(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】電動アシスト自転車のためのアシスト制御方法
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20220516BHJP
【FI】
B62M6/45
(21)【出願番号】P 2019568218
(86)(22)【出願日】2018-03-06
(86)【国際出願番号】 IB2018051445
(87)【国際公開番号】W WO2018229558
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-01-06
(32)【優先日】2017-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】モドロ イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】マティス イシュトヴァン
(72)【発明者】
【氏名】オルソマー ダヴィド
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03064423(EP,A1)
【文献】特開2013-028210(JP,A)
【文献】特開平11-227672(JP,A)
【文献】特開平08-034383(JP,A)
【文献】国際公開第2014/200081(WO,A1)
【文献】特開2013-121797(JP,A)
【文献】特開平11-351947(JP,A)
【文献】特開2012-187963(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0030629(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02604499(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第102673718(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/50
B62M 6/45
B62M 6/40
B62J 99/00
B62J 45/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動アシスト自転車(1)のためのアシスト制御方法であって、
A)前記自転車が非アシストモードの場合、
(i)前記自転車のクランクセット(3)が、前記自転車の前進方向とは逆方向の作動力FAを受けるステップ(100)と、
(ii)前記クランクセット(3)が、活性化しきい値に対応する角度範囲αを超える角度移動を行うステップ(101)と、
(iii)検出システム(10)が、前記クランクセット(3)の逆回転を検出する(102)及び移動角度を検出するステップ(103)と、
(iv)活性化しきい値を超えた場合、前記検出システムが、前記しきい値を超えたことを検出し、アシスト制御手段(13)が、前記アシストを活性化するステップ(104)と、
(v)前記クランクセット(3)が、前記自転車の前進方向の作動力を受け(105)、前記自転車が、アシストモードに進むステップ(106)と、
B)前記自転車がアシストモードの場合、
(i)前記自転車の前記クランクセット(3)が、前記自転車の前進方向とは逆方向の作動力FAを受けるステップ(100)と、
(ii)前記クランクセット(3)が、不活性化しきい値に対応する角度範囲βを超える角度移動を行うステップ(101)と、
(iii)検出システム(10)が、前記クランクセット(3)の逆回転を検出する(102)及び移動角度を検出するステップ(103)と、
(iv)不活性化しきい値を超えた場合、前記検出システムが、前記しきい値を超えたことを検出し、アシスト制御手段(13)が、前記アシストを不活性化するステップ(104)と、
(v)前記クランクセット(3)が、前記自転車の前進方向の作動力を受け(105)、前記自転車が、非アシストモードに進むステップ(106)と、
を含
み、
前記アシスト活性化又は不活性化しきい値は、90度の最小移動角度に対応する、
電動アシスト自転車(1)のためのアシスト制御方法。
【請求項2】
前記アシスト活性化又は不活性化しきい値は
、180度の最小移動角度に対応する、
請求項1に記載の電動アシスト自転車(1)のためのアシスト制御方法。
【請求項3】
前記活性化角度及び不活性化角度しきい値は同一である、
請求項1又は2に記載の電動アシスト自転車(1)のためのアシスト制御方法。
【請求項4】
前記検出システム(10)及び前記
アシスト制御手段(13)は、前記アシストの強度を制御することもできる、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電動アシスト自転車(1)のためのアシスト制御方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電動アシスト自転車(1)のためのアシスト制御装置であって、前記自転車は、クランクセット(3)、車輪(4)、前記車輪(4)の2つのうちの少なくとも1つ接続したモータ(7)、及び前記クランクセット(3)を前記車輪(4)の少なくとも1つに接続する動力伝達手段(6)を備え、
i)前記クランクセット(3)の回転方向、活性化しきい値に対応する角度範囲α、及び不活性化しきい値に対応する角度範囲βを検出するための検出システム(10)と、
ii)前記アシストの活性化及び/又は不活性化を制御するために、一方で前記検出システム(10)に接続すると共に他方でモータ(7)に接続したアシスト制御モジュール(13)と、を備
え、
前記アシスト活性化又は不活性化しきい値は、90度の最小移動角度に対応する、
電動アシスト自転車(1)のためのアシスト制御装置。
【請求項6】
前記検出システム(10)は、前記自転車(1)のフレーム(2)に固定された少なくとも1つのセンサ(11)と、前記クランクセットの内部チェーンリング(8)の外周上に円周方向に分散配置された複数の磁石(12)とを備える、
請求項5に記載の電動アシスト自転車(1)のためのアシスト制御装置。
【請求項7】
上記の方法で配置された2つのセンサ(12)を備え、前記2つのセンサは、前記クランクセット(3)の回転方向を検出することができる、
請求項6に記載の電動アシスト自転車(1)のためのアシスト制御装置。
【請求項8】
前記アシスト活性化又は不活性化しきい値は
、180度の最小移動角度に対応する、
請求項5ないし7のいずれか1項に記載の電動アシスト自転車(1)のためのアシスト制御装置。
【請求項9】
前記活性化角度及び不活性化角度の値は同一である、請求項5ないし8のいずれか1項に記載の電動アシスト自転車(1)のためのアシスト制御装置。
【請求項10】
前記活性化角度及び不活性化角度の値は異なる、請求項5ないし8のいずれか1項に記載の電動アシスト自転車(1)のためのアシスト制御装置。
【請求項11】
前記検出システム(10)及び前記制御モジュール(13)は、前記アシストの強度を制御することもできる、請求項5ないし10のいずれか1項に記載の電動アシスト自転車(1)のためのアシスト制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アシスト自転車のためのアシスト制御方法に関する。また、本発明は、電動アシスト自転車のためのアシスト制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動アシスト自転車は、ますます広く使用されている。モータから供給される動力は、クランクセットを介してサイクリストから供給される力に結合され、それに相応してサイクリストの作用力が低減する。このような自転車は、例えば、サイクリストの作用力を低減することで長い走行を行うこと、あるいは著しい高度差のある走行を可能にする。
【0003】
電動アシスト自転車は、一般に電気モータ、バッテリ、及びアシスト駆動又は管理手段を備え、サイクリストは、アシストを活性化又は不活性化すること、場合によっては、アシスト強度レベルを管理することができる。多くの場合、制御手段は、指による手動作動のために自転車のハンドルレバーに配置される。
【0004】
例えば、米国特許公開第2009181826号には、電動自転車を制御するための制御システムが記載されており、これは、電動自転車、情報処理ユニット、監視装置、入力装置及び表示装置を備える。電動自転車及び情報処理ユニットは、情報を交換する。情報としては、電動自転車からのデータ、電動自転車制御データ、何らかの可能性のある運動ルーチンを含む。監視装置は、サイクリストの身体的状態を監視して、監視データを情報処理ユニットに伝える。また、この装置は、サイクリストの心拍数を目標心拍数に維持するように電動自転車を制御するためにも使用される。
【0005】
欧州特許第2801495号には、ハンドルバー上に設けられた「スマート」装置が組み込まれている電動自転車の電気機械制御システムが記載されている。ユーザインタフェースによって、自転車制御パラメータを設定することができる。サイクリストからの情報及び自転車に関する情報は、スマート携帯周辺機器上に表示することができる。
【0006】
欧州特許第2979967号には、少なくとも1つの車輪と;車輪を駆動するのに適した電気モータと;電気モータを制御するのに適した制御装置と;電気モータに電力を供給するのに適した充電式の取り外し可能なバッテリとを備える電動アシスト自転車が記載されている。バッテリは、ユーザの個人電子装置と通信するのに適した通信インタフェースに接続された電子中央ユニットを備え、このバッテリの電子中央ユニットは、電気モータを複数の制御モードで制御するのに、及び制御モードを個人電子装置から受け取った設定信号に応じて変更するのに適している。
【0007】
これらの自転車制御及び管理システムは、理解して使用するには複雑であり直感的でない場合が多い。さらに、これらは、運転時にサイクリストの注目の的になる。最後に、これらは、ハンドルレバー上で利用できる制限された空間を取り散らかす。
【0008】
欧州特許第3064423号には、クランクセットの動きを使用して種々の電気的アシストレベルを制御する、電動アシスト自転車のための制御インタフェースが記載されている。センサによって、クランクセットの回転方向、並びに付与トルクの強度を決定することができる。この文献は、一連の識別可能な典型的な状況、及び対応する指令コードを例示する。提供される管理状況、すなわち「低」「中間」「高」は、ユーザのニーズに応じて様々なアシストレベルに対応する。この文献には、アシストを作動/非作動にできるモードは記載されていない。反対に、この文献には、アシストがユーザからの指令に対応したレベルで常にアクティブであることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許公開第2009181826号
【文献】欧州特許第2801495号
【文献】欧州特許第2979967号
【文献】欧州特許第3064423号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、より単純でより直感的かつ小型のシステムに対するニーズがある。これら様々な欠点を解決するために、本発明は種々の技術的手段を提供する。
【0011】
最初に、本発明の第1の目的は、単純で信頼性が高く、嵩張らない制御装置を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、ユーザにとって直感的であるアシストを制御するための装置及び方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、ユーザに不利益をもたらさない応答時間をもつ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そのために、本発明は、電動アシスト自転車(1)のためのアシスト制御方法を提供し、
A)自転車が非アシストモードの場合、
(i)自転車のクランクセット(3)が、自転車の前進方向とは逆方向の作動力FAを受けるステップ(100)と、
(ii)クランクセット(3)が、活性化しきい値に対応する角度範囲αを超える角度移動を行うステップ(101)と、
(iii)検出システム(10)が、クランクセット(3)の逆回転を検出する(102)及び移動角度を検出するステップ(103)と、
(iv)活性化しきい値を超えた場合、検出システムが、しきい値を超えたことを検出し、アシスト制御手段(13)が、アシストを活性化するステップ(104)と、
(v)クランクセット(3)が、自転車の前進方向の作動力を受け(105)、自転車が、アシストモード(ペダリング力が電気モータと一緒になった)に進むステップ(106)と、
B)自転車がアシストモードの場合、
(i)自転車のクランクセット(3)が、自転車の前進方向とは逆方向の作動力FAを受けるステップ(100)と、
(ii)クランクセット(3)が、不活性化しきい値に対応する角度範囲βを超える角度移動を行うステップ(101)と、
(iii)検出システム(10)が、クランクセット(3)の逆回転を検出する(102)及び移動角度を検出するステップ(103)と、
(iv)不活性化しきい値を超えた場合、検出システムが、しきい値を超えたこと検出し、アシスト制御手段(13)が、アシストを不活性化するステップ(104)と、
(v)クランクセット(3)が、自転車の前進方向の作動力を受け(105)、自転車が、非アシストモード(ユーザのペダリング作用の力のみ)に進むステップ(106)と、
を含む。
【0015】
本方法は、サイクリストに実装するのが簡単で信頼性が高く、自転車のハンドルバーの操作を単純にすることができる。
【0016】
好都合な実施形態によれば、アシスト活性化又は不活性化しきい値は、90度、より好ましくは180度の最小移動角度に対応する。
【0017】
しきい値によって、サイクリストが真に意図することなくアシストが活性化されること又は不活性化されることを防ぐことができる。しきい値を超える例えば2秒、より好ましくは1秒の時間に対応する最小の逆ペダリング速度を設けることができる。
【0018】
例えば、繰り返される複数のアシストモードを設けることができる(例えば、「アシスト特性A」、「アシスト特性B」など、その後、不活性モード)。異なるアシストモードを制御するのに必要な角度移動は、活性化又は不活性化しきい値と同一とすること又は異なることができる。例えば、180度は、アシストを活性化/不活性化するために設けられ、360度は、アシスト特性の変更を指令するために設けられる。
【0019】
また、本発明は、前述のような電動アシスト自転車のためのアシスト制御装置を提供し、自転車は、クランクセット、車輪、車輪の2つのうちの少なくとも1つ接続したモータ、及びクランクセットを車輪の少なくとも1つに接続する動力伝達手段を備え、アシスト制御装置は、
i)クランクセットの回転方向、活性化しきい値に対応する角度範囲α、及び不活性化しきい値に対応する角度範囲βを検出するための検出システムと、
ii)アシストの活性化及び/又は不活性化を制御するために、一方で検出システムに接続すると共に他方でモータに接続したアシスト制御モジュールと、を備える。
【0020】
この装置によって、簡単かつ無意識にアシストを始動及び関与させることができる。最小回転しきい値によって、偶発的作動を防ぐことができる。
【0021】
好都合な実施形態によれば、検出システムは、自転車のフレームに固定された少なくとも1つのセンサと、クランクセットの内部チェーンリングの外周上に円周方向に分散配置された複数の磁石(又は他の検出可能要素)とを備える。変形例として、回転要素は、ペダル軸にもしくはチェーン又はベルト上に配置される。
【0022】
好都合には、この装置は、上記の方法で配置された2つのセンサを備え、2つのセンサは、クランクセットの回転方向を検出することができる。
【0023】
さらに好都合には、アシスト活性化又は不活性化しきい値は、90度、より好ましくは180度の最小移動角度に対応する。
【0024】
活性化角度及び不活性化角度の値は同一とすること又は異なることができる。
【0025】
好都合には、検出システム及び制御モジュールは、アシストの強度を制御することもできる。
【0026】
全ての実施形態の詳細内容は、以下の明細書に示されており、非限定的に示された
図1から5で補完される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】アシストの活性化又は不活性化を制御するためのメインステップを示す機能フローチャートである。
【
図2】電動アシスト自転車の実施例の概略的側面図である。
【
図3】アシスト制御装置を備えるクランクセットの実施例の概略図である。
【
図4】アシスト制御装置の第1の例示的な実施形態の概略図である。
【
図5】アシスト制御装置の第2の例示的な実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、動作の実施例を示す機能フローチャートであり、各メインステップは、自転車の電気的アシストを制御する方法を実行するのを可能にする。
【0029】
ステップ100から106は、電気的活性化/不活性化操作を示す。ステップ100において、サイクリストは、通常の前進ペダリングから逆方向の活性化/不活性化ペダリングに切り替える。次に、クランクセットは、逆回転方向の作動力FAを受ける。ステップ101において、クランクセットは、角度移動α(活性化モード用)又はβ(不活性化モード用)を行い、検出システム10(以下に詳細に説明する)は、逆ペダリング操作の検出(ステップ102)、並びに移動した角度範囲の検出(ステップ103)を可能にする。
【0030】
偶発的及び/又は不慮のモード切り替えを回避するために最小逆ペダリング範囲が与えられる。この範囲は、活性化/不活性化しきい値を生じる。例えば、1つのモードから他のモードに切り替え得るためには最小角度範囲90度、より好ましくは180度が必要である。第1の実施形態によれば、しきい値α(活性化モード用)及びβ(不活性化モード用)の値は異なる。変形例として、これらのしきい値は同一とすることができる。
【0031】
クランクセットがしきい値を超えるのに必要な角度移動を行った場合、検出システムはそれを検出し、制御モジュール13は自転車の電気的アシストを活性化/不活性化する(ステップ104)。
【0032】
新たに選択されたモードからの利益を得るために、その後、サイクリストは、通常の前進ペダリングモードに切り替える(ステップ105)。その後、自転車は、新たに選択されたモード(アシストされた又はアシストされない)に従って進む(ステップ106)。
【0033】
モードを変更するために、サイクリストは、何回でも好みに応じて望み通りに本方法の各ステップを繰り返す。
【0034】
本方法の運転モードは単純であり、特にサイクリストには直感的であり、サイクリストは、単に脚の操作によって、自転車の推進力に関連した全ての操作を指令することができる。従って、ハンドレベルでの操作は、従来の電気的アシストをもたない自転車と同様に運転及び制動に制限される。
【0035】
図2及び
図3は、電気的アシスト制御装置を備えた自転車の実施例を示す。従来通り、自転車1は、フレーム2、クランクセット3、車輪4、ハンドルバー5、及び動力伝達手段6を備え、動力伝達手段6は、例えば、チェーン、ベルト、又はシャフトであり、クランクセットを駆動輪に接続する。
【0036】
電気モータ7は組立体を補完する。電気モータは、クランクセット3を介してサイクリストが供給する作用力に加えて作用する。アシストモードにおいて、モータは、並列に作用し、サイクリストは、アシスト無しのモードに比べて作用力を抑えること又は低減することができる。また、サイクリストは、モータが非作動であるか又は動力伝達チェーンに接続されていない非アシストモードを利用することもできる。
【0037】
サイクリストが1つのモードから他のモードに切り替えるのを管理できるように、自転車は検出システム10を備える。検出システムは、実施形態に応じて複数の形態をとることができる。図示の実施例において、検出システムは、例えば、内部チェーンリング8に近接してフレーム2に固定して取り付けられた1又は2以上のセンサ11を備える。磁石12は、内部チェーンリング8の外周上に円周方向に分散配置される。制御モジュール13は、好ましくはモータ7に近接して配置され、モータに作用して電気的アシストを活性化又は不活性化することを可能にする。
【0038】
図4は、検出システム10の第1の実施例を概略的に示す。このシステムは、電動アシスト自転車に一般的に使用される、マイクロエレクトロニクスが組み込まれたペダリングセンサ11を用いる。各センサは、接地線、例えば5Vの電源線、及び例えば0から5Vの信号線の3線を備える。クランクセット3の停止時又はこれが正方向に回転する場合、出力電圧は0Vである。クランクセット3が正方向に回転する場合、出力電圧は非ゼロ、例えばペダリング速度に比例して1から5Vの間である。第1のセンサ11は、従来の方向に配置され、正方向のペダリングを感知する。第2のセンサ12は、負方向(逆ペダリング)のペダリングの検出を可能にするために、第1のセンサに対して180度だけ転向する。
【0039】
図5は、検出システム10の第2の実施形態を概略的に示す。2つのセンサ11により、逆ペダリング検出機能を保証することができる。第1の磁石12が1つのセンサ11の近くを通過すると、センサ内の内部マイクロコンタクトが閉じる(例えば、検出信号が0から1に切り替わる)。この実施構成によれば、磁石12がセンサ11の前を通過すると信号は「1」に切り替わり、磁石12がもはやセンサ11の前に無い場合には信号は「0」に戻る。
【0040】
図5の各センサからの信号の図に示すように、第1のセンサからの信号がすでに「1」である間に第2のセンサ11からの信号が「1」に切り替わる場合、ペダリング方向は正である。第1のセンサからの信号が依然として「0」であった間に第2のセンサからの信号が「1」に切り替わる場合、ペダリング方向は負である。
【0041】
好ましい実施形態によれば、検出システム10によって、クランクセット3が移動した角度範囲を検出することもできる。この角度範囲が予定された最小しきい値に達すると、アシストモードが変更される。この活性化しきい値によって、モードの不要な変更を回避することができる。また、逆方向の最小回転速度は、アシストを活性化/不活性化するために必要な可能性もある。
【0042】
変形例として、検出システム10によって、ペダルに作用した作動力FAを評価することもできる。作動力が大きいほどアシストはより高いことになる。反対に、作動力が小さい場合、アシストレベルはそれほど高くない。この実施形態により、サイクリストから供給された作用力に適合したアシストを得ることができる。
【0043】
さらに変形例として、制御装置は、クランクセット3の回転速度が所定時間より長い時間にわたって所定値を超える場合にアシストを不活性にすることもできる。
【0044】
制御装置により、自転車は、ハンドルバー上に手動インタフェースを追加することなく作動することができ、全てのモードはクランクセットを介して直接、管理及び制御される。
【符号の説明】
【0045】
1 電動アシスト自転車
2 フレーム
3 クランクセット
4 車輪
5 ハンドルバー
6 動力伝達手段(例えば、チェーン、ベルト、又はシャフト)
7 モータ(車輪内、クランクセット内又は他の場所に配置される)
8 内部チェーンリング
10 検出システム
11 センサ
12 磁石
13 制御モジュール