(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20220517BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220517BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
B41J29/38 104
B41J29/38 401
G03G21/00 398
H04N1/00 885
(21)【出願番号】P 2018202986
(22)【出願日】2018-10-29
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 啓介
(72)【発明者】
【氏名】矢治 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】三谷 周平
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-078899(JP,A)
【文献】特開2010-288225(JP,A)
【文献】特開2013-223173(JP,A)
【文献】特開2013-138342(JP,A)
【文献】米国特許第09182808(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
H04N 1/00
G06F 1/26 - 1/3296
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のモードおよび前記第1のモードよりも消費電力が低い第2のモードにおいてネットワークパケットを受信する送受信部と、複数のフィルタ設定を含むフィルタ情報を記憶するとともに、前記第2のモードにおいて前記送受信部が受信した前記ネットワークパケットが前記複数のフィルタ設定のいずれかと一致するかどうかを判定する判定部とを有する通信部と、
前記第2のモードにおいて前記判定部における前記フィルタ情報を繰り返し書き換える書換動作を行う判定制御部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記第2のモードから前記第1のモードにモードを遷移させる電源制御部と、
前記第1のモードにおいて前記送受信部から供給された前記ネットワークパケットを受け取り、前記第2のモードにおいて動作を停止するパケット送受信部と、
前記第1のモードにおいて前記パケット送受信部が受け取った前記ネットワークパケットに基づいて記録媒体に画像を形成し、前記第2のモードにおいて動作を停止する画像形成部と
を備え
、
前記判定制御部は、所定の時間が経過する度に前記書換動作を行う
画像形成装置。
【請求項2】
前記パケット送受信部は、前記第1のモードにおいて、前記ネットワークパケットを再送信させたときの前記ネットワークパケットの受信時間の時間間隔を検出し、
前記判定制御部は、前記時間間隔に基づいて前記所定の時間の時間長を設定する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記所定の時間の時間長は、前記時間間隔と同程度である
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定の時間の時間長は、前記時間間隔の2倍程度である
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記パケット送受信部は、前記第1のモードにおいて、前記ネットワークパケットを再送信させたときの再送信回数をさらに検出し、
前記判定制御部は、前記時間間隔および前記再送信回数に基づいて、前記所定の時間の時間長を設定する
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記判定制御部は、前記所定の時間の時間長を変更可能である
請求項1から
請求項5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記所定の時間は、固定された時間である
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記判定制御部は、複数のフィルタ情報のうちの1つを所定の順序で前記フィルタ情報として選択し、前記フィルタ情報の全部または一部を前記判定部に書き込むことにより、前記書換動作を行う
請求項1から
請求項7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記複数のフィルタ情報は、固定された情報である
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記複数のフィルタ情報を生成する生成部をさらに備えた
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記フィルタ情報は、前記ネットワークパケットのパケット種別についての情報を含み
前記生成部は、前記第1のモードにおいて前記パケット送受信部が受信した前記ネットワークパケットの、前記パケット種別ごとの受信頻度に基づいて前記複数のフィルタ情報を生成する
請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
第1のモードおよび前記第1のモードよりも消費電力が低い第2のモードにおいてネットワークパケットを受信する送受信部と、複数のフィルタ設定を含むフィルタ情報を記憶するとともに、前記第2のモードにおいて前記送受信部が受信した前記ネットワークパケットが前記複数のフィルタ設定のいずれかと一致するかどうかを判定する判定部とを有する通信部と、
前記第2のモードにおいて前記判定部における前記フィルタ情報を繰り返し書き換える書換動作を行う判定制御部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記第2のモードから前記第1のモードにモードを遷移させる電源制御部と、
前記第1のモードにおいて前記送受信部から供給された前記ネットワークパケットを受け取り、前記第2のモードにおいて動作を停止するパケット送受信部と、
前記第1のモードにおいて前記パケット送受信部が受け取った前記ネットワークパケットに基づいて記録媒体に画像を形成し、前記第2のモードにおいて動作を停止する画像形成部と
を備え、
前記判定制御部は、複数のフィルタ情報のうちの1つを所定の順序で前記フィルタ情報として選択し、前記フィルタ情報の全部または一部を前記判定部に書き込むことにより、前記書換動作を行う
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、しばしば、消費電力の低減を図る省電力モードが設けられる。例えば、特許文献1には、コンピュータが要求するプロトコルに基づいて、モードを省電力モードから通常モードに切り替える画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような省電力モードでは、消費電力を低減することが望まれており、さらなる消費電力の低減が期待されている。
【0005】
消費電力を低減することができる画像形成装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施の形態における第1の画像形成装置は、通信部と、判定制御部と、電源制御部と、パケット送受信部と、画像形成部とを備えている。通信部は、送受信部と、判定部とを有する。送受信部は、第1のモードおよび第1のモードよりも消費電力が低い第2のモードにおいてネットワークパケットを受信するように構成される。判定部は、複数のフィルタ設定を含むフィルタ情報を記憶するとともに、第2のモードにおいて送受信部が受信したネットワークパケットが複数のフィルタ設定のいずれかと一致するかどうかを判定するように構成される。判定制御部は、第2のモードにおいて判定部におけるフィルタ情報を繰り返し書き換える書換動作を行うように構成される。電源制御部は、判定部の判定結果に基づいて、第2のモードから第1のモードにモードを遷移させるように構成される。パケット送受信部は、第1のモードにおいて送受信部から供給されたネットワークパケットを受け取り、第2のモードにおいて動作を停止するように構成される。画像形成部は、第1のモードにおいてパケット送受信部が受け取ったネットワークパケットに基づいて記録媒体に画像を形成し、第2のモードにおいて動作を停止するように構成される。上記判定制御部は、所定の時間が経過する度に書換動作を行う。
本発明の一実施の形態における第2の画像形成装置は、通信部と、判定制御部と、電源制御部と、パケット送受信部と、画像形成部とを備えている。通信部は、送受信部と、判定部とを有する。送受信部は、第1のモードおよび第1のモードよりも消費電力が低い第2のモードにおいてネットワークパケットを受信するように構成される。判定部は、複数のフィルタ設定を含むフィルタ情報を記憶するとともに、第2のモードにおいて送受信部が受信したネットワークパケットが複数のフィルタ設定のいずれかと一致するかどうかを判定するように構成される。判定制御部は、第2のモードにおいて判定部におけるフィルタ情報を繰り返し書き換える書換動作を行うように構成される。電源制御部は、判定部の判定結果に基づいて、第2のモードから第1のモードにモードを遷移させるように構成される。パケット送受信部は、第1のモードにおいて送受信部から供給されたネットワークパケットを受け取り、第2のモードにおいて動作を停止するように構成される。画像形成部は、第1のモードにおいてパケット送受信部が受け取ったネットワークパケットに基づいて記録媒体に画像を形成し、第2のモードにおいて動作を停止するように構成される。 上記判定制御部は、複数のフィルタ情報のうちの1つを所定の順序で前記フィルタ情報として選択し、フィルタ情報の全部または一部を判定部に書き込むことにより、書換動作を行う。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施の形態における画像形成装置によれば、第2のモードにおいて判定部におけるフィルタ情報を繰り返し書き換える書換動作を行うようにしたので、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施の形態に係る画像形成システムの一構成例を表す説明図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る画像形成装置の一構成例を表すブロック図である。
【
図3】一実施の形態に係る画像形成装置の一動作例を表す状態遷移図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る、通常モードに復帰するトリガとなるネットワークパケットの一例を表す表である。
【
図5】ネットワークパケットの一例を表す説明図である。
【
図6A】第1の実施の形態に係るフィルタ情報の一例を表す表である。
【
図6B】第1の実施の形態に係る他のフィルタ情報の一例を表す表である。
【
図7】
図2に示した画像形成装置の一動作例を表すフローチャートである。
【
図8】
図2に示した画像形成装置の一動作例を表す他のフローチャートである。
【
図9】
図2に示した画像形成装置の一動作例を表すタイミング図である。
【
図10】
図2に示した画像形成装置の他の動作例を表すタイミング図である。
【
図11】第1の実施の形態の変形例に係る画像形成装置の一動作例を表すタイミング図である。
【
図12】参考例に係る画像形成装置の一動作例を表すタイミング図である。
【
図13】第1の実施の形態の変形例に係る画像形成装置の一動作例を表す他のタイミング図である。
【
図14】第1の実施の形態の他の変形例に係る画像形成装置の一動作例を表すタイミング図である。
【
図15】第1の実施の形態の他の変形例に係る画像形成装置の他の動作例を表すタイミング図である。
【
図16】第1の実施の形態の他の変形例に係る画像形成装置の他の動作例を表すタイミング図である。
【
図17】第2の実施の形態に係る画像形成装置の一構成例を表すブロック図である。
【
図18】第2の実施の形態に係る、通常モードに復帰するトリガとなるネットワークパケットの一例を表す表である。
【
図19】
図17に示した画像形成装置の一動作例を表す表である。
【
図20A】第2の実施の形態に係るフィルタ情報の一例を表す表である。
【
図20B】第2の実施の形態に係る他のフィルタ情報の一例を表す表である。
【
図20C】第2の実施の形態に係る他のフィルタ情報の一例を表す表である。
【
図20D】第2の実施の形態に係る他のフィルタ情報の一例を表す表である。
【
図21】
図17に示した画像形成装置の一動作例を表す他の表である。
【
図22】
図17に示した画像形成装置の一動作例を表すフローチャートである。
【
図23】
図17に示した画像形成装置の一動作例を表すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
【0010】
<1.第1の実施の形態>
[構成例]
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置(画像形成装置10)を備えた画像形成システム1の一構成例を表すものである。画像形成システム1は、情報処理装置8と、無線LAN(Local Area Network)ルータ9と、画像形成装置10とを備えている。この画像形成システム1において、情報処理装置8および画像形成装置10は、無線LANルータ9との間で、無線LANを用いて無線通信Wを行うように構成される。この無線通信Wでは、複数のネットワークパケットPを用いて、データや制御情報などの様々な情報が送受信されるようになっている。
【0011】
情報処理装置8は、例えば、パーソナルコンピュータである。この情報処理装置8には、例えばワードプロセッサソフトウェアなどのアプリケーションソフトウェアや、プリンタドライバがインストールされている。そして、情報処理装置8は、例えば、ユーザによる印刷指示に基づいて、プリンタドライバを用いて印刷データDPを生成し、生成した印刷データDPを、無線LANルータ9を介して画像形成装置10に送信するようになっている。この例では、情報処理装置8のMAC(Media Access Control)アドレスは、“00:80:87:00:00:03”である。
【0012】
無線LANルータ9は、無線LANを用いて、情報処理装置8および画像形成装置10との間で無線通信Wを行うように構成される。この例では、無線LANルータ9のMACアドレスは、“00:80:87:00:00:01”である。
【0013】
画像形成装置10は、例えば、情報処理装置8から無線LANルータ9を介して送信された印刷データDPに基づいて、記録媒体に画像を形成するように構成される。この例では、画像形成装置10のMACアドレスは、“00:80:87:00:00:01”である。
【0014】
画像形成装置10は、2つの電源モードM(通常モードM1および省電力モードM2)を有している。通常モードM1は、画像形成動作を行うことができるモードである。省電力モードM2は、待機するモードであり、消費電力を低減可能なモードである。画像形成装置10は、通常モードM1において、画像形成動作を行わない状態が所定の長さの時間にわたり継続した場合に、電源モードMを通常モードM1から省電力モードM2に遷移させる。また、画像形成装置10は、省電力モードM2において、受信したネットワークパケットPに基づいて判定動作を行い、ネットワークパケットPが所定のネットワークパケットPである場合に、電源モードMを省電力モードM2から通常モードM1に遷移させることにより、通常モードM1に復帰するようになっている。
【0015】
図2は、画像形成装置10の一構成例を表すものである。画像形成装置10は、電源部11と、無線通信部20と、制御部30と、画像形成部12とを備えている。電源部11、無線通信部20、および制御部30は、例えば半導体回路を用いて構成される。
【0016】
電源部11は、例えば商用電源などの交流電源ACから供給された交流電力に基づいて、画像形成装置10の各ブロックで使用される電源電力を生成するように構成される。電源部11は、メイン電源部11Mと、サブ電源部11Sとを有している。
【0017】
メイン電源部11Mは、通常モードM1において、電源電力PMを生成し、生成した電源電力PMを制御部30および画像形成部12に供給するように構成される。また、メイン電源部11Mは、省電力モードM2において、電源電力PMを生成しないように構成される。メイン電源部11Mは、制御部30から供給された電源制御信号CTLに基づいて、電源電力PMの生成し、あるいは電源電力PMの生成を停止するようになっている。
【0018】
サブ電源部11Sは、通常モードM1および省電力モードM2の両方において、電源電力PSを生成し、生成した電源電力PSを無線通信部20および制御部30内の一部のブロック(後述する電源制御部31および判定制御部32)に供給するように構成される。すなわち、無線通信部20、電源制御部31、および判定制御部32は、電源電力PSが常時供給されるようになっている。
【0019】
無線通信部20は、例えば無線LANチップを用いて構成される。無線通信部20は、通常モードM1および省電力モードM2の両方において、供給された電源電力PSに基づいて動作を行うように構成される。無線通信部20は、送受信部21と、判定部22とを有している。
【0020】
送受信部21は、無線LANを用いて無線通信Wを行うように構成される。具体的には、送受信部21は、無線通信Wによって受信したネットワークパケットPを判定部22に供給する。また、送受信部21は、通常モードM1において、受信したネットワークパケットPをデータインタフェースDIを介して制御部30に供給する。また、送受信部21は、通常モードM1において、制御部30からデータインタフェースDIを介して供給されたネットワークパケットPを無線通信Wにより送信するようになっている。
【0021】
判定部22は、省電力モードM2において、送受信部21から供給されたネットワークパケットPに基づいて判定動作を行うように構成される。判定部22は、記憶部23を有している。記憶部23は、フィルタ情報INFを記憶している。フィルタ情報INFは、複数のフィルタ設定FILを含んでいる。フィルタ情報INFは、この例では最大で8つのフィルタ設定FILを含むことができる。このフィルタ情報INFについては、後ほど詳細に説明する。
【0022】
この判定部22は、省電力モードM2において、制御部30から、制御インタフェースCIを介して供給された指示に基づいて、判定動作を行う。この判定動作において、判定部22は、送受信部21が受信したネットワークパケットPが、記憶部23に記憶された複数のフィルタ設定FILのうちのいずれかに該当するかどうかを判定する。そして、判定部22は、省電力モードM2において、このネットワークパケットPが、複数のフィルタ設定FILのうちのいずれかに該当する場合に、割込信号SIGを生成し、生成した割込信号SIGを制御インタフェースCIを介して制御部30に供給する。これにより、画像形成装置10では、この割込信号SIGに基づいて、電源モードMを省電力モードM2から通常モードM1に遷移させるようになっている。
【0023】
制御部30は、画像形成装置10の全体動作を制御するように構成される。制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを用いて構成される。制御部30は、電源制御部31と、判定制御部32と、パケット送受信部33と、画像形成制御部34とを有している。電源制御部31および判定制御部32は、通常モードM1および省電力モードM2の両方において、供給された電源電力PSに基づいて動作を行うように構成される。パケット送受信部33および画像形成制御部34は、通常モードM1において、供給された電源電力PMに基づいて動作を行い、省電力モードM2において動作を停止するように構成される。
【0024】
電源制御部31は、画像形成装置10における電源モードMを制御するように構成される。
【0025】
図3は、画像形成装置10における電源モードMの遷移を表すものである。ユーザが電源投入操作を行った場合には、電源制御部31は、電源モードMを通常モードM1に設定する。そして、電源制御部31は、電源モードMが通常モードM1である場合において、画像形成動作を行わない状態が所定の長さの時間にわたり継続した場合には、電源モードMを通常モードM1から省電力モードM2に遷移させる。また、電源制御部31は、電源モードMが省電力モードM2である場合において、判定部22から割込信号SIGが供給された場合には、電源モードMを省電力モードM2から通常モードM1に遷移させる。また、電源モードMが通常モードM1や省電力モードM2である場合において、ユーザが電源オフ操作を行った場合には、画像形成装置10は動作を停止する。
【0026】
また、電源制御部31は、メイン電源部11Mに対して電源制御信号CTLを供給することにより、通常モードM1ではメイン電源部11Mに電源電力PMを生成させ、省電力モードM2ではメイン電源部11Mに電源電力PMの生成を停止させるようになっている。
【0027】
判定制御部32は、無線通信部20における判定部22の動作を制御するように構成される。具体的には、判定制御部32は、省電力モードM2において、制御インタフェースCIを介して、判定部22に対して、判定動作を行うように指示を行う。そして、判定制御部32は、省電力モードM2において、所定の時間Tが経過する度に、制御インタフェースCIを介して判定部22にフィルタ情報INFを供給することにより、判定部22の記憶部23に記憶されたフィルタ情報INFを繰り返し書き換える。すなわち、所定の時間Tは、フィルタ情報INFの書き換え周期である。判定制御部32は、パケット送受信部33から供給された再送信間隔T1(後述)についての情報に基づいて、所定の時間Tをこの再送信間隔T1と同程度の時間に設定するようになっている。
【0028】
上述したように、この例では、記憶部23に記憶可能なフィルタ設定FILの数は8つに制限されている。よって、画像形成装置10では、このように、フィルタ情報INFを繰り返し書き換えることにより、判定動作で使用するフィルタ設定FILの数の制限を緩和することができる。
【0029】
パケット送受信部33は、通常モードM1において、無線通信部20の送受信部21との間で、データインタフェースDIを介してネットワークパケットPのやりとりを行うように構成される。具体的には、通常モードM1において、パケット送受信部33は、送受信部21からデータインタフェースDIを介して供給されたネットワークパケットPを受け取る。そして、パケット送受信部33は、例えば、受け取ったネットワークパケットPに基づいて印刷データDPを取得し、取得した印刷データDPを画像形成制御部34に供給する。また、パケット送受信部33は、送信すべきネットワークパケットPを生成して、生成したネットワークパケットPをデータインタフェースDIを介して送受信部21に供給するようになっている。
【0030】
また、パケット送受信部33は、通常モードM1において、例えば電源投入直後や、間欠的に設定された所定の期間において、プロトコルがTCP(Transmission Control Protocol)であるネットワークパケットPを受け取った場合に、意図的に応答せずに、そのネットワークパケットPを再送信させ、1つ目のネットワークパケットPと再送信された2つ目のネットワークパケットPとの間の時間間隔(再送信間隔T1)を検出する機能をも有している。そして、パケット送受信部33は、この再送信間隔T1についての情報を判定制御部32に供給するようになっている。
【0031】
画像形成制御部34は、通常モードM1において、パケット送受信部33から供給された印刷データDPに基づいて、所定の画像処理を行うとともに、この画像処理結果に基づいて画像形成部12の動作を制御するように構成される。
【0032】
画像形成部12は、通常モードM1において、画像形成制御部34からの指示に基づいて、記録媒体に画像を形成するように構成される。画像形成部12は、例えば、記録媒体を搬送する機構や、記録媒体に現像剤像を形成する機構や、記録媒体上の現像剤像を記録媒体に定着させる機構を含む。画像形成部12は、通常モードM1において、供給された電源電力PMに基づいて動作を行い、省電力モードM2において動作を停止するようになっている。
【0033】
(フィルタ情報INFについて)
画像形成装置10では、判定部22は、受信したネットワークパケットPが、フィルタ情報INFに含まれる複数のフィルタ設定FILのうちのいずれかに該当するかどうかを判定する。以下に、このフィルタ情報INFについて詳細に説明する。
【0034】
図4は、画像形成装置10が受信したときに、電源モードMが省電力モードM2から通常モードM1に遷移すべきネットワークパケットPの一覧を表すものである。この例では、画像形成装置10が、11種別(ICMP、Bonjour、SNMP、NBT、DHCP、HTTP、HTTPS、FTP、Telnet、LPR、RAW)のネットワークパケットPのうちのいずれかを受信したときに、電源モードMが省電力モードM2から通常モードM1に遷移することが望まれる。すなわち、これらの11種別のネットワークパケットPは、通常モードM1に復帰するトリガとなるパケットである。ここで、ICMPはInternet Control Message Protocolであり、SNMPはSimple Network Management Protocolであり、NBTはNetBIOS over TCP/IPであり、DHCPはDynamic Host Configuration Protocolであり、HTTPはHypertext Transfer Protocolであり、HTTPSはHypertext Transfer Protocol Secureであり、FTPはFile Transfer Protocolであり、LPRはline printer daemon protocolであり、IPはInternet Protocolであり、UDPはUser Datagram Protocolであり、mDNSはMulticast DNS(Domain Name System)である。
【0035】
判定部22は、フィルタ設定FILを用いて、送受信部21が受信したネットワークパケットPが、これらの11種別のネットワークパケットPのうちのいずれかであるかどうかを判定する。フィルタ設定FILは、
図4に示したように、宛先MACアドレス(Dst_MAC)、レイヤー2プロトコルタイプ(Type)、レイヤー3プロトコルタイプ(Prot)、および宛先ポート番号(Dst_Port)についての情報を含む。
【0036】
LPRを例に挙げて説明する。一般に、画像形成装置は、例えば省電力モードで動作を行っていた場合でも、その画像形成装置に対する印刷要求に応答することが望まれる。よって、LPRを用いて印刷要求を行うネットワークパケットPは、通常モードM1に復帰するトリガとなるパケットである。
【0037】
図5は、画像形成装置10が受信した、LPRを用いて印刷要求を行うネットワークパケットPの一例を表すものである。この
図5では、データは16進数を用いて表されている。このネットワークパケットPは、宛先MACアドレス(Dst_MAC)、レイヤー2プロトコルタイプ(Type)、レイヤー3プロトコルタイプ(Prot)、および宛先ポート番号(Dst_Port)についての情報を含む。宛先MACアドレス(Dst_MAC)は、この例では“00:80:87:00:00:01”に設定されている。すなわち、このネットワークパケットPは、この画像形成装置10を宛先として設定して送信されたパケットである。言い換えれば、このネットワークパケットPの送信は、いわゆるユニキャストである。レイヤー2プロトコルタイプ(Type)は、この例では“8000”に設定されている。すなわち、レイヤー2プロトコルタイプはIP(0x8000)である。レイヤー3プロトコルタイプ(Prot)は、この例では“06”に設定されている。すなわち、レイヤー3プロトコルタイプはTCP(6)である。宛先ポート番号(Dst_Port)は、この例では“0203”に設定されている。すなわち、宛先ポート番号はLPR(515)である。
【0038】
判定部22は、受信したネットワークパケットPに含まれる宛先MACアドレス(Dst_MAC)が画像形成装置10のMACアドレスであり、レイヤー2プロトコルタイプ(Type)がIPであり、レイヤー3プロトコルタイプ(Prot)がTCPであり、宛先ポート番号(Dst_Port)が515であることを確認することにより、そのネットワークパケットPが画像形成装置10に対するLPRを用いた印刷要求であると判定することができる。
【0039】
次に、ICMPを例に挙げて説明する。一般に、ネットワークに接続されたデバイスは、例えば省電力モードで動作を行っていた場合でも、そのデバイスに対するPING要求に応答する必要がある。よって、ICMPを用いてPING要求を行うネットワークパケットPは、通常モードM1に復帰するトリガとなるパケットである。判定部22は、受信したネットワークパケットPに含まれる宛先MACアドレス(Dst_MAC)が画像形成装置10のMACアドレスであり、レイヤー2プロトコルタイプ(Type)がIPであり、レイヤー3プロトコルタイプ(Prot)がICMPであることを確認することにより、そのネットワークパケットPが画像形成装置10に対するPING要求であると判定することができる。
【0040】
図4に示したように、判定部22が判定すべきネットワークパケットPは11種別である。一方、記憶部23に記憶可能なフィルタ設定FILの数は8つに制限されている。よって、画像形成装置10では、2つのフィルタ情報A,Bを用意し、判定制御部32が、所定の時間Tが経過する度に、これらの2つのフィルタ情報Aおよびフィルタ情報Bを、記憶部23に交互に繰り返しフィルタ情報INFとして書き込む。
【0041】
図6Aは、フィルタ情報Aの一例を示し、
図6Bは、フィルタ情報Bの一例を示す。
図4において、“○”で示したように、フィルタ情報Aは、ICMP、Bonjour、SNMP、NBT、DHCP、HTTP、HTTPS、FTPについての8つのフィルタ設定FILを含み、フィルタ情報Bは、ICMP、Bonjour、SNMP、NBT、DHCP、Telnet、LPR、RAWについての8つのフィルタ設定FILを含む。
【0042】
ICMP、Bonjour、SNMP、NBT、DHCPについての5つのフィルタ設定FILは、フィルタ情報A,Bの両方に含まれる。すなわち、これらのネットワークパケットPのレイヤー3プロトコルタイプ(Prot)は、ICMPまたはUDPであり、再送信が行われないプロトコルであるため、画像形成装置10は、仮に、これらの種別のネットワークパケットPの受信に失敗した場合には、再び同じネットワークパケットPを受信することはできない。よって、画像形成装置10では、フィルタ情報A,Bの両方がこれらの5つのフィルタ設定FILを含むようにしている。
【0043】
一方、HTTP、HTTPS、FTPについての3つのフィルタ設定FILは、フィルタ情報Aにのみ含まれる。すなわち、これらのネットワークパケットPのレイヤー3プロトコルタイプ(Prot)は、TCPであり、再送信が行われるプロトコルであるため、画像形成装置10は、仮に、これらの種別のネットワークパケットPの受信に失敗しても、再送信されたネットワークパケットPを受信することができる。よって、画像形成装置10では、フィルタ情報Aのみが、これらの3つのフィルタ設定FILを含むようにしている。
【0044】
同様に、Telnet、LPR、RAWについての3つのフィルタ設定FILは、フィルタ情報Bにのみ含まれる。すなわち、これらは再送信が行われるプロトコルであるため、画像形成装置10は、仮に、これらの種別のネットワークパケットPの受信に失敗しても、再送信されたネットワークパケットPを受信することができる。よって、画像形成装置10では、フィルタ情報Bのみが、これらの3つのフィルタ設定FILを含むようにしている。
【0045】
これらのフィルタ情報A,Bは、例えば画像形成装置10のファームウェアに含まれている。すなわち、この例では、フィルタ情報A,Bは予め定められ固定された情報である。判定制御部32は、所定の時間Tが経過する度に、これらの2つのフィルタ情報A,Bを、記憶部23に交互に繰り返しフィルタ情報INFとして書き込む。これにより、判定部22は、2つのフィルタ情報A,Bに含まれる11個のフィルタ設定FILに基づいて判定動作を行うことができるようになっている。
【0046】
ここで、無線LAN通信部20は、本発明における「通信部」の一具体例に対応する。送受信部21は、本発明における「送受信部」の一具体例に対応する。判定部22は、本発明における「判定部」の一具体例に対応する。判定制御部32は、本発明における「判定制御部」の一具体例に対応する。電源制御部31は、本発明における「電源制御部」の一具体例に対応する。パケット送受信部33は、本発明における「パケット送受信部」の一具体例に対応する。画像形成部12は、本発明における「画像形成部」の一具体例に対応する。通常モードM1は、本発明における「第1のモード」の一具体例に対応する。省電力モードM2は、本発明における「第2のモード」の一具体例に対応する。フィルタ情報INFは、本発明における「フィルタ情報」の一具体例に対応する。フィルタ設定FILは、本発明における「フィルタ設定」の一具体例に対応する。フィルタ情報A,Bは、本発明における「複数のフィルタ情報」の一具体例に対応する。所定の時間Tは、本発明における「所定の時間」の一具体例に対応する。再送信間隔T1は、本発明における「時間間隔」の一具体例に対応する。
【0047】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の画像形成装置10の動作および作用について説明する。
【0048】
(全体動作概要)
まず、
図2を参照して、画像形成装置10の全体動作概要を説明する。電源部11のメイン電源部11Mは、通常モードM1において、電源電力PMを生成し、生成した電源電力PMを制御部30および画像形成部12に供給する。サブ電源部11Sは、通常モードM1および省電力モードM2の両方において、電源電力PSを生成し、生成した電源電力PSを無線通信部20および制御部30内の一部のブロック(電源制御部31および判定制御部32)に供給する。
【0049】
無線通信部20の送受信部21は、無線LANを用いて無線通信Wを行う。判定部22は、省電力モードM2において、制御部30から供給された指示に基づいて、判定動作を行う。そして、判定部22は、送受信部21が受信したネットワークパケットPが、複数のフィルタ設定FILのうちのいずれかに該当する場合に、割込信号SIGを生成し、生成した割込信号SIGを制御部30に供給する。
【0050】
制御部30の電源制御部31は、画像形成装置10における電源モードMを制御する。パケット送受信部33は、通常モードM1において、無線通信部20の送受信部21との間でネットワークパケットPのやりとりを行う。また、パケット送受信部33は、通常モードM1において、例えば電源投入直後や、間欠的に設定された所定の期間において、プロトコルがTCPであるネットワークパケットPを受け取った場合に、意図的に応答せずに、そのネットワークパケットPを再送信させ、1つ目のネットワークパケットPと再送信された2つ目のネットワークパケットPとの間の再送信間隔T1を検出する。判定制御部32は、省電力モードM2において、判定部22に対して判定動作を行うように指示を行う。そして、判定制御部32は、省電力モードM2において、再送信間隔T1に基づいて設定された所定の時間Tが経過する度に、制御インタフェースCIを介して判定部22にフィルタ情報INFを供給することにより、判定部22の記憶部23に記憶されたフィルタ情報INFを繰り返し書き換える。画像形成制御部34は、通常モードM1において、パケット送受信部33から供給された印刷データDPに基づいて、所定の画像処理を行うとともに、この画像処理結果に基づいて画像形成部12の動作を制御する。
【0051】
画像形成部12は、通常モードM1において、画像形成制御部34からの指示に基づいて、記録媒体に画像を形成する。
【0052】
(詳細動作)
次に、省電力モードM2における動作について詳細に説明する。
【0053】
図7は、省電力モードM2における判定制御部32の一動作例を表すものである。判定制御部32は、所定の時間Tが経過する度に、2つのフィルタ情報A,Bを、記憶部23に交互に繰り返しフィルタ情報INFとして書き込む。そして、電源制御部31が判定部22から割込信号SIGを受け取ると、判定制御部32は、判定部22に判定動作を停止させる。以下に、この動作について詳細に説明する。
【0054】
まず、電源モードMが通常モードM1から省電力モードM2に遷移すると、判定制御部32は、判定部22に判定動作を開始させる(ステップS101)。具体的には、判定制御部32は、制御インタフェースCIを介して、判定部22に対して、判定動作を開始するように指示を行う。判定部22は、この指示に基づいて判定動作を開始する。
【0055】
次に、判定制御部32は、2つのフィルタ情報A,Bのうちのフィルタ情報Aを、フィルタ情報INFとして判定部22の記憶部23に書き込む(ステップS102)。具体的には、判定制御部32は、制御インタフェースCIを介して判定部22にフィルタ情報Aをフィルタ情報INFとして供給することにより、記憶部23に、このフィルタ情報INFを書き込む。
【0056】
次に、判定制御部32は、タイマの動作を開始させる(ステップS103)。
【0057】
次に、判定制御部32は、タイマが、所定の時間Tに対応する所定のカウントをカウントし終えたかどうかを確認する(ステップS104)。
【0058】
ステップS104において、タイマがカウントし終えた場合(ステップS104において“Y”)には、判定制御部32は、判定部22が現在使用しているフィルタ情報INFがフィルタ情報Aであるかどうかを確認する(ステップS105)。現在のフィルタ情報INFがフィルタ情報Aである場合(ステップS105において“Y”)には、記憶部23に記憶されているフィルタ情報INFはフィルタ情報Aであるので、判定制御部32は、フィルタ情報Bを、フィルタ情報INFとして判定部22の記憶部23に書き込む(ステップS106)。具体的には、判定制御部32は、制御インタフェースCIを介して判定部22にフィルタ情報Bをフィルタ情報INFとして供給することにより、記憶部23に、このフィルタ情報INFを書き込む。また、現在のフィルタ情報INFがフィルタ情報Aではない場合(ステップS105において“Y”)には、記憶部23に記憶されているフィルタ情報INFはフィルタ情報Bであるので、判定制御部32は、フィルタ情報Aを、フィルタ情報INFとして判定部22の記憶部23に書き込む(ステップS107)。具体的には、判定制御部32は、制御インタフェースCIを介して判定部22にフィルタ情報Aをフィルタ情報INFとして供給することにより、記憶部23に、このフィルタ情報INFを書き込む。次に、判定制御部32は、タイマの動作を開始させる(ステップS108)。そして、ステップS104に戻る。
【0059】
また、ステップS104において、タイマがカウントし終えていない場合(ステップS104において“N”)には、判定制御部32は、電源制御部31が判定部22から割込信号SIGを受け取ったかどうかを確認する(ステップS109)。電源制御部31が割込信号SIGを受け取っていない場合(ステップS109において“N”)には、ステップS104に戻る。
【0060】
ステップS109において、電源制御部31が割込信号SIGを受け取った場合(ステップS109において“Y”)には、判定制御部32は、判定部22に判定動作を停止させる(ステップS110)。具体的には、判定制御部32は、制御インタフェースCIを介して、判定部22に対して、判定動作を停止するように指示を行う。判定部22は、この指示に基づいて判定動作を停止する。
【0061】
以上で、このフローは終了する。
【0062】
図8は、送受信部21がネットワークパケットPを受信したときの無線通信部20の一動作例を表すものである。送受信部21は、電源モードMが省電力モードM2である場合において、判定動作を行い、受信したネットワークパケットPが、複数のフィルタ設定FILのうちのいずれかに該当する場合に、割込信号SIGを生成する。以下に、この動作について詳細に説明する。
【0063】
まず、判定部22は、判定動作を行っているかどうかを確認する(ステップS121)。言い換えれば、判定部22は、電源モードMが省電力モードM2であるかどうかを確認する。判定動作を行っていない場合(ステップS121において“N”)には、ステップS126に進む。
【0064】
ステップS121において、判定動作を行っている場合(ステップS121において“Y”)には、判定部22は、送受信部21が受信したネットワークパケットPが、記憶部23に記憶された複数のフィルタ設定FILのうちのいずれかに該当するかどうかを確認する(ステップS122)。
【0065】
ステップS122において、ネットワークパケットPが、複数のフィルタ設定FILのうちのいずれにも該当しない場合(ステップS122において“N”)には、送受信部21は、受信したネットワークパケットPを破棄する(ステップS123)。そして、このフローは終了する。
【0066】
ステップS122において、ネットワークパケットPが、複数のフィルタ設定FILのうちのいずれかに該当する場合(ステップS122において“Y”)には、判定部22は、割込信号SIGを生成し、生成した割込信号SIGを制御インタフェースCIを介して制御部30に供給する(ステップS124)。
【0067】
次に、判定部22は、判定動作が停止したかどうかを確認する(ステップS125)。判定部22は、判定動作が停止していない場合(ステップS125において“N”)には、判定動作が停止するまで、このステップS125を繰り返す。すなわち、ステップS124において判定部22が割込信号SIGを制御部30に供給すると、制御部30の電源制御部31は、電源モードMを省電力モードM2から通常モードM1に遷移させ、制御部30の判定制御部32は、判定部22に対して、判定動作を停止するように指示を行う。判定部22は、この指示に基づいて判定動作を停止する。これにより、判定部22は、判定動作が停止したことを確認する(ステップS125において“Y”)。
【0068】
そして、送受信部21は、受信したネットワークパケットPを、データインタフェースDIを介して制御部30のパケット送受信部33に供給する(ステップS126)。すなわち、画像形成装置10は、通常モードM1で動作しているので、パケット送受信部33には電源電力PMが供給され動作することができるため、送受信部21は、受信したネットワークパケットPをこのパケット送受信部33に供給する。パケット送受信部33は、このネットワークパケットPに基づいて処理を行う。
【0069】
以上で、このフローは終了する。
【0070】
次に、具体的な例を挙げて、画像形成装置10の動作を詳細に説明する。
【0071】
図9は、画像形成装置10における通常モードM1への復帰動作の一例を表すものであり、(A)は電源制御部31の動作を示し、(B)は判定制御部32の動作を示し、(C)はパケット送受信部33の動作を示し、(D)は判定部22の動作を示し、(E)は送受信部21の動作を示し、(F)は無線LANルータ9の動作を示す。この例では、画像形成装置10が省電力モードM2で動作している期間において、情報処理装置8が、LPRを用いて印刷要求を行うネットワークパケットPを、無線LANルータ9を介して画像形成装置10に対して送信する。画像形成装置10は、このネットワークパケットPに基づいて、通常モードM1に復帰する。以下に、この動作について詳細に説明する。
【0072】
電源制御部31が電源モードMを通常モードM1から省電力モードM2に遷移させると、判定制御部32は、判定部22に対して判定動作を開始させるとともに、フィルタ情報Aを、判定部22の記憶部23にフィルタ情報INFとして書き込む(ステップS11)。
【0073】
そして、所定の時間Tが経過すると、判定制御部32は、フィルタ情報Bを、判定部22の記憶部23にフィルタ情報INFとして書き込む(ステップS12)。同様に、所定の時間Tが経過すると、判定制御部32は、フィルタ情報Aを、判定部22の記憶部23にフィルタ情報INFとして書き込む(ステップS13)。このように、判定制御部32は、フィルタ情報Aおよびフィルタ情報Bを、記憶部23に交互に繰り返しフィルタ情報INFとして書き込む。
【0074】
そして、その後のあるタイミングで、判定制御部32は、フィルタ情報Aを、判定部22の記憶部23にフィルタ情報INFとして書き込む(ステップS14)。
【0075】
次に、無線LANルータ9は、情報処理装置8から送信された、LPRを用いて印刷要求を行うネットワークパケットP(
図9におけるSYN)を、画像形成装置10に送信する(ステップS15)。このネットワークパケットPは、例えば
図5に示したパケットである。送受信部21は、このネットワークパケットPを受信し、判定部22は、このネットワークパケットPが、フィルタ情報INF(この例ではフィルタ情報A)に含まれる複数のフィルタ設定FILのうちのいずれかに該当するかどうかを判定する。
図6Aに示したように、フィルタ情報Aは、LPRを用いた印刷要求に係るフィルタ設定FILを含まない。よって、受信したネットワークパケットPは、フィルタ情報Aにおける複数のフィルタ設定FILのいずれにも該当しないので、送受信部21は、このネットワークパケットPを破棄する。
【0076】
次に、ステップS14に係るタイミングから所定の時間Tが経過すると、判定制御部32は、フィルタ情報Bを、判定部22の記憶部23にフィルタ情報INFとして書き込む(ステップS16)。
【0077】
次に、無線LANルータ9が、ステップS15に係るタイミングから再送信間隔T1だけ隔てたタイミングで、LPRを用いて印刷要求を行うネットワークパケットP(SYN)を再送信する(ステップS17)。送受信部21は、このネットワークパケットPを受信し、判定部22は、このネットワークパケットPが、フィルタ情報INF(この例ではフィルタ情報B)に含まれる複数のフィルタ設定FILのうちのいずれかに該当するかどうかを判定する。
図6Bに示したように、フィルタ情報Bは、LPRを用いた印刷要求に係るフィルタ設定FILを含む。よって、送受信部21は、このネットワークパケットPを破棄せずに保持する。そして、判定部22は、割込信号SIGを生成し、この割込信号SIGを電源制御部31に供給する(ステップS18)。電源制御部31は、この割込信号SIGに基づいて、電源モードMを省電力モードM2から通常モードM1に遷移させる。これにより、メイン電源部11Mは、電源電力PMの生成を開始し、例えば、パケット送受信部33、画像形成制御部34、および画像形成部12は、この電源電力PMに基づいて動作を開始する。
【0078】
そして、判定制御部32は、判定部22に対して判定動作を停止させる(ステップS19)。そして、送受信部21は、保持していたネットワークパケットP(SYN)を、パケット送受信部33に供給する(ステップS20)。
【0079】
パケット送受信部33は、このネットワークパケットP(SYN)を解析することにより、LPRを用いた印刷要求であると判断する。そして、パケット送受信部33は、このネットワークパケットPに対して応答するネットワークパケットP(
図9におけるACK)を生成し、このネットワークパケットPを送受信部21に供給する(ステップS21)。そして、送受信部21は、このネットワークパケットPを無線LANルータ9に送信する(ステップS22)。
【0080】
その後、無線LANルータ9は、このネットワークパケットP(ACK)を情報処理装置8に送信する。情報処理装置8は、このネットワークパケットPに基づいて、例えば複数のネットワークパケットPを用いて、印刷データDPを、無線LANルータ9を介して画像形成装置10に送信する。画像形成装置10は、この印刷データDPに基づいて、記録媒体に画像を形成する。
【0081】
図10は、画像形成装置10における通常モードM1への復帰動作の他の一例を表すものである。この例では、判定制御部32は、フィルタ情報Bを、判定部22の記憶部23にフィルタ情報INFとして書き込む(ステップS16)。そして、その後に、無線LANルータ9は、情報処理装置8から送信された、LPRを用いて印刷要求を行うネットワークパケットP(SYN)を、画像形成装置10に送信する(ステップS25)。
【0082】
送受信部21は、このネットワークパケットPを受信し、判定部22は、このネットワークパケットPが、フィルタ情報INF(この例ではフィルタ情報B)に含まれる複数のフィルタ設定FILのうちのいずれかに該当するかどうかを判定する。
図6Bに示したように、フィルタ情報Bは、LPRを用いた印刷要求に係るフィルタ設定FILを含む。よって、送受信部21は、このネットワークパケットPを破棄せずに保持する。そして、判定部22は、割込信号SIGを生成し、この割込信号SIGを電源制御部31に供給する(ステップS18)。電源制御部31は、この割込信号SIGに基づいて、電源モードMを省電力モードM2から通常モードM1に遷移させる。これにより、メイン電源部11Mは、電源電力PMの生成を開始し、例えば、パケット送受信部33、画像形成制御部34、および画像形成部12は、この電源電力PMに基づいて動作を開始する。これ以降の動作については、
図9の場合と同様である。
【0083】
なお、
図9,10では、画像形成装置10は、LPRを用いて印刷要求を行うネットワークパケットPを受信する例で説明したが、他の種別のネットワークパケットPについても同様である。
【0084】
例えば、HTTP、HTTPS、FTPについてのフィルタ設定FILは、フィルタ情報Aにのみ含まれ、Telnet、LPR、RAWについてのフィルタ設定FILは、フィルタ情報Bにのみ含まれる。よって、画像形成装置10は、これらの種別のネットワークパケットPを受信した場合には、
図9,10に示したように、1つまたは2つのネットワークパケットPに基づいて、通常モードM1に復帰することができる。
【0085】
また、ICMP、Bonjour、SNMP、NBT、DHCPについてのフィルタ設定FILは、フィルタ情報A,Bの両方に含まれる。よって、画像形成装置10は、これらの種別のネットワークパケットPを受信した場合には、1つのネットワークパケットPに基づいて、通常モードM1に復帰することができる。
【0086】
このように、画像形成装置10では、判定制御部32が、省電力モードM2において、所定の時間Tが経過する度に、記憶部23に記憶されたフィルタ情報INFを繰り返し書き換えるようにしたので、無線通信部20が、通常モードM1への復帰を判断することができる。これにより、省電力モードM2において、パケット送受信部33への電源供給を停止することができるので、消費電力を低減することができる。すなわち、例えば、パケット送受信部33を省電力モードM2において動作させておき、このパケット送受信部33が、受信したネットワークパケットPの解析を行い、その解析結果に基づいて通常モードM1への復帰を判断する方法もあり得る。しかしながら、この場合には、パケット送受信部33が、省電力モードM2において電力を消費してしまう。一方、本実施の形態では、無線通信部20が、通常モードM1への復帰を判断することができるので、省電力モードM2において、パケット送受信部33への電源供給を停止することができるため、消費電力を低減することができる。
【0087】
また、画像形成装置10では、判定制御部32は、所定の時間Tが経過する度に、記憶部23に記憶されたフィルタ情報INFを繰り返し書き換えるようにした。具体的には、この例では、判定制御部32は、所定の時間Tが経過する度に、フィルタ情報Aおよびフィルタ情報Bを、記憶部23に交互に繰り返しフィルタ情報INFとして書き込むようにした。これにより、画像形成装置10では、判定動作で使用するフィルタ設定FILの数の制限を緩和することができる。具体的には、この例では、記憶部23に記憶可能なフィルタ設定FILの数は8つに制限されるのに対し、判定動作で使用するフィルタ設定FILの数を11個にすることができる。その結果、画像形成装置10では、より多くの種別のネットワークパケットPに基づいて、通常モードM1への復帰を行うことができる。
【0088】
また、画像形成装置10では、フィルタ情報INFの書き換え周期である所定の時間Tを、ネットワークパケットPが再送信される際のネットワークパケットPの受信時間の再送信間隔T1と同程度にしたので、例えば、1つまたは2つのネットワークパケットPに基づいて、通常モードM1に復帰することができる。よって、画像形成装置10では、ネットワークパケットPの再送信回数を少なくすることができ、ネットワークパケットPを最初に受信してから、短い時間で通常モードM1に復帰することができる。
【0089】
また、画像形成装置10では、再送信間隔T1を検出し、その検出結果に基づいて、フィルタ情報INFの書き換え周期である所定の時間Tを設定するようにした。これにより、画像形成装置10では、例えば、ネットワークの状態が変化した場合でも、その変化に応じて所定の時間Tを設定することができるので、より確実に、1つまたは2つのネットワークパケットPに基づいて、通常モードM1に復帰することができる。
【0090】
[効果]
以上のように本実施の形態では、省電力モードにおいて、所定の時間Tが経過する度に、記憶部に記憶されたフィルタ情報を繰り返し書き換えるようにしたので、無線通信部が、通常モードへの復帰を判断することができるので、消費電力を低減することができる。
【0091】
本実施の形態では、所定の時間Tが経過する度に、記憶部に記憶されたフィルタ情報を繰り返し書き換えるようにしたので、判定動作で使用するフィルタ設定の数の制限を緩和することができ、その結果、より多くの種別のネットワークパケットに基づいて、通常モードへの復帰を行うことができる。
【0092】
[変形例1-1]
上記実施の形態では、所定の時間Tが経過する度に、2つのフィルタ情報Aおよびフィルタ情報Bを、“…ABAB…”の順に、記憶部23に交互に繰り返し書き込むようにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、所定の時間Tが経過する度に、3つ以上のフィルタ情報を、記憶部23に繰り返し書き込んでもよい。具体的には、例えば3つのフィルタ情報A,B,Cを、例えば“…ABCABC…”の順に巡回するように、記憶部23に繰り返し書き込んでもよい。この場合には、判定動作で使用するフィルタ設定の数の制限をさらに緩和できるとともに、1~3個のネットワークパケットPに基づいて通常モードM1に復帰することができる。また、例えば4つのフィルタ情報A,B,C,Dを、例えば“…ABCDABCD…”の順に巡回するように、記憶部23に繰り返し書き込んでもよい。この場合には、判定動作で使用するフィルタ設定の数の制限をさらに緩和できるとともに、1~4個のネットワークパケットPに基づいて通常モードM1に復帰することができる。
【0093】
[変形例1-2]
上記実施の形態では、所定の時間Tが経過する度に、記憶部23に記憶されたフィルタ情報INFを繰り返し書き換えるようにしたが、この所定の時間Tが変化するようにしてもよい。言い換えれば、フィルタ情報INFの書き換え周期を変化させてもよい。具体的には、例えば、省電力モードM2で動作する1つの期間において、ある所定の時間Tを再送信間隔T1よりもやや長くし、その次の所定の時間Tを再送信間隔T1よりもやや短くしてもよい。
【0094】
[変形例1-3]
上記実施の形態では、判定制御部32は、フィルタ情報INFの書き換え周期である所定の時間Tを、再送信間隔T1と同程度の時間に設定したが、これに限定されるものではない。以下に、本変形例に係る画像形成装置10Cについて詳細に説明する。
【0095】
画像形成装置10Cは、上記実施の形態に係る画像形成装置10(
図2)と同様に、制御部30Cを有している。制御部30Cは、判定制御部32Cを有している。判定制御部32Cは、パケット送受信部33から供給された再送信間隔T1についての情報に基づいて、この所定の時間Tをこの再送信間隔T1の2倍の時間に設定するようになっている。
【0096】
図11は、本変形例に係る画像形成装置10Cの一動作例を表すものである。
【0097】
電源制御部31が電源モードMを通常モードM1から省電力モードM2に遷移させると、判定制御部32Cは、判定部22に対して判定動作を開始させるとともに、フィルタ情報Aを、判定部22の記憶部23にフィルタ情報INFとして書き込む(ステップS31)。 そして、判定制御部32Cは、フィルタ情報Aおよびフィルタ情報Bを、記憶部23に交互に繰り返しフィルタ情報INFとして書き込む。
【0098】
そして、あるタイミングで、判定制御部32Cは、フィルタ情報Aを、判定部22の記憶部23にフィルタ情報INFとして書き込む(ステップS32)。
【0099】
次に、無線LANルータ9は、情報処理装置8から送信された、LPRを用いて印刷要求を行うネットワークパケットP(
図11におけるSYN)を、画像形成装置10Cに送信する(ステップS33)。送受信部21は、このネットワークパケットPを受信し、判定部22は、このネットワークパケットPが、フィルタ情報INF(この例ではフィルタ情報A)に含まれる複数のフィルタ設定FILのうちのいずれかに該当するかどうかを判定する。
図6Aに示したように、フィルタ情報Aは、LPRを用いた印刷要求に係るフィルタ設定FILを含まない。よって、受信したネットワークパケットPは、フィルタ情報Aにおける複数のフィルタ設定FILのいずれにも該当しないので、送受信部21は、このネットワークパケットPを破棄する。
【0100】
次に、無線LANルータ9が、ステップS33に係るタイミングから再送信間隔T1だけ隔てたタイミングで、LPRを用いて印刷要求を行うネットワークパケットP(SYN)を再送信する(ステップS34)。送受信部21は、このネットワークパケットPを受信し、判定部22は、このネットワークパケットPが、フィルタ情報INF(この例ではフィルタ情報A)に含まれる複数のフィルタ設定FILのうちのいずれかに該当するかどうかを判定する。受信したネットワークパケットPは、フィルタ情報Aにおける複数のフィルタ設定FILのいずれにも該当しないので、送受信部21は、このネットワークパケットPを破棄する。
【0101】
次に、ステップS32に係るタイミングから所定の時間Tが経過すると、判定制御部32Cは、フィルタ情報Bを、判定部22の記憶部23にフィルタ情報INFとして書き込む(ステップS35)。
【0102】
次に、無線LANルータ9が、ステップS34に係るタイミングから再送信間隔T1だけ隔てたタイミングで、LPRを用いて印刷要求を行うネットワークパケットP(SYN)を再送信する(ステップS36)。送受信部21は、このネットワークパケットPを受信し、判定部22は、このネットワークパケットPが、フィルタ情報INF(この例ではフィルタ情報B)に含まれる複数のフィルタ設定FILのうちのいずれかに該当するかどうかを判定する。
図6Bに示したように、フィルタ情報Bは、LPRを用いた印刷要求に係るフィルタ設定FILを含む。よって、送受信部21は、このネットワークパケットPを破棄せずに保持する。そして、判定部22は、割込信号SIGを生成し、この割込信号SIGを電源制御部31に供給する(ステップS37)。電源制御部31は、この割込信号SIGに基づいて、電源モードMを省電力モードM2から通常モードM1に遷移させる。これにより、メイン電源部11Mは、電源電力PMの生成を開始し、例えば、パケット送受信部33、画像形成制御部34、および画像形成部12は、この電源電力PMに基づいて動作を開始する。これ以降の動作は、上記実施の形態の場合(
図9,10)と同様である。
【0103】
このように、画像形成装置10Cでは、所定の時間Tを再送信間隔T1の2倍の時間に設定したので、以下に説明するように、複数回連続してネットワークパケットPが破棄されるおそれを低減することができる。
【0104】
図12は、上記実施の形態に係る画像形成装置10の一動作例を示し、
図13は、本変形例に係る画像形成装置10Cの一動作例を示す。
図12では、所定の時間Tが再送信間隔T1と同程度の時間に設定されており、
図13は、所定の時間Tが再送信間隔T1の2倍の時間に設定されている。画像形成装置10,10Cは、LPRを用いて印刷要求を行うネットワークパケットPを受信している。
【0105】
無線LANルータ9が、再送信間隔T1で、ネットワークパケットPの再送信を行った場合でも、画像形成装置10,10Cでの受信タイミングがずれることがあり得る。例えば、この例では、無線LANルータ9は、再送信を3回行うことにより、ネットワークパケットPを4回送信している。この例では、最初のネットワークパケットP(ステップS51)の受信タイミングは遅れており、2番目のネットワークパケットP(ステップS52)の受信タイミングは早まっており、3番目のネットワークパケットP(ステップS53)の受信タイミングは遅れており、4番目のネットワークパケットP(ステップS52)の受信タイミングは早まっている。
【0106】
上記実施の形態に係る画像形成装置10の例(
図12)では、所定の時間Tを再送信間隔T1と同程度の時間に設定している。よって、画像形成装置10は、この例では、フィルタ情報Aが書き込まれた期間の期間内に、これらの4つのネットワークパケットPを受信してしまい、これらの4つのネットワークパケットPはいずれも破棄される。
【0107】
一方、本変形例に係る画像形成装置10Cの例(
図13)では、所定の時間Tを再送信間隔T1の2倍の時間に設定している。よって、画像形成装置10Cは、この例では、フィルタ情報Bが書き込まれた期間の期間内に、4番目のネットワークパケットPを受信することができ、通常モードM1に復帰することができる。
【0108】
また、判定部22は、フィルタ情報INFが書き換えられるタイミングを含む短い時間(不感時間)において、判定動作を行うことができない場合があり得る。
図13に示したように、画像形成装置10Cでは、2番目のネットワークパケットP(ステップS52)の受信タイミングは、フィルタ情報Aが書き込まれた期間の中央付近に位置し、4番目のネットワークパケットP(ステップS54)の受信タイミングは、フィルタ情報Bが書き込まれた期間の中央付近に位置する。よって、画像形成装置10Cでは、不感時間の影響を受けない。特に、
図13に示したように、これらのネットワークパケットPの受信タイミングがずれても、不感時間の影響を受けない。これにより、画像形成装置10Cでは、不感時間の影響を受けず、安定的に、通常モードM1に復帰することができる。
【0109】
このように、画像形成装置10Cでは、フィルタ情報INFの書き換え周期である所定の時間Tを再送信間隔T1の2倍にしたので、複数回連続してネットワークパケットPが破棄されるおそれを低減することができる。
【0110】
[変形例1-4]
上記実施の形態では、判定制御部32は、再送信間隔T1に基づいて、フィルタ情報INFの書き換え周期である所定の時間Tを設定したが、これに限定されるものではない。さらに、再送信され得るネットワークパケットPの数にも基づいて、所定の時間Tを設定してもよい。以下に、本変形例に係る画像形成装置10Dについて詳細に説明する。
【0111】
画像形成装置10Dは、上記実施の形態に係る画像形成装置10(
図2)と同様に、制御部30Dを有している。制御部30Dは、パケット送受信部33Dと、判定制御部32Dとを有している。
【0112】
パケット送受信部33Dは、通常モードM1において、ネットワークパケットPを再送信させ、1つ目のネットワークパケットPと再送信された2つ目のネットワークパケットPとの間の時間間隔(再送信間隔T1)を検出するとともに、再送信され得るネットワークパケットPの数(再送信回数N)を検出する機能を有している。
【0113】
判定制御部32Dは、パケット送受信部33から供給された再送信間隔T1についての情報、および再送信回数Nに基づいて、この所定の時間Tをこの再送信間隔T1の2倍の時間に設定するようになっている。
【0114】
図14は、再送信回数Nが1回である場合における画像形成装置10Dの一動作例を表すものである。この例では、再送信回数Nは1回であるので、画像形成装置10Dは、合計で最大で2つのネットワークパケットPを受信する。この場合には、判定制御部32Dは、フィルタ情報INFの書き換え周期である所定の時間Tを、再送信間隔T1に設定する。これにより、画像形成装置10Dは、1~2個のネットワークパケットPに基づいて通常モードM1に復帰することができる。
【0115】
図15は、再送信回数Nが2回である場合における画像形成装置10Dの一動作例を表すものである。この例では、再送信回数Nは2回であるので、画像形成装置10Dは、合計で最大で3つのネットワークパケットPを受信する。この場合には、判定制御部32Dは、フィルタ情報INFの書き換え周期である所定の時間Tを、再送信間隔T1以上であり、再送信間隔T1の2倍以下の時間(T1≦T≦2×T1)に設定する。これにより、画像形成装置10Dは、1~3個のネットワークパケットPに基づいて通常モードM1に復帰することができる。
【0116】
図16は、再送信回数Nが3回である場合における画像形成装置10Dの一動作例を表すものである。この例では、再送信回数Nは3回であるので、画像形成装置10Dは、合計で最大で4つのネットワークパケットPを受信する。この場合には、判定制御部32Dは、フィルタ情報INFの書き換え周期である所定の時間Tを、再送信間隔T1以上であり、再送信間隔T1の3倍以下の時間(T1≦T≦3×T1)に設定する。これにより、画像形成装置10Dは、1~4個のネットワークパケットPに基づいて通常モードM1に復帰することができる。
【0117】
[変形例1-5]
上記実施の形態では、判定制御部32は、フィルタ情報Aに含まれる8つのフィルタ設定FILの全てを記憶部23にフィルタ情報INFとして書き込み、あるいはフィルタ情報Bに含まれる8つのフィルタ設定FILの全てを記憶部23にフィルタ情報INFとして書き込むようにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、記憶部23が、フィルタ情報A,Bの両方に含まれるHTTP、Bonjour、SNMP、NBT、およびDHCPについての5つのフィルタ情報を保持しておくようにしてもよい。そして、判定制御部32が、フィルタ情報Aに含まれる8つのフィルタ設定FILのうちの、フィルタ情報Bに含まれないHTTP、HTTPS、およびFTPについての3つのフィルタ設定FILを記憶部23に書き込み、あるいはフィルタ情報Bに含まれる8つのフィルタ設定FILのうちの、フィルタ情報Aに含まれないTelnet、LPR、およびRAWについての3つのフィルタ設定FILを記憶部23に書き込むようにしてもよい。
【0118】
[その他の変形例]
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい。
【0119】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る画像形成装置40について説明する。本実施の形態は、記憶部23に書き込む複数のフィルタ情報の準備方法が、上記第1の実施の形態と異なるものである。すなわち、上記第1の実施の形態(
図X)では、ファームウェアが複数のフィルタ情報(フィルタ情報A、B)を含むようにしたが、これに代えて、本実施の形態では、制御部が複数のフィルタ情報を生成するようにしている。なお、上記第1の実施の形態に係る画像形成装置10と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0120】
図1に示したように、画像形成システム2は、画像形成装置40を備えている。
【0121】
図17は、画像形成装置40の一構成例を表すものである。画像形成装置40は、制御部50を備えている。制御部50は、パケット送受信部53と、フィルタ情報生成部54と、判定制御部52とを有している。電源制御部31、フィルタ情報生成部54、および判定制御部52は、通常モードM1および省電力モードM2の両方において、供給された電源電力PSに基づいて動作を行うように構成される。パケット送受信部53および画像形成制御部34は、通常モードM1において、供給された電源電力PMに基づいて動作を行い、省電力モードM2において動作を停止するように構成される。
【0122】
パケット送受信部53は、上記第1の実施の形態に係るパケット送受信部33と同様に、通常モードM1において、無線通信部20の送受信部21との間で、データインタフェースDIを介してネットワークパケットPのやりとりを行うように構成される。また、パケット送受信部53は、上記第1の実施の形態に係るパケット送受信部33と同様に、ネットワークパケットPが再送信される際のネットワークパケットPの受信時間の時間間隔(再送信間隔T1)を検出するようになっている。また、パケット送受信部53は、受け取ったネットワークパケットPをフィルタ情報生成部54に供給する機能をも有している。
【0123】
フィルタ情報生成部54は、パケット送受信部53から供給されたネットワークパケットPに基づいて、そのネットワークパケットPの種別を確認し、この種別に基づいて、この例では4つのフィルタ情報A,B,C,Dを生成するように構成される。具体的には、フィルタ情報生成部54は、通常モードM1で動作する所定の期間において、パケット解析を行い、ネットワークパケットPの種別ごとに、受信したネットワークパケットPの数をカウントすることにより、ネットワークパケットPの種別ごとに、ネットワークパケットPの受信頻度を求める。なお、この所定の期間は、最近の期間(例えば当日)であることが望ましい。また、所定の期間が、最近の期間(例えば当日)と古い期間(例えば前日)を含む場合には、最近の期間における集計結果に対する重みづけを大きくすることが望ましい。そして、フィルタ情報生成部54は、ネットワークパケットPの種別ごとの受信頻度に基づいて、4つのフィルタ情報A,B,C,Dを生成する。具体的には、フィルタ情報生成部54は、受信頻度が高い種別のネットワークパケットPほど、判定部22において頻繁に判定されるように、4つのフィルタ情報A,B,C,Dを生成する。
【0124】
判定制御部52は、無線通信部20における判定部22の動作を制御するように構成される。具体的には、判定制御部52は、所定の時間Tが経過する度に、フィルタ情報生成部54から供給された4つのフィルタ情報A,B,C,Dを、所定の書込順序ODで、記憶部23に繰り返しフィルタ情報INFとして書き込むようになっている。
【0125】
図18は、画像形成装置40が受信したときに、電源モードMが省電力モードM2から通常モードM1に遷移すべきネットワークパケットPの一覧を表すものである。この例では、画像形成装置40が、13種別(ICMP、Bonjour、SNMP、NBT、DHCP、LPR、HTTP、HTTPS、RAW、FTP、Telnet、WSD、IPP)のネットワークパケットPのうちのいずれかを受信したときに、電源モードMが省電力モードM2から通常モードM1に遷移することが望まれる。ここで、WSDはWeb Services on Devicesであり、IPPはInternet Printing Protocolである。
【0126】
判定部22は、フィルタ設定FILを用いて、送受信部21が受信したネットワークパケットPが、これらの13種別のネットワークパケットPのうちのいずれかであるかどうかを判定する。
【0127】
図18に示したように、判定部22が判定すべきネットワークパケットPは13種別である。一方、記憶部23に記憶可能なフィルタ設定FILの数は8つに制限されている。よって、画像形成装置40では、4つのフィルタ情報A,B,C,Dを用意し、判定制御部52が、所定の時間Tが経過する度に、これらの4つのフィルタ情報A,B,C,Dを、所定の書込順序ODで、記憶部23に繰り返しフィルタ情報INFとして書き込む。
【0128】
フィルタ情報生成部54は、パケット送受信部53から供給されたネットワークパケットPに基づいて、この例では4つのフィルタ情報A,B,C,Dを生成する。具体的には、フィルタ情報生成部54は、受信頻度が高い種別ほど、4つのフィルタ情報A,B,C,Dのうちの、この種別に対応するフィルタ設定FILを含むフィルタ情報の数が多くなるように、4つのフィルタ情報A,B,C,Dを生成する。
【0129】
図19は、フィルタ情報生成部54の一動作例を表すものである。この例では、画像形成装置40は、“受信回数”の欄に示した回数だけ、各ネットワークパケットPを受信している。フィルタ情報生成部54は、この受信回数に基づいて、各ネットワークパケットPの優先度を設定する。この例では、4つの優先度PR1~PR4を設けている。優先度PR1は優先度が一番高く、優先度PR4は優先度が一番低い。
【0130】
フィルタ情報生成部54は、ICMP、Bonjour、SNMP、NBT、DHCPについては、受信回数に関わらず、優先度を優先度PR1に設定する。すなわち、これらのネットワークパケットPのレイヤー3プロトコルタイプ(Prot)は、ICMPまたはUDPであり、再送信が行われないプロトコルであるため、画像形成装置40は、仮に、これらの種別のネットワークパケットPの受信に失敗した場合には、再び同じネットワークパケットPを受信することはできない。よって、フィルタ情報生成部54は、これらの種別のネットワークパケットPについては、優先度を優先度PR1に設定する。また、フィルタ情報生成部54は、受信回数が多い順に、優先度を優先度PR2,PR3,PR4に設定する。そして、フィルタ情報生成部54は、このようにして設定した優先度に基づいて、4つのフィルタ情報A,B,C,Dを生成する。
【0131】
図20Aは、フィルタ情報Aの一例を示し、
図20Bは、フィルタ情報Bの一例を示し、
図20Cは、フィルタ情報Cの一例を示し、
図20Dは、フィルタ情報Dの一例を示す。
図19において、“○”で示したように、フィルタ情報Aは、ICMP、Bonjour、SNMP、NBT、DHCP、LPR、HTTP、HTTPSについての8つのフィルタ設定FILを含み、フィルタ情報Bは、ICMP、Bonjour、SNMP、NBT、DHCP、LPR、HTTP、RAWについての8つのフィルタ設定FILを含み、フィルタ情報Cは、ICMP、Bonjour、SNMP、NBT、DHCP、LPR、FTP、Telnetについての8つのフィルタ設定FILを含み、フィルタ情報Dは、ICMP、Bonjour、SNMP、NBT、DHCP、HTTP、WSD、IPPについての8つのフィルタ設定FILを含む。
【0132】
図21は、4つのフィルタ情報A,B,C,Dの書込順序ODの一例を表すものである。判定制御部52は、フィルタ情報A,B,C,Dを、この例では、“…ABABCABABD…”の順に巡回するように、記憶部23に繰り返し書き込む。すなわち、この例では、10ターンを周期としてフィルタ情報A,B,C,Dを書き込む。
図21において“○”で示したように、優先度が優先度PR1に設定されたネットワークパケットPは、10ターンの全てで判定され得る。また、優先度が優先度PR2に設定されたネットワークパケットPは、10ターンのうちの9ターンにおいて判定され得る。また、優先度が優先度PR3に設定されたネットワークパケットPは、10ターンのうちの4ターンにおいて判定され得る。また、優先度が優先度PR4に設定されたネットワークパケットPは、10ターンのうちの1ターンにおいて判定され得る。
【0133】
ここで、判定制御部52は、本発明における「判定制御部」の一具体例に対応する。パケット送受信部53は、本発明における「パケット送受信部」の一具体例に対応する。フィルタ情報生成部54は、本発明における「生成部」の一具体例に対応する。フィルタ情報A,B,C,Dは、本発明における「複数のフィルタ情報」の一具体例に対応する。書込順序ODは、本発明における「所定の順序」の一具体例に対応する。
【0134】
図22は、省電力モードM2における判定制御部52の一動作例を表すものである。
【0135】
まず、電源モードMが通常モードM1から省電力モードM2に遷移すると、判定制御部52は、判定部22に判定動作を開始させる(ステップS101)。
【0136】
次に、判定制御部52は、書込順序ODにおける最初のフィルタ情報(この例ではフィルタ情報A)を、フィルタ情報INFとして判定部22の記憶部23に書き込む(ステップS202)。
【0137】
次に、判定制御部52は、タイマの動作を開始させる(ステップS103)。
【0138】
次に、判定制御部52は、タイマが、所定の時間Tに対応する所定のカウントをカウントし終えたかどうかを確認する(ステップS104)。
【0139】
ステップS104において、タイマがカウントし終えた場合(ステップS104において“Y”)には、判定制御部52は、書込順序ODにおける次のフィルタ情報を、フィルタ情報INFとして判定部22の記憶部23に書き込む(ステップS206)。次に、判定制御部52は、タイマの動作を開始させる(ステップS108)。そして、ステップS104に戻る。
【0140】
また、ステップS104において、タイマがカウントし終えていない場合(ステップS104において“N”)には、判定制御部52は、電源制御部31が判定部22から割込信号SIGを受け取ったかどうかを確認する(ステップS109)。電源制御部31が割込信号SIGを受け取っていない場合(ステップS109において“N”)には、ステップS104に戻る。
【0141】
ステップS109において、電源制御部31が割込信号SIGを受け取った場合(ステップS109において“Y”)には、判定制御部52は、判定部22に判定動作を停止させる(ステップS110)。
【0142】
以上で、このフローは終了する。
【0143】
次に、具体的な例を挙げて、画像形成装置40の動作を詳細に説明する。
【0144】
図23は、画像形成装置40における通常モードM1への復帰動作の一例を表すものであり、(A)は電源制御部31の動作を示し、(B)はフィルタ情報生成部54の動作を示し、(C)は判定制御部52の動作を示し、(D)はパケット送受信部53の動作を示し、(E)は判定部22の動作を示し、(F)は送受信部21の動作を示し、(G)は無線LANルータ9の動作を示す。この例では、画像形成装置40が省電力モードM2で動作している期間において、情報処理装置8が、LPRを用いて印刷要求を行うネットワークパケットPを、無線LANルータ9を介して画像形成装置40に対して送信する。画像形成装置40は、このネットワークパケットPに基づいて、通常モードM1に復帰する。以下に、この動作について詳細に説明する。
【0145】
電源制御部31が電源モードMを通常モードM1から省電力モードM2に遷移させる際、その遷移に先立ち、フィルタ情報生成部54は、パケット解析の結果に基づいて、4つのフィルタ情報A,B,C,Dを生成する(ステップS61)。そして、フィルタ情報生成部54は、生成したフィルタ情報A,B,C,Dを判定制御部52に供給する(ステップS62)。
【0146】
そして、電源制御部31が電源モードMを通常モードM1から省電力モードM2に遷移させると、判定制御部52は、判定部22に対して判定動作を開始させるとともに、書込順序ODにおける最初のフィルタ情報(この例ではフィルタ情報A)を、判定部22の記憶部23にフィルタ情報INFとして書き込む(ステップS63)。
【0147】
そして、所定の時間Tが経過すると、判定制御部52は、書込順序ODにおける次のフィルタ情報(この例ではフィルタ情報B)を、判定部22の記憶部23にフィルタ情報INFとして書き込む(ステップS64)。同様に、所定の時間Tが経過すると、判定制御部52は、書込順序ODにおける次のフィルタ情報(この例ではフィルタ情報A)を、判定部22の記憶部23にフィルタ情報INFとして書き込む(ステップS65)。このように、判定制御部52は、フィルタ情報A,B,C,Dを、書込順序ODで、記憶部23に繰り返しフィルタ情報INFとして書き込む。
【0148】
そして、その後のあるタイミングで、判定制御部52は、書込順序ODにおける次のフィルタ情報(この例ではフィルタ情報D)を、判定部22の記憶部23にフィルタ情報INFとして書き込む(ステップS66)。
【0149】
次に、無線LANルータ9は、情報処理装置8から送信された、LPRを用いて印刷要求を行うネットワークパケットP(
図23におけるSYN)を、画像形成装置40に送信する(ステップS67)。送受信部21は、このネットワークパケットPを受信し、判定部22は、このネットワークパケットPが、フィルタ情報INF(この例ではフィルタ情報D)に含まれる複数のフィルタ設定FILのうちのいずれかに該当するかどうかを判定する。
図20Dに示したように、フィルタ情報Dは、LPRを用いた印刷要求に係るフィルタ設定FILを含まない。よって、受信したネットワークパケットPは、フィルタ情報Dにおける複数のフィルタ設定FILのいずれにも該当しないので、送受信部21は、このネットワークパケットPを破棄する。
【0150】
次に、ステップS66に係るタイミングから所定の時間Tが経過すると、判定制御部52は、書込順序ODにおける次のフィルタ情報(この例ではフィルタ情報A)を、判定部22の記憶部23にフィルタ情報INFとして書き込む(ステップS68)。
【0151】
次に、無線LANルータ9が、ステップS67に係るタイミングから再送信間隔T1だけ隔てたタイミングで、LPRを用いて印刷要求を行うネットワークパケットP(SYN)を再送信する(ステップS69)。送受信部21は、このネットワークパケットPを受信し、判定部22は、このネットワークパケットPが、フィルタ情報INF(この例ではフィルタ情報A)に含まれる複数のフィルタ設定FILのうちのいずれかに該当するかどうかを判定する。
図20Aに示したように、フィルタ情報Aは、LPRを用いた印刷要求に係るフィルタ設定FILを含む。よって、送受信部21は、このネットワークパケットPを破棄せずに保持する。そして、判定部22は、割込信号SIGを生成し、この割込信号SIGを電源制御部31に供給する(ステップS70)。電源制御部31は、この割込信号SIGに基づいて、電源モードMを省電力モードM2から通常モードM1に遷移させる。これにより、メイン電源部11Mは、電源電力PMの生成を開始し、例えば、パケット送受信部53、画像形成制御部34、および画像形成部12は、この電源電力PMに基づいて動作を開始する。これ以降の動作は、第1の実施の形態に係る画像形成装置10の場合(
図9)と同様である。
【0152】
画像形成装置40では、LPRを用いて印刷要求を行うネットワークパケットPは、
図21に示したように、10ターンのうちの9ターンにおいて判定され得る。言い換えれば、このネットワークパケットPが再送信される場合、画像形成装置40は、このネットワークパケットPを平均的に1.1回受信することにより、通常モードM1に復帰することができる。
【0153】
なお、
図23では、画像形成装置40は、LPRを用いて印刷要求を行うネットワークパケットPを受信する例で説明したが、他の種別のネットワークパケットPについても同様である。
【0154】
例えば、画像形成装置40では、FTPを用いてファイル転送要求を行うネットワークパケットPは、10ターンのうちの1ターンにおいて判定され得る。言い換えれば、このネットワークパケットPが再送信される場合、画像形成装置40は、このネットワークパケットPを平均的に4.5回受信することにより、通常モードM1に復帰することができる。よって、画像形成装置40では、このネットワークパケットPは破棄される可能性が高い。しかしながら、この例では、
図19に示したように、このネットワークパケットPの受信頻度が低いので、殆ど影響はない。
【0155】
このように、画像形成装置40では、判定制御部52が、省電力モードM2において、所定の時間Tが経過する度に、記憶部23に記憶されたフィルタ情報INFを繰り返し書き換えるようにしたので、無線通信部20が、通常モードM1への復帰を判断することができる。これにより、画像形成装置40では、省電力モードM2において、パケット送受信部33への電源供給を停止することができるので、上記第1の実施の形態の場合と同様に、消費電力を低減することができる。
【0156】
また、画像形成装置40では、所定の時間Tが経過する度に、フィルタ情報A,B,C,Dを、記憶部23に繰り返しフィルタ情報INFとして書き込むようにした。これにより、画像形成装置40では、判定動作で使用するフィルタ設定FILの数の制限を緩和することができる。具体的には、この例では、記憶部23に記憶可能なフィルタ設定FILの数は8つに制限されるのに対し、判定動作で使用するフィルタ設定FILの数を13個にすることができる。その結果、画像形成装置40では、より多くの種別のネットワークパケットPに基づいて、通常モードM1への復帰を行うことができる。
【0157】
また、画像形成装置40では、フィルタ情報生成部54が、ネットワークパケットPの種別ごとに、ネットワークパケットPの受信頻度を求め、判定制御部52が、ネットワークパケットPの種別ごとの受信頻度に基づいて、4つのフィルタ情報A,B,C,Dを生成するようにした。これにより、画像形成装置40では、受信頻度が高い種別のネットワークパケットPほど、判定部22において頻繁に判定されるようにすることができる。よって、画像形成装置40では、受信頻度が高い種別のネットワークパケットPの再送信回数を少なくすることができ、短い時間で通常モードM1に復帰することができる。
【0158】
以上のように本実施の形態では、ネットワークパケットの種別ごとに、ネットワークパケットの受信頻度を求め、ネットワークパケットの種別ごとの受信頻度に基づいて、4つのフィルタ情報を生成するようにした。これにより、受信頻度が高い種別のネットワークパケットほど、判定部において頻繁に判定されるようにすることができる。その結果、受信頻度が高い種別のネットワークパケットの再送信回数を少なくすることができ、短い時間で通常モードM1に復帰することができる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0159】
[変形例2-1]
上記実施の形態では、
図19に示したように、受信回数が0回であるネットワークパケットPについてのフィルタ設定FILを、4つのフィルタ情報A,B,C,Dのいずれかに含めるようにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、受信回数が0回であるネットワークパケットPについてのフィルタ設定FILを、4つのフィルタ情報A,B,C,Dのいずれにも含めないようにしてもよい。この場合には、画像形成装置40が省電力モードM2で動作している場合に、仮に、このようなネットワークパケットPを受信しても、このネットワークパケットPに基づいて通常モードM1に復帰しないようにすることができる。
【0160】
[変形例2-2]
上記実施の形態に係る画像形成装置40に、上記第1の実施の形態の各変形例を適用してもよい。
【0161】
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0162】
例えば、上記の各実施の形態等では、本技術を無線LANに適用したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば有線LANに適用してもよい。
【0163】
例えば、上記の各実施の形態等では、判定制御部は、パケット送受信部から供給された再送信間隔T1についての情報に基づいて、所定の時間Tを設定したが、これに限定されるものではない。例えば、所定の時間Tを予め定めた固定時間にしてもよい。この所定の時間Tは、例えば3秒にすることができる。
【0164】
例えば、上記の各実施の形態等において、
図4,18に示した、通常モードM1に復帰するトリガとなるネットワークパケットPは、一例であり、他の種別のネットワークパケットPであってもよい。
【0165】
例えば、上記の実施の形態等では、本技術を単機能のプリンタに適用したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、コピー機能、ファックス機能、スキャン機能、プリント機能などを有する、いわゆる多機能周辺装置(MFP;Multi Function Peripheral)に適用してもよい。
【符号の説明】
【0166】
1,2…画像形成システム、10,40…画像形成装置、8…情報処理装置、9…無線LANルータ、11…電源部、11M…メイン電源部、11S…サブ電源部、12…画像形成部、20…無線通信部、21…送受信部、22…判定部、23…記憶部、30,50…制御部、31…電源制御部、32,32C,32D,52…判定制御部、33,53…パケット送受信部、34…画像形成制御部、54…フィルタ情報生成部、A,B,C,D…フィルタ情報、AC…交流電源、CI…制御インタフェース、CTL…電源制御信号、DI…データインタフェース、FIL…フィルタ設定、INF…フィルタ情報、M…電源モード、M1…通常モード、M2…省電力モード、OD…書込順序、P…ネットワークパケット、PM,PS…電源電力、PR1~PR4…優先度、W…無線通信。