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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】物品収納棚及び自動倉庫
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20220517BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
B65G1/00 511J
B65G1/04 503
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018216557
(22)【出願日】2018-11-19
(65)【公開番号】P2020083511
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2020-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】畑中 英泰
(72)【発明者】
【氏名】清川 渉
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和俊
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0083686(US,A1)
【文献】特開2018-70277(JP,A)
【文献】特表2016-536493(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0197295(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102017107482(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準方向に沿って設定間隔を空けて並んで配置された複数の柱部材と、物品が収納される収納部と、を備えた物品収納棚であって、
前記基準方向に直交する方向を奥行方向とし、前記奥行方向における一方側を奥行方向手前側、前記奥行方向における他方側を奥行方向奥側として、
前記収納部は、前記基準方向に隣り合う一対の前記柱部材の間に固定されて物品を支持する支持部と、前記支持部に対して前記奥行方向手前側に開口し、前記支持部に対する物品の出し入れが行われる開口部と、を有し、
前記柱部材における前記奥行方向手前側の面を開口柱面とし、前記柱部材における前記開口部を囲む領域を開口包囲領域として、
少なくとも前記開口包囲領域において前記開口柱面を前記奥行方向手前側から覆うように保護部材が配置され、
前記保護部材は、前記柱部材に対して連結部材を介して取り付けられ、前記保護部材における前記奥行方向奥側の端部が、前記開口柱面から前記奥行方向手前側に離間して配置されている、物品収納棚。
【請求項2】
前記保護部材は、上下方向及び前記基準方向に沿って延びる正面部と、前記基準方向における前記開口部側の端部から前記奥行方向奥側に向けて突出する側面部と、を有し、
前記正面部と前記連結部材とを前記奥行方向に貫通するように、締結部材が配置されている、請求項1に記載の物品収納棚。
【請求項3】
記側面部は、前記開口柱面における前記開口部側の端部と同じ位置又は当該開口柱面における前記開口部側の端部よりも前記開口部側に配置されている、請求項に記載の物品収納棚。
【請求項4】
基準方向に沿って設定間隔を空けて並んで配置された複数の柱部材と、物品が収納される収納部と、を備えた物品収納棚であって、
前記基準方向に直交する方向を奥行方向とし、前記奥行方向における一方側を奥行方向手前側、前記奥行方向における他方側を奥行方向奥側として、
前記収納部は、前記基準方向に隣り合う一対の前記柱部材の間に固定されて物品を支持する支持部と、前記支持部に対して前記奥行方向手前側に開口し、前記支持部に対する物品の出し入れが行われる開口部と、を有し、
前記柱部材における前記奥行方向手前側の面を開口柱面とし、前記柱部材における前記開口部を囲む領域を開口包囲領域として、
少なくとも前記開口包囲領域において前記開口柱面を前記奥行方向手前側から覆うように保護部材が配置され、
前記保護部材は、前記柱部材に対して連結部材を介して取り付けられ、前記開口柱面から前記奥行方向手前側に離間して配置され
前記保護部材は、前記開口柱面に対向する対向面を有し、
前記連結部材は、前記奥行方向に沿って延在する本体部と、前記本体部における前記奥行方向奥側の端部から前記開口柱面に沿って延在すると共に当該開口柱面に連結される第1連結部と、前記本体部における前記奥行方向手前側の端部から前記対向面に沿って延在すると共に当該対向面に連結される第2連結部と、を有している、物品収納棚。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一項に記載の物品収納棚を備えた自動倉庫であって、
前記開口部を第1開口部として、前記収納部は、前記支持部に対して前記奥行方向奥側に開口し、前記支持部に対する物品の出し入れが行われる第2開口部を更に有し、
前記物品収納棚に対して前記奥行方向奥側において前記基準方向に沿って走行する走行部と、当該走行部に搭載され、前記第2開口部を介して、前記支持部に対して前記奥行方向奥側から物品の出し入れを行う移載装置と、を有する自動搬送装置を備え、
前記第1開口部を介した物品の出し入れが、作業者により操作される搬送車によって行われる場合がある、自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準方向に沿って設定間隔を空けて並んで配置された複数の柱部材と、物品が収納される収納部と、を備えた物品収納棚、及び、そのような物品収納棚を備えた自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品収納棚及び自動倉庫の一例が、特許第6390529号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明では、特許文献1における各装置又は各部材の名称、及び、それらを示す符号を、括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1の自動倉庫(自動倉庫J)には、物品(物品B)が収納される収納部(物品支持部D)を複数備えた物品収納棚が設けられている。物品収納棚は、複数本の柱部材(支柱51)を有すると共に、上下方向及び走行レールRの長手方向に配列された複数の物品支持部Dを備えている。物品収納棚の一方側には、走行レールRに沿って走行して収納部への物品の搬送を自動で行う自動搬送装置(スタッカークレーン10)が設けられており、他方側には、収納部との間で作業者による人為的な作業が行われる作業者用空間(ピッキング作業空間E1)が設けられている。すなわち、自動搬送装置用の空間と作業者用空間とが、物品収納棚を挟んで両側に配置されており、自動搬送装置と作業者とが、物品収納棚(収納部)に対して互いに反対側からアクセス可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6390529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような物品収納棚では、収納部における作業者用空間側に開口部が設けられており、収納部に対する物品の出し入れが、上記開口部を介して行われる。そのような物品の出し入れ作業は、例えば作業者が操作するフォークリフト等の搬送車によって行われる場合がある。そして、このような場合において、搬送車が適切に操作されなかった場合には、動作中の搬送車あるいは当該搬送車によって搬送される物品(以下、搬送車等という。)が、開口部側(作業者空間側)の柱部材に接触する可能性がある。搬送車等の接触により柱部材が損傷すると、交換や修理等のメンテナンス作業が必要となる。しかし、柱部材は物品収納棚を支持する主要部材の1つであるため、部品の原材料費や運搬コストが高いことや、収納している物品を取り除かなければ交換等を行うことができない場合があること等、上記メンテナンス作業に手間やコストが掛かるという問題があった。
【0006】
上記実状に鑑みて、作業者が操作する搬送車等が柱部材に接触する可能性を低減でき、メンテナンス性を向上させることが可能な物品収納棚及びそのような物品収納棚を備えた自動倉庫の実現が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る物品収納棚は、
基準方向に沿って設定間隔を空けて並んで配置された複数の柱部材と、物品が収納される収納部と、を備えた物品収納棚であって、
前記基準方向に直交する方向を奥行方向とし、前記奥行方向における一方側を奥行方向手前側、前記奥行方向における他方側を奥行方向奥側として、
前記収納部は、前記基準方向に隣り合う一対の前記柱部材の間に固定されて物品を支持する支持部と、前記支持部に対して前記奥行方向手前側に開口し、前記支持部に対する物品の出し入れが行われる開口部と、を有し、
前記柱部材における前記奥行方向手前側の面を開口柱面とし、前記柱部材における前記開口部を囲む領域を開口包囲領域として、
少なくとも前記開口包囲領域において前記開口柱面を前記奥行方向手前側から覆うように保護部材が配置され、
前記保護部材は、前記柱部材に対して連結部材を介して取り付けられ、前記保護部材における前記奥行方向奥側の端部が、前記開口柱面から前記奥行方向手前側に離間して配置されている。
【0008】
本構成によれば、保護部材が、柱部材の開口柱面よりも奥行方向手前側に配置されているため、例えばフォークリフト等の、作業者が操作する搬送車によって収納部に対する物品の出し入れが行われる際において、搬送車の移動方向が奥行方向に対して傾斜している場合にも、柱部材よりも先に、保護部材に対して、搬送車あるいは当該搬送車によって取り出される物品(搬送車等)が接触することになる。従って、搬送車等が柱部材に直接的に接触する可能性を低減することができる。またこの際、保護部材は、連結部材を介して柱部材に対して離間して取り付けられているため、搬送車等が接触したことによる衝撃や荷重は、保護部材及び連結部材の弾性変形や塑性変形によってある程度吸収することができる。従って、柱部材が損傷する可能性を低減することができる。更に、保護部材や連結部材は柱部材に取り付けられたものであり、柱部材のように物品収納棚を支持する主要部材ではないため、柱部材に比べて交換作業が容易であると共に交換のために要するコストも低い。従って本構成によれば、作業者が操作する搬送車等が柱部材に接触する可能性を低減でき、メンテナンス性も向上させることができる。
【0009】
本開示に係る他の物品収納棚は、
基準方向に沿って設定間隔を空けて並んで配置された複数の柱部材と、物品が収納される収納部と、を備えた物品収納棚であって、
前記基準方向に直交する方向を奥行方向とし、前記奥行方向における一方側を奥行方向手前側、前記奥行方向における他方側を奥行方向奥側として、
前記収納部は、前記基準方向に隣り合う一対の前記柱部材の間に固定されて物品を支持する支持部と、前記支持部に対して前記奥行方向手前側に開口し、前記支持部に対する物品の出し入れが行われる開口部と、を有し、
前記柱部材における前記奥行方向手前側の面を開口柱面とし、前記柱部材における前記開口部を囲む領域を開口包囲領域として、
少なくとも前記開口包囲領域において前記開口柱面を前記奥行方向手前側から覆うように保護部材が配置され、
前記保護部材は、前記柱部材に対して連結部材を介して取り付けられ、前記開口柱面から前記奥行方向手前側に離間して配置され
前記保護部材は、前記開口柱面に対向する対向面を有し、
前記連結部材は、前記奥行方向に沿って延在する本体部と、前記本体部における前記奥行方向奥側の端部から前記開口柱面に沿って延在すると共に当該開口柱面に連結される第1連結部と、前記本体部における前記奥行方向手前側の端部から前記対向面に沿って延在すると共に当該対向面に連結される第2連結部と、を有している
【0010】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】自動倉庫の平面図
図2】自動倉庫の要部を示す側面図
図3】物品収納棚の要部を示す斜視図
図4】保護部材の連結構造を示す側面図
図5図4におけるV-V断面図
図6】適切な物品の取り出しが行われる様子を示す説明図
図7】不適切な物品の取り出しが行われる様子を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.第1実施形態
第1実施形態に係る物品収納棚及び自動倉庫について図面を参照して説明する。
【0013】
〔自動倉庫の概略構成〕
図1及び図2に示すように、自動倉庫100は、物品Pが収納される収納部13を有する物品収納棚1と、収納部13との間で自動で物品Pを搬送する自動搬送装置2と、を備えている。また、自動倉庫100には、作業者Wにより操作されて物品Pを搬送する搬送車3が複数備えられている。
【0014】
本実施形態では、物品Pは、荷を支持するためのパレットである。物品Pとしてのパレットは、複数の荷を支持可能に構成されており、荷を支持した状態或いは荷を支持していない状態で、自動搬送装置2又は搬送車3によって搬送されて収納部13に収納される。
図2に示すように、物品収納棚1は、柱部材11と当該柱部材11に固定される支持部133とを有しており、物品Pは、支持部133に支持された状態で収納部13に収納される。なお、物品Pは、パレットによって支持される荷であってもよいし、パレットと荷とを含む概念として用いられてもよい。また、物品Pは、荷を収容等する容器であってもよいし、当該容器と荷とを含む概念として用いられてもよい。すなわち物品Pは、自動倉庫100における搬送対象、あるいは、物品収納棚1における収納対象であればよい。
【0015】
図示の例では、自動搬送装置2は、基準方向Xに沿って設けられた走行レール20を走行するように構成されている。そして、走行レール20を挟んだ両側のそれぞれに、物品収納棚1が設けられている。但し、このような構成に限定されることなく、自動搬送装置2に対して少なくとも1つの物品収納棚1が設けられていればよい。
【0016】
物品収納棚1は、自動搬送装置2による物品Pの搬送が行われる搬送装置用空間A2と、作業者Wによる作業が行われる作業者用空間A1と、に挟まれて配置されている。搬送装置用空間A2は、自動搬送装置2の搬送経路に沿って形成され、本例では、走行レール20を含むように基準方向Xに沿って形成されている。作業者用空間A1は、物品収納棚1を挟んで搬送装置用空間A2とは反対側の空間に形成されている。
【0017】
搬送装置用空間A2および作業者用空間A1のそれぞれにおいては、収納部13(支持部133)に対する物品Pの出し入れが行われる。本実施形態では、物品収納棚1は、複数の収納部13を有しており、複数の収納部13のうち一部の収納部13が、搬送装置用空間A2および作業者用空間A1のいずれからも物品Pの出し入れが可能な対象収納部13T(収納部に相当)とされている(図2参照)。ここで、収納部13は、物品収納棚1に対して、基準方向Xに沿って複数(図示の例では15個)設けられると共に当該基準方向Xに水平面内で直交する方向である奥行方向Yに沿って複数(図示の例では2個)設けられている。上述の対象収納部13Tは、少なくとも作業者用空間A1に隣接して配置される収納部13であり、物品収納棚1に対して単数又は複数設けられる。なお、詳細な図示は省略するが、本実施形態では、収納部13は、上下方向に沿って複数段に亘って設けられている。
【0018】
図2に示すように、対象収納部13Tは、作業者用空間A1の側に開口した第1開口部131と、搬送装置用空間A2の側に開口した第2開口部132と、を有している。作業者用空間A1では、第1開口部131を介して、搬送車3によって対象収納部13Tに対する物品Pの出し入れが行われる。搬送装置用空間A2では、第2開口部132を介して、自動搬送装置2によって対象収納部13Tに対する物品Pの出し入れが行われる。このように、自動倉庫100では、第1開口部131を介した物品Pの出し入れが、作業者Wにより操作される搬送車3によって行われる場合があり、第2開口部132を介した物品Pの出し入れが、自動搬送装置2によって行われる場合がある。そして本例では、このような収納部13に対する物品Pの出し入れは、奥行方向Yに沿って行われる。なお、図2に示すように、作業者用空間A1では、対象収納部13T内の物品P(パレット)に支持された荷を取り出すピッキング作業も行われる。そして、搬送装置用空間A2では、物品Pの出し入れが、対象収納部13Tとの間で行われるだけでなく、当該対象収納部13Tに対して搬送装置用空間A2の側に隣接して配置される収納部13(対象収納部13T以外の収納部13)との間においても行われる。
【0019】
以下、自動倉庫100の各部の構成について詳細に説明する。なお、上述の「基準方向X」は、水平面に沿う方向であり、「奥行方向Y」は、水平面内で基準方向Xに直交する方向である。以下の説明では、対象収納部13Tを基準として、奥行方向Yにおける一方側(本例では作業者用空間A1側)を奥行方向手前側Y1とし、奥行方向Yにおける他方側(本例では搬送装置用空間A2側)を奥行方向奥側Y2とする。
【0020】
〔自動搬送装置〕
自動搬送装置2は、物品収納棚1に設けられた収納部13(支持部133)に対して自動で物品Pの搬送を行う搬送装置である。本実施形態では、自動搬送装置2は、上下方向および基準方向Xに並ぶ複数の収納部13との間で物品Pを移載可能となっている。自動搬送装置2は、例えばスタッカークレーンとして構成されているとよい。
【0021】
図1及び図2に示すように、本実施形態では、自動搬送装置2は、物品収納棚1に対して奥行方向奥側Y2において基準方向Xに沿って走行する走行部21と、当該走行部21に搭載され、収納部13(支持部133)に対して奥行方向奥側Y2から物品Pの出し入れを行う移載装置24と、を有している。移載装置24は、収納部13のうちの対象収納部13Tに対しては、当該対象収納部13Tの第2開口部132を介して、奥行方向奥側Y2から物品Pの出し入れを行う。本実施形態では、自動搬送装置2は、走行部21に立設されたマスト22と、マスト22に案内された状態で昇降移動する昇降台23と、を有している。そして、上述の移載装置24は、昇降台23に取り付けられ、昇降台23と共にマスト22に沿って昇降する。
【0022】
移載装置24は、物品Pが載置される載置部241と、載置部241を奥行方向Yに沿って出退移動させる出退駆動部242と、を有している。物品Pの下方において、出退駆動部242が載置部241を物品Pの直下に移動させ、昇降台23が上昇することで載置部241上に物品Pが載置される。また、物品Pが載置された載置部241を出退駆動部242が支持部133(収納部13)の直上に移動させ、昇降台23が下降することで物品Pが支持部133に支持される(収納部13に収納される。)。なお、詳細は後述するが、本実施形態では、物品Pを支持する支持部133は、基準方向Xにおいて互いに離間して配置される一対の支持台133aを有しており、これら一対の支持台133aの間には、載置部241が上下方向に通過可能な隙間が形成されている。
【0023】
〔搬送車〕
搬送車3は、作業者Wにより操作されて、物品収納棚1(収納部13)に物品Pを搬送する。図1に示すように、本実施形態では、搬送車3には、第1搬送車31と第2搬送車32とが含まれる。
【0024】
第1搬送車31は、物品Pを移載する移載部311を備えている。移載部311は、収納部13との間で物品Pを移載可能に構成されている。移載部311は、出退動作と昇降動作とが可能であり、例えばフォークとして構成され、物品Pとしてのパレットに形成された孔部に挿入された状態で当該パレットを支持して移載する。第1搬送車31は、例えば一対のフォーク(移載部311)を有するフォークリフトとして構成されているとよい。
【0025】
第2搬送車32は、物品Pを支持する物品支持台321と、作業者Wの足場となる作業台322と、を備えている。物品支持台321は、出退動作と昇降動作とが可能であり、収納部13との間で物品Pを移載可能に構成されている。作業台322は、収納部13の支持部133と同じ高さに配置され、或いは、昇降動作可能に構成されて収納部13の支持部133と同じ高さに移動自在となっている。作業者Wは、第2搬送車32が収納部13に対して隣接する位置に配置された状態で、作業台322と収納部13との間で往来することができる。作業者用空間A1において作業者Wによって行われるピッキング作業は、例えば図2に示すように、作業者Wが作業台322に搭乗した状態で行われる。
【0026】
〔物品収納棚〕
図1に示すように、物品収納棚1は、基準方向Xに沿って設定間隔を空けて並んで配置された複数の柱部材11と、物品Pが収納される収納部13と、を備えている。物品収納棚1は、上下方向に沿って配置される柱部材11と、柱部材11に対して交差する方向(本例では水平方向)に沿って配置される梁部材12と、を主要部材として備えている。
【0027】
図2及び図3に示すように、収納部13は、基準方向Xに隣り合う一対の柱部材11の間に固定されて物品Pを支持する支持部133を有している。本実施形態では、支持部133は、基準方向Xに離間して配置される一対の支持台133aを備えている。すなわち、一対の支持台133aの間には隙間が形成されており、当該隙間を、例えば上述のように自動搬送装置2の移載装置24が上下方向に通過することで、支持部133(収納部13)に対する物品Pの移載が可能となっている。図示の例では、一対の支持台133aのそれぞれは、奥行方向Yに並んで配置される一対の柱部材11に固定されている。
【0028】
本実施形態では、収納部13のうちの対象収納部13Tは、物品Pが載置される載置部材134を更に有している。載置部材134は、対象収納部13T以外の収納部13には設けられていない。対象収納部13Tでは、物品Pは、載置部材134に載置された状態で当該対象収納部13Tに収納される。但し、載置部材134は、必須の部材ではなく、対象収納部13Tに設けられていなくてもよい。
【0029】
図2及び図3に示すように、載置部材134は、支持部133によって下方から支持されている。本例では、載置部材134は、基準方向Xに離間して配置される一対の位置決め部134aと、奥行方向手前側Y1に突出する突出部134bと、を有している。
【0030】
位置決め部134aは、斜め上方に延びる板状に形成されており、上方に向かうに従って基準方向Xの外側に傾斜している。一対の位置決め部134aの下端部の基準方向Xの間隔は、物品Pの基準方向Xの長さと同等の長さに設定されている。そのため、物品Pが載置部材134に載置された状態で、当該物品Pを対象収納部13Tの適正位置に位置決めすることが可能となっている。そして、一対の位置決め部134aの上端部の基準方向Xの間隔は、物品Pの基準方向Xの長さよりも長く設定されている。そのため、対象収納部13T内において物品Pを上方から下方に動かして載置部材134に載置する場合に、当該物品Pを対象収納部13Tの適正位置(一対の位置決め部134aの下端部によって挟まれた位置)に案内することが可能となっている。
【0031】
突出部134bは、対象収納部13Tから奥行方向手前側Y1側に延びる板状に形成されており、対象収納部13Tから作業者用空間A1に突出している。図2に示すように、突出部134bは、第2搬送車32の作業台322が配置される高さに対応して設けられている。これにより、作業者Wが例えばピッキング作業を行う場合に、突出部134b(載置部材134)を介して、作業台322と対象収納部13Tとの間で往来し易くなっている。突出部134bと作業台322との奥行方向Yの間隔は、これらの間に作業者Wが落ちることのないよう、互いに接触しない範囲で短く設定されているとよい。図示の例では、突出部134bにおける奥行方向手前側Y1の端部は、下方に向かって屈曲している。
【0032】
本実施形態では、物品収納棚1よりも奥行方向手前側Y1に、基準方向Xに沿って延びると共に第2搬送車32(搬送車3)の走行をガイドする走行ガイド部材18が設けられている。走行ガイド部材18は、長手方向に直交する断面がL字状に形成された長尺部材であり、例えば自動倉庫100内の床面に配置される。作業者Wは、第2搬送車32の車輪32Wを走行ガイド部材18に沿わせるようにすることで、対象収納部13Tに対して奥行方向Yの適正な位置に第2搬送車32を停止させることができる。なお、図2に示すように、第2搬送車32の作業台322と収納部13の突出部134bとの相対的な配置関係、すなわち、作業台322の寸法や突出部134bの突出量などは、第2搬送車32の車輪32Wが走行ガイド部材18に沿った状態を基準に定めるとよい。
【0033】
図2及び図3に示すように、対象収納部13Tは、支持部133に対して奥行方向手前側Y1に開口し、支持部133に対する物品Pの出し入れが行われる第1開口部131(開口部に相当)を有している。上述のように本例では、対象収納部13Tは、支持部133に対して奥行方向奥側Y2に開口し、支持部133に対する物品Pの出し入れが行われる第2開口部132を更に有している。第1開口部131は、対象収納部13Tにおける作業者用空間A1の側に形成されており、奥行方向手前側Y1において基準方向Xに隣り合う一対の柱部材11によって挟まれている。第2開口部132は、対象収納部13Tにおける搬送装置用空間A2の側に形成されており、奥行方向奥側Y2において基準方向Xに隣り合う一対の柱部材11によって挟まれている。すなわち、本実施形態では、対象収納部13T(収納部13)は、奥行方向手前側Y1において基準方向Xに隣り合う一対の柱部材11と、奥行方向奥側Y2において基準方向Xに隣り合う一対の柱部材11と、によって囲まれた空間に形成されている。なお以下では、特に言及しない限り、「柱部材11」とは、対象収納部13Tを囲む4つの柱部材11のうち奥行方向手前側Y1に配置された一対の柱部材11のいずれか又はその双方を指すものとする。
【0034】
対象収納部13Tは、予め設定された上下方向の領域である設定高さ領域を有する。設定高さ領域は、例えば、支持部133の高さから、対象収納部13Tの内部に収納された物品P(パレット)が支持することが可能な荷の最大高さまでの範囲を含むように設定される。但し、これに限定されず、設定高さ領域は、任意に設定されるとよい。例えば、設定高さ領域は、物品収納棚1の収納スペースとの関係で適宜設定することができる。
【0035】
本実施形態では、物品収納棚1は、第1開口部131と第2開口部132とを開閉するシャッタ14を備えている。図2及び図3に示すように、シャッタ14は、シャッタ本体141と、当該シャッタ本体141を支持しつつ第1開口部131及び第2開口部132に案内するシャッタレール142と、を有している。
【0036】
シャッタレール142は、基準方向Xに離間して配置された一対のレール部材により構成されている。シャッタ本体141は、その基準方向Xの両端部をシャッタレール142によって支持されて、シャッタレール142に沿って移動するように構成されている。シャッタ本体141は、第1開口部131を開放又は閉塞し、第2開口部132を開放又は閉塞する。本例では、シャッタ本体141は、第1開口部131を開放している状態で第2開口部132を閉塞し、反対に、第2開口部132を開放している状態で第1開口部131を閉塞するように構成されている。
【0037】
シャッタレール142は、上述のように、基準方向Xに離間して配置された一対のレール部材により構成されている。シャッタレール142は、柱部材11に連結されており、基準方向Xに隣り合う一対の柱部材11の間(基準方向Xの内側)に配置されている。図2に示すように、本実施形態では、シャッタレール142は、奥行方向手前側Y1に配置された柱部材11に連結されて上下方向に延びる第1レール部142aと、奥行方向奥側Y2に配置された柱部材11に連結されて上下方向に延びる第2レール部142bと、第1レール部142aと第2レール部142bとを上部で連結して奥行方向Yに延びる連結レール部142cと、を有している。本例では、第1レール部142aと第2レール部142bとは、同じ長さ(上下方向の長さ)に形成されている。
【0038】
上述のシャッタ本体141は、第1レール部142a(又は第2レール部142b)と連結レール部142cとを合わせた長さに対応した長さとなっている。シャッタ本体141は、第1開口部131を開放し、かつ、第2開口部132を閉塞している状態では、第2レール部142bと連結レール部142cとの双方に亘って配置される。反対に、シャッタ本体141は、第2開口部132を開放し、かつ、第1開口部131を閉塞している状態では、第1レール部142aと連結レール部142cとの双方に亘って配置される。
このように、シャッタ本体141は、第1開口部131及び第2開口部132の開閉状態に関係なく、常に連結レール部142cには配置された状態となる。
【0039】
作業者用空間A1において作業が行われる場合には、シャッタ14によって、第1開口部131が開放され、かつ、第2開口部132が閉塞される。これにより、作業者用空間A1において、作業者Wが対象収納部13Tとの間で物品Pの出し入れ等の作業を行っているときに、奥行方向奥側Y2からの自動搬送装置2による物品Pの出し入れが同じ対象収納部13Tに対して行われないようにできる。すなわち、シャッタ14により、対象収納部13Tへの自動搬送装置2の進入を物理的に防ぐことができる。作業者用空間A1において作業が行われない場合には、シャッタ14によって、第1開口部131が閉塞され、かつ、第2開口部132が開放される。これにより、奥行方向奥側Y2からの自動搬送装置2による物品Pの移載動作中に、作業者W等が対象収納部13Tに出入りすることを抑制できる。また、第2開口部132が開放されていることから、搬送装置用空間A2からの自動搬送装置2による物品Pの出し入れ作業を円滑に行い易くすることができる。なお、シャッタ14はシャッタ本体141の位置を検出するセンサ(図示省略)を備えており、自動搬送装置2による物品Pの移載動作中に、第1開口部131が開放される側にシャッタ本体141が操作された場合には、自動搬送装置2の移載動作を停止させる。
【0040】
ところで、作業者用空間A1における、対象収納部13Tに対する物品Pの出し入れは、作業者Wが操作する搬送車3によって行われる場合がある。例えば図6に示すように、フォークリフトにより構成される第1搬送車31によって対象収納部13Tから物品Pを取り出す場合には、移載部311により物品Pを支持した状態で、第1搬送車31を奥行方向手前側Y1に真っ直ぐ移動させる(後退させる)必要がある。このような作業を行う場合において、物品Pが対象収納部13Tから完全に取り出される前に、第1搬送車31の進路を奥行方向Yに対して傾ける不適切な操作を行うと、移載部311又は移載部311によって支持されている物品Pが、対象収納部13Tを囲む4つの柱部材11のうち奥行方向手前側Y1に配置された一対の柱部材11のいずれかに接触する可能性がある。これにより柱部材11が損傷すると、交換や修理等のメンテナンス作業が必要となる。しかし、柱部材11は物品収納棚1を支持する主要部材の1つであるため、部品の原材料費や運搬コストが高いことや、収納している物品Pを取り除かなければ交換等を行うことができない場合があること等、上記メンテナンス作業に手間やコストが掛かるという問題がある。
【0041】
特に、収納部13に対して自動で物品Pを搬送する自動搬送装置2が設けられた自動倉庫100では、物品収納棚1の収納効率を高めるために、基準方向Xにおける収納部13の幅に余裕が少ない設計とすることが多い。そのため、収納部13(対象収納部13T)における物品Pの出し入れが行われる開口部(第1開口部131及び第2開口部132)の基準方向Xの幅も比較的小さくなる傾向にある。従って、作業者Wが搬送車3(特に第1搬送車31)を操作して対象収納部13Tに対して物品Pの出し入れを行う場合に、高精度な操作が要求され、その分、搬送車3が第1開口部131における基準方向Xの両側の柱部材11に接触する可能性が高くなっている。
【0042】
そのため、この物品収納棚1では、作業者Wによって操作される搬送車3又は搬送車3により支持される物品Pが、物品Pの出し入れ作業を行う際に直接的に柱部材11に接触しないように、柱部材11を保護する保護部材15が設けられている。以下、詳細に説明する。
【0043】
なおここでは、図3に示すように、柱部材11における第1開口部131を囲む領域を開口包囲領域11Aとする。開口包囲領域11Aは、柱部材11における上下方向の領域であって、第1開口部131のそれぞれを囲む枠を構成することになる領域(部分)である。本例では、開口包囲領域11Aの上下方向の範囲は、上述の対象収納部13Tの設定高さ領域に対応している。ここでの「設定高さ領域に対応している」とは、開口包囲領域11Aと設定高さ領域とが、上下方向において概ね同じ範囲に設定されていることをいう。また、ここでは、柱部材11における奥行方向手前側Y1の面を開口柱面11Fとする。開口柱面11Fは、作業者用空間A1を向いており、柱部材11における上下方向の全体の範囲に亘って形成されている。
【0044】
〔保護部材〕
図2及び図3に示すように、少なくとも開口包囲領域11Aにおいて開口柱面11Fを奥行方向手前側Y1から覆うように保護部材15が配置されている。
【0045】
図3図5に示すように、保護部材15は、柱部材11に対して連結部材16を介して取り付けられ、開口柱面11Fから奥行方向手前側Y1に離間して配置されている。これにより、図7に示すように、作業者Wが操作する第1搬送車31によって対象収納部13Tに対する物品Pの出し入れが行われる際において、第1搬送車31の移動方向が奥行方向Yに対して傾斜している場合にも、柱部材11よりも先に、保護部材15に対して、第1搬送車31あるいは当該第1搬送車31によって取り出される物品Pが接触することになる。なお、図示の例では、第1搬送車31によって取り出される物品Pが、シャッタレール142を介して保護部材15に接触している様子を示している。このような場合、シャッタレール142は、柱部材11を保護する「保護部材」の一部として考えられる。なお、対象収納部13Tに対してシャッタレール142が設けられない構成とすることもでき、この場合には、第1搬送車31あるいは当該第1搬送車31によって取り出される物品Pが、保護部材15に直接接触することになる。いずれの場合であっても、すなわち、シャッタレール142の有無に関係なく、第1搬送車31あるいは当該第1搬送車31によって取り出される物品Pが柱部材11に対して直接接触する可能性を低減することができる。
【0046】
図3に示すように、本実施形態では、保護部材15は、上下方向の複数箇所において、連結部材16を介して柱部材11に取り付けられている。連結部材16による取付箇所の位置及び数は、保護部材15の支持の安定性と、搬送車3や物品Pが保護部材15に接触した場合における変形のし易さ(柱部材11への衝撃の伝達のし難さ)に応じて設定されると良い。図示の例では、連結部材16による保護部材15の取付箇所は、対象収納部13Tに収納された物品P(パレット)の高さ、すなわち、物品Pの出し入れを行う際の第1搬送車31の移載部311(フォークリフトのフォーク)の高さと重複しない位置とされている。具体的には、連結部材16は、対象収納部13Tに収納された物品Pの高さよりも上方において、上下に分離した2箇所に設けられている。但し、連結部材16による保護部材15の取付箇所は、これに限定されるものではなく、適宜の位置及び数とされてよい。
【0047】
図4及び図5に示すように、保護部材15は、基準方向Xにおける第1開口部131側の端部から奥行方向奥側Y2に向けて突出する側面部152を有している。本実施形態では、保護部材15は、上下方向及び基準方向Xに沿って延びる正面部151を有しており、上述の側面部152は、正面部151の基準方向Xにおける第1開口部131側の端部から突出している。本例では、側面部152は、正面部151の基準方向Xにおける両端部のそれぞれに設けられている。このような保護部材15は、例えば、長手方向に直交する断面が角ばったU字状を成す軽溝形鋼を用いて構成されると好適である。
【0048】
図5に示すように、側面部152は、柱部材11の開口柱面11Fにおける第1開口部131側の端部と同じ位置に配置されている。これにより、柱部材11よりも基準方向Xにおける第1開口部131側において物品Pの出し入れが行われる際に、搬送車3や物品Pが、柱部材11よりも先に側面部152(保護部材15)に接触し易い構成とすることができる。搬送車3や物品Pに対する柱部材11の保護をより確実にするために、側面部152は、柱部材11の開口柱面11Fにおける第1開口部131側の端部よりも第1開口部131側に配置されていてもよい。
【0049】
図4及び図5に示すように、保護部材15は、柱部材11の開口柱面11Fに対向する対向面151Fを有している。対向面151Fは、正面部151における奥行方向奥側Y2を向く面である。対向面151Fと開口柱面11Fとは、奥行方向Yにおいて互いに間隔を空けて配置されている。
【0050】
図3及び図4に示すように、本実施形態では、保護部材15は、側面部152が切り欠かれて形成された側面切欠部152aを有している。図3に示す例では、側面切欠部152aは、側面部152における上下方向の複数箇所(ここでは3箇所)に設けられている。後述するように、側面切欠部152aに対応する位置には、シャッタレール142を柱部材11に連結するためのレール連結部材17が配置される。
【0051】
また、保護部材15は、図3に示すように、作業表示灯98や非常停止ボタン99を配置するための正面孔部151aを有していてもよい。例えば作業表示灯98は、作業者用空間A1や搬送装置用空間A2での作業状況を表示するように構成されており、柱部材11に取り付けられる。また、例えば非常停止ボタン99は、非常時に作業者W等が自動搬送装置2等の動作を停止させるための操作部として構成されており、柱部材11に取り付けられる。正面孔部151aは、保護部材15の正面部151を奥行方向Yに貫通するように形成される。柱部材11に取り付けられる作業表示灯98および非常停止ボタン99のそれぞれは、一部が正面孔部151aから奥行方向手前側Y1に突出するように配置される。但し、上記のような構成に限定されることなく、保護部材15は、正面孔部151aを有しない構成であってもよい。
【0052】
〔連結部材〕
連結部材16は、保護部材15と柱部材11とを連結する部材である。本実施形態では、連結部材16は、板状の部材を屈曲形成することにより構成されている。連結部材16は、保護部材15と柱部材11との間に配置されている。より詳しくは、図5に示すように、連結部材16は、対向面151Fと開口柱面111と一対の側面部152とによって囲まれた空間に配置されている。これにより、作業者Wが作業中に連結部材16と接触することを抑制できる。また、連結部材16が保護部材15によって隠れるため、物品収納棚1の見栄えが損なわれることもない。
【0053】
図4及び図5に示すように、本実施形態では、連結部材16は、奥行方向Yに沿って延在する本体部160と、本体部160における奥行方向奥側Y2の端部から開口柱面11Fに沿って延在すると共に当該開口柱面11Fに連結される第1連結部161と、本体部160における奥行方向手前側Y1の端部から対向面151Fに沿って延在すると共に当該対向面151Fに連結される第2連結部162と、を有している。
【0054】
図示の例では、本体部160は、水平方向に沿う平板状に形成されている。第1連結部161は、本体部160から下方に延在している。ここでは、第1連結部161は、本体部160から屈曲されて形成され、奥行方向Yを向く面を有する平板状とされている。第2連結部162は、本体部160から上方に延在している。ここでは、第2連結部162は、本体部160から屈曲されて形成され、奥行方向Yを向く面を有する平板状とされている。第1連結部161には、当該第1連結部161を奥行方向Yに貫通する貫通孔が設けられている。この貫通孔と柱部材11の開口柱面11Fを奥行方向Yに貫通する貫通孔とに挿通された締結部材によって、第1連結部161(連結部材16)と開口柱面11F(柱部材11)とが締結される。また、第2連結部162には、当該第2連結部162を奥行方向Yに貫通する貫通孔が設けられている。この貫通孔と保護部材15の対向面151Fを奥行方向Yに貫通する貫通孔とに挿通された締結部材によって、第2連結部162(連結部材16)と対向面151F(保護部材15)とが締結される。このようにして、保護部材15と柱部材11とが、互いに連結される。
【0055】
以上のように構成される保護部材15及び連結部材16は、これらの少なくとも一方が、柱部材11よりも強度が低くなるように構成されていると好適である。これは、例えば、保護部材15及び連結部材16の材質や形状(例えば板厚や屈曲部の位置)等を適切に設定することで実現できる。これにより、保護部材15及び連結部材16の剛性を適切に設定でき、搬送車3や物品Pが接触した際の衝撃を保護部材15及び連結部材16の弾性変形や塑性変形によって適切に吸収することが可能となる。従って、搬送車3や物品Pが接触した際に柱部材11に伝達される衝撃及びそれによる柱部材11の損傷等を効果的に抑制することができる。
【0056】
〔レール連結部材〕
レール連結部材17は、シャッタレール142を柱部材11に取り付けるための部材である。図4及び図6に示すように、レール連結部材17は、板状の部材を屈曲形成することにより構成されている。上述のように、レール連結部材17は、保護部材15の側面部152に形成された側面切欠部152aに対応する位置に配置される。詳細な図示は省略するが、レール連結部材17を貫通する貫通孔とシャッタレール142を貫通する貫通孔とを挿通する締結部材によって、レール連結部材17とシャッタレール142とが締結される。また、レール連結部材17を貫通する貫通孔と開口柱面11F(柱部材11)を貫通する貫通孔とを挿通する締結部材によって、レール連結部材17と開口柱面11F(柱部材11)とが締結される。このようにして、シャッタレール142と柱部材11とが、互いに連結される。
【0057】
〔作業者用空間における物品の出し入れ〕
次に、作業者用空間A1における物品Pの出し入れについて図6及び図7を参照して説明する。上述のように、作業者用空間A1においては、作業者Wに操作される搬送車3(図1参照)によって対象収納部13Tとの間で物品Pの出し入れが行われる。図6及び図7には、フォークリフトとして構成される第1搬送車31によって対象収納部13Tから物品Pを取り出す様子を例示している。
【0058】
図6は、作業者Wによって第1搬送車31の適切な操作がなされて、対象収納部13Tから物品Pが取り出される様子を例示している。すなわち、第1搬送車31の移載部311によって物品Pを支持した状態で、物品Pが対象収納部13Tから完全に取り出されるまで、第1搬送車31を奥行方向Yに沿って真っすぐ後退させている。このような適切な操作によれば、第1搬送車31の移載部311及びそれにより支持されている物品Pは、物品Pが対象収納部13Tから完全に取り出されるまでどこにも接触することはない。
【0059】
図7は、作業者Wによって第1搬送車31の操作が適切になされず、対象収納部13Tから物品Pが取り出される際に物品Pが保護部材15等に接触している様子を例示している。すなわち、物品Pが対象収納部13Tから完全に取り出される前に、第1搬送車31を奥行方向Yに対して傾ける不適切な操作が行われている。このような操作が行われた場合、対象収納部13Tを囲む4つの柱部材11のうち奥行方向手前側Y1に配置された一対の柱部材11のいずれかに、第1搬送車31又は物品Pが接触する可能性がある。しかしながら本実施形態によれば、開口柱面11Fを奥行方向手前側Y1から覆うと共に柱部材11の開口柱面11Fから奥行方向手前側Y1に離間して保護部材15が配置されているため(図4及び図5参照)、柱部材11よりも先に、保護部材15に対して物品Pが接触することになる。図示の例では、保護部材15よりも基準方向Xにおける第1開口部131側(内側)に、シャッタレール142が設けられているため、物品Pはシャッタレール142を介して保護部材15に接触している。このような構成により、柱部材11に対して直接的に第1搬送車31又は物品P(本例では物品P)が接触することがなくなり、接触によって柱部材11が損傷する可能性を低減できる。
【0060】
上述したように保護部材15及び連結部材16の強度を低くすることに加えて、シャッタレール142及びレール連結部材17も、柱部材11よりも強度が低くなるように構成されていると好適である。これにより、搬送車3や物品Pが接触した際の衝撃を、シャッタレール142及びレール連結部材17の弾性変形や塑性変形によっても吸収することが可能となる。従って、搬送車3や物品Pが接触した際に柱部材11に伝達される衝撃及びそれによる柱部材11の損傷等を効果的に抑制することができる。
【0061】
なお、保護部材15は、作業者用空間A1で作業する作業者Wにとって注意を惹き易い色や模様が付されていると好適である。これによれば、作業者Wに対して注意喚起することができ、保護部材15に対して搬送車3や物品Pが接触しないような適切な操作を促すことができる。例えば、保護部材15は、赤色、橙色、黄色、又はその他の蛍光色や、これらを組み合わせた色に着色することができる。なお、本実施形態で説明したように、保護部材15の内側にシャッタレール142が設けられる場合には、シャッタレール142についても上記のように着色してもよい。
【0062】
2.その他の実施形態
次に、物品収納棚及び自動倉庫のその他の実施形態について説明する。
【0063】
(1)上記の実施形態では、保護部材15が、側面部152を有している例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、保護部材15は、側面部152を有さない構成であってもよく、例えば、保護部材15が正面部151のみを備えた形状とされていてもよい。或いは、保護部材15が上下方向視で三角形状の断面を有するような形状とされていてもよい。
【0064】
(2)上記の実施形態では、連結部材16が、本体部160と第1連結部161と第2連結部162とを有している例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、連結部材16は、保護部材15と柱部材11とを連結可能に構成されていればよく、具体的な形状等、細部の構成は適宜変更することができる。
【0065】
(3)上記の実施形態では、連結部材16が、対向面151Fと開口柱面111と一対の側面部152とによって囲まれた空間に配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、連結部材16の配置位置は適宜変更することができる。例えば連結部材16は、奥行方向Y視で保護部材15よりも外側に配置されて、保護部材15と柱部材11とを連結するように構成されていてもよい。
【0066】
(4)上記の実施形態では、物品収納棚1が、収納部13に対して自動で物品Pを搬送する自動搬送装置2が設けられた自動倉庫100に適用される例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、物品収納棚1は、上記のような自動搬送装置2が設けられていない倉庫に適用されてもよいし、別の製造設備等における収納棚に適用されてもよい。
【0067】
(5)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0068】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した物品収納棚及び自動倉庫について説明する。
【0069】
本開示に係る物品収納棚は、
基準方向に沿って設定間隔を空けて並んで配置された複数の柱部材と、物品が収納される収納部と、を備えた物品収納棚であって、
前記基準方向に直交する方向を奥行方向とし、前記奥行方向における一方側を奥行方向手前側、前記奥行方向における他方側を奥行方向奥側として、
前記収納部は、前記基準方向に隣り合う一対の前記柱部材の間に固定されて物品を支持する支持部と、前記支持部に対して前記奥行方向手前側に開口し、前記支持部に対する物品の出し入れが行われる開口部と、を有し、
前記柱部材における前記奥行方向手前側の面を開口柱面とし、前記柱部材における前記開口部を囲む領域を開口包囲領域として、
少なくとも前記開口包囲領域において前記開口柱面を前記奥行方向手前側から覆うように保護部材が配置され、
前記保護部材は、前記柱部材に対して連結部材を介して取り付けられ、前記保護部材における前記奥行方向奥側の端部が、前記開口柱面から前記奥行方向手前側に離間して配置されている。
【0070】
本構成によれば、保護部材が、柱部材の開口柱面よりも奥行方向手前側に配置されているため、例えばフォークリフト等の、作業者が操作する搬送車によって収納部に対する物品の出し入れが行われる際において、搬送車の移動方向が奥行方向に対して傾斜している場合にも、柱部材よりも先に、保護部材に対して、搬送車あるいは当該搬送車によって取り出される物品(搬送車等)が接触することになる。従って、搬送車等が柱部材に直接的に接触する可能性を低減することができる。またこの際、保護部材は、連結部材を介して柱部材に対して離間して取り付けられているため、搬送車等が接触したことによる衝撃や荷重は、保護部材及び連結部材の弾性変形や塑性変形によってある程度吸収することができる。従って、柱部材が損傷する可能性を低減することができる。更に、保護部材や連結部材は柱部材に取り付けられたものであり、柱部材のように物品収納棚を支持する主要部材ではないため、柱部材に比べて交換作業が容易であると共に交換のために要するコストも低い。従って本構成によれば、作業者が操作する搬送車等が柱部材に接触する可能性を低減でき、メンテナンス性も向上させることができる。
【0071】
ここで、
前記保護部材は、上下方向及び前記基準方向に沿って延びる正面部と、前記基準方向における前記開口部側の端部から前記奥行方向奥側に向けて突出する側面部と、を有し、
前記正面部と前記連結部材とを前記奥行方向に貫通するように、締結部材が配置されていると好適である。
【0072】
また
記側面部は、前記開口柱面における前記開口部側の端部と同じ位置又は当該開口柱面における前記開口部側の端部よりも前記開口部側に配置されていると好適である。
【0073】
本構成によれば、作業者が操作する搬送車の移動方向が奥行方向に対して傾斜している場合にも、柱部材よりも先に、保護部材の側面部に対して搬送車等が接触することになる。従って本構成によれば、搬送車等が柱部材に直接的に接触する可能性を更に低減することができる。
【0074】
本開示に係る他の物品収納棚は、
基準方向に沿って設定間隔を空けて並んで配置された複数の柱部材と、物品が収納される収納部と、を備えた物品収納棚であって、
前記基準方向に直交する方向を奥行方向とし、前記奥行方向における一方側を奥行方向手前側、前記奥行方向における他方側を奥行方向奥側として、
前記収納部は、前記基準方向に隣り合う一対の前記柱部材の間に固定されて物品を支持する支持部と、前記支持部に対して前記奥行方向手前側に開口し、前記支持部に対する物品の出し入れが行われる開口部と、を有し、
前記柱部材における前記奥行方向手前側の面を開口柱面とし、前記柱部材における前記開口部を囲む領域を開口包囲領域として、
少なくとも前記開口包囲領域において前記開口柱面を前記奥行方向手前側から覆うように保護部材が配置され、
前記保護部材は、前記柱部材に対して連結部材を介して取り付けられ、前記開口柱面から前記奥行方向手前側に離間して配置され
前記保護部材は、前記開口柱面に対向する対向面を有し、
前記連結部材は、前記奥行方向に沿って延在する本体部と、前記本体部における前記奥行方向奥側の端部から前記開口柱面に沿って延在すると共に当該開口柱面に連結される第1連結部と、前記本体部における前記奥行方向手前側の端部から前記対向面に沿って延在すると共に当該対向面に連結される第2連結部と、を有している
【0075】
本構成によれば、保護部材が、柱部材の開口柱面よりも奥行方向手前側に配置されているため、例えばフォークリフト等の、作業者が操作する搬送車によって収納部に対する物品の出し入れが行われる際において、搬送車の移動方向が奥行方向に対して傾斜している場合にも、柱部材よりも先に、保護部材に対して、搬送車あるいは当該搬送車によって取り出される物品(搬送車等)が接触することになる。従って、搬送車等が柱部材に直接的に接触する可能性を低減することができる。またこの際、保護部材は、連結部材を介して柱部材に対して離間して取り付けられているため、搬送車等が接触したことによる衝撃や荷重は、保護部材及び連結部材の弾性変形や塑性変形によってある程度吸収することができる。従って、柱部材が損傷する可能性を低減することができる。更に、保護部材や連結部材は柱部材に取り付けられたものであり、柱部材のように物品収納棚を支持する主要部材ではないため、柱部材に比べて交換作業が容易であると共に交換のために要するコストも低い。従って本構成によれば、作業者が操作する搬送車等が柱部材に接触する可能性を低減でき、メンテナンス性も向上させることができる。
また、本構成によれば、連結部材を用いて、柱部材に対して保護部材を適切に取り付けることができる。また、連結部材の本体部が奥行方向に沿って延在しているため、柱部材の開口柱面よりも奥行方向手前側に適切に離間させて保護部材を配置することができる。
【0076】
本開示に係る自動倉庫は、
上記各構成の物品収納棚のいずれかを備えた自動倉庫であって、前記開口部を第1開口部として、前記収納部は、前記支持部に対して前記奥行方向奥側に開口し、前記支持部に対する物品の出し入れが行われる第2開口部を更に有し、前記物品収納棚に対して前記奥行方向奥側において前記基準方向に沿って走行する走行部と、当該走行部に搭載され、前記第2開口部を介して、前記支持部に対して前記奥行方向奥側から物品の出し入れを行う移載装置と、を有する自動搬送装置を備え、前記第1開口部を介した物品の出し入れが、作業者により操作される搬送車によって行われる場合がある。
【0077】
通常、収納部に対して自動で物品を搬送する自動搬送装置が設けられた自動倉庫では、自動搬送装置の設置コストを抑えるために、物品収納棚のサイズを小さく抑えることが求められる。そこで、物品収納棚の収納効率を高めるために、基準方向における収納部の幅に余裕が少ない設計とすることが多い。そのため、収納部における物品の出し入れが行われる開口部の基準方向の幅も比較的小さくなる傾向にある。従って、作業者が搬送車を操作して収納部に対して物品の出し入れを行う場合に、高精度な操作が要求され、その分、当該搬送車等が開口部の両側の柱部材に接触する可能性が高くなる。本構成によれば、このような場合にも、柱部材よりも先に、保護部材に対して搬送車等が接触することになるため好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本開示に係る技術は、基準方向に沿って設定間隔を空けて並んで配置された複数の柱部材と、物品が収納される収納部と、を備えた物品収納棚、及び、そのような物品収納棚を備えた自動倉庫に利用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 :物品収納棚
2 :自動搬送装置
3 :搬送車
11 :柱部材
11A :開口包囲領域
11F :開口柱面
13T :対象収納部(収納部)
15 :保護部材
16 :連結部材
21 :走行部
24 :移載装置
100 :自動倉庫
111 :開口柱面
131 :第1開口部(開口部)
132 :第2開口部
133 :支持部
151F :対向面
160 :本体部
161 :第1連結部
162 :第2連結部
P :物品
W :作業者
X :基準方向
Y :奥行方向
Y1 :奥行方向手前側
Y2 :奥行方向奥側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7