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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】拭き取り用の化粧水
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/60 20060101AFI20220517BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20220517BHJP
   A61K 8/90 20060101ALI20220517BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220517BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20220517BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20220517BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220517BHJP
   C11D 1/68 20060101ALI20220517BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20220517BHJP
   C11D 1/722 20060101ALI20220517BHJP
   C11D 3/382 20060101ALI20220517BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K8/86
A61K8/90
A61K8/34
A61K8/9789
A61Q19/10
A61Q19/00
C11D1/68
C11D1/72
C11D1/722
C11D3/382
C11D17/08
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018077979
(22)【出願日】2018-04-13
(65)【公開番号】P2019182804
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122345
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 繁久
(72)【発明者】
【氏名】脇田 知寛
(72)【発明者】
【氏名】正岡 瑞姫
(72)【発明者】
【氏名】河原塚 悠
(72)【発明者】
【氏名】松藤 孝志
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-197449(JP,A)
【文献】特開2016-027023(JP,A)
【文献】特開2013-035766(JP,A)
【文献】特開2017-214372(JP,A)
【文献】米国特許第05474776(US,A)
【文献】Infusion,ID 1652308,Mintel GNPD[online],2011年10月,[検索日2021.09.24],URL,https://www.portal.mintel.com
【文献】Body Lotion,ID 5503361,Mintel GNPD[online],2018年3月,[検索日2021.09.24],URL,https://www.portal.mintel.com
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分(A)~(D):
(A)下記式(1)で表されるポリオキシアルキレンメチルグルコシド
G-{O(EO)(PO)(BO)-H}・・・(1)
〔式(1)中、Gは、メチルグルコシドから水酸基を除いた残基であり、EO、POおよびBOは、それぞれ、オキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基であり、ブロック付加でもランダム付加でもよく、a、bおよびcは、それぞれ、メチルグルコシドの水酸基1個あたりのEO、POおよびBOの平均付加数であり、aが0~10であり、bが0~10であり、cが0~2であり、並びにa、bおよびcの合計が2~12である。〕、
(B)エタノール、
(C)ブドウ果実の抽出物、および
(D)水
を含み、
成分(A)の含有量が、0.1~10質量%であり、
成分(B)の含有量が、0.5~10質量%であり、
成分(C)の含有量が、0.0001~0.1質量%であり、並びに
成分(B)に対する成分(A)の質量比(成分(A)/成分(B))が、0.1~3である拭き取り用の化粧水。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拭き取り用の化粧水に関し、さらに詳しくは、皮脂除去効果に優れ、保湿効果を付与しながらもべたつきがなく、頬のリフトアップ効果を有する拭き取り用の化粧水に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧水は、水分や保湿成分を肌に供給し、皮膚を健やか、且つ滑らかに保つスキンケア化粧品である。保湿成分を補うことで皮膚を柔軟にし、肌に潤いをもたらすことを目的としているため、洗顔後に最初に使用されている。近年では保湿効果だけでなく、様々なスキンケア効果を付与する化粧水が開発されている。例えば、特許文献1には、多価アルコール、ヒアルロン酸、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、シャクヤク抽出物等を併用することで、保湿感と抗シワ効果に優れる化粧水が開示されている。
【0003】
化粧水は通常手に適量を取って使用されるが、取り扱い性を高めるため、コットンなどに含浸させて使用する拭き取り用の化粧水も開発されている。拭き取り用の化粧水は、肌上に残った余分な皮脂を除去することを目的としている。そのため使用後は、肌の乾燥を防ぐために化粧水を用いるのが一般的であった。しかし近年では、なるべく簡便にスキンケアを済ませたいというニーズが高まってきていることから、皮脂除去効果に優れ、保湿効果を十分に付与しながらもべたつかない拭き取り用の化粧水が開発されている。例えば特許文献2には、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ベタインを併用することで、皮脂除去効果と拭き取り後の保湿性に優れながらもべたつかない拭き取り用の化粧水が開示されている。また特許文献3には、特定の殺菌剤、抗炎症剤、脂肪酸エステル非イオン性界面活性剤、保湿剤を併用することで、メイク除去効果および保湿効果に優れ、且つべたつかない拭き取り用の化粧水が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-200896号公報
【文献】特開2016-132626号公報
【文献】特開2016-132623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、スキンケア効果に対するニーズが高まってきており、加齢に伴う頬のたるみに関する悩みも多いことから、拭き取り用の化粧水に頬のリフトアップ効果も求められるようになってきた。しかし、皮脂除去効果に優れ、保湿効果を付与しながらもべたつかず、且つ頬のリフトアップ効果を有する拭き取り用の化粧水は、これまで開発されていなかった。
【0006】
本発明は、上述のような事情に鑑みなされたものであって、その目的は、皮脂除去効果に優れ、保湿効果を付与しながらもべたつきがなく、且つ頬のリフトアップ効果を有する拭き取り用の化粧水を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが鋭意検討した結果、ポリオキシアルキレンメチルグルコシドと、エタノールと、ブドウ果実の抽出物とを所定の割合で使用することによって、上記目的を達成し得ることを見出した。この知見に基づく本発明は以下の通りである。
【0008】
以下の成分(A)~(D):
(A)下記式(1)で表されるポリオキシアルキレンメチルグルコシド
G-{O(EO)(PO)(BO)-H}・・・(1)
〔式(1)中、Gは、メチルグルコシドから水酸基を除いた残基であり、EO、POおよびBOは、それぞれ、オキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基であり、ブロック付加でもランダム付加でもよく、a、bおよびcは、それぞれ、メチルグルコシドの水酸基1個あたりのEO、POおよびBOの平均付加数であり、aが0~10であり、bが0~10であり、cが0~2であり、並びにa、bおよびcの合計が2~12である。〕、
(B)エタノール、
(C)ブドウ果実の抽出物、および
(D)水
を含み、
成分(A)の含有量が、0.1~10質量%であり、
成分(B)の含有量が、0.5~10質量%であり、
成分(C)の含有量が、0.0001~0.1質量%であり、並びに
成分(B)に対する成分(A)の質量比(成分(A)/成分(B))が、0.1~3である拭き取り用の化粧水。
【発明の効果】
【0009】
本発明の拭き取り用の化粧水によれば、優れた皮脂除去効果に加え、保湿効果を付与しながらもべたつかず、さらには頬のリフトアップ効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の拭き取り用の化粧水は、以下の成分(A)~(D):
(A)ポリオキシアルキレンメチルグルコシド
(B)エタノール、
(C)ブドウ果実の抽出物、並びに
(D)水
を含む。以下、成分(A)~(C)について、順に説明する。
【0011】
<成分(A)>
成分(A)は、下記式(1)で表されるポリオキシアルキレンメチルグルコシドである。
G-{O(EO)(PO)(BO)-H}・・・(1)
〔式(1)中、Gは、メチルグルコシドから水酸基を除いた残基であり、EO、POおよびBOは、それぞれ、オキシエチレン基、オキシプロピレン基およびオキシブチレン基であり、ブロック付加でもランダム付加でもよく、a、bおよびcは、それぞれ、メチルグルコシドの水酸基1個あたりのEO、POおよびBOの平均付加数であり、aが0~10であり、bが0~10であり、cが0~2であり、並びにa、bおよびcの合計が2~12である。〕
【0012】
上記式(1)は、メチルグルコシドの四つの水酸基のそれぞれに、EO、POおよびBOからなる群から選ばれる少なくとも一つが付加していることを示す。なお、aが0であるとは、EOが付加していないことを意味する。bおよびcも同様の意味である。
【0013】
上記式(1)では「-(EO)(PO)(BO)-」と記載するが、本発明は、このようなEO、POおよびBOの結合順序に限定されず、他の結合順序を有するポリオキシアルキレンメチルグルコシドを使用する態様も包含する。例えば「-(PO)(EO)(BO)-」のような順序の構造を有するポリオキシアルキレンメチルグルコシドを使用する態様も、本発明は包含する。
【0014】
上記式(1)では「-(EO)(PO)(BO)-」と記載するが、2種以上のオキシアルキレン基が存在する場合は、それらは、ブロック付加でもランダム付加でもよい。すなわち、本発明は、(i)EO、POおよびBOが、それぞれ、ブロック付加しているポリオキシアルキレンメチルグルコシドだけでなく、(ii)EO、POおよびBOが、それぞれランダム付加しているポリオキシアルキレンメチルグルコシド、(iii)EO、POおよびBOが、それぞれ部分的にブロック付加し、部分的にランダム付加しているポリオキシアルキレンメチルグルコシド、並びに(iv)EO、POおよびBOの少なくとも1種がブロック付加し、残りがランダム付加しているポリオキシアルキレンメチルグルコシドを使用する態様も包含する。
【0015】
保湿効果およびリフトアップ効果の観点から、a(メチルグルコシドの水酸基1個あたりのEOの平均付加数)は、1~6が好ましく、2~4がより好ましい。
同様に、保湿効果およびリフトアップ効果の観点から、b(メチルグルコシドの水酸基1個あたりのPOの平均付加数)は0~4が好ましく、0~2がより好ましい。
同様に、保湿効果およびリフトアップ効果の観点から、c(メチルグルコシドの水酸基1個あたりのBOの平均付加数)は0~1が好ましく、0がより好ましい。
【0016】
保湿効果およびリフトアップ効果の観点から、a、bおよびcの合計(即ち、a+b+c)は、2~6が好ましく、2~4がより好ましい。
【0017】
成分(A)の含有量は、0.1~10質量%、好ましくは0.3~5質量%、より好ましくは0.5~2質量%である。この含有量が少なすぎると、保湿効果およびリフトアップ効果が低下するおそれがあり、この含有量が多すぎると、べたつきが強調され、皮脂除去効果およびリフトアップ効果が低下するおそれがある。なお、各成分の含有量は、化粧水全体あたりの含有量を表す。
【0018】
<成分(B)>
成分(B)は、エタノールである。成分(B)の含有量は、0.5~10質量%、好ましくは1~5質量%、より好ましくは2~4質量%である。この含有量が少なすぎると、皮脂除去効果とリフトアップ効果が低下するおそれがあり、この含有量が多すぎると、保湿効果およびリフトアップ効果が低下するおそれがある。
【0019】
成分(B)に対する成分(A)の質量比(成分(A)/成分(B))は、0.1~3、好ましくは0.2~2、より好ましくは0.3~1である。この比が小さすぎると、保湿効果が十分に得られないおそれがあり、この比が大きすぎると、べたつきが強くなるおそれがある。
【0020】
<成分(C)>
成分(C)は、ブドウ果実の抽出物である。
【0021】
本発明におけるブドウは、ブドウ科ブドウ属であり、例えば、ヨーロッパ系ブドウ属(Vitis Vinifera)またはアメリカ系ブドウ(Vitis Labrusca)などが挙げられる。品種については特に限定が無いが、優れたリフトアップ効果を有するという観点から、果実に種子を含むブドウが好ましく、例えば、ナイアガラ、巨峰、紅富士、紅伊豆、ロザリオ・ビアンコ、ロザリオ・ロッソ等の品種が挙げられる。これらの中で、ナイアガラがより好ましい。
【0022】
成分(C)としては、ブドウ果実からジュースを搾った後の、果実残渣(果実の果肉線維、果皮および種子)から抽出した抽出物が好ましい。またブドウは、生、乾燥、冷凍ブドウを使用することができるが、保存の観点から乾燥ブドウが好ましい。
【0023】
ブドウ果実の抽出に用いられる溶媒は、ヘキサン等の炭化水素類でもよいが、好ましくは極性溶媒であり、例えば水および親水性有機溶媒が挙げられる。親水性有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、低級アルコール、多価アルコール等のアルコール類などが挙げられる。中でも抽出効率の良さという観点から、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好ましく、水、エタノール、1,3-ブチレングリコールがより好ましい。ブドウ果実の抽出に用いられる溶媒は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。
【0024】
例えば水を抽出溶媒として使用する場合、その使用量は、ブドウ果実(好ましくはブドウ果実残渣)100重量部に対して、通常100~2000重量部、好ましくは200~1000重量部である。例えば低級アルコールを抽出溶媒として使用する場合、その使用量は、ブドウ果実(好ましくはブドウ果実残渣)100重量部に対して、通常100~5000重量部、好ましくは500~2000重量部である。
【0025】
抽出温度は、使用する抽出溶媒の種類に応じて適宜決定される。例えば抽出溶媒が水である場合、その抽出温度は、通常20℃~120℃程度であり、抽出溶媒が低級アルコールである場合、その抽出温度は、通常30℃~80℃程度である。
【0026】
ブドウ果実(好ましくは種子を含むブドウ果実残渣)に抽出溶媒を加えて浸漬した後、ろ過することで抽出物を得ることができる。抽出溶媒にブドウ果実を浸漬させた後、得られた混合物の撹拌等を行ってもよい。
【0027】
抽出時間(浸漬時間)は、通常1時間以上であり、3時間以上が好ましく、5時間以上がより好ましい。抽出時間は、抽出効率の観点から、通常10時間以下であり、8時間以下が好ましい。
【0028】
抽出する回数は特に限定されないが、前記量の水または親水性有機溶媒によって、1回抽出することが好ましい。
【0029】
得られたブドウ果実の抽出物は、そのまま用いてもよい。また、抽出物に溶媒を加えて得られた希釈物を用いてもよい。また、抽出物を溶媒留去または乾燥することよって得られた濃縮物または乾燥物を用いてもよい。また、抽出物をカラムクロマトグラフィー等で処理して得られた精製物を用いてもよい。
【0030】
成分(C)の含有量は、0.0001~0.1質量%、好ましくは0.0003~0.01質量%、より好ましくは0.0005~0.001質量%である。この含有量が少なすぎると、リフトアップ効果が低下するおそれがあり、この含有量が多すぎても、それに見合った効果は得られない。なお、ブドウ果実の抽出物が溶媒等を含む場合、前記成分(C)の含有量は、化粧水全体あたりの成分(C)の固形分の含有量を示す。
【0031】
<他の成分>
本発明の拭き取り用の化粧水は、本発明の効果を損なわない範囲で、成分(A)~(D)とは異なる他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、化粧料または医薬品に常用されている添加剤が挙げられる。
【実施例
【0032】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0033】
<実施例1~8および比較例1~6>
表1に示す含有量となるように各成分を混合することによって、拭き取り用の化粧水を調製した。なお、表1に示す成分(A)の量は、化粧水全体あたりの成分(A)の含有量である。成分(B)の量も同様である。一方、表1に示す成分(C)の量は、化粧水全体あたりの成分(C)の固形分の含有量である。
【0034】
成分(A)として実施例および比較例で使用した成分(A1)~(A4)、および成分(A)の対比として比較例で使用した成分(A’)は、以下の通りである。
(A1)上記式(1)中、a=2.5、b=0、c=0であるポリオキシエチレンメチルグルコシド(商品名:マクビオブライド MG-10E、日油株式会社製)
(A2)上記式(1)中、a=5、b=0、c=0であるポリオキシエチレンメチルグルコシド(商品名:マクビオブライド MG-20E、日油株式会社製)
(A3)上記式(1)中、a=0、b=2.5、c=0であるポリオキシプロピレンメチルグルコシド(商品名:マクビオブライド MG-10P、日油株式会社製)
(A4)上記式(1)中、a=7.3、b=2.3、c=1であり、EOおよびPOがランダム付加し、BOがブロック付加しているポリオキシアルキレンメチルグルコシド(商品名:ウィルブライド MG-2070、日油株式会社製)
(A’)ポリエチレングリコール(75)(商品名:PEG#4000、日油株式会社製)
【0035】
成分(C)として実施例および比較例で使用した成分(C1)および(C2)は、以下の手順により調製した。
【0036】
(C1)ブドウ果実抽出物1
種ありブドウ(学名:Vitis labrusca ‘Niagara’、品種名:ナイアガラ)の果実を収穫し、水で洗浄した後、果汁を得るために果実を圧搾して果実残渣を得た。その果実残渣の乾燥物50gを抽出溶媒である50質量%の1,3-ブチレングリコール(BG)水溶液500gに60℃で5時間浸漬した後、ろ紙(アドバンテック東洋社製、5C)を用いてろ過し、ろ液を得た。このろ液を5℃にて7日間静置保存した後、さらにろ紙を用いてろ過してブドウの種子を含む果実抽出液を得た。このブドウ果実抽出液中の固形分(溶媒以外の成分の含有量)は1.9質量%であり、これを50質量%のBG水溶液で希釈して固形分を1.0質量%に調整した希釈物を成分(C1)(ブドウの種子を含む果実抽出物1)として試験に用いた。
【0037】
(C2)ブドウ果実抽出物2
成分(C1)と同様の方法により得られた種なしブドウ(学名:Vitis labrusca ‘Delaware’、品種名:デラウェア)の果実残渣の乾燥物50gを抽出溶媒である50質量%のBG水溶液500gに60℃で5時間浸漬した後、ろ紙(アドバンテック東洋社製、5C)を用いてろ過し、ろ液を得た。このろ液を5℃にて7日間静置保存した後、さらにろ紙を用いてろ過してブドウ果実(種なし)抽出液を得た。このブドウ果実(種なし)抽出液中の固形分(溶媒以外の成分の含有量)は1.8質量%であり、これを50質量%のBG水溶液で希釈して固形分を1.0質量%に調整した希釈物を成分(C1)(ブドウ果実抽出物2)として試験に用いた。
【0038】
実施例および比較例の各拭き取り用の化粧水について、以下の評価を行った。その評価結果を表1に示す。なお拭き取りは、拭き取り用の化粧水をしみこませたコットンを頬に沿って下から上に滑らして行い、計3回拭き取りを行った。
【0039】
(1)皮脂除去効果
20名の頬のたるみが気になる女性(40~59歳)であるパネラーが、各拭き取り用の化粧水を0.5g染み込ませたコットンで頬の皮脂を拭き取り、各パネラーが使用したコットンの汚れの程度から、下記の基準により皮脂除去効果を評価した。
2点:皮脂がよく除去できている。
1点:ある程度皮脂が除去できている。
0点:皮脂がほとんど除去できていない。
【0040】
パネラー20名の評価の合計点を求め、以下のように評価した。
◎:合計点が35点以上(皮脂除去効果に非常に優れる)
○:合計点が25点以上35点未満(皮脂除去効果に優れる)
△:合計点が15点以上25点未満(皮脂除去効果がある程度認められる)
×:合計点が15点未満(皮脂除去効果に乏しい)
【0041】
(2)保湿効果
上記(1)の試験後の各パネラーが、下記の基準により保湿効果を評価した。
2点:保湿感が十分にある。
1点:保湿感がある程度ある。
0点:保湿感がほとんどない。
【0042】
パネラー20名の評価の合計点を求め、以下のように評価した。
◎:合計点が35点以上(保湿効果に非常に優れる)
○:合計点が25点以上35点未満(保湿効果に優れる)
△:合計点が15点以上25点未満(保湿効果がある程度認められる)
×:合計点が15点未満(保湿効果に乏しい)
【0043】
(3)べたつき
上記(1)の試験後の各パネラーが、下記の基準によりべたつきを評価した。
2点:べたつきを感じない。
1点:べたつきをほとんど感じない。
0点:べたつきを感じる。
【0044】
パネラー20名の評価の合計点を求め、以下のように評価した。
◎:合計点が35点以上(べたつきがない)
○:合計点が25点以上35点未満(べたつきがほとんどない)
△:合計点が15点以上25点未満(ややべたつきがある)
×:合計点が15点未満(べたつきがある)
【0045】
(4)リフトアップ効果
20名の頬のたるみが気になる女性(40~59歳)であるパネラーが、拭き取り用の化粧水を2週間連用した後、下記の基準により、頬のリフトアップ効果を評価した。
2点:頬がリフトアップされたと感じる。
1点:頬が僅かにリフトアップされたと感じる。
0点:頬のリフトアップを感じない。
【0046】
パネラー20名の評価の合計点を求め、以下のように評価した。
◎:合計点が35点以上(頬のリフトアップ効果が十分にある)
○:合計点が25点以上35点未満(頬のリフトアップ効果がある程度認められる)
△:合計点が15点以上25点未満(頬のリフトアップ効果が僅かに認められる)
×:合計点が15点未満(頬のリフトアップ効果がない)
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示す結果から、実施例1~8の拭き取り用の化粧水は、優れた皮脂除去効果に加え、保湿効果を付与しながらもべたつきがなく、頬のリフトアップ効果を有することが分かる。
【0049】
一方、比較例1~6の化粧水では十分な効果が得られていない。
成分(A)を過剰に含有する比較例1の化粧水では、ややべたつきがあり、皮脂除去効果およびリフトアップ効果が不十分である。
成分(A)を含有しない比較例2の化粧水では、保湿効果およびリフトアップ効果が不十分である。
成分(A)の代わりに成分(A’)を含有する比較例3の化粧水では、ややべたつきがあり、且つ保湿効果およびリフトアップ効果が不十分である。
成分(B)を過剰に含有する比較例4の化粧水では、保湿効果およびリフトアップ効果が不十分である。
成分(B)を含有しない比較例5の化粧水では、皮脂除去効果およびリフトアップ効果が不十分である。
成分(C)を含有せず、且つ成分(A)/成分(B)が大きすぎる比較例6の化粧水では、ややべたつきがあり、且つリフトアップ効果が不十分である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、皮脂除去効果に優れ、保湿効果を付与しながらもべたつきがなく、且つ頬のリフトアップ効果を有する拭き取り用の化粧水を提供することができる。