(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】付香組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C11B 9/00 20060101AFI20220516BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20220516BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20220516BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20220516BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
C11B9/00 Z
C11D3/50
A61K8/34
A61Q13/00 101
A61L9/01 H
(21)【出願番号】P 2019561931
(86)(22)【出願日】2018-05-08
(86)【国際出願番号】 EP2018061839
(87)【国際公開番号】W WO2018206561
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-03-22
(32)【優先日】2017-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】パスカル ボスブル
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング フィーバー
(72)【発明者】
【氏名】オード ドジェロ-ジュオ
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-143234(JP,A)
【文献】特開2016-145179(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0261036(US,A1)
【文献】特表平09-505565(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第02307627(DE,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B 9/00- 9/02
C11D 1/00-19/00
A61L 9/00- 9/22
A23L 5/00-29/10
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 9/00-47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下、
(i)トリシクロデカンジメタノールアルコールを含む増粘剤を90℃より高い温度で加熱するステップ、
(ii)任意に、ステップ(i)で得られた溶液を室温より高い温度
で冷却するステップ、及び
(iii)ステップ(i)又は(ii)で得られた混合物を室温で冷却するステップ
を含む付香組成物の製造方法であって、ジプロピレングリコールを含む香料キャリヤーを前記方法の任意の段階でさらに添加し、かつ少なくとも1つの付香成分を含む香油を、ステップ(ii)及び/又はステップ(iii)でさらに添加する、前記方法。
【請求項2】
前記付香組成物の全質量に対して少なくとも5質量%のトリシクロデカンジメタノールアルコールをステップ(i)において添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物の全質量に対して50質量%までの香油を、ステップ(ii)又はステップ(iii)において添加する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物の全質量に対して45質量%までのジプロピレングリコールを、前記方法の任意の段階で添加する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記付香組成物中のトリシクロデカンジメタノールアルコールとジプロピレングリコールとの質量比が3:1~1:1である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
トリシクロデカンジメタノールアルコールとジプロピレングリコールとの質量比が5:3である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記香料キャリヤーが、さらに、ヘキシレングリコール、グリセロール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、D,L-1,2-イソプロピリデングリセロール、プロパンジオール、ブタンジオール及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの補助溶剤を前記方法の任意の段階で含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記補助溶剤を、前記組成物の全質量に対して5~30質量%の量で添加する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
水性相を、ステップ(ii)又はステップ(iii)におい
て添加する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付香組成物の分野に関する。より詳述すれば、本発明は、香油、トリシクロデカンジメタノールアルコールを含む増粘剤(viscosifying aget)、及びジプロピレングリコールを含む香料キャリヤーを含む安定な付香組成物の製造方法を記載している。
【0002】
前記方法により得られる付香組成物及び該付香組成物を含む消費者製品も本発明の目的である。
【0003】
背景技術
トリシクロデカンジメタノールアルコール(TCDアルコールDMとしても公知である)は、粘性のある着香組成物のために使用される非常に粘性のある添加剤である。
【0004】
TCDアルコールDMは、室温での貯蔵に対して結晶化するか又はゲル化さえする傾向があることが知られている。
【0005】
したがって、例えば溶剤相及び香料を含む消費者製品中で導入される場合に、トリシクロデカンジメタノールアルコールを加熱して透明でより流動的にする必要がある。
【0006】
しかしながら、貯蔵に対して、再結晶化は、最終の消費者製品において生じ、貯蔵状態に対して最終製品の貯蔵寿命の予測を困難にする。
【0007】
いくつかの非常に粘性のある油状物(「Mukhallat(ムハラット)」と呼ばれる)が市販されている。これらの組成物は、TCDアルコールDM、香料及びジプロピレングリコールを含んでよい。しかしながら、それらは経時的に結晶化し、付香組成物の魅力を低下させ、いくつかの場合には使用さえできなくなることが観察されている。
【0008】
したがって、貯蔵に対して安定であり、かつ良好な嗅覚性能を呈する、粘性のある着香組成物を提供する必要がある。
【0009】
我々の知る限り、付香組成物中のTCDアルコールDMの結晶化の防止を扱う先行技術はない。
【0010】
本発明の組成物は、経時的に組成物の結晶化を防止するTCDアルコールDMを含む付香組成物の製造方法を提供することにより、この問題を解決する。
【0011】
発明の要旨
本発明の第一の目的は、
(i)トリシクロデカンジメタノールアルコールを含む増粘剤を90℃より高い温度で加熱するステップ、
(ii)任意に、ステップ(i)で得られた溶液を室温より高い温度で、好ましくは30℃~80℃の温度で冷却するステップ、及び
(iii)ステップ(i)又は(ii)で得られた混合物を室温で冷却するステップ
を含む付香組成物の製造方法であり、その際、ジプロピレングリコールを含む香料キャリヤーを前記方法の任意の段階でさらに添加し、かつ少なくとも1つの付香成分を含む香油を、ステップ(ii)及び/又はステップ(iii)でさらに添加する。
【0012】
本発明の第二の目的は、前記で定義した方法により得られる付香組成物である。
【0013】
第三の目的は、前記付香組成物を含む消費者製品である。
【0014】
発明の詳細な説明
特に明記されない限り、パーセンテージ(%)は、組成物の質量百分率を示すことを意味する。
【0015】
本発明は、高温で、すなわち90℃より高い温度でトリシクロデカンジメタノールアルコールを加熱することにより、トリシクロデカンジメタノールアルコールを含む組成物の結晶化を妨げる方法を定義している。
【0016】
したがって、本発明の第一の目的は、
(i)トリシクロデカンジメタノールアルコールを含む増粘剤を90℃より高い温度で加熱するステップ、
(ii)任意に、ステップ(i)で得られた溶液を室温より高い温度で、好ましくは30℃~80℃の温度で冷却するステップ、及び
(iii)ステップ(i)又は(ii)で得られた混合物を室温で冷却するステップ
を含む付香組成物の製造方法であり、その際、ジプロピレングリコールを含む香料キャリヤーを前記方法の任意の段階でさらに添加し、かつ少なくとも1つの付香成分を含む香油を、ステップ(ii)及び/又はステップ(iii)でさらに添加する。
【0017】
一実施形態に従って、トリシクロデカンジメタノールアルコールの加熱段階を、100℃より高い温度で、好ましくは100℃~120℃の温度で実施する。
【0018】
本発明に従って、ジプロピレングリコールを、前記方法の任意の段階で添加してよい。
【0019】
特定の実施形態に従って、ジプロピレングリコールを、ステップ(i)でトリシクロデカンジメタノールアルコールと一緒に加熱する。
【0020】
加熱されるべきトリシクロデカンジメタノールアルコールの体積に従って、当業者は、液体溶液を得るための過熱段階(ステップ(i))に適した時間を見出せる。
【0021】
そして、得られた溶液を、油相及び/又はジプロピレングリコールを添加する前に、室温より高い温度で、好ましくは30℃~80℃の温度で冷却させてよい。この実施形態は、特に、製造される組成物が大量のトリシクロデカンジメタノールアルコールを含む場合に適している。実際に、室温で高粘度のこの成分は、他の成分との混合を非常に困難にする。
【0022】
「室温」(RT)に関しては、20~25℃の温度であることを理解すべきである。
【0023】
他の実施形態に従って、香油及び/又はジプロピレングリコールは、ステップ(iii)で、すなわち撹拌が可能な場合に室温で添加される。
【0024】
全ての実施形態において、当業者は、香油の添加に適した温度を選択して、嗅覚特性を保ち、かつ揮発性成分の蒸発又は劣化を回避することができるだろう。
【0025】
前記方法の最後に、粘性のある透明な溶液が得られる。
【0026】
透明という用語は、着色剤又は蛍光剤を含まない溶液が、RTで脱塩水に対する基準として1cmの光路長で100%の可視光(500~800nm)の透過率の値を有することを意味する。
【0027】
しかしながら、前記組成物は、透明でありながら着色剤を含むことができることを理解すべきである。
【0028】
典型的に、前記組成物は、10NTU未満、好ましくは5NTU未満、より好ましくは0.01~5NTUの濁度を有する。
【0029】
前記組成物は、好ましくは20℃で500mPa.s超、より好ましくは20℃で500~5000mPa.s、より好ましくは20℃で2000~5000mPa.sの粘度を有する。
【0030】
粘度は、21秒-1の剪断速度でTA Instruments V5.4.0のレオメーターAR-2000モデルを使用することにより測定できる。
【0031】
本発明の方法により得られる付香組成物は、単相組成物である。言い換えれば、二相組成物、例えばエマルションは、この定義に含まれない。
【0032】
香油
本発明に従って、トリシクロデカンジメタノールアルコールを加熱した後に、香料を含む油相を、ステップ(ii)で又はステップ(iii)で冷却した溶液に添加する。
【0033】
特定の実施形態に従って、香油は、機能性食品、化粧品、昆虫防除剤及び殺生剤活性からなる群から選択される他の成分と混合される。
【0034】
特定の実施形態に従って、油相は香料からなる。
【0035】
「香油」(又は「香料」)に関して、ここでは、約20℃で液体である成分又は組成物を意味する。前記実施形態のいずれか1つに従って、前記香油は、付香成分のみ又は付香組成物の形での付香成分の混合物であってよい。「付香成分」としては、ここでは、においを付与又は調整する主な目的のために使用される化合物を意味する。言い換えれば、付香成分であると考えられるべきかかる成分は、ポジティブ又は好ましい方法で組成物のにおいを少なくとも付与又は改質することができ、単に1つのにおいを有するだけでないと当業者によって認識される必要がある。本発明の目的のために、香油は、共に付香成分の送達を改善する、高める又は改質する物質を有する付香成分、例えば香料前駆体の組み合わせ物、及びにおいを改質又は付与する以上の追加の利点、例えば長続きすること、ブルーミング、悪臭中和、抗菌効果、微生物の安定性、昆虫の制御を付与する組み合わせ物も含む。
【0036】
いずれにしても網羅的とはならないであろう油相中に存在する付香成分の性質及びタイプは、ここでより詳細な記載を保証するものではなく、当業者は、一般の知識に基づいて、及び意図された使用又は適用及び所望された感覚刺激性効果に従って、それらを選択することができる。一般的な用語で、これらの付香成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素又は硫黄の複素環化合物及び精油と多様な化学品種に属し、かつ該付香補助成分は、天然又は合成由来のものであってよい。これらの補助成分の多くは、いずれにしても、参考文献、例えばS. ArctanderによるPerfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclair, New Jersey, USA、又はその最新版において、又は同様の種類の他の著作において、並びに香料の分野における豊富な特許文献において挙げられている。前記成分は、制御された方法で種々のタイプの付香化合物を放出することが公知の化合物であってもよい。
【0037】
付香成分は、香料産業において現在使用している溶媒中で溶解されてよい。かかる溶剤の例は、グリコール/ジオール(例えばジプロピレングリコール)、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート、ベンジルベンゾエート、イソプロピルミリステート、アバリンである。
【0038】
特定の実施形態に従って、付香組成物はエタノールを有さない。
【0039】
一実施形態に従って、香油は、アルデヒド、アルコール、エステル、ケトン、エーテル及びそれらの混合物からなる群で選択される少なくとも1つの香料原料を含む。特定の実施形態に従って、香油は、第1表における成分において選択される少なくとも1つの香料原料を含む。
【0040】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
*出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
**出所:Givaudan SA、Vernier、Suisse
***出所:International Flavors & Fragrances、USA。
【0041】
一実施形態に従って、組成物の全質量に対して50質量%までの香油を、ステップ(ii)又はステップ(iii)において添加する。
【0042】
組成物の全質量に対して、好ましくは3質量%~50質量%、より好ましくは10質量%~30質量%、さらにより好ましくは15質量%~20質量%の香油を、前記方法のステップ(ii)又はステップ(iii)において添加する。
【0043】
増粘剤
特定の実施形態に従って、増粘剤は、トリシクロデカンジメタノールアルコールからなる。
【0044】
前記方法のステップ(i)において加熱されるTCDアルコールDMは、最終組成物の5質量%~60質量%、好ましくは35質量%~60質量%、より好ましくは50質量%~60質量%を示す。
【0045】
トリシクロデカンジメタノールアルコール(TCDアルコールDM)は、OXEA GmbHから市販されている。
【0046】
香料キャリヤー
本発明に従って、ジプロピレングリコールを含む香料キャリヤーを、前記方法の任意の段階で添加する。好ましくは、付香組成物の全質量に対して、45質量%まで、より好ましくは3質量%~45質量%、さらにより好ましくは10質量%~40質量%を示す。
【0047】
付香組成物中のトリシクロデカンジメタノールアルコールとジプロピレングリコールとの質量比は、好ましくは3:1~1:1である。
【0048】
トリシクロデカンジメタノールアルコールの高加熱段階及びトリシクロデカンジメタノールアルコールとジプロピレングリコールとの特定の質量比の組み合わせが、付香組成物中に導入される場合にトリシクロデカンジメタノールアルコールの再結晶化を著しく遅らせる及び/又は妨げることができたことが見出されている。
【0049】
したがって、特定の実施形態に従って、トリシクロデカンジメタノールアルコールとジプロピレングリコールとの質量比は、5:3である。
【0050】
他の実施形態に従って、香料キャリヤーは、さらに、ヘキシレングリコール(2-メチルペンタン-2,4-ジオール)、グリセロール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、D,L-1,2-イソプロピリデングリセロール、プロパンジオール、ブタンジオール及びそれらの混合物からなる群から選択される1つの補助溶剤を含む。
【0051】
補助溶剤は、それらの沸点及びそれぞれのステップにおいて設定された加熱温度に従って、ステップ(i)及び/又はステップ(ii)及び/又はステップ(iii)で添加されてよい。
【0052】
特定の実施形態に従って、補助溶剤はヘキシレングリコールである。
【0053】
一実施形態に従って、補助溶剤は、組成物の全質量に対して、0~30質量%、好ましくは5~30質量%の量で使用される。
【0054】
任意の水性相
特定の実施形態に従って、前記方法のステップ(ii)又はステップ(iii)において、組成物の全質量に対して、好ましくは0.01~1質量%の量で水性相を添加する。
【0055】
任意の成分
香料補助剤成分を、本発明の方法において、好ましくはステップ(iii)において、又は直接ステップ(ii)もしくはステップ(iii)で添加される香油中に添加してよい。
【0056】
「香料補助剤」に関しては、ここで、付加効果、例えば色、特定の耐光性、化学安定性等を付与することができる成分を意味する。付香ベースにおいて慣用的に使用される補助剤の性質及びタイプの詳細な説明は網羅的なものにはなりえないが、しかし該成分が当業者に周知であることを挙げるべきである。
【0057】
制限のない例として、着色剤、防腐剤、pH調整剤、抗酸化剤、キレート剤、UVフィルター、クエンチャー、シリコン油、及びそれらの混合物を挙げられる。
【0058】
かかる任意の香料補助剤は、5%(w/w)以下、又はさらに2%(w/w)以下であり、ここでパーセンテージは、組成物の全質量に対する。
【0059】
本発明の他の目的は、前記で定義した方法により得られる付香組成物である。
【0060】
本発明の他の目的は、前記で定義した付香組成物を含む消費者製品、好ましくはファインフレグランス製品又はエアフレッシュナー製品の形での消費者製品である。
【0061】
ファインフレグランス製品は、好ましくは、香料濃縮物、香水、抽出物、ムハラット(mukhallat)、バラ油(attar)の形である。
【0062】
本発明を、実施例によりさらに説明する。請求される本発明は、これらの実施例により何ら制限されるものではないことを理解する。
【0063】
実施例
試料調製物:TCDアルコールDMを、60℃で(比較組成物)又は120℃で(本発明による組成物)1時間加熱し、そして60℃まで冷却した後に、ジプロピレングリコール及び香油を添加する。
【0064】
安定性の性能:以下の全ての実施例において、結晶化に対する安定性を時間の関数として視覚的に評価した。結晶化の開始は、一般に試料の濁った側面をもたらし、試料の底部で小さな結晶の顕著な沈殿及び堆積を生じる。
【0065】
香油:次の香油を実施例において使用した(第1-a表を参照されたい)。
【0066】
【表2】
1) (-)-(8R)-8,12-エポキシ-13,14,15,16-テトラノルラブダン、Firmenich SA、Geneva、Switzerland
2) (+-)-2,2,2-トリクロロ-1-フェニルエチルアセテート
3) 1-(3,5,5,6,8,8-ヘキサメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)エタノン。
【0067】
実施例1
付香組成物の製造及び安定性の性能の評価
【表3】
1) TCDアルコールDM、出所:Oxea
2) 出所:Firmenich SA、Geneva、Switzerland
3) 第1-a表を参照されたい。
【0068】
第2表において挙げた全ての組成物を、室温で試料を放置してそれらの経時的な変化を観察する前に、透明であると視覚的に評価した。
【0069】
比較組成物Xは、安定性試験の14日後に再結晶化を示す。
【0070】
対照的に、本発明の方法に従って製造した組成物Aは、室温で6ヶ月貯蔵した後のみに幾らかの再結晶化を示す。
【0071】
さらに、本発明の方法に従って製造した組成物Bが室温で6ヶ月後に全く再結晶せずに透明なままであったことから、TCDアルコールDMの高加熱段階と、TCDアルコールDMとDIPGとの特定の比率(50:30)とを組み合わせることは、混合物の物理的安定性を向上させる。