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特許7074255カラーマッチング支援装置、カラーマッチング支援方法、およびカラーマッチング支援プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】カラーマッチング支援装置、カラーマッチング支援方法、およびカラーマッチング支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20220517BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20220517BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20220517BHJP
   H04N 1/34 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
H04N1/00
G06Q50/10
G06F3/12
H04N1/34
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021194659
(22)【出願日】2021-11-30
【審査請求日】2021-11-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆太郎
(72)【発明者】
【氏名】後澤 尚人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀明
(72)【発明者】
【氏名】高山 慶典
(72)【発明者】
【氏名】碇 彩音
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-231388(JP,A)
【文献】特開2019-041173(JP,A)
【文献】特開2019-009556(JP,A)
【文献】特開2000-207561(JP,A)
【文献】特開2002-112054(JP,A)
【文献】特開2000-050091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G06Q 50/10
G06F 3/12
H04N 1/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ色空間の色値に測色的色空間の点を対応づける順方向色再現情報と、前記測色的色空間の点に前記データ色空間の色値を対応づける逆方向色再現情報とを記憶する記憶部と、
前記逆方向色再現情報を用い、前記測色的色空間の点に対応づけられた前記データ色空間の色値を前記点の色として再現する表示装置を対象とし、前記表示装置が再現する色を目的の色に近づける色調整部と、
を備えるカラーマッチング支援装置であって、
前記色調整部は、
前記測色的色空間のなかの制御点の位置に前記制御点を示すように、操作画面を前記表示装置に表示させて、前記操作画面の操作を通じて前記制御点の調整先となる点を受け付ける処理と、
前記調整先となる点を対応づけられる前記データ色空間の色値が前記制御点に対応づけられる変換を、前記測色的色空間における複数の調整点に適用し、これによって、前記逆方向色再現情報における各調整点と前記データ色空間の色値との対応づけを書き換える処理と、を実行する
カラーマッチング支援装置。
【請求項2】
前記色調整部は、
前記対応づけを書き換える処理において、
前記順方向色再現情報において前記調整先となる点を対応づけられる前記データ色空間の色値を、前記順方向色再現情報を用いて算出する
請求項1に記載のカラーマッチング支援装置。
【請求項3】
前記色調整部は、
前記対応づけを書き換える処理において、
前記逆方向色再現情報に予め定められる前記測色的色空間の点を参照し、当該点を前記調整点として用いる
請求項1または2に記載のカラーマッチング支援装置。
【請求項4】
前記色調整部は、
前記制御点の調整先となる点を受け付ける処理において、
前記測色的色空間のなかの制御点の位置に前記制御点を色として再現するように、前記操作画面を前記表示装置に表示させて、前記操作画面の操作を通じて前記制御点の調整先となる点を受け付け、これによって、前記順方向色再現情報において前記調整先となる点を対応づけられる前記データ色空間の色値を算出し、当該算出された色値に基づいて前記表示装置が再現する色を表示するように、前記操作画面を更新する
請求項1から3のいずれか一項に記載のカラーマッチング支援装置。
【請求項5】
前記制御点の座標値は、明度値、彩度値、および色相値と可逆変換する色空間における座標値であり、かつ、有彩色を示す座標値を含み、
前記色調整部は、
前記操作画面を更新する処理において、
前記制御点の座標値を明度値、彩度値、および色相値に変換し、前記制御点の位置を明度彩度色相座標系に示す前記操作画面を前記表示装置に表示させて、前記制御点の調整先となる点として明度値、彩度値、および色相値を受け、これによって、前記調整先となる点である明度値、彩度値、および色相値を制御点の座標値に変換し、当該変換された前記制御点の座標値を前記順方向色再現情報において対応づけられる前記データ色空間の色値を算出し、当該算出された色値に基づいて前記表示装置が再現する色を表示するように、前記操作画面を更新する
請求項4に記載のカラーマッチング支援装置。
【請求項6】
前記制御点は、有彩色を示すLAB値を含み、
前記色調整部は、
前記操作画面を更新する処理において、
前記LAB値をLCH値に変換し、前記制御点の位置をLCH座標系に示す前記操作画面を前記表示装置に表示させて、前記制御点の調整先となる点としてLCH値を受け、これによって、前記調整先となる点であるLCH値をLAB値に変換し、当該変換されたLAB値を前記順方向色再現情報において対応づけられる前記データ色空間の色値を算出し、当該算出された色値に基づいて前記表示装置が再現する色を表示するように、前記操作画面を更新する
請求項4に記載のカラーマッチング支援装置。
【請求項7】
前記色調整部は、
前記操作画面に表示された前記明度彩度色相座標系における前記制御点の移動操作によって前記制御点の調整先となる点を受け付ける
請求項5に記載のカラーマッチング支援装置。
【請求項8】
前記色調整部は、
前記操作画面に表示された前記LCH座標系における前記制御点の移動操作によって前記制御点の調整先となる点を受け付ける
請求項6に記載のカラーマッチング支援装置。
【請求項9】
前記制御点は、有彩色制御点と、無彩色制御点とを備え、
前記色調整部は、
前記対応けを書き換える処理において、
前記有彩色制御点の調整先となる点を対応づけられる前記データ色空間の色値が前記有彩色制御点に対応づけられる変換と、前記無彩色制御点の調整先となる点を対応づけられる前記データ色空間の色値が前記無彩色制御点に対応づけられる変換とを合成した変換を、前記測色的色空間における複数の調整点に適用し、これによって、前記逆方向色再現情報における各調整点と前記データ色空間の色値との対応づけを書き換える
請求項1から8のいずれか一項に記載のカラーマッチング支援装置。
【請求項10】
データ色空間の色値に測色的色空間の点を対応づける順方向色再現情報と、前記測色的色空間の点に前記データ色空間の色値を対応づける逆方向色再現情報とを記憶する記憶部と、
前記逆方向色再現情報を用い、前記測色的色空間の点に対応づけられた前記データ色空間の色値を前記点の色として再現する表示装置を対象とし、前記表示装置が再現する色を目的の色に近づける色調整部と、
を用いるカラーマッチング支援方法であって、
前記色調整部は、
前記測色的色空間のなかの制御点の位置に前記制御点を示すように、操作画面を前記表示装置に表示させて、前記操作画面の操作を通じて前記制御点の調整先となる点を受け付ける処理と、
前記調整先となる点を対応づけられる前記データ色空間の色値が前記制御点に対応づけられる変換を、前記測色的色空間における複数の調整点に適用し、これによって、前記逆方向色再現情報における各調整点と前記データ色空間の色値との対応づけを書き換える処理と、を実行する
カラーマッチング支援方法。
【請求項11】
カラーマッチング支援装置を、
データ色空間の色値に測色的色空間の点を対応づける順方向色再現情報と、前記測色的色空間の点に前記データ色空間の色値を対応づける逆方向色再現情報とを記憶する記憶部と、
前記逆方向色再現情報を用い、前記測色的色空間の点に対応づけられた前記データ色空間の色値を前記点の色として再現する表示装置を対象とし、前記表示装置が再現する色を目的の色に近づける色調整部として機能させる、カラーマッチング支援プログラムであって、
前記色調整部に、
前記測色的色空間のなかの制御点の位置に前記制御点を示すように、操作画面を前記表示装置に表示させて、前記操作画面の操作を通じて前記制御点の調整先となる点を受け付ける処理と、
前記調整先となる点を対応づけられる前記データ色空間の色値が前記制御点に対応づけられる変換を、前記測色的色空間における複数の調整点に適用し、これによって、前記逆方向色再現情報における各調整点と前記データ色空間の色値との対応づけを書き換える処理と、を実行させる
カラーマッチング支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カラーマッチング支援装置、カラーマッチング支援方法、およびカラーマッチング支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターやレーザープリンターなどの出力装置は、減法混色に基づいて色を再現する。液晶モニターやプロジェクターなどの表示装置は、加法混色によって色を再現する。出力装置の再現する色に表示装置の再現する色を近づけることは、表示装置が再現する色に基づいて色校正が行われることにより印刷物の色をユーザーの意図した色にする。
【0003】
出力装置が再現する色を表示装置に再現するカラーマッチングは、装置の色再現情報のプロファイルを用いる。プロファイルは、装置に入力されるデータ色空間上の色値と装置が再現する色の測色的色空間上の測色値との関係を記述する。測色値は、人の色知覚を心理物理量として数値化した値である。測色値の一致は、知覚色の一致である。カラーマッチングは、出力装置に入力した色値が再現した色の測色値と表示装置に入力する色値が再現する色の測色値とを一致させるように、出力装置に入力したデータ値から表示装置に入力するデータ値への色変換を行う。カラーマッチングにおける2つの装置のデータ色空間を対応付けていることに着目すれば、測色値の色空間は、プロファイルにおいてプロファイル結合空間(以下単に、PCS(Profile Connection Space)とも言う)として機能する。
【0004】
出力装置のプロファイルである出力プロファイルは、例えば、データ色空間であるCMYK色空間の色値に測色的色空間であるCIELAB色空間の測色値を対応づける。表示装置のプロファイルであるディスプレイプロファイルは、例えば、測色的色空間であるCIELAB色空間の測色値にデータ色空間であるRGB色空間の色値を対応づける。プロファイルは、装置に入力されるデータの色空間とPCSとを対応づける情報を、様々な形式によって記述する。出力装置などの出力装置は、PCSをCIELAB色空間としたルックアップテーブル形式を主に用いる。表示装置は、PCSをCIEXYZ色空間としたTRC-Matrixモデル形式を主に用いる。表示装置は、PCSをCIEXYZ色空間としたルックアップテーブル形式も用いる。この場合、PCSは、CIEXYZ色空間の他にCIELAB色空間でもよい。また、CIEXYZ色空間とCIELAB色空間とは、相互に可逆に色変換できる。
【0005】
カラーマッチングは、出力プロファイルを用いて、印刷用画像データの色値をPCSの測色値に順方向色変換する。カラーマッチングは、ディスプレイプロファイルを用いて、出力プロファイルによって変換されたPCSの測色値をRGB色空間の色値に逆方向色変換し、このRGB色空間の色値を用いて画像を表示させる。
【0006】
出力プロファイルは、例えば、出力装置が印刷した色パッチの測色値をPCSの測色値として用い、印刷用画像データの色値とPCSの測色値との関係に基づいて作成される。ディスプレイプロファイルは、例えば、表示装置が表示した色パッチの測色値をPCSの測色値として用い、表示用画像データの色値とPCSの測色値との関係に基づいて作成される。
【0007】
一方、出力装置が印刷した色パッチを観察する環境は、D50の基準光源を白色値とするようなPCSの基準から少なからず差異を生じるため、印刷された色パッチの測色値と実際の観察環境での色知覚との間に差異を生じさせる。また、表示装置が色パッチを表示する際の演算では、表示装置の最大出力を基準として正規化を行うため、色パッチのPCSの測色値と表示装置に実際に表示された色パッチの測色値との間にも差異を生じさせる。
【0008】
印刷された色パッチの測色値と実際のPCSの測色値との差異、および表示された色パッチの測色値と実際のPCSの測色値との差異は、カラーマッチングの精度を大きく低下させてしまう。そこで、上述したカラーマッチングの分野には、所定照明光下における印刷媒体の測色値を、出力プロファイルの白色基準値に適用し、かつディスプレイプロファイルの白色基準値にも適用することが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2005-94400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、1つの印刷媒体の測色値を、出力プロファイルの白色基準値に適用し、かつディスプレイプロファイルの白色基準値にも適用することは、出力プロファイルの基準にディスプレイプロファイルの基準を一致させ、これによって、カラーマッチングの精度が低下することを抑える。
【0011】
しかし、印刷媒体およびディスプレイ表示の測色値を得るための専用測色装置が要求されるカラーマッチングは、カラーマッチングの利便性を高める観点において、依然として改善の余地を残している。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するためのカラーマッチング支援装置は、データ色空間の色値に測色的色空間の点を対応づける順方向色再現情報と、前記測色的色空間の点に前記データ色空間の色値を対応づける逆方向色再現情報とを記憶する記憶部と、前記逆方向色再現情報を用い、前記測色的色空間の点に対応づけられた前記データ色空間の色値を前記点の色として再現する表示装置を対象とし、前記表示装置が再現する色を目的の色に近づける色調整部と、を備えるカラーマッチング支援装置である。前記色調整部は、前記測色的色空間のなかの制御点の位置に前記制御点を示すように、操作画面を前記表示装置に表示させて、前記操作画面の操作を通じて前記制御点の調整先となる点を受け付ける処理と、前記調整先となる点を対応づけられる前記データ色空間の色値が前記制御点に対応づけられる変換を、前記測色的色空間における複数の調整点に適用し、これによって、前記逆方向色再現情報における各調整点と前記データ色空間の色値との対応づけを書き換える処理と、を実行する。
【0013】
上記課題を解決するためのカラーマッチング支援方法は、データ色空間の色値に測色的色空間の点を対応づける順方向色再現情報と、前記測色的色空間の点に前記データ色空間の色値を対応づける逆方向色再現情報とを記憶する記憶部と、前記逆方向色再現情報を用い、前記測色的色空間の点に対応づけられた前記データ色空間の色値を前記点の色として再現する表示装置を対象とし、前記表示装置が再現する色を目的の色に近づける色調整部と、を用いるカラーマッチング支援方法である。前記色調整部は、前記測色的色空間のなかの制御点の位置に前記制御点を示すように、操作画面を前記表示装置に表示させて、前記操作画面の操作を通じて前記制御点の調整先となる点を受け付ける処理と、前記調整先となる点を対応づけられる前記データ色空間の色値が前記制御点に対応づけられる変換を、前記測色的色空間における複数の調整点に適用し、これによって、前記逆方向色再現情報における各調整点と前記データ色空間の色値との対応づけを書き換える処理と、を実行する。
【0014】
上記課題を解決するためのカラーマッチング支援プログラムは、カラーマッチング支援装置を、データ色空間の色値に測色的色空間の点を対応づける順方向色再現情報と、前記測色的色空間の点に前記データ色空間の色値を対応づける逆方向色再現情報とを記憶する記憶部と、前記逆方向色再現情報を用い、前記測色的色空間の点に対応づけられた前記データ色空間の色値を前記点の色として再現する表示装置を対象とし、前記表示装置が再現する色を目的の色に近づける色調整部として機能させる、カラーマッチング支援プログラムである。カラーマッチング支援プログラムは、前記色調整部に、前記測色的色空間のなかの制御点の位置に前記制御点を示すように、操作画面を前記表示装置に表示させて、前記操作画面の操作を通じて前記制御点の調整先となる点を受け付ける処理と、前記調整先となる点を対応づけられる前記データ色空間の色値が前記制御点に対応づけられる変換を、前記測色的色空間における複数の調整点に適用し、これによって、前記逆方向色再現情報における各調整点と前記データ色空間の色値との対応づけを書き換える処理と、を実行させる。
【0015】
上記各構成によれば、表示装置が再現する制御点の位置と、制御点の調整先となる点の位置との比較は、操作画面において、ユーザーの目視に基づいて行われる。この際、調整先となる点の色は、逆方向色再現情報に関わらず、順方向色再現情報に準じて特定され得る。そして、調整先となる点に対応づけられるデータ色空間の色値が制御点に対応づけられる変換は、逆方向色再現情報における各調整点に反映される。これによって、逆方向色再現情報を用いる表示装置は、専用測色装置や専用表示装置を要することなく、表示装置が再現する色を目的とする色に近づけることを可能にする。
【0016】
上記カラーマッチング支援装置において、前記色調整部は、前記対応づけを書き換える処理において、前記順方向色再現情報において前記調整先となる点を対応づけられる前記データ色空間の色値を、前記順方向色再現情報を用いて算出してもよい。
【0017】
データ色空間の色値から測色的色空間の点を算出する処理を要する場合、例えば出力装置が再現した色を表示装置に再現させる場合、出力装置が用いた画像データは、順方向色再現情報によって測色的色空間の点に変換される。上記構成によれば、測色的色空間において調整先となる点を対応づけられるデータ色空間の色値は、順方向色再現情報そのものを用いて算出されるため、調整先となる点の色値に関わる精度が高まる。
【0018】
上記カラーマッチング支援装置において、前記色調整部は、前記対応づけを書き換える処理において、前記逆方向色再現情報に予め定められる前記測色的色空間の点を参照し、当該点を前記調整点として用いてもよい。
【0019】
上記構成によれば、逆方向色再現情報を参照し、当該逆方向再現情報に予め定められる測色的色空間の点そのものが調整点として採用されるため、逆方向色再現情報の書き換えに要する負荷を軽減することもできる。
【0020】
上記カラーマッチング支援装置において、前記色調整部は、前記制御点の調整先となる点を受け付ける処理において、前記測色的色空間のなかの制御点の位置に前記制御点を色として再現するように、前記操作画面を前記表示装置に表示させて、前記操作画面の操作を通じて前記制御点の調整先となる点を受け付け、これによって、前記順方向色再現情報において前記調整先となる点を対応づけられる前記データ色空間の色値を算出し、当該算出された色値に基づいて前記表示装置が再現する色を表示するように、前記操作画面を更新してもよい。
【0021】
上記構成によれば、表示装置が再現する制御点の色と、制御点の調整先となる点の色との比較は、操作画面において、ユーザーの目視に基づいて行われる。そのため、制御点と、制御点の調整先となる点との相違に関わる目視判断に要する負荷が軽減される。
【0022】
上記カラーマッチング支援装置において、前記制御点の座標値は、明度値、彩度値、および色相値と可逆変換する色空間における座標値であり、かつ有彩色を示す座標値を含み、前記色調整部は、前記操作画面を更新する処理において、前記制御点の座標値を明度値、彩度値、および色相値に変換し、前記制御点の位置を明度彩度色相座標系に示す前記操作画面を前記表示装置に表示させて、前記制御点の調整先となる点として明度値、彩度値、および色相値を受け、これによって、前記調整先となる点である明度値、彩度値、および色相値を制御点の座標値に変換し、当該変換された前記制御点の座標値を前記順方向色再現情報において対応づけられる前記データ色空間の色値を算出し、当該算出された色値に基づいて前記表示装置が再現する色を表示するように、前記操作画面を更新してもよい。
【0023】
上記構成によれば、表示装置が再現する色と目的とする色との比較は、操作画面の表示する明度彩度色相座標系において行われる。これによって、制御点、および制御点の調整先となる点の位置は、ユーザーの直感によって点の位置が把握されやすい座標系となる。そのため、表示装置が再現する測色値の測色的色空間における位置を、より高い精度でユーザーに目視させながら、ユーザーに制御点の調整を促すことが可能ともなる。
【0024】
上記カラーマッチング支援装置において、前記制御点は、LAB値であり、前記色調整部は、前記操作画面を更新する処理において、前記LAB値をLCH値に変換し、前記制御点の位置をLCH座標系に示す前記操作画面を前記表示装置に表示させて、前記制御点の調整先となる点としてLCH値を受け、これによって、前記調整先となる点であるLCH値をLAB値に変換し、当該変換されたLAB値を前記順方向色再現情報において対応づけられる前記データ色空間の色値を算出し、当該算出された色値に基づいて前記表示装置が再現する色を表示するように、前記操作画面を更新してもよい。
【0025】
上記構成によれば、表示装置が再現する色と目的とする色との比較は、操作画面の表示するLCH座標系において行われる。これによって、制御点、および制御点の調整先となる点の位置は、ユーザーの直感によって点の位置が把握されやすい座標系となる。そのため、表示装置が再現する色の色空間における位置を、より高い精度でユーザーに目視させながら、ユーザーに制御点の調整を促すことが可能ともなる。
【0026】
上記カラーマッチング支援装置において、前記色調整部は、前記操作画面に表示された前記明度彩度色相座標系における前記制御点の移動操作によって前記制御点の調整先となる点を受け付けてもよい。この構成によれば、制御点の調整先となる点の位置をユーザーの目視によってさらに把握させやすくなる。
【0027】
上記カラーマッチング支援装置において、前記色調整部は、前記操作画面に表示された前記LCH座標系における前記制御点の移動操作によって前記制御点の調整先となる点を受け付けてもよい。この構成によれば、制御点の調整先となる点の位置をユーザーの目視によってさらに把握させやすくなる。
【0028】
上記カラーマッチング支援装置において、前記制御点は、有彩色制御点と、無彩色制御点とを備え、前記色調整部は、前記対応付けを書き換える処理において、前記有彩色制御点の調整先となる点を対応づけられる前記データ色空間の色値が前記有彩色制御点に対応づけられる変換と、前記無彩色制御点の調整先となる点を対応づけられる前記データ色空間の色値が前記無彩色制御点に対応づけられる変換とを合成した変換を、前記測色的色空間における複数の調整点に適用し、これによって、前記逆方向色再現情報における各調整点と前記データ色空間の色値との対応づけを書き換えてもよい。
【0029】
上記構成によれば、有彩色制御点に関する調整と、無彩色制御点に関する調整とが各調整点の調整に反映される。これによって、書き換えられた逆方向色再現情報を用いる表示装置は、有彩色制御点と無彩色制御点との中間において色を精度よく調整することが可能ともなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、カラーマッチング支援装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、CIELAB色空間とLCH座標とを示す色空間図である。
図3図3は、ディスプレイプロファイルのCLUTの構成を示す色空間図である。
図4図4は、CIELAB色空間に制御点を示す色空間図である。
図5図5は、カラーマッチング支援方法における処理の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、カラーマッチング支援方法におけるプロファイル書き換え処理の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、基準有彩色定義リストを示すデータ構成図である。
図8図8は、有彩色調整量データを示すデータ構成図である。
図9図9は、基準無彩色定義リストを示すデータ構成図である。
図10図10は、無彩色調整量データを示すデータ構成図である。
図11図11は、有彩色制御点の調整量変更前の操作画面を示す画面構成図である。
図12図12は、有彩色制御点の調整量変更後の操作画面を示す画面構成図である。
図13図13は、無彩色制御点の調整量変更前の操作画面を示す画面構成図である。
図14図14は、無彩色制御点の調整量変更後の操作画面を示す画面構成図である。
図15図15は、有彩色調整量の算出過程を示す色度図である。
図16図16は、無彩色調整量の算出過程を示す色空間図である。
図17図17は、調整量の合成を示す色度図である。
図18図18は、有彩色制御点の位置を示す色度図である。
図19図19は、色調整前のカラーマッチングによる色再現を示す色度図である。
図20図20は、色調整後のカラーマッチングによる色再現を示す色度図である。
図21図21は、色調整前のディスプレイプロファイルが記述する色再現を示す色度図である。
図22図22は、色調整後のディスプレイプロファイルが記述する色再現を示す色度図である。
図23図23は、変更例における色調整量の算出過程を示す色空間図である。
図24図24は、変更例における色調整量の算出過程を示す色度図である。
図25図25は、変更例におけるカラーマッチング支援装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
カラーマッチング支援装置、カラーマッチング支援方法、およびカラーマッチング支援プログラムの一実施形態を説明する。
[支援装置概要]
図1が示すように、カラーマッチング支援装置10は、デジタル印刷、製版、電子出版、グラフィックデザインに要求されるデスクトップパブリッシング(DTP:Desktop publishing)に用いられる。カラーマッチング支援装置10は、DTPを用いる様々な場面のなかで、例えば、ネットワークを利用したモニター校正であるオンライン校正(リモートプルーフ)に用いられる。
【0032】
カラーマッチング支援装置10は、第1装置52が再現する色パッチの色に対する、第2装置21における当該色パッチの色再現をユーザー55に提供する。カラーマッチング支援装置10は、ユーザー55の指示に基づいて、第1装置52が再現する色パッチ53の色に、第2装置21が再現させる色を近づけるように、第2装置21が色の再現に適用するプロファイルを書き換える。
【0033】
本実施形態では、カラーマッチング支援装置10を備えるシステムが、第1装置52として出力装置を備え、かつ第2装置21として表示装置を備える例を示す。そして、カラーマッチング支援装置10が、ユーザー55の指示に基づいて、第1装置52が再現する色パッチ53の色に、第2装置21が再現させる色を近づけるように、第2装置21がカラーマッチングに適用するプロファイルを書き換える例を説明する。
【0034】
なお、他の実施形態では、カラーマッチング支援装置10を備えるシステムが、第1装置52として表示装置を備え、かつ第2装置21として表示装置を備えてもよい。すなわち、第1装置52は、出力装置、および表示装置の少なくとも一方でもよい。第2装置21は、表示装置である。
【0035】
[支援方法概要]
カラーマッチング支援装置10は、基準色定義リスト50を用いてカラーマッチング支援を行う。基準色定義リスト50の色は、第1装置52、および第2装置21に、共通に利用される。
【0036】
カラーマッチング支援装置10は、基準色定義リスト50の色を第1装置52が入力に用いるデータ色空間に変換し、これによって変換後の色を示す画像データ51を生成する。
【0037】
カラーマッチング支援装置10は、基準色定義リスト50の色を第2装置21が入力に用いるデータ色空間に変換し、これによって変換後の色を第2装置21に表示させる。
第1装置52である出力装置は、減法混色に基づいて色を再現する。出力装置の一例は、インクジェットプリンターやレーザープリンターなどの各種のプリンターである。
【0038】
第1装置52は、装置に依存する色空間であるデータ色空間の色値を入力として色を処理する。第1装置52は、データ色空間のなかの色を色パッチ53に再現する。第1装置52は、画像データ51に基づいて、色パッチ53の色を再現する。第1装置52が再現した色パッチ53の色は、ユーザー55に提供される。第1装置52が再現した色パッチ53の色は、ユーザー55の目視判断に用いられる。
【0039】
第2装置21である表示装置は、加法混色によって色を再現する。表示装置の一例は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの各種のディスプレイである。第2装置21は、装置に依存する色空間であるデータ色空間の色値を入力として色を処理する。第2装置21は、カラーマッチング支援装置10によるカラーマッチングの支援を受け、これによって、第1装置52が再現する色に第2装置21が再現する色を近づける。
【0040】
カラーマッチング支援装置10は、基準色定義リスト50の色を、第2装置21の処理する色の属するデータ色空間に変換する。第2装置21は、操作画面21A(図11および図12を参照)に有彩色を再現する。第2装置21は、操作画面21B(図13および図14を参照)に無彩色を再現する。第2装置21が再現する色は、ユーザー55に提示され、ユーザー55の目視判断に用いられる。
【0041】
カラーマッチング支援装置10は、第2装置21に操作画面21A,21Bを表示させる。カラーマッチング支援装置10は、操作画面21A,21Bを通じたユーザー55の指示に基づいて、操作画面21A,21Bのなかで、第2装置21に基準色定義リスト50から再現させた色を、第2装置21にさらに変更させる。
【0042】
カラーマッチング支援装置10は、操作画面21A,21Bを通じたユーザー55の指示に基づいて、ディスプレイプロファイル15BのB2Aを書き換える。ディスプレイプロファイル15BのB2Aは、色空間の変換に用いられる。ディスプレイプロファイル15BのB2Aを用いた色空間の変換は、PCSを、第2装置21の処理する色の属するデータ色空間に変換する。
【0043】
カラーマッチング支援装置10は、ディスプレイプロファイル15BのB2Aを書き換えることによって、第1装置52が基準色定義リスト50から再現した色に、第2装置21が基準色定義リスト50から再現する色を近づける。
【0044】
ユーザー55は、操作画面21A,21Bを操作して、操作画面21A,21Bに再現されている色の変更度合いを、カラーマッチング支援装置10に指示する。ユーザー55は、第1装置52の提供する色パッチ53の色を参照し、色パッチ53の色が操作画面21A,21Bに表示されるように、操作画面21A,21Bに再現されている色の変更度合いを指示する。これによって、第1装置52が基準色定義リスト50から再現した色に、第2装置21が基準色定義リスト50から再現する色を近づける。
【0045】
[色空間]
第1装置52のカラーマッチングは、3種類の色空間を用いる。3種類の色空間は、ソースプロファイル15Aのデータ色空間、第1装置52の出力プロファイルのデータ色空間、およびPCSである。第1装置52のカラーマッチングは、2種類のプロファイルを用いる。2種類のプロファイルは、ソースプロファイル15A、および第1装置52の出力プロファイルである。
【0046】
第2装置21のカラーマッチングは、3種類の色空間を用いる。3種類の色空間は、ソースプロファイル15Aのデータ色空間、第2装置21のディスプレイプロファイル15Bのデータ色空間、およびPCSである。第2装置21のカラーマッチングは、2種類のプロファイルを用いる。2種類のプロファイルは、ソースプロファイル15A、および第2装置21のディスプレイプロファイル15Bである。
【0047】
なお、本実施形態において、カラーマッチング支援装置10は、第2装置21のカラーマッチングに対して支援する。こうしたカラーマッチング支援装置10は、ソースプロファイル15A、および第2装置21のディスプレイプロファイル15Bをカラーマッチングに用いる。
【0048】
PCSは、測色的色空間である。測色的色空間は、人の色知覚を心理物理量として数値化した測色値に基づく色空間である。PCSは、ソースプロファイル15Aと出力プロファイルとを接続するためのインターフェースとして機能する。PCSは、ソースプロファイル15Aとディスプレイプロファイル15Bとを接続するためのインターフェースとして機能する。
【0049】
ソースプロファイル15Aは、カラーマッチングにおける入力データの色再現を記述されたプロファイルである。出力プロファイルは、カラーマッチングにおいて出力装置の色再現を記述されたプロファイルである。ディスプレイプロファイル15Bは、カラーマッチングにおいて表示装置の色再現を記述されたプロファイルである。
【0050】
PCSは、例えば、CIE 1931 XYZ色空間、CIE 1976 L***色空間である。CIEは、国際照明委員会の略称である。以下、CIE 1931 XYZ色空間を、CIEXYZ色空間、あるいはXYZ色空間とも記載する。CIE 1976 L***色空間をCIELAB色空間、あるいはLAB色空間とも記載する。また、CIEXYZ色空間の測色値をXYZ値、CIELAB色空間の測色値をLAB値、CIELAB色空間の色度成分ABを極座標に変換したLCH座標の測色値をLCH値、とも記載する。LCH座標系は、明度値、彩度値、および色相値によって1つの点を示す明度彩度色相座標系の一例である。
【0051】
カラーマッチング支援装置10は、カラーマッチング支援に、有彩色制御点Pn(図4を参照)、無彩色制御点Qn(図4を参照)、および調整点Xn(図3を参照)を用いる。有彩色制御点Pnの色空間、無彩色制御点Qnの色空間、および調整点Xnの色空間は、明度成分と色度成分とからなる色空間である。有彩色制御点Pnの色空間、無彩色制御点Qnの色空間、および調整点Xnの色空間は、PCSと可逆に変換可能である。有彩色制御点Pnの色空間、無彩色制御点Qnの色空間、および調整点Xnの色空間は、PCSと同じ色空間でもよいし、PCSと異なる色空間でもよい。
【0052】
本実施形態では、PCSがCIELAB色空間である例を示す。LAB値の色度を表すAB座標は、極座標であるCH座標に変換される。
図2が示すように、例えば、CIELAB色空間の点11S3(図中の白抜き円)の座標は、LAB座標からLCH座標に変換される。
【0053】
LCH座標値は、ブラックBkである「0」からホワイトWである「100」までの明度L、色の鮮やかさを示す彩度C、0度から360度までの色相角Hを用い、色相角Hと彩度明度面11S1において色を数値化する。
【0054】
色相角Hは、0度から90度に向けて、マゼンタ、レッド、イエロレッド、イエロに変わる。色相角Hは、90度から180度に向けて、イエロ、イエログリーン、グリーンに変わる。色相角Hは、180度から270度に向けて、グリーン、シアン、ブルーに変わる。色相角Hは、270度から360度に向けて、ブルー、マゼンタブルー、マゼンタに変わる。
【0055】
LCH値は、有彩色について、色の三属性である明度、彩度、色相を表す。LCH値は、CIELAB色空間の直交座標表現などの他の測色値と比べて、色値と、当該測色値に基づいて再現される色との関係を、目視によってユーザー55に把握させやすい。
【0056】
カラーマッチング支援装置10は、操作画面21Aに、LCH座標系の座標軸を表示する。カラーマッチング支援装置10は、操作画面21Bに、LAB座標系の座標軸を表示する。カラーマッチング支援装置10は、座標軸に基づいて特定される操作画面21AのLCH座標系に、当該LCH座標系の測色値に基づいて第2装置21に再現させている色を配置する。カラーマッチング支援装置10は、座標軸に基づいて特定される操作画面21BのLAB座標系に、当該LAB座標系の測色値に基づいて第2装置21に再現させている色を配置する。
【0057】
カラーマッチング支援装置10は、色空間上における有彩色の位置関係がユーザー55に把握されやすい座標系と、第2装置21に再現させている色とを関係づけて、操作画面21Aを提供する。これによって、カラーマッチング支援装置10は、色パッチ53の色と、第2装置21に再現させている色との相違の度合いを、LCH座標系のなかで、ユーザー55に目視比較させる。
【0058】
カラーマッチング支援装置10は、第2装置21に再現させている無彩色と、それ以外の他の無彩色との相違を、LAB座標系上の位置関係としてユーザー55に目視させる。カラーマッチング支援装置10は、第2装置21に再現させている有彩色と、それ以外の他の有彩色との相違を、LCH座標系上の位置関係としてユーザー55に目視させる。
【0059】
カラーマッチング支援装置10は、操作画面21Aにおいて、ユーザー55に有彩色制御点PnのLCH値を指示させる。カラーマッチング支援装置10は、ユーザー55に指示されたLCH値に基づいて、第2装置21に有彩色制御点Pnの色を再現させる。カラーマッチング支援装置10は、第2装置21に再現させる有彩色の変更度合いを、有彩色について、色空間上の座標と色との関係が把握されやすいLCH色座標系上で、ユーザー55に指示させる。これによって、カラーマッチング支援装置10は、第2装置21に再現させている色の変更に、ユーザー55の意図を反映させやすくする。
【0060】
カラーマッチング支援装置10は、操作画面21Bにおいて、ユーザー55に無彩色制御点QnのLAB値を指示させる。カラーマッチング支援装置10は、ユーザー55に指示されたLAB値に基づいて、第2装置21に無彩色制御点Qnの色を再現させる。カラーマッチング支援装置10は、第2装置21に再現させる無彩色の変更度合いを、無彩色周辺の色について、色空間上の座標と色との関係が把握されやすいLAB座標系上で、ユーザー55に指示させる。これによって、カラーマッチング支援装置10は、第2装置21に再現させている色の変更に、ユーザー55の意図を反映させやすくする。
【0061】
出力装置のデータ色空間は、表示装置のデータ色空間とは異なる色空間である。出力装置のデータ色空間の一例は、CMYK色空間である。出力装置のデータ色空間であるCMYK色空間は、その色値を扱ううえで、混色の専門知識を要する色空間である。
【0062】
表示装置のデータ色空間は、出力装置のデータ色空間とは異なる色空間である。表示装置のデータ色空間の一例は、RGB色空間である。表示装置のデータ色空間であるRGB色空間は、その色値を扱ううえで、混色の専門知識を要する色空間である。
【0063】
[プロファイル]
カラーマッチング支援装置10が用いる2種類のプロファイルの一例は、それぞれICC(国際色コンソーシアム:International Color Consortium)プロファイルのフォーマットに準拠したデータである。カラーマッチング支援装置10が用いる2種類のプロファイルは、それぞれAtoBTagとBtoATagとを含む。
【0064】
以下、AtoBTagは、A2Bとも記載する。A2Bは、データ色空間からPCSに順方向の色変換をするためのデータである。A2Bは、順方向色再現情報の一例である。以下、BtoATagは、B2Aとも記載する。B2Aは、PCSからデータ色空間に逆方向の色変換をするためのデータである。B2Aは、逆方向色再現情報の一例である。
【0065】
A2Bの一例は、入力カーブ、カラールックアップテーブル、および出力カーブから構成される。カラールックアップテーブルは、CLUTとも記載する。例えば、A2BのCLUTは、データ色空間の色値における各次元に1つずつの次元を有する、三次元LUT、四次元LUT、あるいは高次元LUTである。A2Bの入力カーブは、プロファイルに適用されるデータ色空間の色値に、CLUTの格子点を対応づける。
【0066】
カラーマッチング支援装置10は、データ色空間の色値に対応づけられたメモリアドレスの特定に、A2BのCLUTを用いる。カラーマッチング支援装置10は、特定されたメモリアドレスに記憶されたPCSの測色値の読み出しに、A2BのCLUTを用いる。A2BのCLUTにおける格子点は、A2Bのグリッドとも記載する。
【0067】
B2Aの一例は、入力カーブ、カラールックアップテーブル、および出力カーブから構成される。例えば、B2AのCLUTは、PCSの測色値における各次元に1つずつの次元を有する。B2AのCLUTは、三次元LUTである。B2Aの入力カーブは、プロファイルに適用されるPCSの測色値に、CLUTの格子点を対応づける。
【0068】
図3が示すように、B2AのCLUTは、CLUTに適用されるPCSの測色値における各次元に1つずつの次元を有する。B2AのCLUTは、原点を含む格子点をメモリアドレスとした三次元LUTである。CLUTに適用されるPCSにおける次元は、L次元、a次元、b次元である。
【0069】
カラーマッチング支援装置10は、第2装置21のディスプレイプロファイル15BのB2Aを書き換える。すなわち、カラーマッチング支援装置10は、ディスプレイプロファイル15BのB2Aを構成する、入力カーブ、CLUT、出力カーブを書き換える。
【0070】
ディスプレイプロファイル15Bの他の例は、TRC、および色変換マトリックスのタグから構成されてもよい。ディスプレイプロファイル15Bが、TRC、および色変換マトリックスのタグから構成される場合、カラーマッチング支援装置10は、TRC、および色変換マトリックスを、A2Bを構成する入力カーブ、CLUT、および出力カーブに変換してもよく、また、B2Aを構成する入力カーブ、CLUT、および出力カーブに変換してもよい。
【0071】
B2Aは、入力カーブを通じ、PCSの測色値をCLUTの格子点に対応づけ、さらに格子点に対応づけられたメモリアドレスを特定するように構成される。B2Aは、入力カーブによって特定される格子点をCLUTに適用して、CLUTの格子点に対応づけられたメモリアドレスにデータ色空間の色値15BCTを保持する。ディスプレイプロファイル15Bにおけるデータ色空間の色値15BCTは、RGB値である。B2AのCLUTにおける格子点は、B2Aのグリッドとも記載する。
【0072】
カラーマッチング支援装置10は、B2AのCLUTにおける格子点が対応づけられているPCSの測色値を、それぞれ調整点Xnとして扱う。カラーマッチング支援装置10は、ディスプレイプロファイル15Bのデータ色空間において、調整点Xnに対応づけられたメモリアドレスについて、色値15BCTのRGB値を書き換える。色値15BCTの書き換えは、ディスプレイプロファイル15BにおけるB2Aの書き換えである。
【0073】
カラーマッチングは、PCSを介したA2BとB2Aとの接続に基づいて処理される。カラーマッチングに用いられるA2Bは、入力データの色再現を記述したプロファイルにおける順方向色再現情報である。カラーマッチングに用いられるB2Aは、入力データを出力または表示する装置のプロファイルにおける逆方向色再現情報である。カラーマッチングにおいて入力データの色再現を記述するプロファイルは、ソースプロファイルと記載する。一方、カラーマッチングにおいてデータを出力または表示する装置のプロファイルは、ディスティネーションプロファイルとも記載する。
【0074】
第1装置52は、入力データを、第1装置52のデータ色空間であるCMYK色空間の色値に色変換して出力する。第1装置52は、入力データの色変換に、ソースプロファイル15AにおけるA2Bと、ディスティネーションプロファイルである第1装置52の出力プロファイルにおけるB2Aとを用いる。
【0075】
第2装置21は、入力データを、第2装置21のデータ色空間であるRGB色空間の色値に色変換して表示する。第2装置21は、入力データの色変換に、ソースプロファイル15AにおけるA2Bと、ディスティネーションプロファイルである第2装置21のディスプレイプロファイル15BにおけるB2Aとを用いる。
【0076】
このように、第1装置52の出力と、第2装置21の表示とは、それぞれ同一のソースプロファイル15Aに対して、カラーマッチングを行う。これによって、第1装置52の出力と、第2装置21の表示とが、カラーマッチングする。ソースプロファイル15Aは、第1装置52、第2装置21、およびカラーマッチング支援装置10に共通する。
【0077】
ソースプロファイル15Aは、印刷標準で規格化されたプロファイルでもよい。規格化されたソースプロファイル15Aの一例は、印刷標準であるISO12647に準拠したJapan Color 2001などである。第1装置52は、ソースプロファイル15Aを用い、色パッチ53の色を再現する。
【0078】
ディスプレイプロファイル15Bは、第2装置21のディスティネーションプロファイルである。ディスプレイプロファイル15Bは、カラーマッチング支援装置10において、モニター標準で規格化されたプロファイルでもよい。規格化されたディスプレイプロファイル15Bの一例は、国際電気標準会議(IEC)が制定したsRGB、Adobe RGB、Display P3などである。ディスプレイプロファイル15BがTRCと色変換マトリックスとから構成される場合、上述したようにA2B/B2Aに変換される。
【0079】
カラーマッチングは、PCSを介した接続に基づいて、入力データの色再現を記述するプロファイルの順方向色再現情報であるA2Bと、入力データの出力または表示をする装置の色再現を記述するプロファイルの逆方向色再現情報であるB2Aとを用いて、実現される。
【0080】
第1装置52に入力される色値のデータ色空間は、CMYK色空間である。第1装置52は、ソースプロファイルの順方向色再現情報であるA2Bと、第1装置52のプロファイルにおける逆方向色再現情報であるB2Aとを用いて、第1装置52のデータ色空間であるCMYK色空間の色値のカラーマッチングを行う。すなわち、第1装置52は、ソースプロファイル15Aと、第1装置52の色再現を記述する出力プロファイルであるディスティネーションプロファイルとを用いて、カラーマッチングを行う。第1装置52は、こうしたカラーマッチングにより、画像データ51の色値をソースプロファイル15Aの色再現に従って再現する。
【0081】
第2装置21に入力される色値のデータ色空間は、RGB色空間である。第2装置21は、ソースプロファイルの順方向色再現情報であるA2Bと、第2装置21のプロファイルにおける逆方向色再現情報であるB2Aとを用いて、第2装置21のデータ色空間であるRGB色空間の色値のカラーマッチングを行う。
【0082】
すなわち、第2装置21は、ソースプロファイル15Aと、第2装置21の色再現を記述するディスプレイプロファイル15Bとを用いて、カラーマッチングを行う。第2装置21は、こうしたカラーマッチングにより、画像データ51の色値をソースプロファイル15Aの色再現に従って再現する。
【0083】
[基準色定義リスト50]
図4が示すように、有彩色制御点Pnは、ソースプロファイル15Aの色域における最外郭上の頂点である。有彩色制御点Pnは、第2装置21の色調整に用いられる。有彩色制御点Pnは、調整点Xnとは異なる。調整点Xnは、B2AのCLUTによって特定されるグリッドに対応する。
【0084】
有彩色制御点Pnは、ソースプロファイル15Aの色域における最外郭の頂点間を結ぶ稜線上の点を含めてもよい。また、有彩色制御点Pnは、ソースプロファイル15Aの色域における最外郭の3つの頂点を含む面上の点を含めてもよい。
【0085】
基準有彩色の一例は、CIELAB色空間におけるソースプロファイル15Aの色域最外郭11S2において表現される、6種類の基準有彩色と、6種類の準基準有彩色とから構成される。6種類の基準有彩色は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)である。6種類の準基準有彩色は、ブルーシアンBC、シアングリーン(CG)、マゼンタブルー(MB)、レッドマゼンタ(RM)、グリーンイエロ(GY)、イエロレッド(YR)である。
【0086】
カラーマッチング支援装置10は、基準有彩色定義リスト50a(図7を参照)を備える。基準有彩色定義リスト50aは、各基準有彩色50aCに一つずつ、ソースプロファイル15Aのデータ色空間上における色値を定める。基準有彩色の色値は、基準有彩色定義リスト50aが示すように、データ色空間上について予め指定されている。カラーマッチング支援装置10は、基準有彩色の測色値を、基準有彩色定義リスト50a、およびソースプロファイル15Aに基づいて定める。このように定められる基準有彩色の測色値は、色調整前の有彩色制御点Pnの測色値である。
【0087】
図4が示すように、無彩色制御点Qnは、CIELAB空間の明度軸(グレイ軸)上の点である。無彩色制御点Qnは、第2装置21の色調整に用いられる。無彩色制御点Qnは、調整点Xnとは異なる。
【0088】
基準無彩色の一例は、ブラックBk、ホワイトW、および3種類のグレイを含む。5種類の基準無彩色のそれぞれのLAB値は、ホワイトW(=g100)である(100,0,0)の他に、グレイg50である(50,0,0)、グレイg75である(75,0,0)、グレイg90である(90,0,0)である。ブラックBk(g0)のLAB値は、必ずしも(0,0,0)ではなく、ソースプロファイル15Aが再現する最暗明度Lnを有する(Ln,0,0)である。
【0089】
カラーマッチング支援装置10は、基準無彩色定義リスト50b(図9を参照)を備える。基準無彩色定義リスト50bは、各基準無彩色50bCに一つずつ、測色的色空間上の測色値を定める。基準無彩色は、基準無彩色定義リスト50bが示すように、LAB値によって定義される。カラーマッチング支援装置10は、基準無彩色の測色値を、基準無彩色定義リスト50b、およびソースプロファイル15Aに基づいて定める。このように定められる基準無彩色の測色値は、色調整前の無彩色制御点Qnの測色値である。
【0090】
基準無彩色定義リスト50bは、最暗明度のグレイg0における明度を未定とする。反射物である出力装置の媒体は、色材による分光反射の他に、印刷媒体の表面における照明光の散乱反射を生じる。色材による分光反射、および照明光の散乱反射は、印刷媒体に再現できる最暗明度を0にしないため、最暗明度のグレイg0における明度が未定とされている。
【0091】
最暗明度として再現されるブラックBkに対応するグレイg0の明度は、ソースプロファイル15AのA2Bを用いたカラーマッチング支援装置10による探索を通じて求められる。すなわち、最暗明度のグレイg0の明度は、ソースプロファイル15Aがカラーマッチング支援装置10に定められた後に定められる。
【0092】
なお、カラーマッチング支援装置10は、最暗明度のグレイg0に対応するデータ色空間の色値を、ソースプロファイル15Aの規格、あるいは印刷標準が定めるデータ色空間上のなかで、最大の色値に定めてもよい。例えば、カラーマッチング支援装置10は、ソースプロファイル15Aの規格、あるいは印刷標準が定めるデータ色空間上の最大の色値を、ソースプロファイル15AのA2Bを用いてLAB値に変換し、変換されたLAB値を最暗明度のグレイg0における明度として求めてもよい。
【0093】
[画像データ51]
カラーマッチング支援装置10は、第1装置52である出力装置により色パッチ53を出力するために、画像データ51を生成する。画像データ51のデータ色空間は、ソースプロファイル15Aのデータ色空間である。
【0094】
カラーマッチング支援装置10が生成する画像データ51を構成する色値は、基準有彩色定義リスト50aにおける基準有彩色の色値を含む。
カラーマッチング支援装置10が生成する画像データ51を構成する色値は、基準無彩色定義リスト50bにおけるグレイg50からグレイg100までのLAB値をソースプロファイル15AのB2Aによって変換された、ソースプロファイル15Aのデータ色空間における色値を含む。あるいは、画像データ51を構成する色値は、ソースプロファイル15AのA2Bを探索して求められた、ソースプロファイル15Aの再現する最暗明度を、基準無彩色定義リスト50bにおけるグレイg0の明度としたLAB値から得られてもよい。この際、画像データ51を構成する色値は、前記探索により得たグレイg0のLAB値をソースプロファイル15AのB2Aによって変換された、ソースプロファイル15Aのデータ色空間における色値を含む。
【0095】
画像データ51を構成する色値は、第1装置52によって色パッチ53の色に再現される。第1装置52が画像データ51から色再現する基準有彩色の測色値は、画像データ51とソースプロファイル15Aとによって定められる測色値を有する。
【0096】
第1装置52である出力装置は、ソースプロファイル15AのA2B、および第1装置52のデスティネーションプロファイルのB2Aを用いて、画像データ51の色値を出力装置のデータ色空間の色値に変換する。第1装置52である出力装置は、こうしたカラーマッチング処理を行った上で出力を行う。
【0097】
[カラーマッチング支援装置10]
図1に戻り、カラーマッチング支援装置10は、マッチング制御部11、有彩色調整部12、無彩色調整部13、プロファイル書き換え部14、および記憶部15を備える。マッチング制御部11、有彩色調整部12、無彩色調整部13、およびプロファイル書き換え部14は、色調整部10Tを構成する。
【0098】
カラーマッチング支援装置10は、各種の処理をソフトウェアによって処理するものを含む。カラーマッチング支援装置10は、各種の処理のうちの少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)などの専用のハードウェアを備えてもよい。
【0099】
カラーマッチング支援装置10は、ASICなどの1つ以上の専用のハードウェア回路、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、あるいは、これらの組み合わせ、を含む回路としても構成される。なお、以下では、カラーマッチング支援装置10が、可読媒体にカラーマッチング支援プログラム15Cを記憶し、可読媒体が記憶するカラーマッチング支援プログラム15Cを読み出して実行し、各種の処理を行う例を説明する。
【0100】
マッチング制御部11は、第2装置21からソースプロファイル15Aを読み込む。マッチング制御部11は、第2装置21から、書き換え前のディスプレイプロファイル15Bを読み込む。マッチング制御部11は、読み込んだディスプレイプロファイル15BのB2Aを、色調整後のB2Aに書き換え、書き換えたディスプレイプロファイル15Bを第2装置21に提供する。
【0101】
記憶部15は、ソースプロファイル15A、ディスプレイプロファイル15B、カラーマッチング支援プログラム15C、基準色定義リスト50、および調整量データ15Dを記憶する。
【0102】
[処理A~C:カラーマッチング支援処理]
マッチング制御部11は、カラーマッチング支援プログラム15Cを読み出し、カラーマッチング支援プログラム15Cを実行することによって、以下の[処理A][処理B][処理C]を実行する(図5を参照)。
[処理A]調整量データ15Dの初期化(ステップS1)
[処理B]調整量の変更(ステップS2)
[処理C]プロファイルの書き換え(ステップS4)
【0103】
マッチング制御部11は、[処理B]に以下の[処理1]を含める。また、マッチング制御部11は、[処理C]に以下の[処理2][処理3][処理4][処理5]を含める。
[処理1]制御点Pn,Qnにおける調整量の設定
[処理2]調整点X0の選択(ステップS12、ステップS13)
[処理3]有彩色調整量の算出(ステップS21~ステップS24)
[処理4]無彩色調整量の算出(ステップS31~ステップS33)
[処理5]色値の書き換え(ステップS51~ステップS53)
【0104】
カラーマッチング支援プログラム15Cは、ソフトウエアモジュールである。ソフトウエアモジュールは、ソースプロファイル15Aとディスプレイプロファイル15Bとを用い、PCSを介した色空間の変換を行う。
【0105】
カラーマッチング支援プログラム15Cは、オペレーティング・システムのカラーマネージメント機能、およびアプリケーションが独自に行うカラーマネージメント機能を備える。カラーマッチング支援プログラム15Cは、ソースプロファイル15Aとディスプレイプロファイル15Bとの管理を行う。
【0106】
図5が示すように、マッチング制御部11は、[処理A]調整量データ15Dの初期化を実行する。マッチング制御部11は、[処理A]調整量データ15Dの初期化として、基準有彩色定義リスト50a、および基準無彩色定義リスト50bを用いて、有彩色制御点PnにおけるLCH値、および無彩色制御点QnにおけるLAB値を取得する。また、マッチング制御部11は、有彩色制御点Pnにおける調整量を0に初期化すると共に、無彩色制御点Qnにおける調整量を0に初期化する(ステップS1)。また、マッチング制御部11は、画像データ51を生成する。マッチング制御部11は、第1装置52により画像データ51から色パッチ53を出力し、ユーザー55に提供する。
【0107】
次に、マッチング制御部11は、[処理A]の実行後に、[処理B]調整量の変更を実行する。マッチング制御部11は、[処理B]調整量の変更として、有彩色制御点Pnの新たな調整量を取得すると共に、無彩色制御点Qnにおける新たな調整量を取得する。マッチング制御部11は、取得された調整量に従って、調整量データ15Dを更新する(ステップS2)。
【0108】
次に、マッチング制御部11は、[処理B]の実行後に、[処理C]プロファイルの書き換えを実行する(ステップS3、ステップS4)。なお、マッチング制御部11は、[処理B]調整量の変更から[処理C]プロファイルの書き換えまでにおいて、以下の処理を実行してもよい。
【0109】
すなわち、マッチング制御部11は、有彩色制御点Pnの調整量に関わる変更を、任意の有彩色制御点Pnに対して繰り返した後に、[処理C]プロファイルの書き換えを実行して、カラーマッチング支援動作を終了してもよい。
【0110】
あるいは、マッチング制御部11は、無彩色制御点Qnの調整量に関わる変更を、任意の無彩色制御点Qnに対して繰り返した後に、[処理C]プロファイルの書き換えを実行して、カラーマッチング支援動作を終了してもよい。
【0111】
また、マッチング制御部11は、有彩色制御点Pnの調整量に関わる変更を、任意の有彩色制御点Pnに対して繰り返した後に、[処理C]プロファイルの書き換えを実行し、再び[処理B]調整量の変更に戻ってもよい。
【0112】
また、マッチング制御部11は、無彩色制御点Qnの調整量に関わる変更を、任意の無彩色制御点Qnに対して繰り返した後に、[処理C]プロファイルの書き換えを実行し、再び[処理B]調整量の変更に戻ってもよい。
【0113】
また、マッチング制御部11は、有彩色制御点Pnと無彩色制御点Qnとのいずれか一つの調整量が1回変更される毎に、[処理C]プロファイルの書き換えを実行し、再び[処理B]調整量の変更に戻ってもよい。
【0114】
マッチング制御部11は、[処理B]調整量の変更と[処理C]プロファイルの書き換えとを実行し、これによって、ディスプレイプロファイル15BのB2Aの記述する色再現を変化させる。すなわち、マッチング制御部11は、ディスプレイプロファイル15BのB2AにおけるCLUTにおいて、CIELAB色空間の測色値に対する第2装置21のデータ色空間の色値の対応関係を変える。
【0115】
これによって、マッチング制御部11は、第1装置52がソースプロファイル15Aのデータ色空間における色値から再現した色に、第2装置21がソースプロファイル15Aのデータ色空間における色値から再現する色を近づける。そして、カラーマッチング支援装置10は、第1装置52がソースプロファイル15Aのデータ色空間における色値から再現した色に、第2装置21がソースプロファイル15Aのデータ色空間における色値から再現する色をマッチングさせる。
【0116】
[処理2~5:プロファイルの書き換え]
図6が示すように、マッチング制御部11は、[処理C]プロファイルの書き換えとして、[処理2]複数の調整点Xnのなかから1つの調整点X0の選択を行う(ステップS12、ステップS13)。
【0117】
次に、マッチング制御部11は、有彩色制御点Pnを用いた調整点X0の色調整として、有彩色調整部12に[処理3]有彩色調整量の算出を実行させる(ステップS21~ステップS24)。また、マッチング制御部11は、無彩色制御点Qnを用いた調整点X0の色調整として、無彩色調整部13に[処理4]無彩色調整量の算出を実行させる(ステップS31~ステップS33)。
【0118】
次に、マッチング制御部11は、[処理2]~[処理4]の結果を用いて、ディスプレイプロファイル15BのB2Aにおいて、調整点X0のメモリアドレスに保存されたRGB色空間の色値15BCTを書き換える(ステップS51~ステップS53)。マッチング制御部11は、[処理2]~[処理5]を全ての調整点Xnについて実行する(ステップS61)。
【0119】
以下、[処理A][処理B][処理C]を実行するための構成、および[処理A][処理B][処理C]の詳細を以下に説明する。
[処理A:調整量データ15Dの初期化]
図8が示すように、記憶部15は、調整量データ15Dを構成する有彩色調整量データ15D1を記憶する。有彩色調整量データ15D1は、有彩色制御点Pnに1つずつの基準有彩色識別子151Cに、1つずつの基準有彩色LCH値1510、および、1つずつの有彩色調整量151Tを対応づける。
【0120】
基準有彩色識別子151Cは、基準有彩色識別子151Cに対応づけられた基準有彩色をカラーマッチング支援装置10の内部で特定するための識別情報である。
基準有彩色LCH値1510は、基準有彩色LCH値1510に対応づけられた基準有彩色の明度L、彩度C、および色相角Hを示す。基準有彩色LCH値1510は、基準有彩色LCH値1510に対応づけられた基準有彩色について、色調整前における有彩色制御点PnのLCH値を示す。彩度Cは、当該有彩色制御点Pnの色相角Hにおける最大の彩度に相当する。
【0121】
有彩色調整量151Tは、有彩色調整量151Tに対応づけられた基準有彩色の明度調整量ΔL、彩度調整量ΔC、および色相角調整量ΔHを示す。明度調整量ΔL、彩度調整量ΔC、および色相角調整量ΔHは、有彩色調整量指示後の有彩色制御点PnにおけるLCH値の設定のなかで、ユーザー55の指示に基づいて設定される。
【0122】
図10が示すように、記憶部15は、調整量データ15Dを構成する無彩色調整量データ15D2を記憶する。無彩色調整量データ15D2は、無彩色制御点Qnに1つずつの基準無彩色識別子152Cに、1つずつの基準無彩色LAB値1520、および、1つずつの無彩色調整量152Tを対応づける。
【0123】
基準無彩色識別子152Cは、基準無彩色識別子152Cに対応づけられた基準無彩色をカラーマッチング支援装置10の内部で特定するための識別情報である。
基準無彩色LAB値1520は、基準無彩色LAB値1520に対応づけられた基準無彩色のLAB値を示す。基準無彩色LAB値1520は、基準無彩色LAB値1520に対応づけられた基準無彩色について、調整量指示前における無彩色制御点QnのLAB値を示す。
【0124】
無彩色調整量152Tは、無彩色調整量152Tに対応づけられた基準無彩色の明度調整量ΔL、調整量Δa、調整量Δbを示す。明度調整量ΔL、調整量Δa、調整量Δbは、無彩色調整量指示後の無彩色制御点QnにおけるLAB値の算出のなかで、ユーザー55の指示に基づいて設定される。
【0125】
マッチング制御部11は、[処理A]として、有彩色調整量データ15D1を初期化する。マッチング制御部11は、有彩色調整量データ15D1の初期化として、まず、有彩色調整量データ15D1の有彩色調整量151Tに初期値として0を反映する。次に、マッチング制御部11は、ソースプロファイル15AのA2Bを用い、基準有彩色定義リスト50aから調整量指示前の全ての有彩色制御点PnのLAB値を取得する。
【0126】
マッチング制御部11は、取得されたLAB値をLCH値に変換し、有彩色調整量データ15D1の基準有彩色LCH値1510に反映する。
調整量指示前の各有彩色制御点Pnは、ディスプレイプロファイル15Bの書き換えに供される有彩色制御点Pn、すなわち[処理3]有彩色調整に用いられる有彩色制御点Pnである。
【0127】
なお、マッチング制御部11は、下記式(1)を用い、[処理A]において、調整量指示前の有彩色制御点PnにおけるLAB値を、調整量指示前の有彩色制御点PnにおけるLCH値に変換する。下記式(1)は、LAB値とLCH値との関係を示す。これによって、マッチング制御部11は、調整量指示前の全ての有彩色制御点PnにおけるLCH値を算出する。
【0128】
【数1】
また、マッチング制御部11は、[処理A]として、無彩色調整量データ15D2を初期化する。まず、マッチング制御部11は、無彩色調整量データ15D2の無彩色調整量152Tに初期値として0を反映する。
【0129】
次に、マッチング制御部11は、基準無彩色定義リスト50bから調整量指示前のグレイg0を除く全ての無彩色制御点QnのLAB値を取得し、無彩色調整量データ15D2の基準無彩色LAB値1520に反映する。
【0130】
続いて、マッチング制御部11は、ソースプロファイル15AのA2Bを用い、ソースプロファイル15Aが表す色再現の最暗明度を、調整量指示前の無彩色制御点QnのLAB値として取得し、無彩色調整量データ15D2におけるグレイg0の基準無彩色LAB値1520に反映する。
【0131】
調整量指示前の各無彩色制御点Qnは、ディスプレイプロファイル15Bの書き換えに供される無彩色制御点Qn、すなわち[処理4]無彩色調整に用いられる無彩色制御点Qnである。
【0132】
また、ここで、カラーマッチング支援装置10は、マッチング制御部11に、基準有彩色定義リスト50aと、基準無彩色グレイg0が確定した基準無彩色定義リスト50bとから、画像データ51を生成させる。マッチング制御部11は、基準有彩色定義リスト50aの色値を画像データ51の色値とする。マッチング制御部11は、基準無彩色定義リスト50bからソースプロファイル15AのB2Aを用い、基準無彩色定義リスト50bのLAB値をソースプロファイル15Aのデータ色空間の色値に変換して、画像データ51の色値とする。カラーマッチング支援装置10は、画像データ51を第1装置52に送り、色パッチ53を出力させる。このように、調整量データ15Dの制御点Pn,Qnおよび色パッチ53は、同じソースプロファイル15Aと同じ基準色定義リスト50から導き出されており、同じ色再現するべきものとして対応する。
【0133】
[処理B:調整量の変更]
マッチング制御部11は、それぞれの有彩色制御点Pnにおける調整量として、当該有彩色制御点Pnに対する有彩色調整量を取得する。マッチング制御部11は、それぞれの無彩色制御点Qnにおける調整量として、当該無彩色制御点Qnに対する無彩色調整量を取得する。マッチング制御部11は、ユーザー55の指示に基づいて、有彩色制御点Pnに対する有彩色調整量、および無彩色制御点Qnに対する無彩色調整量を設定する。
【0134】
マッチング制御部11が行う調整量の設定の例を以下に説明する。
マッチング制御部11は、有彩色制御点Pnにおける調整量の設定として、[処理1-2]~[処理1-4]を処理番号の順に実行する。
[処理1-2]調整量指示後の有彩色制御点PnにおけるLCH値の算出
[処理1-3]有彩色調整量データ15D1の更新
[処理1-4]RGB色空間における色値の探索
【0135】
マッチング制御部11は、無彩色制御点Qnにおける調整量の設定として、[処理1-6]~[処理1-8]を処理番号の順に実行する。
[処理1-6]調整量指示後の無彩色制御点QnにおけるLAB値の算出
[処理1-7]無彩色調整量データ15D2の更新
[処理1-8]RGB色空間における色値の探索
【0136】
ユーザー55は、操作画面21AにおけるLCH値、操作画面21Aに表示されている有彩色制御点Pnの色、および色パッチ53の色を目視比較し、有彩色制御点Pnの色に対する調整量を指示する。次に、[処理1-2]として、マッチング制御部11は、調整量指示後の有彩色制御点PnにおけるLCH値を算出する。調整量指示後の有彩色制御点PnにおけるLCH値は、ユーザー55による調整量の指示に基づいて算出される。
【0137】
調整量指示後の有彩色制御点PnにおけるLCH値は、調整量指示前の有彩色制御点PnにおけるLCH値から、ユーザー55による有彩色制御点Pnへの調整量の指示に基づいて決定される。
【0138】
マッチング制御部11は、上記式(1)を用い、[処理1-2]調整量指示後の有彩色制御点PnにおけるLCH値を、調整量指示後の有彩色制御点PnにおけるLAB値に変換する。調整量指示後の有彩色制御点PnにおけるLAB値は、[処理1-4]RGB色空間における色値の探索に用いられる。マッチング制御部11は、ディスプレイプロファイル15BのA2Bを用いて、[処理1-4]調整量指示後の有彩色制御点PnのLAB値に対応するRGB値を最適解探索する。これによって、マッチング制御部11は、調整量指示後の有彩色制御点PnにおけるRGB値をそれぞれ算出する。
【0139】
[処理B:操作画面21A]
図11が示すように、カラーマッチング支援装置10は、有彩色制御点Pnにおける調整量の設定において、第2装置21に操作画面21Aを表示させる。操作画面21Aは、調整量指示前色表示部22、調整量指示後色表示部23、調整量指示部24、H値表示部25A、CL値表示部25B、および書き換え指示部25Pを備える。
【0140】
なお、図11に示す操作画面21Aは、有彩色調整量の変更開始時にマッチング制御部11が有彩色調整量データ15D1に基づいて生成する。図12に示す操作画面21Aは、有彩色制御点Pnにおける調整量の更新後にマッチング制御部11が有彩色調整量データ15D1に基づいて生成する。
【0141】
調整量指示前色表示部22は、調整量指示前の有彩色制御点Pnにおける色を表示する。調整量指示前の有彩色制御点Pnにおける色は、[処理1-4]RGB色空間における色値の探索において、調整量指示前の有彩色制御点PnにおけるLAB値から最適解として探索された、RGB色空間の色値に基づいて表示される。
【0142】
調整量指示前色表示部22は、調整量指示部24において調整量を指示された有彩色制御点Pnについて、当該有彩色制御点Pnの調整量指示前における色を表示する。調整量指示前色表示部22は、調整量指示前色表示部22に表示されている色と、第1装置52の再現した色パッチ53の色との比較において、これらが合致するか否かの目視判断を支援する。
【0143】
調整量指示後色表示部23は、調整量指示後の有彩色制御点Pnにおける色を表示する。調整量指示後の有彩色制御点Pnにおける色は、[処理1-4]RGB色空間における色値の探索において、調整量指示後の有彩色制御点PnにおけるLAB値から最適解として探索された、RGB色空間の色値に基づいて表示される。
【0144】
調整量指示後色表示部23は、調整量指示部24において調整量を指示された有彩色制御点Pnについて、当該有彩色制御点Pnの調整量指示後における色を表示する。調整量指示後色表示部23は、調整量指示後色表示部23に表示されている色と、第1装置52の再現した色パッチ53の色との比較において、これらが合致するか否かの目視判断を支援する。
【0145】
また、調整量指示後色表示部23は、調整量指示前色表示部22に表示されている色と、調整量指示後色表示部23に表示されている色との比較において、これらの相違から、ユーザー55の指示による有彩色の調整量がユーザー55の意図した変更に追従しているか否かの目視判断を支援する。
【0146】
調整量指示部24は、有彩色調整量を入力するためのヒューマンインターフェースである。調整量指示部24は、1つの有彩色制御点Pnについて、明度調整量ΔL、彩度調整量ΔC、および色相角調整量ΔHをユーザー55によって別々に入力できるように構成されている。
【0147】
調整量指示部24は、ユーザー55に指示された有彩色調整量として、有彩色制御点Pnの調整量を入力する。なお、明度調整量ΔL、彩度調整量ΔC、および色相角調整量ΔHの入力は、調整量指示部24による数値入力操作の他に、H値表示部25A、およびCL値表示部25Bにおける有彩色制御点Pnの移動操作であるアイコンドラッグ操作によって行われてもよい。
【0148】
H値表示部25Aは、半径を一定とした円環状の極座標に、全ての基準有彩色について、有彩色制御点Pnを表示する。H値表示部25Aは、有彩色制御点Pnを示す円アイコンのなかに、当該有彩色制御点Pnにおける色を表示する。H値表示部25Aは、1つの有彩色制御点Pnにおける色相角Hと他の有彩色制御点Pnにおける色相角Hとの位置関係を目視させるように、全ての有彩色制御点Pnにおける色相角Hを表示する。
【0149】
H値表示部25Aが表示する有彩色制御点Pnの色相角Hは、有彩色調整量の指示前において、マッチング制御部11が有彩色調整量データ15D1の基準有彩色LCH値1510を参照し、調整量指示前の有彩色制御点Pnにおける色相角Hに基づいて表示される。H値表示部25Aが表示する有彩色制御点Pnの円アイコンのなかの色は、有彩色調整量の指示前において、調整量指示前色表示部22と同じく、有彩色調整量の指示前の有彩色制御点Pnにおける色である。
【0150】
すなわち、H値表示部25Aが指示前に表示する有彩色制御点Pnの円アイコンのなかの色は、マッチング制御部11が基準有彩色LCH値1510を参照し、上記式(1)を用いて基準有彩色LCH値1510をLAB値に変換することによって得られる。そして、H値表示部25Aが指示前に表示する有彩色制御点Pnの円アイコンのなかの色は、[処理1-4]RGB色空間における色値の探索において、上述の変換されたLAB値から最適解として探索されたRGB色空間の色値に基づいて表示される。
【0151】
H値表示部25Aが表示する有彩色制御点Pnの色相角Hは、有彩色調整量の指示後において、[処理1-2]LCH値の算出による色相角Hに基づいて表示される。H値表示部25Aが表示する有彩色制御点Pnの円アイコンのなかの色は、有彩色調整量の指示後において、調整量指示後色表示部23と同じく、調整量指示後の有彩色制御点Pnにおける色である。
【0152】
すなわち、H値表示部25Aが調整量指示後に表示する有彩色制御点Pnの円アイコンのなかの色は、マッチング制御部11が[処理1-2]LCH値の算出による色相角Hを参照することによって得られる。そして、H値表示部25Aが調整量指示後に表示する有彩色制御点Pnの円アイコンのなかの色は、[処理1-4]RGB色空間における色値の探索において、調整量指示後のLCH値について上記式(1)を用いて変換されたLAB値から最適解として探索されたRGB色空間の色値に基づいて表示される。
【0153】
なお、H値表示部25Aは、全ての有彩色制御点Pnのなかで色相角Hに基づく順序を各有彩色制御点Pnに定めてもよい。H値表示部25Aは、調整量指示部24の指示によって調整後の色相角Hに基づく順序が変わらないように、有彩色制御点Pnの調整量を制限してもよい。
【0154】
CL値表示部25Bは、彩度明度座標に有彩色制御点Pnを円アイコンとして表示する。CL値表示部25Bの表示に際し、マッチング制御部11が有彩色調整量データ15D1の基準有彩色LCH値1510と有彩色調整量151Tを参照する。CL値表示部25Bは、有彩色制御点Pnの円アイコンのなかに、当該有彩色制御点Pnにおける色を表示する。すなわち、CL値表示部25Bは、有彩色制御点Pnを含む彩度明度面11S1のなかに有彩色制御点Pnを表示する。
【0155】
CL値表示部25Bが表示する有彩色制御点Pnの彩度C、および明度Lは、有彩色調整量の指示前において、マッチング制御部11が有彩色調整量データ15D1の基準有彩色LCH値1510を参照し、調整量指示前の有彩色制御点Pnにおける彩度C、および明度Lに基づいて表示される。CL値表示部25Bが表示する有彩色制御点Pnの円アイコンのなかの色は、有彩色調整量の指示前において、調整量指示前色表示部22と同じく、有彩色調整量の指示前の有彩色制御点Pnにおける色である。
【0156】
CL値表示部25Bは、有彩色調整量の指示後において、有彩色調整量指示前の有彩色制御点Pnにおける彩度Cを基準とし、調整量指示部24において指示された有彩色制御点Pnの彩度Cに基づいて、彩度明度座標に有彩色制御点Pnを円アイコンとして表示する。
【0157】
CL値表示部25Bは、有彩色調整量の指示後において、有彩色調整量指示前の有彩色制御点Pnにおける明度Lを基準とし、調整量指示部24において指示された有彩色制御点Pnの明度Lに基づいて、彩度明度座標に有彩色制御点Pnを円アイコンとして表示する。
【0158】
すなわち、CL値表示部25Bが表示する有彩色制御点Pnの明度L、および彩度Cは、有彩色調整量の指示後において、[処理1-2]調整量指示後の有彩色制御点PnにおけるLCH値として算出された、新たな明度L、および彩度Cに基づいて表示される。CL値表示部25Bが表示する有彩色制御点Pnの円アイコンのなかの色は、有彩色調整量の指示後において、調整量指示後色表示部23と同じく、調整量指示後の有彩色制御点Pnにおける色を表示する。CL値表示部25Bが表示する有彩色制御点Pnの円アイコンのなかの色は、[処理1-4]RGB色空間における色値の探索において、調整量指示後のLCH値について上記式(1)を用いて変換されたLAB値から最適解として探索されたRGB色空間の色値に基づいて表示される。
【0159】
書き換え指示部25Pは、ディスプレイプロファイル15BのB2Aを書き換えるためのヒューマンインターフェースである。書き換え指示部25Pは、書き換え指示部25Pの押下によって、カラーマッチング支援装置10に、B2Aの書き換えを指示する。
【0160】
[処理1-3]有彩色調整量データの更新として、マッチング制御部11は、有彩色制御点Pnの有彩色調整量151Tに、上述した操作画面21Aを通じてユーザー55によって指示された調整量を反映し、これによって有彩色調整量データ15D1を更新する。すなわち、マッチング制御部11は、有彩色制御点Pnにおける新たなLCH値を、ユーザー55による操作画面21Aの操作を通じて、以下のように対話的にユーザー55に指示させる。
【0161】
まず、マッチング制御部11は、操作画面21Aにおいて、調整量指示前の有彩色制御点PnのLCH値に、調整量指示前の有彩色制御点Pnに相当する色を表示させる。
次に、ユーザー55は、操作画面21Aに表示させた調整量指示前の有彩色制御点Pnにおける色と、第1装置52の再現した色パッチ53の色とを目視比較する。ユーザー55は、操作画面21Aに表示させた調整量指示前の有彩色制御点Pnにおける色と、第1装置52の再現した色パッチ53の色とが合致するか否かを、目視判断する。
【0162】
次に、ユーザー55は、色パッチ53の色と、調整量指示前の有彩色制御点Pnにおける色とが相違して見える場合、操作画面21Aを操作し、調整量指示前の有彩色制御点Pnにおける色について、LCH値の調整量を指示する。
【0163】
そして、マッチング制御部11は、ユーザー55による調整量の入力を受け、有彩色調整量データ15D1に記憶される各値が、指示された調整量に相当するように、有彩色調整量データ15D1を更新する。これによって、マッチング制御部11は、有彩色調整量が指示されるごとに、最新の有彩色調整量指示が反映された状態に、カラーマッチング支援装置10の有彩色調整量データ15D1を更新する。
【0164】
[処理1-4]として、マッチング制御部11は、更新された有彩色調整量データ15D1を用い、調整量指示後の有彩色制御点PnにおけるRGB色空間の色値を探索する。すなわち、マッチング制御部11は、ユーザー55の指示を通じて設定された新たなLCH値を上記式(1)に適用し、新たなLCH値の変換値である新たなLAB値を、調整量指示後の有彩色制御点PnにおけるLAB値に算出する。
【0165】
マッチング制御部11は、調整量指示後の有彩色制御点Pnにおける新たなLAB値をディスプレイプロファイル15BのA2Bから得られるような、RGB色空間の色値の最適解を探索する。言い換えれば、マッチング制御部11は、ディスプレイプロファイル15BのA2Bによる出力値から、当該LAB値が得られるような、A2Bの入力値(RGB)を最適解として探索する。マッチング制御部11は、RGB色空間の色値の最適解の探索に用いられるA2Bの出力値が、調整量指示後の有彩色制御点Pnにおける新たなLAB値となるような探索を行う。
【0166】
このように、マッチング制御部11は、調整量指示後の有彩色制御点Pnにおける新たなLAB値を与えられる。そして、マッチング制御部11は、ディスプレイプロファイル15Bを構成するA2Bに基づいて、調整量指示後の有彩色制御点Pnにおける新たなLAB値を得るためのRGB色空間の色値の最適解を得る。このようなRGB色空間の色値の最適解を得る方法の一例は、共役勾配法、ニュートン法、および準ニュートン法などの勾配法、Nelder-Mead法や擬似アニーリング法などの他の方法である。
【0167】
ユーザー55は、操作画面21BにおけるLAB値、操作画面21Bに表示されている無彩色制御点Qnの色、および色パッチ53の色を対比させ、無彩色制御点Qnの色に対する調整量を指示する。次に、[処理1-6]として、マッチング制御部11は、調整量指示後の無彩色制御点QnにおけるLAB値を算出する。調整量指示後の無彩色制御点QnにおけるLAB値は、ユーザー55による調整量の指示に基づいて算出される。
【0168】
調整量指示後の無彩色制御点QnにおけるLAB値は、調整量指示前の無彩色制御点QnにおけるLAB値から、ユーザー55による無彩色制御点Qnへの調整量の指示に基づいて決定される。調整量指示後の無彩色制御点QnにおけるLAB値は、[処理1-8]RGB色空間における色値の探索に用いられる。
【0169】
[処理B:操作画面21B]
図13が示すように、マッチング制御部11は、無彩色制御点Qnにおける調整量の設定において、第2装置21に操作画面21Bを表示させる。操作画面21Bは、AB色度表示部26、調整量指示部27、AL値表示部28A、BL値表示部28B、明度表示部28C、および書き換え指示部28Pを備える。
【0170】
なお、図13に示す操作画面21Bは、無彩色調整量の変更開始時にマッチング制御部11が無彩色調整量データ15D2に基づいて生成する。図14に示す操作画面21Bは、無彩色制御点Qnにおける調整量の更新後にマッチング制御部11が無彩色調整量データ15D2に基づいて生成する。
【0171】
AB色度表示部26は、AB直交座標に、調整量指示部27に指示された無彩色制御点Qnを円アイコンとして表示する。AB色度表示部26が表示する無彩色制御点Qnにおける色度成分aの値、および色度成分bの値は、マッチング制御部11が無彩色調整量データ15D2の基準無彩色LAB値1520を参照し、調整量指示前の無彩色制御点QnにおけるLAB値に基づいて再現される。
【0172】
AB色度表示部26は、無彩色制御点Qnの円アイコンのなかに、調整量指示前の無彩色制御点Qnにおける色を表示する。AB色度表示部26が表示する無彩色制御点Qnの円アイコンのなかの色は、[処理1-8]RGB色空間における色値の探索において、調整量指示前の無彩色制御点QnのLAB値から最適解として探索された、RGB色空間の色値に基づいて表示される。
【0173】
AB色度表示部26は、AB色度座標の背景に、調整量指示部27に指示された無彩色制御点Qnの調整量指示後の色を表示する。調整量指示後の無彩色制御点Qnの色は、[処理1-8]RGB色空間における色値の探索において、調整量指示後の無彩色制御点QnのLAB値から最適解として探索された、RGB色空間の色値に基づいて表示される。
【0174】
AB色度表示部26は、AB色度表示部26に表示されている色と、第1装置52の再現した色パッチ53の色との比較において、これらが合致するか否かの目視判断を支援する。AB色度表示部26は、AB色度座標の背景に表示されている色と、AB色度座標のなかの円アイコンに表示されている色との比較において、これらの相違から、ユーザー55の指示による無彩色調整量がユーザー55の意図した変更に追従しているか否かの目視判断を支援する。
【0175】
調整量指示部27は、無彩色調整量を入力するためのヒューマンインターフェースである。調整量指示部27は、1つの無彩色制御点Qnについて、明度調整量ΔL、色度調整量Δa、および色度調整量Δbをユーザー55によって別々に入力できるように構成されている。
【0176】
調整量指示部27は、ユーザー55に指示された無彩色調整量として、無彩色制御点Qnの調整量を入力する。なお、明度調整量ΔL、色度調整量Δa、および色度調整量Δbの入力は、調整量指示部27による数値入力操作の他に、AB色度表示部26、AL値表示部28A、BL値表示部28B、明度表示部28Cにおける無彩色制御点Qnの移動操作であるアイコンドラッグ操作によって行われてもよい。
【0177】
AL値表示部28Aは、明度Lと色度成分aとの直交座標に、全ての無彩色制御点Qnを円アイコンとして表示する。AL値表示部28Aは、調整量指示後の無彩色制御点Qnの色を円アイコンのなかに表示する。調整量指示後の無彩色制御点Qnの色は、[処理1-8]RGB色空間における色値の探索において、調整量指示後の無彩色制御点QnのLAB値から最適解として探索された、RGB色空間の色値に基づいて表示される。
【0178】
AL値表示部28Aは、調整量指示部27に指示された無彩色制御点Qnを、大円アイコンとして表示し、指示されていない無彩色制御点Qnを小円アイコンとして表示する。AL値表示部28Aは、明度Lと色度成分aとの直交座標に表示されている大円アイコンの色と小円アイコンの色とをユーザー55に比較させる。AL値表示部28Aは、大円アイコンの色と小円アイコンの色との相違から、ユーザー55の指示による無彩色調整量がユーザー55の意図した変更に追従しているか否かの目視判断を支援する。
【0179】
BL値表示部28Bは、明度Lと色度成分bとの直交座標に、全ての無彩色制御点Qnを円アイコンとして表示する。BL値表示部28Bは、調整量指示後の無彩色制御点Qnの色を円アイコンのなかに表示する。調整量指示後の無彩色制御点Qnの色は、[処理1-8]RGB色空間における色値の探索において、調整量指示後の無彩色制御点QnのLAB値から最適解として探索された、RGB色空間の色値に基づいて表示される。
【0180】
BL値表示部28Bは、調整量指示部27に指示された無彩色制御点Qnを、大円アイコンとして表示し、指示されていない無彩色制御点Qnを小円アイコンとして表示する。BL値表示部28Bは、明度Lと色度成分bとの直交座標に表示されている大円アイコンの色と小円アイコンの色とをユーザー55に比較させる。BL値表示部28Bは、大円アイコンの色と小円アイコンの色との相違から、ユーザー55の指示による無彩色調整量がユーザー55の意図した変更に追従しているか否かの目視判断を支援する。
【0181】
明度表示部28Cは、直交座標に全ての無彩色制御点Qnを円アイコンとして表示する。明度表示部28Cの表示する直交座標の横軸は、調整量指示前の明度Lであり、直交座標の縦軸は、調整量指示後の明度Lである。明度表示部28Cは、調整量指示後の無彩色制御点Qnの色を円アイコンのなかに表示する。
【0182】
明度表示部28Cは、調整量指示部27に指示された無彩色制御点Qnを、大円アイコンとして表示し、指示されていない無彩色制御点Qnを小円アイコンとして表示する。調整量指示後の無彩色制御点Qnの色は、[処理1-8]RGB色空間における色値の探索において、色調整後の無彩色制御点QnのLAB値から最適解として探索された、RGB色空間の色値に基づいて表示される。
【0183】
明度表示部28Cは、調整量指示前の明度Lと調整量指示後の明度Lとの直交座標に表示されている大円アイコンの色と小円アイコンの色とをユーザー55に比較させる。明度表示部28Cは、大円アイコンの色と小円アイコンの色との相違から、ユーザー55の指示による無彩色調整量がユーザー55の意図した変更に追従しているか否かの目視判断を支援する。
【0184】
なお、明度表示部28Cは、全ての無彩色制御点Qnのなかで明度Lに基づく順序を各無彩色制御点Qnに定めてもよい。明度表示部28Cは、調整量指示部27の指示によって調整量指示後の明度Lに基づく順序が変わらないように、無彩色制御点Qnの調整量を制限してもよい。
【0185】
書き換え指示部28Pは、ディスプレイプロファイル15BのB2Aを書き換えるためのヒューマンインターフェースである。書き換え指示部28Pは、書き換え指示部28Pの押下によって、カラーマッチング支援装置10に、B2Aの書き換えを指示する。
【0186】
[処理1-7]無彩色調整量データの更新として、マッチング制御部11は、無彩色制御点Qnの無彩色調整量152Tに、上述した操作画面21Bを通じてユーザー55によって指示された調整量を反映し、これによって無彩色調整量データ15D2を更新する。すなわち、マッチング制御部11は、無彩色制御点Qnにおける新たなLAB値を、ユーザー55による操作画面21Bの操作を通じて、以下のように対話的にユーザー55に指示させる。
【0187】
まず、マッチング制御部11は、操作画面21Bにおいて、調整量指示前の無彩色制御点QnのLAB値に、調整量指示前の無彩色制御点Qnに相当する色を表示させる。
次に、ユーザー55は、調整量指示前の無彩色制御点Qnにおける色と、第1装置52の再現した色パッチ53の色とを目視比較する。ユーザー55は、調整量指示前の無彩色制御点Qnにおける色と、第1装置52の再現した色パッチ53の色とが合致するか否かを、目視判断する。
【0188】
次に、ユーザー55は、色パッチ53の色と、調整量指示前の無彩色制御点Qnにおける色とが相違して見える場合、操作画面21Bを操作し、調整量指示前の無彩色制御点Qnにおける色について、LAB値の調整量を指示する。
【0189】
そして、マッチング制御部11は、ユーザー55による調整量の入力を受け、無彩色調整量データ15D2に記憶される各値が、指示された調整量に相当するように、無彩色調整量データ15D2を更新する。これによって、マッチング制御部11は、[処理1-6]無彩色調整量があらたに指示されるごとに、最新の無彩色調整量が反映された状態に、カラーマッチング支援装置10の無彩色調整量データ15D2を更新する。
【0190】
[処理1-8]として、マッチング制御部11は、更新された無彩色調整量データ15D2を用い、調整量指示後の無彩色制御点QnにおけるRGB色空間の色値を探索する。すなわち、マッチング制御部11は、[処理1-4]による最適解の探索と同じように、調整量指示後の無彩色制御点Qnにおける新たなLAB値をディスプレイプロファイル15BのA2Bから得られるような、RGB色空間の色値の最適解を探索する。
【0191】
[処理C:プロファイルの書き換え]
マッチング制御部11は、操作画面21Aにおける書き換え指示部25Pの押下、または操作画面21Bにおける書き換え指示部28Pの押下によって、[処理C]プロファイルの書き換えとして、[処理2][処理3][処理4][処理5]を実行する。
【0192】
[処理2:調整点X0の選択]
図6に戻り、マッチング制御部11は、操作画面21Aの書き換え指示部25P、または操作画面21Bの書き換え指示部28Pから書き換え指示を受け取ると、ディスプレイプロファイル15Bの書き換え前のB2Aを参照する。マッチング制御部11は、書き換え前のB2Aを参照した後に、[処理5]色値の書き換えを行うための[処理2]調整点X0の選択を行う。
【0193】
すなわち、マッチング制御部11は、ディスプレイプロファイル15BのCLUTのなかから色調整前の1つのグリッドを選択する。マッチング制御部11は、全ての調整点Xnのなかから1つずつ調整点X0を選択し、選択された調整点X0におけるLAB値を算出する(ステップS12)。
【0194】
次に、マッチング制御部11は、選択された調整点X0のLCHを算出する。すなわち、マッチング制御部11は、上記式(1)を用い、色調整前の調整点X0におけるLAB値をLCH値に変換する。マッチング制御部11は、調整点X0におけるLAB値を[L0,a0,b0]として扱い、調整点X0におけるLCH値を[L0,C0,H0]として扱う(ステップS13)。
【0195】
[処理3:有彩色調整量の算出]
マッチング制御部11は、[処理2]調整点X0の選択として調整点X0のLCH値を算出すると、[処理5]色値の書き換えを行うための[処理3]有彩色調整量の算出を行う。すなわち、マッチング制御部11は、調整点X0を対象として、有彩色調整部12に有彩色調整量の算出を実行させる。
【0196】
マッチング制御部11は、調整点X0を対象とする有彩色調整の算出として、有彩色制御点Pnの調整量に基づいて、調整点X0の有彩色調整量T1a(図17を参照)を有彩色調整部12に算出させる。以下に、有彩色調整部12による有彩色調整量T1aの算出例として、2つの有彩色制御点P1,P2を用いた補間例を説明する。
【0197】
例えば、図15が示すように、有彩色調整部12は、選択された色調整前の調整点X0における色相角H0を参照する。有彩色調整部12は、全ての有彩色制御点Pnの色相角Hのなかで色相角H0を挟み、かつ調整点X0の近傍に位置する、2つの色相角H1,H2を有した2つの有彩色制御点P1,P2を特定する(ステップS21)。
【0198】
ここで、有彩色調整部12は、有彩色制御点P1におけるLCH値を[LP1,C1,H1]として扱う。有彩色調整部12は、有彩色制御点P2におけるLCH値を[LP2,C2,H2]として扱う。
【0199】
次に、有彩色調整部12は、下記式(2)を用い、2つの有彩色制御点P1,P2の調整量から、調整点X0の色相角H0における中間調整量T1(図17を参照)を算出する(ステップS22)。続いて、有彩色調整部12は、下記式(2)を用い、調整点X0の色相角H0における彩度Cの最大値である最大彩度CPを算出する(ステップS23)。そして、有彩色調整部12は、下記式(3)を用い、調整点X0の色相角H0における中間調整量T1から、調整点X0の有彩色調整量T1aを算出する(ステップS24)。
【0200】
言い換えれば、有彩色調整部12は、有彩色制御点P1,P2、および調整点X0の有彩色調整量を色相角Hの関数として取り扱う。有彩色調整部12は、データ色空間およびPCSの連続性を考慮し、色相角Hによって定められる彩度調整量と明度調整量と色相角調整量を、調整点X0の色相角H0に基づいて比例配分する。
【0201】
【数2】
【0202】
【数3】

式(2)において、有彩色調整部12は、2つの有彩色制御点P1,P2の間の色相角差に対する、調整点X0と有彩色制御点P1との色相角差を、比例配分係数fとして扱う。
【0203】
有彩色調整部12は、有彩色制御点P1の有彩色調整量を[ΔLP1,ΔCP1,ΔHP1]として扱う。有彩色調整部12は、有彩色制御点P2の有彩色調整量を[ΔLP2,ΔCP2,ΔHP2]として扱う。
【0204】
そして、有彩色調整部12は、各有彩色制御点P1,P2の有彩色調整量を比例配分係数fによって比例配分した調整量を、調整点X0の中間調整量T0である[ΔLP,ΔCP,ΔHP]として扱う。
【0205】
なお、有彩色調整部12は、調整点X0の中間調整量T0を、下記式(4)を用い、LAB座標系における調整点X0の中間調整量T1である[ΔLP,ΔaP,ΔbP]に変換する。
【0206】
【数4】
ここで、[基準色定義リスト50]および[画像データ51]において説明したように、基準有彩色定義リスト50aに基づく有彩色制御点Pnは、CIELAB色空間におけるソースプロファイル15Aの色域の最外郭上の頂点、または稜線上の点である。2つの有彩色制御点P1,P2もまた、ソースプロファイル15Aの色域の最外郭上の頂点、または稜線上の点である。これらから、各有彩色制御点P1,P2の測色値(LCH値)を比例配分係数fによって比例配分した測色値(LCH値)を有する中間制御点Pもまた、第1装置52の色域の最外郭上の頂点、または稜線近傍に位置すると見なされる。
【0207】
こうした推定に基づき、有彩色調整部12は、上記式(2)を用い、中間制御点Pの彩度CをX0の色相角H0における最大彩度CPとして算出する(ステップ23)。
上記式(3)において、有彩色調整部12は、中間制御点Pの彩度である最大彩度CPに対する、調整点X0の彩度C0を、比例配分係数hとして扱う。有彩色調整部12は、調整点X0の中間調整量T1を比例配分係数hによって比例配分した調整量を、調整点X0の有彩色調整量T1aとして扱う。(ステップS24)。この時、有彩色調整部12は、比例配分係数hの値が0と1の間の数値であるように制限してもよい。すなわち、上記式(3)において、比例配分係数hが0より小さい値を取るときは比例配分係数h=0とし、比例配分係数hが1より大きな値を取るときは比例配分係数h=1としてもよい。
【0208】
[処理4:無彩色調整量の算出]
マッチング制御部11は、[処理3]有彩色調整量の算出と同じく、[処理5]色値の書き換えを行うための[処理4]無彩色調整量の算出を行う。すなわち、マッチング制御部11は、調整点X0を対象として、無彩色調整部13に無彩色調整量の算出を実行させる。
【0209】
マッチング制御部11は、調整点X0を対象とする無彩色調整量の算出として、無彩色制御点Qnの調整量に基づいて、調整点X0の無彩色調整量T2a(図17を参照)を無彩色調整部13に算出させる。以下に、無彩色調整部13による無彩色調整量T2aの算出例として、2つの無彩色制御点Q1,Q2を用いた補間例を説明する。
【0210】
例えば、図16が示すように、無彩色調整部13は、選択された色調整前の調整点X0における明度L0を参照する。無彩色調整部13は、全ての無彩色制御点Qnの明度Lのなかで明度L0を挟み、かつ調整点X0の近傍に位置する、2つの明度LQ1,LQ2を有した2つの無彩色制御点Q1,Q2を特定する(ステップS31)。
【0211】
ここで、無彩色調整部13は、無彩色制御点Q1におけるLAB値を[LQ1,aQ1,bQ1]として扱う。無彩色調整部13は、無彩色制御点Q2におけるLAB値を[LQ2,aQ2,bQ2]として扱う。
【0212】
次に、無彩色調整部13は、下記式(5)を用い、2つの無彩色制御点Q1,Q2の調整量から、調整点X0の明度L0における中間調整量T2(図17を参照)を算出する(ステップS32)。そして、無彩色調整部13は、下記式(6)を用い、調整点X0の明度L0における中間調整量T2から、調整点X0の無彩色調整量T2aを算出する(ステップS33)。
【0213】
言い換えれば、無彩色調整部13は、無彩色制御点Q1,Q2、および調整点X0の無彩色調整量を明度Lの関数として取り扱う。無彩色調整部13は、データ色空間およびPCSの連続性を考慮し、明度Lによって定められる色度成分aの調整量と色度成分bの調整量と明度Lの調整量とを、調整点X0の明度L0に基づいて比例配分する。
【0214】
【数5】
【0215】
【数6】

式(5)において、無彩色調整部13は、2つの無彩色制御点Q1,Q2の間の明度差に対する、調整点X0と無彩色制御点Q1との明度差を、比例配分係数gとして扱う。
無彩色調整部13は、無彩色制御点Q1の無彩色調整量を[ΔLQ1,ΔaQ1,ΔbQ1]として扱う。無彩色調整部13は、無彩色制御点Q2の無彩色調整量を[ΔLQ2,ΔaQ2,ΔbQ2]として扱う。
【0216】
そして、無彩色調整部13は、各無彩色制御点Q1,Q2の無彩色調整量を比例配分係数gによって比例配分した調整量を、調整点X0の中間調整量T2である[ΔLQ,ΔaQ,ΔbQ]として扱う。なお、無彩色調整部13は、各無彩色制御点Q1,Q2の測色値(LAB値)を比例配分係数gによって比例配分した測色値(LAB値)を有する中間制御点Qの彩度を最小彩度CQ(=0)として扱う(ステップ32)。
【0217】
式(6)において、無彩色調整部13は、最大彩度CPに対する、調整点X0の彩度C0と最大彩度CPとの差分値を、比例配分係数(1-h)として扱う。無彩色調整部13は、調整点X0の中間調整量T2を比例配分係数によって比例配分した調整量を、調整点X0の無彩色調整量T2aとして扱う。(ステップS33)。
【0218】
[処理5:色値の書き換え]
マッチング制御部11は、[処理3]有彩色調整量の算出と[処理4]無彩色調整量の算出とを行った後に、調整点X0における有彩色調整量T1aと無彩色調整量T2aとを算出すると、プロファイル書き換え部14に[処理5]色値の書き換えを実行させる。すなわち、マッチング制御部11は、調整点X0を対象として、有彩色調整量T1aと無彩色調整量T2aとを合成させる(ステップS51)。
【0219】
次に、マッチング制御部11は、合成された調整量と調整点X0の測色値(LAB値)との合成結果を、ディスプレイプロファイル15BのA2Bから得られるような、RGB色空間の色値(RGB値)の最適解を探索させる(ステップS52)。
【0220】
そして、マッチング制御部11は、調整点X0のグリッドに対応づけられているメモリアドレスを対象として、メモリアドレスに記憶されているRGB色空間の色値(RGB値)を、最適解として探索された色値(RGB値)に書き換えさせる(ステップS53)。また、マッチング制御部11は、全てのグリッドの書き換えが終了するまで、[処理2]~[処理5]を繰り返す。
【0221】
例えば、図17が示すように、上述した中間調整量T1は、調整点X0の調整量ではなく、各有彩色制御点P1,P2の調整量を比例配分係数fによって比例配分した調整量を有する。また、上述した中間調整量T1は、調整点X0の色相角H0における最大彩度CPを有した中間制御点Pの調整量でもある。中間制御点PのLCH値を変換して得られたLAB値と中間調整量T1との合成は、中間制御点Pの色調整後Paとなる。
【0222】
また、上述した中間調整量T2は、調整点X0の調整量ではなく、各無彩色制御点Q1,Q2の調整量を比例配分係数gによって比例配分した調整量を有する、最小彩度CQを有した中間制御点Qの調整量である。中間制御点Qの調整量と中間調整量T2との合成は、中間制御点Qの色調整後Qaとなる。
【0223】
そこで、マッチング制御部11は、調整点X0の色調整後X0aを得るために、下記式(7)を用い、有彩色調整量T1aと無彩色調整量T2aとから、調整点X0の合成調整量T3を算出させる。そして、マッチング制御部11は、調整点X0のLAB値に、有彩色調整量T1aと無彩色調整量T2aとを合成することによって、調整点X0の色調整後X0aにおけるLAB値を[L3,a3,b3]として算出する(ステップS51)。
【0224】
【数7】

言い換えると、マッチング制御部11は、調整点X0の合成調整量T3を、中間調整量T1と中間調整量T2のそれぞれを、ソースプロファイル15Aにおける最大彩度CPに対する調整点X0の彩度C0との関係によって比例配分した調整量の和として算出させる。これによって、調整点X0の彩度C0が高いことによって調整点X0がソースプロファイル15Aにおける最外郭の近くに位置する場合であれば、合成調整量T3が中間調整量T1に強い影響を受けるようにもなる。反対に、調整点X0の彩度C0が低いことによって調整点X0がソースプロファイル15Aにおける最外郭から離れている場合、すなわちCIELAB色空間の明度軸(グレイ軸)の近くに位置する場合であれば、合成調整量T3が中間調整量T2に強い影響を受けるようにもなる。
【0225】
プロファイル書き換え部14は、調整点X0の合成調整量T3を算出すると、調整点X0のLAB値と合成調整量T3との合成結果である新たなLAB値X0aから、当該LAB値を得るための新たなRGB色空間のRGB値を探索する。新たなRGB値の探索は、上述した[処理1-4][処理1-8]と同じく、ディスプレイプロファイル15BのA2Bから新たなLAB値を得られるような、A2Bの入力値であるRGB色空間のRGB値の最適解の探索である(ステップS52)。
【0226】
プロファイル書き換え部14は、調整点X0の最適解を探索すると、調整点X0のグリッドが対応づけられているディスプレイプロファイル15BのB2AのCLUTのメモリアドレスを特定する。そして、プロファイル書き換え部14は、特定されたディスプレイプロファイル15BのB2AのCLUTのメモリアドレスに記憶されるRGB色空間のRGB値を、調整点X0における前記探索された最適解に書き換える(ステップS53)。
【0227】
[カラーマッチング支援動作]
カラーマッチング支援装置10は、記憶部15に、基準有彩色定義リスト50a、基準無彩色定義リスト50bを予め定められたものとして記憶している。また、カラーマッチング支援装置10は、第2装置21から、ソースプロファイル15Aとディスプレイプロファイル15Bとを取得し、カラーマッチング支援を開始する。カラーマッチング支援装置10は、ソースプロファイル15AのA2Bを用い、基準有彩色定義リスト50aにおけるデータ色空間の色値と、基準無彩色定義リスト50bの測色的色空間の測色値とを適用し、有彩色制御点Pn、および無彩色制御点Qnについて、[処理A]として、有彩色調整量データ15D1および無彩色調整量データ15D2を初期化する。カラーマッチング支援装置10は、基準有彩色定義リスト50aにおける色値と、基準無彩色定義リスト50bの測色値についてソースプロファイル15AのA2Bを用いて最適解探索して得られた基準無彩色の第1装置52のデータ色空間の色値から、画像データ51を生成する。カラーマッチング支援装置10は、前記画像データ51を第1装置52に転送する。第1装置52は画像データ51を出力し、ユーザー55に色パッチ53として提供する。
【0228】
次に、カラーマッチング支援装置10は、有彩色調整量データ15D1に基づき、操作画面21Aを表示させながら、[処理1-2]~[処理1-4]を行うことによって、ユーザー55の指示に基づく有彩色制御点Pnの有彩色調整量を取得し、有彩色調整量データ15D1を更新する。
【0229】
また、カラーマッチング支援装置10は、無彩色調整量データ15D2に基づき、操作画面21Bを表示させながら、[処理1-6]~[処理1-8]を行うことによって、ユーザー55の指示に基づく無彩色制御点Qnの無彩色調整量を取得し、無彩色調整量データ15D2を更新する。
【0230】
次いで、カラーマッチング支援装置10は、書き換え指示部25Pの押下、あるいは書き換え指示部28Pの押下を検出する。続いて、カラーマッチング支援装置10は、有彩色制御点Pnの最新の調整量、および無彩色制御点Qnの最新の調整量を用い、全ての調整点X0について[処理3]有彩色調整量の算出と[処理4]無彩色調整量の算出とを行う。
【0231】
すなわち、カラーマッチング支援装置10は、ユーザー55の書き換え指示を受けて、最新の調整量データ15Dを参照し、各調整点X0の中間調整量T1,T2に、最新の調整量データ15Dを反映させる。カラーマッチング支援装置10は、ユーザー55の書き換え指示を受けて、最新の調整量データ15Dを参照し、各調整点X0の有彩色調整量T1a、および無彩色調整量T2aに、最新の調整量データ15Dを反映させる。カラーマッチング支援装置10は、ユーザー55の書き換え指示を受けて、最新の調整量データ15Dを参照し、各調整点X0の調整量T3に、最新の調整量データ15Dを反映させる。
【0232】
そして、カラーマッチング支援装置10は、各調整点X0に対応づけられたメモリアドレスに記憶されるRGB色空間のRGB値を、当該調整点X0の合成調整量T3に基づいて探索されたRGB色空間の最適解に書き換える。カラーマッチング支援装置10は、第2装置21へ、色調整後のディスプレイプロファイル15Bを転送し、カラーマッチング支援を終了する。
【0233】
図18は、データ色空間がCMYK色空間であるソースプロファイル15Aの有彩色制御点Pnとその調整先の例を示す。図19は、データ色空間がCMYK色空間であるソースプロファイル15Aとするときの第2装置21のカラーマッチングによる色再現と、図18における調整量指示前の有彩色制御点Pnとの関係の一例を示す。図20は、データ色空間がCMYK色空間であるソースプロファイル15Aとするときの第2装置21のカラーマッチングによる色再現と、図18における調整量指示後の有彩色制御点Pnとの関係の一例を示す。なお、図19における、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、レッドマゼンタ(RM)、イエロレッド(YR)、グリーンイエロ(GY)、シアングリーン(CG)、マゼンタブルー(MB)は、図18における調整量指示前の有彩色制御点Pnに対応する色相角を示す。また、図20における、レッド(R’)、マゼンタ(M’)、レッドマゼンタ(RM’)、マゼンタブルー(MB’)は、図18における調整量指示後の有彩色制御点Pnに対応する色相角を示す。
【0234】
図21は、データ色空間がRGB色空間であるディスプレイプロファイル15Bの記述する色調整前の色再現の一例を示す。図22は、データ色空間がRGB色空間であるディスプレイプロファイル15Bの記述する色調整後の色再現の一例を示す。なお、図21における、レッド(R)、ブルー(B)、マゼンタ(M)、レッドマゼンタ(RM)、イエロレッド(YR)、マゼンタブルー(MB)は、図18における調整量指示前の有彩色制御点Pnに対応する色相角を示す。また、図22における、レッド(R’)、マゼンタ(M’)、レッドマゼンタ(RM’)、マゼンタブルー(MB’)は、図18における調整量指示後の有彩色制御点Pnに対応する色相角を示す。
【0235】
図19から図22が示すように、プロファイルの記述する色再現は、プロファイルのデータ色空間上における格子のCIELAB色空間上への投影として表すことができる。また、図19から図22が示すように、有彩色制御点PnをCIELAB色空間上に投影して表すこともできる。このように、ソースプロファイル15Aにおける色域最外郭、データ色空間上の格子、および各制御点Pn,Qnの関係は、CIELAB色空間上の位置関係として表すことができる。
【0236】
第1装置52と第2装置21との間に共通するソースプロファイル15Aを用いるカラーマッチングにおいて、第2装置21の再現する色を第1装置52の再現する色に近づけるカラーマッチング支援では、第2装置21のディスティネーションプロファイルであるディスプレイプロファイル15BのB2Aを書き換えることを要する。すなわち、カラーマッチング支援装置10は、ディスプレイプロファイル15BのB2Aにおいて調整点Xnに対応づけられたメモリアドレスに記憶されるデータ色空間の色値(RGB値)を書き換える。こうしたカラーマッチング支援装置10による色値(RGB値)の書き換えは、第2装置21の逆方向色再現特性を変えることである。
【0237】
一方、カラーマッチング支援装置10による色値(RGB値)の書き換えは、ソースプロファイル15AのA2Bとディスプレイプロファイル15BのB2Aとを結合するカラーマッチング処理過程の全体から見ることもできる。このとき、カラーマッチング支援装置10による色値の書き換えは、ディスプレイプロファイル15BのB2Aにおいて、調整点Xnに対応づけられたメモリアドレスに記憶されるデータ色空間の色値(RGB値)を書き換えることである。
【0238】
このような色値の書き換えは、ソースプロファイル15AのA2Bのデータ色空間の色値(CMYK値)に対応づけられたメモリアドレスに記憶されるLAB値を調整点Xnとして、当該LAB値に色調整した結果に書き換えることと、結果において同等でもある。また、第2装置21において、ソースプロファイル15Aに対してカラーマッチングすることは、ソースプロファイル15Aのデータ色空間(CMYK色空間)の色値を、ソースプロファイル15Aの記述する色再現で再現することである。すなわち、図19に示す色再現を行うことである。
【0239】
例えば、図18、および図20が示すように、[処理1]制御点Pn,Qnにおける調整量の設定において、ソースプロファイル15Aと基準有彩色定義リスト50aに基づいて定められた有彩色制御点Pnについて、レッド(R)の色相角Hをイエロ(Y)の色相角に近づける指示が入力されるとする。また、レッドマゼンタ(RM)の色相角Hをイエロ(Y)の色相角に近づける指示が入力されるとする。また、マゼンタ(M)の色相角Hがレッド(R)の色相角に近づける指示が入力されるとする。また、マゼンタブルー(MB)の色相角Hがマゼンタ(M)の色相角に近づける指示が入力されるとする。
【0240】
これらの指示を受けたカラーマッチング支援装置10は、図22が示すように、第2装置21のデータ色空間(RGB色空間)上の格子点を、色度面において、イエロレッド(YR)とマゼンタ(M)との間に密集するように、ディスプレイプロファイル15BのB2Aを書き換える。また、カラーマッチング支援装置10は、第2装置21のデータ色空間(RGB色空間)上の格子点を、マゼンタ(M)とブルー(B)との間では散在するように、ディスプレイプロファイル15BのB2Aを書き換える。
【0241】
一方、カラーマッチング過程全体では、図20が示すように、ソースプロファイル15Aのデータ色空間(CMYK色空間)上の格子点を、色度面において、以下のように変えるように、カラーマッチング支援装置10がディスプレイプロファイル15Bを書き換えたのと同等である。すなわち、ソースプロファイル15Aのデータ色空間(CMYK色空間)上の格子点をイエロレッド(YR)とマゼンタ(M)との間に密集するよう、カラーマッチング支援装置10がディスプレイプロファイル15Bを書き換えたのと同等の色再現の変更が得られる。また、ソースプロファイル15Aのデータ色空間(CMYK色空間)上の格子点をマゼンタ(M)とブルー(B)との間では散在するよう、カラーマッチング支援装置10がディスプレイプロファイル15Bを書き換えたのと同等の色再現の変更が得られる。
【0242】
このように、カラーマッチング支援装置10は、カラーマッチングにおいて、第1装置52と第2装置21とに共有されるソースプロファイル15Aを変更することなく、第2装置21のディスティネーションプロファイルの逆方向色再現情報を書き換える。これによって、カラーマッチング支援装置10は、第2装置21の再現する色を、第1装置52が再現した色に近づける。
【0243】
上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)第2装置21が再現する色と、第1装置52が再現する色とを比較することは、操作画面21A,21Bの測色的色空間における各色の位置を比較することと共に行われる。そのため、第2装置21が再現する制御点Pn,Qnの測色的色空間における位置をユーザー55に目視させながら、ユーザー55に、有彩色制御点Pnの調整、および無彩色制御点Qnの調整を促すことが可能となる。これによって、ユーザー55にとって、調整すべき有彩色制御点Pnの選定、および無彩色制御点Qnの選定、および調整内容の指示が直感的に行えるようになる。結果として、調整作業の所要時間を短くすること、ひいてはマッチング精度の向上が可能となる。
【0244】
(2)ディスプレイプロファイル15BのB2Aにおいて、グリッドが対応づけられるメモリアドレスの色値15BCTが、グリッドの対応するLAB値に基づき、新たな色値15BCT(RGB値)に書き換えられる。これによって、書き換えられたB2Aを用いる第2装置21は、専用測色装置を要求することなく、第1装置52が再現する色に第2装置21が再現する色を近づけることが可能となる。
【0245】
(3)ディスプレイプロファイル15BのA2Bにおいて調整先となる点を対応づけられる測色値(LAB値)は、ディスプレイプロファイル15BのA2Bそのものを用いた最適解の探索として算出される。そのため、有彩色制御点Pnの調整先となる点、および無彩色制御点Qnの調整先となる点の測色値(LAB値)に関わる精度が高まる。
【0246】
(4)第1装置52が再現する有彩色と、第2装置21が再現する有彩色とを目視比較することは、操作画面21AのLCH座標系における各制御点の位置を比較することと共に行われる。また、第1装置52が再現する無彩色と、第2装置21が再現する無彩色とを比較することは、操作画面21BのLAB座標系における各制御点の位置を目視比較することと共に行われる。
【0247】
これによって、制御点Pn,Qnの位置を示す操作画面21A,21Bの座標系は、人の直感によって制御点Pn,Qnの位置をより把握しやすい座標系となる。そのため、第2装置21が再現する色のPCSにおける位置を、より高い精度でユーザー55に目視させながら、制御点Pn,Qnの調整をユーザー55に促すことが可能となる。
【0248】
(5)有彩色調整量と無彩色調整量に基づいて、各調整点Xnに対応づけられるRGB色空間の色調整後の色値15BCT(RGB値)が補間される。これによって、書き換えられたB2Aを用いる第2装置21は、有彩色調整点と無彩色調整点との中間において、第1装置52が再現する色を精度よく再現することが可能ともなる。
【0249】
(6)CLUTに対して、複数の有彩色制御点Pnと複数の無彩色制御点Qnとを用いることは、第2装置21の色再現域の局所に適した柔軟性に富む色調整が可能となる。
なお、上記実施形態は、以下のように実施することもできる。
【0250】
[色調整]
・[処理3]有彩色調整量の算出は、色相角Hに依存する調整量の補間に限らず、色相角Hと明度Lとに依存する調整量の補間に変更してもよい。要は、有彩色調整と無彩色調整は、制御点Pn,Qnの調整量を用い、調整点X0の測色値に基づいて、調整点X0の調整量を補間する処理であればよい。
【0251】
例えば、図23が示すように、有彩色制御点P1と、無彩色制御点Qnのなかのグレイg0とを結ぶ線分上で、調整点X0と等しい明度L0となる点を2次の制御点P1’とする。有彩色制御点P2と、無彩色制御点Qnのなかのグレイg100とを結ぶ線分上で、調整点X0と等しい明度L0となる点を2次の制御点P2’とする。
【0252】
図23、および図24が示すように、2次の制御点P1’の明度は、調整点X0の明度L0であり、色相角と色相角調整量は、有彩色制御点P1と等しく、色相角は色相角H1であり、色相角調整量ΔHP1である。
【0253】
また、2次の制御点P1’の彩度と明度調整量と彩度調整量は、無彩色制御点Qnのなかのグレイg0の明度Lg0と、有彩色制御点P1の明度LP1との差分に対する、無彩色制御点Qnのなかのグレイg0の明度Lg0と、調整点X0の明度L0との差分の比に基づいて得られる。すなわち、2次の制御点P1’の彩度と明度調整量と彩度調整量は、上述した差分の比に基づいて比例配分された、有彩色制御点P1の彩度と明度調整量と彩度調整量として得られる。すなわち、2次の制御点P1’のLHC値は、[L0、H1、CP1’]として、調整量は、[ΔLP1’、ΔHP1、ΔCP1’]として扱われる。
【0254】
また、2次の制御点P2’の明度は、調整点X0の明度L0であり、色相角と色相角調整量は、有彩色制御点P2と等しく、色相角は色相角H2であり、色相角調整量ΔHP2である。
【0255】
また、2次の制御点P2’の彩度と明度調整量と彩度調整量は、無彩色制御点Qnのなかのグレイg100の明度Lg100と、有彩色制御点P2の明度LP2との差分に対する、無彩色制御点Qnのなかのグレイg100の明度Lg100と、調整点X0の明度L0との差分の比に基づいて得られる。すなわち、2次の制御点P2’の彩度と明度調整量と彩度調整量は、上述した差分の比に基づいて比例配分された、有彩色制御点P2の彩度と明度調整量と彩度調整量として得られる。すなわち、2次の制御点P2’のLHC値は、[L0、H2、CP2’]として、調整量は、[ΔLP2’、ΔHP2、ΔCP2’]として扱われる。
【0256】
そして、カラーマッチング支援装置10は、2次の制御点P1’の測色値と有彩色調整量、および、2次の制御点P2’の測色値と有彩色調整量とを上記式(2)(3)に適用し、調整点X0の有彩色調整量と無彩色調整量を算出してもよい。
【0257】
[色空間の組み合わせ]
・上記実施形態には、各制御点Pn,Qnの色空間、調整点X0の色空間、およびPCSがCIELAB色空間である例を示した。すなわち、カラーマッチング支援装置10は、(i)ディスプレイプロファイル15BのB2Aのグリッドが対応するLAB値から調整点X0を特定し、(ii)ディスプレイプロファイル15BのA2Bを用いて、色調整後のLAB値からRGB値の最適解を算出する。
【0258】
これを変更し、PCSがCIEXYZ色空間であり、カラーマッチング支援装置10は、(i)グリッドが対応するXYZ値をLAB値に変換して調整点X0を特定してもよい。そして、カラーマッチング支援装置10は、(ii)色調整後のLAB値をXYZ値に変換し、ディスプレイプロファイル15BのA2Bを用いて、変換後のXYZ値からRGB値の最適解を算出してもよい。
【0259】
あるいは、PCSがCIELAB色空間であり、カラーマッチング支援装置10は、(i)グリッドに対応づけられたメモリアドレスのRGB値を、ディスプレイプロファイル15BのA2Bを用いてLAB値に変換して調整点X0を特定してもよい。そして、カラーマッチング支援装置10は、(ii)ディスプレイプロファイル15BのA2Bを用いて、色調整後のLAB値からRGB値の最適解を算出してもよい。
【0260】
あるいは、カラーマッチング支援装置10は、(i)グリッドに対応づけられたメモリアドレスのRGB色空間のRGB値を、色相角と彩度と輝度とから構成されるHLS色空間の色値に順方向に変換し、HS面を直交座標に変換した変換値を、調整点X0に特定してもよい。そして、カラーマッチング支援装置10は、色調整によって得られるHLS値をRGB値に逆方向に変換してもよい。
【0261】
[カラーマッチング対象]
・第1装置52は、出力装置に限らず、表示装置でもよい。この際、基準有彩色定義リスト50aと画像データ51は、表示装置のデータ色空間のRGB色空間の色値(RGB値)によって表現される。
【0262】
・カラーマッチング支援装置10は、操作画面21Aに表示させるLCH座標系をLAB座標系に変更してもよく、有彩色制御点Pnの移動をLAB値の調整量として受けてもよい。こうした構成であっても、表示装置が再現する制御点Pnの色と、LAB座標系の色との比較は、操作画面21AのLAB座標系のなかで、ユーザー55の目視に基づいて行われる。なお、上述したように、色空間と色との関係が把握されやすいLCH座標系を操作画面21Aに表示させる構成であれば、ユーザー55による調整量の指定精度を高めることが可能である。
【0263】
・第1装置52が表示装置であり、かつ第2装置21が表示装置であってもよい。すなわち、第1装置52は、出力装置と表示装置のいずれか一方である。第2装置21は、表示装置である。
【0264】
・第1装置52は、標準化されていない装置であってもよく、ソースプロファイル15Aは、印刷標準に準拠するプロファイルでなくてもよい。こうした構成であっても、カラーマッチング支援装置は、第1装置52の出力する色に第2装置21の表示する色を合わせることは可能である。
【0265】
[制御点の値の設定方法]
・カラーマッチング支援装置10は、ソースプロファイル15Aのデータ色空間(CMYK色空間)についての基準有彩色定義リスト50aに対応する有彩色制御点Pnの測色値の算出に、ソースプロファイル15AのA2Bを用いる。これを変更して、カラーマッチング支援装置10は、ディスプレイプロファイル15Bのデータ色空間(RGB色空間)についての基準有彩色定義リスト50aに対応する有彩色制御点Pnの測色値の算出に、ディスプレイプロファイル15BのA2Bを用いてもよい。この時、基準有彩色定義リスト50aのソースプロファイル15Aのデータ色空間の色値は、ディスプレイプロファイル15Bのデータ色空間(RGB色空間)について、記述される。
【0266】
[目視比較の対象]
・カラーマッチング支援装置10は、基準有彩色定義リスト50aと、基準無彩色定義リスト50bとソースプロファイル15AのA2Bに従って画像データ51を生成する。第1装置52は、カラーマッチング支援装置10が生成した画像データ51から色パッチ53を出力する。カラーマッチング支援装置10は、基準有彩色定義リスト50aと、基準無彩色定義リスト50bとソースプロファイル15Aとから得られた調整量データ15Dに基づいて、色パッチ53に対応する有彩色制御点Pnの色を操作画面21Aに再現する。カラーマッチング支援装置10は、基準有彩色定義リスト50aと、基準無彩色定義リスト50bとソースプロファイル15Aとから得られた調整量データ15Dに基づいて、色パッチ53に対応する無彩色制御点Qnの色を操作画面21Bに再現する。ユーザー55は、色パッチ53の色と操作画面21A,21Bに再現される色とを目視比較して、色パッチ53の色が操作画面21A,21Bに表示されるように、操作画面21A,21Bに再現されている色の変更度合いを指示する。
【0267】
これを変更し、ユーザー55が目視比較する対象は、カメラ等によるフォトグラフィックな自然画像、あるいはコンピュータグラフィックスで生成された画像であってもよい。すなわち、画像データ51に、自然画像およびコンピュータグラフィックスが含まれていてもよい。この際、第1装置52は、自然画像、あるいはコンピュータグラフィックスを出力し、カラーマッチング支援装置10は、画像データ51を生成するのではなく、画像データ51を記憶部15に読み込み、画像データ51にソースプロファイル15AのA2Bとディスプレイプロファイル15BのB2Aを適用し、画像データ51に含まれる、自然画像、あるいはコンピュータグラフィックスを、第2装置21に再現させる。ユーザー55は、自然画像、あるいはコンピュータグラフィックスの第1装置52からの出力と、第2装置21における再現とを目視比較する。ユーザー55は、自然画像、あるいはコンピュータグラフィックスである第1装置52の出力物の色が、第2装置21に再現されるように、操作画面21A,21Bを用いて色の変更度合いを指示してもよい。
【0268】
このとき、カラーマッチング支援装置10は、画像データ51について、ソースプロファイル15AのA2Bとディスプレイプロファイル15BのB2Aとによりカラーマッチングして、第2装置21に画像を表示する。カラーマッチング支援装置10は、ディスプレイプロファイル15Bの書き換えが終了するたびに、画像データ51について、ソースプロファイル15AのA2Bとディスプレイプロファイル15BのB2Aとによりカラーマッチングして、第2装置21における表示を更新する。
【0269】
なお、上述したように、カラーマッチング支援装置10において、画像データ51についてソースプロファイル15AのA2Bとディスプレイプロファイル15BのB2Aとによりカラーマッチングして、第2装置21に画像を表示する場合、カラーマッチング支援装置10は、以下のように構成される。なわち、カラーマッチング支援装置10は、カラーマッチング前の画像データ51とカラーマッチングにより書き換えられる画像データとを別々に記憶部15に記憶し、カラーマッチング前の画像データ51を変更しないように構成されている。
【0270】
[最適解探索]
・カラーマッチング支援装置10は、ディスプレイプロファイル15BのB2Aを書き換える前に、[処理1-4]において、有彩色制御点PnのRGB色空間における色値(RGB値)を得る方法として、ディスプレイプロファイル15BのA2Bに基づく最適解探索を用いる。これを変更して、調整前のディスプレイプロファイル15Bを構成するA2BとB2Aに、可逆変換が成立している場合、カラーマッチング支援装置10は、以下の方法を用いてもよい。すなわち、カラーマッチング支援装置10は、有彩色制御点PnのRGB色空間における色値(RGB値)を得るために、ディスプレイプロファイル15Bを構成する色調整前のB2Aを用いた変換を行ってもよい。
【0271】
・カラーマッチング支援装置10は、ディスプレイプロファイル15BのB2Aを書き換える前に、[処理1-8]において、無彩色制御点QnのRGB色空間における色値(RGB値)を得る方法として、ディスプレイプロファイル15BのA2Bに基づく最適解探索を用いる。これを変更して、色調整前のディスプレイプロファイル15Bを構成するA2BとB2Aに、可逆変換が成立している場合、カラーマッチング支援装置10は、以下の方法を用いてもよい。すなわち、カラーマッチング支援装置10は、無彩色制御点QnのRGB色空間における色値(RGB値)を得るために、ディスプレイプロファイル15Bを構成する色調整前のB2Aを用いた変換を行ってもよい。
【0272】
・カラーマッチング支援装置10は、ディスプレイプロファイル15BのB2Aを書き換える前に、[処理5]において、色調整後のLAB値からRGB値を得る方法として、ディスプレイプロファイル15BのA2Bに基づく最適解探索を用いる。これを変更して、色調整前のディスプレイプロファイル15Bを構成するA2BとB2Aに、可逆変換が成立している場合、カラーマッチング支援装置10は、以下の方法を用いてもよい。すなわち、カラーマッチング支援装置10は、色調整後のLAB値からRGB値を得るために、ディスプレイプロファイル15Bを構成する色調整前のB2Aを用いた変換を行ってもよい。
【0273】
なお、上述したように、[処理1-4][処理1-8][処理5]において、ディスプレイプロファイル15Bを構成する色調整前のB2Aを用いた変換を行う場合、カラーマッチング支援装置10は、以下のように構成される。すなわち、カラーマッチング支援装置10は、ディスプレイプロファイル15Bを構成する色調整前のB2Aと、書き換えられるB2Aとを別々に記憶部15に記憶し、色調整前のB2Aを変更しないように構成されている。
【0274】
[A2Bの色調整]
・カラーマッチング支援装置10は、ディスプレイプロファイル15Bを構成するB2Aを書き換えた後に、当該B2Aに基づいて、ディスプレイプロファイル15Bを構成するA2BのLAB値を最適解に書き換えてもよい。
【0275】
・カラーマッチング支援装置10は、ディスプレイプロファイル15Bを構成するA2Bのグリッドに対応するメモリアドレスに保持されているLAB値から調整点X0を特定し、調整量データ15Dの調整量の正負を反転して適用した色調整を行ってもよい。また、カラーマッチング支援装置10は、調整量データ15Dの色調整量の正負を反転して適用した色調整を行い、かつ当該色調整に基づいてA2Bを書き換えてもよい。さらに、カラーマッチング支援装置10は、色調整に基づいてA2Bを書き換えた後に、当該A2Bを用いて、B2Aのグリッドに対応するメモリアドレスに保持されているRGB値を最適解探索し、当該最適解探索に基づいてB2Aを書き換えてもよい。
【0276】
[ネットワーク]
・カラーマッチング支援装置10、第1装置52、および第2装置21は、ネットワークに接続されておらず、第2装置21は、専有的にカラーマッチング支援装置10の支援を受ける。これに限らず、カラーマッチング支援装置10と第1装置52、あるいは、第2装置21は、ネットワークによって接続されていてもよい。第1装置52、および、第2装置21は、クライアント側として、カラーマッチング支援装置10は、サーバ側として、ネットワーク接続されることによって、第2装置21のカラーマッチング支援を実行する構成に変更してもよい。
【0277】
例えば、図25が示すように、カラーマッチング支援装置10は、Webサーバ61によってネットワーク65に接続されており、第1装置52および第2装置21はWebブラウザ62,63によってネットワーク65に接続されている。Webサーバ61、およびWebブラウザ62,63は、ハイパーテキストプロトロルおよびファイル転送プロトコルなどに従って、データ、プロファイル、操作画面21A,21Bの送受信を行う。
【0278】
Webサーバ61は、第2装置21のWebブラウザ63から、[処理A]から[処理C]のいずれかのリクエストを受信する。Webサーバ61は、それぞれのリクエストに対応したCGI60A,60B,60C(Common Gateway Interface)を介して、カラーマッチング支援装置10を呼び出し、Webブラウザ63からリクエストされた処理を実行させる。Webサーバ61は、第2装置21のWebブラウザ63から受信した調整量の値およびプロファイルを、CGI60A,60B,60Cを介してカラーマッチング支援装置10に受け渡す。
【0279】
第2装置21のWebブラウザ63は、[処理A]のリクエストにおいて、ソースプロファイル15Aとディスプレイプロファイル15BをWebサーバ61に転送する。第2装置21のWebブラウザ63は、[処理C]のリクエストにおいて、カラーマッチング支援装置10による[処理C]の終了時に、書き替えされたディスプレイプロファイル15BがWebサーバ61から転送される。
【0280】
第1装置52は、[処理A]において生成された画像データ51を、第1装置52のWebブラウザ62によって受信する。この時、第1装置52のWebブラウザ62は、第2装置21のWebブラウザ63と同一クライアントであることを送信する。
【0281】
操作画面21Aおよび操作画面21Bは、第2装置21のWebブラウザ63に表示される。CGI60A,60B,60Cは、カラーマッチング支援装置10が[処理A][処理B]で更新された調整量データ15D、および制御点Pn、Qnの色としての[処理1-4][処理1-8]における最適解RGB値から、ハイパーテキスト形式の操作画面21Aおよび操作画面21Bを生成する。CGI60A,60B,60Cは、Webサーバ61を介して、第2装置21のWebブラウザ63に操作画面21Aおよび操作画面21Bを送信する。第2装置21のWebブラウザ63は、ハイパーテキスト形式の操作画面21Aおよび操作画面21Bを受信し、第2装置21のWebブラウザ63の画面に、操作画面21Aおよび操作画面21Bを整形して表示する。
【0282】
第2装置21のWebブラウザ63は、操作画面21Aおよび操作画面21Bにおいて、調整量の変更が発生した場合、[処理B]のリクエストと、調整量指示のあった調整量を、Webサーバ61に転送する。
【0283】
なお、[処理A]において第2装置21のWebブラウザ63が送信したディスプレイプロファイル15B、および[処理A]においてカラーマッチング支援装置10が初期化した調整量データ15Dと画像データ51は、Webサーバ61がクライアントごとに管理する。[処理B]および[処理C]のリクエストにおいても、処理をリクエストしたクライアントをWebサーバ61が識別し、当該クライアントのディスプレイプロファイル15Bと調整量データ15Dをカラーマッチング支援装置10に受け渡す。また、カラーマッチング支援装置10は、[処理A]から[処理C]ごとに、ネットワーク65上に分散させてもよい。
【0284】
このように、ネットワークにおいて、カラーマッチング支援装置10をサーバ側に配置し、第2装置21をクライアント側に配置することにより、ひとつのカラーマッチング支援装置10で、同時に並行して複数の第2装置21へのカラーマッチング支援の実行を可能とする。
【符号の説明】
【0285】
Pn…有彩色制御点
P1,P2…有彩色制御点
Q1,Q2…無彩色制御点
Qn…無彩色制御点
Xn…調整点
X0…調整点
10…カラーマッチング支援装置
10T…色調整部
11…マッチング制御部
11S1…彩度明度面
11S2…色域最外郭
11S3…CIELAB色空間の点
12…有彩色調整部
13…無彩色調整部
14…書き換え部
15…記憶部
15A…ソースプロファイル
15B…ディスプレイプロファイル
15BCT…色値
15C…カラーマッチング支援プログラム
15D…調整量データ
15D1…有彩色調整量データ
15D2…無彩色調整量データ
151C…基準有彩色識別子
1510…基準有彩色LCH値
151T…有彩色調整量
152C…基準無彩色識別子
1520…基準無彩色LAB値
152T…無彩色調整量
21…第2装置
21A,21B…操作画面
22…調整量指示前色表示部
23…調整量指示後色表示部
24,27…調整量指示部
25A…H値表示部
25B…CL値表示部
25P,28P…書き換え指示部
26…AB色度表示部
28A…AL値表示部
28B…BL値表示部
28C…明度表示部
50…基準色定義リスト
50a…基準有彩色定義リスト
50b…基準無彩色定義リスト
51…画像データ
52…第1装置
53…色パッチ
55…ユーザー
【要約】
【課題】カラーマッチングの利便性を高めるカラーマッチング支援装置、カラーマッチング支援方法およびカラーマッチング支援プログラムを提供する。
【解決手段】カラーマッチング支援装置10は、測色的色空間のなかの制御点の位置に制御点の色を再現するように、操作画面を第2装置21に表示させて、操作画面の操作を通じて制御点の調整先となる点を受け付け、これによって、ディスプレイプロファイル15Bにおいて調整先となる点を対応づけられるデータ色空間の色値を算出し、当該算出された色値に基づいて第2装置21が再現する色を表示するように、操作画面を更新する処理と、調整先となる点を対応づけられるデータ色空間の色値が制御点に対応づける変換を、測色的色空間における複数の調整点に適用し、これによって、ディスプレイプロファイル15Bにおける各調整点とデータ色空間の色値との対応づけを書き換える処理と、を実行する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25