(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20220517BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20220517BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20220517BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20220517BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
G06F3/12 336
G06F3/12 326
G06F3/12 303
G06F3/12 392
H04W88/06
H04N1/00 127B
B41J29/00 E
B41J29/38 401
(21)【出願番号】P 2020060505
(22)【出願日】2020-03-30
(62)【分割の表示】P 2016170650の分割
【原出願日】2016-09-01
【審査請求日】2020-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】長澤 健一
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-78866(JP,A)
【文献】特開2016-10067(JP,A)
【文献】特開2016-24789(JP,A)
【文献】特開2015-050684(JP,A)
【文献】特開2017-126291(JP,A)
【文献】特開2004-361678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
B41J29/00-29/38
H04N1/00
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローカルネットワークに設けられる画像形成装置と近距離無線通信を行う第1の無線通信手段と、前記ローカルネットワークに対して前記近距離無線通信と異なる無線通信を行う第2の無線通信手段と、を有する情報処理装置であって、
前記第1の無線通信手段による前記画像形成装置との近距離無線通信によって、前記ローカルネットワークにおける前記画像形成装置のIPアドレスを取得し、ユーザーによる前記画像形成装置の選択操
作の受付前に、前記IPアドレスに基づき前記第2の無線通信手段によって前記ローカルネットワーク上の画像形成装置にアクセスする制御
部、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
有線のローカルネットワーク上に設けられた画像形成装置と通信可能な第1の無線通信手段と、前記第1の無線通信手段と異なる無線通信により前記画像形成装置と前記ローカルネットワークを介した通信を行うことが可能な第2の無線通信手段と、を有する情報処理装置であって、
前記第1の無線通信手段によって、前記ローカルネットワークにおいて前記画像形成装置に割り当てられたIPアドレスを取得し、ユーザーによる前記画像形成装置の選択操
作の受付前に、前記IPアドレスに基づき前記第2の無線通信手段によって前記ロールネットワーク上の画像形成装置にアクセスする制御
部、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
第1の無線通信手段は近距離無線通信が可能であることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は第1のローカルネットワークに接続され、
前記第2の無線通信手段は前記第1のローカルネットワークと異なる第2のローカルネットワークと接続可能であることを特徴とする請求項1乃至
3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2の無線通信手段は、前記第1のローカルネットワークに接続される無線通信装置を介して前記第2のローカルネットワークと接続可能であることを特徴とする請求項
4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、取得されるIPアドレスに基づき、前記ローカルネットワークに設けられる画像形成装置を検索する検索コマンドを、前記第2の無線通信手段から前記ローカルネットワークにユニキャスト送信するユニキャスト検索部、を備えたことを特徴とする請求項1乃至
5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記ローカルネットワークに接続される無線通信装置を介して前記ローカルネットワークにユニキャスト送信する請求項
6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1の無線通信手段が通信を行った前記画像形成装置と、前記ユニキャスト検索部によって検出される前記ローカルネットワーク内の他の画像形成装置とを含む一覧画面を生成して表示させることを特徴とする請求項
6または
7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
取得したIPアドレスを当該画像形成装置と対応付けて前記一覧画面に表示させることを特徴とする請求項
8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
さらに前記画像形成装置に関する付属情報を取得し、取得した付属情報を当該画像形成装置と対応付けて前記一覧画面に表示させる、ことを特徴とする請求項
8または
9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記ユニキャスト検索部は、取得されたIPアドレスに基づいて、前記検索コマンドをユニキャスト送信する際のアドレス範囲を決定する、ことを特徴とする請求項
6乃至
10のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項12】
さらに、前記画像形成装置から前記ローカルネットワークに関するネットワーク情報を取得し、取得した前記IPアドレスと前記ネットワーク情報に基づいて、前記ローカルネットワークに設けられた他の画像形成装置を検索するよう、前記検索コマンドをユニキャスト送信する際のアドレス範囲を決定する、ことを特徴とする請求項
11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記ネットワーク情報には、前記画像形成装置と所定のプロトコルで通信を行う際の通信設定情報が含まれており、
前記ユニキャスト検索部は、前記検索コマンドのユニキャスト送信によって検出した他の画像形成装置との間で前記通信設定情報に基づく通信を行う、ことを特徴とする請求項
12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記第2の無線通信手段から印刷データを送信する、ことを特徴とする請求項1乃至
13のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記制御部は、さらに前記画像形成装置に関する付属情報を取得することを特徴とする請求項1乃至
9のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記付属情報は前記画像形成装置の装置名、搭載機能、設置場所の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項
15に記載の情報処理装置。
【請求項17】
取得した前記付属情報を当該画像形成装置と対応付けて表示することを特徴とする請求項
15または
16に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記制御部は、ユーザーによる前記画像形成装置の
前記選択操
作の受付前に、前記第2の無線通信手段によって前記画像形成装置に関する付属情報を取得し、取得した前記付属情報を当該画像形成装置と対応付けて表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項19】
ローカルネットワークに設けられる画像形成装置と近距離無線通信を行う第1の無線通信手段と、前記ローカルネットワークに対して前記近距離無線通信と異なる無線通信を行う第2の無線通信手段と、を有する情報処理装置において実行されるプログラムであって、
前記情報処理装置に、
前記第1の無線通信手段による前記画像形成装置との近距離無線通信によって、前記ローカルネットワークにおける前記画像形成装置のIPアドレスを取得する取得ステップと、
ユーザーによる前記画像形成装置の選択操
作の受付前に、前記IPアドレスに基づき前記第2の無線通信手段によって前記ロールネットワーク上の画像形成装置にアクセスするアクセスステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項20】
有線のローカルネットワーク上に設けられた画像形成装置と通信可能な第1の無線通信手段と、前記第1の無線通信手段と異なる無線通信により前記画像形成装置と前記ローカルネットワークを介した通信を行うことが可能な第2の無線通信手段と、を有する情報処理装置において実行されるプログラムであって、
前記情報処理装置に、
前記第1の無線通信手段によって、前記ローカルネットワークにおいて前記画像形成装置に割り当てられたIPアドレスを取得する取得ステップと、
ユーザーによる前記画像形成装置の選択操
作の受付前に、前記IPアドレスに基づき前記第2の無線通信手段によって前記ロールネットワーク上の画像形成装置にアクセスするアクセスステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項21】
第1の無線通信手段は近距離無線通信が可能であることを特徴とする請求項20に記載のプログラム。
【請求項22】
前記画像形成装置は第1のローカルネットワークに接続され、
前記第2の無線通信手段は前記第1のローカルネットワークと異なる第2のローカルネットワークと接続可能であることを特徴とする請求項19乃至21のいずれかに記載のプログラム。
【請求項23】
前記第2の無線通信手段は、前記第1のローカルネットワークに接続される無線通信装置を介して前記第2のローカルネットワークと接続可能であることを特徴とする請求項22に記載のプログラム。
【請求項24】
前記情報処理装置に、
前記第2の無線通信手段から印刷データを送信する送信ステップ、
を更に実行させることを特徴とする請求項19乃至23のいずれかに記載のプログラム。
【請求項25】
さらに前記画像形成装置に関する付属情報を取得することを特徴とする請求項19乃至24のいずれかに記載のプログラム。
【請求項26】
前記付属情報は前記画像形成装置の装置名、搭載機能、設置場所の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項25に記載のプログラム。
【請求項27】
前記情報処理装置に、
取得した前記付属情報を当該画像形成装置と対応付けて表示する表示ステップ、
を更に実行させることを特徴とする請求項25または26に記載のプログラム。
【請求項28】
ユーザーによる前記画像形成装置の前記選択操作の受付前に、前記第2の無線通信手段によって前記画像形成装置に関する付属情報を取得し、取得した前記付属情報を当該画像形成装置と対応付けて表示することを特徴とする請求項19乃至21のいずれかに記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関し、特に情報処理装置が無線通信を利用して画像形成装置を検索する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレット端末などの携帯型の情報処理装置は、WiFiなどの無線LAN規格に準拠した無線通信を行うことにより、画像形成装置に対して印刷データを送信することができる。ところが、この種の情報処理装置は、ユーザーによって携行されるため、ユーザーの移動に伴って通信環境が変化する。そのため、情報処理装置は、印刷データを送信するアプリケーションを起動すると、現在の通信環境下において通信可能な画像形成装置を検出するために検索コマンドをブロードキャスト送信するのが一般的である。
【0003】
しかし、無線LANによる無線通信を画像形成装置が接続されているローカルネットワークに中継する無線通信装置は、無線LANによって無線通信を行うネットワークと、画像形成装置が接続されているローカルネットワークとを別のネットワークとして管理するルーターモードで動作していることがある。無線通信装置がルーターモードで動作していると、情報処理装置が無線LANのネットワークに対して検索コマンドをブロードキャスト送信したとしても、その検索コマンドは、無線通信装置によって遮断されるため、画像形成装置が接続されているローカルネットワークには送出されない。そのため、情報処理装置は、無線通信装置に接続されている別のローカルネットワーク内の画像形成装置を検出することができないという不具合がある。
【0004】
そのような不具合を解決するため、従来は、ルーターを介して接続される異なるネットワークのそれぞれに対して情報収集サーバーを設けることが提案されている(特許文献1)。この従来技術では、各情報収集サーバーが、自機と同一ネットワークに接続されているデバイス情報を収集し、その収集したデバイス情報を他のネットワークの機器へ提供するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術では、それぞれ異なるネットワーク毎に情報収集サーバーを設置することが必要であるため、システムの構成が複雑且つ大規模化し、コストの高騰が避けられないという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、複雑なシステム構築を必要とせず、比較的簡単且つ安価に、画像形成装置の情報を収集できるようにした情報処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、ローカルネットワークに設けられる画像形成装置と近距離無線通信を行う第1の無線通信手段と、前記ローカルネットワークに対して前記近距離無線通信と異なる無線通信を行う第2の無線通信手段と、を有する情報処理装置であって、前記第1の無線通信手段による前記画像形成装置との近距離無線通信によって、前記ローカルネットワークにおける前記画像形成装置のIPアドレスを取得し、ユーザーによる前記画像形成装置の選択操作の受付前に、前記IPアドレスに基づき前記第2の無線通信手段によって前記ローカルネットワーク上の画像形成装置にアクセスする制御部、を備えることを特徴とする構成である。
【0009】
請求項2に係る発明は、有線のローカルネットワーク上に設けられた画像形成装置と通信可能な第1の無線通信手段と、前記第1の無線通信手段と異なる無線通信により前記画像形成装置と前記ローカルネットワークを介した通信を行うことが可能な第2の無線通信手段と、を有する情報処理装置であって、前記第1の無線通信手段によって、前記ローカルネットワークにおいて前記画像形成装置に割り当てられたIPアドレスを取得し、ユーザーによる前記画像形成装置の選択操作の受付前に、前記IPアドレスに基づき前記第2の無線通信手段によって前記ロールネットワーク上の画像形成装置にアクセスする制御部、を備えることを特徴とする構成である。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の情報処理装置において、第1の無線通信手段は近距離無線通信が可能であることを特徴とする構成である。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理装置において、前記画像形成装置は第1のローカルネットワークに接続され、前記第2の無線通信手段は前記第1のローカルネットワークと異なる第2のローカルネットワークと接続可能であることを特徴とする構成である。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の情報処理装置において、前記第2の無線通信手段は、前記第1のローカルネットワークに接続される無線通信装置を介して前記第2のローカルネットワークと接続可能であることを特徴とする構成である。
【0015】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の情報処理装置において、前記制御部は、取得されるIPアドレスに基づき、前記ローカルネットワークに設けられる画像形成装置を検索する検索コマンドを、前記第2の無線通信手段から前記ローカルネットワークにユニキャスト送信するユニキャスト検索部、を備えたことを特徴とする構成である。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の情報処理装置において、前記制御部は、前記ローカルネットワークに接続される無線通信装置を介して前記ローカルネットワークにユニキャスト送信することを特徴とする構成である。
【0017】
請求項8に係る発明は、請求項6または7に記載の情報処理装置において、前記第1の無線通信手段が通信を行った前記画像形成装置と、前記ユニキャスト検索部によって検出される前記ローカルネットワーク内の他の画像形成装置とを含む一覧画面を生成して表示させることを特徴とする構成である。
【0018】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載の情報処理装置において、取得したIPアドレスを当該画像形成装置と対応付けて前記一覧画面に表示させることを特徴とする構成である。
【0019】
請求項10に係る発明は、請求項8または9に記載の情報処理装置において、さらに前記画像形成装置に関する付属情報を取得し、取得した付属情報を当該画像形成装置と対応付けて前記一覧画面に表示させる、ことを特徴とする構成である。
【0020】
請求項11に係る発明は、請求項6乃至10のいずれかに記載の情報処理装置において、前記ユニキャスト検索部は、取得されたIPアドレスに基づいて、前記検索コマンドをユニキャスト送信する際のアドレス範囲を決定する、ことを特徴とする構成である。
【0021】
請求項12に係る発明は、請求項11に記載の情報処理装置において、さらに、前記画像形成装置から前記ローカルネットワークに関するネットワーク情報を取得し、取得した前記IPアドレスと前記ネットワーク情報に基づいて、前記ローカルネットワークに設けられた他の画像形成装置を検索するよう、前記検索コマンドをユニキャスト送信する際のアドレス範囲を決定する、ことを特徴とする構成である。
【0022】
請求項13に係る発明は、請求項12に記載の情報処理装置において、前記ネットワーク情報には、前記画像形成装置と所定のプロトコルで通信を行う際の通信設定情報が含まれており、前記ユニキャスト検索部は、前記検索コマンドのユニキャスト送信によって検出した他の画像形成装置との間で前記通信設定情報に基づく通信を行う、ことを特徴とする構成である。
【0023】
請求項14に係る発明は、請求項1乃至13のいずれかに記載の情報処理装置において、前記制御部は、前記第2の無線通信手段から印刷データを送信する、ことを特徴とする構成である。
【0024】
請求項15に係る発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載の情報処理装置において、前記制御部は、さらに前記画像形成装置に関する付属情報を取得することを特徴とする構成である。
【0025】
請求項16に係る発明は、請求項15に記載の情報処理装置において、前記付属情報は前記画像形成装置の装置名、搭載機能、設置場所の少なくとも一つを含むことを特徴とする構成である。
【0026】
請求項17に係る発明は、請求項15または16に記載の情報処理装置において、取得した前記付属情報を当該画像形成装置と対応付けて表示することを特徴とする構成である。
【0027】
請求項18に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の情報処理装置において、前記制御部は、ユーザーによる前記画像形成装置の前記選択操作の受付前に、前記第2の無線通信手段によって前記画像形成装置に関する付属情報を取得し、取得した前記付属情報を当該画像形成装置と対応付けて表示することを特徴とする構成である。
請求項19に係る発明は、ローカルネットワークに設けられる画像形成装置と近距離無線通信を行う第1の無線通信手段と、前記ローカルネットワークに対して前記近距離無線通信と異なる無線通信を行う第2の無線通信手段と、を有する情報処理装置において実行されるプログラムであって、前記情報処理装置に、前記第1の無線通信手段による前記画像形成装置との近距離無線通信によって、前記ローカルネットワークにおける前記画像形成装置のIPアドレスを取得する取得ステップと、ユーザーによる前記画像形成装置の選択操作の受付前に、前記IPアドレスに基づき前記第2の無線通信手段によって前記ロールネットワーク上の画像形成装置にアクセスするアクセスステップと、を実行させることを特徴とする構成である。
請求項20に係る発明は、有線のローカルネットワーク上に設けられた画像形成装置と通信可能な第1の無線通信手段と、前記第1の無線通信手段と異なる無線通信により前記画像形成装置と前記ローカルネットワークを介した通信を行うことが可能な第2の無線通信手段と、を有する情報処理装置において実行されるプログラムであって、前記情報処理装置に、前記第1の無線通信手段によって、前記ローカルネットワークにおいて前記画像形成装置に割り当てられたIPアドレスを取得する取得ステップと、ユーザーによる前記画像形成装置の選択操作の受付前に、前記IPアドレスに基づき前記第2の無線通信手段によって前記ロールネットワーク上の画像形成装置にアクセスするアクセスステップと、を実行させることを特徴とする構成である。
請求項21に係る発明は、請求項20に記載のプログラムにおいて、第1の無線通信手段は近距離無線通信が可能であることを特徴とする構成である。
請求項22に係る発明は、請求項19乃至21のいずれかに記載のプログラムにおいて、前記画像形成装置は第1のローカルネットワークに接続され、前記第2の無線通信手段は前記第1のローカルネットワークと異なる第2のローカルネットワークと接続可能であることを特徴とする構成である。
請求項23に係る発明は、請求項22に記載のプログラムにおいて、前記第2の無線通信手段は、前記第1のローカルネットワークに接続される無線通信装置を介して前記第2のローカルネットワークと接続可能であることを特徴とする構成である。
請求項24に係る発明は、請求項19乃至23のいずれかに記載のプログラムにおいて、前記情報処理装置に、前記第2の無線通信手段から印刷データを送信する送信ステップ、を更に実行させることを特徴とする構成である。
請求項25に係る発明は、請求項19乃至24のいずれかに記載のプログラムにおいて、さらに前記画像形成装置に関する付属情報を取得することを特徴とする構成である。
請求項26に係る発明は、請求項25に記載のプログラムにおいて、前記付属情報は前記画像形成装置の装置名、搭載機能、設置場所の少なくとも一つを含むことを特徴とする構成である。
請求項27に係る発明は、請求項25または26に記載のプログラムにおいて、前記情報処理装置に、取得した前記付属情報を当該画像形成装置と対応付けて表示する表示ステップ、を更に実行させることを特徴とする構成である。
請求項28に係る発明は、ユーザーによる前記画像形成装置の前記選択操作の受付前に、前記第2の無線通信手段によって前記画像形成装置に関する付属情報を取得し、取得した前記付属情報を当該画像形成装置と対応付けて表示することを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、それぞれ異なるローカルネットワークに情報収集サーバーなどを設置する必要がなく、簡単且つ安価な手法で、情報処理装置が画像形成装置の情報を収集することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】情報処理装置を含む情報処理システムの一構成例を示す図である。
【
図2】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】情報処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】ブロードキャスト検索部による検索処理の一例を示す図である。
【
図5】アドレス取得部による取得処理の一例を示す図である。
【
図6】ネットワーク情報を取得する例を示す図である。
【
図7】ユニキャスト検索部による検索コマンドの送信例を示す図である。
【
図8】ユニキャスト検索に対する画像形成装置の応答例を示す図である。
【
図9】ユニキャスト検索部による付属情報要求の送信例を示す図である。
【
図10】付属情報要求に対する画像形成装置の応答例を示す図である。
【
図11】情報処理装置において表示される一覧画面の例を示す図である。
【
図12】情報処理装置において連携アプリケーションが起動することにより行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図13】ユニキャスト検索処理の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0031】
図1は、本発明の情報処理装置2を含む情報処理システム1の一構成例を示す図である。この情報処理システム1は、2つのローカルネットワーク6,7が無線通信装置4によって接続されたネットワークシステムである。ローカルネットワーク6は、複数の画像形成装置3a,3b,3cと、無線通信装置4とがLAN(Local Area Network)ケーブル5によって接続された有線ネットワークである。ただし、ローカルネットワーク6は、必ずしも有線ネットワークに限られるものではなく、無線ネットワークであっても構わない。
図1では、ローカルネットワーク6のネットワークアドレスが、「152.17.10.0」である場合を例示している。これに対し、ローカルネットワーク7は、無線通信装置4によって構築される無線ネットワークであり、WiFiなどの無線LAN規格に準拠した無線通信を行うネットワークである。
図1では、ローカルネットワーク7のネットワークアドレスが「192.168.1.0」である場合を例示している。
【0032】
無線通信装置4は、ローカルネットワーク7内において複数の機器間で行われる無線通信を中継する機能を有している。また無線通信装置4は、ローカルネットワーク6にも接続される。このような無線通信装置4は、ルーター機能を備えており、一方のローカルネットワーク6,7にパケットが送出されると、そのパケットのIPアドレスを解析し、そのパケットを他方のローカルネットワーク7,6に送出するか否かを判断する。つまり、無線通信装置4は、各ローカルネットワーク6,7に送出される情報の宛先として指定されたIPアドレスに基づき、その情報を他方のローカルネットワーク7,6へ通過させるか遮断するかを決定する。例えば無線通信装置4は、ローカルネットワーク7においてブロードキャスト送信されるコマンドを遮断し、そのようなコマンドをローカルネットワーク6に対して送出しない。
【0033】
画像形成装置3a,3b,3cは、例えばMFP(Multifunction Peripherals)などによって構成され、スキャン機能やプリント機能、FAX機能などの複数の機能を備える装置である。ただし、画像形成装置3a,3b,3cは、必ずしも上記のような複数の機能を備えるものに限られず、プリント機能だけを備えた装置であっても構わない。これらの画像形成装置3a,3b,3cは、ローカルネットワーク6を介して印刷データを受信すると、その印刷データに基づいて印刷出力を行うことができる。また本実施形態では、複数の画像形成装置3a,3b,3cのうちの少なくとも1つの画像形成装置3aが、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信機能を有しており、例えば情報処理装置2と近距離無線通信9を行うことが可能である。
【0034】
情報処理装置2は、例えばスマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータなどの携帯可能な情報処理端末によって構成される。この情報処理装置2は、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信規格に準拠した第1の無線通信を行う機能と、WiFiなどの無線LAN規格に準拠した第2の無線通信を行う機能との、2つの無線通信機能を有している。したがって、情報処理装置2は、近距離無線通信9により画像形成装置3aと直接通信を行うことができると共に、無線LAN通信8により無線通信装置4を介して複数の画像形成装置3a,3b,3cのそれぞれと通信を行うことができる。
【0035】
このような情報処理装置2は、無線通信装置4と無線通信を行うことが可能な範囲内に入ると、それを自動検知し、ローカルネットワーク7において無線通信を行うための通信設定を自動的に行う。そのため、ユーザーは、情報処理装置2を無線通信装置4と通信可能な範囲内に持ち込むだけで情報処理装置2が無線通信装置4と通信可能な状態となる。
【0036】
また情報処理装置2は、画像形成装置3aと近距離無線通信を行うことが可能な範囲内に入ると、それを自動検知し、画像形成装置3aとのペアリングを自動的に行う。そのため、ユーザーは、情報処理装置2を画像形成装置3aと通信可能な範囲内に持ち込むだけで情報処理装置2が画像形成装置3aと通信可能な状態となる。
【0037】
そして本実施形態では、ユーザーによって情報処理装置2に保存されている文書や画像などの印刷出力が指定された場合、情報処理装置2が、画像形成装置3aと近距離無線通信9を行うことにより、ローカルネットワーク6における画像形成装置3aのIPアドレスを取得する。そして情報処理装置2は、画像形成装置3aのIPアドレスに基づいて、ローカルネットワーク6に設けられている他の画像形成装置3b,3cのIPアドレスを検索する処理を行うように構成される。以下、このような情報処理装置2の構成及び動作について詳しく説明する。
【0038】
図2は、情報処理装置2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、情報処理装置2は、CPU10aとメモリ10bとを備える制御部10と、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などで構成される不揮発性の記憶装置11と、カラー液晶ディスプレイなどで構成される表示部12と、表示部12の画面上に配置されるタッチパネル、キーボード、マウスなどで構成される操作部13と、近距離無線通信を行うための第1無線通信部14と、無線LAN通信を行うための第2無線通信部15とを備える構成である。
【0039】
記憶装置11には、情報処理装置2の基本ソフトウェアであるオペレーティングシステムプログラム16と、アプリケーションプログラム17とがインストールされている。アプリケーションプログラム17は、情報処理装置2を複数の画像形成装置3a,3b,3cのそれぞれと連携させるためのプログラムであり、情報処理装置2が通信可能な画像形成装置3a,3b,3cを検索し、ユーザーによって指定された画像形成装置に印刷データを送信するためのプログラムである。
【0040】
図3は、情報処理装置2の機能構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置2のCPU10aは、オペレーティングシステムプログラム16を読み出して実行することにより、制御部10をオペレーティングシステム20として機能させる。またCPU10aは、アプリケーションプログラム17を読み出して実行することにより、制御部10を連携アプリケーション30として機能させる。
【0041】
オペレーティングシステム20は、第1無線通信部14を監視しており、第1無線通信部14が画像形成装置3aから発せられる電波を受信したことを検知すると、第1無線通信部14を介して画像形成装置3aとのペアリングを行い、画像形成装置3aと通信可能な状態を確立する。またオペレーティングシステム20は、第2無線通信部15を監視しており、第2無線通信部15が無線通信装置4から発せられる電波を受信したことを検知すると、第2無線通信部15からローカルネットワーク7に関する情報を取得して通信設定を行う。これにより、情報処理装置2のIPアドレスが自動付与されることとなり、情報処理装置2は、ローカルネットワーク7において無線通信を行うことが可能な状態を確立する。
【0042】
連携アプリケーション30は、例えばユーザーによってアプリケーションプログラムの起動が指示された場合に起動する。この連携アプリケーション30は、連携可能な画像形成装置を検索する検索部31と、表示部12の表示画面を制御すると共に操作部13に対するユーザーの操作を受け付ける表示制御部32と、ユーザーによって選択された画像形成装置に印刷データを送信する印刷データ送信部33とを備えている。
【0043】
検索部31は、例えば連携アプリケーション30の起動時に機能し、情報処理装置2が使用されているネットワーク環境下において情報処理装置2が連携可能な画像形成装置を検索する処理部である。この検索部31は、ブロードキャスト検索部40と、アドレス取得部50と、ユニキャスト検索部60とを備えている。ブロードキャスト検索部40は、第2無線通信部15を介して画像形成装置を検索するための検索コマンドをブロードキャスト送信することにより、画像形成装置の検索処理を行うものである。アドレス取得部50は、第1無線通信部14を介して画像形成装置3aと通信を行うことにより、画像形成装置3aのIPアドレスを取得する処理を行うものである。ただし、アドレス取得部50は、画像形成装置3aのIPアドレス以外にも、例えばローカルネットワーク6に関するネットワーク情報を画像形成装置3aから取得することも可能である。ユニキャスト検索部60は、アドレス取得部50によって取得される画像形成装置3aのIPアドレスに基づき、第2無線通信部15を介して画像形成装置3aが接続されているローカルネットワーク6に対して画像形成装置を検索するための検索コマンドをユニキャスト送信することにより、画像形成装置の検索処理を行うものである。またユニキャスト検索部60は、検索コマンドのユニキャスト送信を開始する前に、第2無線通信部15を介して画像形成装置3aのIPアドレスにアクセスし、画像形成装置3aからローカルネットワーク6に関するネットワーク情報を取得することも可能である。このユニキャスト検索部60は、ユニキャスト検索を行う際のアドレス範囲を決定する範囲決定部61を有している。範囲決定部61は、画像形成装置3aのIPアドレスや画像形成装置3aから取得したネットワーク情報に基づき、検索コマンドをユニキャスト送信するIPアドレスの範囲を決定する。以下、このような検索部31によって行われる具体的な処理内容について詳しく説明する。
【0044】
図4は、ブロードキャスト検索部40による検索処理の一例を示す図である。検索部31においてブロードキャスト検索部40が機能すると、ブロードキャスト検索部40は、
図4(a)に示すように、第2無線通信部15が無線通信装置4と通信を行うローカルネットワーク7のネットワークアドレスに基づき、検索コマンドD1をローカルネットワーク7へブロードキャスト送信する。すなわち、ブロードキャスト検索部40は、検索コマンドD1の宛先として、IPアドレスのホストアドレスに相当する部分のビットを全てオンにしたIPアドレスを指定する。本実施形態の場合、ブロードキャスト検索部40は、宛先にIPアドレス「192.168.1.255」を指定した検索コマンドD1を送信することにより、ローカルネットワーク7へのブロードキャスト送信を行う。
【0045】
図4(a)に示すようにローカルネットワーク7に対してブロードキャスト送信される検索コマンドD1は、無線通信装置4によって遮断されるため、ローカルネットワーク6には送出されない。つまり、この検索コマンドD1は、ローカルネットワーク6に設けられている画像形成装置3a,3b,3cには届かないため、ブロードキャスト検索部40が画像形成装置3a,3b,3cからの応答を受信することはない。したがって、このような検索コマンドD1では、ローカルネットワーク6に設けられている画像形成装置3a,3b,3cを検出することができない。
【0046】
ただし、
図4(b)に示すように検索コマンドD1が送出されるローカルネットワーク7内に、別の画像形成装置3xが存在することがある。この場合、画像形成装置3xは、ローカルネットワーク7内にブロードキャスト送信される検索コマンドD1を受信するため、情報処理装置2に対して応答情報D2を返信する。したがって、ローカルネットワーク7内に無線LAN通信を行うことが可能な画像形成装置3xが存在すれば、ブロードキャスト検索部40は、画像形成装置3xからの応答情報D2により、画像形成装置3xの存在を検出することができ、画像形成装置3xをユーザーが選択可能な装置として登録することができる。
【0047】
図5は、アドレス取得部50による取得処理の一例を示す図である。例えばアドレス取得部50は、上記のようなブロードキャスト検索部40による検索処理が行われた後に、検索部31において機能する。アドレス取得部50は、検索コマンドD1による検索範囲を拡げるために無線LAN通信とは異なる近距離無線通信で別のローカルネットワーク6に接続されている画像形成装置3aと通信を行うことにより、別のローカルネットワーク6で画像形成装置3aが通信を行うときのIPアドレスを取得する。すなわち、アドレス取得部50は、
図5に示すように画像形成装置3aに対して近距離無線通信で情報送信要求D3を送信する。これにより、画像形成装置3aは、ローカルネットワーク6の通信ポートに設定されているIPアドレスD4を読み出し、そのIPアドレスD4を情報処理装置2へ送信する。したがって、アドレス取得部50は、第1無線通信部14による近距離無線通信で画像形成装置3aのIPアドレスD4を画像形成装置3aから直接取得することができる。
【0048】
図6は、画像形成装置3aからネットワーク情報D5を取得する例を示す図である。
図6(a)に示すように、アドレス取得部50は、近距離無線通信により、画像形成装置3aからIPアドレスD4を取得するとき、更にローカルネットワーク6に関するネットワーク情報D5を画像形成装置3aから取得するようにしても良い。このネットワーク情報D5には、サブネットマスク情報D6と、ゲートウェイ情報D7と、通信設定情報D8とが含まれる。
【0049】
サブネットマスク情報D6は、画像形成装置3aのIPアドレスD4をネットワークアドレスとホストアドレスとに区別するための情報である。例えば画像形成装置3aのIPアドレスが「152.17.10.21」であり、サブネットマスク情報が「255.255.255.0」であれば、ネットワークアドレスが「152.14.10」であり、ホストアドレスが「21」であることが判る。
【0050】
ゲートウェイ情報D7はローカルネットワーク6に設けられているゲートウェイ(無線通信装置4など)のIPアドレスを示す情報である。したがって、ゲートウェイ情報D7を予め取得しておけば、ユニキャスト検索部60が検索コマンドのユニキャスト送信を行うとき、ゲートウェイのIPアドレスを除外してユニキャスト送信を行うことができるようになる。
【0051】
通信設定情報D8は、SNMP(Simple Network Management Protocol)で画像形成装置3aと通信を行うための情報であって、画像形成装置3aのMIB(Management Information Base)に記録されている装置名や搭載機能、設置場所などの付属情報を取得するために必要となる情報である。この通信設定情報D8には、例えばSNMPで通信を行う際のコミュニティネームなどの情報が含まれる。
【0052】
上記のようなネットワーク情報D5は、アドレス取得部50によって画像形成装置3aのIPアドレスD4が取得された後に、ユニキャスト検索部60が画像形成装置3aから取得するようにしても良い。すなわち、ユニキャスト検索部60は、
図6(b)に示すように、アドレス取得部50によって取得されたIPアドレスに対し、第2無線通信部15を介して情報送信要求D3を送信する。この情報送信要求D3は、ローカルネットワーク6のアドレスに対してユニキャスト送信されるため、無線通信装置4からローカルネットワーク6に送出される。そのため、情報送信要求D3は、画像形成装置3aによって受信される。画像形成装置3aは、この情報送信要求D3を受信すると、情報処理装置2に対してネットワーク情報D5を送信する。したがって、ユニキャスト検索部60は、画像形成装置3aと通信を行うことにより、ネットワーク情報D5を取得することもできる。
【0053】
上記のようにしてローカルネットワーク6のネットワーク情報D5が取得されると、ユニキャスト検索部60は、範囲決定部61を機能させ、検索コマンドをユニキャスト送信する際のアドレス範囲を決定する。範囲決定部61は、サブネットマスク情報D6に基づき、画像形成装置3aのIPアドレスD4からローカルネットワーク6のネットワークアドレスを特定する。そして範囲決定部61は、ユニキャスト送信を行うホストアドレスの範囲を決定する。このとき、範囲決定部61は、画像形成装置3aのアドレス、ゲートウェイのアドレス、及び、ブロードキャスト用のアドレスを除く他の全てのアドレスを、ユニキャスト検索を行うアドレス範囲として決定する。例えば画像形成装置3aのIPアドレスが「152.17.10.21」であり、ゲートウェイのIPアドレスが「152.17.10.1」である場合、範囲決定部61は、「152.17.10.2」~「152.17.10.20」及び「152.17.10.22」~「152.17.10.254」の範囲を、ユニキャスト検索の対象範囲として決定する。
【0054】
その後、ユニキャスト検索部60は、
図7に示すように範囲決定部61によって決定されたアドレス範囲に対し、1つずつ検索コマンドD10をユニキャスト送信していく。つまり、ユニキャスト検索部60は、範囲決定部61によって決定されたアドレス範囲に対して検索コマンドD10を総当たり式に送信していくのである。この場合の検索コマンドD10もまた、ローカルネットワーク6のアドレスに対してユニキャスト送信されるため、無線通信装置4からローカルネットワーク6に送出される。そのため、ユニキャスト検索部60からユニキャスト送信される検索コマンドD10のIPアドレスが画像形成装置3bのIPアドレスに一致すれば、その検索コマンドD10は、画像形成装置3bによって受信される。またユニキャスト検索部60からユニキャスト送信される検索コマンドD10のIPアドレスが画像形成装置3cのIPアドレスに一致すれば、その検索コマンドD10は、画像形成装置3cによって受信される。
【0055】
図8に示すように、画像形成装置3bは、ユニキャスト検索部60によってユニキャスト送信される自機宛の検索コマンドD10を受信すると、情報処理装置2に対して応答情報D11を送信する。また画像形成装置3cは、ユニキャスト検索部60によってユニキャスト送信される自機宛の検索コマンドD10を受信すると、情報処理装置2に対して応答情報D11を送信する。またローカルネットワーク6に設けられる画像形成装置3b,3c以外の他のデバイスも、ユニキャスト送信される検索コマンドD10を受信すると、情報処理装置2に対して応答情報D11を送信する。
【0056】
ユニキャスト検索部60は、検索コマンドD10に対する応答情報D11を受信すると、その応答情報D11を解析し、その応答情報D11の送信元が連携アプリケーション30と連携可能な画像形成装置3b,3cであるか否かを判別する。その結果、応答情報D11の送信元が画像形成装置3b,3c以外のデバイスであることを検知した場合、ユニキャスト検索部60は、受信した応答情報D11を無視する。これに対し、応答情報D11の送信元が画像形成装置3b,3cであることを検出した場合、ユニキャスト検索部60は、それらの画像形成装置3b,3cをユーザーが選択可能な装置として登録する。したがって、ユニキャスト検索部60は、ローカルネットワーク7に対してルーター(無線通信装置4)を介して接続される別のローカルネットワーク6に存在する複数の画像形成装置3b,3cの全てを検出することができ、それらをユーザーが選択可能な装置として登録することができるのである。
【0057】
次にユニキャスト検索部60は、
図9に示すように、ローカルネットワーク6から検出した複数の画像形成装置3a,3b,3cのそれぞれに対し、付属情報要求D12を送信する。すなわち、ユニキャスト検索部60は、先に画像形成装置3aから取得したネットワーク情報D5に含まれる通信設定情報D8に基づき、複数の画像形成装置3a,3b,3cのそれぞれとSNMPによる通信を行い、各画像形成装置3a,3b,3cの装置名や搭載機能、設置場所などに関する付属情報の送信を要求するのである。各画像形成装置3a,3b,3cは、そのような付属情報要求D12を受信すると、
図10に示すように情報処理装置2に対して装置名や搭載機能、設置場所などの情報を含む付属情報D13を送信する。したがって、ユニキャスト検索部60は、ローカルネットワーク6に設けられている各画像形成装置3a,3b,3cについての詳細な情報を取得することができる。
【0058】
このように連携アプリケーション30の検索部31は、第2無線通信部15が接続するローカルネットワーク7に設けられた画像形成装置3xを検出するだけでなく、ローカルネットワーク7からルーター超えとなる別のローカルネットワーク6に設けられている画像形成装置3a,3b,3cも検出する。そのため、検索部31は、ユーザーが選択可能な画像形成装置をより多く見つけ出すことができるのである。そして上述した検索方法を採用すれば、ローカルネットワーク6に情報収集サーバーなどの特別なサーバーを設置する必要がないため、情報処理システム1の構成を複雑化することがなく、しかも簡単且つ安価に画像形成装置3a,3b,3cの情報を収集することが可能である。
【0059】
検索部31によって画像形成装置3a,3b,3cに関する情報が収集されると、連携アプリケーション30において表示制御部32が機能する。表示制御部32は、検索部31によって検出された画像形成装置3a,3b,3cに関する情報を含む一覧画面を生成し、表示部12に表示する。
【0060】
図11は、その一覧画面G1の一例を示す図である。
図11に示すように一覧画面G1は、その画面中央に一覧表示領域70を有しており、その一覧表示領域70に、検索部31によって検出された複数の画像形成装置3a,3b,3cのそれぞれに対応する装置情報71,72,73が一覧表示される。
図11では、装置情報71が画像形成装置3aに対応する情報であり、装置情報72が画像形成装置3bに対応する情報であり、装置情報73が画像形成装置3cに対応する情報である場合を例示している。これら装置情報71,72,73には、各画像形成装置3a,3b,3cのアイコン画像82と、各画像形成装置3a,3b,3cの装置名やIPアドレス、設置場所などを示すテキスト情報83と、各画像形成装置3a,3b,3cの機能情報84とが含まれる。またアドレス取得部50が近距離無線通信を行った画像形成装置3aに対応する装置情報71は、近距離無線通信を行った装置であることを示す画像81を更に含んでおり、他の装置情報72,73とは異なる表示態様として表示される。したがって、ユーザーは、一覧画面G1に表示される装置情報71,72,73をみれば、各画像形成装置3a,3b,3cの名称や設置場所、搭載機能などを把握することができる。またアドレス取得部50が近距離無線通信を行った画像形成装置3aの装置情報71には画像81が付加されるため、ユーザーは、複数の画像形成装置3a,3b,3cのうち、装置情報71に対応する画像形成装置3aが情報処理装置2に比較的近い位置に存在することを把握することができる。それ故、表示部12に一覧画面G1が表示されると、ユーザーは、各画像形成装置3a,3b,3cの機能や設置場所などを考慮しつつ、印刷データの送信先に相応しい一の画像形成装置を選択することができる。
【0061】
表示制御部32は、表示部12に一覧画面G1を表示すると、ユーザーによる選択操作を受け付ける。そして表示制御部32は、その選択操作に基づいて印刷データの送信先となる一の画像形成装置を決定し、その一の画像形成装置のIPアドレスを印刷データ送信部33へ通知する。
【0062】
印刷データ送信部33は、ユーザーによって選択された一の画像形成装置に対して印刷データを送信する処理部である。例えば印刷データ送信部33は、ユーザーによって指定された文書や画像などの印刷対象データを読み出し、その印刷対象データに基づいて印刷ジョブを生成する。このとき、印刷データ送信部33は、ユーザーによる印刷設定操作を受け付け、ユーザーによって指定された印刷設定を反映させた印刷ジョブを生成するようにしても良い。そして印刷データ送信部33は、ユーザーによって選択された一の画像形成装置のIPアドレスに対して印刷ジョブを送信する。この印刷ジョブは、ローカルネットワーク7から無線通信装置4を経由してローカルネットワーク6に送出され、ユーザーによって選択された一の画像形成装置で受信される。その結果、ユーザーによって指定された一の画像形成装置において印刷ジョブが実行され、文書や画像などが印刷出力される。
【0063】
次に情報処理装置2において行われる具体的な処理手順について説明する。
図12及び
図13は、情報処理装置2において連携アプリケーション30が起動することにより行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。連携アプリケーション30は、この処理を開始すると、まずオペレーティングシステム20によって無線LANが検知されているか否かを判断する(ステップS10)。オペレーティングシステム20が無線LANを検知していない場合(ステップS10でNO)、印刷データを送信することができないため、連携アプリケーション30による処理は終了する。これに対し、オペレーティングシステム20が無線LANを検知している場合(ステップS10でYES)、連携アプリケーション30は、第2無線通信部15からローカルネットワーク7へ検索コマンドD1をブロードキャスト送信する(ステップS11)。その後、連携アプリケーション30は、ローカルネットワーク7に存在する画像形成装置3xからの応答情報D2を受信することにより画像形成装置3xを検出すると(ステップS12でYES)、その画像形成装置3xを印刷データの送信可能な宛先のひとつとして登録する(ステップS13)。このとき、連携アプリケーション30は、画像形成装置3xから装置名や搭載機能、設置場所などの付属情報を取得し、付属情報と共に画像形成装置3xを登録しておくことが好ましい。尚、検索コマンドD1のブロードキャスト送信により画像形成装置を検出することができなかった場合(ステップS12でNO)、ステップS13の処理は行わない。
【0064】
続いて連携アプリケーション30は、近距離無線通信可能な画像形成装置3aが存在するか否かを判断する(ステップS14)。すなわち、連携アプリケーション30は、オペレーティングシステム20により近距離無線通信可能な画像形成装置3aが検知されているか否かを判断するである。その結果、近距離無線通信可能な画像形成装置3aが存在する場合(ステップS14でYES)、連携アプリケーション30は、画像形成装置3aとの近距離無線通信を開始し(ステップS15)、画像形成装置3aのIPアドレスを取得する(ステップS16)。
【0065】
次に連携アプリケーション30は、第2無線通信部15を介してステップS16で取得したIPアドレスにアクセスし(ステップS17)、画像形成装置3aからネットワーク情報D5を取得する(ステップS18)。ただし、これに限られるものではなく、連携アプリケーション30は、画像形成装置3aと近距離無線通信を行うことにより、画像形成装置3aからネットワーク情報D5を取得するようにしても構わない。連携アプリケーション30は、ネットワーク情報D5を取得すると、画像形成装置3aとSNMPによる通信を行い、画像形成装置3aから装置名や搭載機能、設置場所などの付属情報D13を取得する(ステップS19)。そして連携アプリケーション30は、画像形成装置3aを印刷データの送信可能な宛先のひとつとして登録する(ステップS20)。
【0066】
続いて連携アプリケーション30は、ユニキャスト検索処理を実行する(ステップS21)。
図13は、ユニキャスト検索処理(ステップS21)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。連携アプリケーション30は、この処理を開始すると、まず検索コマンドD10のユニキャスト送信を行うアドレス範囲を決定する(ステップS30)。ここでは、ローカルネットワーク6のネットワークアドレスに対し、画像形成装置3a、ゲートウェイ及びブロードキャストのIPアドレスを除いたホストアドレスを付加した範囲を、ユニキャスト送信のアドレス範囲として決定する。そして連携アプリケーション30は、そのアドレス範囲に含まれる一つのIPアドレスをユニキャスト送信アドレスに設定し(ステップS31)、検索コマンドD10をユニキャスト送信する(ステップS32)。その後、連携アプリケーション30は、ローカルネットワーク6に存在する画像形成装置3b又は3cからの応答情報D11を受信することにより画像形成装置3b又は3cを検出すると(ステップS33でYES)、その画像形成装置3b又は3cを印刷データの送信可能な宛先のひとつとして登録する(ステップS34)。尚、検索コマンドD10のユニキャスト送信により画像形成装置を検出することができなかった場合(ステップS33でNO)、ステップS34の処理はスキップする。そして連携アプリケーション30は、ステップS30で決定したアドレス範囲に含まれる全てのIPアドレスに対するユニキャスト送信を完了したか否かを判断し(ステップS35)、未だ検索コマンドD10を送信していないIPアドレスがあれば(ステップS35でNO)、ステップS31に戻って上述した処理を繰り返す。これに対し、アドレス範囲に含まれる全てのIPアドレスに対するユニキャスト送信を完了した場合(ステップS35でYES)、連携アプリケーション30は、ローカルネットワーク6から検出した各画像形成装置3b,3cとSNMPによる通信を行い、各画像形成装置3b,3cから装置名や搭載機能、設置場所などの付属情報D13を取得する(ステップS36)。以上で、ユニキャスト検索処理が終了する。
【0067】
図12のフローチャートに戻り、近距離無線通信可能な画像形成装置3aが存在しない場合(ステップS14でNO)、上述したステップS15~S21の処理はスキップする。
【0068】
その後、連携アプリケーション30は、これまでの処理で登録された画像形成装置3a,3b,3cに関する情報を読み出し(ステップS22)、一覧画面G1を生成して表示部12に表示する(ステップS23)。そして連携アプリケーション30は、ユーザーによる画像形成装置の選択操作を受け付け(ステップS24)、ユーザーによって選択された一の画像形成装置に対して印刷データを送信する(ステップS25)。以上で、連携アプリケーション30による処理が全て終了する。
【0069】
ところで、上述したステップS17において、連携アプリケーション30がステップS16で取得したIPアドレスにアクセスしようとしても、画像形成装置3aに接続することができない場合がある。例えば、画像形成装置3aがWiFiなどの無線LAN規格に準拠した無線通信部を備え、その無線通信部がローカルネットワーク7とは異なるローカルネットワークを形成しており、ステップS16で取得したIPアドレスが無線通信部による無線通信が行われるポートに設定されたIPアドレスである場合である。そのような場合、連携アプリケーション30が、ステップS16で取得したIPアドレスにアクセスしようとしても、画像形成装置3aに接続することができない。そこで連携アプリケーション30は、画像形成装置3aに接続することができない場合、検索コマンドD10のユニキャスト送信を行わないようにしても良い。これにより、無駄なユニキャスト送信を行わずに済むため、連携アプリケーション30による処理効率を向上させることができる。
【0070】
さらに連携アプリケーション30は、画像形成装置3aに接続することができない場合に画像形成装置3aとの近距離無線通信を再び行うことにより、画像形成装置3aの機能情報を取得し、画像形成装置3aが無線LAN通信を行う無線通信部を備えているか否かを判断するようにしても良い。そして画像形成装置3aが無線LAN通信を行う無線通信部を備えている場合、連携アプリケーション30は、その無線通信部によって行われる無線LAN通信の通信設定を画像形成装置3aから取得する。その後、連携アプリケーション30は、オペレーティングシステム20によって管理される無線LAN通信の通信設定を書き換えるための処理を実行する。これにより、オペレーティングシステム20は、無線LAN通信の通信設定を、画像形成装置3aが形成しているローカルネットワークの通信設定に書き換える。そのため、連携アプリケーション30は、画像形成装置3aのIPアドレスにアクセスすることができるようになり、少なくともその画像形成装置3aを印刷データの送信可能な宛先のひとつとして登録することができるようになる。また連携アプリケーション30は、画像形成装置3aの無線通信部によって形成されるローカルネットワークに検索コマンドD10をブロードキャスト送信することにより、他の画像形成装置に関する情報を取得することもできる。
【0071】
また上記においては、連携アプリケーション30が画像形成装置3aのIPアドレスを取得した後、ローカルネットワーク6に設けられた画像形成装置3b,3cを検索するための検索コマンドD10のユニキャスト送信を開始する場合を例示した。しかし、これに限られるものではなく、連携アプリケーション30は、ローカルネットワーク6に対する検索コマンドD10のユニキャスト送信を行う前に、ローカルネットワーク6に対する検索コマンドD10をブロードキャスト送信するようにしても良い。すなわち、連携アプリケーション30は、ブロードキャスト検索部40を再度機能させ、IPアドレス「152.17.10.255」に対して検索コマンドD10を送信するのである。このような検索コマンドD10が無線通信装置4を通過してローカルネットワーク6へ送出されるか否かは、無線通信装置4のルーター設定に依存する。つまり、連携アプリケーション30は、ローカルネットワーク6に対する検索コマンドをブロードキャスト送信することによって画像形成装置3a,3b,3cの検出が可能であるケースもある。そして検索コマンドD10のユニキャスト送信を行う前に、ブロードキャスト送信によって画像形成装置3a,3b,3cを検出することができれば、その後にユニキャスト送信を行う必要がなくなるため、連携アプリケーション30による処理を効率化できるという利点がある。
【0072】
以上のように、本実施形態の情報処理装置2は、ローカルネットワーク6に設けられる第1の画像形成装置3aと近距離無線通信を行う第1無線通信部14と、ローカルネットワーク6に接続される無線通信装置4と無線通信を行う第2無線通信部15とを有している。そして情報処理装置2は、第1無線通信部14に第1の画像形成装置3aとの近距離無線通信を行わせることにより、ローカルネットワーク6における第1の画像形成装置3aのIPアドレスを取得し、そのIPアドレスに基づき、ローカルネットワーク6に設けられる第2の画像形成装置3b,3cを検索する検索コマンドD10を、第2無線通信部15から無線通信装置4を介してローカルネットワーク6にユニキャスト送信する構成である。
【0073】
このような構成によれば、情報処理装置2は、第2無線通信部15が無線通信を行うローカルネットワーク7とは異なるローカルネットワーク6に画像形成装置3a,3b,3cが設けられている場合でも、ローカルネットワーク6に対して検索コマンドD10をユニキャスト送信することにより、それらの画像形成装置3a,3b,3cを検出することができるようになる。またこのような検索方法は、情報処理システム1に特別なサーバーを設置する必要がないため、簡単且つ安価に、画像形成装置3a,3b,3cの情報を収集できるという利点がある。
【0074】
以上、本発明に関する実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0075】
例えば上記実施形態では、連携アプリケーション30が印刷データの送信先となる画像形成装置3a,3b,3cを検索する場合を説明した。しかし、連携アプリケーション30が検索した画像形成装置3a,3b,3cは、必ずしも印刷データの送信先として利用されるものに限られない。すなわち、連携アプリケーション30は、上述した検索方法で検出した画像形成装置3a,3b,3cと連携してジョブを実行するものであれば良い。そのようなジョブは、印刷ジョブに限られず、例えばスキャンジョブであっても良いし、またFAXジョブであっても良い。
【符号の説明】
【0076】
1 情報処理システム
2 情報処理装置
3a,3b,3c 画像形成装置
12 表示部(表示手段)
14 第1無線通信部(第1の無線通信手段)
15 第2無線通信部(第2の無線通信手段)
17 アプリケーションプログラム(プログラム)
30 連携アプリケーション
31 検索部
32 表示制御部(表示制御手段)
33 印刷データ送信部(印刷データ送信手段)
40 ブロードキャスト検索部(ブロードキャスト検索手段)
50 アドレス取得部(アドレス取得手段)
60 ユニキャスト検索部(ユニキャスト検索手段)