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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】プライミングトレイ
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/36 20060101AFI20220516BHJP
   A61M 1/14 20060101ALI20220516BHJP
   A61M 60/113 20210101ALI20220516BHJP
   A61M 60/117 20210101ALI20220516BHJP
   A61M 60/232 20210101ALI20220516BHJP
   A61M 60/237 20210101ALI20220516BHJP
   A61M 60/279 20210101ALI20220516BHJP
   A61M 60/38 20210101ALI20220516BHJP
【FI】
A61M1/36 121
A61M1/14
A61M60/113
A61M60/117
A61M60/232
A61M60/237
A61M60/279
A61M60/38
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020130997
(22)【出願日】2020-07-31
(62)【分割の表示】P 2017551233の分割
【原出願日】2016-03-31
(65)【公開番号】P2020171852
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】62/140,778
(32)【優先日】2015-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517116670
【氏名又は名称】カーディアックアシスト・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CARDIACASSIST, INC.
【住所又は居所原語表記】240 ALPHA DRIVE, PITTSBURGH, PENNSYLVANIA 15238, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】スヴィテック,ロバート・ジー
(72)【発明者】
【氏名】ストークス,ジェリー
(72)【発明者】
【氏名】ケリー,パトリック・エイ
(72)【発明者】
【氏名】マッコッピン,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】ムラウスキー,パトリック・エイ
(72)【発明者】
【氏名】デシャンプス,トラヴィス
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ,パトリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】マロウス・ザ・サード,ジョン・シー
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-513732(JP,A)
【文献】特開2009-172063(JP,A)
【文献】特開2008-284031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/00 - 60/90
A61M 1/14,1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプおよび/または酸素付加装置をプライミングするためのプライミングトレイであって、
底面、および、前記底面から立設し、流体の体積を収容する内部リザーバを画定する複数の側壁、を有し、前記底面は斜めのベース表面を規定する本体と、
複数の前記側壁の一つに設けられ、流体システムの第一要素の第一接続チューブを受容するように構成された入口バルブコネクタを有する入口ポートと、
複数の前記側壁の一つに設けられ、前記流体システムの第二要素の第二接続チューブを受容するように構成された出口バルブコネクタを有する出口ポートと、を備え、
前記本体は、第一位置から、前記本体が前記斜めのベース表面上に支持される第二位置へ、傾けることができるプライミングトレイ。
【請求項2】
前記底面は、平坦なベース表面および前記斜めのベース表面を有する請求項1に記載のプライミングトレイ。
【請求項3】
前記第二位置において、前記入口ポートは、前記出口ポートに比べて高い位置にある請求項1または2に記載のプライミングトレイ。
【請求項4】
前記入口バルブコネクタは、前記第一接続チューブの末端が前記内部リザーバの内側に延出する態様で前記第一接続チューブを受容するように構成されている請求項1~3のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【請求項5】
前記入口バルブコネクタは、入口バルブを有し、
前記入口バルブは、前記流体システムの前記第一接続チューブの開放端が前記入口バルブに挿入されたときに、前記第一接続チューブの周囲における漏れを防ぐための封止を有する請求項1~4のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【請求項6】
前記入口バルブの前記封止は、前記第一接続チューブの前記開放端が前記入口バルブから取り外されるときに、前記内部リザーバを自動的に再封止するように構成されている請求項5に記載のプライミングトレイ。
【請求項7】
前記出口バルブコネクタは、前記流体システムの前記第二接続チューブが前記内部リザーバの内側に延出する態様で前記第二接続チューブを受容するように構成されている請求項1~6のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【請求項8】
前記出口バルブコネクタは、出口バルブを有し、
前記出口バルブは、前記流体システムの前記第二接続チューブの開放端が前記出口バルブに挿入されたときに、前記第二接続チューブの周囲における漏れを防ぐための封止を有する請求項1~7のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【請求項9】
前記出口バルブの前記封止は、前記第二接続チューブの前記開放端が前記出口バルブから取り外されるときに、前記内部リザーバを自動的に再封止するように構成されている請求項8に記載のプライミングトレイ。
【請求項10】
記流体は、前記入口ポートから前記出口ポートへ重力によって流れ、
前記本体が前記第一位置から前記第二位置に傾けられたときに、前記流体は、前記入口ポートから前記出口ポートへ、より容易に排出できる請求項1~9のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【請求項11】
前記内部リザーバの少なくとも一部を包むように、プライミングトレイに取り外し可能に接続して設けられる蓋をさらに備える請求項1~10のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【請求項12】
プラスチック、金属、ゴム、またはこれらの任意の組合せから製造される請求項1~11のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【請求項13】
複数の前記側壁は、前記底面から実質的に垂直上方に延在する請求項1~12のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【請求項14】
前記内部リザーバは、前記出口ポートに向かって先細りにされている、または、前記斜めのベース表面に対して角度をつけられている請求項1~13のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【請求項15】
前記流体システムの前記第一要素の前記第一接続チューブが前記入口バルブコネクタに挿入され、前記流体システムの前記第二要素の前記第二接続チューブが前記出口バルブコネクタに挿入されると、流体回路が形成されて、前記内部リザーバが前記流体システムの前記第一要素および前記流体システムの前記第二要素と同時に流体連通する請求項1~14のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2015年3月31日に出願された“Cannula System With Sterile Connector, Bloood Pump, and Patient Harness”と題する米国仮出願第62/140778号の優先権の利益を主張し、その開示は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、患者の肺動脈に酸素化血液を導入するポンプおよび酸素付加装置を含む、患者の心臓を補助するシステム、特に、このシステムを患者に取り付けるホルダおよびハーネスに関する。
【背景技術】
【0003】
患者の血液への酸素注入のための循環支援のための現在の療法は、療法の適用を制限する多数の有害事象を含みうる。これらの有害な状況は、感染、炎症、肺への体液蓄積、脳卒中と内出血の可能性、および、支援システム内の流れを減少し、したがって、患者に悪影響を及ぼすデバイス/静脈の閉塞を含む。人工材料と血液との境界部分は、血栓(血液凝固)を起こす可能性があり、血栓は、抗凝固によって管理されるが、抗凝固は、内出血を起こす可能性がある。抗凝固が不十分である場合、人工デバイス中で成長する凝血塊が解放されて、これが体中に流れる結果、脳卒中を発生しうる。人工材料との血液の接触は、使用された材料に生体適合性があることが試験されたとしても、炎症および感染を引き起こす可能性がある。
【0004】
歴史的に、左心室補助デバイス(LVAD)および/または右心室補助デバイス(RVAD)は、経皮的処置またはカテーテル処理という選択肢を利用することができず、外科的介入を必要とする患者に対して使用されている。これらの外科的なLVADおよび/またはRVADは、心筋梗塞、(大きな左右伝播を有する)急性虚血性事象、心原性ショック、LVAD右心室(RV)機能不全、移植後RV機能不全、および、肺高血圧症、を有する患者のために使用されている。急性心筋梗塞および心原性ショックは、大動脈内バルーンポンプ(IABP)および最大強心療法によって処置されてきたが、それに対して、多くの患者は耐性ができる。外科的に移植されたLVADは、スターリング曲線における動的変化を引き起こす顕著な隔膜偏位を生じうるものであり、結果として急激に患者を厳しいRV機能不全にすることになる。重篤なRV機能不全を伴うLVADから移植へ橋渡しされた患者は、移植後の生活において制限を受けるおそれがある。続発性肺高血圧症は、LVADで一般的に処置される急性および慢性の状態においてRV機能不全の増悪に繋がる。
【0005】
Cardiac Assist Inc.によって製造される現在のTandemHeart PTVA心臓補助システムは、遠心ポンプ、標準の経中隔穿刺法を使用して心房中隔を横切って配置されるように設計される21Frの約65cm長の脱血カニューレ、および、15Frまたは17Frの返血カニューレを有する経皮的左心室補助システムであり、これらのカニューレは、標準の3/8インチの手術用管を使用してポンプに接続される。3.5~4.0リットル/分のシステムの流量が達成されうる。TandemHeartデバイスは、急性心原性ショックの患者に関して研究されており、かつIABPに比べて顕著な血行動態の利益をもたらすことが分かった。これは、一時的(6時間未満)左心室機械的循環補助としてFDAによって認可されている。TandemHeartシステムは、心臓と呼吸機能を支援する静動脈構成、または、呼吸機能のみを支援する静静脈構成、においてなされうる、ECMOとしばしば呼ばれる体外式膜型人工肺を提供するための酸素付加装置と接続されて使用されてもよい。TandemHeartシステムは、たとえば、全体が参照によって本明細書に援用されるZafirelisらに対する米国特許第6808508号(特許文献1)において開示されているように、左心房から経中隔カニューレを介して受け取った酸素を豊富に含んだ(酸素化された)血液をポンプ送給しかつその血液を動脈系に戻す心臓補助システムと共に使用されうる。
【0006】
現在、心臓補助システムは、ベルトまたはストラップによって患者に取り付けられうる。この心臓補助システムの要素は、IVポール、スタンドなどのような静止物体に対して取り付けられることによって保持されてもよい。しかしながら、患者が動きやすく、かつ、接続管を短くする改良された取り付けシステムが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第6808508号
【文献】米国特許第8550973号
【文献】米国特許第8562519号
【文献】米国特許第9168352号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、上記に鑑み、上記の困難な状況を軽減するシステムを開発することは、大きな臨床的価値がある。血流の乱れを最小にするように最も円滑な流路を可能とし、かつ完全な酸素源を提供して、肺繊維の損傷を引き起こすことが知られている人工呼吸器のような他の代替の酸素源を避けるために治療医に柔軟性を持たせることができるように、大量の血液を流している間に患者が動くことができ、歩くことさえも可能とする潜在能力がある最小量の人工材料を有するシステムを開発することが望ましい。ポンプおよび酸素化血液を患者の肺動脈に導入する酸素付加装置を含む、患者の心臓を補助する改良されたシステム、特にシステムを患者に取り付けるホルダとハーネスの必要性も存在する。典型的なシステムのための延長されたセットアップ時間中に患者の悪化を減少するためにポンプおよび/または酸素付加装置を非常に迅速にプライミングする高速プライミングシステムのさらなる必要性が存在する。合併症が生じたときに、典型的なシステムが容易には接続および接続解除されず、したがって、プライミングすることおよびコンポーネントを交換することがより困難であるので、迅速にかつ容易に接続しかつ接続解除することができるコネクタのさらなる必要性が存在する。これらの問題に対処するように構成されるシステムが本明細書で論じられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様によれば、患者の心臓を補助するシステムは、ポンプと、酸素付加装置と、前記ポンプを取り外し可能に受容するポンプ受容部分、および、前記酸素付加装置を取り外し可能に受容する酸素付加装置受容部分、を有するホルダと、患者の胴体の少なくとも一部を囲むように構成され、前記ホルダが接続されるハーネスと、前記ハーネスの少なくとも一部に接続される装具と、を含むことができる。この装具は、ユーザの後頭部の後ろに延在しかつ前記ポンプと前記酸素付加装置の少なくとも一方に接続される管を支持するように構成されうる。
【0010】
本開示の他の態様によれば、前記装具は、この装具を前記ハーネスに接続するアタッチメント部分を有しうる。前記アタッチメント部分は、一個以上の締結要素によってハーネスに接続解除可能に接続されうる。前記装具は、前記管を支持する、前記アタッチメント部分から延在する支持部分を有しうる。前記装具は、前記管を固定する一個以上の管クリップを有する。前記ホルダは、前記ポンプおよび前記酸素付加装置を前記ホルダに接続解除可能に接続する少なくとも一個の接続部材を有しうる。前記ポンプ受容部分は、前記ポンプのベースと係合する形状の平坦な表面と、前記ポンプの外表面と係合解除可能に係合する一個以上のタブと、を有しうる。前記酸素付加装置受容部分は、円筒形状の酸素付加装置を受容する形状であってよい。前記ホルダを前記ハーネスに接続解除可能に接続するために、前記ホルダは第一のアタッチメント部材を有してもよく、かつ、前記ハーネスは第二のアタッチメント部材を有してもよい。前記ハーネスは、患者の体になじむサイズに調整可能な一個以上の部分を有しうる。前記ハーネスは、前記ハーネスをユーザの頭上から配置する中央開口を有しうる。前記ハーネスは、前記ハーネスを患者の体に固定する接続部材を有しうる。前記接続部材は、面ファスナーであってもよい。前記管は、前記ポンプの入口に接続される入口チューブ、出口チューブに接続される出口チューブ、および、前記ポンプの出口と前記酸素付加装置の入口との間に接続される接続チューブ、を有しうる。前記入口チューブ、前記出口チューブ、および、前記接続チューブ、の少なくとも一つは、一個以上の管クリップによって前記装具に接続されうる。
【0011】
本開示の他の態様によれば、患者の心臓を補助するシステムは、ポンプと、酸素付加装置と、前記ポンプの入口に接続される入口チューブ、出口チューブに接続される出口チューブ、および、前記ポンプの出口と前記酸素付加装置の入口の間に接続される接続チューブ、を有する管と、前記ポンプを取り外し可能に受容するポンプ受容部分、および、前記酸素付加装置を取り外し可能に受容する酸素付加装置受容部分、を有するホルダと、患者の胴体の少なくとも一部を囲むように構成され、かつ、前記ホルダが接続されるハーネスと、前記ハーネスの少なくとも一部に接続されかつユーザの後頭部の後ろに延在しかつ前記ポンプおよび前記酸素付加装置の少なくとも一方に接続される管を支持するように構成される装具と、を含むことができ、前記装具は、この装具を前記ハーネスに接続するアタッチメント部分と、前記管を支持するために、前記アタッチメント部分から延出する支持部分と、を有する。前記ポンプ受容部分は、前記ポンプのベースに係合する形状の平坦部分と、前記ポンプの外表面に係合解除可能に係合する一個以上のタブと、を有する。前記酸素付加装置は、円筒状の酸素付加装置を受容する形状であってよい。前記ホルダを前記ハーネスに接続解除可能に接続するために、前記ホルダは第一のアタッチメント部材を有し、かつ、前記ハーネスは第二のアタッチメント部材を有する。
【0012】
本開示の他の態様によれば、患者の心臓を補助するシステムを支持する患者ハーネスは、ポンプを取り外し可能に受容するために構成されるポンプ受容部分、および、酸素付加装置を取り外し可能に受容するために構成される酸素付加装置受容部分、を有するホルダと、患者の胴体の少なくとも一部を囲むように構成され、かつ、前記ホルダが接続されるハーネスと、前記ハーネスの少なくとも一部分に接続され、ユーザの後頭部の後ろに延在し、かつ、前記ポンプおよび前記酸素付加装置の少なくとも一方に接続される管を支持するように構成される装具と、を含むことができ、前記装具は、この装具を前記ハーネスに接続するアタッチメント部分と、前記管を支持する、前記アタッチメント部分から延在する支持部分と、を有する。
【0013】
本開示の一態様によれば、心臓補助システムのポンプおよび/または酸素付加装置をプライミングするプライミングトレイは、内部リザーバを画定する容器を含む。前記容器は、入口ポートと出口ポートとを含む。各ポートは、自動封止バルブコネクタによって覆われ、この自動封止バルブコネクタによって接続管の開口端が貫通されてよく、かつ、前記接続管の端部が前記バルブコネクタから取り外されるときに、この自動封止バルブコネクタは自動的に再封止する。
【0014】
本開示の一態様によれば、プライミングし、かつ、接続管とカニューレとの間の流体接続を確立するコネクタが提供される。このコネクタは、カニューレと流体接続状態にある第一のポートと、前記接続管に接続解除可能に接続されるように構成される第二のポートと、を有するハウジングを含む。このハウジングは、流体を前記ハウジングの内部に導入するため、および/または、閉じ込められた空気が前記ハウジングの前記内部から逃げることを可能とする、ポートをさらに含むことができる。前記ポートは、疎水性フィルタ、一方向バルブ、または、ボールバルブ、によって覆われうる。前記ポートは、流体を前記ハウジングへ排出するため、または、閉じ込められた空気を前記ハウジングの前記内部から抜き出すために、シリンジが接続されうる穿孔可能な隔膜によって覆われることもできる。
【0015】
本開示の様々な他の態様が以下の項の内の一つ以上にさらに記載される。
【0016】
項1:ポンプおよび/または酸素付加装置をプライミングするためのプライミングトレイであって、
底面、および、前記底面から立設し、流体の体積を収容する内部リザーバを画定する複数の側壁、を有し、前記底面は斜めのベース表面を規定する本体と、
複数の前記側壁の一つに設けられ、流体システムの第一要素の第一接続チューブを受容するように構成された入口バルブコネクタを有する入口ポートと、
複数の前記側壁の一つに設けられ、前記流体システムの第二要素の第二接続チューブを受容するように構成された出口バルブコネクタを有する出口ポートと、を備え、
前記本体は、第一位置から、前記本体が前記斜めのベース表面上に支持される第二位置へ、傾けることができるプライミングトレイ。
【0017】
項2:前記底面は、平坦なベース表面および前記斜めのベース表面を有する項1に記載のプライミングトレイ。
【0018】
項3:前記第二位置において、前記出口ポートは、前記入口ポートに比べて高い位置にある項1または2に記載のプライミングトレイ。
【0019】
項4:前記入口バルブコネクタは、前記流体システムの前記第一要素が前記内部リザーバの内側に延出する態様で前記第一接続チューブを受容するように構成されている項1~3のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【0020】
項5:前記入口バルブコネクタは、入口バルブを有し、
前記入口バルブは、前記流体システムの前記第一接続チューブの開放端が前記入口バルブに挿入されたときに、前記第一接続チューブの周囲における漏れを防ぐための封止を有する項1~4のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【0021】
項6:前記入口バルブの前記封止は、前記第一接続チューブの前記開放端が前記入口バルブから取り外されるときに、前記内部リザーバを自動的に再封止するように構成されている項5に記載のプライミングトレイ。
【0022】
項7:前記出口バルブコネクタは、前記流体システムの前記第二接続チューブが前記内部リザーバの内側に延出する態様で前記第二接続チューブを受容するように構成されている項1~6のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【0023】
項8:前記出口バルブコネクタは、出口バルブを有し、
前記出口バルブは、前記流体システムの前記第二接続チューブの開放端が前記出口バルブに挿入されたときに、前記第二接続チューブの周囲における漏れを防ぐための封止を有する出口バルブを有する項1~7のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【0024】
項9:前記出口バルブの前記封止は、前記第二接続チューブの前記開放端が前記出口バルブから取り外されるときに、前記内部リザーバを自動的に再封止するように構成されている項8に記載のプライミングトレイ。
【0025】
項10:前記本体が前記第一位置から前記第二位置に傾けられたときに、前記流体は、前記入口ポートから前記出口ポートへ重力によって流れ、
前記第二位置において、前記流体は、前記入口ポートから前記出口ポートへ、より容易に排出できる項1~9のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【0026】
項11:前記内部リザーバの少なくとも一部を包むように、プライミングトレイに取り外し可能に接続して設けられる蓋をさらに備える請求項1~10のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【0027】
項12:プラスチック、金属、ゴム、またはこれらの任意の組合せから製造される項1~11のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【0028】
項13:複数の前記側壁は、前記底面から実質的に垂直上方に延在する請求項1~12のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【0029】
項14:前記内部リザーバは、前記出口ポートに向かって先細りにされている、または、前記斜めのベース表面に対して角度をつけられている項1~13のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【0030】
項15:前記流体システムの前記第一要素の前記第一接続チューブが前記入口バルブコネクタに挿入され、前記流体システムの前記第二要素の前記第二接続チューブが前記出口バルブコネクタに挿入されると、流体回路が形成されて、前記内部リザーバが前記流体システムの前記第一要素および前記流体システムの前記第二要素と同時に流体連通する請求項1~14のいずれか一項に記載のプライミングトレイ。
【図面の簡単な説明】
【0031】
好適な態様または実施形態の利点と特徴のいくつかを上記に概説した。これらの態様または実施形態は、他の可能な態様または実施形態と共に、図に関連する詳細な説明と合わせて以下の図面を参照すると当業者には明白になるであろう。
【0032】
図1】本開示の一態様に係る心臓補助システムの概略図。
図2】本開示の一態様に係る、ポンプ、酸素付加装置、および、ホルダ、を含む心臓補助システムの上面斜視図。
図3】本開示の一態様に係る、図2の心臓補助システムのハーネスの斜視図。
図4】本開示の一態様に係る、図2の心臓補助システムに接続されるプライミングトレイの斜視図。
図5】直立位置にあるプライミングトレイの他の態様の斜視図(図5A)と、傾斜位置にある図5Aのトレイの斜視図(図5B)。
図6】直立位置にあるプライミングトレイの他の態様の斜視図(図6A)、傾斜位置にある図6Aのトレイの斜視図(図6B)、および、蓋を有するプライミングトレイの他の態様の斜視図(図6C)。
図7図4のトレイのバルブコネクタの内側部分(図7A)ならびに外側部分(図7B)の斜視図、および、接続管が取り外された図4のトレイのバルブコネクタの外側部分の斜視図(図7C)。
図8】本開示の一態様に係る、流体ラインに生理食塩水を導入するためクイックリリースウェット・ツー・ウェットコネクタの、閉鎖位置(図8A)にある場合、および、開位置にある場合(図8B)の概略図。
図9】本開示の他の態様に係る、管位置間にウェット・ツー・ウェット接続を形成する水中コンポーネントコネクタの概略図。
図10】本開示の一態様に係る、ウェット・ツー・ウェット管コネクタの他の態様の概略図。
図11】本開示の一態様に係る、一体型疎水性膜を含む管コネクタの概略図。
図12】本開示の一態様に係る、重なり合う管設計を有する管コネクタの他の実施形態の概略図。
図13】本開示の一態様に係る管コネクタの他の実施形態の概略図。
図14】本開示の一態様に係る、自動生理食塩水充填機構を含む管コネクタの一実施形態の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以降の記載のために、用語“上部(の)(upper)”、“下部(の)(lower)”、“右(の)(right)”、“左(の)(left)”、“垂直な(vertical)”、“水平な(horizontal)”、“上(の)(top)”、“底(の)(bottom)”、“横の(lateral)”、“長手の(longitudinal)”、および、それらの派生語は、図面の図において配向されているときのコンポーネントに関連するものとする。血液ポンプ、酸素付加装置、カニューレ、コネクタ、および、心臓補助システム、の任意の他のコンポーネントに関連して使用される場合、“遠位(distal)”という用語は、血液ポンプ、酸素付加装置、カニューレ、および/または、コネクタが、患者への接続にむけて配向されるときの、患者の身体上の接触が意図される部位のような、患者に最も近い血液ポンプ、酸素付加装置、カニューレ、および/または、コネクタ、の部分を指す。“近位(proximal)”という用語は、血液ポンプ、酸素付加装置、カニューレ、および/または、コネクタが、患者への接続に向けて配向されるときに、患者の身体上の接触が意図される部位のような、患者から最も遠い血液ポンプ、酸素付加装置、カニューレ、および/または、コネクタ、の部分を指す。“半径の(radial)”という用語は、近位端と遠位端との間に延在する血液ポンプ、酸素付加装置、カニューレ、および/または、コネクタ、の長手軸に対して垂直な横断面内の方向を指す。“周囲(circumferential)”という用語は、血液ポンプ、酸素付加装置、カニューレ、および/または、コネクタ、の内表面または外表面周りの方向を指す。“軸の(axial)”という用語は、近位端と遠位端との間に延在する血液ポンプ、酸素付加装置、カニューレ、および/または、コネクタ、の長手軸に沿う方向を指す。しかしながら、本開示は、明瞭に別途定める場合を除き、代替の変形およびステップ順序を取ることができることが理解されるべきである。添付の図面に描かれかつ以下の明細書に記載された特定のデバイスおよびプロセスは、本開示の例示的な態様に過ぎないことも理解されるべきである。したがって、本明細書に開示された態様に関連する特定の寸法および他の物理的特徴は、制限事項であると考えるべきではない。
【0034】
以下の説明は、当業者が、本発明を実施するために熟慮された記載の実施形態を作成するおよび使用することができるように提供される。しかしながら、様々な変更、等価物、変形、および、代替品は、依然として当業者にとって容易に明らかである。ありとあらゆるそのような変更、変形、等価物および代替品は本発明の精神と範囲内に含まれることが意図される。
【0035】
〔心臓補助システム〕
図1を参照すると、たとえば、大腿動脈、腋窩動脈、または、肺動脈、を介して酸素化血液を動脈系に供給するために左心室および/または右心室をバイパスするための、患者の心臓2の心臓補助のためのシステム10が図示されている。本開示のホルダ、ハーネス、コネクタ、および、プライミング装置と共に使用するように構成しうる心臓補助システムは、概して、Magovernらに対する米国特許第8550973号(特許文献2)に開示されており、この特許はその全体が参照によって援用される。他の右心臓補助システムおよびこのシステムを患者に適用する方法は、Smithらに対する米国特許第8562519号(特許文献3)に開示されており、この特許も本明細書に参照によって援用される。他の心臓補助システムは、Zafirelisらに対する米国特許第6808508号(特許文献1)に開示されており、この特許は上記で論じられており、かつ、この特許も本明細書に参照によって援用される。
【0036】
図1に示されるように、システム10は、ポンプ14に血液を供給するために、そのポンプ14と流体連通状態にある心臓の右心房から延在するように構成された脱血カニューレ12を含む。このシステム10は、大腿動脈または肺動脈のカニューレ16も含む。いくつかの態様では、カニューレ16は、大腿動脈へ挿入するように構成される場合、長さが少なくとも17cmであり、肺動脈への挿入するように構成される場合、長さが少なくとも70cmであり、かつ、右心室支援のために血液を肺動脈に供給するために患者の鼠径部から患者の肺動脈に延在するように構成されうる。カニューレ16は、たとえば、内頸静脈のデュアルルーメンカニューレ、心臓に直接接続される手術用カニューレ、であってもよく、後述するように、酸素付加装置と接続されていても、接続されていなくてもよい。カニューレ16は、カニューレ本体の位置および形状を制御するために操作可能な機構を有する操作可能カニューレでありうる。さらに、カニューレ16は、流れ方向の血管に自律的な方向付けおよび配置を可能とするバルーンチップを有しうる。追加のルーメンは、肺動脈や血管への追加のワイヤや血栓除去デバイスの配置を可能にすることができる。さらに、カニューレ16がデュアルルーメンカニューレである場合、カニューレ本体の側孔間の遷移テーパーは、カニューレの配置あるいは操作の最中の応力を緩和したり、曲がりくねった骨格周りでカニューレが湾曲したりすることを可能にするために切り欠きを有しうる。最後に、カニューレ16の先端のコーティングによって、配置および位置決定のためにX線不透過性になりうる。いくつかの態様では、カニューレ16は、Kellyらに対する米国特許第9168352号(特許文献4)に記載されたカニューレであってよい。
【0037】
肺動脈カニューレ16は、ポンプ14と流体連通状態にあり、それによって、心臓の右心室は、右心房から脱血し、かつ、血液を肺動脈にポンプ送給することによって本質的にバイパスされ、それによって患者の右心室を休止して右心室支援を可能とする。好適には、ポンプ14は、本システム10を介して適切な流量を生成し、望ましい治療結果(たとえば、心臓補助または右心室バイパス)を達成する、従来の技術で知られているような、遠心ポンプ、軸流ポンプ、混合ポンプ、または、ローラポンプのような心室補助ポンプである。上述のシステム10と共に使用されるのに適するポンプ14は、Zafirelisらに対する米国特許第6808508号(特許文献1)に開示されている。
【0038】
本システム10は、ポンプ14と流体連通状態にある酸素付加装置18も含みうる。この酸素付加装置18は、ポンプ14によってポンプ送給される血液を受容し、その血液を酸素化し、かつ、肺動脈カニューレ16を介して酸素化血液を肺動脈に供給する。酸素付加装置18は、渦巻き状に巻かれたシート膜タイプの酸素付加装置や中空繊維膜タイプの酸素付加装置であってよく、これらの酸素付加装置は、Terumo Cardiovascular Group社によって製造されたCAPIOX(登録商標)酸素付加装置、Medtronic社によって製造されたMINIMAX(登録商標)酸素付加装置あるいはAFINITY(登録商標)酸素付加装置、Maquet社によって製造されたQUADROX(登録商標)酸素付加装置、Gish Biomedical社によって製造されたGish Vision酸素付加装置、Cobe Optima酸素付加装置およびその他の酸素付加装置を含むが、これらに限定されない。ポンプおよび酸素付加装置のために使用することができるコントローラは、Zafirelisらに対する米国特許第6808508号(特許文献1)に記載されている。
【0039】
いくつかの態様では、システム10は、以下の方法にしたがって、患者に適用されうる。この方法は、肺動脈カニューレ16の先端を患者の右大腿部静脈に挿入すること、および、その先端に近接するカニューレ16の側孔が肺動脈内に配置されるまで右大腿部静脈を介してその先端を移動させること、を含む。次に、脱血カニューレ12は、患者の血管系に挿入され、かつ、脱血カニューレの先端が右心房内に配置されるまで、患者の血管系を介して移動する。次に、ポンプ14の入口は、入口接続管20で脱血カニューレ12に接続される。同様に、肺動脈カニューレ16は、出口接続管22を介して酸素付加装置18の出口に接続される。副接続管24の他の一部分は、回路を形成するために、ポンプ14の出口と酸素付加装置18の入口との間に接続される。最後に、ポンプ14と酸素付加装置18とは、患者に固定される。動作中、脱血カニューレ12からポンプ14によって受容された血液は、肺動脈カニューレ16を介して肺動脈にポンプ送給され、心臓および肺をバイパスする必要なく、右心室支援および呼吸支援を提供する。
【0040】
〔ホルダおよびハーネス〕
心臓補助システム10を一般的に記載したが、そのシステム10の要素を共に取り付けるため、および、患者にそのシステム10を固定するためのデバイスを、ここで詳細に論じる。図2を参照すると、システム10は、血液ポンプ14と酸素付加装置18を所定の位置に保持し、特に、一人のオペレータによって組み立てられ、かつ、プライミングすることができる、容易に操作しやすいパッケージにおいて、酸素付加装置18とポンプ14との間のコンパクトな接続を可能にするホルダ26を含む。ホルダ26は、高密度ポリエチレン、ポリスチレンや、他の既知の生体適合性ポリマー材料のような、ポンプ14と酸素付加装置18とを支持できる適切な剛性材料から形成され、かつ、ポンプ14と酸素付加装置18とをホルダ26に取り付ける、または、接続するためのタブ、突起、または、スナップ、のようなフレキシブルな部分を含むことができる。より具体的には、ホルダ26は、ポンプ14を受容するように構成されたポンプ受容部28を含み、このポンプ受容部28は、ポンプ14をホルダ26に係合するための複数のタブ30やスナップを含むことができる。たとえば、ポンプ受容部28は、ポンプ14のベースを受容するサイズおよび形状の平坦表面と、ポンプ14を所定位置に保持するためにポンプの14の側部を把持するその平坦部から延在する一個以上のタブ30と、を含むことができる。ホルダ26は、酸素付加装置18の円筒状本体を受容するサイズおよび形状の酸素付加装置受容部分32も含む。ホルダ26は、本明細書で記載されるように、ホルダ26をベスト、ベルト、または、アームバンドのコネクタ、のような、患者が身に着けている対応する構造体に接続するためにホルダから延在する、タブやフレキシブル突起19のような機構も含む。
【0041】
ホルダ26の一つの特徴は、ポンプ14と酸素付加装置18とを一体化することによって、図2に示されるように、システム10の要素間での長い接続管およびコネクタを排除することによって、プライミングが容易になることである。加えて、ポンプ14は、管の漏れ、管の捩れ、および、同様の問題の一因になりうる管への負荷を減少するために、所定位置に配置され、かつ、効果的に保持される。さらに、ホルダ26の形状は、空気塞栓が生じた場合に、空気が患者に入ることを防止するように設計される。最後に、酸素付加装置18は、酸素付加装置18の入口と出口のようなキャップおよびコネクタに管を容易に繋ぎ、かつ、酸素付加装置18からの結露の増加を容易に除去できるように配置される。
【0042】
ホルダ26の他の一つの特徴は、カニューレ12、16(図1に図示)に対するポンプ14の位置を維持することである。特に、カニューレ12、16は患者の体内に配置されるので、患者に対するポンプ14の位置を維持することも望ましい。ポンプ14を患者に取り付けることによって、カニューレ12、16が意図せずに患者から引き抜かれたり、カニューレ12、16がポンプ14や酸素付加装置18から接続解除されたりする可能性が減少する。
【0043】
図3を参照すると、ポンプ14、酸素付加装置18、および、ホルダ26、を含むシステム10を患者に取り付けるためのハーネス50が図示されている。このハーネス50は、患者を動きやすくし、スタッフ人数を減少し、安全性を増し、かつ、コストを低下する方法で、システム10の要素を患者に取り付けるように構成される。特に、ハーネス50を装着している間、患者は、歩くことができ、横になることができ、かつ、起き上がることができる。ハーネス50は、患者の上半身回りに着けるベストまたはスリング52を含む。いくつかの態様では、ベストまたはスリング52は、患者の肩回りの患者の上半身を囲むように構成される。ベストまたはスリング52は、患者の体によりなじむサイズに調整可能な一つ以上の部分から作成されうる。ベストまたはスリング52は、コットン、ネオプレン、ポリエステル、または、ナイロン、のような、通気性があり、かつ、生体適合性がある材料から形成されうる。ベストまたはスリング52は、ハーネスまたはスリング52を患者に固定するために、布製の面ファスナー(たとえば、Velcro(登録商標))のようなアタッチメント機構58も含む。ホルダ26は、それに取り付けられるポンプ14と酸素付加装置18と共に、ベストまたはスリング52に取り外し可能に取り付けられる。たとえば、ホルダ26から延在するタブ19は、ベストまたはスリング52のスロットまたは受容部内に挿入されるように構成されうる。あるいは、またはそれに加えて、ベストまたはスリング52は、ホルダ26をベストまたはスリング52に取り付けるために、ホルダ26の回りに巻き付くストラップ54を含むことができる。いずれの場合も、ホルダ26は、ハーネス50から取り外されてよく、かつ、ベッドレール、ベッド、テーブル、または、IVポール、のような静止物に取り付けられうる。
【0044】
いくつかの態様では、ベストまたはスリング52は、ベストまたはスリング52が患者の頭の上から配置されうるように中央開口21を含むことができる。このオーバーヘッド設計は、患者にベストまたはスリング52を迅速に配置することを可能とし、実装するために患者の体の向きを変えることや操作することを必要としない。あるいは、ベストまたはスリング52は、患者の上半身の回りに巻き付けることができ、かつ、ベストまたはスリング52の両端同士を共に取り外し可能に取り付けるために、ストラップおよび/またはクリップのようなアタッチメント機構58を含むことができる。
【0045】
引き続き図3を参照すると、接続管20、22は、接続管20、22を頸椎装具60に接続するため、および、接続管20、22の捩れおよび脱落を防止するために頸椎装具60および管クリップ62で管理される。頸椎装具60は、頸椎装具60をベストまたはスリング52の少なくとも一部分に接続するためのアタッチメント部分61を有する。クリップ、ストラップ、または、他の機械的締結要素のような、一個以上の締結要素は、頸椎装具60のアタッチメント部分61をベストまたはスリング52に固定するために設けられることができる。頸椎装具60の支持部分63は、アタッチメント部分61から延在し、かつ、接続管20、22の少なくとも一部分を支持するように、構成される。支持部分63は、ユーザの後頭部の少なくとも一部分の周りに延在できる。一個以上の管クリップ62は、接続管20、22を受容するために支持部分63に設けられる。使用中、頸椎装具60は、他の管制御機構に比較して首が動きやすくなるようにでき、かつ、特に患者が自身の頭を、その可動域の全範囲または大部分にわたって回すことができる。図3は頸椎装具60をアタッチメント部分61によってベストまたはスリング52に取り付け可能なコンポーネントとして示しているが、頸椎装具60は、ベストまたはスリング52とは別に装着されてもよい。
【0046】
ハーネスまたはスリング52、頸椎装具60、および、ホルダ26、の組み合わせによって、患者に対する小さくコンパクトな回路が考慮されており、かつ、特に脱血カニューレ12と肺動脈カニューレ16とを患者へ接続するために必要とされる接続管20、22の長さが減少する。このように、本明細書に開示されたシステムには熱交換器は必要ではないが、熱交換器が本システムと共に任意に使用されてもよい。
【0047】
〔使用に先立つシステムのプライミング〕
本開示のシステム10の接続および使用において考慮すべき重要な点は、接続管20、22、24、ポンプ14、および、酸素付加装置18を介するプライミングボリュームおよび圧力降下を制御し、かつ、それらを可能な限り減少することである。ハーネス50およびホルダ26に関連して上記したように、接続管20、22、24が可能な限り短く維持され、したがって、プライミングボリュームを最小化し、かつ、圧力降下を可能な限り低く保つことができるように、ポンプ14を患者に固定することが望ましい。圧力降下を効果的に制限することによって、接続管20、22、24を通る流量を最大にすることもできる。したがって、一本のカニューレが脚にあり、かつ、一本のカニューレが首にある場合、これら二本のカニューレを可能な限りコンパクトな回路で接続する手段を提供することが重要である。たとえば、患者の上半身に隣接してポンプ14を配置することによって、一本のカニューレに対する非常に短いパスと、他方のカニューレに対するより長いパスと、が提供される。圧力降下に関して、負圧降下を最小にすることが有利であるため(非常に高い負圧は、溶血や血液中のキャビテーションの一因になる)、患者の右心房/SVC(上大静脈)/IVC(下大静脈)からの血液を取り出し、その血液をポンプ14に運ぶカニューレに近接してポンプ14を配置することが望ましい。その場合、長い方の管経路は、ポンプ14の正圧側である流出側にあってよい。
【0048】
ポンプ14と酸素付加装置18に関して、ポンプ14がカニューレと患者に取り付けられる前に、ポンプ14の二つのチャンバ(上部と下部)は、空気が患者にポンプ送給されるのを防止するためにプライミングされる。下部チャンバは、モータの摩耗を防止し、冷却を行い、かつポンプ14の作動中に血液が流れる上部チャンバに対して直接的に抗凝固を行う、ポンプ14に対するベアリング機能を提供するために「 」のような注入液を使用する。いくつかの態様では、ポンプ14の下部チャンバ内に流体を押し込むためにシリンジが使用されうる。次に、ポンプ14が始動し、ポンプ動作によって上部チャンバと下部チャンバとを分離するシールを介して全ての空気が引き抜かれる。あるいは、二方活栓を有するシリンジを使用して、下部チャンバを注入液で充填する前に、下部チャンバから空気を吸い出すことができる。
【0049】
同様に、上部チャンバ、すなわち、血流チャンバは、流入ポートまたは流出ポートのいずれかからプライミング流体で充填される。低ポンプ容量により、これは、生理食塩溶液によって達成される。たとえば、患者の治療に本システム10を使用する前に、ポンプ14と酸素付加装置18とは、血液チャンバから全ての空気を除去するためにポンプ14の血液チャンバを生理食塩水でゆっくりと充填することによってプライミングされる。空気が除去されると、接続管20、22は、適切なウェット・ツー・ウェット(wet to
wet)接続がポンプ14の入口と右心房カニューレ12との間に確実に確立されるようにするために生理食塩水ラインの下方でクランプされうる。ユーザは、気泡の存在をチェックすることもでき、気泡が存在しない場合、接続管20、22をカニューレコネクタ上に押しつけ終え、両者の間の適切な接続を確立することができる。
【0050】
接続管20、22とカニューレ12、16との間の適切な接続が確立されると、ポンプ14を低速で回転し、ポンプ14の入口側の管クランプを解除し、かつポンプ14の出口側の空気の存在をチェックすることによって支援が開始される。空気が存在しない場合、ユーザは、残りの管クランプを解除し、かつ望ましい流量が達成されるまで、速度を調整する。
【0051】
〔プライミングトレイ〕
使用に先立つシステム10のプライミングの重要性を記載したが、カニューレ12、16への接続に先立つ接続管20、22とポンプ14との重力送給プライミングの装置が、ここで詳細に記載される。具体的に、図4図7Cを参照すると、プライミングトレイ110は、生理食塩水のような無菌プライミング流体を、ポンプ14、酸素付加装置18、および、接続管20、22、に導入するように構成されうる。プライミングトレイ110は、大量の生理食塩水のような流体を保持するための内部リザーバ112を含む容器として構成されうる。この容器は、プライミング流体を含むのに適する任意の材料から構成されうる。いくつかの態様では、プライミングトレイ110は、プラスチック、金属、ゴム、および、それらの組み合わせ、から製造されうる。プライミングトレイ110は、入口バルブコネクタ118を有する入口ポート114と、出口バルブコネクタ120を有する出口ポート116と、を含む。入口ポート114と出口ポート116とは、底面の上方に実質的に垂直に延在するプライミングトレイ110の側壁を貫通して延在する。入口ポート114の入口バルブコネクタ118は、酸素付加装置18への接続のために出口接続管22を接続するために構成され、かつ、出口ポート116の出口バルブコネクタ120は、ポンプ14の入口ポートまで延在して回路を形成する入口接続管20への接続のために構成される。
【0052】
プライミングトレイ110の内部リザーバ112は、プライミングトレイ110が水平面上に置かれたときに、入口ポート114が出口ポート116に対してより高い位置にあるように出口ポート116に向かって先細りにされる、または、角度をつけられうる。このように、流体は、入口ポート114から出口ポート116へ重力によって供給されうる。特に、プライミングトレイ110の内部リザーバ112の形状は、重力によって駆動される迅速かつ正確なプライミングを確立できるように選択される。入口バルブコネクタ118と出口バルブコネクタ120との位置は、エアロックを防止し、かつ、システム10の重力プライミングを可能にするように、選択される。図5Aおよび図5Bに示されるように、いくつかの態様では、トレイ110の外部122は、平坦なベース表面124と斜めのベース表面126との両方を含む。ユーザは、トレイ110を直立位置に配置することができ、その場合、トレイ110は、平坦なベース表面124上に支持される。図5Bに示されるように、トレイ110は、流体が入口ポート114から出口ポート116へより容易に排出できるように、斜めのベース表面126を下にして傾けられうる。プライミングトレイ110は、システム10の入口接続管20と出口接続管22を入口バルブコネクタ118と出口バルブコネクタ120に接続し、かつ、生理食塩水のような流体をプライミングトレイ110のリザーバ112に追加することによってポンプ14および/または酸素付加装置18のプライミングを可能にする。流体リザーバ112のこの形状により、流体は、重力によって流出ポート116の出口コネクタ120を流れる。
【0053】
図6A図6Bを参照すると、プライミングトレイ110は、他の態様にしたがって示されている。プライミングトレイ110は、上側の内部(リザーバ111)と、下側の(主要な)内部(リザーバ112)と、を含む。リザーバ111、112は、プライミングトレイ110が水平面に置かれたときに、互いに対して垂直方向に段をなしている。リザーバ111、112は、上側リザーバ111の底面から、下側(メイン)リザーバ112の側壁に延在する管128によって接続される。使用中に、上側リザーバ111に導入された流体は、上側リザーバ111から管128を通って下側リザーバ112に流れることができる。下側リザーバ112の流体は、出口バルブコネクタ120と入口接続管20とを通ってポンプ14に排出できる。本明細書に記載のこの他の態様におけるように、プライミングトレイ110は、プライミングトレイ110からの流体流を増加するために、図6Bに示されているように斜めの位置に配置されうる。
【0054】
いくつかの態様では、内部リザーバ112、ポンプ114、および、酸素付加装置118、の大きさは、ポンプ14、酸素付加装置18、および、接続管20、22、24、が、輸送中にプライミングトレイ110の内部リザーバ112の内側に位置されうるように選択される。図6Cを参照すると、取り外し可能な蓋129は、輸送中に内部リザーバ112の少なくとも一部を包むように設けられうる。蓋129は、プライミング中に流体が内部リザーバの外側にはねることを防止するためにプライミング中に使用されうる。パッケージ全体は、現在のシステムで必要とされるような、滅菌および/またはプライミング作業を補助する他のオペレータを必要とすることなく、一人のオペレータがシステム10をプライミングすることができるように滅菌されうる。
【0055】
図7A図7Cを特に参照すると、プライミングトレイ110と接続管20、22との間のバルブコネクタ118の拡大図が示されている。それらの図に示されているように、バルブコネクタ118、120は、漏れの無い良好な接続を確保するためにフレキシブル管の回りに適切な封止をなすためのバルブを含むことができる。特に、バルブコネクタ118、120の形状は、プライミングプロセス中に流体をこぼすこと無くプライミングを行うことを可能とするように選択される。より具体的には、図7Aに示されるように、接続管20は、管の端部がプライミングトレイ110の内部112内に延在するようにバルブコネクタ118に挿入される。バルブは、漏れを防止するために接続管20、22の側壁回りを封止する。バルブコネクタ118、120は、接続管20、22がコネクタ118、120から取り外されるときに漏れを防止するために、自動的に再封止するように構成もされる。使用中、システム10がプライミングされると、接続管20、22はトレイ110から取り外されかつ脱血カニューレ12または肺動脈カニューレ16に接続されて、患者に対する心臓補助が提供されうる。
【0056】
〔ウェット・ツー・ウェットコネクタ〕
ポンプ14と酸素付加装置18をプライミングするための心臓補助システム10およびプライミングトレイ110を記述したが、プライミングされた接続管20、22をカニューレ12、16に接続するためのコネクタ200がここで詳細に記載される。ポンプ14と酸素付加装置18をプライミングするためのプロセスに関して、確実な接続を形成するためにカニューレ12、16への接続に先立って、コネクタ200と接続管20、22から空気を除去することが重要である。
【0057】
図8Aおよび図8Bを参照すると、コネクタ200は、接続管20の端部、および、カテーテルまたはカニューレ12の近位端、のような流体導管の二つの端部を接続するためのヒンジ212と、ロック機構すなわちラッチ214と、を含む自動閉鎖ジョイントである。図8Aおよび図8Bは、入口接続管20を脱血カニューレ12と接続するためのコネクタ200を示しているが、同じコネクタ200は、出口接続管22を大腿動脈カニューレまたは肺動脈カニューレ16と接続するために使用されうることが理解されるべきである。コネクタ200は、入口接続管20のような第一の管部分に接続される第一の部分200aと大腿動脈カニューレまたは肺動脈カニューレ16のような第二の管部分に接続される第二の部分200bとを含む。第一の部分200aおよび第二の部分200bは、ヒンジ212によって共にヒンジ連結される。ヒンジ212および/または第一の部分200aと第二の部分200bとの一方は、ユーザが第一の部分200aまたは第二の部分200bの一方を解放したときに、対向する第一の部分200aと第二の部分200bの端部を接続するために自動的に閉鎖する、スプリング216のような付勢部材を含むことができる。特に、図8Aおよび図8Bに示されるように、コネクタ200は、接続管20とカニューレ12との端部同士が互いから接続解除されている開口位置から接続管20とカニューレ12との端部同士が共に接続されて流体がコネクタ200を通過して両者の間を流れることができる閉鎖位置に移行可能である。最初に、コネクタ200が開口位置にある状態で、ユーザは、コネクタ200をプライミングするために生理食塩水を接続管20とカニューレ12と内側に導入することができる。流体導管が充填されると、図8Bに示されるように、ユーザは、たとえば、第一の部分200aまたは第二の部分200bの一方を解放し付勢部材にコネクタ200を閉鎖位置に付勢させることによって、コネクタ200を閉鎖位置に戻すことができる。コネクタ200が充填されて閉鎖位置になれば、流体連通は、コネクタ200と接続管20を介して患者からポンプ14へ確立される。
【0058】
コネクタ200は、ユーザが片手で把持することができ片手で開口位置に保持することができるワンハンドコネクタであってよい。ユーザがコネクタ200を解放すると、スプリング216がコネクタ200を閉鎖位置に戻す付勢力を発揮する。コネクタ200を介して互いに接続される流体導管の端部は、一方の端部が他方の流体コネクタの端部に挿入されるような形状であってよいことに注意する。たとえば、第一の部分200aまたは第二の部分200bの一方の端部は、図8Aおよび図8Bに示されるように、第一の部分200aと第二の部分200bとのうちの他方の対応するテーパー状部分220を受容するサイズの外方に広がる部分218を含むことができる。
【0059】
図9Aおよび図9Bを参照すると、他の態様において、コネクタ200は、流体導管の端部を受容するための対向するポートを有するハウジングすなわち筐体222を有する水中コンポーネントを含む。いくつかの態様では、ハウジングすなわち筐体222は、フレキシブルバッグとして形成されてもよい。ハウジングすなわち筐体222の一端部に位置するポート224は、カニューレ12、16の近位端に接続されうる。いくつかの態様では、カニューレ12、16は、ハウジングすなわち筐体222に取り外し不能に連結されてもよい。ハウジングすなわち筐体222の反対側の端部に位置するポート226は、ポンプ14や酸素付加装置18から延在する接続管20、22の端部を取り外し可能に受容するように形成されうる。図9Bに示されるように、カニューレ12、16の端部は、カニューレ12、16と接続管20、22との間の流体接続を確立するために、ルアーコネクタのようなテーパー状ノズルすなわちコネクタ223を有しうる。ねじ込み式コネクタ、スナップフィットコネクタなどのような他のコネクタも使用されうる。接続管20、22の端部は、カニューレ12、16のコネクタ223との取り外し可能な接続のために、ポート226を通ってハウジングすなわち筐体222の内部に挿入される。いくつかの実施形態では、接続管20、22は、接続管20、22とポート226との間に適切な封止を形成するために、ポート226を覆うように構成される半径方向に延在するフランジ228を含むことができる。ポート226は、接続管20、22がポート226から取り外されるときにこぼれを防止するためにポート226をシールするための環状ゴムワイパー230を含むこともできる。使用中、接続管20、22の端部はシールを形成するためにポート226内に挿入されるが、カニューレ12、16には接続されない。次に、バッグ222の内部は、プライミングするために、すなわち、コネクタ200および接続管20、22から空気を除去するために、生理食塩水で充填される。バッグ222が十分な量の流体で充填されると、接続管20、22の端部は、接続管20、22とカニューレ12、16との間に適切な接続を形成するためにカニューレ12、16の端部に向かって押し込まれうる。
【0060】
図10を参照すると、他の実施形態では、コネクタ200は、三方バルブやT型コネクタのような形状の筒状ハウジング231を含む。ハウジング231は、カニューレ12、16を受容するための第一の端部すなわちポート224と、ポンプ14または酸素付加装置18から延在する接続管20、22と接続するようなサイズおよび形状の第二の端部すなわちポート226と、を含む。カニューレ受容端部すなわちポート224は、カニューレ12、16に融着されうる、または、取り外し可能にそれらに取り付けられうる。接続管受容端部すなわちポート226は、接続管20、22の雄型ルアーコネクタと係合するように構成されたテーパー状開口を含むことができる。ねじ込み式コネクタ、スナップフィットコネクタなどのような他のコネクタも使用されうる。流体エントリポート232は、コネクタハウジング231の中央部分から延出する。流体エントリポート232は、流体エントリポート232を選択的に開口または閉鎖して空気や流体にエントリポート232を通過させるために、ボールバルブ234のようなバルブを含むことができる。使用中、接続管20、22とカニューレ12、16とはハウジング231に接続されると、ボールバルブ234が開口され、流体がバルブ234を通って導入される。システム10から空気を効果的に除去するために適量の流体が追加されると、バルブ234は、コネクタ200とカニューレ12、16との間に適切な接続を確立するために閉鎖されうる。
【0061】
図11Aおよび図11Bを参照すると、シリンジ290を使用して流体をシステム10内に導入するためのコネクタ200の他の実施形態または態様が示される。先に記載された実施形態すなわち態様におけるように、コネクタ200は、カニューレ12、16への接続のための第一のポート224と、ポンプ14または酸素付加装置18から延在する接続管20、22への接続のための反対側の第二のポート226と、を含む細長い筒状ハウジング231を含む。細長い筒状ハウジング231は、その側壁から延在し生理食塩水のようなプライミング流体をコネクタ200に導入するためにシリンジ290に接続される側部ポートすなわち流体エントリポート232を含む。細長い筒状ハウジング231の側壁は、疎水性膜238によって覆われる第二の開口236も含む。生理食塩水がシリンジ290から吐出されてコネクタ200に導入されると、閉じ込められた空気は、細長い筒状ハウジング231から疎水性膜238を通って逃げることができる。全ての空気がコネクタから放出されると、クランプ292は、接続管20、22からコネクタ200を通ってカニューレ12、16へ流体が流れることができるように解放されうる。
【0062】
図12Aおよび図12Bを参照すると、他の実施形態では、コネクタ200は、カニューレ12、16または接続管20、22の拡大した近位端をコネクタ200の対応する部分に押し付けるための重なり合うチューブ設計を含む。カニューレ12、16とコネクタ200とがくっつけられると、コネクタ200の内部の容量が減少し、コネクタ200の内部の空気が疎水性膜238によって覆われたポートを介してコネクタ200から強制的に排出される。
【0063】
図13Aを参照すると、他の実施形態では、コネクタ200とシステム10は、ユーザがシリンジ290を使用してコネクタ200から空気を抜き出すことを可能とするように構成される。先に記載の実施形態におけるように、コネクタ200は、それぞれカニューレ12、16と接続管20、22との接続のための第一のポート224と第二のポート226とを有する細長い筒状ハウジング231を含む。コネクタ200は、シリンジ290によって穴があけられるように構成される穴あけ可能な隔膜によって覆われた再封止可能ポート240と、コネクタハウジング231の内部から空気が逃げることを可能とする一方向バルブ242を有する分離ポートと、も含む。使用中に、ユーザは、生理食塩水のようなプライミング流体を含む充填したシリンジ290を穴あけ可能な隔膜を通して挿入する。ユーザは、シリンジ290からハウジング231内に流体を吐出させる。ハウジング231が充填されると、充填されたコネクタ202は、ポンプ14または酸素付加装置18に延在するフレキシブル接続管20、22に接続される。流体がハウジング231内に吐出されているときに、コネクタ200に閉じ込められた空気は、一方向バルブ242によって覆われるポートを通って逃げることができる。
【0064】
あるいは、図13Bに示されるように、流体がハウジング231内に注入された後、ユーザは、空のシリンジ290を穴あけ可能な隔膜を通して挿入し、シリンジバレルを介してシリンジ290のプランジャを近位方向に引くことによってハウジング231の内部から閉じ込められた空気を除去することができる。全ての空気が除去されると、カニューレのクランプ292は、コネクタ200とカニューレ12、16とを介してポンプ14または酸素付加装置18と患者の間に流体連通を確立するために除去されうる。
【0065】
図14Aおよび14Bを参照すると、自動化生理食塩水充填コネクタ200が示されている。先に記載された実施形態におけるように、コネクタ200は、カニューレ12、16への接続のための第一のポート224と、ポンプ14または酸素付加装置18に繋がるフレキシブルな接続管20、22に接続するための第二のポート226と、を有するハウジング231を含む。ハウジング231は、予め充填した生理食塩水を加圧したマイクロキャニスター244を含んでいる。マイクロキャニスター244は、ハウジング231を貫通して延在するリリースボタン246によって制御される。図14Bに示されるように、キャニスター244は、キャニスター244の頂部から延出する可動キャップまたはピストン248を含む。キャニスター244がリリースボタン246を押すことによって起動されると、キャップまたはピストン248は、上方移動し、コネクタ230の内部から離れ一方向バルブ242に向かうように空気を押す。キャップまたはピストン248が解放されると、加圧された生理食塩水は、キャニスター244からハウジング231の内部を通って接続管20、22とカニューレ12、16とに向かって流される。先に記載されたコネクタにおけるように、接続管20、22とポンプとがプライミングされると、カニューレ12、16のクランプ292は、ポンプ14と患者との間に流体連通を確立するために開口されうる。
【0066】
特定の実施形態と態様を詳細に記載したが、これらの細部に対する様々な変更および代替が本開示の全体の教示に照らして展開される可能性があることが当業者には理解される。したがって、開示された特定の配置は例示に過ぎず、本発明の範囲に関して制限しないことを意図する。さらに、本発明は最も実用的かつ好適な実施形態および態様であると現在考えられるものに基づいて、説明のために詳細に記載されたが、そのような詳細は、もっぱらその目的のためであること、および、本発明が開示された実施形態または態様に制限されず、反対に、添付の請求項の精神と範囲内である変更および等価の配置を含むことが意図されていることが理解されるべきである。たとえば、本発明は、可能な限り、任意の実施形態または態様の一つ以上の特徴が任意の他の実施形態または態様の一つ以上の特徴と組み合わされうることを考慮していると理解されるべきである。
【0067】
〔その他の実施形態〕
患者の心臓を補助するシステムであって、該システムは、
ポンプと;
酸素付加装置と;
前記ポンプを取り外し可能に受容するポンプ受容部分、および、前記酸素付加装置を取り外し可能に受容する酸素付加装置受容部分、を有するホルダと;
患者の胴体の少なくとも一部を囲むように構成され、かつ、前記ホルダが接続されるハーネスと;
前記ハーネスの少なくとも一部に接続され、ユーザの後頭部の後ろに延在し、かつ、前記ポンプと前記酸素付加装置とのうちの少なくとも一方に接続される管を支持するように構成される装具と、を備えるシステム。
【0068】
前記システムにおいて、前記装具は、前記装具を前記ハーネスに接続するアタッチメント部分を有しうる。
【0069】
前記システムにおいて、前記アタッチメント部分は、一個以上の締結要素によって前記ハーネスに接続解除可能に接続されうる。
【0070】
前記システムにおいて、前記装具は、前記管を支持するように前記アタッチメント部分から延出する支持部分を有しうる。
【0071】
前記システムにおいて、前記装具は、前記管を固定する一個以上の管クリップを有しうる。
【0072】
前記システムにおいて、前記ホルダは、前記ポンプおよび前記酸素付加装置を前記ホルダに接続解除可能に接続する少なくとも一個の接続部材を有しうる。
【0073】
前記システムにおいて、前記ポンプ受容部分は、前記ポンプのベースに係合する形状の平坦表面と、前記ポンプの外表面部に係合解除可能に係合する一個以上のタブと、を有しうる。
【0074】
前記システムにおいて、前記酸素付加装置受容部分は、円筒形状の酸素付加装置を受容する形状でありうる。
【0075】
前記システムにおいて、前記ホルダを前記ハーネスに接続解除可能に接続するように、前記ホルダは第一のアタッチメント部材を有し、かつ、前記ハーネスは第二のアタッチメント部材を有しうる。
【0076】
前記システムにおいて、前記ハーネスは、患者の体になじむサイズに調整可能な一個以上の部分を有しうる。
【0077】
前記システムにおいて、前記ハーネスは、前記ハーネスをユーザの頭上から配置する中央開口を有しうる。
【0078】
前記システムにおいて、前記ハーネスは、前記ハーネスを患者の体に固定する接続部材を有しうる。
【0079】
前記システムにおいて、前記接続部材は、面ファスナーでありうる。
【0080】
前記システムにおいて、前記管は、前記ポンプの入口に接続される入口チューブ、前記酸素付加装置の出口に接続される出口チューブ、および、前記ポンプの出口と前記酸素付加装置の入口の間に接続される接続チューブ、を有しうる。
【0081】
前記システムにおいて、前記入口チューブ、前記出口チューブ、および、前記接続チューブ、の少なくとも一つは、一個以上の管クリップによって前記装具に接続されうる。
【0082】
患者の心臓を補助するシステムであって、当該システムは、
ポンプと;
酸素付加装置と;
前記ポンプの入口に接続される入口チューブ、前記酸素付加装置の出口に接続される出口チューブ、および、前記ポンプの出口と前記酸素付加装置の入口との間に接続される接続チューブ、を有する管と;
前記ポンプを取り外し可能に受容するポンプ受容部分、および、前記酸素付加装置を取り外し可能に受容する酸素付加装置受容部分、を有するホルダと;
患者の胴体の少なくとも一部を囲むように構成され、前記ホルダが接続されるハーネスと;
前記ハーネスの少なくとも一部分に接続され、ユーザの後頭部の後ろに延在し、かつ、前記ポンプと前記酸素付加装置のうちの少なくとも一方に接続される管を支持するように構成される装具と、を備え、
前記装具は、当該装具を前記ハーネスに接続するアタッチメント部分と、前記管を支持するように前記アタッチメント部分から延出する支持部分と、を有するシステム。
【0083】
前記システムにおいて、前記ポンプ受容部分は、前記ポンプのベースに係合する形状の平坦表面と、前記ポンプの外表面に係合解除可能に係合する一個以上のタブと、を有しうる。
【0084】
前記システムにおいて、前記酸素付加装置受容部分は、円筒形状の酸素付加装置を受容する形状でありうる。
【0085】
前記システムにおいて、前記ホルダを前記ハーネスに接続解除可能に接続するように、前記ホルダは第一のアタッチメント部材を有し、かつ、前記ハーネスは第二のアタッチメント部材を有しうる。
【0086】
患者の心臓を補助するシステムを支持する患者ハーネスであって、
ポンプを取り外し可能に受容するように構成されるポンプ受容部分、および、酸素付加装置を取り外し可能に受容するように構成される酸素付加装置受容部分、を有するホルダと;
患者の胴体の少なくとも一部を囲むように構成され、前記ホルダが接続されるハーネスと;
前記ハーネスの少なくとも一部に接続され、ユーザの後頭部の後ろに延在し、かつ、前記ポンプと前記酸素付加装置のうちの少なくとも一方に接続される管を支持するように構成される装具と、を備え、
前記装具は、当該装具を前記ハーネスに接続するアタッチメント部分と、前記管を支持するように前記アタッチメント部分から延出する支持部分と、を有する患者ハーネス。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B