(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】定着装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
G03G15/20 505
G03G15/20 515
(21)【出願番号】P 2018014831
(22)【出願日】2018-01-31
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 信一
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-181877(JP,A)
【文献】特開2012-103608(JP,A)
【文献】特開2014-092569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材上に形成されたトナー像を記録材の搬送経路に設けられたニップ部において加熱および加圧することにより、トナー像を記録材に定着させる定着装置であって、
記録材上に形成されたトナー像を加熱するための加熱源と、
前記ニップ部が形成されるように、前記搬送経路を間に挟んで互いに対向して配置された加圧ローラーおよび加圧パッドと、
前記加圧パッドから見て前記加圧ローラーが位置する側とは反対側に配置され、前記加圧パッドが前記加圧ローラーによって押圧された押圧状態において前記加圧ローラーとの間で前記加圧パッドを挟み込むための挟み込み部材とを備え、
前記加圧パッドは、前記加圧ローラーの軸方向と平行な方向である幅方向に沿って延びる長尺板状の部材からなり、前記加圧ローラー側に位置する第1主面と、前記挟み込み部材側に位置する第2主面とを含み、
前記挟み込み部材は、前記押圧状態において前記加圧パッドに当接する宛がい部を含み、
前記ニップ部に設けられた記録材の通過領域に対応する部分の前記第2主面には、前記加圧ローラーの押圧方向と直交する方向において各々の全周が出っ張り部によって取り囲まれてなる複数の凹状部が設けられ、
前記出っ張り部の頂面が、前記押圧状態において前記宛がい部に密着する、定着装置。
【請求項2】
前記押圧方向に沿って見た場合の前記出っ張り部の全体としての形状が、格子状または梯子状あるいはトラスト状である、請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記押圧方向に沿って見た場合の前記出っ張り部の幅が、前記第2主面上の位置に応じて異なっている、請求項1
または2に記載の定着装置。
【請求項4】
記録材の搬送方向における下流側の位置に対応する部分の前記第2主面に設けられた前記出っ張り部の幅が、記録材の搬送方向における上流側の位置に対応する部分の前記第2主面に設けられた前記出っ張り部の幅よりも大きい、請求項
3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記ニップ部に設けられた記録材の通過領域に対応する部分の前記第2主面の前記幅方向の両端部に設けられた前記出っ張り部の幅が、前記ニップ部に設けられた記録材の通過領域に対応する部分の前記第2主面の前記幅方向の中央部に設けられた前記出っ張り部の幅よりも大きい、請求項
3または
4に記載の定着装置。
【請求項6】
前記押圧方向に沿って見た場合の前記出っ張り部同士の間隔が、前記第2主面上の位置に応じて異なっている、請求項1から
5のいずれかに記載の定着装置。
【請求項7】
記録材の搬送方向における下流側の位置に対応する部分の前記第2主面に設けられた前記出っ張り部同士の間隔が、記録材の搬送方向における上流側の位置に対応する部分の前記第2主面に設けられた前記出っ張り部同士の間隔よりも小さい、請求項
6に記載の定着装置。
【請求項8】
前記ニップ部に設けられた記録材の通過領域に対応する部分の前記第2主面の前記幅方向の両端部に設けられた前記出っ張り部同士の間隔が、前記ニップ部に設けられた記録材の通過領域に対応する部分の前記第2主面の前記幅方向の中央部に設けられた前記出っ張り部同士の間隔よりも小さい、請求項
6または
7に記載の定着装置。
【請求項9】
前記凹状部の深さが、前記第2主面上の位置に応じて異なっている、請求項1から
8のいずれかに記載の定着装置。
【請求項10】
記録材の搬送方向における下流側の位置に対応する部分の前記第2主面に設けられた前記凹状部の深さが、記録材の搬送方向における上流側の位置に対応する部分の前記第2主面に設けられた前記凹状部の深さよりも小さい、請求項
9に記載の定着装置。
【請求項11】
前記ニップ部に設けられた記録材の通過領域に対応する部分の前記第2主面の前記幅方向の両端部に設けられた前記凹状部の深さが、前記ニップ部に設けられた記録材の通過領域に対応する部分の前記第2主面の前記幅方向の中央部に設けられた前記凹状部の深さよりも小さい、請求項
9または
10に記載の定着装置。
【請求項12】
記録材の搬送方向における上流側の位置に対応する前記第2主面の縁部には、前記幅方向に沿って延びる上流側突条部が設けられ、
記録材の搬送方向における下流側の位置に対応する前記第2主面の縁部には、前記幅方向に沿って延びる下流側突条部が設けられ、
前記上流側突条部および前記下流側突条部が、いずれも前記ニップ部に設けられた記録材の通過領域に対応する部分の前記幅方向の両端部に達している、請求項1から
11のいずれかに記載の定着装置。
【請求項13】
前記加圧パッドが、前記挟み込み部材に組付けられている、請求項1から
12のいずれかに記載の定着装置。
【請求項14】
前記押圧状態において前記第2主面に当接する部分の前記宛がい部の表面が、平面状である、請求項1から
13のいずれかに記載の定着装置。
【請求項15】
前記幅方向と平行な方向を軸として前記加圧パッドを取り囲むことにより、記録材の搬送方向に沿って前記ニップ部を挿通するように配置された無端状の定着ベルトをさらに備え、
前記定着ベルトは、前記押圧状態において前記加圧ローラーによって前記加圧パッドに向けて押し付けられるとともに、前記ニップ部以外の位置において前記加熱源によって加熱され、
前記押圧状態において、前記加圧ローラーが回転駆動されることにより、前記定着ベルトが、前記第1主面上を摺動しつつ前記加圧ローラーに従動して回転するとともに、前記押圧状態において、記録材上に形成されたトナー像が、前記ニップ部において前記定着ベルトに接触することにより、前記加熱源によって加熱された前記定着ベルトによって加熱される、請求項1から
14のいずれかに記載の定着装置。
【請求項16】
前記加圧パッドと前記定着ベルトとの間の摩擦抵抗を減じるための低摩擦部材が、前記幅方向と平行な方向を軸として前記加圧パッドを取り囲むように配置されることにより、前記第1主面および前記第2主面の各々が、前記低摩擦部材によって覆われ、
前記低摩擦部材の前記第2主面を覆う部分に孔部が設けられるとともに、前記第2主面から前記挟み込み部材側に向けて突出することで前記孔部に挿通される係合ピンが前記加圧パッドに設けられることにより、前記低摩擦部材が、前記加圧パッドに組付けられている、請求項
15に記載の定着装置。
【請求項17】
請求項1から
16のいずれかに記載の定着装置を画像形成のために備えてなる、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙等の記録材上に形成されたトナー像を当該記録材に定着させる定着装置に関し、また、カラー/モノクロ等の種別を問わず、電子写真方式を利用して画像を形成する画像形成部に当該定着装置を備えてなる複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、熱定着方式の定着装置が設けられることが一般的である。通常、熱定着方式の定着装置は、加圧回転体および加熱回転体を有しており、トナー像が形成された記録材をこれら加圧回転体および加熱回転体によって挟み込むことにより、記録材にトナー像を定着させるものである。
【0003】
たとえば、特開2012-103609号公報(特許文献1)には、加圧回転体として加圧ローラーを用いるとともに、加熱回転体として無端状の定着ベルトを用いてなる定着装置が開示されている。当該定着装置においては、定着ベルトを間に挟むように加圧回転体に対向してパッド状のニップ形成部材が配置されており、定着動作時において、加圧ローラーによって定着ベルトがニップ形成部材に向けて押し付けられるように構成されている。
【0004】
これにより、定着動作時において、加圧ローラーとニップ形成部材との間(より厳密には、加圧ローラーとニップ形成部材との間に配置された定着ベルトと加圧ローラーとの間)にニップ部が形成されることになり、加圧ローラーによって定着ベルトがニップ形成部材に向けて押し付けられた状態で当該加圧ローラーが回転駆動されることにより、定着ベルトが加圧ローラーの回転に伴って従動回転することになる。
【0005】
その結果、記録材がニップ部に供給されて当該ニップ部を通過する際に、記録材上に形成されたトナー像に対して熱および圧力が当該ニップ部において加えられることになり、これによってトナー像が記録材に定着されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、画像形成装置によって記録材に形成される画像の品位を高めるためには、定着装置のニップ部において記録材に加えられる圧力を適切にコントロールすることが必要になる。特に、定着動作時に定着ムラが発生した場合には、自ずと記録材に形成される画像の品位にもムラが生じてしまうことになるため、この定着ムラの発生を可能な限り抑制することが重要になる。
【0008】
この点、上記特許文献1に開示の定着装置にあっては、ニップ形成部材の裏面(すなわち、ニップ形成部材から見て加圧ローラーが位置する側とは反対側の主面)に定着ベルトの幅方向に沿って点列状に複数の突起部が設けられるとともに、ニップ形成部材の上記裏面側に配置された金属材料からなる保持部材のニップ形成部材側の表面に定着ベルトの幅方向に沿って並ぶように複数の突条部が設けられ、定着動作時においてこれら複数の突起部と複数の突条部とが当接するように構成されている。
【0009】
しかしながら、このように構成した場合には、加圧ローラーの押圧力が非常に高いため、ニップ形成部材に設けられた複数の突起部の各々に対応した位置において、記録材に対して局所的に大きい圧力が付与されてしまうことになる。そのため、記録材に付与される圧力が部位ごとに大きくばらつくことになり、結果として定着ムラが発生してしまうおそれがある。
【0010】
したがって、本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、記録材に形成される画像にムラが発生することが抑制できる定着装置およびこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の局面に基づく定着装置は、記録材上に形成されたトナー像を記録材の搬送経路に設けられたニップ部において加熱および加圧することにより、トナー像を記録材に定着させるものであって、加熱源と、加圧ローラーと、加圧パッドと、挟み込み部材とを備えている。上記加熱源は、記録材上に形成されたトナー像を加熱するためのものである。上記加圧ローラーおよび上記加圧パッドは、上記ニップ部が形成されるように、上記搬送経路を間に挟んで互いに対向して配置されている。上記挟み込み部材は、上記加圧パッドから見て上記加圧ローラーが位置する側とは反対側に配置されており、上記加圧パッドが上記加圧ローラーによって押圧された押圧状態において上記加圧ローラーとの間で上記加圧パッドを挟み込むためのものである。上記加圧パッドは、上記加圧ローラーの軸方向と平行な方向である幅方向に沿って延びる長尺板状の部材からなり、上記加圧ローラー側に位置する第1主面と、上記挟み込み部材側に位置する第2主面とを含んでいる。上記挟み込み部材は、上記押圧状態において上記加圧パッドに当接する宛がい部を含んでいる。上記ニップ部に設けられた記録材の通過領域に対応する部分の上記第2主面には、上記加圧ローラーの押圧方向と直交する方向において各々の全周が出っ張り部によって取り囲まれてなる複数の凹状部が設けられており、上記出っ張り部の頂面は、上記押圧状態において上記宛がい部に密着する。
【0012】
上記本発明の第1の局面に基づく定着装置にあっては、上記押圧方向に沿って見た場合の上記出っ張り部の全体としての形状が、格子状または梯子状あるいはトラスト状であってもよい。
【0013】
本発明の第2の局面に基づく定着装置は、記録材上に形成されたトナー像を記録材の搬送経路に設けられたニップ部において加熱および加圧することにより、トナー像を記録材に定着させるものであって、加熱源と、加圧ローラーと、加圧パッドと、挟み込み部材とを備えている。上記加熱源は、記録材上に形成されたトナー像を加熱するためのものである。上記加圧ローラーおよび上記加圧パッドは、上記ニップ部が形成されるように、上記搬送経路を間に挟んで互いに対向して配置されている。上記挟み込み部材は、上記加圧パッドから見て上記加圧ローラーが位置する側とは反対側に配置されており、上記加圧パッドが上記加圧ローラーによって押圧された押圧状態において上記加圧ローラーとの間で上記加圧パッドを挟み込むためのものである。上記加圧パッドは、上記加圧ローラーの軸方向と平行な方向である幅方向に沿って延びる長尺板状の部材からなり、上記加圧ローラー側に位置する第1主面と、上記挟み込み部材側に位置する第2主面とを含んでいる。上記挟み込み部材は、上記押圧状態において上記加圧パッドに当接する宛がい部を含んでいる。上記ニップ部に設けられた記録材の通過領域に対応する部分の上記第2主面には、上記加圧ローラーの押圧方向と直交する方向において各々が凹状部によって挟まれてなる突条形状の複数の出っ張り部が設けられており、上記複数の出っ張り部の頂面の各々は、上記押圧状態において上記宛がい部に密着する。
【0014】
上記本発明の第2の局面に基づく定着装置にあっては、上記押圧方向に沿って見た場合の上記凹状部の全体としての形状が、格子状または梯子状あるいはトラスト状であってもよい。
【0015】
上記本発明の第1および第2の局面に基づく定着装置にあっては、上記押圧方向に沿って見た場合の上記出っ張り部の幅が、上記第2主面上の位置に応じて異なっていてもよい。
【0016】
上記本発明の第1および第2の局面に基づく定着装置にあっては、記録材の搬送方向における下流側の位置に対応する部分の上記第2主面に設けられた上記出っ張り部の幅が、記録材の搬送方向における上流側の位置に対応する部分の上記第2主面に設けられた上記出っ張り部の幅より大きくてもよい。
【0017】
上記本発明の第1および第2の局面に基づく定着装置にあっては、上記ニップ部に設けられた記録材の通過領域に対応する部分の上記第2主面の上記幅方向の両端部に設けられた上記出っ張り部の幅が、上記ニップ部に設けられた記録材の通過領域に対応する部分の上記第2主面の上記幅方向の中央部に設けられた上記出っ張り部の幅より大きくてもよい。
【0018】
上記本発明の第1および第2の局面に基づく定着装置にあっては、上記押圧方向に沿って見た場合の上記出っ張り部同士の間隔が、上記第2主面上の位置に応じて異なっていてもよい。
【0019】
上記本発明の第1および第2の局面に基づく定着装置にあっては、記録材の搬送方向における下流側の位置に対応する部分の上記第2主面に設けられた上記出っ張り部同士の間隔が、記録材の搬送方向における上流側の位置に対応する部分の上記第2主面に設けられた上記出っ張り部同士の間隔より小さくてもよい。
【0020】
上記本発明の第1および第2の局面に基づく定着装置にあっては、上記ニップ部に設けられた記録材の通過領域に対応する部分の上記第2主面の上記幅方向の両端部に設けられた上記出っ張り部同士の間隔が、上記ニップ部に設けられた記録材の通過領域に対応する部分の上記第2主面の上記幅方向の中央部に設けられた上記出っ張り部同士の間隔より小さくてもよい。
【0021】
上記本発明の第1および第2の局面に基づく定着装置にあっては、上記凹状部の深さが、上記第2主面上の位置に応じて異なっていてもよい。
【0022】
上記本発明の第1および第2の局面に基づく定着装置にあっては、記録材の搬送方向における下流側の位置に対応する部分の上記第2主面に設けられた上記凹状部の深さが、記録材の搬送方向における上流側の位置に対応する部分の上記第2主面に設けられた上記凹状部の深さより小さくてもよい。
【0023】
上記本発明の第1および第2の局面に基づく定着装置にあっては、上記ニップ部に設けられた記録材の通過領域に対応する部分の上記第2主面の上記幅方向の両端部に設けられた上記凹状部の深さが、上記ニップ部に設けられた記録材の通過領域に対応する部分の上記第2主面の上記幅方向の中央部に設けられた上記凹状部の深さより小さくてもよい。
【0024】
上記本発明の第1および第2の局面に基づく定着装置にあっては、記録材の搬送方向における上流側の位置に対応する上記第2主面の縁部に、上記幅方向に沿って延びる上流側突条部が設けられていてもよく、また、記録材の搬送方向における下流側の位置に対応する上記第2主面の縁部に、上記幅方向に沿って延びる下流側突条部が設けられていてもよい。その場合には、上記上流側突条部および上記下流側突条部が、いずれも上記ニップ部に設けられた記録材の通過領域に対応する部分の上記幅方向の両端部に達していることが好ましい。
【0025】
上記本発明の第1および第2の局面に基づく定着装置にあっては、上記加圧パッドが、上記挟み込み部材に組付けられていてもよい。
【0026】
上記本発明の第1および第2の局面に基づく定着装置にあっては、上記押圧状態において上記第2主面に当接する部分の上記宛がい部の表面が、平面状であることが好ましい。
【0027】
上記本発明の第1および第2の局面に基づく定着装置は、さらに、上記幅方向と平行な方向を軸として上記加圧パッドを取り囲むことにより、記録材の搬送方向に沿って上記ニップ部を挿通するように配置された無端状の定着ベルトを備えていてもよい。その場合には、上記定着ベルトが、上記押圧状態において上記加圧ローラーによって上記加圧パッドに向けて押し付けられるとともに、上記ニップ部以外の位置において上記加熱源によって加熱されることが好ましく、また、上記押圧状態において、上記加圧ローラーが回転駆動されることにより、上記定着ベルトが、上記第1主面上を摺動しつつ上記加圧ローラーに従動して回転するとともに、上記押圧状態において、記録材上に形成されたトナー像が、上記ニップ部において上記定着ベルトに接触することにより、上記加熱源によって加熱された上記定着ベルトによって加熱されることが好ましい。
【0028】
上記本発明の第1および第2の局面に基づく定着装置にあっては、上記加圧パッドと上記定着ベルトとの間の摩擦抵抗を減じるための低摩擦部材が、上記幅方向と平行な方向を軸として上記加圧パッドを取り囲むように配置されることにより、上記第1主面および上記第2主面の各々が、上記低摩擦部材によって覆われていてもよい。その場合には、上記低摩擦部材の上記第2主面を覆う部分に孔部が設けられるとともに、上記第2主面から上記挟み込み部材側に向けて突出することで上記孔部に挿通される係合ピンが上記加圧パッドに設けられることにより、上記低摩擦部材が、上記加圧パッドに組付けられていてもよい。
【0029】
本発明に基づく画像形成装置は、上述した本発明の第1または第2の局面に基づく定着装置を画像形成のために備えてなるものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、記録材に形成される画像にムラが発生することが抑制できる定着装置およびこれを備えた画像形成装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施の形態1に係る画像形成装置の概略図である。
【
図2】実施の形態1に係る定着装置の概略斜視図である。
【
図5】
図2に示す定着装置の加圧パッドおよび挟み込み部材の形状を示す模式図である。
【
図6】
図2に示す定着装置の加圧パッドの背面図および断面図である。
【
図7】
図2に示す定着装置の要部の定着動作時の状態を示す模式断面図である。
【
図8】第1変形例に係る定着装置の要部の定着動作時の状態を示す模式断面図である。
【
図9】
図8に示す定着装置の加圧パッドおよび挟み込み部材の形状を示す模式図である。
【
図10】第2変形例に係る定着装置の加圧パッドおよび挟み込み部材の形状を示す模式図である。
【
図11】第3ないし第5変形例に係る定着装置の加圧パッドの背面図である。
【
図12】第1構成例およびその変形例に係る加圧パッドの背面図である。
【
図13】第2構成例およびその変形例に係る加圧パッドの背面図である。
【
図14】第3構成例およびその変形例に係る加圧パッドの背面図である。
【
図15】第4構成例およびその変形例に係る加圧パッドの背面図である。
【
図16】第5構成例に係る加圧パッドの背面図および断面図である。
【
図17】
図16に示す第5構成例の変形例に係る加圧パッドの背面図および断面図である。
【
図18】第6構成例およびその変形例に係る加圧パッドの背面図である。
【
図19】第7構成例およびその変形例に係る加圧パッドの背面図である。
【
図20】第8構成例に係る加圧パッドの背面図および断面図である。
【
図21】
図20に示す第8構成例の変形例に係る加圧パッドの背面図および断面図である。
【
図22】第9構成例に係る加圧パッドの背面図および断面図である。
【
図23】第10構成例に係る加圧パッドの背面図および断面図である。
【
図24】第11ないし第13構成例に係る加圧パッドの背面図である。
【
図25】実施の形態2に係る定着装置の要部の定着動作時の状態を示す模式断面図である。
【
図26】
図25に示す定着装置の加圧パッドおよび挟み込み部材の形状を示す模式図である。
【
図27】
図25に示す定着装置の加圧パッドの背面図および断面図である。
【
図28】第6変形例に係る定着装置の加圧パッド
および挟み込み部材の形状を示す
模式図である。
【
図29】第7および第8変形例に係る定着装置の加圧パッドの背面図である。
【
図30】第14構成例およびその変形例に係る加圧パッドの背面図である。
【
図31】第15ないし第17構成例に係る加圧パッドの背面図である。
【
図32】第18および第19構成例に係る加圧パッドの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態においては、本発明が適用された画像形成装置および定着装置として、電子写真方式を採用したいわゆるタンデム型のカラープリンターおよびこれに具備された定着装置を例示して説明を行なう。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0033】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置の概略図である。まず、この
図1を参照して、本実施の形態に係る画像形成装置1の概略的な構成および動作について説明する。
【0034】
図1に示すように、画像形成装置1は、装置本体2と、給紙ユニット9とを主として備えている。装置本体2は、記録材としての用紙Sに画像を形成するための部位である画像形成部2Aと、画像形成部2Aに用紙Sを供給するための部位である給紙部2Bとを含んでいる。給紙ユニット9は、画像形成部2Aに供給するための用紙Sを収納するものであり、給紙部2Bに着脱自在に設けられている。
【0035】
画像形成装置1の内部には、複数のローラー3が設置されており、これにより用紙Sが所定の方向に沿って搬送される搬送経路4が、上述した画像形成部2Aおよび給紙部2Bに跨って構築されている。また、図中に示すように、装置本体2には、画像形成部2Aに用紙Sを供給するための手差しトレイ9aが別途設けられていてもよい。
【0036】
画像形成部2Aは、たとえばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色のトナー像を形成可能な作像ユニット5と、当該作像ユニット5に含まれる感光体を露光するための露光ユニット6と、作像ユニット5に張架された中間転写ベルト7aと、搬送経路4上であってかつ中間転写ベルト7aの走路上に設けられた転写部7と、転写部7よりも下流側の部分の搬送経路4上に設けられた、後述する本実施の形態に係る定着装置8とを主として備えている。
【0037】
作像ユニット5は、露光ユニット6からの露光を受けてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色のトナー像あるいはブラック(K)のみからなるトナー像を感光体の表面に形成し、これを中間転写ベルト7aに転写する(いわゆる一次転写)。これにより、中間転写ベルト7aには、カラートナー像あるいはモノクロトナー像が形成されることになる。
【0038】
中間転写ベルト7aは、その表面に形成されたカラートナー像あるいはモノクロトナー像を転写部7へと移送し、給紙部2Bから転写部7へと搬送されてきた用紙Sとともに転写部7において圧接される。これにより、中間転写ベルト7aの表面に形成されたカラートナー像あるいはモノクロトナー像が用紙Sへと転写される(いわゆる二次転写)。
【0039】
カラートナー像あるいはモノクロトナー像が転写された用紙Sは、その後、定着装置8によって加圧および加熱される。これにより、用紙Sにカラー画像あるいはモノクロ画像が形成されることになり、当該カラー画像あるいはモノクロ画像が形成された用紙Sは、その後、装置本体2から排出される。
【0040】
図2は、本実施の形態に係る定着装置の概略斜視図である。また、
図3は、
図2に示す定着装置の
図2中におけるIII-III線に沿った模式断面図であり、
図4は、
図2に示す定着装置の模式平面図である。以下、これら
図2ないし
図4を参照して、本実施の形態に係る定着装置8の構成および動作について説明する。なお、
図2および
図3は、定着装置8の定着動作時の状態を示しており、
図4は、定着装置8の待機時(非定着動作時)の状態を示している。
【0041】
図2ないし
図4に示すように、定着装置8は、加圧回転体としての加圧ローラー10と、加熱回転体としての定着ベルト21を含む定着ベルトユニット20と、第1シャーシ31および第2シャーシ32(いずれも
図4参照)と、一対の付勢部材33(
図4参照)と、用紙Sの搬送を案内するための各種のガイド41~43(
図3参照)とを主として備えている。
【0042】
加圧ローラー10は、たとえばアルミニウム合金または鉄等からなる金属製の芯金11と、当該芯金11を覆うように設けられたたとえばシリコーンゴムまたはフッ素ゴム等からなるゴム製の弾性層12とを含んでいる。加圧ローラー10は、弾性層12を覆うように設けられたたとえばフッ素系樹脂等からなる離型層をさらに有していてもよい。
【0043】
芯金11は、中実円柱状または中空円筒状等の各種の形状のものが利用でき、その外径は特に制限されるものではないが、たとえば20mm以上100mm以下とされる。弾性層12の厚みおよび離型層の厚みも特に制限されるものではないが、弾性層12の厚みはたとえば1mm以上20mm以下とされ、離型層の厚みはたとえば5μm以上100μm以下とされる。
【0044】
加圧ローラー10は、定着ベルト21の外周面に対向するように配置されており、その軸方向の両端部は、第1シャーシ31に設けられた軸支部によって回転可能に軸支されている。加圧ローラー10は、図示しないたとえばモーター等の駆動源によって回転駆動される。また、加圧ローラー10は、一対の付勢部材33によって定着ベルトユニット20側に向けて弾性付勢可能に構成されている。
【0045】
定着ベルトユニット20は、上述した定着ベルト21に加え、加圧パッド22Aと、挟み込み部材23と、加熱ローラー24と、加熱源25と、補助パッド26とを主として有している。なお、
図4おいては、定着ベルト21の一部、加熱ローラー24、加熱源25および補助パッド26の図示を省略している。
【0046】
定着ベルト21は、無端状であり、耐熱性や強度、表面の平滑性等を考慮してたとえば複数の層にて構成されている。具体的には、定着ベルト21は、たとえばポリイミド樹脂またはステンレス合金あるいはニッケル電鋳等からなる基材層と、たとえばシリコーンゴムまたはフッ素ゴム等からなるゴム製の弾性層と、たとえばフッ素系樹脂等からなる離型層とを含んでいる。これら複数の層は、定着ベルト21の内側から外側に向けて基材層、弾性層、離型層の順で位置している。
【0047】
定着ベルト21の外径(すなわち外周長)は特に制限されるものではないが、たとえば10mm以上100mm以下とされる。基材層の厚み、弾性層の厚みおよび離型層の厚みも特に制限されるものではないが、基材層の厚みはたとえば5μm以上100μm以下とされ、弾性層の厚みはたとえば10μm以上300μm以下とされ、離型層の厚みはたとえば5μm以上100μm以下とされる。
【0048】
加圧パッド22Aは、定着ベルト21の幅方向(すなわち、加圧ローラー10の軸方向)に沿って延在する長尺板状の部材にて構成されており、その大部分が定着ベルト21の内側の空間に配置されている。これにより、加圧パッド22Aは、定着ベルト21を間に挟んで加圧ローラー10と対向するように定着ベルト21の内周面に向き合っている。加圧パッド22Aは、加圧ローラー10側に位置する第1主面22aと、加圧ローラー10側とは反対側(すなわち、挟み込み部材23側)に位置する第2主面22bとを含んでいる。
【0049】
加圧パッド22Aは、たとえばポリフェニレンスルファイド樹脂またはポリイミド樹脂あるいは液晶ポリマー樹脂等からなる樹脂製の部材、もしくはアルミニウム合金または鉄等からなる金属製の部材にて構成される。また、加圧パッド22Aは、上述したいずれかの部材と、たとえばシリコーンゴムまたはフッ素ゴム等からなるゴム製の部材との複合部品によって構成されていてもよい。なお、加圧パッド22Aの詳細な構成については、後述することとする。
【0050】
挟み込み部材23は、定着ベルト21の幅方向に沿って延在する長尺板状の部材にて構成されており、加圧パッド22Aから見て加圧ローラー10が位置する側とは反対側に位置するように、その大部分が定着ベルト21の内側の空間に配置されている。挟み込み部材23は、加圧パッド22Aを支持するとともに、加圧パッド22Aを補強するためのものである。
【0051】
挟み込み部材23は、加圧パッド22Aの第2主面22bに対向する平板状の宛がい部23aと、当該宛がい部23aから加圧ローラー10が位置する側とは反対側に向けて立設された一対の平板状の立壁部23b,23cとを含む、断面略C字状の形状を有している。なお、一対の立壁部23b,23cのうち、立壁部23bは、後述する用紙Sの搬送方向DR2における上流側の位置に対応する宛がい部23aの端部から立設されており、立壁部23cは、当該用紙Sの搬送方向DR2における下流側の位置に対応する宛がい部23aの端部から立設されている。
【0052】
挟み込み部材23は、たとえば電気亜鉛めっき鋼板(SECC)等の金属製の部材にて構成される。挟み込み部材23は、幅方向の両端部が第2シャーシ32によって支持されることで当該第2シャーシ32に固定されている。なお、加圧パッド22Aは、その周囲に設けられた図示しないフック状の係止部等が挟み込み部材23の宛がい部23aの周縁部等に係止されることにより、挟み込み部材23によって軽保持された状態で組付けられている。
【0053】
加熱ローラー24は、定着ベルト21の幅方向に沿って延在する円筒状の部材にて構成されており、挟み込み部材23から見て加圧ローラー10が位置する側とは反対側に位置するように、その大部分が定着ベルト21の内側の空間に配置されている。これにより、加熱ローラー24の外周面は、定着ベルト21の内周面に向き合っている。加熱ローラー24は、加熱源25にて発生する熱を定着ベルト21に伝熱するためのものである。加熱ローラー24は、その軸方向の両端部が図示しない軸支部によって回転可能に軸支されている。
【0054】
加熱ローラー24は、たとえばアルミニウム合金等からなる金属製の中空円筒状の部材にて構成される。加熱ローラー24の外径は特に制限されるものではないが、たとえば10mm以上100mm以下とされる。なお、加熱ローラー24は、効率的な伝熱を行なうためにその内周面が黒色層にて覆われていることが好ましく、また、その外周面がフッ素系樹脂等からなる保護層によって覆われていてもよい。
【0055】
加熱源25は、定着ベルト21の幅方向と平行な方向に沿って延在する一対の棒状ヒーターであるロングヒーターおよびショートヒーターを含んでおり、加熱ローラー24の内側の空間に配置されている。加熱源25は、加熱ローラー24を介して定着ベルト21を加熱するためのものであり、その軸方向の両端部が図示しない保持部によって保持されている。ロングヒーターおよびショートヒーターは、たとえばいずれもハロゲンヒーターからなる。
【0056】
ロングヒーターは、定着ベルト21の幅方向における略全域に対応した領域に発熱部を有しており、当該発熱部が発熱することにより、主としてその輻射熱によって加熱ローラー24を介して定着ベルト21を加熱するものである。なお、当該発熱部の軸方向長さは、画像形成装置1に供給される各種サイズの用紙のうち、その幅が最大である用紙の当該幅に対応している。なお、このロングヒーターの発熱部の軸方向長さが、後述するニップ部Nを通過する用紙Sの通過領域としての通紙領域R1(
図4参照)の幅に概ね相当することになる。
【0057】
ショートヒーターは、定着ベルト21の幅方向における中央部に対応した領域のみに発熱部を有しており、当該発熱部が発熱することにより、主としてその輻射熱によって加熱ローラー24を介して定着ベルト21を加熱するものである。なお、当該発熱部の軸方向長さは、画像形成装置1に供給される各種サイズの用紙のうち、その幅が最小である用紙の当該幅に対応している。
【0058】
なお、加熱源25としては、上述したハロゲンヒーター以外にも、IH(電磁誘導加熱)方式の加熱源等を利用することもでき、さらには、これ以外にも、加熱ローラー24または定着ベルト21を抵抗発熱体にて構成することでこれらを加熱源とすることもできる。
【0059】
補助パッド26は、定着ベルト21の幅方向に沿って延在する長尺板状の部材にて構成されており、その大部分が定着ベルト21の内側の空間に配置されるように、挟み込み部材23に設けられた立壁部23cの外側表面上に固定されている。補助パッド26は、定着ベルト21を案内するためのガイドであるとともに、定着ベルト21の内周面に潤滑剤を塗布するためのものでもある。
【0060】
より詳細には、補助パッド26は、定着ベルト21の回転方向において後述するニップ部Nよりも下流側の位置に設けられており、塗布部としての潤滑剤供給部26aを有している。この潤滑剤供給部26aは、たとえば潤滑剤が含浸されたフェルトによって構成されており、当該潤滑剤供給部26aに定着ベルト21の内周面が当接することにより、潤滑剤が定着ベルト21の内周面に供給される。これにより、定着ベルト21と加圧パッド22Aとの間の摺動性が向上することになる。
【0061】
加圧ローラー10を回転可能に軸支する第1シャーシ31と、挟み込み部材23を介して加圧パッド22Aを支持する第2シャーシ32とは、たとえばコイルバネ等からなる一対の付勢部材33によって接続されている。これにより、一対の付勢部材33が有する付勢力によって第1シャーシ31と第2シャーシ32とが近づく方向に付勢された状態においては、定着ベルト21が加圧ローラー10によって加圧パッド22Aに対して押し付けられることになり、これによって加圧パッド22Aが加圧ローラー10によって押圧された押圧状態が実現されることになる。
【0062】
定着ベルト21は、上述した加圧パッド22A、加熱ローラー24および補助パッド26に張架されている。これにより、定着ベルト21は、加圧パッド22Aの第1主面22a上を摺動するように回転することができ、この回転により、定着ベルト21のうちの加熱ローラー24に接触した部分が加熱源25によって加熱され、その後、定着ベルト21の当該部分が後述するニップ部Nに移動することで、ニップ部Nに供給された用紙S上に形成されたトナー像が、定着ベルト21の当該部分によって加熱されることになる。
【0063】
図3に示すように、本実施の形態に係る定着装置8においては、上述したように、加圧ローラー10が、一対の付勢部材33によって定着ベルトユニット20側に向けて付勢された状態において、加圧ローラー10が図示しない上述した駆動源によって図中に示す矢印A方向に向けて回転駆動されることにより、定着ベルト21が、加圧パッド22A上を摺動するように図中に示す矢印B方向に向けて従動回転する。
【0064】
これにより、加圧ローラー10と加圧パッド22Aとの間(より厳密には、加圧ローラー10と定着ベルト21の外周面との間)には、用紙Sが搬送されるニップ部Nが形成されることになる。換言すれば、加圧ローラー10および定着ベルトユニット20は、それらの間に形成されるニップ部Nが用紙の搬送経路4上に位置することとなるように、当該搬送経路4を挟み込むように配置されている。
【0065】
ここで、加圧ローラー10のうちの、上述した通紙領域R1に対応する部分を除く両端部(当該両端部は、ニップ部Nのうちの通紙領域R1の両外側に位置する一対の外側領域R2(
図4参照)に対応する部分である)において、前述の離型層を設けることなく弾性層12を露出させることとすれば、当該部分における定着ベルト21との摩擦抵抗を大きくすることが可能になり、より効率的に定着ベルト21を従動回転させることができる。
【0066】
また、これに加え、あるいはこれに代えて、定着ベルト21のうちの、上述した通紙領域R1に対応する部分を除く両端部(当該両端部は、ニップ部Nのうちの通紙領域R1の両外側に位置する一対の外側領域R2(
図4参照)に対応する部分である)において、前述の離型層を設けることなく弾性層を露出させることとすれば、当該部分における加圧ローラー10との摩擦抵抗を大きくすることが可能になり、より効率的に定着ベルト21を従動回転させることができる。
【0067】
なお、加圧パッド22Aが加圧ローラー10によって押圧された押圧状態において、加圧ローラー10と定着ベルトユニット20とが並ぶ方向が、加圧ローラー10の押圧方向DR1に該当することになり、当該押圧方向DR1と直交しかつ加圧ローラー10の軸方向(すなわち、定着ベルト21の幅方向)と直交する方向が、用紙Sの搬送方向DR2に該当することになる。
【0068】
搬送経路4上の位置であって、用紙Sの搬送方向DR2に沿ってニップ部Nよりも上流側の位置(すなわち、
図3中における下方側の位置)には、入口側ガイド41が設けられている。入口側ガイド41は、搬送経路4上を送られてきた用紙Sが確実にニップ部Nに投入されるようにするためのガイドである。
【0069】
また、搬送経路4上の位置であって、用紙Sの搬送方向DR2に沿ってニップ部Nよりも下流側の位置(すなわち、
図3中における上方側の位置)には、分離用ガイド42および出口側ガイド43が設けられている。分離用ガイド42は、ニップ部Nから排出されるに際して定着ベルト21に密着した状態にある用紙Sを当該定着ベルト21から分離するためのガイドであり、出口側ガイド43は、分離用ガイド42によって定着ベルト21から分離された用紙Sを確実に搬送経路4上に戻すためのガイドである。
【0070】
以上の構成を有することにより、本実施の形態に係る定着装置8にあっては、定着動作時において(すなわち、上述した押圧状態において)、用紙S上に形成されたトナー像に対して熱および圧力がニップ部Nにおいて加えられることになり、これによってトナー像が用紙Sに定着されることになる。
【0071】
図5は、
図2に示す定着装置の加圧パッドおよび挟み込み部材の形状を示す模式図である。また、
図6は、
図2に示す定着装置の加圧パッドの背面図および断面図である。次に、これら
図5および
図6を参照して、本実施の形態に係る定着装置8に具備された加圧パッド22Aの詳細な構造について説明する。
【0072】
ここで、
図5(A)は、加圧パッド22Aおよび挟み込み部材23をそれぞれ加圧ローラー10側から見た図であり、
図5(B)は、加圧パッド22Aおよび挟み込み部材23をそれぞれ加熱ローラー24側から見た図である。また、
図6(B)および
図6(C)は、それぞれ
図6(A)中に示すVIB-VIB線およびVIC-VIC線に沿った断面を表わしている。なお、
図6(A)は、加圧パッド22Aを挟み込み部材23側から見た背面図であるが、当該
図6においては、理解を容易とするために、加圧パッド22Aの第2主面22bを規定する部分(すなわち、後述する出っ張り部22fの頂面)に斜線を付している(なお、
図1ないし
図32に含まれる図のうち、加圧パッドの背面図に該当する図においては、当該
図6(A)と同様の処理を施している)。
【0073】
図5に示すように、本実施の形態に係る定着装置8においては、挟み込み部材23の宛がい部23aのうち、加圧パッド22Aの第2主面22bに対向する表面が、平面状であるのに対し、加圧パッド22Aの第2主面22bは、所定の凹凸形状を有している。
【0074】
より詳細には、
図5および
図6に示すように、加圧パッド22Aの第2主面22bには、複数の凹状部22eが設けられている。複数の凹状部22eは、加圧ローラー10の押圧方向DR1と直交する方向においてその各々の全周が出っ張り部22fによって取り囲まれてなるものである。
【0075】
本実施の形態においては、複数の凹状部22eの各々が、平面視矩形状に構成されている。これら平面視矩形状の凹状部22eは、加圧パッド22Aの幅方向(すなわち、定着ベルト21の幅方向)および用紙Sの搬送方向DR2に沿って互いに整列して配置されており、これにより行列状に位置している。これに伴い、複数の凹状部22eを取り囲む出っ張り部22fは、平面視格子状に構成されている。
【0076】
そのため、加圧パッド22Aの第2主面22bは、格子状の出っ張り部22fの頂面によって規定されることになり、加圧パッド22Aが加圧ローラー10によって押圧された押圧状態においては、当該格子状の出っ張り部22fの頂面が、挟み込み部材23の宛がい部23aに密着することになる。
【0077】
図6(A)に示すように、押圧方向DR1に沿って見た場合に、用紙Sの搬送方向DR2に沿って延びる部分の出っ張り部22fの幅(すなわち、出っ張り部22fの加圧パッド22Aの幅方向における寸法)は、いずれも同じ大きさである所定の幅W1に設定されており、また、加圧パッド22Aの幅方向に沿って延びる部分の出っ張り部22fの幅(すなわち、出っ張り部22fの用紙Sの搬送方向DR2における寸法)は、いずれも同じ大きさである所定の幅W2に設定されている。
【0078】
また、押圧方向DR1に沿って見た場合に、加圧パッド22Aの幅方向に沿って並ぶ出っ張り部22f同士の間隔(すなわち、これらの間に位置する凹状部22eの幅)は、いずれも同じ大きさである所定の間隔G1に設定されており、また、用紙Sの搬送方向DR2に沿って並ぶ出っ張り部22f同士の間隔(すなわち、これらの間に位置する凹状部22eの幅)は、いずれも同じ大きさである所定の間隔G2に設定されている。
【0079】
一方、
図6(B)および
図6(C)に示すように複数の凹状部22eの各々の深さは、いずれも同じ大きさである所定の深さDに設定されている。
【0080】
このように構成することにより、加圧パッド22Aの第2主面22bに複数の凹状部22eおよび格子状の出っ張り部22fがそれぞれ実質的に均等に設けられることになるため、加圧パッド22Aが加圧ローラー10によって押圧された押圧状態において、加圧パッド22Aと挟み込み部材23の宛がい部23aとの接触面積を確保しつつ、これらに加わる圧力の分散を図ることができる。
【0081】
これにより、加圧パッド22Aの第2主面22bの全域がほぼ等しい圧力をもって宛がい部23aに当接することになり、ニップ部Nの全域においてほぼ狙い通りにばらつきなく用紙Sに圧力を加えることが可能になる。そのため、用紙Sに対して加えられる圧力が局所的に大きくなる等の圧力分布が発生することが回避できる。したがって、上記構成を採用することにより、用紙Sに形成される画像にムラが発生することが抑制できることになる。
【0082】
なお、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の全域においてほぼ狙い通りにばらつきなく用紙Sに圧力を加える観点からは、少なくとも上述した複数の凹状部22eおよび格子状の出っ張り部22fが、通紙領域R1に対応する部分の第2主面22bにそれぞれ実質的に均等に設けられていればよい。
【0083】
また、上記構成を採用することにより、複数の凹状部22eが設けられた分だけ、加圧パッド22Aの熱容量が低減することになる。そのため、定着装置8全体としての熱容量の増加も抑制できることになり、省エネルギー化に寄与することになる。
【0084】
また、本実施の形態においては、上述した格子状の出っ張り部22fの一部により、用紙Sの搬送方向DR2における上流側の位置に対応する加圧パッド22Aの第2主面22bの縁部に、加圧パッド22Aの幅方向に沿って延びる上流側突条部22g1が設けられているとともに、用紙Sの搬送方向DR2における下流側の位置に対応する加圧パッド22Aの第2主面22bの縁部に、加圧パッド22Aの幅方向に沿って延びる下流側突条部22g2が設けられている。これら上流側突条部22g1および下流側突条部22g2は、いずれもニップ部Nに設けられた通紙領域R1に対応する部分の幅方向の両端部にまで達している。
【0085】
このように構成することにより、ニップ部Nに供給された用紙Sに対して、ニップ部Nの入口側部分と出口側部分とにおいて安定的に適切に圧力を加えることが可能になるため、形成される画像にムラが発生することが効果的に抑制できることになる。
【0086】
ここで、本実施の形態に係る定着装置8にあっては、上記構成を採用することにより、加圧パッド22Aの第2主面22bの全域がほぼ等しい圧力をもって挟み込み部材23の宛がい部23aに当接することになるため、ニップ部Nにおいて用紙Sに加えるべき複雑な圧力分布を加圧パッド22Aの第1主面22aの形状によって実現することができるという副次的な効果を得ることができる。以下、この点について詳細に説明する。
【0087】
一般に、良好な品位の画像を得るためには、上述した通紙領域に対応する部分のニップ部の幅方向における圧力の均一化に加え、用紙の搬送方向に沿ったニップ部の圧力分布を適切にコントロールすることが重要である。ここで、用紙の搬送方向に沿ったニップ部の圧力分布は、ニップ部の入口側部分において圧力が相対的に小さく、ニップ部の出口側部分において圧力が相対的に大きいことが望ましい。
【0088】
これは、トナー像の定着に際して、用紙の表面に付着したトナーをまずは十分に溶融させ、その後、溶融したトナーをより高い圧力にてを用紙に向けて押し付けることにより、高品位の画像を得ることが可能になるためである。仮に、ニップ部の入口側部分において圧力を大きくした場合には、トナーの全体が十分に溶融する前に溶融したトナーの一部が用紙に向けて強く押し付けられてしまうことになり、これが定着ムラの発生の原因となってしまう。
【0089】
この点、本実施の形態に係る定着装置8においては、加圧パッド22Aの第1主面22aの形状に特徴をもたせることにより、当該問題の解決を図っている。
図7は、
図2に示す定着装置の要部の定着動作時の状態を示す模式断面図である。
【0090】
具体的には、本実施の形態に係る定着装置8においては、加圧パッド22Aの第1主面22aの加圧ローラー10側に向けての突出量が、用紙Sの搬送方向DR2の上流側部分(当該部分は、ニップ部Nの入口側部分に対応する)において概ね一定に構成されており、用紙Sの搬送方向DR2の中央部近傍部分(当該部分は、ニップ部Nの入口側部分と出口側部分との間の中間部分の近傍に対応する)から用紙Sの搬送方向DR2の下流側部分(当該部分は、ニップ部Nの出口側部分に対応する)に向かうにつれて、概ね漸増するように構成されている。
【0091】
すなわち、加圧パッド22Aのニップ部Nの通紙領域R1に対応する部分の第1主面22aのうち、用紙Sの搬送方向DR2における下流側の端部22dが、加圧ローラー10側に向けて突出している。
【0092】
そのため、上記構成を採用することにより、上述したとおりの用紙Sの搬送方向DR2に沿ったニップ部Nの圧力分布の最適化が可能になるため、良好な品位の画像を得ることができる。また、上記構成を採用した場合には、ニップ部Nの出口側部分において溶融したトナーを確実に用紙Sに向けて押し付けることができるため、ニップ部Nの通過後における用紙Sの定着ベルト21からの分離性を高めることもできる。
【0093】
また、本実施の形態に係る定着装置8においては、さらに、加圧パッド22Aが加圧ローラー10によって押圧された押圧状態において、加圧パッド22Aの第2主面22bが、用紙Sの搬送方向DR2における上流側の位置に設けられた挟み込み部材23の立壁部23bに対応する位置よりも、用紙Sの搬送方向DR2における下流側の位置において挟み込み部材23の宛がい部23aに当接するように構成されている。
【0094】
すなわち、加圧パッド22Aのニップ部Nの通紙領域R1に対応する部分の第2主面22bのうち、用紙Sの搬送方向DR2における上流側の端部22cは、用紙Sの搬送方向DR2に沿って、挟み込み部材23の立壁部23bよりも距離dだけ後退した位置に配置されている。
【0095】
ここで、挟み込み部材23の宛がい部23aのうち、上述した立壁部23bが設けられた部分は、当該立壁部23bが補強リブとして機能することになるため、当該立壁部23bが設けられていない部分よりも、撓みの発生が抑制されることになる。そのため、立壁部23bが設けられた部分の宛がい部23aに加圧パッド22Aが当接するように構成した場合には、当該部分に対応する位置のニップ部Nにおいて、必要以上の圧力が用紙Sに対して加えられてしまうことになりかねない。
【0096】
したがって、上記のように構成することにより、ニップ部Nの入口側部分において用紙Sに加えられる圧力が大きくなってしまうことが防止でき、結果として用紙Sの表面に付着したトナーを当該ニップ部Nの入口側部分において十分に溶融させることが可能になる。したがって、このように構成した場合には、用紙Sの搬送方向DR2に沿ったニップ部Nの圧力分布をさらに適切にコントロールすることができることになる。
【0097】
(第1変形例)
図8は、第1変形例に係る定着装置の要部の模式断面図であり、
図9は、
図8示す定着装置の加圧パッドおよび挟み込み部材の形状を示す模式図である。以下、これら
図8および
図9を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第1変形例に係る定着装置8’について説明する。なお、
図9は、加圧パッド22A1および挟み込み部材23をそれぞれ加熱ローラー24側から見た図である。
【0098】
図8に示すように、本変形例に係る定着装置8’は、加圧パッド22A1の第1主面22aおよび第2主面22bを覆う低摩擦部材27を備えている。低摩擦部材27は、定着ベルト21の加圧パッド22A1の第1主面22a上における摺動性を良好に保つための部材であり、たとえばその表面の摩擦抵抗が小さく構成された摺動シートにて構成される。
【0099】
上記摺動シートとしては、たとえばガラスクロスを基材とし、その表面がフッ素系樹脂等のコート層で覆われたものが一般的であるが、この他にもフッ素繊維の織物やフッ素系樹脂シート等を利用することができる。また、加圧パッド22A1と別部材にて低摩擦部材27を構成することなく、加圧パッド22A1の表面をガラスまたはフッ素系樹脂等のコート層で覆うことで加圧パッド22A1との一体品として構成してもよい。
【0100】
ここで、本変形例に係る定着装置8’においては、低摩擦部材27が摺動シートによって構成されており、当該摺動シートが定着ベルト21の幅方向と平行な方向を軸として加圧パッド22A1を取り囲むように巻き付けられることにより、当該加圧パッド22A1に組付けられている。
【0101】
より詳細には、
図8および
図9に示すように、本変形例に係る定着装置8’においては、第2主面22bを覆う部分の摺動シートに孔部が設けられており、第2主面22bから挟み込み部材23側に向けて突出することで摺動シートの孔部に挿通される係合ピン22hが加圧パッド22A1に設けられており、これによって摺動シートが、加圧パッド22A1に組付けられている。さらに、加圧パッド22A1に設けられた係合ピン22hは、挟み込み部材23の宛がい部23aに設けられた孔部23dに挿通されており、これにより摺動シートが巻き付けられた状態にある加圧パッド22A1が、挟み込み部材23によって軽保持されている。
【0102】
このように構成することにより、定着ベルト21の摺動性を向上させつつ、画像ムラの発生の抑制が実現できることになる。
【0103】
(第2変形例)
図10は、第2変形例に係る定着装置の加圧パッドおよび挟み込み部材の形状を示す模式図である。以下、この
図10を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第2変形例に係る定着装置について説明する。なお、
図10は、加圧パッド22A2および挟み込み部材23をそれぞれ加熱ローラー24側から見た図である。
【0104】
図10に示すように、本変形例に係る定着装置においては、加圧パッド22A2が、加圧ローラー10によって押圧されていない状態において、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1に対応する部分の第2主面22bのうちの幅方向における中央部が、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1に対応する部分の第2主面22bのうちの幅方向における両端部よりも、挟み込み部材23の宛がい部23a側に向けて膨出した形状を有している。これにより、加圧パッド22A2の第2主面22bは、いわゆる正クラウン形状を有している。
【0105】
ここで、加圧パッドを長尺板状の部材にて構成するとともに、挟み込み部材の宛がい部を平板状に構成した場合には、定着動作時における加圧ローラーの押圧力が非常に高いため、加圧パッドに撓みが発生するばかりでなく、これを補強する挟み込み部材の宛がい部にも撓みが発生してしまう場合がある。この撓みが発生した場合には、ニップ部において用紙に対して加えられる圧力の定着ベルトの幅方向に沿った分布が大きくばらつくことになり、これが定着ムラとなり、形成される画像の品位が大幅に低下してしまうことになる。
【0106】
そこで、本変形例においては、加圧パッド22A2の第2主面22bに上述した膨出形状を付与することにより、当該膨出部によって挟み込み部材23の撓みによる変位を吸収することとし、これによってニップ部Nに設けられた通紙領域R1に対応する部分の第2主面22bの全域を宛がい部23aに密着させつつ、加圧パッド22A2の撓みの発生を抑制可能にしている。
【0107】
したがって、上記構成を採用することにより、加圧ローラー10の軸方向(すなわち、定着ベルト21の幅方向)に沿って、ニップ部Nの通紙領域R1において、用紙Sに対して概ね均等に圧力を付与することが可能になり、ニップ部Nの幅方向の全域においてムラなくトナー像の定着が行なえることになり、形成される画質の品位を大幅に向上させることが可能になる。
【0108】
(第3ないし第5変形例)
図11は、第3ないし第5変形例に係る定着装置の加圧パッドの背面図である。次に、この
図11を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第3ないし第5変形例に係る定着装置について説明する。
【0109】
第3ないし第5変形例に係る定着装置は、いずれも上述した実施の形態1に係る定着装置8と同様に、加圧パッド22A3~22A5の第2主面22bの全域がほぼ等しい圧力をもって挟み込み部材23の宛がい部23aに当接するように構成したものである。
【0110】
すなわち、
図11(A)に示す第3変形例に係る定着装置の加圧パッド22A3は、斜め方向に延びる突条形状の出っ張り部22fが互いに交差するように設けられることにより、全体として斜め格子状の出っ張り部22fの頂面が第2主面22bを構成することとなるように、平面視矩形状の複数の凹状部22eが、当該加圧パッド22A3の第2主面22bに設けられてなるものである。
【0111】
また、
図11(B)に示す第4変形例に係る定着装置の加圧パッド22A4は、トラスト状の出っ張り部22fの頂面が第2主面22bを構成することとなるように、平面視三角形形状の複数の凹状部22eが、当該加圧パッド22A4の第2主面22bに設けられてなるものである。
【0112】
一方、
図11(C)に示す第5変形例に係る定着装置の加圧パッド22A5は、略格子状の出っ張り部22fの頂面が第2主面22bを構成することとなるように、平面視円形状の複数の凹状部22eが、当該加圧パッド22A5の第2主面22bに設けられてなるものである。
【0113】
これら構成のいずれを採用した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果を得ることができ、ニップ部Nの全域においてほぼ狙い通りにばらつきなく用紙Sに圧力を加えることが可能となって、用紙Sに形成される画像にムラが発生することが抑制できることになる。
【0114】
<第1構成例およびその変形例>
図12は、第1構成例およびその変形例に係る加圧パッドの背面図である。以下、この
図12を参照して、第1構成例およびその変形例に係る加圧パッド22B,22B1,22B2について説明する。なお、これら第1構成例およびその変形例に係る加圧パッド22B,22B1,22B2は、上述した実施の形態1に係る定着装置8の加圧パッド22Aに代えて、当該定着装置8に具備されるものである。
【0115】
図12に示す第1構成例およびその変形例に係る加圧パッド22B,22B1,22B2は、いずれも上述した実施の形態1に係る加圧パッド22Aに比べ、より大きい圧力をニップ部Nにおいて用紙Sに加える場合に好適なものである。
【0116】
すなわち、
図12(A)に示す第1構成例に係る加圧パッド22Bは、上述した実施の形態1に係る加圧パッド22Aに比べ、用紙Sの搬送方向DR2に沿って延びる部分の出っ張り部22fの幅W1と、加圧パッド22Bの幅方向に沿って延びる部分の出っ張り部22fの幅W2とをより大きく構成したものである。
【0117】
また、
図12(B)に示す第1構成例の変形例に係る加圧パッド22B1は、上述した実施の形態1に係る加圧パッド22Aに比べ、用紙Sの搬送方向DR2に沿って延びる部分の出っ張り部22fの幅W1をより大きく構成したものである。
【0118】
一方、
図12(C)に示す第1構成例の他の変形例に係る加圧パッド22B2は、上述した実施の形態1に係る加圧パッド22Aに比べ、加圧パッド22B2の幅方向に沿って延びる部分の出っ張り部22fの幅W2をより大きく構成したものである。
【0119】
これら構成のいずれを採用した場合にも、上述した実施の形態1に比べ、加圧パッド22B,22B1,22B2と挟み込み部材23の宛がい部23aとの接触面積が増加することに伴い、より大きい圧力をニップ部Nにおいて用紙Sに加えることが可能になるとともに、同時にこれらに加わる圧力の分散を図ることが可能になる。
【0120】
したがって、これら構成のいずれを採用した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果を得ることができ、ニップ部Nの全域においてほぼ狙い通りにばらつきなく用紙Sに圧力を加えることが可能となって、用紙Sに形成される画像にムラが発生することが抑制できることになる。
【0121】
<第2構成例およびその変形例>
図13は、第2構成例およびその変形例に係る加圧パッドの背面図である。以下、この
図13を参照して、第2構成例およびその変形例に係る加圧パッド22C,22C1,22C2について説明する。なお、これら第2構成例およびその変形例に係る加圧パッド22C,22C1,22C2は、上述した実施の形態1に係る定着装置8の加圧パッド22Aに代えて、当該定着装置8に具備されるものである。
【0122】
図13に示す第2構成例およびその変形例に係る加圧パッド22C,22C1,22C2は、いずれも上述した実施の形態1に係る加圧パッド22Aに比べ、さらなる熱容量の低減を図る場合に好適なものである。
【0123】
すなわち、
図13(A)に示す第2構成例に係る加圧パッド22Cは、上述した実施の形態1に係る加圧パッド22Aに比べ、加圧パッド22Cの幅方向に沿って並ぶ出っ張り部22f同士の間隔G1と、用紙Sの搬送方向DR2に沿って並ぶ出っ張り部22f同士の間隔G2とをより大きく構成したものである。
【0124】
また、
図13(B)に示す第2構成例の変形例に係る加圧パッド22C1は、上述した実施の形態1に係る加圧パッド22Aに比べ、加圧パッド22C1の幅方向に沿って並ぶ出っ張り部22f同士の間隔G1をより大きく構成したものである。
【0125】
一方、
図13(C)に示す第2構成例の他の変形例に係る加圧パッド22C2は、上述した実施の形態1に係る加圧パッド22Aに比べ、用紙Sの搬送方向DR2に沿って並ぶ出っ張り部22f同士の間隔G2をより大きく構成したものである。
【0126】
これら構成のいずれを採用した場合にも、上述した実施の形態1に比べ、加圧パッド22C,22C1,22C2に設けられた複数の凹状部22eの容積が増加することに伴い、さらなる熱容量の低減を図ることが可能になるとともに、同時に加圧パッド22C,22C1,22C2と挟み込み部材23とに加わる圧力の分散を図ることが可能になる。
【0127】
したがって、これら構成のいずれを採用した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果を得ることができ、ニップ部Nの全域においてほぼ狙い通りにばらつきなく用紙Sに圧力を加えることが可能となって、用紙Sに形成される画像にムラが発生することが抑制できることになる。
【0128】
<第3構成例およびその変形例>
図14は、第3構成例およびその変形例に係る加圧パッドの背面図である。以下、この
図14を参照して、第3構成例およびその変形例に係る加圧パッド22D1,22D2について説明する。なお、これら第3構成例およびその変形例に係る加圧パッド22D1,22D2は、上述した実施の形態1に係る定着装置8の加圧パッド22Aに代えて、当該定着装置8に具備されるものである。
【0129】
図14に示す第3構成例およびその変形例に係る加圧パッド22D1,22D2は、いずれも上述した実施の形態1に係る加圧パッド22Aと異なり、第2主面22bに複数の凹状部22eおよび格子状の出っ張り部22fをそれぞれ実質的に不均等に設けたものであり、これにより用紙Sの搬送方向DR2に沿ってニップ部Nにおいて用紙Sに加えられる圧力に変化をもたせたものである。
【0130】
すなわち、
図14(A)に示す第3構成例に係る加圧パッド22D1は、加圧パッド22Bの幅方向に沿って延びる部分の出っ張り部22fの幅のうち、用紙Sの搬送方向DR2における下流側の位置に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22fの幅W2Bを、用紙Sの搬送方向DR2における上流側の位置に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22fの幅W2Aよりも大きく構成したものである。
【0131】
また、
図14(B)に示す第3構成例の変形例に係る加圧パッド22D2は、加圧パッド22Bの幅方向に沿って延びる部分の出っ張り部22fの幅のうち、用紙Sの搬送方向DR2における中間位置よりも僅かに下流側の位置に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22fの幅W2Bを、他の位置に設けられた出っ張り部22fの幅W2Aよりも大きく構成したものである。
【0132】
これら構成を採用した場合には、用紙Sの搬送方向DR2に沿ってニップ部Nにおいて用紙Sに加えられる圧力に変化をもたせつつ、加圧パッド22D1,22D2と挟み込み部材23とに加わる圧力の分散を図ることが可能になる。したがって、これら第3構成例およびその変形例に係る加圧パッド22D1,22D2の如く、幅方向に沿って延びる部分の出っ張り部22fの幅を第2主面22bの位置に応じて異ならしめることにより、用紙Sの搬送方向DR2に沿ったニップ部Nの圧力分布を適切にコントロールしつつ、ニップ部Nの全域においてほぼ狙い通りにばらつきなく用紙Sに圧力を加えることが可能となる。
【0133】
なお、上記第3構成例およびその変形例に係る加圧パッド22D1,22D2とした場合には、用紙Sの搬送方向DR2に沿ったニップ部Nの圧力分布を、ニップ部Nの入口側部分において圧力が相対的に小さく、ニップ部Nの出口側部分において圧力が相対的に大きい圧力分布とすることができる。したがって、トナー像の定着に際して、用紙Sの表面に付着したトナーをまずは十分に溶融させ、その後、溶融したトナーをより高い圧力にてを用紙Sに向けて押し付けることが可能になり、ムラのない高品位の画像を得ることが可能になる。
【0134】
<第4構成例およびその変形例>
図15は、第4構成例およびその変形例に係る加圧パッドの背面図である。以下、この
図15を参照して、第4構成例およびその変形例に係る加圧パッド22E1,22E2について説明する。なお、これら第4構成例およびその変形例に係る加圧パッド22E1,22E2は、上述した実施の形態1に係る定着装置8の加圧パッド22Aに代えて、当該定着装置8に具備されるものである。
【0135】
図15に示す第4構成例およびその変形例に係る加圧パッド22E1,22E2は、いずれも上述した実施の形態1に係る加圧パッド22Aと異なり、第2主面22bに複数の凹状部22eおよび格子状の出っ張り部22fをそれぞれ実質的に不均等に設けたものであり、これにより用紙Sの搬送方向DR2に沿ってニップ部Nにおいて用紙Sに加えられる圧力に変化をもたせたものである。
【0136】
すなわち、
図15(A)に示す第4構成例に係る加圧パッド22E1は、用紙Sの搬送方向DR2に沿って並ぶ部分の出っ張り部22f同士の間隔のうち、用紙Sの搬送方向DR2における下流側の位置に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22f同士の間隔G2Bを、用紙Sの搬送方向DR2における上流側の位置に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22f同士の間隔G2Aよりも小さく構成したものである。
【0137】
また、
図15(B)に示す第4構成例の変形例に係る加圧パッド22E2は、用紙Sの搬送方向DR2に沿って並ぶ部分の出っ張り部22f同士の間隔のうち、用紙Sの搬送方向DR2における中間位置よりも僅かに下流側の位置に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22f同士の間隔G2Bを、他の位置に設けられた出っ張り部22f同士の間隔G2Aよりも小さく構成したものである。
【0138】
これら構成を採用した場合には、用紙Sの搬送方向DR2に沿ってニップ部Nにおいて用紙Sに加えられる圧力に変化をもたせつつ、加圧パッド22E1,22E2と挟み込み部材23とに加わる圧力の分散を図ることが可能になる。したがって、これら第4構成例およびその変形例に係る加圧パッド22E1,22E2の如く、用紙Sの搬送方向DR2に沿って並ぶ部分の出っ張り部22f同士の間隔を第2主面22bの位置に応じて異ならしめることにより、用紙Sの搬送方向DR2に沿ったニップ部Nの圧力分布を適切にコントロールしつつ、ニップ部Nの全域においてほぼ狙い通りにばらつきなく用紙Sに圧力を加えることが可能となる。
【0139】
なお、上記第4構成例およびその変形例に係る加圧パッド22E1,22E2とした場合には、用紙Sの搬送方向DR2に沿ったニップ部Nの圧力分布を、ニップ部Nの入口側部分において圧力が相対的に小さく、ニップ部Nの出口側部分において圧力が相対的に大きい圧力分布とすることができる。したがって、トナー像の定着に際して、用紙Sの表面に付着したトナーをまずは十分に溶融させ、その後、溶融したトナーをより高い圧力にてを用紙Sに向けて押し付けることが可能になり、ムラのない高品位の画像を得ることが可能になる。
【0140】
<第5構成例およびその変形例>
図16は、第5構成例に係る加圧パッドの背面図および断面図であり、
図17は、当該第5構成例の変形例に係る加圧パッドの背面図および断面図である。以下、これら
図16および
図17を参照して、第5構成例およびその変形例に係る加圧パッド22F1,22F2について説明する。なお、これら第5構成例およびその変形例に係る加圧パッド22F1,22F2は、上述した実施の形態1に係る定着装置8の加圧パッド22Aに代えて、当該定着装置8に具備されるものである。
【0141】
ここで、
図16(B)および
図16(C)は、それぞれ
図16(A)中に示すXVIB-XVIB線およびXVIC-XVIC線に沿った断面を表わしており、
図17(B)および
図17(C)は、それぞれ
図17(A)中に示すXVIIB-XVIIB線およびXVIIC-XVIIC線に沿った断面を表わしている。
【0142】
図16および
図17に示す第5構成例およびその変形例に係る加圧パッド22F1,22F2は、いずれも上述した実施の形態1に係る加圧パッド22Aと異なり、第2主面22bに複数の凹状部22eおよび格子状の出っ張り部22fをそれぞれ実質的に均等に設けつつも、このうちの複数の凹状部22eの各々の深さを実質的に不均等にすることにより、用紙Sの搬送方向DR2に沿ってニップ部Nにおいて用紙Sに加えられる圧力に変化をもたせたものである。
【0143】
すなわち、
図16に示す第5構成例に係る加圧パッド22F1は、用紙Sの搬送方向DR2における下流側の位置に対応する部分の第2主面22bに設けられた複数の凹状部22eの各々の深さD2Bを、用紙Sの搬送方向DR2における上流側の位置に対応する部分の第2主面22bに設けられた複数の凹状部22eの各々の深さD2Aよりも小さく構成したものである。
【0144】
また、
図17に示す第5構成例の変形例に係る加圧パッド22F2は、用紙Sの搬送方向DR2における中間位置よりも僅かに下流側の位置に対応する部分の第2主面22bに設けられた複数の凹状部22eの各々の深さD2Bを、他の位置に設けられた複数の凹状部22eの各々の深さD2Aよりも小さく構成したものである。
【0145】
これら構成を採用した場合には、用紙Sの搬送方向DR2に沿ってニップ部Nにおいて用紙Sに加えられる圧力に変化をもたせつつ、加圧パッド22F1,22F2と挟み込み部材23とに加わる圧力の分散を図ることが可能になる。したがって、これら第5構成例およびその変形例に係る加圧パッド22F1,22F2の如く、複数の凹状部22eの深さを第2主面22bの位置に応じて異ならしめることにより、用紙Sの搬送方向DR2に沿ったニップ部Nの圧力分布を適切にコントロールしつつ、ニップ部Nの全域においてほぼ狙い通りにばらつきなく用紙Sに圧力を加えることが可能となる。
【0146】
なお、上記第5構成例およびその変形例に係る加圧パッド22F1,22F2とした場合には、用紙Sの搬送方向DR2に沿ったニップ部Nの圧力分布を、ニップ部Nの入口側部分において圧力が相対的に小さく、ニップ部Nの出口側部分において圧力が相対的に大きい圧力分布とすることができる。したがって、トナー像の定着に際して、用紙Sの表面に付着したトナーをまずは十分に溶融させ、その後、溶融したトナーをより高い圧力にてを用紙Sに向けて押し付けることが可能になり、ムラのない高品位の画像を得ることが可能になる。
【0147】
<第6構成例およびその変形例>
図18は、第6構成例およびその変形例に係る加圧パッドの背面図である。以下、この
図18を参照して、第6構成例およびその変形例に係る加圧パッド22G1,22G2について説明する。なお、これら第6構成例およびその変形例に係る加圧パッド22G1,22G2は、上述した実施の形態1に係る定着装置8の加圧パッド22Aに代えて、当該定着装置8に具備されるものである。
【0148】
図18に示す第6構成例およびその変形例に係る加圧パッド22G1,22G2は、いずれも上述した実施の形態1に係る加圧パッド22Aと異なり、第2主面22bに複数の凹状部22eおよび格子状の出っ張り部22fをそれぞれ実質的に不均等に設けたものであり、これにより定着ベルト21の幅方向(すなわち、加圧パッド22G1,22G2の幅方向)に沿ってニップ部Nにおいて用紙Sに加えられる圧力に変化をもたせたものである。
【0149】
すなわち、
図18(A)に示す第6構成例に係る加圧パッド22G1は、用紙Sの搬送方向DR2に沿って延びる部分の出っ張り部22fの幅のうち、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向の外側に位置する一対の外側領域R2に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22fの幅W1Cを、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向における両端部に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22fの幅W1Bよりも大きく構成するとともに、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向における両端部に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22fの幅W1Bを、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向における中央部に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22fの幅W1Aよりも大きく構成したものである。
【0150】
また、
図18(B)に示す第6構成例の変形例に係る加圧パッド22G2は、用紙Sの搬送方向DR2に沿って延びる部分の出っ張り部22fの幅のうち、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向における中央部に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22fの幅W1Aを、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向における両端部に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22fの幅W1Bよりも大きく構成するとともに、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向における両端部に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22fの幅W1Bを、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向の外側に位置する一対の外側領域R2に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22fの幅W1Cよりも大きく構成したものである。
【0151】
これら構成を採用した場合には、定着ベルト21の幅方向に沿ってニップ部Nにおいて用紙Sに加えられる圧力に変化をもたせつつ、加圧パッド22G1,22G2と挟み込み部材23とに加わる圧力の分散を図ることが可能になる。したがって、これら第6構成例およびその変形例に係る加圧パッド22G1,22G2の如く、用紙Sの搬送方向DR2に沿って延びる部分の出っ張り部22fの幅を第2主面22bの位置に応じて異ならしめることにより、定着ベルト21の幅方向に沿ったニップ部Nの圧力分布を適切にコントロールしつつ、ニップ部Nの全域においてほぼ狙い通りにばらつきなく用紙Sに圧力を加えることが可能となる。
【0152】
ここで、特に上記第6構成例に係る加圧パッド22G1とした場合には、定着ベルト21がニップ部Nの幅方向の両端部においてニップ部Nの幅方向の中央部よりも大きい圧力で挟まれることになるとともに、ニップ部Nの幅方向の外側に位置する一対の外側領域R2において、加圧ローラー10と加圧パッド22G1とがより大きい押圧力をもって圧接することになる。これにより、定着ベルト21にスリップが生じることが抑制できることになり、より確実に定着ベルト21を従動回転させることが可能になって、結果として用紙Sの搬送を確実ならしめることができる。
【0153】
したがって、このように構成することにより、用紙Sの搬送不良が発生してしまうことが抑制できることになり、用紙Sが詰まったり、用紙Sに皺が生じたり、あるいは、用紙Sが局所的に過加熱されることで定着ムラが発生したりする不具合の発生を未然に防止できることになる。
【0154】
<第7構成例およびその変形例>
図19は、第7構成例およびその変形例に係る加圧パッドの背面図である。以下、この
図19を参照して、第7構成例およびその変形例に係る加圧パッド22H1,22H2について説明する。なお、これら第7構成例およびその変形例に係る加圧パッド22H1,22H2は、上述した実施の形態1に係る定着装置8の加圧パッド22Aに代えて、当該定着装置8に具備されるものである。
【0155】
図19に示す第7構成例およびその変形例に係る加圧パッド22H1,22H2は、いずれも上述した実施の形態1に係る加圧パッド22Aと異なり、第2主面22bに複数の凹状部22eおよび格子状の出っ張り部22fをそれぞれ実質的に不均等に設けたものであり、これにより定着ベルト21の幅方向(すなわち、加圧パッド22H1,22H2の幅方向)に沿ってニップ部Nにおいて用紙Sに加えられる圧力に変化をもたせたものである。
【0156】
すなわち、
図19(A)に示す第7構成例に係る加圧パッド22H1は、用紙Sの搬送方向DR2に沿って並ぶ部分の出っ張り部22f同士の間隔のうち、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向の外側に位置する一対の外側領域R2に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22f同士の間隔G1Cを、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向における両端部に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22f同士の間隔G1Bよりも小さく構成するとともに、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向における両端部に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22f同士の間隔G1Bを、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向における中央部に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22f同士の間隔G1Aよりも小さく構成したものである。
【0157】
また、
図19(B)に示す第
7構成例の変形例に係る加圧パッド22H2は、用紙Sの搬送方向DR2に沿って並ぶ部分の出っ張り部22f同士の間隔のうち、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向における中央部に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22f同士の間隔G1Aを、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向における両端部に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22f同士の間隔G1Bよりも小さく構成するとともに、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向における両端部に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22f同士の間隔G1Bを、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向の外側に位置する一対の外側領域R2に対応する部分の第2主面22bに設けられた出っ張り部22f同士の間隔G1Cよりも小さく構成したものである。
【0158】
これら構成を採用した場合には、定着ベルト21の幅方向に沿ってニップ部Nにおいて用紙Sに加えられる圧力に変化をもたせつつ、加圧パッド22H1,22H2と挟み込み部材23とに加わる圧力の分散を図ることが可能になる。したがって、これら第7構成例およびその変形例に係る加圧パッド22H1,22H2の如く、幅方向に沿って並ぶ部分の出っ張り部22f同士の間隔を第2主面22bの位置に応じて異ならしめることにより、定着ベルト21の幅方向に沿ったニップ部Nの圧力分布を適切にコントロールしつつ、ニップ部Nの全域においてほぼ狙い通りにばらつきなく用紙Sに圧力を加えることが可能となる。
【0159】
ここで、特に上記第7構成例に係る加圧パッド22H1とした場合には、定着ベルト21がニップ部Nの幅方向の両端部においてニップ部Nの幅方向の中央部よりも大きい圧力で挟まれることになるとともに、ニップ部Nの幅方向の外側に位置する一対の外側領域R2において、加圧ローラー10と加圧パッド22H1とがより大きい押圧力をもって圧接することになる。これにより、定着ベルト21にスリップが生じることが抑制できることになり、より確実に定着ベルト21を従動回転させることが可能になって、結果として用紙Sの搬送を確実ならしめることができる。
【0160】
したがって、このように構成することにより、用紙Sの搬送不良が発生してしまうことが抑制できることになり、用紙Sが詰まったり、用紙Sに皺が生じたり、あるいは、用紙Sが局所的に過加熱されることで定着ムラが発生したりする不具合の発生を未然に防止できることになる。
【0161】
<第8構成例およびその変形例>
図20は、第8構成例に係る加圧パッドの背面図および断面図であり、
図21は、当該第8構成例の変形例に係る加圧パッドの背面図および断面図である。以下、これら
図20および
図21を参照して、第8構成例およびその変形例に係る加圧パッド22I1,22I2について説明する。なお、これら第8構成例およびその変形例に係る加圧パッド22I1,22I2は、上述した実施の形態1に係る定着装置8の加圧パッド22Aに代えて、当該定着装置8に具備されるものである。
【0162】
ここで、
図20(B)および
図20(C)は、それぞれ
図20(A)中に示すXXB-XXB線およびXXC-XXC線に沿った断面を表わしており、
図21(B)および
図21(C)は、それぞれ
図21(A)中に示すXXIB-XXIB線およびXXIC-XXIC線に沿った断面を表わしている。
【0163】
図20および
図21に示す第8構成例およびその変形例に係る加圧パッド22I1,22I2は、いずれも上述した実施の形態1に係る加圧パッド22Aと異なり、第2主面22bに複数の凹状部22eおよび格子状の出っ張り部22fをそれぞれ実質的に均等に設けつつも、このうちの複数の凹状部22eの各々の深さを実質的に不均等にすることにより、定着ベルト21の幅方向(すなわち、加圧パッド22I1,22I2の幅方向)に沿ってニップ部Nにおいて用紙Sに加えられる圧力に変化をもたせたものである。
【0164】
すなわち、
図20に示す第8構成例に係る加圧パッド22I1は、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向の外側に位置する一対の外側領域R2に対応する部分の第2主面22bに設けられた複数の凹状部22eの各々の深さD1Cを、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向における両端部に対応する部分の第2主面22bに設けられた複数の凹状部22eの各々の深さD1Bよりも小さく構成するとともに、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向における両端部に対応する部分の第2主面22bに設けられた複数の凹状部22eの各々の深さD1Bを、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向における中央部に対応する部分の第2主面22bに設けられた複数の凹状部22eの各々の深さD1Aよりも小さく構成したものである。
【0165】
また、
図21に示す第8構成例の変形例に係る加圧パッド22I2は、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向における中央部に対応する部分の第2主面22bに設けられた複数の凹状部22eの各々の深さD1Aを、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向における両端部に対応する部分の第2主面22bに設けられた複数の凹状部22eの各々の深さD1Bよりも小さく構成するとともに、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向における両端部に対応する部分の第2主面22bに設けられた複数の凹状部22eの各々の深さD1Bを、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の幅方向の外側に位置する一対の外側領域R2に対応する部分の第2主面22bに設けられた複数の凹状部22eの各々の深さD1Cよりも小さく構成したものである。
【0166】
これら構成を採用した場合には、定着ベルト21の幅方向に沿ってニップ部Nにおいて用紙Sに加えられる圧力に変化をもたせつつ、加圧パッド22I1,22I2と挟み込み部材23とに加わる圧力の分散を図ることが可能になる。したがって、これら第8構成例およびその変形例に係る加圧パッド22I1,22I2の如く、複数の凹状部22eの深さを第2主面22bの位置に応じて異ならしめることにより、定着ベルト21の幅方向に沿ったニップ部Nの圧力分布を適切にコントロールしつつ、ニップ部Nの全域においてほぼ狙い通りにばらつきなく用紙Sに圧力を加えることが可能となる。
【0167】
ここで、特に上記第8構成例に係る加圧パッド22I1とした場合には、定着ベルト21がニップ部Nの幅方向の両端部においてニップ部Nの幅方向の中央部よりも大きい圧力で挟まれることになるとともに、ニップ部Nの幅方向の外側に位置する一対の外側領域R2において、加圧ローラー10と加圧パッド22I1とがより大きい押圧力をもって圧接することになる。これにより、定着ベルト21にスリップが生じることが抑制できることになり、より確実に定着ベルト21を従動回転させることが可能になり、結果として用紙Sの搬送を確実ならしめることができる。
【0168】
したがって、このように構成することにより、用紙Sの搬送不良が発生してしまうことが抑制できることになり、用紙Sが詰まったり、用紙Sに皺が生じたり、あるいは、用紙Sが局所的に過加熱されることで定着ムラが発生したりする不具合の発生を未然に防止できることになる。
【0169】
<第9構成例>
図22は、第9構成例に係る加圧パッドの背面図および断面図である。以下、この
図22を参照して、第9構成例に係る加圧パッド22Jについて説明する。なお、この第9構成例に係る加圧パッド22Jは、上述した実施の形態1に係る定着装置8の加圧パッド22Aに代えて、当該定着装置8に具備されるものである。なお、
図22(B)および
図22(C)は、それぞれ
図22(A)中に示すXXIIB-XXIIB線およびXXIIC-XXIIC線に沿った断面を表わしている。
【0170】
図22に示すように、第9構成例に係る加圧パッド22Jにおいては、複数の凹状部22eの各々が、縦長の平面視長尺矩形状に構成されており、これら平面視長尺矩形状の凹状部22eは、加圧パッド22Aの幅方向(すなわち、定着ベルト21の幅方向)に沿って互いに並ぶように整列して配置されている。これに伴い、出っ張り部22fは、平面視梯子状に構成されている。
【0171】
そのため、加圧パッド22Jの第2主面22bは、梯子状の出っ張り部22fの頂面によって規定されることになり、加圧パッド22Jが加圧ローラー10によって押圧された押圧状態においては、当該梯子状の出っ張り部22fの頂面が、挟み込み部材23の宛がい部23aに密着することになる。
【0172】
このように構成することにより、加圧パッド22Jの第2主面22bに複数の凹状部22eおよび梯子状の出っ張り部22fがそれぞれ実質的に均等に設けられることになるため、加圧パッド22Jが加圧ローラー10によって押圧された押圧状態において、加圧パッド22Jと挟み込み部材23の宛がい部23aとの接触面積を確保しつつ、これらに加わる圧力の分散を図ることができる。
【0173】
したがって、このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果が得られることになり、用紙Sに対して加えられる圧力が局所的に大きくなる等の圧力分布が発生することが回避でき、結果として用紙Sに形成される画像にムラが発生することが抑制できることになる。
【0174】
<第10構成例>
図23は、第10構成例に係る加圧パッドの背面図および断面図である。以下、この
図23を参照して、第10構成例に係る加圧パッド22Kについて説明する。なお、この第10構成例に係る加圧パッド22Kは、上述した実施の形態1に係る定着装置8の加圧パッド22Aに代えて、当該定着装置8に具備されるものである。なお、
図23(B)および
図23(C)は、それぞれ
図23(A)中に示すXXIIIB-XXIIIB線およびXXIIIC-XXIIIC線に沿った断面を表わしている。
【0175】
図23に示すように、第10構成例に係る加圧パッド22Kにおいては、複数の凹状部22eの各々が、横長の平面視長尺矩形状に構成されており、これら平面視長尺矩形状の凹状部22eは、用紙Sの搬送方向DR2に沿って互いに並ぶように整列して配置されている。これに伴い、出っ張り部22fは、平面視梯子状に構成されている。
【0176】
そのため、加圧パッド22Kの第2主面22bは、梯子状の出っ張り部22fの頂面によって規定されることになり、加圧パッド22Kが加圧ローラー10によって押圧された押圧状態においては、当該梯子状の出っ張り部22fの頂面が、挟み込み部材23の宛がい部23aに密着することになる。
【0177】
このように構成することにより、加圧パッド22Kの第2主面22bに複数の凹状部22eおよび梯子状の出っ張り部22fがそれぞれ実質的に均等に設けられることになるため、加圧パッド22Kが加圧ローラー10によって押圧された押圧状態において、加圧パッド22Kと挟み込み部材23の宛がい部23aとの接触面積を確保しつつ、これらに加わる圧力の分散を図ることができる。
【0178】
したがって、このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果が得られることになり、用紙Sに対して加えられる圧力が局所的に大きくなる等の圧力分布が発生することが回避でき、結果として用紙Sに形成される画像にムラが発生することが抑制できることになる。
【0179】
<第11ないし第13構成例>
図24は、第11ないし第13構成例に係る加圧パッドの背面
図である。以下、この
図24を参照して、第11ないし第13構成例に係る加圧パッド22L1~22L3について説明する。なお、これら第11ないし第13構成例に係る加圧パッド22L1~22L3は、上述した実施の形態1に係る定着装置8の加圧パッド22Aに代えて、当該定着装置8に具備されるものである。
【0180】
図24(A)に示す第11構成例に係る加圧パッド22L1においては、上述した実施の形態1に係る加圧パッド22Aに比べ、加圧パッド22L1の幅方向に沿って並ぶ出っ張り部22f同士の間隔と、用紙Sの搬送方向DR2に沿って並ぶ出っ張り部22f同士の間隔とをより大きく構成することにより、複数の凹状部22eの容積を増加させつつ、第2主面22bに複数の凹状部22eおよび格子状の出っ張り部22fをそれぞれ実質的に不均等に設けることにより、加圧パッド22L1の幅方向に沿ってニップ部Nにおいて用紙Sに加えられる圧力に変化をもたせている。
【0181】
このように構成した場合には、上述した実施の形態1に係る加圧パッド22Aに比べ、さらなる熱容量の低減を図りつつ、定着ベルト21の幅方向に沿ったニップ部Nの圧力分布を適切にコントロールすることにより、用紙Sの搬送不良が発生してしまうことがより確実に抑制可能になる。
【0182】
図24(B)に示す第12構成例に係る加圧パッド22L2は、上述した実施の形態1に係る加圧パッド22Aに比べ、加圧パッド22L2の幅方向に沿って並ぶ出っ張り部22f同士の間隔と、用紙Sの搬送方向DR2に沿って並ぶ出っ張り部22f同士の間隔とをより大きく構成することにより、複数の凹状部22eの容積を増加させつつ、第2主面22bに複数の凹状部22eおよび格子状の出っ張り部22fをそれぞれ実質的に不均等に設けることにより、用紙Sの搬送方向DR2に沿ってニップ部Nにおいて用紙Sに加えられる圧力に変化をもたせている。
【0183】
このように構成した場合には、上述した実施の形態1に係る加圧パッド22Aに比べ、さらなる熱容量の低減を図りつつ、用紙Sの搬送方向DR2に沿ったニップ部Nの圧力分布を適切にコントロールすることにより、ムラのない高品位の画像をより確実に得ることが可能になる。
【0184】
図24(C)に示す第13構成例に係る加圧パッド22L3は、用紙Sの搬送方向DR2に沿って延びる部分の出っ張り部22fの幅、加圧パッド22L3の幅方向に沿って延びる部分の出っ張り部22fの幅、加圧パッド22L3の幅方向に沿って並ぶ出っ張り部22f同士の間隔、用紙Sの搬送方向DR2に沿って並ぶ出っ張り部22f同士の間隔等を、第2主面22b上の位置に応じて種々異ならしめることにより、定着ベルト21の幅方向に沿ったニップ部Nの圧力分布を適切にコントロールしつつ、用紙Sの搬送方向DR2に沿ったニップ部Nの圧力分布を適切にコントロールしたものである。
【0185】
このように構成した場合には、熱容量の低減を図ることができるとともに、用紙Sの搬送不良が発生してしまうことを抑制することができ、さらには、ムラのない高品位の画像を得ることが可能になり、様々な点において従来の定着装置よりも改善された定着装置を実現することができる。
【0186】
(実施の形態2)
図25は、実施の形態2に係る定着装置の要部の定着動作時の状態を示す模式断面図である。また、
図26は、
図25に示す定着装置の加圧パッドおよび挟み込み部材の形状を示す模式図であり、
図27は、
図25に示す定着装置の加圧パッドの背面図および断面図である。以下、これら
図25ないし
図27を参照して、本実施の形態に係る定着装置8”について説明する。
【0187】
ここで、
図26(A)は、加圧パッド22Mおよび挟み込み部材23をそれぞれ加圧ローラー10側から見た図であり、
図26(B)は、加圧パッド22Mおよび挟み込み部材23をそれぞれ加熱ローラー24側から見た図である。また、
図27(B)および
図27(C)は、それぞれ
図27(A)中に示すXXVIIB-XXVIIB線およびXXVIIC-XXVIIC線に沿った断面を表わしている。
【0188】
図25に示すように、本実施の形態に係る定着装置8”は、上述した実施の形態1に係る定着装置8と同様に、加圧ローラー10と、定着ベルトユニット20とを備えており、定着ベルトユニット20に具備された加圧パッド22Mの形状においてのみ、上述した実施の形態1に係る定着装置8のそれと構成が相違している。
【0189】
図25ないし
図27に示すように、加圧パッド22Mの第2主面22bには、複数の出っ張り部22fが設けられている。複数の出っ張り部22fは、加圧ローラー10の押圧方向DR1と直交する方向においてその両側が凹状部22eによって挟まれてなるものである。ここで、本実施の形態においては、複数の出っ張り部22fの各々の延在方向に位置する一対の両端および当該延在方向と直交する方向に位置する一対の両端が、いずれも凹状部22eによって挟まれており、結果として、複数の出っ張り部22fの各々が、加圧ローラー10の押圧方向DR1と直交する方向においてその全周が凹状部22eによって取り囲まれている。
【0190】
本実施の形態においては、複数の出っ張り部22fの各々が、平面視矩形状に構成されており、いずれも加圧パッド22Mの幅方向に沿って延びるように横長に構成されている。これら平面視矩形状の出っ張り部22fは、加圧パッド22Mの幅方向(すなわち、定着ベルト21の幅方向)および用紙Sの搬送方向DR2に沿って互いに整列して配置されており、これにより行列状に位置している。これに伴い、複数の出っ張り部22fを取り囲む凹状部22eは、平面視格子状に構成されている。
【0191】
そのため、加圧パッド22Mの第2主面22bは、複数の出っ張り部22fの頂面によって規定されることになり、加圧パッド22Mが加圧ローラー10によって押圧された押圧状態においては、当該複数の出っ張り部22fの頂面が、挟み込み部材23の宛がい部23aに密着することになる。
【0192】
図27(A)に示すように、押圧方向DR1に沿って見た場合に、用紙Sの搬送方向DR2に沿って延びる部分の出っ張り部22fの幅(すなわち、出っ張り部22fの加圧パッド22Mの幅方向における寸法)は、いずれも同じ大きさである所定の幅W1に設定されており、また、加圧パッド22Mの幅方向に沿って延びる部分の出っ張り部22fの幅(すなわち、出っ張り部22fの用紙Sの搬送方向DR2における寸法)は、いずれも同じ大きさである所定の幅W2に設定されている。
【0193】
また、押圧方向DR1に沿って見た場合に、加圧パッド22Mの幅方向に沿って並ぶ出っ張り部22f同士の間隔(すなわち、これらの間に位置する凹状部22eの幅)は、いずれも同じ大きさである所定の間隔G1に設定されており、また、用紙Sの搬送方向DR2に沿って並ぶ出っ張り部22f同士の間隔(すなわち、これらの間に位置する凹状部22eの幅)は、いずれも同じ大きさである所定の間隔G2に設定されている。
【0194】
一方、
図27(B)および
図27(C)に示すように格子状の凹状部22eの深さは、いずれの位置においても同じ大きさである所定の深さDに設定されている。
【0195】
このように構成することにより、加圧パッド22Mの第2主面22bに格子状の凹状部22eおよび複数の出っ張り部22fがそれぞれ実質的に均等に設けられることになるため、加圧パッド22Mが加圧ローラー10によって押圧された押圧状態において、加圧パッド22Mと挟み込み部材23の宛がい部23aとの接触面積を確保しつつ、これらに加わる圧力の分散を図ることができる。
【0196】
これにより、加圧パッド22Mの第2主面22bの全域がほぼ等しい圧力をもって宛がい部23aに当接することになり、ニップ部Nの全域においてほぼ狙い通りにばらつきなく用紙Sに圧力を加えることが可能になる。そのため、用紙Sに対して加えられる圧力が局所的に大きくなる等の圧力分布が発生することが回避できる。したがって、上記構成を採用することにより、用紙Sに形成される画像にムラが発生することが抑制できることになる。
【0197】
なお、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1の全域においてほぼ狙い通りにばらつきなく用紙Sに圧力を加える観点からは、少なくとも上述した格子状の凹状部22eおよび複数の出っ張り部22fが、通紙領域R1に対応する部分の第2主面22bにそれぞれ実質的に均等に設けられていればよい。
【0198】
また、上記構成を採用することにより、格子状の凹状部22eが設けられた分だけ、加圧パッド22Mの熱容量が低減することになる。そのため、定着装置8”全体としての熱容量の増加も抑制できることになり、省エネルギー化に寄与することになる。
【0199】
(第6変形例)
図28は、第6変形例に係る定着装置の加圧パッドおよび挟み込み部材の形状を示す模式図である。以下、この
図28を参照して、上述した実施の形態2に基づいた第6変形例に係る定着装置について説明する。なお、
図28は、加圧パッド22M1および挟み込み部材23をそれぞれ加熱ローラー24側から見た図である。
【0200】
図28に示すように、本変形例に係る定着装置においては、加圧パッド22M1が、加圧ローラー10によって押圧されていない状態において、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1に対応する部分の第2主面22bのうちの幅方向における中央部が、ニップ部Nに設けられた通紙領域R1に対応する部分の第2主面22bのうちの幅方向における両端部よりも、挟み込み部材23の宛がい部23a側に向けて膨出した形状を有している。これにより、加圧パッド22M1の第2主面22bは、いわゆる正クラウン形状を有している。
【0201】
このように、本変形例においては、上述した実施の形態1に基づいた第2変形例の場合と同様に、加圧パッド22M1の第2主面22bに上述した膨出形状を付与することにより、当該膨出部によって挟み込み部材23の撓みによる変位を吸収することとし、これによってニップ部Nに設けられた通紙領域R1に対応する部分の第2主面22bの全域を宛がい部23aに密着させつつ、加圧パッド22M1の撓みの発生を抑制可能にしている。
【0202】
したがって、上記構成を採用することにより、上述した第2変形例の場合と同様に、加圧ローラー10の軸方向(すなわち、定着ベルト21の幅方向)に沿って、ニップ部Nの通紙領域R1において、用紙Sに対して概ね均等に圧力を付与することが可能になり、ニップ部Nの幅方向の全域においてムラなくトナー像の定着が行なえることになり、形成される画質の品位を大幅に向上させることが可能になる。
【0203】
(第7および第8変形例)
図29は、第7および第8変形例に係る定着装置の加圧パッドの背面図である。以下、この
図29を参照して、上述した実施の形態2に基づいた第7および第8変形例に係る定着装置について説明する。
【0204】
図29(A)に示すように、第7変形例に係る定着装置の加圧パッド22M2は、第2主面22bに設けられた複数の出っ張り部22fのうち、最も外側に位置する出っ張り部が、それぞれ第2主面22bの縁部に位置するように設けられてなるものである。換言すれば、第2主面22bの用紙Sの搬送方向DR2における上流側の縁部および下流側の縁部、ならびに第2主面22bの加圧パッド22M2の幅方向における一対の縁部に、それぞれ出っ張り部22fが設けられている。
【0205】
図29(B)に示すように、第8変形例に係る定着装置の加圧パッド22M3は、上述した第7変形例に係る加圧パッド22M2と比較した場合に、用紙Sの搬送方向DR2における上流側および下流側の位置に対応する第2主面22bの一対の縁部に、加圧パッド22M3の幅方向に沿って延びる上流側突条部22g1および下流側突条部22g2が設けられてなるものである。ここで、これら上流側突条部22g1および下流側突条部22g2は、いずれもニップ部Nに設けられた通紙領域R1に対応する部分の幅方向の両端部にまで達している。
【0206】
これら構成のいずれを採用した場合にも、上述した実施の形態2において説明した効果に準じた効果を得ることができ、ニップ部Nの全域においてほぼ狙い通りにばらつきなく用紙Sに圧力を加えることが可能となって、用紙Sに形成される画像にムラが発生することが抑制できることになる。
【0207】
特に、上記第8変形例に係る加圧パッド22M3とした場合には、ニップ部Nに供給された用紙Sに対して、ニップ部Nの入口側部分と出口側部分とにおいて安定的に適切に圧力を加えることが可能になるため、形成される画像にムラが発生することが効果的に抑制できることになる。
【0208】
<第14構成例およびその変形例)
図30は、第14構成例およびその変形例に係る加圧パッドの背面図である。以下、この
図30を参照して、第14構成例およびその変形例に係る加圧パッド22N,22N1,22N2について説明する。なお、これら第14構成例およびその変形例に係る加圧パッド22N,22N1,22N2は、上述した実施の形態2に係る定着装置8”の加圧パッド22Mに代えて、当該定着装置8”に具備されるものである。
【0209】
図30(A)に示す第14構成例に係る加圧パッド22Nは、上述した実施の形態2に係る定着装置8”に具備された加圧パッド22Mとは異なり、平面視矩形状に構成された複数の出っ張り部22fの各々が、いずれも用紙Sの搬送方向DR2に沿って延びるように縦長に構成されている。これら複数の出っ張り部22fの各々は、第2主面22b上において行列状に位置しており、これに伴って複数の出っ張り部22fを取り囲む凹状部22eは、平面視格子状に構成されている。
【0210】
一方、
図30(B)に示すように、第14構成例の変形例に係る加圧パッド22N1は、上述した第14構成例に係る加圧パッド22Nと比較した場合に、第2主面22bに設けられた複数の出っ張り部22fのうち、最も外側に位置する出っ張り部が、それぞれ第2主面22bの縁部に位置するように設けられてなるものである。換言すれば、第2主面22bの用紙Sの搬送方向DR2における上流側の縁部および下流側の縁部、ならびに第2主面22bの加圧パッド22N1の幅方向における一対の縁部に、それぞれ出っ張り部22fが設けられている。
【0211】
また、
図30(C)に示すように、第14構成例の他の変形例に係る加圧パッド22N2は、上述した第14構成例の変形例に係る加圧パッド22N1と比較した場合に、用紙Sの搬送方向DR2における上流側および下流側の位置に対応する第2主面22bの一対の縁部に、加圧パッド22N2の幅方向に沿って延びる上流側突条部22g1および下流側突条部22g2が設けられてなるものである。ここで、これら上流側突条部22g1および下流側突条部22g2は、いずれもニップ部Nに設けられた通紙領域R1に対応する部分の幅方向の両端部にまで達している。
【0212】
これら構成のいずれを採用した場合にも、上述した実施の形態2において説明した効果に準じた効果を得ることができ、ニップ部Nの全域においてほぼ狙い通りにばらつきなく用紙Sに圧力を加えることが可能となって、用紙Sに形成される画像にムラが発生することが抑制できることになる。
【0213】
特に、上記第14構成例の他の変形例に係る加圧パッド22N2とした場合には、ニップ部Nに供給された用紙Sに対して、ニップ部Nの入口側部分と出口側部分とにおいて安定的に適切に圧力を加えることが可能になるため、形成される画像にムラが発生することが効果的に抑制できることになる。
【0214】
<第15ないし第17構成例)
図31は、第15ないし第17構成例に係る加圧パッドの背面図である。以下、この
図31を参照して、第15ないし第17構成例に係る加圧パッド22O1~22O3について説明する。なお、これら第15ないし第17構成例に係る加圧パッド22O1~22O3は、上述した実施の形態2に係る定着装置8”の加圧パッド22Mに代えて、当該定着装置8”に具備されるものである。
【0215】
第15ないし第17構成例に係る加圧パッド22O1~22O2は、いずれも上述した実施の形態2に係る加圧パッド22Mと同様に、加圧パッド22O1~22O3の第2主面22bの全域がほぼ等しい圧力をもって挟み込み部材23の宛がい部23aに当接するように構成したものである。
【0216】
すなわち、
図31(A)に示す第15構成例に係る加圧パッド22O1は、平面視三角形形状の複数の出っ張り部22fの頂面が第2主面22bを構成することとなるように、トラスト状の凹状部22eが、当該加圧パッド22O1の第2主面22bに設けられてなるものである。
【0217】
また、
図31(B)に示す第16構成例に係る加圧パッド22O2は、それぞれ斜め方向に延びるように所定のルールに従って配置された平面視矩形状の複数の出っ張り部22fの頂面によって当該加圧パッド22O2の第2主面22bが規定されることとなるように、所定形状の凹状部22eが第2主面22bに設けられてなるものである。
【0218】
また、
図31(C)に示す第17構成例に係る加圧パッド22O3は、それぞれが所定のルールに従って配置された平面視細長矩形状、平面視正四角形状、平面視三角形形状等の複数の出っ張り部22fの頂面によって当該加圧パッド22O3の第2主面22bが規定されることとなるように、所定形状の凹状部22eが第2主面22bに設けられてなるものである。
【0219】
これら構成のいずれを採用した場合にも、上述した実施の形態2において説明した効果に準じた効果を得ることができ、ニップ部Nの全域においてほぼ狙い通りにばらつきなく用紙Sに圧力を加えることが可能となって、用紙Sに形成される画像にムラが発生することが抑制できることになる。
【0220】
<第18および第19構成例)
図32は、第18および第19構成例に係る加圧パッドの背面図である。以下、この
図32を参照して、第18および第19構成例に係る加圧パッド22P1,22P2について説明する。なお、これら第18および第19構成例に係る加圧パッド22P1,22P2は、上述した実施の形態2に係る定着装置8”の加圧パッド22Mに代えて、当該定着装置8”に具備されるものである。
【0221】
第18および第19構成例に係る加圧パッド22P1,22P2は、いずれも上述した実施の形態2に係る加圧パッド22Mと同様に、加圧パッド22P1,22P2の第2主面22bの全域がほぼ等しい圧力をもって挟み込み部材23の宛がい部23aに当接するように構成したものである。
【0222】
すなわち、
図32(A)に示す第18構成例に係る加圧パッド22P1は、縦縞状の複数の出っ張り部22fの頂面によって当該加圧パッド22P1の第2主面22bが規定されることとなるように、縦縞状の複数の凹状部22eが第2主面22bに設けられてなるものである。
【0223】
また、
図32(B)に示す第19構成例に係る加圧パッド22P2は、横縞状の複数の出っ張り部22fの頂面によって当該加圧パッド22P2の第2主面22bが規定されることとなるように、横縞状の複数の凹状部22eが第2主面22bに設けられてなるものである。
【0224】
これら構成のいずれを採用した場合にも、上述した実施の形態2において説明した効果に準じた効果を得ることができ、ニップ部Nの全域においてほぼ狙い通りにばらつきなく用紙Sに圧力を加えることが可能となって、用紙Sに形成される画像にムラが発生することが抑制できることになる。
【0225】
(その他)
上述した本発明の実施の形態1,2および第1ないし第19構成例ならびにそれらの変形例において示した凹状部および出っ張り部の形状や大きさ、数、その形成位置等は、いずれも本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて当然に変更が可能である。
【0226】
また、上述した本発明の実施の形態1,2および第1ないし第19構成例ならびにそれらの変形例において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて当然に相互に組み合わせることが可能である。
【0227】
また、上述した本発明の実施の形態1,2および第1ないし第19構成例ならびにそれらの変形例においては、電子写真方式を採用したいわゆるタンデム型のカラープリンターおよびこれに具備される定着装置に本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、電子写真方式を採用した各種の画像形成装置およびこれに具備される定着装置に本発明を適用することができる。
【0228】
このように、今回開示した上記実施の形態および構成例ならびにそれらの変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0229】
1 画像形成装置、2 装置本体、2A 画像形成部、2B 給紙部、3 ローラー、4 搬送経路、5 作像ユニット、6 露光ユニット、7 転写部、7a 中間転写ベルト、8,8’,8” 定着装置、9 給紙ユニット、9a 手差しトレイ、10 加圧ローラー、11 芯金、12 弾性層、20 定着ベルトユニット、21 定着ベルト、22A,22A1~22A5,22B,22B1,22B2,22C,22C1,22C2,22D1,22D2,22E1,22E2,22F1,22F2,22G1,22G2,22H1,22H2,22I1,22I2,22J,22K,22L1~22L3,22M,22M1~22M3,22N,22N1,22N2,22O1~22O3,22P1,22P2 加圧パッド、22a 第1主面、22b 第2主面、22c,22d 端部、22e 凹状部、22f 出っ張り部、22g1 上流側突条部、22g2 下流側突条部、22h 係合ピン、23 挟み込み部材、23a 宛がい部、23b,23c 立壁部、23d 孔部、24 加熱ローラー、25 加熱源、26 補助パッド、26a 潤滑剤供給部、27 低摩擦部材、31 第1シャーシ、32 第2シャーシ、33 付勢部材、41 入口側ガイド、42 分離用ガイド、43 出口側ガイド、N ニップ部、R1 通紙領域、R2 外側領域、S 用紙。