(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】振動燃焼の検出を行う燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23N 5/18 20060101AFI20220517BHJP
F23N 5/24 20060101ALI20220517BHJP
【FI】
F23N5/18 101K
F23N5/24 106Z
(21)【出願番号】P 2018133809
(22)【出願日】2018-07-17
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000130651
【氏名又は名称】株式会社サムソン
(72)【発明者】
【氏名】松元 一樹
(72)【発明者】
【氏名】浅尾 享一
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-301412(JP,A)
【文献】特開平8-178263(JP,A)
【文献】特開平10-238770(JP,A)
【文献】特開2000-227219(JP,A)
【文献】実開平1-101061(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23N 5/18
F23N 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼用空気を送る送風機と、燃料ガスを通す燃料ガス供給配管を持ち、燃焼用空気と燃料ガスを供給しながら燃焼を行う燃焼装置であって、燃焼用空気と燃料ガスの供給量を調節することで燃焼量の変更を可能としている燃焼装置において、燃焼用空気を送る送風経路の途中に、送風経路内の風圧を検出する送風経路圧力検出装置を設置しておき、燃焼量の変更中に送風経路圧力検出装置で検出する風圧値が燃焼量変更方向とは逆行していることを検出した場合、振動燃焼が発生している可能性があるとの判定を行うものであることを特徴とする振動燃焼の検出を行う燃焼装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振動燃焼の検出を行う燃焼装置において、燃焼量変更方向とは逆行する風圧の変化が検出された風圧値の次以降に検出される風圧値に基づいて風圧値の最大値と最小値を算出するようにしておき、算出した風圧値の最大値と最小値の差が設定値を超えた場合、振動燃焼が発生しているとの判定を行うものであることを特徴とする振動燃焼の検出を行う燃焼装置。
【請求項3】
請求項1に記載の振動燃焼の検出を行う燃焼装置において、燃焼量変更方向とは逆行する風圧の変化が検出された風圧値の次以降に検出される風圧値データから最大値及び最小値の除いた残りデータでの最大値と最小値を算出するようにしておき、算出した風圧値の最大値と最小値の差が設定値を超えた場合、振動燃焼が発生しているとの判定を行うものであることを特徴とする振動燃焼の検出を行う燃焼装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の振動燃焼の検出を行う燃焼装置において、振動燃焼の発生を判定する最大値と最小値の算出に使用する風圧値は、移動する設定時間内での最大値と最小値とするが、風圧値の最大値と最小値を算出は、風圧値の検出個数が設定時間分に達するまで待たずに行っておき、最大値と最小値の差が設定値を超えると振動燃焼が発生しているとの判定を行うものであることを特徴とする振動燃焼の検出を行う燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼用空気と燃料ガスの供給量を調節することで燃焼量の調節を行うようにしている燃焼装置であって、燃焼量変更時に振動燃焼が発生した場合に振動燃焼の検出を行う燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開平11-37456号公報に記載があるように、燃焼装置では燃焼反応による圧力変動によって振動燃焼が発生することがある。振動燃焼が発生すると、燃焼室内では大きな圧力変動が短時間で繰り返し発生する。燃焼室内で圧力変動が発生すると、燃焼室へ燃焼用空気を送る送風路内にも圧力変動が伝播するため、送風路に送風経路圧力検出装置を設けておき、送風経路内の圧力を検出することで振動燃焼の発生を検出することができる。
【0003】
振動燃焼時には大きな圧力変動が短時間に発生するため、送風経路圧力検出装置によって送風経路内の圧力を検出しておき、所定時間内での変動幅が設定値を超えた場合に振動燃焼が発生していると判定することができる。振動燃焼の判定では、一定の間隔で瞬間における圧力を検出するようにしておき、設定時間内で検出した圧力の最大値と最小値の差を算出して差の値が設定値を超えると、振動燃焼が発生していると判断することができる。
【0004】
ただし、燃焼用空気供給量と燃料ガス供給量を調節することで燃焼量の調節を行うようにしている燃焼装置の場合には、燃焼量によって送風路内の圧力も変化する。燃焼量を高燃焼・低燃焼のように段階的に設定している場合、燃焼装置の最小と最大燃焼量の比であるターンダウンを1:7とするなど、燃焼量の差を大きく設定することがある。
【0005】
燃料ガス供給量と燃焼用空気供給量を増加して燃焼量を大きくすると、送風経路内を流れる燃焼用空気量は多くなり、燃焼室内での炉圧も大きくなる。そのため、一定時間内で検出した圧力の最大値と最低値の差を算出しても、その差は燃焼量の変化によるものか、振動燃焼によるものかを区別することができない。そのため燃焼量変更中は振動燃焼の判定を行わないようにしておき、燃焼量の変更を終了した以降に検出した風圧値に基づいて振動燃焼の判定を行うようにしている。しかし、燃焼量変更中に振動燃焼が発生することもあり、その場合には燃焼量変更の終了を待って振動燃焼の発生を判定するようにしていると、振動燃焼の検出が遅くなり、その間は振動燃焼を継続することになって、振動燃焼を発生している時間が長くなる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、
燃焼用空気供給量と燃料ガス供給量を調節することで燃焼量の調節を行うようにしている燃焼装置であって、燃焼量変更中に振動燃焼が発生した場合、振動燃焼の発生をより早く検出することのできるようにした燃焼装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、燃焼用空気を送る送風機と、燃料ガスを通す燃料ガス供給配管を持ち、燃焼用空気と燃料ガスを供給しながら燃焼を行う燃焼装置であって、燃焼用空気と燃料ガスの供給量を調節することで燃焼量の変更を可能としている燃焼装置において、燃焼用空気を送る送風経路の途中に、送風経路内の風圧を検出する送風経路圧力検出装置を設置しておき、燃焼量の変更中に送風経路圧力検出装置で検出する風圧値が燃焼量変更方向とは逆行していることを検出した場合、振動燃焼が発生している可能性があるとの判定を行うものであることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記振動燃焼の検出を行う燃焼装置において、燃焼量変更方向とは逆行する風圧の変化が検出された風圧値の次以降に検出される風圧値に基づいて風圧値の最大値と最小値を算出するようにしておき、算出した風圧値の最大値と最小値の差が設定値を超えた場合、振動燃焼が発生しているとの判定を行うものであることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記の振動燃焼の検出を行う燃焼装置において、燃焼量変更方向とは逆行する風圧の変化が検出された風圧値の次以降に検出される風圧値データから最大値及び最小値の除いた残りデータでの最大値と最小値を算出するようにしておき、算出した風圧値の最大値と最小値の差が設定値を超えた場合、振動燃焼が発生しているとの判定を行うものであることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記の振動燃焼の検出を行う燃焼装置において、振動燃焼の発生を判定する最大値と最小値の算出に使用する風圧値は、移動する設定時間内での最大値と最小値とするが、風圧値の最大値と最小値を算出は、風圧値の検出個数が設定時間分に達するまで待たずに行っておき、最大値と最小値の差が設定値を超えると振動燃焼が発生しているとの判定を行うものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明を実施することで、燃焼量変更途中でも振動燃焼の発生を検出することができるようになり、振動燃焼を早期に検出して対応することで、振動燃焼が継続する時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】振動燃焼時における送風径路圧力検出状況説明図
【
図4】他の実施例での振動燃焼時における送風径路圧力検出状況説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
図1は本発明を実施している燃焼装置のフロー図、
図2は送風径路内圧力推移の説明図、
図3は振動燃焼時における送風径路圧力検出状況説明図である。バーナ2は、燃料ガス供給配管8を通して供給してきた燃料ガスと、送風機6から送風路1を通して供給してきた燃焼用空気を混合して燃焼を行う。燃料ガスの供給量と燃焼用空気の供給量は、一定の比率となるように調節しており、燃料ガス供給量と燃焼用空気供給量を増減することで燃焼量を変更する。燃焼量の調節には、燃料ガス供給配管8の途中に燃料ガスの供給量を制御する燃料供給制御弁4を設置し、送風機6には供給電源周波数を変更することで送風機6の回転速度を調節するインバータ装置5を設置しておき、燃料供給量と燃焼用空気供給量の調節を行う。
【0015】
燃焼装置の運転制御は、運転制御装置7を設置しておいて運転制御装置7によって行う。運転制御装置7は、燃料供給制御弁4やインバータ装置5と接続しておいて、燃料供給制御弁4やインバータ装置5の動作を制御する。また、送風路1には送風機6から供給される燃焼用空気の風圧を検出する送風経路圧力検出装置3を設置しておく。送風経路圧力検出装置3も運転制御装置7と接続しておき、送風経路圧力検出装置3で検出した風圧の値は運転制御装置7に入力するようにしておく。
【0016】
図2には送風路1内の風圧を記載している。
図2で記載しているのは、燃焼量を低燃焼から高燃焼に変更する前後での風圧であり、正常に燃焼している場合を破線で示し、振動燃焼が発生したケースでの風圧は実線で示している。振動燃焼は燃焼量変更時の途中で始まっており、それまでは二つの線は重なっているが、振動燃焼開始以降は2つに分かれている。
【0017】
燃焼量が大きくなると、送風機6からバーナ2へ供給する燃焼用空気量が増加し、バーナ2が燃焼を行う燃焼室内の圧力も上昇するため、送風路1における風圧は上昇する。先ず
図2で振動燃焼が発生していない場合の風圧に着目すると、燃焼量変更時には低燃焼時の風圧から高燃焼時の風圧となるまで一様に上昇している。燃料供給量を段階的に増減するものであると、燃料供給量を変更するタイミングで風圧の変動が見られるが、燃焼用空気と燃料ガスを比例的に変更することによって燃焼量を変更する場合には、風圧は直線的に変化していく。
【0018】
送風路1内の圧力を検出する送風経路圧力検出装置3では、一定の間隔で各瞬間における風圧を検出して運転制御装置7へ出力する。送風経路圧力検出装置3で検出している各瞬間での風圧は、正常の燃焼が行われている状態で燃焼量を増加している場合には、ある時点で検出した風圧とその次の時点で検出した風圧を比較すると、時間が経過するごとに風圧が増加していくものであるため、検出される風圧値は増加していくはずである。運転制御装置7では、風圧が燃焼量変更の方向へ変化し続けている場合には、振動燃焼は発生していないと判断することができる。
【0019】
次に
図2で燃焼量変更の途中から振動燃焼が発生している場合の風圧に着目する。振動燃焼が発生する前の風圧は前記の振動燃焼が発生していない場合と同じであり、時間が経過するごとに風圧が増加し、燃焼量増加の途中で風圧が低下することはない。しかし、燃焼量変更の途中で振動燃焼が始まると、振動燃焼発生中は短い周期で大きな風圧変動が発生する。燃焼量増加中に振動燃焼が発生している場合、風圧の中間値は増加していくが、瞬間における風圧値は中間値から上下に大きく触れる。燃焼量増加中に振動燃焼が発生している状態での送風経路圧力検出装置3により検出している送風路1内の風圧値は、前回値と今回値を比較すると、振動燃焼による風圧変動の方が燃焼量増加による風圧変動よりも大きいため、瞬間的な風圧では前回風圧より低い値が検出されることがある。
【0020】
運転制御装置7では送風路1内での風圧を監視しておき、燃焼量を増加している状態であるにもかかわらず、検出している送風路1の風圧値が減少していたことを検出すると、振動燃焼発生の可能性があると判定する。運転制御装置7では、この段階で振動燃焼発生と判断するようにしてもよいのであるが、この測定値の検出が異常である可能性もあるため、ここでは振動燃焼発生との判定までは行っておらず、振動燃焼可能性有りとして振動燃焼の監視を行う。その後、運転制御装置7では送風経路圧力検出装置3で検出している送風路内の風圧値を蓄積し、設定時間内で検出した風圧の最大値と最小値の差を算出する。算出した最大値と最小値の差が設定値より大きくなっていた場合、振動燃焼が発生していると判定する。
【0021】
図3は振動燃焼が発生している状況での送風経路圧力検出装置による風圧検出状況を記載したものである。
図3に記載しているように、送風経路圧力検出装置3による風圧の検出は、例えば1秒毎などの間隔を開けて行うようにしており、複数回検出した所定時間内での風圧値を記録しておいてその値に基づき振動燃焼の発生を判定する。図では、1秒ごとに風圧値を検出するものであって、時刻T0から時刻T4の各点で風圧の検出を行っている。時刻T0で検出した風圧の値を風圧P0としており、時刻T1での風圧値は風圧P1、時刻T2では風圧P2、時刻T3では風圧P3、時刻T4では風圧P4としている。時刻T0の段階では、振動燃焼は発生前の状態であり、燃焼量の増加による風圧の上昇はあるが、振動燃焼による大きな風圧変動は発生していない。振動燃焼は時刻T0と時刻T1の間で発生しており、振動燃焼発生中は風圧が大きく変動する。ここでは燃焼量の増加中に振動燃焼が発生しているものであるため、風圧は短周期で大きく変動しつつ風圧の中間値は上昇傾向となっている。
【0022】
ここで時刻T0での風圧P0と時刻T1での風圧P1を比較すると、風圧P1の方が低くなっている。燃焼量を増加している場合、通常は時間の経過によって風圧は増加していくはずであるが、風圧P1が風圧P0より低くなっていることより、振動燃焼が発生している可能性を考えることができる。
【0023】
なお、送風経路圧力検出装置3での風圧検出は1秒ごとのように比較的長い間隔で検出するものであって、振動燃焼による圧力変動の周期は1秒間に5回若しくはそれ以上の短い周期で行われるものであると、送風経路圧力検出装置3が検出する時点における風圧値は、大きく変動している変動幅のどこかとなり、風圧を検出するタイミングによって風圧値が異なることになる。
図3では時刻1の時点での風圧P1は低くなっているが、検出タイミングの僅かな違いにより、例えば大きく変動している風圧のピーク付近である風圧P1’の値を検出することもあり得る。この場合、風圧P1’の値は風圧P0より高い値となるため、この時点では振動燃焼の検出はできないということになる。しかしこの場合であっても、この次の風圧検出タイミングである時刻T2では、高い値が検出されていた風圧P1’よりも小さな値が検出される可能性が高くなる。振動燃焼が発生していない場合に、燃焼量の変更方向に対して逆行する風圧変動が発生する可能性は非常に低いものである反面、振動燃焼が発生している場合には燃焼量の変更方向に逆行する風圧変動が検出される可能性が現れ、振動燃焼が発生しているのに風圧が同じ方向に変化しているものしか検出されないという可能性は低くなる。そのため、燃焼量の変更方向に逆行する風圧が検出されるか否かで振動燃焼発生の有無を推測することができる。
【0024】
ただし燃焼量変更方向に逆行する風圧値が一度検出されただけで振動燃焼発生と判定すると、風圧値の測定に異常が発生して測定値が異常となった場合に振動燃焼であると誤って検出することがある。この誤検出を防止するため、風圧値を一定時間間隔で複数検出して風圧値が変化した幅を検出することで振動燃焼の判定を行うことで、振動燃焼の判定精度を高めることができる。その場合、風圧値が燃焼量変更に逆行した値が検出されると、その値を除いたその後の所定期間内に検出される風圧値の最大値と最小値を抜き出しておき、その差が設定値を超えた場合に振動燃焼が発生していると判定する。
【0025】
振動燃焼の判定に使用する風圧値は、移動していく設定時間内の最大値と最小値を使用する。そして、最大値と最小値の差の算出は、設定時間に達していなくても風圧値が検出されているなかでの最大値と最小値の算出を行い、最大値と最小値の差が設定値を超えると振動燃焼が発生していると判定する。
【0026】
図3に基づいて具体的に説明する。時刻T1での風圧P1は時刻T0での風圧P0より低くなっていることを検出すると、振動燃焼が発生していることが考えられるため、振動燃焼の確認を行う。ただし、ここで検出した風圧P1の値が間違えていたことによって風圧P1の値が風圧P0より低くなる場合があり、その場合に風圧P1の値が大幅に小さな値となっていれば、次の風圧P2の値が高くなくても風圧P1と風圧P2の差は非常に大きな値となり、この差によって振動燃焼が発生しているとの判定が行われることになる。そのため、風圧P1の値は振動燃焼の判定には利用せず、次の風圧P2以降の値に基づいて判定する。
【0027】
時刻T3で風圧P3を検出すると、風圧P2と風圧P3の中から最大値と最小値を取り出す。最大値と最小値を算出する風圧値は、移動していく10秒間での最大値と最小値としていた場合、時刻T2から10秒間となると時刻T11までの間での最大値と最小値となるが、振動燃焼の判定は風圧値が2点検出された時点から開始する。ここでは2つの値しか存在せず、風圧P3が最大値、風圧P2が最小値となり、最大値と最小値の差を検出する。この最大値と最小値の差が設定値を超えるものであると、振動燃焼を発生していると判定する。風圧P3と風圧P2の差は設定値を超えるものではない場合は、この段階では振動燃焼が発生しているとの判定は行わない。その後、時刻T4で風圧P4の検出を行うと、風圧P2から風圧P4の3点から最大値と最小値を算出する。最大値は風圧P4、最小値は風圧P2を抜き出すと、最大値と最小値の差を算出する。ここで風圧P4と風圧P2の差が設定値を超えていた場合、運転制御装置7は振動燃焼が発生していると判定する。
【0028】
運転制御装置7では、振動燃焼が発生しているとの判定を行った場合には、振動燃焼を解消するための操作を行う。振動燃焼が発生した場合には燃焼を一旦停止し、再起動すると多くの場合で振動燃焼は治まることになる。また振動燃焼の発生要因として、燃焼用空気の噴射量が大きくなって燃焼面から火炎がリフトし、燃焼開始点がずれることで発生することがあるため、燃焼量を小さくすることも振動燃焼の修復に有効である。そのため振動燃焼が発生した場合、運転制御装置7は燃料供給量と燃焼用空気供給量を削減することによる燃焼量の減少や、燃料供給を停止して燃焼を停止させ、その後に燃焼の再起動を行うことによって振動燃焼を解消する。
【0029】
このようにすることで、燃焼量を変更している時点でも振動燃焼の発生を検出することができ、振動燃焼に対する対応を行うことができる。燃焼量の変更を終了してから振動燃焼の判定を行う場合に比べてより早い段階で振動燃焼に対する対応を行うことができるので、振動燃焼が行われる時間を短くすることができる。
【0030】
前記実施例では、燃焼量を増加している状態での振動燃焼を検出するものであったが、燃焼量を減少している状態でも振動燃焼の検出は行える。燃焼量を減少している状態では、燃焼用空気供給量の減少と燃焼室内での炉圧低下により、送風経路圧力検出装置3で検出する風圧値は減少傾向となる。この場合も振動燃焼が発生すると、本来なら減少し続けていく風圧値が途中で逆行して増加する値が検出されると、振動燃焼の発生が疑われることになる。この場合も、検出値の異常によって振動燃焼を誤検出することを防止するためには、最初に逆行する値が検出された風圧値は除いてそれ以降の風圧を記録しておき、記録した風圧値の最大値と最小値の差に基づいて振動燃焼の発生を判定することで、振動燃焼を確実かつ早期に検出することができる。
【0031】
図4は他の実施例での振動燃焼時における送風径路圧力検出状況説明図である。
図3の実施例との違いは、燃焼量変更方向とは逆行する風圧の変化が検出された風圧値の次以降に検出される風圧値データから最大値及び最小値の除いた残りデータでの最大値と最小値を算出するようにしておき、算出した風圧値の最大値と最小値の差が設定値を超えた場合、振動燃焼が発生しているとの判定を行うものとしている。
【0032】
図4でも、時刻T1での風圧P1が時刻T0での風圧P0より低くなっていることを検出すると、振動燃焼が発生していることが考えられるため、振動燃焼の確認を行う。ただし、ここで検出した風圧P1の値が間違えていたことによって風圧P1の値が風圧P0より低くなる場合があり、その場合に風圧P1の値が大幅に小さな値となっていれば、次の風圧P2の値が高くなくても風圧P1と風圧P2の差は非常に大きな値となり、この差によって振動燃焼が発生しているとの判定が行われることになる。そのため、風圧P1の値は振動燃焼の判定には利用せず、次の風圧P2以降の値に基づいて判定する。
【0033】
時刻T3で風圧P3を検出すると、風圧P2と風圧P3の中から最大値と最小値を取り出す。最大値と最小値を算出する風圧値は、移動していく10秒間での最大値と最小値としていた場合、時刻T2から10秒間となると時刻T11までの間での最大値と最小値となるが、振動燃焼の判定は風圧値が2点検出された時点から開始する。時刻T3の時点では検出した風圧値は2つしか存在せず、風圧P3が最大値、風圧P2が最小値となる。
図4の実施例では、ここで検出された最大値と最小値は振動燃焼の判定に使用せず、それ以外の風圧値データでの最大値と最小値から振動燃焼の判定を行うため、この段階では振動燃焼の判定は行わない。その後、時刻T4で風圧P4の検出を行うと、風圧P2から風圧P4の3点から最大値と最小値を算出する。最大値は風圧P4、最小値は風圧P2であるため、風圧P4と風圧P2を除いて残りの風圧値から最大値と最小値を算出する。ここでは残りの値は風圧P3のみであって、最大値と最小値の差はないため、振動燃焼が発生しているとの判定は行わない。
【0034】
時刻T5となり、その時点の風圧P5の検出を行うと、風圧P2から風圧P5の4点から最大値と最小値を算出する。最大値は風圧P4、最小値は風圧P2であるため、風圧P4と風圧P2を除いて残りの風圧値から最大値と最小値を算出する。残りの値の最大値は風圧P5、最小値は風圧P3であり、最大値と最小値の差を算出する。ここで風圧P3と風圧P5の差が設定値を超えていた場合、運転制御装置7は振動燃焼が発生していると判定する。
【0035】
なお、本発明は以上説明した実施例に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 送風路
2 バーナ
3 送風経路圧力検出装置
4 燃料供給制御弁
5 インバータ装置
6 送風機
7 運転制御装置
8 燃料ガス供給配管