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  • 特許-連結器及びその取外し具 図1
  • 特許-連結器及びその取外し具 図2
  • 特許-連結器及びその取外し具 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】連結器及びその取外し具
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20220517BHJP
   B25B 27/14 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
F16K27/00 B
B25B27/14 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017193990
(22)【出願日】2017-10-04
(65)【公開番号】P2019066009
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000039
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人 衞藤法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井口 英明
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-332818(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0066981(US,A1)
【文献】国際公開第2002/059513(WO,A1)
【文献】特開2016-210591(JP,A)
【文献】特開2010-196753(JP,A)
【文献】特開2016-180508(JP,A)
【文献】特開2011-117534(JP,A)
【文献】特開2009-103303(JP,A)
【文献】特開2003-028332(JP,A)
【文献】特開昭50-135622(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0022874(US,A1)
【文献】米国特許第05930884(US,A)
【文献】米国特許第05829111(US,A)
【文献】米国特許第04009743(US,A)
【文献】米国特許第01802687(US,A)
【文献】米国特許第00795876(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00-27/12
F16K 1/00- 3/36
F16K 11/00-11/24
F16K 31/00-31/11
F16K 31/44-31/62
B25B 27/14
B66B 31/00-31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータとバルブに着脱可能な状態で挟持されるアクチュエータとバルブの連結器であって、前記バルブがバルブ本体の外周に突出したフランジ部を備え、前記連結器が前記フランジ部の外周に喰い込んで前記連結器の脱離を阻止する弾性変形可能な一対の爪部と、前記アクチュエータに締結される固定部を備え、前記一対の爪部が互いに相対する位置に設けられているとともに、前記フランジ部が複数の切欠部を備え、前記切欠部に沿って嵌合される複数のガイド部を備えていること特徴とする連結器。
【請求項2】
請求項1に記載された連結器の取外しに用いられ、テコの原理を用いて前記爪部を弾性変形させて前記フランジ部から解除する冶具であって、把持片と、該把持片から延設された解除片を備え、該解除片の先端側は、前記爪部を弾性変形させる方向へ湾曲しているとともに、前記爪部に当接する段部が形成されていることを特徴とする取外し具。
【請求項3】
前記取外し具が、さらに指掛片を備えていることを特徴とする請求項に記載の取外し具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータとバルブの連結器及びその取外し具に関するものであり、さらに詳しくは、アクチュエータをバルブへ容易に着脱可能とされた連結器及びその取外し具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配管にはバルブが設置され、バルブの開閉により流体の流れが制御されている。バルブの開閉操作の駆動部は、アクチュエータと呼ばれ、その作動方式は、空気式、電気式、油圧式、ソレノイド式など種々の方式が用いられている。
【0003】
このようなアクチュエータが連結されているアクチュエータ付バルブは、保守点検の観点から、アクチュエータとバルブが互いに着脱可能に構成されている。例えば特許文献1には、ボルトを水平位置に設けてボルトの締め操作を容易としたアクチュエータ付バルブが提案されている。また例えば特許文献2には、スプリングクリップを用いて着脱可能に構成されたアクチュエータ付バルブが、さらに特許文献3には、湾曲した鐙金を有するブラケットでバルブを挟持するように構成されたアクチュエータ付バルブが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第4633897号明細書
【文献】米国特許第8632054号明細書
【文献】米国特許第6848672号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記に提示した特許文献等は、未だ改良の余地が残されていた。特許文献1に開示されているアクチュエータ付バルブは、ボルトなどの締結具を用いてアクチュエータとバルブを着脱可能に固定されているため、アクチュエータの交換時には、締結を解除する作業スペースを要するという問題があった。そもそも、配管は、省スペースとなるよう配置されることが多く、1本の配管の周囲に、直径の異なる配管が複数本配置されている。したがって、配管周囲は作業スペースが乏しく、このような場所でアクチュエータとバルブを既存の締結具を用いて締結を解除する作業は実に困難を要する。
【0006】
特許文献2に開示されているアクチュエータ付バルブは、湾曲したスプリングピンを用いるため、複雑な構造になるうえに、製作コストが嵩むという問題があった。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の課題に鑑みなされたものであり、締結具を使用することなく、製作コストを低廉化し、アクチュエータとバルブが容易に着脱可能な連結器及びその取外し具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、本発明の連結器は、アクチュエータとバルブに着脱可能な状態で挟持されるアクチュエータとバルブの連結器であって、前記バルブがバルブ本体の外周に突出したフランジ部を備え、前記連結器が前記フランジ部の外周に喰い込んで前記連結器の脱離を阻止する弾性変形可能な爪部を備えるとともに前記アクチュエータに締結される固定部を備えていることを第1の特徴とする。
【0010】
また、前記フランジ部が少なくとも1つの切欠部を備え、前記連結器が前記切欠部に沿って嵌合される少なくとも1つのガイド部を備えていることを第2の特徴とする。
【0011】
そして、本発明の連結器の取外し具は、テコの原理を用いて前記爪部を弾性変形させて前記フランジ部から解除する取外し具であって、把持片と、該把持片から延設された解除片を備え、該解除片の先端側は、前記爪部を弾性変形させる方向へ湾曲しているとともに、前記爪部のみに当接する段部が形成されていることを第1の特徴とする。
【0012】
また、前記取外し具が、さらに指掛片を備えていることを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以下の優れた効果を有する。
(1)アクチュエータが固定される連結器と、バルブのフランジ部に対して、フランジ部の外面に喰い込んで弾性変形可能な爪部により係合させているため、アクチュエータをバルブにワンタッチで接続可能であり、また、爪部の係合を解除するだけで、容易にバルブからアクチュエータを取り外すことができる。したがって、狭小な作業スペースでも取付け及び取外作業が容易となるとともに、着脱作業時間を短縮することができる。また、アクチュエータと連結器の固定部の締結を解除することで、アクチュエータのみ分離し交換することができる。
(2)バルブのフランジ部に設けられた切欠部と、これに嵌合されるガイド部を連結器に備えているため、バルブに対して、連結器並びにアクチュエータが回動することを防ぐことができる。
(3)専用取外し具を使用することで、爪部を容易に弾性変形させ、バルブから連結器を外すことが可能となる。また、マイナスドライバーなど既存の工具を用いた場合に比べて、プラスチック製のバルブや連結器が擦り傷などにより損傷することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るアクチュエータとバルブの連結器の一実施例を示す分解斜視図である。
図2図1における連結器の(a)が平面方向視の斜視図、(b)が底面方向視の斜視図である。
図3】本発明に係る取外し具を説明する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施例を示す図面に基づき本発明の実施の形態を説明するが、本発明が本実施例に限定されないことは言うまでもない。図1は、本発明の一実施例を示し、エア式ボールバルブ1の分解斜視図である。
【0016】
エア式ボールバルブ1は、配管に接続されるバルブ本体2と、固設されたアクチュエータ4とともにバルブ本体2にワンタッチで接続される連結器3から構成されている。
【0017】
バルブ本体2は、本実施例において、ボールバルブである。バルブ本体2は、弁軸21が上部に突出して設けられており、その上端部に円盤状のフランジ部22が設けられている。フランジ部22の側周には、複数の切欠部221が設けられており、これら切欠部221に対応してガイド部32が嵌合される。
【0018】
バルブ本体2の材質は特に限定されないが、プラスチック製のものが好ましく、使用されるプラスチックとしては、例えば、PTFE、PVDF、ポリ塩化ビニル(以下、PVC)、ポリエチレン(以下、PE)、ポリプロピレン(以下、PP)、などが挙げられ、使用する条件や環境に適した物性を有するプラスチックであれば何れでも使用することができる。
【0019】
アクチュエータ4は、ピストンやシャフトが内蔵され、弁軸21を介してバルブ本体2内の弁体を作動させる。本実施例においては、エア式アクチュエータを採用しているが、これに限定するものではなく、電動式など種々のアクチュエータとすることができる。
【0020】
連結器3は、図1及び図2に示すように、取付孔35が穿設されており、この取付孔35にボルト等の締結部材5を挿通させ、アクチュエータ4へ固定される。アクチュエータ4と連結器3の固定方法は、これに限らず、種々の方法で固定出来れば良く、いわゆる固定部を備えていれば良い。連結器3は、下方に向かって突出するように一対の爪部31が互いに相対する位置に形成されている。これによりフランジ部22の外周に爪部31を喰い込ませるように係合させて連結器3をバルブ本体2へ装着することができる。また、爪部31の両側は、連結器3の側面から上面へと続くスリット33が形成されている。そのため、爪部31がフランジ部22に喰い込む方向、又はその反対方向へ弾性変形し易くされるとともに、その可動域が大きくなるよう構成されている。したがって、爪部31がフランジ22に係合した状態を解除可能となり、ひいては連結器3をバルブ本体2から離脱させることができる。
【0021】
連結器3の底面には、図2(b)に示すように、一対の爪部31を外周の一部とするように所定高さの環状壁34が設けられ、アクチュエータ4とバルブ本体2間に所定のクリアランスをもたらす。環状壁34には、その内周側に突出するガイド部32が、前述した切欠部221に対応する位置に、複数設けられている。したがって、バルブ本体2に対して、連結器3並びにアクチュエータ4が回動することを防ぐことができる。また、爪部31の爪先312は、環状壁34の内周に合わせて円弧状に形成されており、フランジ部22の外周から爪先312が容易に離脱し易いよう構成されている。
【0022】
次に、本発明に係る取外し具について説明する。本発明に係る取外し具7は、図3に示すように、テコの原理を用いて爪部31を弾性変形させ、フランジ部22から爪部31の係合状態を解除するものである。尚、図3(a)は、取外し具7を爪部31へ配置した状態を示し、図3(b)は、爪部31を弾性変形させた状態を示す。
【0023】
取外し具7は、作業者が把持する把持片71と、把持片71を基端として一体的に延設された解除片72と、把持片71を基端として一体的に延設された指掛片73を備えた略Y字状の板体である。取外し具7の表面及び裏面には、凹面74が設けられ、周面75と凹面74とで段差が設けられ、作業時に指先を掛けて作業を行えるよう構成されている。また、取外し具7に紐やチェーン等を通して作業者が移動できるよう、通し孔76が穿設されている。
【0024】
解除片72の先端側(バルブ本体2に当接する側)は、図3(a)に示すように、湾曲部721が形成されている。湾曲部721は、バルブ本体2に当接させてテコの原理の支点として、解除片72の先端は、テコの原理の作用点として機能させるため、湾曲部721は、テコの原理が有利に働く方向、すなわち爪部31を弾性変形させる方向へ湾曲している。
【0025】
解除片72の先端は、段部722が形成されている。したがって、解除片72の先端が確実に爪部31の頂面311に当接し、爪部31を弾性変形する方向へ押圧することができる。
【0026】
以上のようにして構成された取外し具7は、作業者が把持片71を片手で把持し、解除片72の先端をフランジ部22の下方に差し込み、湾曲部721をバルブ本体2の外面に当接させるとともに、段部722を爪部31の先端である頂面311に当接させ、湾曲部721を支点としてテコの原理が働く方向へ力を加えるだけで、図3(b)に示すように、爪先312を変形させてフランジ部22の外周から容易に離脱させることができる。
【0027】
尚、本発明に係る取外し具7においては、上述したように、把持片71と解除片72を備えていれば良く、テコの原理を利用して爪部31を変形させる点が要点であり、指掛片73、凹面74を備えていなくとも、取外し具として機能することは自明の理である。しかしながら、握り易さなど作業性の点では、指掛片73、凹面74を備えていることで把持手法に多様性をもたらすことができる。
【0028】
また、本発明に係る連結器は、連結器3に設けられた爪部31と、バルブ本体2に設けられたフランジ部22が、ワンタッチで容易に着脱可能とされたことを要旨とする。そのため、例えばガイド部32及び切欠部221を設けずに、連結器3とバルブ本体2が互いに回動可能に構成されていても良く、図示した例に限定されるものではない。また、バルブ本体2も図示したボールバルブに限定されるものではなく、ダイヤフラムバルブやストップバルブなど、種々のバルブを用いても良い。
【符号の説明】
【0029】
1 エア式ボールバルブ
2 バルブ本体
21 弁軸
22 フランジ部
221 切欠部
3 連結器
31 爪部
311 頂面
312 爪先
32 ガイド部
33 スリット
34 環状壁
35 取付孔(固定部)
4 アクチュエータ
5 締結部材
7 取外し具
71 把持片
72 解除片
721 湾曲部
722 段部
73 指掛片
74 凹面
75 周面
図1
図2
図3