(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】赤色光・近赤外発光材料、その調製方法、および発光デバイス
(51)【国際特許分類】
C09K 11/78 20060101AFI20220516BHJP
C09K 11/08 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
C09K11/78
C09K11/08 C
C09K11/08 B
(21)【出願番号】P 2020572811
(86)(22)【出願日】2019-07-09
(86)【国際出願番号】 CN2019095238
(87)【国際公開番号】W WO2020177257
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2020-12-25
(31)【優先権主張番号】201910169021.9
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515330421
【氏名又は名称】有研稀土新材料股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】陳 暁霞
(72)【発明者】
【氏名】劉 元紅
(72)【発明者】
【氏名】劉 栄輝
(72)【発明者】
【氏名】薛 原
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-512422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色光・近赤外発光材料であって、該発光材料は、分子式aSc
2O
3
.Ga
2O
3
.bR
2O
3の化合物を含み、ここで、前記R元素は、Cr、Ni、Fe、Yb、NdまたはEr元素中の1つまたは2つ
であり、Crを
必ず含み、
前記化合物は、β-Ga
2
O
3
と同じ結晶構造を有し、かつ0.001≦a≦0.6、0.001≦b≦0.1であることを特徴とする赤色光・近赤外発光材料。
【請求項2】
0.15≦a≦0.35、かつ0.02≦b≦0.05であることを特徴とする請求項
1に記載の赤色光・近赤外発光材料。
【請求項3】
R元素はCrである、ことを特徴とする請求項
2に記載の赤色光・近赤外発光材料。
【請求項4】
R元素は、Ce、Eu、Tb、Bi、Dy、Prの1つまたは2つをさらに含む、ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の赤色光・近赤外発光材料。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の赤色光・近赤外発光材料を調製する方法であって、
分子式の化学量論比に従って、原材料Sc
2O
3、Ga
2O
3およびR
2O
3を秤量するステップと、
上記の原材料を均一に粉砕・混合した後、坩鍋に投入し、1200~1600℃の高温炉内で、空気または窒素雰囲気下で2~10時間焼結するステップと、
炉で室温まで冷却し、焼結サンプルを取得するステップと、
前記サンプルをボールミル粉砕・水洗・ふるい分けして、前記赤色光・近赤外発光材料を取得するステップと、を含むことを特徴とする赤色光・近赤外発光材料の調製方法。
【請求項6】
少なくとも励起光源および発光材料を含む発光デバイスであって、前記発光材料は、少なくとも請求項1~
4中のいずれか1項に記載の赤色光・近赤外発光材料を含む、ことを特徴とする発光デバイス。
【請求項7】
励起光源の発光ピーク波長範囲は250~320nm、400~500nmおよび550~700nmである、ことを特徴とする請求項
6に記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記励起光源の発光ピーク波長範囲は440~470nmである、ことを特徴とする請求項
7に記載の発光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光材料の分野に関し、具体的には、赤色光・近赤外発光材料、その調製方法、および発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セキュリティ監視、バイオメトリクス、3Dセンシング、食品/医療検査の分野での近赤外線の応用が国内外で注目を集めている。特に、650nm~1050nmの広域スペクトルは、水素含有基(O~H、N~H、C~H)振動の周波数倍増および結合周波数特性情報を含む。サンプルの近赤外広域スペクトルをスキャンすることにより、サンプル中の有機分子の水素含有基の特性情報を取得して、食品検査の分野で広く使用することができる。850~1000nmおよび1400~1700nmの広域スペクトルまたはマルチスペクトルは、医療検査、バイオメトリクス、およびセキュリティ監視の分野に適用できる。
【0003】
2016年以来、オスラムは食品検査用の650~1050nm広域スペクトル近赤外線光源を実現するために、世界で初めてブルーチップ複合近赤外蛍光粉末を市場に公開した。蛍光変換型近赤外技術は急速に発展し、近赤外発光材料は研究のホットスポットになっている。赤色光・近赤外発光材料に関しては、現在、《LaAlO3:Mn4+ as Near―Infrared Emitting Persistent Luminescence Phosphor for Medical Imaging:A Charge Compensation Study》(Materials 2017、10、1422)などの公開レポートがあり、化学組成がLaAlO3:Mn4+である蛍光粉末が開示されている。紫外線の励起下で、600nm~800nm間の赤色発光を生成でき、発光スペクトル範囲が狭く青色光では励起できない。特許《Near infrared doped phosphors having an alkaline gallate matrix》(EP2480626A2)には、組成がLiGaO2:0.001Cr3+、0.001Ni2+である蛍光粉末が開示されている。紫外線の励起下で1000nm~1500nm間の近赤外発光を生成でき、発光スペクトル範囲が狭く、発光強度が低く、該蛍光粉末は残光効果が長く、発光時間が数分続くため、発光デバイスには適していない。《希土類イオンドープCaWO4蛍光粉末の近赤外部量子調整に関する研究》(太原工学大学の修士論文、李云青、2015年)には、化学組成がCaWO4:1%Yb3+である蛍光粉末が開示されている。紫外線の励起下で、900nm~1100nmの近赤外発光を生成でき、発光スペクトル範囲が狭く、青色光で励起されなく発光強度が低い。《Ca3Sc2Si3O12:Ce3+、Nd3+近赤外蛍光粉末の調製および発光特性》(中国セラミック協会誌、2010年第38卷第10期)では、青色光の励起下で、蛍光粉末Ca3Sc2Si3O12:Ce3+、Nd3+は800nm~1100nm間の近赤外発光を生成できるが、発光強度が低いと考えられている。
【0004】
全体として、既存の公開特許または非特許文献から、次のことが分かる。1、紫外線、青色光、赤色光源で励起され、特に成熟した青色光源で励起されて強度が高い広域スペクトルまたはマルチスペクトルの赤色光・近赤外発光を生成できる材料はまだない。2、単一の励起光源とパッケージ形式で広域スペクトルまたはマルチスペクトルの赤色光・近赤外発光を生成できるデバイスはまだない。したがって、様々な光源/波長、特に青色光で励起され、広域スペクトルまたはマルチスペクトルの赤色光・近赤外線発光を生成できる高発光強度を備えた材料を開発する必要があり、該材料を使用して作製されるデバイスを近赤外検査技術に応用し、セキュリティ監視、バイオメトリクス、3Dセンシング、食品/医療検査の分野にも対応する。
【発明の概要】
【0005】
(一)発明の目的
本発明が解決しようとする問題は、上記の発光材料の欠陥である。その目的の1つは、赤色光・近赤外発光材料およびその調製方法を提供し、従来の赤色光・近赤外発光材料と比較して、該材料は、豊富な波長範囲(紫外線、紫色光または青色光)のスペクトルによって励起され、650nm~1700nmの広域スペクトルまたはマルチスペクトル発光を生成できる。さらに、本発明の別の目的は、単一の励起光源で、本発明の発光材料を使用して650nm~1700nmの範囲の赤色光・近赤外発光を生成できるデバイスを提供する。上記の目的を達成するために、本発明は、赤色光・近赤外発光材料およびその調製方法、ならびに該材料を含む発光デバイスを提供する。
【0006】
(二)技術的解決策
本発明の第1の態様は、赤色光・近赤外発光材料を提供する。該発光材料は、分子式aSc2O3
.Ga2O3
.bR2O3の化合物を含む。ここで、前記R元素は、Cr、Ni、Fe、Yb、NdまたはEr元素中の1つまたは2つを含み、かつ0.001≦a≦0.6、0.001≦b≦0.1である。
【0007】
さらに、前記化合物は、β-Ga2O3と同じ結晶構造を有する。
【0008】
さらに、0.15≦a≦0.35、かつ0.02≦b≦0.05である。
【0009】
さらに、R元素はCrを含む。
【0010】
さらに、R元素はCrである。
【0011】
さらに、R元素は、Ce、Eu、Tb、Bi、Dy、Prの1つまたは2つをさらに含む。
【0012】
本発明の第2の態様は、前記の赤色光・近赤外発光材料の調製方法を提供し、それは、
分子式の化学量論比に従って、原材料Sc2O3、Ga2O3およびR2O3を秤量するステップと、
上記の原材料を均一に粉砕・混合した後、坩鍋に投入し、1200~1600℃の高温炉内で、空気または窒素雰囲気下で2~10時間焼結するステップと、
炉で室温まで冷却し、焼結サンプルを取得するステップと、
前記サンプルをボールミル粉砕、水洗およびふるい分けして、前記赤色光・近赤外発光材料を取得するステップとを、含む。
【0013】
本発明の第3の態様は、発光デバイスを提供する。それは、少なくとも励起光源および発光材料を含み、前記発光材料は少なくとも上記の赤色光・近赤外発光材料を含む。
さらに、励起光源の発光ピーク波長範囲は250~320nm、400~500nmおよび550~700nmである。
【0014】
さらに、前記励起光源の発光ピーク波長範囲は440~470nmである。
【0015】
(三)有益な効果
本発明の上記の技術的解決策は、以下の有益な技術的効果を有する。
1、本発明は、広域スペクトルまたはマルチスペクトルの赤色光・近赤外発光を生成できる高強度の材料および発光デバイスを提供する。
2、該発光材料は、紫外線、青色光、赤色光源によって励起されて広域スペクトルまたはマルチスペクトルを生成できる。
3、該発光材料は、成熟した青色光源によって励起されて高強度の広域スペクトルまたはマルチスペクトル発光を生成し、発光強度が従来の材料よりも高い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例1によって得られた発光材料のXRD回折パターンスペクトル図である。
【
図2】本発明の実施例1によって得られた発光材料の励起発光スペクトル図である。
【
図3】本発明の実施例2によって得られた発光材料の励起発光スペクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的、技術的解決策および利点をより明確にするために、本発明を、具体的な実施形態と併せて図面を参照して、以下でさらに詳細に説明する。これらの説明は単なる例示であり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。なお、以下の説明では、本発明の概念を不必要に曖昧にすることを避けるために、周知の構造および技術の説明を省略する。
【0018】
本発明の第1の態様は、赤色光・近赤外発光材料を提供する。該発光材料は分子式aSc2O3
.Ga2O3
.bR2O3の化合物を含む。ここで、前記R元素は、Cr、Ni、Fe、Yb、NdまたはEr元素中の1つまたは2つを含み、かつ0.001≦a≦0.6、0.001≦b≦0.1である。
【0019】
好ましくは、前記aSc2O3
.Ga2O3
.bR2O3の化合物は、β-Ga2O3と同じ結晶構造を有する。Ga2O3にはα、β、γなどの5つのアロトロピック異性体があり、その中で、β-Ga2O3が最も安定しており、単斜晶系構造を有し、化学的に安定で、カチオンを簡単にドープできる特徴を有する。本発明において、β-Ga2O3は、遷移金属または希土類金属イオンを導入することにより、赤色光・近赤外の発光を達成することができる。さらに、同じグループの他の元素で置換することにより、スペクトルの調整・制御を実現できる。
【0020】
好ましくは、赤色光・近赤外発光材料の場合、a、bのさらなる値の範囲は、0.15≦a≦0.35、0.02≦b≦0.05である。
【0021】
本発明の赤色光・近赤外発光材料は、β-Ga2O3が、より大きな原子半径を有し、Gaカチオンを置換するSc元素がドープされ、β-Ga2O3の格子を拡張し、発光中心イオンおよびOアニオンの結合長が長くなって、結晶場強度の弱化や結晶場分裂を促進し、Crイオンの広帯域またはマルチスペクトル発光を実現し、且つScイオンの含有量が増えると、スペクトルの長波シフトを実現し、Sc2O3含有量が0.15≦a≦0.35である場合、本発明の発光材料はβ-Ga2O3構造であり、より高い発光強度を有し、aが0.15未満であると発光強度がやや低くなり、aが0.35を超えると、不純物層が発生する場合があることを特徴とする。R2O3中のR元素を発光中心として、組成が0.02≦b≦0.05である場合、本発明の発光材料は最も好ましい発光強度を有し、b<0.02の場合、発光中心が少なすぎるため、発光強度が低くなり、b>0.05の場合、発光中心の濃度が高すぎると濃度消光が発生し、発光強度も低下する。好ましくは、赤色光・近赤外発光材料において、R元素はCrを含む。
【0022】
好ましくは、赤色光・近赤外発光材料において、R元素はCrである。遷移金属イオンCr3+はGa3+と同様の半径を有し、Ga3+のねじれた八面体構造に容易にドープされ、且つCr3+のエネルギーレベルが結晶場強度の弱化とともに減少する可能性があり、スペクトルの長波シフトおよび幅広いピーク発光を実現し、近赤外の広域スペクトル発光を実現する。
【0023】
好ましくは、赤色光・近赤外発光材料はまた、Ce、Eu、Tb、Bi、Dy、Prの1つまたは2つを含む。Ce、Eu、Tb、Bi、Dy、Pr元素中1つまたは2つを導入すると、このような元素が発光中心元素Rにエネルギー伝達され、より強い赤色光および近赤外発光が得られる。
【0024】
本発明の第2の態様は、上記の赤色光・近赤外発光材料の調製方法を提供する。この方法は、
分子式の化学量論比に従って、原材料Sc2O3、Ga2O3およびR2O3を秤量するステップと、
上記の原材料を均一に粉砕・混合した後、坩鍋に投入し、温度1300~1500℃の高温炉内で、空気または窒素雰囲気下で2~10時間焼結するステップと、
炉で室温まで冷却し、焼結サンプルを取得するステップと、
前記サンプルをボールミル粉砕、水洗およびふるい分けして、前記赤色光・近赤外発光材料を取得するステップと、を含む。
【0025】
本発明の第3の態様は、発光デバイスを提供する。前記の赤色光・近赤外発光材料を、励起光源と組み合わせて使用することにより、発光デバイスを提供する。好ましくは、発光デバイスにおいて、励起光源の発光ピーク波長範囲は250~320nm、400~500nm、550~700nm、好ましくは440~470nmである。
【0026】
本発明をさらに説明するために、以下、実施例を参照して本発明によって提供される赤色光・近赤外発光材料およびその調製方法を詳細に説明する。これらの実施例は、本発明の技術的解決策を前提として実施され、本発明の特徴および利点をさらに説明するためにこの実施形態および具体的な操作手順を提示するが、本発明の特許請求の範囲を限定するものではなく、本発明の保護範囲も以下の実施例に限定されないことに留意されたい。
【0027】
以下の実施例で使用されるデバイスおよび試薬はすべて市販されている。
【0028】
比較例
化学式Sc0.98BO3:0.02Crの化学量論比に従って、Sc2O3、H3BO3およびCr2O3を正確に秤量し均一に混合して、混合物を取得した。得られた混合物を空気雰囲気下で、1300℃で8h焼結し、冷却した後、焼結生成物を得た。得られた焼結生成物をふるい分け、水洗などの後処理を行い、近赤外発光材料サンプルを取得した。
【0029】
得られた近赤外発光材料サンプルに対して460nmの励起試験を行った。比較例の発光ピークは810nmに位置し、半値幅は133nmであり、その相対的な発光強度を100に設定した。
【0030】
実施例1
化学式0.22Sc
2O
3
.Ga
2O
3
.0.04Cr
2O
3の化学量論比に従って、原材料Sc
2O
3、Ga
2O
3およびCr
2O
3を正確に秤量し、上記の原材料を均一に粉砕・混合した後、坩鍋に投入し、空気雰囲気下で、高温炉内で、1450℃で8時間焼結し、炉で室温まで冷却し、サンプルをボールミル粉砕、水洗およびふるい分けして実施例1の赤色光・近赤外発光材料を得た。実施例1によって得られた発光材料をX線回折により分析することにより、
図1に示すようなX線回折パターンを得た。回折パターンは、全体の回折ピークが小さい角度でわずかにシフトすることを除いて、PDFカード番号11~0370のβ-Ga
2O
3と同じであり、実施例1の構造はβ-Ga
2O
3構造であり、Sc元素の導入により、Scがドープされたβ-Ga
2O
3の固溶体であり、その格子が拡張し、格子面間の距離が増加していることを示す。
【0031】
実施例1で得られた発光材料を蛍光分光計で分析し、青色光460nmでの励起によりその発光スペクトルを取得した。該材料は青色光の励起下で赤色光・近赤外線スペクトルの広域スペクトル発光を有し、650nm~1050nmに達し、そのピーク波長は798nmであり、半値幅は141nmであり、798nmの発光を監視してその励起スペクトルを取得し、
図2に示した。該発光材料は、紫外線、紫色光、青色光および赤色光で効果的に励起され、広範囲の赤色光・近赤外を放出できることが分かる。その相対的な発光強度は309であった。
【0032】
実施例2
化学式0.001Sc2O3
.Ga2O3
.0.04Cr2O3の化学量論比に従って、原材料Sc2O3、Ga2O3およびCr2O3を正確に秤量し、上記の原材料を均一に粉砕・混合した後、坩鍋に投入し、空気雰囲気下で、高温炉内で、1490℃で8時間焼結し、炉で室温まで冷却し、サンプルをボールミル粉砕、水洗およびふるい分けして実施例2の赤色光・近赤外発光材料を取得した。
【0033】
実施例2で得られた発光材料を蛍光分光計で分析し、青色光460nmでの励起によりその発光スペクトルを取得した。該材料は青色光の励起下で赤色光・近赤外線スペクトルの広域スペクトル発光を有し、650nm~900nmに達し、そのピーク波長は734nmであり、半値幅は121nmであり、734nm発光を監視してその励起スペクトルを取得し、
図3に示した。該発光材料は、紫外線、紫色光、青色光および赤色光によって効果的に励起され、広範囲の赤色光・近赤外を放出できることが分かる。その相対的な発光強度は245であった。
【0034】
実施例3
化学式0.6Sc2O3
.Ga2O3
.0.04Cr2O3の化学量論比に従って、原材料Sc2O3、Ga2O3およびCr2O3を正確に秤量し、上記の原材料を均一に粉砕・混合した後、坩鍋に投入し、空気雰囲気下で、高温炉内で、1600℃で8時間焼結し、炉で室温まで冷却し、サンプルをボールミル粉砕、水洗およびふるい分けして実施例3の赤色光・近赤外発光材料を取得した。
【0035】
実施例3で得られた発光材料を蛍光分光計で分析し、青色光460nmでの励起によりその発光スペクトルを取得した。該材料は、青色光の励起下で赤色光・近赤外線スペクトルの広域スペクトル発光を有し、700nm~1050nmに達し、そのピーク波長は830nmであり、半値幅は143nmであり、その相対的な発光強度は258であった。
【0036】
実施例4~22に記載の赤色光・近赤外発光材料について、その化合物の組成式をそれぞれ下記表1に示す。各実施例における材料の調製方法は実施例1と同じであり、各実施例の目標化合物の化学式組成に応じて、適切な量の化合物を混合、粉砕し、適切な焼結条件を選択して、必要とする近赤外発光材料を取得すればよい。
【0037】
各実施例および比較例で調製した発光材料の性能を試験し、比較例および実施例1~22の460nmでの励起試験結果の発光性を下記表1に示す。
【0038】
【0039】
上記の表から分かるように、本発明の発光材料は、青色光の励起下での赤色光・近赤外線の広域スペクトル発光またはマルチスペクトル発光の特性を有し、従来の近赤外発光材料と比較すると、本発明の赤色光・近赤外発光材料はより高い発光強度を有する。
【0040】
以上のように、本発明は赤色光・近赤外発光材料およびその調製方法、ならびに該発光材料を含む発光デバイスを提供し、該赤色光・近赤外発光材料は、分子式aSc2O3
.Ga2O3
.bR2O3の化合物を含む。ここで、R元素は、Cr、Ni、Fe、Yb、NdまたはEr元素中の1つまたは2つを含み、かつ0.001≦a≦0.6、0.001≦b≦0.1である。該発光材料は、豊富な波長範囲(紫外線または紫色光または青色光)のスペクトルで励起されて650nm~1700nmの広域スペクトルまたはマルチスペクトル発光を生成でき、より高い発光強度を有する。
【0041】
なお、本発明の上記の具体的な実施形態は、本発明の原理を例示または説明するために使用され、本発明に対する限定を構成しないことを理解されたい。したがって、本発明の精神および範囲から逸脱することなく行われた修正、等価置換、改良なども、すべて本発明の保護範囲に含まれることに理解されたい。なお、本発明の添付の特許請求の範囲は、添付の請求の範囲および境界、またはそのような範囲および境界の同等の形態に含まれるすべての変更および修正を網羅することを意図している。