(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】含水麺用封緘巾着包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 33/01 20060101AFI20220516BHJP
B65D 75/60 20060101ALI20220516BHJP
B65D 81/32 20060101ALI20220516BHJP
B65D 77/30 20060101ALI20220516BHJP
B65B 61/24 20060101ALI20220516BHJP
B65B 61/00 20060101ALI20220516BHJP
B65B 51/04 20060101ALN20220516BHJP
【FI】
B65D33/01
B65D75/60
B65D81/32 G
B65D77/30 C
B65B61/24
B65B61/00
B65B51/04 Z
(21)【出願番号】P 2020164544
(22)【出願日】2020-09-30
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2018-03-28
【審査請求日】2020-09-30
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000151232
【氏名又は名称】シマダヤ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】袖山 拓也
(72)【発明者】
【氏名】森本 賢右
(72)【発明者】
【氏名】石川 正智
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-189941(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158689(WO,A1)
【文献】特開2003-200944(JP,A)
【文献】特開平06-247426(JP,A)
【文献】特開平10-218250(JP,A)
【文献】登録実用新案第3147297(JP,U)
【文献】特開2005-162253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00-33/38
B65D 67/00-79/02
B65D 81/18-81/30
B65D 81/38
B65D 85/88
B65B 59/00-65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次包装された含水麺が複数収容され、一方が結束された、プラスチックフィルムによる巾着形態の二次包装体であって、
該二次包装体の巾着結束部の外側口縁部がヒートシールされ、該ヒートシールに平行するミシン目が、該巾着結束部と該ヒートシールの間に形成されていることを特徴とする、含水麺用封緘巾着包装体。
【請求項2】
ミシン目が、長さ1~3mmのスリットが0.5~2mmの間隔で直線上に並んだミシン目であることを特徴とする、請求項1に記載の含水麺用封緘巾着包装体。
【請求項3】
以下の工程(A)~(E)を含む、含水麺用封緘巾着包装体の製袋方法であって、以下の工程(C)において、横貼りヒートシールの実施と同時に、該横貼りヒートシール発熱圧着バーのフィルム進行側に平行に設けられたミシン目専用の刃を突き刺すことによって
、巾着結束部とヒートシールの間にミシン目が形成される、前記製袋方法。
複数の一次包装体を二次包装用プラスチックフィルム帯で包み、該プラスチックフィルム帯の両側縁部をヒートシールすることで背貼りして筒状に成形する工程(A);
進行側を、背貼りと直交するヒートシールにより横貼り及びカットする工程(B);
脱気し、進行後ろ側を背貼りと直交するヒートシールにより横貼り及びカットして封緘し、非結束状態の二次包装体とする工程(C);
進行側の横貼りを下にして内包する一次包装体を二次包装体の底部に寄せる工程(D);
上向きとなった進行後ろ側フィルムの余白部分を結束具や結束帯で扇状に結束する工程(E);
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茹うどんや生中華麺等の一次包装体を複数収容した巾着形態の二次包装体で、ヒートシールで封緘しながらもエアー量の調整が可能で容易に開封可能な巾着包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
陳列販売される製品のプラスチックフィルム包装には、筒状に形成されたフィルムの両側開口をヒートシールで封緘したピロー形態やそれにマチの付いたガゼット形態が多く見られるが、消費者が使用した残りを保存することを想定する場合、片側開口の再結束が可能な巾着形態とする場合がある。
【0003】
巾着形態に関する技術の開示には、特許文献1にパンの衛生度を維持する目的で巾着結束する側に略遮断する開封可能なシール部を備えたパンの巾着形態がある。しかし、生麺類を巾着形態として密封状態とする場合には問題があった。
ヒートシールで封緘された片側を巾着結束すると、あらかじめ脱気を行い封緘したとしても、結束により全体に残ったエアーが製品周囲に集められ、巾着形態となったときに過剰なエアー量となる場合があった。
そのような過剰なエアー量となる問題を解決するため、従来、生麺類における巾着形態では、一次包装体を密封し二次包装体の巾着結束側を封緘しない。巾着結束側を封緘する場合は、一次包装体を密封し二次包装体にエアー抜きの小孔を開ける。などの対策を行ってきた。
【0004】
また、特許文献2の包装体では、フィルムの上端に平行に付与されているミシン目に沿って切り離した包装体の一部(帯状部)により開口部をぐるぐる巻きにして再結束が可能な包装体について開示されている。なお、このミシン目に脱気できる程度の通気性があるなどの記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-129685号公報
【文献】特開2007-191198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、食品に関する安全意識の高まりと共にフードディフェンスの考えが求められるようになった。製品の包装形態にあっては、包装後の異物混入が行われた場合はその痕跡が残るよう、また、意図的な異物混入があったかのような誤解を与えないよう、そのような配慮が求められる。
【0007】
具体的には、一次包装体が既に密封されていても二次包装体を巾着形態とする場合、結束側にヒートシールで封緘することが求められる。しかし、エアーを抜くために小孔を複数開けることは、あたかも針等を混入されたかのような誤解を与えかねないから他の手段が求められる。
【0008】
脱気が不完全となりエアー量が過剰になると、製品の陳列に支障を来し、流通過程では破袋の原因になる等の多くの問題がある。止むを得ず、その対策として封緘前に必要な時間をとってエアーを必要量抜く手段がとられる。しかし、その結果として包装能力は低下し生産性に影響を与える問題があった。
【0009】
故に、本発明が解決しようとする課題は、一次包装された茹麺や生麺の複数を巾着形態に二次包装する場合、巾着結束する側でもヒートシールによる封緘をしつつ、針等を混入されたかのような誤解を与えない、エアー抜き手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
係る課題に対し発明者らは、先ず巾着結束する側を封緘するヒートシールの一部を未シール状態とする手段について取り組んだ。しかし、未シールにより連通可能な状態になったとしてもフィルムが密着状態にあると必ずしも連通せず、結果的に安定したエアー抜きは行われないことが分かった。
そのような試行錯誤の末、巾着結束部側のヒートシールの内側にミシン目を入れることで、包装直後はやや過剰なエアー量が箱詰めされ保管中に徐々にエアーが抜けて適度なエアー量に調整されることを知り得て本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、一次包装された含水麺が複数収容され、一方が結束された、プラスチックフィルムによる巾着形態の二次包装体であって、該二次包装体の巾着結束部の外側口縁部がヒートシールされ、該ヒートシールに平行するミシン目が、該巾着結束部と該ヒートシールの間に形成されていることを特徴とする、含水麺用封緘巾着包装体に関する。
【0012】
本発明の作用は、巾着の結束部が連通状態でかつ扇部分に開けられたミシン目からエアーが抜けて適度なエアー量に調整されることにあるが、この作用は含水麺自体が収容容器や収容箱の形状に合わせて変形する特性によってもたらされる。すなわち、含水麺である一次包装体が周囲の隙間に合わせ変形することで、巾着形態の二次包装体内のエアー容積が圧縮され、その結果、ミシン目からエアーが抜けて適度なエアー量に調整されるという含水麺に固有の作用による。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一次包装された巾着形態でありながら、巾着結束部側の口縁部がヒートシールで封緘されたことで意図的異物混入の可能性を低減することができ、結束部より製品の包装される側に小孔が存在しないため針等が混入されたかのような誤解を避けることができる。
また、結束部を通じてエアー量が適度に調整できることで、売り場での陳列に支障を生じさせず、流通過程での破袋を防止し、生産性の向上に寄与することができる。
さらに、ヒートシール部分より先にミシン目から切れるよう開封の強度調整を行うことで、弱い力で容易に開封することができる。
したがって、フードディフェンスへの配慮のみならず、来るべき高齢化社会からのニーズに応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の巾着形態の中を表わした二次包装体の平面
【
図2】本発明の巾着形態の中を表わした二次包装体の側面
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明における、一次包装された含水麺とは、チルドまたは常温で流通させる含水麺であって、小麦粉を主体とする原料に練り水を加えて混練し製麺した麺線を一食相当に切り分けた生麺、該麺線を茹又は蒸し等によってα化処理した茹で蒸し麺、および米粉、大麦粉又は澱粉等を主体とする原料に練り水を加えて混錬する際に、蒸気を吹き込みα化した後製麺した蒸練麺、その他にどのような製麺手段で、どのようなα化工程を行おうと25~80重量%の水分範囲に調製されたものであれば、うどん、焼きそば、中華麺、ビーフン、冷麺、なんでも良い。
【0016】
また、生麺であれば、一次包装に際して散布澱粉と共に包装され、茹で麺、蒸し麺および蒸練麺であれば、一次包装(充填)後、保存性を高めるための二次加熱を行うことができる。
【0017】
本発明に適する二次包装用プラスチックフィルムは、外装包材である為、各種表示や調理写真などの印刷を要するため、通常ラミネートフィルムが要求されるが、加えてミシン目に沿って引き裂きの生じ易い材質、例えば、ポリプロピレン(OPP/CPP)のラミネートフィルムで厚さは30~50ミクロンが適している。
なお、一次包装に用いるプラスチックフィルムは、通常ポリエチレン、ポリプロピレンなどで、シール面に熱溶着性があればどのような構成でも良い。
【0018】
本発明に限らないが、巾着形態の二次包装体を製袋する工程について説明する。
(A)複数の一次包装体を二次包装用プラスチックフィルム帯で包み、該プラスチックフィルム帯の両側縁部をヒートシールすることで背貼りして筒状に成形する。
(B)進行側を、背貼りと直交するヒートシールにより横貼り及びカットする。
(C)脱気し、進行後ろ側を背貼りと直交するヒートシールにより横貼り及びカットして封緘し、非結束状態の二次包装体とする。
(D)進行側の横貼りを下にして内包する一次包装体を二次包装体の底部に寄せる。
(E)最後に、上向きとなった進行後ろ側フィルムの余白部分を結束具や結束帯で扇状に結束する。
【0019】
これら(A)~(E)の巾着形態の包装工程の中で、本発明の形態は、(C)の進行後ろ側を背貼りと直交するヒートシールにより横貼り及びカットする際に実施することで得られる。すなわち、(C)の横貼りヒートシールの実施と同時に、該横貼りヒートシール発熱圧着バーのフィルム進行側に平行に設けられたミシン目専用の刃を突き刺すことによってミシン目を形成する。そうすることで、巾着結束部の外側口縁部のヒートシールに平行するミシン目を該巾着結束部と該ヒートシールの間に形成することができる。
【0020】
本発明に適したミシン目は、直線上に連続する細孔には違いないが、開口部の見える丸い孔ではなく、肉眼では開口面積を認めない。すなわち、見ても分からない程度の長さ1~3mmのスリット(直線状の切れ目)が0.5~2mmの間隔で直線上に並んだ状態が好ましい。
【0021】
なお、このミシン目は、横貼りシールが剥がれるより先に破断開封させるため容易に破断する。したがって、売り場で扇の端を手に取るなど、消費者が開封を意図しない場面でミシン目が破断することがないよう、ミシン目はフィルム端部に届かないようにすると良い。具体的には、ミシン目の長さを平行する横貼りシールより左右それぞれ5~15mm短くする。
【0022】
実施例では、生中華麺一次包装体4個を巾着形態の二次包装体とし、結束具に硬質プラスチック製クロージャーを用いた例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0023】
含水麺1は、水分36%の生中華麺130gに澱粉を散布して一次包装した。
図1及び
図2のように、この一次包装体4個を巾着形態の二次包装体2とした。
巾着結束具3は、プラスチック板素材のクロージャーで、再結束可能である。
本発明の特徴となるミシン目5は、
図3に示したように、巾着結束具3によって形成された扇の口縁ヒートシール4の内側にヒートシール4に平行状態で形成している。
このミシン目5は長さ2mm、間隔1mmのスリット状の切れ目だが、クロージャーによる結束状態でありながら適度な通気性を有し周囲からの圧力を受けるとエアー量を減らす機能を有していた。
また、
図4に示したようにクロージャーを外し開封してみると、ミシン目5に沿って極めて弱い力で開封することができた。
【符号の説明】
【0024】
1 含水麺(一次包装体)
2 巾着形態(二次包装体)
2a 結束具を外した状態の二次包装体
2b ミシン目開封破断後の二次包装体
3 巾着結束具(クロージャー)
4 巾着結束側口縁部のヒートシール(横貼り)
5 ミシン目
5a ミシン目開封破断後の開口