(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】トランスデューサ
(51)【国際特許分類】
H04R 17/00 20060101AFI20220517BHJP
H01L 41/09 20060101ALI20220517BHJP
H01L 41/053 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
H04R17/00
H01L41/09
H01L41/053
(21)【出願番号】P 2017144971
(22)【出願日】2017-07-26
【審査請求日】2020-05-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【氏名又は名称】天野 一規
(72)【発明者】
【氏名】宮田 智矢
(72)【発明者】
【氏名】三木 晃
(72)【発明者】
【氏名】土橋 優
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-000753(JP,A)
【文献】特開2015-091069(JP,A)
【文献】特開昭57-015600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 17/00
H01L 41/09
H01L 41/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響空間を形成する筐体と、
前記音響空間内に配設され、厚さ方向に伸縮する多孔質膜を有するシート状の圧電素子と
を備え、
前記圧電素子が屈曲又は湾曲して多層に折り畳まれ、
前記折り畳みによって隣接する層が、
空隙を介して互いに固定されないで配されているトランスデューサ。
【請求項2】
前記圧電素子を揺動可能に被覆する被覆部材を有する請求項1に記載のトランスデューサ。
【請求項3】
前記被覆部材が袋体である請求項2に記載のトランスデューサ。
【請求項4】
柔軟性を有し、前記圧電素子を支持する支持部材をさらに備え、
前記袋体が前記支持部材に接続されている請求項3に記載のトランスデューサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスデューサに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子を用いたトランスデューサが広く用いられている。このトランスデューサは、例えば圧電膜と、この圧電膜の両面に積層される一対の電極とを有する圧電素子と、この圧電素子の振動が伝達されることで振動する振動板とを有する発音装置として構成される。このトランスデューサは、前記一対の電極に交流電圧が印加されることで前記圧電膜が振動し、この振動が伝達されることで前記振動板が振動する。この振動板の振動により、このトランスデューサは音声を発生可能に構成されている。
【0003】
また今日では、圧電素子を用いたトランスデューサとして、圧電素子の振動によって直接音声を発生させる構成のものも提案されている(特開2015-91069号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記公報に記載の圧電スピーカは、多孔質圧電層と内部電極とが交互に積層される積層体を有し、この積層体の積層方向と垂直な方向の両側に一対の外部電極が配設される積層型圧電体を備える。この圧電スピーカは、外部電極に電圧が印加されると多孔質圧電層が積層方向に伸縮することで放音可能に構成されている。
【0006】
しかしながら、前記公報に記載の圧電スピーカは、多孔質圧電層の振幅が積層型圧電体の表面面積に依存する。そのため、この圧電スピーカは、所望の音を発生させるためには多孔質圧電層のサイズが大きくなる。従って、この圧電スピーカは、比較的大型のスピーカとしては用いることができるものの、イヤホン、ヘッドホン等の音響機器や、携帯情報端末等の比較的小型の機器には用い難い。
【0007】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、本発明の目的は、十分に小型化を図ることができるトランスデューサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するためになされた本発明は、音響空間を形成する筐体と、前記音響空間内に配設され、多孔質膜を有するシート状の圧電素子とを備え、前記圧電素子が屈曲又は湾曲しているトランスデューサである。
【0009】
前記圧電素子が多層に折り畳まれているとよい。
【0010】
前記折り畳みによって隣接する層が接触していないとよい。
【0011】
前記圧電素子を揺動可能に被覆する被覆部材を有するとよい。
【0012】
前記被覆部材が袋体であるとよい。
【0013】
柔軟性を有し、前記圧電素子を支持する支持部材をさらに備え、前記袋体が前記支持部材に接続されているとよい。
【0014】
前記筐体に接続される芯柱をさらに備え、前記圧電素子が前記芯柱を巻回しているとよい。
【0015】
なお、本発明において、「圧電素子が芯柱を巻回している」とは、圧電素子の最内周の内面が芯柱の外周面に接している構成の他、圧電素子の最内周の内面が芯柱の外周面と離間している構成も含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るトランスデューサは、前記圧電素子が屈曲又は湾曲していることで、この圧電素子の表面面積を十分に確保しつつ、この圧電素子の平面面積を小さくすることができる。そのため、当該トランスデューサは、前記多孔質膜の表面面積を十分に高めつつ、この圧電素子を比較的平面面積の小さい筐体内に配設することができる。当該トランスデューサは、例えば発音装置として用いられる場合、前記多孔質膜がその厚さ方向に膨張収縮する(振動する)ことで発音をすることができる。また、屈曲又は湾曲した圧電素子が開放空間に配設されている場合、この圧電素子からの音の放音方向と反対側に存在する領域からの音は相殺されて、音楽や音声の発生に寄与し難い。これに対し、前記圧電素子が音響空間内に配設される場合、前記多孔質膜の膨張収縮に伴う全ての振動を音圧として取り出しやすい。すなわち音響空間内の圧力の変化として取り出しやすい。そのため、当該トランスデューサは、十分に小型化を図ることができ、このように小型化を図った場合でも十分な音声を発生することができる。なお、「圧電素子の表面面積」とは、屈曲又は湾曲していない展開状態における圧電素子の平面視の表面面積をいう。また、「圧電素子の平面面積」とは、屈曲又は湾曲状態における圧電素子の平面視面積をいう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るトランスデューサを示す模式的断面図である。
【
図2】
図1のトランスデューサの圧電素子を示す模式的断面図である。
【
図3】
図1のトランスデューサとは異なる形態に係るトランスデューサを示す模式的断面図である。
【
図4】
図3のトランスデューサの圧電素子及び被覆部材を示す模式的斜視図である。
【
図5】
図1及び
図3のトランスデューサとは異なる形態に係るトランスデューサを示す模式的斜視図である。
【
図6】
図5のトランスデューサの模式的断面図である。
【
図7】
図1、
図3及び
図5のトランスデューサとは異なる形態に係るトランスデューサを示す模式的断面図である。
【
図8】
図1、
図3、
図5及び
図7のトランスデューサとは異なる形態に係るトランスデューサを示す模式的斜視図である。
【
図9】
図8のトランスデューサの模式的断面図である。
【
図10】
図1、
図3、
図5、
図7及び
図8のトランスデューサとは異なる形態に係るトランスデューサの圧電素子を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0019】
[第一実施形態]
<トランスデューサ>
図1のトランスデューサ1は発音装置として構成されている。当該トランスデューサ1は、音響空間Xを形成する筐体2と、音響空間X内に配設され、多孔質膜11を有するシート状の圧電素子3とを備える。また、当該トランスデューサ1は、圧電素子3を揺動可能に被覆する被覆部材としての袋体4と、柔軟性を有し、圧電素子3を支持する支持部材5とを備える。音響空間Xは密閉空間として構成される。当該トランスデューサ1は、音響機器用発音装置であって、詳細にはヘッドホンに備えられるヘッドホン用発音装置である。なお、筐体が「音響空間を形成する」とは、使用状態において筐体内の領域が音響空間として形成されることをいい、例えば筐体の内面と使用者の身体(耳及び耳の周縁部)とに囲まれた領域が音響空間として形成されることをいう。
【0020】
(筐体)
本実施形態において、筐体2はヘッドホンの筐体を兼ねている。筐体2は、有底筒状の基台部2aを有しており、この基台部2aの内部に圧電素子3が配設されている。基台部2aは、開放側端部が使用者に装着される装着側端部を構成している。なお、本発明においては、基台部2aの内面及び使用者の身体(耳及び耳の周縁部)によって音響空間Xが画定されることが好ましい。
【0021】
基台部2aによって形成される音響空間Xの容積の下限としては、10cm3が好ましく、30cm3がより好ましい。一方、前記音響空間Xの容積の上限としては、130cm3が好ましく、60cm3がより好ましい。前記音響空間Xの容積が前記下限より小さいと、基台部2aの内部に配設される圧電素子3の表面面積を十分に大きくすることが困難になるおそれがある。逆に、前記音響空間Xの容積が前記上限を超えると、基台部2aが不要に大きくなり、当該トランスデューサ1を備える機器(本実施形態においてはヘッドホン)の使用性が低下するおそれがある。
【0022】
基台部2aの平均開口面積の下限としては、25cm2が好ましく、30cm2がより好ましく、45cm2がさらに好ましい。一方、基台部2aの平均開口面積の上限としては、65cm2が好ましく、55cm2がより好ましく、50cm2がさらに好ましい。前記平均開口面積が前記下限より小さいと、基台部2aの内部に配設される圧電素子3の表面面積を十分大きくすることが困難になるおそれがある。逆に、前記平均開口面積が前記上限を超えると、基台部2aが不要に大きくなり、当該トランスデューサ1を備える機器の使用性が低下するおそれがある。なお、「基台部の平均開口面積」とは、基台部の筒状部位の内側に形成される中空領域における筒状部位の軸と垂直方向の空間面積の平均値をいう。
【0023】
(圧電素子)
圧電素子3は可撓性を有する。圧電素子3は、
図2に示すように、多孔質膜11と、多孔質膜11の両面に積層される一対の膜状の電極12a,12bとを有する。圧電素子3は、一対の電極12a,12bが最外層を構成する3層体である。また、圧電素子3は、外部へ電気信号を出力するリード線が接続される端子(不図示)を有する。圧電素子3は発音体として構成されており、リード線を介して一対の電極12a,12bに交流電圧が印加されることで、多孔質膜11が厚さ方向に振動することにより放音可能に構成されている。
【0024】
多孔質膜11は柔軟性を有する。多孔質膜11は、ポリエチレンテレフタレート、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリプロピレン等の合成樹脂を主成分とする。また、多孔質膜11は、分極処理によりエレクトレット化されている。前記分極処理方法としては、特に限定されるものではなく、例えば直流又はパルス状の高電圧を印加して電荷を注入する方法、γ線や電子線等の電離性放射線を照射して電荷を注入する方法、コロナ放電処理によって電荷を注入する方法等が挙げられる。なお、「主成分」とは、最も含有量の多い成分をいい、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。
【0025】
多孔質膜11の平均厚さの下限としては、10μmが好ましく、50μmがより好ましい。一方、多孔質膜11の平均厚さの上限としては、500μmが好ましく、200μmがより好ましい。前記平均厚さが前記下限より小さいと、多孔質膜11の強度(剛性)が不十分となり、後述するように多孔質膜11を屈曲又は湾曲させた場合に、この屈曲又は湾曲状態を維持し難くなるおそれがある。逆に、前記平均厚さが前記上限を超えると、多孔質膜11の重さが増加して、屈曲又は湾曲形状によっては所望の姿勢を維持し難くなるおそれがある。
【0026】
一対の電極12a,12bの材質としては、導電性を有する限り特に限定されないが、例えばアルミニウム、銀、金、白金、銅などの各種金属やこれら金属の合金、カーボン等が挙げられる。
【0027】
一対の電極12a,12bの平均厚さとしては、積層方法にもよるが、0.1μm以上30μm以下とすることができる。一対の電極12a,12bは、多孔質膜11が屈曲又は湾曲形状を維持するための補強部としての機能を有する。この点に関し、前記平均厚さが前記下限より小さいと、多孔質膜11の形状を十分に維持し難くなるおそれがある。逆に、前記平均厚さが前記上限を超えると、多孔質膜11の屈曲部や湾曲部において、一対の電極12a,12bの剥がれや断裂等が生じやすくなるおそれがある。
【0028】
圧電素子3は屈曲又は湾曲している。また、圧電素子3は、適度な剛性を有しており、多孔質膜11が振動した場合でも屈曲又は湾曲状態が損なわれないよう設けられている。圧電素子3の屈曲又は湾曲形状としては、特に限定されるものではなく、例えばジグザグ折り、クロス折り、巻き折り、ロール折り等によって屈曲又は湾曲した形状が挙げられる。但し、圧電素子3は、屈曲又は湾曲状態で一方の電極12a及び他方の電極12bが物理的に接触しないことが必要であることから、一方の電極12a及び他方の電極12bの物理的接触を起こしにくい構成として、ジグザグ折りによって屈曲していることが好ましい。ここで、「物理的接触」とは、屈曲又は湾曲状態で対向する一対の電極が接触して多孔質膜の膨張収縮を阻害したり圧電素子の表面積を減らしたりするようなもの、及び対向する一対の電極が意に反して電気的に接触することを意味する。なお、当該トランスデューサ1は、ジグザグ折り、クロス折り、巻き折り、ロール折り等によって屈曲している場合、対面する一方の電極12a及び他方の電極12bの間に絶縁部材を介在させることで一方の電極12a及び他方の電極12bの電気的接触を防止してもよい。また、この当該絶縁部材は、圧電素子3の発音を阻害しないように、薄く膜状に形成したり、又は一対の電極12a,12b間を維持できるように一対の電極12a,12b間に部分的に配置してもよい。
【0029】
圧電素子3の表面面積の下限としては、100cm2が好ましく、500cm2がより好ましく、700cm2がさらに好ましい。一方、圧電素子3の表面面積の上限としては、1500cm2が好ましく、1200cm2がより好ましく、1000cm2がさらに好ましい。前記表面面積が前記下限より小さいと、多孔質膜11の振幅を十分に高めることができないおそれがある。逆に前記表面面積が前記上限を超えると、圧電素子3が不要に大きくなり、当該トランスデューサ1を備える機器の使用性が低下するおそれがある。
【0030】
圧電素子3の表面形状としては、特に限定されるものではないが、矩形状であることが好ましい。多孔質膜11の振幅は、多孔質膜11表面の長さに依存するため、圧電素子3の表面形状を矩形状とし、かつ圧電素子3の長手方向長さを比較的長くすることで多孔質膜11の振幅を大きくしやすい。また、圧電素子3の表面形状を矩形状とすることで、短手方向に沿って折り曲げ部が形成されるように圧電素子3をジグザグ折り、巻き折り、クロス折り、ロール折り等によって折り曲げやすい。
【0031】
圧電素子3の表面形状が矩形状である場合、この圧電素子3の長手方向長さの下限としては、10cmが好ましく、25cmがより好ましく、40cmがさらに好ましい。一方、圧電素子3の長手方向長さの上限としては、100cmが好ましく、90cmがより好ましく、80cmがさらに好ましい。前記長手方向長さが前記下限より小さいと、多孔質膜11の振幅を十分高めることができないおそれがある。逆に、前記長手方向長さが前記上限を超えると、屈曲又は湾曲状態で圧電素子3の姿勢を維持し難くなるおそれがある。
【0032】
圧電素子3は、多層に折り畳まれていることが好ましい。特に圧電素子3は、ジグザグ折りによって多層に折り畳まれていることが好ましい。当該トランスデューサ1は、圧電素子3が多層に折り畳まれていることによって、圧電素子3の表面面積を十分に大きくしつつ、この圧電素子3を音響空間X内に収容しやすい。特に当該トランスデューサ1は、圧電素子3がジグザグ折りによって多層に折り畳まれていることで、圧電素子3の長手方向長さを大きくして多孔質膜11の振幅を大きくしやすいと共に、一方の電極12a及び他方の電極12bの電気的接触を容易かつ確実に防止することができる。
【0033】
圧電素子3が多層に折り畳まれる場合、この圧電素子3の層数の下限としては、3が好ましく、5がより好ましい。一方、圧電素子3の層数の上限としては、10が好ましく、8がより好ましい。前記層数が前記下限より小さいと、圧電素子3の表面面積を十分に大きくすることができないおそれがある。逆に、前記層数が前記上限を超えると、圧電素子3の姿勢が不安定になるおそれがある。
【0034】
多層に折り畳まれた状態におけるこの圧電素子3の平面面積の下限としては、1cm2が好ましく、4cm2がより好ましい。一方、前記平面面積の上限としては、65cm2が好ましく、40cm2がより好ましい。前記平面面積が前記下限より小さいと、圧電素子3を所望の姿勢に維持した状態で、この圧音発音体3の表面面積を十分に大きくすることが困難になるおそれがある。逆に、前記平面面積が前記上限を超えると、当該トランスデューサ1のサイズが大きくなり過ぎて、当該トランスデューサ1を備える機器の使用性が低下するおそれがある。
【0035】
圧電素子3が多層に折り畳まれる場合、折り畳みによって隣接する層は接触していないことが好ましい。このように折り畳みによって隣接する層が接触していないことによって、各層における多孔質膜11の振幅を高めることができ、ひいては多孔質膜11全体の振幅を十分に大きくすることができる。なお、当該トランスデューサ1にあっては、前記折り畳みによって隣接する全ての層が全面的に接触しないことが好ましい。但し、当該トランスデューサ1は、圧電素子3が多層に折り畳まれる場合、端子の短絡を防止するため、例えば長手方向の支持部材5によって支持される側の端部(端子部)を支持部材5側に折り返してもよい。この場合、前記端子部は隣接する層と接触していてもよい。また、一対の電極12a,12b間の電気的な短絡を防ぐために、圧電素子3を一旦半分に折り曲げ、一方の電極が露出しないようにしてから、多層に折り畳んでもよい。このように、一方の電極が露出しないように折り曲げた後に圧電素子3を折り畳むことで、一対の電極12a,12b間の短絡を確実に防止することができる。
【0036】
当該トランスデューサ1は、圧電素子3の屈曲部又は湾曲部における一対の電極12a,12bの剥がれを抑制すると共にこれらの部分の姿勢を維持しやすいように、これらの部分の内面及び/又は外面に補強材を積層してもよい。前記補強材としては、例えば合成樹脂シートが挙げられる。
【0037】
(袋体)
袋体4は、多孔質膜11の厚さ方向の振動を規制しないように圧電素子3を被覆している。袋体4は、開口側の端部が支持部材5に接続されている。これにより、圧電素子3は袋体4及び支持部材5によって包囲されている。また、袋体4は、圧電素子3の外面の一部と接するよう、圧電素子3の外面を覆っており、これにより圧電素子3の姿勢が意図せず変形することを抑制している。当該トランスデューサ1は、圧電素子3を揺動可能に被覆する被覆部材を有することによって、圧電素子3を屈曲又は湾曲状態で所望の姿勢に保持しやすい。また、当該トランスデューサ1は、前記被覆部材が袋体4であるため、この被覆部材が多孔質膜11に対する物理的な干渉、具体的にはジグザグ構造によって対向している電極12a,12b同士が接触して圧電素子3の表面積が減ることや、対向している電極12a,12b同士が接触して多孔質膜11の膨張収縮を阻害することを抑制し、圧電素子3から放射される音を十分に大きくすることができる。
【0038】
袋体4は伸縮性を有する。また、袋体4は柔軟性を有することが好ましい。さらに、袋体4は多孔質膜11の振動の伝達を阻害しないよう複数の開口を有することが好ましい。袋体4は、例えば伸縮性メッシュによって形成されている。袋体4の材質としては、導電性を有さず、比較的比重の小さい繊維が好ましく、例えばポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリ乳酸繊維等のポリエステル繊維、ポリウレタン弾性繊維(スパンデックス)、ポリカーボネート繊維、ポリスチレン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、フッ素系樹脂繊維などが挙げられる。中でも、伸縮性に優れるポリウレタン弾性繊維が好ましい。
【0039】
(支持部材)
支持部材5は柔軟性を有する。支持部材5は、柔軟性を有することで多孔質膜11の振動が筐体2に伝達されることを抑制する。支持部材5は互いに平行に配される底面及び支持面を有し、前記支持面に圧電素子3が配設されている。これにより、圧電素子3は筐体2と直接的には接していない。支持部材5は全体として直方体状に形成されている。支持部材5の底面は筐体2に固定されており、詳細には基台部2aの底部に固定されている。また、支持部材5の側面には袋体4の開口側の端部が接続されている。当該トランスデューサ1は、圧電素子3を支持する支持部材5を有し、袋体4がこの支持部材5に接続されているので、支持部材5及び袋体4によって圧電素子3を包囲することができ、これにより圧電素子3を屈曲又は湾曲した状態で所望の姿勢に保持しやすい。
【0040】
支持部材5は、圧電素子3の支持面に固定されていてもよく、固定されていなくてもよい。圧電素子3が支持部材5に固定されない場合、圧電素子3の支持部材5側の最外層の振動特性が低下することを抑制しやすい。一方、圧電素子3が支持部材5に固定される場合、圧電素子3の姿勢がより安定する。圧電素子3が支持部材5に固定される場合、例えば圧電素子3の前記支持面と対面する外面全体が前記支持面に固定されてもよく、前記外面が散点的に前記支持面に固定されてもよい。
【0041】
支持部材5の形成材料としては、柔軟性を有すると共に圧電素子3を支持面側に安定的に保持できる限り特に限定されるものではなく、例えばフェルト、不織布、合成樹脂等が挙げられる。中でも、柔軟性及び圧電素子3を配設した状態での形状安定性に優れるフェルトが好ましい。
【0042】
<利点>
当該トランスデューサ1は、多孔質膜11がその厚さ方向に膨張収縮する(振動する)ことで発音をすることができる。当該トランスデューサ1は、圧電素子3が屈曲又は湾曲していることで、この圧電素子3の表面面積を十分に確保しつつ、この圧電素子3の平面面積(平面視における面積)を小さくすることができる。そのため、当該トランスデューサ1は、多孔質膜11の振幅を十分に高めつつ、圧電素子3を比較的平面面積の小さい筐体2内に配設することができる。また、屈曲又は湾曲した圧電素子が開放空間に配設されている場合、この圧電素子の放音方向と反対側に存在する領域からの音は相殺されて、音楽や音声の発生に寄与し難い。これに対し、圧電素子3が音響空間X内に配設される場合、多孔質膜11の膨張収縮に伴う全ての振動を音圧として取り出しやすい。すなわち音響空間X内の圧力の変化として取り出しやすい。そのため、当該トランスデューサ1は、小型化を図った場合でも十分な音声を発生することができる。
【0043】
また、当該トランスデューサ1は、袋体4が圧電素子3を揺動可能に被覆しているので筐体2の振動がノイズになり難い。特に当該トランスデューサ1は、多孔質膜11が比較的軽いことから、筐体2の振動がノイズになることをより抑制しやすい。
【0044】
[第二実施形態]
<トランスデューサ>
図3のトランスデューサ21は発音装置として構成されている。当該トランスデューサ21は、音響空間Xを形成する筐体22と、音響空間X内に配設され、多孔質膜を有するシート状の圧電素子23とを備える。また、当該トランスデューサ21は、圧電素子23を揺動可能に被覆する被覆部材24を備える。当該トランスデューサ21は、音響機器用発音装置であり、詳細にはイヤホンに備えられるイヤホン用発音装置である。
【0045】
(筐体)
本実施形態において、筐体22はイヤホンの筐体を兼ねている。筐体22は、有底筒状の基台部22aを有しており、この基台部22aの内部に圧電素子23が配設されている。基台部22aは、開放側が使用者に装着される装着側に位置するよう構成されている。基台部22aの内部容積としては、
図1の基台部2aの内部容積と同様とすることができるが、イヤホンのサイズに合わせて
図1の基台部2aの内部容積よりも小さくすることも可能である。
図1の基台部2aの内部容積よりも小さい場合における基台部22aの内部容積としては、例えば0.03cm
3以上2cm
3以下とすることができる。
【0046】
(圧電素子)
圧電素子23は、可撓性を有する。圧電素子23は、
図2の圧電素子3と同様、多孔質膜と、多孔質膜の両側に積層される一対の膜状の電極とを有する。圧電素子23は、一対の電極が最外層を構成する3層体である。圧電素子23の多孔質膜及び一対の電極の材質及び平均厚さは
図2の圧電素子3と同様とすることができる。
【0047】
圧電素子23は湾曲しており、具体的にはロール状に巻回されている。詳細には、圧電素子23は表面形状が矩形状であり、長手方向が巻回方向となるようロール状に巻回されている。圧電素子23は、一方の電極及び他方の電極が電気的に接触しないよう、各層間に絶縁部材を介在させてもよい。また、圧電素子23は、端子の短絡を防止するため、端子が形成される径方向外側の端部を被覆部材24側に折り返してもよい。また、一対の電極間の電気的な短絡を防ぐために、圧電素子23を一旦半分に折り曲げ、一方の電極が露出しないようにしてから、ロール状に巻回してもよい。このように、一方の電極が露出しないように折り曲げた後に圧電素子3を巻回することで、一対の電極間の短絡を確実に防止することができる。
【0048】
圧電素子23の表面面積としては、
図2の圧電素子3の表面面積と同様とすることができるが、イヤホンのサイズに合わせて圧電素子3の表面面積よりも小さくすることも可能である。
図2の圧電素子3の表面面積よりも小さい場合における圧電素子23の表面面積としては、例えば2cm
2以上15cm
2以下とすることができる。
【0049】
湾曲状態における圧電素子23の最外周面の平均径の下限としては、3mmが好ましく、5mmがより好ましい。一方、前記平均径の上限としては、15mmが好ましく、10mmがより好ましい。前記平均径が前記下限より小さいと、前記多孔質膜の振幅を十分高めることができないおそれがある。逆に、前記平均径が前記上限を超えると、圧電素子23を収容する筐体22のサイズが大きくなり過ぎて、当該トランスデューサ21をイヤホンに適用し難くなるおそれがある。
【0050】
圧電素子23の長手方向長さとしては、
図2の圧電素子3の長手方向長さと同様とすることができるが、イヤホンのサイズに合わせて圧電素子3の長手方向長さよりも小さくすることも可能である。
図2の圧電素子3の長手方向長さよりも小さい場合における圧電素子23の長手方向長さとしては、例えば2cm以上15cm以下とすることができる。
【0051】
(被覆部材)
被覆部材24は、
図4に示すように、円筒状に形成され、巻回状態の圧電素子23の外周面を外側から支持する。これにより、被覆部材24は、圧電素子23の姿勢が意図せず変形することを抑制している。被覆部材24は柔軟性を有しており、圧電素子23及び筐体22間に介在している。これにより、圧電素子23は筐体22と直接的には接していない。被覆部材24は、圧電素子23及び筐体22間に介在することで多孔質膜の振動が筐体22に伝達されることを抑制する。当該トランスデューサ21は、圧電素子23を揺動可能に被覆する被覆部材24を有することによって、圧電素子23を湾曲状態で所望の姿勢に保持しやすい。被覆部材24は、例えば
図1の袋体4と同様、伸縮性メッシュによって形成されてもよく、発泡体(スポンジ)によって形成されてもよい。また、被覆部材24は、
図1の袋体4と同様、複数の開口を有していてもよい。
【0052】
<利点>
当該トランスデューサ21は、圧電素子32が湾曲していることで、この圧電素子3の表面面積を十分に確保することができ、これにより多孔質膜の振幅を十分に高めつつ、この圧電素子3を比較的平面面積の小さい筐体22内に配設することができる。そのため、当該トランスデューサ21は、小型化を図った場合でも十分な音声を発生することができる。
【0053】
[第三実施形態]
<トランスデューサ>
図5及び
図6のトランスデューサ31は発音装置として構成されている。当該トランスデューサ31は、音響空間Xを形成する筐体22と、音響空間X内に配設され、多孔質膜を有するシート状の圧電素子33とを備える。また、当該トランスデューサ31は、筐体22に接続される芯柱34を備える。当該トランスデューサ31は、音響機器用発音装置であり、詳細にはイヤホンに備えられるイヤホン用発音装置である。当該トランスデューサ31の筐体22としては、
図3のトランスデューサ21の筐体22と同様のため、同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
圧電素子33は湾曲しており、具体的にはロール状に巻回されている。圧電素子33は、一方の電極及び他方の電極が電気的に接触しないよう、各層間に絶縁部材を介在させてもよい。また、圧電素子33は、端子の短絡を防止するため、端子が形成される径方向外側の端部を折り返してもよい。圧電素子33の具体的構成としては、
図3のトランスデューサ21の圧電素子23と同様とすることができる。
【0055】
芯柱34は棒状に構成されており、より詳細には円柱状又は多角柱状に構成されている。芯柱34は剛性部材によって構成されている。芯柱34は、筐体22の基台部22aの内面から解放側に向けて筐体22の軸方向に立設されている。芯柱34は、基台部22aと別体として形成されたうえ基台部22aに固定されてもよいが、基台部22aと一体的に形成されることが好ましい。芯柱34の先端部は基台部22aの開放側の端部よりも外側に突出している。この芯柱34の先端部には、例えばイヤピース(不図示)が接続される。
【0056】
当該トランスデューサ31は、圧電素子33が芯柱34を巻回している。圧電素子33は、芯柱34及び基台部22aには固定されていないことが好ましい。
【0057】
<利点>
当該トランスデューサ31は、圧電素子33が芯柱34を巻回した状態で基台部22aの内部に配設されており、圧電素子33の平均径を小さくしつつ、この圧電素子33の表面面積を十分に確保することができる。そのため、当該トランスデューサ31は、多孔質膜の振幅を十分に高めることができる。また、当該トランスデューサ31は、基台部22aが一方側にのみ解放されているので、この開放端側から多孔質膜の膨張収縮に伴う全ての振動を音圧として取り出しやすい。従って、当該トランスデューサ31は、小型化を図った場合でも十分な音声を発生することができる。
【0058】
[第四実施形態]
<トランスデューサ>
図7のトランスデューサ41は発音装置として構成されている。当該トランスデューサ41は、音響空間Xを形成する筐体42と、音響空間X内に配設され、多孔質膜を有するシート状の圧電素子33とを備える。また、当該トランスデューサ41は、筐体42に接続される芯柱34を備える。当該トランスデューサ41は、音響機器用発音装置であり、詳細にはイヤホンに備えられるイヤホン用発音装置である。当該トランスデューサ41は、筐体42の基台部42aに厚さ方向に貫通する貫通孔42bが形成されている。当該トランスデューサ41は、筐体42の基台部42aに貫通孔42bが形成される以外、
図5のトランスデューサ31と同様の構成を有する。
【0059】
貫通孔42bは、音響空間Xを形成する筐体42内、詳細には基台部42a内、に外部の振動を伝達可能に構成されている。貫通孔42bは、基台部42aの底部に形成されている。貫通孔42bの平均径及び個数は、音響空間Xに取り入れる振動の周波数を所望の範囲に調整できるよう、必要に応じて調整可能である。
【0060】
<利点>
当該トランスデューサ41は、筐体42に外部の振動を伝達可能な貫通孔42bが形成されているので、貫通孔42bに基づくヘルムホルツ共鳴により、例えば低音域の音を増幅させる等、音色や音量を調整することができる。
【0061】
[第五実施形態]
<トランスデューサ>
図8及び
図9のトランスデューサ51はマイクロホンとして構成されている。当該トランスデューサ51は、音響空間Xを形成する筐体52と、音響空間X内に配設され、多孔質膜を有するシート状の圧電素子33とを備える。また、当該トランスデューサ51は、筐体52に接続される芯柱54を備える。当該トランスデューサ51の圧電素子33としては、
図5のトランスデューサ31の圧電素子33と同様のため、同一符号を付して説明を省略する。
【0062】
筐体52は、内部空間を有する箱型の基台部52aを有する。具体的には、基台部52aは、
図3のトランスデューサ21の基台部22aの開放側端部を蓋部52bで封止した構成とすることができる。当該トランスデューサ21は、この基台部52aの内部空間が音響空間Xとして構成されている。
【0063】
芯柱54は筒状に構成されている。つまり、芯柱54の内部には軸方向の両端に亘って貫通孔54aが形成されている。芯柱54は蓋部52bを厚さ方向に貫通している。芯柱54は、蓋部52bの内外方向に突出している。芯柱54の蓋部52bの内面側に突出する先端の開口は音響空間Xに開放されている。また、芯柱54の蓋部52bの外面側に突出する先端の開口は外気に開放されている。
【0064】
当該トランスデューサ51は、圧電素子33が芯柱54を巻回している。圧電素子33は、芯柱54及び基台部52aには固定されていないことが好ましい。
【0065】
<利点>
当該トランスデューサ51は、外部の振動を伝達可能な貫通孔52aが形成されているので、例えば蓋部52bに対する芯柱54の配設位置を調整することで、ヘルムホルツ共鳴の周波数を調整することができる。そのため、当該トランスデューサ51は、マイクロホンとして用いられる場合、音響空間Xの共振周波数によって所望の周波数特性に調整することができる。
【0066】
[その他の実施形態]
前記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、前記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて前記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0067】
例えば、当該トランスデューサは、
図10に示すように、それぞれロール状に巻回された複数の圧電素子63が筐体の基台部62aから立設して設けられていてもよい。またこの場合、各圧電素子63に巻回される複数の芯柱(不図示)をさらに有していてもよく、各圧電素子63を仕切るための枠体(不図示)をさらに設けてもよい。
図10のトランスデューサは、密に巻回した複数の圧電素子63を近接してアレイ状に配設することでアレイスピーカとして用いることができる。
【0068】
また、
図11に示すように、圧電素子73は、ロール状に巻回される最内周側の端部の内面が芯柱74に固定されもよく、最外周側の端部の外面が支持部材75に固定されてもよい。なお、この支持部材75は、剛性を有していてもよく、柔軟性を有していてもよい。このように、圧電素子73の最内周側の端部及び/又は最外周側の端部を固定すると共にこれらの端部以外の部分を固定しないことによって、圧電素子73を密に巻回することが容易となる。また、この構成によると、圧電素子73が径方向外側に十分に解放されることで前記多孔質膜が厚さ方向に膨張収縮しやすくなる。
【0069】
当該トランスデューサは、前記圧電素子が屈曲又は湾曲状態を維持できる限り、例えば
図1及び
図3の構成において、必ずしも前述の被覆部材を有しなくてもよい。また、当該トランスデューサは、例えば
図5、
図7、
図8、
図10及び
図11の構成において、圧電素子を揺動可能に被覆する被覆部材を有していてもよい。
【0070】
当該トランスデューサが筐体に接続される芯柱を有する場合でも、前記圧電素子は必ずしもこの芯柱を巻回していなくてもよい。また、圧電素子が芯柱を巻回する場合でも、この圧電素子は、例えばジャバラ状(ジグザグ状)に折り畳んだ状態で芯柱を巻回してもよい。さらに、前記圧電素子は軸と垂直方向の断面が円環状となるように芯柱を巻回しなくてもよく、例えば軸と垂直方向の断面が多角環状となるように芯柱を巻回してもよい。加えて、前記圧電素子は、芯柱を螺旋状に巻回してもよい。
【0071】
前記芯柱は、必要に応じて湾曲できるよう弾性部材によって構成されてもよい。
【0072】
当該トランスデューサがマイクロホンとして構成される場合について、前記実施形態では、芯柱の貫通孔のみから外部の振動を音響空間に伝達する構成について説明した。この点に関し、当該トランスデューサは、芯柱の貫通孔に加え、基台部の底部にも外部の振動を音響空間に伝達するための貫通孔が形成されてもよい。
【0073】
当該トランスデューサは、例えばヘッドホン、イヤホン又はスピーカ以外の発音装置として構成されてもよく、その他の音響機器として構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上説明したように、本発明のトランスデューサは、十分に小型化を図ることができるので、ヘッドホン、イヤホン、マイクロホン等、小型の音響機器に用いられるのに適している。
【符号の説明】
【0075】
1,21,31,41,51 トランスデューサ
2,22,42,52 筐体
2a,22a,42a,52a,62a 基台部
3,23,33,63,73 圧電素子
4 袋体
5,75 支持部材
11 多孔質膜
12a,12b 電極
24 被覆部材
34,54,74 芯柱
42b,54a 貫通孔
52b 蓋部
X 音響空間