(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】表示ユニット
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20220516BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20220516BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G02F1/1333
G02F1/1335
G09F9/00 302
G09F9/00 338
(21)【出願番号】P 2021506236
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(86)【国際出願番号】 JP2020005207
(87)【国際公開番号】W WO2020189095
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-04-23
(31)【優先権主張番号】P 2019048310
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135448
【氏名又は名称】北川 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 輝
(72)【発明者】
【氏名】川路 浩徳
(72)【発明者】
【氏名】塩見 秀数
(72)【発明者】
【氏名】竹島 翔一
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-284700(JP,A)
【文献】国際公開第2018/225603(WO,A1)
【文献】特開2008-233733(JP,A)
【文献】特開2012-053364(JP,A)
【文献】特開2012-043165(JP,A)
【文献】特開2015-152681(JP,A)
【文献】特開2012-101975(JP,A)
【文献】特開2013-221985(JP,A)
【文献】特開2012-203202(JP,A)
【文献】特開2015-209349(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0080680(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0223722(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
G02F1/13-1/1334
1/1339-1/141
G09F9/00-9/46
H01L27/32
51/50
H05B33/00-33/28
45/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイカバー
と、
前記ディスプレイカバーの裏側に配置される表示装置と、を含み、
前記ディスプレイカバーは、
光透過性基材と、
開口部を有する第一遮光部と、
開口部を有する第二遮光部と、を含み、
前記第一遮光部は、前記光透過性基材の表側の面に設けられ、
前記第二遮光部は、前記光透過性基材の裏側の面に前記第一遮光部の前記開口部の端部に沿って設けられ、
前記第二遮光部の前記開口部は、前記第一遮光部の前記開口部と表裏方向に重なり、
前記第一遮光部の前記開口部と前記第二遮光部の前記開口部との表裏方向に重なる領域は、透光領域とな
り、
前記表示装置は、
画像を表示する表示領域と、
前記表示領域の周囲の非表示領域と、を含み、
前記表示装置の前記表示領域は、前記ディスプレイカバーの前記透光領域の裏側に配置され、
前記第二遮光部の前記開口部の端部は、前記ディスプレイカバーを表側から見た状態で、前記表示領域と前記非表示領域との境界より前記ディスプレイカバーの中心寄りに配置される、表示ユニット。
【請求項2】
前記第二遮光部の前記開口部の端部は、前記第一遮光部の前記開口部の内側に位置する、請求項1に記載の
表示ユニット。
【請求項3】
前記第一遮光部の領域が曲面である、請求項1又は請求項2に記載の
表示ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等の表示装置210には、表示領域260及び非表示領域262が存在する(
図17参照)。表示領域260は、画像を表示する。非表示領域262は、表示領域260の周囲に設けられる。表示装置210は、表側にディスプレイカバー230を有する。ディスプレイカバー230は、表示装置210全体を覆う。ディスプレイカバー230には、透光領域242及び非透光領域244が形成される。透光領域242は、表示装置210の表示領域260と対向するように配置される。非透光領域244は、表示装置210の非表示領域262と対向するように配置される。非透光領域244は、次の被覆対象物をディスプレイカバー230の表側から視認できないようにする。前述の被覆対象物の例としては、表示装置210の非表示領域262に配置される部品及び配線が挙げられる。
【0003】
非透光領域244は、光透過性基材232の表側の面に遮光部234を設けて形成される。光透過性基材232は、ディスプレイカバー230の主要部である。遮光部234は、着色層である。但し、特許文献1では、非透光領域は、光透過性基材の裏側の面に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示装置210は、ディスプレイカバー230との間に距離を有する。人がディスプレイカバー230の透光領域242と非透光領域244との境界付近を斜めの方向から見たとする(
図17で前述の境界付近に示す矢印参照)。この場合、この人が表示装置210の非表示領域262を視認できることがあった。また、光透過性基材232は、厚みを有する。人が前述の境界付近を斜めに見た場合、この人が遮光部234の裏側の光透過性基材232を通して表示装置210の非表示領域262を視認できることがあった。
【0006】
本発明は、表示装置の非表示領域が視認され難い表示ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、ディスプレイカバーと、前記ディスプレイカバーの裏側に配置される表示装置と、を含み、前記ディスプレイカバーは、光透過性基材と、開口部を有する第一遮光部と、開口部を有する第二遮光部と、を含み、前記第一遮光部は、前記光透過性基材の表側の面に設けられ、前記第二遮光部は、前記光透過性基材の裏側の面に前記第一遮光部の前記開口部の端部に沿って設けられ、前記第二遮光部の前記開口部は、前記第一遮光部の前記開口部と表裏方向に重なり、前記第一遮光部の前記開口部と前記第二遮光部の前記開口部との表裏方向に重なる領域は、透光領域となり、前記表示装置は、画像を表示する表示領域と、前記表示領域の周囲の非表示領域と、を含み、前記表示装置の前記表示領域は、前記ディスプレイカバーの前記透光領域の裏側に配置され、前記第二遮光部の前記開口部の端部は、前記ディスプレイカバーを表側から見た状態で、前記表示領域と前記非表示領域との境界より前記ディスプレイカバーの中心寄りに配置される、表示ユニットである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の表示ユニットによれば、表示装置の非表示領域を視認され難くすることができる。人は、表示装置の表示領域に表示される画像を、ディスプレイカバーの透光領域を通して視認することができる。このとき、人は、非表示領域を視認することができない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の表示ユニットの概略構成の一例を示す断面図であり、表示ユニットを表裏方向に切断して示す。
【
図2】実施形態のディスプレイカバーの概略構成の一例を示す正面図である。
【
図3】実施形態のディスプレイカバーの概略構成の一例を示す背面図である。
【
図4】実施形態の表示ユニットの概略構成の他の例を示す部分断面図であり、表示ユニットを表裏方向に切断して示す。第一遮光端が表示領域と非表示領域との境界と表裏方向に一致する場合を示す。
【
図5】実施形態の表示ユニットの概略構成の更に他の例を示す部分断面図であり、表示ユニットを表裏方向に切断して示す。第一遮光端が非表示領域と表裏方向に重なる場合を示す。
【
図6】フィルムインサート法による第一工程の一例を示す断面図である。透明フィルムが予備成形用の型枠に挿入された状態を示す。
【
図7】フィルムインサート法による第一工程の一例を示す断面図である。透明フィルムが予備成形用の型枠に密着した状態を示す。
【
図8】フィルムインサート法による第一工程の一例を示す断面図である。予備成形された透明フィルムが型枠から取り出された状態を示す。
【
図9】フィルムインサート法による第一工程の一例を示す断面図である。予備成形された透明フィルムが射出成形用の金型に挿入される状態を示す。
【
図10】フィルムインサート法による第一工程の一例を示す断面図である。予備成形された透明フィルムの裏側に樹脂が充填される状態を示す。
【
図11】フィルムインサート法による第一工程の一例を示す断面図である。光透過性基材及び第一遮光部が一体化した成形物が金型から取り出される状態を示す。
【
図12】インモールド法による第一工程の一例を示す断面図である。透明フィルムが射出成形用の金型の内側へ誘導された状態を示す。
【
図13】インモールド法による第一工程の一例を示す断面図である。透明フィルムが金型の片面に吸引された状態を示す。
【
図14】インモールド法による第一工程の一例を示す断面図である。透明フィルムの裏側に樹脂が充填される状態を示す。
【
図15】インモールド法による第一工程の一例を示す断面図である。光透過性基材及び第一遮光部が一体化した成形物が金型から取り出される状態を示す。
【
図16】実施形態の表示ユニットの概略構成の更に他の例を示す断面図であり、表示ユニットを表裏方向に切断して示す。
【
図17】従来の表示ユニットの概略構成の一例を示す断面図であり、表示ユニットを表裏方向に切断して示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成に置換してもよい。本発明は、他の構成を含んでもよい。図面は、所定の構成を模式的に示す。ハッチングは、切断面を示す。
【0011】
<表示ユニット1>
表示ユニット1について、
図1~5を参照して説明する。表示ユニット1は、ケース2と、表示装置10と、ディスプレイカバー30とを含む(
図1参照)。ケース2は、少なくとも表側に開口部を有する。表示装置10は、ケース2の内側に収納される。実施形態では、表示装置10として、液晶表示装置を例示する。ディスプレイカバー30は、表示装置10の表側に配置され、ケース2の表側の開口部を閉塞する。実施形態では、ケース2、表示装置10及びディスプレイカバー30は、表側から見て長方形の形状を有する。
【0012】
実施形態では、「表側」、「裏側」及び「表裏方向」を用いて、表示ユニット1、ケース2、表示装置10及びディスプレイカバー30を特定する。例えば、人は、表示ユニット1の表側にいて、表示装置10の表側に表示されるカラー画像を見る。裏側は、表側の反対側である。表裏方向は、表側から裏側への方向と、裏側から表側への方向とを含む。所定の対象物の「表面」は、その対象物の表側の面を意味する。所定の対象物の「裏面」は、その対象物の裏側の面を意味する。この他、「中央」は、所定の対象物を表側から見た場合、その対象物の中央を意味し、「中心」は、前述の場合、その対象物の中心を意味する。
【0013】
表示装置10は、液晶セル16と、バックライト11とを有する。液晶セル16及びバックライト11は、表裏方向に重なる。バックライト11は、液晶セル16の裏側から液晶セル16に向かって光を照射する。ケース2は、内側にフランジ14を含む。液晶セル16及びバックライト11は、それぞれフランジ14に取り付けられる。これに伴い、液晶セル16及びバックライト11の位置関係が固定される。例えば、この取り付けには、不図示の両面テープが用いられる。
【0014】
液晶セル16は、アレイ基板18と、対向基板20と、液晶層22と、カラーフィルタ層24と、ブラックマスク25と、偏光板26,27とを含む。対向基板20は、アレイ基板18の表側に設けられる。液晶層22は、アレイ基板18と対向基板20との間に挟まれる。カラーフィルタ層24は、対向基板20の裏面に設けられる。偏光板26は、アレイ基板18の裏面に設けられる。偏光板27は、対向基板20の表面に設けられる。偏光板27、対向基板20、カラーフィルタ層24、液晶層22、アレイ基板18及び偏光板26は、表裏方向の表側から裏側に向けて前述の順で一体をなし、液晶セル16を形成する。
【0015】
カラーフィルタ層24は、R(赤色)、G(緑色)及びB(青色)の3色のカラーフィルタを含む。RGBの3色のカラーフィルタは、カラーフィルタ層24の表面に平行な方向に順に並ぶ。この3色のカラーフィルタは、それぞれ1つの副画素に対応する。RGBの3つの副画素は、1つの画素を形成する。液晶セル16では、多数の画素がアレイ基板18の中央に並ぶ。一方、画素は、アレイ基板18の辺付近の領域には存在しない。
【0016】
ブラックマスク25は、アレイ基板18の画素が存在しない領域の表側に設けられる。ブラックマスク25は、光を透過させないマスク部である。ブラックマスク25は、アレイ基板18の辺付近の領域を覆う。これに伴い、アレイ基板18の辺付近の領域は、表側から視認されない。但し、ブラックマスク25は、省略してもよい。この場合、カラーフィルタ層24は、ブラックマスク25が設けられる領域まで拡張される。カラーフィルタ層24の拡張された領域の表側及び裏側の何れかの面には、ブラックマスクの層を形成してもよい。
【0017】
実施形態では、後述するように、ブラックマスク25が設けられていない領域は、表示装置10の表示領域60であり、ブラックマスク25が設けられる領域は、表示装置10の非表示領域62である。表示領域60には、上述した多数の画素が並ぶ。非表示領域62は、表示領域60を囲む。
【0018】
バックライト11は、導光板12と、複数の光源と、光学シート13とを含む(
図1参照)。実施形態では、光源の図示は、省略されている。導光板12は、表側から見て長方形の形状を有する。複数の光源は、導光板12の長方形の一辺に沿って並べられる。光学シート13は、導光板12の表面に積層される。導光板12、複数の光源及び光学シート13は、バックライトケース15に収納される。光源から発せられた光は、導光板12に入射した後、光学シート13を透過して表側へ出射される。バックライト11は、液晶セル16に向かって光を照射する。
【0019】
液晶セル16に入射した光に関し、液晶層22における透過率は、副画素毎に制御される。この透過率の制御は、不図示の駆動回路によって実行される。この駆動回路は、液晶層22に印加する電圧を制御する。表示装置10は、液晶層22において透過率が制御された光がカラーフィルタ層24を透過することで、カラー画像を表示する。
【0020】
表示装置10は、表示領域60と、非表示領域62とを含む(
図4,5参照)。表示装置10は、表側から見た場合、カラー画像を表示領域60に表示する。このカラー画像は、非表示領域62には表示されない。実施形態では、表示装置10を表側から見てブラックマスク25が設けられている領域が非表示領域62であり、表示領域60は、非表示領域62に囲まれる。
【0021】
ディスプレイカバー30は、表側から見て長方形の形状を有する。ディスプレイカバー30は、表示装置10全体を表側から覆う大きさを有する(
図1参照)。ディスプレイカバー30は、光透過性基材32と、第一遮光部34と、第二遮光部38とを含む。光透過性基材32は、無色透明である。第一遮光部34及び第二遮光部38は、着色層であり、光を透過させない。第一遮光部34及び第二遮光部38の色の例としては、黒色が挙げられる。
【0022】
第一遮光部34は、中央に長方形の開口部35を有する(
図2参照)。第一遮光部34は、光透過性基材32の表面に設けられる。第一遮光部34は、ディスプレイカバー30を表側から見てディスプレイカバー30の辺付近の領域全体に設けられる。
【0023】
第二遮光部38は、開口部37を有する(
図3参照)。第二遮光部38の開口部37は、第一遮光部34の開口部35と相似形状又は同一形状を有する。第二遮光部38は、外縁33が長方形となる枠形状を有する。第二遮光部38の外縁33は、第一遮光部34の開口部35と相似形状又は同一形状を有する。第二遮光部38は、光透過性基材32の裏面に第一遮光部34の開口部35の端部に沿って設けられる。実施形態では、この第一遮光部34の開口部35の端部を「第一遮光端36」という。表示装置10では、第二遮光部38は、第一遮光部34と表裏方向に重なり、第二遮光部38の開口部37は、第一遮光部34の開口部35と表裏方向に重なる(
図4,5参照)。
【0024】
第一遮光部34の開口部35と第二遮光部38の開口部37との表裏方向に重なる領域は、透光領域42となる。透光領域42では、光が表裏方向に透過する。透光領域42の周囲の領域は、非透光領域44となる。非透光領域44には、第一遮光部34及び第二遮光部38の少なくとも一方が存在する。そのため、非透光領域44では、光は表裏方向に透過しない。
【0025】
第二遮光部38の開口部37の端部は、第一遮光端36よりディスプレイカバー30の中心方向に位置する(
図4参照)。実施形態では、この第二遮光部38の開口部37の端部を「第二遮光端39」という。第二遮光端39は、透光領域42と非透光領域44との境界43を形成する。第二遮光端39は、第一遮光部34の開口部35の内側に位置する。
【0026】
第一遮光端36と第二遮光端39との次のずれは、諸条件を考慮して適宜設定される。前述のずれは、ディスプレイカバー30の表面に平行な方向へのずれである。前述のずれは、
図4,5を正面視した場合、第一遮光端36と第二遮光端39との左右方向へのずれである。例えば、このずれの設定には、光透過性基材32の厚みが考慮される。
【0027】
ディスプレイカバー30は、立体的な形状を有する。例えば、第一遮光部34の領域は、曲面46とされる(
図1参照)。曲面46は、表側から裏側に向かって湾曲する。曲面46によって、第一遮光部34の領域に滑らかな立体感を生じさせることができる。ディスプレイカバー30は、第一遮光部34の裏側に突出部48を含む(
図3参照)。例えば、突出部48は、リブとして機能する。突出部48によって、ディスプレイカバー30の強度を高めることが可能となる。
【0028】
光透過性基材32を形成する材料は、特に限定されない。この材料は、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、光透過性基材32は、合成樹脂製としてもよい。合成樹脂の例としては、ポリカーボネート、アクリル及びポリエチレンテレフタレートが挙げられる。第一遮光部34及び第二遮光部38を形成する材料は、特に限定されない。これらの材料は、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、これらの材料は、顔料又は染料を含んでもよい。顔料の例としては、カーボンブラックが挙げられる。第一遮光部34及び第二遮光部38の一方又は両方は、装飾されてもよい。例えば、第一遮光部34及び第二遮光部38の一方又は両方は、金属片によるラメ入りとしてもよい。
【0029】
ディスプレイカバー30は、表示ユニット1の一部として表示装置10の表側に配置される(
図4,5参照)。この場合、表示装置10の表示領域60は、ディスプレイカバー30の透光領域42の裏側に配置される。表示装置10の非表示領域62は、ディスプレイカバー30の非透光領域44の裏側に配置される。
【0030】
ディスプレイカバー30における境界43は、表示装置10における境界61よりもディスプレイカバー30の中心寄りの位置とすることが好ましい。境界43は、透光領域42と非透光領域44との境界である。境界61は、表示領域60と非表示領域62との境界である。
【0031】
第二遮光端39は、境界61よりディスプレイカバー30の中心寄りの配置としてもよく、第一遮光端36は、境界61と表裏方向に一致する配置としてもよい(
図4参照)。第一遮光端36が境界61と表裏方向に一致する配置は、第一遮光端36及び境界61が共に表裏方向に沿った仮想直線上に配置されているということもできる。
図4とは異なり、第二遮光端39は、境界61よりディスプレイカバー30の中心寄りの配置としてもよく、第一遮光端36は、非表示領域62と表裏方向に重なる配置としてもよい(
図5参照)。この他、第二遮光端39及び第一遮光端36の両方が境界61よりディスプレイカバー30の中心寄りの配置としてもよい(不図示)。
【0032】
上述した実施形態によれば、ディスプレイカバー30の非透光領域44は、表示装置10の非表示領域62を覆う。人は、表示装置10の表示領域60に表示される画像を、ディスプレイカバー30の透光領域42を通して視認することができる。このとき、人は、非表示領域62を視認することができない。
【0033】
表示ユニット1は、様々な製品用として利用することができる。前述の製品の例としては、カーナビゲーション及びコンビネーションメーターが挙げられる。
【0034】
<ディスプレイカバー30の製造方法>
ディスプレイカバー30の製造方法について、
図6~15を参照して説明する。ディスプレイカバー30の製造方法は、第一工程と、第二工程とを含む。第一工程は、光透過性基材32を形成する。例えば、光透過性基材32の厚さは、1mm以上3mm以下とされる。第二工程は、光透過性基材32の裏面に第二遮光部38を形成する。第一工程は、後述する予備成形を含む。更に、第一工程は、光透過性基材32の表面に第一遮光部34を形成する工程を含む。第二工程は、第二遮光部38を第一遮光端36に沿って形成する。
【0035】
第一工程は、フィルムインサート法とすることが好ましい(
図6~11参照)。但し、第一工程は、フィルムインサート法とは異なる手法としてもよい。例えば、第一工程は、インモールド法としてもよい(
図12~15参照)。
【0036】
第一工程をフィルムインサート法とする場合、第一工程は、透明フィルム70を用いる(
図6参照)。透明フィルム70は、光透過性基材32と同じ材料で形成される。例えば、透明フィルム70の厚さは、50μm以上500μm以下とされる。透明フィルム70は、片面に遮光層71を含む。遮光層71の形成法の例としては、印刷及びラミネートが挙げられる。遮光層71は、開口部を有する。遮光層71は、第一遮光部34となる。
【0037】
第一工程は、透明フィルム70に対する予備成形を含む。予備成形では、透明フィルム70は、予備成形用の型枠72に挿入されて加熱される。透明フィルム70は、この加熱によって軟化する。次に、透明フィルム70は、次の手法によって型枠72に密着する(
図7参照)。前述の手法の例としては、真空引きが挙げられる。これにより、透明フィルム70は、ディスプレイカバー30の表面の形状へと成形される。続けて、透明フィルム70は、型枠72から取り出される(
図8参照)。このとき、透明フィルム70に不要な部分があれば、その部分が透明フィルム70から除去される。
【0038】
予備成形された透明フィルム70は、射出成形用の一方の金型73に挿入される(
図9参照)。このとき、透明フィルム70は、表面でこの金型73の内面と接する。2つの金型73を閉じることで、表面で一方の金型73の内面と接する透明フィルム70の裏側には、キャビティが形成される(不図示)。2つの金型73が閉じられた後、樹脂76が透明フィルム70の裏側からキャビティに充填される(
図10参照)。樹脂76の充填後、樹脂76を冷却させた所定のタイミングで2つの金型73が開かれ、金型73から成形物が取り出される(
図11参照)。樹脂76は、光透過性基材32となり、遮光層71は、第一遮光部34となる。つまり、この成形物は、第一遮光部34が光透過性基材32の表側でこれと一体化した部材である。
【0039】
第一工程をインモールド法とする場合、第一工程は、透明フィルム70を用いる。透明フィルム70は、フィルムインサート法と同様、光透過性基材32と同じ材料で形成され、片面に遮光層71を含む。遮光層71の形成法も、上述した通りである。透明フィルム70は、箔送り装置75によって金型74の内側へ誘導される(
図12参照)。次に、透明フィルム70は、一方の金型74の内面に吸引される(
図13参照)。このとき、この金型74の内面と接する透明フィルム70の面を表面とする。2つの金型74を閉じることで、表面で一方の金型74の内面と接する透明フィルム70の裏側には、キャビティが形成される(不図示)。2つの金型74が閉じられた後、樹脂76が透明フィルム70の裏側からキャビティに充填される(
図14参照)。樹脂76の充填後、樹脂76を冷却させた所定のタイミングで2つの金型74が開かれ、金型74から成形物が取り出される(
図15参照)。樹脂76は、光透過性基材32となり、遮光層71は、第一遮光部34となる。つまり、この成形物は、第一遮光部34が光透過性基材32の表側でこれと一体化した部材である。
【0040】
第二工程は、第二遮光部38の形成法として印刷を採用する。但し、第二遮光部38の形成法は、印刷とは異なる手法としてもよい。この形成法は、諸条件を考慮して適宜決定される。第二遮光部38を印刷する場合、印刷法は、インクジェット印刷とすることが好ましい。例えば、インクジェット印刷は、次の第一特徴及び第二特徴を有する。第一特徴により、第二遮光部38を0.1mm単位で高精度に位置合わせすることができる。第二特徴により、第二遮光部38の形状を高精度に再現することができる。第二遮光部38をインクジェット印刷する場合、紫外線硬化型インクを用いることができる。紫外線硬化型インクが光透過性基材32の裏面に着弾した後、紫外線が光透過性基材32の裏面上の紫外線硬化型インクに照射される。紫外線の照射に伴い、紫外線硬化型インクは、光透過性基材32の裏面上で硬化し、第二遮光部38を形成する。但し、印刷法は、インクジェット印刷とは異なる手法としてもよい。このような印刷法の例としては、転写印刷が挙げられる。転写印刷は、オフセット印刷とも称される。
【0041】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0042】
(1)ディスプレイカバー30は、光透過性基材32と、第一遮光部34と、第二遮光部38とを含む。第一遮光部34は、開口部35を有し、光透過性基材32の表面に設けられる。第二遮光部38は、開口部37を有し、光透過性基材32の裏面に第一遮光端36に沿って設けられる。第一遮光端36は、第一遮光部34の開口部35の端部である。第二遮光部38の開口部37は、第一遮光部34の開口部35と表裏方向に重なる。開口部35,37の表裏方向に重なる領域は、透光領域42となる。そのため、表示ユニット1でディスプレイカバー30を次の第一態様及び第二態様とすることができる。第一態様では、表示装置10の表示領域60がディスプレイカバー30の透光領域42の裏側に配置される。第二態様では、表示装置10の非表示領域62がディスプレイカバー30の非透光領域44の裏側に配置される。透光領域42を通して表示装置10の表示領域60が視認できる。表示装置10の非表示領域62を視認され難くすることができる。
【0043】
光透過性基材32の表面に第一遮光部34を設けることで、第一遮光部34によって表示装置10の非表示領域62を隠すことができる。更に、第一遮光部34によって光透過性基材32の裏面の凹凸を隠すことができる。例えば、光透過性基材32の裏面には、突出部48が設けられる(
図3参照)。光透過性基材32の表面に第一遮光部34を設けることで、この突出部48を隠すことができる。
【0044】
第二遮光部38を光透過性基材32の裏面に第一遮光端36に沿って設けることで、人が第一遮光端36付近を斜めの方向から見たとしても、第二遮光部38によって表示装置10の非表示領域62を隠すことができる。ディスプレイカバー30によって表示装置10の非表示領域62を視認され難くすることができる。
【0045】
(2)第二遮光端39は、第一遮光部34の開口部35の内側に位置する。第二遮光端39は、第二遮光部38の開口部37の端部である。そのため、第二遮光部38によって表示装置10の非表示領域62を隠す効果を大きくすることができる。
【0046】
(3)第一遮光部34の領域は、曲面46とされる。そのため、ディスプレイカバー30に美感を生じさせることができる。
【0047】
(4)ディスプレイカバー30の製造方法は、第一工程と、第二工程とを含む。第一工程は、光透過性基材32を形成する。第二工程は、光透過性基材32の裏面に第二遮光部38を形成する。第一工程は、光透過性基材32の表面に開口部35を有する第一遮光部34を形成する工程を含む。第二工程は、第二遮光部38を第一遮光端36に沿って形成する。そのため、上述した有利な効果を奏するディスプレイカバー30を製造することができる。光透過性基材32の形成を射出成形とすることで、第一工程に、第一遮光部34を形成する工程を含ませることができる。光透過性基材32に第一遮光部34を効率的且つ確実に設けることができる。第二遮光部38の形成を印刷とすることで、第二遮光部38の位置及び形状の精度を良くすることができる。特に、印刷をインクジェット印刷とすることで、第二遮光部38をより精度良く形成することができる。
【0048】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は、適宜省略する。
【0049】
(1)表示装置10を設ける場所に凹部が形成される場合、表示装置10は、この凹部に収納されてもよい。例えば、表示ユニット1がカーナビゲーション用であるとする(
図16参照)。
図16に示す例では、表示ユニット1は、車のコンソール104に設けられる。凹部102は、車のコンソール104に形成され、表示装置10は、この凹部102に収納される。ディスプレイカバー30は、上記同様、凹部102の開口部を閉塞する。
【0050】
ディスプレイカバー30の第一遮光部34の領域は、曲面46とされる。この場合、曲面46は、次の部分と一体をなし、1つの曲面を形成してもよい(
図16参照)。前述の部分は、ディスプレイカバー30の周囲に配置されるコンソール104の部分である。この構成により、コンソール104のデザイン性を向上させることができる。
【0051】
表示装置10とディスプレイカバー30との間に距離がある場合、ディスプレイカバー30とは別に、内側カバーが表示装置10の表側に直接設けられてもよい。この場合、ディスプレイカバー30の透光領域42は、内側カバーを通して画像が表示される領域を表示領域として、その表示領域と対向して配置されてもよい。
【0052】
(2)表示ユニット1は、タッチパネルとしての機能を有してもよい。表示ユニット1がタッチパネルとして機能する場合、透明電極フィルムが表示装置10とディスプレイカバー30との間に設けられる。透明電極フィルムには、不図示の制御装置が接続される。人が表示ユニット1に触れると、透明電極フィルムの電極と人の指との間に静電容量が生じる。制御装置は、これをタッチ操作として検出する。例えば、制御装置は、この操作の検出に応じて、駆動回路を通して表示装置10に表示される画像を切り替える。
【0053】
(3)実施形態では、表示装置10として、液晶表示装置を例示した。表示装置は、液晶表示装置とは異なる表示装置であってもよい。例えば、表示装置は、有機ELディスプレイ又はプラズマディスプレイであってもよい。このような表示装置でも、液晶表示装置と同様、表示領域及び非表示領域が存在する。表示領域は、ディスプレイカバー30の透光領域42の裏側に配置される。
【符号の説明】
【0054】
1 表示ユニット、 2 ケース、 10 表示装置
11 バックライト、 12 導光板、 13 光学シート
14 フランジ、 15 バックライトケース、 16 液晶セル
18 アレイ基板、 20 対向基板、 22 液晶層
24 カラーフィルタ層、 25 ブラックマスク、 26 偏光板
27 偏光板、 30 ディスプレイカバー、 32 光透過性基材
33 外縁、 34 第一遮光部、 35 開口部、 36 第一遮光端
37 開口部、 38 第二遮光部、 39 第二遮光端
42 透光領域、 43 境界、 44 非透光領域、 46 曲面
48 突出部、 60 表示領域、 61 境界、 62 非表示領域
70 透明フィルム、 71 遮光層、 72 型枠、 73 金型
74 金型、 75 箔送り装置、 76 樹脂、 102 凹部
104 コンソール、 210 表示装置
230 ディスプレイカバー、 232 光透過性基材
234 遮光部、 242 透光領域、 244 非透光領域
260 表示領域、 262 非表示領域