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特許7073786画像形成装置、シート種類判別方法、およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】画像形成装置、シート種類判別方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20220517BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20220517BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220517BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
B41J29/38 204
B41J29/42 F
G03G21/00 384
H04N1/00 567Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018038763
(22)【出願日】2018-03-05
(65)【公開番号】P2019151041
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086933
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125117
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】稲田 保幸
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-001463(JP,A)
【文献】特開2015-114395(JP,A)
【文献】特開2013-064925(JP,A)
【文献】特開2011-118312(JP,A)
【文献】特開2015-033070(JP,A)
【文献】特開2014-018976(JP,A)
【文献】特開2003-302885(JP,A)
【文献】特開2007-057891(JP,A)
【文献】特開2017-007250(JP,A)
【文献】特開2016-194659(JP,A)
【文献】特開2014-018974(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0070009(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/42
G03G 21/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を印刷するシートを格納する給紙トレイと、
前記給紙トレイが閉じられるごとに当該給紙トレイの状況を検出する検出手段と、
前記給紙トレイが閉じられるごとに、当該給紙トレイが今回閉じられた際に前記検出手段によって検出された前記状況および前回閉じられた際に検出された前記状況に基づいて、当該給紙トレイに格納されている前記シートの種類を判別する必要があるか否かを決定する、決定手段と、
前記種類を判別する必要がないと前記決定手段によって決定された場合に、前記給紙トレイが閉じられた際に所定の指示を与えるための画面をディスプレイに表示させる表示手段と、
前記種類を判別する必要があると前記決定手段によって決定された場合および前記給紙トレイが閉じられたことが前記検出手段によって検出された後前記画面を介してユーザから前記所定の指示を与えられた場合に当該種類を判別する、判別手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
画像を印刷するシートを格納する給紙トレイと、
前記給紙トレイが閉じられるごとに当該給紙トレイの状況を検出する検出手段と、
前記給紙トレイが閉じられるごとに、当該給紙トレイが今回閉じられた際に前記検出手段によって検出された前記状況および前回閉じられた際に検出された前記状況に基づいて、当該給紙トレイに格納されている前記シートの種類を判別する必要があるか否かを決定する、決定手段と、
前記給紙トレイが閉じられた際に所定の指示を与えるための画面をディスプレイに表示させる表示手段と、
前記種類を判別する必要があると前記決定手段によって決定された場合、前記給紙トレイが閉じられたことが前記検出手段によって検出された後、前記画面を介してユーザから前記所定の指示を与えられた場合、および当該画面が表示されてから当該所定の指示が与えられることなく所定の時間が経過した場合に当該種類を判別する、判別手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記画面として、前記判別手段によって前回に判別された前記種類を示す文字列を含む画面を表示させる、
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像を印刷するシートの種類を判別するシート種類判別方法であって、
給紙トレイが閉じられるごとに当該給紙トレイの状況を検出し、
前記給紙トレイが閉じられるごとに、当該給紙トレイが今回閉じられた際に検出した前記状況および前回閉じられた際に検出した前記状況に基づいて、当該給紙トレイに格納されている前記シートの種類を判別する必要があるか否かを決定し、
前記種類を判別する必要がないと決定した場合に、前記給紙トレイが閉じられた際に所定の指示を与えるための画面をディスプレイに表示させ、
前記種類を判別する必要があると決定した場合および前記給紙トレイが閉じられたことが検出された後前記画面を介してユーザから前記所定の指示を与えられた場合に当該種類を判別する、
ことを特徴とするシート種類判別方法。
【請求項5】
画像を印刷するシートの種類を判別するシート種類判別方法であって、
給紙トレイが閉じられるごとに当該給紙トレイの状況を検出し、
前記給紙トレイが閉じられるごとに、当該給紙トレイが今回閉じられた際に検出した前記状況および前回閉じられた際に検出した前記状況に基づいて、当該給紙トレイに格納されている前記シートの種類を判別する必要があるか否かを決定し、
前記給紙トレイが閉じられた際に所定の指示を与えるための画面をディスプレイに表示させ、
前記種類を判別する必要があると決定した場合、前記給紙トレイが閉じられたことが検出された後、前記画面を介してユーザから前記所定の指示を与えられた場合、および当該画面が表示されてから当該所定の指示が与えられることなく所定の時間が経過した場合に当該種類を判別する、
ことを特徴とするシート種類判別方法。
【請求項6】
前記画面として、前回に判別された前記種類を示す文字列を含む画面を表示させる、
請求項または請求項に記載のシート種類判別方法。
【請求項7】
画像を印刷するシートを格納する給紙トレイを有する画像形成装置に用いられるコンピュータプログラムであって、
前記画像形成装置に、
前記給紙トレイが閉じられるごとに当該給紙トレイの状況を検出する検出処理を実行させ、
前記給紙トレイが閉じられるごとに、当該給紙トレイが今回閉じられた際に前記検出処理によって検出された前記状況および前回閉じられた際に検出された前記状況に基づいて、当該給紙トレイに格納されている前記シートの種類を判別する必要があるか否かを決定する決定処理を実行させ、
前記種類を判別する必要がないと前記決定処理によって決定された場合に、前記給紙トレイが閉じられた際に所定の指示を与えるための画面をディスプレイに表示させる表示処理を実行させ、
前記種類を判別する必要があると前記決定処理によって決定された場合および前記給紙トレイが閉じられたことが前記検出処理によって検出された後前記画面を介してユーザから前記所定の指示を与えられた場合に当該種類を判別する判別処理を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項8】
画像を印刷するシートを格納する給紙トレイを有する画像形成装置に用いられるコンピュータプログラムであって、
前記画像形成装置に、
前記給紙トレイが閉じられるごとに当該給紙トレイの状況を検出する検出処理を実行させ、
前記給紙トレイが閉じられるごとに、当該給紙トレイが今回閉じられた際に前記検出処理によって検出された前記状況および前回閉じられた際に検出された前記状況に基づいて、当該給紙トレイに格納されている前記シートの種類を判別する必要があるか否かを決定する決定処理を実行させ、
前記給紙トレイが閉じられた際に所定の指示を与えるための画面をディスプレイに表示させる表示処理を実行させ、
前記種類を判別する必要があると前記決定処理によって決定された場合、前記給紙トレイが閉じられたことが前記検出処理によって検出された後、前記画面を介してユーザから前記所定の指示を与えられた場合、および当該画面が表示されてから当該所定の指示が与えられることなく所定の時間が経過した場合に当該種類を判別する判別処理を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記表示処理は、前記画面として、前記判別処理によって前回に判別された前記種類を示す文字列を含む画面を表示させる処理である、
請求項または請求項に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置で使用されるシートの種類を判別する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置が画像を印刷するシートとして、様々な種類のシートが用いられている。より高い品質の印刷物を生成するには、シートの搬送のスピードまたは定着ローラの温度などの条件を、シートの坪量、サイズ、透過性、光沢、剛性、または平滑性などの属性に応じて設定するのが望ましい。
【0003】
そこで、従来、画像形成装置は、印刷を開始する前に、複数の種類をユーザに対して提示し、印刷に使用するシートの種類をユーザに選択させる。そして、選択された種類に応じた条件で印刷を行う。
【0004】
しかし、ユーザがシートの種類を選択しないことがある。すると、画像形成装置は、デフォルトの条件で印刷を行う。よって、本来ユーザが得られるべき高品質の印刷物が生成されないことがある。また、画像の不良またはジャムなどが生じることがある。
【0005】
そこで、自動的にシートの種類を判別し印刷の条件を設定する技術が提案されている。特許文献1に記載される画像形成装置は、記録紙の搬送路上でデッキと記録紙トレーの合流点より下流側に配設した映像読取センサにより、該搬送路に給紙された記録紙の表面に光を照射して該記録紙の光照射領域内の画像を読み取るとともに、DCコントローラにより、上記読み取った出力に応じて画像形成条件を設定し、上記記録紙の表面画像の読み取り動作を該記録紙の停止時に行う。
【0006】
特許文献2に記載される画像形成装置は、給紙カセット内にセットされた記録材の表面を斜め方向から任意の光量で照射可能な照射手段と、その光源の正反射光を受光可能な位置に設置された第一の受光手段と、照射手段の入射角と異なる角度の光を検出可能な位置に設置された第二の受光手段と、給紙カセット内に記録材がない場合にセンサが検出可能な位置に設置された反射材と、反射材の検出結果に基づき前記照射手段の光量および画像形成条件を制御可能な制御手段とを有する。
【0007】
特許文献3に記載される印刷装置は、カセットがオープンされた場合、カセットが印刷ジョブで使用されているカセットであり、用紙なしで印刷ジョブが中断されたか否かを判定する判定手段と、判定手段により、カセットが印刷ジョブで使用されているカセットであり、用紙なしで印刷ジョブが中断されたと判定された場合、用紙タイプ検知結果を保持する保持手段と、印刷が再開された場合、保持手段により保持された用紙タイプ検知結果を用いて印刷ジョブの印刷を再開するようプリンタ部に指示する指示手段と、を有する。
【0008】
特許文献4に記載される画像形成装置は、第一の電力モードおよび前記第一の電力モードよりも省電力である第二の電力モードで動作可能な画像形成装置であって、画像形成時に用いる記録材が収納された給紙部と、前記給紙部から給紙される記録材の種類を検出する検出部と、前記給紙部の状態に応じて、前記検出部を用いた記録材の種類の検出を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記第二の電力モードから前記第一の電力モードへ移行した際に前記給紙部が記録材を給紙するための第一の状態にて維持されている場合、前記検出部を用いた記録材の種類の検出を実行させない。
【0009】
特許文献5に記載される画像形成装置は、印刷ジョブを受信する受信手段と、印刷される用紙を収容する複数のトレイと、用紙に画像を記録する画像形成手段と、トレイに収容された用紙の用紙属性情報を管理する用紙属性管理手段と、用紙属性管理手段により管理される用紙属性情報に基づき、印刷ジョブの印刷に係るトレイとトレイの情報を検知する検知手段と、を備え、電源OFFもしくは非応答状態でトレイの開閉が行われた場合に、電源ONまたは非応答状態からの復帰時に、用紙属性管理手段に対して、該当トレイの用紙属性情報の設定もしくは確認を促すための表示を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2003-302885号公報
【文献】特開2007-57891号公報
【文献】特開2017-7250号公報
【文献】特開2016-194659号公報
【文献】特開2014-18974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
1枚ずつシートの種類を判別すると、印刷を完了するまでに時間が掛かってしまう。特許文献3または特許文献4に記載される技術によると、所定の要件を満たす場合にのみ、シートの種類を判別する。よって、1枚ずつ判別する場合よりも、印刷を完了するまでに掛かる時間を短縮することができる。この時間をさらに短縮することができるのが、望ましい。
【0012】
本発明は、このような課題に鑑み、シートの種類を判別する機能を有する画像形成装置において印刷を完了するまでに掛かる時間を従来よりも短縮することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一形態に係る画像形成装置は、画像を印刷するシートを格納する給紙トレイと、前記給紙トレイが閉じられるごとに当該給紙トレイの状況を検出する検出手段と、前記給紙トレイが閉じられるごとに、当該給紙トレイが今回閉じられた際に前記検出手段によって検出された前記状況および前回閉じられた際に検出された前記状況に基づいて、当該給紙トレイに格納されている前記シートの種類を判別する必要があるか否かを決定する、決定手段と、前記種類を判別する必要がないと前記決定手段によって決定された場合に、前記給紙トレイが閉じられた際に所定の指示を与えるための画面をディスプレイに表示させる表示手段と、前記種類を判別する必要があると前記決定手段によって決定された場合および前記給紙トレイが閉じられたことが前記検出手段によって検出された後前記画面を介してユーザから前記所定の指示を与えられた場合に当該種類を判別する、判別手段と、を有する。
【0014】
本発明の他の一形態に係る画像形成装置は、画像を印刷するシートを格納する給紙トレイと、前記給紙トレイが閉じられるごとに当該給紙トレイの状況を検出する検出手段と、前記給紙トレイが閉じられるごとに、当該給紙トレイが今回閉じられた際に前記検出手段によって検出された前記状況および前回閉じられた際に検出された前記状況に基づいて、当該給紙トレイに格納されている前記シートの種類を判別する必要があるか否かを決定する、決定手段と、前記給紙トレイが閉じられた際に所定の指示を与えるための画面をディスプレイに表示させる表示手段と、前記種類を判別する必要があると前記決定手段によって決定された場合、前記給紙トレイが閉じられたことが前記検出手段によって検出された後、前記画面を介してユーザから前記所定の指示を与えられた場合、および当該画面が表示されてから当該所定の指示が与えられることなく所定の時間が経過した場合に当該種類を判別する、判別手段と、を有する。
本発明の他の一形態に係る画像形成装置は、画像を印刷するシートを格納する給紙トレイと、前記給紙トレイが閉じられるごとに当該給紙トレイの状況として、前記給紙トレイに格納されている前記シートのサイズ、向き、および総量を検出する検出手段と、前記給紙トレイが閉じられるごとに、当該給紙トレイが今回閉じられた際および前回閉じられた際それぞれにおいて前記検出手段によって検出された前記サイズ同士、前記向き同士、および前記総量同士のうちの少なくとも1組が一致しない場合に前記シートの種類を判別する必要があると決定する、決定手段と、前記種類を判別する必要があると前記決定手段によって決定された場合に当該種類を判別する、判別手段と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、シートの種類を判別する機能を有する画像形成装置において印刷を完了するまでに掛かる時間を従来よりも短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】画像形成装置を含むネットワークシステムの例を示す図である。
図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
図3】プリントユニットおよびフィニッシャの構成の例を示す図である。
図4】画像形成装置の機能的構成の例を示す図である。
図5】判別要否決定処理の流れの例を説明するフローチャートである。
図6】確認画面の例を示す図である。
図7】画像形成装置の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
図8】紙種判別処理の流れの例を説明するフローチャートである。
図9】確認画面の例を示す図である。
図10】判別要否決定処理の流れの例を説明するフローチャートである。
図11】自動判別設定画面の例を示す図である。
図12】通知設定画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、画像形成装置1を含むネットワークシステムの例を示す図である。図2は、画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図である。図3は、プリントユニット10jおよびフィニッシャ10kの構成の例を示す図である。
【0018】
図1に示す画像形成装置1は、端末装置81などの装置と通信回線82を介して通信することができる。
【0019】
画像形成装置1は、一般にMFP(Multi Function Peripherals)または複合機などと呼ばれる装置であって、コピー、PCプリント、ファクシミリ、およびスキャンなどの機能を集約した装置である。
【0020】
PCプリント機能は、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、またはサーバなどから画像データを受信し画像を用紙またはフィルムなどの記録媒体(以下、「シート」と記載する。)に印刷する機能である。「ネットワークプリンタ機能」または「ネットワークプリンティング機能」などと呼ばれることもある。
【0021】
画像形成装置1は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、補助記憶装置10d、タッチパネルディスプレイ10e、操作キーパネル10f、NIC(Network Interface Card)10g、モデム10h、スキャンユニット10i、プリントユニット10j、およびフィニッシャ10kなどによって構成される。
【0022】
タッチパネルディスプレイ10eは、ユーザに対するメッセージを示す画面、ユーザがコマンドまたは情報を入力するための画面、およびCPU10aが実行した処理の結果を示す画面などを表示する。また、タッチパネルディスプレイ10eは、タッチされた位置を示す信号をCPU10aへ送る。
【0023】
操作キーパネル10fは、いわゆるハードウェアキーボードであって、テンキー、スタートキー、ストップキー、およびファンクションキーなどによって構成される。
【0024】
NIC10gは、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などのプロトコルによって端末装置81などと通信する。
【0025】
モデム10hは、ファックス端末との間でG3などのプロトコルで画像データをやり取りする。
【0026】
スキャンユニット10iは、プラテンガラスの上にセットされたシートに記されている画像を読み取って画像データを生成する。
【0027】
プリントユニット10jは、スキャンユニット10iによって読み取られた画像を印刷する。さらに、端末装置81からNIC10gによって受信されたデータに基づいて画像をシートに印刷する。そのほか、ファックス端末からモデム10hによって受信されたデータに基づいて画像をシートに印刷する。
【0028】
プリントユニット10jは、タンデム方式の印刷エンジンであって、図3に示すように、主に作像部17、搬送部18、および種類判別機構19などによって構成される。
【0029】
作像部17は、カートリッジ17A、トナーボトル17B、攪拌羽17C、感光体17D、帯電装置17E、露光装置17F、現像器17G、中間転写ベルト17H、中間転写ベルトクリーナ17K、および廃トナーボックス17Lなどによって構成される。作像部17の各部は、シートに印刷する像を次のように形成する。
【0030】
カートリッジ17Aないし現像器17Gは、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックごとに1つずつ設けられている。以下、シアンのカートリッジ17Aないし現像器17Gを例に説明する。
【0031】
カートリッジ17Aには、シアンのトナーおよびキャリアが一定の割合で混合されて蓄えられている。トナーボトル17Bには、補充用のシアンのトナーが蓄えられている。攪拌羽17Cは、シアンのトナーをトナーボトル17Bからカートリッジ17Aへ補給する。
【0032】
帯電装置17Eは、感光体17Dを帯電させる。露光装置17Fは、印刷対象の画像に応じて露光することによって、感光体17Dにシアンの静電潜像を作像する。
【0033】
そして、現像器17Gは、カートリッジ17Aに蓄えられているシアンのトナーを感光体17Dに載せることによって感光体17Dにシアンのトナー像を形成する。
【0034】
マゼンタ、イエロー、およびブラックそれぞれのカートリッジ17Aないし現像器17Gも、シアンのカートリッジ17Aないし現像器17Gと同様の役割を有し、マゼンタ、イエロー、およびブラックそれぞれのトナー像を形成する。
【0035】
シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックそれぞれのトナー像は、中間転写ベルト17Hに重ね合わされる。
【0036】
搬送部18は、給紙トレイ18A、給紙ローラ18B、レジストローラ18C、二次転写ローラ18D、加熱ローラ18E、加圧ローラ18F、排紙ローラ18G、および縦搬ローラ18Kなどによって構成される。搬送部18の各部は、次のようにシートを搬送しトナー像をシートに定着させる。
【0037】
給紙トレイ18Aには、画像を印刷するためのシートが多数セットされる。通常は、定型のコピー用紙がセットされる。
【0038】
給紙トレイ18Aには、給紙トレイ18Aの中でシートを揃えるためのサイドガイドおよびエンドガイドが設けられている。ユーザは、シートのサイズおよび向きに応じてサイドガイドおよびエンドガイドを調整する。
【0039】
給紙ローラ18Bは、給紙トレイ18Aにセットされているシートを搬送経路3へ送り出す。
【0040】
縦搬ローラ18Kは、給紙トレイ18Aから送り出されたシートをレジストローラ18Cへ搬送する。
【0041】
レジストローラ18Cは、給紙ローラ18Bによって搬送されてきたシートを一旦停止させ、所定のタイミングで二次転写ローラ18Dへ送り出す。
【0042】
二次転写ローラ18Dは、中間転写ベルト17Hに重ね合わされたトナー像を、レジストローラ18Cから送られてきたシートに転写する。
【0043】
加熱ローラ18Eは、トナー像が転写されたシートを加熱する。加圧ローラ18Fは、トナー像が転写されたシートを加圧する。これにより、トナー像がシートに定着する。加熱ローラ18Eおよび加圧ローラ18Fは、一般に「定着ローラ」と呼ばれることがある。
【0044】
排紙ローラ18G、18H、18Jは、トナー像が定着したシートを、フィニッシャ10kへ送り出す。
【0045】
作像部17の中間転写ベルトクリーナ17Kは、シートへ転写されず中間転写ベルト17Hに残留したトナーを、中間転写ベルト17Hから分離する。分離されたトナー(いわゆる廃トナー)は、廃トナーボックス17Lに収納される。
【0046】
種類判別機構19は、給紙トレイ18Aに格納されているシートの種類(以下、「紙種」と記載する。)を判別する。例えば、シートへ光を照射し、その光の反射光の偏光特性に基づいて判別する。または、その光(照射光)がシートを透過した透過率に基づいて判別する。または、シートの含水量を静電容量センサによって算出し、算出した含水量に基づいて判別する。または、シートの厚さを検出する変位センサによって算出し、算出した厚さに基づいて判別する。または、シートの表面性をカメラまたは超音波センサによって検知し、検知した表面性に基づいて判別する。または、これらの特性のうちの複数に基づいて判別する。種類判別機構19として、シートの種類を判別する公知の装置が用いられる。なお、種類判別機構19は、シートの種類を判別する方法に応じた位置に配置される。
【0047】
種類は、「厚紙」、「普通紙」、「OHP(Overhead Projector)シート」のような大まかなものに限られない。例えば普通紙の中にも、メーカまたは商品ごとの複数の種類のシートがある。
【0048】
そのほか、プリントユニット10jには、作像部17、搬送部18、および種類判別機構19を駆動するための駆動部が設けられている。
【0049】
さらに、プリントユニット10jには、開閉センサ16A、シートセンサ16B、総量センサ16C、およびジャムセンサ16Dなどのセンサが設けられている。
【0050】
開閉センサ16Aは、給紙トレイ18Aの開閉を検知する。シートセンサ16Bは、給紙トレイ18Aにセットされているシートのサイズおよび向きをサイドガイドおよびエンドガイドの位置に基づいて検出する。
【0051】
総量センサ16Cは、給紙トレイ18Aにセットされたすべてのシートの量つまり総量を検知する。総量センサ16Cは、給紙トレイ18Aの底から1番上のシートまでの高さを総量として検出する。これは、リフタが移動した距離を計測することによって検出すればよい。または、すべてのシートの重量の合計を総量として検出する。これは、重量計で総重量を測定することによって検出すればよい。ジャムセンサ16Dは、搬送部18におけるシートの詰まり(ジャム)を検知する。
【0052】
開閉センサ16A、シートセンサ16B、総量センサ16C、およびジャムセンサ16Dは、検知しまたは検出した結果をCPU10aへ通知する。
【0053】
図2に戻って、フィニッシャ10kは、プリントユニット10jによってドキュメントが印刷されたシートすなわち印刷物に対して仕上げの処理を行う。仕上げの処理は、印刷物をステープルで綴じる処理、印刷物にパンチ穴を開ける処理、または印刷物を折り曲げる処理などである。
【0054】
フィニッシャ10kには、排紙トレイおよび複数のビンが設けられている。印刷物は、必要に応じて仕上げの処理がなされ、排紙トレイおよび複数のビンのうちのいずれかに排出される。
【0055】
さらに、フィニッシャ10kには、排紙センサ15Aおよびステープルセンサ15Bなどのセンサが設けられている。これらのセンサは、検知した結果をCPU10aへ通知する。
【0056】
排紙センサ15Aは、排紙トレイまたはビンにおける、印刷物の積載不良を検知する。つまり、排紙トレイまたはビンに積載される印刷物の高さを計測し、計測した高さが、想定される高さよりも高くなった場合に、積載不良が発生したと判別する。例えば、印刷物が加熱ローラ18Eによって過度に熱せられてカールした場合に、積載不良が検知されやすい。
【0057】
さらに、排紙センサ15Aは、排紙トレイまたはビンにおける、印刷物の整合不良を検知する。つまり、排紙トレイまたはビンに積載される印刷物の重なりのズレを検知する。
【0058】
ステープルセンサ15Bは、印刷物へのステープル綴じの不良を検知する。つまり、印刷物を正常に綴じられなかったことを検知する。
【0059】
ROM10cまたは補助記憶装置10dには、上述の各機能を実現するためのプログラムが記憶されている。補助記憶装置10dとして、SSD(Solid State Drive)またはハードディスクなどが用いられる。各プログラムは、必要に応じてRAM10bにロードされ、CPU10aによって実行される。
【0060】
特に、本実施形態では、印刷に関するプログラムの1つとして、印刷制御プログラム10P(図4参照)が記憶されている。
【0061】
印刷制御プログラム10Pは、印刷を伴うジョブを実行するためのプログラムである。以下、印刷制御プログラム10Pによって実現される機能を説明する。
【0062】
図4は、画像形成装置1の機能的構成の例を示す図である。図5は、判別要否決定処理の流れの例を説明するフローチャートである。図6は、確認画面51の例を示す図である。
【0063】
印刷制御プログラム10Pによると、図4に示す紙種記憶部101、装置状態問合部102、判別要否決定部103、装置状態記憶部104、確認画面表示部105、種類判別制御部106、紙種設定部107、および印刷ジョブ実行部108などが画像形成装置1に実現される。
【0064】
紙種記憶部101は、紙種データ41を予め記憶している。紙種データ41には、給紙トレイ18Aに格納されているシートの種類つまり紙種が示されている。紙種データ41は、後述するように、種類判別機構19によって紙種が判別されるごとに更新される。
【0065】
給紙トレイ18Aが開いて閉じたことが開閉センサ16Aによって検知されると、装置状態問合部102および判別要否決定部103は、次のように処理を行う。
【0066】
装置状態問合部102は、給紙トレイ18Aにセットされているシートのサイズおよび向きをシートセンサ16Bへ問い合わせるとともに、給紙トレイ18Aにセットされているシートの総量を総量センサ16Cへ問い合わせる。
【0067】
すると、シートセンサ16Bは、このサイズおよび向きを検出し、装置状態問合部102へ回答する。また、総量センサ16Cは、この総量を検出し、装置状態問合部102へ回答する。
【0068】
判別要否決定部103は、サイズ、向き、および総量をシートセンサ16Bまたは総量センサ16Cから回答されると、紙種を判別する処理(以下、「紙種判別処理」と記載する。)を実行する必要があるか否かを、図5に手順で決定する。
【0069】
判別要否決定部103は、装置状態記憶部104に記憶されている装置状態データ42に示されるサイズ、向き、および総量それぞれと、装置状態問合部102によって得られたサイズ、向き、および総量それぞれとを比較する(図5の#701)。装置状態データ42には、前回、給紙トレイ18Aが開いて閉じた際にシートセンサ16Bまたは総量センサ16Cから回答されたサイズ、向き、および総量が示される。
【0070】
したがって、判別要否決定部103は、前回、給紙トレイ18Aが開いて閉じた際のサイズ、向き、および総量それぞれと今回、給紙トレイ18Aが開いて閉じた際のサイズ、向き、および総量それぞれとを比較する。なお、装置状態データ42の生成については、後述する。
【0071】
そして、前回のサイズと今回のサイズとが同一であり(#702でYes)、前回の向きと今回の向きとが同一であり(#703でYes)、かつ、前回の総量と今回の総量とが同一である場合は(#704でYes)、判別要否決定部103は、紙種判別処理を実行する必要がないと決定する(#705)。そうでない場合は(#702でNo、#703でNo、または#704でNo)、紙種判別処理を実行する必要があると決定する(#706)。なお、今回が1回目である場合は、比較の対象がないので、紙種判別処理を実行する必要があると決定する(#706)。
【0072】
なお、給紙トレイ18Aが前回閉じた際の総量と今回閉じた際の総量とが同一である場合は、前回も今回も、同一の種類のシートの束が給紙トレイ18Aに補充されたと考えられる。
【0073】
紙種判別処理を実行する必要があるか否かが判別要否決定部103によって決定されると、装置状態記憶部104は、装置状態データ42を既に記憶していれば、これを削除する。そして、今回のサイズ、向き、および総量を示すデータを装置状態データ42として新たに記憶する。
【0074】
確認画面表示部105は、紙種判別処理を実行する必要がないと判別要否決定部103によって決定された場合に、図6のような、紙種判別処理をスキップしてよいか否かをユーザに確認するための確認画面51をタッチパネルディスプレイ10eに表示させる。
【0075】
ユーザは、紙種判別処理を実行させたい場合は実行ボタン51Aをタッチする。紙種判別処理をスキップしてもよい場合はスキップボタン51Bをタッチする。
【0076】
種類判別制御部106は、紙種判別処理を実行する必要があると判別要否決定部103によって決定され、または、確認画面51において実行ボタン51Aがユーザによってタッチされた場合に、紙種判別処理を実行するように種類判別機構19へ指令する。
【0077】
すると、種類判別機構19は、紙種判別処理をスタンバイする。そして、スタンバイ後、ジョブが実行される際に給紙トレイ18Aから1枚目のシートが搬送されてきたら、このシートの種類を判別する。つまり、紙種を判別する。具体的なタイミングについては、後述する。
【0078】
紙種設定部107は、種類判別制御部106によって紙種が判別されるごとに、紙種記憶部101に記憶されている紙種データ41を、判別された紙種が示されるように更新する。なお、種類判別機構19は、紙種を判別したらアイドリングの状態に戻る。
【0079】
印刷ジョブ実行部108は、コピージョブ、PCプリントジョブ、またはファックス受信ジョブなど印刷を伴うジョブを受け付けると、そのジョブが実行されるようにプリントユニット10jなどを次のように制御する。
【0080】
種類判別機構19がスタンバイしていない場合は、印刷ジョブ実行部108は、紙種データ41に示される種類のシートに応じた条件で印刷が行われるように、プリントユニット10jの各部を制御する。
【0081】
例えば、印刷ジョブ実行部108は、種類に応じたスピードで給紙トレイ18Aからシートを1枚ずつ搬出させ、加熱ローラ18Eの温度を種類に応じた温度に上げてシートにトナーを定着させる。
【0082】
一方、種類判別機構19がスタンバイしている場合は、印刷ジョブ実行部108は、給紙トレイ18Aからシートを1枚、搬出させる。すると、種類判別機構19によって種類が判別され、紙種データ41が更新される。
【0083】
そして、印刷ジョブ実行部108は、適宜、2枚目以降のシートを、更新後の紙種データ41に示される種類に応じたスピードで給紙トレイ18Aから搬出させる。また、加熱ローラ18Eの温度をその種類に応じた温度に上げてシートにトナーを定着させる。
【0084】
なお、確認画面表示部105は、ジャムセンサ16Dによってジャムが検知され、排紙センサ15Aによって積載不良もしくは整合不良が検知され、またはステープルセンサ15Bによってステープル綴じの不良が検知された場合にも、確認画面51(図6参照)をタッチパネルディスプレイ10eに表示させる。
【0085】
種類判別制御部106は、実行ボタン51Aがタッチされたら、ジョブの途中であっても、紙種判別処理を実行するように種類判別機構19へ指令する。
【0086】
そして、種類判別機構19は、紙種判別処理をスタンバイし、給紙トレイ18Aからシートが搬送されてきたら、このシートの種類を判別する。つまり、紙種を判別する。
【0087】
また、印刷ジョブ実行部108は、ジョブの途中で種類判別機構19によって新たに紙種が判別された場合は、このジョブの続きが、新たに判別された紙種に応じた条件で印刷が行われるように、プリントユニット10jの各部を制御する。
【0088】
図7は、画像形成装置1の全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。図8は、紙種判別処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0089】
次に、画像形成装置1における印刷に関する全体的な処理を、フローチャートを参照しながら説明する。
【0090】
画像形成装置1は、印刷制御プログラム10Pに基づいて、図7に示す手順で処理を実行する。
【0091】
画像形成装置1は、給紙トレイ18Aが開いて閉じたことを検知すると(#71でYes)、紙種判別処理を、図8に示す手順で実行する(#72)。
【0092】
画像形成装置1は、給紙トレイ18Aにセットされているシートのサイズ、向き、および総量を検知する(図8の#711)。そして、紙種判別処理の要否を決定する(#712)。決定の手順は、前に図5で説明した通りである。
【0093】
紙種判別処理が不要であると決定した場合は(#713でNo)、確認画面51を表示する(#714)。
【0094】
スキップボタン51Bをユーザがタッチした場合は(#715でNo)、画像形成装置1は、紙種データ41を更新せず、現在の状態を保つ(#716)。つまり、前回に判別した紙種を紙種データ41に設定したままにしておく。
【0095】
紙種判別処理が必要であると決定した場合、または、実行ボタン51Aをユーザがタッチした場合は(#713でYes、#715でYes)、紙種を判別する(#717)。そして、判別した紙種が示されるように紙種データ41を更新する(#718)。
【0096】
なお、紙種は、印刷を伴うジョブを実行する際にシートを給紙トレイ18Aから搬出しなければ、判別することができない。そこで、画像形成装置1は、印刷を伴うジョブが与えられるまで、ステップ#717~#718の処理を実行するのを待つ。そして、ステップ#74の前に実行する。
【0097】
図7に戻って、画像形成装置1は、印刷を伴うジョブを受け付けると(#73でYes)、このジョブを次のように実行する。紙種データ41に示される紙種に応じた条件を設定する(#74)。ただし、ステップ#717~#718の処理を実行するのを待っている場合は、先にこの処理を実行する。これにより、紙種データ41が更新される。画像形成装置1は、紙種データ41に新たに示される紙種に応じた条件を設定する(#74)。
【0098】
そして、画像形成装置1は、設定した条件で、このジョブの対象の画像をシートに印刷し、適宜、仕上げの処理を実行する(#75)。
【0099】
画像形成装置1は、ジャム、印刷物の積載不良もしくは整合不良、またはステープル綴じの不良を検知した場合は(#76でYes)、ジョブを一時停止し、確認画面51を表示する(#77)。
【0100】
スキップボタン51Bをユーザがタッチした場合は(#78でNo)、画像形成装置1は、紙種データ41を更新せず、現在の状態を保つ(#79)。一方、実行ボタン51Aをユーザがタッチした場合は(#78でYes)、ジョブを再開する際に、紙種を判別する(#80)。そして、判別した紙種が示されるように紙種データ41を更新し(#81)、残りの印刷または仕上げの処理を実行する(#82)。
【0101】
画像形成装置1は、印刷制御プログラム10Pを終了するまで、ステップ#71~#82の処理を適宜、実行する。
【0102】
本実施形態によると、画像形成装置1において印刷を完了するまでに掛かる時間を従来よりも短縮することができる。
【0103】
図9は、確認画面52、53の例を示す図である。図10は、判別要否決定処理の流れの例を説明するフローチャートである。図11は、自動判別設定画面54の例を示す図である。図12は、通知設定画面55の例を示す図である。
【0104】
本実施形態では、プリントユニット10jとしてタンデム方式の印刷エンジンを用いた場合を例に説明したが、4サイクル方式またはインクジェット方式など他の方式の印刷エンジンを用いてもよい。または、プリントユニット10jとしてモノクロプリンタが用いられる場合にも、本発明を適用することができる。
【0105】
本実施形態では、確認画面表示部105は、紙種判別処理が不要であると判別要否決定部103によって決定された後、確認画面51を表示させた。そして、種類判別制御部106は、紙種判別処理が不要であると決定された場合であっても、ユーザが実行ボタン51Aをタッチすることによって紙種判別処理を選択したら、紙種判別処理を実行した。
【0106】
しかし、確認画面表示部105が判別要否決定部103よりも先に処理を実行してもよい。
【0107】
つまり、先に確認画面表示部105が確認画面51を表示させる。判別要否決定部103は、ユーザがスキップボタン51Bをタッチすることによって紙種判別処理をスキップさせようとした場合に、紙種判別処理の要否を決定する。そして、種類判別制御部106は、ユーザが実行ボタン51Aをタッチし、または、紙種判別処理が必要であると判別要否決定部103によって決定された場合に、紙種判別処理を実行する。
【0108】
本実施形態では、確認画面表示部105は、ジャムセンサ16Dによってジャムが検知された場合に確認画面51を表示させた。しかし、ジャムが検知されただけでなく、その後、給紙トレイ18Aが開閉された場合に、確認画面51を表示させるようにしてもよい。つまり、ジャムが検知されても給紙トレイ18Aが開閉されなかった場合は、確認画面51を表示させないようにしてもよい。または、ジャムが検知されただけでなく、その後、給紙トレイ18Aが開閉され、かつ、前回の紙種判別処理において種類判別機構19による紙種の判別が行われなかった場合に、確認画面51を表示させるようにしてもよい。
【0109】
本実施形態では、種類判別制御部106は、確認画面51が表示された後、紙種判別処理を、実行ボタン51Aがタッチされた場合に実行した。しかし、確認画面51が表示されてから、実行ボタン51Aがタッチされることなく所定の時間が経過した場合にも、紙種判別処理を実行してもよい。
【0110】
本実施形態では、判別要否決定部103は、紙種判別処理を実行する必要があるか否かを、図5に示した方法で決定したが、他の方法で決定してもよい。
【0111】
例えば、判別要否決定部103は、開閉センサ16Aが閉じたことが開閉センサ16Aによって検知された際に画像形成装置1にログインしているユーザの識別子を記憶しておく。
【0112】
判別要否決定部103は、開閉センサ16Aが閉じたことが開閉センサ16Aによって検知されると、前回検知された際に記憶した識別子と今回検知された際に画像形成装置1にログインしているユーザの識別子とを照合する。つまり、開閉センサ16Aを前回閉じたユーザの識別子と今回閉じたユーザの識別子とを照合する。そして、両者が一致した場合は、紙種判別処理を実行する必要がないと決定する。一方、一致しなかった場合は、必要であると決定する。
【0113】
または、判別要否決定部103は、図10に示す方法で決定してもよい。開閉センサ16Aを前回閉じたユーザの識別子と今回閉じたユーザの識別子とが一致し(#721でYes)、今回閉じたユーザが特定の権限(例えば、アドミニストレータ権限またはスーパバイザ権限)を有し(#722でYes)、かつ、確認画面51を表示することができる状態である(つまり、確認画面51を表示することが禁止されていない)場合は(#723でYes)、紙種判別処理を実行する必要がないと決定する。そうでない場合は(#721でNo、#722でNo、または#723でNo)、必要であると決定する(#725)。
【0114】
または、判別要否決定部103は、給紙トレイ18Aが開いてから閉じるまでの時間が所定の時間以上であれば、紙種判別処理を実行する必要があると決定してもよい。特に、ジャムが発生している場合において給紙トレイ18Aが開いてから閉じるまでの時間が所定の時間以上であれば、紙種判別処理を実行する必要があると決定するのが望ましい。
【0115】
または、判別要否決定部103は、給紙トレイ18Aが閉じた回数(クローズ回数)および紙種が変更された回数(変更回数)を記録し、クローズ回数に対する変更回数の割合が所定の割合以上であれば、紙種判別処理を実行する必要があると決定し、所定の割合未満であれば、必要がないと決定してもよい。または、変更回数が所定の回数以上であれば必要があると決定し、所定の回数未満であれば、必要が無いと決定してもよい。
【0116】
または、判別要否決定部103は、シートの向きおよびサイズを考慮せず、シートの前回の総量と今回の総量とが一致していれば紙種判別処理を実行する必要がないと決定し、一致していれば必要があると決定してもよい。
【0117】
本実施形態では、紙種判別処理を実行する必要がないと判別要否決定部103によって決定された場合であっても、確認画面51において実行ボタン51Aが選択されたら、種類判別制御部106は、紙種判別処理を実行した。しかし、この場合に、確認画面表示部105は確認画面51を表示せず、種類判別制御部106は、紙種判別処理をスキップしてもよい。
【0118】
本実施形態では、確認画面表示部105は、紙種判別処理をスキップしてよいか否かをユーザに確認するための画面として、図6のような確認画面51をタッチパネルディスプレイ10eに表示させた。しかし、図9(A)のような確認画面52を表示させてもよい。確認画面52は、現在、紙種データ41に示される紙種つまり給紙トレイ18Aに設定されている紙種を知らせるメッセージを、確認画面51に加えたものである。実行ボタン52Aおよびスキップボタン52Bは、それぞれ、確認画面51の実行ボタン51Aおよびスキップボタン51Bと同一の役割を有する。
【0119】
または、確認画面表示部105は、確認画面51の代わりに図9(B)のような確認画面53を表示させてもよい。確認画面53は、シートの種類を選択するための選択ボタン53Cとして選択ボタン53C1~53C4を確認画面52に加えたものである。
【0120】
種類判別制御部106は、実行ボタン53Aがタッチされた場合は、実行ボタン51Aがタッチされた場合と同様に処理を行う。スキップボタン53Bがタッチされた場合は、スキップボタン51Bがタッチされた場合と同様に処理を行う。
【0121】
しかし、選択ボタン53C1~53C4のいずれかがタッチされた場合は、種類判別機構19による紙種の判別をスキップする。紙種設定部107は、タッチされた選択ボタン53Cに対応する種類が示されるように紙種データ41を更新する。そして、印刷ジョブ実行部108は、更新後の紙種データ41に示される種類(紙種)に応じた条件でジョブを実行する。
【0122】
本実施形態では、給紙トレイ18Aが1つだけ画像形成装置1に設けられていたが、複数設けられている場合にも、本発明を適用することができる。
【0123】
この場合に、紙種記憶部101または装置状態記憶部104は、それぞれ、1つの給紙トレイ18Aごとに1つずつ紙種データ41および装置状態データ42を記憶すればよい。また、開閉センサ16A、シートセンサ16B、および総量センサ16Cを1つずつ、1つの給紙トレイ18Aごとに設ければよい。
【0124】
そして、ある開閉センサ16Aが開閉を検知したら、装置状態問合部102は、その開閉センサ16Aに対応する給紙トレイ18Aのシートセンサ16Bへサイズおよび向きを問合せ、その給紙トレイ18Aの総量センサ16Cへ総量を問い合わせる。判別要否決定部103、確認画面表示部105、種類判別制御部106、および紙種設定部107は、その給紙トレイ18Aの紙種データ41および装置状態データ42に基づいて、または、その紙種データ41および装置状態データ42に対して、上述の処理を行う。
【0125】
さらに、給紙トレイ18Aごとに、紙種判別処理を自動的に実行するか否かをユーザが任意に設定することができるようにしてもよい。
【0126】
例えば、判別要否決定部103は、所定のコマンドが入力されたら、図11のような自動判別設定画面54をタッチパネルディスプレイ10eに表示させる。自動判別設定画面54には、1つの給紙トレイ18Aごとに1組の適用ボタン54Aおよび非適用ボタン54Bが配置されている。プリントユニット10jに手差しトレイが設けられている場合は、手差しトレイに対応する適用ボタン54Aおよび非適用ボタン54Bも配置してもよい。
【0127】
ユーザは、これらの給紙トレイ18Aを、閉めた後に紙種判別処理を自動的に実行させたいものと、自動的に実行させたくないものとに分類する。そして、自動的に実行させたい給紙トレイ18Aを、それに対応する適用ボタン54Aをタッチすることによって選択する。同様に、自動的に実行させたくない給紙トレイ18Aを、それに対応する非適用ボタン54Bをタッチすることによって選択する。
【0128】
判別要否決定部103は、ある給紙トレイ18Aが閉じたことが検知されると、その給紙トレイ18Aの適用ボタン54Aおよび非適用ボタン54Bのうちの、適用ボタン54Aが選択されている場合は、紙種判別処理を実行する必要があると決定する。または、図5などに示した手順で紙種判別処理の要否を決定する。一方、非適用ボタン54Bが選択されている場合は、紙種判別処理を実行する必要がないと決定する。
【0129】
または、給紙トレイ18Aごとに、紙種判別処理の要否をユーザに確認するか否かを設定することができるようにしてもよい。
【0130】
例えば、確認画面表示部105は、所定のコマンドが入力されたら、図12のような通知設定画面55をタッチパネルディスプレイ10eに表示させる。通知設定画面55には、1つの給紙トレイ18Aごとに1組の適用ボタン55Aおよび非適用ボタン55Bが配置されている。プリントユニット10jに手差しトレイが設けられている場合は、手差しトレイに対応する適用ボタン55Aおよび非適用ボタン55Bも配置してもよい。
【0131】
ユーザは、これらの給紙トレイ18Aを、紙種判別処理の要否を自分で選択したいものと、そうでないものとに分類する。そして、自分で選択した給紙トレイ18Aを、それに対応する適用ボタン55Aをタッチすることによって選択する。同様に、そうでない給紙トレイ18Aを、それに対応する非適用ボタン55Bをタッチすることによって選択する。
【0132】
確認画面表示部105は、ある給紙トレイ18Aが閉じたことが検知され、確認画面51を表示すべきタイミングが訪れると、その給紙トレイ18Aの適用ボタン55Aおよび非適用ボタン55Bのうちの、適用ボタン55Aが選択されている場合は、確認画面51を表示させる。一方、非適用ボタン55Bが選択されている場合は、確認画面51を表示させない。表示させない場合は、種類判別制御部106は、判別要否決定部103によって決定された内容に従って紙種判別処理を実行しまたはスキップする。
【0133】
その他、画像形成装置1の全体または各部の構成、処理の内容、処理の順序、画面の構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0134】
1 画像形成装置
10e タッチパネルディスプレイ(ディスプレイ)
103 判別要否決定部(決定手段)
105 確認画面表示部(表示手段)
106 種類判別制御部(判別手段)
16B シートセンサ(検知手段)
16C 総量センサ(検知手段)
18A 給紙トレイ
19 種類判別機構(判別手段)
51~53 確認画面(画面)
53C 選択ボタン(選択肢)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12