(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】ターボチャージャ
(51)【国際特許分類】
F02B 37/24 20060101AFI20220517BHJP
F02B 39/00 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
F02B37/24
F02B39/00 D
(21)【出願番号】P 2019015121
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2021-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 一輝
(72)【発明者】
【氏名】樹杉 剛
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-063945(JP,A)
【文献】特開2006-177318(JP,A)
【文献】特開2018-048633(JP,A)
【文献】特開2017-067033(JP,A)
【文献】国際公開第2016/159004(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/24 , 39/00
F01D 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンホイールを収容するタービンハウジングと、
前記タービンハウジングに接続されており、前記タービンホイールに接続されたシャフトと前記シャフトを受けるベアリングとを収容するベアリングハウジングと、
前記タービンハウジング内に配置されており、排ガスの排気流路の流路面積の大きさを調整可能な可変ノズルユニットと、
前記可変ノズルユニットを付勢する付勢部材と、を備え、
前記可変ノズルユニットは、
円環状に形成された第1プレートと、
前記第1プレートよりも前記ベアリングハウジングに近い位置でかつ前記第1プレートと対向する位置に配置されており、円環状に形成された第2プレートであって、前記第1プレートとの間に前記排気流路を形成する前記第2プレートと、
前記第1プレートおよび前記第2プレート間に前記第1プレートの周方向に沿って互いに間隔を置いて配置されており、前記排気流路の流路面積の大きさを変更するように姿勢を変更することが可能な複数のノズルベーンと、
前記第2プレートのうち前記第2プレートの周方向に沿って互いに間隔を置いた部位に接続されており、前記第2プレートから前記ベアリングハウジングに向かって突出する形状を有する複数の突出部と、を有し、
前記付勢部材は、
前記可変ノズルユニットと前記タービンハウジングとの間に配置されており、前記複数の突出部が前記ベアリングハウジングに押し付けられるように前記可変ノズルユニットを前記ベアリングハウジングに向けて付勢する第1付勢部と、
前記ベアリングハウジングと前記複数の突出部の各突出部との間に配置されており、前記第1付勢部の付勢方向と反対方向に各前記突出部を付勢する第2付勢部と、を有
し、
前記複数のノズルベーンの各ノズルベーンは、
前記第1プレートおよび前記第2プレートに対して相対回転可能となるように前記第1プレートおよび前記第2プレートに保持されており、前記第1プレートから前記第2プレートに向かう向きに沿って前記第2プレートから突出する突部を有する回転軸部と、
前記第1プレートおよび前記第2プレート間に配置されており、前記回転軸部の中心軸周りに前記回転軸部とともに回転するように前記回転軸部に接続されており、前記排気流路の流路面積の大きさを変更可能なベーンと、を有し、
前記可変ノズルユニットは、
前記複数の回転軸部の各回転軸部の前記突部に接続されており、各前記回転軸部をその中心軸周りに回転させる複数のベーンアームと、
前記第2プレートに対して前記第2プレートの中心軸周りに相対回転可能となるように前記第2プレートに支持されており、前記第2プレートに対する相対回転に合わせて前記複数のベーンアームの各ベーンアームを各前記回転軸部周りに回転させるユニゾンリングと、をさらに有し、
各前記突出部は、前記ユニゾンリングの径方向に前記ユニゾンリングに接触する位置において、前記第2プレートに対して相対回転可能となるように前記第2プレートに接続されており、前記ユニゾンリングの回転時に前記第2プレートに対して相対回転しながら前記ユニゾンリングの回転を案内する、ターボチャージャ。
【請求項2】
前記タービンハウジングと前記ベアリングハウジングとの間に配置されており、前記タービンハウジングと前記ベアリングハウジングとの間をシールするガスケットをさらに備え、
前記ガスケットは、前記第2付勢部を有する、請求項
1に記載のターボチャージャ。
【請求項3】
前記第2付勢部の付勢力は、前記第1付勢部の付勢力よりも小さい、請求項1
又は2に記載のターボチャージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ターボチャージャに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンに搭載される従来のターボチャージャとして、例えば、特許文献1に示されるターボチャージャが知られている。
特許文献1のターボチャージャは、タービンハウジング内のタービンスクロール流路とタービンホイールとの間に配設されるとともに、タービンホイールへ流入する排ガスの流路面積を変化させる、可変ノズルユニットを備えている。
【0003】
この可変ノズルユニットは、シュラウドプレートと、ノズルプレートと、シュラウドプレートとノズルプレートの間に配置された複数の可変ノズルと、各可変ノズルの姿勢を変更するリンク機構と、を有している。ノズルプレートは、シュラウドプレートよりもベアリングハウジングに近い位置に配置されており、ノズルプレートのベアリングハウジング側対向面には、ベアリングハウジングに向かって突出する複数の突部が設けられている。
【0004】
また、タービンハウジングとシュラウドプレートとの間には、皿バネが配置されており、皿バネは、ノズルプレートの各突部がベアリングハウジングに押し付けられるようにシュラウドプレートをベアリングハウジングに向けて付勢している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されるターボチャージャでは、突部を含むノズルプレートの公差や、シュラウドプレートの公差等の影響により、シュラウドプレートの表面から各突部の端面までの寸法にバラツキが生じ得る。そうすると、ターボチャージャの運転中にノズルプレートに振動が生じ、これにより各プレートと可変ノズルとが干渉する懸念がある。
【0007】
本発明の目的は、各プレートとノズルベーンとの干渉を抑制可能なターボチャージャを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に従ったターボチャージャは、タービンホイールを収容するタービンハウジングと、前記タービンハウジングに接続されており、前記タービンホイールに接続されたシャフトと前記シャフトを受けるベアリングとを収容するベアリングハウジングと、前記タービンハウジング内に配置されており、排ガスの排気流路の流路面積の大きさを調整可能な可変ノズルユニットと、前記可変ノズルユニットを付勢する付勢部材と、を備える。前記可変ノズルユニットは、円環状に形成された第1プレートと、前記第1プレートよりも前記ベアリングハウジングに近い位置でかつ前記第1プレートと対向する位置に配置されており、円環状に形成された第2プレートであって、前記第1プレートとの間に前記排気流路を形成する前記第2プレートと、前記第1プレートおよび前記第2プレート間に前記第1プレートの周方向に沿って互いに間隔を置いて配置されており、前記排気流路の流路面積の大きさを変更するように姿勢を変更することが可能な複数のノズルベーンと、前記第2プレートのうち前記第2プレートの周方向に沿って互いに間隔を置いた部位に接続されており、前記第2プレートから前記ベアリングハウジングに向かって突出する形状を有する複数の突出部と、を有する。前記付勢部材は、前記可変ノズルユニットと前記タービンハウジングとの間に配置されており、前記複数の突出部が前記ベアリングハウジングに押し付けられるように前記可変ノズルユニットを前記ベアリングハウジングに向けて付勢する第1付勢部と、前記ベアリングハウジングと前記複数の突出部の各突出部との間に配置されており、前記第1付勢部の付勢方向と反対方向に各前記突出部を付勢する第2付勢部と、を有する。
【0009】
本ターボチャージャでは、第1付勢部の付勢方向と反対方向に突出部を付勢する第2付勢部を備えているため、第1プレートや第2プレートの公差に起因して第1プレートの表面から突出部の端面までの寸法にバラツキが生じた場合においても、ベアリングハウジングおよび突出部の端面間への隙間の発生が抑制される。よって、ターボチャージャの運転中における第2プレートの振動が抑制されるため、各プレートと各ノズルベーンとの干渉が抑制される。
【0010】
また、前記複数のノズルベーンの各ノズルベーンは、前記第1プレートおよび前記第2プレートに対して相対回転可能となるように前記第1プレートおよび前記第2プレートに保持されており、前記第1プレートから前記第2プレートに向かう向きに沿って前記第2プレートから突出する突部を有する回転軸部と、前記第1プレートおよび前記第2プレート間に配置されており、前記回転軸部の中心軸周りに前記回転軸部とともに回転するように前記回転軸部に接続されており、前記排気流路の流路面積の大きさを変更可能なベーンと、を有し、前記可変ノズルユニットは、前記複数の回転軸部の各回転軸部の前記突部に接続されており、各前記回転軸部をその中心軸周りに回転させる複数のベーンアームと、前記第2プレートに対して前記第2プレートの中心軸周りに相対回転可能となるように前記第2プレートに支持されており、前記第2プレートに対する相対回転に合わせて前記複数のベーンアームの各ベーンアームを各前記回転軸部周りに回転させるユニゾンリングと、をさらに有していてもよい。この場合において、各前記突出部は、前記ユニゾンリングの径方向に前記ユニゾンリングに接触する位置において、前記第2プレートに対して相対回転可能となるように前記第2プレートに接続されており、前記ユニゾンリングの回転時に前記第2プレートに対して相対回転しながら前記ユニゾンリングの回転を案内することが好ましい。
【0011】
このようにすれば、第1付勢部の付勢力に抗するように第2プレートを支持することと、ユニゾンリングの回転を案内することと、が単一の部材(突出部)で行われるため、部品点数が削減される。
【0012】
また、前記ターボチャージャは、前記タービンハウジングと前記ベアリングハウジングとの間に配置されており、前記タービンハウジングと前記ベアリングハウジングとの間をシールするガスケットをさらに備えていてもよい。この場合において、前記ガスケットは、前記第2付勢部を有することが好ましい。
【0013】
このようにすれば、ガスケットと第2付勢部とが一体で構成されるため、換言すれば、タービンハウジングとベアリングハウジングとの間からの排ガスの漏れの抑制と、第1付勢部の付勢方向と反対方向に当接部を付勢することと、が単一の部材(ガスケット)で行われるため、部品点数が削減される。
【0014】
また、前記第2付勢部の付勢力は、前記第1付勢部の付勢力よりも小さいことが好ましい。
【0015】
このようにすれば、可変ノズルユニットがベアリングハウジングに向けて押し付けられた状態で安定的に保持される。
【発明の効果】
【0016】
以上に説明したように、この発明によれば、各プレートとノズルベーンとの干渉を抑制可能なターボチャージャを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態のターボチャージャの構成を概略的に示す断面図である。
【
図2】
図1に示されるターボチャージャの可変ノズルユニットの斜視図である。
【
図3】
図1中の実線IIIで囲まれた範囲の拡大図である。
【
図5】
図4中の実線Vで囲まれた範囲の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態のターボチャージャの構成を概略的に示す断面図である。
図1に示されるように、ターボチャージャ1は、コンプレッサインペラ10と、コンプレッサハウジング12と、タービンホイール20と、タービンハウジング22と、シャフト30と、ベアリング31と、ベアリングハウジング32と、可変ノズルユニット100と、付勢部材200と、ガスケット300と、を有している。このターボチャージャ1は、自動車等の車両に搭載されるエンジン(図示略)に設けられる。
【0020】
タービンハウジング22には、エンジンから排出される排ガスが流入する。タービンハウジング22は、タービンホイール20の周囲を取り囲むスクロール室S1と、タービンホイール20よりも排気流れの下流側に設けられた筒状の吐出通路S2と、を有する。エンジンから排出された排ガスは、スクロール室S1を経由して吐出通路S2に導入される。
【0021】
タービンホイール20は、タービンハウジング22に収容されており、排ガスのエネルギーを受けて回転する。タービンホイール20によってそのエネルギーを回収された後の排ガスは、吐出通路S2を介して、排気浄化触媒やDPFなどの排気浄化装置が設けられたエンジンの排気通路に吐出される。
【0022】
シャフト30は、その一端がタービンホイール20に連結されている。ベアリング31は、シャフト30を回転可能に支持している。
【0023】
ベアリングハウジング32は、ベアリング31を収容しており、タービンハウジング22に接続されている。
【0024】
コンプレッサインペラ10は、シャフト30の他端に連結されている。このため、タービンホイール20の回転駆動力がコンプレッサインペラ10に伝達される。コンプレッサインペラ10が回転することにより圧縮された大気等の吸気ガスは、エンジンに供給される。
【0025】
コンプレッサハウジング12は、コンプレッサインペラ10を収容している。コンプレッサハウジング12は、ベアリングハウジング32における、タービンハウジング22と反対側の端部に取り付けられている。
【0026】
可変ノズルユニット100は、タービンハウジング22内に配置されている。可変ノズルユニット100は、排ガスの排気流路の流路面積の大きさを調整可能である。
図2は、
図1に示されるターボチャージャの可変ノズルユニットの斜視図である。
図3は、
図1中の実線IIIで囲まれた範囲の拡大図である。
図1~
図3に示されるように、可変ノズルユニット100は、第1プレート110と、第2プレート120と、複数のスペーサ130と、複数のノズルベーン140と、複数のベーンアーム160と、ユニゾンリング170と、複数の(本実施形態では5つの)突出部180と、を有している。
【0027】
第1プレート110は、円環状に形成されている。第1プレート110は、その中心がシャフト30の中心軸と一致する姿勢でタービンハウジング22内に配置されている。本実施形態では、
図3に示されるように、第1プレート110にシュラウド112が一体的に設けられている。ただし、シュラウド112は、第1プレート110とは別の部材で構成されてもよい。
【0028】
第2プレート120は、円環状に形成されている。第2プレート120は、第1プレート110よりもベアリングハウジング32に近い位置で、かつ、第1プレート110と対向する位置に配置されている。第2プレート120は、その中心がシャフト30の中心軸と一致する姿勢でタービンハウジング22内に配置されている。第2プレート120は、第1プレート110と当該第2プレート120との間に排気流路を形成している。
図3に示されるように、第2プレート120とベアリングハウジング32との間には、Oリング等のシール部材125が設けられている。第2プレート120は、複数の凹部120bを有している。
【0029】
各凹部120bは、第2プレート120のうち第1プレート110と対向する対向面(
図3の右側の面)の反対側の反対面(
図3の左側の面)から対向面に向かって窪む形状を有している。
【0030】
各スペーサ130は、第1プレート110と第2プレート120との間隔を規定する部材である。
スペーサ130は、第1プレート110と第2プレート120との間に配置されている。
【0031】
各ノズルベーン140は、第1プレート110および第2プレート120間に第1プレート110の周方向に沿って互いに間隔を置いて配置されており、排気流路の流路面積の大きさを変更するように姿勢を変更することが可能である。各ノズルベーン140は、回転軸部142と、ベーン144と、を有している。
【0032】
各回転軸部142は、第1プレート110および第2プレート120に対して相対回転可能となるように第1プレート110および第2プレート120に保持されている。各回転軸部142は、第1プレート110から第2プレート120に向かう向きに沿って第2プレート120から突出する突部143を有している。
【0033】
各ベーン144は、第1プレート110および第2プレート120間に配置されている。各ベーン144は、排気流路の流路面積の大きさを変更するように姿勢を変更することが可能である。具体的に、各ベーン144は、各回転軸部142の中心軸周りに当該回転軸部142とともに回転するように回転軸部142に接続されている。
【0034】
各ベーンアーム160は、各突部143に接続(たとえば溶接)されている。各ベーンアーム160は、各回転軸部142をその中心軸周りに回転させる。
【0035】
ユニゾンリング170は、全てのベーンアーム160を同時に各回転軸部142周りに回転させる部材である。ユニゾンリング170は、第2プレート120に対して第2プレート120の中心軸周りに相対回転可能となるように第2プレート120に支持されている。
図3に示されるように、ユニゾンリング170には、各ベーンアーム160が係合している。このため、第2プレート120に対してユニゾンリング170が相対回転することにより、各回転軸部142の回転中心軸周りに各ベーンアーム160と回転軸部142とが一体的に回転する。これにより、各ベーン144の姿勢が変更されるため、排気流路の流路面積の大きさが変更される。すなわち、各ベーンアーム160およびユニゾンリング170は、各ノズルベーン150の姿勢を変更する機構を構成している。
【0036】
各突出部180は、第2プレート120のうち当該第2プレート120の周方向に沿って互いに間隔を置いた部位に接続されており、第2プレート120からベアリングハウジング32に向かって突出する形状を有している。本実施形態では、各突出部180は、第2プレート120とは別の部材で構成されており、凹部120bに挿入されている。各突出部180は、ユニゾンリング170の径方向においてユニゾンリング170に接触する位置において、第2プレート120に対して相対回転可能となるように第2プレート120に接続されている。各突出部180は、ユニゾンリング170の回転時に、第2プレート120に対して相対回転しながらユニゾンリング170の回転を案内する。本実施形態では、各突出部180は、ユニゾンリング170の内周部に接触するように配置されている。
図3に示されるように、各突出部180は、接触部182と、被接続部184と、支持部186と、を有している。
【0037】
接触部182は、ユニゾンリング170の内周部に接触する部位である。接触部182は、円柱状に形成されている。接触部182の外周面は、ユニゾンリング170に接触しながらユニゾンリング170の回転を案内する。
【0038】
被接続部184は、第2プレート120に接続される部位である。被接続部184は、接触部182の一端部(
図3の右側の端部)から当該接触部182の軸方向に沿って第2プレート120に向かって突出する形状を有している。被接続部184は、円柱状に形成されている。被接続部184は、凹部120bに挿入されている。被接続部184は、凹部120b内において当該被接続部184の軸周りに回転可能である。
【0039】
支持部186は、第2プレート120を支持する部位である。支持部186は、接触部182の他端部(
図3の左側の端部)から当該接触部182の軸方向に沿ってベアリングハウジング32に向かって突出する形状を有している。支持部186は、円柱状に形成されている。支持部186の外径は、接触部182の外径よりも大きい。支持部186の一部は、接触部182の軸方向にユニゾンリング170と重なっている。支持部186の端面187は、平坦に形成されている。
【0040】
付勢部材200は、可変ノズルユニット100を付勢する部材である。付勢部材200は、第1付勢部210と、第2付勢部220と、を有している。
【0041】
第1付勢部210は、可変ノズルユニット100とタービンハウジング22との間に配置されている。第1付勢部210は、各突出部180がベアリングハウジング32に押し付けられるように可変ノズルユニット100をベアリングハウジング32に向けて付勢している。第1付勢部210は、皿バネで構成されている。第1付勢部210は、第1プレート110のうちスペーサ130の軸方向にスペーサ130と重なる部位、または、前記部位よりも第1プレート110の径方向における外側の部位をベアリングハウジング32に向けて付勢している。
【0042】
図3に示されるように、第2付勢部220は、ベアリングハウジング32と各突出部180の端面187との間に配置されている。第2付勢部220は、複数の(本実施形態では5つの)第2付勢片221を有している。各第2付勢片221は、板バネで構成されている。各第2付勢片221は、第1付勢部210の付勢方向と反対方向に突出部180を付勢している。第2付勢部220の付勢力(5つの第2付勢片221の各付勢力の合計)は、第1付勢部210の付勢力よりも小さい。
【0043】
ガスケット300は、タービンハウジング22とベアリングハウジング32との間に配置されている。ガスケット300は、タービンハウジング22とベアリングハウジング32との間をシールして、両ハウジングの締結面からの排ガスの漏れを抑制する。
図4は、ガスケットの平面図である。
図5は、
図4中の実線Vで囲まれた範囲の拡大斜視図である。
図4に示されるように、ガスケット300は、円環状に形成されている。
【0044】
本実施形態では、
図4および
図5に示されるように、ガスケット300に第2付勢部220が設けられている。換言すれば、第2付勢部220は、ガスケット300の一部により構成されている。ガスケット300は、ガスケット本体310と、第2付勢部220と、を有している。ガスケット本体310は、平板状に形成されている。
図3および
図5に示されるように、第2付勢部220の各第2付勢片221は、ガスケット本体310から突出部180に向かって立ち上がる形状を有している。すなわち、各第2付勢片221は、ガスケット本体310に片持ち支持された板バネで構成されている。各第2付勢片221は、たとえばガスケット本体310をプレス加工することにより形成される。なお、第2付勢片221の形状は、上記の例に限られない。
【0045】
以上に説明したように、本実施形態のターボチャージャ1では、第1付勢部210の付勢方向と反対方向に各突出部180を付勢する第2付勢部220を備えているため、第1プレート110や第2プレート120やスペーサ130の公差に起因して第1プレート110の表面(
図3の右側の表面)から各突出部180の端面187までの寸法にバラツキが生じた場合においても、ベアリングハウジング32および端面187間での隙間の発生が抑制される。よって、ターボチャージャ1の運転中における第2プレート120の振動が抑制されるため、各プレート110,120と各ノズルベーン140との干渉が抑制される。
【0046】
また、本実施形態では、ガスケット300に第2付勢部220が設けられているため、タービンハウジング22とベアリングハウジング32との間からの排ガスの漏れの抑制と、第1付勢部210の付勢方向と反対方向に突出部180を付勢することと、が単一の部材(ガスケット300)で行われる。よって、部品点数が削減される。
【0047】
また、本実施形態では、各突出部180は、ユニゾンリング170の回転時に、第2プレート120に対して相対回転しながらユニゾンリング170の回転を案内する。このため、第1付勢部210の付勢力に抗するように第2プレート120を支持することと、ユニゾンリング170の回転を案内することと、が単一の部材(突出部180)で行われる。よって、部品点数が削減される。
【0048】
また、本実施形態では、第2付勢部220の付勢力が第1付勢部210の付勢力よりも小さいため、可変ノズルユニット100がベアリングハウジング32に向けて押し付けられた状態で安定的に保持される。
【0049】
なお、上記実施形態において、第1付勢部210と第2付勢部220との配置は、逆であってもよい。
【0050】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1 ターボチャージャ、10 コンプレッサインペラ、12 コンプレッサハウジング、20 タービンホイール、22 タービンハウジング、30 シャフト、31 ベアリング、32 ベアリングハウジング、100 可変ノズルユニット、110 第1プレート、110h 貫通孔、120 第2プレート、120b 凹部、125 シール部材、130 スペーサ、140 ノズルベーン、142 回転軸部、143 突部、144 ベーン、160 ベーンアーム、170 ユニゾンリング、180 突出部、182 接触部、184 被接続部、186 支持部、187 端面、200 付勢部材、210 第1付勢部、220 第2付勢部、221 第2付勢片、300 ガスケット、310 ガスケット本体。