(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】給電装置、及び車両コントローラ用バックアップ電源
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20220516BHJP
【FI】
H02M3/28 H
(21)【出願番号】P 2020542149
(86)(22)【出願日】2018-11-01
(86)【国際出願番号】 CN2018113378
(87)【国際公開番号】W WO2019179113
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-08-03
(31)【優先権主張番号】201810392734.7
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810236326.2
(32)【優先日】2018-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511268454
【氏名又は名称】ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ワン,フーシァン
(72)【発明者】
【氏名】グー,ドンピン
(72)【発明者】
【氏名】ドン,シュアンライ
(72)【発明者】
【氏名】ガリェーゴス,ガブリエル
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-354375(JP,A)
【文献】特開2000-134918(JP,A)
【文献】特開2014-003738(JP,A)
【文献】国際公開第2018/043226(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102594124(CN,A)
【文献】特開2017-073433(JP,A)
【文献】特開2013-255363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧側巻線と低圧側巻線とを含み、高圧電源からの高圧入力を低圧出力に変換する絶縁駆動手段と、
前記絶縁駆動手段の高圧側巻線に直列接続された第1のスイッチ部を含む高圧入力手段と、
第1端子が前記絶縁駆動手段の低圧側巻線に接続され、第2端子が外部からの出力イネーブル信号を受信するために用いられ、前記出力イネーブル信号がハイの場合、第3の端子が低圧給電電力を出力する出力制御手段と、
前記高圧入力手段の前記第1のスイッチ部へスイッチ調整信号を出力するスイッチ調整手段と、
第1端が前記高圧電源に接続され、第2端が前記スイッチ調整手段に接続され、前記スイッチ調整手段に始動電圧を提供する高圧始動手段と、
第1端が前記絶縁駆動手段における低圧側巻線に結合された補助給電巻線に接続され、第2端が前記スイッチ調整手段に接続され、前記スイッチ調整手段に電力を提供する補助電源手段と、を含
み、
前記補助電源手段は、ダイオード(D3)及びコンデンサ(C4)を含み、前記絶縁駆動手段の前記補助給電巻線から出力された補助電源出力に対してフィルタリングを行う補助フィルタリング部と、正極が前記補助フィルタリング部の出力端に接続され、負極が前記スイッチ調整手段に接続されたダイオード(D2)と、を含む、
ことを特徴とする給電装置。
【請求項2】
前記高圧入力手段は、前記絶縁駆動手段の高圧側巻線に並列接続された吸収回路と、前記スイッチ調整手段に接続され、サンプリング信号を出力するサンプリング素子と、をさらに含み、
前記スイッチ調整手段は、前記サンプリング素子からの前記サンプリング信号に基づいて、前記高圧入力手段へスイッチ調整信号を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
前記吸収回路は、第1の抵抗と、第1のコンデンサと、第1のダイオードとを含み、前記第1の抵抗と第1のコンデンサとが並列接続されると共に、前記第1のダイオードの負極に接続されており、
前記第1のスイッチ部は、ソースが前記絶縁駆動手段の高圧側巻線に接続され、ゲートが前記スイッチ調整手段に接続され、前記スイッチ調整手段からのスイッチ調整信号を受信するための第1のMOSトランジスタを含み、
前記サンプリング素子は、一端が前記第1のMOSトランジスタのドレインに接続され、他端が高圧側リファレンスグランドに接続された第2の抵抗を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の給電装置。
【請求項4】
前記出力制御手段は、前記絶縁駆動手段の低圧側巻線に接続された出力フィルタリング部と、前記出力フィルタリング部の出力端に接続され、第2のスイッチ部を介して低圧電力を出力する出力部と、前記出力イネーブル信号がハイの場合、前記出力部の前記第2のスイッチ部をオンにする出力イネーブル制御部と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項5】
前記出力制御手段の前記出力部は、正極が前記出力フィルタリング部の出力端に接続され、負極が前記第2のスイッチ部のソースに接続された第2のダイオードと、前記第2のスイッチ部のソースとゲートとの間に並列接続された第3のダイオード及び第3の抵抗と、をさらに含み、前記第3のダイオードの負極が前記第2のスイッチ部のソースに接続されており、
前記出力イネーブル制御部は、ゲートがイネーブル信号入力端子に接続され、ソースが前記第2のスイッチ部のゲートに接続され、ドレインが低圧側リファレンスグランドに接続された第3のスイッチ部を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の給電装置。
【請求項6】
前記高圧始動手段は、ソースが第4の抵抗を介して前記高圧電源に接続され、ゲートが第5の抵抗を介して前記高圧電源に接続され、ドレインが前記スイッチ調整手段に接続された第3のスイッチ部と、負極が前記第3のスイッチ部のゲートに接続され、正極が高圧側リファレンスグランドに接続された第1の電圧安定化部と、一端が前記スイッチ調整手段に接続され、他端が前記電圧安定化部の正極に接続された充電素子と、を含む、
ことを特徴とする請求項
1に記載の給電装置。
【請求項7】
結合された発光部と受光部とを含む絶縁信号手段と、
第1端が前記出力制御手段に接続され、第2端が前記発光部に接続され、前記発光部を前記出力制御手段の出力レベルに応じて発光させる出力フィードバック手段と、をさらに含み、
前記受光部は、前記スイッチ調整手段に接続され、受信された光信号を電気信号に変換して前記スイッチ調整手段に提供する、
ことを特徴とする請求項1に記載の給電装置。
【請求項8】
前記出力フィードバック手段は、前記出力制御手段の出力フィルタリング部の出力端に接続され、前記出力フィルタリング部の出力電圧を分圧する分圧部と、前記分圧部の出力電圧を基準電圧とする第2の電圧安定化部と、前記第2の電圧安定化部の負極電圧を調整する電圧調整部とを含む、
ことを特徴とする請求項
7に記載の給電装置。
【請求項9】
前記スイッチ調整手段は、
始動電圧及び動作電力を受けるための給電入力ポート、前記高圧入力手段からのサンプリング信号を受信するためのサンプリング信号入力ポート、高圧入力手段へスイッチ調整信号を出力するためのスイッチ調整信号出力ポート、前記絶縁信号手段の前記受光部からのフィードバック信号を受信するためのフィードバック信号入力ポート、スイッチ周波数設定ポート及び補償制御ポートを含む調整部と、
一端が前記スイッチ周波数設定ポートに接続され、他端が高圧側リファレンスグランドに接続されたスイッチ周波数設定部と、
一端が前記補償制御ポートに接続され、他端が高圧側リファレンスグランドに接続され、前記スイッチ調整手段に対して補償制御を行う補償制御部と、を含み、
前記絶縁信号手段の前記受光部は、前記スイッチ調整手段の前記フィードバック信号入力ポートに接続されている、
ことを特徴とする請求項
7に記載の給電装置。
【請求項10】
前記高圧側リファレンスグランドは、前記高圧電源の高圧入力負極であり
、低圧側リファレンスグランドは、低圧出力端の低圧出力負極である、
ことを特徴とする請求項3、
6、
9のいずれか一項に記載の給電装置。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか一項に記載の給電装置と、
コントローラへの正常な給電を確保する場合に、出力イネーブル信号を前記給電装置に出力する制御端と、を含む、
ことを特徴とする車両コントローラ用バックアップ電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントローラ電源の冗長性及び制御安全性に有益な給電装置、及び車両コントローラ用バックアップ電源に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の動力の分野では、車両全体の動力のコアコンポーネントとしてのコントローラは、その制御の安全性が特に重要なものである。従来のコントローラの低圧制御給電のほとんどは、車両全体の低圧バッテリ及びDC/DCが給電入力とされている。
【0003】
現在、この分野では、コントローラの内部の低圧制御給電に使用される他のバックアップ電源もある。従来の車両全体のシステムが比較的複雑であるため、100%安全で信頼できるわけではない。その一方で、モータとコントローラとは車両全体の中で非常に重要な位置を占めており、現在の市場では運転の安全性に対する要求が高くなっている。製品の性能を信頼性及び安全性のより高いものにするために、コントローラ内部には、それに応じる措置を追加する必要があり、多くの自動車メーカは、機能安全を満たす設計要件及び指標を提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記状況に鑑み、本発明は、上記問題を解決するために、モータコントローラ用の高電圧を低電圧に変換するバックアップ電源給電回路設計を提供すると共に、コントローラ内部でバックアップ電源として用いられる技術案を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、
高圧側巻線と低圧側巻線とを含み、高圧電源からの高圧入力を低圧出力に変換する絶縁駆動手段と、
前記絶縁駆動手段の高圧側巻線に直列接続された第1のスイッチ部を含む高圧入力手段と、
第1端子が前記絶縁駆動手段の低圧側巻線に接続され、第2端子が外部からの出力イネーブル信号を受信するために用いられ、前記出力イネーブル信号がハイの場合、第3の端子が低圧給電電力を出力する出力制御手段と、
前記高圧入力手段の前記第1のスイッチ部へスイッチ調整信号を出力するスイッチ調整手段と、
第1端が前記高圧電源に接続され、第2端が前記スイッチ調整手段に接続され、前記スイッチ調整手段に始動電圧を提供する高圧始動手段と、
第1端が前記絶縁駆動手段の低圧側巻線に結合され、第2端が前記スイッチ調整手段に接続され、前記スイッチ調整手段に電力を提供する補助電源手段と、を含むことを特徴とする給電装置である。
【0006】
本発明の第1の態様の給電装置によれば、低圧給電が故障した場合に、外部からの出力イネーブル信号に応じて、内部回路を介して高圧バッテリから必要な低圧電源を適時に供給することができる。さらに、高電圧始動手段によってスイッチ調整手段に始動電圧を提供し、スイッチ調整手段が動作し始めた後、補助電源手段によってスイッチ調整手段に動作電源を提供する。補助電源手段が絶縁駆動手段の低圧側巻線に結合されており、絶縁駆動手段が高圧電源を低圧に変換して出力する作業を行う場合、絶縁駆動手段の低圧側巻線に電流が流れ、補助電源手段へ給電される。絶縁駆動手段が高圧電源を低圧に変換して出力する作業を行わない場合、絶縁駆動手段の低圧側巻線に電流が流れず、補助電源手段へ給電されない。これにより、出力制御手段の出力状態に応じてスイッチ調整手段の動作状態を制御することができ、出力イネーブル信号を受信していない場合は、スイッチ調整手段に動作電力が供給されず、出力イネーブル信号を受信した場合は、スイッチ調整手段に動作電力が供給される。
【0007】
本発明の第2の態様の給電装置は、第1の態様の給電装置において、
前記高圧入力手段は、前記絶縁駆動手段の高圧側巻線に並列接続された吸収回路と、前記スイッチ調整手段に接続され、サンプリング信号を出力するサンプリング素子とをさらに含み、
前記スイッチ調整手段は、前記サンプリング素子からの前記サンプリング信号に基づいて、前記高圧入力手段へスイッチ調整信号を出力することを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の態様の給電装置によれば、吸収回路を用いてノイズによる干渉を低減し、サンプリング素子を用いて高圧入力手段の電圧をサンプリングしてスイッチ調整手段にフィードバックして、出力電圧の過電流保護及び閉ループフィードバック制御を実現し、出力電源の安定性を確保することができる。
【0009】
本発明の第3の態様の給電装置は、第2の態様の給電装置において、
前記吸収回路は、第1の抵抗と、第1のコンデンサと、第1のダイオードとを含み、前記第1の抵抗と第1のコンデンサとが並列接続されると共に、前記第1のダイオードの負極に接続されており、
前記第1のスイッチ部は、ソースが前記絶縁駆動手段の高圧側巻線に接続され、ゲートが前記スイッチ調整手段に接続され、前記スイッチ調整手段からのスイッチ調整信号を受信するための第1のMOSトランジスタを含み、
前記サンプリング素子は、一端が前記第1のMOSトランジスタのドレインに接続され、
他端が高圧側リファレンスグランドに接続された第2の抵抗を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の態様の給電装置によれば、第1のMOSトランジスタによって高圧入力手段のスイッチ回路を構成し、スイッチ調整手段により高圧入力手段の出力を容易に制御でき、出力電源の安定性を確保できる。
【0011】
本発明の第4の態様の給電装置は、第1の態様の給電装置において、
前記出力制御手段は、前記絶縁駆動手段の低圧側巻線に接続された出力フィルタリング部と、前記出力フィルタリング部の出力端に接続され、第2のスイッチ部を介して低圧電力を出力する出力部と、前記出力イネーブル信号がハイの場合、前記出力部の前記第2のスイッチ部をオンにする出力イネーブル制御部と、を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の第4の態様の給電装置によれば、出力フィルタリング部によって、絶縁駆動手段から出力された低圧電力に対してフィルタリングを行い、出力電源の安定性を確保できる。さらに、第2のスイッチ部が低圧電力を出力することにより、出力イネーブル信号がハイの場合に、第2のスイッチ手段をオンにして、出力イネーブル信号に基づいて低圧電力を出力することができる。
【0013】
本発明の第5の態様の給電装置は、第4の態様の給電装置において、
前記出力制御手段の前記出力部は、正極が前記出力フィルタリング部の出力端に接続され、負極が前記第2のスイッチ部のソースに接続された第2のダイオードと、前記第2のスイッチ部のソースとゲートとの間に並列接続された第3のダイオード及び第3の抵抗と、をさらに含み、前記第3のダイオードの負極が前記第2のスイッチ部のソースに接続されており、
前記出力イネーブル制御部は、ゲートがイネーブル信号入力端子に接続され、ソースが前記第2のスイッチ部のゲートに接続され、ドレインが低圧側リファレンスグランドに接続された第3のスイッチ部を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の第5の態様の給電装置によれば、第2のダイオードを用いて、低圧電力出力が単方向の給電となることを確保し、正常な給電電流の逆流を防止している。出力イネーブル信号がハイレベルのとき、第3のスイッチ部がオンになり、この際、第2のスイッチ部のVgs<0となり、第2のスイッチ部がオンになることで、出力制御手段の出力部がオンになり、コントローラに給電できる。
【0015】
本発明の第6の態様の給電装置は、第1の態様の給電装置において、
前記補助電源手段は、補助フィルタリング部と第4のダイオードとを含み、前記補助フィルタリング部の第1端が前記絶縁駆動手段の低圧側巻線に結合され、前記補助フィルタリング部の第2端が前記第4のダイオードの正極に接続され、前記第4のダイオードの負極が前記スイッチ調整手段に接続されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の第6の態様の給電装置によれば、高圧入力側に電源出力を追加することができ、スイッチ調整手段の動作開始後、スイッチ調整手段に安定した給電入力を提供でき、スイッチ調整手段への安定した給電を確保できる。
【0017】
本発明の第7の態様の給電装置は、第6の態様の給電装置において、
前記高圧始動手段は、ソースが第4の抵抗を介して前記高圧電源に接続され、ゲートが第5の抵抗を介して前記高圧電源に接続され、ドレインが前記スイッチ調整手段に接続された第3のスイッチ部と、負極が前記第3のスイッチ部のゲートに接続され、正極が高圧側リファレンスグランドに接続された第1の電圧安定化部と、一端が前記スイッチ調整手段に接続され、他端が前記電圧安定化部の正極に接続された充電素子とを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の第7の態様の給電装置によれば、電源投入時に、第1の電圧安定化部が第3のスイッチ部に第1の電圧を提供して第3のスイッチ部をオンにして、充電素子に充電を行い、充電素子がスイッチ調整手段に始動電流及び電圧を提供して、充電素子の電圧が上昇するにつれて第1の電圧が0に降下すると、第3のスイッチ部がオフになる。これにより、制御チップに個別に入力電源を供給することを必要とせずに、高圧回路を使用して回路に始動電圧及び電流を供給することができ、各高電圧デバイスは、使用時に各デバイスの動作電圧に特別な注意を払う必要があり、各信号レベルは、その設定時に独自の使用条件に応じて調整でき、適用性が強い。
【0019】
本発明の第8の態様の給電装置は、第1の態様の給電装置において、
結合された発光部と受光部とを含む絶縁信号手段と、
第1端が前記出力制御手段に接続され、第2端が前記発光部に接続され、前記発光部を前記出力制御手段の出力レベルに応じて発光させる出力フィードバック手段と、をさらに含み、
前記受光部は、前記スイッチ調整手段に接続され、受信された光信号を電気信号に変換して前記スイッチ調整手段に提供することを特徴とする。
【0020】
本発明の第8の態様の給電装置によれば、絶縁信号手段を用いて出力フィードバック手段のフィードバック信号をスイッチ調整手段に提供することにより、電源は閉ループ制御を達成でき、電源の出力はより安定して信頼性が高くなる。
【0021】
本発明の第9の態様の給電装置は、第8の態様の給電装置において、
前記出力フィードバック手段は、前記出力制御手段の前記出力フィルタリング部の出力端に接続され、前記出力フィルタリング部の出力電圧を分圧する分圧部と、前記分圧部の出力電圧を基準電圧とする第2の電圧安定化部と、前記第2の電圧安定化部の負極電圧を調整する電圧調整部と、を含むことを特徴とする。
【0022】
本発明の第9の態様の給電装置によれば、分圧部は、出力フィルタリング部の出力電圧を分圧して、第2の電圧安定化部に基準電圧を提供する。
【0023】
本発明の第10の態様の給電装置は、第8の態様の給電装置において、
前記スイッチ調整手段は、
調整部であって、前記調整部へ供給される始動電圧及び動作電力を受けるための給電入力ポート、前記高圧入力手段からのサンプリング信号を受信するためのサンプリング信号入力ポート、高圧入力手段へスイッチ調整信号を出力するためのスイッチ調整信号出力ポート、前記絶縁信号手段の前記受光部からのフィードバック信号を受信するためのフィードバック信号入力ポート、スイッチ周波数設定ポート及び補償制御ポートを含む調整部と、
一端が前記スイッチ周波数設定ポートに接続され、他端が高圧側リファレンスグランドに接続されたスイッチ周波数設定部と、
一端が前記補償制御ポートに接続され、他端が高圧側リファレンスグランドに接続され、前記スイッチ調整手段に対して補償制御を行う補償制御部と、を含み、
前記絶縁信号手段の前記受光部は、前記スイッチ調整手段の前記フィードバック信号入力ポートに接続されていることを特徴とする。
【0024】
本発明の第10の態様の給電装置によれば、調整部は、給電入力ポートを介して電源に接続され、サンプリング信号入力ポートを介して高圧入力手段からのサンプリング信号を受信し、フィードバック信号入力ポートを介して出力フィードバック手段からのフィードバック信号を受け取り、スイッチ調整信号出力ポートを介して高圧入力手段へスイッチ調整信号を出力することにより、高電圧入力手段を閉ループ制御する。スイッチ周波数設定部は、スイッチ調整手段のスイッチ周波数を設定し、補償制御部は、前記スイッチ調整手段を補償制御して、出力電源の安定性を確保する。
【0025】
本発明の第11の態様の給電装置は、第3、7、10の態様のいずれか一項に記載の給電装置において、
前記高圧側リファレンスグランドは、前記高圧電源の高圧入力負極であり、前記低圧側リファレンスグランドは、低圧出力端の低圧出力負極であることを特徴とする。
【0026】
本発明の第11の態様の給電装置によれば、絶縁駆動手段の高圧側のリファレンスグランドが高圧電源の高圧入力負極であり、絶縁駆動手段の低圧側のリファレンスグランドが低圧出力端の低圧出力負極であり、高圧側と低圧側との間は電気的に絶縁されている。
【0027】
本発明の第12の態様の車両コントローラ用バックアップ電源は、
第1~第11の態様のいずれか一項に記載の給電装置と、
コントローラへの正常な給電を確保する場合に、出力イネーブル信号を前記給電装置に出力する制御端と、を含むことを特徴とする。
【0028】
本発明の第12の態様の車両コントローラ用バックアップ電源によれば、車両全体の低圧給電が故障してコントローラへの正常給電が確保できなくなった場合、出力イネーブル信号を前記給電装置に出力することができる。給電装置は、当該出力イネーブル信号に応答してバックアップ電源を出力し、給電故障が原因でコントローラが制御不能にならないことを確保する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の第1の実施形態を示す模式的なブロック図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態を示す模式的なブロック図である。
【
図3】本発明の具体的な回路構成を示す回路模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の目的、技術案及び利点が更に明白になるように、以下、図面を参照して、本発明の実施形態について更に詳しく説明する。
【0031】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態を示す模式的なブロック図である。本発明の第1の実施形態において、給電装置は、高圧入力手段100、絶縁駆動手段200、出力制御手段300、スイッチ調整手段400、高圧始動手段500、及び、補助電源手段600を備える。
【0032】
図3を参照して、高圧入力手段100は、抵抗R8と、コンデンサC5と、ダイオードD4とを備え、抵抗R8とコンデンサC5とが並列接続されると共に、ダイオードD4の負極に接続された吸収回路と、ソースが後述するトランスT1の高圧側巻線W1に接続され、ゲートがスイッチ調整手段400に接続され、スイッチ調整手段400からのスイッチ調整信号を受信するためのMOSトランジスタQ2を備える第1のスイッチ部と、一端がMOSトランジスタQ2のドレインに接続され、他端が高圧側リファレンスグランドHV-に接続された抵抗R5と、を含む。
【0033】
絶縁駆動手段200は、高圧入力手段100に繋がる高圧側巻線W1(入力巻線)と、後述する出力制御手段300に繋がる低圧側巻線W2(出力巻線)と、後述する補助電源手段600に繋がる補助給電巻線W3とを備えるトランスT1を含む。高圧側巻線W1は、高圧入力手段100からの高圧電力を低圧電力に変換して後述する出力制御手段300に出力するように低圧側巻線W2に結合されている。補助給電巻線W3も、補助電源手段600を介してスイッチ調整手段400に動作電力を供給するように低圧側巻線W2に結合されている。
【0034】
電源全体の動作は、フライバック電源トポロジであり、抵抗R8、コンデンサC5、及びダイオードD4によって、トランスT1の入力巻線のスイッチ吸収回路を形成し、MOSトランジスタQ2は、入力回路のスイッチMOSであり、抵抗R5は、入力回路電流サンプリング抵抗でありながら、スイッチ調整手段400のチップU1に過電流保護入力も提供する。
【0035】
出力制御手段300は、出力フィルタリング部、出力部、及び出力イネーブル制御部を含み、トランスT1の低圧側巻線W2から出力された電力に対してフィルタリング及び導通制御を行うために用いられる。
【0036】
出力フィルタリング部は、ダイオードD5とコンデンサC6とを備え、そのうち、D5の正極がトランスT1の低圧側巻線W2に接続され、負極がコンデンサC6の正極に接続され、コンデンサC6の負極が低圧側リファレンスグランドに接続される。
【0037】
出力部は、ダイオードD6、D7、抵抗R10、及び、MOSトランジスタQ4を備える。ダイオードD6の正極がダイオードD5の負極に接続され、負極がMOSトランジスタQ4のソースに接続される。MOSトランジスタQ4のゲートに後述する出力イネーブル制御部が接続され、MOSトランジスタQ4のゲートとソースとの間にダイオードD7及び抵抗R10が並列接続され、そのうち、ダイオードD7の負極がMOSトランジスタQ4のソースに接続される。出力イネーブル信号EN_PSがハイの場合、トランジスタQ3がオンになり、このとき、MOSトランジスタQ4のVgs<0となり、Q4がオンになり、出力電源回路がオンになり、コントローラに給電できる。また、ダイオードD6及びMOSトランジスタQ4は、バックアップ電源の単相電力供給を制御する機能を果たし、正常な給電電流の逆流を防止する。
【0038】
出力イネーブル制御部は、トランジスタQ3と、抵抗R11~R13とを備える。トランジスタQ3は、ゲートが抵抗R13を介してイネーブル信号入力端子に接続され、ソースが抵抗R11を介して上記第2のスイッチ部のゲートに接続され、ドレインが低圧側リファレンスグランドに接続され、ゲートとドレインとの間に抵抗R12が接続される。トランジスタQ3のゲートによって受信された出力イネーブル信号EN_PSがハイの場合、トランジスタQ3がオンになり、抵抗R11の両端に電位差が形成され、これによりMOSトランジスタQ4のゲートに導通レベルが提供され、MOSトランジスタQ4がオンになり、トランスT1の低圧側巻線W2からの低圧電源がバックアップ電源として出力される。
【0039】
スイッチ調整手段400は、調整チップU1、スイッチ周波数設定部、及び補償制御部を含む。調整チップU1は、調整チップU1へ供給される電力を受けるための給電入力ポートVINと、高圧入力手段100のMOSトランジスタQ2のドレインに接続され、高圧入力手段100からのサンプリング信号を受信するためのサンプリング信号入力ポートISENと、高圧入力手段100のMOSトランジスタQ2のゲートに接続され、高圧入力手段100へスイッチ調整信号を出力するためのスイッチ調整信号出力ポートDRと、スイッチ周波数設定部である抵抗R1に接続されるスイッチ周波数設定ポートFA/SDと、補償制御部の一端が接続された補償制御ポートCOMP、AGND、PGNDと、を備える。調整チップU1の回路構成及び動作原理が周知であり、ここでは繰り返して説明しない。スイッチ周波数設定部における抵抗R1は、調整チップU1のスイッチ周波数を設定するために用いられる。補償制御部は、抵抗R2、コンデンサC1、C2を含む外部補償制御回路である。
図3に示すように、補償制御部は、一端が補償制御ポートCOMP、AGND、PGNDに接続され、他端が高圧側リファレンスグランドに接続される。
【0040】
図3に示すように、高圧始動手段500は、MOSトランジスタQ1、抵抗R3、R4、電圧安定化ダイオードD1、及び、コンデンサC3を含む。MOSトランジスタQ1は、ソースが抵抗R4を介して高圧電源の高圧入力HV+に接続され、ゲートが抵抗R3を介して高圧電源の高圧入力HV+に接続され、ドレインが調整チップU1の給電入力ポートVINに接続される。電圧安定化ダイオードD1は、負極がMOSトランジスタQ1のゲートに接続され、正極が高圧側リファレンスグランドに接続される。コンデンサC3は、一端が調整チップU1の給電入力ポートVINに接続され、他端が電圧安定化ダイオードD1の正極に接続される。
【0041】
補助電源手段600は、ダイオードD2、D3及びコンデンサC4を含む。
図3に示すように、ダイオードD3及びコンデンサC4によって、補助フィルタリング部が構成され、その第1端がトランスT1の補助給電巻線W3に接続され、トランスT1から供給された補助電源に対してフィルタリングを行うために用いられる。ダイオードD2は、正極が補助フィルタリング部に接続され、負極が調整チップU1の給電入力ポートVINに接続され、トランスT1から供給された補助電源を調整チップU1に提供すると共に、高圧始動手段500からの電力がトランスT1に流れるのを防止する。
【0042】
ここで、高圧側リファレンスグランドHV-は、上記高圧電源の高圧入力負極であり、上記低圧側リファレンスグランドGNDは、低圧出力端の低圧出力負極である。
【0043】
以下、第1の実施形態の給電装置の動作プロセス及び効果を説明する。
【0044】
電源投入時に、電圧安定化ダイオードD1は、MOSトランジスタQ1のゲートに導通電圧Vgsを提供してMOSトランジスタQ1をオンにし、高圧電源の高圧入力HV+は、抵抗R4を介してコンデンサC3を充電する。コンデンサC3は、調整チップU1の給電入力ポートVINへ始動に必要な過渡始動電流及び電圧を提供する。給電入力ポートVINの電圧が徐々に上昇してVgs=0になると、MOSトランジスタQ1も、オンから完全にオフになる傾向がある。
【0045】
出力イネーブル信号がハイの場合だけ、バックアップ電源のメイン出力回路がオンになり、コントローラへのバックアップ電源出力の供給を開始する。
【0046】
調整チップU1が始動すると、スイッチ調整信号出力ポートDRからMOSトランジスタQ2のゲートに導通電圧が出力され、MOSトランジスタQ2がオンになり、高圧電源からの高圧入力HV+がトランスT1の高圧側巻線W1を流れる。このとき、トランスT1の高圧側巻線W1に結合された低圧側巻線W2には、当該高圧入力HV+を低圧出力Loutに変換する電流が流れ、当該低圧出力Loutの電流は、ダイオードD5とコンデンサC6とで構成された出力フィルタリング部及び単方向導通となるダイオードD6を通過してMOSトランジスタQ4のソースに流れる。
【0047】
電気機器のコントローラの低圧給電が正常な場合、バックアップ電源のメイン出力が働かず、その同時に、外部低圧給電電源の負荷が増加しない。このとき、バックアップ電源が低消費電力状態となる。
【0048】
外部から受信された出力イネーブル信号EN_PSがハイの場合、トランジスタQ3がオンになり、MOSトランジスタQ4のゲートに導通電圧が印加され、MOSトランジスタQ4がオンになる。これにより、バックアップ電源のメイン出力回路がオンになり、MOSトランジスタQ4のドレインからの出力Loutがバックアップ電源出力として外部のコントローラに供給され始める。
【0049】
バックアップ電源のメイン出力回路がオンになると、低圧出力Loutの電流がトランスT1の低圧側巻線W2を流れ、当該低圧側巻線W2に結合された補助給電巻線W3に誘導電流が発生する。当該誘導電流は、ダイオードD3及びコンデンサC4で整流され、ダイオードD2を介して調整チップU1の動作電流として調整チップU1の給電入力ポートVINに供給される。これにより、調整チップU1が動作し始めると、調整チップU1に安定した給電入力が提供され、調整チップU1への安定した電力供給が確保される。
【0050】
したがって、第1の実施形態の給電装置によれば、コントローラの低圧給電が正常な場合、給電装置のメイン出力が働かず、それと同時に、低圧給電電源の負荷が増加しなく、給電装置が低消費電力状態となる。制御出力イネーブル信号が与えられると、給電装置のメイン出力回路がオンになる。このとき、別個の入力電源を配置せずに調整チップU1に安定した給電入力を提供することができ、調整チップへの安定した給電を確保すると共に、給電装置の構造をよりコンパクトにすることができる。
【0051】
[第2の実施形態]
図2は、本発明の第2の実施形態を示す模式的なブロック図である。
図2、
図3を参照して、第2の実施形態について説明する。
【0052】
第2の実施形態は、給電装置に、出力フィードバック手段700及び絶縁信号手段800が更に設けられ、スイッチ調整手段400に抵抗R6、R17及びコンデンサC8が更に設けられ、調整チップU1がフィードバック信号入力ポートFBをさらに有する点で、第1の実施形態と異なっている。第2の実施形態における第1の実施形態と同様の構成について同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0053】
絶縁信号手段800は、結合された発光部と受光部とを含むフォトカプラU2を含む。出力フィードバック手段700は、抵抗R7、R9、R14~R16、R18、コンデンサC7、及び、レギュレータU3を備える。
図3に示すように、レギュレータU3は、三端子シャントレギュレータであり、抵抗R7、R9、R15、R16、R18を介して出力制御手段300に接続される。そのうち、レギュレータU3の1番ピンが電流調整抵抗R9を介して抵抗R7に接続され、2番ピンが電流制限抵抗R16を介して分圧抵抗R15、R18に接続され、3番ピンが低圧側リファレンスグランドに接続される。抵抗R7の一端がダイオードD6の正極に接続され、他端がフォトカプラU2の発光部に接続され、そのフォトカプラU2の入力として機能する。
【0054】
抵抗R6、R17及びコンデンサC8によってフィードバック回路が構成されている。当該フィードバック回路によって、フォトカプラU2の受光部からの電気信号を受けて、調整チップU1のフィードバック信号入力ポートFBに伝送する。
【0055】
以下、第2の実施形態に特有の給電装置の動作プロセス及び効果を説明する。
【0056】
高圧入力手段100、絶縁駆動手段200、出力制御手段300、高圧始動手段500及び補助電源手段600は、第1の実施形態と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0057】
給電装置のメイン出力回路がオンになると、低圧出力Loutは、分圧抵抗R15、R18を介してレギュレータU3の2番ピンに基準電圧を提供する。低圧出力Loutが変化すると、当該基準電圧が変化し、それに応じてレギュレータU3の1番ピン、3番ピンを通過可能な電流も変化する。このとき、フォトカプラU2の入力端を通過する電流が変化する。
【0058】
フォトカプラU2の発光部は、そのフォトカプラU2の入力端の電流変化が反映された電気信号を光信号に変換して発する。受光部は、発光部から発された光信号を受信して、再び電気信号に変換して出力フィードバック信号とすることにより、高電圧と低電圧とが絶縁された回路において、低圧側の電気信号を、電気的に絶縁するように高圧側に伝送する。
【0059】
当該出力フィードバック信号は、フィードバック回路を介して調整チップU1のフィードバック信号入力ポートFBに伝送されるため、電源は閉ループ制御を達成でき、電源の出力はより安定して信頼性が高くなる。
【0060】
上記したのは、あくまでも本発明の好ましい実施例であり、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の精神及び原則の範囲内になされたいかなる補正、均等的置換、改善等は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0061】
100・・・高圧入力手段、200・・・絶縁駆動手段、300・・・出力制御手段、400・・・スイッチ調整手段、500・・・高圧始動手段、600・・・補助電源手段、700・・・出力フィードバック手段、800・・・絶縁信号手段、R1~R18・・・抵抗、C1~C8・・・コンデンサ、D1~D7・・・ダイオード、Q1、Q2、Q4・・・MOSトランジスタ、Q3・・・トランジスタ、U1・・・調整チップ、U2・・・フォトカプラ、U3・・・レギュレータ、T1・・・トランス、HV+・・・高圧入力、HV-・・・高圧側リファレンスグランド、Lout・・・低圧出力、GND・・・低圧側リファレンスグランド、EN_PS・・・出力イネーブル信号、VIN・・・給電入力ポート、DR・・・スイッチ調整信号出力ポート、ISEN・・・サンプリング信号入力ポート、FB・・・フィードバック信号入力ポート、FA/SD・・・スイッチ周波数設定ポート、COMP、AGND、PGND・・・補償制御ポート。