(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】モータハウジング
(51)【国際特許分類】
H02K 5/24 20060101AFI20220516BHJP
H02K 5/20 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
H02K5/24 A
H02K5/20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020167031
(22)【出願日】2020-10-01
【審査請求日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】201910959930.2
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511268454
【氏名又は名称】ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】イー,ピィン
(72)【発明者】
【氏名】リィン,シィンリィァン
(72)【発明者】
【氏名】リィー,パァォヂィァン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ハァィピィン
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン,ミィンフゥイ
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102014221492(DE,A1)
【文献】国際公開第2019/045512(WO,A1)
【文献】特開2001-211596(JP,A)
【文献】特開2017-085740(JP,A)
【文献】特開平05-103445(JP,A)
【文献】国際公開第2013/118703(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/24
H02K 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
いくつかの軸方向の溝が周方向に沿って設けら
れ、前記溝が、空所であるか、又は、ダンピング媒体で充填されて
おり、
N字状の冷却チャネルが設けられ、前記冷却チャネルが軸方向部分と周方向部分とを含み、前記溝が前記冷却チャネルの軸方向部分の間に位置し、または、
螺旋状の冷却チャネルが設けられ、前記溝が前記冷却チャネルの間に位置し、前記冷却チャネルと前記溝とが二重螺旋状構造を構成し、
前記冷却チャネルの断面形状と前記溝の断面形状とが相補的であり、前記冷却チャネルが前記溝の間の隙間に設けられている、
ことを特徴とするモータハウジング。
【請求項2】
前記溝の断面が三角形、台形、又は菱形であり、前記溝の内壁が滑らかであるかまたは凹凸である、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータハウジング。
【請求項3】
前記溝の断面のエッジが直線と曲線とで構成されているか、又は、
前記溝の断面のエッジが波線で構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータハウジング。
【請求項4】
前記溝の断面のエッジが歯状であり、前記歯状は、T字形またはI字形であるか、又は、上下の幅が等しい、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータハウジング。
【請求項5】
2層以上の前記溝が径方向に沿って設けられており、
前記溝がダンピング媒体で充填され、該ダンピング媒体が固体、膏体又は液体である、
ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項に記載のモータハウジング。
【請求項6】
鋳造又は押出により一体成形され、前記溝及び前記冷却チャネルが当該鋳造又は押出により成形される、
ことを特徴とする請求項
1に記載のモータハウジング。
【請求項7】
内殻と外殻とを含み、前記内殻と前記外殻とが別体に作られた状態で組み合わせられ、前記溝が、前記内殻に位置する下部と、前記外殻に位置する上部とを含み、前記内殻と前記外殻とが組み合わせられた状態で前記溝が完全なものとなるように組み合わせられ、
前記冷却チャネルが、前記内殻に位置する下部と、前記外殻に位置する上部とを含み、前記内殻と前記外殻とが組み合わせられた状態で前記冷却チャネルが完全なものとなるように組み合わせられる、
ことを特徴とする請求項
1に記載のモータハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの技術分野に関し、具体的には、ダンパ内蔵式のモータハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車製造業の発展に伴い、自動車のNVH性能は、現代の自動車製造品質の一つの総合的な技術指標となっている。NVHは、騒音、振動及びハーシュネス(Noise,Vibration,Harshness)の英字略称である。NVHは、自動車利用者に最も直接的で表面的な体感を与える。車両のNVH問題は、国際自動車業界で各大手車両製造企業及び部品企業が注目する問題の一つである。統計資料によると、車両全体の故障において、その約3分の1は、車両のNVH問題に関連している。
【0003】
車内の騒音の大きさに影響を与える主な励振源は、エンジン、モータ、減速機、タイヤ等の部品である。電気自動車については、主な励振源がモータである。自動車に用いられるモータの数量が多いため、モータの騒音及び振動に関する研究は、ますます重要となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術における上記問題について、本発明は、モータのNVHレベルを効果的に低減できるモータハウジングを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の技術案は、以下のように実現される。
【0006】
本発明は、いくつかの軸方向の溝が周方向に沿って設けられており、前記溝が、空所であるか、又は、ダンピング媒体で充填されている、モータハウジングを提供する。
【0007】
また、前記モータハウジングにN字状の冷却チャネルが設けられており、前記冷却チャネルが軸方向部分と周方向部分とを含み、前記溝が前記冷却チャネルの軸方向部分の間に位置してもよい。
【0008】
また、前記モータハウジングに螺旋状の冷却チャネルが設けられており、前記溝が前記冷却チャネルの間に位置し、前記冷却チャネルと前記溝とが二重螺旋状構造を構成してもよい。
【0009】
また、前記冷却チャネルに、冷却媒体として液体又は気体が流通してもよい。
【0010】
また、前記溝の断面が三角形、台形又は菱形であってもよい。
また、前記溝の内壁が滑らかであるかまたは凹凸であってもよい。
【0011】
また、前記三角形、台形、菱形がいずれも丸みを帯びていてもよい。
【0012】
また、前記溝の断面のエッジが直線と曲線とで構成されていてもよい。
また、前記溝の断面のエッジが波線で構成されていてもよい。
【0013】
また、前記溝の断面のエッジが歯状であり、前記歯状は、T字形またはI字形であるか、又は、上下の幅が等しくてもよい。
【0014】
また、前記冷却チャネルの断面形状と前記溝の断面形状とが相補的であり、前記冷却チャネルが前記溝の間の隙間に設けられていてもよい。
【0015】
また、前記モータハウジングの径方向に沿って、2層以上の前記溝が設けられていてもよい。
また、前記ダンピング媒体が固体、膏体又は液体であってもよい。
【0016】
また、前記モータハウジングが、鋳造又は押出により一体成形され、前記溝及び前記冷却チャネルが、当該モータハウジングの鋳造又は押出により成形されてもよい。
【0017】
また、前記モータハウジングが、内殻と外殻とを含み、前記内殻と前記外殻とが別体に作られた状態で組み合わせられ、前記溝が、前記内殻に位置する下部と、前記外殻に位置する上部とを含み、前記内殻と前記外殻とが組み合わせられた状態で前記溝が完全なものとなるように組み合わせられてもよい。
また、前記冷却チャネルが、前記内殻に位置する下部と、前記外殻に位置する上部とを含み、前記内殻と前記外殻とが組み合わせられた状態で前記冷却チャネルが完全なものとなるように組み合わせられてもよい。
【0018】
また、前記モータハウジングの端部に、前記溝の出口をシーリングするためのシーリングリング又はシーリングブロックが設けられていてもよい。
【0019】
また、前記モータハウジングの端部に、前記溝の出口及び前記冷却チャネルを共にシーリングするシーリングリング又はシーリングブロックが設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0020】
上記構造を有して構成された本発明は、以下の利点を有する。
本発明は、モータハウジングに溝が設けられ、溝が空所であるか又は溝にダンピング媒体が充填されているという構造により、ステータが発生する振動に起因してモータハウジングが励振されることを弱め、モータハウジングのダンピング係数を大きくして、振動、騒音の伝達経路を弱めることができるとともに、電磁力波の振幅を減して、振動及び騒音を抑制し、体感の快適性を向上させることができる。
【0021】
本発明は、モータ全体(車両全体)が振動、騒音に対して高い要求を有する場合に適用され、モータ全体のNVHレベルを効果的に低減することが可能である。
【0022】
本発明は、構造が簡単で、拡張しやすくて、金型を変更することなく実際の使用に応じてモータハウジングの長さを調整することができ、加工プロセスが簡単であり、品質が信頼でき、効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例1におけるモータハウジングの部分断面図(径方向に沿って切断した断面図)である。
【
図2】本発明の実施例2におけるモータハウジングの部分断面図(径方向に沿って切断した断面図)である。
【
図3】本発明の実施例3におけるモータハウジングの部分断面図(径方向に沿って切断した断面図)である。
【
図4】本発明の実施例3におけるモータハウジングの断面図(径方向に沿って切断した断面図)である。
【
図5】本発明の実施例3におけるモータハウジングの断面図(径方向に沿って切断した断面図)である。
【
図6】本発明の実施例4におけるモータハウジングの部分断面図(径方向に沿って切断した断面図)である。
【
図7】本発明の実施例4におけるモータハウジングの断面図(径方向に沿って切断した断面図)である。
【
図8】本発明の実施例におけるモータハウジングの断面図(周方向に沿って切断した断面図)である。
【
図9】本発明の実施例におけるモータハウジングの断面図(軸方向に沿って切断した断面図)である。
【
図10】本発明の実施例におけるモータハウジングの作動状態模式図である。
【
図11】本発明の実施例におけるモータハウジングの断面図(周方向に沿って切断した断面図)である。
【
図12】本発明の実施例6におけるモータハウジングの断面図(径方向に沿って切断した断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
先行技術における自動車のNVHレベルが高いという問題について、本発明は、モータハウジングに溝が設けられ、溝が空所であるか又は溝にダンピング媒体が充填されているという構造により、ステータが発生する振動に起因してモータハウジングが励振されることを弱め、モータハウジングのダンピング係数を大きくして、振動、騒音の伝達経路を弱めることができるとともに、電磁力波の振幅を減らして、モータ全体のNVHレベルを効果的に低減することができる。
【0025】
本発明の目的、技術案及び利点が更に明確になるように、以下、図面を参照して、本発明の実施形態について更に詳しく説明する。
【0026】
[実施例1]
図1には、本発明の実施例1が示されており、この実施例において、モータハウジング1が提供されており、モータハウジング1において、いくつかの軸方向の溝2が周方向に沿って設けられ、溝2が、空所であるか、又はダンピング媒体で充填されており、ダンパ内蔵式のモータハウジングを構成する。
【0027】
発明者が研究した結果、モータから電磁騒音が出る根源は、ステータの振動によって、モータハウジングの周りの空気が振動して騒音を放出することにあることが判明した。本実施例における溝2又は溝2にダンピング媒体が充填されるという構造は、モータハウジングのダンピング係数を増加させ、モータハウジング内の接続リブを薄くし、剛性接続を弱めることができる。
【0028】
ダンピング媒体の充填は、モータハウジング1が形成された後に行われる。ダンピング媒体は、固体、膏体又は液体のいずれであってもよい。例えば、ゴム、シリカゲル、グリース、シリコーンオイルなどの材料が用いられる。固体を用いた場合は、例えば、溝2にゴムを注入し、ゴムが固まると、モータハウジング1に固着することができる。
【0029】
図8に示すように、モータハウジング1に、N字状の冷却チャネル3が設けられており、冷却チャネル3が、軸方向部分と周方向部分とを含み、溝2が、冷却チャネル3の軸方向部分の間に位置する。
【0030】
冷却チャネル3は、その他の構造として設けられてもよく、例えば、
図11に示すように、モータハウジング1に螺旋状の冷却チャネル3が設けられており、溝2が冷却チャネル3の間に位置し、冷却チャネル3と溝2とが二重螺旋状の構造を構成する。溝2は、冷却チャネル3と形状が同じであり、モータハウジング1では平行に配置されているとみなすことができる。
【0031】
モータの作動時の温度を下げるために、冷却チャネル3には、液体(例えば、水、油、又はその他の好適な冷却液)又は気体が冷却媒体として流通する。
【0032】
溝2の断面は、略三角形、台形又は菱形であるか、又は、矩形などその他の適切な形状に設計される。溝2の内壁は、滑らかになるように設計されてもよい。
そして、溝2の断面については、構造を最適化し、応力集中によるクラックを防止するために、いずれも、丸み付け処理が行われる。
【0033】
本実施例において、溝2の断面のエッジが、直線と曲線で構成されている。
図1に示すように、溝2の断面が略二等辺三角形であり、丸み付け処理されると、2つの等辺が直線になり、その他の位置がいずれも曲線になっている。
【0034】
冷却チャネル3の断面形状と溝2の断面形状とが相補的であり、冷却チャネル3が溝2の間の隙間に設けられており、こうして、冷却チャネル3と溝2とがモータハウジング1の断面面積を十分に占めるようにすることができる。
【0035】
本実施例において、冷却チャネル3の断面も略二等辺三角形である。冷却チャネル3の断面形状が正置され、溝2の断面形状が倒置されており、こうして、冷却チャネル3と溝2とがモータハウジング1の断面において大きな面積を占めるようにして、モータハウジング1内の接続リブを十分に薄くし、剛性接続を弱めることができる。
【0036】
本実施例において、モータハウジング1が、鋳造又は押出により一体成形され、溝2及び冷却チャネル3が、当該モータハウジング1の鋳造又は押出により成形される。
【0037】
製造を容易にするために、モータハウジング1を分割して作ってもよく、例えば、モータハウジング1が内殻と外殻とを含み、外殻が内殻を内包してもよく、内殻と外殻とが別体に作られてから組み合わせられ、内殻が外殻内に入れ子になっていると見なしてもよい。溝2と冷却チャネル3も別体に作られたものであり、溝2が、内殻に位置する下部と、外殻に位置する上部とを含み、内殻と外殻とが組み合わせられた状態で、溝2が完全なものとなるように組み合わせられる。
【0038】
冷却チャネル3が、内殻に位置する下部と、外殻に位置する上部とを含み、内殻と外殻とが組み合わせられた状態で、冷却チャネル3が完全なものとなるように組み合わせられる。
【0039】
内殻と外殻とが、それぞれ押出によって形成された状態で、溶接により組み合わせられて、モータハウジング1を構成してもよい。
【0040】
図8、
図9に示すように、モータハウジング1の端部には、溝2の出口及び冷却チャネル3を共にシーリングして、冷却チャネル3の密閉性を確保し、冷却媒体の漏れを回避するシーリングリング5が設けられている。
モータハウジング1の端部に、溝2の出口及び冷却チャネル3を共にシーリングするシーリングブロックを設けるようにしてもよい。
【0041】
シーリングリング5又はシーリングブロックは、材質としてアルミニウムが用いられ、溶接の形でモータハウジング1の端部に固定される。
【0042】
実測データによって検証した結果、この実施例において、モータのNVHテスト結果は、次の通りである。
【0043】
48次の径方向及び軸方向の騒音について、ノイズ低減の効果が明らかであり、呼吸モード周波数での低減幅がいずれも3~5dBAである。これにより、モータは、最悪の振動及び騒音状況において、比較的に優れたNVH性能を示す。
96次の径方向及び軸方向の騒音について、低減幅が一般的に4~13dBAであり、ノイズ低減効果が比較的に明らかである。
【0044】
完全なモータステータを形成するために、モータハウジング1の内壁には、ステータスロット、巻線等の部品がさらに設けられる。これらについては、先行技術を参照することができ、本実施例では、詳しく説明しない。
【0045】
本実施例における溝2は、2組の水路の間に位置し、特別な断面形状を有するように設計され、溝2が空所であるか又は溝2にダンピング媒体が注入されるようにすることで、ステータが発生する振動に起因してモータハウジング1が励振されることを弱め、モータハウジング1のダンピング係数を大きくして、振動、騒音の伝達経路を弱めることができるとともに、電磁力波の振幅を減らして、振動及び騒音を抑制し、体感の快適性を向上させることができる。
【0046】
[実施例2]
図2には、本発明の実施例2が示されており、実施例2は、実施例1に比べると、溝2の断面のエッジが波線で構成される点で異なっている。
【0047】
具体的に、
図2に示す溝2の断面は、略二等辺台形であり、エッジが波線で構成されている。冷却チャネル3の断面は、略二等辺三角形のままである。
【0048】
上記技術手段により、ダンピング媒体とモータハウジング1との十分な接触を保証できるとともに、ダンピング媒体とモータハウジング1との結合強度を向上させることもできる。
【0049】
実測データによって検証した結果、この実施例において、モータのNVHテスト結果は、次の通りである。
【0050】
48次の径方向及び軸方向の騒音について、ノイズ低減の効果が明らかであり、呼吸モード周波数での低減幅がいずれも4~5dBAである。これにより、モータは、最悪の振動及び騒音状況において、比較的に優れたNVH性能を示す。
96次の径方向及び軸方向の騒音について、低減幅が一般的に5~14dBAであり、ノイズ低減効果が比較的に明らかである。
【0051】
本実施例2において、モータハウジング1は、他の構造が実施例1と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0052】
[実施例3]
図3、
図4、
図5には、本発明の実施例3が示されており、実施例3は、実施例1に比べると、溝2の断面のエッジが歯状であり、
図3、
図4における歯はT字形であり、
図5における歯はI字形であるか、又は歯の上下の幅が等しい、という点で異なっている。
【0053】
具体的には、
図3に示す溝2の断面は、略菱形であり、エッジが歯状線で構成され、冷却チャネル3の断面は、略二等辺三角形のままである。
図5に示す溝2の断面は、略二等辺台形であり、エッジが歯状線で構成され、冷却チャネル3の断面も略二等辺台形である。
【0054】
上記技術手段により、ダンピング媒体とモータハウジング1との十分な接触を保証できるとともに、ダンピング媒体とモータハウジング1との結合強度を向上させることもできる。
【0055】
実測データによって検証した結果、この実施例において、モータのNVHテスト結果は、次の通りである。
【0056】
48次の径方向及び軸方向の騒音について、ノイズ低減の効果が明らかであり、呼吸モード周波数での低減幅がいずれも6dBAである。これにより、モータは、最悪の振動及び騒音状況において、より優れたNVH性能を示す。
96次の径方向及び軸方向の騒音について、低減幅が一般的に5~15dBAであり、ノイズ低減効果が明らかである。
【0057】
また、
図4から、モータハウジング1の外殻には、2つの水口4がそれぞれ入水口及び出水口として設けられており、冷却水が、入水口を通って冷却チャネル3に流入し、出水口を通って冷却チャネル3から流出し、冷却媒体循環を実現することが分かる。
【0058】
本実施例3において、モータハウジング1は、他の構造が実施例1と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0059】
[実施例4]
図6、
図7には、本発明の実施例4が示されており、実施例4は、実施例1に比べると、溝2の内壁が凹凸である点で異なっている。溝2の内壁には、複数の凸起が設けられてもよく、複数の凹溝が設けられてもよい。
【0060】
具体的には、
図6、
図7に示す溝2の断面及び冷却チャネル3の断面がいずれも不規則な形状であり、溝2の頂部の内壁に2列の凸起が設けられている。
【0061】
上記技術手段により、ダンピング媒体とモータハウジング1との結合強度を向上させることもできる。
【0062】
実測データによって検証した結果、この実施例において、モータのNVHテスト結果は、次の通りである。
【0063】
48次の径方向及び軸方向の騒音について、ノイズ低減の効果が明らかであり、呼吸モード周波数での低減幅がいずれも4~5dBAである。これにより、モータは、最悪の振動及び騒音状況において、比較的に優れたNVH性能を示す。
96次の径方向及び軸方向の騒音について、低減幅が一般的に5~14dBAであり、ノイズ低減効果が比較的に明らかである。
【0064】
本実施例4において、モータハウジング1は、他の構造が実施例1と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0065】
[実施例5]
本発明の実施例5は、実施例1に基づいて改良されたものであり、実施例5は、実施例1に比べると、モータハウジング1に冷却チャネル3が設けられておらず、溝2のみが設けられており、溝2が空所であるか又はダンピング媒体で充填されている、という点で異なっている。
【0066】
モータハウジング1に冷却チャネル3が設けられていないため、モータハウジング1の断面の全面を利用して溝2を設けることができ、溝2の数を増やして、モータハウジング1のダンピング係数をさらに増やすことができる。
【0067】
隣接する溝2は、一つが正置され、もう一つが倒置されるように相補的に配置することができる。このように、溝2がモータハウジング1の断面において大きな面積を占めるようにし、モータハウジング1内の接続リブを十分に薄くして、剛性接続を弱めることができる。
【0068】
本実施例に係るモータを用いる際、空冷による降温が必要である。
本実施例5において、モータハウジング1は、他の構造が実施例1と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0069】
[実施例6]
本発明の実施例6は、実施例1に基づいて改良されたものであり、
図12に示すように、モータハウジング1の径方向に沿って、それぞれ内層の溝2と外層の溝7との2層の溝が設けられており、溝7もいくつか有り、互いに連続しておらず、それぞれが空所であるか、又はダンピング媒体で充填されている。
【0070】
溝7は、溝2よりも高さが低くて、モータハウジング1の残りの実体部分を十分に活用して設けることができ、モータハウジング1の実体部分がさらに減らされ、モータハウジング1のダンピング係数が大きくなる。
【0071】
モータハウジング1のサイズが許せば、モータハウジング1の径方向に沿って、2層より多くの溝が設けられてもよく、こうすると、モータハウジング1のダンピング係数が著しく大きくなる。
【0072】
本実施例6において、モータハウジング1は、他の構造が実施例1と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0073】
上記は、あくまでも本発明の具体的な実施形態であり、本発明の上記開示の下で、当業者は、上記実施例に基づいて他の改良又は変形を行うことができる。当業者であれば、上記の具体的な記載は、本発明の目的をより良く解釈するためのものであり、本発明の保護範囲が特許請求の範囲の保護範囲に基づくものであることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0074】
1…モータハウジング、2…溝、3…冷却チャネル、4…水口、5…シーリングリング、6…振動源、7…溝。