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特許7074296保守作業支援装置、方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】保守作業支援装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20220517BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019127122
(22)【出願日】2019-07-08
(65)【公開番号】P2021012602
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2020-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000232140
【氏名又は名称】NECフィールディング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】田村 佳世子
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-187499(JP,A)
【文献】特開平06-237250(JP,A)
【文献】特開2017-211779(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0344929(US,A1)
【文献】特開2012-256276(JP,A)
【文献】特開2007-112541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客が設置している機器の位置情報を記憶する機器情報データベースと、
前記機器における障害に関する通知を受信す障害通知受信部と、
前記通知の内容か障害を分析し対応策を選択す障害分析部と、
保守員を選択して保守作業を依頼する保守員選択部と、
前記保守員が携帯する端末から取得される前記機器の現状の配置と、前記機器情報データベースに記憶されている位置情報とを比較して前記機器の配置を検査する機器配置検査部と、
前記機器の現状の配置と前記機器情報データベースに記憶されている位置情報とが整合しない場合に、前記機器の現状の配置に合わせて前記機器情報データベースに記憶されている位置情報を更新し、更新後の位置情報に基づいて障害が発生した機器の位置を前記保守員に対して通知する、機器配置情報再設定部と、
を備える保守作業支援装置。
【請求項2】
前記機器情報データベースは、前記機器の識別情報を更に記憶し、
前記機器配置情報再設定部は、前記保守員が携帯する端末から取得される前記機器に付された現状の識別情報と、前記機器情報データベースに記憶されている識別情報とが整合しない場合に、現状の識別情報に合わせて前記機器情報データベースに記憶されている識別情報を更新し、更新後の識別情報を前記保守員に対して通知する、請求項1に記載の保守作業支援装置。
【請求項3】
顧客が設置している機器における障害に関する通知を受信する障害通知受信ステップと、
前記通知の内容か障害を分析し対応策を選択す障害分析ステップと、
保守員を選択して保守作業を依頼する保守員選択ステップと、
前記保守員が携帯する端末から取得される前記機器の現状の配置と、機器情報データベースに記憶されている位置情報とを比較して前記機器の配置を検査する機器配置検査ステップと、
前記機器の現状の配置と前記機器情報データベースに記憶されている位置情報とが整合しない場合に、前記機器の現状の配置に合わせて前記機器情報データベースに記憶されている位置情報を更新し、更新後の位置情報に基づいて障害が発生した機器の位置を前記保守員に対して通知する、機器配置情報再設定ステップと、
コンピュータが実行する保守作業支援方法。
【請求項4】
前記機器配置情報再設定ステップにおいて、前記保守員が携帯する端末から取得される前記機器に付された現状の識別情報と、前記機器情報データベースに記憶されている識別情報とが整合しない場合に、現状の識別情報に合わせて前記機器情報データベースに記憶されている識別情報を更新し、更新後の識別情報を前記保守員に対して通知する、請求項3に記載の保守作業支援方法。
【請求項5】
顧客が設置している機器における障害に関する通知を受信する処理と、
前記通知の内容か障害を分析し対応策を選択する処理と、
保守員を選択して保守作業を依頼する処理と、
前記保守員が携帯する端末から取得される前記機器の現状の配置と、機器情報データベースに記憶されている位置情報とを比較して前記機器の配置を検査する処理と、
前記機器の現状の配置と前記機器情報データベースに記憶されている位置情報とが整合しない場合に、前記機器の現状の配置に合わせて前記機器情報データベースに記憶されている位置情報を更新し、更新後の位置情報に基づいて障害が発生した機器の位置を前記保守員に対して通知する処理と、
をコンピュータに実行させ保守作業支援プログラム。
【請求項6】
前記保守員が携帯する端末から取得される前記機器に付された現状の識別情報と、前記機器情報データベースに記憶されている識別情報とが整合しない場合に、現状の識別情報に合わせて前記機器情報データベースに記憶されている識別情報を更新し、更新後の識別情報を前記保守員に対して通知する、請求項5に記載の保守作業支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保守作業時に、対象となる機器の位置を確認し、対象となる機器の取り違いミスを防止する、保守作業支援装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信、電力、交通といった社会インフラ分野でIoT(Internet of Things)が普及し、企業システムやデータセンタが提供するサービスの多様化に伴いハードウェア構成が複雑化し人為的なミスが発生しやすい状況にある。
【0003】
通常の保守業務は、顧客に導入した機器で障害が発生し顧客からコールセンターに保守作業の依頼があると、まず対象機器を特定するために管理番号(各機器に割り当てられているコールセンター独自の管理番号)や、機器固有のシリアル番号などの機器情報を確認し、障害受付を行う。コールセンターから作業依頼を受けた保守員は、障害受付の内容から機器情報を取得し、対象機器に張り付けられたシール(機器情報を記載)と照らし合わせて保守対象か否かを確認することで、対象機器の取違ミスを防止している。
【0004】
特許文献1は、保守説明書に記載された作業手順のミスや漏れを低減することを目的として、保守対象機器の障害箇所を自動的に判別し保守手順を保守員に表示させる保守作業支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-175494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の構成でも、対象となる機器の特定に関しては困難が生じる。対象となる機器が本来あるべき場所と、実際にある場所とが異なる場合、対象となる機器がどれであるか、判別するのは困難である。
【0007】
コールセンターで保守作業を受け付ける際、顧客が機器情報を把握していない場合には、機器の設置場所や、顧客が任意で命名するサーバ名などの、顧客が知りうる情報から機器を特定する必要があり、機器の特定に時間を要する。特に同一型番の機器が複数台設置されている場合には、目的とする機器の特定が困難なケースもある。また保守員が現地に訪問した際も、マシン室内の機器設置場所がわからず機器を特定するまでに時間がかかる場合がある。
【0008】
さらに受付時に取得した機器情報と、対象機器に貼り付けられているシールに記載されている機器情報を確認するのにも手間がかかり、見間違いが発生する可能性がある。
その場合には、シリアルコンソールケーブルを用いて機器をPC端末と接続し、コマンド操作により機器情報を入手することが可能だが、相当な時間を要する。加えて、障害を早急に復旧させることが期待されるため、受付時に取得した情報が正しいと思い込んで確認を怠ったり、情報を見誤ったりすると、例えば業務停止などの甚大なシステム障害に繋がる危険性がある。
【0009】
本発明は、保守作業時に、保守対象である機器の所在を容易に確認し、保守対象機器の取り違いミスを防止することに貢献すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の視点による保守作業支援装置は、顧客が設置している機器に発生した、障害に関する通知を受信する障害通知受信部と、前記通知を、機器情報データベースに登録する、障害通知登録部と、前記通知の内容から、発生した前記障害を分析し対応策を選択する、障害分析部と、前記障害に対応する、保守員を選択する保守員選択部と、前記顧客が編集した第1の機器情報と、前記機器の保守会社が編集した第2の機器情報と、を参照して、前記保守員が収集した機器配置に関する情報と比較し、保守対象である機器の所在確認を容易に行う、機器配置検査部と、前記機器情報データベースに登録されている位置に前記機器がない場合に、前記機器情報データベースに登録されている機器配置情報を更新する、機器配置情報再設定部と、を備える保守作業支援装置である。
【0011】
本発明の第二の視点による保守作業支援方法は、顧客が設置している機器に発生した、障害に関する通知を受信する障害通知受信ステップと、前記通知を、機器情報データベースに登録する、障害通知登録ステップと、前記通知の内容から、発生した前記障害を分析し対応策を選択する、障害分析ステップと、前記障害に対応する、保守員を選択する保守員選択ステップと、前記顧客が編集した第1の機器情報と、前記機器の保守会社が編集した第2の機器情報と、を参照して、前記保守員が収集した機器配置に関する情報と比較し、保守対象である機器の所在確認を容易に行う、機器配置検査ステップと、前記機器情報データベースに登録されている位置に前記機器がない場合に、前記機器情報データベースに登録されている機器配置情報を更新する機器配置情報更新ステップと、を備えることを特徴とする保守作業支援方法である。
【0012】
本発明の第三の視点による保守作業支援プログラムは、顧客が設置している機器に発生した、障害に関する通知を受信する処理と、前記通知を、機器情報データベースに登録する処理と、前記通知の内容から、発生した前記障害を分析し対応策を選択する処理と、前記障害に対応する、保守員を選択する処理と、前記顧客が編集した第1の機器情報と、前記機器の保守会社が編集した第2の機器情報と、を参照して、前記保守員が収集した機器配置に関する情報と比較し、保守対象である機器の所在確認を容易に行う処理と、前記機器情報データベースに登録されている位置に前記機器がない場合に、前記機器情報データベースに登録されている機器配置情報を更新する処理と、をコンピュータに実行させる保守作業支援プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保守作業時に、対象となる機器の位置を容易に確認し、データベースに登録されている配置位置と実際の配置位置との間に不一致がある場合でも、対象とする機器を間違えずに保守作業を行えることに貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、一実施形態の概要を説明するための図である。
図2図2は、本発明の一実施例での、機器情報データベース30のレコード構成を示す図である。
図3図3は、保守作業支援装置の、全体を示す概略図である。
図4図4は、保守作業支援装置60のハードウェア構成の一例を示すブロック図であり、各実施形態に適用可能である。
図5図5は、保守作業支援装置の保守員端末50のハードウェア構成の一例を示すブロック図であり、各実施形態に適用可能である。
図6図6は、本発明の一実施例の動作の概略を示す全体図である。
図7図7は、本発明の動作を示すフローチャートである。
図8図8は、現在の機器配置状況と、機器情報データベース30による機器配置情報とが、異なる場合を分類した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
はじめに、一実施形態の概要について図1~3を参照しながら説明する。なお、この概要に付記する図面参照符号は、専ら理解を助けるための例示であり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。なお、実施形態の説明に参照する各図面中のブロック図における信号線は、原則として双方向を含み、一方向矢印の場合にも一方向に限定されるものではない。各ブロックの出入力端には、出入力インターフェースないしポートがあるが、図示を省いてある。
【0016】
一実施形態に係る保守作業支援装置60は、現地側に設置した現地側情報管理端末25と、保守側に設置した保守側情報管理端末20と、機器情報データベース30と、勤務管理データベース35と、保守員が所持する保守員端末50と、バーコードやQRコード(登録商標)を読み取るリーダー40と、を含む(図1参照)。
【0017】
前記現地側情報管理端末25は、障害通知受信部71と、障害通知登録部72と、を備える。前記保守側情報管理端末20は、障害分析部73と、保守員選択部74と、機器配置検査部75と、機器配置情報再設定部76と、を備える。
【0018】
前記保守員端末50は、保守員誘導部77を備える。保守員端末50の端末入出力インターフェース部55(不図示)には、リーダー40を接続する。
【0019】
前記障害通知受信部71は、顧客側に設置したネットワーク機器10に障害が発生した場合に、発信される障害メッセージを受信する。前記障害通知登録部72は、受信した障害メッセージを、前記機器情報データベース30に登録する。前記障害分析部73は、前記機器情報データベース30に登録された前記障害メッセージを分析して、発生した障害の原因と対応策とを選択し、前記機器情報データベース30に登録する。前記保守員選択部74は、前記勤務管理データベース35を参照して、適切な保守員を選択し、前記保守員に保守作業を依頼する。前記機器配置検査部75は、前記機器情報データベース30に登録された前記ネットワーク機器10の位置情報と、前記リーダー40で読み取った機器配置の現状とを照合し、登録された位置に正しく前記ネットワーク機器10が置かれているか検査する。前記機器配置情報再設定部76は、登録された位置に正しく前記ネットワーク機器10が置かれていなかった場合に、前記機器情報データベース30に登録されている前記ネットワーク機器10の位置情報を、正しく更新する。前記保守員誘導部77は、前記保守員の現在地から作業現場に向かう経路を、端末表示部54(不図示)に表示し、前記保守員を前記作業現場に誘導する。
【0020】
障害分析部73は、障害原因と解決策を紐付けた、データベース(図示せず)を格納しており、障害メッセージに含まれているワードを抽出することで最適な解決策を出力する。AI(Artificial Intelligence)を用いた学習機能を追加してもよい。
【0021】
前記保守員選択部74は、前記勤務管理データベース35に基づいて保守員を選択する。
前記勤務管理データベース35は、保守部門に勤務する前記保守員がいつ出勤し、どこに滞在しているかを示す管理表である。
【0022】
前記機器配置検査部75は、障害の通知を受けた前記保守員が、リーダー40で採取した現地での機器配置情報と、機器情報データベース30に登録されている機器配置情報を比較し、登録された位置に正しく機器が配置されているかを検査する。
【0023】
前記機器配置情報再設定部76は、前記機器配置検査部75による検査で、登録された位置に正しく機器が配置されていないと判断された場合に、機器情報データベース30に登録されている前記ネットワーク機器10の機器配置情報を、正しい位置に更新設定する。
【0024】
前記機器情報データベース30は、図2に示すように機器を複数のパラメータで管理する。ここで、「管理No」は保守部門が独自で管理している番号であり、「シリアルNo」は機器ごとに割り当てられている固有の番号であり、「サーバ名」は顧客が管理しやすいよう適宜名づけている名称であり、「位置情報」は同一の機種が複数台ラックに収納されている場合に備えてラックのどこの位置に設置されているかを示す情報である。その他顧客名や顧客住所、顧客連絡先(TEL番号)等が登録される。
【0025】
登録される情報は編集権限により第1の機器情報、第2の機器情報、その他の機器情報に分類する。
第1の機器情報と第2の機器情報は、機器を設置するタイミングで初期値を入力する。
【0026】
図3は、保守作業支援装置60の、全体の配置関係を示す概略図である。
図3に示すように、顧客側は、ネットワーク機器10と、現地側情報管理端末25と、を備える。ネットワーク機器10には、バーコードあるいはQRコード(登録商標)が貼付されており、各機器の識別が可能である。顧客は、前記現地側情報管理端末25を用いて、保守部門が管理する機器情報データベース30に、前記ネットワーク機器10の設置位置や、前記ネットワーク機器10に割り振られたサーバ名等の情報を、第1の機器情報として、登録する。
【0027】
保守側にはコールセンターが設けられており、コールセンターは保守側情報管理端末20と、機器情報データベース30と、勤務管理データベース35と、を備える。保守側情報管理端末20は機器情報データベース30と、勤務管理データベース35にアクセス可能であり、保守員が持つ保守員端末50とネットワークで接続されている。
【0028】
保守側は、前記保守側情報管理端末20を用いて、前記機器情報データベース30に、保守の対象としている各機器のシリアルNoや管理No等の情報を、第2の機器情報として、登録する。
【0029】
保守員が作業時に所持する保守員端末50は、保守側あるいは保守員が保管する。
保守作業実施時には、保守側から派遣された保守員は、保守員端末50と、ネットワーク機器10に貼付されたコードを読み取るリーダー40を持つ。
【0030】
図4は、保守作業支援装置60のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。保守作業支援装置60は、所謂、コンピュータ(情報処理装置)により構成可能であり、図4に例示する構成を備える。例えば、保守作業支援装置60は、内部バスにより相互に接続される、CPU(Central Processing Unit)61、メモリ62、入出力インターフェース63、及び通信インターフェースであるNIC(Network Interface Card)64等を備える。
【0031】
ただし、図4に示す構成は、保守作業支援装置のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。保守作業支援装置60は、図示しないハードウェアを含んでもよいし、必要に応じて入出力インターフェース63を備えていなくとも良い。例えば、ネットワークにより接続された操作端末により情報の入出力を行う場合には、入出力インターフェース63が不要な場合もある。また、含まれるCPU61等の数も図4の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数のCPUが保守作業支援装置に含まれていてもよい。
【0032】
メモリ62は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクなどの補助記憶装置である。
【0033】
入出力インターフェース63は、図示しない表示装置や入力装置のインターフェースである。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ等である。入力装置は、例えばキーボードやマウスなどのユーザ操作を受け付ける装置や、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の外部記憶装置から情報を入力する装置である。
【0034】
保守作業支援装置60の機能は、後述する処理モジュールにより実現される。当該処理モジュールは、例えば、メモリに格納されたプログラムをCPU61が実行することで実現される。また、そのプログラムは、ネットワークを介してダウンロードするか、あるいは、プログラムを記憶した記憶媒体を用いて、更新できる。さらに、上記処理モジュールは、半導体チップにより実現されてもよい。すなわち、上記処理モジュールが行う機能は、何らかのハードウェア及びソフトウェアの少なくともいずれかにより実現できれば良い。
【0035】
また、コンピュータの記憶部に、上述したコンピュータプログラムをインストールすることにより、コンピュータを保守作業支援装置として機能させることができる。さらにまた、上述したコンピュータプログラムをコンピュータに実行させることにより、コンピュータにより保守作業支援方法を実行することができる。
【0036】
図5は、保守作業支援装置の保守員端末50のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図5を参照すると、保守員端末50は、端末CPU51と、端末記憶部52と、端末入力部53と、端末表示部54と、端末入出力インターフェース55と、端末通信部56と、端末位置取得部57と、を備える。
【0037】
ただし、図5に示す構成は、保守作業支援装置の保守員端末50のハードウェア構成を限定する趣旨ではない。保守員端末50は、図示しないハードウェアを含んでもよい。また、含まれる端末CPU51等の数も図の例示に限定する趣旨ではなく、例えば、複数の端末CPU51が保守員端末50に含まれていてもよい。保守員端末50の形態はノートタイプのパソコン以外にも、ウェアラブル端末あるいは保守員が所持する携帯電話であっても良い。
【0038】
端末記憶部52は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクなどの補助記憶装置である。
【0039】
端末入力部53は、利用者から保守員端末50に直接入力するためのデバイスであり、キーボードやタッチパッドなどの入力デバイスである。
【0040】
端末表示部54は、処理内容を利用者に視覚的に提示するデバイスである。通常の液晶ディスプレイでもよいし、ゴーグルタイプのように利用者の頭部に装着するものや、利用者の腕部に装着するものでもよい。
【0041】
端末入出力インターフェース部55は、保守員端末50に補助的な入出力デバイスを接続するための装置である。本発明ではリーダー40を接続し、バーコードなどの情報を読み取る。
【0042】
端末通信部56は、保守員端末50と、保守側情報管理端末20あるいは機器情報データベース30との通信を、Bluetooth(登録商標)あるいは無線LANを用いて、行う装置である。
【0043】
端末位置取得部57は、GPSなどを用いて、保守員端末50の現在位置を取得する。
【0044】
<実施形態1>
図6は、本発明の一実施例の動作の概略を示す全体図であり、図7は、本発明の一実施例の動作を示すフローチャートである。図7を参照して動作を示す。
【0045】
ステップS1:
保守対象機器であるネットワーク機器10に障害(通信障害や電源障害など)が発生すると、前記ネットワーク機器10は、障害メッセージを含む通知を現地側情報管理端末25へ送信し、障害通知受信部71が前記通知を受信する。
前記障害メッセージには、例えば機器に搭載されているパネルに表示されているエラーメッセージやエラーの発生日時、サーバ名などの情報が含まれる。
【0046】
ステップS2:
障害通知登録部72は、ステップS1で前記障害通知受信部71が受信した通知内容を、保守側にある機器情報データベース30の障害メッセージ欄に登録する。
【0047】
ステップS3:
前記障害メッセージ登録後、前記障害通知登録部72は、保守部門の保守側情報管理端末20に、前記ネットワーク機器10のサーバ名を含めた機器情報を取得し、障害発生情報を通知し、障害への対応を依頼する。
【0048】
ステップS4:
前記障害発生情報の通知を受けた前記保守部門は、機器情報データベース30に接続(アクセス)し、障害発生通知に記載されているサーバ名を参照しながら、対応する機器の管理No、シリアルNo等の他、配置位置を確認する。
【0049】
ステップS5:
障害分析部73は、前記機器情報データベース30に記録されている前記障害メッセージを基にして、適切な解決方法を選択する。選択した解決方法は、前記機器情報データベース30の解決方法欄に記入する。解決方法を選択できなかった場合は、解決方法欄は空欄にする。
【0050】
ステップS6:
保守員選択部74は、勤務管理データベース35を参照して、対応可能な保守員を選択する。ステップS5で出力した解決策を参照し、必要なスキルを保有する保守員に絞って選択しても良い。
【0051】
ステップS7:
前記保守員選択部74は、選択した前記保守員に作業依頼を通知する。作業依頼通知は保守員が保有するパソコン端末やタブレット端末、携帯端末に送信される。
前記作業依頼通知の内容には顧客情報(顧客名、顧客住所、連絡先など)が含まれる。
【0052】
ステップS8:
前記保守員選択部74は、保守員端末50に、作業内容の詳細を送信する。
前記作業内容の詳細には、前記機器情報データベース30内に記録されている機器情報(管理No、シリアルNo、位置情報など)や障害の原因およびステップS5で選択した解決策が含まれる。
【0053】
ステップS9:
前記保守員は、顧客情報(顧客住所等を含む)に基づいて作業現場へ移動する。
現場に到着した前記保守員は、前記保守員端末50を利用して保守作業を行う。
【0054】
ステップS10:
前記作業現場に到着した前記保守員は、前記機器情報データベース30に記録されている内容を基にして、前記ネットワーク機器10の位置を特定する。
【0055】
ステップS11:
前記保守員は、リーダー40を使って、前記機器情報データベース30に記録されている場所に設置されている、前記ネットワーク機器10に貼られたタグを、読み取る。
リーダー40で読み取る情報は、例えば管理Noなど、前記機器情報データベース30に第2の機器情報として記録されているパラメータである。
【0056】
ステップS12、S13:
読み取ったタグの記載内容と同一の項目が前記機器情報データベース30に記録されているか、機器配置検査部75で比較する。
【0057】
ステップS13 Yes分岐:
前記機器情報データベース30の登録内容と一致した場合、ステップS10で特定した位置にある前記ネットワーク機器10が保守対象の機器であり、前記機器情報データベース30は更新しない。
前記保守員は、ステップS10で特定した位置にある前記ネットワーク機器10に対して保守作業を開始する。その後作業完了。
【0058】
ステップS13 No分岐:
前記機器情報データベース30の登録内容と一致しなかった場合、保守作業は開始しない。
前記保守員は、ラック内にあるすべての機器に関する機器情報を、前記機器情報データベース30から取得する。
ここで、ラック内の全ての機器について機器情報を取得する理由は、ラック内で機器が入れ違ってデータベースに管理されている可能性を考慮したものである。同一機種が収納されている場合には発生しやすいミスであり、ミスの有無を効率よく確認できる。
【0059】
ステップS14:
前記保守員は、前記リーダー40で、ラック内にある全ての機器についてタグを読み取る。
【0060】
ステップS15:
前記機器配置検査部75により、ステップS13 No分岐で前記機器情報データベース30から取得した機器情報と、ステップS14で前記リーダー40から取得したタグとを比較する。
ステップS10で特定した機器のサーバ名が、他の位置にある場合(配置位置情報が相違している場合)には、ステップS18に進む。
【0061】
ステップS16(管理Noが相違している場合 図8(1)参照):
前記保守員は、ステップS10で特定した前記ネットワーク機器を保守対象として保守作業を開始する。
【0062】
ステップS17:
前記機器情報データベース30で、ステップS10で特定した機器の管理No項目を、修正し、作業完了。
【0063】
ステップS18(配置位置情報が相違している場合 図8(2)参照):
サーバ名が一致している機器を保守対象として保守作業を開始する。
【0064】
ステップS19:
ステップS10で特定した機器と、ステップS18で保守作業を行った機器の、前記機器情報データベース30での配置位置情報項目を修正し、作業完了。
【0065】
<実施形態2>
実施形態1のステップS9では、保守員は補助なしで目的とする前記ネットワーク機器10が設置されている作業現場へ移動するが、保守員端末50がGPS等による現在位置を取得するデバイスを備える場合には、保守員は前記保守員端末50を所持して前記作業現場へ向かい、前記保守員端末50を前記作業現場まで正しく保守員を誘導する補助として利用しても良い。
【0066】
実施形態2では、保守員端末50は、GPS等により現在の端末位置を取得する端末位置取得部57をさらに備え、保守員誘導部77をさらに備える。
前記保守員誘導部77は、保守員の現在位置、目的とする前記作業現場の位置、現在位置から前記作業現場への正しい経路等を保守員端末50の端末表示部54に表示し、前記保守員が道を間違えずに前記作業現場に到着するよう誘導する。
実施形態2では、実施形態1でのステップS8及びステップS9を次のように変更する。他のステップは実施形態1と同一である。
【0067】
ステップS8:
前記保守員選択部74は、保守員端末50に、作業内容の詳細を送信する。
前記保守員端末50は、前記保守員の現在位置を取得する端末位置取得部57を備え、さらに保守員誘導部77を備える。
前記保守員は、前記保守員端末50を所持して作業現場に向かう。
前記作業内容の詳細には、前記機器情報データベース30内に登録されている機器情報(管理No、シリアルNo、位置情報など)、障害の原因、ステップS5で選択した解決策、前記作業現場の住所が含まれる。
前記保守員誘導部77は、前記保守員端末50に送信された作業内容の詳細から、前記作業現場の住所に関する情報を抽出する。前記保守員誘導部77は、抽出した前記作業現場の住所に関する情報と、端末位置取得部57から取得した前記保守員の現在位置とを参照して、前記作業現場の位置及び前記作業現場までの経路を端末表示部54に表示し、保守員が速やかに前記作業現場に到着できるよう誘導する。
【0068】
ステップS9:
前記保守員は、顧客情報(顧客住所などを含む)と、前記保守員端末50が示す、経路情報に基づいて前記作業現場へ移動する。
現場に到着した前記保守員は、前記保守員端末50を利用して保守作業を行う。
【0069】
<実施形態3>
実施形態1のステップS1では、前記ネットワーク機器10自体が、障害メッセージを送信するが、前記ネットワーク機器10を設置している場所を巡回する担当者が、障害メッセージを発信しても良い。
なお、本発明は以下の付記のようにも記載される。
(付記1)
顧客が設置している機器に発生した、障害に関する通知を受信する障害通知受信部と、
前記通知を、機器情報データベースに登録する、障害通知登録部と、
前記通知の内容から、発生した前記障害を分析し対応策を選択する、障害分析部と、
前記障害に対応する、保守員を選択する保守員選択部と、
前記顧客が編集した第1の機器情報と、前記機器の保守会社が編集した第2の機器情報と、を参照して、前記保守員が収集した機器配置に関する情報と比較し、保守対象である機器の所在確認を容易に行う、機器配置検査部と、
前記機器情報データベースに登録されている位置に前記機器がない場合に、前記機器情報データベースに登録されている機器配置情報を更新する、機器配置情報再設定部と、
を備えることで、対象とする機器を間違えずに保守作業を行う保守作業支援装置。
(付記2)
保守員の現在位置を参照し、目的とする前記機器がある位置まで保守員を誘導する保守員誘導部を備えることを特徴とする、付記1に記載の保守作業支援装置。
(付記3)
顧客が設置している機器に発生した、障害に関する通知を受信する障害通知受信ステップと、
前記通知を、機器情報データベースに登録する、障害通知登録ステップと、
前記通知の内容から、発生した前記障害を分析し対応策を選択する、障害分析ステップと、
前記障害に対応する、保守員を選択する保守員選択ステップと、
前記顧客が編集した第1の機器情報と、前記機器の保守会社が編集した第2の機器情報と、を参照して、前記保守員が収集した機器配置に関する情報と比較し、保守対象である機器の所在確認を容易に行う、機器配置検査ステップと、
前記機器情報データベースに登録されている位置に前記機器がない場合に、前記機器情報データベースに登録されている機器配置情報を更新する機器配置情報更新ステップと、
を備えることで、対象とする機器を間違えずに保守作業を行う保守作業支援方法。
(付記4)
保守員の現在位置を参照し、目的とする前記機器がある位置まで保守員を誘導するステップを備えることを特徴とする、付記3に記載の保守作業支援方法。
(付記5)
顧客が設置している機器に発生した、障害に関する通知を受信する処理と、
前記通知を、機器情報データベースに登録する処理と、
前記通知の内容から、発生した前記障害を分析し対応策を選択する処理と、
前記障害に対応する、保守員を選択する処理と、
前記顧客が編集した第1の機器情報と、前記機器の保守会社が編集した第2の機器情報と、を参照して、前記保守員が収集した機器配置に関する情報と比較し、保守対象である機器の所在確認を容易に行う処理と、
前記機器情報データベースに登録されている位置に前記機器がない場合に、前記機器情報データベースに登録されている機器配置情報を更新する処理と、
をコンピュータに実行させることで、対象とする機器を間違えずに保守作業を行う保守作業支援プログラム。
(付記6)
保守員の現在位置を参照し、目的とする機器がある位置まで保守員を誘導する処理をコンピュータに実行させる、付記5に記載の保守作業支援プログラム。
また、本発明は以下の形態のようにも記載される。
(形態1)
顧客が設置している機器の位置情報を記憶する機器情報データベースと、
前記機器における障害に関する通知を受信する障害通知受信部と、
前記通知の内容から障害を分析し対応策を選択する障害分析部と、
保守員を選択して保守作業を依頼する保守員選択部と、
前記保守員が携帯する端末から取得される前記機器の現状の配置と、前記機器情報データベースに記憶されている位置情報とを比較して前記機器の配置を検査する機器配置検査部と、
前記機器の現状の配置と前記機器情報データベースに記憶されている位置情報とが整合しない場合に、前記機器の現状の配置に合わせて前記機器情報データベースに記憶されている位置情報を更新し、更新後の位置情報に基づいて障害が発生した機器の位置を前記保守員に対して通知する、機器配置情報再設定部と、
を備える保守作業支援装置。
(形態2)
前記機器情報データベースは、前記機器の識別情報を更に記憶し、
前記機器配置情報再設定部は、前記保守員が携帯する端末から取得される前記機器に付された現状の識別情報と、前記機器情報データベースに記憶されている識別情報とが整合しない場合に、現状の識別情報に合わせて前記機器情報データベースに記憶されている識別情報を更新し、更新後の識別情報を前記保守員に対して通知する、形態1に記載の保守作業支援装置。
(形態3)
顧客が設置している機器における障害に関する通知を受信する障害通知受信ステップと、
前記通知の内容から障害を分析し対応策を選択する障害分析ステップと、
保守員を選択して保守作業を依頼する保守員選択ステップと、
前記保守員が携帯する端末から取得される前記機器の現状の配置と、機器情報データベースに記憶されている位置情報とを比較して前記機器の配置を検査する機器配置検査ステップと、
前記機器の現状の配置と前記機器情報データベースに記憶されている位置情報とが整合しない場合に、前記機器の現状の配置に合わせて前記機器情報データベースに記憶されている位置情報を更新し、更新後の位置情報に基づいて障害が発生した機器の位置を前記保守員に対して通知する、機器配置情報再設定ステップと、
をコンピュータが実行する保守作業支援方法。
(形態4)
前記機器配置情報再設定ステップにおいて、前記保守員が携帯する端末から取得される前記機器に付された現状の識別情報と、前記機器情報データベースに記憶されている識別情報とが整合しない場合に、現状の識別情報に合わせて前記機器情報データベースに記憶されている識別情報を更新し、更新後の識別情報を前記保守員に対して通知する、形態3に記載の保守作業支援方法。
(形態5)
顧客が設置している機器における障害に関する通知を受信する処理と、
前記通知の内容から障害を分析し対応策を選択する処理と、
保守員を選択して保守作業を依頼する処理と、
前記保守員が携帯する端末から取得される前記機器の現状の配置と、機器情報データベースに記憶されている位置情報とを比較して前記機器の配置を検査する処理と、
前記機器の現状の配置と前記機器情報データベースに記憶されている位置情報とが整合しない場合に、前記機器の現状の配置に合わせて前記機器情報データベースに記憶されている位置情報を更新し、更新後の位置情報に基づいて障害が発生した機器の位置を前記保守員に対して通知する処理と、
をコンピュータに実行させる保守作業支援プログラム。
(形態6)
前記保守員が携帯する端末から取得される前記機器に付された現状の識別情報と、前記機器情報データベースに記憶されている識別情報とが整合しない場合に、現状の識別情報に合わせて前記機器情報データベースに記憶されている識別情報を更新し、更新後の識別情報を前記保守員に対して通知する、形態5に記載の保守作業支援プログラム。


【0070】
なお、上記の先行技術文献の開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0071】
10 ネットワーク機器(保守対象機器)
20 保守側情報管理端末
25 現地側情報管理端末
30 機器情報データベース
35 勤務管理データベース
40 リーダー
50 保守員端末
51 端末CPU
52 端末記憶部
53 端末入力部
54 端末表示部
55 端末入出力インターフェース部
56 端末通信部
57 端末位置取得部
60 保守作業支援装置
61 CPU
62 メモリ
63 入出力インターフェース
64 NIC
71 障害通知受信部
72 障害通知登録部
73 障害分析部
74 保守員選択部
75 機器配置検査部
76 機器配置情報再設定部
77 保守員誘導部
図1
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図8