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特許7074308治療支援装置、治療支援方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】治療支援装置、治療支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/70 20180101AFI20220517BHJP
   G16H 80/00 20180101ALI20220517BHJP
【FI】
G16H20/70
G16H80/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022509566
(86)(22)【出願日】2021-11-08
(86)【国際出願番号】 JP2021041009
【審査請求日】2022-02-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518237129
【氏名又は名称】株式会社ライフクエスト
(74)【代理人】
【識別番号】100123618
【弁理士】
【氏名又は名称】雨宮 康仁
(72)【発明者】
【氏名】香山 哲
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 糧三
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 基明
【審査官】竹下 翔平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/222264(WO,A1)
【文献】特表2009-516559(JP,A)
【文献】特開平10-198750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全ての疾患に共通の共通エンジン(331)と、疾患毎に異なる疾患別エンジン(332)と、を備え、
前記疾患別エンジン(332)は、患者の状態に関する情報のうちの第1情報に基づいて、該患者の治療に介入するか否かを判定し、
前記共通エンジン(331)は、前記患者の状態に関する情報のうちの前記第1情報とは異なる第2情報に基づいて、該患者の治療に介入するか否かを判定し、
該共通エンジン(331)及び前記疾患別エンジン(332)がともに前記患者の治療に介入すると判定した場合、該共通エンジン(331)の判定に基づく介入を、該疾患別エンジン(332)の判定に基づく介入よりも優先して行う、
治療支援装置(3)。
【請求項2】
前記疾患別エンジン(332)は、前記患者の状態に関する情報のうち、該患者の疾患に特有の情報に基づいて、該患者の治療に介入するか否かを判定し、
前記共通エンジン(331)は、前記患者の状態に関する情報のうち、全ての疾患に共通の情報に基づいて、該患者の治療に介入するか否かを判定する、
請求項1に記載の治療支援装置(3)。
【請求項3】
前記共通エンジン(331)は、前記患者の治療への介入を、該患者の特性に応じた態様で行う、
請求項1に記載の治療支援装置(3)。
【請求項4】
全ての疾患に共通の共通エンジン(331)と、疾患毎に異なる疾患別エンジン(332)と、を備える治療支援装置(3)による治療支援方法であって、
前記疾患別エンジン(332)が、患者の状態に関する情報のうちの第1情報に基づいて、該患者の治療に介入するか否かを判定し、
前記共通エンジン(331)が、前記患者の状態に関する情報のうちの前記第1情報とは異なる第2情報に基づいて、該患者の治療に介入するか否かを判定し、
前記共通エンジン(331)が、該共通エンジン(331)及び前記疾患別エンジン(332)がともに前記患者の治療に介入すると判定した場合、前記治療支援装置(3)が、該共通エンジン(331)の判定に基づく介入を、該疾患別エンジン(332)の判定に基づく介入よりも優先して行う、
治療支援方法。
【請求項5】
全ての疾患に共通の共通エンジン(331)と、疾患毎に異なる疾患別エンジン(332)と、を備える治療支援装置(3)のコンピュータに、
前記疾患別エンジン(332)が、患者の状態に関する情報のうちの第1情報に基づいて、該患者の治療に介入するか否かを判定する手順と、
前記共通エンジン(331)が、前記患者の状態に関する情報のうちの前記第1情報とは異なる第2情報に基づいて、該患者の治療に介入するか否かを判定する手順と、
前記共通エンジン(331)が、該共通エンジン(331)及び前記疾患別エンジン(332)がともに前記患者の治療に介入すると判定した場合、該共通エンジン(331)の判定に基づく介入を、該疾患別エンジン(332)の判定に基づく介入よりも優先して行う手順と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療支援装置、治療支援方法、及びプログラムに関し、特に、治療効果を高めることができる治療支援装置、治療支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者が患者端末を用いて治療のためのトレーニングを開始したことがネットワークを介して通知されたときに、予め用意された患者の治療に効果的なメッセージを選択可能に表示する表示部と、表示部に表示されるメッセージの中から、患者の支援者が選択したメッセージを、支援者からのメッセージとして、ネットワークを介して患者端末に表示する端末制御部と、を備える支援者端末が開示されている(例えば特許文献1参照)。なお、本明細書中に特許文献1の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参考として取り込むものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2020/222264
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明のように、患者の治療へ介入するものにおいて、複数の介入が行われると、患者にとって煩わしいものとなり、患者のモチベーションが却って低下し、高い治療効果を望めなかった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、治療効果を高めることができる治療支援装置、治療支援方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る治療支援装置(3)は、全ての疾患に共通の共通エンジン(331)と、疾患毎に異なる疾患別エンジン(332)と、を備え、前記疾患別エンジン(332)は、患者の状態に関する情報のうちの第1情報に基づいて、該患者の治療に介入するか否かを判定し、前記共通エンジン(331)は、前記患者の状態に関する情報のうちの前記第1情報とは異なる第2情報に基づいて、該患者の治療に介入するか否かを判定し、該共通エンジン(331)及び前記疾患別エンジン(332)がともに前記患者の治療に介入すると判定した場合、該共通エンジン(331)の判定に基づく介入を、該疾患別エンジン(332)の判定に基づく介入よりも優先して行う。
【0007】
上記の治療支援装置(3)において、前記疾患別エンジン(332)は、前記患者の状態に関する情報のうち、該患者の疾患に特有の情報に基づいて、該患者の治療に介入するか否かを判定し、前記共通エンジン(331)は、前記患者の状態に関する情報のうち、全ての疾患に共通の情報に基づいて、該患者の治療に介入するか否かを判定する、ものであってもよい。
【0008】
上記の治療支援装置(3)において、前記共通エンジン(331)は、前記患者の治療への介入を、該患者の特性に応じた態様で行う、ようにしてもよい。
【0009】
本発明の第2の観点に係る治療支援方法は、全ての疾患に共通の共通エンジン(331)と、疾患毎に異なる疾患別エンジン(332)と、を備える治療支援装置(3)による治療支援方法であって、前記疾患別エンジン(332)が、患者の状態に関する情報のうちの第1情報に基づいて、該患者の治療に介入するか否かを判定し、前記共通エンジン(331)が、前記患者の状態に関する情報のうちの前記第1情報とは異なる第2情報に基づいて、該患者の治療に介入するか否かを判定し、前記共通エンジン(331)が、該共通エンジン(331)及び前記疾患別エンジン(332)がともに前記患者の治療に介入すると判定した場合、該共通エンジン(331)の判定に基づく介入を、該疾患別エンジン(332)の判定に基づく介入よりも優先して行う。
【0010】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、全ての疾患に共通の共通エンジン(331)と、疾患毎に異なる疾患別エンジン(332)と、を備える治療支援装置(3)のコンピュータに、前記疾患別エンジン(332)が、患者の状態に関する情報のうちの第1情報に基づいて、該患者の治療に介入するか否かを判定する手順と、前記共通エンジン(331)が、前記患者の状態に関する情報のうちの前記第1情報とは異なる第2情報に基づいて、該患者の治療に介入するか否かを判定する手順と、前記共通エンジン(331)が、該共通エンジン(331)及び前記疾患別エンジン(332)がともに前記患者の治療に介入すると判定した場合、該共通エンジン(331)の判定に基づく介入を、該疾患別エンジン(332)の判定に基づく介入よりも優先して行う手順と、を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、治療効果を高めることができる治療支援装置、治療支援方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る治療支援システムの構成例を示す図である。
図2】患者端末の構成例を示すブロック図である。
図3】サーバ装置の構成例を示すブロック図である。
図4】イベントテーブルの構成例を示す図である。
図5図5Aは、介入判定式DBの構成例を示す図で、図5Bは、介入目的DBの構成例を示す図である。
図6】介入の優先度を例示する説明図である。
図7】共通エンジンが実行する共通処理の詳細を示すフローチャートである。
図8】疾患別エンジンが実行する疾患別処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0014】
まず、本発明の実施形態に係る治療支援システムの構成について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る治療支援システムの構成例を示す図である。
【0016】
図1に示すように、治療支援システム1は、患者端末2と、サーバ装置3と、を具備し、これらは、インターネット等のネットワークNを介して相互に通信可能に接続される。
【0017】
患者端末2は、例えば汎用のスマートフォンや、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータ等から構成される。患者端末2は、例えば軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment;MCI)の患者が治療のためのトレーニングに用いる。なお、治療対象は、MCIに限定されるものではなく、患者が患者端末2を用いて治療のためのトレーニングを行えるものであれば任意であり、認知症や、発達障害、ギャンブル依存症等であってもよい。あるいは、高血圧や、慢性疼痛、がん等の内科系の疾患等であってもよい。
【0018】
図2は、患者端末の構成例を示すブロック図である。
【0019】
図2に示すように、患者端末2は、記憶部21と、タッチパネル22と、通信部23と、制御部24と、を備え、これらはバス等を介して接続される。
【0020】
記憶部21は、例えば汎用のフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ等から構成される。記憶部21には、MCIの患者を治療するためのアプリケーションプログラム(以下、「治療プログラム」という。)等の各種アプリケーションプログラムがインストールされている。治療プログラムには、患者の脳のトレーニングを行ってMCIの進展を予防するための各種ゲーム等が含まれている。
【0021】
記憶部21は、治療プログラムの使用時間及び起動回数等の使用ログ、各種アンケートへの回答内容、並びにトレーニングの実施状況等を記憶する。各種アンケートへの回答内容等には、患者の気分に関するアンケートへの回答内容(以下、「メンタルログ」という。)、並びに生活習慣に関するアンケートへの回答回数及び回答内容等が含まれる。メンタルログには、日毎の患者の気分、及びその度合を表す0~100のスケール値等が含まれる。トレーニングの実施状況には、脳のトレーニングとして行われたゲームの実施時間及びスコア等が含まれる。
【0022】
タッチパネル22は、例えば液晶表示装置とポインティングデバイスとを組み合わせた汎用のタッチパネル等から構成される。タッチパネル22は、各種画面を表示するとともに、患者による各種操作を受け付ける。本実施形態において、患者は、タッチパネル22に表示されるプレイ画面において、治療プログラムに含まれる各種ゲーム等をプレイする。また、タッチパネル22には、サーバ装置3による患者の治療への介入等が表示される。
【0023】
また、患者は、タッチパネル22において、治療プログラムに含まれる各種アンケートへの回答を入力する。例えば、患者は、患者の気分に関するアンケートにおいて、「不安」、「イライラ」、「落ち込み」、及び「悲しい」等といった気分と、そのスケール値と、からなるメンタルログを入力する。また、患者は、生活習慣に関するアンケートにおいて、「食事」、「睡眠」、「活動」、及び「服薬」に関する事項を入力する。具体的に、患者は、「食事」に関して、一日当たりの糖質摂取量、タンパク質の摂取の有無、及び補助食品の摂取の有無等を入力したり、「睡眠」に関して、睡眠時間及び熟睡度を入力したり、「活動」に関して、一日当たりの活動量(歩数)を入力したり、「服薬」に関して、服薬の有無を入力したりする。
【0024】
通信部23は、例えば汎用の無線通信装置等から構成される。通信部23は、治療プログラムの使用時間及び起動回数等の使用ログ、メンタルログ、生活習慣に関するアンケートへの回答回数及び回答内容、並びにトレーニングの実施状況等を通知するログ通知をネットワークNを介してサーバ装置3に送信する。また、通信部23は、サーバ装置3からネットワークNを介して送信される、患者の治療への介入を指示する介入指示信号を受信する。
【0025】
制御部24は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等から構成される。CPUは、RAMをワークメモリとして用い、ROM及び記憶部21に記憶されている各種プログラム等を適宜実行することによって、患者端末2の各種動作を制御する。
【0026】
本実施形態において、制御部24は、患者がタッチパネル22に表示される治療プログラムを示すアイコンをタップしたことに応答して、記憶部21に記憶される治療プログラムを起動し、治療プログラムのトップ画面をタッチパネル22に表示する。制御部24は、治療プログラムを実行する毎に、その使用ログを記憶部21に記憶する。
【0027】
制御部24は、患者がトップ画面においてプレイするゲームを選択したことに応答して、ゲームをプレイするためのプレイ画面300をタッチパネル22に表示する。そして、制御部24は、脳のトレーニングとして行われたゲームの実施時間及びスコア等のトレーニングの実施状況を記憶部21に記憶する。
【0028】
制御部24は、治療プログラムにおいて、毎日、患者に対し、患者の気分に関するアンケート及び生活習慣に関するアンケートを行う。そして、制御部24は、患者がタッチパネル22において入力した患者の気分に関するアンケートへの回答内容(メンタルログ)、及び生活習慣に関するアンケートへの回答回数及び回答内容を記憶部21に記憶する。
【0029】
制御部24は、一日のうちの予め定められた送信タイミング(例えば午後12時等)になったことに応答して、その日の治療プログラムの使用ログ、メンタルログ、生活習慣に関するアンケートへの回答回数及び回答内容、並びにトレーニングの実施状況等を記憶部21から読み出す。そして、制御部24は、患者識別子、日付、治療プログラムの使用ログ、メンタルログ、生活習慣に関するアンケートへの回答回数及び回答内容、並びにトレーニングの実施状況等を含むログ通知(患者端末2の使用履歴)を通信部23からネットワークNを介してサーバ装置3に送信する。
【0030】
制御部24は、サーバ装置3からネットワークNを介して送信される介入指示信号を通信部23で受信したことに応答して、タッチパネル22等において、介入指示信号で指示された介入を、介入指示信号で指示された態様で行う。
【0031】
図1に示すサーバ装置3は、例えば汎用のサーバコンピュータや汎用のデータベース(DataBase;DB)等から構成される。
【0032】
図3は、サーバ装置の構成例を示すブロック図である。
【0033】
図3に示すように、サーバ装置3は、通信部31と、記憶部32と、制御部(サーバ制御部)33と、を備え、これらはバス等を介して接続される。
【0034】
通信部31は、例えばNIC(Network Interface Card)等から構成される。通信部31は、患者端末2からネットワークNを介して送信されるログ通知を受信する。また、通信部31は、介入指示信号をネットワークNを介して患者端末2に送信する。
【0035】
記憶部32は、例えば汎用のハードディスクドライブ等から構成される。本実施形態において、記憶部32は、患者の治療をマネジメントするためのマネジメントプログラムを記憶する。また、記憶部32は、患者DB321と、ログDB322と、介入判定式DB323と、介入目的DB324と、を備える。
【0036】
患者DB321は、患者毎に、その患者に関する情報(以下、「患者情報」という。)と、イベントテーブルと、を対応付けて登録する。患者情報には、例えば患者を特定可能な患者識別子、及び患者の氏名や特性(例えば性別や、年齢、病状、性格等)等が含まれる。
【0037】
図4は、イベントテーブルの構成例を示す図である。
【0038】
図4に示すように、イベントテーブル4は、患者の一日の生活スケジュールと、治療メニュと、介入と、を対応付けて登録する。ここで、患者の一日の生活スケジュールには、時刻及びイベントの種類等が含まれる。患者の一日の生活スケジュールは、曜日毎に個別の時刻を持ち、初診の問診時に取得される。また、治療メニュには、トレーニング及びアンケート等が含まれる。
【0039】
ログDB322は、患者毎に設けられている。ログDB322は、日付毎に、患者の状態に関する情報、具体的に、治療プログラムの使用ログ、メンタルログ、生活習慣に関するアンケートへの回答回数及び回答内容、並びにトレーニングの実施状況等を対応付けて登録する。
【0040】
介入判定式DB323は、患者の治療へ介入するか否かを判定するための判定式を登録する。
【0041】
図5Aは、介入判定式DBの構成例を示す図である。
【0042】
図5Aに示すように、介入判定式DB323は、判定式に対応付けて、判定対象と、データタイプと、スコープ(期間)と、判定記号と、閾値と、を対応付けて登録する。ここで、閾値としては、治療プログラムの使用状況及び患者のメンタルの状態等を示す数値が用いられる。
【0043】
例えば、介入判定式DB323は、判定式「起動回数平均達成(7日間)」に対応付けて、判定対象「治療プログラムの起動回数」と、データタイプ「平均」と、スコープ(期間)「一週間(7日間)」と、判定記号「≧」と、閾値「0.8」と、を対応付けて登録する。したがって、判定式「起動回数平均達成(7日間)」は、直近一週間(7日間)における治療プログラムの起動回数の平均が、閾値「0.8」以上であるか否かを判定するものである。
【0044】
また、介入判定式DB323は、判定式「起動回数平均達成(3日間)」に対応付けて、判定対象「治療プログラムの起動回数」と、データタイプ「平均」と、スコープ(期間)「3日間」と、判定記号「≧」と、閾値「1」と、を対応付けて登録する。したがって、判定式「起動回数平均達成(3日間)」は、直近3日間における治療プログラムの起動回数の平均が、閾値「1」以上であるか否かを判定するものである。
【0045】
さらに、介入判定式DB323は、判定式「起動回数平均増加(3日間)」に対応付けて、判定対象「治療プログラムの起動回数」と、データタイプ「平均」と、スコープ(期間)「3日間」と、判定記号「>」と、閾値「前回値」と、を対応付けて登録する。したがって、判定式「起動回数平均増加(3日間)」は、直近3日間における治療プログラムの起動回数の平均が、その前の3日間における治療プログラムの起動回数の平均(前回値)よりも多いか否か、すなわち、3日間における治療プログラムの起動回数の平均が増加したか否かを判定するものである。
【0046】
そして、介入判定式DB323は、判定式「起動回数平均減少(3日間)」に対応付けて、判定対象「治療プログラムの起動回数」と、データタイプ「平均」と、スコープ(期間)「3日間」と、判定記号「<」と、閾値「前回値」と、を対応付けて登録する。したがって、判定式「起動回数平均増加(3日間)」は、直近3日間における治療プログラムの起動回数の平均が、その前の3日間における治療プログラムの起動回数の平均(前回値)よりも少ないか否か、すなわち、3日間における治療プログラムの起動回数の平均が減少したか否かを判定するものである。
【0047】
図3に示す介入目的DB324は、患者の治療への介入の目的を登録するものである。
【0048】
図5Bは、介入目的DBの構成例を示す図である。
【0049】
図5Bに示すように、介入目的DB324は、介入ポインタの値(以下、「介入ポイント値」)と、判定結果と、介入の目的と、を対応付けて登録する。介入の目的には、「褒めて達成感を与える」等の称賛の目的、及び「起動時間を増やす」等の指導の目的等が含まれる。また、介入ポインタは、初期値として「0」が設定される。介入ポインタは、称賛の目的で介入が行われた場合、その値が「1」に更新され、指導の目的で介入が行われた場合、その値が「2」に更新される。そして、介入ポインタは、介入が行われない場合、その値に「0」に初期化される。
【0050】
例えば、介入目的DB324は、介入ポイント値「0」と、直近一週間(7日間)における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「0.8」以上で、直近3日間における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「1」以上であるとの判定結果と、称賛の目的と、を対応付けて登録する。すなわち、前回介入が行われず、直近一週間(7日間)における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「0.8」以上で、直近3日間における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「1」以上である場合には、治療プログラムの使用状況が良好であるとして、称賛の目的で、患者の治療への介入が行われる。
【0051】
また、介入目的DB324は、介入ポイント値「0」と、直近一週間(7日間)における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「0.8」以上で、直近3日間における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「1」未満であるとの判定結果と、指導の目的と、を対応付けて登録する。すなわち、前回介入が行われず、直近一週間(7日間)における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「0.8」以上で、直近3日間における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「1」未満である場合には、治療プログラムの使用状況に悪化の兆候が見られるとして、指導の目的で、患者の治療への介入が行われる。なお、判定式は、患者DB321に登録される患者情報が示す患者の性格等といった継続性因子に応じて、異ならせてもよく、患者の性格が怠惰である場合は、その他の性格である場合よりも早めに悪化の兆候ありと判定するようにしてもよい。例えば、患者の性格が怠惰である場合、介入目的DB324は、介入ポイント値「0」と、直近6日間における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「0.8」以上で、直近2日間における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「1」未満であるとの判定結果と、指導の目的と、を対応付けて登録すればよい。
【0052】
さらに、介入目的DB324は、介入ポイント値「0」と、直近一週間(7日間)における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「0.8」未満で、直近3日間における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「1」未満であるとの判定結果と、指導の目的と、を対応付けて登録する。すなわち、前回介入が行われず、直近一週間(7日間)における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「0.8」未満で、直近3日間における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「1」未満である場合には、治療プログラムの使用状況が継続的に不良であるとして、指導の目的で、患者の治療への介入が行われる。なお、患者の性格が怠惰である場合、介入目的DB324は、介入ポイント値「0」と、直近6日間における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「0.8」未満で、直近2日間における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「1」未満であるとの判定結果と、指導の目的と、を対応付けて登録すればよい。
【0053】
また、介入目的DB324は、介入ポイント値「1」と、3日間における治療プログラムの起動回数の平均が増加しているとの判定結果と、称賛の介入の目的と、を対応付けて登録する。すなわち、前回称賛の目的で介入が行われた後、3日間における治療プログラムの起動回数の平均が増加している場合には、良い状態の維持への介入の結果、良い状態を維持しているとして、再度称賛の目的で、患者の治療への介入が行われる。
【0054】
さらに、介入目的DB324は、介入ポイント値「2」と、直近3日間における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「1」以上であるとの判定結果と、称賛の目的と、を対応付けて登録する。すなわち、前回指導の目的で介入が行われた後、直近3日間における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「1」以上である場合には、継続的に悪い状態への介入の結果、改善の兆候があるとして、称賛の目的で、患者の治療への介入が行われる。
【0055】
そして、介入目的DB324は、介入ポイント値「2」と、3日間における治療プログラムの起動回数の平均が減少しているとの判定結果と、指導の目的と、を対応付けて登録する。すなわち、前回指導の目的で介入が行われた後、3日間における治療プログラムの起動回数の平均が減少している場合は、継続的に悪い状態への介入の結果、改善されない(現状維持または悪化)として、再度指導の目的で、患者の治療への介入が行われる。
【0056】
図3に示す制御部33は、例えばCPU、ROM、及びRAM等から構成される。CPUは、RAMをワークメモリとして用い、ROM及び記憶部32に記憶されているプログラム等を適宜実行することによって、サーバ装置3の各種動作を制御する。
【0057】
本実施形態において、制御部33は、患者端末2からネットワークNを介して送信されるログ通知を通信部31で受信したことに応答して、ログ通知に含まれる患者識別子から特定される患者のログDB322を記憶部32から検出する。続いて、制御部33は、ログ通知に含まれる日付、使用ログ、メンタルログ、生活習慣に関するアンケートへの回答回数及び回答内容、並びにトレーニングの実施状況等を対応付けて、記憶部32から検出したログDB322に登録する。
【0058】
また、制御部33は、記憶部32に記憶されているマネジメントプログラムを実行することにより、全ての疾患に共通の共通エンジン331、及び疾患毎に異なる疾患別エンジン332を実現する。本実施形態では、患者の疾患がMCIであることから、MCI用の疾患別エンジン332が実現されている。
【0059】
[共通エンジン]
共通エンジン331は、治療プログラムの使用ログ及びメンタルログ等から治療プログラムの継続的な使用をマネジメントするものである。まず、共通エンジン331は、一日にうちの予め定められたタイミング(例えば深夜0:00等、以下、「ログ解析タイミング」という。)であるか否かを判別する。
【0060】
共通エンジン331は、ログ解析タイミングであれば、最新の日付に対応付けて登録されている患者の状態に関する情報のうち、全ての疾患に共通の情報(第2情報)、具体的に、使用ログ及びメンタルログをログDB322から抽出して、ログ分析を行い、治療プログラムの使用状況及び患者のメンタルの状態等の患者の状態を特定する。例えば、共通エンジン331は、最新の日付に対応する使用ログを分析して、最新の日付における治療プログラムの起動回数等を特定する。
【0061】
次に、共通エンジン331は、所定スコープ(期間)における患者の状態を取得する。ここで、所定スコープ(期間)は、直近の1日、直近3日間、直近一週間(7日間)、直近二週間(14日間)、及び直近一ヶ月(30日間)等が含まれる。例えば、共通エンジン331は、直近三日間及び直近一週間における治療プログラムの起動回数の平均、ばらつき、及び増減傾向等を、所定スコープ(期間)における患者の状態として取得する。また、共通エンジン331は、以前に患者の治療への介入が発生した期間、及び発生した介入の種類等の過去の介入発生の種類も患者の状態として取得してもよい。
【0062】
続いて、共通エンジン331は、所定スコープ(期間)における患者の状態から、介入判定式DB323及び介入目的DB324を用いて、患者の治療へ介入するか否かを判定するとともに、介入の目的を決定する。
【0063】
例えば、共通エンジン331は、前回介入が行われず、直近一週間(7日間)における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「0.8」以上で、直近3日間における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「1」以上である場合、治療プログラムの使用状況が良好であるとして、称賛の目的で、患者の治療へ介入することを決定する。
【0064】
また、共通エンジン331は、前回介入が行われず、直近一週間(7日間)における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「0.8」以上で、直近3日間における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「1」未満である場合、治療プログラムの使用状況に悪化の兆候が見られるとして、指導の目的で、患者の治療へ介入することを決定する。
【0065】
さらに、共通エンジン331は、前回介入が行われず、直近一週間(7日間)における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「0.8」未満で、直近3日間における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「1」未満である場合、治療プログラムの使用状況が継続的に不良であるとして、指導の目的で、患者の治療へ介入することを決定する。
【0066】
また、共通エンジン331は、前回称賛の目的で介入が行われた後、3日間における治療プログラムの起動回数の平均が増加している場合には、治療プログラムの使用状況が良好な状態への介入の結果、良好な状態を維持しているとして、再度称賛の目的で、患者の治療へ介入することを決定する。
【0067】
さらに、共通エンジン331は、前回指導の目的で介入が行われた後、直近3日間における治療プログラムの起動回数の平均が閾値「1」以上である場合には、治療プログラムの使用状況が継続的に不良な状態への介入の結果、改善の兆候が見られるとして、称賛の目的で、患者の治療へ介入することを決定する。
【0068】
そして、共通エンジン331は、前回指導の目的で介入が行われた後、3日間における治療プログラムの起動回数の平均が減少している場合には、治療プログラムの使用状況が継続的に不良な状態への介入の結果、改善の兆候が見られない(現状維持又は悪化の兆候が見られる)として、再度指導の目的で、患者の治療へ介入することを決定する。
【0069】
さらに、共通エンジン331は、行うと判定した介入が複数ある場合、優先度が最も高い介入を、実際に行うものとして決定する。
【0070】
図6は、介入の優先度を例示する説明図である。
【0071】
図6に示すように、共通エンジン331が行うと判定した介入は、疾患別エンジン332が行うと判定した介入よりも優先度が高くなっている。このため、共通エンジン331は、共通エンジン331が行うと判定した介入と、疾患別エンジン332が行うと判定した介入と、がある場合、共通エンジン331が行うと判定した介入を優先して行い、疾患別エンジン332が行うと判定した介入は行わない。
【0072】
また、共通エンジン331が行うと判定した介入では、治療プログラムの使用状況に基づいて行うと判定した介入が、患者のメンタルの状態に基づいて行うと判定した介入よりも優先度が高くなっている。このため、共通エンジン331は、治療プログラムの使用状況に基づいて行うと判定した介入と、患者のメンタルの状態に基づいて行うと判定した介入と、がある場合、治療プログラムの使用状況に基づいて行うと判定した介入を優先して行い、患者のメンタルの状態に基づいて行うと判定した介入は行わない。
【0073】
さらに、疾患別エンジン332が行うと判定した介入では、治療活動全体のバランスに基づいて行うと判定した介入が最も優先度が高く、次いでトレーニングの実施状況に基づいて行われる介入、服薬の状況に基づいて行われる介入の順で優先度が高く、生活習慣の状態に基づいて行われる介入が最も優先度が低くなっている。このため、共通エンジン331は、治療活動全体のバランスに基づいて行うと判定した介入、トレーニングの実施状況に基づいて行われる介入、服薬の状況に基づいて行われる介入、及び生活習慣の状態に基づいて行われる介入の順で優先的に行い、それ以外の介入は行わない。
【0074】
このように、優先度が最も高い介入のみを行うことで、より深刻な問題点の改善を優先しつつ、重複した介入の発生を防ぎ、一日に発生する介入の量を調整し、介入が多発する事によるモチベーションの低下を防止することができる。
【0075】
また、優先度が高い介入を行う場合、その介入より優先度が低い介入を行わない。例えば、共通エンジン331は、治療プログラムの使用状況が悪い場合、治療プログラムを使用して行われるトレーニングの実施状況も必然的に悪くなるが、まずは治療プログラムを使用してもらうことを優先して、治療プログラムの使用状況に基づいて行うと判定した介入のみを行う。また、共通エンジン331は、患者のメンタルの状態が悪く、且つトレーニングの実施状況も悪い場合、無理にトレーニングの実施を促すよりも、メンタルを改善することを優先して、患者のメンタルの状態に基づいて行うと判定した介入のみを行う。
【0076】
なお、例えば、患者の身体的な問題から、一部の筋肉トレーニングを禁止したり、タンパク質の摂取の目標を設定していない場合等には、そういった患者に対して、筋肉トレーニングの実施やタンパク質の摂取を促すような介入を行わないようにするために、フィルタリング(矛盾の解決のためのフィルタリング)を行ってもよい。
【0077】
さらに、共通エンジン331は、患者DB321に登録される患者情報が示す患者の性格等に基づいて、介入の態様のパーソナライズを行う。具体的に、共通エンジン331は、患者の性格に合わせて介入に登場するアバタと会話のトーンとを調整する。また、共通エンジン331は、同じ介入でもメッセージに複数のパターンを持たせてランダムに選択する。これにより、共通エンジン331は、同じ介入でも内容に変化を持たせることができる。
【0078】
例えば、共通エンジン331は、治療プログラムの使用状況を改善するために介入する場合、患者の性格が不安傾向であれば看護師のアバタによる優しめ態様で、怠惰であれば看護師のアバタによる厳しめ態様で、権威に弱ければ、医師のアバタによる態様で、介入を行うようパーソナライズを行う。
【0079】
また、共通エンジン331は、生活習慣を改善するための指導と共に教育コンテンツを提示する介入の場合、患者が治療を希望していれば、看護師のアバタによる生活習慣改善のメリットを中心とした平易な内容のコンテンツを提示する態様で、介入を行うようパーソナライズを行う。これに対して、共通エンジン331は、無関心であれば、医師による生活習慣悪化のデメリットを中心としたコンテンツを提示する態様で、知的であれば、医師による生活習慣改善のより専門的なコンテンツを提示する態様で、介入を行うようパーソナライズを行う。
【0080】
共通エンジン331は、ログ解析タイミングでなければ、患者DB321に登録されるイベントテーブル4を参照して、介入を行う時刻(介入タイミング)であるか否かを判別する。共通エンジン331は、介入タイミングであれば、そのタイミング(時刻)に対応する介入(例えばイベントテーブル4において時刻「午前12:00」に対応付けて登録されている「教育コンテンツの提示」との介入等)を、パーソナライズを行った態様で行うことを指示する介入指示信号を通信部31からネットワークNを介して患者端末2に送信する。
【0081】
[疾患別エンジン]
疾患別エンジン332は、生活習慣に関するアンケートへの回答回数及び回答内容、並びにトレーニングの実施状況から治療メニュをマネジメントするものである。具体的に、まず、疾患別エンジン332は、最新の日付に対応付けて登録されている患者の状態に関する情報のうち、その患者の疾患に特有の情報(第1情報)、具体的に、生活習慣に関するアンケートへの回答回数及び回答内容、並びにトレーニングの実施状況をログDB322から抽出して、ログ分析を行い、治療活動全体のバランス、トレーニングの実施状況、服薬の状況、及び生活習慣の状態等の患者の状態を特定する。
【0082】
次に、疾患別エンジン332は、所定スコープ(期間)における患者の状態を取得する。
【0083】
続いて、疾患別エンジン332は、所定スコープ(期間)における患者の状態から、介入判定式DB323及び介入目的DB324を用いて、患者の治療へ介入するか否かを判定するとともに、介入の目的を決定する。
【0084】
また、疾患別エンジン332は、共通エンジン331が実際に行うものとして決定した介入を、トレーニング及びアンケート等の治療メニュと統合して患者の一日のイベントテーブル4を生成する。治療メニュにおけるトレーニング及びアンケートの種類や量は、医師が初診時の問診等から作成した治療計画を元に、医師端末から患者毎に設定されてもよい。なお、疾患別エンジン332は、患者の家族や親類等といった患者と親密な関係にある周囲の支援者によって所持される支援者端末に、「最近治療プログラムの使用状況が良くありません。」等といった介入内容をネットワークNを介して通知してもよい。また、疾患別エンジン332は、患者を担当する医師によって所持される医師端末に、介入内容に応じた医師に向けた情報をネットワークNを介して提供してもよい。
【0085】
そして、疾患別エンジン332は、イベントテーブル4における患者の一日の生活スケジュールに、時刻及びイベントの種類(起床、食事、及び就寝等の時間)をセットして、患者DB321に登録する。
【0086】
次に、上記構成を備える治療支援システム1が実行する各種処理について図面を参照しつつ説明する。
【0087】
図7は、共通エンジンが実行する共通処理の詳細を示すフローチャートである。
【0088】
図7に示す共通処理において、共通エンジン331は、まず、ログ解析タイミングであるか否かを判別する(ステップS701)。
【0089】
ログ解析タイミングであれば(ステップS701;Yes)、共通エンジン331は、最新の日付に対応付けて登録されている使用ログ及びメンタルログをログDB322から抽出して、ログ分析を行い、治療プログラムの使用状況及び患者のメンタルの状態等の患者の状態を特定する(ステップS702)。
【0090】
次に、共通エンジン331は、所定スコープ(期間)における患者の状態を取得する(ステップS703)。
【0091】
続いて、共通エンジン331は、所定スコープ(期間)における患者の状態から、介入判定式DB323及び介入目的DB324を用いて、患者の治療へ介入するか否かを判定するとともに、介入の目的を決定する(ステップS704)。
【0092】
さらに、共通エンジン331は、行うと判定した介入が複数ある場合、優先度が最も高い介入を、実際に行うものとして決定する(ステップS705)。
【0093】
そして、共通エンジン331は、患者DB321に登録される患者情報が示す患者の性格等に基づいて、ステップS705で実際に行うものとして決定した介入の態様のパーソナライズを行ってから(ステップS706)、ステップS701へとリターンする。
【0094】
ログ解析タイミングでなければ(ステップS701;No)、共通エンジン331は、患者DB321に登録されるイベントテーブル4を参照して、介入を行う時刻(介入タイミング)であるか否かを判別し(ステップS707)、介入タイミングでなければ(ステップS707;No)、ステップS701へとリターンする。
【0095】
介入タイミングであれば(ステップS707;Yes)、共通エンジン331は、そのタイミング(時刻)に対応する介入を、ステップS706でパーソナライズを行った態様で行うことを指示する介入指示信号を通信部31からネットワークNを介して患者端末2に送信してから(ステップS708)、ステップS701へとリターンする。これにより、患者端末2のタッチパネル22等において、ステップS705で実際に行うものとして決定した介入が、ステップS706でパーソナライズを行った態様で行われる。
【0096】
また、ログ解析タイミングになったことに応答して、疾患別エンジン332は、疾患別処理を開始する。
【0097】
図8は、疾患別エンジンが実行する疾患別処理の詳細を示すフローチャートである。
【0098】
図8に示す疾患別処理を開始すると、疾患別エンジンは、まず、最新の日付に対応付けて登録されている生活習慣に関するアンケートへの回答回数及び回答内容、並びにトレーニングの実施状況をログDB322から抽出して、ログ分析を行い、治療活動全体のバランス、トレーニングの実施状況、服薬の状況、及び生活習慣の状態等の患者の状態を特定する(ステップS801)。
【0099】
次に、疾患別エンジン332は、所定スコープ(期間)における患者の状態を取得する(ステップS802)。
【0100】
続いて、疾患別エンジン332は、所定スコープ(期間)における患者の状態から、介入判定式DB323及び介入目的DB324を用いて、患者の治療へ介入するか否かを判定するとともに、介入の目的を決定する(ステップS803)。
【0101】
また、疾患別エンジン332は、共通エンジン331が実際に行うものとして決定した介入を、トレーニング及びアンケート等の治療メニュと統合して患者の一日のイベントテーブル4を生成する(ステップS804)。
【0102】
そして、疾患別エンジン332は、イベントテーブル4における患者の一日の生活スケジュールに、時刻及びイベントの種類(起床、食事、及び就寝等の時間)をセットして、患者DB321に登録してから(ステップS805)、疾患別処理を終了する。
【0103】
以上説明したように、本実施形態に係るサーバ装置(治療支援装置)3は、全ての疾患に共通の共通エンジン331と、疾患毎に異なる疾患別エンジン332と、を備える。
【0104】
疾患別エンジン332は、患者の状態に関する情報のうち、その患者の疾患に特有の情報(第1情報)に基づいて、患者の治療に介入するか否かを判定する。
【0105】
共通エンジン331は、患者の状態に関する情報のうち、全ての疾患に共通の情報(第1情報)に基づいて、患者の治療に介入するか否かを判定する。そして、共通エンジン331は、共通エンジン331及び疾患別エンジン332がともに患者の治療に介入すると判定した場合、共通エンジン331の判定に基づく介入を、疾患別エンジン332の判定に基づく介入よりも優先して行う。
【0106】
このように、共通エンジン331の判定に基づく介入を、疾患別エンジン332の判定に基づく介入よりも優先的に行うことで、全ての疾患に共通する問題点といった、より深刻な問題点の改善を優先しつつ、重複した介入の発生を防ぎ、一日に発生する介入の量を調整し、介入が多発する事によるモチベーションの低下を防止することができる。
【0107】
また、共通エンジン331は、患者の治療への介入を、患者の特性に応じた態様で行うことにより、治療に対するモチベーションの低下を防止することができる。
【0108】
この結果、本実施形態に係るサーバ装置(治療支援装置)3は、患者のモチベーションを低下させることなく、患者の治療に介入して治療効果を高めることができる。
【0109】
さらに、サーバ装置(治療支援装置)3は、患者の疾患に応じて、疾患別エンジンを変更することにより、簡易且つ安価で様々な疾患に対応することができる。
【0110】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施形態の変形態様について、説明する。
【0111】
上記の実施形態において、制御部24及び33のCPUが実行するプログラムは、予めROM、並びに記憶部21及び32等に記憶されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上述の処理を実行させるためのプログラムを、既存の汎用コンピュータに適用することで、上記の実施形態に係る患者端末2及びサーバ装置3として機能させてもよい。
【0112】
このようなプログラムの提供方法は任意であり、例えばコンピュータが読取可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等)に格納して配布してもよいし、インターネット等のネットワーク上のストレージにプログラムを格納しておき、これをダウンロードさせることにより提供してもよい。
【0113】
さらに、上記の処理をOS(Operating System)とアプリケーションプログラムとの分担、又はOSとアプリケーションプログラムとの協働によって実行する場合には、アプリケーションプログラムのみを記録媒体やストレージに格納してもよい。また、搬送波にプログラムを重畳し、ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)に上記プログラムを掲示し、ネットワークを介してプログラムを配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0114】
なお、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本発明の一実施例を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0115】
1 治療支援システム
2 患者端末
3 サーバ装置(治療支援装置)
21,32 記憶部
22 タッチパネル
23,42 通信部
24,33 制御部
321 患者DB
322 ログDB
323 介入判定式DB
324 介入目的DB
331 共通エンジン
332 疾患別エンジン
【要約】
治療効果を高める。
サーバ装置(3)は、全ての疾患に共通の共通エンジン(331)と、疾患毎に異なる疾患別エンジン(332)と、を備える。疾患別エンジン(332)は、患者の状態に関する情報のうち、その患者の疾患に特有の情報に基づいて、患者の治療に介入するか否かを判定する。共通エンジン(331)は、患者の状態に関する情報のうち、全ての疾患に共通の情報に基づいて、患者の治療に介入するか否かを判定する。そして、共通エンジン(331)は、共通エンジン(331)及び疾患別エンジン(332)がともに患者の治療に介入すると判定した場合、共通エンジン(331)の判定に基づく介入を、疾患別エンジン(332)の判定に基づく介入よりも優先して行う。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8