(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】洗剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 3/40 20060101AFI20220516BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20220516BHJP
C11D 3/386 20060101ALI20220516BHJP
C11D 3/395 20060101ALI20220516BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20220516BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20220516BHJP
C11D 3/30 20060101ALI20220516BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
C11D3/40
C11D17/04
C11D3/386
C11D3/395
C11D3/37
C11D3/20
C11D3/30
C11D3/50
(21)【出願番号】P 2020545278
(86)(22)【出願日】2019-03-18
(86)【国際出願番号】 US2019022663
(87)【国際公開番号】W WO2019182929
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-08-28
(32)【優先日】2018-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ミラクル、グレゴリー・スコット
(72)【発明者】
【氏名】ディチュリオ、ダニエル・デイル
【審査官】厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/029330(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/178668(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/172088(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00 - 19/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1の組成物と、
b)水溶性フィルムと、
c)ロイコ着色剤と、
を含
む洗剤組成物であって、
前記第1の組成物が、液体洗剤、粒状洗剤、又はタブレット洗剤からなる群から選択され、
前記ロイコ着色剤の少なくと
も10%が、前記水溶性フィルムに組み込まれて
おり、
前記水溶性フィルムは前記第1の組成物を封入しており、
前記洗剤組成物が、単位用量物品の形態であり、
前記ロイコ着色剤が、式(I)の1つ以上の化合物から選択され、
【化1】
式(I)とその酸化形態との比が、少なくとも1:3であり、環A、B、及びCのそれぞれにおける各個々のR
o
、R
m
及びR
p
基は、独立して、水素、重水素、及びR
5
からなる群から選択され、各R
5
は、独立して、ハロゲン、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルカリル、置換アルカリル、-C(O)R
1
、-C(O)OR
1
、-C(O)O
-
、-C(O)NR
1
R
2
、-OC(O)R
1
、-OC(O)OR
1
、-OC(O)NR
1
R
2
、-S(O)
2
R
1
、-S(O)
2
OR
1
、-S(O)
2
O
-
、-S(O)
2
NR
1
R
2
、-NR
1
C(O)R
2
、-NR
1
C(O)OR
2
、-NR
1
C(O)SR
2
、-NR
1
C(O)NR
2
R
3
、-OR
1
、-NR
1
R
2
、-P(O)
2
R
1
、-P(O)(OR
1
)
2
、-P(O)(OR
1
)O
-
、及び-P(O)(O
-
)
2
からなる群から選択され、前記3つの環A、B、又はCのうちの少なくとも1つにおける前記R
o
及びR
m
基のうちの少なくとも1つは、水素であり、各R
p
は、独立して、水素、-OR
1
及び-NR
1
R
2
から選択され、
Gは、独立して、水素、重水素、C
1
~C
16
アルコキシド、フェノキシド、ビスフェノキシド、亜硝酸塩、ニトリル、アルキルアミン、イミダゾール、アリールアミン、ポリアルキレンオキシド、ハロゲン化物、アルキルスルフィド、アリールスルフィド、及びホスフィンオキシドからなる群から選択され、
R
1
、R
2
及びR
3
は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルカリル、置換アルカリル、及びR
4
からなる群から選択され、R
4
は、1つ以上の有機モノマーで構成される有機基であり、前記モノマーの分子量が28~500の範囲であり、
前記化合物に存在する任意の電荷が、好適な独立して選択される内部又は外部対イオンで平衡にされる、洗剤組成物。
【請求項2】
前記ロイコ着色剤が、式
(VI
)
【化2】
(式中、各R
4は、独立して、H、メチル、エチル、((CH
2CH
2O)
a(C
3H
6O)
b)H、及びこれらの混合物からなる群から選択され
、各添え字aは、独立して、1~100の整数であり、各添え字bは、独立して、0~50の整数であり、全てのR
4基中の全ての独立して選択されるaの整数の合計は、200以
下であり、全てのR
4基中の全ての独立して選択されるbの整数の合計は、100以
下である)の構造に一致する、請求項
1に記載の洗剤組成物。
【請求項3】
前記ロイコ着色剤が、式
(VII
)
【化3】
(式中、各添え字cは、独立して、0、1又は2であり
、各R
4は、独立して、H、
メチル、
エチル、((CH
2CH
2O)
a(C
3H
6O)
b)H、及びこれらの混合物からなる群から選択され
、各添え字aは、独立して、1~5
0の整数であり、各添え字bは、独立して、0~2
5の整数であり、前記ロイコ着色剤中の全ての独立して選択されるaの整数の合計は、100以
下であり、前記ロイコ着色剤中の全ての独立して選択されるbの整数の合計は、50以
下である)の構造に一致する、請求項1
又は2に記載の洗剤組成物。
【請求項4】
前記ロイコ着色剤が、式
(VIII
)
【化4】
(式中、R
8は、H又はCH
3であり、各添え字bは、独立して、平均し
て1~2である)の構造に一致する、請求項
1に記載の洗剤組成物。
【請求項5】
前記ロイコ着色剤の少なくと
も50%が前記水溶性フィルムに組み込まれている、請求項
1に記載の洗剤組成物。
【請求項6】
前記単位用量物品が、第1のフィルム及び第2のフィルムを含む、請求項
1に記載の洗剤組成物。
【請求項7】
前記ロイコ着色剤が、前記第1のフィルムに組み込まれている、請求項
6に記載の洗剤組成物。
【請求項8】
前記ロイコ着色剤が、前記第1のフィルム及び前記第2のフィルムの両方に組み込まれている、請求項
6に記載の洗剤組成物。
【請求項9】
前記ロイコ着色剤
の全てが、前記第1のフィルムに組み込まれている、請求項
6又は7に記載の洗剤組成物。
【請求項10】
前記単位用量物品が、第1のフィルム、第2のフィルム、及び共通の壁を含む、請求項
1に記載の洗剤組成物。
【請求項11】
前記第1の組成物が、界面活性剤、ビルダー、キレート剤、移染防止剤、分散剤、酵素、酵素安定剤、触媒材料、漂白活性剤、ポリマー分散剤、泥汚れ除去剤、再付着防止剤、増白剤、抑泡剤、染料、香料、香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、顔料、及びこれらの混合物からなる群から選択される添加剤を含む、請求項
1に記載の洗剤組成物。
【請求項12】
前記水溶性フィルムの少なくとも一部に組み込まれた酸化防止剤を更に含み、前記酸化防止剤が、ヒンダードフェノール、ジアリールアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項
1に記載の洗剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、1つには、水溶性又は水分散性フィルムとロイコ着色剤とを含む洗剤組成物に関する。これらの種類の着色剤は、安定した実質的に無色の状態で提供され、次いで、例えば、酸素への曝露、イオン添加、光への曝露などの特定の物理的又は化学的な変化に曝露されると、濃い着色状態に変換され得る。本出願は、更に、ロイコ組成物を含む洗剤組成物のおおよその機能劣化を判定する方法に関する。本発明はまた、このような洗剤組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の洗剤は、粉末、顆粒、液体及びゲル等の多種多様の形態にて入手可能である。単位用量及び濃縮(又はコンパクト)洗剤形態は、より低重量であり、そして、単位用量の場合は投入が簡単であるという利便性を消費者にもたらすため、ますます人気となってきている。これらの形態の、非常に濃縮された性質は、低減した輸送費及び環境への影響(例えば二酸化炭素排出量)といった、更なる持続可能性の利点をもたらす。
【0003】
洗剤組成物の劣化としては、例えば、光、熱、パッケージを通過した空気への曝露、組成物成分の自然分解、又は配合された成分が関与する反応を含む数多くの原因のいずれかによって、より黄変し得ることが知られている。更に、多くの洗濯組成物が劣化すると、特定の成分が劣化と共に分解されて効力を失う場合があるため、組成物の有効性が低下する傾向がある。物品に記載されている使用期限に慣れた消費者は、製剤が、期待どおりに機能するいくらかの限られた時間を有することを理解し、その後、製品の有効性がある程度低下すると予想する。しかしながら、生産日がパッケージに記載されている場合であっても、消費者が所有している製品がその予測される有用な寿命に関してどこにあるかを評価することができる手段を消費者に提供する製品は、たとえあったとしてもわずかである。この製造日では、製造日と購入時との間に製品が曝露された条件の影響に関する情報を全く提供することができない。製造日は、任意の時点における製品の最大限可能な洗いたて感及び/又は機能のみを示すが、有害な保存条件は、特定の成分(酵素など)の有効性を低下させる変質を引き起こし、消費者が製剤の機能劣化を推定し得る手段は存在しない。
【0004】
織物基材は、劣化すると、光、空気、汚れへの暴露、及び基材に含まれる繊維の自然分解により、色あせ又は黄変する傾向があることもまた、知られている。したがって、これら織物基材を視覚的に改良し、色あせ及び黄変を相殺するために、消費者製品を着色するためのポリマー着色剤の使用が従来技術において周知となっている。例えば、織物用途においては、蛍光増白剤又は青味剤のいずれかのホワイトニング剤を使用することが周知である。しかしながら、従来の青味剤の青又は紫色の色相によって、配合者は、経時的な色変化をもし示すとしてもほとんど示さない濃青色の洗剤組成物において従来の青味剤を使用するように制約を受けてきた。
【0005】
また、ロイコ染料は、特定の化学的又は物理的なトリガに曝露された際に、無色又はわずかに着色された状態から着色された状態への変化を呈することも従来技術において既知である。生じる呈色の変化は、典型的には、人間の目で視覚的に知覚可能である。大半の有機化合物は、可視光領域(400~750nm)においていくらかの吸光度を有するので、多かれ少なかれいくらかの色を有する。本明細書において言及されるように、染料は、その適用濃度及び条件ではそれほど発色しなかったが、トリガされた形態では著しく発色する場合、「ロイコ染料」であると見なされる。トリガされた際の色変化は、400~750nmの範囲、好ましくは500~650nmの範囲、最も好ましくは530~620nmの範囲におけるロイコ染料分子のモル減衰係数(一部の文献ではモル吸光係数、モル吸収係数、及び/又はモル吸光率としても知られている)の変化に起因する。トリガ前後におけるロイコ染料のモル減衰係数の増加は、50%よりも大きく、より好ましくは200%よりも大きく、最も好ましくは500%よりも大きくなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、消費者が単位用量組成物の推定される機能劣化、そして、それによって組成物の推定有効性を評価する必要性が依然として存在する。
【0007】
ここで、驚くべきことに、単位用量組成物のフィルムに組み込まれた現在特許請求されているロイコ着色剤は、それが曝露された温度などの環境要因に応答して経時的に発色することにより、消費者に組成物の推定される機能劣化を示すことが見出された。加えて、ロイコ着色剤が青色を発色する場合、ロイコ着色剤を使用して劣化した洗剤組成物の自然の黄変を相殺することができ、ロイコ着色剤は、典型的には、そのロイコ形態又は酸化形態のいずれかで洗浄を通して布地上に付着して、劣化した布地に白色度の向上をもたらすように設計される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、第1の組成物と、水溶性フィルムと、ロイコ着色剤と、を含む洗剤組成物に関する。第1の組成物は、液体洗剤、粒状洗剤、又はタブレット洗剤からなる群から選択され、ロイコ着色剤の少なくとも約10%が水溶性フィルムに組み込まれる。
【0009】
別の態様では、本発明は、洗剤組成物のおおよその機能劣化を判定する方法であって、(a)(i)水溶性フィルム、(ii)少なくとも1種の洗濯ケア成分、及び(iii)ロイコ組成物を含む洗剤組成物を準備する工程と、(b)複数の異なる色を含む機能劣化スケールを準備する工程であって、各異なる色が固有の機能劣化に対応する工程と、(c)当該洗剤組成物の色を当該機能劣化スケールと比較する工程と、を含む、方法に関する。
【0010】
本開示はまた、第1の組成物と、水溶性フィルムと、ロイコ着色剤と、を含む洗剤組成物の製造方法に関する。当該方法は、ロイコ着色剤をフィルムに組み込む工程と、任意選択で、酸化防止剤を当該フィルムに組み込む工程と、水溶性フィルム内に第1の組成物を封入する工程と、を含む。
【0011】
本開示はまた、(a)水溶性フィルムと、(b)少なくとも1種の洗濯ケア成分と、(c)ロイコ着色剤と、を含む洗剤組成物に関する。ロイコ着色剤は第1の色状態及び第2の色状態を有し、第2の色状態の第1の色状態に対するモル比は、2:98~25:75、好ましくは2:98~15:85、又は~10:90、又は更には~5:95である。
【0012】
本開示はまた、少なくとも1つの区画と、水溶性フィルムと、ロイコ着色剤と、を含む単位用量洗剤組成物に関する。ロイコ着色剤の少なくとも約10%が水溶性フィルムに組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明による単位用量物品の別の実施形態の側面図である。
【
図3】本発明による単位用量物品の別の実施形態の側面図である。
【
図4】本発明による単位用量物品の別の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、水溶性フィルム及びロイコ着色剤を含む洗剤組成物に関する。
【0015】
定義
本発明の種々の実施形態の特徴及び利点は、本発明の幅広い表現を与えるように意図される特定の実施形態の例を含む、以下の記述から明らかになるであろう。様々な修正がこの記述及び本発明の実施から当業者には明白となるであろう。この範囲は開示される特定の形態に限定されるようには意図されず、本発明は、特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨及び範囲内に含まれる全ての修正、均等物、及び代替物を網羅する。
【0016】
本明細書において使用するとき、「the」、「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求の範囲又は明細書において使用される場合、特許請求又は記載されているものの1つ以上のものを意味すると理解される。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「含む(include)」、「含む(includes)」及び「含んでいる(including)」は、非限定であることが意図される。語句「含む(comprising)」又は「含む(comprises)」は、一層限定的な語句「から本質的になる」及び「からなる」を含むことを意図する。したがって、構成成分を含む組成物は、その構成成分から本質的になってもよい、又はその構成成分からなってもよい。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「~を実質的に含まない(substantially free of)」又は「~を実質的に含まない(substantially free from)」は、指示される材料が最低限組成物の一部を形成するために意図的に組成物に添加されず、又は、好ましくは分析により検出可能な濃度で存在しないことを意味する。それは、指示される材料が意図的に含まれる他の材料のうちの1つの中に不純物としてのみ存在する組成物を含むことを意味する。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「汚れた材料」は、非特定的に使用され、これらに限定するものではないが、木綿、亜麻布、ウール、ポリエステル、ナイロン、絹、アクリル及びこれらに類するものなどの天然繊維、人工繊維、及び合成繊維を含む、天然繊維又は人工繊維の網状構造、並びに様々なブレンド及び組み合わせからなる任意の種類の可撓性材料を指し得る。汚れた材料は、これらに限定するものではないが、タイル、花崗岩、しっくい、ガラス、複合材料、ビニル、堅木、金属、調理用表面、プラスチック、及びこれらに類するものなどの天然表面、人工表面、及び合成表面を含む任意の種類の硬質表面、並びにブレンド及び組み合わせを更に指し得る。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「アルコキシ」は、C1~C8アルコキシ、及びブチレンオキシド、グリシドールオキシド、エチレンオキシド、又はプロピレンオキシドなどの繰り返し単位を有するポリオールのアルコキシ誘導体を含むことを意図する。
【0021】
本明細書で使用するとき、互換可能な用語「アルキレンオキシ」及び「オキシアルキレン」、並びに互換可能な用語「ポリアルキレンオキシ」及び「ポリキシアルキレン」は、一般に、以下の繰り返し単位:-C2H4O-、-C3H6O-、-C4H8O-、及びこれらの任意の組み合わせのうちの1つ又は2つ以上をそれぞれ含有する分子構造を指す。これら基に対応する非限定的な構造としては、例えば、-CH2CH2O-、-CH2CH2CH2O-、-CH2CH2CH2CH2O-、-CH2CH(CH3)O-、及び-CH2CH(CH2CH3)O-が挙げられる。更に、ポリオキシアルキレン構成要素は、C2~20アルキレンオキシ基、グリシジル基、又はこれらの混合物から選択される1つ以上のモノマーからなる群から選択されてもよい。
【0022】
本明細書において、用語「エチレンオキシド」、「プロピレンオキシド」及び「ブチレンオキシド」は、それぞれ、これらの典型的な表記である「EO」、「PO」及び「BO」で示される場合がある。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「アルキル」及び「アルキル末端保護された」は、置換又は非置換の炭化水素から水素原子を除去することによって形成される任意の一価基を意味することを意図する。非限定的な例としては、C1~C18アルキル基、一態様では、C1~C6アルキル基を含む分岐鎖又は非分岐鎖、置換又は非置換のヒドロカルビル部分が挙げられる。
【0024】
本明細書で使用するとき、特に明記しない限り、用語「アリール」は、C3~C12アリール基を含むことを意図する。用語「アリール」は、炭素環式及び複素環式のアリール基の両方を指す。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「アルカリル」は、任意のアルキル置換アリール置換基及びアリール置換アルキル置換基を指す。より具体的には、この用語は、追加の置換基を含んでいても含んでいなくてもよいC7~16アルキル置換アリール置換基及びC7~16アリール置換アルキル置換基を指すことを意図する。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「洗濯ケア組成物」は、特に指定しない限り、顆粒状、粉末状、液状、ゲル状、ペースト状、単位用量型、棒状、及び/又はフレーク状の洗浄剤及び/又は布地処理組成物を含み、例えば、布地を洗濯するための製品、布地柔軟化組成物、布地強化組成物、布地フレッシュニング組成物、並びに布地をケア及びメンテナンスするためのその他の製品、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。このような組成物は、洗浄工程の前に用いるための前処理組成物であっても、すすぎ添加用組成物、並びに漂白添加剤及び/又は「シミ取りスティック」、又は前処理組成物、又は乾燥機添加用シートなどの基材を有する製品などの洗浄助剤であってもよい。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「ロイコ」(例えば、化合物、部分、ラジカル、染料、モノマー、断片、又はポリマーに関して使用するとき)は、特定の化学的又は物理的なトリガに曝露された際、1つ以上の化学的及び/又は物理的な変化を受け、その結果、第1の色状態(例えば、無着色又は実質的に無色)から第2のより高度に着色された状態へとシフトする実体(例えば、有機化合物又はその一部)を指す。好適な化学的又は物理的なトリガとしては、酸化、pH変化、温度変化、及び電磁放射線(例えば、光)曝露における変化が挙げられるが、これらに限定されない。ロイコ実体において生じる好適な化学的又は物理的な変化としては、分子内環化などの酸化及び非酸化的変化が挙げられるが、これらに限定されない。したがって、一態様では、好適なロイコ実体は、発色団の可逆的に還元された形態であり得る。一態様では、ロイコ部分は、好ましくは、上記の化学的及び/又は物理的なトリガの1つ以上に曝露された際、第1及び第2のπ系を組み込んだ第3の複合共役π系に変換され得る、少なくとも第1及び第2のπ系を含む。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「ロイコ組成物」又は「ロイコ着色剤組成物」は、本明細書で更に詳細に記載されるように、独立して選択される構造を有する少なくとも2種のロイコ化合物を含む組成物を指す。
【0029】
本明細書で使用するとき、ロイコ着色剤の「平均分子量」は、その分子量分布によって決定したときの重量平均分子量として報告され、その製造プロセスの結果として、本明細書に開示されるロイコ着色剤は、そのポリマー部分に繰り返し単位の分布を含み得る。
【0030】
本明細書で使用するとき、用語「最大吸光係数」及び「最大モル吸光係数」は、400ナノメートル~750ナノメートルの範囲における最大吸光波長(本明細書では最大波長とも称する)におけるモル吸光係数を表すことを意図する。
【0031】
本明細書で使用するとき、用語「変換剤」は、その既知の形態(一重項及び三重項の状態)のいずれかにおける分子酸素以外の、当該技術分野において既知の任意の酸化剤を指す。
【0032】
本明細書で使用するとき、用語「トリガ剤」は、ロイコ組成物を無色又は実質的に無色の状態から着色された状態に変換するのに好適な反応物質を指す。
【0033】
本明細書で使用するとき、用語「ホワイトニング剤」は、白色の綿布における場合、210~345の相対色相角、又は更には240~320の相対色相角、又は更には250~300(例えば、250~290)の相対色相角を有する色相を当該布に提供する、トリガされたら染料を形成することができる染料又はロイコ着色剤を指す。
【0034】
本明細書で使用するとき、「セルロース基材」は、重量基準でセルロースの少なくとも大部分を占めるあらゆる基材を含むことが意図される。セルロースは、木材、綿、亜麻布、黄麻及び麻布に見出すことができる。セルロース基材は、粉末、繊維、パルプの形態、並びに粉末、繊維及びパルプから形成される物品の形態であってもよい。セルロース繊維としては、綿、レーヨン(再生セルロース)、アセテート(酢酸セルロース)、トリアセテート(三酢酸セルロース)及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。セルロース繊維から形成される物品としては、布地などの織物製品が挙げられる。パルプから形成される物品としては、紙が挙げられる。
【0035】
本明細書で使用するとき、特許請求の範囲において使用される「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求又は記述されるものが1つ以上であることを意味すると理解される。
【0036】
本明細書で使用するとき、用語「含む(「include/s」及び「including」)」は非限定的であることを意味する。
【0037】
本明細書において使用するとき、用語「固体」は、顆粒、粉末、バー及びタブレットの製品形態を含む。
【0038】
本発明で使用する場合、用語「流体」は、液体、ゲル、ペースト及び気体の製品形態を含む。
【0039】
別途記載のない限り、全ての成分又は組成物の濃度は、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、かかる成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0040】
全ての百分率及び比率は、別途記載のない限り、重量基準で計算される。全ての百分率及び比率は、別途記載のない限り、全組成に基づいて計算される。
【0041】
一態様では、200~1,000nm(より好ましくは400~750nm)の範囲の波長における最大吸光度における当該第2の着色状態のモル吸光係数は、第2の着色状態の最大吸光度の波長における当該第1の色状態のモル吸光係数の好ましくは少なくとも5倍、より好ましくは10倍、更により好ましくは25倍、最も好ましくは少なくとも50倍である。好ましくは、200~1,000nm(より好ましくは400~750nm)の範囲の波長における最大吸光度における当該第2の着色状態のモル吸光係数は、対応する波長範囲における当該第1の色状態の最大モル吸光係数の少なくとも5倍、好ましくは10倍、更により好ましくは25倍、最も好ましくは少なくとも50倍である。当業者であれば、これら比がはるかに高くなり得ることを理解するであろう。例えば、第1の色状態は、400~750nmの波長範囲においてわずか10M-1cm-1の最大モル吸光係数を有していてよく、第2の着色状態は、400~750nmの波長範囲において80,000M-1cm-1以上もの最大モル吸光係数を有していてよく、この場合、吸光係数の比は8,000:1以上になる。
【0042】
一態様では、400~750nmの範囲の波長における当該第1の色状態の最大モル吸光係数は1000M-1cm-1未満であり、400~750nmの範囲の波長における当該第2の着色状態の最大モル吸光係数は、5,000M-1cm-1よりも大きく、好ましくは10,000、25,000、50,000又は更には100,000M-1cm-1よりも大きい。当業者であれば、1つを超えるロイコ部分を含むポリマーが、第1の色状態において著しく高い最大モル吸光係数を有し得る(例えば、多数のロイコ部分の相加効果又は第2の着色状態に変換された1つ以上のロイコ部分の存在に起因する)ことを認識し、理解するであろう。
【0043】
洗剤組成物
本明細書で使用するとき、語句「洗剤組成物」は、汚れた材料を洗浄するために設計された組成物及び配合物を包含する。このような組成物としては、洗濯物洗浄組成物及び洗剤、布地柔軟化組成物、布地強化組成物、布地フレッシュニング組成物、予洗い用洗剤、洗濯物前処理剤、洗濯物添加物、スプレー製品、ドライクリーニング剤又は組成物、洗濯物すすぎ添加剤、洗浄添加剤、すすぎ後布地処理剤、アイロン助剤、食器洗い組成物、硬質表面洗浄組成物、単位用量配合物、遅延送達配合物、多孔質基材又は不織布シート上又は内に含有される洗剤、及び、本明細書内の教示の観点から、当業者には明らかであり得る他の好適な形態が挙げられるが、これらに限定されない。このような組成物を、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用してもよい、又は洗濯操作のすすぎ若しくは洗浄周期中に加えてもよい。洗剤組成物は、液体、粉末、スラリー、単相若しくは多相単位用量物品、パウチ、タブレット、ゲル、ペースト、バー、又はフレークから選択される形態を有してよい。
【0044】
いくつかの態様では、洗剤組成物は第1の組成物を含み、第1の組成物は液体洗剤、粒状洗剤、又はタブレット洗剤からなる群から選択される。第1の組成物が粒状洗剤又はタブレット洗剤である場合、第1の組成物は水溶性フィルム又は水溶性コーティングのいずれかの中に入れられているのが好ましい。
【0045】
液体洗剤組成物、及び液体成分を含む洗剤組成物の他の形(例えば、液体含有単位用量洗剤組成物)は、水及び他の溶媒を充填剤又は担体として含有し得る。メタノール、エタノール、プロパノール、及びイソプロパノールに代表される低分子量の一級又は二級アルコールが好適である。いくつかの例では、一価アルコールは、界面活性剤を可溶化するために使用されてもよく、2~約6個の炭素原子と2~約6個のヒドロキシ基とを含有するものなどのポリオール(例えば、1,3-プロパンジオール、エチレングリコール、グリセリン、及び1,2-プロパンジオール)もまた使用され得る。アミン含有溶媒もまた使用してよい。単位用量物品に特に有用な溶媒について以下説明する。
【0046】
洗剤組成物は、組成物の約5~約90重量%、及びいくつかの例では、約10~約50重量%の、上のような担体を含有し得る。コンパクト又はスーパーコンパクト重質液体又はその他の形の洗剤組成物の場合、水の使用は、遊離水として、組成物の約40重量%未満、又は約20重量%未満、又は約5%重量未満、又は約4重量%未満、又は約3重量%未満、又は約2重量%未満であってよく、あるいは遊離水を実質的に含まなくともよい(すなわち、無水)。
【0047】
液体洗剤組成物は水を含んでよい。しかし、液体組成物が水溶性フィルムと、例えば単位用量物品内で接触する場合、フィルムの完全性を保ち、パウチへの粘着感を防止するために、水の量を制限するのが通常望ましい。したがって、いくつかの実施形態では、液体洗剤組成物は、液体組成物の重量に対して約50重量%未満の水、若しくは液体組成物の重量に対して約40重量%未満の水、又は、液体組成物の重量に対して約1重量%~約30重量%、若しくは好ましくは約2重量%~約20重量%、若しくは約5重量%~約13重量%の水を含む。
【0048】
粉末又はバーの洗剤組成物、又は固体又は粉末成分を含む形(例えば、粉末含有単位用量洗剤組成物)に対して、好適な充填剤としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、粘土、又は他の不活性固体成分が挙げられ得るが、これらに限定されない。充填剤は、また、バイオマス又は脱色バイオマスを含み得る。顆粒、バー、又は他の固体洗剤組成物中の充填剤は、洗剤組成物の重量の約80%未満、及びいくつかの例では、50%未満を占めてもよい。コンパクト又はスーパーコンパクト粉末又は固体洗剤組成物は、洗剤組成物の約40重量%未満、約20重量%未満、又は約10重量%未満の充填剤を含み得る。
【0049】
コンパクト又はスーパーコンパクトの液体若しくは粉末の洗剤組成物のいずれか、又は他の形の洗剤組成物の場合、製品中の液体又は固体充填剤の濃度が低減され得、その結果、コンパクト化されていない洗浄組成物と比較して同量の活性化学物質が洗浄液に送達されるか、又は、いくつかの例では洗剤組成物がより効率的であってその結果、コンパクト化されていない組成物と比較してより少量の活性化学物質が送達される。例えば、洗浄液は、洗浄液内の洗剤組成物の濃度が約0g/L超~約4g/Lとなる量で、洗剤組成物を水に接触させることにより形成されてよい。いくつかの例では、濃度は、約1g/L~約3.5g/L、又は~約3.0g/L、又は~約2.5g/L、又は~約2.0g/L、又は~約1.5g/L、又は約0g/L~約1.0g/L、又は約0g/L~約0.5g/Lであってもよい。これらの用量は限定を意図するものではなく、その他の用量を使用することもできることは当業者には明白である。
【0050】
いくつかの態様では、
図1~4における実施形態を参照すると、洗剤組成物は単位用量物品10の形態である。単位用量物品10は少なくとも1つの区画を含み、当該区画は、組成物、例えば第1の組成物20を含む。単位用量物品10は、特定用途のための、物品内に含有される組成物の、単一で使用が容易な用量を提供することを意図している。いくつかの態様では、洗剤組成物は、単位用量形態10であり、液体洗剤を封入する水溶性フィルムを含む。
【0051】
区画は、組成物を保持する、単位用量物品内の閉じた内部空間を意味すると理解されるべきである。好ましくは、単位用量物品は、水溶性フィルムを含む。単位用量物品は、水溶性フィルムが組成物を完全に取り囲み、それによって組成物の入っている区画が画定されるように製造される。単位用量物品は、2枚のフィルムを含み得る。第1のフィルム40は、組成物が添加される開口区画を含むような形状であってもよい。次いで、区画の開口部を閉じるような向きで、第2のフィルム50を第1のフィルム40にかぶせる。次いで、第1のフィルム40及び第2のフィルム50を、密封領域70に沿って互いに密封する。密封領域70は、フランジを含んでいてよい。フランジは、単位用量物品の縁を越えて突出した余剰の密封フィルム材料で構成され、第1のフィルム40及び第2のフィルム50を密封するために表面積を増大させる。フィルムについて、以下でより詳細に記載する。いくつかの態様では、単位用量物品10は、3枚、4枚、5枚、又はそれ以上のフィルムを含む。
【0052】
単位用量物品10は、1つを超える区画、更には少なくとも2つの区画、又は更には少なくとも3つの区画を含んでいてよい。いくつかの態様では、単位用量物品10は、1つ、又は2つ、又は3つ、又は4つ、又は5つの区画を含む。区画は、重ねられた向き、即ち、
図3に示すように、これらの区画が共通の壁60を共有し、一方が他方の上部に位置するように配置されてよい。一態様において、少なくとも1つの区画が別の区画の上に重ねて配置される。あるいは、区画は、並列の向き、即ち、
図4に示すように、一方が他方に隣接して配置されるように位置してもよい。区画は「タイヤ及びリム」構成で配置されてもよい。即ち、第1区画が第2区画の隣に位置付けられるが、第1区画は第2区画を少なくとも部分的に取り囲み、第2区画を完全に包囲はしない。あるいは、1つの区画が、別の区画内に完全に封じ込められてもよい。
【0053】
単位用量物品が少なくとも2つの区画を含む場合、区画の1つは、その他の区画よりも小さくてよい。単位用量物品が少なくとも3つの区画を含む場合、区画の2つが第3区画より小さくてよく、より小さい区画がより大きい区画の上に重ねて配置されるのが好ましい。重ねて配置されたより小さい区画は、並列して配向されるのが好ましい。
【0054】
単位用量物品が少なくとも2つの区画を含む場合、各区画は同一の組成物を含んでもよいし、又は各区画は異なる組成物を独立して含んでもよい。区画は知覚的に異なってよい。例えば、区画は異なる形状を有してよいか、又は異なる色であってもよい。
【0055】
封入された組成物は、任意の好適な組成物であってもよい。組成物は固体、液体、分散体、ゲル、ペースト、又はこれらの混合物の形態であってもよい。複数区画の単位用量物品の各区画内の組成物は、異なってよい。しかし、通常、単位用量物品の少なくとも1つの区画、好ましくは各区画は、液体を含む。組成物は以下により詳細に記載されている。
【0056】
水溶性又は水分散性フィルム
いくつかの態様では、本開示の洗剤組成物は水溶性又は水分散性フィルムを含む。フィルムは洗剤組成物、好ましくは第1の組成物を封入してよい。フィルムは液体組成物、粒状洗剤、タブレット洗剤、又はこれらの混合物を封入してよい。水溶性及び水分散性という用語は、本出願において互換的に使用される。
【0057】
本発明のフィルムは、水溶性又は水分散性である。水溶性フィルムは、約20~約150マイクロメートル、好ましくは約35~約125マイクロメートル、更により好ましくは約50~約110マイクロメートル、最も好ましくは約76マイクロメートルの厚みを有するのが好ましい。
【0058】
好ましくは、最大孔径が20マイクロメートルのガラスフィルタの使用後に、本明細書に記載の方法によって測定したフィルムの水溶解度は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%である。
【0059】
予め秤量した400mLビーカーに、50グラム±0.1グラムのフィルム材料を入れ、245mL±1mLの蒸留水を添加する。これを、600rpmに設定された電磁撹拌器(Lab-Lineモデル番号1250又は等価物)及び5cmの電磁撹拌子により、24℃にて30分間激しく撹拌する。次いで、混合物を、上記で定義した孔径(最大20マイクロメートル)の折り畳んだ定性分析用焼結ガラスフィルタにより濾過する。任意の従来の方法によって、回収した濾液から水を乾燥させ、残った材料の重量を求める(これが溶解画分又は分散画分である)。次いで、溶解度又は分散性の百分率を計算することができる。
【0060】
好ましいフィルム材料は、好ましくはポリマー材料である。フィルム材料を、当該技術分野において公知の、例えば、ポリマー材料の注型成形、吹込成形、押出成形又は吹込押出成形によって得ることができる。フィルムは押出法又は注型成形法により得るのが好ましい。
【0061】
フィルム材料としての使用に好適な好ましいポリマー(コポリマー、ターポリマー、又はこれらの誘導体を含む)は、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸及び塩類、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタン及びカラガムなどの天然ゴムから選択される。より好ましいポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせから選択される。フィルム材料のポリマーはカルボキシレート基を含まないことが好ましい。
【0062】
好ましくは、フィルム材料中のポリマー、例えば、PVAポリマーのレベルは、少なくとも60%である。ポリマーは、任意の重量平均分子量を有してもよく、好ましくは、約1000~1,000,000、より好ましくは、約10,000~300,000、更により好ましくは、約20,000~150,000である。
【0063】
ポリマー混合物もまた、フィルム材料として使用することができる。これは、その用途及び必要とされるニーズに応じて、区画又はパウチの機械的特性及び/又は溶解特性を制御するのに有益であり得る。好適な混合物には、例えば、1つのポリマーの水溶解度が別のポリマーよりも高く、及び/又は1つのポリマーの機械的強度が別のポリマーよりも高い、混合物が挙げられる。異なる重量平均分子量を有するポリマーの混合物、例えば、約10,000~約40,000、好ましくは約20,000の重量平均分子量のPVA又はそのコポリマーと、約100,000~約300,000、好ましくは約150,000の重量平均分子量のPVA又はそのコポリマーとの混合物もまた好適である。また、例えば、ポリラクチド及びポリビニルアルコールを混合することにより得られ、典型的には約1~35重量%のポリラクチドと、約65~99重量%のポリビニルアルコールとを含む、ポリラクチドとポリビニルアルコールとのポリマーブレンドなどの、加水分解により分解可能な水溶性のポリマーブレンドを含むポリマーブレンド組成物も、本明細書において好適である。材料の溶解特性を改善するために、約60%~約99%、好ましくは約80%~約99%、更により好ましくは約80%~約90%の加水分解度を有するポリマー、好ましくはポリビニルアルコールが、本明細書での使用に好ましい。本明細書で使用するとき、加水分解度は、ビニルアルコール単位に変換された酢酸ビニル単位の百分率として表される。
【0064】
好ましいフィルムは、冷水、すなわち、加熱されていない蒸留水中で良好な溶解を示すものである。好ましくは、このようなフィルムは、24℃、更により好ましくは10℃の温度で、良好な溶解を呈する。良好な溶解とは、上記20マイクロメートルの最大孔径を有するガラスフィルタを使用して、本明細書に記載の方法により測定した際に、フィルムが少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%の水溶解度を示すことを意味する。水溶解度は、24℃、又は好ましくは10℃で測定してよい。
【0065】
好ましいフィルムは、米国特許第6166117号及び米国特許第6787512号に記載されている、Monosol(Merrillville,Indiana,USA)により供給されている商品名M8630、M8900、M8779、及びM8310のフィルム、並びに対応する溶解度及び変形性特性のPVAフィルムである。その他の好適なフィルムとしては、Aicello Chemical Europe GmbH製のSolublon(登録商標)PT、Solublon(登録商標)GA、Solublon(登録商標)KC若しくはSolublon(登録商標)KLと呼ばれるもの、Kuraray製のVF-HPフィルム、又はNippon Gohseiによるフィルム(Hi Selon等)を含んでよい。更に好ましいフィルムは、米国特許出願第2006/0213801号、米国特許出願第2011/0188784号、国際公開第2010/119022号、及び米国特許第6787512号に記載されているフィルムである。いくつかの態様では、24℃、更により好ましくは10℃の温度で、M8630フィルム(Monosolより供給)よりも良好な溶解を示すフィルムを使用することが好ましい。
【0066】
好ましい水溶性フィルムは、好ましくはブレンド中の少なくとも1つのポリマーがポリビニルアルコールである、ポリマーのブレンドを含む樹脂に由来するものである。好ましくは、水溶性フィルム樹脂は、PVAポリマーのブレンドを含む。例えば、PVA樹脂は、少なくとも2つのPVAポリマーを含むことができ、本明細書で使用するとき、第1のPVAポリマーは第2のPVAポリマーより小さい粘度を有する。第1のPVAポリマーは、少なくとも8センチポアズ(cP)、10cP、12cP、又は13cP、かつ最大40cP、20cP、15cP、又は13cP、例えば約8cP~約40cP、若しくは10cP~約20cP、若しくは約10cP~約15cP、若しくは約12cP~約14cPの範囲内、又は13cPの粘度を有することができる。更に、第2のPVAポリマーは、少なくとも約10cP、20cP、又は22cP、多くとも約40cP、30cP、25cP、又は24cP、例えば、約10cP~約40cP、又は20~約30cP、又は約20~約25cP、又は約22~約24cPの範囲、又は約23cPの粘度を有していてもよい。PVAポリマーの粘度は、British Standard EN ISO15023-2:2006 Annex E Brookfield Test methodに記載されるように、ULアダプタを備えたBrookfield LV型粘度計を使用して、新たに作製した溶液を測定することにより決定される。4%ポリビニルアルコール水溶液の20℃における粘度を指定することが国際的な慣行である。本明細書においてcPで明記される全ての粘度は、別段の定めがない限り、20℃における4%ポリビニルアルコール水溶液の粘度を指すものとして理解されたい。同様に、樹脂が特定の粘度を有する(又は有しない)と記載されるとき、特に言及しない限り、指定された粘度は、対応する分子量分布を固有に有する、樹脂の平均粘度であることを意味する。
【0067】
PVA樹脂の加水分解度が本明細書に記載の範囲内にある限り、個々のPVAポリマーは、任意の好適な加水分解度を有し得る。任意選択で、PVA樹脂は、加えて又は代替として、約50,000~約300,000ダルトン、又は約60,000~約150,000ダルトンの範囲内の分子量を有する第1のPVAポリマーと、約60,000~約300,000ダルトン、又は約80,000~約250,000ダルトンの範囲内の分子量を有する第2のPVAポリマーとを含み得る。
【0068】
本発明の区画の作製において、異なるフィルム材料及び/又は異なる厚さのフィルムを使用してよい。異なるフィルムを選択する利点は、得られる区画が、異なる溶解性又は放出特性を示し得ることである。
【0069】
いくつかの態様では、疎水変性ポリマーが用いられる。疎水変性ポリマーの主鎖の全体又は一部として使用するのに好適なポリマーは、好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、セルロースエーテル、ポリエチレンオキシド、デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテル-無水マレイン酸、無水ポリマレイン酸、スチレン無水マレイン酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、アルギネート、アクリルアミドコポリマー、グアーガム、カゼイン、エチレン-無水マレイン酸樹脂シリーズ、ポリエチレンイミン、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、及びヒドロキシエチルメチルセルロースからなる群から選択される。前述の主鎖に由来するポリマーのコポリマー混合物も好適である。好ましくは、ポリマーは、側鎖ヒドロキシル基を含む主鎖を有し、より好ましくは、互いに離れた1,2又は1,3炭素原子に位置する側鎖ヒドロキシル基を有する。
【0070】
一態様では、疎水変性に好ましい主鎖は、ポリビニルアルコールを含み、ポリマーは、好ましくは、1,000~300,000ダルトン、好ましくは2,000~100,000ダルトンの平均分子量を有する。このようなポリビニルアルコールは、一般に、少なくとも一部のポリ酢酸ビニル(PVAc)を含む。疎水変性の前又は後のPVOH材料は、ポリマーを構成するモノマーの総数のパーセントに基づいて、0.01~40%、好ましくは0.01~29%、より好ましくは0.1~15%、最も好ましくは0.5~10%を含み得る。本明細書で使用するとき、ポリビニルアルコール(PvOH)という用語は、上記で定義したPVAcレベルを有するPVOH化合物を含む。
【0071】
ポリマーは、疎水性置換基を含むように変性される。好ましい誘導体化基としては、アセタール、ケタール、エステル、フッ素化有機化合物、エーテル、アルカン、アルケン、及び芳香族から選択される親基に基づくものが挙げられる。極めて好ましい疎水性置換基は、C4~C22炭素鎖長のヒドロカルビル基であり、当該ヒドロカルビル基は、アルキル又はアルケニルであってよく、直鎖又は分岐鎖であってよく、環を含んでもよく、任意選択で芳香族部分を組み込んでもよく、これらの組み合わせであってもよい。アミンなどの更なる変性基が、ポリマー主鎖に存在してもよい。
【0072】
より好ましくは、ヒドロカルビル基は、C4~C20、更により好ましくはC4~C15、最も好ましくはC4~C10、例えばC4~C8の鎖長を有する。ポリマーに疎水性誘導体化基を導入するために使用するのに好適な好ましい材料は、ブチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、2-エチルヘキサナール、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、シトラール、及び4-アミノブチルアルデヒドジメチルアセタールなどのアルデヒドである。一態様では、ブチルアルデヒドが最も好ましい。このような疎水変性ポリマーの作製方法は、パブリックドメインに開示されており、当業者であれば容易に利用可能である。
【0073】
疎水性材料は、好ましくは、ポリマーの総重量に基づいて、01~40重量%、より好ましくは2~30重量%、最も好ましくは5~15重量%の濃度で疎水変性ポリマー中に存在する。
【0074】
一態様では、フィルムは、好ましくは50μm以上のサイズを有するポリマー粒子の形態であってもよい。好ましくは、粒径は、50μm~2cm、好ましくは50μm~1cmである。あるいは、ポリマー粒子は、例えば、0.1mm~50mm、又は0.5mm~10mm、又は1~10mmのサイズを有してもよい。粒径は、粒子の最大寸法の最大値を意味する。
【0075】
疎水変性ポリマー粒子が使用される場合、サイズは、粒子がより視認しにくくなるように、上に定義した範囲の下端であってもよく、粒子が見られることを意図する場合は、上に定義した範囲の上端付近のサイズであってもよい。
【0076】
疎水変性ポリビニルアルコールフィルムに関して、本明細書で使用するとき、用語「不溶性」は、5,000ppm超の界面活性剤を有する溶液中にポリマーが溶解してはならないことを意味する。具体的には、合計界面活性剤濃度5g/L超の直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)と、非イオン性界面活性剤(脂肪族C12~C15直鎖アルコールと7モル当量のエチレンオキシド(7EO)との反応生成物)と、の50:50重量%混合物を含む水性界面活性剤溶液に、1g/Lの変性ポリマーを入れ、293Kで2時間、回転振とう器において100RPMで振とうし、次いで、適切なサイズのふるい又は濾紙で濾過することによって溶液から除去し、乾燥させた後、除去された変性ポリマーの重量が、最初に添加された重量の95%以内である。好ましくは、界面活性剤濃度が5~800g/L、より好ましくは5~500g/L、例えば50~500g/Lである場合、変性ポリマーは、当該水性界面活性剤混合物に不溶性である。
【0077】
また、本明細書のフィルム材料は、疎水変性されていようといまいと、1つ以上の添加剤成分を含んでいてもよい。例えば、フィルムは可塑剤を含むことが好ましい。可塑剤は水、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、又はこれらの混合物を含んでよい。いくつかの態様では、フィルムは、水、グリセロール、ジエチレングリコール、ソルビトール、及びこれらの混合物を含む群から選択される可塑剤を、フィルムの重量に対して約2重量%~約35重量%、又は約5重量%~約25重量%含む。いくつかの態様では、フィルム材料は少なくとも2つ、又は好ましくは少なくとも3つの可塑剤を含む。いくつかの態様では、フィルムはエタノールを実質的に含まず、これは、フィルムが、フィルムの重量に対して0重量%(0重量%を含む)~約0.1重量%のエタノールを含むことを意味する。いくつかの態様では、以下に記載するように、可塑剤は液体組成物中の可塑化溶媒と同じである。
【0078】
その他の添加剤としては、水、及び水を洗浄するために送達される、界面活性剤を含む機能性洗剤添加剤、例えば有機ポリマー分散剤等を含んでよい。
【0079】
ロイコ着色剤
洗剤組成物は、ロイコ着色剤を含む。好ましくは、ロイコ着色剤の少なくとも約10%、30%、50%、70%、90%、又は更には約95%が水溶性フィルムに組み込まれる。好ましい一実施形態では、ロイコ着色剤の実質的に全てが水溶性フィルムに組み込まれる。上述のように、フィルムの任意の部分にロイコ着色剤を組み込むことができることが理解されるであろう。例えば、一実施形態では、ロイコ着色剤は、第1のフィルム及び/又は第2のフィルムの一方又は両方に組み込まれる。更に別の実施形態では、ロイコ着色剤は、共通の壁に組み込まれ、特に好ましい一実施形態では、ロイコ着色剤の実質的に全てが共通の壁に組み込まれる。酸化防止剤は、水溶性フィルムの任意の部分又は全体に組み込まれてよい。
【0080】
典型的には、ロイコ着色剤は、布地に青又は紫の色合いを与える。ロイコ着色剤は、単独で使用して、又は追加のロイコ着色剤若しくは従来のシェーディング染料のいずれかと組み合わせて使用して、特定の色合いの色相を作り出す及び/又は異なる種類の布地に色合いを付けることができる。これは、例えば赤と緑-青の染料とを混合して青又は紫の色合いを生じさせることによりもたらされ得る。好ましくは、色相染料は、青色又は紫色色相染料であり、白い衣類若しくは布地に青色又は紫色がもたらされる。組成物で処理されたこのような白色衣類は、210~345の色相角、又は更には240~320の相対色相角、又は更には250~300(例えば250~290)の相対色相角を有する。
【0081】
一態様では、本発明は、ジアリールメタンロイコ、トリアリールメタンロイコ、オキサジンロイコ、チアジンロイコ、ヒドロキノンロイコ、アリールアミノフェノールロイコ、及びこれらの混合物からなる群から選択されるロイコ組成物に関する。
【0082】
本明細書で使用するのに好適なジアリールメタンロイコ化合物としては、本明細書に記載される第2の着色状態を形成することができるジアリールメチレン誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。好適な例としては、ミヒラーメタン、-OH基で置換されたジアリールメチレン(例えば、ミヒラーヒドロール)並びにそのエーテル及びエステル、-CN基などの光切断性部分で置換されたジアリールメチレン(ビス(パラ-N,N-ジメチル)フェニル)アセトニトリル)、並びに同様のこのような化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
一態様では、本発明は、ロイコ組成物が、
【0084】
【化1】
(f)これらの混合物
からなる群から選択される1つ以上の化合物から選択され、
式中、式I~Vと酸化形態との比は、98:2~75:25、好ましくは98:2~85:15、又は98:2~90:10、又は更には98:2~95:5である。
【0085】
式(I)の構造では、各環A、B及びCにおける各個々のRo、Rm、及びRp基は、独立して水素、重水素、及びR5からなる群から選択され、各R5は、独立して、ハロゲン、ニトロ、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルカリル、置換アルカリル、-(CH2)n-O-R1、-(CH2)n-NR1R2、-C(O)R1、-C(O)OR1、-C(O)O-、-C(O)NR1R2、-OC(O)R1、-OC(O)OR1、-OC(O)NR1R2、-S(O)2R1、-S(O)2OR1、-S(O)2O-、-S(O)2NR1R2、-NR1C(O)R2、-NR1C(O)OR2、-NR1C(O)SR2、-NR1C(O)NR2R3、-P(O)2R1
、-P(O)(OR1)2、-P(O)(OR1)O-、及び-P(O)(O-)2からなる群から選択され、添え字nは、0~4、好ましくは0~1、最も好ましくは0の整数であり、異なるA、B及びC環における2つのRo基が結合して、5員以上の縮合環を形成してもよく、縮合環が6員以上であるとき、異なるA、B及びC環における2つのRo基が結合して、任意選択で1つ以上のヘテロ原子を含有する有機リンカーを形成してもよく、一実施形態では、異なるA、B及びC環における2つのRo基が結合して、-O-及び-S-から選択されるヘテロ原子架橋を形成して、6員縮合環を作り、同じ環におけるRo及びRm又は同じ環におけるRm及びRpが結合して、縮合脂肪族環又は縮合芳香族環を形成してもよく、これら環のいずれもヘテロ原子を含有してもよく、3つの環A、B又はCの少なくとも1つにおいて、Ro及びRm基の好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、最も好ましくは4つ全てが水素であり、好ましくは、環A、B及びCの少なくとも2つにおけるRo及びRm基の4つ全てが水素であり、いくつかの実施形態では、環A、B及びCにおける全てのRo及びRm基が水素であり、好ましくは、各Rpは、独立して、水素、-OR1及び-NR1R2から選択され、Rpの2つ以下、好ましくは1つ以下が水素であり、好ましくは水素は存在せず、より好ましくは、少なくとも1つ、好ましくは2つ、最も好ましくは3つ全てのRpが-NR1R2であり、いくつかの実施形態では、環A、B及びCの1つ又は更には2つは、任意選択で1つ以上の独立して選択されるR5基で置換されている、独立してO、S及びNから選択される1又は2つのヘテロ原子を含む、独立して選択されるC3~C9ヘテロアリール環で置換されてもよく、Gは、独立して、水素、重水素、C1~C16アルコキシド、フェノキシド、ビスフェノキシド、亜硝酸塩、ニトリル、アルキルアミン、イミダゾール、アリールアミン、ポリアルキレンオキシド、ハロゲン化物、アルキルスルフィド、アリールスルフィド、又はホスフィンオキシドからなる群から選択され、一態様では、Gの[(重水素)/(重水素+水素)]の比率は、少なくとも0.20、好ましくは少なくとも0.40、更により好ましくは少なくとも0.50、最も好ましくは少なくとも0.60又は更には少なくとも0.80であり、同じヘテロ原子に結合しているR1、R2及びR3のいずれか2つが結合して、任意選択で-O-、-NR15-、及び-S-からなる群から選択される1つ以上の追加のヘテロ原子を含む5員以上の環を形成してもよい。
【0086】
式(II)~(III)の構造中、e及びfは、独立して、0~4の整数であり、各R20及びR21は、独立して、ハロゲン、ニトロ基、アルキル基、置換アルキル基、-NC(O)OR1、-NC(O)SR1、-OR1、及び-NR1R2からなる群から選択され、各R25は、独立して、単糖部分、二糖部分、オリゴ糖部分、及び多糖部分、-C(O)R1、-C(O)OR1、-C(O)NR1R2からなる群から選択され、各R22及びR23は、独立して、水素、アルキル基、及び置換アルキル基からなる群から選択される。
【0087】
式(IV)の構造中、R30は、架橋アミン部分に対してオルト又はパラに位置し、-OR38及び-NR36R37からなる群から選択され、各R36及びR37は、独立して、水素、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アシル基、R4、-C(O)OR1、-C(O)R1、及び-C(O)NR1R2からなる群から選択され、R38は、水素、アシル基、-C(O)OR1、-C(O)R1、及び-C(O)NR1R2からなる群から選択され、g及びhは、独立して、0~4の整数であり、各R31及びR32は、独立して、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルカリル、置換アルカリル、-(CH2)n-O-R1、-(CH2)n-NR1R2、-C(O)R1、-C(O)OR1、-C(O)O-、-C(O)NR1R2、-OC(O)R1、-OC(O)OR1、-OC(O)NR1R2、-S(O)2R1、-S(O)2R1、-S(O)2O-、-S(O)2NR1R2、-NR1C(O)R2、-NR1C(O)R2、-NR1C(O)SR2、-NR1C(O)NR2R3、-P(O)2R1、-P(O)(OR1)2、-P(O)(OR1)O-、及び-P(O)(O-)2からなる群から選択され、添え字nは、0~4、好ましくは0~1、最も好ましくは0の整数であり、-NR34R35は、架橋アミン部分に対してオルト又はパラに位置し、R34及びR35は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルカリル、置換アルカリル、及びR4からなる群から選択され、R33は、独立して、水素、-S(O)2R1、-C(O)N(H)R1、-C(O)OR1、及び-C(O)R1からなる群から選択され、gが2~4である場合、任意の2つの隣接するR31基が結合して、5員以上の縮合環を形成してもよく、縮合環中の原子の2つ以下が窒素原子であってもよい。
【0088】
式(V)の構造中、X40は、酸素原子、硫黄原子、及びNR45からなる群から選択され、R45は、独立して、水素、重水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルカリル、置換アルカリル、-S(O)2OH、-S(O)2O-、-C(O)OR1、-C(O)R1、及び-C(O)NR1R2からなる群から選択され、R40及びR41は、独立して、-(CH2)n-O-R1、-(CH2)n-NR1R2からなる群から選択され、添え字nは、0~4、好ましくは0~1、最も好ましくは0の整数であり、j及びkは、独立して、0~3の整数であり、R42及びR43は、独立して、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルカリル、置換アルカリル、-S(O)2R1、-C(O)NR1R2、-NC(O)OR1、-NC(O)SR1、-C(O)OR1、-C(O)R1、-(CH2)n-O-R1、-(CH2)n-NR1R2からなる群から選択され、添え字nは、0~4、好ましくは0~1、最も好ましくは0の整数であり、R44は、-C(O)R1、-C(O)NR1R2、及び-C(O)OR1である。
【0089】
式(I)~(V)の構造において、前述の基のいずれかに存在する任意の電荷は、好適な独立して選択される内部又は外部対イオンで平衡にされる。好適な独立して選択される外部対イオンは、カチオン性又はアニオン性であってもよい。好適なカチオンの例としては、好ましくは第I族及び第II族から選択される1種以上の金属が挙げられるが、これらに限定されず、これらのうち最も好ましいものは、Na、K、Mg、及びCa、又はイミニウム、アンモニウム、及びホスホニウムなどの有機カチオンである。好適なアニオンの例としては、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨーダイド、パークロレート、ハイドロゲンサルフェート、サルフェート、アミノサルフェート、ニトレート、ジヒドロゲンホスフェート、ハイドロゲンホスフェート、ホスフェート、ビカルボネート、カルボネート、メトサルフェート、エトサルフェート、シアネート、チオシアネート、テトラクロロジンケート、ボレート、テトラフルオロボレート、アセテート、クロロアセテート、シアノアセテート、ヒドロキシアセテート、アミノアセテート、メチルアミノアセテート、ジ-及びトリ-クロロアセテート、2-クロロ-プロピオネート、2-ヒドロキシプロピオネート、グリコレート、チオグリコレート、チオアセテート、フェノキシアセテート、トリメチルアセテート、バレレート、パルミテート、アクリレート、オキサレート、マロネート、クロトネート、スクシネート、シトレート、メチレン-ビス-チオグリコレート、エチレン-ビス-イミノアセテート、ニトリロトリアセテート、フマレート、マレエート、ベンゾエート、メチルベンゾエート、クロロベンゾエート、ジクロロベンゾエート、ヒドロキシベンゾエート、アミノベンゾエート、フタレート、テレフタレート、インドリルアセテート、クロロベンゼンスルホネート、ベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ビフェニルスルホネート、及びクロロトルエンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、上に列挙したものの代わりに使用することができる異なる対イオンを十分に認識している。
【0090】
式(I)~(V)の構造中、R1、R2、R3、及びR15は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルカリル、置換アルカリル、及びR4からなる群から選択され、式中、R4は、28~500、好ましくは43~350、更により好ましくは43~250の範囲の当該モノマー分子量を有する1つ以上の有機モノマーから構成される有機基であり、この有機基は、式I~Vの構造に一致する1つ以上の追加のロイコ着色剤部分で置換され得る。一態様では、R4は、アルキレンオキシ(ポリエーテル)、オキソアルキレンオキシ(ポリエステル)、オキソアルキレンアミン(ポリアミド)、エピクロロヒドリン、四級化エピクロロヒドリン、アルキレンアミン、ヒドロキシアルキレン、アシルオキシアルキレン、カルボキシアルキレン、カルボアルコキシアルキレン、及び糖からなる群から選択される。一態様では、R4は、EO、PO、BO、及びこれらの混合物から選択され、より好ましくは、EOのみ又はEO/PO混合物から選択される。任意のロイコ着色剤が3つ以上の連続するモノマーを有するR4基を含む場合、そのロイコ着色剤は、本明細書において「高分子ロイコ着色剤」として定義される。当業者は、溶解度、分配、付着、除去、染色などの多くの特性属性のいずれかに関する化合物の特性が、その中に組み込まれるこのような連続するモノマーの配置、同一性、及び数に関連することを承知している。したがって、当業者は、このような連続するモノマーの配置、同一性、及び数を調整して、程度の差はあれ予測可能な様式で任意の特定の属性を変化させることができる。
【0091】
一態様では、好ましいロイコ着色剤は、時に耐光性ロイコ着色剤とも呼ばれる、光退色に耐性を有する第2の着色状態を与えるものである。洗剤組成物が透明又は半透明の容器にパッケージ化された場合に生じ得るように、洗剤組成物が太陽光に曝露された場合、光退色に耐性を有するロイコ着色剤の第2の着色状態は、光退色に対する耐性が低いものよりも、製品の機能劣化をより正確に示す。ほとんどの例では、洗剤組成物は、不透明であることが多い包装体によって太陽光への曝露から遮蔽されるので、耐光性ロイコ着色剤の選択は必須ではない。
【0092】
好ましいロイコ着色剤としては、式VI
【0093】
【化2】
(式中、各R
4は、独立して、H、メチル、エチル、((CH
2CH
2O)
a(C
3H
6O)
b)H、及びこれらの混合物からなる群から独立して選択され、好ましくは、少なくとも1つのR
4基は、((CH
2CH
2O)
a(C
3H
6O)
b)Hであり、各添え字aは、独立して、1~100の整数であり、各添え字bは、独立して、0~50の整数であり、全てのR
4基中の全ての独立して選択されるaの整数の合計は、200以下、好ましくは100以下であり、全てのR
4基中の全ての独立して選択されるbの整数の合計は、100以下、好ましくは50以下である)の構造に適合するものが挙げられる。好ましくは、少なくとも2個のR
4基は、メチル及びエチルから選択され、最も好ましくは、構造VI中の少なくとも1個のNは、メチル及びエチルから選択される2個のR
4基、好ましくはMeで置換される。
【0094】
非常に好ましいロイコ着色剤としては、式VII
【0095】
【化3】
(式中、各添え字cは、独立して、0、1又は2であり、好ましくは、各cは1であり、各R
4は、独立して、H、Me、Et、((CH
2CH
2O)
a(C
3H
6O)
b)H、及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは、各R
4は((CH
2CH
2O)
a(C
3H
6O)
b)Hであり、各添え字aは、独立して、1~50、より好ましくは1~25、更により好ましくは1~20、1~15、1~10、1~5又は更には1~2の整数であり、各添え字bは、独立して、0~25、より好ましくは0~15、更により好ましくは1~5又は更には1~3の整数であり、ロイコ着色剤中の全ての独立して選択されるaの整数の合計は、100以下、より好ましくは80以下、最も好ましくは60以下、40以下、20以下、10以下又は更には5以下であり、ロイコ着色剤中の全ての独立して選択されるbの整数の合計は、50以下、より好ましくは40以下、最も好ましくは30、20、又は更には10以下である)の構造に適合するものが挙げられる。特に好ましい態様では、各添え字cは1であり、各R
4は((CH
2CH
2O)
a(C
3H
6O)
b)Hであり、各添え字aは1~5の整数であり、各添え字bは、1~5の整数であり、ロイコ化合物中の全ての独立して選択される整数aの合計は4~10であり、ロイコ着色剤中の全ての独立して選択される整数bの合計は5~15である。
【0096】
別の態様では、非常に好ましいロイコ化合物としては、式(VIII)
【0097】
【化4】
(式中、R
8はH又はCH
3であり、各添え字bは、独立して、平均して約1~2である)の構造に一致するものが挙げられる。
【0098】
本明細書に記載のロイコトリアリールメタン化合物は、任意の好適な合成方法によって生成することができる。例えば、このような化合物は、芳香族アルデヒドと電子豊富なアリールカップラー(例えば、1モル当量の芳香族アルデヒドに対して約2モル当量のアリールカップラーの量)との間の酸触媒縮合反応を介して生成することができる。芳香族アルデヒドは、それに共有結合したアルデヒド基を有する芳香族部分(例えば、アリール部分、置換アリール部分、複素芳香族部分、又は置換複素芳香族部分)を含む任意の好適な化合物であり得る。一態様では、芳香族アルデヒドは、好ましくはアルデヒド基に対してパラ位に構造-OR1又は-NR1R2を有する基を含む置換ベンズアルデヒドであることが好ましい。別の態様では、芳香族アルデヒドは、好ましくは、アルデヒド基に対してパラ位にある基-NR1R2(式中、R1及びR2は、水素、メチル、又はエチル(より好ましくはメチル)からなる群から選択される)を含む置換ベンズアルデヒドである。
【0099】
上記のように、縮合反応は、芳香族アルデヒドに加えて、アリールカップラーを利用する。ロイコトリアリールメタン化合物を生成するために、縮合反応は、概して、芳香族アルデヒドのモル当量ごとに少なくとも2モル当量のアリールカップラーを利用する。一態様では、反応に利用される2モル当量のアリールカップラーは、単一のアリールカップラー化合物を使用して提供することができる。別の態様では、反応は、2つ以上の別個のアリールカップラーの混合物の2モル当量を使用して実施することができる。このような実施形態では、2つ以上の別個のアリールカップラーを、任意の組み合わせ又は相対比で使用することができ、但し、混合物の合計は、芳香族アルデヒドのモル当量ごとに少なくとも約2モル当量のアリールカップラーとすべきである。このような実施形態では、2つ以上の別個のアリールカップラーは、例えば、アリール部分に結合した置換基の数及び/又は性質に関して異なり得る。一態様では、反応は、オキシアルキレン基の第1の分布を有する第1のオキシアルキレン又はポリオキシアルキレン部分を含む第1のアリールカップラー、及び、第1の分布とは異なるオキシアルキレン基の第2の分布を有する第2のオキシアルキレン又はポリオキシアルキレン部分を含む第2のアリールカップラーを利用することができる。例えば、一態様では、第1のアリールカップラーは、以下のAC-Iなどのエチレンオキシド基からなるオキシアルキレン部分を含むことができ、第2のアリールカップラーは、以下のAC-IIなどのエチレンオキシド基及びプロピレンオキシド基からなるポリオキシアルキレン部分を含むことができる。
【0100】
【化5】
式中、添え字a、b、c及びdは、独立して、0~5の整数から選択され、AC-I及びAC-IIから選択されるカップラーのa及びbの合計は2~10であり、AC-II中のc及びdの合計は2~10である。より具体的な態様では、AC-I及びAC-IIから選択されるカップラーのa及びbの合計は2~5であり、AC-II中のc及びdの合計は2~5である。一実施形態では、AC-Iにおける添え字a及びbの合計は2又は3であり、AC-IIにおける添え字a及びbの合計は2又は3であり、AC-IIにおける添え字c及びdの合計は、1~5、好ましくは2~4、又は更には2~3である。カップラーAC-I及びAC-IIは、使用されるカップラーの量は、ロイコ化合物を生じさせる酸触媒縮合反応に使用される芳香族アルデヒドの当量に対して少なくとも2モル当量を提供するのに十分である限り、任意の割合で組み合わせることができる。
【0101】
一態様では、例えば、1当量のパラ-N,N-ジメチルベンズアルデヒドは、少なくとも2モル当量の上記のアリールカップラーAC-I及びAC-IIの混合物で縮合され、アリールカップラーAC-Iについては、添え字a及びbの合計は2又は3、好ましくは2であり、好ましくは、a及びbは各々1であり、アリールカップラーAC-IIについては、添え字a及びbの合計は2又は3、好ましくは2であり、好ましくはa及びbはそれぞれ1であり、添え字c及びdの合計は、平均して約2.5~3.0であり、c又はdのうちの少なくとも1つは1である。
【0102】
本開示の洗剤組成物は、ロイコ着色剤を含む水溶性フィルムを含み、これは、ロイコ着色剤が、フィルムの一体部分であってもよい及び/又はフィルムの外面と接触してもよいことを意味する。ロイコ着色剤は、フィルムの形成前、例えばフィルムの押出成形又は注型成形の前に、フィルム形成ポリマー材料に添加してよい。ロイコ着色剤は、水溶性フィルムの外面に存在してもよく、この場合、内面は第1の組成物と接触している。ロイコ着色剤は、任意の好適な方法によりフィルムの外面に塗布してよい。例えば、ロイコ着色剤は、ダスティング、粉化、コーティング、塗装、プリント、スプレー、噴霧、又はこれらの混合により、フィルムの外面に塗布してよい。いくつかの態様では、ロイコ着色剤は、ロイコ着色剤及び以下で説明する可塑化溶媒を含む組成物をスプレー又は噴霧することにより単位用量組成物に塗布される。ロイコ着色剤をフィルム上にスプレー又は噴霧する場合、スプレー又は噴霧される組成物は非水性であってよく、これは、組成物が、スプレー又は噴霧される組成物の20重量%未満、又は15重量%未満、又は10重量%未満、又は5重量%未満、又は1重量%未満の水を含むことを意味する。スプレー又は噴霧された組成物は水を全く含んでいなくてもよい。
【0103】
洗剤組成物はコーティングを含んでいてよく、当該コーティングはロイコ着色剤を含む。
【0104】
いくつかの態様では、フィルムの表面上のロイコ着色剤の濃度は、約10ppb~約10,000ppm、又は好ましくは約50ppb~約200ppm、又はより好ましくは約10ppm~約250ppmである。いくつかの態様では、ロイコ着色剤の濃度は、単位用量物品を25℃かつ60%の相対湿度で1ヶ月間保管した後に測定される。
【0105】
好ましい一実施形態では、ロイコ着色剤は、例えばカプセル又はマイクロカプセルを介して、水溶性フィルム内の他の成分とは別々に封入されるか、又は当該成分から隔離される。カプセル又はマイクロカプセル中に存在する場合、ロイコ着色剤の第2の色状態はブロックされ得るか、ないしは別の方法で阻止され(distorted)得ることが理解されるであろう。
【0106】
洗剤添加剤
洗剤組成物は、いくつかの態様では、フィルムに全体的に又は部分的に組み込まれ得る他の好適な添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、洗剤組成物の意図する機能に従って選択されてよい。第1の組成物は添加剤を含み得る。いくつかの態様では、複数区画の単位用量物品の場合、添加剤は、第1の組成物とは別の区画に封入される、非第1(例えば第2、第3、第4等)の組成物の一部であってもよい。非第1の組成物は、任意の好適な組成物であってもよい。非第1の組成物は、固体、液体、分散体、ゲル、ペースト又はこれらの混合物の形態であってもよい。単位用量が複数の区画を含む場合、ロイコ着色剤は、1つ、2つ、又は更には全ての区画に添加されてもよく、又は存在してもよい。
【0107】
洗剤組成物の非限定的な例としては、洗浄組成物、布地ケア組成物及び硬質表面クリーナーが挙げられる。より具体的には、組成物は、前処理又は浸漬組成物及び他のすすぎ添加剤組成物を含む、洗濯布地ケア又は食器洗い組成物であってもよい。組成物は、布地洗剤組成物又は自動食器洗い組成物であり得る。布地洗剤組成物は、メイン洗浄プロセス中に使用してもよいし、前処理又は浸漬組成物として使用することもできる。
【0108】
布地ケア組成物には、布地洗剤、布地柔軟剤、ツーインワン(2-in-1)洗剤及び柔軟剤、前処理組成物などが挙げられる。布地ケア組成物は、界面活性剤、ビルダー、キレート剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、可塑化溶媒、触媒材料、漂白活性剤、ポリマー分散剤、泥汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、抑泡剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤及び/又は顔料、並びにこれらの混合物を含む典型的な布地ケア添加剤を含んでいてよい。組成物は、界面活性剤、ポリマー、香料、カプセル化香料材料、構造化剤及びこれらの混合物を含む群から選択される添加剤を含む、洗濯洗剤組成物であってもよい。
【0109】
組成物は、界面活性剤、ビルダー、スルホン化/カルボキシル化ポリマー、シリコーン抑泡剤、ケイ酸塩、金属及び/又はガラスケア剤、酵素、漂白剤、漂白活性剤、漂白触媒、アルカリ性源、香料、染料、溶媒、充填剤、並びにこれらの混合物から選択される添加剤を含む自動食器洗い組成物であってもよい。
【0110】
上記液体組成物は界面活性剤を含むのが好ましい。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、非イオン性、両性又はこれらの混合物から選択することができる。単位用量組成物はアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物を含むことが好ましい。洗剤組成物、好ましくは液体組成物は、界面活性剤系の重量に対して約1重量%~約70重量%、又は約3重量%~約50重量%、又は約5重量%~約25重量%を占めてよい。
【0111】
アニオン性界面活性剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルエトキシレートサルフェート、及びこれらの組み合わせから選択され得る。
【0112】
本明細書で有用である好適なアニオン性界面活性剤は、液体洗剤製品で典型的に使用される従来のアニオン性界面活性剤のあらゆる種類を含むことができる。これらには、アルキルベンゼンスルホン酸及びこれらの塩、並びにアルコキシル化又は非アルコキシル化アルキルサルフェート物質が挙げられる。
【0113】
本明細書に用いるのに好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤が挙げられる。アルコールアルコキシレートは、一般式:R1(CmH2mO)nOH(式中、R1はC8~C16アルキル基であり、mは2~4であり、nは約2~12の範囲である)に相当する材料である。一態様では、R1は、一級又は二級であってよく、約9~15個の炭素原子、又は約10~14個の炭素原子を含むアルキル基である。一態様では、アルコキシル化脂肪族アルコールはまた、1分子当り約2~12個のエチレンオキシド部分、又は1分子当り約3~10個のエチレンオキシド部分を含有するエトキシル化物質である。
【0114】
組成物は、洗浄性能及び/又は布地ケア効果を提供する1つ又は2つ以上の洗剤酵素を含んでもよい。好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な組み合わせは、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ及び/又はセルラーゼのような従来の適用可能な酵素をアミラーゼと組み合わせた混液である。
【0115】
本発明の組成物は1つ以上の漂白剤を含んでよい。漂白触媒以外の好適な漂白剤としては、光漂白剤、漂白活性剤、過酸化水素、過酸化水素源、予形成過酸、及びこれらの混合物が挙げられる。一般に、漂白剤を使用する場合、本発明の組成物は、洗浄組成物の重量に対して、約0.1重量%~約50重量%、あるいは約0.1重量%~約25重量%の漂白剤を含んでよい。
【0116】
組成物は、増白剤を含み得る。好適な増白剤は、増白剤15等のスチルベンである。他の好適な増白剤は、疎水性増白剤、及び増白剤49である。増白剤は、3マイクロメートル(μm)~30μm、又は3μm~20μm、又は3μm~10μmの範囲内の重量平均粒径の微粉化微粒子形態でよい。増白剤は、α又はβ結晶形態でもよい。
【0117】
本明細書の組成物はまた、1つ又は2つ以上の銅、鉄、及び/又はマンガンキレート剤を任意選択的に含有してもよい。使用される場合、キレート剤は、一般に本明細書の組成物の約0.1重量%~約15重量%又は更には本明細書の組成物の約3.0重量%~約15重量%を構成する。好適なキレート剤としては、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、HEDP(ヒドロキシエタンジホスホン酸)、DTPMP(ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸))、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、1,2-ジヒドロキシベンゼン-3,5-ジスルホン酸二ナトリウム塩水和物、及びこのようなキレート剤の誘導体からなる群から選択されるキレート剤が挙げられる。
【0118】
組成物は、炭酸カルシウム結晶成長阻害剤を含むものでよく、これは、1-ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)及びその塩、N,N-ジカルボキシメチル-2-アミノペンタン-1,5-二酸及びその塩、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸及びその塩、並びにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてよい。
【0119】
本開示の組成物は、1つ以上の移染防止剤もまた含んでよい。好適なポリマー移染防止剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン、並びにポリビニルイミダゾール、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書の組成物中に存在する場合、移染防止剤は、洗浄組成物の約0.0001重量%から、約0.01重量%から、約0.05重量%から、洗浄組成物の約10重量%まで、約2重量%まで、又は更には約1重量%までの濃度で存在する。
【0120】
当該組成物は1つ以上のポリマーを含んでよい。好適なポリマーとしては、カルボキシレートポリマー、ポリエチレングリコールポリマー、テレフタレートポリマーなどのポリエステル汚れ放出ポリマー、アミンポリマー、セルロース系ポリマー、移染防止ポリマー、イミダゾールとエピクロロヒドリンとの縮合によって生成される縮合オリゴマーなどの染料固定ポリマー、任意選択的に1:4:1の比率で、ヘキサメチレンジアミン誘導体ポリマー、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0121】
他の好適なセルロース系ポリマーは、0.01~0.99の置換度(DS)と、DS+DBが少なくとも1.00であるか、又はDB+2DS-DS2が少なくとも1.20であるかのいずれかとなるようなブロック度(DB)とを有し得る。置換セルロース系ポリマーは、少なくとも0.55の置換度(DS)を有し得る。置換セルロース系ポリマーは、少なくとも0.35のブロック度(DB)を有し得る。置換セルロース系ポリマーは、1.05~2.00のDS+DBを有し得る。好適な置換セルロース系ポリマーは、カルボキシメチルセルロースである。
【0122】
別の好適な置換セルロース系ポリマーは、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロースである。
【0123】
好適な香料としては、香料マイクロカプセル、シッフ塩基香料/ポリマー複合体を含むポリマー支援香料送達系、デンプンにカプセル化された香料アコード、香料充填ゼオライト、ブルーミング香料のアコード、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。好適な香料マイクロカプセルは、メラミンホルムアルデヒド系であり、典型的には、メラミンホルムアルデヒドを含むシェルによってカプセル化される香料を含む。このような香料マイクロカプセルは、ポリビニルホルムアミド(PVF)及び/又はカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(catHEC)などのカチオン性材料及び/又はカチオン性前駆体材料をシェル内に含むことが非常に好適であり得る。
【0124】
好適な抑泡剤としては、シリコーン、及び/又はステアリン酸などの脂肪酸が挙げられる。
【0125】
洗剤組成物が、水溶性フィルムにより封入された液体組成物を含む場合、液体組成物は、好ましくは、可塑化溶媒を含む。上記液体組成物は、液体組成物の重量に対して約10重量%~約50重量%、又は約15重量%~約40重量%の可塑化溶媒を含んでよい。
【0126】
本組成物中の可塑化溶媒は、水、有機溶媒、又はこれらの混合物を含有する可塑化溶媒とすることができる。好適な有機溶媒としては、低分子量アルコール、及び/又は低分子量グリコールが挙げられ、本文脈において「低分子量」とは、約500未満の分子量を有することを意味する。好適な有機溶媒としては、好ましくはグリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ソルビトール、及びこれらの混合物が挙げられる。いくつかの態様では、可塑化溶媒は水、グリセロール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ソルビトール、又はこれらの混合物を含む。
【0127】
酸化防止剤
組成物は、任意選択で、約0.001~約2重量%存在する酸化防止剤を含有していてよい。好ましくは、酸化防止剤は、0.01~0.1重量%の範囲の濃度で存在する。酸化防止剤の混合物を使用することができ、いくつかの実施形態では、好ましい場合がある。1つ以上の酸化防止剤を、水溶性フィルムの任意の部分又は全体に組み込んでよい。好ましい実施形態では、酸化防止剤は、ロイコ着色剤と共に水溶性フィルムに組み込まれる。
【0128】
酸化防止剤は、Kirk-Othmer(第3巻、424ページ)及びUllmannのEncyclopedia(第3巻、91ページ)に記載されているような物質である。
【0129】
本発明で使用される酸化防止剤の一分類は、以下の一般式:
【0130】
【化6】
(式中、Rは、C
1~C
22直鎖又は分岐鎖アルキル、好ましくはメチル又は分岐鎖C
3~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、好ましくはメトキシ、又はCH
2CH
2C(O)OR’(式中、R’は、H、電荷均衡対イオン、又はC
1~C
22直鎖若しくは分岐鎖アルキルである)であり、R
1は、C
3~C
6分岐鎖アルキル、好ましくはtert-ブチルであり、xは、1又は2である)を有するアルキル化フェノールである。ヒンダードフェノール化合物は、この式を有するアルキル化フェノールの好ましい種類である。この種の好ましいヒンダードフェノール化合物は、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(BHT)である。
【0131】
更に、組成物に使用される酸化防止剤は、α-、β-、γ-、δ--トコフェロール、エトキシキン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、2,6-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキシアニソール、リグノスルホン酸及びこれらの塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択され得る。エトキシキン(1,2-ジヒドロ-6-エトキシ-2,2,4-トリメチルキノリン)は、Raschig(商標)社によりRaluquin(商標)という名称で販売されていることに留意されたい。
【0132】
組成物に使用することができる他の種類の酸化防止剤は、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸(Trolox(商標))及び1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(Proxel GXL(商標))である。
【0133】
当該組成物に使用するのに好適であり得る酸化防止剤の更なる分類は、以下の式:
【0134】
【化7】
(式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、アルキルであるか、又はR
1及びR
2は一緒になってC
5~C
6環状ヒドロカルビル部分を形成してもよく、Bは、存在しないか又はCH
2であり、R
4は、C
1~C
6アルキルであり、R
5は、水素又は-C(O)R
3であり、R
3は、水素又はC
1~C
19アルキルであり、R
6は、C
1~C
6アルキルであり、R
7は、水素又はC
1~C
6アルキルであり、Xは、-CH
2OH又は-CH
2Aであり、Aは、窒素含有単位、フェニル、又は置換フェニルである)を有するベンゾフラン又はベンゾピラン誘導体である。好ましい窒素含有A単位としては、アミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0135】
トコフェロールソルベート、ブチル化ヒドロキシル安息香酸(benxoic acids)及びその塩、没食子酸及びそのアルキルエステル、尿酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、並びにジヒドロキシフマル酸及びその塩などの酸化防止剤を使用してもよい。一態様では、当該組成物に使用するための最も好ましい種類の酸化防止剤は、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(BHT)、α-、β-、γ-、δ-トコフェロール、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(Proxel GXL(商標))、及びこれらの混合物である。別の態様では、組成物に使用するための最も好ましい種類の酸化防止剤は、ヒンダードフェノール、ジアリールアミン(1,000M-1cm-1未満の波長範囲400~750nmにおいて最大モル吸光係数を有するフェノキサジンを含む)、及びこれらの混合物である。好ましい混合物では、最初に配合されるヒンダードフェノールの当量数は、通常、ジアリールアミンの当量数以上である。
【0136】
洗浄方法
本開示はまた、本開示に係る洗剤組成物を、洗浄する洗濯物又は食器に入れて接触させる工程、及び洗浄又は洗濯を実施する工程、を含む、本開示に係る組成物を使用する、例えば機械による洗濯物又は食器の洗浄方法に関する。
【0137】
任意の好適な洗濯機が使用され得る。当業者は、関連の洗浄操作に好適な機械を認識するであろう。本発明の物品は、布地用添加剤、布地柔軟剤、すすぎ補助剤等の他の組成物と組み合わせて使用してよい。
【0138】
更に、本開示の洗剤組成物は既知の手洗い方法で使用してもよい。
【0139】
製造方法
本開示は、洗剤組成物の製造方法に関する。より具体的には、本開示は、第1の組成物、水溶性フィルム、及びロイコ着色剤を含む洗剤組成物の製造方法であって、当該ロイコ着色剤を当該水溶性フィルムに組み込む工程を含む方法に関する。組み込む工程は、当業者に既知の洗剤組成物を製造する任意の好適な方法に従ってよく、例えば、スプレー、噴霧、又はこれらの混合によって、当該ロイコ着色剤を当該フィルムに組み込む。このような実施形態では、フィルムの注型成形又は押出成形の前に、ロイコ着色剤をフィルムに添加してよい。
【0140】
第1の組成物が粒状洗剤又はタブレット洗剤である場合、この方法は、水溶性フィルム又は水溶性コーティングのいずれかの中に第1の組成物を容器に入れる工程を含む。あるいはこの方法は、水溶性フィルム又は水溶性コーティングのいずれかの中に既に入れられた第1の組成物を準備する工程を含んでよい。
【0141】
いくつかの態様では、本開示は、ロイコ着色剤を含むフィルムの作製に関し、この方法は、ロイコ着色剤及び可塑化溶媒を含む液体組成物を準備する工程と、水溶性フィルムを液体組成物と接触させる工程とを含み、当該フィルムは可塑剤を含む。フィルムはパウチ内に形成されて密封されてよく、これにより密封パウチを形成する。いくつかの態様では、密封パウチは界面活性剤を封入する。いくつかの態様では、接触工程は、パウチに液体組成物を充填することによる。いくつかの態様では、接触工程は、液体組成物がフィルム上にスプレー又は噴霧されることによる。フィルムは、スプレー又は噴霧後にパウチ内に形成されてよい。
【0142】
単位用量物品の作製方法は、以下に詳細に記載されている。
【0143】
本開示の方法は連続的であってもよいか、又は断続的であってもよい。方法は、以下の一般的な工程を含む:好ましくは、ロイコ着色剤を含んでいてよい水溶性フィルムを成型して開放パウチを形成することによって開放パウチを形成する工程、当該開放パウチに組成物を充填する工程、好ましくは、ロイコ着色剤を含んでいてよい第2の水溶性フィルムを使用して、組成物が充填された開放パウチを閉鎖して、単位用量物品を形成する工程。第2のフィルムは、追加の区画を備えていてもよいが、当該区画は組成物を含んでいても、いなくてもよい。あるいは、第2のフィルムは、1つ以上の区画を含む第2の閉鎖パウチであってよく、開放パウチを閉じるために用いられるものであってもよい。好ましくは、方法は、単位用量物品のウェブが作成される際に、ウェブは切断されて個別の単位用量物品を形成するものである。
【0144】
あるいは、第1のフィルムが、2つ以上の区画を含む開放パウチに形成される場合もある。この場合、第1のパウチで形成された区画は、並列、又は「タイヤ及びリム」の向きであってもよい。第2のフィルムもまた、区画を備え得るが、それらは組成物を含んでいても、いなくてもよい。あるいは、第2のフィルムは、複数の区画を有する開放パウチを閉じるために用いられる、第2の閉鎖パウチであってもよい。
【0145】
単位用量物品は、熱成形、真空成形、又はそれらを組み合わせたものによって製造され得る。単位用量物品は、当該技術分野において既知の、任意の密封方法を用いて密封され得る。好適な密封方法には、熱密封、溶剤密封、圧力密封、超音波密封、圧力密封、レーザー密封、又はそれらを組み合わせたものが挙げられる。水溶性容器を製造する連続的インライン法の例が、米国特許第7,125,828号、米国特許出願第2009/0199877(A1)号、欧州特許第2380965号、同第2380966号、米国特許第7,127,874号及び米国特許出願第2007/0241022号(全て、米国オハイオ州のProcter & Gamble Companyに譲渡)に記述されている。水溶性容器を製造する非連続的インライン法の例は、米国特許第7,797,912号(Reckitt Benckiser,Berkshire,GBに譲渡)に記述されている。
【0146】
単位用量物品は、ダスティング剤により、ダスティング処理を施してもよい。ダスティング剤は、タルク、シリカ、ゼオライト、カーボネート、又はそれらの混合物であり得る。
【0147】
本開示の単位用量物品を作製する例示的な手段は、物品を作製するための連続的な方法であり、以下の工程を含む:
a.複数の成形型を備える、連続的かつ回転可能に移動する無端面の水平部分上に、ロイコ着色剤を含んでいてもよい第1の水溶性フィルムを連続的に供給するか、又は当該無端面の非水平部分上に供給し、当該フィルムを連続的に水平部分に移動する工程;
b.連続的に移動する表面の水平部分上のフィルムから、表面上の成形型内に、連続的に移動する水平に配置された、開放パウチのウェブを形成する工程;
c.連続的に移動する水平に配置された開放パウチのウェブを製品で満たして、水平に配置された充填された開放パウチのウェブを得る工程;
d.好ましくは、充填された開放パウチの水平に配置されたウェブ上に、ロイコ着色剤を含んでいてもよい第2の水溶性フィルムを供給して、閉鎖パウチを得ることによって、好ましくは連続的に、開放パウチのウェブを閉鎖して、閉鎖パウチを得る工程;
e.任意選択で、閉鎖パウチを密封して、閉鎖パウチのウェブを得る工程。
【0148】
第2の水溶性フィルムは、少なくとも1つの、開放又は閉鎖区画を含み得る。
【0149】
一実施形態においては、開放パウチの第1のウェブが、閉鎖パウチの第2のウェブと組み合わされるが、その際、好ましくは、好適な手段により、第1のウェブと第2のウェブとを引き合わせて密封し、かつ好ましくは、第2のウェブは回転ドラム装置である。そのような装置においては、パウチはドラムの頂部で充填され、好ましくは、その後一層のフィルムにより密封され、閉鎖パウチは、好ましくは開放パウチであり、また好ましくは水平な形成面上に形成されたパウチの第1のウェブに出会うように降りてくるようになっている。回転ドラムユニットを、水平な形成面ユニット上に配置することが特に好適であるということが判明している。
【0150】
得られた、閉鎖パウチのウェブを切断して、個々の単位用量物品を製造することが好ましい。
【実施例】
【0151】
配合実施例全ての量は、組成物の重量%となっている。
【0152】
実施例1-一区画パウチ。
一区画パウチに、表1に示す組成物1.1の液体洗剤を充填する。ロイコ着色剤(例えば、ロイコ着色剤1)を含む水溶性ポリ(ビニルアルコール)フィルム、及び任意選択で酸化防止剤(例えば、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン)を使用してパウチを作製し、標準的な熱成形技術を使用して成形する。具体的には、上に示した、0.7gの厚さ76μmのフィルムM8779及び0.0025gの染料処方8を熱成形して、41mm×43mmのサイズの単一区画のパウチを形成する。パウチに、23.7mL(25.4g)の組成物1.1を充填する。
【0153】
【0154】
実施例2-複数区画パウチ
複数区画パウチの例には、表2に表す配合を含むことができる。パウチは、水溶性フィルムで作製され、その少なくとも一部は、上記実施例1に記載のフィルムである。
【0155】
【表2】
1米国特許第7169744号に記載されるような硫酸モノ-[2-(3,4-ジヒドロ-イソキノリン-2-イル)-1-(2-エチル-ヘキシルオキシメチル)-エチル]エステル
2PAP=フタロイル-アミノ-ペルオキシカプロン酸、70%活性湿潤ケーキとして
3-NH1個当たり20個のエトキシレート基を有するポリエチレンイミン(分子量=600)。
4以下に示すロイコ着色剤1;存在するロイコ着色剤の少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%が、物品を含む複数のフィルムのうちの少なくとも1枚に組み込まれる。
5 RA=アルカリ保存性(NaOHのg/用量)
6 PEI600 EO20、BASFから入手可能
【0156】
実施例3-ロイコ着色剤のフィルムへの組み込み及び劣化時の色の変化。
フィルムに組み込まれたロイコ着色剤の有用性を実証するために、3枚の異なるポリ(ビニルアルコール)フィルムを調製した。110.0gのDI水及び20.2gのPvOHをガラス瓶内で混合し、瓶に蓋をし、40℃で2日間加熱することによって、DI水中PVOHの15.51重量%溶液(対照、溶液C)を調製した。別に、0.143gのロイコ着色剤1を5.0mLのエタノールに溶解させ、これを均質になるまで117.0gの溶液Cと混合して溶液Lを得た。試験したロイコ着色剤の構造を以下に示す。
【0157】
【化8】
ロイコ着色剤1(a+b=2.8;全てのa+bの合計=5.6)
【0158】
最後に、0.0422gの3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(BHT)を5.0mLのエタノールに溶解させ、これを50.0gの溶液Lと混合して、溶液LAを得た。溶液の最終組成を以下の表に提供する。
【0159】
【0160】
3つの溶液のそれぞれについて、使い捨てシリンジを介して、4.0mLの溶液を2枚の6ウェルプレートの各ウェル内に移すことによって、12枚のフィルムを注型成形した。プレートを、30℃に設定したオーブンにカバーをしていない状態で入れ、65.5時間静置した。各溶液から注型成形された1つのフィルム片を取り出し、LabScan XE反射分光光度計(HunterLabs,Reston,VA;(D65光源、10度視野、紫外光を除外)を使用して、L*、a*、b*、及びWI CIEを測定した。
【0161】
次いで、フィルムを室温で暗所で保存し、各溶液から注型成形されたフィルムを定期的に取り出し、再度測定して任意の変化を記録した。ロイコ着色剤が第1の着色状態から第2の着色状態に変換されると、青色が可視になる。これは、測定においてb*値の変化として観察され、b*が低いほど、青色の形成が多いことを示す。様々な日のフィルムについて測定されたb*値を、以下の表に集める。
【0162】
【0163】
上記のデータは、フィルムにロイコ着色剤を組み込むことによって、経時的にフィルムの色が変化すること、及びフィルムに酸化防止剤を組み込むことによって、発色の程度が変化し得ることを示す。したがって、フィルムにおけるロイコ着色剤の使用は、フィルムを使用する製品がある程度劣化したことを視覚的に伝える有効な方法である。本実施例で使用した着色剤の場合に既知であるように、使用したロイコ着色剤が洗浄を通して布地上に付着する場合、フィルムの使用は、製品の劣化を示すことと、布地に白色効果を提供するという二重の目的を果たす。
【0164】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0165】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとは見なされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明全てを教示、示唆又は開示するとは見なされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0166】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図されている。