(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】無人航空機及び防水コンテナ
(51)【国際特許分類】
B64C 39/02 20060101AFI20220516BHJP
B64D 1/10 20060101ALI20220516BHJP
B64D 13/06 20060101ALI20220516BHJP
B64C 25/54 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
B64C39/02
B64D1/10
B64D13/06
B64C25/54
(21)【出願番号】P 2020503336
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2019012969
(87)【国際公開番号】W WO2020194533
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2020-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大和 拓海
(72)【発明者】
【氏名】李 顕一
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05967462(US,A)
【文献】中国特許出願公開第108466696(CN,A)
【文献】米国特許第07887011(US,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1826194(KR,B1)
【文献】実開昭56-103477(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第01880947(EP,A2)
【文献】中国特許出願公開第109435603(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 39/02
B64C 1/22
B64D 1/08
B64D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を収容するための防水コンテナを備える無人航空機であって、
前記防水コンテナは、
前記無人航空機の着陸状態で底面に開口を有するコンテナ本体と、
外方向に開いて前記開口を閉じられるように前記コンテナ本体に取り付けられた防水ドアと、
前記コンテナ本体と前記防水ドアの間に介在して前記防水ドアを液密に閉じるための弾性シールと、
前記防水ドアの第1閉扉状態を保持する第1閉扉機構と、
前記第1閉扉状態から前記弾性シールの弾性力に対抗する方向に前記防水ドアが押され
、前記弾性シールが前記第1閉扉状態よりも圧縮された第2閉扉状態で、前記防水ドアの開扉方向への動きを阻止する第2閉扉機構と、
を有することを特徴とする無人航空機。
【請求項2】
請求項1に記載された無人航空機において、
前記防水ドアは、第1ドア及び第2ドアを含む両開きドアであることを特徴とする無人航空機。
【請求項3】
請求項2に記載された無人航空機において、
前記弾性シールは、前記第1ドア及び前記第2ドアの間にも介在することを特徴とする無人航空機。
【請求項4】
請求項1に記載された無人航空機において、
前記第1閉扉機構及び前記第2閉扉機構は、多段階のロック機構に含まれることを特徴とする無人航空機。
【請求項5】
荷物を収容するための防水コンテナを備える無人航空機であって、
前記防水コンテナは、
前記無人航空機の着陸状態で底面に開口を有するコンテナ本体と、
外方向に開いて前記開口を閉じられるように前記コンテナ本体に取り付けられた防水ドアと、
前記コンテナ本体と前記防水ドアの間に介在して前記防水ドアを液密に閉じるための弾性シールと、
前記防水ドアの第1閉扉状態を保持する第1閉扉機構と、
前記第1閉扉状態から前記弾性シールの弾性力に対抗する方向に前記防水ドアが押された第2閉扉状態で、前記防水ドアの開扉方向への動きを阻止する第2閉扉機構と、
前記コンテナ本体に取り付けられた圧力調整弁
と、
を有することを特徴とする無人航空機。
【請求項6】
請求項1に記載された無人航空機において、
前記防水ドアは、フロートを備えていることを特徴とする無人航空機。
【請求項7】
荷物を収容するための防水コンテナを備える無人航空機であって、
前記防水コンテナは、
前記無人航空機の着陸状態で底面に開口を有するコンテナ本体と、
外方向に開いて前記開口を閉じられるように前記コンテナ本体に取り付けられた防水ドアと、
前記コンテナ本体と前記防水ドアの間に介在して前記防水ドアを液密に閉じるための弾性シールと、
前記防水ドアの第1閉扉状態を保持する第1閉扉機構と、
前記第1閉扉状態から前記弾性シールの弾性力に対抗する方向に前記防水ドアが押された第2閉扉状態で、前記防水ドアの開扉方向への動きを阻止する第2閉扉機構と、
を有し、
前記防水ドアは、開閉の回転軸に沿った第1側端部と、前記第1側端部とは反対にある第2側端部と、を有し、
前記防水ドアの外面は、前記回転軸を平行移動させて描かれた面であって前記第1側端部の方向に傾斜していることを特徴とする無人航空機。
【請求項8】
請求項7に記載された無人航空機において、
前記外面は、湾曲面であることを特徴とする無人航空機。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項に記載された無人航空機において、
パラシュートをさらに有することを特徴とする無人航空機。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか1項に記載された無人航空機において、
信号の送信及び受信の少なくとも一方を行う無線機をさらに有することを特徴とする無人航空機。
【請求項11】
底面に開口を有するコンテナ本体と、
外方向に開いて前記開口を閉じられるように前記コンテナ本体に取り付けられ、第1ドア及び第2ドアを含む両開きの防水ドアと、
前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれと前記コンテナ本体との間に介在して前記防水ドアを液密に閉じるための弾性シールと、
前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれの第1閉扉状態を保持する第1閉扉機構と、
前記第1閉扉状態から前記弾性シールの弾性力に対抗する方向に前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれが押され
、前記弾性シールが前記第1閉扉状態よりも圧縮された第2閉扉状態で、前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれの開扉方向への動きを阻止する第2閉扉機構と、
を有することを特徴とする防水コンテナ。
【請求項12】
請求項11に記載された防水コンテナにおいて、
前記弾性シールは、前記第1ドア及び前記第2ドアの間にも介在することを特徴とする防水コンテナ。
【請求項13】
請求項11に記載された防水コンテナにおいて、
前記第1閉扉機構及び前記第2閉扉機構は、多段階のロック機構に含まれることを特徴とする防水コンテナ。
【請求項14】
底面に開口を有するコンテナ本体と、
外方向に開いて前記開口を閉じられるように前記コンテナ本体に取り付けられ、第1ドア及び第2ドアを含む両開きの防水ドアと、
前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれと前記コンテナ本体との間に介在して前記防水ドアを液密に閉じるための弾性シールと、
前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれの第1閉扉状態を保持する第1閉扉機構と、
前記第1閉扉状態から前記弾性シールの弾性力に対抗する方向に前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれが押された第2閉扉状態で、前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれの開扉方向への動きを阻止する第2閉扉機構と、
前記コンテナ本体に取り付けられた圧力調整弁
と、
を有することを特徴とする防水コンテナ。
【請求項15】
請求項11に記載された防水コンテナにおいて、
前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれは、フロートを備えていることを特徴とする防水コンテナ。
【請求項16】
底面に開口を有するコンテナ本体と、
外方向に開いて前記開口を閉じられるように前記コンテナ本体に取り付けられ、第1ドア及び第2ドアを含む両開きの防水ドアと、
前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれと前記コンテナ本体との間に介在して前記防水ドアを液密に閉じるための弾性シールと、
前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれの第1閉扉状態を保持する第1閉扉機構と、
前記第1閉扉状態から前記弾性シールの弾性力に対抗する方向に前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれが押された第2閉扉状態で、前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれの開扉方向への動きを阻止する第2閉扉機構と、
を有し、
前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれは、開閉の回転軸に沿った第1側端部と、前記第1側端部とは反対にある第2側端部と、を有し、
前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれの外面は、前記回転軸を平行移動させて描かれた面であって前記第1側端部の方向に傾斜していることを特徴とする防水コンテナ。
【請求項17】
請求項16に記載された防水コンテナにおいて、
前記外面は、湾曲面であることを特徴とする防水コンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機及び防水コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
海上での運搬に無人航空機(ドローン)を用いる機会が今後増大すると予想される。浮力を有する部材(例えば発泡スチロール等)や中空の空気室などのフロートを備えたドローンが存在する(特許文献1及び2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2018/042610号公報
【文献】特開2015-117003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フロートは出来るだけ小さいことが望ましいが、大型の荷物に対応するためには、大きなフロートが必要になる。そこで、コンテナをフロートとして活用することが望まれるが、コンテナは完全に密閉しないとフロートとして機能しない。あるいは、コンテナのドアが完全に閉じていないと防水性を保つことができない。
【0005】
本発明は、コンテナの密閉性確保を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る無人航空機は、荷物を収容するための防水コンテナを備える無人航空機であって、前記防水コンテナは、前記無人航空機の着陸状態で底面に開口を有するコンテナ本体と、外方向に開いて前記開口を閉じられるように前記コンテナ本体に取り付けられた防水ドアと、前記コンテナ本体と前記防水ドアの間に介在して前記防水ドアを液密に閉じるための弾性シールと、前記防水ドアの第1閉扉状態を保持する第1閉扉機構と、前記第1閉扉状態から前記弾性シールの弾性力に対抗する方向に前記防水ドアが押された第2閉扉状態で、前記防水ドアの開扉方向への動きを阻止する第2閉扉機構と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、外力で防水ドアが押されると、防水ドアによる密閉性を、第1閉扉状態から第2閉扉状態に高めることができ、防水コンテナの密閉性の確保が可能になる。
【0008】
(2)(1)に記載された無人航空機において、前記防水ドアは、第1ドア及び第2ドアを含む両開きドアであることを特徴としてもよい。
【0009】
(3)(2)に記載された無人航空機において、前記弾性シールは、前記第1ドア及び前記第2ドアの間にも介在することを特徴としてもよい。
【0010】
(4)(1)から(3)のいずれか1項に記載された無人航空機において、前記第1閉扉機構及び前記第2閉扉機構は、多段階のロック機構に含まれることを特徴としてもよい。
【0011】
(5)(1)から(4)のいずれか1項に記載された無人航空機において、前記コンテナ本体に取り付けられた圧力調整弁をさらに有することを特徴としてもよい。
【0012】
(6)(1)から(5)のいずれか1項に記載された無人航空機において、前記防水ドアは、フロートを備えていることを特徴としてもよい。
【0013】
(7)(1)から(6)のいずれか1項に記載された無人航空機において、前記防水ドアは、開閉の回転軸に沿った第1側端部と、前記第1側端部とは反対にある第2側端部と、を有し、前記防水ドアの外面は、前記回転軸を平行移動させて描かれた面であって前記第1側端部の方向に傾斜していることを特徴としてもよい。
【0014】
(8)(7)に記載された無人航空機において、前記外面は、湾曲面であることを特徴としてもよい。
【0015】
(9)(1)から(8)のいずれか1項に記載された無人航空機において、パラシュートをさらに有することを特徴としてもよい。
【0016】
(10)(1)から(9)のいずれか1項に記載された無人航空機において、信号の送信及び受信の少なくとも一方を行う無線機をさらに有することを特徴としてもよい。
【0017】
(11)本発明に係る防水コンテナは、底面に開口を有するコンテナ本体と、外方向に開いて前記開口を閉じられるように前記コンテナ本体に取り付けられ、第1ドア及び第2ドアを含む両開きの防水ドアと、前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれと前記コンテナ本体との間に介在して前記防水ドアを液密に閉じるための弾性シールと、前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれの第1閉扉状態を保持する第1閉扉機構と、前記第1閉扉状態から前記弾性シールの弾性力に対抗する方向に前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれが押された第2閉扉状態で、前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれの開扉方向への動きを阻止する第2閉扉機構と、を有することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、外力で防水ドアが押されると、防水ドアの密閉性が、第1閉扉状態から第2閉扉状態に高められる。これにより、防水コンテナの密閉性の確保が可能になる。
【0019】
(12)(11)に記載された防水コンテナにおいて、前記弾性シールは、前記第1ドア及び前記第2ドアの間にも介在することを特徴としてもよい。
【0020】
(13)(11)又は(12)に記載された防水コンテナにおいて、前記第1閉扉機構及び前記第2閉扉機構は、多段階のロック機構に含まれることを特徴としてもよい。
【0021】
(14)(11)から(13)のいずれか1項に記載された防水コンテナにおいて、前記コンテナ本体に取り付けられた圧力調整弁をさらに有することを特徴としてもよい。
【0022】
(15)(11)から(14)のいずれか1項に記載された防水コンテナにおいて、前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれは、フロートを備えていることを特徴としてもよい。
【0023】
(16)(11)から(15)のいずれか1項に記載された防水コンテナにおいて、前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれは、開閉の回転軸に沿った第1側端部と、前記第1側端部とは反対にある第2側端部と、を有し、前記第1ドア及び前記第2ドアのそれぞれの外面は、前記回転軸を平行移動させて描かれた面であって前記第1側端部の方向に傾斜していることを特徴としてもよい。
【0024】
(17)(16)に記載された防水コンテナにおいて、前記外面は、湾曲面であることを特徴としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図5】
図4に示す防水コンテナのV-V線断面図である。
【
図8】実施形態に係る無人航空機の第1変形例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る無人航空機の第2変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0027】
図1は、実施形態に係る無人航空機の平面図である。
図2は、
図1に示す無人航空機の側面図である。以下の説明で、X1方向及びX2方向をそれぞれ右方及び左方と称する。Y1方向及びY2方向をそれぞれ前方及び後方と称する。X1-X2及びY1-Y2がつくる平面に沿った方向を水平方向と称する。Z1方向及びZ2方向をそれぞれ上方及び下方と称する。
【0028】
無人航空機は、生活用品や、食材、電子機器、書籍などの荷物10の輸送に使用される。配送先は離島もあり、飛行経路は、海、川及び湖などの水上を含む。無人航空機は、無線方式で遠隔操縦されてもよいし、目標位置(着陸位置)が指定された後は自律飛行してもよい。
【0029】
無人航空機は、垂直方向で離着陸が可能なマルチコプタである。無人航空機は、複数のプロペラ12と、プロペラ12をそれぞれ回転させる複数のモータ14とを有している。モータ14の位置は、プロペラ12の中心の直下でもよいし、直下でなくてもよい。プロペラ12及びモータ14は、装置本体16を中心とする周方向に等間隔で配置される。無人航空機は、その中心部に装置本体16を有している。
【0030】
無人航空機は、装置本体16から水平方向に伸びる複数の支持アーム18を有する。支持アーム18は、装置本体16から離れた位置で、モータ14を支持する。支持アーム18は、モータ14の位置からさらに伸びている延長部20を有する。延長部20は、その端部で、複数のプロペラ12の全体を取り囲むガードケーブル22を支持している。
【0031】
無人航空機は支持フレーム24を有する。支持フレーム24は、例えば、装置本体16やバッテリ26を支持するフレーム上部28と、フレーム上部28から下方に伸びているフレーム下部30とを有する。フレーム上部28は、左右方向で離れており且つ水平方向に伸びる2本の水平バー32を有している。
【0032】
フレーム下部30は、水平バー32から下方に伸びている複数の脚部34を有している。フレーム下部30は、水平方向で伸びており且つ複数の脚部34の下端に接続されている複数の下端バー36を有している。フレーム下部30の下端(すなわち、下端バー36)は、後述する防水コンテナ50の下端よりも下方に位置しており、無人航空機の着陸時に無人航空機を地面の上で支持するとともに、防水コンテナ50と地面との接触を防ぐ。
【0033】
支持フレーム24の構造は、上述した例に限られない。例えば、支持フレーム24は、バッテリ26や装置本体16が取り付けられる板状の支持台を有し、その支持台から下方に脚部34が伸びていてもよい。
【0034】
無人航空機は1又は複数のバッテリ26を有している。モータ14はバッテリ26から供給される電力によって駆動する。バッテリ26は、無人航空機の中心部に配置されている。バッテリ26は、無人航空機の中心部に配置される支持フレーム24によって支持されている。
【0035】
図3は、装置本体16の機能ブロック図である。装置本体16は、制御装置38と、モータ駆動装置40と、無線機42と、センサ群44とを有している。装置本体16は、制御装置38や無線機42などを収容するハウジング46(
図1及び
図2)を有している。また、装置本体16は、モータ14を駆動するためのバッテリ26とは別に、制御装置38に供給する電力を蓄えるバッテリを含んでいてもよい。
【0036】
センサ群44は、例えば、3軸ジャイロセンサや、3軸加速度センサなどを含む。3軸ジャイロセンサは、例えば、無人航空機のピッチ角や、ロール角、ヨー角に応じた信号を出力する。3軸加速度センサは、無人航空機の前後方向での加速度、左右方向での加速度、及び上下方向での加速度に応じた信号を出力する。センサ群44が有しているセンサの種類は、これに限られない。例えば、センサ群44は、さらに、無人航空機の向きに応じた信号を出力する地磁気センサを有してもよい。
【0037】
無線機42は、信号の送信又は受信の少なくとも一方を担う装置である。無線機42は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機を含む。無線機42は、例えば自身の位置情報を含む信号であるビーコンを発するビーコン発信機を含む。ビーコンによって、行方不明の無人航空機の位置を特定して速やかに回収することが可能となる。
【0038】
無線機42は、外部の操作入力装置(不図示)からの指令を受信する受信機や、外部の操作入力装置に無人航空機の状態を送信する送信機を含んでもよい。外部の操作入力装置は、例えば、無人航空機の使用者(飛行を監視するオペレータ)が操作するパーソナルコンピュータや専用の入力装置である。無線機42は、受信した信号の内容を制御装置38に向けて出力したり、制御装置38から取得した信号を送信したりする。無人航空機は、無線機42が接続されるアンテナ48を有してもよい。アンテナ48は、例えば、装置本体16の上部に取り付けられる(
図2参照)。
【0039】
モータ駆動装置40は、バッテリ26から電力を受けて、制御装置38から受ける指令値に応じた電力をモータ14に供給する。モータ14は、モータ駆動装置40から供給される電力(電圧)に応じた速度で回転する。なお、無人航空機は、複数のモータ14のそれぞれについてモータ駆動装置40を有している。
【0040】
制御装置38は、記憶装置と、記憶装置に格納されているプログラムを実行するマイクロプロセッサとを含んでいる。制御装置38は、センサ群44から入力される信号(情報)と無線機42から入力される信号(情報)とに基づいてモータ14を制御する。制御装置38は、センサ群44から入力される信号に基づき、複数のモータ14のそれぞれの回転速度を制御することにより、無人航空機の姿勢(ピッチ角、ロール角、ヨー角)と、移動(前進、後退、上昇、下降、左方移動、右方移動)とを制御する。
【0041】
制御装置38は、無人航空機が着水或いは着陸したか否かを判断してもよい。そして、制御装置38は、無人航空機が着水或いは着陸したと判断した場合に、無線機42を通して、そのことを送信するようになっていてもよい。
【0042】
装置本体16を構成する部品は、必ずしも共通のハウジング46に収容されていなくてもよい。例えば、モータ駆動装置40を収容するハウジングと、制御装置38及び無線機42を収容するハウジングが分かれていてもよい。また、制御装置38を収容するハウジングと、無線機42を収容するハウジングも分かれていてもよい。
【0043】
モータ14、バッテリ26、センサ群44、制御装置38などを収容するハウジング(例えばハウジング46)は、防水性能を備えることが望ましい。かかる構成により、無人航空機が仮に着水後に転覆しても故障を避けることができる。
【0044】
無人航空機は、荷物10を収容するための防水コンテナ50(
図2参照)を有している。防水コンテナ50は、例えば直方体である。防水コンテナ50は支持フレーム24に取り付けられている。例えば、防水コンテナ50はフレーム上部28の下側に取り付けられている。そして、防水コンテナ50は、複数の脚部34の内側に位置している。装置本体16は、防水コンテナ50の上側に位置している。
【0045】
防水コンテナ50は液密に構成されている。すなわち、防水コンテナ50は、外部の水分が防水コンテナ50の内部に浸入しないように構成されている。防水コンテナ50が液密であることによって、無人航空機が着水したときに、防水コンテナ50の浮力を得ることができる。
【0046】
図4は、防水コンテナ50の詳細を示す側面図である。
図5は、
図4に示す防水コンテナ50のV-V線断面図である。防水コンテナ50は、コンテナ本体52を有する。コンテナ本体52は、カーボン、プラスチック又は金属などの水を通さない素材によって構成されている。
【0047】
コンテナ本体52には圧力調整弁54(例えば逆止弁)が取り付けられている。圧力調整弁54は、内部圧力が上昇した際に気体を排出するようになっており、適正な内部圧力で自動的に閉じるようになっていてもよい。
【0048】
コンテナ本体52は、無人航空機の着陸状態で底面に開口56を有し、開口56から荷物10(
図2)を出し入れできるようになっている。コンテナ本体52には、開口56を閉じられるように、防水ドア58が取り付けられている。防水ドア58の開閉は、手動で行うようになっていてもよいし、図示しないアクチュエータで行うようになっていてもよい。
【0049】
防水ドア58は、ドア本体60を有する。ドア本体60は、カーボン、プラスチック又は金属などの水を通さない素材によって構成されている。防水ドア58は、フロート62を備えている。例えば、ドア本体60の外側にフロート62が貼り付けられている。フロート62は、例えば、樹脂の発砲体や、気体が充填された袋又は箱である。樹脂の発砲体としては、発泡ポリスチレンや、ポリ塩化ビニルフォームなどがある。フロート62は、防水ドア58の外面全体を構成する例に限定されるものではなく、その位置や形状の変形が可能である。
【0050】
図6は、防水ドア58が開いた状態を示す図である。防水ドア58は、外方向に開くようになっており、第1ドア58A及び第2ドア58Bを含む両開きドアである。防水ドア58(第1ドア58A及び第2ドア58Bのそれぞれ)は、開閉の回転軸64に沿った第1側端部66と、第1側端部66とは反対にある第2側端部68と、を有する。防水ドア58(第1ドア58A及び第2ドア58Bのそれぞれ)の外面(フロート62の表面)は、回転軸64を平行移動させて描かれた面であって第1側端部66の方向に傾斜している。外面は、湾曲面である。
【0051】
防水コンテナ50は、防水ドア58を液密に閉じるための弾性シール70を有する。弾性シール70は、コンテナ本体52と防水ドア58の間に介在する。コンテナ本体52及び防水ドア58の間で弾性シール70は圧縮される(弾性変形する)。これにより、コンテナ本体52及び防水ドア58の間の隙間が無くなって液密になる。
【0052】
第1ドア58A及び第2ドア58Bの間にも弾性シール72(例えば第1弾性シール72A及び第2弾性シール72B)が介在する。第1弾性シール72Aは凹部を有し、第2弾性シール72Bは凸部を有し、凹部と凸部が嵌り合うようになっている。
図6に示すように、凹部が拡がるように側壁を傾斜させることで、凸部が凹部に入りやすくなる。
図6の例では、第1弾性シール72A及び第2弾性シール72Bの下にフロートが設けられていないが、フロートを設けてもよい。
【0053】
防水コンテナ50は、防水ドア58のロック機構74(例えばラッチ)を有する。ロック機構74は、閉じられた防水ドア58の第2側端部68(回転軸64とは反対側)に対応する位置で、
図5に示すように、コンテナ本体52(回転軸64に沿った両側のそれぞれ)に設けられている。ロック機構74は、複数の爪76(第1爪76A及び第2爪76B)が並ぶロック部品78を含む。ロック部品78は、コンテナ本体52との取付部80によって、回転軸64に沿った方向Dにのみ直線移動できるように保持されている。また、ロック部品78は、防水ドア58の外側に配置されて、バネ82は圧縮されて、防水ドア58に接近する方向の力が、ロック部品78に加えられている。
【0054】
防水ドア58は、閉じられるときに、その一部(係合部84)が第1爪76Aの傾斜外面86に当たる。傾斜外面86は、ロック部品78の直線移動の方向に対して傾斜している。傾斜外面86は、防水ドア58の開閉軌跡を向く方向に傾斜している。そのため、防水ドア58の係合部84が外面を押すと、バネ82の力に対向して、ロック部品78が、防水ドア58から離れる方向に移動する。そして、係合部84は、第1爪76Aの内面88に係合する。内面88は、例えばロック部品78の直線移動の方向に平行であり、傾斜しない。
【0055】
ロック部品78にはピン90が取り付けてある。バネ82の力に対向して、防水ドア58から離れる方向にピン90を引っ張ることで、第1爪76Aと係合部84の係合を解除することができる。
【0056】
防水コンテナ50は、第1閉扉機構92(例えば第1爪76A)を有する。第1閉扉機構92は、多段階(2段階又はそれ以上)のロック機構74に含まれる。第1閉扉機構92によって、防水ドア58の第1閉扉状態が保持される。
図4に示すように、第1ドア58A及び第2ドア58Bのそれぞれが第1爪76A(
図5)に係合した状態が第1閉扉状態である。第1閉扉状態では、弾性シール70の圧縮が少ないため、密閉性が不十分な場合がある。
【0057】
図7は、防水ドア58の第2閉扉状態を示す図である。防水コンテナ50は、第2閉扉機構94(例えば第2爪76B)を有する。第2閉扉機構94は、多段階のロック機構74に含まれる。第2閉扉機構94は、第2閉扉状態で、防水ドア58の開扉方向への動きを阻止する。第2閉扉状態は、第1閉扉状態から弾性シール70の弾性力に対抗する方向に防水ドア58が押された状態である。例えば、無人航空機が着水するときに、防水ドア58が押されることがある。
【0058】
本実施形態によれば、外力で防水ドア58が押されると、防水ドア58による密閉性を、第1閉扉状態から第2閉扉状態に高めることができ、防水コンテナ50の密閉性の確保が可能になる。特に、防水ドア58の外面が湾曲面であれば、外力が密閉性の高まる方向へ働きやすい。外力の例として、防水ドア58と水とが衝突することによる衝撃及びフロート62に発生する浮力が挙げられる。
【0059】
図8は、実施形態に係る無人航空機の第1変形例を示す図である。上述した防水ドア58は、無人航空機が着水することでその密閉性が高められるが、防水ドア58が下を向いた状態で着水することが望ましい。そのため、無人航空機は、
図8に示すようにパラシュート196を有する。パラシュート196は、例えば、無人航空機の異常を検知して展開されるようになっている。これにより、防水ドア58が下方向を向いた状態で、つまり、無人航空機が水平又は水平に近い姿勢で、防水コンテナ50の着水が可能になる。
【0060】
図9は、実施形態に係る無人航空機の第2変形例を示す図である。この例では、防水ドア258の回転軸264の周りに、第1閉扉機構292(例えば第1爪276A)及び第2閉扉機構294(例えば第2爪276B)がある。防水ドア258の開閉によって、第1爪276A及び第2爪276Bは、回転軸264の周りを移動するようになっている。
【0061】
第1爪276A及び第2爪276Bは、防水ドア258が開く方向に移動しようとしても、係合部284によって阻止される。係合部284は、レバー298に一体的に形成されている。レバー298は、防水ドア258の回転軸264と平行な軸の周りに揺動可能に、コンテナ本体252に取り付けられている。また、レバー298には、係合部284が第1爪276A及び第2爪276Bに近づく方向の力が、引き伸ばされたバネ282によって加えられている。防水ドア258が閉じる方向に移動するときには、第1爪276A及び第2爪276Bによって、係合部284を押し上げるように、レバー298が揺動する。これにより、係合部284によって規制されることなく、防水ドア258を閉じることができる。なお、第1閉扉状態又は第2閉扉状態を解除するには、係合部284が第1爪276A又は第2爪276Bから離れる方向に、レバー298を動かせばよい。また、レバー298がコンテナ本体252を貫通するので、カバー200で覆って防水が図られている。
【0062】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、実施形態で説明した構成は、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。