IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シグナム バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】化合物及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 321/18 20060101AFI20220516BHJP
   C07D 207/16 20060101ALI20220516BHJP
   C07D 211/62 20060101ALI20220516BHJP
   C07D 211/60 20060101ALI20220516BHJP
   C07D 295/205 20060101ALI20220516BHJP
   C07D 239/42 20060101ALI20220516BHJP
   C07D 239/48 20060101ALI20220516BHJP
   C07D 241/28 20060101ALI20220516BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 31/20 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 38/05 20060101ALI20220516BHJP
   C07D 213/80 20060101ALI20220516BHJP
   C07D 205/04 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 31/401 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 31/445 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 31/397 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 31/505 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 31/4453 20060101ALI20220516BHJP
   A61K 31/4965 20060101ALI20220516BHJP
   C07K 5/072 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
C07C321/18 CSP
C07D207/16
C07D211/62
C07D211/60
C07D295/205
C07D239/42 Z
C07D239/48
C07D241/28
A61P29/00
A61K31/198
A61K31/20
A61K38/05
C07D213/80
C07D205/04
A61K31/401
A61K31/445
A61K31/397
A61K31/44
A61K31/505
A61K31/4453
A61K31/4965
C07K5/072
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019538231
(86)(22)【出願日】2018-01-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 US2018013650
(87)【国際公開番号】W WO2018132759
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2020-12-22
(31)【優先権主張番号】62/490,592
(32)【優先日】2017-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/446,358
(32)【優先日】2017-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517132762
【氏名又は名称】シグナム バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボロンコフ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ペレス,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ヒーリー,ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス,ホセ
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-524807(JP,A)
【文献】特表2012-508265(JP,A)
【文献】特表2013-510877(JP,A)
【文献】特表2011-514332(JP,A)
【文献】特表2011-505384(JP,A)
【文献】特表2012-515721(JP,A)
【文献】Registry(STN)[online],2016年11月28日,CAS登録番号 2040473-30-9
【文献】Registry(STN)[online],2016年11月28日,CAS登録番号 2040473-29-6
【文献】Registry(STN)[online],2016年11月28日,CAS登録番号 2040469-40-5
【文献】Registry(STN)[online],2016年11月28日,CAS登録番号 2040469-39-2
【文献】FERNANDEZ, J. R. et al.,N-Acetylglutaminoyl-S-farnesyl-L-cysteine (SIG-1191): an antiinflammatory molecule that increases the expression of the aquaglyceroporin, aquaporin-3, in human keratinocytes,Archives of Dermatological Research,2017年,Vol.309,pp.103-110,DOI:10.1007/s00403-016-1708-x
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学
【化1】

(ここで、
Xは、-C(O)-又は共有結合であり、
Yは、ヒドロキシル、-NH、-O-C-Cアルキル又はC-Cアルキルであり、
A及びBは、NR、N(C-Cアルキル)、N(C-Cアルキレン-R)、N(C-Cアルキレン)-CN、N(C-Cアルキレンカルボキシル)から独立して選択され、前記アルキル又はアルキレン基のそれぞれは、1つ以上のR基、-O-、R-置換若しくは未置換のC-Cアルキレン、R-置換若しくは未置換のO-C-Cアルキレン、R-置換若しくは未置換のアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のヘテロアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cシクロアルキレン又はR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンで選択的に置換され、
又は、A及びBは、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のアリーレン又はR-置換若しくは未置換のヘテロアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cシクロアルキレン又はR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンを形成し、
Dは、-OH又は-O(C-Cアルキル)であり、
E及びE’は、H及びC-Cアルキルから独立して選択され、
Rは、独立して、-H、C-Cアルキル、OH、S(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキレンカルボキシル)、NH(C-Cアルキレングアニジン)、N(C-Cアルキレンアミジン)、N(C-Cアルキレンアミド)、CF、-CN、-COOH又はO(C-Cアルキル)であり、
ただし、A及びBが共に-CH-であり、Dがヒドロキシルであり、Xが-C(O)-であり、Eが水素である場合、Yはヒドロキシル、-OCH又は-CHになることはない。)
で表される有効量の化合物、ならびに、
薬学的に許容されるアジュバント、薬学的に許容される担体および薬学的に許容されるビヒクルの1以上を含む、ヒトへの投与に適した組成物。
【請求項2】
前記化合物が下記化学式で表される、請求項1に記載の組成物。
【化2】

(ここで、
Yは、ヒドロキシル、-NH、-O-C-Cアルキル又はC-Cアルキルであり、
A及びBは、NR、N(C-Cアルキル)、N(C-Cアルキレン)-R、N(C-Cアルキレン)-CN、N(C-Cアルキレンカルボキシル)から独立して選択され、前記アルキル又はアルキレン基のそれぞれは、1つ以上のR基、-O-、R-置換若しくは未置換のC-Cアルキレン、R-置換若しくは未置換のO-C-Cアルキレン、R-置換若しくは未置換のアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のヘテロアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cシクロアルキレン又はR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンで選択的に置換され、
又は、A及びBは、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のアリーレン又はR-置換若しくは未置換のヘテロアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cシクロアルキレン又はR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンを共に形成し、
Rは、独立して、-H、C-Cアルキル、OH、S(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキレンカルボキシル)、NH(C-Cアルキレングアニジン)、N(C-Cアルキレンアミジン)、N(C-Cアルキレンアミド)又はO(C-Cアルキル)であり、
ただし、A及びBが共に-CH-である場合、Yはヒドロキシル、-OCH又は-CHになることはない。)
【請求項3】
前記化合物が下記化学式で表される、請求項1に記載の組成物
【化3】

(ここで、
Yは、ヒドロキシル、-NH、-O-C-Cアルキル又はC-Cアルキルであり、
A及びBは、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のアリーレン又はR-置換若しくは未置換のヘテロアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cシクロアルキレン又はR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンを共に形成し、
Dは、-OH又は-O(C-Cアルキル)であり、
E及びE’は、-H及びC-Cアルキルから独立して選択され、
Rは、独立して、-H、C-Cアルキル、OH、S(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキレンカルボキシル)、NH(C-Cアルキレングアニジン)、N(C-Cアルキレンアミジン)、N(C-Cアルキレンアミド)、CF、-CN、-COOH又はO(C-Cアルキル)であり、
ただし、A及びBが共に-CH-であり、Dがヒドロキシルであり、Eが水素である場合、Yはヒドロキシル、-OCH又は-CHになることはない。)
【請求項4】
下記化学式
【化4】

(ここで、
Yは、ヒドロキシル、-NH、-O-C-Cアルキル又はC-Cアルキルであり、
Aは、R、C-Cアルキル、(C-Cアルキレン)-R、(C-Cアルキレン)-CN、(C-Cアルキレン)-カルボキシルから選択され、前記アルキル又はアルキレン基のそれぞれは、1つ以上のR基で選択的に置換され、
Bは、未置換のC-Cアルキレンであり、
又は、A、B、並びにA及びBに結合した窒素原子は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンを形成し、
Rは、独立して、-H、C-Cアルキル、OH、S(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキレンカルボキシル)、NH(C-Cアルキレングアニジン)、N(C-Cアルキレンアミジン)、N(C-Cアルキレンアミド)、CF、-CN、-COOH又はO(C-Cアルキル)である。)
で表される有効量の化合物、ならびに、
薬学的に許容されるアジュバント、薬学的に許容される担体および薬学的に許容されるビヒクルの1以上を含む、ヒトへの投与に適した組成物。
【請求項5】
下記化学式
【化5】

(ここで、
Yは、ヒドロキシル、-NH、-O-C-Cアルキル又はC-Cアルキルであり、
Aは、未置換のC-Cアルキレンであり、
Bは、R、C-Cアルキル、(C-Cアルキレン)-R、(C-Cアルキレン)-CN、(C-Cアルキレン)-カルボキシル基から選択され、前記アルキル又はアルキレン基のそれぞれは、1つ以上のR基で選択的に置換され、
又は、A、B、並びにA及びBに結合した窒素原子は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンを形成し、
Rは、独立して、-H、C-Cアルキル、OH、S(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキレンカルボキシル)、NH(C-Cアルキレングアニジン)、N(C-Cアルキレンアミジン)、N(C-Cアルキレンアミド)、CF、-CN、-COOH又はO(C-Cアルキル)である。)
で表される有効量の化合物、ならびに、
薬学的に許容されるアジュバント、薬学的に許容される担体および薬学的に許容されるビヒクルの1以上を含む、ヒトへの投与に適した組成物。
【請求項6】
下記化学式
【化6】

(ここで、
Yは、ヒドロキシル、-NH、-O-C-Cアルキル又はC-Cアルキルであり、
Aは、NH、N(C-Cアルキル)、N(C-Cアルキレンカルボキシル)、又はR-置換若しくは未置換のC-Cアルキレンであり、
Bは、NH、N(C-Cアルキル)、N(C-Cアルキレンカルボキシル)、又はR-置換若しくは未置換のC-Cアルキレンであり、
又は、A及びBは、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のアリーレン又はR-置換若しくは未置換のヘテロアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cシクロアルキレン又はR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンを共に形成し、
Rは、独立して、C-Cアルキル、OH、S(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキレンカルボキシル)、NH(C-Cアルキレングアニジン)、N(C-Cアルキレンアミジン)、N(C-Cアルキレンアミド)又はO(C-Cアルキル)であり、
ただし、A及びBが共に-CH-である場合、Yはヒドロキシル、-OCH又は-CHになることはない。)
で表される有効量の化合物、ならびに、
薬学的に許容されるアジュバント、薬学的に許容される担体および薬学的に許容されるビヒクルの1以上を含む、ヒトへの投与に適した組成物。
【請求項7】
下記化学式
【化7】

(ここで、
Yは、ヒドロキシル、-NH、-O-C-Cアルキル又はC-Cアルキルであり、
Aは、水素、未置換のC-Cアルキル又はCHCOOHであり、
Bは、未置換のC-Cアルキレンであり、
又は、A、B、並びにA及びBに結合した窒素原子は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンを形成し、
Rは、C-Cアルキル、OH、S(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキレンカルボキシル)、NH(C-Cアルキレングアニジン)、N(C-Cアルキレンアミジン)、N(C-Cアルキレンアミド)又はO(C-Cアルキル)である。)
で表される有効量の化合物、ならびに、
薬学的に許容されるアジュバント、薬学的に許容される担体および薬学的に許容されるビヒクルの1以上を含む、ヒトへの投与に適した組成物。
【請求項8】
下記化学式
【化8】

(ここで、
Yは、ヒドロキシル、-NH、-O-C-Cアルキル又はC-Cアルキルであり、
Aは、未置換のC-Cアルキレンであり、
Bは、水素、未置換のC-Cアルキル又はCHCOOHであり、
又は、A、B、並びにA及びBに結合した窒素原子は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンを形成し、
Rは、C-Cアルキル、OH、S(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキレンカルボキシル)、NH(C-Cアルキレングアニジン)、N(C-Cアルキレンアミジン)、N(C-Cアルキレンアミド)又はO(C-Cアルキル)である。)
で表される有効量の化合物、ならびに、
薬学的に許容されるアジュバント、薬学的に許容される担体および薬学的に許容されるビヒクルの1以上を含む、ヒトへの投与に適した組成物。
【請求項9】
前記化合物が、
【化9-1】

【化9-2】

【化9-3】

【化9-4】

【化9-5】

らなる群から選択される、請求項1に記載の組成物
【請求項10】
前記化合物は、
【化10】

ある、請求項9に記載の組成物
【請求項11】
前記化合物は、
【化11】

ある、請求項9に記載の組成物
【請求項12】
前記化合物は、
【化12】

ある、請求項9に記載の組成物
【請求項13】
前記化合物は、
【化13】

ある、請求項9に記載の組成物
【請求項14】
必要とする被験者の炎症の治療に用いられる、請求項1に記載の組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年1月13日付で出願された米国特許出願第62/446,358号及び2017年4月26日付で出願された米国特許出願第62/490,592号の利益を主張し、これらの出願の各々は、本開示の一部としてその全体が参照として本明細書に取り込まれる。
【背景技術】
【0002】
皮膚病及び皮膚障害(例えば、酒さ、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、乾癬)に関連する炎症を含むが、これに限定されない炎症の新規な治療の必要性が残る。さらに、被験者へのバクテリアの死滅、不活性化、脱コロニー化及び/又は成長抑制の必要性が残る。さらに、座瘡治療及び健康に見える皮膚の全般的な促進に対する必要性も残る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
また、本発明は、本明細書に記載の化合物を含有する組成物、そのような化合物及び/又は組成物を調製する方法、並びにそのような化合物及び/又は組成物を使用する方法を提供する。
【0004】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも1つの現在開示されている化合物、担体、及び、選択的に、更なる活性成分を含む、炎症を治療又は予防するための組成物を提供する。
【0005】
一部の実施形態において、局所投与のために製剤化される、本発明の少なくとも1つの化合物、担体、及び、選択的に、更なる活性成分を含む、皮膚病又は疾患を治療又は予防するための局所組成物が提供される。特定の実施形態において、少なくとも1つの現在開示されている化合物、担体、及び、選択的に、更なる活性成分を含む、被験者に健康な皮膚を促進させるための局所組成物が本明細書で提供される。
【0006】
一部の実施形態において、本発明は、皮膚の炎症などの炎症の治療に提供される化合物及び/又は組成物の用途を提供する。特定の実施形態において、本発明は、炎症細胞(例えば、好中球、リンパ球、単核球、肥満細胞)の浸潤及び活性の抑制、及び/又は、内皮及び炎症細胞における細胞表面付着分子(例えば、VCAM-1及びICAM-1)の発現及び活性の抑制から利益が得られる疾病の治療に提供される化合物及び/又は組成物の用途を提供する。一部の実施形態において、このような治療は炎症(急性又は慢性)、神経再生を促進するための脊髄損傷に関連する炎症、in vivo遺伝子治療中の免疫系による遺伝子操作細胞の拒否の抑制、喘息、自己免疫疾患、及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)(例えば、肺気腫、慢性気管支炎及び小気道疾患など)、免疫系の炎症性反応、皮膚病(例えば、酒さ、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、乾癬を患っている患者の急性皮膚刺激の軽減)、過敏性大腸症候群(例えば、クローン病及び潰瘍性大膓炎など)、神経変性障害(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、ボクサー痴呆、ピック病、グアム・パーキンソン痴呆症候群、前頭側頭型痴呆、皮質基底核変性症、淡蒼球-脳橋-黒質変性、進行性核上麻痺、レビー小体型痴呆(DLB)及び多系統萎縮症(MSA)から選択される炎症性疾病又は障害の重症度を治療又は緩和することを含む。
【0007】
一部の実施形態において、本発明は、現在開示されている化合物及び/又は1つ以上の現在開示されている化合物を含有する組成物を投与することを含む、サイトカインなどの炎症性メディエータのレベルの調整から利益が得られる被験者の疾病を治療又は予防する方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、現在開示されている化合物及び/又は1つ以上の現在開示されている化合物を投与することを含む、ヘルパーTリンパ球の浸潤及び蓄積の抑制から利益が得られる被験者の疾病を治療又は予防する方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、現在開示されている化合物及び/又は1つ以上の現在開示されている化合物を含有する組成物を投与することを含む、ICMTの抑制から利益が得られる被験者の疾患を治療又は予防する方法を提供する。特定の実施形態において、本発明は、現在開示されている化合物及び/又は1つ以上の現在開示されている化合物を含む、好中球から酸化バースト反応の抑制からの利益が得られる被験者の疾病を治療又は予防する方法を提供する。
【0008】
一部の実施形態において、本明細書では、皮膚疾患(例えば、座瘡又はアトピー性皮膚炎)を治療又は予防するための方法を提供し、前記方法は、本発明の少なくとも1つの現在開示されている化合物の有効量を、ヒトを含めて必要とする被験者の表面上に局所的に塗布するステップを含む。特定の実施形態において、本明細書では、健康な皮膚を促進する方法を提供し、少なくとも1つの現在開示されている化合物の有効量をヒトを含めて必要とする被験者の表面上に局所的に塗布するステップを含む。
【0009】
特定の実施形態において、本発明は、被験者の炎症を治療又は予防する方法を提供し、前記方法は、少なくとも1つの現在開示されている化合物の有効量を投与するステップを含む。
【0010】
その中でも、本発明は、表面上のバクテリアの死滅、不活性化、脱コロニー化及び/又は成長を抑制する方法を提供する。一部の実施形態において、本発明は、必要とする被験者にバクテリアによって誘発される又は悪化する上皮関連疾患を治療、予防又は改善する方法を提供する。
【0011】
一部の実施形態において、本発明は、バクテリアによって誘発される又は悪化する上皮関連疾患に関連する炎症の症状を治療、予防及び/又は改善する方法を提供し、前記方法は、本発明の少なくとも1つの現在開示されている化合物の有効量を必要とする被験者に投与するステップ(例えば、ヒトを含む被験者の表面上に局所的に塗布される)を含む。一部の実施形態において、バクテリアによって誘発される又は悪化する上皮関連疾患は、皮膚疾患、又は呼吸器疾患、又は鼻腔疾患、又は眼球疾患、又は口腔疾患を含む。一部の実施形態において、バクテリアによって誘発される又は悪化する上皮関連疾患は、外耳疾患を含む。一部の実施形態において、バクテリアによって誘発される又は悪化する上皮関連疾患は、膣の疾患を含む。一部の実施形態において、バクテリアによって誘発される又は悪化する上皮関連疾患は、尿生殖器の疾患又は直腸疾患を含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
「抗菌剤」:本明細書で使用される用語「抗菌剤」は、バクテリアの成長を抑制したり、バクテリアを死滅させ、表面のバクテリアを脱コロニー化させる薬剤を指す。一部の実施形態において、抗菌剤は、殺菌効果を有し得る。一部の実施形態において、抗菌剤は、静菌効果を有し得る。一部の実施形態において、抗菌剤は、殺菌及び静菌効果いずれも有し得る。本明細書で使用される用語「抗菌剤」は、坑菌化合物又はその薬学的に許容される塩のいずれも指す。
【0013】
「アシル」:本明細書で使用される用語「アシル」は、ヒドロキシル基の除去によって有機酸から形成されるラジカルを指す。
【0014】
「更なる活性成分」:本明細書で使用される用語「更なる活性成分」は、薬理学的、皮膚科学的又は任意の他の有利な活性を発揮する、現在開示されている化合物以外の薬剤を指す。「他の有利な活性」は、本発明の組成物を使用する被験者によってのみ認識されるものであり得ることを理解すべきである。典型的に、本明細書に使用される、更なる活性成分は、本発明の化合物と組み合わせて投与される薬学的活性剤を指す。
【0015】
「脂肪族」:本明細書で使用される用語「脂肪族」は、飽和及び不飽和、直鎖(すなわち、非分岐)、分岐、非環状、環状、又は多環の脂肪族炭化水素の全てを含み、1つ以上の官能基で選択的に置換される。当業者により認識されるように、「脂肪族」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル残基を含むが、これに限定されるものではないことが意図される。したがって、本明細書で使用される用語「アルキル」は、直鎖、分岐及び環状アルキル基を含む(下記を参照)。同様の概念は、「アルケニル」、「アルキニル」などの、他の一般的な用語にも適用される。また、本明細書で使用される用語「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」などは、置換基及び未置換基いずれも含む。一部の実施形態において、脂肪族基は、1~25個の脂肪族炭素原子を含む。一部の実施形態において、脂肪族基は、1~25、1~24、1~23、1~22、1~21、1~20、1~19、1~18、1~17、1~16、1~15、1~14、1~13、1~12、1~11、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~3、又は3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、10~11、11~12、12~13、13~14、14~15、15~16、16~17、17~18、18~19、19~20、20~21、21~22、22~23、23~24、又は24~25個の脂肪族炭素原子を含む。特定の実施形態において、本明細書で使用される用語「低級アルキル」は、1~6個の炭素原子を有するアルキル基(環状、非環状、置換、未置換、分岐若しくは非分岐)を示すために使用される。一部の実施形態において、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニルのような用語の一部は、他の一般的な用語(例えば、ジアルキルアミノ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ)内で使用され、その後、存在する炭素原子の数に関して、同様の規則が適用されると理解される。
【0016】
「アルケニル」:本明細書で使用される用語「アルケニル」は、単一の水素原子の除去によって少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する直鎖又は分岐鎖の炭化水素残基から誘導される置換若しくは未置換の一価の基を表す。一部の実施形態において、アルケニル基は、1~25個の脂肪族炭素原子を含有する。特定の実施形態において、本発明で使用されるアルケニル基は、10~25個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、本発明で使用されるアルケニル基は、10~20個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、本発明で使用されるアルケニル基は、10~15個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、使用されるアルケニル基は、10個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、使用されるアルケニル基は、15個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、使用されるアルケニル基は、20個の炭素原子を含有する。アルケニル基は、例えば、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ヘネイコセニル、ドコセニル、トリコセニル、テトラコセニル、ペンタコセニル、及びオクタデカ-9,12-ジエニル、オクタデカ-9,12,15-トリエニル、エイコサ-5,8,11,14-テトラエニル、ファルネシル、ゲラニル及びゲラニルゲラニルを含む多価不飽和アルケン、並びにC-20フィチルなどが挙げられる。
【0017】
「アルケニレン」:用語「アルケニレン」は、二価、置換若しくは未置換のアルケニル基を指す。置換アルケニレン鎖は、1つ以上の水素原子が置換基で置き換えられた少なくとも1つの二重結合を含有するポリメチレン基である。適切な置換基は、置換脂肪族基について本明細書に記載されているものを含む。
【0018】
「アルキル」:本明細書で使用される用語「アルキル」は、単一の水素原子の除去によって脂肪族残基から誘導される置換若しくは未置換の、飽和の、直鎖又は分岐鎖の炭化水素ラジカルを意味する。一部の実施形態において、アルキル基は、1~25個の脂肪族炭素原子を含有する。特定の実施形態において、本発明で使用されるアルキル基は、10~25個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、本発明で使用されるアルキル基は、10~20個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、本発明で使用されるアルキル基は、15~20個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、使用されるアルキル基は、10個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、使用されるアルキル基は、15個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、使用されるアルキル基は、20個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、本発明で使用されるアルキル基は、1~3個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、使用されるアルキル基は、1~2個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、アルキル基は、1個の炭素原子を含有する。アルキルラジカルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、sec-ペンチル、イソペンチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-デシル、n-ウンデシル、ドデシル、トリデシルル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘネコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシルなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0019】
「アルキルアミノ」:用語「アルキルアミノ」は、構造式-NHR’を有する置換若しくは未置換の基を指し、ここで、R’は本明細書で定義されるような脂肪族である。特定の実施形態において、脂肪族基は1~20個の脂肪族炭素原子を含有する。一部の実施形態において、脂肪族基は1~10個の脂肪族炭素原子を含有する。一部の実施形態において、本発明で使用される脂肪族基は1~8個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態において、脂肪族基は1~6個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態において、脂肪族基は、1~4個の脂肪族炭素原子を含有する。アルキルアミノ基の例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、シクロプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、tert-ブチルアミノ、ネオペンチルアミノ、n-ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ及びシクロヘキシルアミノなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0020】
「アルキレン」:用語「アルキレン」は、二価の置換若しくは未置換のアルキル基を指す。特に明示しない限り、アルキレン基は、1~25個の脂肪族炭素原子を含有する。「アルキレン鎖」は、ポリメチレン基、すなわち、-(CH)n-であり、ここでnは、正の整数、好ましくは1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~3、3~4、4~5又は5~6である。置換アルキレン鎖は、1つ以上のメチレン水素原子が置換基で置き換えられたポリメチレン基である。適切な置換基は、置換脂肪族基について本明細書に記載されているものを含む。
【0021】
「アルキニル」:本明細書で使用される用語「アルキニル」は、単一の水素原子の除去によって少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有する直鎖又は分岐鎖の炭化水素残基から誘導される置換若しくは未置換の一価の基を意味する。特定の実施形態において、本発明で使用されるアルキニル基は10~25個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、本発明で使用されるアルキニル基は10~20個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、使用されるアルキニル基は10個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、使用されるアルキニル基は15個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、使用されるアルキニル基は20個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、本発明で使用されるアルキニル基は2~3個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、使用されるアルキニル基は2個の炭素原子を含有する。特定の実施形態において、使用されるアルキニル基は3個の炭素原子を含有する。代表的なアルキニル基は、エチニル、2-プロピニル(プロパルギル)、1-プロピニルなどを含むが、これに限定されない。
【0022】
「アルコキシ」又は「アルキルチオ」:本明細書で使用される用語「アルコキシ」又は「アルキルチオ」は、酸素原子を介して、又は硫黄原子を介して親分子に付着する、先に定義したような置換若しくは未置換のアルキル基を指す。特定の実施形態において、「アルコキシ」又は「アルキルチオ」基の「アルク」又は「アルキル」の部分は1~10個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態において、本発明で使用される「アルコキシ」又は「アルキルチオ」基の「アルク」又は「アルキル」の部分は1~8個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態において、「アルコキシ」又は「アルキルチオ」基の「アルク」又は「アルキル」の部分は1~6個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態において、「アルコキシ」又は「アルキルチオ」基の「アルク」又は「アルキル」の部分は1~4個の脂肪族炭素原子を含有する。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、ネオペントキシ及びn-ヘキソキシが挙げられるが、これに限定されない。チオアルキル基の例としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオなどが挙げられるが、これに限定されない。
【0023】
「動物」:本明細書で使用される用語「動物」は、例えば、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類及び魚類を含む、ヒトだけでなく非ヒト動物も指す。好ましくは、非ヒト動物は哺乳類(例えば、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、サル、イヌ、ネコ、霊長類又はブタ)である。非ヒト動物は形質転換動物であり得る。一部の実施形態において、用語「動物」は、獣医学の動物(例えば、家禽、ウシ、ブタ、ウマなど)を示すのに使用される。
【0024】
「アラルキレン」は、本明細書で定義されるように、Rは「アルキレン」であり、Arは「アリーレン」(すなわち、アルキレンがアリーレンに結合している)である、化学式-R-Ar-の二価の基を指す。
【0025】
「ふけ防止剤」:本明細書で使用される用語「ふけ防止剤」は、白色又は灰色の鱗屑で剥がれる皮膚、特に頭皮に形成されるふけを減少、除去又は防止する薬剤である。本発明の文脈において使用可能な例示的なふけ防止成分としては、ブトコナゾール、クリンバゾール、コールタール、クロトリマゾール、ジクロロフェニルイミダゾールジオキソラン、イミダゾール(例えば、フルコナゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾール、ミコナゾール、ミコナゾールニトライト、ポビドン-ヨウ素、スルコナゾール、チオコナゾール)、サリチル酸、セレンスルフィド、頁岩油など(例えば、スルホン化頁岩油)、硫黄、亜鉛ピリチオンなど、並びにその任意の可能な立体異性体、例えばアントラリン、ピロクトンオラミン(オクトピロックス)、セレンスルフィド、シクロピロクスオラミン、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
「抗ヒスタミン剤」:本明細書で使用される用語「抗ヒスタミン剤」は、体内のヒスタミンに対抗して、アレルギー反応(例えば、花粉症)及び風邪の症状を治療するために使用される薬剤である。本発明の文脈において使用可能な抗ヒスタミン剤の非限定的な例としては、アステミゾール、ブロムフェニラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、デクスクロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、ロラタジン、ピペリジン、ピペラジン、プロメタジン、テルフェナジン、トリプロリジン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
「抗刺激剤」:本明細書で使用される用語「抗刺激剤」は、身体部位(例えば、皮膚)の痛み、ざらつき又は炎症を予防又は軽減する薬剤である。現在知られている抗刺激剤は、水溶性抗刺激剤と不溶性抗刺激剤とに分けられる。このような組成物の代表的な例としては、例えば、米国特許第5,482,710号に記載されていて、参照により本明細書に取り込まれる。本発明の文脈において使用可能な適切な抗刺激剤には、例えば、ステロイド性及び非ステロイド性抗炎症剤、又はアラントイン、アロエベラ、アルファ-ビサボロール、カフェイン、カモミール、コーラの木のエキス、緑茶エキス、グリチルリチン酸、甘草エキス、チャノキ油又はその他キサンチン、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
「抗酸化剤」:本明細書で使用される用語「抗酸化剤」は、酸素又は過酸化物によって促進される酸化又は反応を抑制する薬剤である。本発明の文脈において使用可能な抗酸化剤の非限定的な例としては、アミン(例えば、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン、アミノ-グアニジン)、アルギニンピロレート、アスコルビン酸(ビタミンC)及びその塩、脂肪酸、アスコルビン酸などのアスコルビルエステル(例えば、マグネシウムアスコルビルホスフェート、ナトリウムアスコルビルホスフェート、アスコルビルソルベート)、バイオフラボノイド、ブチル化ヒドロキシ安息香酸及びその塩、クルクミン、ジヒドロキシフマル酸及びその塩、没食子酸及びそのアルキルエステル(例えば、没食子酸プロピル、尿酸及びその塩、並びにアルキルエステル)、グリシンピドレート、ブドウの皮/種子エキス、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸(商品名Trolox(登録商標)で入手可能である)、リポ酸、リジン、メラニン、メチオニン、ノルジヒドログアヤレチン酸、プロリン、ローズマリーエキス、シリマリン、ソルビン酸及びその塩、スルフヒドリル化合物(例えば、グルタチオン)、スーパーオキシドジスムターゼ、茶エキス、酢酸トコフェロール、トコフェロール(ビタミンE)、トコフェロールソルベート、及びトコフェロールのその他のエステル及びそれらの組み合わせが挙げられる。特定の非限定的な実施形態において、抗酸化剤はブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、メタ重亜硫酸ナトリウム及びtert-ブチルヒドロキノンの1つ以上から選択され得る。
【0029】
「鎮痒剤」:本明細書で使用される用語「鎮痒剤」は、かゆみを軽減、除去又は予防する薬剤である。適切な鎮痒剤としては、メチラジン及びトリメプラジン、並びにその組み合わせが挙げられるが、それに限定されない。
【0030】
「抗皮膚萎縮活性剤」:本明細書で使用される用語「抗皮膚萎縮活性剤」は、落屑の自然な過程を促進する又は維持することによって、表皮層を補充する又は回復させるのに効果的な薬剤である。本発明の文脈において使用可能なシワ防止及び抗萎縮剤活性剤の例としては、アルファ-ヒドロキシ酸(例えば、グリコール酸及乳酸)、リポ酸、リゾホスファチジン酸、フィチン酸、レチノイン酸、そのプロドラッグ、異性体(例えば、シス及びトランス)及びその類似体、サリチル酸など、硬化薬又は硬化剤、皮膚剥離剤(例えば、フェノールなど)、硫黄含有D及びLアミノ酸など、及び関連する塩(例えば、N-アセチルL-システインなどのN-アセチル誘導体)、並びにチオール(例えば、エタンチオール)が挙げられる。
【0031】
「痲酔剤」:本明細書で使用される用語「痲酔剤」は、感覚の低下又は喪失をもたらす薬剤である。本発明の文脈において使用するのに適切な痲酔剤の非限定的な例としては、ブピバカイン、クロロプロカイン、コカイン、ジブカイン、ジクロニン、エチドカイン、ヘキシルカイン、ケタミン、リドカイン、メピバカイン、フェノール、プラモキシン、プロカイン及びテトラカインが挙げられる。
【0032】
「アリール」及び「ヘテロアリール」:一般に、用語「アリール」及び「ヘテロアリール」は、置換若しくは未置換の芳香族基又は残基を指す。一部の実施形態において、用語「アリール」及び「ヘテロアリール」は、異なる残基名(例えば、「アリールアルキル」、「アラルキレン」、「アリールオキシ」、「ヘテロアリールオキシ」又は「ヘテロアリールアルキル」)の文脈で使用される。一部の実施形態において、「アリール」及び/又は「ヘテロアリール」は、系内の少なくとも1つの環が芳香族である、安定した単環式又は多環式、複素環式及び多複素環式の不飽和残基を指す。一部の実施形態において、「アリール」及び/又は「ヘテロアリール」環系は、3~7個の環部材を含有する。一部の実施形態において、「アリール」及び/又は「ヘテロアリール」は、3~14個の炭素原子を含有する。本発明の特定の実施形態において、「アリール」は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどを含むが、これに限定されない、1又は2個の芳香族環を有する単環式又は二環式炭素環系を指す。本発明の特定の実施形態において、本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」は、その中1個の環原子がS、O及びNから選択される、5~10個の環原子を有する環式芳香族ラジカルを指し、0、1又は2個の環原子はS、O及びNから独立して選択される更なるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素であり、ラジカルは任意の環原子、例えばピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニルなどを介して残りの分子に結合する。アリール及びヘテロアリール基は、未置換でも置換されていてもよく、ここで置換基は、1、2、3個又はそれ以上の水素原子を、本明細書で提供されている1つ以上の残基(例えば、「置換基」)で独立して置き換えることを含む。
【0033】
「アリーレン」及び「ヘテロアリーレン」:用語「アリーレン」は、炭素環及び芳香族である未置換又は置換の二価の基を指す。一部の実施形態において、アリーレン基の環は互いに融合している。一部の実施形態において、アリーレン基の環は融合していないが、それに拘わらず連結する。一部の実施形態において、アリーレン基は一部の融合した環及び一部の連結した環を含む。一部の実施形態において、アリーレン基は芳香族環を含む。一部の実施形態において、アリーレン基は非芳香族環を含む。一部の実施形態において、アリーレン基は一部の芳香族環及び一部の非芳香族環を含む。一部の実施形態において、アリーレン基は5個以下の環、4個以下の環、3個以下の環、2個以下の環又は1個の芳香族環を有する。例えば、アリーレン基は、フェニレンであり得る。例示的なアリーレン基は、「アリール」基から対応する「アリーレン」基に到達するのに二価が必要とされるという理解の下に、本明細書に挙げられる任意の「アリール」残基を含む。「アリーレン」基の例示的な置換基は、1、2、3個又はそれ以上の水素原子を本明細書で定義しているような「アリール」及び「ヘテロアリール」に適用可能な任意の1つ以上の残基で独立して置き換えることを含む。「アリーレン」の炭素環原子がS、O及びNから独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子で置き換えられ得る一方、残りの環原子は炭素であり、二価の基は任意の2個の環原子を介して残りの分子に結合し「ヘテロアリーレン」を形成する。例示的な「ヘテロアリーレン」基は、「ヘテロアリール」基から対応する「ヘテロアリーレン」基に到達するのに二価が必要とされるという理解の下に、本明細書に挙げられる任意の「ヘテロアリール」残基を含む。
【0034】
「関連する」:本明細書に記載されているように、2つの個体が互いに「関連する」場合、これらは直接的又は間接的な共有又は非共有の相互作用によって連結する。好ましくは、結合は共有結合である。好ましい非共有の相互作用は、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疏水性相互作用、磁気相互作用、静電相互作用などを含む。
【0035】
「収斂剤」:本明細書で使用される用語「収斂剤」は、身体組織を引き寄せ又は収縮させ、血液又は他の分泌物の流れを止めるのに効果的な薬剤である。一部の実施形態において、収斂剤は血液を凝固させることから、出血を止めるために使用され得る。一部の実施形態において、収斂剤は治癒を促進し、皮膚を強化し、及び/又は発汗を減少させる。一部の実施形態において、収斂剤はタンパク質沈殿剤である。典型的に、収斂剤は細胞浸透性が低く、細胞表面及び/又は間質腔にその作用が制限される。一部の実施形態において、収斂剤は、収斂剤が適用される組織の収縮及びシワを伴う。一部の実施形態において、収斂剤の適用は受容体組織の枝分かれ(branching)を伴う。一部の実施形態において、収斂剤は、アルミニウム、ビズマス、鉄、マンガン、亜鉛などの1つ以上の薬剤を含む。あるいは、及び/又はさらに、このような薬剤は、例えば薬学的に許容される塩の形態を含む様々な形態のうち任意の形態で提供されることができる。
【0036】
「担体」:用語「担体」は、当業界で理解される意味に従って使用され、薬学組成物に含まれるが、薬学的活性剤の生物学的活性を排除せず、前記組成物中に含まれる物質も指す。薬学的担体は、典型的に治療を受ける被験者へ投与するのに適切な程度で、十分に高い純度及び十分に低い毒性を有する。一部の実施形態において、担体は不活性である。一部の実施形態において、担体は断定的に有益である(例えば、薬学的及び/又は美容的な利点を提供する。)。一部の実施形態において、AFCは許容可能な担体として働く。一部の実施形態において、薬学的な文脈で使用される場合、用語「担体」(例えば、薬学的に許容される担体)は、組成物中に薬剤が存在するが、前記組成物中に存在する他の薬剤の生物学的活性を排除しないということを意味する。一部の実施形態において、化粧用の文脈で使用される場合、用語「担体」(例えば、化粧用に許容される担体)は、薬剤が組成物中に存在するが、前記組成物中に存在する他の薬剤の生物学的活性及び/又は美的効果はないということを意味する。一部の実施形態において、化粧用に許容される担体は、本発明の現在開示されている化合物が安定しており、生物学的に利用できる化粧品を局所的に投与するのに使用される。本明細書で定義されているような「化粧用に許容される担体」及び「担体」は、本質的には同一ではないが、類似しているということを理解すべきである。一部の実施形態において、用語「担体」は、コスメシューティカルの文脈で使用される場合(例えば、コスメシューティカル担体)、薬剤が組成物中に存在するが、前記組成物中に存在する他の薬剤の生物学的活性及び美的効果を排除しないということを意味する。特定の実施形態において、薬学的担体は、活性剤(すなわち、本発明の現在開示されている化合物)の安全性及び生物学的利用率を維持させる。薬学的担体は、液体又は固体であり得、特定の組成物中の活性剤及び他の成分と結合するときに、所望の容積、濃度などを提供するために計画された投与方法を考慮して選択される。
【0037】
「苛性剤」:本明細書で使用される用語「苛性剤」は、化学作用により上皮組織を破壊又は侵食し得る薬剤である。苛性剤は、死んだ皮膚細胞を除去するのに使用され得る。例えば、ベータ-ヒドロキシ酸、強い角質分解効果を有する天然由来の酸は、問題のある皮膚又はピーリングに有用である。
【0038】
「キレート剤」:本明細書で使用される用語「キレート剤」は、カルシウム(Ca2+)、マグネシウム(Mg2+)及び銅(Cu2+)などの金属イオンに結合し、キレートとして知られている金属錯体を形成する薬剤である。一部の実施形態において、キレート剤はリガンドである。一部の実施形態において、キレート剤は原子である。一部の実施形態において、キレート剤はイオンである。一部の実施形態において、薬学組成物は、キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTA誘導体又はその組み合わせ)を含有し得る。一部の実施形態において、キレート剤は、前記組成物の保存剤又は保存剤のシステムを向上させる。
【0039】
「着色剤」:本明細書で使用される用語「着色剤」は、化粧用利点が必要とされることに伴い、毛髪の色を変えるのに使用される、顔料及び/若しくは染料、又はそれらの組み合わせを指す。一部の実施形態において、「着色剤」に含まれる顔料としては、酸化鉄及び酸化チタンが含まれるが、これに限定されない。一部の実施形態において、「着色剤」に含まれる染料は、D&C承認着色剤、FD&C承認着色剤、並びにヨーロッパ及び日本での使用が承認されている着色剤を含む。文献「Marmion,D.M.,Handbook of US Colorants for Food,Drugs,Cosmetics,and Medical Devices,3rd ed,1991」が参照により本明細書に取り込まれる。
【0040】
「互換性」:本明細書で使用される用語「互換性」は、このような組成物の成分が一般的な使用条件下で前記組成物の効能を実質的に軽減させる相互作用のない方式で、互い結合し得ることを意味する。
【0041】
「緩和剤」:本明細書で使用される用語「緩和剤」は、刺激、特に粘膜又は摩耗組織を主に緩和させるのに使用される薬剤である。例示的な緩和剤としては、アカシア、寒天、アルジネート、粘液、ベンゾイン、カルボマー、ゼラチン、グリセリン、ゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロゲル、デキストリン、デンプン、特定の糖及び重合性多価グリコール、プロピレングリコール、ナトリウムアルジネート、トラガカント及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
「脱臭剤」:本明細書で使用される用語「脱臭剤」は、汗又は他の体臭を抑制又は隠蔽するための物質を指す。本発明の文脈において使用可能な脱臭剤の代表的な例としては、ベンゼトニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ジイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウロイルザルコシン、ナトリウムアルミニウムクロロヒドロキシラクテート、ナトリウムN‐ラウリルサルコシン、ナトリウムN‐パルミチルサルコシン、ナトリウムN‐ミリストイルグリシン、カリウムN‐ラウリルサルコシン、ステアリル、トリメチルアンモニウムクロリド、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、2,4,4'‐トリクロロ‐2'‐ヒドロキシジフェニルエーテルなどの第四アンモニウム化合物、L‐リシンヘキサデシルアミドなどのジアミノアルキルアミド、クエン酸、サリチル酸及びピロクトンの重金属塩、特に亜鉛塩及びその酸、ピリチオンの重金属塩、特に亜鉛ピリチオン及びフェノールスルホン酸亜鉛が挙げられる。他の脱臭剤は、炭酸塩及び重炭酸塩(例えば、アルカリ金属カーボネイト及び重炭酸塩、アンモニウム及びテトラアルキルアンモニウムカーボネート及び重炭酸塩、特にナトリウム及びカリウム塩)又はその組み合わせなどの臭気吸収物質が含まれるが、これに限定されない。
【0043】
「ジアルキルアミノ」:用語「ジアルキルアミノ」は、本明細書で定義されているように、R及びR’がそれぞれ脂肪族基である構造-NRR’を有する基を指す。R及びR’は、ジアルキルアミノ残基において、同じであっても、異なっていてもよい。特定の実施形態において、脂肪族基は1~20個の脂肪族炭素原子を含有する。一部の実施形態において、脂肪族基は1~10個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態において、本発明で使用される脂肪族基は1~8個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態において、脂肪族基は1~6個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態において、脂肪族基は1~4個の脂肪族炭素原子を含有する。ジアルキルアミノ基の例としては、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルプロピルアミノ、ジ(n-プロピル)アミノ、ジ(イソプロピル)アミノ、ジ(シクロプロピル)アミノ、ジ(n-ブチル)アミノ、ジ(tert-ブチル)アミノ、ジ(ネオペンチル)アミノ、ジ(n-ペンチル)アミノ、ジ(ヘキシル)アミノ、ジ(シクロヘキシル)アミノなどが挙げられるが、これに限定されない。特定の実施形態において、R及びR’は結合して環式構造を形成する。得られる環式構造は、芳香族であっても、非芳香族であってもよい。環状ジアミノアルキル基の例としては、アジリジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリル、イミダゾリル、1,3,4-トリアノリル及びテトラゾリルが挙げられるが、これに限定されない。
【0044】
「有効量」:一般に、活性剤(例えば、治療剤、組成物及び/又は製剤)の「有効量」は、所望の生物学的反応を引き出すのに十分な量を指す。一部の実施形態において、物質の治療学的有効量は、疾病、障害及び/又は疾患を罹患していたり又は罹患しやすい被験者に投与する際に、疾病、障害及び/又は疾患中の1つ以上の症状の発症を治療、診断、予防及び/又は遅延するために十分な量である。当業者であれば分かるように、物質の有効量は、所望の生物学的終点、伝達される物質、化合物の薬物動態学、標的細胞又は組織、治療されている疾病、投与方法及び患者などの要因に応じて変わり得る。例えば、疾病、障害及び/又は疾患を治療するための組成物及び/又は製剤の有効量は、疾病、障害及び/又は症状の1つ以上の症状又は特徴の発病を緩和、改善、軽減、抑制、予防、遅延させ、重症度を低下させる及び/又は発病率を低下させる量である。当業者は、通常、治療的に有効量が一連の個別投与量にわたって投与されることを理解するであろう。一部の実施形態において、薬学的文脈で使用されるときの用語「有効量」(例えば、薬学的有効量)は、所望の治療効果を達成するのに、薬剤が十分な量で存在することを意味する。一部の実施形態において、化粧用の文脈で用いられるときの用語「有効量」(例えば、化粧用有効量)は、薬剤が美的効果を達成するのに十分な量で存在することを意味する。一部の実施形態において、コスメシューティカルの文脈で使用されるときの用語「有効量」(例えば、コスメシューティカル有効量)は、薬剤が治療及び/又は美的効果を達成するのに十分な量で存在することを意味する。
【0045】
「軟化剤」:本明細書で使用される用語「軟化剤」は、組織の水分含有量を増加させ、皮膚を一層より柔らかく且つ柔軟にする薬剤を指す。閉塞性の水-不混和性のバリアで水分損失を防いだり、保湿剤で皮膚の水分を保有する力を高めたり、最外側の皮膚層である角質層を変化させることにより、皮膚中の水分含有量の増加を達成することができる。一部の実施形態において、「軟化剤」は局所的に、特に皮膚に適用され得る、典型的に柔軟な、脂肪性又は油性の物質である。有用な軟化剤としては、セチルアルコール、グリセリン、親水性ワセリン、イソプロピルミリステート、ラノリン、ミネラルオイル、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、パラフィン、ワセリン、鯨蝋、植物油、ワックス、白色軟膏、白色石油、黄色軟膏又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0046】
「乳化剤」:本明細書で使用される用語「乳化剤」は、エマルジョンの形成及び安定化を促進する。適切な乳化剤は、微細に分散した固体、天然物質又は合成物質であり得る。天然乳化剤は、動物性又は植物性原料に由来する。動物性原料由来のものには、カゼイン、コレステロール、卵黄、ゼラチン若しくは羊毛脂肪、又はそれらの組み合わせを含む。植物性原料由来のものにはアカシア、ツノマタ、ペクチン若しくはトラガカント、又はそれらの組み合わせを含む。セルロース誘導体からの植物性原料は、粘度を高めるためにカルボキシメチルセルロース及びメチルセルロースを含む。微細に分散された乳化剤は、水酸化アルミニウム、ベントナイト、水酸化マグネシウム又は三ケイ酸マグネシウムを含む。合成薬剤は、アニオン性、カチオン性又は非イオン性薬剤を含み、塩化ベンザルコニウム、ポリエチレングリコール400モノステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0047】
「豊富な鏡像異性体」及び「鏡像異性体」:本明細書で使用される用語「豊富な鏡像異性体」及び「鏡像異性体」は、1つの鏡像異性体が組成物中の同じ化合物の他の鏡像異性体に対して豊富なことを指す。例えば、化合物が特定のキラル中心に対して、実質的にR-型又はS-型である場合、化合物はその形態に対する鏡像異性体過剰率(ee)を有するものとみなされる。一部の実施形態において、組成物は、1つの鏡像異性体が前記組成物中に少なくとも75%ee存在するときに、「豊富」とみなされる。特定の実施形態において、用語は1つの鏡像異性体が少なくとも80%ee、85%ee、90%ee、95%ee、97.5%ee又はそれ以上存在することを意味する。一部の実施形態において、1つの鏡像異性体が他の鏡像異性体に対し、少なくとも約90%のeeで存在するときに、組成物は「純粋な鏡像異性体」又は「純粋鏡像異性体」とみなされる。一部の実施形態において、1つの鏡像異性体が前記組成物に存在する他の鏡像異性体に対し、少なくとも約95%のeeで存在するときに、組成物は「純粋な鏡像異性体」又は「純粋鏡像異性体」とみなされる。一部の実施形態において、1つの鏡像異性体が前記組成物に存在する他の鏡像異性体に対し、少なくとも約97.5%のeeで存在するときに、組成物は「純粋な鏡像異性体」又は「純粋鏡像異性体」とみなされる。一部の実施形態において、1つの鏡像異性体が前記組成物に存在する他の鏡像異性体に対し、少なくとも約99%のeeで存在するときに、組成物は「純粋な鏡像異性体」又は「純粋鏡像異性体」とみなされる。
【0048】
「香料」:本明細書で使用される用語「香料」は、快適な香りを有する薬剤を指す。適切な香料としては、カンフル合成、カモミール、チョウジ油、ユーカリ油、ラベンダー、ペパーミント油などを含むが、これに限定されない。
【0049】
「G-タンパク質媒介疾患」:本明細書で使用される用語「G-タンパク質媒介疾患」は、1つ以上の症状の出現、発病及び/又は重症度がG-タンパク質シグナリングカスケードにおける変化に関連する任意の疾病又はその他の有害な疾患を意味する。一部の実施形態において、疾病又は疾患の1つ以上の症状は、G-タンパク質シグナリングにおける欠陥又は変形により引き起こされる。
【0050】
「ヘアコンディショニング剤」:本明細書で使用される用語「ヘアコンディショニング剤」は、ヘアコンディショニングに(例えば、ヘアの状態をさらに改善するために)使用するのに適切な薬剤を指す。一部の実施形態において、代表的なヘアコンディショニング剤としては、例えは、1つ以上のアルコキシル化アルコール、アルコキシル化アミド、アルコキシル化カルボン酸、カチオン性界面活性剤、コラーゲン、ジメチコーンポリオール、エステル(例えば、グリセリルエステル)、ハロゲン化した第四アンモニウム化合物、ケラチン、変性シリコン、タンパク質、重合体エーテル、第四アンモニウム化合物、若しくはソルビタン誘導体、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0051】
「ハロ」及び「ハロゲン」:本明細書で使用される用語「ハロ」及び「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択される原子を指す。
【0052】
「ヘテロ脂肪族」:本明細書で使用される用語「ヘテロ脂肪族」は、例えば、炭素原子の代わりに1つ以上の酸素、硫黄、窒素、リン又はケイ素原子を含有する脂肪族残基を指す。ヘテロ脂肪族残基は、分岐、非分岐、環式又は非環式であってもよく、モルホリノ、ピロリジニルなどの飽和及び不飽和のヘテロシクロを含む。特定の実施形態において、ヘテロ脂肪族残基は、1つ以上の水素原子を本明細書に記載されている1つ以上の残基(例えば、「置換基」)で独立して置き換えることによって置換されている。
【0053】
「ヘテロ原子」:本明細書で使用される用語「ヘテロ原子」は、酸素、硫黄、窒素、リン又はケイ素(窒素、硫黄、リン又はケイ素の任意の酸化した形態、任意の塩基性窒素の四級化形態、又は、例えば、N(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルのように)、NH(ピロリジニルのように)又はNR(N-置換のピロリジニルのように)のヘテロ環式環の置換可能な窒素を含む)のうち1つ以上を意味する。
【0054】
「ヘテロ環」又は「ヘテロシクリル」:本明細書で使用される用語「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環式ラジカル」及び「ヘテロ環式環」は、相互交換可能に使用され、安定した3~7員の単環式、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される炭素原子だけでなく、1個以上、好ましくは1~4個のヘテロ原子を有する7~10員の二環式ヘテロ環式残基を指す。ヘテロ環の環原子に関して使用される場合、用語「窒素」は、置換された窒素を含む。例として、酸素、硫黄又は窒素から選択される1~3個のヘテロ原子を有する飽和又は部分的に不飽和の環において、窒素はN(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルのように)、NH(ピロリジニルのように)又はNR(N-置換のピロリジニルのように)であってもよい。
【0055】
ヘテロ環式環は、安定した構造を引き起こす任意のヘテロ原子又は炭素原子でそのペンダント基に付着でき、任意の環原子は選択的に置換され得る。このような飽和又は部分的に不飽和のヘテロ環式ラジカルの例としては、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニル及びキヌクリジニルが挙げられるが、これに限定されない。用語「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクリル環」、「ヘテロ環式基」、「ヘテロ環式残基」及び「ヘテロ環式ラジカル」は、本明細書で相互交換可能に使用され、ヘテロシクリル環が3H-インドリニル、クロマニル、フェナントリジニル又はテトラヒドロキノリニルなどの1つ以上のアリール、ヘテロアリール又はシクロ脂肪族環を含み、ここでラジカル又は付着点はヘテロシクリル環上にある。特定の実施形態において、1つ以上の炭素原子は、ヘテロシクリル環においてオキソ基で置換されていてもよい。このような基の例としては、イソインドリン-1,3-ジオン残基が挙げられるが、これに限定されない。ヘテロシクリル基は、単環式又二環式であってもよい。用語「ヘテロシクリルアルキル」は、ヘテロシクリルにより置換されたアルキル基を指し、ここでアルキル及びヘテロシクリルの部分は独立して選択的に置換される。
【0056】
「ホルモン」:本明細書で使用される用語「ホルモン」は、別の位置又はそれらの合成類似体において活性を引き起こすために、血液によって移動する身体の器官で生成される天然物質を指す。本発明の文脈において使用するのに適切なホルモンとしては、カルシフェロール(ビタミンD)及びその生成物、アンドロゲン、エストロゲン及びプロゲステロンが挙げられるが、これに限定されない。
【0057】
「炭化水素」:本明細書で使用される用語「炭化水素」は、水素及び炭素を含む任意の化学的基を指す。一部の実施形態において、炭化水素は水素及び炭素からなる。炭化水素は、置換若しくは未置換であってもよい。炭化水素は、不飽和、飽和、分岐、非分岐、環式又は多環式であってもよい。例示的な炭化水素としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、アリル、ビニル、n-ブチル、tert-ブチル、エチニル、シクロヘキシル、メトキシ及びジエチルアミノなどが挙げられる。当業者に公知のように、すべての原子価は、任意の置換を製造するのに満たさなければならない。本明細書で使用される「二価の炭化水素」は、アルキレン、アルケニレン又はアルキニレンなどを指す。
【0058】
「色素沈着低下剤」:本明細書で使用される用語「色素沈着低下剤」は、皮膚を脱色することができる物質を指す。適切な色素沈着低下剤としては、ヒドロキノン、メキノール、並びにセリンプロテアーゼ抑制剤、活性大豆及びレチノイン酸を含む様々なプロテアーゼ抑制剤を含む。
【0059】
「組み合わせて」:本明細書で使用される用語「組み合わせて」は、被験者へ同時に投与される薬剤を指す。被験者が両方(又はそれ以上)の薬剤に同時に曝露されるたびに、2つ以上の薬剤が「組み合わせて」投与されるとみなされることが分かる。2つ以上の薬剤の各々は、異なるスケジュールに従って投与されてもよく、異なる薬剤の個々の容量を同時に又は同様の構成で投与する必要はない。むしろ、両方(又はそれ以上)の薬剤が被験者の体内に残っている限り、それらは「組み合わせて」投与されるとみなされる。
【0060】
「独立して選択される」:用語「独立して選択される」は、参照される基が、同一又は異なり得ることを示すために本明細書で使用される。
【0061】
「刺激剤」:本明細書で使用される用語「刺激剤」は、皮膚に局所的に作用して、刺激剤の濃度、充血、炎症及び乾燥に基づいて誘導する物質である。刺激剤としては、アルコール、芳香族アンモニア成分、安息香チンキ、樟脳及びコールタールエキスが挙げられるが、これに限定されない。一部の実施形態において、刺激剤は発赤剤である。
【0062】
「調整する」:用語「調整する」とは、パラメータの変化(例えば、結合相互作用又は活性などの変化)を指す。調整は、パラメータの増加又は減少(例えば、結合の増加又は減少、活動の増加又は減少など)を意味し得る。
【0063】
「調整剤」:用語「調整剤」は、炎症性経路においてその対象のレベル及び/又は活性を変化させる薬剤を指す。一部の実施形態において、調整剤は炎症性経路のタンパク質と1つ以上の他の個体との間の相互作用を変える。一部の実施形態において、調整剤は、炎症性経路のタンパク質と基質との間の相互作用を変える。薬剤が調整剤か否かの決定を直接的又は間接的に行うことができる。薬剤が相互作用を調整するか否かの決定は、直接行うことができ、例えば、炎症性経路のタンパク質と基質との間の相互作用を検出する分析法を使用する。薬剤が相互作用を調整するか否かの決定は、調整を間接的に検出する技術で行うことができ、例えば、タンパク質-基質の相互作用の下流にあり、タンパク質-基質の相互作用に依存する生物学的活性を検出する技術である。特定の実施形態において、炎症性経路は、G-タンパク質媒介(例えば、プリン受容体媒介)である。特定の実施形態において、炎症性経路は、非G-タンパク質媒介(例えば、PPAR媒介、Toll様受容体媒介及びTNFアルファ受容体媒介)である。
【0064】
「保湿剤」:本明細書に使用される「保湿剤」は、皮膚に水分を加える又は回復させる物質である。本発明で使用可能な保湿剤又は湿潤剤の代表的な例としては、アセトアミドモノエタノールアミンウラゾール、その様々な任意の形態のアロエベラ(例えば、アロエベラゲル)、アラントイン、グアニジン、グリコール酸及びグリコール酸塩(例えば、アンモニウム塩及び第四アルキルアンモニウム塩)、ヒアルロン酸、ラクタミドモノエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシアルコール(例えば、ソルビトール、グリセロール、ヘキサントリオール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなど)、糖類及びデンプン類、糖及びデンプン誘導体(例えば、アルコキシル化グルコース)及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。
【0065】
「非ステロイド性抗炎症剤」:本明細書で使用される用語「非ステロイド性抗炎症剤」は、アセトアミノフェン、Advil(登録商標)、Aleve(登録商標)、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム及びTylenol(登録商標)を含む、それらの作用がアスピリンと類似する多量の薬剤群を指す。本発明の文脈において使用可能な非ステロイド性抗炎症剤のさらなる例としては、酢酸誘導体(例えば、アセメタシン、クリンダナク、ジクロフェナク、フェルビナク、フェンクロフェナク、フェンチアザク、フロフェナク、インドメタシン、イソキセパク、ケトロラク、オキセピナク、スリンダク、チオピナック、トルメチン、ジドメタシン及びゾメピラク)、ベノリレート、ジフルニサル、サルサラート、フェナメート(例えば、フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルミン酸及びトルフェナミム酸)、フェンドサル、オキシカム(例えば、CP-14,304、イソキシカム、ピロキシカム、スドキシカム及びテノキシカム)、プロピオン酸誘導体(例えば、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、カプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェニック及びチオキサプロフェン)、ピラゾール(例えば、アザプロパゾン、フェプラゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン及びトリメタゾン)、サファプリン、ソルプリン、トリリセートが挙げられる。
【0066】
「部分的に不飽和の」:本明細書で使用される用語「部分的に不飽和の」は、少なくとも1つの二重又は三重結合を含む環残基を指す。用語「部分的に不飽和の」は、複数の不飽和部位を有する環を含むことが意図されるが、本明細書で定義されるように、アリール又はヘテロアリール残基を含むと意図されない。
【0067】
「浸透促進剤」及び「薬学的に許容される浸透促進剤」:本明細書で使用される用語「浸透促進剤」及び「薬学的に許容される浸透促進剤」は、局所組成物の生物学的利用率を改善する無毒性の薬剤である。一部の実施形態において、浸透促進剤は、皮膚を通じた物質の伝達を促進することが知られている(例えば、微生物及び毒素に対するバリア効果を損なうことなく、皮膚のバリア機能を乱す)。典型的には、浸透促進剤は、意図した受容者(例えば、ヒト)の皮膚に対して無毒性のものが選択される。また、浸透促進剤は、投与される任意の薬学的活性剤と好適に互換される。代表的な浸透促進剤としては、例えば、1-置換アザシクロヘプタン-2-オン(例えば、Whitby Research Incorporated,Richmond,Va.の商品名Azone(登録商標)から入手可能な1-n-ドデシルシクロアザシクロヘプタン-2-オン)、双極性-非プロトン性溶媒(例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(「DMA」)、デシルメチルスルホキシド(「C10MSO」)、ジメチルホルムアミド(「DMF」)、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)及びN-メチル-2-ピロリドン(「NMP」))、リン脂質(例えば、アラントイン、脂肪酸アルコール、レシチン、ポリエチレングリコールモノラウレート(「PGML」)、グリセロールモノラウレート(「GML」)及びウラゾールなどのグリセロールを含むアルコール)などの薬剤が挙げられるが、これに限定されない。また、浸透促進剤は、トウモロコシ油、綿実油、ベニバナ油及びオリーブ油などの植物油であり得るが、これに限定されない。さらなる浸透促進剤は、一般に、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20thed.(Gennaro,A.R.ら編)Lippincott Williams&Wilkins:Philadelphia(2000)に基づいて、参照により本明細書に取り込まれる。
【0068】
「pH調整剤」:本明細書で使用される用語「pH調整剤」は、本明細書で提供される組成物(例えば、実質的に中性のpH)に適切なpH特性を与える薬剤であり、そのpHは組成物の特定の活用に依存する。一部の実施形態において、皮膚のpHが5.5であることから、約4.0~約7.0の範囲、5.0及び6.0の範囲、約5.5、又は実質的に5.5のpH値を有する局所皮膚塗布のために(又は刺激を避けるために)組成物を製剤化することが好ましい場合がある。適切なpH調整剤としては、例えば1つ以上のアジピン酸、緩衝剤、クエン酸、カルシウムヒドロキシド、グリシン、マグネシウムアルミノメタシリケート、又はその組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。
【0069】
「薬学的に許容される塩」:用語「薬学的に許容される塩」は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、ヒト及び下等動物の組織と接触して使用するのに好適であり、合理的な利益/危険比率に比例するそれらの塩を指す。薬学的に許容される塩は当業界において公知である。例えば、Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences,66:1-19,1977に説明されている薬学的に許容される塩を説明し、参照により本明細書に取り込まれる。このような塩は、本発明の化合物の最終的な分離及び精製の間にin situで製造され得る、又は、別途に(例えば、遊離塩基性官能基を適切な有機又は無機酸と反応させることによって)製造され得る。あるいは、又はさらに、化合物の製剤中に塩が形成され得る。薬学的に許容される無毒性酸付加塩の例としては、イオン交換などの当業界で使用される他の方法を使用することによって、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸などの無機酸、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸などの有機酸から形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、P-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、二ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に許容される塩としては、適切な場合、ハライド、ヒドロキシド、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩などの対イオンを用いて形成される無毒性アンモニウム、第四アンモニウム及びアミンカチオンが含まれる。
【0070】
「薬学的に許容されるエステル」:用語「薬学的に許容されるエステル」は、in vivoで加水分解され、人体内で容易に分解されて、親化合物又はその塩を残すエステルを指す。適切なエステル基としては、例えば、薬学的に許容される脂肪族カルボン酸、特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸及びアルカンジオン酸から誘導されるものが挙げられ、ここで、各々のアルキル又はアルケニル残基は、6個以下の炭素原子を有することが有利である。特定のエステルの例としては、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、アクリル酸塩及びエチルコハク酸塩が挙げられる。特定の実施形態において、エステルは、エステラーゼなどの酵素によって切断される。
【0071】
「薬学的に許容されるプロドラッグ」:本明細書で使用される用語「薬学的に許容されるプロドラッグ」は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを有するヒト及び下等動物の組織と接触して使用するのに適し、合理的な利益/危険比率に比例し、可能な場合、本発明の化合物の双性イオンの形態だけではなく、それらの意図した用途に効果的な、本発明の化合物のプロドラッグを指す。用語「プロドラッグ」は、前記化学式の親化合物を生じるためにin vivoで変形した化合物を指し、例えば、血液中の加水分解によって変形した化合物を指す。T.Higuchi and V.Stella,Prodrugs as Novel Delivery Systems,Vol.14 of the A.C.S.Symposium Series及びEdward B.Roche編,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987年で詳細な議論が提供され、両者とも参照により本明細書に取り込まれる。様々な形態のプロドラッグは当業界において公知であり、例えば、Bundgaard(編)のDesign of Prodrugs,Elsevier(1985)、Widderら(編)のMethods in Enzymology,vol.4,Academic Press(1985)、Kgrogsgaard-Larsenら(編)の「Design and Application of Prodrugs」,Textbook of Drug Design and Development,Chapter5,113-191(1991)、BundgaardらのJournal of Drug Delivery Reviews,8:1-38(1992)、BundgaardらのJ.Pharmaceutical Sciences,77:285以下(1988)、及びHiguchi and Stella(編)のProdrugs as Novel Drug Delivery Systems,American Chemical Society(1975)で論議されている。
【0072】
「保存剤」:本明細書で使用される用語「保存剤」は、当業界の技術分野で理解される意味を有し、組成物中の1つ以上の成分の好ましくない化学的変形に対抗して(例えば、活性成分の好ましくない化学的変形に対抗して)保護する薬剤を指す。本発明の組成物への使用するのに好適な保存剤は、1つ以上のアルカノール、二ナトリウムEDTA、EDTA塩、EDTA脂肪酸共役、イソチオアゾリノン、メチルパラベン及びプロピルパラベンなどのパラベン、ポリプロピレングリコール、ソルビン酸、ジアゾリンジニルウレアなどのウレア誘導体、又はその組み合わせを含むが、これに限定されない。
【0073】
「推進剤」:本明細書で使用される用語「推進剤」は、例えば、気化、エアゾール噴霧又はスプレー形態で組成物の伝達を推進する薬剤を指す。推進剤は、喘息及びその他の呼吸器疾患の治療、及び糖尿病のためのインスリンなどの全身治療のための定量吸入器にしばしば使用される。また、推進剤は、例えば、アレルギー性鼻炎を治療するための鼻腔吸入器、局所スプレー、口腔スプレー、及びその他のエアゾールの用途にも使用される。このような推進剤の例としては、限定されないが、DuPont(Wilmington、DE)製のDymel(登録商標)薬学的推進剤がある。
【0074】
「保護剤」:本明細書で使用される用語「保護剤」は、有害な又は不快な刺激から皮膚又は他の膜の露出した表面を隔離させる薬剤を指す。例示的な保護剤としては、粉塵粉末、吸着剤、機械的保護剤、及びプラスターが含まれる。機械的保護剤は、一般に、コロイド又はプラスターであり、例えば、アルミニウムヒドロキシドゲル、コロジウム、ジメチコン、ワセリンガーゼ、吸水性ゼラチンフィルム、吸水性ゼラチンスポンジ、亜鉛ゼラチン、カオリン、ラノリン、無水ラノリン、ミネラルオイル、ミネラルオイルエマルジョン、ミネラルオイルライト、オリーブ油、落花生油、ワセリン、シリコン、ヒドロコロイドなどを含む。一部の実施形態において、保護剤は、物質及び製剤だけでなく、これらが適用される方式によって柔軟性又は半剛性であり得る粘着性の連続フィルムを含む。一部の実施形態において、「保護剤」は、本明細書に記載のように、「緩和剤」であってもよい。
【0075】
「ラセミ」:本明細書で使用されるように、ラセミ混合物は、鏡像異性体の約50%を意味し、分子中の全てのキラル中心に対して、その対応する鏡像異性体の約50%を意味する。本発明の化合物は、鏡像異性的に純粋で、鏡像異性的に豊富なラセミ混合物を含んでもよい。
【0076】
「発赤剤」:本明細書で使用される用語「発赤剤」は、充血を誘発する薬剤であり、ここで充血は、身体の一部又は臓器における血液量の増加を意味する。発赤剤によって引き起こされる発赤は、損傷部位への循環の増加による結果であり、快適さ、暖かさ、かゆみ、及び知覚過敏を伴う。
【0077】
「皮膚刺激剤」:本明細書で使用される用語「皮膚刺激剤」は、皮膚又は皮膚等価物に適用されたとき、「刺激反応遺伝子」の発現を特徴とする細胞反応を誘発する化合物をいう。既知の皮膚刺激剤の例としては、ドデシル硫酸ナトリウム(「SDS」)、カルシポトリオール及びトランス-レチノイン酸が挙げられるが、これに限定されない。また、用語「皮膚刺激剤」は、未知の又は疑わしい刺激剤を含むように意図されており、一部医薬品、化粧品及び消費材に含有されるものを含むが、これに限定されない。
【0078】
「可溶化剤」:本明細書で使用される用語「可溶化剤」は、溶質を溶解させる物質である。本発明の文脈において使用可能な可溶化剤の代表的な例としては、錯体形成可溶化剤(例えば、クエン酸、エチレンジアミン-四酢酸塩、メタリン酸ナトリウム、コハク酸、ウレア、シクロデキストリン、ポリビニルピロリドン、ジエチルアンモニウム-オルト-ベンゾエートなど)、n-アルキルアミン、n-オキシド、ミセル形成可溶化剤(例えば、TWEEN80(登録商標)を含むTWEEN(登録商標))、有機溶媒(例えば、アセトン、リン脂質及びシクロデキストリン)、ポロキサマー、ポリオキシエチレンn-アルキルエーテル及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられるが、これに限定されない。
【0079】
「ステロイド性抗炎症剤」:本明細書で使用される用語「ステロイド性抗炎症剤」は、17-炭素4-環系を含有する多数の化合物のいずれか1つを指し、ステロール、(アナボリック・ステロイドとして)種々のホルモン及びグリコシドを含む。ステロイド性抗炎症剤の代表的な例としては、アルファ-メチルデキサメタゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベクロメタゾンジプロピオネート、ベクロメタゾンジプロピオネート、ベタメタゾン及びそのエステルの残留物などのコルチコステロイド、クロロプレドニゾン、クロロプレドニゾンアセテート、クレスシノロン、クロベタゾールバレレート、クロコルトロン、コーチゾン、コルトドキソン、デソニド、デゾキシコルチコステロンアセテート、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン-ホスフェート、ジクロリゾン、ジフロラゾンジアセテート、ジフルコルトロンバレレート、ジフルオロゾンジアセテート、ジフルオロゾンジアセテート、ジフルプレドネート、フルアドレノロン、フルセトニド、フルクロロロンアセトニド、フルクロニド、フルコルチンブチルエステル、フルドロコルチゾン、フルメタゾンピバレート、フルニソリド、フルオシノニド、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルオシノロンアセトニド、フルペロロン、フルプレドニデン(フルプレドニリデン)アセテート、フルプレドニゾロン、フルランドレノロンアセトニド、フルランドレノロン、フルランドレノロン、ハルシノニド、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾンアセテート、ヒドロコルチゾンブチレート、ヒドロコルチゾンバレレート、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロピオネート、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシルトリアムシノロン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロン、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。
【0080】
「置換される」:本明細書に記載の化合物は、任意の数の置換基又は官能残基で置換されていてもよいことが分かる。一般に、「選択的に」という用語が前に付いているか否か、用語「置換されている」及び本発明の化学式に含有される置換基は、特定の構造の水素ラジカルを特定の置換基のラジカルに置き換えることを指す。任意の特定の構造において、1つ以上の位置が特定の基から選択される1つ以上の置換基で置換される場合、置換基はすべての位置で同一でも異なっていてもよい。本明細書で使用される用語「置換される」は、有機化合物の全ての許容される置換基を含むとみなされる。広範な態様において、許容される置換基は、有機化合物の非環式及び環式、分岐及び非分岐、炭素環及びヘテロ環、芳香族及び非芳香族の置換基を含む。窒素などのヘテロ原子は、ヘテロ原子の原子価を満たす、本明細書に記載されている有機化合物の任意の許容される置換基及び/又は水素置換基を有してもよい。さらに、本発明は、有機化合物の許容される置換基によって任意の方式で制限されることに意図しない。本発明によって想定される置換基及び変数の組み合わせは、例えば、G-タンパク質シグナリングカスケードの調整において、炎症性疾病及び/又は障害の治療に有用且つ安定した化合物の形成をもたらすことが好ましい。
【0081】
本発明によって提供されている化合物の脂肪族及び他の残基の置換基の一部の例としては、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アリールチオ、ヘテロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキルチオ、ヘテロアルキルチオ、ヘテロアリールチオ、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-NO、-CN、-CF、-CHCF、-CHCl、-CHOH、-CHCHOH、-CHNH、-CHSOCH、-C(O)R、-CO(R)、-CON(R、-OC(O)R、-OCO、-OCON(R、-N(R、-S(O)、-NR(CO)Rが挙げられるが、これに限定されず、ここで、それぞれのRは、独立して、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル又はヘテロアリールアルキルを含むが、これに限定されず、前記及び本明細書に記載の任意の脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリールアルキル又はヘテロアリールアルキル置換基は、置換若しくは未置換、分岐若しくは非分岐、環式又は非環式であってもよく、前記及び本明細書に記載の任意のアリール又はヘテロアリール置換基は、置換若しくは未置換であってもよい。一般に、適用可能な置換基のさらなる例は、本明細書に記載の特定の実施形態によって例示される。
【0082】
「安定した」:本明細書で使用される用語「安定した」は、好ましくは一定の期間(例えば、製造及び/又は貯蔵)の間、化合物の完全な状態を維持する状態を指す。
【0083】
「実質的にない」:本明細書で使用される用語「実質的にない」とは、物質又は化合物を説明するのに使用される際に、物質又は化合物が指定された物質の相当量又は検出可能な量が不足していることを意味する。一部の実施形態において、指定された物質は、物質又は化合物の約1%、2%、3%、4%又は5%(w/w又はv/v)以下のレベルで存在する。
【0084】
「界面活性剤」:本明細書で使用される用語「界面活性剤」は、洗剤などの界面活性物質である。本発明の組成物と使用するのに好適な界面活性剤は、サルコシシン酸塩、グルタミン酸塩、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸アンモニウム、アルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸アンモニウム、アンモニウムラウリルエーテル-n-スルフェート、ナトリウムラウリルエーテル-n-スルフェート、イセチオン酸塩、グリセリルエーテルスルホネート、スルホコハク酸塩及びその組み合わせが含まれるが、これに限定されない。より具体的には、アニオン性界面活性剤は、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸塩モノナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸アンモニウム、アルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸アンモニウム及びその組み合わせからなる群から選択される。
【0085】
「日焼け止め剤」:本明細書で使用される「日焼け止め剤」は、局所的に塗布された場合、陽光に曝される皮膚上に太陽の紫外線の一部を吸収又は反射し、日焼けから保護するのを助ける薬剤を指す。一部の実施形態において、皮膚に吸収された日焼け止め剤は、反応性酸素種の増加につながる。本発明で使用可能な日焼け止め剤の代表的な例としては、p-アミノ安息香酸及びその塩並びにその誘導体(p-ジメチルアミノ安息香酸、エチル、グリセリル及イソブチルエステル)、アントラニル酸塩(すなわち、o-アミノ-ベンゾエート、ベンジル、シクロヘキセニル、リナリル、メンチル、メチル、フェニル、フェニルエチル及びテルピニルエステル)、ベンゾフェノン(すなわち、ベンゾレゾルシノール、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、エトクリレン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、ジオキシベンゾン、3-4'-メチルベンジリデン-ボマン-2-オン、オクタベンゾン、オクトクリレン、オキシベンゼン、スルイソベンゾン及び2,2’,4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノンなどのヒドロキシ-又はメトキシ置換ベンゾフェノン、(ブチルカルボトール)(6-プロピルピペロニル)エーテル、ケイ皮酸誘導体(アルファ-フェニルシンナモニトリル、ブチルシンナモイルピルベート、ベンジル及びメチルエステル)、ジアゾール(2-アセチル-3-ブロモインダゾール、アリールベンゾチアゾール、メチルナフトオキサゾール及びフェニルベンゾオキサゾール)、ジベンジルアセトン、ジヒドロキシケイ皮酸誘導体(メチルアセト-ウンベリフェロン、メチルウンベリフェロン、ウンベリフェロン)、ジヒドロキシナフトエ酸及びその塩、炭化水素(ジフェニルブタジエン及びスチルベン)、ヒドロキノン、o-及びp-ヒドロキシビフェニルジスルホネート、クマリン誘導体(3-フェニル、7-ヒドロキシ及び7-メチル)、ナフトールスルホネート(2-ナフトール-3,6-ジスルホン酸及び2-ナフトール-6,8-ジスルホン酸のナトリウム塩)、キニーネ塩(ビスルフェート、クロライド、オレート、スルフェート及びタンネート)、キノリン誘導体(8-ヒドロキシキノリン塩及び2-フェニルキノリン)、サリチレート(アミル、ベンジル、ジプロピレングリコール、グリセリル、メンチル、オクチル及びフェニルエステル)、タンニン酸及びその誘導体(例えば、ヘキサエチルエーテル)、トリヒドロキシ-ケイ皮酸誘導体(ダフネチン、ダフニン、エスクレチン、エスクリン、メチルスクレチン及びグルコシド)、尿酸及びビオルリン酸、並びにその組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。
【0086】
「増粘剤」:本明細書で使用される用語「増粘剤」は、組成物を一貫して、より密集した又は粘性のある組成物を製造する薬剤を指す。本発明の文脈において使用可能である適切な増粘剤は、例えば、ヒドロキシエチルセルロースなどの非イオン性水溶性ポリマー(商品名Natrosol(登録商標)250又は350として市販されている)、Polyquat37などのカチオン性水溶性ポリマー(商品名Synthalen(登録商標)CNとして市販されている)、脂肪アルコール、脂肪酸、アニオンポリマー、並びにそれらのアルカリ塩及びその混合物を含む。
【0087】
「チオ」:本明細書で使用される「アルキルチオ」、「アリールチオ」、「ヘテロアルキルチオ」又は「ヘテロアリールチオ」の場合のように、単独で又はより大きな残基の一部として使用される用語「チオ」は、酸素の置き換えを指す。例えば、「アルキルチオ」は、先に定義したように、硫黄原子を介して親分子に付着しているアルキル基を指す。同様に、「アリールチオ」は、先に定義したように、硫黄分子を介して親分子に付着しているアリール基を指す。同様に、「ヘテロアルキルチオ」は、先に定義したように、硫黄分子などを介して親分子に付着しているヘテロアルキル基を指す。
【0088】
「治療する」、「治療すること」及び「治療」:本明細書で使用される用語「治療する」、「治療すること」及び「治療」は、患者が特定の疾病、障害又は疾患を罹患したり又は感染しやすい間に起こる作用を考慮して、疾病、障害又は疾患のいずれか1つ以上の症状又は特徴の発病を遅延させ、及び/又は頻度又は重症度を軽減させる。したがって、「治療する」、「治療すること」及び「治療」は、疾病、障害又は疾患に苦しむ被験者に利点を与える任意のタイプの治療を指し、被験者の疾患(例えば、1つ以上の症状)の改善を含み、疾病、障害又は疾患の進行を遅延させ、疾病、障害又は疾患の発病を予防又は遅延させることなどを含む。
【0089】
「単位剤形」:本明細書で使用される「単位剤形」という表現は、治療対象に好適に提供される製剤の物質的な個別の単位を言う。しかしながら、提供される製剤の1日の総使用量は、妥当な医学的判断の範囲内で担当医によって決定されることが理解されるであろう。任意の特定の被験者又は個体に対する特定の有効量のレベルは、治療される障害及び障害の重症度を含む様々な因子、使用される特定の活性剤の活性、使用される特定の製剤、被験者の年齢、体重、一般的な健康、性別及び食事療法、投与時間及び使用される特定の活性剤の排出速度、治療期間、薬物及び/又は使用される特定の化合物と組み合わされる又は同時に使用されるさらなる治療法、及び医学分野における周知の要因によって変わり得る。一部の実施形態において、単位剤形は、治療療法(すなわち、治療有効量の薬剤を伝達する食事療法)で使用するのに適切な治療活性薬剤の量を含有する。一部の実施形態において、このような単位剤形は、単一容量が有効であると予想されなくても、薬剤の「治療的に有効な量」を含むとみなされ得る。
【0090】
「不飽和」:本明細書で使用される用語「不飽和」は、残基が1つ以上の不飽和単位を有することを意味する。
【0091】
「ビタミン」:本明細書で使用される用語「ビタミン」は、ほとんどの動物の栄養に不可欠な微量の様々な有機物質を指し、特に代謝過程の制御において、補酵素及び補酵素の前駆体として作用する。本発明の文脈において使用可能なビタミンの非限定的な例としては、ビタミンA及びその誘導体:レチノール、レチナール、レチニルパルミテート、レチノイン酸、トレチノイン、イソ-トレチノイン(レチノイドとして総称される)、ビタミンE(トコフェロール及びその誘導体)、ビタミンC(L-アスコルビン酸、そのエステル及び他の誘導体)、ビタミンB(ナイアシンアミド及びその誘導体)、アルファヒドロキシ酸(例えば、グリコール酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸など)及びベータヒドロキシ酸(例えば、サリチル酸など)を含む。
【0092】
1.特定の例示化合物の説明
本発明によって提供される現在開示されている化合物は、前記一般的に記載されたものを含み、本明細書に開示されているこれらの化合物のそれぞれの全ての部類、下位部類及び種によってさらに例示される。
【0093】
一実施形態において、現在開示されている化合物は、下記化学式
【0094】
【化1】
【0095】
で含まれる化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ又はエステルを含み、
ここで、
Xは、-C(O)-又は共有結合であり、
Yは、ヒドロキシル、-NH、-O-C-Cアルキル又はC-Cアルキルであり、
A及びBは、NR、N(C-Cアルキル)、N(C-Cアルキレン)-R、N(C-Cアルキレン)-CN、N(C-Cアルキレンカルボキシル)から独立して選択され、前記アルキル又はアルキレン基のそれぞれは、1つ以上のR基、-O-、R-置換若しくは未置換のC-Cアルキレン、R-置換若しくは未置換のO-C-Cアルキレン、R-置換若しくは未置換のアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のヘテロアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cシクロアルキレン又はR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンで選択的に置換され、
又は、A及びBは、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のアリーレン又はR-置換若しくは未置換のヘテロアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cシクロアルキレン、又はR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンを共に形成し、
Dは、-OH又は-O(C-Cアルキル)であり、
E及びE’は、H及びC-Cアルキルから独立して選択され、
Rは、独立して、H、C-Cアルキル、OH、S(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキレンカルボキシル)、NH(C-Cアルキレングアニジン)、N(C-Cアルキレンアミジン)、N(C-Cアルキレンアミド)、CF、-CN、-COOH又はO(C-Cアルキル)であり、
Zは、置換若しくは未置換、分岐若しくは非分岐、飽和若しくは不飽和のC10-C25脂肪族であり、
ただし、A及びBが共に-CH-であり、Dがヒドロキシルであり、Xが-C(O)-であり、Eが水素である場合、Yはヒドロキシル、-OCH又は-CHになることはない。
【0096】
一実施形態において、現在開示されている化合物は、下記化学式
【0097】
【化2】
【0098】
で含まれる化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ又はエステルを含み、
ここで、
Xは、-C(O)-又は共有結合であり、
Yは、ヒドロキシル、-NH、-O-C-Cアルキル又はC-Cアルキルであり、
A及びBは、NR、N(C-Cアルキル)、N(C-Cアルキレン)-R、N(C-Cアルキレン)-CN、N(C-Cアルキレンカルボキシル)から独立して選択され、前記アルキル又はアルキレン基のそれぞれは、1つ以上のR基、-O-、R-置換若しくは未置換のC-Cアルキレン、R-置換若しくは未置換のO-C-Cアルキレン、R-置換若しくは未置換のアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のヘテロアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cシクロアルキレン又はR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンで選択的に置換され、
又は、A及びBは、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のアリーレン又はR-置換若しくは未置換のヘテロアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cシクロアルキレン、又はR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンを共に形成し、
Dは、-OH又は-O(C-Cアルキル)であり、
E及びE’は、H及びC-Cアルキルから独立して選択され、
Rは、独立して、H、C-Cアルキル、OH、S(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキレンカルボキシル)、NH(C-Cアルキレングアニジン)、N(C-Cアルキレンアミジン)、N(C-Cアルキレンアミド)、CF、-CN、-COOH又はO(C-Cアルキル)であり、
ただし、A及びBが共に-CH-であり、Dがヒドロキシルであり、Xが-C(O)-であり、Eが水素である場合、Yはヒドロキシル、-OCH又は-CHになることはない。
【0099】
一実施形態において、現在開示されている化合物は、下記化学式
【0100】
【化3】
【0101】
で含まれる化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ又はエステルを含み、
ここで、
Yは、ヒドロキシル、-NH、-O-C-Cアルキル又はC-Cアルキルであり、
A及びBは、NR、N(C-Cアルキル)、N(C-Cアルキレン)-R、N(C-Cアルキレン)-CN、N(C-Cアルキレンカルボキシル)から独立して選択され、前記アルキル又はアルキレン基のそれぞれは、1つ以上のR基、-O-、R-置換若しくは未置換のC-Cアルキレン、R-置換若しくは未置換のO-C-Cアルキレン、R-置換若しくは未置換のアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のヘテロアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cシクロアルキレン又はR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンで選択的に置換され、
又は、A及びBは、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のアリーレン又はR-置換若しくは未置換のヘテロアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cシクロアルキレン又はR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンを形成し、
Rは、独立して、H、C-Cアルキル、OH、S(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキレンカルボキシル)、NH(C-Cアルキレングアニジン)、N(C-Cアルキレンアミジン)、N(C-Cアルキレンアミド)、CF、-CN、-COOH又はO(C-Cアルキル)であり、
Zは、置換若しくは未置換、分岐若しくは非分岐、飽和若しくは不飽和のC10-C25脂肪族であり、
ただし、A及びBが共に-CHである場合、Yはヒドロキシル、-OCH又は-CHになることはない。
【0102】
一実施形態において、Zは、ファルネシル基又はフィチル基から選択される。一実施形態において、Zはファルネシル基である。一実施形態において、Zはフィチル基である。
【0103】
一実施形態において、現在開示されている化合物は、下記化学式
【0104】
【化4】
【0105】
で含まれる化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ又はエステルを含み、
ここで、
Yは、ヒドロキシル、-NH、-O-C-Cアルキル又はC-Cアルキルであり、
A及びBは、NR、N(C-Cアルキル)、N(C-Cアルキレン)-R、N(C-Cアルキレン)-CN、N(C-Cアルキレンカルボキシル)から独立して選択され、前記アルキル又はアルキレン基のそれぞれは、1つ以上のR基、-O-、R-置換若しくは未置換のC-Cアルキレン、R-置換若しくは未置換のO-C-Cアルキレン、R-置換若しくは未置換のアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のヘテロアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cシクロアルキレン又はR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンで選択的に置換され、
又は、A及びBは、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のアリーレン又はR-置換若しくは未置換のヘテロアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cシクロアルキレン又はR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンを形成し、
Rは、独立して、H、C-Cアルキル、OH、S(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキレンカルボキシル)、NH(C-Cアルキレングアニジン)、N(C-Cアルキレンアミジン)、N(C-Cアルキレンアミド)、CF、-CN、-COOH又はO(C-Cアルキル)であり、
ただし、A及びBが共に-CH-である場合、Yはヒドロキシル、-OCH又は-CHになることはない。
【0106】
一実施形態において、現在開示されている化合物は、下記化学式
【0107】
【化5】
【0108】
で含まれる化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ又はエステルを含み、
ここで、
Yは、ヒドロキシル、-NH、-O-C-Cアルキル又はC-Cアルキルであり、
A及びBは、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のアリーレン又はR-置換若しくは未置換のヘテロアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cシクロアルキレン又はR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンを形成し、
Dは、-OH又は-O(C-Cアルキル)であり、
E及びE’は、H及びC-Cアルキルから独立して選択され、
Rは、独立して、H、C-Cアルキル、OH、S(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキレンカルボキシル)、NH(C-Cアルキレングアニジン)、N(C-Cアルキレンアミジン)、N(C-Cアルキレンアミド)、CF、-CN、-COOH又はOC-Cアルキル)である。
【0109】
一実施形態において、現在開示されている化合物は、下記化学式
【0110】
【化6】
【0111】
で含まれる化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ又はエステルを含み、
ここで、
Yは、ヒドロキシル、-NH、-O-C-Cアルキル又はC-Cアルキルであり、
Aは、R、C-C5アルキル、(C-Cアルキレン)-R、(C-Cアルキレン)-CN、(C-Cアルキレン)-カルボキシルから選択され、前記アルキル又はアルキレン基のそれぞれは、1つ以上のR基で選択的に置換され、
Bは、未置換のC-Cアルキレンであり、
又は、A、B、並びにA及びBに結合した窒素原子は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンを形成し、
Rは、独立して、H、C-Cアルキル、OH、S(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキレンカルボキシル)、NH(C-Cアルキレングアニジン)、N(C-Cアルキレンアミジン)、N(C-Cアルキレンアミド)、CF、-CN、-COOH又はO(C-Cアルキル)である。
【0112】
一実施形態において、現在開示されている化合物は、下記化学式
【0113】
【化7】
【0114】
で含まれる化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ又はエステルを含み、
ここで、
Yは、ヒドロキシル、-NH、-O-C-Cアルキル又はC-Cアルキルであり、
Aは、未置換のC-Cアルキレンであり、
Bは、R、C-Cアルキル、(C-Cアルキレン)-R、(C-Cアルキレン)-CN、(C-Cアルキレン)-カルボキシル基から選択され、前記アルキル基又はアルキレン基のそれぞれは、1つ以上のR基で選択的に置換され、
又は、A、B、並びにA及びBに結合した窒素原子は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンを形成し、
Rは、独立して、H、C-Cアルキル、OH、S(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキレンカルボキシル)、NH(C-Cアルキレングアニジン)、N(C-Cアルキレンアミジン)、N(C-Cアルキレンアミド)、CF、-CN、-COOH又はO(C-Cアルキル)である。
【0115】
一実施形態において、現在開示されている化合物は、下記化学式
【0116】
【化8】
【0117】
で含まれる化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ又はエステルを含み、
ここで、
Yは、ヒドロキシル、-NH、-O-C-Cアルキル又はC-Cアルキルであり、
Aは、NH、N(C-Cアルキル)、N(C-Cアルキレンカルボキシル)又はR-置換若しくは未置換のC-Cアルキレンであり、
Bは、NH、N(C-Cアルキル)、N(C-Cアルキレンカルボキシル)又はR-置換若しくは未置換のC-Cアルキレンであり、
又は、A及びBは、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のアリーレン又はR-置換若しくは未置換のヘテロアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cシクロアルキレン又はR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンを共に形成し、
Rは、独立して、C-Cアルキル、OH、S(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキレンカルボキシル)、NH(C-Cアルキレングアニジン)、N(C-Cアルキレンアミジン)、N(C-Cアルキレンアミド)、CF、-CN、-COOH又はO(C-Cアルキル)であり、
Zは、置換若しくは未置換、分岐若しくは非分岐、飽和若しくは不飽和のC10-C25脂肪族であり、
ただし、A及びBが共に-CH-である場合、Yはヒドロキシル、-OCH又は-CHになることはない。
【0118】
一実施形態において、Zはファルネシル基又はフィチル基から選択される。一実施形態において、Zはファルネシル基である。一実施形態において、Zはフィチル基である。
【0119】
一実施形態において、現在開示されている化合物は、下記化学式
【0120】
【化9】
【0121】
で含まれる化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ又はエステルを含み、
ここで、
Yは、ヒドロキシル、-NH、-O-C-Cアルキル又はC-Cアルキルであり、
Aは、NH、N(C-Cアルキル)、N(C-Cアルキレンカルボキシル)又はR-置換若しくは未置換のC-Cアルキレンであり、
Bは、NH、N(C-Cアルキル)、N(C-Cアルキレンカルボキシル)又はR-置換若しくは未置換のC-Cアルキレンであり、
又は、A及びBは、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のアリーレン又はR-置換若しくは未置換のヘテロアリーレン、又は窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cシクロアルキレン又はR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンを共に形成し、
Rは、独立して、C-Cアルキル、OH、S(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキレンカルボキシル)、NH(C-Cアルキレングアニジン)、N(C-Cアルキレンアミジン)、N(C-Cアルキレンアミド)又はO(C-Cアルキル)であり、
ただし、A及びBが共に-CH-である場合、Yは、ヒドロキシル、-OCH又は-CHになることはない。
【0122】
一実施形態において、現在開示されている化合物は、下記化学式
【0123】
【化10】
【0124】
で含まれる化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ又はエステルを含み、
ここで、
Yは、ヒドロキシル、-NH、-O-C-Cアルキル又はC-Cアルキルであり、
Aは、水素、未置換のC-Cアルキル又はCHCOOHであり、
Bは、未置換のC-Cアルキレンであり、
又は、A、B、並びにA及びBに結合した窒素原子は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンを形成し、
Rは、H、C-Cアルキル、OH、S(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキレンカルボキシル)、NH(C-Cアルキレングアニジン)、N(C-Cアルキレンアミジン)、N(C-Cアルキレンアミド)又はO(C-Cアルキル)である。
【0125】
一実施形態において、現在開示されている化合物は、下記化学式
【0126】
【化11】
【0127】
で含まれる化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ又はエステルを含み、
ここで、
Yは、ヒドロキシル、-NH、-O-C-Cアルキル又はC-Cアルキルであり、
Aは、未置換のC-Cアルキレンであり、
Bは、水素、未置換のC-Cアルキル又はCHCOOHであり、
又は、A、B、並びにA及びBに結合した窒素原子は、窒素、酸素又は硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有するR-置換若しくは未置換のC-Cヘテロシクロアルキレンを形成し、
Rは、C-Cアルキル、OH、S(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキル)、NH(C-Cアルキレンカルボキシル)、NH(C-Cアルキレングアニジン)、N(C-Cアルキレンアミジン)、N(C-Cアルキレンアミド)又はO(C-Cアルキル)である。
【0128】
一実施形態において、現在開示されている化合物は、下記表1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ又はエステルを含む。
【0129】
表1.例示化合物
特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、下記で開示されている例示化合物の任意の1つ又は任意の組み合わせ、及びその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ又はエステルを含む。
【0130】
【化12-1】
【0131】
【化12-2】
【0132】
【化12-3】
【0133】
【化12-4】
【0134】
【化12-5】
【0135】
【化12-6】
【0136】
【化12-7】
【0137】
一実施形態において、現在開示されている化合物は、化合物C又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ又はエステルである。一実施形態において、現在開示されている化合物は、化合物E又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ又はエステルである。一実施形態において、現在開示されている化合物は、化合物G又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ又はエステルである。
【0138】
一実施形態において、化合物E又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ又はエステルは、本発明の現在開示されている化合物として除外される。一実施形態において、化合物G又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、プロドラッグ又はエステルは、本発明の現在開示されている化合物として除外される。
【0139】
特に言及しない限り、現在開示されている化合物の全ての互変異性体の形態は、本発明の範囲内にある。また、特に言及しない限り、本明細書に示す構造は、1つ以上の同位元素的に濃縮された原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことを意味する。例えば、重水素又は三重水素による水素の置き換え、又は13C-又は14C-濃縮炭素による炭素の置き換えを含む本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内にある。このような化合物は、例えば、分析用具、生物学的分析におけるプローブ、又は本発明による治療剤として有用である。異性体形態の混合物は、当業者に公知の技術により分離及び/又は精製されてもよく、カラムクロマトグラフィーを含むが、これに限定されない。
【0140】
本明細書に開示されている化合物は、様々な有用な形態、例えば、薬学的に許容される塩、特定の結晶形態などの任意のもので、本発明によって提供されてもよい。一部の実施形態において、本発明の1つ以上の化合物のプロドラッグが提供される。
【0141】
特定の実施形態において、提供される化合物は、G-タンパク質シグナリングカスケードを制御する。特定の実施形態において、提供される化合物は、G-タンパク質及びそれらが相互作用するタンパク質の調節対象などのポリイソプレニル化シグナリングタンパク質又は他の細胞内のシグナリングタンパク質中の相互作用を変化させる。特定の実施形態において、提供される化合物は、炎症性反応を調整する。特定の実施形態において、提供される化合物は、炎症を抑制することから、抗炎症性である。
【0142】
一部の実施形態において、提供される化合物は、G-タンパク質媒介経路(例えば、プリン性受容体)によって誘導されるサイトカインなどの炎症性メディエータのレベルを調整する。一部の実施形態において、提供される化合物は、炎症誘発性サイトカインなどの炎症誘発性メディエータのレベルを抑制する。さらなる実施形態において、提供される化合物は、G-タンパク質媒介経路によって誘導される炎症誘発性サイトカインなどの炎症誘発性メディエータのレベルを抑制する。
【0143】
一部の実施形態において、提供される化合物は、他の信号伝達経路(例えば、Toll様受容体(「TLR」)及びTNFα受容体を含む経路)によって誘導されるサイトカインなどの炎症性メディエータのレベルを制御する。一部の実施形態において、提供される化合物は、他の信号伝達経路(例えば、Toll様受容体(「TLR」)及びTNFα受容体を含む経路)によって誘導される炎症誘発性サイトカインなどの炎症誘発性メディエータのレベルを抑制する。
【0144】
一部の実施形態において、提供される化合物は、TPAなどの化学物質によって誘導される炎症誘発性サイトカインなどの炎症誘発性メディエータのレベルを抑制する。
【0145】
一部の実施形態において、提供される化合物は、オボアルブミン誘導されたフレーキテイル(flaky tail)アトピー性皮膚炎マウスモデルを用いて、特徴付けられるサイトカインなどの炎症性メディエータのレベルを制御する。
【0146】
一部の実施形態において、現在開示されている化合物は、T-ヘルパーリンパ球の浸潤及び蓄積を制御する。一部の実施形態において、現在開示されている化合物は、T-ヘルパーリンパ球をCD3+マーカーで調整する。一部の実施形態において、現在開示されている化合物は、Stat3c乾癬マウスモデルを用いて特徴付けられたT-ヘルパーリンパ球の浸潤及び蓄積を調整する。一部の実施形態において、現在開示されている化合物は、T-ヘルパーリンパ球の浸潤及び蓄積を抑制する。一部の実施形態において、現在開示されている化合物は、CD3+マーカーを有するT-ヘルパーリンパ球の浸潤及び蓄積を抑制する。一部の実施形態において、現在開示されている化合物は、Stat3c乾癬マウスモデルを用いて特徴付けられたT-ヘルパーリンパ球の浸潤及び蓄積を抑制する。
【0147】
一部の実施形態において、現在開示されている化合物は、G-タンパク質シグナリング経路において多数の主要な要因のカルボキシ末端ポリイソプレノイドシステイン変形をもたらすS-アデノシルメチオニン依存性イソプレニル-S-イソプレニルメチルトランスフェラーゼ(「ICMT」)に係る特定のメンブレインによるメチルエステル化反応を抑制する。
【0148】
一部の実施形態において、現在開示されている化合物は、好中球からの酸化バーストを抑制することから、抗酸化剤である。
【0149】
特定の実施形態において、提供される化合物の活性は、様々な細胞基盤又は動物基盤のモデルを含む、様々なin vitro又はin vivo分析を用いて特徴付けられる。例えば、浮腫、紅斑及び/又はミエロペルオキシダーゼの抑制、炎症性サイトカイン、Stat3c乾癬マウスモデル、メチルエステル化反応の抑制、及び酸化バーストの抑制に関する例示的な分析からのデータは、各々、以下に説明される。
【0150】
浮腫、紅斑及び/又はミエロペルオキシダーゼ(MPO)の抑制
炎症性反応を調整するために提供される化合物の能力は、例えば、米国公開出願第2016/0361283号の実施例79に記載されているように、浮腫、紅斑及び/又はミエロペルオキシダーゼ(「MPO」)の抑制を評価する分析を用いて評価でき、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
【0151】
特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、約0.2mg/20μLの容量又は約0.8mg/20μLの容量で提供される場合、浮腫分析において、抑制率が少なくとも約30%、約35%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90又は約95%を示すとき、炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、浮腫分析において、ED50がAFCで観察されたものよりも少なくとも約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、又は約4.5倍以下をもたらすときに炎症の抑制剤とみなされる。
【0152】
特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、約0.2mg/20μLの容量又は約0.8mg/20μLの容量で提供される場合、紅斑分析において、抑制率が少なくとも約25%、約30%、約35%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90又は約95%を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、浮腫分析において、ED50がAFCで観察されたものよりも少なくとも約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、又は約4.5倍以下をもたらすときに炎症の抑制剤とみなされる。
【0153】
特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、約0.2mg/20μLの容量又は約0.8mg/20μLの容量で提供される場合、MPO活性分析において、抑制率が少なくとも約25%、約30%、約35%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90又は約95%を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、MPO活性分析において、ED50がAFCで観察されてものよりも少なくとも約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、又は約4.5倍以下をもたらすときに炎症の抑制剤とみなされる。
【0154】
炎症性サイトカイン
(i)TPA-誘導のマウス耳炎症性モデル
特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、0.25%の投与量で提供される場合、TPA-誘導のマウス耳炎症性モデルにおいて、サイトカイン放出の抑制率が少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95%を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、0.25%の投与量で提供される場合、TPA-誘導のマウス耳炎症性モデルにおいて、ED50が少なくとも約0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35又は0.40μgのサイトカイン/マウス耳を引き起こすときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、0.50%の投与量で提供される場合、TPA-誘導のマウス耳炎症性モデルにおいて、サイトカイン放出の抑制率が少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95%を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、0.50%の投与量で提供される場合、TPA-誘導のマウス耳炎症性モデルにおいて、ED50が少なくとも約0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35又は0.40μgのサイトカイン/マウス耳を引き起こすときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、1.00%の投与量で提供される場合、TPA-誘導のマウス耳炎症性モデルにおいて、サイトカイン放出の抑制率が少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95%を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば1.00%の投与量で提供される場合、TPA-誘導のマウス耳炎症性モデルにおいて、ED50が少なくとも約0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35又は0.40μgのサイトカイン/マウス耳を引き起こすときに炎症の抑制剤とみなされる。
【0155】
(ii)LPS-TLR4-誘導のサイトカイン放出炎症性モデル
特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、0.25%の投与量で提供される場合、HMEC-1細胞を用いて決定されるように、LPS-TLR4-誘導のサイトカイン放出モデルにおいて、サイトカイン放出の抑制率が少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95%を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、0.25%の投与量で提供される場合、HMEC-1細胞を用いて決定されるように、LPS-TLR4-誘導のサイトカイン放出モデルにおいて、ED50が少なくとも約0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35又は0.40μgのサイトカイン/マウス耳を引き起こすときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、0.50%の投与量で提供される場合、HMEC-1細胞を用いて決定されるように、LPS-TLR4-誘導のサイトカイン放出モデルにおいて、サイトカインの放出抑制率が少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95%を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、0.50%の投与量で提供される場合、HMEC-1細胞を用いて決定されるように、LPS-TLR4-誘導のサイトカイン放出モデルにおいて、ED50が少なくとも約0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35又は0.40μgのサイトカイン/マウス耳を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、1.00%の投与量で提供される場合、HMEC-1細胞を用いて決定されるように、LPS-TLR4-誘導のサイトカイン放出モデルにおいて、サイトカイン放出の抑制率が少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95%を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、1.00%の投与量で提供される場合、HMEC-1細胞を用いて決定されるように、LPS-TLR4-誘導のサイトカイン放出モデルにおいて、ED50が少なくとも約0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35又は0.40μgのサイトカイン/マウス耳を引き起こすときに炎症の抑制剤とみなされる。
【0156】
(iii)TPA-誘導のサイトカイン放出炎症性モデル
特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、0.25%の投与量で提供される場合、NHEK細胞を用いて決定されるように、TPA-誘導のサイトカイン放出モデルにおいて、サイトカイン放出の抑制率が少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95%を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、0.25%の投与量で提供される場合、NHEK細胞を用いて決定されるように、TPA-誘導のサイトカイン放出モデルにおいて、ED50が少なくとも約0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35又は0.40μgのサイトカイン/マウス耳を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、0.50%の投与量で提供される場合、NHEK細胞を用いて決定されるように、TPA-誘導のサイトカイン放出モデルにおいて、サイトカイン放出の抑制率が少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95%を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、0.50%の投与量で提供される場合、NHEK細胞を用いて決定されるように、TPA-誘導のサイトカイン放出モデルにおいて、ED50が少なくとも約0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35又は0.40μgのサイトカイン/マウス耳を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば1.00%の投与量で提供される場合、NHEK細胞を用いて決定されるように、TPA-誘導のサイトカイン放出モデルにおいて、サイトカイン放出の抑制率が少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95%を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、1.00%の投与量で提供される場合、NHEK細胞を用いて決定されるように、TPA-誘導のサイトカイン放出モデルにおいて、ED50が少なくとも約0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35又は0.40μgのサイトカイン/マウス耳を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。
【0157】
(iv)オボアルブミン-誘導のアトピー性皮膚炎マウスモデル
特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、0.25%の投与量で提供される場合、オボアルブミン-誘導のアトピー性皮膚炎マウスモデルにおいて、サイトカイン放出の抑制率が約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95%を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、0.25%の投与量で提供される場合、オボアルブミン-誘導のアトピー性皮膚炎マウスモデルにおいて、ED50が少なくとも約0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35又は0.40μgのサイトカイン/マウス耳を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。
【0158】
特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、0.50%の投与量で提供される場合、オボアルブミン-誘導のアトピー性皮膚炎マウスモデルにおいて、サイトカイン放出の抑制率が少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95%を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、0.50%の投与量で提供される場合、オボアルブミン-誘導のアトピー性皮膚炎マウスモデルにおいて、ED50が少なくとも約0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35又は0.40μgのサイトカイン/マウス耳を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば1.00%の投与量で提供される場合、オボアルブミン-誘導のアトピー性皮膚炎マウスモデルにおいて、サイトカイン放出の抑制率が少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は95%を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば1.00%の投与量で提供される場合、オボアルブミン-誘導のアトピー性皮膚炎マウスモデルにおいて、ED50が少なくとも約0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35又は0.40μgのサイトカイン/マウス耳を示すときに炎症の抑制剤とみなされる。
【0159】
メチルエステル化反応の抑制
例えば、ICMTによってメチルエステル化反応を抑制するための現在開示されている化合物の能力は、例えば、米国公開出願第2016/0361283号の実施例87に記載のように、ICMT基質であるメチル化アセチルファルネシルシステインの減少を測定する分析を用いて評価される。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、25μMの濃度で提供される場合、ICMT基質としてメチル化アセチルファルネシルシステインの減少率が少なくとも約30、35、40、50、60、70、75、80、85、90、95又は100%を示すときにICMTの抑制剤とみなされる。
【0160】
酸化バーストの抑制
例えば、好中球からの酸化バーストを抑制するための現在開示されている化合物の能力は、例えば、米国公開出願第2016/0361283号の実施例88に記載のように、スーパーオキシド形成の減少を測定する分析を用いて評価される。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、例えば、25μMの濃度で提供される場合、スーパーオキシド形成の減少率が少なくとも30、35、40、50、60、70、75、80、85、90、95又は100%を示すときに好中球からの酸化バーストの抑制剤とみなされる。
【0161】
2.合成方法
本発明は、本明細書で提供される化合物の調製方法を提供する。当業者に理解されるように、本明細書に記載の合成方法は、本発明の範囲から逸脱することなく変形することができる。例えば、異なる開始物質及び/又は異なる試薬が本発明の合成方法に使用され得る。
【0162】
一般に、現在提供されている化合物(例えば、化合物B、D、F、H及びI)は、有機塩基(例えば、トリメチルアミン又はヒューニッヒ塩基[N,N-ジイソプロピルエチルアミン])の存在において対応する活性化酸(例えば、HATU[1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート]又はDCC[N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド]を有する)の溶液に添加され、最終化合物にアミド結合を形成するために、好適に脂質化したシステイン(好ましくは、フィチル又はファルネシル残基)から開始して製造できる。分離後、これらの最終化合物は、水酸化ナトリウム又はナトリウムエトキシドを有するアルコール性溶液からそれらのナトリウム塩を衝突させることによってさらに精製することができる。これらの最終化合物に対するろ過及び真空乾燥後の総収率は、特定の実施形態において、30~84%の範囲であり得る。
【0163】
しかしながら、前記方法は、本発明の一部化合物、特に化合物C、E、G及びIに対して満足な収率を生成しない。適切に脂質化したシステイン(好ましくは、フィチル又はファルネシル残基を有する)は、対応する第2級アミンの導入後、多数の条件下でCDI、トリホスゲン又はホスゲンで処理する際に、最終化合物の任意の合成的に有用な収率を生成しない。驚くべきことに、適切に脂質化したシステインメチルエステル(好ましくは、フィチル又はファルネシル残基を有する)を有機溶媒(好ましくは、DMF、THF又は同様の極性溶媒)中でCDIにて処理した後、対応する第2級アミン及び塩基(好ましくは、トリメチルアミン又はヒューニッヒ塩基[N,N-ジイソプロピルエチルアミン]又はNaCOなどの無機塩基)を導入し、50℃で緩やかに加熱して、優れた収率で良好に表題化合物のウレア残基が形成される。分離後、これらの化合物を水酸化ナトリウム又はナトリウムエトキシドを有するアルコール性溶液からそれらのナトリウム塩を衝突させることによってさらに精製される。このような代替方法で調製されたこれらの化合物について、ろ過及び真空乾燥後の総収率は、30~84%の範囲であり得る。
【0164】
3.構成及び製剤
本発明は、本明細書に記載の化合物を含む組成物を提供する。一部の実施形態において、提供される組成物は、追加成分を含有する。一部の実施形態において、このような全ての追加成分は薬学的に許容され、提供される組成物はヒト又は他の動物への投与に適した薬学組成物である。一部の実施形態において、このような全ての追加成分は化粧用に許容され、提供される組成物は、化粧用組成物である。一部の実施形態において、このような全ての追加成分はコスメシューティカル的に許容され、提供される組成物はコスメシューティカル組成物である。
【0165】
一般に、本発明の1つ以上の化合物は、希釈剤、バインダーなどの賦形剤、並びに安定剤、保存剤、可溶化剤及び緩衝剤などの添加剤を含む、1つ以上の薬学的に許容される担体と共に本発明の少なくとも1つの提供される化合物を含む薬学的組成物で製剤化され得る。製剤賦形剤には、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ヒドロキシセルロース、アカシア、ポリエチレングリコール、マンニトン、塩化ナトリウム及びクエン酸ナトリウムを含み得る。一部の実施形態において、本発明の組成物は薬学的に許容される担体を含有する。一部の実施形態において、本発明の組成物は化粧用に許容される担体を含む。一部の実施形態において、本発明の組成物はコスメシューティカル的に許容される担体を含む。
【0166】
本発明に係る特定の組成物の担体は、液体を含んでもよく、特に緩衝された等張性水溶液を含んでもよい。
【0167】
薬学的に許容される担体を含む担体には、希釈剤、バインダー(例えば、結合剤)などのような賦形剤、及び安定剤、保存剤、可溶化剤及び/又は以下に記載の緩衝液を含み得る。薬学的担体は、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン又はプレゼラチン化トウモロコシテンプンなど)、充填剤(例えば、カルシウムハイドロゲンホスフェートカルシウムスルフェート、エチルセルロース、ゼラチン、ラクトース及びその他の糖、微晶質セルロース、ペクチン、ポリアクリルレートなど)、崩壊剤(例えば、グリコレート、ナトリウムテンプン、テンプンなど)、潤滑剤(例えば、コロイド性二酸化ケイ素、トウモロコシテンプン、水素化植物油、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、金属ステアレート、シリカ、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ステアリン酸、タルクなど)、又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど)が含まれるが、これに限定されない。さらに、薬学的に許容される担体は、例えば黄色ワセリン(ワセリン(登録商標))及び石油を含む。
【0168】
本発明の組成物のためのさらに適切な担体としては、アルコール、アミロース、動物油、抗刺激剤、キレート剤、着色剤、脱臭剤、乳化剤、香料、ゼラチン、ヘアコンディショニング剤、ヒドロキシメチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム保湿剤(例えば湿潤剤)、微晶質、ミネラルオイル、天然ポリマー(例えば、コラーゲン、アラビアゴム、ポリオル及びキサンタンなど)、有機、オゾセライトワックス及び無機ワックス、パラフィン、浸透促進剤、pH調整剤、保存剤、推進剤、塩溶液、ケイ酸、界面活性剤、可溶化剤、増粘剤、粘性パラフィン及び水、並びにその組み合わせが含まれるが、これに限定されない。一部の実施形態において、現在開示されている化合物は、許容される担体及び/又は賦形剤として働く。特定の実施形態において、AFCは、許容される担体及び/又は賦形剤として働き、現在開示されている化合物を含有する組成物に含まれ得る。一部の実施形態において、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第8版,Wenninger及びCanterbery編(The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association,Inc.,Washington,DC,2000)に記載の通り、化粧品組成物において担体を使用することが好ましく、参照により本明細書に取り込まれる。また、先に記載の担体も含まれる。
【0169】
一部の実施形態において、組成物の薬学的に許容される担体は、徐放型又は遅延放出型担体を含む。このような担体は、現在開示されている化合物の徐放型又は遅延放出可能な任意の物質であり得、現在開示されている化合物の減少した頻度及び/又は投与量の減少、取り扱いの容易さ、及び治療、予防又は促進される疾病、障害、疾患、症状などの延長又は遅延効果をもたらす、より効果的な投与を提供することができる。このような担体の非限定的な例としては、天然及び合成ポリマーなどのリポソーム、マイクロスポンジ、マイクロスフェア又はマイクロカプセルなどが挙げられる。皮膚層内で本発明の組成物の化合物の局所的伝達を向上し得るリポソームは、コレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリンのような種々のリン脂質から形成される。
【0170】
注射又はその他液体投与製剤について、少なくとも1つ以上の緩衝成分を含有する水が一般的に利用され、また安定剤、保存剤及び可溶化剤が使用され得る。一部の実施形態において、提供される薬学的組成物は等張液であるか、等張液を含む。
【0171】
固形投与製剤について、テンプン、糖、脂肪酸などの様々な増粘剤、充填剤、増量及び担体添加剤のうち、任意のものが使用され得る。本発明の局所組成物は、皮膚又は粘膜に局所的に適用することができ、溶液、オイル、クリーム、軟膏、ゲル、ローション、シャンプー、ミルク、クレンザー、保湿剤、スプレー、皮膚パッチなどを含む任意の形態であってもよい。
【0172】
大半の薬学的製剤について、不活性成分は調製の重量又は体積によって、より多くの部分を構成することができる。薬学的製剤について、様々な測定放出、遅延放出又は持続放出の製剤及び添加剤のうち、任意のものが使用されることから、一定の期間の間提供された化合物の伝達に影響を与えるように投与量が製剤化され得る。例えば、ゼラチン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及び/又は他のセルロース賦形剤が、特に皮下及び筋肉内注射による投与についての持続-放出又は遅延-放出製剤を提供するために含まれ得る。
【0173】
特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、通常の薬学的調剤技術によって薬学的担体との混合物で活性成分として組み合わせることができる。本発明のための薬学的組成物は、例えば、経口、非経口(静脈内を含む)、尿道、膣、鼻腔、局所(例えば、皮膚、経皮)、肺、深肺、吸入、頬側、舌下経路などを含む様々な経路の任意のものに伝達するために製剤化される。
【0174】
局所(すなわち、局部)などの皮膚投与のために、現在開示されている化合物を含有する組成物の調製において、このような組成物は、薬学的担体(例えば、無菌及び非滅菌水溶液、アルコールなどの通常的な溶媒の非水溶液、又は液体若しくは固体油ベースの現在開示されている化合物の溶液)を含み得る。また、このような薬学的担体溶液は、緩衝剤、希釈剤及び他の適切な添加剤を含有し得る。
【0175】
経口使用に適した代表的な組成物としては、例えば口内洗浄剤、リンス、口腔スプレー、懸濁液、歯科用ジェルなどが含まれる。当業界に公知の典型的な口腔担体は、本発明で使用できる。特定の実施形態において、薬学的及び/又は化粧品用担体は、水、エタノール、又は水-エタノール混合物を含む。水-エタノール混合物は、例えば、各々約1:1~約20:1、好ましくは約3:1~約20:1、最も好ましくは約3:1~約10:1の重量比で使用され得る。経口ビヒクルのpH値は、一般に、約4~約7、好ましくは約5~約6.5である。約4以下のpH値を有する経口局所ビヒクルは、一般に、口腔を刺激し、約7を超えるpH値を有する経口ビヒクルは、一般に、不快な口腔感覚を引き起こす。
【0176】
また、経口局所組成物は、これらの製品に一般に使用される通常の添加剤を含有してもよい。本明細書に記載の通常の添加剤としては、着色剤、乳化剤、フッ素を提供する化合物、湿潤剤、甘味剤及びpH調整剤を含み、このような添加剤は、本発明の組成物の治療学的、化粧用的又はコスメシューティカル的に有益な性質を妨げない。本発明の組成物に使用され得る更なる成分は、本明細書に記載のように、フッ素を提供する化合物、更なる活性成分、新たな賦形剤、保護剤及び緩和剤を含む。
【0177】
フッ素を提供する化合物は、完全に又はわずかに水溶性であってもよく、水中にフッ素イオン又はフッ素含有イオンを放出することができる能力、及び組成物で他の成分との反応性が不充分な特性を有する。典型的なフッ素を提供する化合物は、アルカリ金属フッ化物、水溶性アルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属塩、例えば、アルミニウムモノ及びジフルオロホスフェート、フッ化アンモニウム、ケイフッ化アンモニウム、フッ化バリウム、フッ化銅、フルオロ化ナトリウムカルシウムピロホスフェート、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、ケイフッ化ナトリウム、ナトリウムフルオロジルコネート、ナトリウムモノフルオロホスフェート、フルオロ化第2スズ、フルオロ化第1スズ及びフルオロ化亜鉛などの無機フルオリド、ナトリウム及びフルオロ化第1スズなどのモノフルオロホスフェート、ナトリウムモノフルオロホスフェート、フッ化スズ及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0178】
本明細書で提供される経口局所用発明組成物中に存在するフッ素を提供する化合物の量は、使用されるフッ素を提供する化合物の種類、フッ素化合物の溶解度、及び最終的な経口型発明組成物の性質に依存する。使用されるフッ素を提供する化合物の量は、無毒性でなければならない。一般に、フッ素を提供する化合物は、使用の際に、本明細書で提供される経口局所型組成物の約1重量%以下、約0.001重量%~約0.1重量%、及び約0.001重量%~約0.05重量%の量で存在し得る。
【0179】
当業界で周知の典型的な甘味剤(甘味料)は、天然及び人工の甘味剤全てが使用可能なものを含む。甘味剤は、水溶性甘味剤、水溶性人工甘味剤、自然発生した天然甘味剤から誘導された水溶性甘味剤、ジペプチド系甘味剤及びタンパク質系甘味剤、並びにその混合物を含む広範囲な材料から選択されてもよい。
【0180】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、他の薬学的、化粧品又はコスメシューティカル効果を提供するだけでなく、本明細書に提供される本発明の組成物の現在開示されている化合物によって提供されることを目的とする、1つ以上の更なる(本明細書で定義されているような「互換性」)活性成分をさらに含み得る。
【0181】
本発明に係る更なる活性成分としては、保護剤、緩和剤、収斂剤、刺激剤、角質溶解制、日焼け止め剤、日焼け剤、抗生剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗原虫剤、麻酔薬、ステロイド性抗炎症剤、非ステロイド性抗炎症剤、鎮痒剤、抗酸化剤、化学療法剤、抗ヒスタミン剤、ビタミン、ホルモン、ふけ防止剤、抗しわ剤、抗皮膚萎縮防止剤、硬化剤、洗浄剤、腐蝕剤及び低色素沈着剤中のいずれか1つ以上の任意の組み合わせを含むが、これに限定されない。
【0182】
したがって、1つ以上の更なる活性成分をさらに含む、本発明に係る組成物は、上皮関連の疾患の治療に使用することに加えて、任意の医学的、化粧用及び/又は更なる活性成分を適用することが有利なコスメシューティカル条件の治療により効率的に使用できる。
【0183】
本明細書に記載の保護剤は、散布剤、吸着剤、機械的保護剤及びプラスターの形態をとることができる。散布剤は、上皮表面、潰瘍及び傷を覆って保護するために使用される比較的不活性且つ不溶性の物質である。通常、これらの物質は、水分を吸収し、乾燥剤として作用することができる、微細に細分化した粉末である。皮膚の水分の吸収は、摩擦を減少させ、特定のバクテリアの成長も阻害する。保護性吸着剤として使用される物質の一部は、ベントナイト、ビスマスの不溶性塩、ホウ酸、炭酸カルシウム、(沈殿した)、セルロース、トウモロコシテンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、酸化チタン、酸化亜鉛、及びステアリン酸亜鉛を含む。
【0184】
一部の実施形態において、保護剤は、皮膚に投与され、物質及び製剤だけでなく、それらが適用される方式に応じて可撓性又は半剛性であってもよい接着性の連続フィルムを形成することができる。この物質は、外部環境からの閉塞を提供すること、化学的支持を提供すること、及び他の医薬品のためのビヒクルとして機能することを含む、いくつかの目的を行うことができる。
【0185】
一部の実施形態において、本発明の組成物に含まれる保護剤は緩和剤である。緩和剤は、多くの場合、その部位を容易に覆い、薬を投与することができる粘性且つ粘着性の調剤物において表面に適用される。多数の化学的物質が摩擦特性を有している。
【0186】
実際の使用において、本明細書に提供される化合物は、通常の薬学的調剤技術に従って薬学的担体との混合物で活性成分として組み合わせることができる。担体は、投与のために所望の調剤物の形態、例えば、経口、非経口(静脈内を含む)、尿道、膣、鼻腔、真皮、経皮、肺系、深肺、吸入、頬側、舌下などに応じて様々な形態をとることができる。
【0187】
経口剤形のための組成物の調製において、通常の任意の薬学的媒体は、懸濁液、エリキシル及び溶液などの経口液体調剤物の場合、例えば、水、グリコール、オイル、アルコール、香味料、保存剤、着色剤などを使用してもよく、粉末、硬質及び軟質のカプセル及び錠剤などの経口固体調剤物の場合、例えば、テンプン、糖、微晶質セルロース、希釈剤、顆粒剤、潤滑剤、バインダー、崩壊剤などの担体を使用することができる。
【0188】
一部の実施形態において、本明細書に開示されている化合物の1つ以上、担体、及び、選択的に、更なる活性成分は、本明細書にさらに記載のように、溶液、エマルジョン又はゲル懸濁液の形態の組成物から形成される。
【0189】
一部の実施形態において、現在開示されている化合物、薬学的又は化粧品用担体、及び、選択的に、1つ以上の更なる活性成分は、溶液の形態である。溶液は、水又はアルコール(例えば、エタノール又はイソプロパノール、アセトン)のような有機溶媒などの溶媒担体全体に溶質又は溶解された物質(本発明の化合物、及び、選択的に、1つ以上の活性成分など)を均一に混合することにより調製され得る。
【0190】
一部の実施形態において、前記溶液は水溶液であり、ここで提供される化合物は、生理学的に許容されるpH、一般に約pH4~約pH7であり得る食塩水、酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩又は他の緩衝剤によって適切に緩衝されてもよい。リン酸緩衝生理食塩水、生理食塩水及び酢酸緩衝剤などの緩衝剤の組み合わせも使用することができる。生理食塩水の場合、0.9%の食塩水溶液が使用されてもよい。酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩などの場合、50mMの溶液が使用されてもよい。バクテリア及び他の微生物の成長を防げる又は制限するために、緩衝剤に加えて、適切な保存斉が使用されてもよい。使用されてもよいこのような保存剤の1つに、0.05%の塩化ベンザルコニウムがある。
【0191】
一部の実施形態において、現在開示されている化合物、担体及び他の選択的な成分を含む本発明の組成物は、エマルジョンの形態で提供される。エマルジョンは、2つの非混和性液体担体を組み合わせて調製された2相系であり、そのうちの1つは他の場所全体に均一に分配され、最も大きなコロイド粒子と同等か、より大きな直径を有する小球体から構成される。小球体のサイズは、非常に重要であり、系が最大の安全性を達成するようにしなければならない。通常、乳化剤である第3の物質を含んでいないと、2相分離が起こらないことがある。したがって、本発明の文脈において基本エマルジョンは、典型的には2つ以上の成分(例えば、2つの非混和性液体担体、乳化剤、及び現在開示されている化合物)を含有する。一部の実施形態において、現在開示されている化合物自体が乳化剤であり得るか、又は現在開示されている化合物を含有する組成物が乳化剤を含み得る。典型的に、エマルジョンは、水相を非水相に組み入れる(又はその逆)。しかしながら、主として非水性、例えば非水性非混和系グリセリン及びオリーブ油のアニオン性及びカチオン性界面活性剤を製造することが可能である。例示的な乳化剤が本明細書に記載されている。
【0192】
一部の実施形態において、現在開示されている化合物を含む本発明の組成物は、ゲル懸濁液、(半固体担体)又は固体担体の形態で提供されており、ペースト、粉末、軟膏、クリーム、ローション、ハイドロゲルなどを形成する。ゲル-懸濁液として調製され得る例示的な軟膏は、上皮へ外部適用するための半固体調剤物を含む。一般に、軟膏ベースは白色石油をベースとして使用し得る炭化水素ベース(油性)、親水性石油又は無水ラノリンを使用し得る吸着性ベース(無水物)、エマルジョンベース(水及びオイルタイプ)、エマルジョンベース(オイル及び水タイプ)、並びに軟膏ベースとしてポリエチレングリコールをしばしば使用する水溶性ベースに分類される。
【0193】
本発明の追加の組成物は、Remington's Pharmaceutical Sciences、第18版又は第19版、Mack Publishing Company(Easton、PA)により公開されているように、当業界に公知の技術を用いて容易に調製することができる。
【0194】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、水性懸濁液として製剤化され、ここで、現在開示されている化合物は、賦形剤の添加剤と混合され、及び/又は水性懸濁液の製造に好適である。このような添加剤及び/又は賦形剤は、懸濁剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムアルジネート、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、及びアラビアゴムであり、分散剤又は湿潤剤は、レシチンのような天然に発生するホスファチド、又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレート、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレート、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレートであり得る。また、水性懸濁液は、1種以上の着色剤、1種以上の香味料及び1種以上の甘味剤、例えばスクロース又はサッカリンを含有し得る。
【0195】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、植物油(例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油、ココナッツ油又は液動パラフィンなどのミネラルオイル)に提供される化合物を懸濁することによって油性懸濁液として製剤化される。油性懸濁液には、増粘剤(例えば、ミツロウ、硬質パラフィン又はセチルアルコール)が含まれる。本明細書に記載のように、甘味剤、及び香味料が、味の良い経口組成物を提供するために添加されてもよい。このような組成物は、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)を添加することによって保存してもよい。
【0196】
一部の実施形態において、分散性粉末及び/又は顆粒として製剤化される本発明の組成物は、水を添加することによる水性懸濁液の組成物に好適である。このような粉末及び顆粒のうち、現在開示されている化合物は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤、及び1つ以上の保存剤との混合物で提供され得る。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、本明細書で既に述べたことによって例示する。また、更なる賦形剤、例えば、甘味剤、香味剤及び着色剤も含んでもよい。
【0197】
また、本発明の組成物は、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油相は、植物油、例えばオリーブ油又は落花生油、又はミネラルオイル、例えば流動パラフィン又はその混合物であってもよい。好適な乳化剤は、自然発生したガム、例えばアカシアガム又はトラガカントゴム、自然発生したホスファチド、例えば大豆及びレシチン、並びにエステル又は脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導された部分エステル、例えばソルビタンモノオレート、及び部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレートであってもよい。また、エマルジョンは、甘味剤及び香味剤を含有してもよい。
【0198】
経口及び局所組成物に加えて、現在開示されている化合物を含有する組成物は、例えば米国公開特許第2016/0361283号に開示されているように、非経口及び肺投与のために提供でき、参照により取り込まれ得る。
【0199】
4.投与及び剤形
本発明の現在開示されている化合物は、錠剤、カプセル、カプレット、懸濁液、粉末、凍結乾燥調剤物、坐剤、点眼剤、皮膚パッチ、経口可溶性製剤、スプレー、エアゾールなどを含むが、これに限定されず、緩衝剤、バインダー、賦形剤、安定化剤、抗酸化剤及び当業界に公知の他の調剤物と混合及び製剤化されてもよい。一般に、本発明の提供される化合物は細胞の表皮層を横切って導入され、任意の投与経路が用いられてもよい。したがって、投与手段は、粘膜を介した投与、頬側投与、経口投与、真皮投与、吸入投与、肺投与、鼻腔投与、尿道投与、膣投与などが含まれる。
【0200】
一般に、現在開示されている化合物を含む本発明の組成物の治療的に又は薬学的に有効量を含む組成物は、単位剤形で投与するために製剤化されてもよい。
【0201】
経口投与
それらを投与しやすくするために、錠剤及びカプセルは有利な経口単位剤形を表す。必要に応じて、現在開示されている化合物を含む組成物を標準水溶性又は非水溶性技術によってコーティングすることができる。このような治療上有用な組成物において、活性化合物、すなわち本発明の現在開示されている化合物の量は、効果的な投与量が得られる量である。他の有利な投与量単位の形態で、シート、ウエハー、錠剤などの舌下薬学的組成物が用いられてもよい。本発明の組成物は、経口用、例えば、トローチ、ロゼンジ、錠剤、水性又は油性懸濁剤、溶液、分散性粉末又は顆粒、エマルジョン、硬質又は軟質カプセル、シロップ又はエリキシル、ペースト、ゲルなどにおいて適切な更なる形態であってもよい。
【0202】
局所投与
皮膚への局所適用に適した本発明の製剤は、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアゾール又はオイルの形態をとることができる。使用され得る添加剤は、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮改善剤及びこれらのいずれか2つ以上の組み合わせを含む。
【0203】
一部の実施形態において、局所適用に適した製剤は、経皮伝達を達成する。経皮薬学的装置は、パッチ、閉鎖性包帯、閉鎖性製剤、皮下スプレー、イオン泳動システム、ゲル及び注入ポンプを含み、これら全ては、当業界において周知である。薬剤を含む経皮パッチは、一般に、薬剤を透過することができないバッキング層、薬剤を収容するための保存器、及びパッチの使用及び患者の皮膚へ付着するために取り外される接着性カバーを含み得る。
【0204】
また、経皮投与に適した製剤は、長期間にわたって受容者の表皮との密接な接触を維持するのに適した医療用包帯、又は個別のパッチとして示すことができる。好適な経皮パッチの代表的な例としては、例えば、NeuroDerm Ltd.(Israel)によって開発されたもの及び/又はエストラジオールを伝達するのに使用されるもの、例えばNovogyne Pharmaceuticalsによって開発されたものが挙げられる。また、経皮投与に適した製剤は、イオン泳動(皮膚に電気的に充電されたイオンを「注入」するための小電流(~15mA)の通過)によって伝達されてもよい。この場合、剤形は、典型的に活性化合物、すなわち現在開示されている化合物の選択的に緩衝された水溶液の形態をとる。
【0205】
経皮投与に適した製剤は、皮膚を介して挿入された針に連結された注入ポンプ、例えばインスリンを伝達するために使用されるMedtronicによって開発された注入ポンプを使用して伝達されてもよい。本明細書に記載のように、経皮装置に使用される化合物の量は、装置のサイズ及びその放出特性、薬学的活性剤の量、及び装置の予想作用期間を含む多くの要因により変化する。概して、現在開示されている化合物の量は、典型的に約0.1%~約10%w/vの範囲である。
【0206】
5.投与量:治療効果量
患者に投与される現在開示されている化合物の実際の量は、徴候の重症度及びタイプ、投与方法、使用される特定の化合物、使用される製剤及び所望の反応によって変わる。
【0207】
治療のための投与量は、上述の任意の手段又は当業界に公知の任意の他の手段によって所望の治療効果を誘導するのに十分な量の投与である。したがって、治療的な有効量は、所望の効果を誘導するのに十分な、現在開示されている化合物又は薬学的組成物の量であってもよく、抗炎症の効果を含むが、これに限定されない。当業者は、治療的な有効量が単一投与量又は多重投与量によって投与されてもよく、本明細書に提供される組成物は、治療的な有効量の単位容量を含み得ることを理解するであろう。
【0208】
一般に、現在開示されている化合物は、活性が高い。例えば、現在開示されている化合物は、1日に、被験者の体重当たり、現在開示されている化合物の約0.001mg/kg~約100mg/kg、約0.01mg/kg~約50mg/kg、約0.1mg/kg~約40mg/kg、約0.5mg/kg~約30mg/kg、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、又は約1mg/kg~約25mg/kgを投与し、好ましい治療効果を得ることができる。好ましい投薬量は、被験者に一回のみ伝達される。所望の投与量は、1日3回以上、1日3回、1日2回、1日1回、隔日、3日ごとに、毎週、2週ごとに、3週ごとに、4週ごとに、2ヶ月ごとに、6ヶ月ごとに、12ヶ月ごとに、2年ごとに、3年ごとに、4年ごとに、5年ごとに、10年ごとに又は20年ごとに伝達されてもよい。特定の実施形態において、好ましい投与量は、多重投与(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれ以上の投与)を使用して伝達されてもよい。当業者は、被験者を效果的に治療するのに必要な投与量及びタイミングに影響し得ることが分かり、特定の因子は、選択された特定の化合物、所望の治療反応、投与経路、製剤、疾病又は障害の重症度、以前の治療、被験者の一般的な健康及び/又は年齢、他の疾病、及び/又は当業者に公知の他の要因が含まれるが、これに限定されない。
【0209】
6.用途
特定の実施形態において、本発明は新規な化合物を提供し、それら自体は、他の薬学的活性剤に添加されるか又は他の薬学的活性剤と組み合わせられてもよく、組成物は、少なくとも1つの現在開示されている化合物又はその他の薬学的活性剤との組み合わせを含み、及び/又は、例えば炎症又は炎症性反応の抑制に関連する特定の疾患、疾病又は障害の改善、治療又は予防におけるその調製方法又は用途を含む。
【0210】
特定の実施形態において、本発明は、炎症を抑制し、炎症に関連する疾病、疾患又は障害の治療に有用な抗炎症性化合物及び本明細書に記載の組成物を提供する。
【0211】
特定の実施形態において、本発明は、炎症を調整する新規な化合物及び組成物を提供する。1つの理論にしばられることは好ましくないが、本明細書に記載の化合物及び組成物は、炎症性メディエータ、例えば、サイトカインのレベルを調整することと考えられる。提供される化合物及び組成物によって調整される炎症性メディエータの非限定的な例としては、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12/IL-23p40、IL13、IL-17、IL-18、TGF-β、IFN-γ、GM-CSF、Gro-α、MCP-1及びTNF-aが挙げられるが、これに限定されない。1つの理論にしばられることは好ましくないが、本明細書に記載の化合物及び組成物は、様々な信号伝達経路に関連する炎症性メディエータのレベルを調整することと考えられる。サイトカインのような炎症性メディエータの放出を引き起こす信号伝達経路の非限定的な例としては、G-タンパク質媒介、PPAR-媒介、Toll様受容体媒介及びTNF-α受容体媒介が挙げられるが、これに限定されない。1つの理論にしばられることは好ましくないが、現在開示されている化合物は、T-ヘルパー細胞の浸潤及び蓄積を調整すると考えられる。1つの理論にしばられることは好ましくないが、現在開示されている化合物及び組成物は、好中球からの酸化バーストを抑制することから、抗酸化剤であると考えられる。
【0212】
特定の実施形態において、本発明は、G-タンパク質シグナリングカスケードを調整するタンパク質抑制剤が役割を果すと知られている1つ以上の疾病の重症度を治療又は軽減することに関する新規な化合物及び組成物を提供する。1つの理論にしばられることは好ましくないが、現在開示されている化合物は、S-アデノシルメチオニン-依存性イソプレニル-S-イソプレニルメチル転移酵素(「ICMT」)に関する特定の膜によるメチルエステル化反応を抑制し、G-タンパク質シグナリング経路の多数の主要な要因のうち、カルボキシ-末端ポリイソプレノイドシステイン変形を引き起こすと考えられる。特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、G-タンパク質などのポリイソプレニル化信号伝達タンパク質とそれらが相互作用するタンパク質の制御対象、又は他の細胞内のシグナリングタンパク質間の相互作用を変化させる。
【0213】
特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、in vitroで投与される。特定の実施形態において、前記化合物は、in vivoで投与される。
【0214】
本発明の他の態様は、現在開示されている化合物の有効量を投与することによって、炎症を治療、予防又は改善する方法に関する。
【0215】
一部の実施形態において、1つ以上の発明化合物が単独で又は1つ以上の他の薬学的活性剤と共に使用され、皮膚を白くする。このような一部の実施形態において、現在開示されている化合物は局所適用され、皮膚を白くする。
【0216】
一般に、患者に投与される本発明の化合物の提供される化合物の実際の量は、徴候の重症度及びタイプ、投与方法、使用される特定の化合物、使用される製剤及び所望の反応に応じて変える。
【0217】
治療のための投与量は、上述の任意の手段又は当業界に公知の任意の他の手段によって所望の治療効果をもたらすのに十分な量の投与である。したがって、有効量は、現在開示されている化合物(又は現在開示されている化合物の混合物)の量を含み、例えば、治療、予防又は促進する疾病、障害、疾患、症状などに応じて抗炎症の効果又は炎症誘発性の効果を含む所望の効果を誘導するのに十分である。
【0218】
方法
(A)抗炎症性
具体的に、本発明は、炎症(急性又は慢性)、炎症性疾病又は障害(例えば、喘息、自己免疫疾患及び肺気腫、慢性気管支炎及び小気道疾患などを含むCOPD)、免疫系の炎症性反応、皮膚病(例えば、酒さ、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、乾癬を患っている患者の急性皮膚刺激の減少)、過敏性大腸症候群(例えば、クローン病及び潰瘍性大膓炎など)、神経変性障害(パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、ボクサー痴呆、ピック病、グアム・パーキンソン痴呆症候群、前頭側頭型痴呆、皮質基底核変性症、淡蒼球-脳橋-黒質変性、進行性核上麻痺、レビー小体型痴呆(DLB)、多系統萎縮症(MSA)から選択される炎症性疾病又は障害の重症度だけでなく、脊髄損傷に関連する炎症の重症度を治療又は軽減させ、in vivo遺伝子治療の間、免疫システムによる神経再生及び遺伝子操作細胞の拒否の抑制を促進する方法に関し、ここで、前記方法は、1つ以上の現在開示されている化合物を含む本発明の組成物を必要とする患者に投与することを含む。
【0219】
一部の実施形態において、本発明の現在開示されている化合物は、炎症性反応を效果的に抑制することができる。したがって、現在開示されている化合物は、浮腫、紅斑及びミエロペルオキシダーゼの抑制剤であることから、本明細書に記載のように、炎症性疾病又は障害に関連する1つ以上の障害を治療するのに有用である。
【0220】
一部の実施形態において、本発明の提供される抗炎症性化合物は、炎症性サイトカインなどの炎症性メディエータ、例えばIL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12/IL-23p40、IL13、IL-17、IL-18、TGF-β、IFN-γ、GM-CSF、Gro-α、MCP-1及びTNFαのレベル又は生成を減少させることによって炎症性反応を效果的に抑制することができる。したがって、現在開示されている化合物は、炎症誘発性サイトカインの抑制剤であることから、本明細書に記載の炎症性疾病、疾患又は障害に関する1つ以上の障害の治療に有用である。したがって、現在開示されている化合物は、1つ以上の炎症性疾病、疾患又は障害を罹患していたり又は罹患しやすい被験者に投与される。
【0221】
一部の実施形態において、炎症性疾患又は障害の治療は、コルチコステロイド又はNSAIDSの副作用を有することなく、現在開示されている化合物を使用して達成される。
【0222】
一部の実施形態において、本発明の現在開示されている化合物は、好中球から酸化バースト反応を效果的に抑制することができる。したがって、現在開示されている化合物は、酸化バースト反応の抑制剤であることから、化学的又は環境的要因(例えば、皮膚のUVダメージ)によって引き起こされる酸化損傷に関連する症状の治療又は改善に有用である。そのため、現在開示されている化合物は、酸化損傷に関連する症状を患っている被験者に投与される。一部の実施形態において、本明細書で提供されている1つ以上の現在開示されている化合物と日焼け止め剤との組み合わせは、抗酸化剤効果(例えば、スーパーオキシド形成の抑制)を示す。
【0223】
(B)皮膚疾患
一部の実施形態において、皮膚疾患を治療又は予防するための方法が本明細書に提供され、少なくとも1つの現在開示されている化合物を含む組成物の有効量、担体、及び、選択的に、更なる活性成分を、ヒトを含む必要とする被験者の表面上に局所的に適用するステップを含む。1つの特定の実施形態において、皮膚疾患を治療又は予防するための方法が本明細書に提供され、少なくとも、例えば、0.1mgの現在開示されている化合物を、ヒトを含む必要とする被験者の表面上に局所的に塗布するステップを含む。さらなる実施形態において、ヒトを含む必要とする被験者の健康な皮膚を促進する方法が本明細書に提供され、この方法は、少なくとも1つの現在開示されている化合物を含む組成物、担体、及び、選択的に、更なる活性成分の有効量を、ヒトを含む必要とする被験者の表面上に局所的に塗布するステップを含む。さらなる実施形態において、ヒトを含む必要とする被験者の健康な皮膚を促進する方法が本明細書に提供され、この方法は、少なくとも0.1mgの現在開示されている化合物を、ヒトを含む必要とする被験者の表面上に局所的に塗布する方法を含む。
【0224】
さらなる実施形態において、本発明は、ヒトを含む必要とする被験者の炎症を治療又は予防する方法を提供し、少なくとも1つの現在開示されている化合物を含む組成物、担体、及び、選択的に、更なる活性成分の有効量を投与するステップを含む。さらなる態様において、本発明は、ヒトを含む必要とする被験者の炎症を治療又は予防する方法を提供し、少なくとも0.1mgの現在開示されている化合物を投与するステップを含む。
【0225】
特定の実施形態において、本発明は、炎症性反応の抑制に関連する疾病若しくは疾患の治療又は予防において、現在開示されている化合物の用途を提供する。特定の実施形態において、本発明は、治療を必要とするヒトを含む被験者に炎症性反応の抑制に関連する疾患を治療又は予防するための組成物を提供し、少なくとも1つの現在開示されている化合物、担体、及び、選択的に、更なる活性成分を含む。さらなる実施形態において、ヒトを含む必要とする被験者に炎症性反応の抑制に関連する疾病若しくは疾患を治療又は予防するための方法が本明細書に提供され、前記方法は少なくとも1つの現在開示されている化合物を含む組成物、担体、及び、選択的に、更なる活性成分の有効量を投与するステップを含む。さらなる態様において、ヒトを含む必要とする被験者に炎症性反応の抑制に関連する疾病若しくは疾患を治療又は予防するための方法が本明細書に提供され、前記方法は少なくとも0.1mgの現在開示されている化合物を投与するステップを含む。
【0226】
本発明に従って、現在開示されている化合物で治療することができる例示的な疾病、障害又は疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)は以下に個別に取り扱う。
【0227】
酒さ
酒さは、慢性の炎症性皮膚障害であり、米国で約1,400万人を苦しめている(Fox Analytics,The Dermatology Market Outlook to 2011,B.I.LTD,Editor:London,UK,p.201;Crandall,M.A.Market Intelligence Report,K.Information,Editor,2008:New York.p359)。51歳から60歳までの最大発病率は、今後数年の間に大幅に増加するであろう。この疾患は、中央顔面紅斑、毛細血管拡張症、丘疹、肉芽腫結節、瘤腫の形成及び眼球の変化を含む症状の集まりを特徴とする。病気の突発及び緩解は、根拠なしに発生する。酒さに関して知られている治療法はない。酒さに関連する例示的なサイトカインは、TNFα、IL-β、IL-6、IL-8、MCP-1及びGroαが含まれる。
【0228】
乾癬
乾癬は、世界中で約1億2500万人、並びに米国及びヨーロッパの一般人口の約2~3%に影響する慢性の炎症性皮膚疾患である(Crandall,M.A.Market Intelligence Report,K.Information,Editor,2008:New York.p359,Naldi,L.,Curr.Drug Targets Inflamm.Allergy,2004,3:121-128)。乾癬の発病は完全には解明されていないが、最近の進歩は有望な治療法として炎症の主要なメディエータを対象としている(Numerof et ah,BioDrugs,2006,20:93-103,Menter et ah,J.Am.Acad.Dermatol.,2009,60:643-659)。直接の治療的アプローチは、興味のある特定のサイトカインを直接中和するために、抗体又は可溶性受容体(すなわち、生物学的)を使用することを含む。しかしながら、生物学的サイトカイン誘導療法は、生産コストが高く、かなりの皮膚レベルを発達させるために継続的な高い血中レベルを必要とし、抗体中和の生成が誘導できる(治療に対する反応の減少につながる)ことから、注射で投与しなければならない。局所的療法は、ほとんど効果がなかったので、市場の成長は、深刻な潜在的な副作用を持つ体系的要因によって主導されてきた。コルチコステロイドは、現在局所的療法の礎石であり続けているが、理想からは程遠い。長期のステロイド使用は、全身吸収の問題から皮膚の萎縮及びその様々な臨床症状に至る安全上の問題を引き起こす。乾癬治療の現今の米国市場は、患者の60%のみが治療を受けているため、非常に不十分なものである(Horn et ah,J.Am.Acad.Dermatol.2007,57:957-962)。
【0229】
乾癬は、規制が緩和された炎症活性が表皮過形成をもたらす表皮におけるStat3c信号伝達経路を刺激する自己強化ループ(Self-reinforcing loop)という簡単な用語で考案できる。影響を受けた角化細胞は、T-ヘルパー細胞(THc)の浸潤及び蓄積を含む免疫システムを模したサイトカインを分泌する。活性化された免疫細胞のサイトカインは、病理学を維持し増幅する表皮Stat3c経路に肯定的なフィードバックを提供する。THcの浸潤及び蓄積の抑制は、Stat3c発現及び乾癬の発病を減少させることができる。乾癬に関連する例示的なサイトカインは、TNFα、IL1α、ILβ、IL-2、IL-6、IL-8、IL-12、IL-17、MCP-1、Groα及びIFNγが挙げられる。
【0230】
炎症性サイトカイン及び乾癬
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在開示されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、乾癬などの炎症性皮膚疾患を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、TNF-αレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、K5.Stat3c乾癬マウスモデルを用いて決定)減少する。
【0231】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在開示されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、乾癬などの炎症性皮膚疾患を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-αレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、K5.Stat3c乾癬マウスモデルを用いて決定)減少する。
【0232】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在開示されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、乾癬などの炎症性皮膚疾患を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-βレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、K5.Stat3c乾癬マウスモデルを用いて決定)減少する。
【0233】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在開示されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、乾癬などの炎症性皮膚疾患を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-2レベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、K5.Stat3c乾癬マウスモデルを用いて決定)減少する。
【0234】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在開示されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、乾癬などの炎症性皮膚疾患を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-6レベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、K5.Stat3c乾癬マウスモデルを用いて決定)減少する。
【0235】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在開示されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、乾癬などの炎症性皮膚疾患を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-8レベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、K5.Stat3c乾癬マウスモデルを用いて決定)減少する。
【0236】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在開示されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、乾癬などの炎症性皮膚疾患を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-12レベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、K5.Stat3c乾癬マウスモデルを用いて決定)減少する。
【0237】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在開示されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、乾癬などの炎症性皮膚疾患を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IFN-γレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、K5.Stat3c乾癬マウスモデルを用いて決定)減少する。
【0238】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在開示されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、乾癬などの炎症性皮膚疾患を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、MCP-1レベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、K5.Stat3c乾癬マウスモデルを用いて決定)減少する。
【0239】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在開示されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、乾癬などの炎症性皮膚疾患を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、Gro-αレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、K5.Stat3c乾癬マウスモデルを用いて決定)減少する。
【0240】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在開示されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含み、K5.Stat3c乾癬マウスモデルを用いて決定されるように、CD3+T-ヘルパー細胞のレベル抑制(約20%以上)における活性を有する、乾癬などの炎症性皮膚疾患を治療、改善、制御又は予防する方法を提供する。
【0241】
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎又は湿疹は、慢性炎症及び皮膚の刺激を特徴とする。その原因は多様であるが、本質的に免疫学的である。米国では、有病率は、小児の場合10~20%、成人の場合1~3%である。局所的皮膚炎は、ツタウルシ、洗剤及び化粧品などの物質に曝すと、アレルギー性皮膚反応を誘発する。現在の理論によれば、アトピー性皮膚炎は、吸入又は摂取によって曝露されるアレルゲンなどの物質への曝露の増加につながる皮膚障壁欠陥によるものを考えられる。皮膚炎が発生した場合、コルチコステロイドが1次治療法である。しかしながら、アトピー性皮膚炎は、子供に不均衡な影響を及ぼし、長期間のステロイドの使用は安全上の問題を引き起こす。アトピー性皮膚炎に関連する例示的なサイトカインは、TNFα、ILβ、IL-6、IL-8、MCP-1、Groα、IL-4、IL-5、IL-10、IL-13、IL-17及びIFNγが挙げられるが、これに限定されない。
【0242】
アトピー性皮膚炎(AD)の皮膚病変の組織病理学は、炎症性皮膚疾患を誘導し維持するのに重要な役割を果すT細胞と共に、真皮で強力な単核細胞が浸潤していることを明らかにしている。任意の特定の理論にしばられることはないが、ADの急性期で優勢な表現型はTh2/Th17免疫反応である一方、慢性AD病変は主にTh1である。これらの歪んだ免疫反応において生成されたサイトカインは、治療的介入の対象になる。内皮細胞、角化細胞及び単核細胞におけるいくつかのリガンド(例えば、Ni2+、黄色ブドウ球菌、及びLPS)を介したToll様受容体-4(TLR4)シグナリングの活性化もまた、アトピー性皮膚炎をもたらす炎症性反応の発達に寄与する。したがって、被験者へ本化合物を投与することによって本発明の実施形態において提供されるTLR及びTh1/Th17/Th2の両者をサイトカインシグナリングを效果的に対象とし、アトピー性皮膚炎を局所的に治療するための新たな治療法を提供する。
【0243】
本化合物(例えば、化合物C)は、アトピー性皮膚炎の発病において、多重対象であるTLRサイトカインシグナリング及びTh1/Th17/Th2サイトカインシグナリングの両者を対象とする。実施例でより詳細に論議されるように、現在開示されている化合物(例えば、化合物C)は、ADアレルギーの発病を誘発する主要な炎症誘発性サイトカインを対象とする多重細胞基盤の分析で示される。ヒトPBMCにおいて、本化合物はCD3/CD28によって誘導されるIL-4サイトカインの放出を抑制し、IL-6を減少させることによって内皮細胞においてNi2+-TLR4反応を排除する。NHEKにおいて、本化合物は、黄色ブドウ球菌誘導のTSLPの放出を抑制する。in vitroでの活性は、AN2728によるIL-4誘導の抑制を除き、局所的なAD療法であるAN2728と同等又はより強力である。アレルギー反応は、初期及び後期段階を特徴として、恐らくは異なる炎症経路を示す。
【0244】
任意の特定の理論にしばられることはないが、IL-6産生の強力な抑制は、ADの初期炎症期を治療するのに特に効果的であると考えられる。in vivoモデルを活用する本化合物(例えば、化合物C)は、TPA急性炎症耳モデルにおいて抗炎症活性を示す。また、初期及び後期のいずれも含む遅延型過敏性(DTH)オキサゾロンマウスモデルにおいて、本化合物は、AN2728よりも高い効能を示し、浮腫を低減させ、IL-4の産生を遮断するのに同様の効果を示し、恐らく本化合物が初期段階経路でより大きな影響を与えるためである。
【0245】
炎症性サイトカイン及びアトピー性皮膚炎
一態様によれば、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、アトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、TNF-αレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、オキサゾロン障害のあるアトピー性皮膚炎マウスモデルを用いて決定)減少する。
【0246】
一態様によれば、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、アトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-αレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、オキサゾロン障害のあるアトピー性皮膚炎マウスモデルを用いて決定)減少する。
【0247】
一態様によれば、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、アトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-βレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、オキサゾロン障害のあるアトピー性皮膚炎マウスモデルを用いて決定)減少する。
【0248】
一態様によれば、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、アトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-2レベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、オキサゾロン障害のあるアトピー性皮膚炎マウスモデルを用いて決定)減少する。
【0249】
一態様によれば、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、アトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-6レベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、オキサゾロン障害のあるアトピー性皮膚炎マウスモデルを用いて決定)減少する。
【0250】
一態様によれば、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、アトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-8レベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、オキサゾロン障害のあるアトピー性皮膚炎マウスモデルを用いて決定)減少する。
【0251】
一態様によれば、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、アトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-12レベル及び/又は活性、IFN-γレベル及び/又は活性、MCP-1レベル及び/又は活性又はGro-aレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、オキサゾロン障害のあるアトピー性皮膚炎マウスモデルを用いて決定)減少する。
【0252】
脂漏性皮膚炎
一般に、ふけと呼ばれる脂漏性皮膚炎は、皮膚の発赤、かゆみ及び剥離を引き起こす疾病である。それは、頭皮、顔、胴体、特に皮膚の皮脂腺が豊富な部位に影響を及ぼし、皮膚を炎症が起きているように及び鱗状に見せる。
【0253】
脂漏性皮膚炎は、30~60歳の成人で最も多く発生し、女性よりも男性においてより一般的である。正確な原因は分からないが、脂漏性皮膚炎を患っている人々は、多くの場合、感染による好ましくない表皮反応を示す。また、脂漏性皮膚炎は、パーキンソン病及びてんかんなどの神経障害にも関連がある。脂漏性皮膚炎の治療は、身体の位置によって異なる。また、治療は患者の年齢によって異なる。ふけは、多くの場合、サリチル酸、処方薬セレンスルフィド、亜鉛ピリチオン、ケトコナゾール又はコールタールを含むシャンプーで治療される。ステロイドローションは、青少年と成人において使用される。脂漏性皮膚炎に関連する例示的なサイトカインには、TNFα、ILβ、IL-6、IL-8、MCP-1及びGroαが含まれるが、これに限定されない。
【0254】
炎症性サイトカイン、並びに酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎
本明細書に記載のように、本発明は、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供する。
【0255】
一部の実施形態において、本発明は、現在開示されている化合物を投与することによって炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ただし、少なくとも0.1mgの化合物を投与する。他の実施形態において、本発明は、現在開示されている化合物を投与することによって炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ただし、少なくとも2mgの化合物を投与する。
【0256】
一態様によれば、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、炎症活性(例えば、MPO活性)は、約30%以上(例えば、MPO活性分析を用いて決定)減少する。
【0257】
一態様によれば、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、炎症活性(例えば、MPO活性)は、約60%以上(例えば、MPO活性分析を用いて決定)減少する。
【0258】
一態様によれば、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、炎症活性(例えば、紅斑活性)は、約30%以上(例えば、紅斑活性分析を用いて決定)減少する。
【0259】
一態様によれば、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、炎症活性(例えば、浮腫活性)は、約30%以上(例えば、浮腫活性分析を用いて決定)減少する。
【0260】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、TNF-αレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、TPA誘導のマウス耳炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0261】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-1βレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、TPA誘導のマウス耳炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0262】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-8レベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、TPA誘導のマウス耳炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0263】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-6レベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、TPA誘導のマウス耳炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0264】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、MCP-1レベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、TPA誘導のマウス耳炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0265】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、Groαレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、TPA誘導のマウス耳炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0266】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、TNF-αレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、HMEC-1細胞株においてLPS-TLR4誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0267】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-1βレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、HMEC-1細胞株においてLPS-TLR4誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0268】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-8/KCレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、HMEC-1細胞株においてLPS-TLR4誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0269】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-6レベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、HMEC-1細胞株においてLPS-TLR4誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0270】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、MCP-1レベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、HMEC-1細胞株においてLPS-TLR4誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0271】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、Gro-αレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、HMEC-1細胞株においてLPS-TLR4誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0272】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、TNF-αレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、HMEC-1細胞株においてATPγS-プリン受容体誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0273】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-1βレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、HMEC-1細胞株においてATPγS-プリン受容体誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0274】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-8/KCレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、HMEC-1細胞株においてATPγS-プリン受容体誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0275】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-6レベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、HMEC-1細胞株においてATPγS-プリン受容体誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0276】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、MCP-1レベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、HMEC-1細胞株においてATPγS-プリン受容体誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0277】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、Gro-αレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、HMEC-1細胞株においてATPγS-プリン受容体誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0278】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、TNF-αレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、NHEK細胞株においてTPA誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0279】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-1βレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、NHEK細胞株においてTPA誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0280】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-8/KCレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、NHEK細胞株においてTPA誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0281】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-6レベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、NHEK細胞株においてTPA誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0282】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、MCP-1レベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、NHEK細胞株においてTPA誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0283】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、Gro-αレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、NHEK細胞株においてTPA誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0284】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、TNF-αレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、HUVEC細胞株においてTNFα誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0285】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-1βレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、HUVEC細胞株においてTNFα誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0286】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性はHUVEC細胞株においてTNFα誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定される、IL-8/KCのように、約20%以上減少する。
【0287】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、IL-6レベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、HUVEC細胞株においてTNFα誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0288】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、MCP-1レベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、HUVEC細胞株においてTNFα誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0289】
一部の実施形態において、本発明は、少なくとも約0.1mgの現在記載されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む、炎症性皮膚疾患(例えば、酒さ、乾癬、アトピー性皮膚炎及び脂漏性皮膚炎)を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、ここで、サイトカインレベル及び/又は活性(例えば、Gro-αレベル及び/又は活性)は、約20%以上(例えば、HUVEC細胞株においてTNFα誘導のサイトカイン放出炎症性モデルを用いて決定)減少する。
【0290】
日焼け止め剤(UVダメージからの保護)
太陽からの紫外線(「UV」)光線、タバコの煙への曝露、高飽和脂肪及び環境汚染物質の摂取だけでなく、老化の自然な過程などの環境障害によって引き起こされる酸化ストレスは、フリーラジカルの生成に寄与し、活性酸素種(「ROS」)は、特に皮膚において炎症性反応を刺激する(Pillaら、Intl J.Cosm.Sci.2005 v27 p17-34)。高いレベルのROSは、紅斑、浮腫、光老化及び皮膚癌を含む皮膚への悪影響を及ぼす(Troubaら、Antioxid.Redox Signal 2002 v4 p665-673)。炎症性反応中の好中球浸潤は、増加した酸素消耗及びROSの生成に関連がある。fMLPなどの細胞外炎症性作用剤は、ホルミルペプチド受容体(「FPR」)などのGPCRに結合して、酸化バースト反応(すなわち、ROSの迅速な放出)を引き起こす。
【0291】
特定の実施形態において、本発明は、現在開示されている化合物を投与することによって、特に必要とする被験者の皮膚へのUVダメージを治療、改善、制御又は予防する方法を提供する。特定の実施形態において、少なくとも0.1mgの現在開示されている化合物を投与して、UVダメージを治療、改善、制御又は予防する。特定の実施形態において、本発明は、少なくとも2mgの現在開示されている化合物を投与することによって、特にそれを必要とする被験者の皮膚への損傷を治療、改善、制御又は予防する方法を提供する。
【0292】
一実施形態によれば、本発明は、特にそれを必要とする被験者の皮膚への損傷を治療、改善、制御又は予防する方法を提供し、約20%以上のスーパーオキシド形成抑制の活性を有する少なくとも0.1mgの現在開示されている化合物を含む剤形を必要とする被験者に投与するステップを含む。
【0293】
(C)坑菌
現在開示されている化合物は、坑菌活性を示し、バクテリア細胞の成長、バクテリア細胞の死滅又は表面からのバクテリアの脱コロニー化抑制において有用である。したがって、特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、バクテリア細胞の成長、バクテリア細胞の死滅又は表面からのバクテリアの脱コロニー化、及び/又はバクテリア関連疾患の治療、予防及び取り扱いにおいて有用である。
【0294】
一部の実施形態において、その中でも、本発明は、治療を必要とする動物、特にヒトにおいて、バクテリアによって誘発される又は悪化する上皮関連疾病、障害又は疾患の症状を治療、予防又は改善する方法を提供する。一部の実施形態において、提供される方法は、上皮関連症状(例えば、皮膚疾患、呼吸器疾患、鼻腔疾患、眼球疾患、口腔疾患、外耳の疾患、膣の疾患、尿生殖器の疾患、直腸疾患、同様の組織のバクテリア関連疾患など)において有用である。
【0295】
一部の実施形態において、バクテリアによって誘発される又は悪化する例示的な皮膚疾患には、膿痂疹、座瘡、湿疹、アトピー性皮膚炎、感染性皮膚炎、乾癬、酒さ、紅塵、壊死性蜂巣織炎、皮膚炭疽病、蜂巣織炎、丹毒、膿瘡、皮膚炭疽病、壊死性筋膜炎、壊疽、敗血症、膿皮症、心内膜炎、足指ウェブ感染、鬚毛瘡、せつ及び癰、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群、水疱性遠位指端炎、急性爪周囲炎、毛包炎、皮膚ジフテリア、紅色陰癬、及び開いた傷(例えば、切り傷、損傷、擦り傷、火傷、裂傷、慢性創傷、感染した動物からの咬傷、潰瘍など)のバクテリアコロニーが含まれるが、これに限定されない。
【0296】
一部の実施形態において、バクテリアによって誘発される又は悪化する例示的な呼吸器疾患には、肺炎、過敏性肺炎、上部及び下部呼吸器感染(例えば、慢性気管支炎、喘息などの2次バクテリア感染)、慢性閉塞性肺疾患、ジフテリア、気管支肺異形成症、百日咳、レジオネラ症(例えば、在郷軍人病、ポンティアック熱病、咽頭炎など)が含まれるが、これに限定されない。
【0297】
一部の実施形態において、バクテリアによって誘発される又は悪化する例示的な鼻腔疾患には、バクテリア性鼻炎、副鼻腔炎などが挙げられる。
【0298】
一部の実施形態において、バクテリアによって誘発される又は悪化する例示的な眼球疾患には、慢性眼瞼炎、眼内炎などが挙げられる。
【0299】
一部の実施形態において、バクテリアによって誘発される又は悪化する例示的な口腔疾患には、歯肉炎、虫歯、幼児期う蝕症などが挙げられる。
【0300】
一部の実施形態において、バクテリアによって誘発される又は悪化する例示的な外耳の疾患には、中耳炎などが挙げられる。
【0301】
一部の実施形態において、バクテリアによって誘発される又は悪化する例示的な膣の疾患には、バクテリア性膣炎、軟性下疳、梅毒、ドノヴァン症、淋病、性病性リンパ肉芽腫症、非淋菌性尿道炎、ブドウ球菌感染、外陰部腟炎などが挙げられる。
【0302】
一部の実施形態において、バクテリアによって誘発される又は悪化する例示的な尿生殖器の疾患には、鼠蹊部育児種、肛門周囲感染などが挙げられる。
【0303】
一部の実施形態において、現在開示されている化合物によって抑制されるバクテリアは、グラム陽性菌を含む。一部の実施形態において、現在開示されている化合物によって抑制されるバクテリアは、グラム陰性菌を含む。一部の実施形態において、現在開示されている化合物によって抑制されるバクテリアは、グラム変移菌を含む。特に関連性のあるグラム陽性菌は、例えば、アクチノミセス属菌(例えば、アクチノマイセス・イスラエリーなど)、バチルス属菌(例えば、バチルス・アントラシスなど)、コリネバクテリウム属菌(例えば、コリネバクテリウム・ジフテリエなど)、エンテロコッカス属菌(例えば、エンテロコッカス・フェカリスなど)、ガードネレラ属菌(例えば、ガードネレラ・バギナリスなど)、モビルンカス属菌(例えば、モビルンカス・クルティシイ、モビルンカス・ムリエリス、など)、マイコバクテリウム属菌(例えば、マイコバクテリウム・イムノゲナム、マイコバクテリウム・ツベルクローシス、など)、マイコプラズマ属菌(例えば、マイコプラズマ肺炎、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ、マイコプラズマ・ガリセプチカム、マイコプラズマ・シノビエ、マイコプラズマ・メレアグリディス、マイコプラズマ・ガリナルム、マイコプラズマ・アナティス、マイコプラズマ・ホミニス、など)、ノカルジア属菌(例えば、ノカルジア・アステロイデス、ノカルジア・ブラジリエンシス、ノカルジア・カヴィエ、など)、プロピオニバクテリウム属菌(例えば、プロピオニバクテリウム・アクネス、プロピオニバクテリウム・プロピオニクス、プロピオニバクテリウム・フロイデンライシイ、など)、スタフィロコッカス属菌(例えば、スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・シュードインターメディウス、スタフィロコッカス・エピデルミデス、スタフィロコッカス・サプロフィチカス、スタフィロコッカス・ピオゲネス、など)、ストレプトコッカス属菌(例えば、ストレプトコッカス・ニューモニエ、ストレプトコッカス・ミュータンス、ストレプトコッカス・ミティス、ストレプトコッカス・サリバリウス、ストレプトコッカス・ピオゲネス、など)を含む。
【0304】
特に関連のあるグラム陰性菌は、例えば、アクチノバチルス属菌(例えば、アクチノバチルス・プルロニューモニアなど)、ボルデテラ属菌(例えば、ボルデテラ・パータシスなど)、ブランハメラ(モラクセラ)属菌(例えば、ブランハメラカタラーリスなど)、カリマトバクテリウム属菌(例えば、カリマトバクテリウム・ダラヌロマティスなど)、クラミジア属菌(例えば、クラミジア・トラコマチスなど)、クラミドフィラ属菌(例えば、クラミドフィラ・ニューモニエなど)、エイケネラ属菌(例えば、エイケネラ・コローデンスなど)、エンテロバクター属菌(例えば、エンテロバクター・エロゲネス、エンテロバクター・クロアカなど)、エシェリキア属菌(例えば、エシェリキア・コリなど)、フゾバクテリウム属菌(例えば、フゾバクテリウム・ヌクレアタムなど)、ガードネレラ属菌(例えば、ガードネレラ・バギナリスなど)、ヘモフィルス属菌(例えば、ヘモフィルス・インフルエンザエ、ヘモフィルス・デュクレイなど)、ヘモフィルス属菌(例えば、ヘモフィルス・ソムナスなど)、クレブシエラ属菌(例えば、クレブシエラ・ニューモニエなど)、レジオネラ属菌(例えば、レジオネラ・ニューモフィラなど)、マンヘミア属菌(例えば、マンヘミア・ヘモリチカなど)、ナイセリア属菌(例えば、ナイセリア・ゴノレーなど)、オルニソバクテリウム属菌(例えば、オルニソバクテリウム・ライノトラキアなど)、パスツレラ属菌(例えば、パスツレラ・マルトシダなど)、ニューモシスチス属菌(例えば、ニューモシスチス・カリニなど)、プレボテラ属菌(例えば、プレボテラ・メラニノゲニカ、プレボテラ・インターメディアなど)、プロテウス属菌(例えば、プロテウス・ブルガリス、プロテウス・ミラビリス、プロテウス・ペンネリなど)、シュードモナス属菌(例えば、シュードモナス・エルジノーサなど)、トレポネーマ属菌(例えば、トレポネーマ・パリズムなど)、ウレアプラズマ属菌(例えば、ウレアプラズマ・ウレアリチカムなど)、ビブリオ属菌(例えば、ビブリオ・バルニフィカスなど)、エルシニア属菌(例えば、エルシニア・ペスチスなど)などを含む。特に関連のあるグラム可変細菌は、例えば、ガードネレラ属菌(例えば、ガードネレラ・バギナリスなど)が挙げられる。
【0305】
一部の実施形態において、その中でも、本発明は座瘡の症状を治療、予防又は改善する方法を提供する。プロピオニバクテリウム・アクネス(P.acnes)は、座瘡に主要な寄与要因であり、思春期を過ぎた10代の若者の間で一般的な障害であり、世界の人口の9.4%に影響を与えることと推定される。
【0306】
1次座瘡病変である面皰は、過剰な皮脂の分泌に関連する毛嚢の異常角化の結果である。P.acnesは、局所的炎症性反応の誘導を引き起こす毛嚢内で繁殖し、増殖する。これは、P.acnesと表皮角化細胞の相互作用によって媒介し、Toll様受容体(TLR2)の活性化につながり、その後、炎症誘発性メディエータの生成及び分泌をもたらす。特に、ペプチドグリカン(PGN)及び脂質多糖類(LPS)を含むバクテリア細胞壁成分と角化細胞(NHEK)の相互作用は、Toll様受容体(TLR2、TLR4)の活性化によって自然免疫反応につながり、炎症誘発性メディエータの生成及び分泌をもたらす。
【0307】
本発明の特定の実施形態において、現在開示されている化合物は、これらの炎症性シグナリング経路を下方調節し、P.acnesの生存力を直接減少させる。実施例でより詳細に述べるように、培養ヒト角化細胞をP.acnes及びペプチドグリカン(PGN)に曝露して、炎症誘発性サイトカイン産生を誘導する。これらの細胞基盤モデルにおいて、本発明の化合物(例えば、化合物E及びG)は、全てのTLR2誘導物質に対してIL-8産生を抑制する。培養されたP.acnesのin vitro成長抑制分析において、現在開示されている化合物は、通常に塗布された抗座瘡薬剤である過酸化ベンゾイル及びサリチル酸よりも性能が優れ、3~4μg/mLの最小発育阻止濃度(MIC)を示す。これらのデータは、現在開示されている化合物が、(a)P.acnesのバクテリア増殖を制限し、(b)炎症性シグナリング経路を下方調節し、炎症を抑制することによって、二重で変調される抗座瘡効果を提供する新規な化学的部類を示すということを立証する(例えば、Toll様受容体(TLR2、TLR4)の活性化は、炎症誘発性メディエータの生成及び分泌をもたらす)。
【0308】
7.併用療法
現在開示されている化合物は、他の薬物又は治療剤と組み合わせて使用できることが考えられる。
【0309】
一部の実施形態において、本明細書に記載のように、現在開示されている化合物は、同一の疾患又は疾病を治療するための1つ以上の別の薬剤と組み合わせて投与される。本明細書で使用されるように、特定の疾病又は疾患を治療するために正常に投与される更なる治療剤は、「治療される疾患または状態に好適である」ことが知られている。
【0310】
例えば、一部の実施形態において、本発明の化合物又はその薬学的に許容される組成物は、炎症性疾病及び/又は障害を治療するために別の抗炎症剤と組み合わせて投与される。公知の抗炎症剤の例としては、デキサメタゾン、インドメタシン及びクロベタゾールが挙げられるが、これに限定されない。
【0311】
一部の実施形態において、現在開示されている化合物は、異なる疾病、障害又は疾患を治療するために1つ以上の別の薬学的活性剤と組み合わせて投与される。例えば、一部の実施形態において、炎症を軽減するために現在開示されている化合物を投与すると同時に、異なる生物学的結果を達成するために別の薬学的活性剤を投与することが望ましい。
【0312】
一実施例を挙げると、皮膚刺激剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)は、伝達を容易にするために、経皮パッチなどの経皮装置の適用の前又は経皮装置の適用と同時に投与されることは一般的ではない。或いは、他の薬学的活性剤の経皮投与と共に、現在開示されている化合物の添加又は同時投与は、他の薬学的活性剤の経皮投与に関連する炎症及び/又は刺激を減少させることができる。
【0313】
また、薬学的活性剤の単一又は慢性注射は、薬学的活性剤の本質(すなわち、刺激剤として)又は伝達方式によって炎症を引き起こすことがあると知られている。本発明は、薬学的活性剤の単一又は慢性注射に関連する炎症を軽減させるために、本発明の1つ以上の化合物の共同投与を考慮する。
【0314】
その伝達が経皮又は注射か否かに関らず、皮膚刺激を引き起こし得る例示的な薬学的活性剤には、レバドパ、レバドパのプロドラッグ形態、インスリン、エストラジオール、エストロゲン、プロゲステロン、プロゲスチン、プロゲストゲン、テストステロン、ニコチン、ニトログリセリン、コリンエステラーゼ抑制剤、覚醒剤、抗うつ剤及び鎮痛剤が含まれる。
【0315】
他の例を挙げると、多くの場合、塩基性物質(例えば、NaOH)であるか又は塩基性物質を含有する、例えば毛髪弛緩剤のような特定の物質の適用は、皮膚刺激(例えば、頭皮の刺激及び/又は炎症)を引き起こし得る。本発明によれば、1つ以上の現在開示されている化合物は、皮膚刺激及び/又は炎症を軽減させるために、このような毛髪弛緩剤(又は他の物質)と共に投与され得る。
【0316】
本発明は、これらの好ましい実施形態を特に参照して詳細に説明してきたが、他の実施形態は同じ結果を達成し得る。本発明の変形及び修正は、当業者に明らかであり、そのような全ての修正及び等価物を含むことを意図する。前記及び/又は添付物、並びに対応する出願で引用された全ての参考文献、出願、特許及び出版物の全体の開示内容は、本明細書に参照により組み込まれる。
【実施例
【0317】
下記の実施例に示すように、特定の例示的な実施形態において、化合物は、以下の一般的な過程に従って製造される。一般的な方法は、本発明の特定の化合物の合成を示すが、以下の一般的な方法及び当業者に公知の他の方法は、本明細書で説明されるこれらの化合物全てのクラス、サブクラス及び種に適用できることが理解されるであろう。
【0318】
実施例1
二ナトリウム(2R)-2-{[(カルボキシメチル)(メチル)カルバモイル]アミノ}-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}プロパノエイトの合成
トルエン(99.5+%、CAS[108-88-3]、Aldrich)及び三臭化リン(99+%、CAS[7789-60-8]、Aldrich)の溶液を、ポットの温度を10℃以下に保つ調節率で、市販のフィトール(97%、CAS[7541-49-3]、トルエン、及びトリエチルアミン(99.5+%、CAS[121-44-8]、Aldrich)の混合物に加えた。混合物を20~25℃に加温し、反応完了のためにサンプリングした。温度を25℃以下に保ちながら、水を添加することによって、撹拌して反応をクエンチした。混合物を撹拌し、全ての亜リン酸アミン塩を溶解した後、沈降させた。下部の水性層を分離し、有機層を15%のブラインで洗浄し、沈降させて分離した。有機層を回収した後、真空ストリッピングし、所望のフィチルブロミドからトルエンを除去した。市販のL-システインメチルエステル(98%、[18598-63-5]、Aldrich)とイソプロパノール(99.5%、[67-63-0]、Aldrich)とを24℃でケトルに充電した。炭酸ナトリウム(99.5%、粉末、[497-19-8]、Aldrich)をスターバルブを介して添加し、L-システインのナトリウム塩及び二酸化炭素を形成した。その後、混合物を激しく撹拌し、フィチルブロミドをゆっくり加えた。反応完了のために混合物をサンプリングした後、イソプロパノールを減圧下で除去した。水を加えて反応をクエンチし、固形物を溶解した後、2N HClでpHを7に調整した。混合物を30分間撹拌し、フィチルブロミド(HPLCでモニタリング)の残留物を完全に加水分解し、沈降させ、非結晶性固体をろ過によって分離した。固体をTHF(>99.9%、[109-99-9]Aldrich)に溶解し、CDI(>97%、[530-62-1]、Aldrich)を加えた後、トリエチルアミン(99.5+%、CAS[121-44-8]、Aldrich)を加えた。最後に、サルコシンメチルエステルヒドロクロリド(98%、[13515-93-0]、Aldrich)を加え、反応混合物を50℃に加熱した。冷却反応の際に、水でクエンチし、2N HClでpHを3に調整した後、最下層を分離し、さらにブラインで洗浄した。その後、有機層をLiOH(水性、1N)で処理した後、2N HClでpHを3に調整した。有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥、ろ過、濃縮してガラス質固体を得て、これをエタノールに再溶解した後、適切な水酸化ナトリウムでその二ナトリウム塩を形成させた。最終生成物の二ナトリウム(2R)-2-{[(カルボキシメチル)-(メチル)カルバモイル]アミノ}-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}プロパノエイトをろ過により分離し、25℃の真空オーブン内で乾燥させ、ガラス瓶で窒素下にて61%の収率で包装した。
【0319】
この合成スキームは、以下に要約した。
【0320】
【化13】
【0321】
実施例2
二ナトリウム(2R)-2-[(カルボキシメチル)(エチル)カルバモイル]アミノ}-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}プロパノエイトの合成
トルエン(99.5+%、CAS[108-88-3]、Aldrich)及び三臭化リン(99+%、CAS[7789-60-8]、Aldrich)の溶液を、ポットの温度を10℃以下に保つ調節率で、市販のフィトール(97%、CAS[7541-49-3]、トルエン、及びトリエチルアミン(99.5+%、CAS[121-44-8]、Aldrich)の混合物に加えた。混合物を20~25℃に加温し、反応完了のためにサンプリングした。温度を25℃以下に保ちながら、水を添加することによって、撹拌して反応をクエンチした。混合物を撹拌し、全ての亜リン酸アミン塩を溶解した後、沈降させた。下部の水性層を分離し、有機層を15%のブラインで洗浄し、沈降させて分離した。有機層を回収した後、真空ストリッピングし、所望のフィチルブロミドからトルエンを除去した。市販のL-システインメチルエステル(98%、[18598-63-5]、Aldrich)とイソプロパノール(99.5%、[67-63-0]、Aldrich)とを24℃でケトルに充電した。炭酸ナトリウム(99.5%、粉末、[497-19-8]、Aldrich)をスターバルブを介して添加し、L-システインのナトリウム塩及び二酸化炭素を形成した。その後、混合物を激しく撹拌し、フィチルブロミドをゆっくり加えた。反応完了のために混合物をサンプリングした後、イソプロパノールを減圧下で除去した。水を加えて反応をクエンチし、固形物を溶解した後、2N HClでpHを7に調整した。混合物を30分間撹拌し、フィチルブロミド(HPLCでモニタリング)の残留物を完全に加水分解し、沈降させ、非結晶性固体をろ過により分離した。固体をTHF(>99.9%、[109-99-9]Aldrich)に溶解し、CDI(>97%、[530-62-1]、Aldrich)を加えた後、トリエチルアミン(99.5+%、CAS[121-44-8]、Aldrich)を加えた。最後に、N-エチルグリシンメチルエステルヒドロクロリド(97%、[1121527-61-4]、Enamine)を加え、反応混合物を50℃に加熱した。冷却反応の際に水でクエンチし、2N HClでpHを3に調整した後、最下層を分離し、さらにブラインで洗浄する。その後、有機層をLiOH(水性、1N)で処理した後、2N HClでpHを3に調整した。有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥、ろ過、濃縮してガラス質固体を得て、これをエタノールに再溶解した後、適切な水酸化ナトリウムでその二ナトリウム塩を形成させた。最終生成物の二ナトリウム(2R)-2-[(カルボキシメチル)(エチル)カルバモイル]アミノ}-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}プロパノエイトをろ過により分離し、25℃の真空オーブン内で乾燥させ、ガラス瓶で窒素下にて48%の収率で包装した。
【0322】
この合成スキームは、以下に要約した。
【0323】
【化14】
【0324】
実施例3
(二ナトリウム(2S)-1-{[(1S)-1-カルボキシラト-2-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}エチル]カルバモイル]ピロリジン-2-カルボキシレートの合成
トルエン(99.5+%、CAS[108-88-3]、Aldrich)及び三臭化リン(99+%、CAS[7789-60-8]、Aldrich)の溶液を、ポットの温度を10℃以下に保つ調節率で、市販のフィトール(97%、CAS[7541-49-3]、トルエン、及びトリエチルアミン(99.5+%、CAS[121-44-8]、Aldrich)の混合物に加えた。混合物を20~25℃に加温し、反応完了のためにサンプリングした。温度を<25℃に保ちながら、水を添加することによって、撹拌して反応をクエンチした。混合物を撹拌し、全ての亜リン酸アミン塩を溶解した後、沈降させた。下部の水性層を分離し、有機層を15%のブラインで洗浄し、沈降させて分離した。有機層を回収した後、真空ストリッピングし、所望のフィチルブロミドからトルエンを除去した。市販のL-システインメチルエステル(98%、[18598-63-5]、Aldrich)とイソプロパノール(99.5%、[67-63-0]、Aldrich)とを24℃でケトルに充電した。炭酸ナトリウム(99.5%、粉末、[497-19-8]、Aldrich)をスターバルブを介して添加し、L-システインのナトリウム塩及び二酸化炭素を形成した。その後、混合物を激しく撹拌し、フィチルブロミドをゆっくり加えた。反応完了のために混合物をサンプリングした後、イソプロパノールを減圧下で除去した。水を加えて反応をクエンチし、固形物を溶解した後、2N HClでpHを7に調整した。混合物を30分間撹拌し、フィチルブロミド(HPLCでモニタリング)の残留物を完全に加水分解し、沈降させ、非結晶性固体をろ過により分離した。固体をTHF(>99.9%、[109-99-9]Aldrich)に溶解し、CDI(>97%、[530-62-1]、Aldrich)を加えた後、トリエチルアミン(99.5+%、CAS[121-44-8]、Aldrich)を加えた。最後に、プロリンメチルエステルヒドロクロリド(98%、[2133-40-6]、Aldrich)を加え、反応混合物を50℃に加熱した。冷却反応の際に、水でクエンチし、2N HClでpHを3に調整した後、最下層を分離し、さらにブラインで洗浄した。その後、有機層をLiOH(水性、1N)で処理した後、2N HClでpHを3に調整した。有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥、ろ過、濃縮してガラス質固体を得て、これをエタノールに再溶解した後、適切な水酸化ナトリウムでその二ナトリウム塩を形成させた。最終生成物の(二ナトリウム(2S)-1-{[(1S)-1-カルボキシラト-2-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}エチル]カルバモイル]ピロリジン-2-カルボキシレート)をろ過により分離し、25℃の真空オーブン内で乾燥させ、ガラス瓶で窒素下にて67%の収率で包装した。
【0325】
この合成スキームは、以下に要約した。
【0326】
【化15】
【0327】
実施例4
(三ナトリウム(2R)-2-[(ビス(カルボキシラトメチル)カルバモイル]アミノ}-3-(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}プロパノエイトの合成
トルエン(99.5+%、CAS[108-88-3]、Aldrich)及び三臭化リン(99+%、CAS[7789-60-8]、Aldrich)の溶液を、ポットの温度を10℃以下に保つ調節率で、市販のフィトール(97%、CAS[7541-49-3]、トルエン、及びトリエチルアミン(99.5+%、CAS[121-44-8]、Aldrich)の混合物に加えた。混合物を20~25℃に加温し、反応完了のためにサンプリングした。温度を25℃以下に保ちながら、水を添加することによって、撹拌して反応をクエンチした。混合物を撹拌し、全ての亜リン酸アミン塩を溶解した後、沈降させた。下部の水性層を分離し、有機層を15%のブラインで洗浄し、沈降させて分離した。有機層を回収した後、真空ストリッピングし、所望のフィチルブロミドからトルエンを除去した。市販のL-システインメチルエステル(98%、[18598-63-5]、Aldrich)とイソプロパノール(99.5%、[67-63-0]、Aldrich)とを24℃でケトルに充電した。炭酸ナトリウム(99.5%、粉末、[497-19-8]、Aldrich)をスターバルブを介して添加し、L-システインのナトリウム塩及び二酸化炭素を形成した。その後、混合物を激しく撹拌し、フィチルブロミドをゆっくり加えた。反応完了のために混合物をサンプリングした後、イソプロパノールを減圧下で除去した。水を加えて反応をクエンチし、固形物を溶解した後、2N HClでpHを7に調整した。混合物を30分間撹拌し、フィチルブロミド(HPLCでモニタリング)の残留物を完全に加水分解し、沈降させ、非結晶性固体をろ過により分離した。固体をTHF(>99.9%、[109-99-9]Aldrich)に溶解し、CDI(>97%、[530-62-1]、Aldrich)を加えた後、トリエチルアミン(99.5+%、CAS[121-44-8]、Aldrich)を加えた。最後に、ジメチル2,2’-イミノジアセテート(98%、[6096-81-7]、MolBase)を加え、反応混合物を50℃に加熱した。冷却反応の際に、水でクエンチし、2N HClでpHを3に調整した後、最下層を分離し、さらにブラインで洗浄した。その後、有機層をLiOH(水性、1N)で処理した後、2N HClでpHを3に調整した。有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥、ろ過、濃縮してガラス質固体を得て、これをエタノールに再溶解した後、適切な水酸化ナトリウムでその二ナトリウム塩を形成させた。最終生成物の(三ナトリウム(2R)-2-[(ビス(カルボキシラトメチル)カルバモイル]アミノ}-3-(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}プロパノエイトをろ過により分離し、25℃の真空オーブン内で乾燥させ、ガラス瓶で窒素下にて70%の収率で包装した。
【0328】
この合成スキームは、以下に要約した
【0329】
【化16】
【0330】
実施例5
二ナトリウムN-(2-(カルボキシラトメトキシ)アセチル)-S-((E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル)-1-システイナートの合成
表題化合物は、以下に示される合成スキームによって製造された。
【0331】
【化17】
【0332】
実施例6
(2S)-1-{[(1R)-1-カルボキシ-2-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}エチル]カルバモイル}ピペリジン-2-カルボン酸の合成
下記の一般的な実験過程は、以下に記載のように、実施例6~35に使用された。プロトン核磁気共鳴(H NMR)は、Brukerの500MHz分光器、ジメチルスルホキシド(DMSO-d6)、メタノール(CDOD)又はクロロホルム(CDCl)をH-NMR溶媒に使用した。重水素化溶媒の残留プロトン吸収を内部標準として使用した。全てのH-NMRの化学的移動は、百万分の1(ppm)でδ値で報告される。分割パターンの略語は、次のとおりである。s:一重線、d:二重線、t:三重線、q:四重線、br:ブロード、m:多重線、dd:二重線の二重線、dt:三重線の二重線。HPLC分析は、phenomenex luna C18(2) 50×4.6mmカラムを用いて行われた。移動相は、最初の2.5分間、毎分2mlの流速で、0.05%のトリフルオロ酢酸を含有する60%の水、40%のアセトニトリル、次に10分にかけて0.05%のTFAを含有する100%のアセトニトリルへの勾配である。溶離液は、214nmで観察された。
【0333】
【化18】
【0334】
上記に示した表題化合物は、実施例1~5に記載の一般的な過程に従って製造された。製造された化合物は、次のように特徴付けられる。H-NMR(500MHz、CDCl)δ0.78(m、12H)、1.21-1.64(m、26H)、1.72(s、3H)、1.76(m、1H)、2.02(br s、3H)、2.48(br s、1H)、2.27(t、1H)、3.42(m、4H)、3.81(dd、1H)、4.27(dd、1H)、4.82(t、1H)、5.20(t、1H)、13C-NMR(125MHz、CDCl)δ16.1、19.1、21.9、23.7、25.4、25.6、25.7、26.2、26.7、34.4、37.8、38.0、38.2、38.9、39.3、40.2、40.6、47.7、53.0、116.3、137.4、140.3、150.2、167.2、168.7。
【0335】
実施例7
三ナトリウム(2R)-2-{[ビス(カルボキシラトメチル)カルバモイル]アミノ}-3-(メチルスルファニル)プロパノエイト
【0336】
【化19】
【0337】
S-メチルシステインメチルエステル(500mg、2.69mmol)をTHF(10mL)に懸濁した後、ヒューニッヒ塩基(470μL、2.69mmol)、続いてCDI(611mg、3.23mmol)を加えた。反応を室温で2時間にかけて撹拌し、TLCによりモニタリングした。一度開始物質が消耗したら、ジエチルイミノアセテート(414μL、2.69mmol)を加え、反応をさらに一晩撹拌した。反応混合物をEtOAc(20mL)と水(20mL)との間で濃縮させた。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、シリカゲルプラグを通過させて濃縮した。得られたトリ-エステルの誘導体をTHF(10mL)に溶解し、1N NaOH(3mL)を加えた。反応混合物を室温で6時間かけて撹拌した後、1N HCl(4mL)で酸性化し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥さ、濃縮させて表題化合物(235mg、29%)を算出した。
【0338】
この化合物は、次のように特徴付けられる。(535mg、82%収率):H-NMR(500MHz、D20)δ2.11(s、3H)、2.72(dd、1H)、2.81(dd、1H)、3.70(m、2H)、3.82(d、2H)、4.26(dd、1H)、13C-NMR(125MHz、D20)δ25.7、36.6、52.22、55.1、158.3、178.2、182.5。
【0339】
実施例8
2-{[アダマンタン-1-イル)カルバモイル(カルボキシメチル)アミノ}酢酸の合成
【0340】
【化20】
【0341】
DCM中のアダマンチルイソシアネート(500mg、2.82mmol)の溶液にジエチルイミノアセテート(433μL、2.82mmol)を加え、反応混合物を室温で2時間かけて撹拌した。反応をTLCでモニタリングした。反応混合物を濃縮し、THD(10mL)に再溶解した。1N NaOH(6mL)を加え、混合物を室温で4時間かけて撹拌した。加水分解をHPLCでモニタリングした。1N HCl(8mL)を加えた後、EtOAcで抽出して生成物を分離した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して表題化合物(743mg、85%)を白色固体として得た。
【0342】
この化合物は、次のように特徴付けられる。H-NMR(500MHz、CDCl)δ1.62(m、6H)、2.03(m、9H)、4.02(s、4H)、4.98(s、1H)、13C-NMR(125MHz、CDCl)δ29.2、38.7、41.9、51.6、158.1、171.2。
【0343】
実施例9
1-{[(1R)-1-カルボキシ-2-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-スルファニル}エチル]カルバモイル}アゼチジン-2-カルボン酸の合成
【0344】
【化21】
【0345】
上記に示した表題化合物は、実施例1~5に記載の一般的な過程に従って製造される。この化合物は、次のように特徴付けられる。H-NMR(500MHz、CDCl)δ0.79(m、12H)、1.19-1.61(m、24H)、1.66(m、1H)、1.71(s、3H)、1.98(br s、3H)、2.84(m、2H)、3.27(m、2H)、3.47(m、1H)、4.24(m、2H)、4.59(m、1H)、5.22(m、1H)、13C-NMR(125MHz、CDCl)δ17.3、20.1、20.8、23.7、26.1、26.3、26.6、29.8、34.2、38.7、39.1、39.4、39.9、53.2、54.4 117.5、142.2、158.8、167.1、168.7。
【0346】
実施例10
6-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル]ピリジン-3-カルボン酸の合成
【0347】
【化22】
【0348】
イソプロパノール(5mL)中のフィチルシステインメチルエステル(464mg、1.03mmol)及び2-クロロ-5-カルボン酸メチル-ピリジン(181mg、1.03mmol)の溶液に、CsCO(738mg、2.27mmol)を加えた。反応混合物を4時間かけて穏やかな還流で加熱し、HPLCでモニタリングした。一度開始物質が完全に消耗したら、反応混合物を濃縮し、THF(2mL)、続いて1N NaOH(2mL)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。16時間後、HPLCはジエステル中間体が完全に加水分解され、反応混合物が1N HClでpH3に酸性化し、EtOAc(2×10mL)で抽出されることを示した。有機層を濃縮し、生成物(28mg、7%収率)をカラムクロマトグラフィーで分離した。
【0349】
上記の表題化合物は、次のように特徴付けられる。H-NMR(500MHz、CDCl)δ0.88(m、12H)、1.21-1.65(m、18H)、1.66(m、1H)、1.71(s、3H)、1.98(br s、3H)、2.21(m、2H)、3.77(m、1H)、5.27(m、1H)、13C-NMR(125MHz、CDCl)δ17.9、18.6、20.3、20.4、20.6、20.8、29.0、30.5、39.4、109.2、114.1、124.7、137.9、139.2、150.1、162.2、172.0。
【0350】
実施例11
2-{[(1R)-1-カルボキシ-2-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}エチル]アミノ}-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-5-カルボン酸二ナトリウムの合成
【0351】
【化23】
【0352】
イソプロパノール(5mL)中のフィチルシステインメチルエステル(464mg、1.03mmol)及び2-クロロ-4-トリフルオロメチル-5-カルボン酸メチル-ピリミジン(262mg、1.03mmol)の溶液に、CsCO(738mg、2.27mmol)を加えた。反応混合物を4時間かけて穏やかな還流で加熱し、HPLCでモニタリングした。一度開始物質が完全に消耗したら、反応混合物を濃縮し、THF(2mL)、続いて1N NaOH(2mL)を加えた。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。16時間後、HPLCはジエステル中間体が完全に加水分解され、反応混合物が1N HClでpH3に酸性化し、EtOAc(2×10mL)で抽出されることを示した。有機層を濃縮し、生成物(211mg、34%収率)をカラムクロマトグラフィーで分離した。上記の表題化合物は、次のように特徴付けられる。H-NMR(500MHz、CDCl)δ0.87(m、12H)、1.21-1.63(m、22H)、1.68(m、1H)、1.77(s、3H)、2.03(br s、2H)、3.07-3.22(m、3H)、4.58(m、1H)、5.29(m、1H)、13C-NMR(125MHz、CDCl)δ14.9、18.8、20.2、20.5、20.6、20.7、28.8、30.7、39.2、39.5、52.1、110.5、119.9、126.6、126.9、129.6、131.6、139.1、139.6、161.9、172.1。
【0353】
実施例12
二ナトリウム(2R)-2-[2-(カルボキシラトメトキシ)アセトアミド]-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}プロパノエイトの合成
【0354】
【化24】
【0355】
ジグリコール酸無水物(154mg、1.33mmol)を室温でTHF(10mL)中のフィチルシステインメチルエステル(500mg、1.21mmol)の撹拌溶液に添加した。反応混合物を50℃で30分間加熱し、この時の反応は、HPLCにより完了した。次いで、粗反応混合物を室温に冷却し、1M水酸化リチウム溶液(5mL)を室温で加えた。十分な量のメタノールを2相混合物に添加し、均一な溶液になるようにして、50℃で1時間撹拌した。反応をHPLCでモニタリングして完了した。完了の際、反応物を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈し、1N HCl溶液で1回、ブラインで1回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。酢酸エチルをろ過し、ロータリーエバポレーター上で濃縮乾燥させ、褐色油状物として354mgの生成物を56%の収率で得た。上記の表題化合物は、次のように特徴付けられる。H NMR(500MHz、クロロホルム-d)δ8.39(s、2H)、7.89(d、J=8.4Hz、1H)、5.35-5.16(m、1H)、4.89(ddd、J=8.5、6.7、4.9Hz、1H)、4.43-4.26(m、2H)、4.22-4.09(m、2H)、3.48-3.15(m、2H)、3.07-2.86(m、2H)、2.05-1.94(m、2H)、1.69(s、3H)、1.54(dp、J=13.2、6.6Hz、1H)、1.44-1.02(m、19H)、0.92-0.83(m、12H)。
【0356】
実施例13
(2R)-2-{[(カルボキシメチル)(メチル)カルバモイル]アミノ}-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}プロパン酸の合成
【0357】
【化25】
【0358】
カルボニルジイミダゾール(107mg、1.2mmol)を室温でTHF(10mL)中のフィチルシステインメチルエステル(500mg、1.21mmol)の溶液に添加し、開始物質の消耗がHPLCにより観察されるまで撹拌した。イミダゾールウレアへの転換が完了した後、サルコシンヒドロクロリド(201mg、1.44mmol)を前記反応混合物に加えた後、室温でN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.418mL、2.4mmol)を加えた。反応混合物を50℃で加熱し、イミダゾールウレアの消耗についてHPLCでモニタリングした。イミダゾールウレアが消失した後、0.552mLの1M水酸化リチウム溶液を反応混合物に添加し、室温で撹拌した。ビスエステルの加水分解がHPLCにより完了すると、反応混合物を酢酸エチルと10%クエン酸溶液との間に分配させた。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。酢酸エチルをろ過、濃縮して乾燥した。粗生成物を溶離液として酢酸エチル/ヘキサンを使用するフラッシュクロマトグラフィーで精製し、白色ワックス状固体として74mgの生成物を78%の収率で得た。H NMR(500MHz、メタノール-d4)δ5.29-5.20(m、1H)、4.49(dd、J=8.1、4.9Hz、1H)、4.15-4.02(m、2H)、3.33-3.24(m、2H)、3.21-3.14(m、1H)、3.04(s、3H)、3.03-2.99(m、1H)、2.86(dd、J=14.0、8.1、1.0Hz、1H)、2.05-2.00(m、2H)、1.70(d、J=1.4Hz、3H)、1.60-1.54(m、1H)、1.52-1.04(m、19H)、0.95-0.82(m、12H)。この化合物は化合物Cに相当する。
【0359】
実施例14
(2S)-1-{[(1R)-1-カルボキシ-2-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}エチル]カルバモイル}ピロリジン-2-カルボン酸の合成
【0360】
【化26】
【0361】
表題化合物を実施例13の過程に従って製造し、216mgの灰白色固体を33%の収率で得た。上記の表題化合物は、次のように特徴付けられる。H NMR(501MHz、クロロホルム-d)δ8.82(s、2H)、5.61-5.44(m、1H)、5.21(t、1H)、4.67-4.43(m、2H)、3.60-3.33(m、2H)、3.28-3.13(m、2H)、3.07-2.90(m、2H)、2.43-1.92(m、6H)、1.66(s、3H)、1.54(dp、J=13.3、6.7Hz、1H)、1.47-1.01(m、19H)、0.95-0.78(m、12H)。
【0362】
実施例15
(2R)-2-{[(カルボキシメチル)(エチル)カルバモイル]アミノ}-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチル-ヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}}プロパン酸の合成
【0363】
【化27】
【0364】
表題化合物を実施例13の過程に従って製造し、335mgの淡黄色油状物を49%の収率で得た。H NMR(501MHz、クロロホルム-d)δ7.85(s、2H)、5.72(d、J=7.0Hz、1H)、5.20(t、J=7.7Hz、1H)、4.59(d、J=6.0Hz、1H)、4.18-3.91(m、2H)、3.37(d、J=7.5Hz、2H)、3.20(qd、J=13.0、7.8Hz、2H)、2.98(qd、J=13.8、5.6Hz、3H)、2.04-1.91(m、2H)、1.65(s、3H)、1.53(hept、J=6.6Hz、1H)、1.46-1.00(m、19H)、0.91-0.81(m、12H)。
【0365】
実施例16
(2R)-2-{[ビス(カルボキシメチル)カルバモイル]アミノ}-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}プロパン酸の合成
【0366】
【化28】
【0367】
表題化合物を実施例13の過程に従って製造し、407mgの泡沫状性黄色固体を60%の収率で得た。H NMR(500MHz、メタノール-d4)δ5.27-5.19(m、1H)、4.47(dd、J=7.8、5.0Hz、1H)、4.21-4.10(m、4H)、3.28(dd、J=13.3、8.2Hz、1H)、3.16(dd、J=13.2、7.3Hz、1H)、2.98(dd、J=13.9、5.0Hz、1H)、2.83(ddd、J=13.9、7.8、1.2Hz、1H)、2.04(td、J=7.2、3.0Hz、2H)、1.70(s、3H)、1.55(dq、J=13.3、6.7Hz、1H)、1.51-1.06(m、19H)、0.93-0.81(m、12H)。
【0368】
実施例17
二ナトリウム1-{[(1R)-1-カルボキシラト-2-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}エチル]カルバモイル}ピペリジン-4-カルボキシレートの合成
【0369】
【化29】
【0370】
表題化合物を実施例13の過程に従って製造し、175mgのカルボン酸を算出した。分離されたカルボン酸を2mLのエタノールに溶解した後、室温で0.062mLの10N水酸化ナトリウム溶液を加え、1時間かけて撹拌した。得られた懸濁液を2mLのアセトニトリルで粉砕、ろ過し、アセトニトリルで洗浄して、120mgの白色固体を17%の収率で得た。H NMR(501MHz、酸化重水素)δ5.18-5.04(m、1H)、4.14(dd、J=7.8、4.9Hz、1H)、3.98(d、J=12.3Hz、1H)、3.75(d、J=12.6Hz、1H)、3.19-3.03(m、2H)、2.89-2.60(m、4H)、2.30-2.16(m、1H)、1.97-1.82(m、2H)、1.82-1.69(m、2H)、1.57(s、3H)、1.53-0.91(m、20H)、0.78(d、J=6.1Hz、12H)。
【0371】
実施例18
二ナトリウム(2S,4R)-1-{[(1R)-1-カルボキシラト-2-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}エチル]カルバモイル}-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボキシレートの合成
【0372】
【化30】
【0373】
表題化合物を実施例13の過程に従って製造し、灰白色固体200mgを33%の収率で得た。H NMR(500MHz、酸化重水素)δ4.94-4.78(m、1H)、4.23-4.00(m、1H)、3.99-3.86(m、1H)、3.48-3.02(m、2H)、3.02-2.68(m、3H)、2.76-2.39(m、2H)、2.01-1.80(m、2H)、1.79-1.53(m、2H)、1.40-1.21(m、3H)、1.21-0.64(m、20H)、0.52(d、J=6.5Hz、12H)。
【0374】
実施例19
(2R)-2-{[(E)-ピペリジン-1-カルボニル]アミノ}-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}プロパン酸の合成
【0375】
【化31】
【0376】
表題化合物を実施例13の過程に従って製造し、淡褐色油状物200mgを18%の収率で得た。H NMR(501MHz、メタノール-d4)δ6.73(ddt、J=7.8、6.5、1.3Hz、1H)、5.90(dd、J=6.8、4.5Hz、1H)、4.90(dtd、J=13.3、8.0、5.4Hz、4H)、4.71(qd、J=13.0、7.8Hz、2H)、4.50(dd、J=13.6、4.6Hz、1H)、4.38(dd、J=13.6、6.7Hz、1H)、3.55-3.48(m、2H)、3.17(s、3H)、3.15-2.99(m、5H)、2.98-2.52(m、21H)、2.44-2.31(m、12H)。
【0377】
実施例20
二ナトリウム1-{[(1R)-1-カルボキシラト-2-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}エチル]カルバモイル}ピペリジン-3-カルボキシレートの合成
【0378】
【化32】
【0379】
表題化合物を実施例13の過程に従って製造し、523mgの灰白色固体を39%の収率で得た。H NMR(501MHz、酸化重水素)δ5.19-5.06(m、1H)、4.17-4.03(m、1H)、3.93-3.76(m、2H)、3.65-3.30(m、2H)、3.21-2.65(m、4H)、2.29-2.10(m、2H)、1.99-1.83(m、4H)、1.57(s、3H)、1.47-1.39(m、1H)、1.39-0.92(m、19H)、0.90-0.65(m、12H)。
【0380】
実施例21
(2R)-2-[(ピリミジン-2-イル)アミノ]-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}プロパン酸の合成
【0381】
【化33】
【0382】
イソプロパノール(5mL)中のフィチルシステインヒドロクロリド(500mg、1.11mmol)の撹拌溶液に室温で2-クロロピリミジン(127mg、1.11mmol)を添加した後、1mLの飽和重炭酸ナトリウム溶液を添加した。反応物を封管で3日間110℃で加熱した。開始物質がHPLCにより一度消耗したら、反応混合物を室温に冷却した後、3mLの1N LiOH溶液を添加した。反応混合物を一晩撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、10%クエン酸溶液で1回、ブラインで1回洗浄した後、硫酸マグネシウム上で乾燥した。酢酸エチル溶液をろ過し、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、粗生成物を褐色油状物として得た。油状物を溶離液としてヘキサン中の酢酸エチルを使用するフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、173mgの生成物を白色固体として32%の収率で得た。上記の表題化合物は、次のように特徴付けられる。H NMR(501MHz、メタノール-d4)δ8.29(d、J=4.8Hz、2H)、6.66(t、J=4.9Hz、1H)、5.20(td、J=7.9、1.7Hz、1H)、4.77-4.70(m、1H)、3.20(tt、J=13.2、6.4Hz、2H)、3.14-3.05(m、1H)、3.00(dd、J=13.8、6.4Hz、1H)、2.03-1.94(m、2H)、1.61(s、3H)、1.52(dq、J=13.3、6.6Hz、1H)、1.45-0.98(m、19H)、0.94-0.77(m、12H)。
【0383】
実施例22
2-{[(1R)-1-カルボキシ-2-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]-スルファニル}エチル]アミノ}ピリミジン-4-カルボン酸の合成
【0384】
【化34】
【0385】
表題化合物を実施例21の過程に従って製造し、486mgの白色固体を83%の収率で得た。H NMR(501MHz、メタノール-d4)δ8.49(d、J=4.9Hz、1H)、7.27(d、J=4.9Hz、1H)、5.18(t、J=7.7Hz、1H)、4.86(s、1H)、3.25-3.13(m、2H)、3.12-3.04(m、1H)、3.02-2.93(m、1H)、2.04-1.85(m、2H)、1.58(s、3H)、1.49(dt、J=13.3、6.6Hz、1H)、1.42-0.95(m、19H)、0.87-0.77(m、12H)。
【0386】
実施例23
2-{[(1R)-1-カルボキシ-2-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}エチル]アミノ}ピリミジン-5-カルボン酸の合成
【0387】
【化35】
【0388】
表題化合物を実施例21の過程に従って製造し、497mgの白色固体を85%の収率で得た。H NMR(501MHz、メタノール-d4)δ8.84(d、J=7.5Hz、2H)、5.22(t、J=7.5Hz、1H)、4.90-4.87(m、1H)、3.28(dd、J=13.4、8.0Hz、1H)、3.20(dd、J=13.3、7.4Hz、1H)、3.16-3.09(m、1H)、2.97(dd、J=14.0、7.8Hz、1H)、2.01(t、J=7.4Hz、2H)、1.66(d、J=1.3Hz、3H)、1.55(dt、J=13.3、6.7Hz、1H)、1.47-1.04(m、19H)、0.96-0.83(m、12H)。
【0389】
実施例24
(2R)-2-{[(カルボキシメチル)(メチル)カルバモイル]アミノ}-3-{[(2Z)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}プロパン酸の合成
【0390】
【化36】
【0391】
二ナトリウム(2R)-2-{[(カルボキシメチル)(メチル)カルバモイル]アミノ}-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}プロパノエイト(5.0g、8.94mmol)を10mLの水に溶解した後、室温で亜硫酸ナトリウム(7.07g、44.7mmol)を加えた。溶液を80℃で72時間加熱した後、室温に冷却した。粗反応物を酢酸エチルで1回抽出した。水性層を10%クエン酸溶液で酸性化させて懸濁液を得て、これを酢酸エチルの25mL画分で3回抽出した。合わせられた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させて、酢酸エチル溶液をろ過し、ロータリーエバポレーター上で濃縮させて、粗生成物を柚色固体として得た。粗生成物を溶離液としてヘキサン中の酢酸エチルを使用するフラッシュクロマトグラフィーで精製し、トランス:シース異性体の5:1混合物を得た。前記異性体を分取用HPLCで分離し、白色ワックス状固体として70mgの生成物を2%の収率で得た。H NMR(500MHz、メタノール-d4)δ5.26(td、J=1.9、1.6Hz、1H)、4.48(dd、J=7.8、4.9Hz、1H)、4.08(d、J=1.3Hz、2H)、3.29-3.18(m、2H)、3.04(s、3H)、3.02-2.99(m、1H)、2.89(dd、J=13.8、7.8Hz、1H)、2.14-2.06(m、2H)、1.75(d、J=1.4Hz、3H)、1.55(dq、J=13.4、6.7Hz、1H)、1.50-1.06(m、19H)、0.98-0.83(m、12H)。この化合物は、化合物BIに相当する。
【0392】
実施例25
(2S)-1-{[(1R)-1-カルボキシ-2-{[(2E,6E)-3,7,11,15-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-イル]スルファニル}エチル]カルバモイル}ピロリジン-2-カルボン酸の合成
【0393】
【化37】
【0394】
ステップ1:N-(シアノメチル)グリシンアミドの合成:室温でアセトニトリル20mL中のグリシンアミド(1g、13.5mmol)と重炭酸ナトリウム(2.03g、24.2mmol)のスラリーにブロモアセトニトリル(0.779mL、14.8mmol)を加えた。反応物を60℃で6時間加熱し、TLCでモニタリングした。開始物質が残っていなければ、粗反応物を室温に冷却し、ろ過、濃縮して黄色固体として生成物を得た。固体をさらに精製することなく次のステップに進めた。
【0395】
ステップ2:(2S)-1-{[(1R)-1-カルボキシ-2-{[(2E,6E)-3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-イル]スルファニル}エチル]カルバモイル}ピロリジン-2-カルボン酸の合成:表題化合物を実施例1~5の過程に従って製造し、8mgの黄褐色固体を1%の収率で得た。H NMR(500MHz、メタノール-d4)δ5.22(t、J=7.8Hz、1H)、4.65(dd、J=11.8、4.5Hz、1H)、4.11(ddd、J=17.0、14.4、8.1Hz、4H)、3.28-3.08(m、4H)、2.02-1.96(m、2H)、1.68(d、J=4.0Hz、3H)、1.58-1.49(m、1H)、1.48-1.02(m、19H)、0.93-0.79(m、12H)。
【0396】
実施例26
5-{[(1R)-1-カルボキシ-2-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}エチル]アミノ}ピラジン-2-カルボン酸の合成
【0397】
【化38】
【0398】
フィチルシステインメチルエステル(500mg、1.21mmol)、2-ピラジンカルボン酸-5-クロロ-エチルエステル(208mg、1.21mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.421mL、2.42mmol)を5mLのジオキサンに溶解させ、封管で72時かけて120℃で加熱した。反応混合物を室温に冷却し、テトラヒドロフランで希釈し、ブラインで1回洗浄した。1N水酸化リチウム溶液(3.6ML)を前記反応混合物に加え、室温で一晩撹拌した。粗反応物を酢酸エチルで希釈し、10%クエン酸溶液及びブラインで続けて洗浄した。混合物を硫酸マグネシウム上で乾燥、ろ過し、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、オレンジ色固形物として粗生成物を得て、これをヘキサン中の酢酸エチルを使用してフラッシュクロマトグラフィーで精製し、淡黄色固形物として91%の生成物を14%の収率で得た。H NMR(500MHz、メタノール-d4)δ10.19(d、J=1.4Hz、1H)、9.56(d、J=1.3Hz、1H)、6.75-6.66(m、1H)、6.38-6.31(m、1H)、4.76(dd、J=13.4、8.0Hz、1H)、4.69(dd、J=13.6、7.6Hz、1H)、4.60(dd、J=13.9、4.7Hz、1H)、4.40(dd、J=14.0、8.1Hz、1H)、3.49(t、J=7.4Hz、2H)、3.15(s、3H)、3.03(hept、J=6.6Hz、1H)、2.96-2.51(m、12H)、2.42-2.30(m、12H)。
【0399】
実施例27
2-{[(1R)-1-カルボキシ-2-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}エチル]アミノ}-4-メチルピリミジン-5-カルボン酸の合成
【0400】
【化39】
【0401】
表題化合物を実施例26の過程に従って製造し、250mgの白色固体を38%の収率で得た。H NMR(500MHz、メタノール-d4)δ8.81(d、J=14.4Hz、1H)、5.26-5.16(m、1H)、4.92-4.85(m、1H)、3.28(dd、J=13.4、8.1Hz、1H)、3.20(dd、J=13.4、7.5Hz、1H)、3.12(dd、J=14.0、4.7Hz、1H)、3.02-2.90(m、1H)、2.67(s、3H)、2.03-1.97(m、2H)、1.66(s、3H)、1.54(dq、J=13.3、6.6Hz、1H)、1.49-1.03(m、19H)、0.94-0.80(m、12H)。
【0402】
実施例28
(2R)-2-({2-[(カルボキシメチル)(メチル)アミノ]ピリミジン-4-イル}アミノ)-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}プロパン酸の合成
【0403】
【化40】
【0404】
ステップ1:メチル(2R)-2-[(2-クロロピリミジン-4-イル)アミノ]-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}プロパノエイトの合成:テトラヒドロフラン(10mL)中のフィチルシステインメチルエステル(750mg、1.81mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(630mL、3.62mmol)の溶液に添加した2、4-ジクロロピリミジン(270mg、1.81mmol)を氷/水浴で冷却した。反応を、封管で110℃にて一晩加熱し、HPLCでモニタリングした。HPLCは、位置異性体の4:1混合物を示した。反応混合物を室温に冷却し、ロータリーエバポレーター上で濃縮し、粗黄色油状物を溶離液としてヘキサン中の酢酸エチルを使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、557mgの生成物を58%の収率で得た。H NMR(500MHz、メタノール-d4)δ7.94(d、J=6.0Hz、1H)、6.58(d、J=6.0Hz、1H)、5.29-5.10(m、1H)、4.95(t、J=6.7Hz、1H)、3.77(s、3H)、3.29(dd、J=13.4、8.2Hz、1H)、3.19(dd、J=13.5、7.7Hz、1H)、3.04(dd、J=14.0、5.1Hz、1H)、2.93-2.59(m、1H)、2.08-2.03(m、2H)、1.69(s、3H)、1.59-1.51(m、1H)、1.51-1.04(m、19H)、0.97-0.84(m、12H)。
【0405】
ステップ2:(2R)-2-({2-[(カルボキシメチル)(メチル)アミノ]ピリミジン-4-イル}アミノ)-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1]スルファニル}プロパン酸の合成:メチル(2R)-2-[(2-クロロピリミジン-4-イル)アミノ]-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}プロパノエイト(500mg、0.950mmol)、サルコシンメチルエステルヒドロクロリド(398mg、2.85mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.827mL、4.75mmol)を封管で組み合わせ、3時間かけて120℃で加熱した。反応混合物をテトラヒドロフランで希釈し、ブラインで1回洗浄した。次に、有機層に1M水酸化リチウム溶液(2.85mL)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、10%w/vクエン酸溶液、次いでブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。酢酸エチルをろ過し、ロータリーエバポレーター上で濃縮して、粗生成物を黄色油状物として得て、これを溶離液としてヘキサン中の酢酸エチルを使用するフラッシュクロマトグラフィーで精製し、白色固体として生成物320mgを59%の収率で得た。H NMR(500MHz、酸化重水素)δ7.51(s、2H)、6.05(s、1H)、5.07(s、1H)、3.79-3.41(m、2H)、3.26-2.75(m、7H)、1.79(s、2H)、1.54(d、J=41.6Hz、3H)、1.44-0.80(m、19H)、0.71(d、J=9.2Hz、12H)。
【0406】
実施例29
(2R)-2-({4-[(カルボキシメチル)(メチル)アミノ]ピリミジン-2-イル}アミノ)-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}プロパン酸の合成
【0407】
【化41】
【0408】
ステップ1:メチル(2R)-2-[(4-クロロピリミジン-2-イル)アミノ]-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}プロパノエイトの合成:表題化合物を実施例28、ステップ1の過程に従って製造し、169mgの生成物を17%の収率で得た。H NMR(500MHz、クロロホルム-d)δ8.16(d、J=5.1Hz、1H)、6.68-6.59(m、1H)、5.19(t、J=7.8Hz、1H)、4.86(d、J=5.8Hz、1H)、3.77(d、J=5.5Hz、3H)、3.25-3.08(m、2H)、3.08-2.99(m、1H)、2.95(dd、J=13.8、6.5Hz、1H)、2.04-1.90(m、2H)、1.62(d、J=5.3Hz、3H)、1.55-1.46(m、1H)、1.44-0.99(m、19H)、0.86(dd、J=10.7、6.5Hz、12H)。
【0409】
ステップ2:(2R)-2-({4-[(カルボキシメチル)(メチル)アミノ]ピリミジン-2-イル}アミノ)-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}プロパン酸の合成:表題化合物を実施例28、ステップ2の過程に従って製造し、13mgの生成物を9%の収率で得た。H NMR(500MHz、塩化メチレン-d2)δ7.58(s、1H)、7.25(s、1H)、6.36-5.89(m、1H)、5.15-4.91(m、1H)、4.41-4.06(m、2H)、3.63-3.06(m、7H)、1.93(d、J=42.5Hz、2H)、1.58(d、J=48.8Hz、3H)、1.47-0.86(m、20H)、0.80-0.64(m、12H)。
【0410】
実施例30
(2R)-2-アミノ-3-メチル-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}ブタン酸の合成
【0411】
【化42】
【0412】
表題化合物をフィチルシステインの過程に従って製造し、2.4gの黄色固体を83%の収率で得た。H NMR(500MHz、クロロホルム-d)δ5.42(tq、J=6.2、1.0Hz、1H)、3.81(s、1H)、3.15(ddq、J=12.5、6.2、1.0Hz、1H)、3.10-3.02(m、1H)、2.00(td、J=7.11、1.1Hz、2H)、1.72(s、3H)、1.65-1.54(m、1H)、1.54-1.12(M、25H)、0.93-0.70(m、12H)。
【0413】
実施例31
二ナトリウム(2R)-2-(3-カルボキシラトプロパンアミド)-3-メチル-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}ブタノエートの合成
【0414】
【化43】
【0415】
コハク酸無水物(233mg、2.33mmol)を室温で10mLの9:1のエタノール:水混合物中の(2R)-2-アミノ-3-メチル-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}ブタン酸(1g、2.33mmol)の撹拌懸濁液に添加し、60℃で一晩加熱した。反応を室温に冷却し、ロータリーエバポレーター上で濃縮し、酢酸エチルで希釈し、10%w/vクエン酸溶液及びブラインで続けて洗浄した。酢酸エチルを硫酸マグネシウム上で乾燥、ろ過し、ロータリーエバポレーター上で濃縮し、粗生成物を黄色油状物として得て、これを溶離液としてヘキサン中の酢酸エチルを使用するフラッシュクロマトグラフィーで精製し、カルボン酸を算出した。精製されたカルボン酸を10mLのエタノールに溶解し、エタノール中の21%ナトリウムエトキシド溶液をpHが9になるまでゆっくり加えた。得られたエタノール性懸濁液を2000rpmで2分間遠心分離した。エタノールをデカントし、エタノール洗浄を2回繰り返した。次いで、アセトニトリルをエタノールに取り替えて、洗浄を3回繰り返した。得られた固体をロータリーエバポレーターで乾燥し、121mgの白色固体を9%の収率で得た。H NMR(500MHz、酸化重水素)δ5.11(t、J=8.0Hz、1H)、4.13(s、1H)、3.15-3.03(m、2H)、2.61-2.27(m、4H)、1.99-1.79(m、2H)、1.57(s、3H)、1.50-1.39(m、1H)、1.39-0.95(m、25H)、0.79(d、J=6.2Hz、12H)。
【0416】
実施例32
二ナトリウム2-{[(1R)-1-カルボキシラト-2-メチル-2-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル|}プロピル]アミノ}ピリミジン-5-カルボキシレートの合成
【0417】
【化44】
【0418】
2-クロロピリミジン-5-カルボン酸メチルエステル(434mg、2.33mmol)をジオキサン(10mL)中の(2R)-2-アミノ-3-メチル-3-{[(2E)-3,7,11,15-テトラメチルヘキサデカ-2-エン-1-イル]スルファニル}ブタン酸(1g、2.33mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.21mL、6.99mmol)の撹拌懸濁液に加え、60℃で一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却し、ブラインで1回洗浄した。反応混合物を5mLの追加のジオキサンで希釈した後、1M水酸化リチウム(10mL)を室温で添加し、一晩撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、10%w/vクエン酸溶液、続いてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。酢酸エチルをろ過し、ロータリーエバポレーター上で濃縮させ、粗生成物を黄色油状物として得て、これを溶離液としてヘキサン中の酢酸エチルを使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、精製したカルボン酸を灰白色固体として得た。カルボン酸をエタノールに溶解させた後、pHが9になるまで固体ナトリウムエトキシドを添加した。得られたエタノール性懸濁液を2000rpmで2分間遠心分離した。エタノールをデカントし、エタノール洗浄を2回繰り返した。続いて、アセトニトリルをエタノールに取り替えて、洗浄を3回繰り返した。得られた固体をロータリーエバポレーター上で乾燥し、165mgの白色固体を12%の収率で得た。H NMR(500MHz、酸化重水素)δ8.61(s、2H)、5.07(s、1H)、4.21(s、1H)、3.17-3.02(m、2H)、1.92-1.74(m、2H)、1.49(d、J=6.4Hz、3H)、1.44-0.82(m、26H)、0.79-0.64(m、12H)。
【0419】
実施例33
三ナトリウム(2R)-2-{[ビス(カルボキシラトメチル)カルバモイル]アミノ}-3-{[(2E,6E)-3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-イル]スルファニル}プロパノエイトの合成
【0420】
【化45】
【0421】
表題化合物を実施例1~5の過程に従って製造し、カルボン酸を得た。分離されたカルボン酸を10mLのエタノールに溶解させ、十分な固体ナトリウムエトキシドを加えて、混合物のpHを7に至るようにした。得られたエタノール性懸濁液を2000rpmで2分間遠心分離した。エタノールをデカントし、エタノール洗浄を2回繰り返した。続いて、アセトニトリルをエタノールに取り替えて、洗浄を3回繰り返した。得られた固体をロータリーエバポレーターで乾燥し、613mgの白色固体を75%の収率で得た。H NMR(500MHz、酸化重水素)δ5.19(td、J=8.0、4.1Hz、1H)、5.15-5.05(m、2H)、4.13(dd、J=7.4、4.6Hz、1H)、3.84(d、J=18.0Hz、2H)、3.70(d、J=18.0Hz、2H)、3.13(tt、J=13.1、6.4Hz、2H)、2.87(dd、J=13.6、4.7Hz、1H)、2.75(ddd、J=13.7、7.4、2.7Hz、1H)、2.11-1.88(m、8H)、1.67-1.48(m、12H)。
【0422】
実施例34
(2S)-1-{[(1R)-1-カルボキシ-2-{[(2E,6E)-3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-イル]スルファニル}エチル]カルバモイル}ピロリジン-2-カルボン酸の合成
【0423】
【化46】
【0424】
表題化合物を上記に記載の過程に従って製造し、209mgの黄褐色固体を30%の収率で得た。H NMR(500MHz、メタノール-d4)δ5.24(q、J=7.8Hz、1H)、5.19-5.07(m、2H)、4.54-4.48(m、1H)、4.41(ddd、J=11.2、8.5、2.5Hz、1H)、3.63-3.42(m、2H)、3.28(ddd、J=13.8、8.3、6.0Hz、1H)、3.23-3.08(m、1H)、3.01(dt、J=14.0、4.9Hz、1H)、2.85(ddd、J=21.0、13.9、7.9Hz、1H)、2.29-1.94(m、12H)、1.82-1.57(m、12H)。
【0425】
実施例35
(2R)-2-[2-(カルボキシメトキシ)アセトアミド]-3-{[(2E,6E)-3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-イル]スルファニル}プロパン酸の合成
【0426】
【化47】
【0427】
表題化合物を上記の過程に従って製造し、250mgの淡褐色油状物を50%の収率で得た。H NMR(500MHz、メタノール-d4)δ5.25(q、J=8.3Hz、1H)、5.20-5.06(m、2H)、4.68(dd、J=8.4、4.6Hz、1H)、4.27-4.15(m、4H)、3.31-3.14(m、2H)、3.06(ddd、J=14.0、4.6、2.6Hz、1H)、2.92-2.80(m、1H)、2.22-1.95(m、8H)、1.79-1.59(m、12H)。
【0428】
生物学的実施例
浮腫の抑制、紅斑の抑制及びMPOの抑制で測定される通り、化合物の抗炎症性又は炎症誘発性特性を含む、提供される化合物の生物学的活性を測定するために用いられるin vivo分析を以下に記載する。
【0429】
実施例A
抗菌分析
最小発育阻止濃度(MIC)を測定するために、試薬をビヒクル(5%v/v)に溶解させた後、バクテリア懸濁液に添加した。P.acnes(ATCC(登録商標)6919TM)を10CFU/mLで2倍連続希釈(0.25~500μg/mL)の濃度でテスト物質と共に培養し、72時間培養した(P.acnes)。P.acnesに対する最小殺菌濃度(MBC)を決定するために、バクテリア(10CFU/mL)を様々な濃度(PBS中の12.5~100μg/mL)の試薬で嫌気性条件下にて培養した。培養物をPBSで1:10~1:10で希釈し、Brucella Broth寒天平板に希釈液(5mL)をスポットすることによって、MBCを決定してコロニー形成単位(CFU)を数えた。
【0430】
次の結果が得られた。
【0431】
【表1】
【0432】
【表2】
【0433】
P.acnes(ATCC(登録商標)6919TM)を上記のように培養した。バクテリア生物膜は、96ウェルプレートでP.acnes培養物を播種し、撹拌せずに24時間培養することによって確立した。その後、生物膜を24時間テスト物質と共に培養した。残った生物膜を洗浄し、クリスタルバイオレットで染色した。染色溶液を除去し、ウェルを水ですすぎ、染料を1%w/vSDSで抽出した。吸光度は、マイクロプレートリーダーにて595nmで測定した。MBECは、ビヒクルのみの対照群に比べて、付着した生物膜の撲滅を≧80%達成するのに必要な最小濃度として定義された。72時間の培養後にディスク拡散感受性検査(Kirby-Bauer法)から結果も得られた。
【0434】
次の結果が得られた。
【0435】
【表3】
【0436】
実施例B
ヒト角化細胞(抗菌性ペプチド)における遺伝子発現
新生児提供者からの正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)をThermo‐Fisher(カタログNo.C-001-5C)から入手した。細胞は角化細胞の成長補助剤(カタログNo.S0015)で補充されたEpiLife培地(カタログNo.MEPI500CA)で処理する前に、6ウェルプレートで24時間培養した。2日目に培地を除去し、37℃及び5%のCOで24時間テスト物質(10μM)と共に培養した。3日目にRNAqueous(登録商標)キット(Ambion(登録商標)、カタログNo.1912)を用いて細胞から全RNAを抽出し、高容量RNA-cDNAキット(Applied Biosystems(登録商標)、カタログNo.4387406)を用いてcDNAを得た。TaqMan(登録商標)Fast Advanced Master Mix(Applied Biosystems、カタログNo.4444556)及び特定のTaqMan-プローブヒト遺伝子プライマーDEFB4B(hBD2)、DEFB103(hBD3)、HCAP18及びGAPDHを用いて定量的PCR(qPCR)を行い、処理当たりの相対的遺伝子発現倍率の変化を算出した。遺伝子発現の分析は、処理されたサンプルのCt値を未処理のサンプルと比較して、内因性ハウスキーピング遺伝子としてGAPDH遺伝子発現に正規化することによって、相対的なCt法(2-[デルタ][デルタ]Ctとしても知られる)接近法を用いて行なった。結果は、発現倍率/未処理の細胞で表した。
【0437】
次の結果が得られた。
【0438】
【表4】
【0439】
実施例C
ヒトPBMCにおけるP.acnes誘導の炎症誘発性サイトカイン
健常な成人提供者からの凍結保存されたヒト末梢血液単核球細胞(PBMC)をZen Bio,Inc(カタログNo.SER-PBMC-F)から入手した。細胞をリンパ球培地(カタログNo.LYMPH-1)を有する12ウェルプレートで培養し、37℃及び5%のCOで24時間テスト物質(30μM)と、生きているP.acnes(ATCC(登録商標)6919TM)とを1:1のPBMC:P.acnesのバクテリア比率で培養した。培養後、細胞培地上清を採取し、ELISAキット(BD Biosciences(登録商標)#557966、#555212、#555244、R&D Systems(登録商標)#DY317)を用いて炎症誘発性サイトカインレベル(IL-8、TNF-α、IL-1b、IL-17)を測定するのに使用した。RNAqueousキット(Ambion、カタログNo.1912)を用いて細胞から全RNAを抽出し、高容量RNA-cDNAキット(Applied Biosystems、カタログNo.4387406)を用いてcDNAを得た。TaqMan Fast Advanced Master Mix(Applied Biosystems、カタログNo.4444556)及び特定のTaqMan-プローブヒト遺伝子プライマーCXCL8(IL-8)、IL1B(IL-1b)、TNF(TNF-α)、IL17A(IL-17A)及びGAPDHを使用して定量的PCR(qPCR)を行い、処理当たりの相対的な遺伝子発現倍率変化を算出した。遺伝子発現分析は、P.acnes-単独処理のサンプルのCt値を未処理のサンプルと比較して、内因性ハウスキーピング遺伝子としてGAPDH遺伝子発現に正規化することによって、相対的なCt法(2-[デルタ][デルタ]Ctとして知られている)接近法を用いて行なった。結果は、未処理及びP.acnes-単独処理の細胞に対する抑制率で表した。
【0440】
次の結果が得られた。
【0441】
【表5】
【0442】
実施例D
NHEKにおけるペプチドグリカン(PGN)誘導の炎症誘発性サイトカイン
新生児提供者からの正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)をThermo‐Fisher(カタログNo.C-001-5C)から入手した。細胞を角化細胞の成長補助剤(カタログNo.S0015)で補充されたEpiLife培地(カタログNo.MEPI500CA)を有する96ウェルプレートで24時間培養した。2日目に培地を除去し、24時間補充剤枯渇培地と交換した。3日目に培地を除去し、細胞を2時間テスト物質(≦1μM)で前処理し、その後、テスト物質及びPGN(Sigma Aldrich、カタログNo.77140)を10μg/mLで同時処理し、37℃及び5%のCOで24時間培養した。PGNはTLR-2アゴニストである。培養後、ELISAキット(BD Biosciences#555244)を使用して炎症誘発性サイトカインレベル(IL-8)を測定するために、細胞培地上清を採取し、使用した。結果は、未処理及びPGN単独処理の細胞に対する抑制の百分率で表した。IC50値は、4つのパラメータのロジスティック方程式を用いて、非線形回帰分析によって決定された。
【0443】
次の結果が得られた。
【0444】
【表6】
【0445】
実施例E
NHEKにおける黄色ブドウ球菌誘導のTSLP
新生児提供者からの正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)をThermo‐Fisher(カタログNo.C-001-5C)から入手した。細胞を角化細胞の成長補助剤(カタログNo.S0015)で補充したEpiLife培地(カタログNo.MEPI500CA)を有する96ウェルプレートで24時間培養した。2日目に培地を除去し、24時間補充剤枯渇培地と交換した。3日目に培地を除去し、細胞を2時間テスト物質(≦30μM)で前処理し、その後、37℃及び5%のCOで24時間テスト物質及び生きているP.aureus(ATCC33591)を1:1のNHEK:バクテリア比率で同時処理した。培養後、ELISAキット(R&D Systems#DY1398)を用いてTSLPレベルを測定するために、細胞培地上清を採取し、使用した。結果は、未処理及び黄色ブドウ球菌単独処理の細胞に対する抑制の百分率で表した。IC50値は、4つのパラメータのロジスティック方程式を用いて、非線形回帰分析によって決定された。
【0446】
次の結果が得られた。
【0447】
【表7】
【0448】
実施例F
PBMCにおけるT細胞受容体(TCR)誘導、リポ多糖類(LPS)誘導及びフィトヘマグルチニン(PHA)誘導のサイトカイン
健常な成人提供者からの凍結保存されたヒト末梢血液単核細胞(PBMC)をZen Bio,Inc(カタログNo.SER-PBMC-F)から入手した。細胞をリンパ球培地(カタログNo.LYMPH-1)を有する96ウェルプレートで培養し、2時間テスト物質(≦100μM)で前処理し、その後、37℃及び5%のCOで24時間テスト物質及び抗CD3/CD28ビーズ(Thermo‐Fisher、カタログNo.11131D)を1:0.4のPBMC:ビーズ比率で同時処理した。培養後、ELISAキット(BD Biosciences#555194、#555157、R&D Systems#DY317)を用いてサイトカインレベル(IL-4、IL-5、IL-10)を測定するのに、細胞培地上清を採取し、使用した。結果は、未処理及び抗CD3/CD28ビーズ単独処理の細胞に対する抑制の百分率で表した。IC50値は、4つのパラメータのロジスティック方程式を用いて、非線形回帰分析によって決定された。
【0449】
次の結果が得られた。
【0450】
【表8】
【0451】
同様の方法により、ただし抗CD3/CD28ビーズ(Thermo‐Fisher、カタログNo.11131D)の代わりに、化合物A、C、T及びEをLPS(Sigma Aldrich、カタログNo.LF4321)で処理して、LPS誘導のサイトカインの抑制を測定し、化合物C及びTをPHA-L(Sigma Aldrich、カタログNo.11249738001)で処理して、PHA誘導のサイトカインの抑制を測定した。これらの化合物は、対照群と比較して大幅な抑制を示さなかった。
【0452】
実施例G
HDMECにおけるニッケル(Ni 2+ )誘導のサイトカイン
ヒト皮膚組織からのヒト真皮微細血管内皮細胞(HDMEC)は、Sciencell,Inc.(カタログNo.2000)から入手した。細胞を内皮細胞の成長補充剤(カタログNo.S0015)及び5%v/vのFBSで補充されたECM培地(カタログNo.1001)を有する96ウェルプレートで24時間培養した。2日目に培地を除去し、24時間補充剤枯渇培地と交換した。3日目に培地を除去し、細胞を2時間テスト物質(≦10μM)で前処理し、その後、37℃及び5%のCOで6時間テスト物質及び1mM NiSO(Sigma-Aldrich、カタログNo.227676)を同時処理した。培養後、ELISAキット(BD Biosciences#555220)を用いてIL-6レベルを測定するのに、細胞培地上清を採取し、使用した。結果は、未処理及びNiSO単独処理の細胞に対する抑制の百分率で表した。IC50値は、4つのパラメータのロジスティック方程式を用いて、非線形回帰分析によって決定された。
【0453】
次の結果が得られた。
【0454】
【表9】
【0455】
実施例H
NHEKにおけるTPA誘導の炎症誘発性サイトカイン
新生児提供者からの正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)をThermo‐Fisher(カタログNo.C-001-5C)から入手した。細胞を角化細胞の成長補助剤(カタログNo.S0015)で補充されたEpiLife培地(カタログNo.MEPI500CA)を有する96ウェルプレートで24時間培養した。2日目に培地を除去し、24時間補充剤枯渇培地と交換した。3日目に培地を除去し、細胞を2時間テスト物質(≦1μM)で前処理し、その後、テスト物質及びTPA(Sigma Aldrich、カタログNo.P8139)を5ng/mLで同時処理し、37℃及び5%のCOで24時間培養した。培養後、ELISAキット(BD Biosciences#555244)を用いて炎症誘発性サイトカインレベル(IL-8)を測定するのに、細胞培地上清を採取し、使用した。結果は、未処理及びTPA単独処理の細胞に対する抑制の百分率で表した。IC50値は、4つのパラメータのロジスティック方程式を用いて、非線形回帰分析によって決定された。
【0456】
次の結果が得られた。
【0457】
【表10】
【0458】
実施例I
in vivoモデルにおけるTPA誘導の皮膚刺激
非近交系の雄のスイスウェブスター(ICR)マウスをHilltop Lab Animals(Scotdale、PA)から購入し、10~12週齢の間使用し、先に述べた同様のプロトコルに従った(Gordonら、2008)。マウスは、アセトンに溶解した1.2μg/20μLのTPAを各耳に投与され(マウスの耳の背側及び腹側表面に溶媒ピペットを使用して10μLを適用)、急性刺激(グループ当たり6回)を誘導した。テスト物質をTPAで同時処理するか、又はTPA投与後、5分後にエタノール中で様々な濃度(0.6~800μg/20μL)で適用した。24時間処理後、耳の厚さにより浮腫を測定した。
【0459】
次の結果が得られた。
【0460】
【表11】
【0461】
実施例J
in vivoモデルにおけるオキサゾロン誘導の遅延型過敏症(DTH)
近親交配の雄のBalb/CマウスをHilltop Lab Animals(Scottdale、PA)から購入し、8~10週齢の間使用した。マウスの背中を剃毛し、アセトン/オリーブ油(4:1)中の3%v/vのオキサゾロン(Sigma Aldrich、カタログNo.EO753)100μLを感作するために、背側皮膚に適用した。7日目に0.5%v/vのオキサゾロンで耳を刺激し、刺激してから30分後、3%w/vのテスト物質を耳に適用し(マウスの耳の背側及び腹側表面に溶媒ピペットを使用して10μLを適用)、24時間後、皮膚の厚さ(浮腫)を測定した。各耳から6mmのパンチ生検を採取し、液体窒素で急速凍結させた。FastPrep(登録商標)-24 Biopulverizer(MP Biomedical、カタログNo.116004500)及びLysing Matrix A Tube(カタログNo.16910050)を使用して耳皮膚の生検パンチを粉砕した。タンパク質抽出物は、プロテアーゼ抑制剤(Sigma-Aldrich、カタログNo.S8820-20TAB)と共に、低温T-PER緩衝剤(Thermo Fisher、カタログNo.78510)の500μL/組織を使用して得た。可溶性タンパク質画分を使用して、ELISAキット(BD Biosciences#555232)を用いてサイトカインレベル(IL-4)を測定した。結果は、未感作及び感作の単独処理の動物に対する抑制の百分率で表した。現在開示されている化合物に対するビヒクルは、AN2718に対し、60:40のH20:EtOH及び1:1のアセトン:EtOHであった。(処理グループ当たりn=5-15匹の動物。)
次の結果が得られた。
【0462】
【表12】
【0463】
前記プロトコルによりAN278の0.4mg/耳に対する様々な容量で化合物Cをさらに分析し、3つの独立した実験(n=グループ当たり12~15匹のマウス)から得た累積データの平均±S.E.を以下に示す。
【0464】
【表13】
【0465】
実施例K
ヒトNHEKにおけるP.acnes誘導の炎症誘発性サイトカイン
新生児提供者からの正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)をThermo‐Fisher(カタログNo.C-001-5C)から得た。細胞を角化細胞の成長補助剤(カタログNo.S0015)で補充されたEpiLife培地(カタログNo.MEPI500CA)を有する96ウェルプレートで24時間培養した。2日目に培地を除去し、24時間補充剤枯渇培地に交換した。3日目に培地を除去し、細胞を2時間テスト物質(≦30μM)で前処理し、その後、37℃及び5%のCOで24時間テスト物質及び生きているP.acnes(ATCC 6919TM)を10CFUで同時処理した。培養後、ELISAキット(BD Biosciences#555244)を使用して炎症誘発性サイトカインレベル(IL-8)を測定するのに、細胞培地上清を採取し、使用した。結果は、未処理及びP.acnes単独処理の細胞に対する抑制の百分率で表した。IC50値は、4つのパラメータのロジスティック方程式を用いて、非線形回帰分析によって決定された。
【0466】
次の結果が得られた。
【0467】
【表14】
【0468】
実施例L
PBMCにおけるフィトヘマグルチニン(PHA)誘導のサイトカイン
健常な成人提供者からの凍結保存されたヒト末梢血液単核細胞(PBMC)をZen Bio,Inc(カタログNo.SER-PBMC-F)から入手した。細胞をリンパ球培地(カタログNo.LYMPH-1)を有する96ウェルプレートで培養し、2時間テスト物質(≦100μM)で前処理し、その後、テスト物質及びPHA-L(Sigma Aldrich、カタログNo.11249738001)を20μg/mLで同時処理し、37℃及び5%のCOで24時間培養した。培養後、ELISAキット(R&D Systems#DY202、#DY285)を用いてサイトカインレベル(IL-2、IFNγ)を測定するのに、細胞培地上清を採取し、使用した。結果は、未処理及びPHA単独処理の細胞に対する抑制の百分率で表した。IC50値は、4つのパラメータのロジスティック方程式を用いて、非線形回帰分析によって決定された。
【0469】
次の結果が得られた。
【0470】
【表15】
【0471】
実施例M
PBMCにおけるコンカナバリンA(ConA)誘導のサイトカイン
健常な成人提供者からの凍結保存されたヒト末梢血液単核細胞(PBMC)をZen Bio,Inc(カタログNo.SER-PBMC-F)から入手した。細胞をリンパ球培地(カタログNo.LYMPH-1)を有する96ウェルプレートで培養し、2時間テスト物質(≦100μM)で前処理し、その後、テスト物質及びConA(Sigma Aldrich、カタログNo.C5275)を20μg/mLで同時処理し、37℃及び5%のCOで24時間培養した。培養後、ELISAキット(R&D Systems#DY202、#DY285)を用いてサイトカインレベル(IL-2、IFNγ)を測定するために、細胞培地上清を採取し、使用した。結果は、未処理及びConA単独処理の細胞に対する抑制の百分率で表した。IC50値は、4つのパラメータのロジスティック方程式を用いて、非線形回帰分析によって決定された。
【0472】
次の結果が得られた。
【0473】
【表16】
【0474】
実施例N
CD14+単核球におけるLPS/IFNγ誘導のサイトカイン
健常な成人提供者からの凍結保存されたヒト末梢血液単核細胞(CD14+)をZen Bio,Inc(カタログNo.SER-CD14-F)から入手した。細胞をリンパ球培地(カタログNo.LYMPH-1)を有する96ウェルプレートで培養し、2時間テスト物質(≦100μM)で前処理し、その後、テスト物質及び5Cμg/mL LPS、5μg/mL IFNγ(Sigma Aldrich、カタログNo.L4321、SRP3058)を同時処理し、37℃及び5%のCOで24時間培養した。培養後、ELISAキット(R&D Systems#DY1290)を用いてサイトカインレベル(IL-23)を測定するのに、細胞培地上清を採取し、使用した。結果は、未処理及びConA単独処理の細胞に対する抑制の百分率で表した。IC50値は、4つのパラメータのロジスティック方程式を用いて、非線形回帰分析によって決定された。
【0475】
次の結果が得られた。
【0476】
【表17】
【0477】
実施例O
PBMCにおける抗CD3/CD28+IL-4誘導のサイトカイン
健常な成人提供者からの凍結保存されたヒト末梢血液単核細胞(PBMC)をZen Bio,Inc(カタログNo.SER-PBMC-F)から入手した。細胞をリンパ球培地(カタログNo.LYMPH-1)を有する96ウェルプレートで培養し、2時間テスト物質(≦100μM)で前処理し、その後、テスト物質及び抗CD3/CD28ビーズ(Thermo‐Fisher、カタログNo.11131D)、並びに50ng/mL組換えヒトIL-4(R&D Systems#204-IL)を37℃及び5%のCOで48時間同時処理した。培養後、ELISAキット(R&D Systems#DY782、#DY2824)を用いてサイトカインレベル(IL-22、IL-31)を測定するのに、細胞培地上清を採取し、使用した。結果は、未処理及び抗CD3/CD28+IL-4単独処理の細胞に対する抑制の百分率で表した。IC50値は、4つのパラメータのロジスティック方程式を用いて、非線形回帰分析によって決定された。
【0478】
次の結果が得られた。
【0479】
【表18】
【0480】
実施例P
in vivoにおけるカルシポトリオール誘導のTSLP
CD1マウスを4nmol/耳のカルシポトリオールに局所的に曝露させた。刺激してから5分後、化合物を適用した。24時間後、タンパク質のサンプルを耳の皮膚の生検から抽出し、ELISA法でTSLPレベルを分析した。化合物に対するビヒクルは、60:40のEtOH:H20(化合物C)又は1:1のEtOH:アセトン(AN2728)であった。データは、2つの独立した実験(n=グループ当たり6匹のマウス)から代表的な組の平均±S.E.を示す。*p値<0.05、**カルシポトリオール+ビヒクル単独処理の動物に比べてStudent t 検定によるp値≦0.01.nsは重要ではない。
【0481】
次の結果が得られた。
【0482】
【表19】
【0483】
実施例Q
化合物E(1%)、ビヒクル及び過酸化ベンゾイル(3%)の8週間の臨床研究
評価者が、軽度から中度の座瘡を有する18才以上の健常な男女被験者から、多重部位使用の単盲検試験を行い、主観的なアンケート、視覚的評価及びデジタル写真(グループ当たり≧15)を活用して、テストスキンケア製品の潜在的な効能を評価した。被験者は、割り当てられた製品を自宅で8週間使用した。被験者は、2、4及び8週目に基準値を回復した。各々訪問時に、被験者は専門的な臨床グレード及びテスト現場の写真撮影を受けた。4回目の訪問で、被験者はまた自己認識アンケート(SPQ)を完成した。*値は平均±S.E.として得られる。*p値<0.05、**p値<0.01(基準値からIGA尺度値に対するグループ間の差のStudent T 検定)。
【0484】
次の結果が得られた。
【0485】
【表20】
【0486】
軽度から中度の座瘡を有する被験者における安全性及び耐薬性を立証するために、ランダムに単盲検ビヒクル制御試験(活性、n=18、ビヒクル、n=14)でフェイシャルクリーム(1%の化合物E)をテストした。18才以上の被験者の顔座瘡徴候及び症状の重症度は、8週間の研究期間中にIGA尺度によって臨床的に評価された。また、UV光モードを活用して、ポルフィリン蛍光(オレンジ-赤い点)を観察した。化合物Eのフェイシャルクリームを使用する何名かの被験者には、座瘡の徴候及び症状において顕著な視覚的改善が認められ、適用の2~8週間及びその後にポルフィリンの減少が認められた。化合物Eのフェイシャルクリームは、座瘡が起こりやすい皮膚を有するヒトの被験者から臨床的に耐容性を示し、2週目及び8週目に座瘡のIGA臨床尺度でBPOを大幅に上回る。さらに、in vivoにおけるP.acnes数の減少を示唆しており、in vitroにおける結果を裏付けている、顔でのポルフィリンの減少が観察された。
【0487】
等価物
本明細書に記載の発明が特定の実施形態を参照して説明されているが、当業者は、これらの実施形態は単に本発明の原理及び用途の例示であることを認識したり、日常的な実験のみを用いて確認することができるであろう。したがって、例示的な実施形態に対して多数の修正を行ってもよく、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の思想および範囲から逸脱することなく、他の構成が考案されてもよいことを理解するべきである。
【0488】
特許請求の範囲において、「1つ」、「1つの」及び「前記」などの項目は、文脈で反対の指示がない限り又は明らかな指示がない限り、1つ以上のものを意味し得る。グループの1つ以上の部材間に「又は」を含むクレーム又は説明は、文脈で反対の指示がない限り又は明らかな指示がない限り、グループの部材の何れか1つ又はグループの全ての部材が特定の製品又はプロセスに存在するか、活用されるか、又は他に関連する場合に満たされるとみなされる。本発明は、グループの正確に1つの部材が、特定の製品又はプロセスに存在するか、活用されるか、又は他に関連する実施形態を含む。本発明は、グループ部材の1つ以上又は全てが特定の製品又はプロセスに存在するか、活用されるか、又は他に関連する実施形態を含む。また、本発明は、挙げられた請求項の1つ以上から1つ以上の限定、要素、節、説明用語などが別の請求項に導入される全ての変形、組み合わせ、及び順列を含むと理解されるべきである。例えば、他の請求項に従属された任意の請求項は、同じ基本請求項に依存する他の請求項で発見された1つ以上の限定を含むように修正し得る。
【0489】
成分が、例えばマーカッシュグループの形式でリストとして表される場合、成分の各下位グループも開示され、全ての成分をグループから除去できることを理解すべきである。一般に、本発明又は本発明の態様が特定の成分、特徴などを含むことが言及された場合、本発明の特定の実施形態又は本発明の態様は、そのような成分、特徴などから構成されるか、本質的に構成されるということを理解すべきである。簡略化のために、これらの実施形態は、本明細書でこれらの用語で具体的に説明されていない。用語「含む」は、開かれていることを意図しており、更なる成分又はステップの包含を可能にすることに留意すべきである。
【0490】
範囲が与えられる場合、終了点が含まれる。さらに、当業者の文脈及び理解から別途の指示があってりしない限り又は明らかでない限り、範囲として表される値は、文脈上別段の定めがない限り、範囲の下限単位の10分の1まで、本発明の他の実施形態で明示されている範囲内において任意の特定値又は下位の範囲を想定することができる。
【0491】
さらに、先行技術に含まれる本発明の任意の特定の実施形態は、任意の1つ以上の請求項がら明示的に除外され得ることを理解すべきである。そのような実施形態は、当業者に公知とみなされるため、本明細書で排除が明示的に示されていなくても除外され得る。本発明の組成物の任意の特定の実施形態(例えば、任意の標的部分、任意の疾病、障害及び/又は疾患、任意の連結剤、任意の投与方法、任意の治療的適用など)は、先行技術の存在の有無にかかわらず、何らかの理由で1つ以上の請求項から排除することができる。
【0492】
前記及び本文全般にわたって論議された出版物は、本出願の出願日以前の開示についてのみに提供される。本願のいかなる内容も、発明者が事前公開によりそのような開示よりも先に言及する資格がないということを認めたことになると解釈されるべきではない。