IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 春日製紙工業株式会社の特許一覧

特許7074315ロール成形装置におけるエンボス成形ロール及びそのトイレットペーパーロール
<>
  • 特許-ロール成形装置におけるエンボス成形ロール及びそのトイレットペーパーロール 図1
  • 特許-ロール成形装置におけるエンボス成形ロール及びそのトイレットペーパーロール 図2
  • 特許-ロール成形装置におけるエンボス成形ロール及びそのトイレットペーパーロール 図3
  • 特許-ロール成形装置におけるエンボス成形ロール及びそのトイレットペーパーロール 図4
  • 特許-ロール成形装置におけるエンボス成形ロール及びそのトイレットペーパーロール 図5
  • 特許-ロール成形装置におけるエンボス成形ロール及びそのトイレットペーパーロール 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】ロール成形装置におけるエンボス成形ロール及びそのトイレットペーパーロール
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/16 20060101AFI20220517BHJP
【FI】
A47K10/16 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017236551
(22)【出願日】2017-12-10
(65)【公開番号】P2019103557
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】391021466
【氏名又は名称】春日製紙工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】久保田 雅則
(72)【発明者】
【氏名】渡部 泰
(72)【発明者】
【氏名】渡井 秋男
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06419790(US,B1)
【文献】欧州特許出願公開第01897682(EP,A1)
【文献】米国特許第06413614(US,B1)
【文献】特開2006-280616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレットペーパーの二重巻きのロール成形装置において、ロール本体の長手方向の長さ全体に傾斜角がプラス・マイナス10度~70度で交差しない連続状の波形線又は直線状線が点エンボスによる主要帯体として形成され、該主要帯体は所定間隔をおいて螺旋状に前記ロール本体の周囲に3つ以上形成されてなり、ロール本体の長手方向の長さ全体の範囲が複数に分割されて、各1個づつを単位模様領域とし、該単位模様領域内で且つ隣接する前記主要帯体間には、線エンボスによる副模様が間隔をおいて複数形成され、
前記単位模様領域内においての平面視における面積の割合は、
前記主要帯体の占める割合>前記副模様の占める割合
としてなることを特徴とするロール成形装置におけるエンボス成形ロール。
【請求項2】
請求項1記載のロール成形装置において、前記主要帯体は、点線連続状部位と、該点線連続状部位の周囲に、任意の間隔にてのリング状の点線模様とによって構成されてなることを特徴とするロール成形装置におけるエンボス成形ロール。
【請求項3】
請求項1に記載のロール成形装置において、前記主要帯体は、点線連続状部位のみからなることを特徴とするロール成形装置におけるエンボス成形ロール。
【請求項4】
請求項3に記載のロール成形装置において、前記主要帯体の点線連続状部位は二重線となることを特徴とするロール成形装置におけるエンボス成形ロール。
【請求項5】
請求項1,2,3又は4に記載のロール成形装置において、隣接する単位模様領域n1,n2,…間のエンボス面積比と比較して、1%以上の誤差が生じてなることを特徴とするロール成形装置におけるエンボス成形ロール。
【請求項6】
請求項1,2,3,4又は5に記載のロール成形装置におけるエンボス成形ロールを使って製造してなることを特徴とするトイレットペーパーロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻軸上に複数の異なるエンボスパターンを製造することができると共に、製造過程において無駄な振動を回避し、異なるエンボスパターンであってもトイレットペーパーロール巻径が不均一乃至は縮まることを防止したロール成形装置におけるエンボス成形ロール及びトイレットペーパーロールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トイレットペーパーロールを二重巻としたタイプにおいては、種々の模様のエンボス(エンボスパターン)を入れたものが市販されている。現在では、そのエンボスパターンとしては、1本の巻軸上において1種類のものであった。これは、従来技術として、図5(B)及び図6(A),(B)に示すように、エンボスパターンを成形するには、エンボススチールロールAとゴムロールBとの押圧にて行っている。
【0003】
このエンボスパターンにおけるエンボス部位は、同図6(A),(B)の断面図としては、エンボススチールロールAにおける凸部に該当する。この凸部断面が大きいとエンボス部位が大きくなる。これは線エンボスでも凸部は大きくなりがちである。また、エンボス部位の断面が小さいと、鋭い突起状の凸部となる。このような突起状の小さいエンボス部位が多くなると、前記ゴムロールBの表面の磨耗しやすくなる。大きい凸部のエンボス部位が当接しても、該ゴムロールBの表面は磨耗する。
【0004】
実際には、エンボス模様を付与したトイレットペーパーロールの製造では、毎分当たり約500m~約600mで行なっている。前記エンボススチールロールAの回転数としては約400~約480(回転/毎分当たり)となっている。このような状態でエンボス加工すると、常に、前記エンボススチールロールAにおける凸部によって前記ゴムロールBの表面は摩滅状態となる。
【0005】
このような状態下のため、エンボスパターンとしては、前記エンボススチールロールAの長手方向において1種類のほぼ同一の柄がでるようにして製造されていた。この最大の問題は、異なるエンボスパターンを複数とすると、前記エンボススチールロールAの長手方向において単位長さ当たりのエンボス量が不均一の場合には、前記ゴムロールBの表面の摩滅状態が異なり、これによって、該ゴムロールBの軸心に振動が発生し、この影響にて前記エンボススチールロールAにも振動が伝播して、前記エンボスパターンが整然と形成できない不都合があった。
【0006】
また、引用文献1には、巻軸上の長手方向に、複数乃至十近く異なる模様パターンを設けたトイレットペーパーロールが公開されている。引用文献1には、巻軸上に、それぞれ異なるパターンのエンボスが付与された複数のエンボス領域を有しており、この複数のそれぞれエンボス面積率の差が1%以内となるよう形成することが記載されている。
【0007】
このようにエンボス面積率の差が1%以内となるとしても、例えば、巻軸に2つのエンボス領域のみであったとすると、エンボス領域におけるエンボス面積率は、具体的には5cm平方の3箇所のラベルの平均値であるとのことである。実際には、その巻軸の長さが約3m程度あり、この3m内で、たった5cm平方箇所を3箇所取った平均では、この長手方向における所定箇所のばらつきがあり、本件引用文献1のように、成形できることは期待できない。
【0008】
つまり、巻軸上の巻径に生じる歪みをほぼ解消するとの効果が期待できない。さらに、引用文献1での文章及び図面を見ても、すべてが線エンボスから形成されており、この場合には、製造されたトイレットペーパーロール巻径が縮んで縮小して、製品として不完全な形状になる欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2016-171831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかるに、巻軸上に、複数のエンボスパターンを入れて欲しいというニーズもあり、中々できないものであったが、前記ゴムロールBの軸心の振動発生により、エンボスパターンを整然と形成できない不都合があったが、本発明が解決しようとする課題(技術的課題又は目的等)は、巻軸上に、複数のエンボスパターンを付与しても、振動を回避してエンボスパターンを整然と形成できることを実現し、さらに、トイレットペーパーロール巻径を整然と製造することができる課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、トイレットペーパーの二重巻きのロール成形装置において、ロール本体の長手方向の長さ全体に傾斜角がプラス・マイナス10度~70度で交差しない連続状の波形線又は直線状線が点エンボスによる主要帯体として形成され、該主要帯体は所定間隔をおいて螺旋状に前記ロール本体の周囲に3つ以上形成されてなり、ロール本体の長手方向の長さ全体の範囲が複数に分割されて、各1個づつを単位模様領域とし、該単位模様領域内で且つ隣接する前記主要帯体間には、線エンボスによる副模様が間隔をおいて複数形成され、前記単位模様領域内においての平面視における面積の割合は、前記主要帯体の占める割合>前記副模様の占める割合としてなることを特徴とするロール成形装置におけるエンボス成形ロールとしたことにより、前記課題を解決した。
【0012】
請求項2の発明を、請求項1記載のロール成形装置において、前記主要帯体は、点線連続状部位と、該点線連続状部位の周囲に、任意の間隔にてのリング状の点線模様とによって構成されてなることを特徴とするロール成形装置におけるエンボス成形ロールとしたことにより、前記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1記載のロール成形装置において、前記主要帯体は、点線連続状部位のみからなることを特徴とするロール成形装置におけるエンボス成形ロールとしたことにより、前記課題を解決した。
【0013】
請求項4の発明を、請求項3記載のロール成形装置において、前記主要帯体の点線連続状部位は二重線となることを特徴とするロール成形装置におけるエンボス成形ロールとしたことにより、前記課題を解決した。
【0014】
請求項5の発明を、請求項1,2,3又は4に記載のロール成形装置において、隣接する単位模様領域n1,n2,…間のエンボス面積比と比較して、1%以上の誤差が生じてなることを特徴とするロール成形装置におけるエンボス成形ロールとしたことにより、前記課題を解決した。また、請求項6の発明では、請求項1,2,3,4又は5に記載のロール成形装置におけるエンボス成形ロールを使って製造してなることを特徴とするトイレットペーパーロールとしたことにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明においては、全体に適宜な傾斜角を有する連続状の波形線又は直線状線が点エンボスによる連結状の主要帯体として形成され、該主要帯体は所定の間隔をおいて螺旋状に複数形成されことで、隣接した単位模様領域間で異なるエンボスパターンが存在したとしても、同一状のエンボスパターンが連続することになり、特に、振動を回避したロール成形を実現でき、エンボス加工を整然と成形することができるし、さらに、製造されたトイレットペーパーロール巻径が縮まるようなこともなく、極めて良好なるトイレットペーパーロールを提供できる。
【0016】
また、請求項1の発明では、単位模様領域内においての前記主要帯体の占める割合>主副模様の占める割合としてなることで、点エンボスが主要部となることで、エンボス模様の鮮明さを強調できる。請求項2、請求項3及び請求項4の発明では、請求項1と同様の効果を奏する。
【0017】
請求項5の発明では、隣接する単位模様領域間のエンボス面積比と比較して、1%以上の誤差が生じていても、本発明の傾斜角を有する連続状の波形線又は直線状線が点エンボスによる連結状の主要帯体にて確実に回避して整然としたエンボス加工を提供できる。また、請求項6の発明では、請求項1,2,3,4又は5に記載のロール成形装置におけるエンボス成形ロールを使って製造したトイレットペーパーロールも、良好なるエンボス模様を有するものにできる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(A)はエンボス成形ロールの断面図、(B)は(A)の(α)部拡大断面図、(C)は本発明のエンボス成形ロールの一部断面とした簡易斜視図である。
図2】単位模様領域を3つを連続して設けた第1実施形態の巻軸上に形成したトイレットペーパーロールの一部平面図である。
図3】(A)は巻軸上の全体に単位模様領域を3個連続して設けた第1実施形態の変形例の一部略示平面図、(B)は巻軸上の一部に単位模様領域を3個連続して設けた第1実施形態の変形例の一部略示平面図である。
図4】(A)は単位模様領域の第2実施形態の一部平面図、(B)は単位模様領域の第3実施形態の一部平面図である。
図5】(A)は従来公知のトイレットペーパーの二重巻きのロール成形装置の一部略示側面図、(B)は(A)の一部拡大図である。
図6】(A)は従来公知の図5(B)の要部拡大縦断側面図、(B)は(A)の(β)部の拡大図、(C)は(γ)部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明すると、図1は、エンボス成形ロール1の断面図であって、固定中心軸11が、トイレットペーパーの二重巻きのロール成形装置の本体側壁に固着されており、該固定中心軸11に対し、筒状のロール本体12が回転可能に軸支されている。具体的には、該ロール本体12の中心側と両端側位置にて、ロールベアリングを介して回転可能に設けられている。また、駆動時において所望な温度にてエンボス加工するために、水冷循環作業ができるように内部に水冷手段が施されている。また、前記ロール本体12の長さは約3m以内で、直径約40cmに構成されている。
【0020】
さらに、前記ロール本体12は、内部側ロール本体部12aと、外部側のエンボス加工を施す表面側ロール本体部12bとで構成されている。該表面側ロール本体部12bの表面全体に、点エンボスPや線エンボスLが適宜多数形成されている。前記点エンボスPの大きさとしては、約1mm乃至約2mm程度であって、高さは約1mm程度である。また、前記線エンボスLとしては、約1mm内外であり、長さは約5mm乃至約20mm程度の図形(花模様など)であり、高さは約1mm以内に形成されている。
【0021】
次に、点エンボスP及び線エンボスLの具体的な構成について説明する。その簡略した本発明のロール本体12は図1(C)にて示されているが、点エンボスPの螺旋状が解る程度である。特に、後述する傾斜角θは、マイナス方向を向いている。エンボス模様の詳細な説明としては、前記ロール本体12による転写後の反転した同一の模様となる。この説明においては、エンボス成形ロール1等を通過後の二重に重ねた後に、巻軸2に巻きつけ加工した状態のエンボスパターンについて説明する。
【0022】
エンボスパターンの第1実施形態について説明する。図2に示すように、巻軸2、即ち、水平軸線に対して、巻軸2の長手方向の長さ全体に亘って、波形線又は直線状線の点エンボスPが傾斜角度θ(例えば、プラス・マイナス約10度乃至約70度程度で、実際には、約30度)を有する点線連続状部位41と、該部位41の周囲に、任意の間隔をおいて、複数の勾玉状、葉っぱ状のリング状の点線模様42とによって主要帯体4として構成されている。前記点エンボスPは、平面的に見て丸形状をなし、前述したように、約1mm乃至約2mm程度である。
【0023】
前記点線連続状部位41は、確実に等間隔でなくとも、さらには、一部のみに離れた箇所が存在したとしても、前記主要帯体4と称する。該主要帯体4が、前記ロール本体12の表面側ロール本体部12bの周面に螺旋状に刻設されている。また、前記主要帯体4は、所定間隔Tをおいて連続的に多数設けられている。隣接する前記主要帯体4,4間には、前記ロール本体の長手方向には、それぞれ適宜な図形模様の線エンボスによる副模様5が適宜の間隔をおいて多数形成されている。
【0024】
該線エンボスLによる副模様5は、花模様が複数の線エンボスL,L…により構成されている。該線エンボスLは、花模様としたが、これに限定されることなく、動物又は乗り物等にも適用可能である。さらに、本発明の最大の特徴としては、前記ロール本体12の長手方向の長さ全体の範囲が複数に分割され、各1個づつを単位模様領域n1,n2,・・・とし、該単位模様領域n1,n2,・・・には、それぞれ異なるエンボスパターンが形成されている。
【0025】
具体的には、図2に示すように、成形後であるトイレットペーパーロールにおいて、前述した点エンボスPによる主要帯体4が傾斜角θ(約30度)で、巻軸の長手方向全体に亘って螺旋状に形成され、且つ該主要帯体4は、所定間隔Tおいて多数形成されている。そして、その長手方向の全体長さがn個(n≧2)に分割され、それぞれの単位模様領域n1には、線エンボスLなる花aとしての副模様5が、種々の形状、大きさで規則的乃至不規則に設けられている。
【0026】
また、図2の単位模様領域n2には、依然として、単位模様領域n1に連続した主要帯体4が傾斜角θ(約30度)で形成され、今度は、線エンボスLなる花bとしての副模様5が、種々の形状、大きさで規則的乃至不規則に設けられている。さらに、図2の単位模様領域n3には、依然として、単位模様領域n1に連続した主要帯体4の傾斜角θ(約30度)が形成され、今度は、線エンボスLなる花cとしての副模様5が、種々の形状、大きさで規則的乃至不規則に設けられている。同様に、n個までが、前記巻軸2の全体長さ内に設けられている。
【0027】
このようにして点エンボスPからなる螺旋状の前記主要帯体4,4…と、線エンボスLからなる副模様5からなるエンボスパターンとして構成されている。単位模様領域n1,n2,間において、それぞれ異なるエンボスパターンとは、それぞれの単位模様領域n1,n2,…毎に、前記線エンボスLからなる副模様5のみが異なるように構成されるが、前記主要帯体4,4…は単位模様領域n1,n2,…に共通の点エンボスPが成形されていることをいう。
【0028】
また、隣接する単位模様領域n1,n2間のエンボス面積比(エンボスの無い単位面積当たりのエンボス面積比)としては、約1%程度~約5%程度である。約1%以上の誤差が生じていたとしても、製造時において、前記ゴムロールBの振動はしにくくできる。つまり、約1%を超え、約数%(約3~5)以上の誤差が生じていても前記ゴムロールBの振動はしにくくでき、これによってエンボス模様を整然として仕上げ得る効果を奏する。
【0029】
さらに、単位模様領域n1,n2,・・・内において、
〔主要帯体4,4…の占める割合〕=Q>〔副模様5,5…の占める割合〕=S
なる関係が存在する。
具体的には、Q>Sなる関係式が、
となることがある。
【0030】
点エンボスPと線エンボスLとの加工による成形装置と、成形後のトイレットペーパーロールの巻径などに与えるは影響は、図表の通りである。
【0031】
前記単位模様領域n1(独立したそれぞれの単位模様領域nX)内において、実際のトイレットペーパーロールの長さは114mm程度であり、例えば、2個か、3個以上の場合があるが、前記単位模様領域n1内で、区切よく分割できなくともよい。つまり、該単位模様領域n1内で、きれいに市販の長さに分割できるかできないかは問題視されない。
【0032】
エンボスパターンの第1実施形態の変形例について説明する。図3(A)には、約2m60cmの巻軸2上に、その長手方向全体に、3分割されており、それぞれの単位模様領域n1,n2,n3内で、約7~8個の分離可能に構成されている。また、同様に、図3(B)には、約2m60cmの一部(約2分の1程度)の巻軸2上に、その長手方向全体に、3分割されており、それぞれの単位模様領域n1内において、約4個程度のトイレットペーパーロールに分離可能に構成されている。
【0033】
エンボスパターンの第2実施形態について説明する。図4(A)に示すように、巻軸2、即ち、水平軸線に対して、巻軸2の長手方向の長さ全体に亘って、波形線又は直線状線の点エンボスPが傾斜角θ(例えば、プラス・マイナス約10度乃至約70度程度で、実際には、約30度)を有する点線連続状部位41のみから構成されている。特に、前記主要帯体4の点線連続状部位41は二重線となっている。該二重となった該点線連続状部位41,41なる主要帯体4が形成され、該主要帯体4,4間に、副模様5が設けられている。
【0034】
このエンボスパターンの第2実施形態では、前記主要帯体4は、点線連続状部位41のみで、前記点線模様42は形成されていない。また、それぞれの単位模様領域n1,n2,…毎に、前記線エンボスLからなる副模様5(花模様又は動物、乗り物等)のみが異なるように構成されるが、前記主要帯体4,4…は、単位模様領域n1,n2,…に共通の点エンボスPとして前記主要帯体4の点線連続状部位41,41は二重線として巻軸2の全幅に亘って成形されている。
【0035】
エンボスパターンの第3実施形態について説明する。図4(B)に示すように、前記主要帯体4としての点エンボスPは、前記点線連続状部位41に交差する別の点線連続状部位41が形成され、全体として約菱形状又は格子状に形成されている。この場合は、2本の交差する前記点線連続状部位41,41の傾斜角θ(例えば、プラス・マイナス約10度乃至約70度程度で、実際には、プラス約50度、マイナス約45度)に構成されている。この図4(B)での点エンボスPは、真円状ではなく、長さが少しある楕円状に形成されることもある。勿論、図4(B)での点エンボスPは、円形状に掲載されることも多い。
【0036】
このエンボスパターンの第3実施形態の場合の副模様5(花又は星など)は、その格子状となった前記点線連続状部位41,41の格子内にそれぞれ設けられている。このようなエンボスパターンの第3実施形態では、前記主要帯体4は、格子状となった前記点線連続状部位41,41なる点エンボスPが巻軸2の全幅に亘って成形され、それぞれの単位模様領域n1,n2,…毎に、前記格子状となった前記点線連続状部位41,41内に、それぞれの副模様5(花模様又は動物、乗り物等)のみが異なるように構成されている。
【0037】
なお、図6の従来技術におけるエンボススチールロールAは公知であり、図1の構成のロール本体12とは図6と同等な構成であるが、本発明技術を施したことで新規な構成としている。また、図6のゴムロールBは、前記エンボススチールロールAによる高速回転ゆえに摩耗又は磨滅により前記ゴムロールBが振動し、該振動が本発明のエンボス成形ルール1への影響を少なからず及ぼすものである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、二重にしてエンボス加工するトイレットペーパーロールの製造に関してのエンボス成形ロール1について説明したが、薄葉紙として同等であるキッチンペーパーロールについてもエンボス加工用のエンボス成形ロール1についての利用可能性が極めて高いものであり、同様の技術にて解決できる。
【符号の説明】
【0039】
1…エンボス成形ロール、P…点エンボス、L…線エンボス、12…ロール本体、
2…巻軸、4…主要帯体、41…点線連続状部位、42…点線模様、5…副模様、
n1,n2,…単位模様領域、θ…傾斜角。
図1
図2
図3
図4
図5
図6