、酢酸緩衝液、カルボン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液及びホウ酸緩衝液が含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、緩衝液及びpH調整剤は、約1~約100ミリモルの濃度である。必要に応じて組成物のpHを調整するために、様々な酸又は塩基を使用することができるものと理解される。pH調整剤には、水酸化ナトリウム及び塩酸が含まれるが、これらに限定されない。驚くべきことに、pHは、人工涙液組成物において快適性を変えないことが明らかになった。組成物のpHは、4.0~8.0、より好ましくは約5.5~約8.0及び約6.0~7.5であることができる。
【0132】
本発明の組成物
本発明は、常用で、又は単回注入でも快適性及び有効性の両方が改善されるような上皮の保護及び修復の改善を実現する(1つ以上の)非ニュートン粘性賦形剤、電解質又は他の賦形剤のいずれかを必要とする好ましい実施形態において、必要な(1つ以上の)非イオン性界面活性剤の(1つ以上の)濃度の狭い治療域を発見している。本明細書において示される組成物の成分及び濃度は、最もよく知られた実施形態であるが、すべてを含むものではない。
【0133】
人工涙液
本発明はさらに、
ポロキサマー、ポリソルベート、シクロデキストリン、アルキルアリールポリエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、チロキサポール及びポリオキシルからなる群から選択され、全濃度が約1.5%w/v~約6.0%w/vである1つ以上の非イオン性界面活性剤であり;好ましくは、約0.01%w/v~約4.0%w/vのポリソルベート、約0.01%w/v~約3.0%w/vのポロキサマー、約0.01%w/v~約1.0%w/vのポリオキシル及び約0.01%w/v~約5.0%w/vのヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンからなる群から選択される、1つ以上の非イオン性界面活性剤;
セルロース誘導体、カルボマー、ガム、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポビドン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、キトサン並びにヒアルロネート及びヒアルロン酸からなる群から選択される1つ以上の増粘剤;
塩化ナトリウム、塩化カリウム及びマグネシウムイオンからなる群から選択される約0.01%w/v~約0.90%w/vの1つ以上の電解質であり、好ましくは、約0.01%w/v~約0.25%w/vのマグネシウムイオン、約0.10%w/v~約0.90%w/vの塩化ナトリウム及び約0.1%w/v~約0.5%w/vの塩化カリウムから選択される、1つ以上の電解質;
任意選択的に、約0.1%w/v~約4%w/vのポリオールであり、好ましくは、0.25%w/v~約2.5%w/vのマンニトール又はグリセロールから選択される、ポリオール;
任意選択的に、約0.01~約0.25mMのメントール及び/又は約0.1%w/vのソルベート
を含み、
増粘剤の濃度が、組成物に約0.1~約1,000センチポアズ(cps)の粘度を与え、好ましくは低剪断粘度が1~1000cpsであり、最終高剪断粘度が30cps以下であり、好ましくは組成物のオスモル濃度が125ミリオスモル~450ミリオスモルである、人工涙液組成物を対象とする。
【0134】
本発明はさらに、
ポリソルベート80、ポロキサマー407、ポロキサマー188、ポリオキシルヒマシ油及びヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンからなる群から選択され、全濃度が約1.5%w/v~約5.9%w/vである1つ以上の非イオン性界面活性剤;
約0.1%w/v~約1.5%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は約0.1%w/v~約1.5%w/v、好ましくは約0.5%w/v~約1.35%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロースによりもたらされる組成物の全粘度に等しい組成物の全粘度を与えるある濃度のセルロース誘導体;
約0.1%w/v~約0.75%w/v、好ましくは約0.25%w/v~約0.5%w/v、より好ましくは約0.25%w/v~約0.4%w/vの塩化ナトリウム;
約0.05%w/v~約0.1%w/vの塩化マグネシウム;
任意選択的に、約0.25%w/v~約2.5%w/v、好ましくは約0.25%w/v~約1.75%w/vのマンニトール;
任意選択的に、約0.1%w/v~約0.5%w/vのポリエチレングリコール400;
任意選択的に、3ミリモルのリン酸緩衝液又は4ミリモルのクエン酸緩衝液;
任意選択的に、好ましくは約0.1~約0.25ミリモルのメントール;及び
任意選択的に、好ましくは0.1%w/vのソルベート
を含み、
任意選択的に、約5.5~約7.0のpHを有する、人工涙液組成物を対象とする。
【0135】
本発明はさらに、
約0.5%w/v~約3.5%w/vのポリソルベート80;
約0.1%w/v~約0.75%w/vのポロキサマー407;
約0.1%w/v~約1.25%w/vのポロキサマー188;
約0.01%w/v~約0.50%w/vのポリオキシルヒマシ油;
約0.25%w/v~約1.35%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース;
約0.25%w/v~約1.0%w/vのポリエチレングリコール400;
約0.25%w/v~約1.0%w/vのマンニトール;
約0.25%w/v~約0.40%w/vの塩化ナトリウム;
約0.04~約0.12ミリモルのメントール;
約4ミリモルのクエン酸緩衝液;及び
任意選択的に、約0.1%w/vのソルベート
を含み、
組成物が、約7.0のpHを有する、人工涙液組成物を対象とする。
【0136】
本発明はさらに、:
ポリソルベート80、ポロキサマー407、ポロキサマー188、ポリオキシルヒマシ油及びヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンからなる群から選択され、全濃度が約1.5%w/v~約5.9%w/vである2つ以上の非イオン性界面活性剤;
約1%w/vのマンニトール;
約0.1%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は約0.1%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロースによりもたらされる組成物の全粘度に等しい組成物の全粘度を与えるある濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.1%w/v~約0.75%w/v、好ましくは約0.3%w/v~約0.4%w/vの塩化ナトリウム;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;
任意選択的に、約3ミリモルのリン酸緩衝液又は6.0未満のpHのクエン酸緩衝液;任意選択的に、約0.1~約0.25ミリモルのメントール;並びに
任意選択的に、約0.1%w/vのソルベート
を含み、
任意選択的に、約5.0~約7.0のpHを有する、人工涙液組成物を対象とする。
【0137】
本発明はさらに、
ポリソルベート80、ポロキサマー407、ポロキサマー188、ポリオキシルヒマシ油及びヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンからなる群から選択され、全濃度が約1.5%w/v~約5.9%w/vである2つ以上の非イオン性界面活性剤;
約1.0%w/v~2.5%w/vのマンニトール;
約0.10%w/v~約1.5%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は約0.1%w/v~約1.5%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロースによりもたらされる組成物の全粘度に等しい組成物の全粘度を与えるある濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.1%w/v~約0.5%w/v、好ましくは約0.2%w/v~約0.4%w/vの塩化ナトリウム;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;
任意選択的に、約3ミリモルのリン酸又はクエン酸緩衝液;
任意選択的に、約0.1~約0.25ミリモルのメントール;
任意選択的に、約0.1%w/vのソルベート
を含み、
任意選択的に、約5.0~約7.0のpHを有する、人工涙液組成物を対象とする。
【0138】
本発明はさらに、
ポリソルベート80、ポロキサマー407、ポロキサマー188、ポリオキシルヒマシ油及びヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンからなる群から選択され、全濃度が約1.5%w/v~約5.9%w/vである2つ以上の非イオン性界面活性剤;
約2.5%w/vのマンニトール;
約0.65%w/v~約1.0%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は約0.65%w/v~約1.0%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロースによりもたらされる組成物の全粘度に等しい組成物の全粘度を与えるある濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.1%w/v~約0.75%w/v、好ましくは約0.3%w/v~約0.4%w/vの塩化ナトリウム;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;
任意選択的に、約3ミリモルのリン酸緩衝液又は約4ミリモルのクエン酸緩衝液;
任意選択的に、約0.1~約0.20ミリモルのメントール;
任意選択的に、約0.1%w/vのソルベート
を含み、
任意選択的に、約5.5~約7.0のpHを有する、人工涙液組成物を対象とする。
【0139】
本発明はさらに、
ポリソルベート80、ポロキサマー407、ポロキサマー188、ポリオキシルヒマシ油及びヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンからなる群から選択され、全濃度が約1.5%w/v~約5.9%w/vである2つ以上の非イオン性界面活性剤;
約2.5%w/vのマンニトール;
約1.0%w/v~約1.35%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は約1.0%w/v~約1.35%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロースによりもたらされる組成物の全粘度に等しい組成物の全粘度を与えるある濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.1%w/v~約0.75%w/v、好ましくは約0.3%w/v~約0.4%w/vの塩化ナトリウム;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;
任意選択的に、約3ミリモルのリン酸緩衝液又は約4ミリモルのクエン酸緩衝液;
任意選択的に、約0.1~約0.20ミリモルのメントール;
任意選択的に、約0.1%w/vのソルベート
を含み、
任意選択的に、約5.5~約7.0のpHを有する、人工涙液組成物を対象とする。
【0140】
本発明はさらに、
ポリソルベート80、ポロキサマー407、ポロキサマー188、ポリオキシルヒマシ油及びヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンからなる群から選択され、全濃度が約1.5%w/v~約5.9%w/vである2つ以上の非イオン性界面活性剤;
約2.5%w/vのマンニトール;
約1.35%w/v~約1.45%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は約1.35%w/v~約1.45%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロースによりもたらされる組成物の全粘度に等しい組成物の全粘度を与えるある濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.1%w/v~約0.75%w/v、好ましくは約0.3%w/v~約0.4%w/vの塩化ナトリウム;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;
任意選択的に、約3ミリモルのリン酸緩衝液又は約4ミリモルのクエン酸緩衝液;
任意選択的に、約0.1~約0.20ミリモルのメントール;
任意選択的に、約0.1%w/vのソルベート
を含み、
任意選択的に、約5.5~約7.0のpHを有する、人工涙液組成物を対象とする。
【0141】
本発明はさらに、
ポリソルベート80、ポロキサマー407、ポロキサマー188、ポリオキシルヒマシ油及びヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンからなる群から選択され、全濃度が約1.5%w/v~約5.9%w/vである2つ以上の非イオン性界面活性剤であり、2つ以上の非イオン性界面活性剤のうちの1つが、約0.25%w/v~約1.0%w/vのポリオキシルヒマシ油である、非イオン性界面活性剤;
約2.5%w/vのマンニトール;
約1.25%w/v~約1.35%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は約1.25%w/v~約1.35%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロースによりもたらされる組成物の全粘度に等しい組成物の全粘度を与えるある濃度のカルボキシメチルセルロース;
約0.1%w/v~約0.75%w/v、好ましくは約0.3%w/v~約0.4%w/vの塩化ナトリウム;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;
任意選択的に、約3ミリモルのリン酸又はクエン酸緩衝液;
任意選択的に、約0.1~約0.25ミリモルのメントール;
任意選択的に、約0.1%w/vのソルベート
を含み、
任意選択的に、約5.0~約7.0のpHを有する、人工涙液組成物を対象とする。
【0142】
本発明はさらに、
約2.0%w/vのポリソルベート80;
約0.2%w/vのポロキサマー407;
約0.5%w/vのポロキサマー188;
約1.0%w/vのヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリン;
約0.5%w/v~約1.25%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は約0.5%w/v~約1.25%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロースによりもたらされる組成物の全粘度に等しい組成物の全粘度を与えるある濃度のセルロース誘導体;
約0.20%w/v~約0.75%w/vの塩化ナトリウム;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;及び
約0.025~約0.07ミリモルのメントール
を含む、人工涙液組成物を対象とする。
【0143】
本発明はさらに、
約2.0%w/vのポリソルベート80;
約0.2%w/vのポロキサマー407;
約0.5%w/vのポロキサマー188;
約1.0%w/vのヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリン;
約1.25%w/v~約1.35%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は約1.25%w/v~約1.35%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロースによりもたらされる組成物の全粘度に等しい組成物の全粘度を与えるある濃度のセルロース誘導体;
約0.25%w/v~約0.75%w/vの塩化ナトリウム;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;及び
約0.07~約0.1ミリモルのメントール
を含む、重度ドライアイ用人工涙液組成物を対象とする。
【0144】
本発明はさらに、
約2.0%w/vのポリソルベート80;
約0.2%w/vのポロキサマー407;
約0.5%w/vのポロキサマー188;
約1.0%w/vのヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリン;
約1.35%w/v~約1.5%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は約1.35%w/v~約1.5%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロースによりもたらされる組成物の全粘度に等しい組成物の全粘度を与えるある濃度のセルロース誘導体;
約0.25%w/v~約0.75%w/vの塩化ナトリウム;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;及び
約0.1~約0.20ミリモルのメントール
を含む、重度ドライアイ用人工涙液組成物を対象とする。
【0145】
本発明はさらに、
約3.5%w/vのポリソルベート80;
約0.7%w/vのポロキサマー407;
約1.0%w/vのポロキサマー188;
約0.01%w/vのポリオキシルヒマシ油;
約0.85%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース;
約2.5%w/vのマンニトール;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;
約0.25%w/vの塩化ナトリウム;
約0.07~約0.20ミリモルのメントール、好ましくは0.07ミリモル、0.10ミリモル、0.14ミリモル又は0.20ミリモルのメントール;
任意選択的に、約0.1%w/vのソルベート;及び
約3ミリモルのリン酸緩衝液又は約4ミリモルのクエン酸緩衝液
を含み、
約7.0のpHを有し、0.07mMのメントールが軽度ドライアイ用であり、0.10mMのメントールが中度ドライアイ用であり、0.14mMのメントールが極度ドライアイ1用であり、0.20mMのメントールが極度ドライアイ2用である、人工涙液組成物を対象とする。
【0146】
本発明はさらに、
約3.5%w/vのポリソルベート80;
約0.2%w/vのポロキサマー407;
約0.2%w/vのポロキサマー188;
約0.01%w/vのポリオキシルヒマシ油;
約0.70%w/v~約0.80%w/v、好ましくは0.70%w/v、0.75%w/v又は0.80%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース;
約2.5%w/vのマンニトール;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;
約0.25%w/v~約0.35%w/v、好ましくは0.25%w/v、0.30%w/v又は0.35%w/vの塩化ナトリウム;約0.07~約0.14ミリモルのメントール、好ましくは0.07、0.10又はミリモルのメントール;
任意選択的に、約0.1%w/vのソルベート;及び
約3ミリモルのリン酸緩衝液又は約4ミリモルのクエン酸緩衝液
を含み、
約7.0のpHを有し、0.70%w/vのHPMC、0.25%w/vの塩化ナトリウム及び0.07mMのメントールが軽度ドライアイ用であり、0.75%w/vのHPMC、0.30%w/vの塩化ナトリウム及び0.10mMのメントールが中度ドライアイ用であり、0.80%w/vのHPMC、0.35%w/vの塩化ナトリウム及び0.14mMのメントールが極度ドライアイ1用である、人工涙液組成物を対象とする。
【0147】
本発明はさらに、
約2.0%w/vのポリソルベート80;
約0.2%w/vのポロキサマー407;
約0.5%w/vのポロキサマー188;
約1.0%w/vのヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリン;
約0.5%w/v~約1.25%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は約0.5%w/v~約1.25%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロースによりもたらされる組成物の全粘度に等しい組成物の全粘度を与えるある濃度のセルロース誘導体;
約0.2%w/v~約0.75%w/vの塩化ナトリウム;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;及び
約0.025~約0.07ミリモルのメントール
を含む、人工涙液組成物を対象とする。
【0148】
本発明はさらに、
約2.0%w/vのポリソルベート80;
約0.2%w/vのポロキサマー407;
約0.5%w/vのポロキサマー188;
約1.0%w/vのヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリン;
約1.25%w/v~約1.35%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は約1.25%w/v~約1.35%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロースによりもたらされる組成物の全粘度に等しい組成物の全粘度を与えるある濃度のセルロース誘導体;
約0.25%w/v~約0.75%w/vの塩化ナトリウム;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;及び
約0.07~約0.1ミリモルのメントール
を含む、人工涙液組成物を対象とする。
【0149】
本発明はさらに、
約3.0%w/vのポリソルベート;
約0.10%w/vのポロキサマー188;
約0.01%w/vのポリオキシルヒマシ油;
約0.0%w/v~約2.0%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース;
約0.5%w/v~約2.5%w/vのマンニトール;
約0.10%w/vのマグネシウムイオン;
約0.0%w/v~約0.75%w/vのNaCl;及び
約1mM~約100mMの濃度の緩衝液
を含み、
約5.5~約8.0のpHを有し、粘度が500センチポアズ以下である、人工涙液組成物を対象とする。
【0150】
本発明はさらに、
約4.0%w/vのCaptisol(登録商標);
約1.35%w/vのHPMC;
約0.02%w/vのBAK;
約0.10%w/vのソルベート;
約0.10%w/vのEDTA;
約3mMのクエン酸緩衝液;及び
約0.3%w/v~約0.5%w/vのNaCl
を含み、
約6.0からのpHを有する、人工涙液組成物を対象とする。
【0151】
【表1】
【0152】
【表2】
(d)は10倍希釈を表す
【0153】
AQus(商標)CL-Tearsは、以下の成分及び濃度を有する組成物を表し得る:
3.0% ポリソルベート80
0.10% ポロキサマー188
0.01% ポリオキシルヒマシ油
0.50% HPMC
0.5%~2.5% マンニトール(1.0%が好ましい)
0.10% MgCl
0.1%~0.75% NaCl、好ましくは0.2%~0.5%
任意選択的に1.0% グリセリン
2~3mM リン酸緩衝液
pH7.0
【0154】
AQus(商標)CL-Tearsはまた、以下の成分及び濃度を有する組成物を表し得る:
0.0%~1.5% ポリソルベート80
0.10% ポロキサマー188
0.01% ポリオキシルヒマシ油
1.5%~3.0% ヒドロキシプロピルガンマシクロデキストリン
0.50% HPMC
0%~2.5% マンニトール(1.0%が好ましい)
0%~0.10% MgCl
0.1%~0.75% NaCl、好ましくは0.2%~0.5%
任意選択的に1.0% グリセリン
2~3mM リン酸緩衝液
pH7.0
【0155】
AQus(商標)CL-Tearsはまた、
表3の組成物を表し得る。
【0156】
【表3】
NaClは、0.1%~0.75%、好ましくは0.2%~0.5%の濃度であり得る
「%HPMC当量」は、所与の%w/vのHPMCが使用された場合に得られる最終粘度と同等の最終粘度になるのに必要なある量のCMCを表す。
【0157】
AQus(商標)Tears Plusは、表4の組成物を表し得る。
【0158】
【表4】
NaClは、0.1%~0.75%、好ましくは0.2%~0.5%の濃度であり得る
「%HPMC当量」は、所与の%w/vのHPMCが使用された場合に得られる最終粘度と同等の最終粘度になるのに必要なある量のCMCを表す
【0159】
AQus(商標)Tears Advancedは、表5の組成物を表し得る。
【0160】
【表5】
NaClは、0.1%~0.75%、好ましくは0.2%~0.5%の濃度であり得る
「%HPMC当量」は、所与の%w/vのHPMCが使用された場合に得られる最終粘度と同等の最終粘度になるのに必要なある量のCMCを表す
【0161】
AQus(商標)Tears Advanced Plus又はAQus(商標)Tears Extremeは、表6の組成物を表し得る。
【0162】
【表6】
NaClは、0.1%~0.75%、好ましくは0.2%~0.5%の濃度であり得る
「%HPMC当量」は、所与の%w/vのHPMCが使用された場合に得られる最終粘度と同等の最終粘度になるのに必要なある量のCMCを表す。
【0163】
AQus(商標)Tears MGDは、表7の組成物を表し得る。
【0164】
【表7】
NaClは、0.1%~0.75%、好ましくは0.2%~0.5%の濃度であり得る
「%HPMC当量」は、所与の%w/vのHPMCが使用された場合に得られる最終粘度と同等の最終粘度になるのに必要なある量のCMCを表す。
【0165】
好ましい実施形態において、本発明の人工涙液組成物は、ポリアクリレート、例えば、Pemulen(登録商標)(Pemulenは、B.F.
Goodrich Companyが所有するポリマー乳化剤の登録商標であったが、現在はLubrizol Advanced Materials,Inc.が所有しており、同社から入手できる。)を含まない。アクリレート/C10-30アルキルアクリレート架橋ポリマー、又はペンタエリトリトールのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸及び長鎖アルキルメタクリレートの高分子量コポリマーを含むPemulen(登録商標)材料。
【0166】
コンタクトレンズ組成物
1つの実施形態において、本発明のすべての人工涙液組成物は、コンタクトレンズ組成物として使用することができる。
【0167】
本発明のコンタクトレンズ組成物には、コンタクトレンズ保存組成物、コンタクトレンズ注入組成物及びコンタクトレンズ湿潤液が含まれる。
【0168】
別の好ましい実施形態において、本発明のコンタクトレンズ保存組成物は、Optifree PureMoist(登録商標)、Optifree Replenish(登録商標)及びComplete Moisture Plus(登録商標);Renu;Clear Care(登録商標);Biotrue(登録商標)、Suaflon(登録商標)One Step;All Comfort Formula(登録商標);Purecon(登録商標)Puresoft;Members Mark(登録商標)Multi-Purpose Solution;並びにAquify(登録商標)Multi-Purpose Solutionを含むが、これらに限定されない利用可能なコンタクトレンズ浸漬溶液と組み合わせたり、又はこれらの賦活剤として使用することができる。これらの組成物は、ブリスター包装内で使用することができる。
【0169】
本明細書において使用されるとき、「利用可能なコンタクトレンズ浸漬溶液」は、エンドユーザーが購入することができるコンタクトレンズ浸漬溶液を指す。
【0170】
利用可能なコンタクトレンズ浸漬溶液、例えば、Puremoist(登録商標)又はReplenish(登録商標)が担体として使用されるとき、本発明のコンタクトレンズ保存組成物は、塩化ナトリウム及びリン酸緩衝液の添加を省いてもよい。
【0171】
利用可能なコンタクトレンズ浸漬溶液、例えば、Puremoist(登録商標)又はReplenish(登録商標)が本発明のコンタクトレンズ保存組成物の担体として使用されるとき、担体はさらに0.9%塩化ナトリウムに希釈されてもよい。好ましい実施形態において、担体は、約45%~約55%、好ましくは約45%又は約55%の利用可能なコンタクトレンズ浸漬溶液、及び約45%~約55%、好ましくは約45%又は約55%の0.9%塩化ナトリウムを含む。
【0172】
別の実施形態において、本発明のコンタクトレンズ保存組成物は、0.9%塩化ナトリウムで希釈されてもよく、好ましくは希釈剤は、約45%~約55%、好ましくは約45%又は約55%の本発明のコンタクトレンズ保存組成物、及び約45%~約55%、好ましくは約45%又は約55%の0.9%塩化ナトリウムである。
【0173】
好ましい実施形態において、コンタクトレンズ保存組成物は、
2.0%w/vのポリソルベート80;
0.2%w/vのポロキサマー407;
1.0%w/vのポロキサマー188;
0.5%w/vのヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリン;
1.0%w/vのマンニトール;
0.1%w/v又は0.2%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース;
0.1%w/vの塩化マグネシウム;
0.35%w/vの塩化ナトリウム;及び
3mMのリン酸緩衝液
を含み、
Oasys(登録商標)Accuvue(登録商標)又はAir Optix(登録商標)Aquaという商品名で販売されているコンタクトレンズを浸漬するために使用される。
【0174】
好ましい実施形態において、コンタクトレンズ保存組成物は、
3.0%w/vのポリソルベート80;
0.2%w/vのポロキサマー407;
0.1又は0.2%w/vのポロキサマー188;
0.01%w/vのポリオキシルヒマシ油;
1.0%w/vのマンニトール;
0.1%w/v又は0.2%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース;
0.1%w/vの塩化マグネシウム;及び
0.3%w/vの塩化ナトリウム
を含み、
Puremoist(登録商標)又はReplenish(登録商標)という商品名のコンタクトレンズ浸漬溶液をさらに含む。
【0175】
別の実施形態において、本発明は、コンタクトレンズ装用者における遠方視力を改善する方法であって、
モノビジョンコンタクトレンズを本発明の組成物に浸漬するステップ;及び
コンタクトレンズ装用者の眼にモノビジョンコンタクトレンズを挿入するステップ
を含み、
本発明の組成物に浸漬されなかったモノビジョンコンタクトレンズを挿入した後のコンタクトレンズ装用者の遠方視力と比べて、コンタクトレンズ装用者の遠方視力が改善される、方法を対象とする。
【0176】
本明細書において使用されるとき、Optifree PureMoist(登録商標)は、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ホウ酸、ソルビトール、アミノメチルプロパノール、EDTA二ナトリウム、2つの湿潤剤(TETRONIC(登録商標)1304及びHydraGlyde Moisture Matrix[EOBO-41-ポリオキシエチレン-ポリオキシブチレン])並びにPOLYQUAD(ポリクアテルニウム-1)0.001%及びALDOX(ミリストアミドプロピルジメチルアミン)0.0006%保存剤を含む滅菌した緩衝水性溶液を指す。HydraGlyde Moisture Matrixは、商標登録された多官能性ブロックコポリマーであり、シリコーンハイドロゲルレンズの湿潤及び潤滑のために主に設計されている。
【0177】
本明細書において使用されるとき、Optifree Replenish(登録商標)は、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、プロピレングリコール、商標登録されたTEARGLYDE二重作用リコンディショニングシステム(TETRONIC(登録商標)1304、ノナノイルエチレンジアミン三酢酸)並びにPOLYQUAD(ポリクアテルニウム-1)0.001%及びALDOX(ミリストアミドプロピルジメチルアミン)0.0005%保存剤を含む滅菌した緩衝等張水性溶液を指す。
【0178】
本明細書において使用されるとき、Renu Clear Care(登録商標)は、精密濾過された過酸化水素3%、塩化ナトリウム0.79%を含み、ホスホン酸、リン酸緩衝系及びPLURONIC 17R4で安定化された滅菌溶液を指す。
【0179】
本明細書において使用されるとき、Biotrue(登録商標)は、ヒアルロナン、スルホベタイン、ポロキサミン、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム及び塩化ナトリウムを含み、二重殺菌系(ポリアミノプロピルビグアニド)0.00013%及びポリクアテルニウム0.0001%と共に保存された滅菌した等張液を指す。
【0180】
本明細書において使用されるとき、Complete(登録商標)は、ポリヘキサメチレンビグアニド(0.0001%)、リン酸緩衝液、ポロキサマー237、エデト酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム及び精製水と共に保存された滅菌した等張緩衝溶液を指す。
【0181】
別のさらに好ましい実施形態において、本明細書に記載の人工涙液組成物は、コンタクトレンズ洗浄能力をさらに含む。
【0182】
本発明はさらに、
ポリソルベート80、ポリオキシル、ポロキサマー407、ポロキサマー188、ポリオキシルヒマシ油、ヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンからなる群から選択され、全濃度が約1.5%w/v~約5.9%w/vである2つ以上の非イオン性界面活性剤;
約0.1%w/v~約0.4%w/vのポリオール;
セルロース誘導体、カルボマー、ガム、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポビドン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、キトサン並びにヒアルロネート及びヒアルロン酸からなる群から選択される粘性剤を含み、約5~約500センチポアズの粘度を有するコンタクトレンズ保存組成物を対象とする。
【0183】
本発明はさらに、
ポリソルベート80、ポリオキシル、ポロキサマー407、ポロキサマー188、ポリオキシルヒマシ油、ヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンからなる群から選択され、全濃度が約1.5%w/v~約5.9%w/vである2つ以上の非イオン性界面活性剤であり、好ましくは、約0.01%w/v~約4.0%w/vのポリソルベート80、約0.01%w/v~約3.0%w/vのポロキサマー407、約0.01%w/v~約3.0%w/vのポロキサマー188、約0.01%w/v~約0.25%w/vのポリオキシルヒマシ油及び約0.01%w/v~約5.0%w/vのヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンからなる群から選択される、非イオン性界面活性剤;
約0.5%w/v~約2.5%w/vのマンニトール;
約0.1%w/v~約1.5%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は約0.1%w/v~約1.5%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロースによりもたらされる組成物の全粘度に等しい組成物の全粘度を与えるある濃度のセルロース誘導体;
約0.1%w/v~約0.75%w/vの塩化ナトリウム;並びに
約0.1%w/vの塩化マグネシウム
を含む、コンタクトレンズ保存組成物を対象とする。
【0184】
本発明はさらに、
約3.0%w/vのポリソルベート80;
約0.2%w/vのポロキサマー407;
約0.1%w/vのポロキサマー188;
約1.0%w/vのマンニトール;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;
約0.25%w/v~約0.4%w/vの塩化ナトリウム;
約0.1%w/v~約0.25%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は約0.1%w/v~約1.5%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロースによりもたらされる組成物の全粘度に等しい組成物の全粘度を与えるある濃度のセルロース誘導体;及び
3ミリモルのリン酸緩衝液
を含む、コンタクトレンズ保存組成物を対象とする。
【0185】
本発明はさらに、
ポリソルベート80、ポロキサマー407、ポロキサマー188、ポリオキシルヒマシ油及びヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンからなる群から選択され、全濃度が約1.5%w/v~約5.9%w/vである2つ以上の非イオン性界面活性剤;
約0.1%w/v~約2.5%w/vのマンニトール;
約0.1%w/v~約1.5%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は約0.1%w/v~約1.5%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロースによりもたらされる組成物の全粘度に等しい組成物の全粘度を与えるある濃度のセルロース誘導体;
約3.0~約5.5ミリモルのリン酸又はクエン酸緩衝液;
任意選択的に、約0.1%w/v~約0.3%w/vの塩化マグネシウム;
任意選択的に、約0.25%w/v~約5.0%w/vのポリエチレングリコール、プロピレングリコール又はそれらの組み合わせ;
任意選択的に、約0.1%w/v~約0.75%w/vの塩化ナトリウム;並びに
任意選択的に、約0.1%w/v~約0.12%w/vのソルベート
を含む、コンタクトレンズ被覆組成物を対象とする。
【0186】
本発明はさらに、
全濃度が約1.5%w/v~約5.9%w/vの約2.0%w/v~約3.5%w/vのポリソルベート80、約0.1%w/v~約0.2%w/vのポロキサマー407、約0.1%w/v~約0.5%w/vのポロキサマー188、約0.01%w/vのポリオキシルヒマシ油及び約0.25%w/v~約1.5%w/vのヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンからなる群から選択される2つ以上の非イオン性界面活性剤;
約3.0~約5.5ミリモルのリン酸又はクエン酸緩衝液;
約0.1%w/v~約2.5%w/vのマンニトール;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;
任意選択的に、約0.25%w/v~約0.45%w/vの塩化ナトリウム;
約0.1%w/v~約0.75%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース;
並びに
任意選択的に、約0.1%w/vのソルベート
を含む、コンタクトレンズ保存組成物を対象とする。
【0187】
本発明はさらに、
約3.0%w/vのポリソルベート80;
約0.2%w/vのポロキサマー407;
約0.2%w/vのポロキサマー188;
約0.01%w/vのポリオキシルヒマシ油;
約1.0%w/vのマンニトール;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;
約0.3%w/vの塩化ナトリウム;
約0.1%w/v若しくは0.2%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は約0.1%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロースによりもたらされる組成物の全粘度に等しい組成物の全粘度を与えるある濃度のセルロース誘導体;及び
3ミリモルのリン酸緩衝液
を含む、コンタクトレンズ保存組成物を対象とする。
【0188】
【表8】
すべてのHPMC濃度が0.2%w/vであってもよい
¥4.00mMのクエン酸緩衝液及び3.00mMのリン酸緩衝液は置き替え可能である
【0189】
本発明のすべてのコンタクトレンズ及び人工涙液組成物は、3ミリモルのリン酸緩衝液又は4ミリモルのクエン酸緩衝液のいずれか、及び0.1%w/vのソルベートを含んでもよい。
【0190】
好ましい実施形態において、本発明のコンタクトレンズ組成物は、ポリアクリレート、例えば、アクリレート/C10-30アルキルアクリレート架橋ポリマー、又はペンタエリトリトールのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸及び長鎖アルキルメタクリレートの高分子量コポリマーを含むPemulen(登録商標)材料を含まない。
【0191】
薬剤担体
1つの実施形態において、本発明のすべての人工涙液組成物は、薬剤担体組成物として使用することができる。
【0192】
本発明はさらに、
好ましくは、抗生物質、ステロイド抗炎症剤、非ステロイド性抗炎症剤、緑内障薬、プロスタグランジン、ムスカリン受容体アゴニスト、縮瞳剤、アセチルサリチル酸(「ASA」)及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、ビマトプロスト、シクロスポリン-A、GLC、プレドニゾロンフォルテ、ケトロラック、ゲンタマイシン、ポリトリム、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、ガチフロキサシン、リフィテグラスト、ベシフロキサシン、ピロカルピン、ブリモニジン、チモロール、デクスメデトミジン、チモプティック、ドルゾラミド、ラタノプロスト及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、活性薬剤;
約2.0%w/vのポリソルベート80;
約1.0%w/vのポロキサマー188;
約1.0%w/vのヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリン;
約1.35%w/vのHPMC;
約2.5%w/vのマンニトール;
約0.10%w/vの塩化マグネシウム;
約0.30%w/vの塩化ナトリウム;及び
約3ミリモルのクエン酸緩衝液、並びに
約0.005%~0.02%のBAK、0.10%のEDTA及びソルベート0.10%のうちの1つ以上の任意選択の保存剤組み合わせ
を含み、
約5.0のpHを有する、薬剤担体組成物を対象とする。保存剤及び酸化防止剤のこの後者の組み合わせは、前房の透過の向上、場合によってはより大きな臨床上の利益を得る時間を示した。
【0193】
本発明はさらに、
約0.05%w/v~約2.0%w/v、好ましくは、約0.05%w/v~約0.09%w/vのシクロスポリン-A;
約1%w/v~約5%w/vのCaptisol(登録商標)、β-シクロデキストリン、又は好ましくは約3%w/v~約4%w/vのTween(登録商標)β-シクロデキストリンの組み合わせ;
任意選択的に、約0.25%w/vのポリオキシル40ヒマシ油;
任意選択的に、約0.1%w/v~約1%w/v、好ましくは約0.5%w/v~約1%w/vのアルコールであり、好ましくは、ポリビニルアルコール、グリコフロール、オクトキシノール40及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、アルコール;
任意選択的に、約0.5%~約1.25%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、又は約0.5%w/v~約1.25%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロースによりもたらされる組成物の全粘度に等しい組成物の全粘度を与えるある濃度のカルボキシメチルセルロース;
任意選択的に、約0.1%w/v~約0.9%w/v、好ましくは約0.3%w/vの塩化ナトリウム;
任意選択的に、約0.5%w/v~約2.5%w/vのマンニトール;
任意選択的に、約0.1%の塩化マグネシウム、
任意選択的に、約3ミリモルのリン酸緩衝液又は約4ミリモルのクエン酸緩衝液;
任意選択的に、約0.1%w/vのソルベート;並びに
任意選択的に、約0.1ミリモルのメントール
を含み、
任意選択的に、約7.0のpHを有する、薬剤担体組成物を対象とする。
【0194】
本発明はさらに、
約0.09%w/vのシクロスポリン-A;
約3.0%w/v~約4.0%w/vのポロキサマー407、
約0.25%w/vの塩化ナトリウム;
約0.2%w/v又は約0.75%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース;
約3ミリモルのリン酸緩衝液又は約4ミリモルのクエン酸緩衝液;
任意選択的に、約1.0%w/vのポリソルベート80;
任意選択的に、約0.01%w/vのポリオキシルヒマシ油;
任意選択的に、約0.1%w/vのソルベート;
任意選択的に、約0.1ミリモルのメントール
を含み、
約7.0のpHを有する、薬剤担体組成物を対象とする。
【0195】
本発明はさらに、
約0.01%w/v~約2.0%w/v、好ましくは約0.05%w/v~約0.09%w/v、より好ましくは約0.05%w/v、約0.075%w/v又は約0.09%w/vのシクロスポリン-A;
約1.0%w/v~約5.0%w/v、好ましくは約1.0%w/v~約4.0%w/v、より好ましくは約1.0%w/v~約1.5%w/vのポリソルベート80;
約0.1%w/v~約2.0%w/v、好ましくは約0.5%w/v~約0.7%w/v、より好ましくは約0.5%又は約0.7%w/vのポロキサマー407;
約0.1%w/v~約2.0%w/v、好ましくは約0.5%w/v~約1.5%w/v、より好ましくは約1.0%w/vのポロキサマー188;
約0.001%w/v~約1.0%w/v、好ましくは約0.005%w/v~約0.01%w/v、さらにより好ましくは約0.01%w/vのポリオキシルヒマシ油;
約0.5%w/v~約4.0%w/v、好ましくは約0.5%w/v~約3.0%w/v、より好ましくは約0.5%w/v~約2.5%w/vのマンニトール;
約0.05%w/v~約0.1%w/v、より好ましくは約0.05%w/vの塩化マグネシウム;
約0.1%w/v~約2.0%w/v、好ましくは約0.5%w/v~約1.35%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース;
約0.1%w/v~約0.5%w/v、好ましくは約0.25%w/vのポリエチレングリコール400(「PEG-400」);
約0.0%w/v~約0.9%w/v、好ましくは約0.1%w/v~約0.40%w/vの塩化ナトリウム;
約3ミリモルのリン酸緩衝液又は約4ミリモルのクエン酸緩衝液;
約0.05%w/v~約2%w/v、好ましくは約0.10%w/vのソルベート、
任意選択的に、約0.07~約0.2ミリモルのメントール;
並びに任意選択的に、約0.005%~0.02%のBAK及び0.10%のEDTAのうちの1つ以上の保存剤組み合わせ
を含み、
約7.0のpHを有する、薬剤担体組成物を対象とする。
【0196】
【表9】
【0197】
本発明はさらに、
約0.05%w/v~約0.09%w/v、好ましくは0.05%w/v、0.075%w/v又は0.09%w/vのシクロスポリン-A;
約1.0%w/v~約3.5%w/v、好ましくは1.5%w/v又は3.5%w/vのポリソルベート80;
約0.5%w/v~約0.7%w/v、好ましくは約0.7%w/vのポロキサマー407;
約1.0%w/vのポロキサマー188;
約0.01%~約0.75%のポリオキシルヒマシ油、好ましくは約0.01%w/vのポリオキシルヒマシ油;
約1.75%w/v~約2.5%w/vのマンニトール;
約0.05%w/v~約0.1%w/vの塩化マグネシウム;
約0.5%w/v~約1.35%w/v、好ましくは約1.25%w/v~約1.35%w/v、より好ましくは約0.5%w/v、0.75%w/v、0.85%w/v、1.0%w/v、1.25%w/v又は1.35%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース;
約0.25%w/vの塩化ナトリウム;
約3ミリモルのリン酸緩衝液又は約4ミリモルのクエン酸緩衝液;
任意選択的に、約0.02~約0.09ミリモル、好ましくは約0.02ミリモル、0.04ミリモル、0.06ミリモル又は0.09ミリモルのメントール;並びに
任意選択的に、約0.005%~0.02%のBAK、0.10%のEDTA及びソルベート0.10%のうちの1つ以上の保存剤組み合わせ
を含み、
約7.0のpHを有する、薬剤担体組成物を対象とする。
【0198】
本発明はさらに、
約0.1~約1%w/v、好ましくは0.5%w/vのケトロラックトロメタミン;
約1.0~約3.5%w/v、好ましくは1.5%w/v又は3.5%w/vのポリソルベート80;
約0.5%w/v~約0.7%w/v、好ましくは約0.7%w/vのポロキサマー407;
約1.0%w/vのポロキサマー188;
約0.01%~約0.75%のポリオキシルヒマシ油、好ましくは約0.01%w/vのポリオキシルヒマシ油;
約1.75%w/v~約2.5%w/vのマンニトール;
約0.05%w/v~約0.1%w/vの塩化マグネシウム;
約0.5%w/v~約1.35%w/v、好ましくは約1.25%w/v~約1.35%w/v、より好ましくは約0.5%w/v、0.75%w/v、0.85%w/v、1.0%w/v、1.25%w/v又は1.35%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース;
約0.25%w/vの塩化ナトリウム;
約3ミリモルのリン酸緩衝液又は約4ミリモルのクエン酸緩衝液;
任意選択的に、約0.02~約0.09ミリモル、好ましくは約0.02ミリモル、0.04ミリモル、0.06ミリモル又は0.09ミリモルのメントール;並びに
任意選択的に、約0.005%~0.02%のBAK、0.10%のEDTA及びソルベート0.10%のうちの1つ以上の保存剤組み合わせ
を含み、
約7.0のpHを有する、薬剤担体組成物を対象とする。
【0199】
本発明はさらに、
約0.09%w/vのシクロスポリン-A;
約3.5%w/vのポリソルベート80;
約0.25%w/vの塩化ナトリウム;
任意選択的に、約0.7%w/vのポロキサマー407;
任意選択的に、約1.0%w/vのポロキサマー188;
任意選択的に、約2.5%w/vのマンニトール;
任意選択的に、約0.5%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース;
約3ミリモルのリン酸緩衝液又は約4ミリモルのクエン酸緩衝液;
任意選択的に、約0.07ミリモルのメントール;並びに
任意選択的に、約0.005%~0.02%のBAK、0.10%のEDTA及びソルベート0.10%のうちの1つ以上の保存剤組み合わせ
を含み、
約7.0のpHを有する、薬剤担体組成物を対象とする。
【0200】
好ましい実施形態において、シクロスポリンA対ポリオキシルヒマシ油の比は、0.08:1を超え、より好ましくは約10:1~約9:1、さらにより好ましくは約5:1~約9:1である。
【0201】
本発明はさらに、
約0.06%w/vのデクスメデトミジン;
約3.5%w/vのポリソルベート80;
約0.7%w/vのポロキサマー407;
約1.0%w/vのポロキサマー188;
約0.01%w/vのポリオキシルヒマシ油;
約2.5%w/vのマンニトール;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;
約1.25%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース;
約0.25%w/vの塩化ナトリウム;及び
約3ミリモルのリン酸緩衝液
を含み、
約7.0のpHを有する、薬剤担体組成物を対象とする。
【0202】
本発明はさらに、
有効量のリフィテグラスト;
約3.5%w/vのポリソルベート80;
約0.7%w/vのポロキサマー407;
約1.0%w/vのポロキサマー188;
約0.01%w/vのポリオキシルヒマシ油;
約0.65%w/v~約1.25%w/v、好ましくは0.65%、0.85%w/v、1.0%w/v又は1.25%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース;
約2.5%w/vのマンニトール;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;及び
約3mMのリン酸緩衝液
を含み、
約7.0のpHを有する、薬剤担体組成物を対象とする。
【0203】
本発明はさらに、
約0.09%w/vのシクロスポリン-A;
約4%w/vのポリソルベート80;及び
約0.01%w/vのポリオキシルヒマシ油
を含む、薬剤担体組成物を対象とする。
【0204】
本発明はさらに、
約0.09%w/vのシクロスポリン-A;
約3.5%w/vのポリソルベート80;
約4.0%w/vのポロキサマー407;及び
約0.01%w/vのポリオキシルヒマシ油
を含む、薬剤担体組成物を対象とする。
【0205】
本発明はさらに、
約0.09%w/vのシクロスポリン-A;及び
約0.5%のグリコフロール
を含む、薬剤担体組成物を対象とする。
【0206】
本発明はさらに、
約1.0%w/vのASA;
約3.5%w/vのポリソルベート80;
約0.7%w/vのポロキサマー407;
約1.0%w/vのポロキサマー188;
約0.01%w/vのポリオキシルヒマシ油;
約2.5%w/vのマンニトール;
約0.25%w/vの塩化ナトリウム;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;
約1.25%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース;
約3ミリモルのリン酸緩衝液又は約4ミリモルのクエン酸緩衝液;
約1.0%w/vのポリエチレングリコール400;及び
約0.12%w/vのソルベート
を含み、
約7.0のpHを有し、任意選択的に、MGD用又はアレルギー用である、薬剤担体組成物を対象とする。
【0207】
本発明はさらに、
約5.0%w/vのASA;
約3.5%w/vのポリソルベート80;
約0.7%w/vのポロキサマー407;
約1.0%w/vのポロキサマー188;
約0.01%w/vのポリオキシルヒマシ油;
約2.5%w/vのマンニトール;
約0.25%w/vの塩化ナトリウム;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;
約1.25%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース;
約3ミリモルのリン酸緩衝液又は約4ミリモルのクエン酸緩衝液;
約1.0%w/vのポリエチレングリコール400;及び
約0.12%w/vのソルベート
を含み、
約7.0のpHを有し、任意選択的に、ざ瘡用である、薬剤担体組成物を対象とする。
【0208】
本発明はさらに、本発明の組成物中に約5.0%w/v~約10%w/vのASAを、任意選択的に、約1%w/v~約10%w/vの過酸化ベンゾイル、又はオクチノール11若しくは309を含むオクチノールを含む薬剤担体組成物を対象とする。
【0209】
本発明はさらに、
好ましくは、抗生物質、ステロイド抗炎症剤、非ステロイド性抗炎症剤、緑内障薬、プロスタグランジン、ムスカリン受容体アゴニスト、縮瞳剤、アセチルサリチル酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくはビマトプロスト、シクロスポリン-A、GLC、プレドニゾロンフォルテ、ケトロラック、ゲンタマイシン、ポリトリム、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、ガチフロキサシン、リフィテグラスト、ベシフロキサシン、ピロカルピン、ブリモニジン、チモロール、デクスメデトミジン、チモプティック、ドルゾラミド、ラタノプロスト及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、活性薬剤;
全濃度が約1.5%w/v~約5.9%w/vのポロキサマー、ポリソルベート、シクロデキストリン、アルキルアリールポリエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、チロキサポール及びポリオキシル、好ましくは約2.0%w/vのポリソルベート80、約1.0%w/vのポロキサマー188及び約1.0%w/vのヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンからなる群から選択される1つ以上の非イオン性界面活性剤;
約0.5%w/v~約20%w/v、好ましくは約0.5%w/v~約10%w/v、さらにより好ましくは約0.5%w/v~約5.0%w/vのHPMC;
約2.5%w/vのマンニトール;
約0.10%w/vの塩化マグネシウム;
約0.2%w/v~約0.30%w/vの塩化ナトリウム;
約3ミリモルのクエン酸又はリン酸緩衝液;並びに
任意選択的に、約0.01%w/v~約0.12%w/vのソルベート、約0.01%w/v~約0.12%w/vのEDTA及び約0.005%~約0.02%の塩化ベンザルコニウムから選択される1つ以上の賦形剤
を含み、
約5.0のpHを有する、薬剤担体ゲル組成物を対象とする。
【0210】
本発明はさらに、約0.0075%w/v~約0.02%w/v、好ましくは約0.015%w/v~約0.02%w/vのブリモニジン並びに全濃度が約1.5%w/v~約5.9%w/vのポロキサマー、ポリソルベート、シクロデキストリン、アルキルアリールポリエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、チロキサポール及びポリオキシル、好ましくは約2.0%w/vのポリソルベート80、約1.0%w/vのポロキサマー188及び約1.0%w/vのヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンからなる群から選択される1つ以上の非イオン性界面活性剤を含む薬剤担体ゲル組成物を対象とする。
【0211】
本発明はさらに、1つ以上の非イオン性界面活性剤、並びに1つ以上の増粘剤、ポリオール及び電解質からなる群から選択される少なくとも1つの賦形剤を含み、約12~約20ナノメートル、好ましくは約15~約20ナノメートル、より好ましくは約16ナノメートルの平均径を有するミセルが形成される、組成物を対象とする。
【0212】
本発明はさらに、ビマトプロスト、シクロスポリン-A、GLC、プレドニゾロンフォルテ、ケトロラック、ゲンタマイシン、ポリトリム、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、ガチフロキサシン、リフィテグラスト、ベシフロキサシン、ピロカルピン、ブリモニジン、チモロール、デクスメデトミジン、チモプティック、ドルゾラミド、ラタノプロスト、アセチルサリチル酸及びそれらの組み合わせからなる群から選択される活性薬剤、好ましくはシクロスポリン-A、1つ以上の非イオン性界面活性剤、並びに1つ以上の増粘剤、ポリオール及び電解質からなる群から選択される少なくとも1つの賦形剤を含み、約12~約20ナノメートル、好ましくは約15~約20ナノメートル、より好ましくは約16ナノメートルの平均径を有するミセルが形成される、組成物を対象とする。
【0213】
好ましい実施形態において、本発明の薬剤担体組成物は、ポリアクリレート、例えば、アクリレート/C10-30アルキルアクリレート架橋ポリマー、又はペンタエリトリトールのアリルエーテルで架橋されたアクリル酸及び長鎖アルキルメタクリレートの高分子量コポリマーを含むPemulen(登録商標)材料を含まない。
【0214】
本発明の方法
Moisture-Lock(商標)効果蒸発シールドのためのミセルの非イオン性界面活性剤の見出された範囲(約1.5%w/v~約5.5%w/v)を組み合わせることにより治療することができる状態は、上皮毒性のリスクの増加により上限に限定される。粘度、電解質及び好ましい賦形剤の変化を伴うこの極めて重要な範囲内は、治療機会の差別化に適切な幅広い特徴を可能にする。これらの治療機会は、水分の増加及びコンタクトレンズ付着物の減少及び保護から、重篤な眼疾患のより効果的な可能性のある治療に及ぶ。本明細書における発見により固定することができる自然な涙液へのより多く、より長時間の曝露は、角膜上皮を保護することが明らかになった賦形剤への長時間の曝露と共に、特に角膜刺激並びに不十分な涙液機能及び/又は涙液量に関連する表面眼疾患に利用可能な、現在は不十分な治療を強化することができる。
【0215】
本発明はさらに、眼の不快感を治療する方法であって、
1)0.2%w/v~7.0%w/vの少なくとも1つの非イオン性界面活性剤;及び
2)1% 27Cで約0.1センチポアズ(cps)~約3,000cpsを有する高分子量ブレンドの1つ以上の非ニュートン性粘度増加賦形剤
を含む人工涙液組成物を、それを必要とする対象に投与するステップを含む方法、を対象とする。
【0216】
本発明の人工涙液組成物は、それを必要とする対象への1日当たり2回、3回又は4回の投与に適している。
【0217】
【表10】
【0218】
各+は疾患状態を表す:初期(1)、中度(2)、中度~重度(3)、重度(4)、極度(5又は5!)。
【0219】
表10に見られるように、増粘剤及びポリオールの濃度を変化させると、様々な目的を果たすことができる様々な組成物が得られる。例えば、0.10%w/vの増粘剤濃度及び1.00%w/vのポリオール濃度は、世界DEWSの分類体系によるI又はIIのいずれかに分類されるドライアイ疾患への使用に最適である可能性がある。さらに、重篤な状態に達した疾患のある対象は、Captisol(登録商標)、すなわちヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリンを含む本発明の組成物の恩恵を受ける可能性がある。
【0220】
AQus(商標)CL-Tearsは、軽度ドライアイ及び/又はコンタクトレンズ乾燥症を治療するために使用することができる。AQus(商標)CL-Tearsは、世界ドライアイワークショップ(International Dry Eye Workshop、「DEWS」)分類法I及びIIのドライアイ疾患に特に有用である。さらに、AQus(商標)CL-Tearsは、約320オスモル未満のオスモル濃度を有し、注入時にかすみ目を生じない。
【0221】
AQus(商標)Tears Plusは、中度ドライアイを治療するために使用することができる。AQus(商標)CL-Tearsは、DEWS分類法IIIのドライアイ疾患に特に有用である。さらに、AQus(商標)CL-Tearsは、約340オスモル未満のオスモル濃度を有し、注入時に約5秒のかすみ目を生じる。
【0222】
AQus(商標)Tears Advancedは、中度~重度ドライアイを治療するために使用することができる。AQus(商標)Tears Advancedは、DEWS分類法IVのドライアイ疾患に特に有用である。さらに、AQus(商標)Tears Advancedは、約360オスモル未満のオスモル濃度を有し、注入時に約15~30秒のかすみ目を生じる。
【0223】
AQus(商標)Tears Advanced Plus及びAQus(商標)Tears Extremeは、中度~重度ドライアイを治療するために使用することができる。AQus(商標)Tears Advanced Plus及びAQus(商標)Tears Extremeは、DEWS分類法Vのドライアイ疾患に特に有用である。さらに、AQus(商標)Tears Advanced Plus及びAQus(商標)Tears Extremeは、約360オスモルを超えるオスモル濃度を有し、注入時に約30~60秒のかすみ目を生じる。
【0224】
AQus(商標)Tears MGDは、マイボーム腺機能不全(「MGD」)を治療するために使用することができる。AQus(商標)Tears MGDは、DEWS分類法I~IVのドライアイ疾患に特に有用である。さらに、AQus(商標)Tears MGDは、約300~約360オスモルのオスモル濃度を有し、注入時に約10~15秒のかすみ目を生じる。最後に、DEWS分類法III~IVのドライアイ疾患を治療することが認められているAQus(商標)配合物はまた、MGDを治療するために使用することができる。
【0225】
AQusは、PS Therapies,Ltdが所有している商標である。
【実施例
【0226】
[実施例1]
非イオン性界面活性剤濃度に対するMoisture-Lock(商標)効果
Moisture-Lock(商標)は、Moisture-Lock(商標)Indexにより定義される。Moisture-Lock(商標)Indexは、分単位の濡れ効果の時間に、下眼瞼の涙液メニスカスに沿って感じられる定性的な湿潤度を掛けることにより計算され、等間隔でサンプリングした特定の期間について、0~4.0(最高)に格付けされる。あるいは、濡れ効果の時間に、ミリメートル単位の涙液プリズムを掛けることにより計算することができ、これは、作ったMoisture-Lock(商標)Index 2である。定量的な方法に対する定性的な方法の値が水分の知覚である。水分は、米国市民だけでも1千万人が悩まされている乾燥とは全く反対のものである。ドライアイ症候群のほとんどの場合、乾燥の知覚並びに関連する灼熱痛及び刺激が、最も一般的な衰弱性の症状である。別の症状には、対比視力、スネレン視力の低下、ますます重くなる不快感及び明らかな痛みが含まれる。Moisture-Lock(商標)効果を表すMoisture-Lock(商標)Indexの低閾値は10である。例えば、10分間隔でサンプリングした40分間において、10~20のMoisture-Lock(商標)Indexは、わずかなMoisture-Lock(商標)効果を示し、21~75は、中程度のMoisture-Lock(商標)効果を示し、76~100は、高いMoisture-Lock(商標)を示し、100超は、非常に高いMoisture-Lock(商標)効果を示す。表11にて下に示しているのは、0.0%w/v~7%w/vの全非イオン性界面活性剤(「NIS」)濃度の間隔におけるMoisture-Lock(商標)Indexである。
【0227】
【表11】
「MLなし」は、Moisture-Lock(商標)効果がないことを表す
「中程度のML」は、中程度のMoisture-Lock(商標)効果を表す
「高いML」は、高いMoisture-Lock(商標)効果を表す
「非常に高いML」は、非常に高いMoisture-Lock(商標)効果を表す
「NIS」は、非イオン性界面活性剤を表す
【0228】
表11及び図1を見て分かる通り、Moisture-Lock(商標)効果は、およそ5.0%w/vの全非イオン性界面活性剤濃度でピークに達し、図1にベル型曲線で示す正規分布を有する。さらに、表11及び図2を見て分かる通り、約5.0%w/vの全非イオン性界面活性剤を使用すると、Moisture-Lock(商標)効果が最大になる。
【0229】
[実施例2]
流涙誘発後のMoisture-Lock(商標)効果
以下の実験を実施して、流涙を誘発する本発明の組成物のMoisture-Lock(商標)効果の向上を試験した。Moisture-Lock効果を、水分増加の知覚の時間として、対照の人工涙液(Nanotears(登録商標)XP)と比べて測定した。ポリソルベート1.5%w/v、ポロキサマー407 0.20%w/v、ポロキサマー188 1.0%w/v、ヒドロキシプロピルガンマシクロデキストリン1.0%w/v;マンニトール2.5%w/v;MgCl 0.10%w/v;ヒドロキシプロピルメチルセルロース1.30%w/v、NaCl 0.45%w/v、クエン酸緩衝液3mM;及びメントール0.07mMを含むpH5.5の本発明の組成物(「組成物S2-2」)を2滴、第1の患者の片眼に注入した。Nanotears(登録商標)XPを2滴、第2の患者の片眼に注入した。水分を、5~50分の5分間隔で1~4で定量化した。結果を下の表12に示す。
【0230】
【表12】
【0231】
表12に示す通り、組成物S2-2は、Nanotears(登録商標)XPの少なくとも2倍長く水分を保持した。
【0232】
[実施例3]
快適性及び初期の注入品質の向上
【0233】
組成物X:
3.00% ポリソルベート80
0.10% ポロキサマー188
0.01% ポリオキシルヒマシ油
0.50% HPMC
2.50% マンニトール
0.10% MgCl
0.75% NaCl
3mM リン酸緩衝液
pH7.00
【0234】
方法
組成物Xを1滴、右眼に適用し、Refresh Liquigel(登録商標)を1滴、左眼に適用した。30分後、定性的な涙液層破壊時間を計算した。定性試験は、臨床上の利益の評価の点からより意味があると考えられた。その理由は、量の観察及び測定は、典型的には、染色剤、例えば、フルオレセインの添加を必要とするからである。さらに、涙液層破壊時間を測定する目的は、涙液層が破壊する時期及び凹窩(ドライスポット)が形成し始める時期を評価することである。この試験は、まばたきしない時間に対するa)刺痛の発現及びb)反射性流涙の発現に基づいていた。注入後のかすみ目を、40cm離れて4ポイントのフォントを読むのに必要な時間として評価し、このかすみ目は、2回のまばたき周期の間保たれ得る(初めのまばたきで、粘性のある涙液層が表面を再び覆い得る)。
【0235】
結果
左眼の90秒と比べて、右眼のかすみ目は15秒続いた。市販のRefresh Liquigel(登録商標)に対して、かすみ目のこの6分の1の短縮は意外であった。Refresh Liquigel(登録商標)の8秒と比べて、組成物Xは、注入後12秒まで刺痛を誘発しなかったため、刺痛の発現は、Refresh Liquigel(登録商標)よりも4秒遅延した。最後に、Refresh Liquigel(登録商標)の16秒と比べて、組成物Xは、注入後20秒まで反射性流涙を誘発しなかったため、反射性流涙の発現もまた、Refresh Liquigel(登録商標)よりも4秒遅延した。
【0236】
[実施例4]
(仮定の)眼瞼ワイプ
好ましい実施形態の応用を眼瞼ワイプ、特に上の表4の組成物86、87及び88に適用した。好ましくは、使用者が、まず温かいパックを当て、又は何らかの方法で眼瞼ワイプを加熱した。次いで、マイボーム腺の領域内を眼瞼縁に沿って激しく擦る。本発明の組成物で眼瞼ワイプを激しく拭いた後、Q-tip(登録商標)を転がす形で眼瞼マッサージすると有益であり得る。その結果、予防的に実施された場合、発生率が大幅に低下し、マイボーム腺機能不全(MGD)の患者にとって大きな治療上の利益がある。脂質付着物の溶解及び涙管閉塞の減少が、本発明の本出願により強化される。
【0237】
[実施例5]
コンタクトレンズ付着物の減少
コンタクトレンズを右眼に挿入する前に、上の表2の組成物#36を1滴、Air Optix(登録商標)Night and Day(登録商標)コンタクトレンズ表面に眼内で置いた(Air Optix及びNight and Dayは、Novartis AG corporationの登録商標である)。コンタクトレンズを保存溶液に一晩入れ、続いて食塩水ですすいだ。次いで、コンタクトレンズを片方の左眼に入れた。
【0238】
結果
以下の表13に見られるように、上の表2の組成物#36は、保存溶液よりもはるかに効果的にコンタクトレンズ表面の付着物を減少させた。具体的には、4のうち2.5の付着物スコアが得られた保存溶液とは対照的に、組成物#36を使用すると、4のうち0.75の付着物スコアが得られた(4が最高レベルの付着物)。図3を参照されたい。さらに、組成物#36は、刺痛、灼熱痛又はドライアイの知覚を生じなかった。最後に、組成物#36は、グレアハローの低下において保存溶液の4倍効果的であった。
【0239】
【表13】
【0240】
[実施例6]
AQus(商標)Thera-lens(商標)ドライアイコンタクトレンズ処理剤の生成
組成物#36を、Night and Day(登録商標)plano(非処方箋)コンタクトレンズ表面及び中度ドライアイの64才の対象の右眼に適用した。左眼に、注入時のみBlink(登録商標)人工涙液を入れた(Blinkは、Abbott Medical Optics Inc.の登録商標である)。コンタクトレンズを右眼に入れ、両眼の眼鏡レンズで遠方視力を完全に矯正して視覚検査を行った。Thera-lensは、PS Therapies,Ltdが所有している商標である。
【0241】
結果
【0242】
【表14】
【0243】
注入前に表2の組成物#36をコンタクトレンズ表面に適用すると、人工涙液の単回適用よりもドライアイの症状が大幅に緩和された。主に非イオン性配合物がコンタクトレンズによりゆっくり放出された可能性があるが、実施例5に記載の付着物の不在/減少は、レンズ表面の保護被覆が、レンズをより永続的な蒸発シールドとして作用させる一方、涙液の安定性、特に、コンタクトレンズが最も表面的に曝露される脂質表面涙液層の安定性を促進したことを示す。
【0244】
[実施例7]
材料に非イオン性界面活性剤が結合されたコンタクトレンズの生成
本発明の組成物又は特有の組み合わせ及び濃度範囲の本発明の非イオン性界面活性剤が注入又は被覆されたコンタクトレンズを生成することができる。注入又は被覆は、当技術分野において既知の方法を使用して実現することができる。
【0245】
[実施例8]
挿入前のコンタクトレンズ及び眼への適用後の涙液層の安定性向上
組成物Y
3.00% ポリソルベート80
0.10% ポロキサマー188
0.01% ポリオキシルヒマシ油
0.10% HPMC
2.50% マンニトール
0.10% MgCl2
0.30% NaCl
3mM リン酸緩衝液
pH7.00
【0246】
方法
1日目、食塩溶液を、毎日装用する2週間使い捨てコンタクトレンズ(Alcon Aqua Air Optix(登録商標)レンズ)の表面及び中度ドライアイの64才の対象の眼に午前8時に適用した。次いで、コンタクトレンズを眼に挿入し、他の滴剤は一日中使用しなかった。5時間の装用時間の後、Oculus Keratograph(登録商標)Tear Analyzerを使用して、涙液層の分散速度(すなわち、涙液層破壊時間「TBUT」)に関してコンタクトレンズを分析した。12時間で、刺激を両眼について0~4のスケールで決定した(4が最も重度の刺激である)。14時間の装用時間で、薄明視力を0~4のスケールで分析した(4が最も低い視力である)。2日目、同じ手順にしたがった。ただし、組成物Nを食塩溶液に置き換えたことを除く。
【0247】
結果
涙液層破壊時間は、食塩溶液では8秒後、組成物Yについては19~22秒の間であった。図3(食塩水/Refresh(登録商標)CL)及び図4(組成物Y)を比較されたい。曲線下面積(「AUC」)(時間(sec)に対する涙液の分散%のプロット)の測定値は、食塩水/Refresh(登録商標)CLについては576% sec、組成物Yについては53.7% secであった。図5を参照されたい。したがって、組成物Yは、Refresh(登録商標)CLの10.72分の1の涙液の分散を示した。12時間での両眼の平均刺激は、食塩水については1.5+、組成物Yについては0.25であった。14時間での薄明視力は、食塩水については1.5グレア/ハロー、組成物Yについては0.5グレア/ハローであった。食塩溶液は、付着物負荷が高くなったが、組成物Nは、付着物負荷が低くなった。レンズは、食塩溶液で13.5時間、組成物Yで18.0時間装用することができた。したがって、本発明の好ましい実施形態の適用後、レンズ装用時間が大幅に延長され、コンタクトレンズ付着物が減少し、症状が軽減する。
【0248】
[実施例9]
挿入前のコンタクトレンズ及び眼への適用後の涙液層の安定性向上
Vistakon(登録商標)コンタクトレンズを、上の表3の組成物#74Bに5分間浸漬した。次いで、コンタクトレンズを対象の眼に挿入した。コンタクトレンズの挿入から5時間後、TBUTは20秒超と測定された。
【0249】
[実施例10]
コンタクトレンズ保存組成物
方法
コンタクトレンズを、上の表8の各組成物CL1~CL4中で一晩保存した。翌朝、コンタクトレンズを挿入する前に、食塩溶液を1滴、装用者の各眼に注入した。この日の残り全体を通じて、滴剤を使用しなかった。
【0250】
結果
驚くべきことに、装用者の眼に挿入する前に、組成物CL1~CL4のいずれかを満たしたブリスターパック内でコンタクトレンズを一晩保存すると、涙液層破壊時間が延び、脂質付着物が減少したり、なくなったりすることが見出された。各組成物CL1~CL4について、16~17時間後レンズを外すとき、摩擦がほとんどなく、コンタクトレンズ付着物がないことが認められた。以下の表15を参照されたい。さらに、図6Bは、組成物#59中に一晩保存し、続いて一日中使用した後、脂質付着物がないことを示す。
【0251】
【表15】
【0252】
[実施例11]
コンタクトレンズ組成物の涙液層破壊時間
方法
以下の実験を実施して、食塩溶液よりも涙液層破壊時間を短縮するコンタクトレンズ溶液としての本発明の組成物の能力を評価した。まず、Air-Optix(商標)Aqua Alconコンタクトレンズを、食塩(0.9%w/v NaCl)溶液中で洗浄し、片眼に挿入した。次に、Air-Optix(商標)Aqua Alconコンタクトレンズを、組成物#59中で洗浄し、他眼に挿入した。次いで、1メートル離れたLEDダイオードの異常な光回折が最初に現れる時間を計測することにより、涙液層破壊時間(「TBUT」)を間接的に評価した。
【0253】
【表16】
【0254】
結果
組成物#59は、長時間のコンタクトレンズ装用後、食塩水よりも改善されたTBUTを示す。具体的には、眼に挿入する前に、コンタクトレンズを組成物#59中で洗浄すると、挿入後17時間までにTBUTが350%に延長された。これらの結果は、水性の涙液層としての本発明の被覆の増加した結合が減少して、非蒸発シールディングを付加し、角膜表面を保護することを示唆する。
【0255】
さらに、24時間の連続装用後、眼に挿入する前に食塩溶液中で洗浄したAir-Optix(商標)Aqua Alconコンタクトレンズは、図6Aのレンズ表面よりも不規則で不透明な被覆により示された広範なバイオフィルムを有していた。一方、24時間の連続装用後、眼に挿入する前に組成物#59中で洗浄したAir-Optix(商標)Aqua Alconコンタクトレンズは、図6Bに示したほぼ透明なレンズ表面を有していた。これは、バイオフィルムの形成を減らす本発明の組成物の能力を示す。
【0256】
[実施例12]
コンタクトレンズ保存溶液
方法
コンタクトレンズを装用している対象を使用して、Air-Optix(商標)Aquaコンタクトレンズ(右眼-5.25及び左眼-2.75)を対象の眼に挿入した後の涙液層破壊時間(「TBUT」)ベースラインの結果を求めた。まばたきしないシングルスリット試験を使用して、即時、15分後及び14時間後、TBUTを測定した。破壊までの時間を、各眼について別々に記録した。
【0257】
2日後、新しい組の同一のコンタクトレンズを開封した。コンタクトレンズを包装に入れたままで、包装溶液を、OPTI-FREE(登録商標)Puremoist(登録商標)多目的コンタクトレンズ溶液中又はOPTI-FREE(登録商標)Replenish(登録商標)多目的コンタクトレンズ溶液中の本発明の以下の組成物と置き換え、一晩浸漬させた:
約3.0%w/vのポリソルベート80;
約0.2%w/vのポロキサマー407;
約0.2%w/vのポロキサマー188;
約0.01%w/vのポリオキシルヒマシ油;
約0.1%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース;
約1.0%w/vのマンニトール;
約0.3%w/vの塩化ナトリウム;
約0.1%w/vの塩化マグネシウム;
任意選択的に、約0.1%w/vのソルベート;及び
約3ミリモルのリン酸緩衝液又は約4ミリモルのクエン酸緩衝液、
組成物は、約7.0のpHを有する。
【0258】
OPTI-FREE(登録商標)Replenish(登録商標)多目的コンタクトレンズ溶液は、Alcon,Inc.から入手できて、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、プロピレングリコール、商標登録されたTEARGLYDE(登録商標)二重作用リコンディショニングシステム(TETRONIC(登録商標)1304、ノナノイルエチレンジアミン三酢酸)並びにPOLYQUAD(登録商標)(ポリクアテルニウム-1)0.001%及びALDOX(登録商標)(ミリストアミドプロピルジメチルアミン)0.0005%保存剤を含む滅菌した緩衝等張水性溶液である。OPTI-FREE(登録商標)Puremoist(登録商標)多目的コンタクトレンズ溶液は、Alcon,Inc.から入手できて、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ホウ酸、ソルビトール、アミノメチルプロパノール、EDTA二ナトリウム、2つの湿潤剤(TETRONIC(登録商標)1304及びHydraGlyde(登録商標)Moisture Matrix[EOBO-41(登録商標)-ポリオキシエチレン-ポリオキシブチレン])並びにPOLYQUAD(登録商標)(ポリクアテルニウム-1)0.001%及びALDOX(登録商標)(ミリストアミドプロピルジメチルアミン)0.0006%保存剤を含む滅菌した緩衝水性溶液である。翌朝、コンタクトレンズを挿入した。即時、挿入から15分後及び14時間後、TBUTを測定した。
【0259】
結果
Air-Optix(商標)Aquaコンタクトレンズ包装溶液中に保存した後のTBUTは、試験したすべての時間において約8秒であった。Air-Optix(商標)Aquaコンタクトレンズ包装溶液を本発明の上述の組成物で置き換えた後のTBUTは、挿入直後は8秒、挿入から15分後は15秒、挿入から14時間後は約20秒であった。したがって、コンタクトレンズ保存溶液として本発明の組成物を使用すると、TBUTが延長される。市販の包装溶液に認められた2-3+/4.0密度と比べて、本発明の組成物中に保存されたコンタクトレンズ上に付着物は認められなかった。
【0260】
[実施例13]
別のコンタクトレンズ組成物の涙液層破壊時間
コンタクトレンズを装用している対象を使用して、Air-Optix(商標)Hydraglyde及びJohnson&Johnson Vistakon(登録商標)Accuvue(登録商標)Moistコンタクトレンズを異なる時間に対象の眼に挿入した後の涙液層破壊時間(「TBUT」)ベースラインの結果を求めた。まばたきしないシングルスリット試験を使用して、即時、TBUTを測定した。次いで、各コンタクトレンズを、上の表8の組成物CL11中で洗浄した。コンタクトレンズを、異なる時間に対象の眼に挿入した。
【0261】
組成物CL11は、長時間のコンタクトレンズ装用後、食塩水よりも改善されたTBUTを示す。具体的には、眼に挿入する前に、コンタクトレンズを組成物CL11中で洗浄すると、TBUTが750%に延長された。具体的には、食塩水を使用して各コンタクトレンズを洗浄すると、対象のTBUTは8秒であった。コンタクトレンズを組成物CL11中で洗浄し、対象の眼に挿入した後、対象のTBUTは、意外にも驚くべきことに、少なくとも1分であった。これらの結果は、水性の涙液層としての本発明の被覆の増加した結合が減少して、非蒸発シールディングを付加し、角膜表面を保護することを示唆する。
【0262】
[実施例14]
別のコンタクトレンズ組成物の涙液層破壊時間
コンタクトレンズを装用している対象を使用して、Alcon Dailies(登録商標)AquaComfort(登録商標)PLUSコンタクトレンズを対象の眼に挿入した後のTBUTベースラインの結果を3日間毎朝求めた。まばたきしないシングルスリット試験を使用して、即時、TBUTを測定した。次いで、各コンタクトレンズを、上の表8の組成物CL29中で洗浄し、TBUTを再び測定した。
【0263】
組成物CL29は、長時間のコンタクトレンズ装用後、ブリスターパック溶液よりも改善されたTBUTを示す。具体的には、眼に挿入する前に、コンタクトレンズを組成物CL29中で洗浄すると、TBUTが750%に延長された。具体的には、食塩水を使用して各コンタクトレンズを洗浄すると、対象のTBUTは8秒であった。コンタクトレンズを組成物CL29中で洗浄し、対象の眼に挿入した後、対象のTBUTは、意外にも驚くべきことに、少なくとも1分であった。組成物CL29の使用による刺痛はなかった。これらの結果は、水性の涙液層としての本発明の被覆の増加した結合が減少して、非蒸発シールディングを付加し、角膜表面を保護することを示唆する。
【0264】
さらに、 組成物CL29は、ブリスターパック溶液よりも改善された視覚品質を示した。具体的には、ブリスターパック溶液中に保存した後にコンタクトレンズを挿入したときの-4.50から、コンタクトレンズを組成物CL29中で洗浄したときの-2.75にモノビジョンは改善した。
【0265】
[実施例15]
モノビジョンコンタクトレンズ装用者における遠方視力の改善
組成物AA-
2.0%w/vのポリソルベート80;
0.2%w/vのポロキサマー407;
1.0%w/vのポロキサマー188;
0.5%w/vのヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリン;
1.0%w/vのマンニトール;
0.1%w/v又は0.2%w/vのヒドロキシプロピルメチルセルロース;
0.1%w/vの塩化マグネシウム;
0.35%w/vの塩化ナトリウム;及び
3mMのリン酸緩衝液、
組成物は、Oasys(登録商標)Accuvue(登録商標)又はAir Optix(登録商標)Aquaという商品名で販売されているコンタクトレンズを浸漬するために使用される。
【0266】
患者の眼に挿入する前に、+1.5-モノ処方箋のモノビジョンコンタクトレンズを組成物AAに浸漬した。挿入後、患者は、直ちに明確な視覚を得た。さらに、涙液層破壊時間は3時間超に延長された。最後に、驚くべきことに、患者は、遠方視力20.25を得た。これらの結果は、挿入前にコンタクトレンズを生理食塩水に浸漬したとき得られた結果をはるかに超えるため、驚くべきである。
【0267】
[実施例16]
人工涙液ゲル
人工涙液ゲルは、実質的に、初期のかすみが幾分加わった長時間の表面接触のために説明される。これらの人工涙液ゲルは、睡眠前の挿入のように、初期のかすみが問題ない時間に使用することができる。そのようなゲルは、療法治療のための活性薬剤を含んでいても、含んでいなくてもよい。本発明の人工涙液ゲルの一例を、活性成分ありとなしで以下で説明する。
【0268】
人工涙液ゲル
2.0% ポリソルベート80
1.0% ポロキサマー188
1.0% ヒドロキシプロピルガンマシクロデキストリン
1.5%~20% ヒドロキシプロピルメチルセルロース(好ましくは1.7%~2.5%)
2.5% マンニトール
0.10% MgCl
0.75% NaCl
pH5.0のクエン酸緩衝液
0.10mM メントール
【0269】
リドカイン涙液ゲル
1.0% リドカイン
2.0% ポリソルベート80
1.0% ポロキサマー188
1.0% ヒドロキシプロピルガンマシクロデキストリン
1.5%~20% ヒドロキシプロピルメチルセルロース(好ましくは1.7%~2.5%)
2.5% マンニトール
0.10% MgCl
0.75% NaCl
3mM リン酸緩衝液
pH6.0
【0270】
シクロスポリン-A涙液ゲル
シクロスポリン-A 1.0%
2.0% ポリソルベート80
1.0% ポロキサマー188
1.0% ヒドロキシプロピルガンマシクロデキストリン
1.5%~20% ヒドロキシプロピルメチルセルロース(好ましくは1.7%~2.5%)
2.5% マンニトール
0.10% MgCl
0.75% NaCl
pH5.0のクエン酸緩衝液
0.15mM メントール
これらの涙液ゲル組成物の利点は、長い時間及び最小限のかすみである。低剪断時の粘度は、約500cps~約10,000cpsである。かすみ目は5分未満である。最大のmoisture-lockは沈殿する。
【0271】
[実施例17]
夜間視力組成物(仮想)
本発明の組成物は、薬剤担体として使用することができる。薬剤担体としての使用の一例は、縮瞳の誘導物質として使用するためのピロカルピンに関する。0.075%w/vのピロカルピンを、食塩水(0.9%w/vのNaCl)及び以下で詳述する本発明の組成物に懸濁させる。次いで、これら2つのピロカルピン組成物を、別の時点で対象の眼に注入し、注入間に十分な洗い落とし時間を設ける。瞳孔の大きさを、注入から1時間後に測定する。
【0272】
ピロカルピン人工強化涙液
0.075% ピロカルピン
2.0% ポリソルベート80
1.0% ポロキサマー188
1.0% ヒドロキシプロピルガンマシクロデキストリン
1.30% ヒドロキシプロピルメチルセルロース
2.5% マンニトール
0.10% MgCl
0.30% NaCl
pH7.0までのリン酸緩衝液
【0273】
結果
ピロカルピンを食塩水組成物に注入してから1時間後の瞳孔の大きさが0.5mm小さくなるのに対して、ピロカルピンを人工強化涙液組成物に注入してから1時間後、瞳孔の大きさは1.5mm小さくなる。
【0274】
[実施例18]
(仮定の)シクロスポリン-A薬剤担体
シクロスポリン-Aは、本発明の組成物に約0.05%w/v~約2.0%w/v、より好ましくは約0.075%w/v~約1.5%w/v、最も好ましくは約0.09%w/v~約0.125%w/vの濃度で添加され、組成物は、約1.5%w/v~約4.9%w/v、より好ましくは約2.5%w/v~約4.0%w/vの濃度である1つ以上の非イオン性界面活性剤、粘性剤、好ましくはセルロース誘導体、最も好ましくは50cps~500cps、より好ましくは100cps~400cpsの低剪断のまばたき間の粘度のHPMC又はCMC、任意選択的に約0.01~約20mM、好ましくは約0.07~約12mMのメントール、任意選択的に低pH、低浸透圧及び/又は高浸透圧を含む。薬剤担体は、シクロスポリン-Aと組み合わせられたとき、シクロスポリン-Aの抗炎症作用の期間を長くし、涙器及び涙器付属器のムチン分泌細胞並びに他の涙液分泌腺に対する有効性を向上させる。さらに、薬剤担体は、眼瞼縁に対するそのような組成物の一般的な抗炎症作用を向上させる。
【0275】
[実施例19]
デクスメデトミジン薬剤担体
デクスメデトミジン0.075%w/v、ポリソルベート4.0%w/v、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1.35%w/v、ソルベート0.10%w/v、BAK 0.02%w/v、EDTA 0.10%w/v及びpH6.0のリン酸又はクエン酸緩衝液を含む組成物(「AQus(商標)Dex」)を2滴、第1の患者の片眼に注入し、食塩水中のデクスメデトミジン0.07%w/v及びpH6.0のリン酸緩衝液を含む組成物(「食塩水Dex」)を2滴、第2の患者の片眼に注入した。試験を実施して各患者の両眼の眼内圧(「IOP」)を測定した。それによって、注入されていない対側眼は、全身性吸収の尺度として役目を果たすであろう。IOPをベースライン(午後1時)で測定し、午後1時(注入から5時間後)の確認のために、午前8時に滴剤を続いて注入した。
【0276】
結果
両方の患者のベースラインIOPは18.25mm Hgであった。食塩水Dex組成物を注入してから5時間後、両眼の圧力は13.5mm Hgに低下した。一方、AQus(商標)Dex組成物を注入してから5時間後、圧力は、処理された眼では12.0mm Hgに、未処理の眼では16.5mm Hgに低下した。
【0277】
これらの結果は、本発明の組成物が、活性成分の全身性吸収を低下させる効果的な薬剤担体であり、少ない全身性副作用でより効果的に適用できることを示す。
【0278】
[実施例20]
シクロスポリン-Aの可溶化
方法
安定した透明な溶液を提供する試みとして、0.09% シクロスポリン-Aをいくつかの組成物に加えた。具体的には、これらの組成物は以下の通りであった:1)4% Captisol(登録商標)、2)0.5% グリコフロール、3)0.25% ポリオキシル35ヒマシ油、4)4% γ-シクロデキストリン、5)4% ポロキサマー407、6)1% ポリソルベート80、7)4% Captisol(登録商標)及び0.5% グリコフロール、8)4% シクロデキストリン、0.5% グリコフロール及び0.25% ポリオキシル40ヒマシ油、9)4% ポロキサマー188、0.5% グリコフロール及び0.02%のBAK、10)2% ポリソルベート80、11)3% ポリソルベート80、12)3.5% ポリソルベート80、13)4% ポリソルベート80及び0.01% ポリオキシルヒマシ油並びに14)3.5% ポリソルベート80、4.0% ポロキサマー407及び0.01% ポリオキシルヒマシ油。
【0279】
結果
組成物1)、4~6)及び12)は、シクロスポリン-Aを可溶化しなかった。組成物3)、10)及び11)は、シクロスポリン-Aをわずかに可溶化した。組成物7~9)は、沈殿物を形成した。組成物12)は、シクロスポリン-Aを可溶化したが、安定していなかったか、又は透明でなかった。
【0280】
組成物2)、13)及び14)は、シクロスポリン-Aを可溶化し、安定した透明な溶液を生じた。
【0281】
[実施例21]
シクロスポリン-A組成物による涙液量の増加
上の表9の組成物#C12を、対象の各眼に注入した。フェノール糸を使用した45分までの5分間隔のシルマーテストにより、涙液量を計算した。食塩水を使用して対象の眼を清澄にした後、Restasis(登録商標)を、同じ対象の各眼に注入した。フェノール糸を使用した45分までの5分間隔のシルマーテストにより、涙液量を計算した。この実験の結果を図8に示す。具体的には、組成物#C12により、涙液量は、注入後15分で8.5ミリメートル~約10ミリメートルに、20分で15ミリメートルに増加し、注入後30分で20ミリメートルのピークに達した。30分過ぎた後、対象の涙液量は、45分の9.0までゆっくり減少した。一方、Restasis(登録商標)を対象の眼に注入すると、15分及び30分における約6ミリメートルへのピークの低下を含め、すべての時点で涙液量が減少した。さらに、対象は、Restasis(登録商標)の注入から5分後、眼瞼縁にわずかな湿りが感じられ、注入から10分後までに乾燥を感じたことを報告した。一方、対象は、組成物#C12の注入から5分後及び10分後の両方で、眼瞼縁に沿った涙液の湧出を報告した。湿った感覚は、注入から30分後のわずかな湿りまで、20分続いた。対象はさらに、Restasis(登録商標)では刺痛が最小限であり、組成物#C12では刺痛がなかったことを報告した。最後に、そこで対象は、Restasis(登録商標)及びのそれぞれについて、15秒持続する最小限のかすみのみを報告した。
【0282】
[実施例22]
シクロスポリン-A組成物のナノミセルサイズ分布
組成物#C12及びRestasis(登録商標)をナノミセルサイズ分布に関してそれぞれ測定した。図9を参照されたい。図9に示す通り、本発明の組成物#C12のナノミセルの平均径は16.3ナノメートル、標準偏差は5.55ナノメートルであった。Restasis(登録商標)の平均サイズは135.1ナノメートル、標準偏差は77.81ナノメートルであった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10