IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-文書処理装置及び文書処理プログラム 図1
  • 特許-文書処理装置及び文書処理プログラム 図2
  • 特許-文書処理装置及び文書処理プログラム 図3
  • 特許-文書処理装置及び文書処理プログラム 図4
  • 特許-文書処理装置及び文書処理プログラム 図5
  • 特許-文書処理装置及び文書処理プログラム 図6
  • 特許-文書処理装置及び文書処理プログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】文書処理装置及び文書処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04842 20220101AFI20220517BHJP
【FI】
G06F3/0484 120
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017208313
(22)【出願日】2017-10-27
(65)【公開番号】P2019082748
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2020-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾藤 幸司
【審査官】日比野 可奈子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-501026(JP,A)
【文献】特開2002-108897(JP,A)
【文献】特開2011-028560(JP,A)
【文献】特表2013-538397(JP,A)
【文献】特開2000-066795(JP,A)
【文献】特開2015-194808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書処理アプリケーションに対する命令を入力するための操作を利用者から受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部が単一操作を受け付けた場合に、前記文書処理アプリケーションの表示画面に表示される、前記文書処理アプリケーションに対する命令が割り当てられたボタンの表示と非表示を、前記単一操作を受け付ける度に切り替える表示切替処理を実行する処理実行部と、
を備え、
前記文書処理アプリケーションは、処理対象の電子文書に付されたオブジェクトの表示、及び、前記オブジェクトに関する処理が可能であり、
前記単一操作は、前記オブジェクトに関する処理を実行するための操作であり、
前記処理実行部は、前記単一操作を受け付けたときに、前記表示画面に表示された前記オブジェクトが選択状態又は編集状態であるか否かを判定し、前記オブジェクトが選択状態又は編集状態であり、且つ、前記操作受付部の操作に応じて画面上を移動するカーソルが当該オブジェクトの表示領域以外の位置にある場合に、前記表示切替処理を実行しない、
ことを特徴とする文書処理装置。
【請求項2】
前記ボタンには、処理対象の電子文書にオブジェクトを付与する命令が割り当てられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の文書処理装置。
【請求項3】
前記ボタンは、前記カーソルの近傍に表示される、
ことを特徴とする請求項2に記載の文書処理装置。
【請求項4】
前記処理実行部は、前記文書処理アプリケーションの表示画面のうち、前記カーソルが、処理対象の電子文書が表示される文書表示領域内の任意の位置にあるときに、前記操作受付部が前記単一操作を受け付けた場合に前記表示切替処理を実行する、
ことを特徴とする請求項3に記載の文書処理装置。
【請求項5】
前記ボタンの表示と非表示との切り替えが可能な表示切替モード、前記ボタンを常時表示させる固定表示モード、及び、前記ボタンを表示させない非表示モードの中から前記ボタンの表示モードを選択するモード選択部、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の文書処理装置。
【請求項6】
前記単一操作は、前記操作受付部としてのマウスを左クリックする操作である、
ことを特徴とする請求項1に記載の文書処理装置。
【請求項7】
文書処理アプリケーションを実行するための文書処理プログラムであって、
コンピュータを、
文書処理アプリケーションに対する命令を入力するための操作を利用者から受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部が単一操作を受け付けた場合に、前記文書処理アプリケーションの表示画面に表示される、文書処理アプリケーションに対する命令が割り当てられたボタンの表示と非表示を、前記単一操作を受け付ける度に切り替える表示切替処理を実行する処理実行部と、
として機能させ、
前記文書処理アプリケーションは、処理対象の電子文書に付されたオブジェクトの表示、及び、前記オブジェクトに関する処理が可能であり、
前記単一操作は、前記オブジェクトに関する処理を実行するための操作であり、
前記処理実行部は、前記単一操作を受け付けたときに、前記表示画面に表示された前記オブジェクトが選択状態又は編集状態であるか否かを判定し、前記オブジェクトが選択状態又は編集状態であり、且つ、前記操作受付部の操作に応じて画面上を移動するカーソルが当該オブジェクトの表示領域以外の位置にある場合に、前記表示切替処理を実行しない、
ことを特徴とする文書処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書処理装置及び文書処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子文書の処理(編集あるいは管理など)を行う種々の文書処理アプリケーションが知られている。例えば、非特許文献1には、現実に机の上に並んだ紙文書を扱うような感覚で電子文書の処理が可能な文書処理アプリケーションが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】DocuWorks 8,富士ゼロックス,"http://www.fujixerox.co.jp/product/catalog/pdf/docuworks8_1307_7.pdf"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、文書処理アプリケーションにおいては、文書アプリケーションに対する命令が割り当てられたボタンが表示される。例えば、処理対象の電子文書が表示される文書表示領域を有しており、文書表示領域の周辺領域(例えば文書表示領域の上側の領域)にツールバーが用意され、当該ツールバーには、文書処理アプリケーションが実行可能な命令(機能)が割り当てられたボタンが含められる。通常1つのツールバーには複数のボタンが含まれ、複数のツールバーが表示される場合もある。ユーザは、ツールバーのボタンを選択することで、文書処理アプリケーションに対して容易に命令を入力することができる。ツールバーのボタンの選択は、例えば、マウスなどの操作に応じて画面上を移動するカーソルをボタン上に移動させた上で左クリック操作などを行うことによって実行される。
【0005】
また、例えば、命令が割り当てられたボタンを文書表示領域内に表示させる(以下このようなボタンを「文書表示領域内ボタン」と記載する)場合もある。文書表示領域内ボタンを表示させることで、命令の入力ために必要なカーソルの移動距離が短縮され、すなわち操作が簡略化される。
【0006】
しかしながら、このようなボタンを常時表示させておくと、文書アプリケーションの表示画面が煩雑になってしまう場合がある。例えば、文書表示領域内ボタンを常時表示させた場合、文書表示領域内ボタンが邪魔になって電子文書の視認性が低下してしまう場合がある。
【0007】
本発明の目的は、文書処理アプリケーションに表示されるボタンの表示と非表示とを簡易な操作で切り換えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、文書処理アプリケーションに対する命令を入力するための操作を利用者から受け付ける操作受付部と、前記操作受付部が単一操作を受け付けた場合に、前記文書処理アプリケーションの表示画面に表示される、前記文書処理アプリケーションに対する命令が割り当てられたボタンの表示と非表示を、前記単一操作を受け付ける度に切り替える表示切替処理を実行する処理実行部と、を備え、前記文書処理アプリケーションは、処理対象の電子文書に付されたオブジェクトの表示、及び、前記オブジェクトに関する処理が可能であり、前記単一操作は、前記オブジェクトに関する処理を実行するための操作であり、前記処理実行部は、前記単一操作を受け付けたときに、前記表示画面に表示された前記オブジェクトが選択状態又は編集状態であるか否かを判定し、前記オブジェクトが選択状態又は編集状態であり、且つ、前記操作受付部の操作に応じて画面上を移動するカーソルが当該オブジェクトの表示領域以外の位置にある場合に、前記表示切替処理を実行しない、ことを特徴とする文書処理装置である。
【0010】
請求項に係る発明は、前記ボタンには、処理対象の電子文書にオブジェクトを付与する命令が割り当てられている、ことを特徴とする請求項1に記載の文書処理装置である。
【0011】
請求項に係る発明は、前記ボタンは、前記操作受付部の操作に応じて画面上を移動するカーソルの近傍に表示される、ことを特徴とする請求項に記載の文書処理装置である。
【0012】
請求項に係る発明は、前記処理実行部は、前記文書処理アプリケーションの表示画面のうち、前記カーソルが、処理対象の電子文書が表示される文書表示領域内の任意の位置にあるときに、前記操作受付部が前記単一操作を受け付けた場合に前記表示切替処理を実行する、ことを特徴とする請求項に記載の文書処理装置である。
【0013】
請求項に係る発明は、前記ボタンの表示と非表示との切り替えが可能な表示切替モード、前記ボタンを常時表示させる固定表示モード、及び、前記ボタンを表示させない非表示モードの中から前記ボタンの表示モードを選択するモード選択部、をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の文書処理装置である。
【0014】
請求項に係る発明は、前記単一操作は、前記操作受付部としてのマウスを左クリックする操作である、ことを特徴とする請求項1に記載の文書処理装置である。
【0015】
請求項7に係る発明は、文書処理アプリケーションを実行するための文書処理プログラムであって、コンピュータを、文書処理アプリケーションに対する命令を入力するための操作を利用者から受け付ける操作受付部と、前記操作受付部が単一操作を受け付けた場合に、前記文書処理アプリケーションの表示画面に表示される、文書処理アプリケーションに対する命令が割り当てられたボタンの表示と非表示を、前記単一操作を受け付ける度に切り替える表示切替処理を実行する処理実行部と、として機能させ、前記文書処理アプリケーションは、処理対象の電子文書に付されたオブジェクトの表示、及び、前記オブジェクトに関する処理が可能であり、前記単一操作は、前記オブジェクトに関する処理を実行するための操作であり、前記処理実行部は、前記単一操作を受け付けたときに、前記表示画面に表示された前記オブジェクトが選択状態又は編集状態であるか否かを判定し、前記オブジェクトが選択状態又は編集状態であり、且つ、前記操作受付部の操作に応じて画面上を移動するカーソルが当該オブジェクトの表示領域以外の位置にある場合に、前記表示切替処理を実行しない、ことを特徴とする文書処理プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1又はに係る発明によれば、文書処理アプリケーションに表示されるボタンの表示と非表示とを簡易な操作で切り換えることができる。
【0018】
請求項に係る発明によれば、電子文書にオブジェクトを付与するときの操作を簡易化することができる。
【0019】
請求項に係る発明によれば、をカーソルの近傍に表示しない場合に比して、ボタンに到達するまでのカーソルの移動距離を短縮することができる。
【0020】
請求項に係る発明によれば、文書表示領域内の任意の位置においてボタンを表示させることができる。
【0021】
請求項に係る発明によれば、ボタンの表示モードを切り替えることができる。
【0022】
請求項に係る発明によれば、「決定」を行うときの操作として一般に利用されている左クリックする操作で文書表示領域内ボタンの表示切替処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係る文書処理装置の構成概略図である。
図2】本実施形態に係る文書処理アプリケーションの表示画面の例を示す図である。
図3】文書表示領域内ボタンが表示された様子を示す図である。
図4】コンテキストメニューが表示された様子を示す図である。
図5】付箋アノテーションが表示された様子を示す図である。
図6】固定表示モードが選択された様子を示す図である。
図7】本実施形態に係る文書処理装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る文書処理装置10の構成概略図である。本実施形態における文書処理装置10はパーソナルコンピュータであるが、文書処理装置10としてはタブレット端末などの携帯端末を利用することもできる。
【0026】
記憶部12は、例えばハードディスク、ROM(Read Only Memory)、あるいはRAM(Random Access Memory)などを含んで構成される。記憶部12には、文書処理装置10の処理対象となる電子文書あるいは文書処理装置10の処理結果などが記憶される。また、文書処理装置10には、電子文書に対する処理を行う文書処理アプリケーション14がインストールされ、それにより記憶部12に文書処理アプリケーション14が記憶される。なお、文書処理アプリケーション14の詳細については後述する。さらに、記憶部12には、文書処理アプリケーション14を実行すると共に文書処理装置10の各部を動作させるための文書処理プログラムが記憶される。
【0027】
操作受付部16は、例えばマウスあるいはキーボードなどを含んで構成される。文書処理装置10がタブレット端末であれば、操作受付部16としてタッチパネルが含まれていてもよい。操作受付部16は、利用者(ユーザ)からの文書処理装置10への命令、特に文書処理アプリケーション14への命令を入力するための操作を受け付ける。
【0028】
表示部18は、例えば液晶パネルなどを含んで構成される。表示部18は、種々の画面、特に、文書処理アプリケーション14の表示画面を表示する。
【0029】
制御部20は、例えばCPU(Central Processing Unit)などを含んで構成される。制御部20は、記憶部12に記憶された文書処理プログラムに従って、文書処理装置10の各部を制御するものである。また、制御部20は、インストールされた文書処理アプリケーション14を実行することで、処理実行部22及びモード選択部24としての機能も発揮する。
【0030】
処理実行部22は、文書処理アプリケーション14に対するユーザからの命令に従って、文書処理アプリケーション14上の各処理を実行する。処理実行部22が実行する処理には、文書処理アプリケーション14における電子文書の選択、編集、保存などだけではなく、後述する文書表示領域内ボタンの表示と非表示とを切り換える表示切替処理が含まれる。モード選択部24は、文書表示領域内ボタンの表示モードを選択する。処理実行部22とモード選択部24が実行する処理の詳細については後述する。
【0031】
以下、文書処理アプリケーション14の詳細と共に、処理実行部22及びモード選択部24が実行する処理の詳細を説明する。
【0032】
図2は、表示部18に表示される文書処理アプリケーション14の表示画面(以下単に「表示画面」と記載する)の例を示す図である。表示画面は、メニューバー30、1又は複数のツールバー32が表示されるツールバー領域34、及び、処理対象の電子文書36が表示される文書表示領域38を含んで構成される。なお、表示画面には、上述の各領域の他、例えば、文書処理装置10のフォルダツリーを表示するフォルダ領域などが含まれていてもよい。また、各領域の大きさ(サイズ)は、ユーザによって変更可能となっていてもよい。
【0033】
表示画面には、ユーザによる操作受付部16の操作に応じて画面上を移動するカーソル40が表示される。具体的には、操作受付部16としてのマウスの操作により、あるいは、文書処理装置10がタブレット端末である場合には、操作受付部16としてのタッチパネル上をユーザの指あるいはスタイラスでドラッグ操作あるいはタップ操作することによって、カーソル40の位置が変更される。
【0034】
メニューバー30は、「ファイル」「編集」「表示」などの大項目を有するメインメニューを含むものである。それぞれの大項目にカーソル40を合わせて選択(これは例えばマウスの左クリック操作あるいはタップ操作で実現される)するとドロップダウンリストで詳細な命令が表示され、表示された詳細な命令を選択することで、ユーザが文書処理アプリケーション14に命令を入力することができる。
【0035】
ツールバー32は、文書処理アプリケーション14が受付可能な各命令を割り当てたアイコン付きのボタン42、あるいは、電子文書36に付与される、オブジェクトとしてのアノテーション(後述)の属性(例えば文字のフォント)などを入力する属性入力ボックス44など含む帯状の領域である。一例として、ツールバー32は、メニューバー30の大項目に対応して設けられる。すなわち、1つのツールバー32に含まれる各ボタン42は、1つの大項目に含まれる各命令が割り当てられたものとなる。例えば、大項目「ファイル」に対応するツールバー32には、大項目「ファイル」から選択可能な命令である「ファイル(電子文書)を開く」あるいは「保存」などに対応するボタン42が含まれる。あるいは、複数の大項目からユーザによって選択された複数の命令が割り当てられた複数のボタン42を含むツールバー32が表示されてもよい。
【0036】
ツールバー32が表示されることで、ユーザは、クリックあるいはタップなどの操作を複数回行ってメニューバー30から命令を選択する必要なく、ツールバー32に含まれるボタン42を選択するだけで、各種命令を入力することができるようになる。ただし、ツールバー領域34は、文書表示領域38の周辺部に位置しているため、文書表示領域38内の位置を命令の実行位置としてカーソル40で指定する必要がある場合、ツールバー32のボタン42を選択し、カーソル40を文書表示領域38内の所望の位置まで移動させ、左クリックなどの操作により命令の実行位置を指定し、また別の命令を選択する場合はツールバー領域34までカーソル40を移動させるという操作が必要となる。
【0037】
図3は、文書表示領域内ボタン50が表示された様子を示す図である。文書処理アプリケーション14においては、1又は複数の、アイコン付きの文書表示領域内ボタン50を文書表示領域38内に表示可能となっている。本実施形態においては、複数の文書表示領域内ボタン50を含むツールボックス52が文書表示領域38内に表示可能となっているが、文書表示領域内ボタン50の表示態様はこれに限られるものではない。
【0038】
ツールボックス52に含まれる複数の文書表示領域内ボタン50は、1つのツールバー32に含まれる複数のボタン42と同じ命令が割り当てられたものであってよい。本実施形態においては、ツールボックス52は、電子文書36にアノテーションを付与するための命令が割り当てられた複数の文書表示領域内ボタン50を含む。もちろん、ツールボックス52に含まれる複数の文書表示領域内ボタン50は、アノテーションを付与する命令以外の命令が割り当てられたものであってもよい。また、ユーザは、ツールボックス52に含まれる文書表示領域内ボタン50に割り当てられる命令をカスタマイズすることができるようになっていてもよい。例えば、ユーザがよく使う命令を各ツールバー32の中から選択し、選択された命令に対応する文書表示領域内ボタン50をツールボックス52に含めるように設定可能となっていてもよい。
【0039】
アノテーションとは、電子文書36に付与されるオブジェクトである。文書処理アプリケーション14においては、電子文書36を複数のレイヤを含むレイヤ構造で処理することができる。例えば、電子文書本体がレイヤ1に配置され、文書処理アプリケーション14により付与されるアノテーションは、電子文書本体とは異なるレイヤであるレイヤ2に配置される。したがって、アノテーションとは、電子文書本体とは異なるレイヤに配置(付与)されるオブジェクトということができる。アノテーションには、例えば、「重要」、「社内秘」あるいは「承認」といったスタンプ、電子文書36の文字に沿ったマーカ、コメント入力可能な付箋などが含まれる。
【0040】
ユーザは、複数の文書表示領域内ボタン50の中から所望のアノテーションを付与する命令が割り当てられたボタンを選択し、カーソル40を移動させて、当該アノテーションを付与する位置を指定するという操作を行うことで、電子文書36にアノテーションを付与することができる。
【0041】
図3に示す通り、文書表示領域内ボタン50が文書表示領域38に表示されるから、命令の選択と命令の実行位置の指定を実行する際に、ツールバー32に含まれるボタン42を利用する場合に比して、カーソル40の移動量を低減させることができる。すなわち、より簡易な操作で処理が可能になる。特に、アノテーション付与処理においては、様々なアノテーションを切り替えながら繰り返し付与する処理を行う場合があり、そのような場合においては操作を簡易化した効果がより発揮される。また、複数のアノテーションに対応する複数の文書表示領域内ボタン50を含むツールボックス52が電子文書36の近傍に表示されることで、ユーザは、現実世界において、種々の筆記具などが入れられた筆箱を紙文書の横に置いた状態で紙文書に書き込みあるいは押印をする感覚(操作感)でアノテーション付与処理を行うことができる。
【0042】
一方において、文書表示領域内ボタン50は、文書表示領域38に表示されるものであるから、場合によっては文書表示領域内ボタン50が邪魔になる場合がある。例えば、図3の例において、電子文書36を2ページ分、横に並べて表示させた場合、文書表示領域内ボタン50あるいはツールボックス52が電子文書36の上に重なって表示されてしまい、これにより電子文書36の視認性が低下する。
【0043】
そこで、文書処理アプリケーション14においては、ユーザによる単一操作により文書表示領域内ボタン50の表示と非表示とを切り換えることが可能となっている。単一操作とは、1回の簡易な操作を意味し、例えば、操作受付部16がマウスであれば1回のクリック操作あるいはダブルクリック操作、操作受付部16がキーボードであれば1つのキーを1回押下する操作、操作受付部16がタッチパネルであれば1回のタップ操作あるいはフリック操作などを含むものである。表示切替処理のための単一操作が何であるかは、予め固定的に設定されてもよいし、ユーザにより変更できるようにしておいてもよい。
【0044】
本実施形態では、単一操作により、複数の文書表示領域内ボタン50を含むツールボックス52の表示と非表示とを切り換えることができるようになっている。文書処理アプリケーション14を実行中に、操作受付部16が、予め設定された単一操作を受け付けると、処理実行部22はツールボックス52の表示切替処理を実行する。すなわち、処理実行部22は、単一操作を受け付けた際にツールボックス52が非表示であればツールボックス52を表示させる処理を行い、単一操作を受け付けた際にツールボックス52が表示されていればツールボックス52を非表示にする処理を行う。このように、操作受付部16が単一操作を受け付けた場合に、処理実行部22がツールボックス52の表示切替処理を実行するために、ユーザは、簡易な操作でツールボックス52の表示と非表示(すなわち文書表示領域内ボタン50の表示と非表示)とを切り換えることができる。
【0045】
処理実行部22は、操作受付部16が単一操作を受け付けたときの、カーソル40の位置の近傍に、ツールボックス52を表示させる。通常、ユーザは、文書表示領域内ボタン50に対応する命令を入力したいと思ったときにツールボックス52を表示させると考えられる。したがって、操作受付部16が単一操作を受け付けたときのカーソル40の位置の近傍にツールボックス52を表示させることで、文書表示領域内ボタン50を選択するためのカーソル40の移動量を低減させることができる。すなわち、文書表示領域内ボタン50を利用した操作をより簡易化することができる。
【0046】
本実施形態においては、処理実行部22は、カーソル40の位置が文書表示領域38内の任意の位置にあるときに、操作受付部16が単一操作を受け付けた場合に、ツールボックス52の表示切替処理を行う。換言すれば、カーソル40が文書表示領域38内にある限り、カーソル40の位置がどこであっても単一操作により文書表示領域内ボタン50を表示させることができる。また、文書表示領域38内の任意の位置のカーソル40の近傍にツールボックス52が表示されるから、ユーザは、文書表示領域38内の任意の位置に、文書表示領域内ボタン50を表示させることができるといえる。
【0047】
単一操作は、文書処理アプリケーション14に対する他の命令(すなわち表示切替処理以外の命令)を入力するための操作としても用いられる。すなわち、表示切替処理のための単一操作は、他の命令を入力するための操作と共通する操作となっている。したがって、処理実行部22は、操作受付部16が単一操作を受け付けた際に、ツールボックス52の表示切替処理を実行するのか、他の命令を実行するのかを判定する。具体的には、処理実行部22は、操作受付部16が単一操作を受け付けた際に、文書処理アプリケーション14が他の命令を実行可能である状態の場合には、表示切替処理を実行せずに当該他の命令を実行し、文書処理アプリケーション14が他の命令を実行可能でない状態の場合に、ツールボックス52の表示切替処理を実行する。これは、文書処理アプリケーション14が他の命令を実行可能な状態でユーザが単一操作を行ったということは、ユーザは当該他の命令を実行したいと考えている、と判断できるためである。したがって、このような場合はユーザの意思を尊重し、処理実行部22は、ツールボックス52の表示切替処理を実行せずに、当該他の命令を実行する。
【0048】
以下、図4~5を参照しながら、単一操作を受け付けた際の処理実行部22の処理の具体例について説明する。本実施形態においては、単一操作は、操作受付部16としてのマウスを左クリックする操作となっており、以下、単一操作が左クリック操作であるとして説明する。
【0049】
図4には、コンテキストメニュー60が表示された様子を示す図である。コンテキストメニュー60は、ユーザ操作によって表示されるメニューであり、例えばマウスの右クリック操作を行うことで表示される。コンテキストメニュー60が表示された場合においては、コンテキストメニュー60のいずれかの項目の上にカーソル40が位置した状態で単一操作である左クリック操作が行われた場合は、他の命令としての、当該項目を選択する命令が実行される。また、コンテキストメニュー60の表示領域以外の位置にカーソル40が位置した状態で左クリック操作が行われた場合は、他の命令としての、コンテキストメニュー60を非表示とする命令が実行される。
【0050】
すなわち、コンテキストメニュー60が表示された状態は、他の命令を実行可能な状態であるといえる。したがって、コンテキストメニュー60が表示された状態において操作受付部16が左クリック操作を受け付けた場合、処理実行部22は、ツールボックス52の表示切替処理を実行せずに、他の命令を実行する。
【0051】
図5には、付箋アノテーション62が選択され選択状態となった様子を示す図である。付箋アノテーション62は、さらなる編集(移動あるいはコメント変更など)のために選択状態とされることができる。付箋アノテーション62が選択状態の場合においては、当該付箋アノテーション62の上にカーソル40が位置した状態で左クリック操作が行われた場合は、他の命令としての、付箋アノテーション62の文字列を編集するモードに入る(アクティベートする)命令が実行される。また、当該付箋アノテーション62の表示領域以外の位置にカーソル40が位置した状態で左クリック操作が行われた場合は、他の命令としての、付箋アノテーション62の選択状態を解除する命令が実行される。
【0052】
すなわち、付箋アノテーション62が選択状態となっている状態は、他の命令を実行可能な状態であるといえる。したがって、付箋アノテーション62が選択状態である状態において操作受付部16が左クリック操作を受け付けた場合、処理実行部22は、ツールボックス52の表示切替処理を実行せずに、他の命令を実行する。
【0053】
図4及び図5に示した、他の命令を実行可能な状態はあくまで一例であり、他の命令を実行可能である状態とは様々な状態がある。例えば、アクティベート状態の付箋アノテーション62が表示された状態においては、左クリックすることにより、他の命令としての、文字列を確定する(ディアクティベートする)命令が実行される。したがって、この状態において操作受付部16が左クリック操作を受け付けた場合、処理実行部22は、ツールボックス52の表示切替処理を実行せずに、他の命令を実行する。また、カーソル40が何らかのオブジェクト(ツールバー32のボタン42、ツールボックス52自身の文書表示領域内ボタン50、あるいはアノテーションなど)上に位置した状態においては、左クリックすることにより、当該オブジェクトを選択する命令が実行される。したがって、何らかのオブジェクトの上にカーソル40が位置した状態において操作受付部16が左クリック操作を受け付けた場合、処理実行部22は、ツールボックス52の表示切替処理を実行せずに、他の命令を実行する。このように、文書処理アプリケーション14の状態には、カーソル40の位置も含まれる。
【0054】
一方、文書処理アプリケーション14が他の命令を実行可能でない状態の場合、例えば、コンテキストメニュー60や選択状態の付箋アノテーション62が表示されていない状態であって、カーソル40が文書表示領域38内にあり、且つ、カーソル40が何のオブジェクトの上にも位置していない状態においては、操作受付部16が左クリック操作を受け付けたとしても、処理実行部22は、受け付けた単一操作に応じて他の処理を実行することができない。したがって、このような状態において操作受付部16が左クリック操作を受け付けた場合、処理実行部22は、ツールボックス52の表示切替処理を実行する。
【0055】
上述のように、本実施形態においては、単一操作がマウスの左クリック操作となっている。すなわち、「決定」を行うときの操作として一般的に利用されている左クリック操作により、ツールボックス52の表示切替処理を実行することができる。これにより、ユーザは、文書表示領域内ボタン50の表示、命令の選択、命令の実行位置の指定、及び文書表示領域内ボタン50の非表示の一連の処理を左クリック操作のみで実行することが可能となっている。つまり、ユーザは、上記一連の処理を実行するにあたり、複数種類の操作を組み合わせる必要がなくなる。すなわち、文書表示領域内ボタン50の表示切替処理を実行する単一操作を左クリック操作とすることで、電子文書36に対する処理のための操作をより一層簡易化することができる。
【0056】
モード選択部24は、予め用意された複数の表示モードの中から、ツールボックス52の表示モード(すなわち文書表示領域内ボタン50の表示モード)を選択する。本実施形態においては、モード選択部24は、上述のように単一操作によりツールボックス52の表示と非表示との切り替えが可能な表示切替モード、ツールボックス52の常時表示させる固定表示モード、及び、ツールボックス52を全く表示させない非表示モードの3モードから、ツールボックス52の表示モードを選択することができる。
【0057】
モード選択部24は、ユーザからの指示に従ってツールボックス52の表示モードを選択する。具体的には、メニューバー30の大項目「表示」に含まれる、ツールボックス52の有効/無効を切り替える設定項目において、ユーザが「有効」を選択すると、モード選択部24は表示切替モードを選択し、同設定項目においてユーザが「無効」を選択すると、モード選択部24は非表示モードを選択する。あるいは、ツールバー32に、ツールボックス52の有効/無効を切り替える命令が割り当てられたボタン42が含まれている場合は、ユーザが当該ボタン42を選択することでツールボックス52の有効/無効を切り替えるようにしてもよい。
【0058】
非表示モードにおいては、操作受付部16が単一操作を受け付けた際に、カーソル40が文書表示領域38内にあり、且つ、文書処理アプリケーション14が他の命令を実行可能でない状態である場合であっても、処理実行部22は、ツールボックス52を表示させない。
【0059】
また、図6に示す通り、ツールボックス52には固定ボタン70が含まれており、固定ボタン70がユーザにより選択されると、モード選択部24は、固定表示モードを選択する。あるいは、ユーザがツールボックス52をドラッグ操作(カーソル40がツールボックス52上にある状態でマウスの左ボタンを押し、左ボタンを押したままカーソル40の位置を変更する操作)を行うと、モード選択部24は、固定表示モードを選択する。
【0060】
図6のように、固定表示モードが選択されると、固定ボタン70の表示態様が変更される。すなわち、ユーザは、固定ボタン70を確認することにより、ツールボックス52の表示モードが表示切替モードであるか固定表示モードであるかを把握することができる。固定表示モードにおいては、操作受付部16が単一操作を受け付けた際に、カーソル40が文書表示領域38内にあり、且つ、文書処理アプリケーション14が他の命令を実行可能でない状態である場合であっても、処理実行部22は、ツールボックス52を非表示にしない。
【0061】
なお、上述したツールボックス52の表示モードを変更するための操作は一例であり、モード選択部24は、ユーザのその他の操作に応じてツールボックス52の表示モードを変更するようにしてもよい。
【0062】
ユーザは、文書処理アプリケーション14の使用状況に応じて、ツールボックス52の表示モードを切り替えることができる。例えば、電子文書36に連続してアノテーションを付与する処理を行う場合には、ユーザは固定表示モードを選択することで、不意にツールボックス52が非表示となってしまうことを防ぐと共に、ツールボックス52を任意の位置に固定して配置することができる。これにより、ユーザは快適に操作を行うことができる。
【0063】
以下、図7に示されたフローチャートに従って、文書処理装置10の処理の流れを説明する。
【0064】
ステップS10において、処理実行部22は、操作受付部16が単一操作としての左クリック操作を受け付けたか否かを判定する。処理実行部22は、操作受付部16が左クリックを受け付けるまで待機し、その間はユーザの左クリック以外の操作に応じた処理を実行する。操作受付部16が左クリック操作を受け付けた場合には、ステップS12に進む。
【0065】
ステップS12において、処理実行部22は、カーソル40の位置を含む文書処理アプリケーション14の状態が、ツールボックス52の表示切替処理以外の他の命令を実行可能な状態であるか否かを判定する。他の命令を実行可能である場合は、ステップS14に進み、処理実行部22は、ツールボックス52の表示切替処理を実行せずに、当該他の命令を実行して処理を終了する。他の命令を実行可能でない場合はステップS16に進む。
【0066】
ステップS16において、処理実行部22は、ツールボックス52が表示されているか否かを判定する。表示されていないと判定された場合はステップS18に進む。
【0067】
ステップS18において、処理実行部22は、ツールボックス52の表示モードが非表示モードであるか否かを判定する。非表示モードである場合、処理実行部22はツールボックス52の表示処理を実行せずに処理を終了する。非表示モードでない場合、ステップS20に進む。
【0068】
ステップS20において、処理実行部22は、カーソル40の近傍にツールボックス52を表示させる表示処理を実行する。
【0069】
ステップS16でツールボックス52が表示されていると判定された場合はステップS22に進み、ステップS22において、処理実行部22は、ツールボックス52の表示モードが固定表示モードであるか否かを判定する。固定表示モードである場合、処理実行部22はツールボックス52の非表示処理を実行せずに処理を終了する。固定表示モードでない場合、ステップS24に進む。
【0070】
ステップS24において、処理実行部22は、ツールボックス52を非表示とする非表示処理を実行する。
【0071】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 文書処理装置、12 記憶部、14 文書処理アプリケーション、16 操作受付部、18 表示部、20 制御部、22 処理実行部、24 モード選択部、30 メニューバー、32 ツールバー、34 ツールバー領域、36 電子文書、38 文書表示領域、40 カーソル、42 ボタン、44 属性入力ボックス、50 文書表示領域内ボタン、52 ツールボックス、60 コンテキストメニュー、62 付箋アノテーション、70 固定ボタン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7