(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】画像形成装置および現像条件補正方法
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20220517BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20220517BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20220517BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20220517BHJP
G03G 15/06 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G21/14
G03G15/08 235
G03G15/01 113A
G03G15/06 101
(21)【出願番号】P 2018030028
(22)【出願日】2018-02-22
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155620
【氏名又は名称】木曽 孝
(72)【発明者】
【氏名】古田 達也
(72)【発明者】
【氏名】森本 浩史
(72)【発明者】
【氏名】勝又 啓揮
(72)【発明者】
【氏名】長田 智
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 大樹
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-024337(JP,A)
【文献】特開2014-137533(JP,A)
【文献】特開2006-139227(JP,A)
【文献】特開2011-017828(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0222390(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/14
G03G 15/08
G03G 21/00
G03G 15/01
G03G 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を担持する像担持体と、
1色の現像剤を収容する筐体と、
前記現像剤を担持し、担持する現像剤に基づく前記画像を前記像担持体に形成
可能な第1現像剤担持体と、
前記筐体から供給される現像剤を担持し、担持する現像剤に基づく前記画像を前記像担持体に形成可能であり、かつ、担持した現像剤を前記第1現像剤担持体に供給可能な第2現像剤担持体と、
前記像担持体に形成された画像に基づく
トナー付着量である現像性を検出する現像性検出部と、
前記第1現像剤担持体
および前記第2現像剤担持体
の何れかにより前記像担持体に
前記画像を形成させる制御を行う
ことが可能な画像形成制御部と、
前記
第1現像剤担持体
および前記第2現像剤担持体の現像条件を補正する補正制御部と、
を備え
、
前記画像形成制御部は、前記現像条件を補正する場合、前記第1現像剤担持体により前記像担持体に画像を形成させず、かつ、前記第2現像剤担持体により前記像担持体に第1画像を形成させる制御と、前記第2現像剤担持体により前記像担持体に画像を形成させず、かつ、前記第1現像剤担持体により前記像担持体に第3画像を形成させる制御と、を行い、
前記補正制御部は、前記現像条件を補正する場合、前記第1現像剤担持体により形成された第3画像の現像性検出結果と、前記第2現像剤担持体により形成された前記第1画像の現像性検出結果とに基づいて、前記第1現像剤担持体および前記第2現像剤担持体の現像条件を補正する、
画像形成装置。
【請求項2】
前記補正制御部は、
前記第1画像の現像性検出結果に基づく前記第2現像剤担持体の第4現像性を取得し、
前記第3画像の現像性検出結果に基づく前記
第1現像剤担持体の第5現像性を取得し、
前記第4現像性および前記第5現像性と、基準現像性とを比較して、前記現像条件の補正量を決定する、
請求項
1に記載の
画像形成装置。
【請求項3】
前記
第2現像剤担持体
に現像剤を供給する供給部材を備え、
前記
第1現像剤担持体
および前記第2現像剤担持体は、回転可能
であり、
前記第
2現像剤担持体は、前記現像剤が前記供給部材から供給され、
前記第
1現像剤担持体は、前記第
2現像剤担持体から現像剤を供給され、
前記画像形成制御部は、前記供給部材からの現像剤の供給を停止および再開することで、前記第1現像剤担持体および前記第2現像剤担持体のそれぞれにおける前記像担持体への画像形成のタイミングを制御する、
請求項
1または請求項
2に記載の
画像形成装置。
【請求項4】
前記補正制御部は、
前記
第1現像剤担持体
および前記第2現像剤担持体の少なくとも一方の現像性が基準現像性より小さい場合、前記
少なくとも一方の現像性を増大させるように前記現像条件を補正し、
前記
第1現像剤担持体
および前記第2現像剤担持体の
少なくとも一方の現像性が基準現像性より大きい場合、前記
少なくとも一方の現像性を減少させるように前記現像条件を補正する、
請求項1~
3の何れか1項に記載の
画像形成装置。
【請求項5】
前記現像条件は、前記像担持体と
、前記
第1現像剤担持体
および前記第2現像剤担持体との周速比の条件を含む、
請求項1~
4の何れか1項に記載の
画像形成装置。
【請求項6】
前記現像条件は、前記
第1現像剤担持体
および前記第2現像剤担持体に印加される現像バイアスの条件を含む、
請求項1~
5の何れか1項に記載の
画像形成装置。
【請求項7】
前記第1現像剤担持体および前記第2現像剤担持体は、回転する前記像担持体の回転方向に並んで配置され、
前記
補正制御部は、前記第1現像剤担持体および前記第2現像剤担持体のうち、前記像担持体の回転方向における上流側に配置された現像剤担持体の前記現像条件を補正する、
請求項1~
6の何れか1項に記載の
画像形成装置。
【請求項8】
画像を担持する像担持体と、
1色の現像剤を収容する筐体と、前記現像剤を担持し、担持する現像剤に基づく前記画像を前記像担持体に形成
可能な第1現像剤担持体と、前記筐体から供給される現像剤を担持し、担持する現像剤に基づく前記画像を前記像担持体に形成可能であり、かつ、担持した現像剤を前記第1現像剤担持体に供給可能な第2現像剤担持体と、前記像担持体に形成された画像に基づく
トナー付着量である現像性を検出する現像性検出部と、を備える
画像形成装置の現像条件補正方法であって、
前記第1現像剤担持体により前記像担持体に画像を形成させず、かつ、前記第2現像剤担持体により前記像担持体に第1画像を形成させる制御を行い、
前記第2現像剤担持体により前記像担持体に画像を形成させず、かつ、前記第1現像剤担持体により前記像担持体に第3画像を形成させる制御を行い、
前記第1現像剤担持体により形成された第3画像の現像性検出結果と、前記第2現像剤担持体により形成された前記第1画像の現像性検出結果に基づいて、前記
第1現像剤担持体
および前記第2現像剤担持体の現像条件を補正する現像条件補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、画像形成装置および現像条件補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真プロセス技術を利用した画像形成装置(プリンター、複写機、ファクシミリ等)は、帯電した感光体ドラム(像担持体)に対して、画像データに基づくレーザー光を照射(露光)することにより静電潜像を形成する。そして、静電潜像が形成された感光体ドラムへ現像装置よりトナーを供給することにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。さらに、このトナー像を直接または間接的に用紙に転写させた後、定着ニップで加熱、加圧して定着させることにより用紙にトナー像を形成する。
【0003】
画像形成装置に用いられる現像装置においては、複数の現像ローラーを備えたものが知られている。このような現像装置では、複数の現像ローラーのそれぞれから、像担持体にトナーが供給される。当該トナーにより形成された像担持体上の画像において、濃度変動が発生した場合、当該濃度変動に基づいて、画像濃度補正が行われる。
【0004】
例えば、特許文献1には、像担持体の回転振れによる画像の濃度変動が発生した場合、一方の現像ローラーに印加される現像バイアスの位相と、他方の現像ローラーに印加される現像バイアスの位相とを異ならせる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した画像濃度補正は、各現像ローラーの現像条件を一律に補正するので、機械の耐久等によって、各現像ローラーの現像性がそれぞれ変動した場合でも、現像ローラーの現像条件の補正量が同じになる。つまり、各現像性が適正化されないので、複数の現像ローラーの現像性の個々の変動に起因した画像不良が発生するおそれがあった。
【0007】
例えば、各現像ローラーに印加される現像バイアスを一律に変更した場合、粒状性や周期ムラ等の画像品質が変動してしまう。また、各現像ローラーの像担持体に対する周速比を一律に変更した場合、トナー飛散が増大してしまう。また、各現像ローラーの現像条件の変更に伴い、像担持体に形成される画像の階調が変化するので、画像の安定化補正を行う必要が生じてしまう。
【0008】
なお、特許文献1に記載の構成では、各現像ローラーの現像性の変動について考慮されていないため、上記問題を解決することができない。
【0009】
本発明の目的は、複数の現像ローラーの現像性の個々の変動に起因した画像不良を抑制することが可能な現像装置、画像形成装置および現像条件補正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、
画像を担持する像担持体と、
1色の現像剤を収容する筐体と、
前記現像剤を担持し、担持する現像剤に基づく前記画像を前記像担持体に形成可能な第1現像剤担持体と、
前記筐体から供給される現像剤を担持し、担持する現像剤に基づく前記画像を前記像担持体に形成可能であり、かつ、担持した現像剤を前記第1現像剤担持体に供給可能な第2現像剤担持体と、
前記像担持体に形成された画像に基づくトナー付着量である現像性を検出する現像性検出部と、
前記第1現像剤担持体および前記第2現像剤担持体の何れかにより前記像担持体に前記画像を形成させる制御を行うことが可能な画像形成制御部と、
前記第1現像剤担持体および前記第2現像剤担持体の現像条件を補正する補正制御部と、
を備え、
前記画像形成制御部は、前記現像条件を補正する場合、前記第1現像剤担持体により前記像担持体に画像を形成させず、かつ、前記第2現像剤担持体により前記像担持体に第1画像を形成させる制御と、前記第2現像剤担持体により前記像担持体に画像を形成させず、かつ、前記第1現像剤担持体により前記像担持体に第3画像を形成させる制御と、を行い、
前記補正制御部は、前記現像条件を補正する場合、前記第1現像剤担持体により形成された第3画像の現像性検出結果と、前記第2現像剤担持体により形成された前記第1画像の現像性検出結果とに基づいて、前記第1現像剤担持体および前記第2現像剤担持体の現像条件を補正する。
【0012】
本発明に係る現像条件補正方法は、
画像を担持する像担持体と、1色の現像剤を収容する筐体と、前記現像剤を担持し、担持する現像剤に基づく前記画像を前記像担持体に形成可能な第1現像剤担持体と、前記筐体から供給される現像剤を担持し、担持する現像剤に基づく前記画像を前記像担持体に形成可能であり、かつ、担持した現像剤を前記第1現像剤担持体に供給可能な第2現像剤担持体と、前記像担持体に形成された画像に基づくトナー付着量である現像性を検出する現像性検出部と、を備える画像形成装置の現像条件補正方法であって、
前記第1現像剤担持体により前記像担持体に画像を形成させず、かつ、前記第2現像剤担持体により前記像担持体に第1画像を形成させる制御を行い、
前記第2現像剤担持体により前記像担持体に画像を形成させず、かつ、前記第1現像剤担持体により前記像担持体に第3画像を形成させる制御を行い、
前記第1現像剤担持体により形成された第3画像の現像性検出結果と、前記第2現像剤担持体により形成された前記第1画像の現像性検出結果に基づいて、前記第1現像剤担持体および前記第2現像剤担持体の現像条件を補正する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の現像ローラーの現像性の個々の変動に起因した画像不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】本実施の形態に係る画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。
【
図4】現像装置の各部分における駆動状況を示すタイムチャートである。
【
図5】現像条件補正制御における現像装置の動作を説明するための図である。
【
図6】現像条件補正制御における現像装置の動作を説明するための図である。
【
図7】現像条件補正制御における現像装置の動作を説明するための図である。
【
図8】現像条件補正制御における現像装置の動作を説明するための図である。
【
図9】現像条件補正制御における現像装置の動作を説明するための図である。
【
図10】現像条件補正制御における現像装置の動作を説明するための図である。
【
図11】現像バイアスに対するトナー付着量の関係を示す図である。
【
図12】基準現像性に係る現像バイアスに対するトナー付着量の関係を示す図である。
【
図13】画像形成装置における現像条件補正制御を実行するときの動作例の一例を示すフローチャートである。
【
図14】第1変形例における現像装置の第1現像ニップおよび第2現像ニップ部分の拡大図である。
【
図15】第1変形例における現像装置の各部分における駆動状況を示すタイムチャートである。
【
図16】現像条件補正制御における現像装置の動作を説明するための図である。
【
図17】現像条件補正制御における現像装置の動作を説明するための図である。
【
図18】現像条件補正制御における現像装置の動作を説明するための図である。
【
図19】現像条件補正制御における現像装置の動作を説明するための図である。
【
図20】第2変形例に係る現像装置の側断面図である。
【
図21】現像性が高くなった場合の評価実験結果に係る現像バイアスに対するトナー付着量の関係を示す図である。
【
図22】現像性が低くなった場合の評価実験結果に係る現像バイアスに対するトナー付着量の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。
図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
【0016】
図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、給紙トレイユニット51a~51cから送出された用紙Sに二次転写することにより、画像を形成する。
【0017】
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0018】
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部101を備える。
【0019】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104等を備える。CPU102は、ROM103から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM104に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロック等の動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0020】
制御部101は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部101は、例えば、外部の装置から送信された画像データ(入力画像データ)を受信し、この画像データに基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0021】
図1に示すように、画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
【0022】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
【0023】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0024】
図2に示すように、操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部101から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部101に出力する。
【0025】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部101の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0026】
図1に示すように、画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
【0027】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。
図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0028】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置200、像担持体の一例としての感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
【0029】
感光体ドラム413は、例えばドラム状の金属基体の外周面に、有機光導電体を含有させた樹脂よりなる感光層が形成された有機感光体よりなる。
【0030】
制御部101は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度で回転させる。
【0031】
帯電装置414は、例えば帯電チャージャーであり、コロナ放電を発生させることにより、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
【0032】
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。その結果、感光体ドラム413の表面のうちレーザー光が照射された画像領域には、背景領域との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0033】
現像装置200は、二成分逆転方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分の現像剤を付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
【0034】
現像装置200には、例えば帯電装置414の帯電極性と同極性の直流現像バイアス、または交流電圧に帯電装置414の帯電極性と同極性の直流電圧が重畳された現像バイアスが印加される。その結果、露光装置411によって形成された静電潜像にトナーを付着させる反転現像が行われる。
【0035】
図3に示すように、現像装置200は、現像剤筐体201により構成されている。現像剤筐体201には、トナー及びキャリアーを含む現像剤が収容される収容部201Aと、回収部230とが設けられている。また、現像剤筐体201の内部には、第1撹拌部材202と、第2撹拌部材203と、第1現像ローラー210と、第2現像ローラー220とが設けられている。第1現像ローラー210は、本発明の「第1現像剤担持体」に対応する。第2現像ローラー220は、本発明の「第2現像剤担持体」に対応する。
【0036】
第1撹拌部材202および第2撹拌部材203は、回転することで軸方向に現像剤を搬送するように構成されており、収容部201A内における、第1撹拌部材202の領域と第2撹拌部材203の領域との間で現像剤を循環させて撹拌する。
【0037】
第1現像ローラー210および第2現像ローラー220は、感光体ドラム413の回転方向に並んで配置されている。第1現像ローラー210は、第2現像ローラー220の上方、つまり、第2現像ローラー220よりも感光体ドラム413の回転方向における下流側で感光体ドラム413と対向している。
【0038】
第1現像ローラー210は、第2現像ローラー220から現像剤を供給されて、当該現像剤を感光体ドラム413との対向部分である第1現像ニップに向けて搬送する。そして、第1現像ローラー210は、第1現像ニップにおいて感光体ドラム413にトナーを供給する。
【0039】
第2現像ローラー220は、感光体ドラム413の回転方向における第1現像ニップよりも上流側で感光体ドラム413と対向している。第2現像ローラー220は、収容部201A内の現像剤を感光体ドラム413と対向する部分である第2現像ニップに向けて搬送する。第2現像ローラー220は、第2現像ニップにおいて感光体ドラム413にトナーを供給する。これにより、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220のそれぞれが担持する現像剤に基づく画像が感光体ドラム413に形成される。
【0040】
回収部230は、収容部201Aの上方に設けられ、第1現像ローラー210上の現像剤を回収して、当該現像剤を収容部201Aに戻す。
【0041】
また、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220のそれぞれには、感光体ドラム413に画像を形成するための現像条件が設定される。現像条件としては、例えば、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220に印加される現像バイアスや、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220の感光体ドラム413に対する周速比である。
【0042】
現像バイアスは、バイアス印加部73(
図2参照)により第1現像ローラー210および第2現像ローラー220に印加され、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220ともに、DC成分400V、AC成分1kV、周波数5kHzに設定される。また、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220の感光体ドラム413に対する周速比は、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220ともに1に設定される。
【0043】
これらの現像条件は、制御部101の制御の下、後述する現像条件補正制御により、補正される。制御部101は、本発明の「画像形成制御部」および「補正制御部」に対応する。
【0044】
図1に示すように、ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に当接され、弾性体よりなる平板状のドラムクリーニングブレード等を有し、中間転写ベルト421に転写されずに感光体ドラム413の表面に残留するトナーを除去する。
【0045】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、ベルトクリーニング装置426及びトナー量検出部74等を備える。
【0046】
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0047】
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、表面に高抵抗層を有する。中間転写ベルト421は、制御部101からの制御信号によって回転駆動される。
【0048】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0049】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0050】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側、つまり一次転写ローラー422と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0051】
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側、つまり二次転写ローラー424と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
【0052】
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
【0053】
トナー量検出部74は、中間転写ベルト421上に形成されたトナー像(画像)におけるトナー付着量を検出するセンサーである。トナー量検出部74は、検出したトナー付着量を制御部101に出力する。トナー量検出部74は、本発明の「現像性検出部」に対応する。
【0054】
定着部60は、用紙Sの定着面、つまりトナー像が形成されている面側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面つまり定着面の反対の面側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、および加熱源等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを挟持して搬送する定着ニップが形成される。
【0055】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。
【0056】
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62および定着ローラー63を有する。定着ベルト61は、加熱ローラー62と定着ローラー63とによって張架されている。
【0057】
下側定着部60Bは、裏面側支持部材である加圧ローラー64を有する。加圧ローラー64は、定着ベルト61との間で用紙Sを挟持して搬送する定着ニップを形成している。
【0058】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aを含む複数の搬送ローラー対を有する。レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部は、用紙Sの傾きおよび片寄りを補正する。
【0059】
給紙トレイユニット51a~51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。画像形成部40においては、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0060】
次に、現像装置200における現像条件補正制御について説明する。
本実施の形態では、トナー量検出部74により検出されたトナー付着量が、画像形成における目標値と一致しないような画像の濃度変動が発生した場合、感光体ドラム413に形成される画像の濃度補正(以下、「画像濃度補正」という)が行われる。画像濃度補正は、現像装置200における現像条件を補正することにより行われる。
【0061】
制御部101は、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220のそれぞれの現像性の変化を考慮して、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220の少なくとも一方の現像条件を補正する。
【0062】
なお、ここでいう「現像性」とは、現像バイアスに対して感光体ドラム413に付着するトナー付着量、又は、感光体ドラム413を介して中間転写ベルト421に移動して中間転写ベルト421に付着するトナー付着量のことをいう。
【0063】
本実施の形態にように、現像装置200が2つの現像ローラーを有する構成である場合、各現像ローラーの現像条件を一律に補正すると、機械の耐久等によって、各現像ローラーの現像性が変動した場合でも、現像条件の補正量がそれぞれ同じになる。つまり、現像ローラーにおける現像性のそれぞれが適正化されないので、各現像ローラーの現像性の個々の変動に起因した画像不良が発生するおそれがある。
【0064】
例えば、各現像ローラーに印加される現像バイアスを一律に変更した場合、粒状性や周期ムラ等の画像品質が変動してしまう。また、各現像ローラーの像担持体に対する周速比を一律に変更した場合、トナー飛散が増大してしまう。また、各現像ローラーの現像条件の変更に伴い、像担持体に形成される画像の階調が変化するので、画像の安定化補正を行う必要が生じてしまう。
【0065】
それに対し、本実施の形態では、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220のそれぞれの現像性の変化を考慮して、現像条件を補正するので、上記のような画像不良の発生を抑制する。具体的に、制御部101は、第2現像ローラー220のみによるパッチ画像G1(第1画像)と、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220によるパッチ画像G2(第2画像)とをそれぞれ感光体ドラム413に形成する。
【0066】
制御部101は、パッチ画像G1におけるトナー量検出部74の検出結果に基づいて、第2現像ローラー220の第1現像性を取得する。制御部101は、パッチ画像G2におけるトナー量検出部74の検出結果に基づいて、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220全体の第2現像性を取得する。制御部101は、第1現像性と第2現像性から、第1現像ローラー210の第3現像性を算出する。そして、制御部101は、第1現像性と第3現像性に基づいて、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220の少なくとも一方の現像条件を補正する。
【0067】
次に、パッチ画像G1およびパッチ画像G2を形成する流れについて
図4~
図10を参照しながら説明する。
図4は、現像装置200の各部分における駆動状況を示すタイムチャートである。
図5~
図10は、現像条件補正制御における現像装置200の動作を説明するための図である。
【0068】
なお、
図4の「感光体ドラム」「第2現像ローラー」および「第1現像ローラー」における「ON」は、これらの部材が回転駆動していることを示し、「OFF」は、回転駆動せずに停止していることを示す。「帯電装置」における「ON」は、帯電装置414が感光体ドラム413の表面を帯電させていることを示し、「OFF」は、帯電装置414が感光体ドラム413の表面を帯電させていないことを示している。「露光装置」における「ON」は、露光装置411が感光体ドラム413の表面を露光していることを示し、「OFF」は、露光装置411が感光体ドラム413の表面を露光していないことを示している。「バイアス印加部」における「ON」は、バイアス印加部73が各現像ローラーに現像バイアスを印加していることを示し、「OFF」は、バイアス印加部73が各現像ローラーに現像バイアスを印加していないことを示している。
【0069】
図4および
図5に示すように、制御部101は、時刻t0において、感光体ドラム413、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220を回転駆動させる。本実施の形態では、感光体ドラム413は、
図5等における反時計回り方向に回転する。第1現像ローラー210および第2現像ローラー220は、ともに
図5等における時計回り方向に回転する。
【0070】
制御部101は、時刻t0において、帯電装置414およびバイアス印加部73をONにし、露光装置411をOFFにする。これにより、第2現像ローラー220には、現像剤筐体201の収容部201A(
図5等における第2現像ローラー220の下端部分)から現像剤T1が供給される。
【0071】
現像剤T1は、第2現像ローラー220の回転により、第1現像ローラー210と第2現像ローラー220とが対向する対向ニップまで搬送され、当該対向ニップで、第2現像ローラー220から第1現像ローラー220に供給される。
【0072】
なお、
図5等においては、第2現像ローラー220における対向ニップ以降の、第1現像ローラー210に供給されずに残った現像剤T1については図示を省略している。
【0073】
第2現像ローラー220から第1現像ローラー210に供給された現像剤T2は、第2現像ローラー220の回転により搬送され、回収部230に対向する部分(
図5等における第1現像ローラー210の右斜め上部分)で回収されて、収容部201Aに戻される。
【0074】
このとき、感光体ドラム413の表面は露光されていないので、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220からトナーが、感光体ドラム413に移動しない。
【0075】
図4および
図6に示すように、制御部101は、時刻t1~t4において、第2現像ローラー220を停止させる。これにより、第2現像ローラー220が現像剤T1を搬送しなくなるので、対向ニップにおいて、第2現像ローラー220から第1現像ローラー210に供給される現像剤T1が供給され尽くし、ひいては第1現像ローラー210に現像剤T1が供給されなくなる。
【0076】
また、このとき、第2現像ローラー220と感光体ドラム413との第2現像ニップの部分では、現像剤T1の搬送中に第2現像ローラー220が停止するため、現像剤T1が存在した状態となっている。
【0077】
第2現像ローラー220が停止した期間(時刻t1~t4)内における、時刻t2~t3の間において、制御部101は、露光装置411をONにする。時刻t2~t3の間に感光体ドラム413の表面が露光装置411に露光されることにより、感光体ドラム413には、露光部E1が形成される。
【0078】
図4および
図7に示すように、露光部E1は感光体ドラム413の回転に伴って第2現像ニップに移動すると(時刻t4)、第2現像ローラー220における第2現像ニップの部分には現像剤T1が存在するので、露光部E1の部分にパッチ画像G1が形成される。
図4および
図8に示すように、感光体ドラム413の露光部E1は、感光体ドラム413の回転により、時刻t5において、第1現像ローラー210と感光体ドラム413との第1現像ニップの部分に移動する。
【0079】
また、
図4および
図7に示すように、第2現像ローラー220が停止して以降、第1現像ローラー210は回転駆動し続ける。この間において、第1現像ローラー210に残った現像剤T2は、回収部230により回収されていく。
【0080】
しかし、この間において、第2現像ローラー220から現像剤T1が第1現像ローラー210に供給されない状態となっている。そのため、時刻t4の時点で、感光体ドラム413と第1現像ローラー210との第1現像ニップの部分には、現像剤T2が存在していない状態となる。
【0081】
なお、第2現像ローラー220の停止期間(時刻t1~t4)は、時刻t4において、第1現像ニップの部分に現像剤T2が存在していない状態となるように設定されていれば良い。
【0082】
図4、
図7および
図8に示すように、制御部101は、時刻t4~t5の間において、第1現像ローラー210を停止する。これにより、第2現像ニップで感光体ドラム413の露光部E1でパッチ画像G1が形成されてから(時刻t4)、感光体ドラム413の露光部E1が第1現像ニップに到達するまで(時刻t5)の間、第1現像ニップでは画像の形成が停止された状態が維持される。
【0083】
つまり、制御部101は、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220のそれぞれの停止タイミングを異ならせることにより、第1現像ローラー210により感光体ドラム413に画像を形成させず、かつ、第2現像ローラー220により感光体ドラム413にパッチ画像G1を形成する制御を行う。これにより、第2現像ローラー220のみによるパッチ画像G1が形成されたので、中間転写ベルト421に移動したパッチ画像G1をトナー量検出部74により検出することで、第2現像ローラー220の第1現像性を取得することができる。
【0084】
なお、第1現像ローラー210の停止期間(時刻t4~t5)は、第1現像ニップに現像剤T2が存在しない状態の間に、感光体ドラム413の露光部E1が第1現像ニップを通過するように設定されていれば良い。
【0085】
また、制御部101は、時刻t4~t5の間である時刻t6から、時刻t5の後である時刻t7の間において、再び露光装置411をONにする。これにより、時刻t6~t7の間に感光体ドラム413の表面が露光装置411に露光されることにより、感光体ドラム413には、露光部E2が形成される。
【0086】
また、制御部101は、時刻t4において、第2現像ローラー220の回転駆動を再開する。つまり、感光体ドラム413の表面に露光部E2が形成される際には、第2現像ローラー220への現像剤筐体201からの現像剤T1の供給が再開された状態となる。
【0087】
これにより、
図4および
図9に示すように、感光体ドラム413の露光部E2が第2現像ニップに到達する時刻t8において、露光部E2の部分に、第2現像ローラー220によるパッチ画像G2が形成される。
【0088】
なお、第2現像ローラー220の回転駆動の再開タイミング(時刻t4)は、露光部E2が第2現像ニップに到達するまでに、第2現像ニップに十分な量の現像剤T1が存在するようなタイミングであれば良い。
【0089】
また、制御部101は、時刻t5において、第1現像ローラー210の回転駆動も再開する。これにより、第2現像ローラー220から第1現像ローラー210への現像剤T2の供給も再開される。
【0090】
なお、第1現像ローラー210の回転駆動の再開タイミングは、露光部E2が第1現像ニップに到達する際に、第1現像ローラー210の回転駆動の再開によって、十分な量の現像剤T2が第1現像ニップに存在するようなタイミングであれば良い。ただし、第1現像ローラー210の回転駆動の再開タイミングは、露光部E1が第1現像ニップに到達した際に、第1現像ニップに現像剤が存在していないタイミングであることが条件である。
【0091】
図4および
図10に示すように、感光体ドラム413の露光部E2が第1現像ニップを通過した後、第1現像ニップに到達する時刻t9において、露光部E2の部分に第1現像ローラー210から現像剤T2が供給される。これにより、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220全てによるパッチ画像G2が感光体ドラム413に形成される。
【0092】
これにより、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220全てによるパッチ画像G2が形成されたので、パッチ画像G2をトナー量検出部74により検出することで、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220全ての第2現像性を取得することができる。
【0093】
上記のようにして、パッチ画像G1およびパッチ画像G2を形成した後、制御部101は、トナー量検出部74により、各パッチ画像G1,G2におけるトナー付着量、つまり、第1現像性および第2現像性を取得する。そして、制御部101は、第1現像性および第2現像性に基づいて、第1現像ローラー210の第3現像性を算出する。具体的には、制御部101は、第2現像性に対する第1現像性の差分値を算出することで、第3現像性を算出する。
【0094】
図11に示すように、現像ローラーに印加される現像バイアスと、感光体ドラム413におけるトナー付着量との関係は、現像バイアスが増加するにつれ、トナー付着量が増加するような一次直線になる関係が確認されている。
図11における実線L1は、第2現像ローラー220による現像性を示し、実線L2は、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220による現像性を示ししている。また、破線L3は、第1現像ローラー210による現像性を示している。これらは、実線L1と破線L3とを加算すると、実線L2となるような関係になっている。
【0095】
つまり、第1現像性および第2現像性を用いることで、第3現像性を容易に算出することができるので、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220の個々の現像性を得ることができる。
【0096】
第2現像ローラー220における第1現像性と、第1現像ローラー210における第3現像性とを算出したら、制御部101は、第1現像性および第3現像性を基準現像性と比較して、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220の現像条件の補正量を決定する。
【0097】
基準現像性は、
図12に示す実線Mのように、予め定められた、現像バイアス毎に設定された、トナー付着量の目標値である。制御部101は、基準現像性に対して、取得した現像性がずれている場合、基準現像性に一致するように現像条件を補正する。
【0098】
例えば、破線M1のように、基準現像性より現像性が大きい場合、現像性を減少させるような制御がなされる。また、破線M2のように、基準現像性より現像性が小さい場合、現像性を増大させるような制御がなされる。
【0099】
また、表1~表8に、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220の現像性に対する現像条件の補正条件を示す。
【0100】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0101】
なお、表1~表8において、「現像性」の「高い」は、各現像ローラーの現像性が基準現像性より高いことを示し、「等しい」は、各現像ローラーの現像性が基準現像性と等しいことを示し、「低い」は、各現像ローラーの現像性が基準現像性より低いことを示す。また、「現像条件」の「増大」は、現像性を増大させるような補正条件を示し、「減少」は、現像性を減少させるような補正条件を示し、「変更無し」は、現像性を変更しないことを示す。また、「補正方法」における「両方」は、周速比と現像バイアスの両方を補正することであり、「バイアス」は、現像バイアスのみを補正することであり、「周速比」は、周速比のみを補正することである。
【0102】
表1では、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220がともに基準現像性よりも高い場合の例である。この場合の現像条件は、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220の現像条件をともに減少させる条件(表1の第1条件)か、第2現像ローラー220の現像条件のみを減少させ、第1現像ローラー210の現像条件を変更しない条件(表1の第2条件)である。表1の第1条件の場合、周速比と現像バイアスの両方が補正される。また、表1の第2条件の場合、現像バイアスのみが補正される。
【0103】
ここで、表1の第2条件において、第1現像ローラー210を変更しなくても良い理由は、例えば、第1現像ローラー210のトナー付着量の基準現像性に対する変動量が比較的少ないような場合、第2現像ローラー220の現像条件のみを変更するだけで、十分な補正が可能であるためである。また、第1条件および第2条件は任意に選択可能であるが、例えば、周速比を変更できないような場合、第2条件が選択される。
【0104】
表2では、第1現像ローラー210の現像性が基準現像性と等しく、第2現像ローラー220の現像性が基準現像性よりも高い場合の例である。この場合の現像条件は、第1現像ローラー210の現像条件を増大させ、第2現像ローラー220の現像条件を減少させる条件(表2の第1条件)か、第2現像ローラー220の現像条件を減少させ、第1現像ローラー210の現像条件を変更しない条件(表2の第2条件)である。表2の第1条件の場合、周速比のみが補正される。また、表2の第2条件の場合、現像バイアスのみが補正される。
【0105】
ここで、表2の第1条件において、第1現像ローラー210の現像性が変動してないにも関わらず、第1現像ローラー210の現像条件を増大させる理由は、第2現像ローラー220と第1現像ローラー210とで補正の度合いを分散させるためである。また、第1条件および第2条件は任意に選択可能である。
【0106】
表3では、第1現像ローラー210の現像性が基準現像性より低く、第2現像ローラー220の現像性が基準現像性よりも高い場合の例である。この場合の現像条件は、第1現像ローラー210の現像条件を増大させ、第2現像ローラー220の現像条件を減少させる条件(表3の第1条件)か、第2現像ローラー220の現像条件を減少させ、第1現像ローラー210の現像条件を変更しない条件(表3の第2条件)である。表3の第1条件の場合、周速比と現像バイアスの両方が補正される。また、表3の第2条件の場合、現像バイアスのみが補正される。
【0107】
ここで、表3の第2条件において、第1現像ローラー210を変更しなくても良い理由は、第2現像ローラー220は、現像剤筐体201から現像剤が直接供給される部分であり、表3における現像性の変動において、支配的な箇所であると考えられるためである。また、第1条件および第2条件は任意に選択可能であるが、例えば、周速比を変更できないような場合、第2条件が選択される。
【0108】
表4では、第1現像ローラー210の現像性が基準現像性より高く、第2現像ローラー220の現像性が基準現像性と等しい場合の例である。この場合の現像条件は、第1現像ローラー210の現像条件を減少させ、第2現像ローラー220の現像条件を変更しない条件である。この条件の場合、周速比と現像バイアスの両方が補正される。
【0109】
表5では、第1現像ローラー210の現像性が基準現像性より低く、第2現像ローラー220の現像性が基準現像性と等しい場合の例である。この場合の現像条件は、第1現像ローラー210の現像条件を増大させ、第2現像ローラー220の現像条件を変更しない条件である。この条件の場合、周速比と現像バイアスの両方が補正される。
【0110】
表6では、第1現像ローラー210の現像性が基準現像性より高く、第2現像ローラー220の現像性が基準現像性よりも低い場合の例である。この場合の現像条件は、第1現像ローラー210の現像条件を減少させ、第2現像ローラー220の現像条件を増大させる条件(表6の第1条件)か、第2現像ローラー220の現像条件を増大させ、第1現像ローラー210の現像条件を変更しない条件(表6の第2条件)である。表6の第1条件の場合、周速比と現像バイアスの両方が補正される。また、表6の第2条件の場合、現像バイアスのみが補正される。
【0111】
ここで、表6の第2条件において、第1現像ローラー210を変更しなくても良い理由は、第2現像ローラー220は、現像剤筐体201から現像剤が直接供給される部分であり、表6の現像性の変動において、支配的な箇所であると考えられるためである。また、第1条件および第2条件は任意に選択可能であるが、例えば、周速比を変更できないような場合、第2条件が選択される。
【0112】
表7では、第1現像ローラー210の現像性が基準現像性と等しく、第2現像ローラー220の現像性が基準現像性よりも低い場合の例である。この場合の現像条件は、第1現像ローラー210の現像条件を増大させ、第2現像ローラー220の現像条件を増大させる条件(表7の第1条件)か、第2現像ローラー220の現像条件を増大させ、第1現像ローラー210の現像条件を変更しない条件(表7の第2条件)である。表7の第1条件の場合、周速比のみが補正される。また、表7の第2条件の場合、現像バイアスのみが補正される。
【0113】
ここで、表7の第1条件において、第1現像ローラー210の現像性が変動してないにも関わらず、第1現像ローラー210の現像条件を増大させる理由は、第2現像ローラー220と第1現像ローラー210とで補正の度合いを分散させるためである。また、第1条件および第2条件は任意に選択可能である。
【0114】
表8では、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220がともに基準現像性よりも低い場合の例である。この場合の現像条件は、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220の現像条件をともに増大させる条件(表8の第1条件)か、第2現像ローラー220の現像条件のみを増大させ、第1現像ローラー210の現像条件を変更しない条件(表8の第2条件)である。表8の第1条件の場合、周速比と現像バイアスの両方が補正される。また、表8の第2条件の場合、現像バイアスのみが補正される。
【0115】
ここで、表8の第2条件において、第1現像ローラー210を変更しなくても良い理由は、例えば、第1現像ローラー210のトナー付着量の基準現像性に対する変動量が比較的少ないような場合、第2現像ローラー220の現像条件のみを変更するだけで、十分な補正が可能であるためである。また、第1条件および第2条件は任意に選択可能であるが、例えば、周速比を変更できないような場合、第2条件が選択される。
【0116】
なお、上記における、それぞれの補正量は、各現像性の基準現像性に対する変化量に応じて、適宜決定される。例えば、現像バイアスを減少させる補正をする場合、基準現像性に対して1.2倍の現像性が検出されているとき、現像バイアスを1/1.2倍する補正がなされる。
【0117】
次に、画像形成装置1における現像条件補正制御を実行するときの動作例について説明する。
図13は、画像形成装置1における現像条件補正制御を実行するときの動作例の一例を示すフローチャートである。
図13における処理は、制御部101が画像濃度補正を行う信号を受け付けたときに実行される。なお、
図13における処理は、第1現像性および第3現像性の両方が、基準現像性に対して変動したものを前提としている。
【0118】
図13に示すように、制御部101は、第2現像ローラー220の第1現像性を取得する(ステップS101)。具体的には、制御部101は、第2現像ローラー220によるパッチ画像G1を感光体ドラム413に形成し、当該パッチ画像G1におけるトナー量検出部74の検出結果を取得する。
【0119】
次に、制御部101は、2つの現像ローラー、つまり、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220の第2現像性を取得する(ステップS102)。具体的には、制御部101は、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220によるパッチ画像G2を感光体ドラム413に形成し、当該パッチ画像G2におけるトナー量検出部74の検出結果を取得する。
【0120】
次に、制御部101は、第3現像性を算出する(ステップS103)。具体的には、制御部101は、第2現像性に対する第1現像性の差分値である第3現像性を算出する。
【0121】
次に、制御部101は、第1現像性が基準現像性より大きいか否かについて判定する(ステップS104)。判定の結果、第1現像性が基準現像性より大きい場合(ステップS104、YES)、制御部101は、第2現像ローラー220の現像条件を減少させる(ステップS105)。
【0122】
一方、第1現像性が基準現像性より大きくない、言い換えると、第1現像性が基準現像性より小さい場合(ステップS104、NO)、制御部101は、第2現像ローラー220の現像条件を増大させる(ステップS106)。
【0123】
ステップS105およびステップS106の後、制御部101は、第3現像性が基準現像性より大きいか否かについて判定する(ステップS107)。判定の結果、第3現像性が基準現像性より大きい場合(ステップS107、YES)、制御部101は、第1現像ローラー210の現像条件を減少させる(ステップS108)。
【0124】
一方、第3現像性が基準現像性より大きくない、言い換えると、第3現像性が基準現像性より小さい場合(ステップS107、NO)、制御部101は、第1現像ローラー210の現像条件を増大させる(ステップS109)。
【0125】
ステップS108およびステップS109の後、本制御は終了する。
【0126】
以上のような本実施の形態によれば、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220の各現像性を取得することができるので、画像の濃度変動が発生した際に、各現像ローラーの寄与度を把握することができる。そのため、現像ローラー毎に現像条件を補正することができるので、各現像ローラーの現像性の個々の変動に起因した画像不良を抑制することができる。
【0127】
また、現像ローラー毎に現像条件を補正するので、各現像ローラーの現像条件の変更に伴い、感光体ドラム413に形成される画像の階調が変化することを抑制し、ひいては画像の安定化補正を行う状況が発生することを低減することができる。
【0128】
次に、第1変形例について説明する。
図14は、第1変形例における現像装置200の第1現像ニップおよび第2現像ニップ部分の拡大図である。
【0129】
図14に示すように、現像装置200は、供給ローラー240を有する。上記実施の形態では、第2現像ローラー220に現像剤筐体201から直接現像剤が供給されていたが、第1変形例では、供給ローラー240が、収容部201A内の現像剤を第2現像ローラー220に供給する。供給ローラー240は、第2現像ローラー220の下方で対向している。供給ローラー240の回転方向は、上記実施の形態と同様に、
図14における反時計回り方向である。
【0130】
供給ローラー240は、収容部201Aから略下端部分において、現像剤T3を供給され、当該現像剤T3を、第2現像ローラー220の対向部分の供給ニップまで搬送し、当該供給ニップで第2現像ローラー220に現像剤を供給する。現像剤が第2現像ローラー220に受け渡された後の動作は、上記実施の形態と同様である。
【0131】
次に、第1変形例に係る現像装置200における現像条件補正制御について説明する。
上記実施の形態では、第2現像ローラー220によるパッチ画像G1と、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220によるパッチ画像G2とに基づいて、現像条件補正制御が行われた。
【0132】
それに対し、第1変形例では、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220のそれぞれによりパッチ画像G3,G4を感光体ドラム413に形成することで、現像条件補正制御が行われる。
【0133】
制御部101は、パッチ画像G3(第1画像)の検出結果に基づく第1現像ローラー210の第4現像性と、パッチ画像G4(第3画像)に基づく第2現像ローラー220の第5現像性とを取得する。制御部101は、第4現像性および第5現像性に基づいて、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220の現像条件を補正する。第1現像ローラー210は、本発明の「第2現像剤担持体」に対応し、第2現像ローラー220は、本発明の「第1現像剤担持体」に対応する。
【0134】
次に、パッチ画像G3およびパッチ画像G4を形成する流れについて
図14~
図19を参照しながら説明する。
図15は、第1変形例における現像装置200の各部分における駆動状況を示すタイムチャートである。
図16~
図19は、現像条件補正制御における現像装置200の動作を説明するための図である。
【0135】
なお、
図15の「供給ローラー」における「ON」は、供給ローラー240が回転駆動していることを示し、「OFF」は、供給ローラー240が回転駆動せずに停止していることを示す。それ以外の部分については、
図4と同様である。また、
図14、
図16~
図19において、上記実施の形態と同様のことについては説明を省略する。
【0136】
図14および
図15に示すように、制御部101は、時刻t0において、感光体ドラム413、第1現像ローラー210、第2現像ローラー220および供給ローラー240を回転駆動させる。
【0137】
制御部101は、時刻t0において、帯電装置414およびバイアス印加部73をONにし、露光装置411をOFFにする。これにより、供給ローラー240、第2現像ローラー220、第1現像ローラー210の順に現像剤が供給される。また、露光装置411がOFFであるので、第1現像ニップおよび第2現像ニップにおいて、トナーが感光体ドラム413に供給されない。
【0138】
なお、
図14等においては、供給ローラー240における供給ニップ以降の、第2現像ローラー220に供給されずに残った現像剤T3については図示を省略している。
【0139】
図15および
図16に示すように、制御部101は、時刻t11~t12の間において、露光装置411をONにする。露光装置411がONになると、感光体ドラム413の表面に露光部E3が形成される。
【0140】
また、制御部101は、時刻t11から、時刻t12の後の時刻t13までの間において、供給ローラー240の回転駆動を停止する。これにより、供給ローラー240の供給ニップに現像剤T3が搬送されなくなるため、第2現像ローラー220の現像剤T1が第1現像ローラー210に供給され尽くし、第2現像ローラー220上に現像剤T1が存在しなくなる(
図17も参照)。
【0141】
そして、
図15および
図17に示すように、露光部E3が感光体ドラム413の回転により移動して、第2現像ニップの部分を通過する時刻t14(時刻t13より前の時刻)において、第2現像ローラー220の第2現像ニップには、現像剤T1が存在しないため、露光部E3は、第2現像ニップからトナーが供給されることなく、第2現像ニップを通過する。
【0142】
なお、供給ローラー240の停止期間は、露光部E3が第2現像ニップに到達する際に、第2現像ローラー220の第2現像ニップの部分に、現像剤T1が存在しない状態となるように設定されていれば良い。また、露光装置411をONにするタイミングは、露光部E3が第1現像ニップに到達する際に、第1現像ローラー210の第1現像ニップの部分に、現像剤T2が存在するようなタイミングであれば良い。
【0143】
露光部E3が第2現像ニップを通過した後、第1現像ニップに到達する時刻t15(時刻t13より前の時刻)において、第1現像ローラー210の第1現像ニップの部分に存在する現像剤T2により、露光部E3にパッチ画像G3が形成される(
図18も参照)。
【0144】
つまり、制御部101は、第2現像ローラー220により感光体ドラム413に画像を形成させず、かつ、第1現像ローラー210により感光体ドラム413にパッチ画像G3を形成させる制御を行う。
【0145】
図15および
図18に示すように、制御部101は、時刻t13~時刻t16の間において、露光装置411をONにする。これにより、感光体ドラム413に露光部E4が形成される。
【0146】
また、制御部101は、時刻t13において、供給ローラー240の回転駆動を再開する。これにより、供給ローラー240から第2現像ローラー220に現像剤が供給され、露光部E4が第2現像ニップに到達する時刻t17において、露光部E4にトナーが供給され、パッチ画像G4が形成される(
図19も参照)。
【0147】
供給ローラー240の回転駆動が再開される際、第2現像ローラー220には現像剤T1が存在しないので、第1現像ローラー210にしばらくの間、現像剤が供給されない状態となる(
図17参照)。そのため、第1現像ローラー210上の現像剤が回収部230に回収され尽くし、第1現像ローラー210には現像剤T2が存在しない状態となる。
【0148】
図15および
図19に示すように、露光部E4が第1現像ニップに到達する時刻t18において、第1現像ニップに現像剤T1が存在しないため、露光部E4に第1現像ローラー210からトナーが供給されない。
【0149】
つまり、制御部101は、第1現像ローラー210により感光体ドラム413に画像を形成させず、第2現像ローラー220により感光体ドラム413にパッチ画像G4を形成する制御を行う。
【0150】
なお、供給ローラー240の回転駆動の再開タイミングは、露光部E4が第1現像ニップに到達する際に、第1現像ローラー210の第1現像ニップの部分に、現像剤T2が存在しないようなタイミングであれば良い。また、露光装置411をONにするタイミングは、露光部E4が第2現像ニップに到達する際に、第2現像ローラー220の第2現像ニップの部分に、現像剤T1が存在するようなタイミングであれば良い。
【0151】
このように、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220のそれぞれからパッチ画像G3,G4が形成されるので、これらに基づいて第1現像ローラー210および第2現像ローラー220の各現像性を取得することができ、補正の精度を向上させることができる。
【0152】
また、制御部101は、供給ローラー240からの現像剤の供給を停止および再開することで、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220を常時動作させた状態とすることができる。これにより、2つの現像ローラーにより、常時現像剤を搬送し続ける状態とすることができるので、現像剤が現像ローラー上に必要以上に保持され続けることを抑制することができ、ひいては現像剤の劣化を抑制することができる。
【0153】
次に、第2変形例について説明する。
図20は、第2変形例に係る現像装置200の側断面図である。
【0154】
図20に示すように、第2変形例に係る現像装置200は、
図3に示す上記実施の形態と構成は同じである。第2変形例では、第2現像ローラー220の回転方向が、
図20における反時計回り方向に設定される。つまり、第2現像ローラー220の回転方向は、第1現像ローラー210の回転方向とは逆方向に設定される。
【0155】
第2変形例においては、例えば、第2現像ローラー220が現像剤筐体201から現像剤が供給され、第1現像ローラー210との対向ニップにおいて当該現像剤が第1現像ローラー210に一部供給される。そして、第2現像ローラー220と、第1現像ローラー210上とが、それぞれの現像ニップで感光体ドラム413にトナーを供給する。
【0156】
第2変形例における現像条件補正制御は、
図3に示す実施の形態と同様に、
図4に示すタイムチャートに従って行われる。詳細な動作については、
図3に示す実施の形態と略同様であるため、その説明を省略する。
【0157】
このような第2変形例であっても、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220の少なくとも一方を停止させることにより、第1現像ローラー210および第2現像ローラー220の現像条件のそれぞれを補正することができる。また、第2現像ローラー220の回転方向によらず、本制御を行うことができるので、ユーザビリティを向上させることができる。
【0158】
なお、上記実施の形態では、トナー量検出部74が感光体ドラム413を介して中間転写ベルト421上に移動したパッチ画像を検出していたが、本発明はこれに限定されず、トナー量検出部74が感光体ドラム413上のパッチ画像を直接検出しても良いし、用紙に形成されたパッチ画像を検出しても良い。また、現像性については、レーザー変位計や現像における電流検知、トルク検知等により検出しても良い。
【0159】
また、上記実施の形態では、
図4や
図15に示すタイムチャートに従って、現像条件補正制御が行われたが、各パッチ画像が形成されるタイミングを規定できる限り、どのようなタイムチャートに従って現像条件補正制御が行われても良い。
【0160】
また、上記実施の形態では、2つの現像ローラーを有する現像装置200を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、3つ以上の現像ローラーを有する現像装置200であっても良い。
【0161】
また、上記実施の形態では、第2現像ローラー220が第1現像ローラー210に現像剤を供給する構成であったが、本発明はこれに限定されず、各現像ローラーに直接現像剤が供給される構成であっても良い。
【0162】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0163】
最後に、本実施の形態に係る画像形成装置1の評価実験について説明する。
図1に示す画像形成装置1における、現像装置200を、
図3に示す構成(実施例1)、
図14に示す構成(実施例2)および
図20に示す構成(実施例3)としたものをそれぞれ用いて、現像条件補正制御を行った。また、現像条件補正制御を適用せず、各現像ローラーを一律に補正制御したものを比較例とした。
【0164】
評価実験としては、現像バイアスを変動させた際における、感光体ドラム413のトナー付着量を測定し、その後、現像条件補正制御を適用して、再度現像バイアスを変動させた際における、感光体ドラム413のトナー付着量を測定した。
【0165】
図21は、現像性が高くなった場合における評価実験結果に係る現像バイアスに対するトナー付着量の関係を示す図である。
図22は、現像性が低くなった場合における評価実験結果に係る現像バイアスに対するトナー付着量の関係を示す図である。
【0166】
図21および
図22における破線Xは、現像条件補正制御を適用する前の、実施例1、実施例2、実施例3および比較例の評価実験結果を示す。実線X1は、基準現像性を示す。破線Y1は、現像条件補正制御を適用した後の実施例1の評価実験結果を示し、破線Y2は、現像条件補正制御を適用した後の実施例2の評価実験結果を示す。破線Y3は、現像条件補正制御を適用した後の実施例3の評価実験結果を示し、破線Zは、各現像ローラーを一律に補正制御した後の比較例の評価実験結果を示す。
【0167】
まず、
図21に示すように、補正制御を適用する前の現像性が基準現像性よりも高くなった場合について、比較例(破線Z)であると、補正制御後において、基準現像性(実線X1)に対して、下方に凹むような特性が得られた。つまり、比較例の場合、補正後のトナー付着量が基準現像性からずれたものとなるので、画像の安定化補正が必須となってしまう。
【0168】
それに対し、実施例1(破線Y1)、実施例2(破線Y2)および実施例3(破線Y3)については、略基準現像性に一致する特性が得られた。すなわち、本実施の形態における現像条件補正制御の有効性が確認された。
【0169】
次に、
図22に示すように、補正制御を適用する前の現像性が基準現像性よりも低くなった場合について、比較例(破線Z)であると、補正制御後において、基準現像性(実線X1)に対して、上方に突出するような特性が得られた。つまり、比較例の場合、補正後のトナー付着量が基準現像性からずれたものとなるので、画像の安定化補正が必須となってしまう。
【0170】
それに対し、実施例1(破線Y1)、実施例2(破線Y2)および実施例3(破線Y3)については、略基準現像性に一致する特性が得られた。すなわち、本実施の形態における現像条件補正制御の有効性が確認された。
【符号の説明】
【0171】
1 画像形成装置
74 トナー量検出部
101 制御部
200 現像装置
210 第1現像ローラー
220 第2現像ローラー
240 供給ローラー