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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】流体の貯蔵
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20220516BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20220516BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
B01J19/00 321
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2019571291
(86)(22)【出願日】2019-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-15
(86)【国際出願番号】 US2019013002
(87)【国際公開番号】W WO2019147419
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-01-31
(31)【優先権主張番号】62/621,270
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514202402
【氏名又は名称】イラミーナ インコーポレーテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】502279294
【氏名又は名称】イルミナ ケンブリッジ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179903
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】ウェスリー コックス-ムラナミ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ダレン セーガレ
(72)【発明者】
【氏名】オリバー ジョン ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー オリビア フォーリー
(72)【発明者】
【氏名】タルン クマール クラナ
(72)【発明者】
【氏名】ポール クリヴェッリ
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー ワッツ
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0236273(US,A1)
【文献】特表2004-508542(JP,A)
【文献】特開2005-195561(JP,A)
【文献】特開2006-234590(JP,A)
【文献】特開2015-096257(JP,A)
【文献】特表2015-515263(JP,A)
【文献】特表2016-521350(JP,A)
【文献】国際公開第2017/141362(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0161686(US,A1)
【文献】特開2017-042101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
G01N 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体デバイスの流体入口に接続された2つ以上の流体プライムチャネルであって、前記2つ以上の流体プライムチャネルは接合部にて共通ラインの入口に流体結合されており、前記共通ラインの出口は前記流体デバイスの前記流体入口に流体結合されており、前記接合部は前記流体入口に近い、流体プライムチャネルと、
前記2つ以上の流体プライムチャネルの第1の流体プライムチャネルに、該第1の流体プライムチャネルと前記流体入口との間の流れを制御するために、動作可能に関連付けられた第1の流量制御バルブと、
前記2つ以上の流体プライムチャネルの第2の流体プライムチャネルに、前記2つ以上の流体プライムチャネルの前記第2の流体プライムチャネルと前記流体入口との間の流れを制御するために、動作可能に関連付けられた第2の流量制御バルブと、
前記流体デバイスの流体出口に接続された1つ以上の出口チャネルと、
前記流体出口と関連する出口チャネルとの間の流れを制御するために、前記1つ以上の出口チャネルの各々と動作可能に関連付けられた出口流量制御バルブと、
前記共通ラインと流体連通しているバイパスチャネルと、
を備える装置。
【請求項2】
前記第1の流量制御バルブおよび前記第2の流量制御バルブの各々は、ピンチバルブまたは空気圧作動エラストマーバルブである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記バイパスチャネルは、第2の流体を前記第2の流体プライムチャネルから前記共通ラインを通して別個の流体出口まで流す前に、前記第1の流体プライムチャネルからの第1の流体の少なくとも一部を前記共通ラインから洗い流すように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記バイパスチャネルは、前記第1の流体プライムチャネルからの第1の流体と前記第2の流体プライムチャネルからの第2の流体とを分離するために、空気を前記共通ラインに導入するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記バイパスチャネルは、第1の流体が前記流体入口から流れ戻された時に前記第1の流体を貯蔵するための再利用キャッシュとして構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
流体は、圧力差により前記装置および前記デバイスを通って移動する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
すべてではないが、少なくとも2つの流体プライムチャネルが、前記流体入口の前で合流する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
流体デバイスの流体入口に接続された2つ以上の流体プライムチャネルのそれぞれに異なる流体を貯蔵することと、ここで、前記2つ以上の流体プライムチャネルは接合部にて共通ラインの入口に流体結合されており、前記共通ラインの出口は前記流体デバイスの前記流体入口に流体結合されており、前記接合部は前記流体入口に近く、第1の流量制御バルブが前記2つ以上の流体プライムチャネルの第1の流体プライムチャネルに、該第1の流体プライムチャネルと前記流体入口との間の流れを制御するために動作可能に関連付けられており、第2の流量制御バルブが前記2つ以上の流体プライムチャネルの第2の流体プライムチャネルに、該第2の流体プライムチャネルと前記流体入口との間の流れを制御するために動作可能に関連付けられており、
前記第1の流体プライムチャネルの第1の流体の少なくとも一部を、前記共通ラインを通して前記流体入口に移動させることと、
前記第1の流体を、前記流体デバイスの流体出口を通して、前記流体出口に接続された出口チャネルに移動させることと、ここで、前記出口チャネルと動作可能に関連付けられた出口流量制御バルブは、前記流体出口と前記出口チャネルとの間の流れを制御し、
前記共通ラインを通して前記第2の流体プライムチャネルの第2の流体の少なくとも一部を前記流体入口に移動させることと、
前記共通ラインと流体連通するバイパスチャネルを通して第3の流体の少なくとも一部を移動させることと、を含む方法。
【請求項9】
前記第2の流体を、前記流体出口を通して前記出口チャネルに移動させることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の流体の少なくとも一部を、前記流体出口を通して前記出口チャネルから前記流体デバイス内に移動させることをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第3の流体は、前記共通ラインから個別の流体出口までの前記第1の流体を洗い流すための空気または洗浄バッファである、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記第3の流体は、前記第1の流体から前記第2の流体を分離するための空気である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記第3の流体は、再利用されて前記流体入口から前記共通ラインに流れ戻された前記第1の流体である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の流体および前記第2の流体を移動させることは、前記第1の流体プライムチャネルと前記第2の流体プライムチャネルに圧力差を加えることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
プレートの表面に直交する回転軸を中心に回転可能なプレートと、
各区画が前記プレートを貫通して形成された流体出口ポートを有する、前記プレート上に配置された複数の流体区画と、をさらに備え、ここで、前記複数の流体区画の前記流体出口ポートは前記回転軸から共通の半径方向距離に配置され、各出口ポートは、前記プレートが前記回転軸の周りを回転するときに、流体デバイスの流体入口と整列するように配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記プレートは円形であり、前記流体区画は前記プレートの周囲に広がる、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記プレートは、長方形環状体形状である、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記複数の流体区画を覆う蓋をさらに備え、前記蓋は、前記流体出口ポートからの流体の流れを制御するためのバルブを開閉するためのバルブアクチュエータを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記プレートは円形であり、前記流体出口ポートが前記プレートの外周に配置されている、請求項15に記載の装置。
【請求項20】
前記プレートは円形であり、前記流体出口ポートは、前記プレートの中心点近傍に配置されている、請求項15に記載の装置。
【請求項21】
各流体区画の前記出口ポートと前記流体入口との間にエラストマーシールをさらに備える、請求項15に記載の装置。
【請求項22】
前記エラストマーシールは、前記プレートの底部にオーバーモールドされている、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記回転軸の周りの前記プレートの動力回転をもたらすためのプレート駆動システムをさらに備える、請求項15に記載の装置。
【請求項24】
前記プレート駆動システムは、前記プレートの周囲に形成された噛み合う歯車の歯と係合する電動駆動ギアを含む、請求項23に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
使い捨てのマイクロ流体カートリッジに、過剰な流体を充填して保存する必要があるという問題があり得る。例えば、使用可能なスペースが限られているなどの理由によってである。一方で、試薬などの流体を、対象の流体領域(例えば、フローセル)から離して保存すると、流体を貯蔵場所から対象の流体領域に移動するための過剰なポンプ時間の問題につながり得、対象の領域で液体を交換するための高いフラッシュ係数を要し得る。
【0002】
組み込みの流体貯蔵庫を備えた多くのマイクロ流体システムは、流体を対象の流体領域から遠ざけて収容し、回転バルブであろうとピンチバルブのアレイであろうと、何らかの形のバルブを備えており、それにより、流体とカートリッジ上でそれらが使用される場所との間の距離がさらに広がる。行程容積として知られるこれらの距離は、特定の化学工程で供給される総容積を計算するために使用され、こうして、流体が対象の流体領域から離れて保存されるほど、工程ごとにより多くの容積が含まれる。繰り返し工程が多い化学工程の場合、これらの使用量は、たとえば300から600の範囲の値で乗算されるため、総行程容積は必要な総流体容積に大きな影響を与え得る。流体容積要件がマイクロ流体デバイスのサイズの主な要因であるため、大きな行程容積はデバイスサイズの削減の可能性を大きく制限する。
【0003】
一部のマイクロ流体カートリッジデバイスは、オンボードの化学反応に必要な容量よりも大きい流体容量を使用する。そのような大容量は、例えば、共有の共通ラインを介してターゲット表面で流体を交換するためのフラッシングに使用することができる。このような高い液体容積の必要性は、長く周期的なアッセイを自動化する場合にさらに深刻になる可能性がある。対象の流体領域から離れて保存されている流体を輸送するために使用される長い流体ラインには、90度曲がっている場所など、マイクロ流体経路内において洗浄困難な場所が存在し得る。さらに、層流環境では滑りのない境界条件のため、流体ラインの壁は洗浄しにくい場合がある。
【0004】
標準的なマイクロ流体システムでは、対象の流体領域から離れた流体貯蔵領域にあるチャネルでプライミングを実行してもよく、チャネルは要求に応じて流体選択を可能にする共有スイッチングバルブに供給される。長い共有ライン、または共通ラインは、すべての流体を、流体交換が発生する対象の流体領域に輸送する。そのような標準システムでは、異なる流体が対象の流体領域に提供される前に、新しい流体の正しい化学組成を保持するため、または相反する化学物質による妨害(たとえば、相互汚染)を避けるために、以前の流体を洗い流してもよい。
【0005】
異なる流体を追加する前に共通ラインを洗い流すのに必要な流体の量は、共通ラインの長さに依存し、「行程容積」として知られている。「フラッシュ係数」は、総行程容積または流体が共有するチャネルの容積に適用される、乗数とみなしてもよい。たとえば、スイープラインの体積が10μLの場合、フラッシュ係数が3では、適切な交換を生成するためにシステムを介して30μLの液体が引かれる必要がある。多くの繰り返しを伴う循環化学アッセイの場合、個々の流体移動量を最小化すると、流体デバイスに保存される全体の量に大きな影響がある。保存量を最小限に抑えることにより、カートリッジのフットプリントを削減し得、材料と液体の削減により、実行ごとにコストを節約する。場合によっては、ポンプ操作時間を短くするため、合計実行時間を短縮してもよい。
【発明の概要】
【0006】
以下は、本明細書で説明されるいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化された概要を示している。この概要は、請求項に記載された主題の広範な概要ではない。請求項に記載された対象の主要または重要な要素を特定することも、その範囲を叙述することも意図していない。その唯一の目的は、後述するより詳細な説明の前置きとして、いくつかの概念を簡略化された形式で提示することである。
【0007】
本開示の態様は、流体デバイスの流体入口に接続された2つ以上の流体プライムチャネルと、各流体プライムチャネルと動作可能に関連付けられ、関連する流体プライムチャネルと流体入口との間の流れを制御する流量制御バルブと、流体デバイスの流体出口に接続された1つ以上の出口チャネルと、流体出口と関連する出口チャネルとの間の流れを制御するために各出口チャネルに動作可能に関連付けられた流量制御バルブと、を備える装置を包含する。
【0008】
本開示の態様は、流体デバイスの流体入口に接続された2つ以上の流体プライムチャネルのそれぞれに異なる流体を貯蔵することと、ここで各流体プライムチャネルに動作可能に関連付けられた流量制御バルブは関連付けられた流体プライムチャネルと流体入口との間の流れを制御し、2つ以上の流体プライムチャネルの第1のものにおける第1の流体の少なくとも一部を流体入口に移動することと、第1の流体を流体デバイスの流体出口を介して流体出口に接続された出口チャネルに移動することと、ここで出口チャネルに動作可能に関連付けられた流量制御バルブは流体出口と出口チャネルとの間の流れを制御し、共有流体プライムチャネルを洗い流すために、第1および第2流体プライムチャネルを流体入口に接続する共有流体プライムチャネルを通して2つ以上の流体プライムチャネルのうちの第2のものにおける、第2の流体の少なくとも一部を移動することと、第2の流体プライムチャネル内の第2の流体の少なくとも一部を流体入口に移動させることと、を含む方法を包含する。
【0009】
本開示の態様は、プレートの表面に直交する回転軸を中心に回転可能なプレートと、プレート上に配置された複数の流体区画と、を備える装置を包含し、各区画は、プレートを通して形成された流体出口ポートを有し、ここで、複数の流体区画の流体出口ポートは、回転軸から共通の半径方向距離に配置され、各出口ポートは、プレートが回転軸の周りを回転するときに流体デバイスの流体入口と整列するように配置される。
【0010】
本開示の主題の他の特徴および特性、ならびに動作の方法、構造の関連要素の機能および部品の組み合わせ、ならびに製造の経済性は、以下の説明および添付の請求項を考慮するとより明らかになるであろう。これらはすべて本明細書の一部を形成し、同様の参照番号は様々な図の対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書に組み込まれ、明細書の一部を形成する添付図面は、本開示の主題の様々な例を示している。図面において、同様の参照番号は、同一または機能的に類似の要素を示す。
図1】流体デバイスに取り付けられた例示的な回転流体トレイの上面斜視図である。
図2】例示的な回転流体トレイの平面図である。
図3】回転流体トレイの代替例の斜視図である。
図4】例示的な回転流体トレイの平面図である。
図5図4に示す回転流体トレイの底面図である。
図6】例示的な回転流体トレイおよび蓋の分解斜視図である。
図7図6に示す蓋の部分底面図である。
図8A】異なるプッシュロッドチップ構成の部分斜視図である。
図8B】異なるプッシュロッドチップ構成の部分斜視図である。
図8C】異なるプッシュロッドチップ構成の部分斜視図である。
図9図8の線A-Aに沿った横断面図である。
図10図9の領域Bの部分断面図である。
図11】例示的な流体プライミングマニホルドの斜視図である。
図12】流体プライミングマニホルド用の回転バルブアセンブリの部分上面斜視図である。
図13】回転バルブの平面図である。
図14】流体プライミングマニホルド用の回転バルブアセンブリの部分底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の主題の態様は様々な形態で具現化され得るが、以下の説明および添付の図面は、主題の特定の例としてこれらの形態のいくつかを開示することのみを意図している。したがって、本開示の主題は、そのように説明および図示された形態または例に限定されることを意図していない。
【0013】
別個に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語、表記法および他の技術用語または用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で言及されるすべての特許、出願、出願公開および他の刊行物は、参照によりその全体が組み込まれる。このセクションに記載されている定義が、参照により本明細書に組み込まれている特許、出願、出願公開、および他の出版物に記載されている定義に反する、または矛盾する場合、このセクションに記載される定義は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
別段の指示がない限り、または文脈が別段の示唆がない限り、本明細書で使用する「a」または「an」は「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味する。
【0015】
この説明は、構成要素、装置、場所、特徴、またはその一部の位置および/または向きを説明する際に相対的な空間および/または向きの用語を使用してもよい。特に記載がない限り、または説明の文脈によって指示されていない限り、そのような用語には、頂部、底部、上部、下部、下、頂部上、上側、下側、左、右、前面、後ろ、隣、隣接、間、水平、垂直、対角、縦、横、放射、軸などは、図面でそのような要素、装置、場所、特徴、またはその一部を参照する際の便宜のために使用され、それらに制限することを意図していない。
【0016】
さらに、特に明記しない限り、この説明で言及した特定の寸法は、本開示の態様を実施するデバイスの例示的な実装の単なる代表例であり、限定することを意図していない。
【0017】
「約」という用語の使用は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、ここで指定されたすべての数値に適用される。この用語は、一般に、本開示の文脈において、当業者が、列挙された数値(すなわち、同等の機能または結果を有する)に対して逸脱した妥当な量と見なす数値の範囲を指す。たとえば、限定することを意図したものではないが、この用語は、与えられた数値の+-10%の偏差を含むと解釈することができる。したがって、当業者によって理解されるいくつかの状況では、約1%の値は0.9%から1.1%の範囲であると解釈することができる。
【0018】
本明細書で使用される場合、「隣接する」という用語は、近くにあるか隣り合っていることを指す。隣接するオブジェクトは、互いに間隔を空けたり、実質的にまたは直接、接触したりし得る。場合によっては、隣接するオブジェクトを互いに結合したり、互いに一体に形成したりできる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「実質的に」および「実質的な」という用語は、かなりの程度または程度を指す。たとえば、出来事、環境、特性、または性質と組み合わせて使用する場合、用語は、出来事、環境、特性、または性質が正確に発生する事例と、出来事、環境、特性、または性質が発生する事例を指す。または特性は、本明細書で説明する例の典型的な許容レベルまたは変動性を説明するなど、近似に近いものである。
【0020】
本明細書で使用する「必要に応じた」および「必要に応じて」という用語は、後に説明する要素、構造、要因、出来事、状況、特性、特性などが含まれるまたは起こるか、もしくは含まれなくてもまたは起こらなくてもよく、説明には要素、構造、要因、出来事、状況、特性、プロパティなどが含まれるまたは発生する事例と、含まれないまたは発生しない事例が含まれることを意味する。
【0021】
様々な例によれば、本明細書に記載のアセンブリおよびデバイスは、流体カートリッジと組み合わせて使用されてもよい。流体カートリッジは、1つ以上の要素、例えば、1つ以上のチャネル、分岐チャネル、バルブ、フロースプリッター、ベント、ポート、アクセスエリア、バイア、ビーズ、ビーズを含む試薬、カバー層、反応成分、それらの任意の組み合わせなどを含む、1つ以上の流体処理通路を備えてもよい。任意の要素が別の要素と流体連通していてもよい。
【0022】
明細書に記載されている、または特許請求の範囲に記載されている要素および構成要素のすべての可能な組み合わせは、本開示の一部であると考えられ、考慮されたい。前述の概念および以下でより詳細に議論される追加の概念のすべての組み合わせ(そのような概念が相互に矛盾しないという条件で)は、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると理解されたい。特に、本開示の最後で示される請求項の対象のすべての組み合わせは、本明細書に開示された本発明の主題の一部であると考えられる。
【0023】
添付の特許請求の範囲では、「含む」という用語は、それぞれの「備える」という用語の平易な英語の同等語として使用される。「備える」および「含む」という用語は、本明細書では、制限がないことを意図しており、列挙された要素を含むのみではなく、追加要素をさらに包括する。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は単にラベルとして使用され、それらの対象に数値要件を課すことを意図していない。
【0024】
「流体連通」という用語は、直接的な流体連通を意味する。たとえば、2つの領域は、2つの領域を接続する遮るもののない流体処理通路を介して互いに流体連通し得るか、例えば、2つの領域が内部に配置されたバルブを備え得る流体処理通路を介して接続される場合、互いに流体連通することができ、ここで例えば、溶解可能なバルブを溶解する、破裂可能なバルブを破裂させる、または流体処理通路に配置されたバルブを開くことにより、バルブを作動させて2つの領域間で流体連通を確立できる。
【0025】
(回転流体貯蔵トレイ)
【0026】
様々な例において、流体を流体デバイスの流体入口(例えば、流体「ターゲット」、対象の流体領域など)に送達するための装置は、回転流体貯蔵トレイを備えてもよく、回転流体貯蔵トレイは必要に応じて選択された流体を流体入口に直接供給する機能を備えた、より大きなマイクロ流体カートリッジデバイスの一部であってもよい。本開示の文脈において、流体デバイスは、流体が流体入口からデバイスへ流れ、および必要に応じてデバイスから流れる流体を流体出口へ流す、任意のデバイスを備えてもよく、化学的アッセイ、生化学的アッセイまたは他の反応などの流体処理が内部で行われるデバイスを備えてもよい。流体デバイスは、マイクロ流体デバイスであっても、そうでなくてもよい。回転流体貯蔵トレイは、流体貯蔵ウェルを流体デバイスの流体入口に直接結合できるように構成されることにより、行程容積が長くなる問題を回避できる。
【0027】
図1は、流体デバイスに取り付けられた回転流体貯蔵トレイの上面斜視図である。図2は、回転流体貯蔵トレイの平面図である。マイクロ流体カートリッジデバイス12に取り付けられた回転流体貯蔵トレイ10が示されている。トレイ10は、流体区画またはウェル16を支持するプレート14を備える。様々な例では、トレイ10は円形であり、プレート14に直交する回転軸18の周りを回転するように構成され、様々な例では円形プレート14の回転軸に対応してもよい。プレート14上に支持された複数の流体区画16は、各ウェルに貯蔵される試薬または他の流体に必要な貯蔵容積に応じて可変のサイズを有してもよい。
【0028】
様々な例では、回転流体貯蔵トレイ10は、くさび形の流体貯蔵ウェル16が上部に立てられた固体の円形プラスチック片である。適切なプラスチックには、ポリプロピレン、ポリカーボネート、Ultem(R)(ポリエーテルイミド)、およびポリウレタンが含まれる。トレイ10は使い捨て可能な構成要素であってもよいが、同じ設計上の特徴を、使い捨てでないものにも適用することができる。
【0029】
各区画16は、プレート10を貫通して形成された出口ポートまたはバイア20を含む。各出口ポートを通る流体の流れは、様々な例において、プッシュロッドまたは他のアクチュエータによって選択的に作動される適切なバルブによって制御されてよく、以下にさらに詳細に説明するように、トレイ10の上に配置された蓋を通しておよび/または蓋上に支持されてよい。
【0030】
流体トレイ10は、トレイ10が回転するときに、回転流体貯蔵トレイ10の開口中央領域24に配置され得る流体デバイス12への流体入口、例えばフローセル22への入口、の上部に流体区画出口ポート20を直接配置する方法で、流体デバイス12に位置合わせされる。様々な例において、各流体区画の出口ポート20は、回転軸18から同じ半径距離に配置され、それにより、トレイ10が回転するにつれて出口ポートを共通の位置に配置する。
【0031】
組み合わせる流体デバイスの構成に応じて、出口ポートは、トレイ円の外周上または中心点近くに配置できる。他の例では、出口ポートは、プレートの半径に沿った任意の位置に配置されてもよい。後者の配置オプションの場合、流体トレイは、フローセルなどの他のカートリッジコンポーネントをトレイの内部に存在させるように、トレイの中央部が空になっている長方形環状体であってもよい。例えば、図1および図2のトレイ10の開口中央空間24を参照されたい。
【0032】
図3は、回転流体貯蔵トレイ30の代替例の斜視図である。回転式貯蔵トレイ30は、様々な例でその上に流体ウェル36が配置された円形の回転プレート34を含み、トレイ30の外周にプレート34を通して形成された出口ポート40を有する。トレイ30のこの構成により、異なるスタイルの流体アーキテクチャをトレイと組み合わせることが可能になる。図1および図2に示されるトレイ10とは対照的に、トレイ30は、トレイ30の中央領域内に、フローセルなどの構成要素のための開口中央空間24を欠いている。
【0033】
回転流体貯蔵トレイ10、30の様々な例では、トレイの速度および角度位置の自動制御および監視が提供されてもよい。トレイは、トレイの自動化されたオンデマンド動力回転を提供するために、例えばギア、ベルト、プーリー、ドライブシャフトなどによって、モーターまたは他の動力手段に結合されてもよい。角度位置制御およびトレイの監視は、回転位置センサー、たとえばエンコーダー、および/またはステッピングモーターによって提供されてもよい。
【0034】
さまざまな例で、選択された流体区画の出口ポートを流体デバイスの流体入口と位置合わせするための回転流体貯蔵トレイの自動回転は、モーター式ギア駆動システムをトレイの周囲に形成された噛み合うギアの歯に結合することにより達成される。例えば、トレイ10は、例えばギア(例えば、ピニオンギア)またはベルトによって、トレイ10をモーターに結合するための周辺ギア歯26を含み、それらの出口ポート20を流体デバイスの入口に位置合わせすることにより、トレイ10の動力回転によって様々な区画16の中から選択できるようにする。同様に、トレイ30は、例えばギア(例えば、ピニオンギア)またはベルトによって、トレイ30をモーターに連結するための周辺ギア歯46を含み、それらの出口ポート40を流体デバイスの入口に位置合わせすることにより、トレイ30の動力回転によって様々な区画36の中から選択できるようにする。
【0035】
トレイ10の回転プレート14とトレイ30のプレート34と流体デバイスとの間の界面はおよび流体デバイスは、トレイの流体出口ポートと流体デバイスの流体入口との間に完全な流体シールを形成するためにエラストマーを含んでもよい。さまざまな例では、エラストマーはプレート14または34の底部にオーバーモールドでき、低スティクション(つまり、静止面の動きを妨げる傾向のある摩擦)の材料で構成され、トレイが流体デバイス上に圧縮されている間にトレイ10、30を回すための過剰なトルク要件、例えば、約0.3Nmまたはそれ未満、を回避する。適切なエラストマーには、Dynaflex(R)、Santoprene(R)、およびシリコンなどの熱可塑性エラストマーが含まれる。
【0036】
様々な例において、回転流体貯蔵トレイの設計は、回転プレートと流体デバイスとの間にシールを形成するためにトレイを締め付けることと、目立たない方法でトレイを回転させることの両方の作動点に対応する。したがって、様々な例において、ギア歯26、46は、それぞれのトレイ10、30の外周に形成される。締め付け力は、ウェルトレイの上端を低摩擦材料で圧縮することによりもたらされ得る。
【0037】
図4および図5は、それぞれ、回転流体貯蔵トレイ50の代替例の上面図および底面図である。回転式貯蔵トレイ50は、様々な例で円形の回転プレートを含み、その上に流体ウェル52、54が配置され、トレイの外周近くのプレートを通して形成されたバルブ56、54によってそれぞれ覆われた出口ポートを有する。トレイ50は、トレイ50の動力回転を可能にするために、例えばギア(例えば、ピニオンギア)またはベルトによってトレイ50をモーターに連結するための周辺ギア歯62を含んでもよい。
【0038】
図6は、回転流体トレイ50および蓋64の分解斜視図である。蓋64は、トレイ50のバルブ56および58を選択的に開くように構成されたバルブアクチュエータ66を含む。図示の例では、各バルブアクチュエータは、タブの周囲を画定するスロット72によって蓋64に形成されているフレキシブルタブ70を含む。プッシュロッド68がタブ70の下方に延在している。
【0039】
バルブアクチュエータ66の断面図である図9および図10に示すように、プッシュロッドはタブの下部でバルブ58の上部の図10の位置68(1)まで延在している。バルブアクチュエータ66に力を加えることによりタブ70が下向きに曲がると、プッシュロッドの先端がバルブ58内に位置68(2)まで延在する。トレイ50の底面上のエラストマー材料60のリング(図5も参照)は、トレイのウェルの底部に形成された開口部内に延材する突起またはボタン80を含む。突起はその中にバルブ58を形成するスリット隔壁が形成されてよく、プッシュロッド68の先端がスリットに押し込まれるとバルブが開き、プッシュロッドが引き込まれるとバルブが閉じる。ウェルの開口部は、流体デバイス74のチャネル76と位置合わせされる。一例では、プッシュロッド68は、バルブ58を開き、シリンジポンプが貯蔵ウェルから流体を引き出すのに十分な程度に、スプリット隔壁シールを曲げる。
【0040】
図9および図10に示すように、エラストマーリング60は、チャネル76とウェルの開口部との界面の周りで、流体デバイス74とトレイ50の底部との間にシールを形成する。トレイ50および流体デバイス74は、バネ82などの構成要素またはメカニズムによって、互いに密着した状態で保持されてもよい。
【0041】
蓋64の上にフレキシブルシール78を設けてもよい。シール78を設けて、破片がバルブアクチュエータ66のスロット72に落ちるのを防止してもよい。
【0042】
図8は、プッシュロッド68の先端の代替構成を示している。図8(A)のプッシュロッド68aは、単一の鈍先端構成を有する。図8(B)では、プッシュロッド68bは分岐点構成を有する。そして、図8(C)では、プッシュロッド68cは、半円形の横断面を有する分岐構成を有する。
【0043】
(流体プライミングマニホルド)
【0044】
本明細書に記載の例によれば、流体入口および流体出口を有するデバイスに流体を出し入れするための装置は、記載された単一のインライン位置での流体交換を必要とする流体デバイスに結合または統合される流体マニホルドを備えてもよい。これに関連して、インライン位置は、流体デバイスの流体入口とみなされる。マニホルドは、流体入口に供給できる、非常に短い共有流体ラインまたは共通ラインまでの試薬または他の流体のプライミングを可能にするように構成されている。この文脈における「プライミング」、「キャッシング(貯蔵)」、「プライム」、または「キャッシュ」という用語は、流体デバイスへの送達前および流体デバイスでの使用前に、流体を専用チャネルに押し込むまたは引くことにより、流体または他の流体を準備する行為を表す。
【0045】
図11に示すように、流体入口および流体出口を有するデバイスに流体を出し入れするための例示的な装置は、流体プライミングマニホルド100を備える。マニホルド100は、流体デバイス50、例えば流体入口52および流体出口54を有するフローセル、が支持または結合される基板102上に構築される。
【0046】
マニホルド100は、2つ以上の流体プライムチャネル104、106、108、110、112(図示の例では5つの流体プライムチャネルであるが、マニホルドは、5つより多いまたは少ない流体プライムチャネルを含んでもよい)およびバイパスライン120を含む。流体プライムチャネル104、106、108、110、112のうちの1つ以上は、チャネル内に貯蔵できる流体の量を最大化するために蛇行構成を有してもよい。流体プライムチャネル104、106、108、110、112は、流体入口52の直前で収束し、流体交換が行われ得る流体入口52と流体連通する。図示の例では、流体プライムチャネル104、106、108、110、112が収束して流体入口52の同じポート位置から流体デバイス50に入る流体入口52の直前に、2つの別個の共通ライン162、164が形成される。分離された収束経路は、流体デバイス50上の単一の入口点を維持しながら、互いに影響されやすい流体(例えば、試薬)を分離したままにする。
【0047】
様々な例では、個々のバルブ位置124、126、128、130、132はそれぞれ、流体プライムチャネル104、106、108、110、112の1つにそれぞれ動作可能に関連付けられ、輸送中に取り扱う流体プライムチャネルのどれを選択するかを可能にする。個々のバルブ位置122は、バイパスライン120と動作可能に関連付けられている。
【0048】
この文脈では、チャネルと動作可能に関連付けられたバルブは、バルブの選択的作動により、関連付けられたチャネルを通る流体の流れが選択的に許可または防止され、および/またはチャネルを通る流体の流量が選択的に制御されるように、チャネルに結合される。
【0049】
流体プライムチャネル104、106、108、110、112のそれぞれを流体源に接続するために、コネクタまたはフィッティング136、138、140、142、144を設けてもよい。一例では、コネクタ136、138、140、142、144は、流体プライムチャネル104、106、108、110、112にプライミングまたは貯蔵される異なる流体のそれぞれを運ぶ回転流体貯蔵トレイ(上述)に結合された流体入口から流体を導く共通チャネルに接続してもよい。コネクタ134をバイパスライン120に関連付けてもよい。様々な例では、バイパスチャネル120は、バルブ122とは反対側の端部に第2のバルブ154を含んでもよい。バイパスチャネル120は、コネクタ160をさらに含んでもよい。様々な例では、流体プライムチャネル104、106、108、110、112、およびバルブ位置124、126、128、130、132の関連バルブは、流体が流体プライムチャネルに流入する流体の主貯蔵領域から物理的に分離される。
【0050】
各流体プライムチャネル104、106、108、110、112は、流体デバイス50で使用するためにプライミングされる単一の試薬または他の流体専用である。個別のチャネル間の流れの切り替えは、プライムチャネルと各チャネルの流体源との間に配置されたバルブ124、126、128、130、132を操作することにより達成される。様々な例において、バルブ124、126、128、130、132は、それぞれの関連する流体プライムチャネル104、106、108、110、112のそれぞれの入口となるように製造された小さな丸い窪みから構成されてもよく、対応するチャネルを密閉するために、外部ピンチロッドを使用して、圧縮することができる。さまざまな例では、チャネル上に接着された材料は、このピンチバルブ体制の使用を可能にするのに十分な柔軟性を備えている必要がある。これらのタイプのバルブは、一般にピンチバルブと呼ばれる。バルブが開いているチャネルのみが流れを発生させることによって、対応するチャネルへの選択された流体の特定の流れを生成する。
【0051】
プライミングチャネルとは別に、バイパスチャネル120などの1つ以上の他のバルブチャネルが存在し、ダイレクトサンプル入力ラインおよび異なる反応ゾーンへのバイパスチャネルを形成する。バイパスチャネルにより、共通ラインを空気または洗浄バッファーで洗い流すことができ、プライミング中の、以前にプライミングされた流体の残りによる汚染を回避する。バイパスチャネル120を使用して気泡を導入し、プライムチャネルから流体デバイス50に供給される異なる流体の別個のボーラスを分離してもよい。他の例では、バイパスチャネル120は再利用キャッシュとしても使用できる。たとえば、入口52を介して送られる流体の場合、その流体をソースウェルに押し戻す必要を回避するために、バイパスチャネル120を一時的な貯蔵チャネルとして使用できる(保存されている流体の量がバイパスチャネルの内部容積よりも大きくないと仮定する)。
【0052】
フローセルの入口までプライミングする能力がそれらの存在によって妨げられない限り、任意の数のプライミングチャネルおよびその他のものが存在し得る。
【0053】
ピンチバルブの実行可能なオプションは、空気圧作動エラストマーバルブを含む他のマイクロ流体バルブオプションを含んでもよい。
【0054】
ピンチバルブに代わる別の実行可能な代替手段には、図12~14に示すような回転バルブアセンブリが含まれる。一例では、回転バルブアセンブリは、マニホルド基板200内に回転可能に取り付けられ、共通入口ライン236および共通出口ライン238によってフローセルなどのデバイス230の流体入口および出口232、234にそれぞれ接続される回転バルブ202を含む。
【0055】
図13に示すように、一例では、回転バルブ202は、剛性プラスチック材料から作られてもよい第1のディスク204と、ディスク204上に配置される(例えば、オーバーモールドされる)エラストマーキャップ206とを含む。キャップ206に適切なエラストマーは、Dynaflex(R)、Santoprene(R)、シリコンなどの熱可塑性エラストマーを含んでもよい。キャップ206は、円周パターンに配置されたOリング208と、チャネル210とを含む。図14に示されるように、シャフト216は、回転バルブ202をモーターまたは動力回転のための他の手段に接続するために提供されてもよい。バルブ202の回転を制限するために、ハードストップアーム218を設けてもよい。
【0056】
複数の流体プライムチャネル220、222、224、226がマニホルド基板200に形成され、バイア240、242、244、246によって試薬貯蔵容器(図示せず)に接続されてもよい。
【0057】
各流体プライムチャネル220、222、224、226は、回転バルブ202の中心に対して共通の半径方向位置で終端する。キャップ206に形成されたチャネル210は、バルブ202の中心に対応する出口214と、入口212を含む。チャネル210の入口端212が流体プライムチャネル220、222、224、226のうちの1つの終端と整列するようにバルブ202を回転させると、流体はプライムチャネルから入口212に流れ、チャネル210を通って、共通入口ライン236に接続された出口214へと流れ得る。残りの、接続されていない流体プライムラインの終端は、Oリング208の1つと整列して、接続されていない各ラインをシールする。したがって、回転バルブは、他のすべての流体プライムチャネルが流体の流れに対してシールされているため、チャネル210を選択された流体プライムラインまで回転させることができる。
【0058】
共通出口ライン238は、回転バルブアセンブリおよび流体デバイスを通して流体を引き出すためのポンプ(図示せず)に接続されてもよい。ピンチバルブなどの1つ以上の追加のバルブを設けて、ポンプからの圧力の印加を制御し、共通の出口ライン238からの出口流体の流れを制御して、例えばバイパスおよび流体再利用能力を提供し、および/または出口フローを廃棄物容器に接続してもよい。
【0059】
ある液体は互いに不適合の場合があり、分離された状態に保たれる。次の流体が共有ラインを流れる前に、これらの流体が分離されていないか、適切に洗い流されていない場合、後続の反応または他の処理が悪影響を受ける可能性がある。プライミングマニホルドの様々な実施例は、交差汚染を防止しつつ、各プライミングチャネルが単一の位置で流体入口に導くことができるように構成されている。例えば、図示のマニホルド100では、同じ入口ポート52に通じる2つの共通ライン162、164を(いくつかの別個のラインまたは1つのラインだけではなく)含み、交差汚染を防ぐためのラインのスマートな洗浄が可能になる。図示の例では、流体プライムチャネル104、106、および108は共通チャネル162に接続され、流体プライムチャネル106は接合部114で流体プライムチャネル104と合流し、流体プライムチャネル108は接合部116で流体プライムチャネル104および106と合流する。接合部114から流体入口52までの距離に加えて、流体入口52から流体出口54までの距離は、行程容積と呼ばれることがあり、接合部116から入口52までの距離は、共通ライン容積と呼ばれることがある。また、図示の例では、流体プライムチャネル110および112は共通チャネル164に接続され、流体プライムチャネル110は接合部118で流体プライムチャネル112と合流する。接合部118から流体入口52までおよび116から入口52までの距離は行程容積である。理想的には、接合部114、116、118は、行程容積を最小限にするために、流体入口52に可能な限り近接している。
【0060】
マニホルド100は、流体出口54と流体連通する流体出口チャネル148をさらに含む。出口チャネル148は、その端部で貯蔵することができる流体の量を最大化するために、蛇行構成を有してもよい。様々な例では、個々のバルブ位置152は、出口チャネル内の流れを制御するために出口チャネル148に関連付けられている。バルブ152は、ピンチバルブまたは他の適切なバルブであってよい。
【0061】
出口チャネル148を廃棄物チャンバなどの下流の流体要素に接続するため、および/または出口チャネル148をポンプなどの圧力差源に接続するために、コネクタ158を設けてもよい。
【0062】
二次チャネル146は、出口チャネル148から延在し、二次チャネルを通る流れを制御するためのバルブ150を含む。二次チャネル146は、空気に対して開いていてもよく、気泡を提供して、出口チャネル148に移動した流体のボーラスを分離してもよい。
【0063】
流体プライミングチャネル104、106、108、110、112を有する流体入口52まで流体プライミングラインを延在させることにより、いくつかの既存のシステムを超えて流体の改善が可能になる。主に、ターゲットでのプライミングは、使用中の流体の必要な掃引距離を大幅に削減する。流体ラインの距離が最小化されると、交差汚染を防ぐために以前の流体を洗い流すのに必要な総量も最小化される。
【0064】
一例では、流体輸送は、出口チャネル148に接続されたシリンジポンプ(図示せず)を作動させることにより実行され、流体の前後運動を可能にする。他の圧力差生成メカニズムも同様に機能するが、流体の再利用を可能にするには、流れの方向を逆にする機能を持つものが理想的である。
【0065】
例えば、第1の流体―例えば第1の試薬または他のアッセイまたは反応成分―は、マニホルドへの圧力差の適用および1つ以上のバルブの作動により、流体プライムチャネル104から共通ライン162を通じ、入口52を介してデバイス50に移動できる。次に、流体プライムチャネル106からの第1の流体とは異なる第2の流体の体積、例えば、第2の試薬または他のアッセイまたは反応成分の体積が、共通ライン162を通して引き出され、第1の流体の残留量を洗い流す。接合部116と入口52との間の行程容積に等しい第2の流体の量は、通常、増倍率で乗算され、接合部116と入口52の間の共通ラインを通って移動し、入口52の代わりにバイパスライン120に導かれ、デバイス50をバイパスする。洗い流した後、ある量の第2の流体は、流体プライムチャネル106から共通ライン162を通り入口52を通ってデバイス50に移動することができる。第2の流体をデバイス50に移動する間、デバイス50に以前に移動したある量の第1の流体は、流体出口54を通って出口チャネル148に移動することができる。次に、ある量の第2の流体をデバイス50から流体入口52を通って移動させ、流体プライムチャネル106に戻すことができ、出口チャネル148に保持された第1の量の流体を出口チャネル148から移動させ、デバイス50で再使用するために、流体出口54を通ってデバイス50に戻すことができる。
【0066】
ターゲットのプライミングマニホルドには、オンボードのリザーバーに保存された流体を、流体交換のために特定のインラインターゲット領域にリンクする、より大きな流体デバイスの一部として製造されたマイクロ流体チャネルシステムが含まれる。様々な例において、マニホルドの流体チャネルシステムは、統合されたフローセルに配列決定流体を送達する機能を備えたマイクロ流体カートリッジデバイス本体に製造されてもよい。チャネルは、射出成形されたデバイス本体上、またはチャネルを形成するために、本体、例えば基板102に対してシールされた別個に成形された分配層状、の設計上の特徴であってもよい。
【0067】
前述の概念および以下でより詳細に議論される追加の概念のすべての組み合わせ(そのような概念が相互に矛盾しないという条件で)は、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると考えられる。特に、本開示の最後に現れる請求項の主題のすべての組み合わせは、本明細書に開示された本発明の主題の一部であると考えられる。また、本明細書で明示的に使用される用語は、参照により組み込まれる任意の開示に現れてもよく、本明細書で開示される特定の概念と最も一致する意味が与えられるべきである。
【0068】
本開示の主題は、特徴の様々な組み合わせおよび副組み合わせを含む特定の例示的な例を参照して、かなり詳細に説明され示されているが、当業者は、他の例およびその変形および修正を、本開示の範囲が包括するものとして容易に理解するであろう。さらに、そのような例、組み合わせ、および副組み合わせの説明は、請求項の主題が請求項で明示的に列挙されたもの以外の特徴または特徴の組み合わせを必要とすることを意図しない。したがって、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれるすべての修正および変形を含むものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14