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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】X線位相イメージング装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
A61B6/00 330Z
A61B6/00 300B
A61B6/00 300J
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020558082
(86)(22)【出願日】2019-08-01
(86)【国際出願番号】 JP2019030293
(87)【国際公開番号】W WO2020105224
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2018217576
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】土岐 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】木村 健士
(72)【発明者】
【氏名】白井 太郎
(72)【発明者】
【氏名】森本 直樹
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-120651(JP,A)
【文献】特開2012-110395(JP,A)
【文献】特開2012-95865(JP,A)
【文献】特開昭54-27788(JP,A)
【文献】特開2013-180040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項9】
前記風よけ部材は、X線吸収部材を含み、
前記開口部は、前記X線吸収部材に形成された開口である、請求項8に記載のX線位相イメージング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線位相イメージング装置に関し、X線源を冷却する冷却ファンを備えるX線位相イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線源を冷却する冷却ファンを備えるX線位相イメージング装置が知られている。このようなX線位相イメージング装置は、たとえば、特開2012-110395号公報に開示されている。
【0003】
特開2012-110395号公報のX線撮影システムは、X線源と、X線源の照射方向に配置されたフラットパネル検出器と、X線源とフラットパネル検出器との間において、X線源の近傍に設けられたマルチスリットと、マルチスリットとフラットパネル検出器との間に配置された格子とを含む複数の格子と、画像データを演算処理して位相コントラスト画像を生成する演算処理部とを備えている。なお、位相コントラスト画像とは、吸収像と、位相微分像と、暗視野像とを含んでいる。吸収像とは、X線が被写体を通過した際に生じるX線の減衰に基づいて画像化した像である。また、位相微分像とは、X線が被写体を通過した際に発生するX線の位相のずれをもとに画像化した像である。また、暗視野像とは、物体の小角散乱に基づくVisibilityの変化によって得られる、Visibility像のことである。また、暗視野像は、小角散乱像とも呼ばれる。「Visibility」とは、鮮明度のことである。
【0004】
また、特開2012-110395号公報のX線源は、X線源を冷却するためのX線管冷却器を有している。X線冷却器は、ファンを駆動させることにより、X線源を冷却している。特開2012-110395号公報に記載されているX線冷却器は、X線源に直接(接触して)設けられている。そのため、X線冷却器のファンを駆動させた際に生じる振動によって、X線源が振動する。X線源が振動した場合、位相コントラスト画像の画質が劣化する。そこで、特開2012-110395号公報に記載されているX線撮影システムは、X線冷却器によってX線源が振動している場合に、X線冷却器による空冷を停止するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-110395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開2012-110395号公報では、X線源の振動を抑制するために、X線冷却器の駆動を停止する構成であるため、X線源を冷却しながら撮像することができないという不都合がある。そのため、X線源を冷却しながら撮像できるようにすることが望まれている。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、X線源を冷却しながら撮像することが可能なX線位相イメージング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるX線位相イメージング装置は、X線源と、X線源から照射されたX線を検出する検出器と、X線源と検出器との間に配置された複数の格子と、検出器により検出されたX線の強度分布に基づいて、位相コントラスト画像を生成する画像処理部と、X線源から離間して設けられ、X線源に対して送風することによりX線源を冷却する冷却ファンと、冷却ファンからの風のうち、複数の格子の方向に向かう風を遮蔽する風よけ部材と、を備える。
【0009】
この発明の一の局面におけるX線位相イメージング装置では、上記のように、X線源から離間して設けられ、X線源に対して送風することによりX線源を冷却する冷却ファンと、冷却ファンからの風のうち、複数の格子の方向に向かう風を遮蔽する風よけ部材を備える。これにより、冷却ファンによってX線源が振動することを抑制することができる。その結果、X線源を冷却しながら撮像することができる。ここで、冷却ファンをX線源から離間して設けた場合、冷却ファンから格子に向かう風によって、格子が振動する場合がある。格子が振動すると、得られる画像の画質が劣化する。そこで、上記のように構成することにより、冷却ファンによってX線源を冷却する際の風が複数の格子の方向に向かった場合でも、冷却ファンからの風が風よけ部材によって遮蔽されるため、複数の格子が風によって振動することを抑制することができる。その結果、X線源を冷却しながら撮像する場合でも、得られる画像の画質が劣化することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記のように、X線源を冷却しながら撮像することが可能なX線位相イメージング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態によるX線位相イメージング装置の全体構成を示す模式図である。
図2】一実施形態によるX線位相イメージング装置が備える格子移動機構の斜視図である。
図3】一実施形態による風よけ部材の構造を説明するための斜視図である。
図4】一実施形態によるX線源、第1格子、冷却ファンおよび風よけ部材の配置を説明するための模式図である。
図5】タルボ干渉計において格子を並進移動させながらモアレ縞画像を取得する方法を説明するための模式図である。
図6】タルボ干渉計において、取得されたステップカーブから位相コントラスト画像を生成する方法を説明するための模式図である。
図7】一実施形態によるX線位相イメージング装置によって取得される吸収像の模式図である。
図8】一実施形態によるX線位相イメージング装置によって取得される位相微分像の模式図である。
図9】一実施形態によるX線位相イメージング装置によって取得される暗視野像の模式図である。
図10】比較例による位相コントラスト画像を説明するための模式図である。
図11】一実施形態による位相コントラスト画像を説明するための模式図である。
図12】第1変形例による風よけ部材の構成を説明するための模式図である。
図13】第2変形例による風よけ部材の構成を説明するための模式図である。
図14】第3変形例による冷却ファンの構成を説明するための模式図である。
図15】第4変形例によるX線源、第1格子、冷却ファンおよび風よけ部材の配置を説明するための模式図である。
図16】第5変形例によるX線位相イメージング装置の全体構成を示す模式図である。
図17】第6変形例によるX線位相イメージング装置の全体構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1図11を参照して、一実施形態によるX線位相イメージング装置100の構成について説明する。
【0014】
(X線位相イメージング装置の構成)
まず、図1を参照して、本発明の本実施形態によるX線位相イメージング装置100の構成について説明する。
【0015】
図1に示すように、X線位相イメージング装置100は、タルボ(30albot)効果を利用して、被写体20の内部を画像化する装置である。X線位相イメージング装置100は、複数の格子のうち、いずれか1つを、格子の周期方向(Y方向)に並進移動させながら被写体20を撮像するように構成されている。
【0016】
図1に示すように、X線位相イメージング装置100は、X線源1と、検出器2と、複数の格子と、画像処理部6と、冷却ファン7と、風よけ部材8と、制御部9と、記憶部10と、格子移動機構11と、を備えている。複数の格子は、第1格子3と第2格子4と第3格子5とを含む。なお、本明細書において、X線源1から第1格子3の方向に向かう方向をZ2方向、その逆向きの方向をZ1方向とする。また、Z方向と直交する面内の左右方向をX方向とし、図1の紙面の奥に向かう方向をX2方向、図1の紙面の手前側に向かう方向をX1方向とする。また、Z方向と直交する面内の上下方向をY方向とし、図1の紙面の上方向をY1方向、図1の紙面の下方向をY2方向とする。
【0017】
X線源1は、高電圧が印加されることにより、X線を発生させるとともに、発生されたX線を第1格子3に向けて照射するように構成されている。なお、本実施形態において、X線源1は、電子線を発生させるための陰極(図示せず)、電子線が衝突することによりX線を発生させる陽極、陰極と陽極との間に電圧を印加する電圧印加部(図示せず)などを含み、陰極、陽極および電圧印加部が筐体(図示せず)に備えられたX線発生装置である。
【0018】
検出器2は、X線を検出するとともに、検出されたX線を電気信号に変換し、変換された電気信号を画像信号として読み取るように構成されている。検出器2は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)である。検出器2は、複数の変換素子(図示せず)と複数の変換素子上に配置された画素電極(図示せず)とにより構成されている。複数の変換素子および画素電極は、所定の周期(画素ピッチ)で、X方向およびY方向にアレイ状に配列されている。また、検出器2は、取得した画像信号を、画像処理部6に出力するように構成されている。
【0019】
第1格子3は、Y方向に所定の周期(ピッチ)30で配列される複数のX線透過部3aおよびX線吸収部3bを有する。各X線透過部3aおよびX線吸収部3bはそれぞれ、直線状に延びるように形成されている。また、各X線透過部3aおよびX線吸収部3bはそれぞれ、平行に延びるように形成されている。第1格子3は、いわゆる、マルチスリットである。
【0020】
第1格子3は、X線源1と第2格子4との間に配置されている。第1格子3は、各X線透過部3aを通過したX線を線光源とするように構成されている。3枚の格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)のピッチと格子間の距離とが一定の条件を満たすことにより、X線源1から照射されるX線の可干渉性を高めることが可能である。これを、ロー効果という。これにより、X線源1の管球の焦点サイズが大きくても干渉強度を保持できる。
【0021】
第2格子4は、Y方向に所定の周期(ピッチ)31で配列される複数のスリット4a、および、X線位相変化部4bを有している。各スリット4aおよびX線位相変化部4bはそれぞれ、直線状に延びるように形成されている。また、各スリット4aおよびX線位相変化部4bはそれぞれ、平行に延びるように形成されている。第2格子4は、いわゆる位相格子である。
【0022】
第2格子4は、X線源1と、第3格子5との間に配置されており、X線源1からX線が照射される。第2格子4は、タルボ効果により、第2格子4の自己像(図示せず)を形成するために設けられている。なお、可干渉性を有するX線が、スリットが形成された格子を通過すると、格子から所定の距離(タルボ距離)離れた位置に、格子の像(自己像)が形成される。これをタルボ効果という。
【0023】
第3格子5は、Y方向に所定の周期(ピッチ)32で配列される複数のX線透過部5aおよびX線吸収部5bを有する。各X線透過部5aおよびX線吸収部5bはそれぞれ、直線状に延びるように形成されている。また、各X線透過部5aおよびX線吸収部5bはそれぞれ、平行に延びるように形成されている。第3格子5は、いわゆる、吸収格子である。第1格子3、第2格子4、および第3格子5は、それぞれ異なる役割を持つ格子であるが、X線透過部3a、スリット4aおよびX線透過部5aは、それぞれ、X線を透過させる。また、X線吸収部3bおよびX線吸収部5bは、それぞれ、X線を遮蔽する役割を担っており、X線位相変化部4bはスリット4aとの屈折率の違いによってX線の位相を変化させる。
【0024】
第3格子5は、第2格子4と検出器2との間に配置されており、第2格子4を通過したX線が照射される。また、第3格子5は、第2格子4からタルボ距離離れた位置に配置される。第3格子5は、第2格子4の自己像と干渉して、検出器2の検出表面上にモアレ縞16(図5参照)を形成する。このように、本実施形態におけるX線位相イメージング装置100は、いわゆるタルボ・ロー干渉計により構成される。
【0025】
画像処理部6は、検出器2から出力された画像信号に基づいて、位相コントラスト画像41(図7参照)を生成するように構成されている。本実施形態では、画像処理部6は、たとえば、位相コントラスト画像41として、吸収像42(図7参照)、位相微分像43(図8参照)および暗視野像44(図9参照)を生成する。画像処理部6は、たとえば、GPU(Graphics Processing Unit)または画像処理用に構成されたFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプロセッサを含む。
【0026】
冷却ファン7は、制御部9の制御の下、X線源1に対して送風することによりX線源1を冷却するように構成されている。冷却ファン7は、羽部材(図示せず)、モータ(図示せず)などを含む。冷却ファン7は、モータによって羽部材を回転させることにより、風50(図4参照)を生じさせる。図1に示すように、冷却ファン7は、X線源1から離間して設けられている。なお、冷却ファン7が、X線源1から離間して設けられているとは、冷却ファン7とX線源1とが、互いに直接接続していない(接触していない)こと、および、冷却ファン7とX線源1とが、共通の固定部材を介して間接的に接続されていないことを意味する。すなわち、X線源1と冷却ファン7とは、それぞれ個別に固定部材(図示せず)に保持されている。また、冷却ファン7は、X線源1の筐体内部において、熱せられた空気を排気するために設けられるファンとは異なるファンである。すなわち、冷却ファン7は、X線装置の筐体内部に設けられるファンとは別に、X線装置の外部からX線の焦点1aを冷却するために設けられるファンである。
【0027】
風よけ部材8は、冷却ファン7からの風50のうち、複数の格子の方向に向かう風51(図4参照)を遮蔽するように構成されている。図1に示すように、風よけ部材8と複数の格子とは、それぞれ別々の固定部材12、固定部材13、固定部材14および固定部材15に保持されている。固定部材12、固定部材13、固定部材14および固定部材15は、それぞれ、Y方向に延びるように構成されている。固定部材12、固定部材13、固定部材14および固定部材15は、ぞれぞれ、第1格子3、第2格子4、第3格子5および風よけ部材8を、それぞれ、Y2方向から保持するように構成されている。固定部材12、固定部材13、固定部材14および固定部材15は、第1格子3、第2格子4、第3格子5、および風よけ部材8を保持することが可能であれば、どのような形状に形成されていてもよい。なお、風よけ部材8を保持する固定部材15と、各格子を保持する固定部材12、固定部材13および固定部材14とは、風よけ部材8に風50が当たることにより生じる振動が格子に伝搬しないようにするため、互いに離間した位置に配置されている。また、風よけ部材8を保持する固定部材15は、X線源1から離間した位置に設けられている。すなわち、風よけ部材8は、X線源1とは別体であり、かつ、X線源1(X線装置)から離間した位置に設けられている。また、各固定部材は、それぞれ、X線位相イメージング装置100の筐体(図示せず)に固定されている。
【0028】
制御部9は、冷却ファン7を制御して、X線源1に対して送風するように構成されている。また、制御部9は、格子移動機構11を制御して、第2格子4を移動させるように構成されている。制御部9は、たとえば、CPU(Central Processing
Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。
【0029】
記憶部10は、制御部9が実行するプログラム、画像処理部6が生成した位相コントラスト画像41などを保存するように構成されている。記憶部10は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)や不揮発性のメモリなどを含む。
【0030】
格子移動機構11は、制御部9の制御の下、第2格子4を移動可能に構成されている。また、格子移動機構11は、固定部材13を介して、第2格子4を保持している。
【0031】
(格子移動機構)
図2に示すように、格子移動機構11は、X方向、Y方向、Z方向、Z方向の軸線周りの回転方向(Rz)、X方向の軸線周りの回転方向(Rx)、および、Y方向の軸線周りの回転方向(Ry)に第2格子4を移動可能に構成されている。具体的には、格子移動機構11は、X方向直動機構110と、Y方向直動機構111と、Z方向直動機構112と、直動機構接続部113と、ステージ支持部駆動部114と、ステージ支持部115と、ステージ駆動部116と、ステージ117とを含む。X方向直動機構110は、X方向に移動可能に構成されている。X方向直動機構110は、たとえば、モータなどを含む。Y方向直動機構111は、Y方向に移動可能に構成されている。Y方向直動機構111は、たとえば、モータなどを含む。Z方向直動機構112は、Z方向に移動可能に構成されている。Z方向直動機構112は、たとえば、モータなどを含む。
【0032】
格子移動機構11は、X方向直動機構110の動作により、第2格子4をX方向に移動させるように構成されている。また、格子移動機構11は、Y方向直動機構111の動作により、第2格子4をY方向に移動させるように構成されている。また、格子移動機構11は、Z方向直動機構112の動作により、第1格子3をZ方向に移動させるように構成されている。
【0033】
ステージ支持部115は、ステージ117を下方(Y2方向)から支持している。ステージ駆動部116は、ステージ117をX方向に往復移動させるように構成されている。ステージ117は、底部がステージ支持部115に向けて凸曲面状に形成されており、X方向に往復移動されることにより、Z方向の軸線周り(Rz方向)に回動するように構成されている。また、ステージ支持部駆動部114は、ステージ支持部115をZ方向に往復移動させるように構成されている。また、ステージ支持部115は底部が直動機構接続部113に向けて凸曲面状に形成されており、Z方向に往復移動されることにより、X方向の軸線周り(Rx方向)に回動するように構成されている。また、直動機構接続部113は、Y方向の軸線周り(Ry方向)に回動可能にX方向直動機構110に設けられている。したがって、格子移動機構11は、格子をY方向の中心軸線周りに回動させることができる。
【0034】
(風よけ部材の構成)
図3に示すように、風よけ部材8は、板状形状を有している。また、風よけ部材8は、X線源1から照射されるX線が通過する開口部80を有している。本実施形態では、風よけ部材8は、たとえば、X線吸収部材81を含む。X線吸収部材81は、たとえば、鉛、タングステンなどの重金属を含む。図3に示すように、開口部80は、X線吸収部材81に形成された開口である。すなわち、風よけ部材8は、板状形状を有するX線吸収部材81に開口部80を設けることによって形成されている。また、風よけ部材8は、風よけ部材8のXY平面における大きさが、第1格子3のXY平面における大きさと略等しくなるように形成されている。なお、風よけ部材8のXY平面における大きさが第1格子3のXY平面における大きさと略等しいとは、風よけ部材8と第1格子3とを光軸60方向に並べて配置した際に、風よけ部材8のXY平面で形成される領域が、第1格子3のXY平面で形成される領域を略覆うことが可能であることを意味する。
【0035】
(冷却ファンおよび風よけ部材の配置)
図4は、X線源1、第1格子3、冷却ファン7および風よけ部材8を、Y1方向から見た際の模式図である。図4に示すように、冷却ファン7は、送風口7aを含む。冷却ファン7は、X線の光軸60と交差する方向(X方向)から送風する位置に配置されている。具体的には、冷却ファン7は、X線源1と風よけ部材8との間に配置されている。本実施形態では、X線源1は、直線61および直線62で囲まれた照射範囲63にX線を照射するように構成されており、冷却ファン7は、X線の照射範囲63外で、かつ、X線源1と第1格子3との間に配置されている。具体的には、冷却ファン7は、送風口7aがX線の焦点1aの方向を向くように、X線源1と第1格子3との間において、光軸60と直交する向きに配置されている。冷却ファン7は、X線源1におけるX線の焦点1aに対して風50を当てることにより、X線源1を冷却するように構成されている。なお、図4に示す例では、便宜上、X線源1および冷却ファン7を小さく図示している。実際には、X線源1および冷却ファン7の大きさは、風よけ部材8および第1格子3よりも大きい。そのため、本実施形態では、冷却ファン7の筐体全体が、冷却ファン7がX線源1と風よけ部材8との間に配置されていない場合でも、送風口7aがX線源1と風よけ部材8との間に配置されていれば、冷却ファン7がX線源1と風よけ部材8との間に配置されているとする。
【0036】
風よけ部材8は、X線源1と複数の格子との間に配置されている。具体的には、風よけ部材8は、少なくとも、X線の光軸60上で、かつ、X線源1と第1格子3との間に配置されている。風よけ部材8は、冷却ファン7からの風50のうち、X線源1によって反射することにより第1格子3の方向に向かう風51を遮蔽するように構成されている。
【0037】
図4に示すように、風よけ部材8は、X線の光軸60上で、かつ、X線源1と第1格子3との間において、風よけ部材8とX線源1との間の距離33が、風よけ部材8と第1格子3との間の距離34よりも小さくなる位置に配置されている。
【0038】
(位相コントラスト画像の生成)
【0039】
次に、図5図9を参照して、画像処理部6が位相コントラスト画像41を生成する構成について説明する。
【0040】
本実施形態では、X線位相イメージング装置100は、格子移動機構11によって第2格子4を並進移動させることにより、図5に示すような各ステップのモアレ縞画像40を取得する。画像処理部6は、各ステップのモアレ縞画像40における同一画素17の画素値に基づいて、図6に示すようなステップカーブ46を取得する。なお、図6には、ステップカーブ46として、被写体20を配置せずに取得したステップカーブ47の例、および、被写体20を配置して取得したステップカーブ48の例を示している。図6に示すステップカーブ46の例は、各ステップと画素値の強度との関係を示すグラフである。図6中の丸印で示すプロットは、被写体20を配置せずに撮影した際の値を示している。また、図6中の四角印で示すプロットは、被写体20を配置して撮影した際の値を示している。
【0041】
図6に示すように、画像処理部6は、被写体20を配置して撮像した際のX線の平均強度(Cs)と、被写体20を配置せずに撮像した際のX線の平均強度(Cr)との比によって、吸収像42を生成する。また、画像処理部6は、被写体20を配置せずに撮像することにより取得したステップカーブ47と、被写体20を配置して撮像することにより取得したステップカーブ48との位相差(Δφ)を所定の算出によって求められた数を乗算することにより、位相微分像43を生成する。また、画像処理部6は、被写体20を配置せずに撮像した際のVisibility(Vr)と被写体20を配置して撮像した際のVisibility(Vs)との比によって、暗視野像44を生成する。Vrは、ステップカーブ47の振幅(Ar)と平均強度(Cr)との比によって求めることができる。また、Vsは、ステップカーブ48の振幅(As)と平均強度(Cs)との比によって求めることができる。
【0042】
図7図9は、位相コントラスト画像41の模式図である。画像処理部6は、上記のように、取得したステップカーブ47およびステップカーブ48に基づいて、図7に示す吸収像42と、図8に示す位相微分像43と、図9に示す暗視野像44とを生成する。
【0043】
(比較例)
図10は、風よけ部材8を配置せずに撮像された際の比較例による位相コントラスト画像45の模式図である。図10に示す例は、矩形形状を有する内部構造22(内部構造23、内部構造24および内部構造25)を含む被写体20を撮像した例である。比較例では、風よけ部材8を配置せずに撮像しているため、X線源1で反射した風51が第1格子3に到達する。この場合、第1格子3に振動が生じる。第1格子3に振動した場合、位相コントラスト画像45の画質が劣化する。具体的には、第1格子3が振動した場合、ステップカーブ46の形状が崩れるため、比較例による位相コントラスト画像45では、被写体20の輪郭21がぼけたり、内部構造22が不鮮明になったりする。なお、図10に示す例では、被写体20の輪郭21を二重線で図示することにより、被写体20の輪郭21のぼけを表している。また、図10に示す例では、内部構造23、内部構造24および内部構造25を、二重線で図示するとともに、矩形形状の角部分を丸く図示することにより、内部構造22の不鮮明さを表している。また、X線源1で反射した風51とは、X線源1によってはね返ることにより第1格子3に向かう風、および、X線源1によって方向が変えられることにより第1格子3に向かう風を含む。
【0044】
図11は、本実施形態によって撮像された位相コントラスト画像41の模式図である。本実施形態では、風よけ部材8を配置しているため、X線源1で反射した風51が第1格子3に到達することを抑制することができる。したがって、冷却ファン7から格子に向かう風51によって第1格子3に振動が生じることを抑制することができる。そのため、図11に示す位相コントラスト画像41のように、各内部構造22がそれぞれ鮮明に描写されるとともに、被写体20の輪郭21が鮮明に描写された画像を取得することができる。
【0045】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0046】
本実施形態では、上記のように、X線位相イメージング装置100は、X線源1と、X線源1から照射されたX線を検出する検出器2と、X線源1と検出器2との間に配置された複数の格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)と、検出器2により検出されたX線の強度分布に基づいて、位相コントラスト画像41を生成する画像処理部6と、X線源1から離間して設けられ、X線源1に対して送風することによりX線源1を冷却する冷却ファン7と、冷却ファン7からの風50のうち、複数の格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)の方向に向かう風51を遮蔽する風よけ部材8と、を備える。これにより、冷却ファン7によってX線源1が振動することを抑制することができる。その結果、X線源1を冷却しながら撮像することができる。また、冷却ファン7によってX線源1を冷却する際の風50が複数の格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)の方向に向かった場合でも、冷却ファン7からの風50および風51が風よけ部材8によって遮蔽されるため、複数の格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)が風50および風51によって振動することを抑制することができる。その結果、X線源1を冷却しながら撮像する場合でも、得られる位相コントラスト画像41の画質が劣化することを抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態では、上記のように、風よけ部材8と複数の格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)とは、それぞれ別々の固定部材(固定部材12、固定部材13、固定部材14および固定部材15)に保持されている。これにより、風よけ部材8と複数の格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)とを同一の固定部材に保持する構成とは異なり、風よけ部材8の振動が同一の固定部材を介して格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)に伝搬することを抑制することができる。その結果、冷却ファン7からの風50および風51が複数の格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)に直接当たることによって格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)が振動することを抑制することが可能であるとともに、冷却ファン7からの風50および風51によって生じた風よけ部材8の振動によって格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)が振動することを抑制することが可能となるので、格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)に振動が生じることをより抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態では、上記のように、冷却ファン7は、X線の光軸60と交差する方向(X方向)から送風する位置に配置されており、風よけ部材8は、X線源1と複数の格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)との間に配置されている。これにより、冷却ファン7からの風50がX線源1によって反射することにより格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)の方向に向かう場合でも、風よけ部材8によって複数の格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)の方向に向かう風51を遮蔽することができる。その結果、複数の格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)に風51が当たることを抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態では、上記のように、冷却ファン7は、X線源1と風よけ部材8との間に配置されている。これにより、X線源1によって反射することにより格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)の方向に向かう風51を遮蔽することが可能であるとともに、冷却ファン7から格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)の方向に向かう風50を遮蔽することができる。その結果、格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)に風50および風51が当たることをより一層抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態では、上記のように、複数の格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)は、X線源1から照射されるX線の可干渉性を高める第1格子3と、自己像を形成するための第2格子4とを含み、冷却ファン7は、X線の照射範囲63外で、かつ、X線源1と第1格子3との間に配置されており、風よけ部材8は、少なくとも、X線の光軸60上で、かつ、X線源1と第1格子3との間に配置されている。ここで、第1格子3は、複数の格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)のうち、最もX線源1に近い位置に配置されるとともに、格子の周期30が他の格子の周期(第2格子4の周期31、および、第3格子5の周期32)よりも小さい。したがって、第1格子3に生じる振動がわずかであったとしても、位相コントラスト画像41の画質に対する影響が、他の格子(第2格子4、および、第3格子5)よりも大きい。そこで、上記のように構成することにより、冷却ファン7からの風50が第1格子3に当たることを抑制することができる。その結果、冷却ファン7からの風50によって第1格子3が振動することを抑制することが可能となるので、位相コントラスト画像41の画質が劣化することを抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、上記のように、風よけ部材8は、板状形状を有しているとともに、冷却ファン7からの風50のうち、X線源1によって反射することにより第1格子3の方向に向かう風51を遮蔽するように構成されている。これにより、風よけ部材8によって、冷却ファン7からの風50およびX線源1によって反射した風51が第1格子3に当たることを抑制することができる。その結果、第1格子3に振動が生じることをより抑制することが可能となるので、位相コントラスト画像41の画質が劣化することをより抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、上記のように、風よけ部材8は、X線の光軸60上で、かつ、X線源1と第1格子3との間において、風よけ部材8とX線源1との間の距離33が、風よけ部材8と第1格子3との間の距離34よりも小さくなる位置に配置されている。これにより、風よけ部材8をX線源1の近傍に配置することが可能となるので、X線源1によって反射した風51が拡散する前に遮蔽することができる。その結果、第1格子3の近傍に風よけ部材8を配置する構成と比較して、風よけ部材8の大きさを小さくすることができる。
【0053】
また、本実施形態では、上記のように、風よけ部材8は、X線の光軸60上で、かつ、X線源1と複数の格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)との間に配置されるとともに、X線源1から照射されるX線が通過する開口部80を有している。これにより、風よけ部材8が開口部80を有していない構成と異なり、風よけ部材8によるX線の減衰が生じることを抑制することができる。その結果、検出器2で検出されるX線の線量が風よけ部材8によって減少することを抑制することが可能となるので、位相コントラスト画像41のコントラストが低下することを抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、上記のように、風よけ部材8は、X線吸収部材81を含み、開口部80は、X線吸収部材81に形成された開口である。これにより、X線源1から照射されたX線のうち、開口部80以外に照射されるX線は、X線吸収部材81によって吸収される。そのため、X線が開口部80以外から透過することを抑制することができる。したがって、X線源1から照射されるX線の照射範囲63が開口部80より大きくなるような焦点サイズのX線源1を用いることができる。その結果、X線源1の選択の自由度を向上させることができる。
【0055】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態および作用、効果の記載は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく、請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0056】
たとえば、上記実施形態では、風よけ部材8が、板状形状を有するX線吸収部材81に開口部80を設けることにより構成される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図1の風よけ部材8に代えて、図12に示すような風よけ部材8aを設けてもよい。風よけ部材8aは、X線吸収部材81と、X線透過部材82とを含んでいてもよい。具体的には、風よけ部材8aは、開口部80を有するX線吸収部材81と、X線吸収部材81を取り囲むように設けられたX線透過部材82とによって形成されていてもよい。X線透過部材82は、たとえば、樹脂またはガラスなどを含む。
【0057】
また、上記実施形態では、風よけ部材8が開口部80を有する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図1に示す風よけ部材8に代えて、図13に示すような風よけ部材8bを設けてもよい。風よけ部材8bは、開口部80を有していなくてもよい。なお、風よけ部材8bが開口部80を有していない構成の場合、風よけ部材8bは、X線透過部材82によって形成されることが好ましい。なお、風よけ部材8bをX線透過部材82によって形成する場合でも、風よけ部材8bによるX線の減衰がわずかに生じるため、開口部80を設ける構成の方が好ましい。また、風よけ部材8bがX線透過部材82によって形成されるとともに、開口部80を有する構成の場合、開口部80と風よけ部材8bとの屈折率の違いなどにより、X線が回折することを抑制するため、開口部80を通過したX線のみが検出器2によって検出されるように、X線の照射範囲63を調整することが好ましい。
【0058】
また、上記実施形態では、冷却ファン7からX線源1の焦点1aに向けて直接風50を送風する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図1に示す冷却ファン7に代えて、図14に示すよう冷却ファン70を備えていてもよい。冷却ファン70は、冷却ファン70から拡散する風52の向きを調整し、所定の方向に送風するためのダクト71が設けられていてもよい。冷却ファン70にダクト71を設けることにより、冷却ファン70からの風52を集約してX線源1の焦点1aに対して送ることが可能となるので、X線源1の冷却効率を向上させることができる。なお、ダクト71は、冷却ファン70の送風口70aの周囲に接触した状態で、冷却ファン70に設けられている。
【0059】
また、上記実施形態では、冷却ファン7がX線源1と風よけ部材8との間に配置される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図15に示すように、冷却ファン7は、風よけ部材8と第1格子3との間に配置されていてもよい。なお、冷却ファン7を、風よけ部材8と第1格子3との間に配置する場合、冷却ファン7から直接第1格子3に向かう風53を遮蔽するとともに、冷却ファン7からの風54が風よけ部材8によって反射し、第1格子3の方向に向かうことを抑制するために、第2風よけ部材8cをさらに設けることが好ましい。
【0060】
また、上記実施形態では、複数の格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)が固定部材12、固定部材13、および固定部材14によって、Y2方向から保持される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図1に示す固定部材12、固定部材13および固定部材14に代えて、図16に示すように、X線位相イメージング装置100は、固定部材120、固定部材130、固定部材140と、各固定部材および格子移動機構11をY1方向から保持する梁部18を備え、複数の格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)をY1方向から保持するように構成されていてもよい。すなわち、複数の格子(第1格子3、第2格子4、および、第3格子5)を吊り下げることによって保持する構成であってもよい。この場合、風よけ部材8は、X線位相イメージング装置100の底面などに固定された固定部材15によって保持すればよい。
【0061】
また、上記実施形態では、複数の格子として、第1格子3、第2格子4および第3格子5を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、検出器の画素ピッチの大きさが、自己像の周期よりも小さければ、検出器によって自己像を直接解像することができる。そのため、図1に示す検出器2に代えて、画素ピッチの大きさが自己像の周期よりも小さい検出器2を備える場合には、図17に示すX線位相イメージング装置100のように、複数の格子として、第1格子3および第2格子4を備える構成であってもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、風よけ部材8のXY平面における大きさが、第1格子3のXY平面における大きさと略等しくなる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。X線源1によって反射された風51が、第1格子3の一部分にしか当たらない場合には、風よけ部材8のXY平面における大きさは、第1格子3のXY平面における大きさよりも小さくてもよい。第1格子3に当たる風51を遮蔽することが可能であれば、風よけ部材8の大きさはどの様な大きさであってもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、風よけ部材8が、X線の光軸60上で、かつ、X線源1と第1格子3との間に配置される構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、被写体20に対して風50を当てながら撮像する場合、風よけ部材8は、被写体20と格子との間に配置されてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、冷却ファン7からの風50およびX線源1によって反射した風51を遮蔽するために風よけ部材8が設けられる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、風よけ部材8に加えて、空調などからの風を遮蔽するための風よけ部材をさらに設けてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、風よけ部材8が板状形状を有しており、X線源1と第1格子3との間に配置する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、風よけ部材8は、湾曲した形状を有していていもよい。また、たとえば、風よけ部材8は、箱型の形状を有しており、内部に第1格子3を配置することにより、冷却ファン7からの風50(風51)を遮蔽するように構成されていてもよい。冷却ファン7からの風50(風51)を遮蔽することが可能であれば、風よけ部材8は、どのような形状を有していてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 X線源
2 検出器
3 第1格子(複数の格子)
4 第2格子(複数の格子)
5 第3格子(複数の格子)
6 画像処理部
7 冷却ファン
8、8a、8b、8c 風よけ部材
12、13、14、15 固定部材
20 被写体
33 風よけ部材とX線源との間の距離
34 風よけ部材と第1格子との間の距離
41 位相コントラスト画像
50 風(冷却ファンからの風)
51 X線源によって反射することにより第1格子の方向に向かう風
60 X線の光軸
63 X線の照射範囲
80 開口部
81 X線吸収部材
100 X線位相イメージング装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17