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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-16
(45)【発行日】2022-05-24
(54)【発明の名称】抗LAG-3抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20220517BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20220517BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220517BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20220517BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220517BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220517BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20220517BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 41/00 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20220517BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220517BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20220517BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61P31/00
A61P33/00
A61P31/10
A61P31/04
A61P19/02
A61P11/06
A61P25/28
A61P1/04
A61P1/16
A61P17/06
A61P9/00
A61P3/10
A61P25/00
A61P37/02
A61P17/00
A61P37/08
A61P11/00
A61P13/12
A61P7/04
A61P35/00
A61P37/06
A61P1/18
A61P17/02
A61P9/10
A61P19/10
A61P1/02
A61P15/00
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61P19/08
A61P29/00
A61P41/00
A61P25/02
A61P9/10 101
A61P7/02
A61P43/00 105
C12P21/08
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2018511202
(86)(22)【出願日】2016-09-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2016070664
(87)【国際公開番号】W WO2017037203
(87)【国際公開日】2017-03-09
【審査請求日】2019-08-23
(31)【優先権主張番号】1515572.4
(32)【優先日】2015-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1612437.2
(32)【優先日】2016-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516182063
【氏名又は名称】イムテップ エス.アー.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】トリエベル, フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ブリニョン, クリステル
【審査官】鈴木 崇之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0070238(US,A1)
【文献】特表2010-526052(JP,A)
【文献】国際公開第2014/140180(WO,A1)
【文献】Clin Exp. Immunol.,2011年,Vol. 164,pp. 265-274
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 16/00-16/46
C12N 15/00-15/90
C12P 21/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)に結合し、抗原により誘導されるCD4T細胞および/もしくはCD8T細胞の増殖、ならびに/または抗原により誘導されるCD4T細胞および/もしくはCD8T細胞の活性化を阻害する、単離アゴニスト性抗リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)抗体またはその抗原結合性断片であって、
前記単離抗体またはその抗原結合性断片が:
配列番号1、2および3のアミノ酸配列のCDRである抗体VH領域のCDRと、配列番号4、5および6のアミノ酸配列のCDRである抗体VL領域のCDR;
配列番号21、22および23のアミノ酸配列のCDRである抗体VH領域のCDRと、配列番号24、25および26のアミノ酸配列のCDRである抗体VL領域のCDR;
配列番号11、12および13のアミノ酸配列のCDRである抗体VH領域のCDRと、配列番号14、15および16のアミノ酸配列のCDRである抗体VL領域のCDR;または
配列番号31、32および33のアミノ酸配列のCDRである抗体VH領域のCDRと、配列番号34、35および36のアミノ酸配列のCDRである抗体VL領域のCDR
を含む、
単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項2】
(i)前記単離抗体またはその抗原結合性断片が、抗原により誘導されるCD4T細胞および抗原により誘導されるCD8T細胞の増殖を阻害する;ならびに/あるいは
(ii)前記単離抗体またはその抗原結合性断片が、抗原により誘導されるCD8T細胞の増殖を、抗原により誘導されるCD4T細胞の増殖より強く阻害する;ならびに/あるいは
(iii)抗原により誘導されるCD8T細胞の増殖の該阻害が、LAG-3依存性、かつIL-2非依存性である、
請求項1に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項3】
モノクローナル抗体17B4より大きなアフィニティーで、LAG-3に結合する;ならびに/あるいは
LAG-3またはIMP321の、MHCクラスII陽性細胞への結合を阻害する;ならびに/あるいは
LAG-3により誘導される抗原提示細胞(APC)の活性化、またはIMP321により誘導される単球の活性化を阻害する;ならびに/あるいは
LAG-3のMHCクラスII結合性部位と重複する、LAG-3のエピトープに結合する、請求項1または2に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項4】
配列番号7のアミノ酸配列、もしくは配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも0%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号8のアミノ酸配列、もしくは配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも0%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VL領域を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項5】
配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも0%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも0%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VL領域;
配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも0%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体VL領域;
配列番号7のアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも0%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VL領域;あるいは
配列番号7のアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体VL領域、
を含む、請求項4に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項6】
配列番号17のアミノ酸配列、もしくは配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも0%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号18のアミノ酸配列、もしくは配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも0%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VL領域を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項7】
配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも0%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも0%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VL領域;
配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも0%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号18のアミノ酸配列を含む抗体VL領域;
配列番号17のアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも0%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VL領域;あるいは
配列番号17のアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号18のアミノ酸配列を含む抗体VL領域
を含む、請求項6に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項8】
モノクローナル抗体またはその抗原結合性断片、あるいはヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合性断片を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項9】
ヒト化軽鎖フレームワーク領域を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項10】
前記ヒト化軽鎖フレームワーク領域が、配列番号68~83のうちのいずれかのアミノ酸配列を含む、請求項9に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項11】
(i)前記単離抗体またはその抗原結合性断片は、
配列番号68のVLフレームワーク領域1(VL FR1);配列番号69のVL FR2;配列番号70のVL FR3;および配列番号71のVL FR4;
配列番号72のVLフレームワーク領域1(VL FR1);配列番号73のVL FR2;配列番号74のVL FR3;および配列番号75のVL FR4;
配列番号76のVLフレームワーク領域1(VL FR1);配列番号77のVL FR2;配列番号78のVL FR3;および配列番号79のVL FR4;または
配列番号80のVLフレームワーク領域1(VL FR1);配列番号81のVL FR2;配列番号82のVL FR3;および配列番号83のVL FR4
を含む;ならびに/あるいは
(ii)前記単離抗体またはその抗原結合性断片は
列番号68のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号69のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号70のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号71のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号68のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号69のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号70のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号26のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号71のアミノ酸配列を有するVL FR4
列番号72のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号73のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号74のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号75のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号72のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号73のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号74のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号26のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号75のアミノ酸配列を有するVL FR4
列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号26のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4
列番号80のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号81のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号82のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号83のアミノ酸配列を有するVL FR4;あるいは
配列番号80のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号81のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号25から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号82のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号26から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号83のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む;ならびに/あるいは
(iii)前記単離抗体またはその抗原結合性断片は
列番号68のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号69のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号15のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号70のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号71のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号68のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号69のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号35のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号70のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号36のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号71のアミノ酸配列を有するVL FR4
列番号72のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号73のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号15のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号74のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号75のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号72のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号73のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号35のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号74のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号36のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号75のアミノ酸配列を有するVL FR4
列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号15のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号35のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号36のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4
列番号80のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号81のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号15のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号82のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号83のアミノ酸配列を有するVL FR4;あるいは
配列番号80のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号81のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号35のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号82のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号36のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号83のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、
請求項9または10に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項12】
ヒト化重鎖フレームワーク領域を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項13】
前記ヒト化重鎖フレームワーク領域が、配列番号52~67のうちのいずれかの
アミノ酸配列を含む、請求項12に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項14】
(i)前記単離抗体またはその抗原結合性断片が、
配列番号52のVHフレームワーク領域1(VH FR1);配列番号53のVH FR2;配列番号54のVH FR3;および配列番号55のVH FR4;
配列番号56のVHフレームワーク領域1(VH FR1);配列番号57のVH FR2;配列番号58のVH FR3;および配列番号59のVH FR4;
配列番号60のVHフレームワーク領域1(VH FR1);配列番号61のVH FR2;配列番号62のVH FR3;および配列番号63のVH FR4;または
配列番号64のVHフレームワーク領域1(VH FR1);配列番号65のVH FR2;配列番号66のVH FR3;および配列番号67のVH FR4
を含む;ならびに/あるいは
(ii)前記単離抗体またはその抗原結合性断片が
列番号52のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号53のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR3;ならびに配列番号55のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号52のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号53のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号23のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号55のアミノ酸配列を有するVH FR4
列番号56のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号57のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号58のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号59のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号56のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号57のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号58のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号23のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号59のアミノ酸配列を有するVH FR4
列番号60のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号61のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号62のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号63のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号60のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号61のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号62のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号23のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号63のアミノ酸配列を有するVH FR4
列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4;あるいは
配列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号23のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む;ならびに/あるいは
(iii)前記単離抗体またはその抗原結合性断片は
列番号52のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号53のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号55のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号52のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号31のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号53のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号33のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号55のアミノ酸配列を有するVH FR4

列番号56のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号57のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号58のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号13のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号59のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号56のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号31のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号57のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号58のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号33のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号59のアミノ酸配列を有するVH FR4
列番号60のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号61のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号62のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号13のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号63のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号60のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号31のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号61のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号62のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号33のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号63のアミノ酸配列を有するVH FR4
列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号13のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4;あるいは
配列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号31のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号33のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、
請求項12または13に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項15】
列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR3;ならびに配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4を含む抗体VH領域と;配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4を含む抗体VL領域;あるいは
配列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号23のアミノ酸配列を有するVH CDR3;ならびに配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4を含む抗体VH領域と;配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号26のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4を含む抗体VL領域
を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項16】
キメラ抗体分子、またはその抗原結合性断片である、請求項1から15のいずれか一項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか一項に記載の抗体の可変領域アミノ酸配列、およびヒト定常領域アミノ酸配列を含む;ならびに/あるいは
補体依存性細胞傷害性(CDC)および抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)を欠く;ならびに/あるいは
ヒトLAG-3タンパク質(またはヒトLAG-3Igタンパク質)に、100pM以下の、90pM以下の、80pM以下の、70pM以下の、60pM以下の、50pM以下の、40pM以下の、30pM以下の、または25pM以下の解離定数(K)で結合する;ならびに/あるいは
ヒトLAG-3タンパク質の、第1のN末端D1ドメインの、30アミノ酸のエクストラループ配列(配列番号40)に結合しない、
請求項16に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項18】
前記解離定数(K)がBiacore解析により決定される、請求項17に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項19】
(i)
配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4アミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5アミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6アミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4を含む抗体VL領域;ならびに
配列番号52のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1アミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号53のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2アミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3アミノ酸配列を有するVH CDR3;ならびに配列番号55のアミノ酸配列を有するVH FR4を含む抗体VH領域
を含むか、あるいは、
(ii)
配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号26のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4を含む抗体VL領域;ならびに
配列番号52のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号53のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号23のアミノ酸配列を有するVH CDR3;ならびに配列番号55のアミノ酸配列を有するVH FR4を含む抗体VH領域
を含む、請求項1から4、8、10、11(i)、11(ii)、13、14(i)および16から18のいずれか一項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項20】
1つまたは複数の可変領域フレームワークのグリコシル化部位の消失を結果としてもたらす、この部位におけるグリコシル化を消失させる1つまたは複数のアミノ酸置換を含む、請求項19に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項21】
(i)
配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4アミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5アミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6アミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4を含む抗体VL領域;ならびに
VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3であって、該VH CDR1は、配列番号1アミノ酸配列を有し、該VH CDR2は、配列番号2アミノ酸配列を有し、該VH CDR3は、配列番号3アミノ酸配列を有する、VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3、ならびに配列番号52~67のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むヒト化重鎖フレームワーク領域を含む抗体VH領域を含むか、あるいは、
(ii)
配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号26のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4を含む抗体VL領域;ならびに
VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3であって、該VH CDR1は、配列番号21のアミノ酸配列を有し、該VH CDR2は、配列番号22のアミノ酸配列を有し、該VH CDR3は、配列番号23のアミノ酸配列を有する、VH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3、ならびに配列番号52~67のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むヒト化重鎖フレームワーク領域を含む抗体VH領域
を含む、請求項1から4、8、10、11(i)、11(ii)、13、14(i)および16から18のいずれか一項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
【請求項22】
核酸であって、
(i)請求項1から21のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合性断片をコードするヌクレオチド配列
(ii)配列番号9のヌクレオチド配列と、配列番号10のヌクレオチド配列;
(iii)配列番号19のヌクレオチド配列と配列番号20ヌクレオチド配列
(iv)配列番号9のヌクレオチド配列と少なくとも80%同一なヌクレオチド配列と配列番号10のヌクレオチド配列と少なくとも80%同一なヌクレオチド配列であって、前記核酸は、
(a)配列番号1、2および3のアミノ酸配列のCDRと、配列番号4、5および6のアミノ酸配列のCDR、または、
(b)配列番号21、22および23のアミノ酸配列のCDRと、配列番号24、25および26のアミノ酸配列のCDRを含む、ヌクレオチド配列;あるいは、
(v)配列番号19のヌクレオチド配列と少なくとも80%同一なヌクレオチド配列と、配列番号20のヌクレオチド配列と少なくとも80%同一なヌクレオチド配列であって、前記核酸は、
(a)配列番号11、12および13のアミノ酸配列のCDRと、配列番号14、15および16のアミノ酸配列のCDR、または、
(b)配列番号31、32および33のアミノ酸配列のCDRと、配列番号34、35および36のアミノ酸配列のCDRを含む、ヌクレオチド配列
を含む核酸。
【請求項23】
請求項22に記載の核酸を含む組換えベクター。
【請求項24】
請求項22に記載の核酸、または請求項23に記載の組換えベクターを含む組換え細胞。
【請求項25】
請求項1から21のいずれか一項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片、および薬学的に許容されるキャリア、賦形剤、または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項26】
医薬としての使用のための、請求項1から21のいずれか一項に記載の単離抗体もしくはその抗原結合性断片を含む組成物、または請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
T細胞媒介性免疫障害の処置における使用のための、請求項1から21のいずれか一項
に記載の単離抗体もしくはその抗原結合性断片を含む組成物、または請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項28】
T細胞媒介性免疫障害を処置するための医薬の製造における、請求項1から21のいずれか一項に記載の単離抗体もしくはその抗原結合性断片、または請求項25に記載の医薬組成物の使用。
【請求項29】
請求項27に記載の使用のための単離抗体もしくはその抗原結合性断片を含む組成物であって、
前記T細媒介在性免疫障害が、炎症性疾患または自己免疫障害である;あるいは
前記T細胞媒介性免疫障害が、関節炎、関節リウマチ、喘息、COPD、骨盤炎症性疾患、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、ペーロニー病、セリアック病、胆嚢疾患、毛巣病、腹膜炎、乾癬、血管炎、手術に伴う癒着、脳卒中、I型糖尿病、ライム病、髄膜脳炎、自己免疫性ブドウ膜炎;多発性硬化症、ループス(全身性エリテマトーデスなど)、およびギラン-バレー症候群など、中枢および末梢神経系の免疫媒介性炎症性障害;アトピー性皮膚炎、自己免疫性肝炎、線維化肺胞炎、グレーブス病、IgA腎症、特発性血小板減少性紫斑病、メニエール病、天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変、サルコイドーシス、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、他の自己免疫障害、膵炎、外傷(手術による外傷)、移植片対宿主病、移植片拒絶;心筋梗塞およびアテローム性動脈硬化などの虚血性疾患を含む心疾患;血管内凝固、骨吸収、骨粗鬆症、骨関節炎、歯周炎、ならびに低塩酸症(hypochlorhydia)、または母児間免疫寛容の欠如と関連する不妊症からなる群から選択される、組成物。
【請求項30】
請求項28に記載の使用であって、
前記T細媒介在性免疫障害が、炎症性疾患または自己免疫障害である;あるいは
前記T細胞媒介性免疫障害が、関節炎、関節リウマチ、喘息、COPD、骨盤炎症性疾患、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、ペーロニー病、セリアック病、胆嚢疾患、毛巣病、腹膜炎、乾癬、血管炎、手術に伴う癒着、脳卒中、I型糖尿病、ライム病、髄膜脳炎、自己免疫性ブドウ膜炎;多発性硬化症、ループス(全身性エリテマトーデスなど)、およびギラン-バレー症候群など、中枢および末梢神経系の免疫媒介性炎症性障害;アトピー性皮膚炎、自己免疫性肝炎、線維化肺胞炎、グレーブス病、IgA腎症、特発性血小板減少性紫斑病、メニエール病、天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変、サルコイドーシス、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、他の自己免疫障害、膵炎、外傷(手術による外傷)、移植片対宿主病、移植片拒絶;心筋梗塞およびアテローム性動脈硬化などの虚血性疾患を含む心疾患;血管内凝固、骨吸収、骨粗鬆症、骨関節炎、歯周炎、ならびに低塩酸症(hypochlorhydia)、または母児間免疫寛容の欠如と関連する不妊症からなる群から選択される、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)に結合する抗体またはその抗原結合性断片、とりわけ、LAG-3のアゴニストである抗体またはその抗原結合性断片、特に、CD4および/またはCD8 T細胞の増殖および/または活性化と関連する状態、特に、炎症性障害および自己免疫障害を処置するための医薬としての抗体または断片の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)は、4つの細胞外Igスーパーファミリードメインを有する、CD4相同体のI型膜タンパク質である。CD4と同様に、LAG-3は、T細胞の表面においてオリゴマー化し、抗原提示細胞(APC)上のMHCクラスII分子に結合するが、CD4より著明に大きなアフィニティーで結合する。LAG-3は、活性化CD4陽性およびCD8陽性Tリンパ球上で発現し、そこで、細胞表面のCD3-TCR複合体と会合し、シグナル伝達を負に調節する。結果として、LAG-3は、T細胞の増殖、機能、およびホメオスタシスを負に調節する。特異的TCRによる、MHCクラスII-ペプチド複合体の認識が生じると、細胞内シグナルは、T細胞においてはTCRを介して、APCにおいてはMHCクラスII分子を介して伝達される。LAG-3によるT細胞へのシグナル伝達が担う負の調節の役割は、初代CD4ヒトT細胞応答および初代CD8ヒトT細胞応答において作用する(Macon-Lemaitreら、Immunology.、2005年6月、115巻(2号):170~178頁)。
【0003】
LAG-3はまた、LAG-3の可溶性形態(sLAG-3)へと翻訳される、代替的なスプライスバリアントもコードする。可溶性分子としては、LAG-3は、MHCクラスIIによるシグナル伝達を介して、抗原提示細胞(APC)を活性化させ、in vivoにおける、抗原特異的T細胞応答の増大をもたらす(Triebel、Trends Immunol.、2003年、24巻:619~622頁)。
【0004】
ヒトおよびマウスのLAG-3タンパク質のアミノ酸配列は、Huardら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA、11巻:5744~5749頁、1997年)の図1に提示されている。ヒトLAG-3タンパク質の配列を、下の図1に再掲する(配列番号27)。ヒトLAG-3の、4つの細胞外Igスーパーファミリードメイン(D1、D2、D3、およびD4)のアミノ酸配列は、アミノ酸残基:1~149(D1)(配列番号28);150~239(D2)(配列番号29);240~330(D3)(配列番号39);および331~412(D4)(配列番号51)にある。
【0005】
Baixerasら(J. Exp. Med.、1992年、176巻:327~337頁)は、ヒトLAG-3タンパク質に対するマウスモノクローナル抗体(アイソタイプIgG1)である、17B4の作製について記載している。この抗体は、ヒトLAG-3の第1のN末端D1ドメインの、30アミノ酸のエクストラループを認識する。17B4は、LAG-3/MHCクラス間の相互作用を阻害し、LAG-3シグナル伝達のアンタゴニストとして、T細胞の増殖を増大させる(Huardら、Eur J Immunol.、1996年、26巻:1180~6頁)。17B4 mAbは、副次的架橋試薬の非存在下では、T細胞への、細胞内の遊離カルシウムの増大を誘導することが可能でないことにより決定されされる通り、アゴニスト活性を有さない(Hannierら、J Immunol.、1998年、161巻:4058~65頁)。
【0006】
CD8陽性T細胞およびCD4陽性T細胞の活性化および/またはエフェクター機能をモジュレートすることが可能な薬剤が、非常に望ましい。特に、多くの自己免疫障害は、自己反応性T細胞および自己抗体を有することが公知である。したがって、病原体に対して防御する免疫系の能力を損なわずに、自己反応性リンパ球を阻害するかまたは消失させることが可能な薬剤が必要とされている。
【0007】
Poirierら(Clinical and Experimental Immunology、2011年、164巻:265~274頁)は、細胞毒性LAG-3キメラ抗体(キメラA9H12)の評価について記載している。in vivoにおいて、抗体は、リンパ節内のLAG-3活性化T細胞を枯渇させ、ヒヒにおけるツベルクリン誘導性遅延型過敏症(DTH)モデルの皮膚炎症の低減において、有効性を示した。活性化T細胞を特異的に枯渇させる抗体は、自己免疫障害を防止および/または処置するための、有望な治療戦略となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Macon-Lemaitreら、Immunology.、2005年6月、115巻(2号):170~178頁
【文献】Triebel、Trends Immunol.、2003年、24巻:619~622
【文献】Huardら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、11巻:5744~5749頁、1997年
【文献】Baixerasら、J. Exp. Med.、1992年、176巻:327~337頁
【文献】Huardら、Eur J Immunol.、1996年、26巻:1180~6頁
【文献】Hannierら、J Immunol.、1998年、161巻:4058~65頁
【文献】Poirierら(Clinical and Experimental Immunology、2011年、164巻:265~274頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
代替的戦略として、本出願者は、LAG-3アゴニストが、T細胞を枯渇させることなく、T細胞の増殖および/または機能を負に調節し、このようなアゴニストが、炎症性障害または自己免疫障害を処置するのにもまた使用されうることを認識している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願者には、抗LAG-3アゴニスト性モノクローナル抗体を作製することができた。これらの抗体は、抗原により誘導されるCD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞の増殖を阻害する。このような抗体およびそれらの抗原結合性断片は、炎症性障害および自己免疫障害を含む免疫障害、特に、T細胞媒介性免疫障害を処置するために使用することができる。
【0011】
本発明に従い、アゴニスト性の抗LAG-3抗体またはその抗原結合性断片が提供される。特に、抗体は、アゴニスト性の抗LAG-3モノクローナル抗体またはその抗原結合性断片である。
【0012】
本明細書で使用される「LAG-3」という用語は、リンパ球活性化遺伝子3を指す。「LAG-3」という用語は、バリアント、アイソフォーム、相同体、オーソログ、およびパラログを含む。例えば、ある特定の場合には、ヒトLAG-3タンパク質に特異的な抗体は、ヒト以外の種に由来するLAG-3タンパク質と交差反応しうる。他の実施形態では、ヒトLAG-3タンパク質に特異的な抗体は、ヒトLAG-3タンパク質に完全に特異的であることが可能であり、種についての交差反応性または他の種類の交差反応性を呈しない場合も、ある特定の他の種に由来するLAG-3とは交差反応するが、他の全ての種に由来するLAG-3とは交差反応しない場合もある(例えば、サルLAG-3とは交差反応するが、マウスLAG-3とは交差反応しない)。「ヒトLAG-3」という用語は、Genbank受託番号:NP 002277(配列番号38)を有する、ヒトLAG-3の完全アミノ酸配列、または図1(配列番号27)に与えられている、ヒトLAG-3タンパク質のアミノ酸配列などのヒトLAG-3配列を指す。「マウスLAG-3」という用語は、Genbank受託番号:NP_032505を有する、マウスLAG-3の完全アミノ酸配列などのマウスLAG-3配列を指す。当技術分野では、LAG-3はまた、例えば、CD223としても公知である。ヒトLAG-3配列は、例えば、保存された変異または保存されていない領域内の変異を有することにより、Genbank受託番号:NP_002277のヒトLAG-3と異なりうるが、Genbank受託番号:NP_002277のヒトLAG-3と、実質的に同じ生物学的機能を有する。例えば、ヒトLAG-3の生物学的機能は、本開示の抗体が特異的に結合する、LAG-3の細胞外ドメイン内のエピトープを有すること、またはヒトLAG-3の生物学的機能は、MHCクラスII分子に結合することである。
【0013】
「サルLAG-3」という用語は、カニクイザルLAG-3およびアカゲザルLAG-3を含むがこれらに限定されない、旧世界ザルおよび新世界ザルで発現しているLAG-3タンパク質を包含することが意図される。サルLAG-3の代表的なアミノ酸配列は、Genbank受託番号:XM_001108923としてもまた寄託されている、アカゲザルLAG-3アミノ酸配列である。サルLAG-3の別の代表的なアミノ酸配列は、US2011/0150892A1において記載されている、クローンpa23-5の、代替的なアカゲザル配列である。この代替的なアカゲザル配列は、Genbank寄託配列と比較して、419位において、単一のアミノ酸差違を呈する。
【0014】
特定のヒトLAG-3配列は一般に、アミノ酸配列が、Genbank受託番号:NP_002277のヒトLAG-3と、少なくとも90%同一であり、他の種の(例えば、マウスの)LAG-3アミノ酸配列と比較した場合に、アミノ酸配列を、ヒトとして同定するアミノ酸残基を含有する。ある特定の場合には、ヒトLAG-3は、アミノ酸配列が、Genbank受託番号:NP_002277のLAG-3と、少なくとも95%、なおまたは少なくとも96%、97%、98%、もしくは99%同一でありうる。ある特定の実施形態では、ヒトLAG-3配列は、Genbank受託番号:NP_002277のLAG-3配列からの、10アミノ酸以下の差違を示す。ある特定の実施形態では、ヒトLAG-3は、Genbank受託番号:NP_002277のLAG-3配列からの、5以下、なおまたは4、3、2、もしくは1アミノ酸以下の差違を示しうる。同一性パーセントは、本明細書で記載される通りに決定することができる。
【0015】
一部の実施形態によれば、本発明のアゴニスト性の抗LAG-3抗体またはその抗原結合性断片は、抗原により誘導されるCD4および/もしくはCD8 T細胞の増殖、または抗原により誘導されるCD4および/もしくはCD8 T細胞の活性化を阻害する。
【0016】
本発明のアゴニスト性の抗LAG-3抗体またはその抗原結合性断片は、単離された、アゴニスト性の抗LAG-3抗体またはその抗原結合性断片でありうる。
【0017】
本明細書では、「アゴニスト性」という用語を、「アゴニスト」という用語と互換的に使用する。
【0018】
本発明に従い、LAG-3に結合し、抗原により誘導されるCD4および/もしくはCD8 T細胞の増殖、または抗原により誘導されるCD4および/もしくはCD8 T細胞の活性化を阻害する、単離抗体またはその抗原結合性断片もまた提供される。
【0019】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、抗原により誘導されるCD4T細胞の増殖、および/または抗原により誘導されるCD8T細胞の増殖を阻害する。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、抗原により誘導されるCD4T細胞の増殖、および抗原により誘導されるCD8T細胞の増殖を阻害する。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片は、抗原により誘導されるCD8T細胞の増殖を、抗原により誘導されるCD4T細胞の増殖より強く阻害する。
【0020】
図21は、枯渇型抗LAG-3抗体と、アンタゴニストの抗LAG-3抗体と、本発明の抗体(すなわち、アゴニスト性の抗LAG-3抗体であり、LAG-3に結合し、抗原により誘導されるCD4および/もしくはCD8 T細胞の増殖、または抗原により誘導されるCD4および/もしくはCD8 T細胞の活性化を阻害する抗体)との差違を例示する。
【0021】
枯渇型抗LAG-3抗体は、細胞の表面に発現したLAG-3に結合することにより、活性化T細胞の枯渇を引き起こす。枯渇は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)により、または補体依存性細胞傷害性(CDC)により生じる場合がある。ADCCでは、枯渇型抗体のFc領域は、ナチュラルキラーおよびマクロファージなど、免疫エフェクター細胞の表面上のFc受容体(FcγR)に結合することにより、標的とした細胞の溶解をもたらす。CDCでは、枯渇型抗体のFc領域は、補体のC1q構成成分に結合し、細胞表面において、補体カスケードを誘発することにより、標的とした細胞を死滅させる。したがって、枯渇型抗LAG-3抗体は、T細胞媒介性免疫応答を阻害する。枯渇型抗LAG-3抗体の効果は、長時間持続性であり、活性化T細胞の破壊を引き起こすため、不可逆性であることが認識される。このような抗体は、例えば、炎症性障害および自己免疫障害の処置および移植片拒絶の防止に有用である。
【0022】
アンタゴニストの抗LAG-3抗体は、活性化T細胞の表面上のLAG-3に結合し、LAG-3の、抗原提示細胞(APC)の表面上のMHCクラスII分子との相互作用を防止する。これは、APCが、活性化T細胞上のLAG-3に結合する場合に生じる、シグナル伝達の負の調節を遮断する。結果として、アンタゴニストの抗LAG-3抗体は、正常ではLAG-3により媒介される、T細胞の増殖、機能、およびホメオスタシスの負の調節を防止する。このような抗体は、例えば、がんおよび感染性疾患の処置に有用である。
【0023】
本発明の抗体は、活性化T細胞の表面上のLAG-3に結合し、LAG-3に対するアゴニズムを介して、シグナル伝達を負に調節することにより、T細胞の増殖および/または活性化に対する負の調節を引き起こす。したがって、本発明の抗体は、特に、抗原により誘導されるCD4および/もしくはCD8 T細胞の増殖、ならびに/または抗原により誘導されるCD4および/もしくはCD8 T細胞の活性化を阻害することにより、T細胞媒介性免疫応答を阻害する。このような抗体の効果は、可逆性であり、活性化T細胞の破壊を引き起こさないので、枯渇型抗LAG-3抗体の効果ほど長時間持続性ではない場合がある。本発明の抗体が有効である時間の長さは、抗体の血漿半減期に依存することが認識される。
【0024】
抗原により誘導されるCD4および/またはCD8 T細胞の増殖の阻害は、当業者に公知の、任意の適切な方法により決定することができる。適切な方法の例は、同じアイソタイプの陰性対照抗体の存在下における対応する増殖と比較して、抗体または断片の存在下で抗原ペプチドにより誘導される、CD4および/またはCD8 T細胞の増殖を測定することによる。CD4およびCD8 T細胞は、例えば、健常ドナーから得られた末梢血単核細胞(PBMC)の試料中に存在しうる。細胞の増殖は、CMV pp35の配列を対象とするペプチドプールなど、任意の適切な抗原ペプチドにより誘導することができる。細胞の増殖は、例えば、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)など、蛍光細胞染色色素により、細胞を標識することにより測定することができる。抗原により誘導されるCD4および/またはCD8 T細胞の増殖の阻害を決定するための方法の例については、下の実施例10においてより詳細に記載する。
【0025】
抗原により誘導されるCD4および/またはCD8 T細胞の増殖の阻害百分率は、下の実施例10でより詳細に記載される通り、各分裂ピーク(FACSにより評価される)下におけるCD4および/またはCD8 T細胞の百分率に分裂数を乗じた合計として計算される、増殖指数(PI)の阻害百分率として決定することができる。
【0026】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、抗原により誘導されるCD4 T細胞の増殖を、抗体または断片の非存在下で抗原により誘導されるCD4 T細胞の増殖と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%阻害する。
【0027】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、抗原により誘導されるCD8T細胞の増殖を、抗体または断片の非存在下で抗原により誘導されるCD8T細胞の増殖と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%阻害する。
【0028】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、抗原により誘導されるCD4 T細胞の増殖、および抗原により誘導されるCD8 T細胞の増殖の各々を、抗体または断片の非存在下で抗原により誘導されるCD4 T細胞の増殖、および抗原により誘導されるCD8T細胞の増殖のそれぞれと比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%阻害する。
【0029】
一実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、抗原により誘導されるCD4 T細胞の増殖を、抗体または断片の非存在下で抗原により誘導されるCD4 T細胞の増殖と比較して、少なくとも20%阻害し、抗原により誘導されるCD8 T細胞の増殖を、抗体または断片の非存在下で抗原により誘導されるCD8 T細胞の増殖と比較して、少なくとも30%阻害する。
【0030】
本発明の抗体またはその断片による、抗原により誘導されるCD4+および/またはCD8+ T細胞の増殖の阻害は、同じアイソタイプの陰性対照抗体またはその断片の存在下で抗原により誘導されるCD4+および/またはCD8+ T細胞の増殖と比較することができる。
【0031】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、抗原により誘導されるCD8T細胞の増殖を、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%、抗体または断片が抗原により誘導されるCD4 T細胞の増殖を阻害するより強く阻害する。
【0032】
一部の実施形態によれば、抗原により誘導されるCD8T細胞の増殖の阻害は、LAG-3依存性、かつIL-2非依存性である。
【0033】
一部の実施形態によれば、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、抗原により誘導されるCD4および/またはCD8 T細胞の活性化を阻害する。ある特定の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、抗原により誘導されるCD4および/またはCD8 T細胞の増殖、ならびに抗原により誘導されるCD4および/またはCD8 T細胞の活性化を阻害する。
【0034】
特に、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、LAG-3に結合し、抗原により誘導されるCD4および/またはCD8 T細胞の活性化を阻害しうる。ある特定の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、LAG-3に結合し、抗原により誘導されるCD4 T細胞の活性化、および抗原により誘導されるCD8T細胞の活性化を阻害する。
【0035】
CD4および/またはCD8 T細胞の活性化の阻害は、当業者に公知の、任意の適切な方法により決定することができる。適切な方法の例は、抗体または断片の、CD4および/もしくはCD8 T細胞活性化マーカーの発現、またはT細胞活性化マーカーの分泌に対する効果を測定することによる。例えば、CD8T細胞の活性化は、同じアイソタイプの陰性対照抗体の存在下における対応するCD25の発現と比較して、抗体または断片の存在下で抗原ペプチドにより誘導される、CD8T細胞上の活性化マーカーとしてのCD25の発現を測定することにより測定することができる。代替的に、T細胞の活性化は、同じアイソタイプの陰性対照抗体の存在下における対応する分泌と比較して、抗体または断片の存在下で抗原ペプチドにより誘導される、T細胞の細胞上清中のIFN-γの分泌を測定することにより測定することができる。T細胞は、例えば、健常ドナーから得られたPBMCの試料中に存在しうる。細胞の活性化は、CMV pp35の配列を対象とするペプチドプールなど、任意の適切な抗原ペプチドにより誘導することができる。T細胞活性化マーカーの分泌を測定することにより、抗原により誘導されるT細胞の活性化の阻害を決定するための方法の例については、下の実施例15においてより詳細に記載する。CD8 T細胞活性化マーカーの発現を測定することにより、抗原により誘導されるCD8 T細胞の活性化の阻害を決定するための方法の例については、下の実施例16においてより詳細に記載する。
【0036】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、抗原により誘導されるCD4および/またはCD8 T細胞の活性化を、抗体または断片の非存在下で抗原により誘導されるCD4および/またはCD8 T細胞の活性化と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%阻害する。
【0037】
本発明の抗体またはその断片による、抗原により誘導されるCD4+および/またはCD8+ T細胞の活性化の阻害は、同じアイソタイプの陰性対照抗体またはその断片の存在下で抗原により誘導されるCD4+および/またはCD8+ T細胞の活性化と比較することができる。
【0038】
一部の実施形態によれば、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、IMP321の、MHCクラスII陽性細胞への結合を阻害する。
【0039】
IMP321(下ではまた、「LAG-3Ig」とも称する)は、組換え可溶性ヒトLAG-3Ig融合タンパク質である。融合タンパク質は、ヒトIgG1 Fcへと融合させたヒトLAG-3の細胞外ドメインをコードするプラスミドをトランスフェクトされたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞内で産生される、200kDaの二量体として得られる。IMP321の配列は、米国特許出願第2011/0008331号の配列番号17に提示されている。
【0040】
IMP321の、MHCクラスII陽性細胞への結合は、例えば、下の実施例8において記載されている通り、IMP321-標識コンジュゲート(例えば、IMP321-Alex 488コンジュゲート)の、Raji細胞(これらは、MHCクラスII陽性B細胞である)への結合を測定することにより決定することができる。
【0041】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、IMP321の、MHCクラスII陽性細胞への結合を、抗体または断片の非存在下における、IMP321の、MHCクラスII陽性細胞への結合と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%阻害する。
【0042】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、IMP321の、MHCクラスII陽性細胞への結合を、抗体または断片の非存在下における、IMP321の、MHCクラスII陽性細胞への結合と比較して、少なくとも30%阻害するが、この場合、抗体または断片とIMP321との濃度比は、0.1:1である。
【0043】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、IMP321の、MHCクラスII陽性細胞への結合を、抗体または断片の非存在下における、IMP321の、MHCクラスII陽性細胞への結合と比較して、少なくとも80%阻害するが、この場合、抗体または断片とIMP321との濃度比は、0.3:1または1:1である。
【0044】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、IMP321により誘導される単球の活性化を阻害する。
【0045】
IMP321は、ヒト単球細胞株THP-1の細胞を活性化させることが可能である。THP-1細胞の活性化は、THP-1細胞による、ケモカインリガンド4(CCL4、マクロファージ炎症性タンパク質1β、MIP-1βとしてもまた公知である)の分泌レベルにより決定することができる。THP-1細胞を有する混合物のインキュベーションの前における、本発明の抗体または断片の、IMP321とのプレインキュベーションを使用して、抗体または断片が、IMP321により誘導される単球の活性化を阻害するのかどうかを決定することができる。IMP321により誘導される単球の活性化の阻害を決定するための方法については、下の実施例9においてより詳細に記載する。
【0046】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、IMP321により誘導される単球の活性化を、抗体または断片の非存在下における、IMP321により誘導される単球の活性化の量と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%阻害する。
【0047】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、IMP321により誘導される単球の活性化を、抗体または断片の非存在下における、IMP321により誘導される単球の活性化の量と比較して、少なくとも70%阻害するが、この場合、抗体または断片とIMP321との濃度比は、1:1である。
【0048】
Huardら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA、11巻:5744~5749頁、1997年)は、LAG-3タンパク質上のMHCクラスII結合性部位の特徴付けについて記載している。MHCクラスIIタンパク質への結合に不可欠な残基の多くが、LAG-3のD1ドメイン内の、大型の30アミノ酸のエクストラループ構造の底部にクラスタリングしている。ヒトLAG-3タンパク質の、D1ドメインの、エクストラループ構造のアミノ酸配列は、GPPAAAPGHPLAPGPHPAAPSSWGPRPRRY(配列番号40)、図1で下線を付した配列である。
【0049】
本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、LAG-3上のMHCクラスII結合性部位と重複する、ヒトLAG-3のエピトープに結合しうる。
【0050】
本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトLAG-3の、第1のN末端D1ドメインの、30アミノ酸のエクストラループと重複するエピトープに結合しうる。
【0051】
他の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトLAG-3タンパク質の、第1のN末端D1ドメインの、30アミノ酸のエクストラループ配列(配列番号40)に結合しない。
【0052】
本発明の抗体は、LAG-3の、MHCクラスII分子への結合を、in vivoにおいて阻害しうる。特に、本発明の抗体は、抗原提示細胞(APC)への、MHCクラスII活性化シグナルをアンタゴナイズしうる。したがって、本発明の抗体は、LAG-3により誘導されるAPCの活性化、例えば、樹状細胞の活性化、例えば、LAG-3により誘導される単球またはマクロファージの活性化を阻害しうる。
【0053】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、LAG-3の、MHCクラスII陽性細胞への結合を、抗体または断片の非存在下におけるLAG-3の、MHCクラスII陽性細胞への結合と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%阻害する。
【0054】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、LAG-3により誘導されるAPCの活性化を、抗体または断片の非存在下におけるLAG-3により誘導されるAPCの活性化の量と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%阻害する。
【0055】
本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号7のアミノ酸配列を含む抗体重鎖可変(VH)領域の、1つ、2つ、もしくは3つの相補性決定領域(CDR)、および/または配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変(VL)領域の、1つ、2つ、もしくは3つのCDRを含み得る。
【0056】
本発明によれば、配列番号7のアミノ酸配列を含む抗体重鎖可変(VH)領域の、1つ、2つ、もしくは3つの相補性決定領域(CDR)、および/または配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変(VL)領域の、1つ、2つ、もしくは3つのCDRを含む、抗LAG-3抗体またはその抗原結合性断片もまた提供される。
【0057】
抗体VH領域のCDRは、配列番号1、2および3のアミノ酸配列のCDRであり得、前記抗体VL領域のCDRは、配列番号4、5および6のアミノ酸配列のCDRであり得る。
【0058】
本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を含むCDRを有する抗体VH領域、ならびに/または配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を含むCDRを有する抗体VL領域を含み得る。
【0059】
配列番号1、2、および3のアミノ酸配列のCDRは、VH領域内に、任意の順序で存在してもよく、配列番号4、5、および6のアミノ酸配列のCDRは、VL領域内に、任意の順序で存在してもよい。しかし、好ましい実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号1のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号2のアミノ酸配列を有するCDR-H2、および配列番号3のアミノ酸配列を有するCDR-H3、ならびに/または配列番号4のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号5のアミノ酸配列を有するCDR-L2、および配列番号6のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む。
【0060】
抗体VH領域のCDRは、配列番号21、22、および23のアミノ酸配列のCDRであることが可能であり、抗体VL領域のCDRは、配列番号24、25、および26のアミノ酸配列のCDRであることが可能である。
【0061】
本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号21、22、および23のアミノ酸配列を含むCDRを有する抗体VH領域、ならびに/または配列番号24、25、および26のアミノ酸配列を含むCDRを有する抗体VL領域を含み得る。
【0062】
配列番号21、22、および23のアミノ酸配列のCDRは、VH領域内に、任意の順序で存在してもよく、配列番号24、25、および26のアミノ酸配列のCDRは、VL領域内に、任意の順序で存在してもよい。しかし、好ましい実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号21のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号22のアミノ酸配列を有するCDR-H2、および配列番号23のアミノ酸配列を有するCDR-H3、ならびに/または配列番号24のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号25のアミノ酸配列を有するCDR-L2、および配列番号26のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む。
【0063】
一部の実施形態では、抗体VH領域のCDRは、配列番号1、2、3、21、22、および23のアミノ酸配列のCDRから選択され、抗体VL領域のCDRは、配列番号4、5、6、24、25、および26のアミノ酸配列のCDRから選択される。
【0064】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含む抗体VH領域を含み、VH CDR1は、配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有し、かつ/またはVH CDR2は、配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有し、かつ/またはVH CDR3は、配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0065】
一部の実施形態では、VH CDR1は、配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有し、VH CDR2は、配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有するか;
VH CDR1は、配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有し、VH CDR3は、配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有するか;
VH CDR2は、配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有し、VH CDR3は、配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有するか;または
VH CDR1は、配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有し、VH CDR2は、配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有し、VH CDR3は、配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0066】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含む抗体VL領域を含み、VL CDR1は、配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有し、かつ/またはVL CDR2は、配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有し、かつ/またはVL CDR3は、配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0067】
一部の実施形態では、VL CDR1は、配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有し、VL CDR2は、配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有するか;
VL CDR1は、配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有し、VL CDR3は、配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有するか;
VL CDR2は、配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有し、VL CDR3は、配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有するか;または
VL CDR1は、配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有し、VL CDR2は、配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有し、VL CDR3は、配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0068】
特定の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2、ならびに配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む抗体VH領域;ならびに配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2、ならびに配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む抗体VL領域を含む。
【0069】
本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号7のアミノ酸配列と、少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および/または配列番号8のアミノ酸配列と、少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VL領域を含みうる。
【0070】
好ましい実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号7のアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および/または配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体VL領域を含む。
【0071】
本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、本明細書の実施例1、2、および3で記載される、マウス抗LAG-3モノクローナル抗体13E2のVH領域および/またはVL領域のアミノ酸配列(13E2 VHのアミノ酸配列:配列番号7;13E2 VLのアミノ酸配列:配列番号8)と、少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるか、または同一であるアミノ酸配列を含む抗体VH領域および/または抗体VL領域を含みうる。
【0072】
本発明に従い、LAG-3への結合について、配列番号7のアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体VL領域を含む抗体と競合する、抗体またはその抗原結合性断片もまた提供される。
【0073】
さらに、本発明に従い、LAG-3への結合について、マウス抗LAG-3モノクローナル抗体13E2と競合する、抗体またはその抗原結合性断片も提供される。
【0074】
本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号17のアミノ酸配列を含む抗体重鎖可変(VH)領域の、1つ、2つ、もしくは3つの相補性決定領域(CDR)、および/または配列番号18のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変(VL)領域の、1つ、2つ、もしくは3つのCDRを含み得る。
【0075】
本発明によれば、配列番号17のアミノ酸配列を含む抗体重鎖可変(VH)領域の、1つ、2つ、もしくは3つの相補性決定領域(CDR)、および/または配列番号18のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変(VL)領域の、1つ、2つ、もしくは3つのCDRを含む、抗LAG-3抗体またはその抗原結合性断片もまた提供される。
【0076】
抗体VH領域のCDRは、配列番号11、12および13のアミノ酸配列のCDRであり得、抗体VL領域のCDRは、配列番号14、15および16のアミノ酸配列のCDRであり得る。
【0077】
本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号11、12、および13のアミノ酸配列を含むCDRを有する抗体VH領域、ならびに/または配列番号14、15、および16のアミノ酸配列を含むCDRを有する抗体VL領域を含み得る。
【0078】
配列番号11、12、および13のアミノ酸配列のCDRは、VH領域内に、任意の順序で存在してもよく、配列番号14、15、および16のアミノ酸配列のCDRは、VL領域内に、任意の順序で存在してもよい。しかし、好ましい実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号11のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号12のアミノ酸配列を有するCDR-H2、および配列番号13のアミノ酸配列を有するCDR-H3、ならびに/または配列番号14のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号15のアミノ酸配列を有するCDR-L2、および配列番号16のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む。
【0079】
抗体VH領域のCDRは、配列番号31、32、および33のアミノ酸配列のCDRであることが可能であり、抗体VL領域のCDRは、配列番号34、35、および36のアミノ酸配列のCDRあることが可能である。
【0080】
本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号31、32、および33のアミノ酸配列を含むCDRを有する抗体VH領域、ならびに/または配列番号34、35、および36のアミノ酸配列を含むCDRを有する抗体VL領域を含み得る。
【0081】
配列番号31、32、および33のアミノ酸配列のCDRは、VH領域内に、任意の順序で存在してもよく、配列番号34、35、および36のアミノ酸配列のCDRは、VL領域内に、任意の順序で存在してもよい。しかし、好ましい実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号31のアミノ酸配列を有するCDR-H1、配列番号32のアミノ酸配列を有するCDR-H2、および配列番号33のアミノ酸配列を有するCDR-H3、ならびに/または配列番号34のアミノ酸配列を有するCDR-L1、配列番号35のアミノ酸配列を有するCDR-L2、および配列番号36のアミノ酸配列を有するCDR-L3を含む。
【0082】
一部の実施形態では、抗体VH領域のCDRは、配列番号11、12、13、31、32、および33のアミノ酸配列のCDRから選択され、抗体VL領域のCDRは、配列番号14、15、16、34、35、および36のアミノ酸配列のCDRから選択される。
【0083】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含む抗体VH領域を含み、VH CDR1は、配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を有し、かつ/またはVH CDR2は、配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を有し、かつ/またはVH CDR3は、配列番号13および33から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0084】
一部の実施形態では、VH CDR1は、配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を有し、VH CDR2は、配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を有するか;
VH CDR1は、配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を有し、VH CDR3は、配列番号13および33から選択されるアミノ酸配列を有するか;
VH CDR2は、配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を有し、VH CDR3、配列番号13および33から選択されるアミノ酸配列を有するか;または
VH CDR1は、配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を有し、VH CDR2は、配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を有し、VH CDR3は、配列番号13および33から選択されるアミノ酸配列を有する
【0085】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含む抗体VL領域を含み、VL CDR1は、配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を有し、かつ/またはVL CDR2は、配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を有し、かつ/またはVL CDR3は、配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0086】
一部の実施形態では、VL CDR1は、配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を有し、VL CDR2は、配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を有するか;
VL CDR1は、配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を有し、VL CDR3は、配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を有するか;
VL CDR2は、配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を有し、VL CDR3は、配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を有するか;または
VL CDR1は、配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を有し、VL CDR2は、配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を有し、VL CDR3は、配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0087】
特定の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、
前記が、
配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2、配列番号13および33から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む抗体VH領域;ならびに配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2、配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む抗体VL領域を含む。
【0088】
本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号17のアミノ酸配列と、少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および/または配列番号18のアミノ酸配列と、少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VL領域を含みうる。
【0089】
好ましい実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号17のアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および/または配列番号18のアミノ酸配列を含む抗体VL領域を含む。
【0090】
本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、本明細書の実施例4、5、および6で記載される、マウス抗LAG-3モノクローナル抗体34F4のVH領域およびVL領域のアミノ酸配列(34F4 VHのアミノ酸配列:配列番号17;34F4 VLのアミノ酸配列:配列番号18)と、少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるか、または同一であるアミノ酸配列を含む抗体VH領域および抗体VL領域を含みうる。
【0091】
本発明に従い、LAG-3への結合について、配列番号17のアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号18のアミノ酸配列を含む抗体VL領域を含む抗体と競合する、抗体またはその抗原結合性断片もまた提供される。
【0092】
さらに、本発明に従い、LAG-3への結合について、マウス抗LAG-3モノクローナル抗体34F4と競合する、抗体またはその抗原結合性断片も提供される。
【0093】
ある特定の実施形態では、本発明の抗体は、CDR1配列、CDR2配列、およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、ならびにCDR1配列、CDR2配列、およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域を含み、それらは、抗体13E2または34F4の重鎖可変領域および軽鎖可変領域と、1つまたは複数の保存的修飾、例えば、最大で5つの保存的修飾により異なる。当技術分野では、抗原への結合を除去しない、ある特定の保存的配列修飾を施しうることが理解される。例えば、Brummellら(1993年)、Biochem、32巻:1180~8頁;de Wildtら(1997年)、Prot. Eng.、10巻:835~41頁;Komissarovら(1997年)、J. Biol. Chem.、272巻:26864~26870頁;Hallら(1992年)、J. Immunol.、149巻:1605~12頁;KelleyおよびO’Connell(1993年)、Biochem.、32巻:6862~35頁;Adib-Conquyら(1998年)、Int. Immunol.、10巻:341~6頁;ならびにBeersら(2000年)、Clin. Can. Res.、6巻:2835~43頁を参照されたい。
【0094】
本明細書で使用される「保存的配列修飾」という用語は、アミノ酸配列を含有する抗体の結合特徴に著明な影響を及ぼしたりこれを著明に変更したりしないアミノ酸修飾を指す。このような保存的修飾は、アミノ酸の置換、付加、および欠失を含む。修飾は、部位指向性変異誘発およびPCR媒介性変異誘発など、当技術分野で公知の標準的な技法により、本発明の抗体へと導入することができる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基を、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置きかえたアミノ酸置換である。当技術分野では、類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非帯電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ-分枝型側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。したがって、本発明の抗体のCDR領域内の1つまたは複数のアミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーに由来する他のアミノ酸残基で置きかえることができ、変更された抗体は、本明細書で記載される機能アッセイを使用して、保持された機能(すなわち、上で明示した機能)について調べることができる。
【0095】
本発明の抗体は、13E2または34F4のVH配列および/またはVL配列のうちの1つまたは複数を有する抗体を、修飾抗体を操作するための出発材料として使用して調製することができる。抗体は、一方または両方の可変領域(すなわち、VHおよび/またはVL)内、例えば、1つもしくは複数のCDR領域内、および/または1つもしくは複数のフレームワーク領域内の1つまたは複数の残基を修飾することにより操作することができる。加えて、または代替的に、抗体は、例えば、抗体のエフェクター機能を変更するように、定常領域内の残基を修飾することにより操作することもできる。
【0096】
ある特定の実施形態では、CDRグラフティングを使用して、抗体の可変領域を操作することができる。抗体は、主に6つの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)内に位置するアミノ酸残基を介して、標的抗原と相互作用する。この理由で、CDR内のアミノ酸配列は、個別の抗体の間の多様性が、CDRの外部の配列より大きい。CDR配列は、大半の抗体-抗原間相互作用の一因となるため、異なる特性を有する異なる抗体に由来するフレームワーク配列へとグラフトされた、特異的な、自然における抗体に由来するCDR配列を含む発現ベクターを構築することにより、特異的な、自然における抗体の特性を模倣する組換え抗体を発現させることが可能である(例えば、Riechmannら(1998年)、Nature、332巻:323~327頁;Jonesら(1986年)、Nature、321巻:522~525頁;Queenら(1989年)、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、86巻:10029~10033頁;米国特許第5,225,539号;同第5,530,101号;同第5,585,089号;同第5,693,762号;および同第6,180,370号を参照されたい)。
【0097】
本発明に従い、本発明の抗体またはその抗原結合性断片、例えば、配列番号7のアミノ酸配列を含む抗体重鎖可変領域のCDR1、CDR2、およびCDR3を含み、かつ/または配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、およびCDR3(すなわち、13E2のCDR)を含む、モノクローナル抗体またはその抗原結合性断片もまた提供される。このような抗体は、モノクローナル抗体13E2のVH CDR配列およびVL CDR配列を含有する一方で、異なるフレームワーク配列を含有しうる。
【0098】
同様に、本発明に従い、本発明の抗体またはその抗原結合性断片、例えば、配列番号17のアミノ酸配列を含む抗体重鎖可変領域のCDR1、CDR2、およびCDR3を含み、かつ/または配列番号18のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変領域のCDR1、CDR2、およびCDR3(すなわち、34F4のCDR)を含む、モノクローナル抗体またはその抗原結合性断片もまた提供される。このような抗体は、モノクローナル抗体34F4のVH CDR配列およびVL CDR配列を含有する一方で、異なるフレームワーク配列を含有しうる。
【0099】
このようなフレームワーク配列は、生殖細胞系列の抗体遺伝子配列を含む、公表されたDNAデータベースまたは公表された参考文献から得ることができる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖可変領域遺伝子の生殖細胞系列のDNA配列は、ヒト生殖細胞系列の配列データベースである「VBase」(インターネットのwww.mrc-cpe.cam.ac.uk/vbaseで利用可能である)のほか、それらの各々の内容が、参照により本明細書に明示的に組み込まれる、Kabatら(1991年)、前出で引用した;Tomlinsonら(1992年)、「The Repertoire of Human Germline VH Sequences Reveals about Fifty Groups of VH Segments with Different Hypervariable Loops」、J. Mol. Biol.、227巻:776~798頁;およびCoxら(1994年)、「A Directory of Human Germ-line VH Segments Reveals a Strong Bias in their Usage」、Eur. J. Immunol.、24巻:827~836頁においても見出すことができる。別の例として、ヒト重鎖およびヒト軽鎖可変領域遺伝子の生殖細胞系列のDNA配列は、Genbankデータベースにおいて見出すことができる。例えば、HCo7 HuMAbマウスにおいて見出される、以下の重鎖生殖細胞系列の配列は、併記されるGenbank受託番号において入手可能である:1-69(NG_0010109、NT_024637およびBC070333)、3-33(NG_0010109およびNT_024637)、および3-7(NG_0010109およびNT_024637)。別の例として、HCol2 HuMAbマウスにおいて見出される、以下の重鎖生殖細胞系列の配列は、併記されるGenbank受託番号において入手可能である:1-69(NG_0010109、NT_024637およびBC070333)、5-51(NG_0010109およびNT_024637)、4-34(NG_0010109およびNT_024637)、3-30.3(CAJ556644)および3-23(AJ406678)。
【0100】
抗体のタンパク質配列は、当業者に周知の、Gapped BLASTと呼ばれる配列類似性検索法(Altschulら、(1997年)、前出)のうちの1つを使用して、集成されたタンパク質配列データベースに照らして比較する。
【0101】
本発明の抗体における使用に好ましいフレームワーク配列は、13E2抗体または34F4抗体のフレームワーク配列と構造的に類似するフレームワーク配列である。
【0102】
モノクローナル抗体13E2のVHドメインをコードする核酸配列との著明なアライメントを示す配列は、以下の生殖細胞系列遺伝子:IGHV8-801、IGHV8-1101、IGHV8-1201、IGHD2-1201、IGHD1-101、IGHJ101、IGHJ102、IGHJ103を含む。
【0103】
モノクローナル抗体13E2のVLドメインをコードする核酸配列との著明なアライメントを示す配列は、以下の生殖細胞系列遺伝子:IGKV6-1701、IGKV6-2501、IGKV6-2301、IGKJ201、IGKJ203、IGKJ202を含む。
【0104】
モノクローナル抗体34F4のVHドメインをコードする核酸配列との著明なアライメントを示す配列は、以下の生殖細胞系列遺伝子:IGHV8-801、IGHV8-1201、IGHV8-1101、IGHD1-101、IGHD1-201、IGHD2-301、IGHJ201、IGHJ202、IGHJ203を含む。
【0105】
モノクローナル抗体34F4のVLドメインをコードする核酸配列との著明なアライメントを示す配列は、以下の生殖細胞系列遺伝子:IGKV6-1701、IGKV6-2501、IGKV6-2301、IGKJ101、IGKJ102、IGKJ201を含む。
【0106】
本発明の抗体における使用に好ましい重鎖フレームワーク配列は、生殖細胞系列のV遺伝子である、IGHV8-801、IGHV8-1101、またはIGHV8-1201、とりわけ、IGHV8-801によりコードされるフレームワーク配列と構造的に類似するフレームワーク配列である。本発明の抗体における使用に好ましい軽鎖フレームワーク配列は、生殖細胞系列のV遺伝子である、IGKV6-1701、IGKV6-2501、またはIGKV6-2301、とりわけ、IGKV6-1701によりコードされるフレームワーク配列と構造的に類似するフレームワーク配列である。
【0107】
VH CDR1配列、VH CDR2配列、およびVH CDR3配列、ならびにVL CDR1配列、VL CDR2配列、およびVL CDR3配列を、フレームワーク配列が由来する生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子内で見出される配列と同一な配列を有するフレームワーク領域へとグラフトすることもでき、CDR配列を、生殖細胞系列の配列と比較して、1つまたは複数の変異を含有するフレームワーク領域へとグラフトすることもできる。例えば、ある特定の場合には、抗体の抗原結合能力を維持または増強するように、フレームワーク領域内の残基を変異させることが有益であることが見出されている(例えば、米国特許第5,530,101号;同第5,585,089号;同第5,693,762号;および同第6,180,370号を参照されたい)。
【0108】
可変領域修飾の別の種類は、VH CDR1領域、VH CDR2領域、および/もしくはVH CDR3領域、ならびに/またはVL CDR1領域、VL CDR2領域、および/もしくはVL CDR3領域内のアミノ酸残基を変異させて、これにより、目的の抗体の1つまたは複数の結合特性(例えば、アフィニティー)を改善することである。部位指向性変異誘発またはPCR媒介性変異誘発を実施して、変異を導入することができ、本明細書で記載され、実施例で提示される、in vitroアッセイまたはin vivoアッセイにおいて、抗体の目的の結合特性または他の機能的特性に対する効果を評価することができる。保存的修飾(上で論じた)を導入することが好ましい。変異は、アミノ酸の置換、付加、または欠失の場合があるが、置換が好ましい。さらに、CDR領域内の、典型的には1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以下の残基も変更する。一部の実施形態では、合計6つのCDR領域全てのうちの、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ以下の残基を変更する。
【0109】
特定の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、
配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;ならびに配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む抗体VH領域と;配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;ならびに配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む抗体VL領域と
を含むか;または
1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つ以下のアミノ酸残基を、CDR配列内の、アミノ酸置換、付加、もしくは欠失により変更した、これらのバリアント
を含む。
【0110】
特定の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、
配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2、ならびに配列番号13および33から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む抗体VH領域と;配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2、ならびに配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む抗体VL領域と
を含むか;または
1つ、2つ、3つ、4つ、もしくは5つ以下のアミノ酸残基を、CDR配列内の、アミノ酸置換、付加、もしくは欠失により変更した、これらのバリアント
を含む。
【0111】
別の実施形態では、本発明は、(a)配列番号1、または配列番号1と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR1領域;(b)配列番号2、または配列番号2と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR2領域;および(c)配列番号3、または配列番号3と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR3領域を含む重鎖可変領域;ならびに/あるいは(a)配列番号4、または配列番号4と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR1領域;(b)配列番号5、または配列番号5と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR2領域;および(c)配列番号6、または配列番号6と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR3領域を含む軽鎖可変領域を含む、抗LAG-3モノクローナル抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0112】
さらなる実施形態では、本発明は、(a)配列番号11、または配列番号11と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR1領域;(b)配列番号12、または配列番号12と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR2領域;および(c)配列番号13、または配列番号13と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR3領域を含む重鎖可変領域;ならびに/あるいは(a)配列番号14、または配列番号14と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR1領域;(b)配列番号15、または配列番号15と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR2領域;および(c)配列番号16、または配列番号16と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR3領域を含む軽鎖可変領域を含む、抗LAG-3モノクローナル抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0113】
別の実施形態では、本発明は、(a)配列番号21、または配列番号21と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR1領域;(b)配列番号22、または配列番号22と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR2領域;および(c)配列番号23、または配列番号23と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR3領域を含む重鎖可変領域;ならびに/あるいは(a)配列番号24、または配列番号24と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR1領域;(b)配列番号25、または配列番号25と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR2領域;および(c)配列番号26、または配列番号26と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR3領域を含む軽鎖可変領域を含む、抗LAG-3モノクローナル抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0114】
さらなる実施形態では、本発明は、(a)配列番号31、または配列番号31と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR1領域;(b)配列番号32、または配列番号32と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR2領域;および(c)配列番号33、または配列番号33と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR3領域を含む重鎖可変領域;ならびに/あるいは(a)配列番号34、または配列番号34と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR1領域;(b)配列番号35、または配列番号35と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR2領域;および(c)配列番号36、または配列番号36と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR3領域を含む軽鎖可変領域を含む、抗LAG-3モノクローナル抗体またはその抗原結合性断片を提供する。
【0115】
本発明の操作抗体は、例えば、抗体の特性を改善するように、VHおよび/またはVL内のフレームワーク残基へと、修飾を施した操作抗体を含む。このようなフレームワーク修飾は、抗体の免疫原性を低下させるように施すことが典型的である。例えば、1つの手法は、1つまたは複数のフレームワーク残基を、対応する生殖細胞系列配列へと「復帰変異させる」ことである。より具体的には、体細胞変異を経た抗体は、抗体が由来する生殖細胞系列配列と異なるフレームワーク残基を含有しうる。このような残基は、抗体フレームワーク配列を、抗体が由来する生殖細胞系列配列と比較することにより同定することができる。
【0116】
フレームワーク修飾の別の種類は、T細胞エピトープを除去して、これにより、抗体の潜在的な免疫原性を低減するように、フレームワーク領域内の1つもしくは複数の残基、なおまたは1つもしくは複数のCDR領域内の1つもしくは複数の残基を変異させることを伴う。この手法はまた、「脱免疫化」とも称し、米国特許出願公開第20030153043号においてさらに詳細に記載されている。
【0117】
フレームワーク領域またはCDR領域内に施された修飾に加えて、またはこれと代替的に、本発明の抗体は、典型的に、血清半減期、補体の固定、Fc受容体の結合、および/または抗原依存性細胞媒介性細胞傷害性など、抗体の1つまたは複数の機能的特性を変更するのに、Fc領域内の修飾を含むように操作することもできる。さらに、本発明の抗体は、ここでもまた、抗体の1つまたは複数の機能的特性を変更するのに、化学的に修飾する(例えば、1つまたは複数の化学的部分を、抗体へと付着させることができる)、またはそのグリコシル化を変更するように修飾することができる。これらの実施形態の各々については、下でさらに詳細に記載する。Fc領域内の残基の番号付けは、KabatによるEUインデックスの番号付けである。
【0118】
一実施形態では、ヒンジ領域内のシステイン残基の数を変更する、例えば、増大または減少させるように、CF11のヒンジ領域を修飾する。この手法は、米国特許第5,677,425号においてさらに記載されている。CF11のヒンジ領域内のシステイン残基の数は、例えば、軽鎖および重鎖のアセンブリーを容易とするか、または抗体の安定性を増大もしくは減少させるように変更する。
【0119】
別の実施形態では、抗体のFcヒンジ領域を変異させて、抗体の生物学的半減期を短縮する。より具体的には、抗体のブドウ球菌(Staphylococcyl)プロテインA(SpA)への結合が、天然Fc-ヒンジドメインのSpAへの結合と比べて損なわれるように、1つまたは複数のアミノ酸変異を、Fc-ヒンジ断片の、CF12ドメイン-CF13ドメイン間界面領域へと導入する。この手法は、米国特許第6,165,745号においてさらに詳細に記載されている。
【0120】
別の実施形態では、抗体を、その生物学的半減期を延長するように修飾する。IgGクラスは、最も安定であり、20日間の血清半減期を有するのに対し、IgMおよびIgAは、5~8日間のみ存続する(BrekkeおよびSandlie、2003年、Nature Reviews Drug Discovery、2巻、52~62頁)。多様な手法が可能である。例えば、以下の変異:米国特許第6,277,375号において記載されている、T252L、T254S、T256Fのうちの1つまたは複数を導入することができる。代替的に、生物学的半減期を延長するために、抗体を、米国特許第5,869,046号;および同第6,121,022号において記載されている、IgGのFc領域のCF12ドメインの2つのループから取ったサルベージ受容体結合性エピトープを含有するように、CF11領域またはCL領域内で変更することもできる。
【0121】
本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、抗体または断片を使用して、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)または補体依存性細胞傷害性(CDC)の結果として、T細胞を枯渇させることなく、T細胞の増殖および/または機能を負に調節しうるように、ADCCおよびCDCを欠くものとする。
【0122】
ADCCでは、抗体のFc領域は、ナチュラルキラーおよびマクロファージなど、免疫エフェクター細胞の表面上のFc受容体(FcγR)に結合し、標的とした細胞の溶解をもたらす。CDCでは、Fc領域は、補体のC1q構成成分に結合し、細胞表面において、補体カスケードを誘発することにより、標的とした細胞を死滅させる。抗体のADCC活性およびCDC活性は、そのアイソタイプに依存する。IgMおよびIgGのいずれもが、補体の固定を媒介しうるのに対し、IgGのみが抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)を促進しうる。IgGアイソフォームは、異なるレベルのCDCおよびADCC:
IgG:CDC(hIgG3>hIgG1>hIgG2>hIgG4;mIgG2a>mIgG1);
ADCC(hIgG1≧hIgG3>hIgG2≧IgG4;mIgG2a>mIgG1)
を呈する。
【0123】
したがって、一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、抗体または断片が、ADCC活性およびCDC活性を欠くことを確保するように、マウスIgG1 Fc部分またはヒトIgG4 Fc部分を含む。
【0124】
本発明の抗体またはその抗原結合性断片のADCC活性およびCDC活性は、当業者に公知の、任意の適切な方法により決定することができる。CDC活性およびADCC活性の適切なアッセイの例については、WO2008/132601および下に記載されている。
【0125】
CDC活性を呈する抗LAG-3抗体は、補体の存在下で、そのアイソタイプ対照と比較して、一貫してLAG-3細胞を死滅させる。
【0126】
CDC試験のために、抗LAG-3抗体を評価するのに使用される標的細胞は、LAG-3をトランスフェクトされた細胞株、またはLAG-3の発現を誘導するように活性化させた初代T細胞でよい。例えば、CDC試験のための可能な1つのアッセイでは、標的細胞は、wt CHO細胞との比較における、LAG-3+ CHO細胞である。いずれの細胞型(すなわち、LAG-3を発現する細胞、およびLAG-3を発現しない同等細胞)も、抗LAG-3試験抗体またはアイソタイプをマッチさせたその陰性対照抗体のいずれか、および活性の補体を含有するウサギ血清と共に、37℃で1時間インキュベートする。次いで、それらの膜完全性を喪失した(死後に急速に現れる現象)細胞を標識する蛍光色素である、7-アミノ-アクチノマイシンD(7-AAD)を使用して、細胞の生存率を評価する。7-AAD陽性CHO細胞(すなわち、死滅した標的細胞)の百分率を、フローサイトメトリー解析により決定する。CDC活性を呈する抗体は、補体の存在下で、LAG-3+細胞(例えば、LAG-3+ CHO細胞)だけを死滅させる。抗LAG-3 Abを、その濃度を低下させながら滴定して、抗体が、低抗体濃度で、CDCを活性化させる有効性を決定することができる。
【0127】
CDCアッセイはまた、スーパー抗原であるSEBで刺激されたPBMC上でも実施することができる。試験抗体の細胞傷害性は、活性化CD4+ヘルパーT細胞およびCD8+細胞傷害性T細胞(すなわち、CD25+/LAG-3+細胞)、ならびに非活性化CD4+ヘルパーT細胞およびCD8+細胞傷害性T細胞(すなわち、CD25-/LAG-3-細胞)のいずれにおいても解析する。CDCを呈する抗体は、活性化されたCD4+およびCD8+ T細胞だけを、特異的に死滅させる。
【0128】
ADCC試験のために、PMBCを、エフェクター細胞として役に立つように、IL-2で一日刺激し、LAG-3発現細胞(例えば、LAG-3+ CHO細胞)を、標的細胞として役に立つように、生存を示す色素であるCFSEで標識する。試験抗LAG-3抗体の存在下で、エフェクター細胞(PBMC)が、アイソタイプをマッチさせた陰性対照抗体と比較して、著明な百分率のLAG-3発現細胞(例えば、LAG-3+ CHO細胞)を死滅させることが可能である場合、試験抗体は、ADCCを呈する。この効果は、エフェクター細胞の数と共に増大するはずである。試験抗体を、その濃度を低下させながら滴定して、抗体が、低抗体濃度で、ADCCを誘導する有効性を決定することができる。
【0129】
試験抗LAG-3抗体は、上で記載したアッセイのうちのいずれかにおいて、アイソタイプをマッチさせた陰性対照抗体の2倍未満のLAG-3+細胞しか死滅させない場合、CDCまたはADCCを呈しないと考えられうる。
【0130】
ドナー末梢血単核細胞(PBMC)またはナチュラルキラー(NK)細胞の亜集団を、エフェクター細胞として使用する古典的ADCCバイオアッセイでは、標的細胞の殺滅を使用する。しかし、これらの細胞は、応答にばらつきがある場合があり、高バックグラウンドリーディングを結果としてもたらしうる。Promegaから市販されているADCC Reporter Bioassayは、ADCC経路活性化の早期の時点:エフェクター細胞内のNFAT(nuclear factor of activated T-cell)経路を介する遺伝子転写の活性化における、代替的なリードアウトを使用する。加えて、ADCC Reporter Bioassayは、FcγRIIIa受容体、V158(高アフィニティー)バリアント、およびホタルルシフェラーゼの発現を駆動するNFAT応答エレメントを安定的に発現する操作Jurkat細胞を、エフェクター細胞として使用する。ADCCにおける、抗体の生物学的活性は、NFAT経路活性化の結果として産生されるルシフェラーゼを介して定量化され、エフェクター細胞内のルシフェラーゼ活性は、発光リードアウトにより定量化される。このアッセイを使用すると、シグナルは増大し、アッセイバックグラウンドは低下する。適正な表面抗原を有する標的細胞、適正な特異的抗体、およびFcγRIIIaを発現するエフェクター細胞が存在する場合に限り、良好なアッセイ応答が得られる。これらのうちのいずれか1つでも逸失すれば、応答は得られない。
【0131】
ADCC Reporter Bioassayを使用して、抗体のADCC活性について評価する場合、測定される生体発光の増大が、アイソタイプをマッチさせたその陰性対照抗体の生体発光の2倍未満であれば、試験抗体は、ADCCを呈しないと考えられうる。
【0132】
他の実施形態では、Fc領域は、Fabアーム交換を消失させる、S228P変異を伴う、変異体ヒトIgG4 Fc配列(重鎖配列13E2IgG4mutを含むキメラ抗体Chim13E2IgG4については、図20(A)に示す)を含む。
【0133】
他の実施形態では、Fc領域は、野生型ヒトIgカッパ(IgK)鎖C部分(13E2IgK)(軽鎖配列13E2IgKを含むキメラ抗体Chim13E2IgG4については、図20(B)に示す)を含む。
【0134】
上で記載した、ヒトIgG4 Fc変異体について使用される、Fc領域内の残基の番号付けは、Kabatにおける、Euインデックスによる、標準的な番号付けである(Kabat, E.A.ら、Sequences of proteins of immunological interest、5版、US Department of Health and Human Services、NIH刊行物第91-3242号、662、680、689頁(1991年))。
【0135】
さらに別の実施形態では、抗体のグリコシル化を修飾する。例えば、脱グリコシル化抗体(すなわち、抗体は、グリコシル化を欠く)を作製することができる。グリコシル化は、例えば、抗原に対する抗体のアフィニティーを増大させるように変更することができる。このような炭水化物修飾は、例えば、抗体配列内の1つまたは複数のグリコシル化部位を変更することにより達することができる。例えば、1つまたは複数の可変領域フレームワークのグリコシル化部位の消失を結果としてもたらす、1つまたは複数のアミノ酸置換を施して、これにより、この部位におけるグリコシル化を消失させることができる。このような脱グリコシル化により、抗原に対する抗体のアフィニティーを増大させることができる。例えば、米国特許第5,714,350号および同第6,350,861号を参照されたい。
【0136】
本開示で想定される、本明細書の抗体の別の修飾は、ペグ化である。抗体をペグ化して、例えば、抗体の生物学的(例えば、血清)半減期を延長することができる。抗体をペグ化するには、抗体またはその断片を、PEGの反応性エステルまたはアルデヒド誘導体などのポリエチレングリコール(PEG)と、1つまたは複数のPEG基が、抗体または抗体断片へと付着する条件下で反応させることが典型的である。ペグ化は、反応性PEG分子(または類似する反応性の水溶性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応を介して実行することが好ましい。本明細書で使用される「ポリエチレングリコール」という用語は、モノ(C1~C10)アルコキシ-ポリエチレングリコールもしくはアリールオキシ-ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール-マレイミドなど、他のタンパク質を誘導体化するのに使用されているPEGの形態のうちのいずれかを包含することを意図する。ある特定の実施形態では、ペグ化される抗体は、脱グリコシル化抗体である。タンパク質をペグ化するための方法が当技術分野で公知であり、本発明の抗体に適用することができる。例えば、EP 0 154 316および欧州特許第EP 0 401 384を参照されたい。
【0137】
本発明の抗体は、モノクローナル抗体またはその抗原結合性断片でありうる。
【0138】
「抗体」および「免疫グロブリン」という用語は、Fab断片、Fv断片、scFv断片、およびFd断片、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体(scAb)、単一ドメイン抗体(dAb)、単一ドメイン重鎖抗体、単一ドメイン軽鎖抗体、二特異性抗体、多特異性抗体、ならびに抗体および抗体以外のタンパク質の抗原結合性(antigen-binding)(本明細書ではまた、抗原結合性(antigen binding)とも称する)部分を含む融合タンパク質を含むがこれらに限定されない、任意のアイソタイプの抗体または免疫グロブリン、抗原への特異的結合を保持する抗体の断片を含む。用語はまた、Fab’、Fv、F(ab’)、および/または抗原への特異的結合を保持する他の抗体断片、ならびにモノクローナル抗体も包含する。抗体は、一価であっても、二価であってもよい。抗体は、4つのポリペプチド鎖:ジスルフィド結合により接続された2つの重鎖および2つの軽鎖からなる「Y字型」分子である、Ig単量体でありうる。抗体は、例えば、放射性同位元素、検出可能な生成物を発生させる酵素、蛍光タンパク質などで、検出可能に標識することができる。抗体は、特異的結合対のメンバー、例えば、ビオチン(ビオチン-アビジン特異的結合対のメンバー)など、他の部分へと、さらにコンジュゲートさせることもできる。抗体はまた、ポリスチレンプレートまたはビーズなどを含むがこれらに限定されない固体支持体に結合させることもできる。
【0139】
「抗体断片」は、無傷抗体の部分、例えば、無傷抗体の抗原結合性領域または可変領域を含む。抗体断片の例は、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)断片、およびFv断片;ダイアボディー;直鎖状抗体(Zapataら、Protein Eng.、8巻(10号):1057~1062頁(1995年));ドメイン抗体(dAb;Holtら(2003年)、Trends Biotechnol.、21巻:484頁);単鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成された多特異性抗体を含む。抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる、各々が、単一の抗原結合性部位を有する2つの同一な抗原結合性断片、および残りの「Fc」断片(たやすく結晶化する能力を反映する呼称である)が生じる。ペプシン処理は、2つの抗原結合性(combining)部位を有し、抗原を架橋することがやはり可能な、F(ab’)断片をもたらす。
【0140】
「Fv」は、完全な抗原認識部位および抗原結合性部位を含有する、最小の抗体断片である。この領域は、緊密な非共有結合的会合下にある、1つの重鎖可変ドメインおよび1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、V-V二量体の表面上で、抗原結合性部位を定義するのは、この立体構成においてである。合わせて、6つのCDRは、抗原結合特異性を、抗体に付与する。しかし、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのCDRだけを含むFvの半分)でもなお、結合性部位全体より小さなアフィニティーではあるが、抗原を認識し、抗原に結合する能力を有する。
【0141】
「Fab」断片はまた、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(CH)も含有する。Fab’断片は、抗体のヒンジ領域に由来する1つまたは複数のシステインを含む、重鎖CHドメインのカルボキシル末端における少数の残基の付加により、Fab断片と異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基が、遊離チオール基を持つFab’のための、本明細書における呼称である。F(ab’)抗体断片は、元は、それらの間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として作製された。また、抗体断片の他の化学的カップリングも公知である。
【0142】
任意の脊椎動物種に由来する抗体の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づき、カッパおよびラムダと呼ばれる、2つの顕著に異なる種類のうちの1つへと割り当てることができる。それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスへと割り当てることができる。免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在し、これらのクラスのうちのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、およびIgA2へとさらに分けることができる。サブクラスは、種類、例えば、IgG2aおよびIgG2bへとさらに分けることができる。
【0143】
「単鎖Fv」抗体断片または「sFv」抗体断片または「scFv」抗体断片は、抗体のVドメインおよびVドメインを含み、この場合、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖内に存在する。一部の実施形態では、Fvポリペプチドは、VドメインとVドメインとの間のポリペプチドリンカーをさらに含み、これは、sFvが抗原への結合に所望の構造を形成することを可能とする。sFvの総説については、Pluckthun、The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、113巻、RosenburgおよびMoore編、Springer-Verlag、New York、269~315頁(1994年)を参照されたい。
【0144】
「ダイアボディー」という用語は、2つの抗原結合性部位を有する小型の抗体断片を指し、その断片は、同じポリペプチド鎖内で軽鎖可変ドメイン(V)へと接続された重鎖可変ドメイン(V)を含む(V-V)。同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能とするには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは、別の鎖の相補性ドメインと対合し、2つの抗原結合性部位を創出するように強いられる。ダイアボディーについては、例えば、EP404,097;WO93/11161;およびHollingerら(1993年)、Proc. Natl. Acad. Sci.、USA、90巻:6444~6448頁においてより十全に記載されている。
【0145】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」は、それらの全てが、細胞の複製の反復により、単一の細胞から作製された、同一な細胞の群により産生された抗体である。すなわち、細胞のクローンは、単一の抗体種だけを産生する。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ作製技術を使用して作製しうるが、当業者に公知の他の作製法もまた使用することができる(例えば、抗体のファージディスプレイライブラリー由来の抗体)。
【0146】
本明細書で使用される「CDR」または「相補性決定領域」という用語は、重鎖ポリペプチドおよび軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内で見出される、非連続的な抗原結合性(combining)部位を意味することを意図する。CDRについては、Kabatら、J. Biol. Chem.、252巻:6609~6616頁(1977年);Kabatら、U.S. Dept. of Health and Human Services、「Sequences of proteins of immunological interest」(1991年)(本明細書ではまた、Kabat、1991年とも称する)により;Chothiaら、J. Mol. Biol.、196巻:901~917頁(1987年)(本明細書ではまた、Chothia、1987年とも称する)により;およびMacCallumら、J. Mol. Biol.、262巻:732~745頁(1996年)により記載されている。さらなるシステムは、International ImMunoGeneTics(IMGT)番号付けシステムである(Lefrancら、Nucleic Acids Research、27巻:209~212頁(1999年))。定義は、互いに対して比較した場合の、アミノ酸残基の重複またはサブセットを含む。しかしながら、抗体もしくはグラフト抗体またはそのバリアントのCDRに言及するための、いずれの定義の適用も、本明細書で定義および使用される用語の範囲内にあること意図する。上で引用した参考文献の各々により定義される、CDRを包含するアミノ酸残基を、下の表1に、比較として明示する。実施例2の表4、および実施例5の表9に列挙されるCDRは、Lefranc、1999年、およびKabat、1991年に従い定義されている。
【0147】
【表1】
【0148】
本明細書で使用される「CDR-L1」、「CDR-L2」、および「CDR-L3」という用語は、それぞれ、軽鎖可変領域内の第1のCDR、第2のCDR、および第3のCDRを指す。本明細書で使用される「CDR-H1」、「CDR-H2」、および「CDR-H3」という用語は、それぞれ、重鎖可変領域内の第1のCDR、第2のCDR、および第3のCDRを指す。本明細書で使用される「CDR-1」、「CDR-2」、および「CDR-3」という用語は、それぞれ、いずれかの鎖の可変領域の第1のCDR、第2のCDR、および第3のCDRを指す。
【0149】
本明細書で使用される「アフィニティー」という用語は、2つの作用因子(例えば、抗体および抗原)の可逆的結合についての平衡定数を指し、解離定数(K)として表される。アフィニティーは、非類縁アミノ酸配列に対する抗体のアフィニティーより、少なくとも1倍大きい、少なくとも2倍大きい、少なくとも3倍大きい、少なくとも4倍大きい、少なくとも5倍大きい、少なくとも6倍大きい、少なくとも7倍大きい、少なくとも8倍大きい、少なくとも9倍大きい、少なくとも10倍大きい、少なくとも20倍大きい、少なくとも30倍大きい、少なくとも40倍大きい、少なくとも50倍大きい、少なくとも60倍大きい、少なくとも70倍大きい、少なくとも80倍大きい、少なくとも90倍大きい、少なくとも100倍大きい、または少なくとも1,000倍大きい、またはこれを超えうる。抗体の、標的タンパク質に対するアフィニティーは、例えば、約100ナノモル(nM)~約0.1nM、約100nM~約1ピコモル(pM)、または約100nM~約1フェムトモル(fM)またはこれを超えうる。本明細書で使用される「アビディティー」という用語は、希釈後における、2つまたはこれを超える作用因子の複合体の、解離に対する抵抗性を指す。本明細書では、抗体および/または抗原結合性断片に関する「免疫反応性」および「~に優先的に結合する」という用語は、互換的に使用される。
【0150】
「~に結合すること」という用語は、例えば、塩架橋および水架橋などの相互作用を含む、共有結合的相互作用、静電的相互作用、疎水相互作用、およびイオン性相互作用、ならびに/または水素結合による相互作用に起因する、2つの分子間の直接的な会合を指す。本発明の抗体は、LAG-3タンパク質、特に、ヒトLAG-3タンパク質内のエピトープに特異的に結合する。「特異的結合」は、少なくとも約5×10-7Mまたはこれを超える、例えば、10-7M、5×10-8M、10-8M、またはこれを超えるアフィニティーで結合することを指す。「非特異的結合」は、約10-7M未満のアフィニティーで結合する、例えば、10-6M、10-5M、10-4Mなどのアフィニティーで結合することを指す。本明細書で使用される、「ヒトLAG-3に特異的に結合する」抗体は、ヒトLAG-3タンパク質(および、おそらく、1つまたは複数の非ヒト種に由来するLAG-3タンパク質)には結合するが、非LAG-3タンパク質には実質的に結合しない抗体を指すことを意図する。好ましくは、抗体は、ヒトLAG-3タンパク質に、「高アフィニティー」で、すなわち、1×10-7Mまたはこれ未満、より好ましくは1×10-8Mまたはこれ未満、より好ましくは5×10-9Mまたはこれ未満、より好ましくは1×10-9Mまたはこれ未満のKで結合する。
【0151】
本明細書で使用される、タンパク質または細胞に「実質的に結合しない」という用語は、タンパク質または細胞に結合しないか、または高アフィニティーで結合しない、すなわち、タンパク質または細胞に、1×10-6Mまたはこれを超える、より好ましくは1×10-5Mまたはこれを超える、より好ましくは1×10-4Mまたはこれを超える、より好ましくは1×10-3Mまたはこれを超える、なおより好ましくは1×10-2Mまたはこれを超えるKで結合することを意味する。
【0152】
本明細書で使用される「Kassoc」または「K」という用語が、特定の抗体-抗原間相互作用の会合速度を指すことを意図するのに対し、本明細書で使用される「Kdis」または「K」という用語は、特定の抗体-抗原間相互作用の解離速度を指すことを意図する。本明細書で使用される「K」という用語は、Kの、Kに対する比(すなわち、K/K)から得られ、モル濃度(M)として表される解離定数を指すことを意図する。
【0153】
IgG抗体についての「高アフィニティー」という用語は、標的抗原に対して、1×10-7Mまたはこれ未満、より好ましくは5×10-8Mまたはこれ未満、なおより好ましくは1×10-8Mまたはこれ未満、なおより好ましくは5×10-9Mまたはこれ未満、なおより好ましくは1×10-9Mまたはこれ未満のKを有する抗体を指す。しかし、他の抗体アイソタイプに対する「高アフィニティー」の結合は変動しうる。例えば、IgMアイソタイプに対する「高アフィニティー」の結合とは、10-6Mまたはこれ未満、より好ましくは10-7Mまたはこれ未満、なおより好ましくは10-8Mまたはこれ未満のKを有する抗体を指す。
【0154】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトLAG-3タンパク質に、アンタゴニスト性抗LAG-3モノクローナル抗体17B4より大きなアフィニティーで(すなわち、より小さな解離定数で)結合する(Baixerasら、J. Exp. Med.、1992年、176巻:327~337頁)。下の実施例7は、17B4抗体の、ヒトLAG-3Igタンパク質への結合についてのBiacore解析の結果について記載する。結果は、17B4の、ヒトLAG-3Igに対する解離定数が、3.69nMであったことを示す。したがって、一部の実施形態では、本発明の抗体は、ヒトLAG-3タンパク質(またはヒトLAG-3Igタンパク質)に、例えば、Biacore解析により決定される、3.69nM未満の解離定数(K)で結合する。
【0155】
一部の実施形態では、本発明の抗体は、ヒトLAG-3タンパク質(またはヒトLAG-3Igタンパク質など、その誘導体)に、3.5nM以下の、2.5nM以下の、2nM以下の、1nM以下の、0.9nM以下の、0.8nM以下の、0.7nM以下の、0.6nM以下の、0.5nM以下の、0.4nM以下の、0.3nM以下の、0.2nM以下の、0.1nM以下の解離定数(K)で結合する。一部の実施形態では、本開示の抗LAG-3抗体は、ヒトLAG-3タンパク質に、90pM以下の、80pM以下の、70pM以下の、60pM以下の、50pM以下の、40pM以下の、30pM以下の、20pM以下の、10pM以下の、9pM以下の、8pM以下の、7pM以下の、6pM以下の、5pM以下の、4pM以下の、3pM以下の、2pM以下の、または1pM以下のKで結合する。
【0156】
下の実施例20は、キメラ13E2 IgG4抗体(下で記載される)、およびヒト化13E2 IgG4(下で記載される)の、ヒトLAG-3Igタンパク質への結合についてのBiacore解析の結果について記載する。結果は、キメラ13E2 IgG4抗体の、ヒトLAG-3Igに対する解離定数は、21.9pMであり、ヒト化13E2 IgG4の、ヒトLAG-3Igに対する解離定数は、22.8pMであったことを示す。
【0157】
特定の実施形態では、本発明の抗体は、ヒトLAG-3タンパク質(またはヒトLAG-3Igタンパク質)に、例えば、Biacore解析により決定される、100pM以下の、90pM以下の、80pM以下の、70pM以下の、60pM以下の、50pM以下の、40pM以下の、30pM以下の、または25pM以下の解離定数(K)で結合する。
【0158】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片のアフィニティーは、ヒトLAG-3タンパク質に対する17B4のアフィニティーより、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%大きくてもよい。一部の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、ヒトLAG-3タンパク質に対する17B4のアフィニティーの、少なくとも1.5、2、2.5、3、または3.5倍でありうる。
【0159】
当業者は、抗体の、ヒトLAG-3タンパク質に対するアフィニティーを、例えば、Biacoreシステムなどのバイオセンサーシステムを使用して、表面プラズモン共鳴により、適切に決定することができる(Murphyら、Using Biacore to measure the binding kinetics of an antibody-antigen interaction、Curr Protoc Protein Sci.、2006年9月、19章、19.14部)。例えば、Biacore解析を使用して、本発明の抗体と、ヒトLAG-3タンパク質との間の解離定数を決定することができる。
【0160】
ヒトLAG-3への結合は、これらもまた当技術分野で十分に確立されている、1つまたは複数の他の技法を使用して評価することができる。例えば、抗体は、それらの細胞表面上にヒトLAG-3を発現するようにトランスフェクトされたCHO細胞など、ヒトLAG-3を発現する細胞株と抗体を反応させるフローサイトメトリーアッセイにより調べることができる。フローサイトメトリーアッセイにおける使用に適する他の細胞は、天然LAG-3を発現するSEB刺激PBMCまたは抗CD3刺激CD4活性化T細胞を含む。さらに他の適切な結合アッセイは、例えば、組換えLAG-3タンパク質を使用するELISAアッセイを含む。
【0161】
本発明の抗体は、単離抗体である。「単離」抗体は、その自然環境の構成成分から同定ならびに分離および/または回収された抗体である。その自然環境の夾雑構成成分は、抗体の診断的使用または治療的使用に干渉する材料であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性溶質または非タンパク質性溶質を含みうる。一部の実施形態では、抗体を(1)ローリー法により決定される通り、抗体の重量で、90%を超える、95%を超える、もしくは98%を超えるまで、例えば、重量で99%を超えるまで、(2)スピニングカップ型シークェネーターを使用することにより、N末端のアミノ酸配列もしくは内部アミノ酸配列のうちの少なくとも15残基を得るのに十分な程度まで、または(3)クーマシーブルーもしくは銀染色を使用して、還元条件下もしくは非還元条件下で、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により均質となるまで、精製する。単離抗体は、抗体の自然環境の少なくとも1つの構成成分が存在しないので、組換え細胞内のin situにおける抗体を含む。場合によって、単離抗体は、少なくとも1つの精製ステップにより調製する。
【0162】
好ましい実施形態では、本発明の抗体は、ヒト化抗体またはその抗原結合性断片、特に、ヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合性断片である。
【0163】
本発明のヒト化抗体またはその抗原結合性断片は、ヒト化軽鎖フレームワーク領域および/またはヒト化重鎖フレームワーク領域を含みうる。
【0164】
本明細書で使用される「ヒト化抗体」という用語は、起源の異なる免疫グロブリンの部分を含む免疫グロブリンを指し、この場合、少なくとも1つの部分は、ヒト起源のアミノ酸配列を含む。例えば、ヒト化抗体は、マウスなど、必須の特異性を有する非ヒト起源の免疫グロブリン由来、および従来の技法(例えば、合成)により、化学的に互いに接合されるか、または遺伝子的な操作技法を使用して、連続的ポリペプチドとして調製された(例えば、連続的ポリペプチド鎖を生じるように、キメラ抗体のタンパク質部分をコードするDNAを発現させうる)ヒト起源の免疫グロブリン配列(例えば、免疫グロブリン)由来の部分を含みうる。ヒト化免疫グロブリンの別の例は、非ヒト起源の抗体由来のCDR、ならびにヒト起源の軽鎖および/または重鎖由来のフレームワーク領域を含む、1つまたは複数の免疫グロブリン鎖を含有する免疫グロブリン(例えば、フレームワークの変化を有するかまたは有しない、CDRグラフト抗体)である。単鎖キメラ抗体または単鎖CDRグラフト抗体もまた、ヒト化免疫グロブリンという用語に包含される。例えば、Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Cabillyら、欧州特許第0,125,023B1号;Bossら、米国特許第4,816,397号;Bossら、欧州特許第0,120,694B1号;Neuberger, M. S.、WO86/01533;Neuberger, M. S.ら、欧州特許第0,194,276B1号;Winter、米国特許第5,225,539号;Winter、欧州特許第0,239,400B1号;Padlan, E. A.ら、欧州特許出願第0,519,596A1号を参照されたい。単鎖抗体についてはまた、Ladnerら、米国特許第4,946,778号;Huston、米国特許第5,476,786号;およびBird, R. E.ら、Science、242巻:423~426頁(1988年))を参照されたい。
【0165】
「キメラ抗体」という用語は、可変領域配列は、マウス抗体に由来し、定常領域配列は、ヒト抗体に由来する抗体など、可変領域配列は、1つの種に由来し、定常領域配列は、別の種に由来する抗体を指すことを意図する。可変領域アミノ酸配列は、それが由来する種の可変領域アミノ酸配列(例えば、マウス配列)と同一である場合もあり、この可変領域配列と、少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である場合もある。例えば、本発明のキメラ抗体の可変領域アミノ酸配列は、それが由来する種の可変領域アミノ酸配列と比較して、1つまたは複数の、アミノ酸の欠失、置換、または付加(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の、アミノ酸の欠失、置換、または付加)を含みうる。
【0166】
同様に、定常領域アミノ酸配列は、それが由来する種の定常領域アミノ酸配列(例えば、ヒト配列)と同一である場合もあり、この定常領域アミノ酸配列と、少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である場合もある。例えば、本発明のキメラ抗体の定常領域アミノ酸配列は、それが由来する種の定常領域アミノ酸配列と比較して、1つまたは複数の、アミノ酸の欠失、置換、または付加(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の、アミノ酸の欠失、置換、または付加)を含みうる。
【0167】
例えば、上で記載した通り、キメラ抗体のFcヒンジ領域のアミノ酸配列は、抗体の生物学的半減期を短縮するように変異させることもでき、Fc領域のアミノ酸配列は、キメラ抗体の生物学的半減期を延長するように変異させることもできる。
【0168】
例えば、本発明のキメラ抗体についての一部の実施形態では、重鎖可変領域配列は、マウス抗体を含むか、またはこれに由来し、重鎖定常領域配列は、IgG4 Fc配列を含むか、またはこれに由来する。他の実施形態では、軽鎖可変領域配列は、マウス抗体を含むか、またはこれに由来し、軽鎖定常領域配列は、ヒトIgカッパ(IgK)鎖C配列を含むか、またはこれに由来する。
【0169】
他の実施形態では、Fc領域は、Fabアーム交換を消失させる、S228P変異を伴う、変異体ヒトIgG4 Fc配列(重鎖配列13E2IgG4mutを含むキメラ抗体Chim13E2IgG4については、図20(A)に示す)を含む。
【0170】
他の実施形態では、Fc領域は、野生型ヒトIgカッパ(IgK)鎖C部分(13E2IgK)(軽鎖配列13E2IgKを含むキメラ抗体Chim13E2IgG4については、図20(B)に示す)を含む。
【0171】
上で記載した、ヒトIgG4 Fc変異体について使用される、Fc領域内の残基の番号付けは、Kabatにおける、Euインデックスによる、標準的な番号付けである(Kabat, E.A.ら、Sequences of proteins of immunological interest、5版、US Department of Health and Human Services、NIH刊行物第91-3242号、662、680、689頁(1991年))。
【0172】
所望のヒト化鎖をコードする遺伝子(例えば、cDNA)を調製するのに、合成核酸および/または組換え核酸を使用して、ヒト化抗体を作製することができる。例えば、ヒト化可変領域をコードする核酸(例えば、DNA)配列は、既にヒト化された可変領域に由来するDNA鋳型など、ヒト鎖またはヒト化鎖をコードするDNA配列を変更するように、PCR変異誘発法を使用して構築することができる(例えば、Kamman, M.ら、Nucl. Acids Res.、17巻:5404頁(1989年));Sato, K.ら、Cancer Research、53巻:851~856頁(1993年);Daugherty, B. L. ら、Nucleic Acids Res.、19巻(9号):2471~2476頁(1991年);ならびにLewis, A. P.およびJ. S. Crowe、Gene、101巻:297~302頁(1991年)を参照されたい)。また、これらの方法または他の適切な方法を使用して、バリアントをたやすく作製することもできる。例えば、クローニングされた可変領域を、変異誘発させ、所望の特異性を有するバリアントをコードする配列を、選択することができる(例えば、ファージライブラリーから;例えば、Krebberら、米国特許第5,514,548号;1993年4月1日に公表された、Hoogenboomら、WO93/06213を参照されたい)。
【0173】
抗体の可変領域に言及して使用される場合に、本明細書で使用される「フレームワーク」という用語は、抗体の可変領域内のCDR領域外の、全てのアミノ酸残基を意味することを意図する。可変領域のフレームワークは一般に、約100~120アミノ酸の間の長さの、不連続なアミノ酸配列であるが、CDR外のアミノ酸だけに言及することを意図する。本明細書で使用される「フレームワーク領域」という用語は、CDRにより分離された、フレームワークの各ドメインを意味することを意図する。
【0174】
フレームワーク領域のヒト化は、抗体が、ヒトにおいて、ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答を惹起する危険性を低減する。当技術分野で認知された、免疫応答を決定する方法を実施して、特定の患者または臨床試験におけるHAMA応答をモニタリングすることができる。ヒト化抗体を投与される患者には、治療の投与の開始時および全期間において、免疫原性評価を下すことができる。HAMA応答は、表面プラズモン共鳴技術(BIACORE)および/または固相酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)解析を含む、当業者に公知の方法を使用して、例えば、患者に由来する血清試料中のヒト化治療用試薬に対する抗体を検出することにより測定する。多くの場合、本発明のヒト化抗体は、ヒト被験体において、HAMA応答を、実質的に惹起しない。
【0175】
ヒト可変領域のフレームワーク残基に由来するある特定のアミノ酸を、CDRのコンフォメーションおよび/または抗原への結合に対するそれらの可能な影響に基づき、置換のために選択する。マウスCDR領域の、ヒト可変フレームワーク領域との非天然の並置は、ある特定のアミノ酸残基の置換により是正しなければ、結合アフィニティーの喪失をもたらす、非天然のコンフォメーション拘束を結果としてもたらす場合がある。
【0176】
置換のためのアミノ酸残基の選択は、部分的に、コンピューターによるモデル化により決定することができる。免疫グロブリン分子の三次元画像を作製するための、コンピューターハードウェアおよびソフトウェアが当技術分野で公知である。一般に、分子モデルは、免疫グロブリン鎖またはそれらのドメインについての構造の解明から出発して作製する。モデル化される鎖を、アミノ酸配列の類似性について、三次元構造が解明された鎖またはドメインと比較し、最大の配列類似性を示す鎖またはドメインを、分子モデルを構築するための出発点として選択する。少なくとも50%の配列同一性を共有する鎖またはドメインを、モデル化のために選択する。例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、またはこれを超える配列同一性を共有する鎖またはドメインを、モデル化のために選択する。解明された出発構造は、モデル化される免疫グロブリン鎖またはドメイン内の実際のアミノ酸と、出発構造内のアミノ酸との差違を許容するように改変する。次いで、改変された構造を、複合免疫グロブリンへとアセンブルする。最後に、エネルギー最小化により、ならびに全ての原子が、互いから適切な距離内にあり、結合長および結合角が、化学的に許容可能な限界内にあることを検証することにより、モデルを精緻化する。
【0177】
CDR領域およびフレームワーク領域は、Kabat、Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health、Bethesda、Md.、1987年および1991年)により定義されている通りでありうる。代替的な構造的定義は、Chothiaら、J. Mol. Biol.、196巻:901頁(1987年);Nature、342巻:878頁(1989年);およびJ. Mol. Biol.、186巻:651頁(1989年)(合わせて、「Chothia」と称する)により提起されている。Kabat、前出により定義されるフレームワーク残基が、Chothia、前出により定義される構造的ループ残基を構成する場合、マウス抗体内に存在するアミノ酸を、ヒト化抗体への置換のために選択することができる。「CDR領域に隣接する」残基は、ヒト化免疫グロブリン鎖の一次配列内のCDRのうちの1つまたは複数にじかに隣接する位置にある、例えば、Kabatにより定義されたCDR、またはChothia(例えば、ChothiaおよびLesk、JMB、196巻:901頁(1987年)を参照されたい)により定義されたCDRにじかに隣接する位置にあるアミノ酸残基を含む。これらのアミノ酸は特に、CDR内のアミノ酸と相互作用し、アクセプターから選択される場合、ドナーCDRを変形させ、アフィニティーを低減する可能性が高い。さらに、隣接するアミノ酸は、抗原と直接相互作用することが可能であり(Amitら、Science、233巻:747頁(1986年))、これらのアミノ酸を、ドナーから選択することは、元の抗体内でアフィニティーをもたらす、全ての抗原との接触を保つのに望ましい場合がある。代替的に、CDR領域およびフレームワーク領域は、MacCallumらまたはLefrancら(前出;表1を参照されたい)により定義される通りでありうる。
【0178】
場合によって、ヒト化Vフレームワークまたはヒト化Vフレームワークは、コンセンサスのヒト化フレームワークである。コンセンサスのヒト化フレームワークは、ヒト免疫グロブリンのVフレームワーク配列またはVフレームワーク配列の選択において、最も一般に生じるアミノ酸残基を表しうる。
【0179】
一部の実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、1つまたは複数のヒト化フレームワーク領域(FR)を含む。一部の実施形態では、対象の抗LAG-3抗体は、ヒト化された、1つ、2つ、3つ、または4つの軽鎖FRを含む軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、対象抗体は、N末端からC末端への順序で、ヒト化軽鎖FR1;本明細書で明示されるCDR-L1;ヒト化軽鎖FR2;本明細書で明示されるCDR-L2;ヒト化軽鎖FR3;本明細書で明示されるCDR-L3;およびヒト化軽鎖FR4を含む、軽鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3のそれぞれのアミノ酸配列は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3である。
【0180】
例えば、対象抗体は、N末端からC末端への順序で、ヒト化軽鎖FR1;配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-L1;ヒト化軽鎖FR2;配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L2;ヒト化軽鎖FR3;配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L3;およびヒト化軽鎖FR4を含む、軽鎖可変領域を含みうる。
【0181】
他の実施形態では、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3のそれぞれのアミノ酸配列は、配列番号4、配列番号5、および配列番号6である。
【0182】
例えば、対象抗体は、N末端からC末端への順序で、ヒト化軽鎖FR1;配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-L1;ヒト化軽鎖FR2;配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-L2;ヒト化軽鎖FR3;配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-L3;およびヒト化軽鎖FR4を含む、軽鎖可変領域を含みうる。
【0183】
他の実施形態では、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3のそれぞれのアミノ酸配列は、配列番号24、配列番号25、および配列番号26である。
【0184】
例えば、対象抗体は、N末端からC末端への順序で、ヒト化軽鎖FR1;配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR-L1;ヒト化軽鎖FR2;配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR-L2;ヒト化軽鎖FR3;配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR-L3;およびヒト化軽鎖FR4を含む、軽鎖可変領域を含みうる。
【0185】
他の実施形態では、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3のそれぞれのアミノ酸配列は、配列番号4および24(CDR-L1);配列番号5および25(CDR-L2);ならびに配列番号6および26(CDR-L3)から選択される。
【0186】
例えば、対象抗体は、N末端からC末端への順序で、ヒト化軽鎖FR1;配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;ヒト化軽鎖FR2;配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;ヒト化軽鎖FR3;配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L3;ならびにヒト化軽鎖FR4を含む、軽鎖可変領域を含みうる。
【0187】
他の実施形態では、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3のそれぞれのアミノ酸配列は、配列番号11、配列番号12、および配列番号13である。
【0188】
例えば、対象抗体は、N末端からC末端への順序で、ヒト化軽鎖FR1;配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-L1;ヒト化軽鎖FR2;配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-L2;ヒト化軽鎖FR3;配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-L3;およびヒト化軽鎖FR4を含む、軽鎖可変領域を含みうる。
【0189】
他の実施形態では、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3のそれぞれのアミノ酸配列は、配列番号14、配列番号15、および配列番号16である。
【0190】
例えば、対象抗体は、N末端からC末端への順序で、ヒト化軽鎖FR1;配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-L1;ヒト化軽鎖FR2;配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-L2;ヒト化軽鎖FR3;配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-L3;およびヒト化軽鎖FR4を含む、軽鎖可変領域を含みうる。
【0191】
他の実施形態では、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3のそれぞれのアミノ酸配列は、配列番号34、配列番号35、および配列番号36である。
【0192】
例えば、対象抗体は、N末端からC末端への順序で、ヒト化軽鎖FR1;配列番号34のアミノ酸配列を含むCDR-L1;ヒト化軽鎖FR2;配列番号35のアミノ酸配列を含むCDR-L2;ヒト化軽鎖FR3;配列番号36のアミノ酸配列を含むCDR-L3;およびヒト化軽鎖FR4を含む、軽鎖可変領域を含みうる。
【0193】
他の実施形態では、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3のそれぞれのアミノ酸配列は、配列番号14および34(CDR-L1);配列番号15および35(CDR-L2);ならびに配列番号16および36(CDR-L3)から選択される。
【0194】
例えば、対象抗体は、N末端からC末端への順序で、ヒト化軽鎖FR1;配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L1;ヒト化軽鎖FR2;配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L2;ヒト化軽鎖FR3;配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-L3;ならびにヒト化軽鎖FR4を含む、軽鎖可変領域を含みうる。
【0195】
一部の実施形態では、対象の抗LAG-3抗体は、ヒト化された、1つ、2つ、3つ、または4つの重鎖FRを含む重鎖可変領域を含む。一部の実施形態では、対象抗体は、N末端からC末端への順序で、ヒト化重鎖FR1;本明細書で明示されるCDR-H1;ヒト化重鎖FR2;本明細書で明示されるCDR-H2;ヒト化重鎖FR3;本明細書で明示されるCDR-H3;およびヒト化重鎖FR4を含む、重鎖可変領域を含む。
【0196】
一部の実施形態では、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3のそれぞれのアミノ酸配列は、配列番号4、配列番号5、および配列番号6である。
【0197】
例えば、対象抗体は、N末端からC末端への順序で、ヒト化重鎖FR1;配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-H1;ヒト化重鎖FR2;配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-H2;ヒト化重鎖FR3;配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-H3;およびヒト化重鎖FR4を含む、重鎖可変領域を含みうる。
【0198】
他の実施形態では、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3のそれぞれのアミノ酸配列は、配列番号1、配列番号2、および配列番号3である。
【0199】
例えば、対象抗体は、N末端からC末端への順序で、ヒト化重鎖FR1;配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-H1;ヒト化重鎖FR2;配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-H2;ヒト化重鎖FR3;配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-H3;およびヒト化重鎖FR4を含む、重鎖可変領域を含みうる。
【0200】
他の実施形態では、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3のそれぞれのアミノ酸配列は、配列番号21、配列番号22、および配列番号23である。
【0201】
例えば、対象抗体は、N末端からC末端への順序で、ヒト化重鎖FR1;配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR-H1;ヒト化重鎖FR2;配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR-H2;ヒト化重鎖FR3;配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR-H3;およびヒト化重鎖FR4を含む、重鎖可変領域を含みうる。
【0202】
他の実施形態では、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3のそれぞれのアミノ酸配列は、配列番号1および21(CDR-H1);配列番号2および22(CDR-H2);ならびに配列番号3および23(CDR-H3)から選択される。
【0203】
例えば、対象抗体は、N末端からC末端への順序で、ヒト化重鎖FR1;配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;ヒト化重鎖FR2;配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;ヒト化重鎖FR3;配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H3;ならびにヒト化重鎖FR4を含む、重鎖可変領域を含みうる。
【0204】
他の実施形態では、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3のそれぞれのアミノ酸配列は、配列番号14、配列番号15、および配列番号16である。
【0205】
例えば、対象抗体は、N末端からC末端への順序で、ヒト化重鎖FR1;配列番号14のアミノ酸配列を含むCDR-H1;ヒト化重鎖FR2;配列番号15のアミノ酸配列を含むCDR-H2;ヒト化重鎖FR3;配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR-H3;およびヒト化重鎖FR4を含む、重鎖可変領域を含みうる。
【0206】
他の実施形態では、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3のそれぞれのアミノ酸配列は、配列番号11、配列番号12、および配列番号13である。
【0207】
例えば、対象抗体は、N末端からC末端への順序で、ヒト化重鎖FR1;配列番号11のアミノ酸配列を含むCDR-H1;ヒト化重鎖FR2;配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR-H2;ヒト化重鎖FR3;配列番号13のアミノ酸配列を含むCDR-H3;およびヒト化重鎖FR4を含む、重鎖可変領域を含みうる。
【0208】
他の実施形態では、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3のそれぞれのアミノ酸配列は、配列番号31、配列番号32、および配列番号33である。
【0209】
例えば、対象抗体は、N末端からC末端への順序で、ヒト化重鎖FR1;配列番号31のアミノ酸配列を含むCDR-H1;ヒト化重鎖FR2;配列番号32のアミノ酸配列を含むCDR-H2;ヒト化重鎖FR3;配列番号33のアミノ酸配列を含むCDR-H3;およびヒト化重鎖FR4を含む、重鎖可変領域を含みうる。
【0210】
他の実施形態では、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3のそれぞれのアミノ酸配列は、配列番号11および31(CDR-H1);配列番号12および32(CDR-H2);ならびに配列番号13および33(CDR-H3)から選択される。
【0211】
例えば、対象抗体は、N末端からC末端への順序で、ヒト化重鎖FR1;配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H1;ヒト化重鎖FR2;配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H2;ヒト化重鎖FR3;配列番号13および33から選択されるアミノ酸配列を含むCDR-H3;ならびにヒト化重鎖FR4を含む、重鎖可変領域を含みうる。
【0212】
適切なヒト化フレームワーク配列の例は、
VHバリアント1(VH
VH FR1:QVTLKESGPALVKPTQTLTLTCTFS(配列番号52);
VH FR2:WIRQPPGKALEWLA(配列番号53);
VH FR3:RLTISKDTSKSQVILNMTNMDPVDTATYYC(配列番号54);および
VH FR4:WGQGTTVTVSS(配列番号55);
VHバリアント2(VH
VH FR1:QITLKESGPALVKPTQTLTLTCSFS(配列番号56);
VH FR2:WIRQPPGKALEWLA(配列番号57);
VH FR3:RLTISKDTSKNQVVLTMANMDPVDTATYYC(配列番号58);
VH FR4:WGQGTTVTVSS(配列番号59);
VHバリアント3(VH
VH FR1:QITLKETGPTLVKPTQTLTLTCTFS(配列番号60);
VH FR2:WIRQPPGKALEWVT(配列番号61);
VH FR3:RVTIRKDTSKNQVALTMTNMDPLDTGTYYC(配列番号62);
VH FR4:WGQGTLVTVSS(配列番号63);
VHバリアント4(VH
VH FR1:QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFS(配列番号64);
VH FR2:WIRQPPGKTLEWLT(配列番号65);
VH FR3:RLSITKDTSKNQVVLTMTNMDPLDTGTYYC(配列番号66);
VH FR4:WGQGTLVTVSS(配列番号67);
VLバリアント1(VL
VL FR1:DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号68);
VL FR2:WYQQKPGQPPKLLIY(配列番号69);
VL FR3:GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号70);および
VL FR4:FGQGTKLEIK(配列番号71)
VLバリアント2(VL
VL FR1:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC(配列番号72);
VL FR2:WYQQKPGQAPKLLIF(配列番号73);
VL FR3:GVPSRFSGSGSGTDFTLTLSSLQPEDFATYYC(配列番号74);および
VL FR4:FGQGTKVEIK(配列番号75)
VLバリアント3(VL
VL FR1:DIVMTQTPSSLSASVGDRVTITC(配列番号76);
VL FR2:WYQQRPGQAPKLLIY(配列番号77);
VL FR3:GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号78);および
VL FR4:FGQGTRLDIK(配列番号79)
VLバリアント4(VL
VL FR1:EIVLTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号80);
VL FR2:WYQQKAGQSPKLLIY(配列番号81);
VL FR3:GVPDRFSGSGSGTDFTLTIDSLQAEDVAVYYC(配列番号82);および
VL FR4:FGGGTKVEIK(配列番号83)
を含む。
【0213】
元のマウス抗体13E2の対応する配列とアライメントして、ヒト化VHバリアント1~4およびヒト化VLバリアント1~4の可変領域の配列を、図22に示す。CDR配列を、グレーで強調する。元のマウス配列と比較したバリアントのヒト化フレームワーク配列の変化が、下線および太字で示されている。各バリアントについて、ヒト化配列内で変化させた残基もまた、実施例18の表26(重鎖配列)および27(軽鎖配列)に明示する。
【0214】
一部の実施形態では、本発明のヒト化抗体(またはその抗原結合性断片)は、VH、VH、VH、もしくはVHについて表26に示したアミノ酸置換のうちのいずれかを含むヒト化重鎖、および/またはVL、VL、VL、もしくはVLについて表27に示したアミノ酸置換のうちのいずれかを含むヒト化軽鎖を含む。
【0215】
本発明の抗体またはその抗原結合性断片(特に、本発明のヒト化抗体またはその抗原結合性断片)は、上記のヒト化フレームワーク配列(配列番号52~83)のうちのいずれか、または上記のヒト化フレームワーク配列(配列番号52~83)の任意の組合せを含みうる。
【0216】
一部の実施形態では、ヒト化重鎖フレームワーク領域は、配列番号52、53、54、もしくは55のうちのいずれか;配列番号56、57、58、もしくは59のうちのいずれか;配列番号60、61、62、もしくは63のうちのいずれか;または配列番号64、65、66、もしくは67のうちのいずれかのアミノ酸配列を含みうる。
【0217】
特定の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片(特に、本発明のヒト化抗体またはその抗原結合性断片)は、
配列番号52のVHフレームワーク領域1(VH FR1);配列番号53のVH FR2;配列番号54のVH FR3;および配列番号55のVH FR4;
配列番号56のVHフレームワーク領域1(VH FR1);配列番号57のVH FR2;配列番号58のVH FR3;および配列番号59のVH FR4;
配列番号60のVHフレームワーク領域1(VH FR1);配列番号61のVH FR2;配列番号62のVH FR3;および配列番号63のVH FR4;または
配列番号64のVHフレームワーク領域1(VH FR1);配列番号65のVH FR2;配列番号66のVH FR3;および配列番号67のVH FR4
を含み得る。
【0218】
代替的に、または加えて、一部の実施形態では、ヒト化軽鎖フレームワーク領域は、配列番号68、69、70、もしくは71のうちのいずれか;配列番号72、73、74、もしくは75のうちのいずれか;配列番号76、77、78、もしくは79のうちのいずれか;または配列番号80、81、82、もしくは83のうちのいずれかのアミノ酸配列を含みうる。
【0219】
特定の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片(特に、本発明のヒト化抗体またはその抗原結合性断片)は、
配列番号68のVLフレームワーク領域1(VL FR1);配列番号69のVL FR2;配列番号70のVL FR3;および配列番号71のVL FR4;
配列番号72のVLフレームワーク領域1(VL FR1);配列番号73のVL FR2;配列番号74のVL FR3;および配列番号75のVL FR4;
配列番号76のVLフレームワーク領域1(VL FR1);配列番号77のVL FR2;配列番号78のVL FR3;および配列番号79のVL FR4;または
配列番号80のVLフレームワーク領域1(VL FR1);配列番号81のVL FR2;配列番号82のVL FR3;および配列番号83のVL FR4を含みうる。
【0220】
特定の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片(特に、本発明のヒト化抗体またはその抗原結合性断片)は、ヒト化フレームワーク配列の以下の組合せ:
VH FR1-FR4;およびVL FR1-FR4;
VH FR1-FR4;およびVL FR1-FR4;
VH FR1-FR4;およびVL FR1-FR4;
VH FR1-FR4;およびVL FR1-FR4;
VH FR1-FR4;およびVL FR1-FR4;
VH FR1-FR4;およびVL FR1-FR4;
VH FR1-FR4;およびVL FR1-FR4;
VH FR1-FR4;およびVL FR1-FR4;
VH FR1-FR4;およびVL FR1-FR4;
VH FR1-FR4;およびVL FR1-FR4;
VH FR1-FR4;およびVL FR1-FR4;
VH FR1-FR4;およびVL FR1-FR4;
VH FR1-FR4;およびVL FR1-FR4;
VH FR1-FR4;およびVL FR1-FR4;
VH FR1-FR4;およびVL FR1-FR4;
VH FR1-FR4;およびVL FR1-FR4
のうちのいずれかを含みうる。
【0221】
特定の実施形態では、本発明の抗体またはその抗原結合性断片(特に、本発明のヒト化抗体またはその抗原結合性断片)は、以下のヒト化フレームワーク配列を含む:
VH FR1:QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFS(配列番号64);
VH FR2:WIRQPPGKTLEWLT(配列番号65);
VH FR3:RLSITKDTSKNQVVLTMTNMDPLDTGTYYC(配列番号66); and
VH FR4:WGQGTLVTVSS(配列番号67); and
VL FR1:DIVMTQTPSSLSASVGDRVTITC(配列番号76);
VL FR2:WYQQRPGQAPKLLIY(配列番号77);
VL FR3:GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号78);および
VL FR4:FGQGTRLDIK(配列番号79)。
【0222】
特定の実施形態では、本発明の単離抗体またはその抗原結合性断片は、
配列番号52のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号53のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;ならびに配列番号55のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号52のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号53のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR3;ならびに配列番号55のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号52のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号53のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号23のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号55のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号56のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号57のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号58のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号59のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号56のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号57のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号58のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号59のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号56のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号57のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号58のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号23のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号59のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号60のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号61のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号62のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号63のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号60のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号61のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号62のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号63のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号60のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号61のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号62のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号23のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号63のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4;または
配列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号23のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む。
【0223】
特定の実施形態では、本発明の単離抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号84のアミノ酸配列を含む抗体重鎖を含む。
【0224】
あるいは、または加えて、特定の実施形態では、本発明の単離抗体またはその抗原結合性断片は、
配列番号68のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号69のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号70のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号71のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号68のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号69のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号70のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号71のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号68のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号69のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号70のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号26のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号71のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号72のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号73のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号74のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号75のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号72のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号73のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号74のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号75のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号72のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号73のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号74のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号26のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号75のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号26のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号80のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号81のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号82のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号83のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号80のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号81のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号82のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号83のアミノ酸配列を有するVL FR4;または
配列番号80のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号81のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号25から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号82のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号26から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号83のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む。
【0225】
特定の実施形態では、本発明の単離抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号85のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖を含む。
【0226】
さらなる特定の実施形態では、本発明の単離抗体またはその抗原結合性断片は、配列番号84のアミノ酸配列を含む抗体重鎖、および配列番号85のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖を含む。
【0227】
他の実施形態では、本発明の単離抗体またはその抗原結合性断片は、
配列番号52のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号53のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号13および33から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号55のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号52のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号53のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号13のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号55のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号52のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号31のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号53のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号33のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号55のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号56のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号57のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号58のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号13および33から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号59のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号56のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号57のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号58のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号13のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号59のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号56のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号31のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号57のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号58のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号33のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号59のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号60のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号61のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号62のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号13および33から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号63のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号60のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号61のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号62のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号13のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号63のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号60のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号31のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号61のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号62のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号33のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号63のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号13および33から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4;
配列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号13のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4;または
配列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号31のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号33のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む。
【0228】
あるいは、または加えて、特定の実施形態では、本発明の単離抗体またはその抗原結合性断片は、
配列番号68のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号69のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号70のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号71のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号68のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号69のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号15のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号70のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号71のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号68のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号69のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号35のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号70のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号36のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号71のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号72のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号73のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号74のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号75のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号72のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号73のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号15のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号74のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号75のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号72のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号73のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号35のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号74のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号36のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号75のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号15のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号35のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号36のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号80のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号81のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号82のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号83のアミノ酸配列を有するVL FR4;
配列番号80のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号81のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号15のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号82のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号83のアミノ酸配列を有するVL FR4;または
配列番号80のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号81のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号35のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号82のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号36のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号83のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む。場合によって、対象抗体は、免疫グロブリンの定常領域(例えば、Fc領域)を含む。一部の実施形態では、存在する場合、Fc領域は、ヒトFc領域である。定常領域が存在する場合、抗体は、軽鎖定常領域および重鎖定常領域の両方を含有しうる。適切な重鎖定常領域は、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、CH3領域、およびCH4領域を含む。
【0229】
適切な重鎖Fc領域の例は、ヒトアイソタイプIgG4 Fcである。軽鎖定常領域は、ラムダまたはカッパでありうる。対象抗体(例えば、対象のヒト化抗体)は、1つを超えるクラスまたはアイソタイプに由来する配列を含みうる。抗体は、2つの軽鎖および2つの重鎖を含有する四量体として、個別の重鎖、軽鎖として、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFvとして、または重鎖可変ドメインと、軽鎖可変ドメインとを、スペーサーを介して連結した単鎖抗体として表すことができる。
【0230】
場合によって、重鎖領域は、アイソタイプIgG4の重鎖領域である。これらの実施形態のうちの一部では、ヒンジ領域は、S241P置換を含む。例えば、Angalら(1993年)、Mol. Immunol.、30巻:105頁を参照されたい。これらの実施形態のうちの一部では、ヒンジ領域は、L236E(またはL235E;EU番号付けを使用する;Kabatら(1991年)、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5版、U.S. Dept. Health and Human Services、Bethesda、MD、NIH刊行物第91-3242号)置換を含む。例えば、Reddyら(2000年)、J. Immunol.、164巻:1925頁;およびKlechevskyら(2010年)、Blood、116巻:1685頁を参照されたい。これらの実施形態のうちの一部では、ヒンジ領域は、S241P置換およびL236E置換を含む。
【0231】
定常領域アミノ酸配列は、それが由来する種の定常領域アミノ酸配列(例えば、ヒト配列)と同一である場合もあり、この定常領域アミノ酸配列と、少なくとも60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である場合もある。例えば、本発明の抗体の定常領域アミノ酸配列は、それが由来する種の定常領域アミノ酸配列と比較して、1つまたは複数の、アミノ酸の欠失、置換、または付加(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の、アミノ酸の欠失、置換、または付加)を含みうる。
【0232】
例えば、上で記載した通り、本発明の抗体のFcヒンジ領域のアミノ酸配列は、抗体の生物学的半減期を短縮するように変異させることもでき、Fc領域のアミノ酸配列は、抗体の生物学的半減期を延長するように変異させることもできる。
【0233】
本発明の抗体またはその抗原結合性断片は、抗体または断片を使用して、ADCCまたはCDCの結果として、T細胞を枯渇させることなく、T細胞の増殖および/または機能を負に調節しうるように、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)および補体依存性細胞傷害性(CDC)を欠くことを確保するものとする。
【0234】
例えば、一部の実施形態では、Fc領域は、野生型ヒトIgG4 Fc配列を含む。
【0235】
他の実施形態では、Fc領域は、Fabアーム交換を消失させる、S228P変異を有する、変異体ヒトIgG4 Fc配列(重鎖配列13E2IgG4mutを含むキメラ抗体Chim13E2IgG4については、図20(A)に示す)を含む。
【0236】
他の実施形態では、Fc領域は、野生型ヒトIgカッパ(IgK)鎖C部分(13E2IgK)(軽鎖配列13E2IgKを含むキメラ抗体Chim13E2IgG4については、図20(B)に示す)を含む。
【0237】
上で記載した、ヒトIgG4 Fc変異体について使用される、Fc領域内の残基の番号付けは、Kabatにおける、EUインデックスによる、標準的な番号付けである(Kabat, E.A.ら、Sequences of proteins of immunological interest、5版、US Department of Health and Human Services、NIH刊行物第91-3242号、662、680、689頁(1991年))。
【0238】
対象抗体は、抗体を、第2のポリペプチド(例えば、対象抗体を含む別の抗体)、足場、キャリアなどへと付着させるのに使用されうる、カルボキシル末端における遊離チオール(-SH)基を含みうる。
【0239】
一部の実施形態では、対象抗体は、1つまたは複数の自然にはないアミノ酸を含む。一部の実施形態では、非天然コードアミノ酸は、カルボニル基、アセチル基、アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、セミカルバジド基、アジド基、またはアルキン基を含む。例えば、適切な自然にはないアミノ酸については、米国特許第7,632,924号を参照されたい。自然にはないアミノ酸の組入れは、ポリマー、第2のポリペプチド、足場などへの連結をもたらしうる。例えば、水溶性ポリマーへと連結された対象抗体は、カルボニル基を含む水溶性ポリマー(例えば、PEG)を、アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、またはセミカルバジド基を含む非天然コードアミノ酸を含む抗体と反応させることにより作製することができる。別の例として、水溶性ポリマーへと連結された対象抗体は、アルキン含有アミノ酸を含む対象抗体を、アジド部分を含む水溶性ポリマー(例えば、PEG)と反応させることにより作製することができ、一部の実施形態では、アジドまたはアルキン基を、アミド連結を介して、PEG分子へと連結する。「非天然コードアミノ酸」は、20の一般的アミノ酸またはピロリシンもしくはセレノシステインのうちの1つではないアミノ酸を指す。「非天然コードアミノ酸」という用語と同義に使用されうる他の用語は、「非天然アミノ酸(non-natural amino acid)」、「非天然アミノ酸(unnatural amino acid)」、「自然にはないアミノ酸」、ならびにこれらの様々にハイフンを付した変化形およびこれらのハイフンを付さない変化形である。「非天然コードアミノ酸」という用語はまた、天然コードアミノ酸(20の一般的アミノ酸またはピロリシンおよびセレノシステインを含むがこれらに限定されない)の修飾(例えば、翻訳後修飾)により生じるが、それ自体、自然では、翻訳複合体により、成長するポリペプチド鎖へと組み込まれないアミノ酸も含むがこれらに限定されない。このような自然にはないアミノ酸の例は、N-アセチルグルコサミニル-L-セリン、N-アセチルグルコサミニル-L-トレオニン、およびO-ホスホチロシンを含むがこれらに限定されない。
【0240】
一部の実施形態では、対象抗体を、ポリマー(例えば、ポリペプチド以外のポリマー)へと連結する(例えば、共有結合的に連結する)。適切なポリマーは、例えば、生体適合性ポリマーおよび水溶性の生体適合性ポリマーを含む。適切なポリマーは、合成ポリマーおよび自然におけるポリマーを含む。適切なポリマーは、例えば、置換もしくは非置換の、直鎖もしくは分枝鎖の、ポリアルキレンポリマー、ポリアルケニレンポリマー、もしくはポリオキシアルキレンポリマー、または分枝状もしくは非分枝状の多糖、例えば、ホモ多糖もしくはヘテロ多糖を含む。適切なポリマーは、例えば、エチレンビニルアルコールコポリマー(一般に、一般名であるEVOHによりまたは商標名であるEVALにより公知である);ポリブチルメタクリレート;ポリ(ヒドロキシバレレート);ポリ(L-乳酸);ポリカプロラクトン;ポリ(ラクチド-co-グリコリド);ポリ(ヒドロキシブチレート);ポリ(ヒドロキシブチレート-co-バレレート);ポリジオキサノン;ポリオルトエステル;ポリ無水物;ポリ(グリコール酸);ポリ(D,L-乳酸);ポリ(グリコール酸-co-トリメチレンカーボネート);ポリホスホエステル;ポリホスホエステルウレタン;ポリ(アミノ酸);シアノアクリレート;ポリ(トリメチレンカーボネート);ポリ(イミノカーボネート);ポリ(エーテル-co-エステル)(copoly(ether-esters))(例えば、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(乳酸)(PEO/PLA)コポリマー);ポリアルキレンオキサレート;ポリホスファゼン;フィブリン、フィブリノゲン、セルロース、デンプン、コラーゲン、およびヒアルロン酸などの生体分子;ポリウレタン;シリコーン;ポリエステル;ポリオレフィン;ポリイソブチレン、およびエチレン-アルファオレフィンコポリマー;アクリルポリマーおよびアクリルコポリマー;ポリ塩化ビニルなど、ハロゲン化ビニルポリマーおよびハロゲン化ビニルコポリマー;ポリビニルメチルエーテルなどのポリビニルエーテル;ポリフッ化ビニリデンおよびポリ塩化ビニリデンなどのポリハロゲン化ビニリデン;ポリアクリロニトリル;ポリビニルケトン;ポリスチレンなどのポリビニル芳香族化合物;ポリ酢酸ビニルなどのポリビニルエステル;ビニル単量体の互いとのコポリマー、ならびにエチレン-メチルメタクリレートコポリマー、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、ABS樹脂、およびエチレン-酢酸ビニルコポリマーなどのオレフィン;Nylon 66およびポリカプトラクタムなどのポリアミド;アルキド樹脂;ポリカーボネート;ポリオキシメチレン;ポリイミド;ポリエーテル;エポキシ樹脂;ポリウレタン;レーヨン;レーヨン-トリアセテート;セルロース;酢酸セルロース;セルロースブチレート;セルロースアセテートブチレート;セロファン;硝酸セルロース;プロピオン酸セルロース;セルロースエーテル;アモルファスTeflon;ポリ(エチレングリコール);ならびにカルボキシメチルセルロースを含む。
【0241】
適切な合成ポリマーは、非置換または置換の、直鎖または分枝鎖の、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、およびこれらの誘導体、例えば、メトキシポリ(エチレングリコール)などの置換ポリ(エチレングリコール)およびその誘導体を含む。適切な、自然におけるポリマーは、例えば、アルブミン、アミロース、デキストラン、グリコーゲン、およびこれらの誘導体を含む。
【0242】
適切なポリマーは、500Da~50,000Da、例えば、5,000Da~40,000Da、または25,000~40,000Daの範囲の平均分子量を有しうる。例えば、対象抗体が、ポリ(エチレングリコール)(PEG)またはメトキシポリ(エチレングリコール)ポリマーを含む、一部の実施形態では、PEGまたはメトキシポリ(エチレングリコール)ポリマーは、約0.5キロダルトン(kDa)~1kDa、約1kDa~5kDa、5kDa~10kDa、10kDa~25kDa、25kDa~40kDa、または40kDa~60kDaの範囲の分子量を有しうる。
【0243】
上記の通り、一部の実施形態では、対象抗体を、ペプチド以外の合成ポリマーへと共有結合的に連結する。一部の実施形態では、対象抗体を、PEGポリマーへと共有結合的に連結する。一部の実施形態では、対象scFv多量体を、PEGポリマーへと共有結合的に連結する。例えば、Albrechtら(2006年)、J. Immunol. Methods、310巻:100頁を参照されたい。タンパク質のPEG化に適する方法および試薬が当技術分野で周知であり、例えば、米国特許第5,849,860号において見出すことができる。タンパク質へのコンジュゲーションに適するPEGは一般に、室温で、水に可溶性であり、一般式R(O-CH-CHO-R[式中、Rは、水素またはアルキル基またはアルカノール基などの保護基であり、nは、1~1,000の整数である]を有する。Rが保護基である場合、Rは一般に1~8個の炭素を有する。
【0244】
一部の実施形態では、対象抗体へとコンジュゲートさせるPEGは、直鎖状である。一部の実施形態では、対象抗体へとコンジュゲートさせるPEGは、分枝状である。米国特許第5,643,575号において記載されている分枝状PEG誘導体である、「スターPEG」などの分枝状PEG誘導体、およびShearwater Polymers,Inc.のカタログである、「Polyethylene Glycol Derivatives 1997-1998」において記載されているマルチアーム型PEGなどのマルチアーム型PEG。スターPEGは、例えば、米国特許第6,046,305号を含め、当技術分野で記載されている。
【0245】
対象抗体は、グリコシル化することができる、例えば、対象抗体は、共有結合的に連結された炭水化物部分または多糖部分を含みうる。抗体のグリコシル化は、典型的に、N連結型またはO連結型である。N連結型は、炭水化物部分の、アスパラギン残基の側鎖への付着を指す。トリペプチド配列である、アスパラギン-X-セリンおよびアスパラギン-X-トレオニン[配列中、Xは、プロリンを除く任意のアミノ酸である]は、炭水化物部分の、アスパラギン側鎖への酵素的付着のための認識配列である。したがって、これらのトリペプチド配列のうちのいずれかの、ポリペプチド内の存在は、潜在的なグリコシル化部位を創出する。O連結型グリコシル化は、糖であるN-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースのうちの1つの、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリシンもまた使用されうるが、最も一般には、セリンまたはトレオニンである、ヒドロキシアミノ酸への付着を指す。
【0246】
グリコシル化部位の、抗体への付加は、アミノ酸配列を、それが、上で記載したトリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含有するように変更することにより、簡便に達せられる(N連結型グリコシル化部位の場合)。変更はまた、元の抗体の配列に対する、1つまたは複数のセリン残基またはトレオニン残基の付加により、またはこれらによる置換により施すこともできる(O連結型グリコシル化部位の場合)。同様に、グリコシル化部位の除去も、抗体の天然のグリコシル化部位内のアミノ酸の変更により達することができる。
【0247】
一部の実施形態では、対象抗体は、「放射線不透過性」標識、例えば、x線を使用して、例えば、容易に視覚化されうる標識を含む。当業者には、放射線不透過性材料が周知である。最も一般的な放射線不透過性材料は、ヨウ化物塩、臭化物塩、またはバリウム塩を含む。他の放射線不透過性材料もまた公知であり、有機ビスマス誘導体(例えば、米国特許第5,939,045号を参照されたい)、放射線不透過性マルチウレタン(米国特許第5,346,981号を参照されたい)、有機ビスマス複合体(例えば、米国特許第5,256,334号を参照されたい)、放射線不透過性バリウム多量体複合体(例えば、米国特許第4,866,132号を参照されたい)などを含むがこれらに限定されない。
【0248】
対象抗体は、例えば、グルタルアルデヒド、ホモ二官能性架橋剤、またはヘテロ二官能性架橋剤を使用して、第2の部分(例えば、脂質、対象抗体以外のポリペプチド、合成ポリマー、炭水化物など)へと、共有結合的に連結することができる。グルタルアルデヒドは、それらのアミノ部分を介して、ポリペプチドを架橋する。ホモ二官能性架橋剤(例えば、ホモ二官能性イミドエステル、ホモ二官能性N-ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステル、またはホモ二官能性スルフヒドリル反応性架橋剤)は、2つまたはこれを超える、同一な反応性部分を含有し、架橋剤を、連結されるポリペプチドの混合物を含有する溶液へと添加する、1ステップの反応手順において使用することができる。ホモ二官能性のNHSエステルおよびイミドエステルは、アミン含有ポリペプチドを架橋する。弱いアルカリ性のpHでは、イミドエステルは、一級アミンだけと反応して、イミドアミドを形成し、架橋されたポリペプチド全体の電荷には影響を及ぼさない。ホモ二官能性スルフヒドリル反応性架橋剤は、ビスマレイミドヘキサン(BMH)、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン(DFDNB)、および1,4-ジ-(3’,2’-ピリジルジチオ)プロピノアミドブタン(DPDPB)を含む。
【0249】
ヘテロ二官能性架橋剤は、2つまたはこれを超える、異なる反応性部分(例えば、アミン反応性部分およびスルフヒドリル反応性部分)を有し、アミン反応性部分またはスルフヒドリル反応性部分を介して、ポリペプチドのうちの1つと架橋し、次いで、非反応部分を介して、他のポリペプチドと反応する。ピリジルジスルフィド架橋剤がそうであるように、複数のヘテロ二官能性ハロアセチル架橋剤が利用可能である。カルボジイミドは、カルボキシルを、アミンへとカップリングする結果として、アミド結合をもたらす、ヘテロ二官能性架橋試薬の古典的な例である。
【0250】
対象抗体は、固体支持体上に固定化することができる。適切な支持体が当技術分野で周知であり、とりわけ、市販されているカラム材料、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、磁気ビーズ、コロイド金属粒子、ガラスチップおよびガラス表面ならびに/またはケイ素チップおよびケイ素表面、ニトロセルロースストリップ、ナイロン膜、シート、duracyte、反応トレーのウェル(例えば、マルチウェルプレート)、プラスチックチューブなどを含む。固体支持体は、例えば、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、デキストラン、ナイロン、アミロース、天然セルロースおよび修飾セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、ならびにマグネタイトを含む、様々な物質のうちのいずれかを含みうる。対象抗体を、固体支持体へと固定化するのに適する方法は周知であり、イオン性相互作用、疎水性相互作用、共有結合的相互作用などを含むがこれらに限定されない。固体支持体は、例えば、水溶液中で、可溶性であっても、不溶性であってもよい。一部の実施形態では、適切な固体支持体は一般に、水溶液中で、不溶性である。
【0251】
一部の実施形態では、対象抗体は、検出可能な標識を含む。適切な検出可能な標識は、分光的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、電気的手段、光学的手段、または化学的手段により検出可能な、任意の組成物を含む。適切な標識は、磁気ビーズ(例えば、Dynabeads(商標))、蛍光色素(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質など)、放射性標識(例えば、H、125I、35S、14C、または32P)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、および酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)で一般に使用される他の酵素)、および金コロイド、または有色ガラスまたは有色プラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズなどの比色標識を含むがこれらに限定されない。
【0252】
一部の実施形態では、対象抗体は、イメージング、例えば、ヒトにおいて実行されるイメージング手順における使用に適する、造影剤または放射性同位元素を含む。標識の非限定的な例は、1231I(ヨウ素)、18F(フッ素)、99Tc(テクネシウム)、111In(インジウム)、および67Ga(ガリウム)などの放射性同位元素、ならびにガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム、および鉄などの造影剤を含む。Gdの放射性同位体(153Gd)もまた、利用可能であり、非ヒト哺乳動物におけるイメージング手順に適する。
【0253】
対象抗体は、標準的な技法を使用して標識することができる。例えば、対象抗体は、クロラミンTまたは1,3,4,6-テトラクロロ-3α,6α-ジフェニルグリコウリルを使用して、ヨウ素化することができる。フッ素化のためには、フッ化物イオン置換反応による合成時に、フッ素を、対象抗体へと添加する。このような放射性同位体を伴うタンパク質の合成の総説については、Muller-Gartner, H.、TIB Tech.、16巻:122~130頁(1998年);およびSaji, H.、Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Syst.、16巻(2号):209~244頁(1999年)を参照されたい。対象抗体はまた、標準的な技法を介して、造影剤で標識することもできる。例えば、対象抗体は、Gdジエチレントリアミン五酢酸(GdDTPA)またはGdテトラアザシクロドデカン四酢酸(GdDOTA)などの低分子Gdキレートを、抗体へとコンジュゲートすることにより、Gdで標識することができる。Caravanら、Chem. Rev.、99巻:2293~2352頁(1999年);およびLaufferら、J. Magn. Reson. Imaging、3巻:11~16頁(1985年)を参照されたい。対象抗体は、例えば、ポリリシン-Gdキレートを、抗体へとコンジュゲートすることにより、Gdで標識することができる。例えば、Curtetら、Invest. Radiol.、33巻(10号):752~761頁(1998年)を参照されたい。代替的に、対象抗体は、Gdキレーター脂質を含む常磁性重合化リポソームを、アビジンおよびビオチニル化抗体と共にインキュベートすることにより、Gdで標識することもできる。例えば、Sipkinsら、Nature Med.、4巻:623~626頁(1998年)を参照されたい。
【0254】
対象抗体へと連結されうる、適切な蛍光タンパク質は、Aequoria victoriaに由来する緑色蛍光タンパク質、または、例えば、米国特許第6,066,476号;同第6,020,192号;同第5,985,577号;同第5,976,796号;同第5,968,750号;同第5,968,738号;同第5,958,713号;同第5,919,445号;同第5,874,304号に記載されている、その変異体もしくは誘導体;例えば、増強型GFP、例えば、Clontech,Inc.から市販されている、多くのこのようなGFP;赤色蛍光タンパク質;黄色蛍光タンパク質;例えば、Matzら(1999年)、Nature Biotechnol.、17巻:969~973頁などにおいて記載されている、花虫動物種に由来する様々な蛍光タンパク質および有色タンパク質のうちのいずれかを含むがこれらに限定されない。
【0255】
一部の実施形態では、対象抗体を、治療薬へとコンジュゲートさせる。本明細書で開示される対象抗体のうちのいずれかを使用して、抗体-薬剤コンジュゲートを形成することができる。薬剤は、軽鎖のN末端、軽鎖のC末端、重鎖のN末端、または重鎖のC末端へと付着させることができる。一部の実施形態では、薬剤を、抗体のヒンジまたは抗体上の1つもしくは複数の他の部位へと付着させる。単鎖抗体では、薬剤を、単鎖抗体のN末端またはC末端へと付着させることができる。薬剤は、当業者に公知の技法を使用して、抗体へと直接、またはリンカーを介してコンジュゲートさせることができる。リンカーは、切断型であっても、非切断型であってもよい。当業者には、このような治療剤(例えば、治療における使用のための)の例が公知である。
【0256】
一部の実施形態では、対象抗体を、融合パートナー、例えば、リガンド;エピトープタグ;ペプチド;抗体以外のタンパク質などへと連結する(例えば、共有結合的または非共有結合的に連結する)。適切な融合パートナーは、in vivoにおける安定性の増強(例えば、血清半減期の延長)を付与する、ペプチドおよびポリペプチド;精製の容易さをもたらすペプチドおよびポリペプチド、例えば、(His)、例えば、6Hisなど;融合タンパク質の、細胞からの分泌をもたらすペプチドおよびポリペプチド;エピトープタグをもたらすペプチドおよびポリペプチド、例えば、GST、ヘマグルチニン(HA;例えば、YPYDVPDYA;配列番号41)、FLAG(例えば、DYKDDDDK;配列番号42)、c-myc(例えば、EQKLISEEDL;配列番号43)など;検出可能なシグナルをもたらすペプチドおよびポリペプチド、例えば、検出可能な生成物を発生させる酵素(例えば、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ)、またはそれ自体が検出可能なタンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質など;多量体化をもたらすペプチドおよびポリペプチド、例えば、免疫グロブリンのFc部分などの多量体化ドメインなどを含む。
【0257】
融合体はまた、例えば、同定または精製に有用な固体支持体上に固定化されたパートナーなどの結合パートナーと相互作用しうるペプチド配列を含む、アフィニティードメインも含みうる。タンパク質へと融合させた場合の、ヒスチジンなど、連続的な単一アミノ酸は、ニッケルセファロースなどの樹脂カラムへの高アフィニティーの結合による、融合タンパク質の1ステップの精製のために使用することができる。例示的なアフィニティードメインは、His5(HHHHH)(配列番号44)、HisX6(HHHHHH)(配列番号45)、c-myc(EQKLISEEDL)(配列番号46)、Flag(DYKDDDDK)(配列番号42)、StrepTag(WSHPQFEK)(配列番号47)、ヘマグルチニン、例えば、HA Tag(YPYDVPDYA;配列番号41)、グルタチオン(glutathinone)-S-トランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、セルロース結合性ドメイン、RYIRS(配列番号48)、Phe-His-His-Thr(配列番号49)、キチン結合性ドメイン、S-ペプチド、T7ペプチド、SH2ドメイン、C末端RNAタグ、WEAAAREACCRECCARA(配列番号50)、金属結合性ドメイン、例えば、亜鉛結合性ドメイン、またはカルシウム結合性タンパク質、例えば、カルモジュリン、トロポニンC、カルシニューリンB、ミオシン軽鎖、リカバリン、S-モジュリン、ビシニン、VILIP、ニューロカルシン、ヒポカルシン、フレケニン、カルトラクチン、カルパイン大サブユニット、S100タンパク質、パルブアルブミン、カルビンジンD9K、カルビンジンD28K、およびカルレチニンなどのカルシウムタンパク質に由来するカルシウム結合性ドメイン、インテイン、ビオチン、ストレプトアビジン、MyoD、ロイシンジッパー配列、およびマルトース結合性タンパク質を含む。
【0258】
ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列について、「同一な」または「同一性」という用語は、最適にアライメントされ、適切な挿入または欠失と比較された場合における、2つの核酸配列または2つのアミノ酸配列の間の同一性の程度を指し示す。
【0259】
2つの配列間の同一性パーセントとは、配列により共有される同一な位置の数の関数(すなわち、同一性%=同一な位置の数/位置の総数×100)であって、2つの配列の最適なアライメントのために導入を必要とする、ギャップの数と、各ギャップの長さとを考慮に入れた関数である。配列の比較、および2つの配列間の同一性パーセントの決定は、下で記載される数学的アルゴリズムを使用して達することができる。
【0260】
クエリー核酸配列と、対象核酸配列との間の同一性パーセントとは、ペアワイズBLASTNアライメントを実施した後で、対象核酸配列が、クエリー核酸配列により、100%のクエリーカバレッジを有する場合に、BLASTNアルゴリズムにより計算される百分率として表される「同一性」値である。クエリー核酸配列と、対象核酸配列との間の、このようなペアワイズBLASTNアライメントは、National Center for Biotechnology Instituteのウェブサイト上で入手可能なBLASTNアルゴリズムのデフォルトの設定を、低複雑性領域のためのフィルターをオフとして使用することにより実施する。重要なことに、クエリー核酸配列を、本明細書の1つまたは複数の請求項において同定される核酸配列により記載しうる。
【0261】
クエリーアミノ酸配列と、対象アミノ酸配列との間の同一性パーセントは、ペアワイズBLASTPアライメントを実施した後で、対象アミノ酸配列が、クエリーアミノ酸配列により、100%のクエリーカバレッジを有する場合に、BLASTPアルゴリズムにより計算される百分率として表される「同一性」値である。クエリーアミノ酸配列と、対象アミノ酸配列との間の、このようなペアワイズBLASTPアライメントは、National Center for Biotechnology Instituteのウェブサイト上で入手可能なBLASTPアルゴリズムのデフォルトの設定を、低複雑性領域のためのフィルターをオフとして使用することにより実施する。重要なことに、クエリーアミノ酸配列を、本明細書の1つまたは複数の請求項において同定されるアミノ酸配列により記載しうる。
【0262】
対象抗体を作製する方法
対象抗体は、任意の公知の方法、例えば、タンパク質合成のための従来の合成法;組換えDNA法などにより作製することができる。一部の実施形態では、対象抗体を、組換えによる作製および化学合成からなる群から選択される方法により作製する。
【0263】
対象抗体が、単鎖ポリペプチドである場合、対象抗体を、標準的な化学的ペプチド合成技法を使用して合成することができる。ポリペプチドを化学合成する場合、合成は、液相または固相を介して進行しうる。配列のC末端アミノ酸を、不溶性支持体へと付着させた後、配列内の残りのアミノ酸を逐次付加する、固相ポリペプチド合成(SPPS)は、対象抗体の化学合成に適する方法の例である。FmocおよびBocなど、SPPSの多様な形態が、対象抗体の合成のために利用可能である。固相合成のための技法については、BaranyおよびMerrifield、Solid-Phase Peptide Synthesis;3~284頁、The Peptides:Analysis, Synthesis, Biology、2巻:Special Methods in Peptide Synthesis、A部、Merrifieldら、J. Am. Chem. Soc.、85巻:2149~2156頁(1963年);Stewartら、Solid Phase Peptide Synthesis、2版、Pierce Chem. Co.、Rockford、Ill.(1984年);ならびにGanesan A.、2006年、Mini Rev. Med Chem.、6巻:3~10頁;ならびにCamarero JAら、2005年、Protein Pept Lett.、12巻:723~8頁により記載されている。略述すると、小型、不溶性で、多孔性のビーズを、官能基で処理し、この上にペプチド鎖を構築する。カップリング/脱保護サイクルを繰り返した後、付着させた固相の遊離N末端アミンを、単一のN-保護アミノ酸単位へとカップリングさせる。次いで、この単位を脱保護し、新たなN末端アミンを露出させ、これにさらにアミノ酸を付着させることができる。ペプチドは、固相上の固定されたままで、濾過工程を経てから、切断される。
【0264】
対象抗体を作製するために、標準的な組換え方法を使用することができる。例えば、任意選択で、定常領域へと連結された、軽鎖可変領域および重鎖可変領域をコードする核酸を、発現ベクターへと挿入する。軽鎖および重鎖は、同じまたは異なる発現ベクター内にクローニングすることができる。免疫グロブリン鎖をコードするDNAセグメントは、免疫グロブリンポリペプチドの発現を確保する発現ベクター内の制御配列に作動可能に連結する。発現制御配列は、プロモーター(例えば、天然で会合するプロモーターまたは異種プロモーター)、シグナル配列、エンハンサーエレメント、リプレッサーエレメント、および転写終結配列を含むがこれらに限定されない。発現制御配列は、真核宿主細胞(例えば、COS細胞またはCHO細胞)を形質転換するか、またはこれにトランスフェクトすることが可能なベクター内の真核プロモーター系でありうる。ベクターを、適切な宿主へと組み込んだら、宿主を、高レベルのヌクレオチド配列の発現、ならびに抗体の回収および精製に適する条件下で維持する。
【0265】
コードの縮重性のために、様々な核酸配列が、各免疫グロブリンのアミノ酸配列をコードしうる。所望の核酸配列は、デノボの固相DNA合成により、または所望のポリヌクレオチドの、あらかじめ調製されたバリアントに対するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)変異誘発により作製することができる。オリゴヌクレオチド媒介性変異誘発は、標的ポリペプチドDNAの置換バリアント、欠失バリアント、および挿入バリアントを調製するのに適する方法の例である。Adelmanら、DNA、2巻:183頁(1983年)を参照されたい。略述すると、所望の変異をコードするオリゴヌクレオチドを、一本鎖DNA鋳型とハイブリダイズさせることにより、標的ポリペプチドDNAを変更する。ハイブリダイゼーションの後、DNAポリメラーゼを使用して、オリゴヌクレオチドプライマーを組み込み、標的ポリペプチドDNA内の選択された変更をコードする鋳型の、第2の相補鎖の全体を合成する。
【0266】
適切な発現ベクターは、宿主生物において、エピソームとしてまたは宿主染色体DNAの不可欠な部分として、複製可能であることが典型的である。一般に、発現ベクターは、所望のDNA配列で形質転換された細胞の検出を可能とするように、選択マーカー(例えば、アンピシリン耐性、ヒグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性、カナマイシン耐性、またはネオマイシン耐性)を含有する。
【0267】
Escherichia coliは、対象抗体をコードするポリヌクレオチドをクローニングするために使用されうる、原核宿主細胞の例である。使用に適する他の微生物宿主は、Bacillus subtilisなどの桿菌、ならびにSalmonella種、Serratia種、および多様なPseudomonas種など、他のEnterobacteriaceaeを含む。これらの原核宿主ではまた、宿主細胞と適合性の発現制御配列(例えば、複製起点)を典型的には含有する発現ベクターを作製しうる。加えて、ラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、ベータ-ラクタマーゼプロモーター系、またはファージラムダに由来するプロモーター系など、任意の数の、周知の様々なプロモーターも存在する。プロモーターは、任意選択で、オペレーター配列により、発現を制御し、転写および翻訳を開始および終了するための、リボソーム結合性部位配列などを有することが典型的である。
【0268】
酵母など、他の微生物もまた、発現に有用である。Saccharomyces(例えば、S.cerevisiae)およびPichiaは、所望に応じて、発現制御配列(例えば、プロモーター)、複製起点、終結配列などを有する、適切なベクターを有する、適切な酵母宿主細胞の例である。典型的なプロモーターは、3-ホスホグリセリン酸キナーゼおよび他の解糖系酵素を含む。誘導性酵母プロモーターは、中でも、アルコールデヒドロゲナーゼ、イソチトクロームC、ならびにマルトースおよびガラクトースの利用の一因となる酵素に由来するプロモーターを含む。
【0269】
微小生物に加えて、哺乳動物細胞(例えば、in vitroの細胞培養物中で増殖させる哺乳動物細胞)もまた、本開示の抗LAG-3抗体(例えば、対象の抗LAG-3抗体をコードするポリヌクレオチド)を発現させ、作製するのに使用することができる。Winnacker、From Genes to Clones、VCH Publishers、N.Y.、N.Y.(1987年)を参照されたい。適切な哺乳動物宿主細胞は、CHO細胞株、多様なCos細胞株、HeLa細胞、骨髄腫細胞株、および形質転換されたB細胞、またはハイブリドーマを含む。これらの細胞のための発現ベクターは、複製起点、プロモーター、およびエンハンサーなどの発現制御配列(Queenら、Immunol. Rev.、89巻:49頁(1986年))、ならびにリボソーム結合性部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、および転写ターミネーター配列など、必要なプロセシング情報部位を含みうる。適切な発現制御配列の例は、免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、サイトメガロウイルスなどに由来するプロモーターである。Coら、J. Immunol.、148巻:1149頁(1992年)を参照されたい。他の方法では、本発明の抗体は、マウスにおいて作製することができる(例えば、Laffleurら、「Production of human or humanized antibodies in mice」、Methods Mol Biol.、2012年、901巻:149~59頁を参照されたい)。
【0270】
合成した(化学的または組換えにより)ら、対象抗体の、全抗体、それらの二量体、個々の軽鎖および重鎖、または他の形態(例えば、scFvなど)を、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)精製、ゲル電気泳動など(一般に、Scopes, Protein Purification、Springer-Verlag、N.Y.(1982年)を参照されたい)を含む、当技術分野の標準的な手順に従い、精製することができる。対象抗体は、実質的に純粋、例えば、少なくとも約80%~85%純粋、少なくとも約85%~90%純粋、少なくとも約90%~95%純粋、もしくは98%~99%、またはこれを超えて純粋、例えば、細胞破砕物、対象抗体以外の高分子などの夾雑物を含まない可能性がある。
【0271】
核酸分子、発現ベクター、および宿主細胞
本発明はまた、本発明の抗LAG-3抗体またはその抗原結合性断片をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子も提供する。
【0272】
一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、配列番号7または配列番号17に明示したアミノ酸配列に対する、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列の同一性を有する重鎖可変領域を含む、対象の抗LAG-3抗体をコードする。一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、配列番号7または配列番号17に明示したアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、対象の抗LAG-3抗体をコードする。
【0273】
一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、配列番号8または配列番号18に明示したアミノ酸配列に対する、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列の同一性を有する軽鎖可変領域を含む、対象の抗LAG-3抗体をコードする。一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、配列番号8または配列番号18に明示したアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、対象の抗LAG-3抗体をコードする。
【0274】
一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、それぞれ、配列番号1、配列番号2、および配列番号3のCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖可変領域を含む、対象の抗LAG-3抗体をコードする。
【0275】
一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、それぞれ、配列番号4、配列番号5、および配列番号6のCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む軽鎖可変領域を含む、対象の抗LAG-3抗体をコードする。
【0276】
一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、それぞれ、配列番号11、配列番号12、および配列番号13のCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖可変領域を含む、対象の抗LAG-3抗体をコードする。
【0277】
一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、それぞれ、配列番号14、配列番号15、および配列番号16のCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む軽鎖可変領域を含む、対象の抗LAG-3抗体をコードする。
【0278】
一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、それぞれ、配列番号21、配列番号22、および配列番号23のCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖可変領域を含む、対象の抗LAG-3抗体をコードする。
【0279】
一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、それぞれ、配列番号24、配列番号25、および配列番号26のCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む軽鎖可変領域を含む、対象の抗LAG-3抗体をコードする。
【0280】
一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、それぞれ、配列番号31、配列番号32、および配列番号33のCDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3を含む重鎖可変領域を含む、対象の抗LAG-3抗体をコードする。
【0281】
一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、それぞれ、配列番号34、配列番号35、および配列番号36のCDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3を含む軽鎖可変領域を含む、対象の抗LAG-3抗体をコードする。
【0282】
一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、軽鎖可変領域および重鎖可変領域を含む、対象の抗LAG-3抗体をコードする。
【0283】
対象抗体をコードする核酸分子は、ヌクレオチド配列の、意図される標的細胞(例えば、コードされる抗体を合成するように遺伝子改変された細胞)内の発現を可能とするプロモーターおよびエンハンサーなど、1つまたは複数の調節的エレメントに作動可能に連結することができる。
【0284】
適切なプロモーターエレメントおよびエンハンサーエレメントが当技術分野で公知である。原核宿主細胞における使用に適するプロモーターは、バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼプロモーター;T3プロモーター;T5プロモーター;ラムダPプロモーター;trpプロモーター;lacオペロンプロモーター;ハイブリッドプロモーター、例えば、lac/tacハイブリッドプロモーター、tac/trcハイブリッドプロモーター、trp/lacプロモーター、T7/lacプロモーター;trcプロモーター;tacプロモーターなど;gptプロモーター;araBADプロモーター;ssaGプロモーターまたは類縁のプロモーターなど、in vivo調節型プロモーター(例えば、米国特許公開第20040131637号を参照されたい)、pagCプロモーター(PulkkinenおよびMiller、J. Bacteriol.、1991年:173巻(1号):86~93頁;Alpuche-Arandaら、PNAS、1992年;89巻(21号):10079~83頁)、nirBプロモーター(Harborneら(1992年)、Mol. Micro.、6巻:2805~2813頁)など(例えば、Dunstanら(1999年)、Infect. Immun.、67巻:5133~5141頁;McKelvieら(2004年)、Vaccine、22巻:3243~3255頁;およびChatfieldら(1992年)、Biotechnol.、10巻:888~892頁を参照されたい);シグマ70プロモーター、例えば、コンセンサスシグマ70プロモーター(例えば、GenBank受託番号:AX798980、AX798961、およびAX798183を参照されたい);静止期プロモーター、例えば、dpsプロモーター、spvプロモーターなど;病原性アイランドに由来するプロモーターSPI-2(例えば、WO96/17951を参照されたい);actAプロモーター(例えば、Shetron-Ramaら(2002年)、Infect. Immun.、70巻:1087~1096頁を参照されたい);rpsMプロモーター(例えば、ValdiviaおよびFalkow(1996年)、Mol. Microbiol.、22巻:367頁を参照されたい);tetプロモーター(例えば、Hillen, W.およびWissmann, A.(1989年)、Saenger,W.およびHeinemann, U.(編)、Topics in Molecular and Structural Biology, Protein-Nucleic Acid Interaction.、Macmillan、London、UK、10巻、143~162頁を参照されたい);SP6プロモーター(例えば、Meltonら(1984年)、Nucl. Acids Res.、12巻:7035頁を参照されたい)などを含むがこれらに限定されない。Escherichia coliなど、原核生物における使用のための、適切な強力プロモーターは、Trc、Tac、T5、T7、およびPLambdaを含むがこれらに限定されない。細菌宿主細胞における使用のためのオペレーターの非限定的な例は、ラクトースプロモーターオペレーター(LacIリプレッサータンパク質は、ラクトースと接触すると、コンフォメーションを変化させ、これにより、LacIリプレッサータンパク質が、オペレーターに結合することを防止する)、トリプトファンプロモーターオペレーター(トリプトファンと複合体化すると、TrpRリプレッサータンパク質は、オペレーターに結合するコンフォメーションを有するが、トリプトファンの非存在下では、TrpRリプレッサータンパク質は、オペレーターに結合しないコンフォメーションを有する)、およびtacプロモーターオペレーターを含む(例えば、deBoerら(1983年)、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、80巻:21~25頁を参照されたい)。
【0285】
一部の実施形態では、例えば、酵母細胞内の発現のために、適切なプロモーターは、ADH1プロモーター、PGK1プロモーター、ENOプロモーター、PYK1プロモーターなどの構成的プロモーター;またはGAL1プロモーター、GAL10プロモーター、ADH2プロモーター、PHO5プロモーター、CUP1プロモーター、GAL7プロモーター、MET25プロモーター、MET3プロモーター、CYC1プロモーター、HIS3プロモーター、ADH1プロモーター、PGKプロモーター、GAPDHプロモーター、ADC1プロモーター、TRP1プロモーター、URA3プロモーター、LEU2プロモーター、ENOプロモーター、TP1プロモーター、およびAOX1(例えば、Pichiaにおける使用のため)などの調節性プロモーターである。
【0286】
真核細胞内での発現の場合、適切なプロモーターは、軽鎖免疫グロブリン遺伝子および/または重鎖免疫グロブリン遺伝子のプロモーターエレメントおよびエンハンサーエレメント;サイトメガロウイルス最初期プロモーター;単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼプロモーター;初期SV40プロモーターおよび後期SV40プロモーター;レトロウイルスに由来するLTR(long terminal repeat)内に存在するプロモーター;マウスメタロチオネイン-Iプロモーター;ならびに当技術分野で公知の、多様な組織特異的プロモーターを含むがこれらに限定されない。
【0287】
適切なベクターおよびプロモーターの選択は、当業者のレベルの範囲内にある。
【0288】
対象抗体をコードする核酸分子は、発現ベクターおよび/またはクローニングベクター内に存在しうる。本開示は、対象抗体をコードする核酸分子を、クローニングベクター内に含む、組換えベクターを提供する。本開示はまた、コードされる抗体の発現を確保するように、発現ベクター内の、適切な調節配列に作動的に連結した対象抗体をコードする核酸分子を含む組換え分子も提供する。対象抗体が、2つの個別のポリペプチドを含む場合、2つのポリペプチドをコードする核酸分子を、同じベクターまたは個別のベクターにクローニングして、1つまたは複数の組換え分子を形成することができる。組換え分子は、選択用マーカー、複製起点、ならびに組換え分子の複製および/または維持をもたらす他の特色を含みうる。
【0289】
多数の適切なベクターおよびプロモーターが当業者には公知であり、対象の組換え分子を作出するために、多くが市販されている。以下のベクターは、例として提供する。細菌性:pBs、phagescript、PsiX174、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene、La Jolla、Calif.、USA);pTrc99A、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、およびpRIT5(Pharmacia、Uppsala、Sweden)。真核細胞性:pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXR1、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSG、およびpSVL(Pharmacia)。
【0290】
発現ベクターは一般に、異種タンパク質をコードする核酸配列の挿入をもたらすように、プロモーター配列の近傍に配置された簡便な制限部位を有する。発現宿主内で作動的な選択用マーカーも存在しうる。適切な発現ベクターは、ウイルスベクターを含むがこれらに限定されない。ウイルスベクターの例は、ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;アデノウイルス(例えば、Liら、Invest Opthalmol Vis Sci、35巻:2543~2549頁、1994年;Borrasら、Gene Ther、6巻:515~524頁、1999年;LiおよびDavidson、PNAS、92巻:7700~7704頁、1995年;Sakamotoら、H Gene Ther、5巻:1088~1097頁、1999年;WO94/12649、WO93/03769;WO93/19191;WO94/28938;WO95/11984;ならびにWO95/00655を参照されたい);アデノ随伴ウイルス(例えば、Aliら、Hum Gene Ther、9巻:81~86頁、1998年、Flanneryら、PNAS、94巻:6916~6921頁、1997年;Bennettら、Invest Opthalmol Vis Sci、38巻:2857~2863頁、1997年;Jomaryら、Gene Ther、4巻:683~690頁、1997年、Rollingら、Hum Gene Ther、10巻:641~648頁、1999年;Aliら、Hum Mol Genet 5巻:591~594頁、1996年;Srivastava、WO93/09239、Samulskiら、J. Vir.(1989年)、63巻:3822~3828頁;Mendelsonら、Virol.(1988年)、166巻:154~165頁;およびFlotteら、PNAS(1993年)、90巻:10613~10617頁を参照されたい);SV40;単純ヘルペスウイルス;レトロウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、ならびにラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、Miyoshiら、PNAS、94巻:10319~23頁、1997年;Takahashiら、J Virol、73巻:7812~7816頁、1999年を参照されたい)、骨髄増殖性肉腫ウイルス、および乳腺腫瘍ウイルスなど、レトロウイルスに由来するベクター)などに基づくウイルスベクターを含むがこれらに限定されない。
【0291】
上記の通り、対象の核酸分子は、本開示の抗LAG-3抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、対象の核酸分子は、対象の13E2抗体または34F4抗体の、重鎖CDRおよび軽鎖CDRをコードするヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、対象の核酸分子は、対象抗体の重鎖CDRおよび軽鎖CDRをコードするヌクレオチド配列であって、CDRをコードする配列がFRをコードするヌクレオチド配列を散在させた、ヌクレオチド配列を含む。一部の実施形態では、FRをコードするヌクレオチド配列は、ヒトFRをコードするヌクレオチド配列である。
【0292】
宿主細胞
本開示は、対象の核酸分子で遺伝子改変された、単離遺伝子改変宿主細胞(例えば、in vitro細胞)を提供する。一部の実施形態では、対象の単離遺伝子改変宿主細胞は、対象抗体を産生しうる。このような細胞を、組換え細胞と称する。組換え細胞は、対象抗体をコードする組換え分子を含む。
【0293】
適切な宿主細胞は、哺乳動物細胞、昆虫宿主細胞、酵母細胞などの真核宿主細胞;および細菌細胞などの原核細胞を含む。対象核酸の、宿主細胞への導入は、例えば、リン酸カルシウム沈殿、DEAEデキストラン媒介型トランスフェクション、リポソーム媒介型トランスフェクション、電気穿孔、または他の公知の方法により行うことができる。
【0294】
適切な哺乳動物細胞は、初代細胞および不死化細胞株を含む。適切な哺乳動物細胞株は、ヒト細胞株、非ヒト霊長動物細胞株、齧歯動物(例えば、マウス、ラット)細胞株などを含む。適切な哺乳動物細胞株は、HeLa細胞(例えば、American Type Culture Collection(ATCC)番号:CCL-2)、CHO細胞(例えば、ATCC番号:CRL9618、CCL61、CRL9096)、293細胞(例えば、ATCC番号:CRL-1573)、Vero細胞、NIH 3T3細胞(例えば、ATCC番号:CRL-1658)、Huh-7細胞、BHK細胞(例えば、ATCC番号:CCL10)、PC12細胞(ATCC番号:CRL1721)、COS細胞、COS-7細胞(ATCC番号:CRL1651)、RAT1細胞、マウスL細胞(ATCC番号:CCLI.3)、ヒト胎児腎(HEK)細胞(ATCC番号:CRL1573)、HLHepG2細胞などを含むがこれらに限定されない。場合によって、細胞は、HEK細胞である。場合によって、細胞は、CHO細胞、例えば、CHO-K1細胞(ATCC番号:CCL-61)、CHO-M細胞、CHO-DG44細胞(ATCC番号:PTA-3356)などである。一部の実施形態では、宿主細胞は、COS細胞である。一部の実施形態では、宿主細胞は、293細胞である。一部の実施形態では、宿主細胞は、CHO細胞である。
【0295】
適切な酵母細胞は、Pichia pastoris、Pichia finlandica、Pichia trehalophila、Pichia koclamae、Pichia membranaefaciens、Pichia opuntiae、Pichia thermotolerans、Pichia salictaria、Pichia guercuum、Pichia pijperi、Pichia stiptis、Pichia methanolica、Pichia sp.、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces sp.、Hansenula polymorpha、Kluyveromyces sp.、Kluyveromyces lactis、Candida albicans、Aspergillus nidulans、Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、Trichoderma reesei、Chrysosporium lucknowense、Fusarium sp.、Fusarium gramineum、Fusarium venenatum、Neurospora crassa、Chlamydomonas reinhardtiiなどを含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、宿主細胞は、Saccharomycesである。一部の実施形態では、宿主細胞は、Pichiaである。
【0296】
適切な原核細胞は、Escherichia coli、Bacillus(例えば、B.subtilis)、Lactobacillus sp.などの様々な検査室株のうちのいずれかを含むがこれらに限定されない。例えば、Carrierら(1992年)、J. Immunol.、148巻:1176~1181頁;米国特許第6,447,784号;およびSizemoreら(1995年)、Science、270巻:299~302頁を参照されたい。検査室株は、非病原性の株であることが典型的である。一部の実施形態では、宿主細胞は、Escherichia coliである。一部の実施形態では、宿主細胞は、Bacillus subtilisである。
【0297】
組成物
本開示は、対象抗体を含む組成物を提供する。対象抗体組成物は、対象抗体に加えて、塩、例えば、NaCl、MgCl、KCl、MgSOなど;緩衝化剤、例えば、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-(2-エタンスルホン酸)(HEPES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩(MES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N-トリス[ヒドロキシメチル]メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)など;可溶化剤;デタージェント、例えば、Tween-20などの非イオン性デタージェントなど;プロテアーゼ阻害剤;グリセロールなどのうちの1つまたは複数を含みうる。
【0298】
医薬組成物
本開示は、対象抗体を含む医薬組成物を含む組成物を提供する。一般に、本明細書ではまた、製剤とも称する医薬組成物は、有効量の対象抗体を含む。「有効量」は、所望の結果、例えば、免疫障害と関連する有害症状の低減、免疫障害の症状の改善、免疫障害の進行の緩徐化などをもたらすのに十分な投与量を意味する。一般に、所望の結果は、免疫障害の症状の、少なくとも、対照と比較した低減である。
【0299】
製剤
対象の方法では、所望の治療効果または診断効果を結果としてもたらすことが可能な、任意の簡便な手段を使用して、対象抗体を、宿主へと投与することができる。したがって、薬剤は、治療的投与のための様々な製剤へと、組み込むことができる。より特定すると、対象抗体は、適切な、薬学的に許容されるキャリア、薬学的に許容される希釈剤、または他の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせることにより、医薬組成物へと製剤化することができ、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、およびエアゾール剤など、固体形態、半固体形態、液体形態、または気体形態の調製物へと製剤化することができる。一部の実施形態では、医薬組成物は、対象抗体、および薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0300】
医薬剤形中で、対象抗体は、それらの薬学的に許容される塩の形態で投与することもでき、単独でまたは他の薬学的に活性な化合物との適切な会合ならびに組合せで使用することもできる。以下の方法および賦形剤は、例示的なものであるに過ぎず、限定的なものではない。
【0301】
経口調製物のために、錠剤、散剤、顆粒剤、またはカプセル剤を得るには、対象抗体を、単独で、または適切な添加剤、例えば、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプン、またはバレイショデンプンなど、従来の添加剤と;結晶質セルロース、セルロース誘導体、アカシアガム、トウモロコシデンプン、またはゼラチンなどの結合剤と;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、またはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの崩壊剤と;滑石またはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤と;ならびに、所望の場合、希釈剤、緩衝化剤、湿潤剤、保存剤、および芳香剤と組み合わせて使用することができる。
【0302】
対象抗体は、植物油または他の類似の油、プロピレングリコール、合成脂肪酸グリセリド、注射用有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)、高級脂肪酸のエステル、またはプロピレングリコールなど、水性溶媒中または非水性溶媒中に、所望の場合、溶解剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、および保存剤など、従来の添加剤と共に、溶解、懸濁、または乳化させることにより、注射用調製物へと製剤化することができる。非経口媒体は、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース、および塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル液、または固定油を含む。静脈内媒体は、流体、および栄養物補充剤、電解質補充剤(リンゲルデキストロースに基づく補充剤など)などを含む。さらに、本開示の医薬組成物はさらに、医薬組成物の意図される使用に応じて、ドーパミンまたは精神薬理薬などの薬剤も含みうる。
【0303】
対象抗体を含む医薬組成物は、所望の程度の純度を有する対象抗体を、任意選択の、生理学的に許容されるキャリア、他の賦形剤、安定化剤、界面活性剤、緩衝剤、および/または等張化剤と混合することにより調製する。許容されるキャリア、他の賦形剤、および/または安定化剤は、用いられる投与量および濃度で、レシピエントに対して非毒性であり、リン酸、クエン酸、および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸、グルタチオン、システイン、メチオニン、およびクエン酸を含む抗酸化剤;保存剤(エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、p-クロル-m-クレゾール、メチルパラベンもしくはプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、またはこれらの組合せなど);アルギニン、グリシン、オルニチン、リシン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、イソロイシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、セリン、プロリン、およびこれらの組合せなどのアミノ酸;単糖、二糖、および他の炭水化物;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;ゼラチンもしくは血清アルブミンなどのタンパク質;EDTAなどのキレート化剤;トレハロース、スクロース、ラクトース、グルコース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラフィノース、グルコサミン、N-メチルグルコサミン、ガラクトサミン、およびノイラミン酸などの糖;ならびに/またはTween、Brij Pluronics、Triton-X、もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0304】
医薬組成物は、液体形態、凍結乾燥形態、または凍結乾燥形態から復元される液体形態であってもよく、投与の前に、凍結乾燥調製物は、滅菌溶液で復元する。凍結乾燥組成物を復元するための標準的な手順は、ある容量(典型的には、凍結乾燥時に除去される容量と同等)の純水を、添加し戻すことであるが、非経口投与用の医薬組成物を作製するためには、抗菌剤を含む溶液を使用することもできる(また、Chen(1992年)、Drug Dev Ind Pharm、18巻、1311~54頁も参照されたい)。
【0305】
対象の医薬組成物中の、例示的な抗体濃度は、約1mg/mL~約200mg/mL、または約50mg/mL~約200mg/mL、または約150mg/mL~約200mg/mLの範囲でありうる。
【0306】
水性の抗体製剤は、例えば、pHを約4.0~約7.0、または約5.0~約6.0の範囲、または代替的に、約5.5とする、pH緩衝溶液中で調製することができる。この範囲内のpHに適する緩衝液の例は、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、クエン酸緩衝液、コハク酸緩衝液、酢酸緩衝液、および他の有機酸緩衝液を含む。緩衝液濃度は、例えば、緩衝剤、および製剤の所望の張性に応じて、約1mM~約100mM、または約5mM~約50mMでありうる。
【0307】
製剤の張性をモジュレートするように、等張化剤を、抗体製剤に含むことができる。例示的な等張化剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、ならびにアミノ酸、糖のほか、これらの組合せの群に由来する任意の構成成分を含む。一部の実施形態では、水性製剤は、高張性溶液または低張性溶液が適する場合もあるが、等張性である。「等張性」という用語は、生理的塩類溶液または血清など、それが比較される、他の一部の溶液と同じ張性を有する溶液を表す。等張化剤は、約5mM~約350mMの量、例えば、100mM~350nMの量で使用することができる。
【0308】
製剤化された抗体の凝集を低減し、かつ/または製剤中の微粒子の形成を最小化し、かつ/または吸着を低減するように、界面活性剤もまた、抗体製剤へと添加することができる。例示的な界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij)、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(Triton-X)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー(Poloxamer;Pluronic)、およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む。適切なポリオキシエチレンソルビタン-脂肪酸エステルの例は、ポリソルベート20(Tween 20(商標)の商標名で販売されている)およびポリソルベート80(Tween 80(商標)の商標名で販売されている)である。適切なポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーの例は、Pluronic(登録商標)F68またはPoloxamer 188(商標)の商品名で販売されている、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーである。適切なポリオキシエチレンアルキルエーテルの例は、Brij(商標)の商標名で販売されている、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである。界面活性剤の例示的な濃度は、約0.001%~約1%w/vの範囲でありうる。
【0309】
凍結乾燥工程中の不安定化状態に対して易変性の有効成分(例えば、タンパク質)を保護するために、凍結乾燥保護剤もまた添加することができる。例えば、公知の凍結乾燥保護剤は、糖(グルコースおよびスクロースを含む);ポリオール(マンニトール、ソルビトール、およびグリセロールを含む);およびアミノ酸(アラニン、グリシン、およびグルタミン酸を含む)を含む。凍結乾燥保護剤は、約10mM~500nMの量で含まれうる。
【0310】
一部の実施形態では、対象製剤は、対象抗体、および上記で同定した薬剤(例えば、界面活性剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤)のうちの1つまたは複数を含み、エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、p-クロル-m-クレゾール、メチルパラベンもしくはプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、およびこれらの組合せなど、1つまたは複数の保存剤を本質的に含まない。他の実施形態では、保存剤は、例えば、約0.001~約2%(w/v)の範囲の濃度で、製剤中に含まれる。
【0311】
例えば、対象製剤は、非経口投与に適する、液体製剤または凍結乾燥製剤であることが可能であり、約1mg/mL~約200mg/mLの対象抗体;約0.001%~約1%の、少なくとも1つの界面活性剤;約1mM~約100mMの緩衝剤;任意選択で、約10mM~約500mMの安定化剤;および約5mM~約305mMの等張化剤を含むことができ、pHが約4.0~約7.0である。
【0312】
別の例として、対象の非経口製剤は、約1mg/mL~約200mg/mLの対象抗体;0.04%のTween 20 w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMのスクロースを含み;pHが5.5である、液体製剤または凍結乾燥製剤である。
【0313】
別の例として、対象の非経口製剤は、1)15mg/mLの対象抗体;0.04%のTween 20 w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMのスクロースを含み;pHが5.5であるか;または2)75mg/mLの対象抗体;0.04%のTween 20 w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMのスクロースを含み;pHが5.5であるか;または3)75mg/mLの対象抗体;0.02%のTween 20 w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMのスクロースを含み;pHが5.5であるか;または4)75mg/mLの対象抗体;0.04%のTween 20 w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMのトレハロースを含み;pHが5.5であるか;または5)75mg/mLの対象抗体;0.02%のTween 20 w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMのトレハロースを含み;pHが5.5である凍結乾燥製剤を含む。
【0314】
別の例として、対象の非経口製剤は、1)7.5mg/mLの対象抗体;0.02%のTween 20 w/v;120mMのL-ヒスチジン;および250 125mMのスクロースを含み;pHが5.5であるか;または2)37.5mg/mLの対象抗体;0.02%のTween 20 w/v;10mMのL-ヒスチジン;および125mMのスクロースを含み;pHが5.5であるか;または3)37.5mg/mLの対象抗体;0.01%のTween 20 w/v;10mMのL-ヒスチジン;および125mMのスクロースを含み;pHが5.5であるか;または4)37.5mg/mLの対象抗体;0.02%のTween 20 w/v;10mMのL-ヒスチジン;125mMのトレハロースを含み;pHが5.5であるか;または5)37.5mg/mLの対象抗体;0.01%のTween 20 w/v;10mMのL-ヒスチジン;および125mMのトレハロースを含み;pHが5.5であるか;または6)5mg/mLの対象抗体;0.02%のTween 20 w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMのトレハロースを含み;pHが5.5であるか;または7)75mg/mLの対象抗体;0.02%のTween 20 w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMのマンニトールを含み;pHが5.5であるか;または8)75mg/mLの対象抗体;0.02%のTween 20 w/v;20mMのL-ヒスチジン;および140mMの塩化ナトリウムを含み;pHが5.5であるか;または9)150mg/mLの対象抗体;0.02%のTween 20 w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMのトレハロースを含み;pHが5.5であるか;または10)150mg/mLの対象抗体;0.02%のTween 20 w/v;20mMのL-ヒスチジン;および250mMのマンニトールを含み;pHが5.5であるか;または11)150mg/mLの対象抗体;0.02%のTween 20 w/v;20mMのL-ヒスチジン;および140mMの塩化ナトリウムを含み;pHが5.5であるか;または12)10mg/mLの対象抗体;0.01%のTween 20 w/v;20mMのL-ヒスチジン;および40mMの塩化ナトリウムを含み;pHが5.5である液体製剤である。
【0315】
対象抗体は、吸入を介して投与されるエアゾール製剤中で利用することができる。対象抗体は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素など、加圧された許容される噴霧剤へと製剤化することができる。経鼻スプレー製剤などのエアゾール製剤は、防腐剤および等張剤を有する、活性薬剤の精製水溶液または他の精製溶液を含む。このような製剤は、鼻腔粘膜と適合性のpHおよび等張性状態へと調整される。
【0316】
さらに、対象抗体は、乳化基剤または水溶性基剤など、様々な基剤と混合することにより、坐剤とすることができる。対象抗体は、坐剤を介して、直腸内投与することができる。坐剤は、体温では溶融するが、室温では固化する、ココアバター、カーボワックス、およびポリエチレングリコールなどの媒体を含みうる。
【0317】
シロップ剤、エリキシル剤、および懸濁剤など、経口投与用または直腸内投与用の単位剤形であって、各投与量単位、例えば、茶さじ1杯、大さじ1杯、錠剤、または坐剤が、既定量の組成物を含有する、単位剤形を提供することができる。同様に、注射投与用または静脈内投与用の単位剤形は、滅菌水、通常の生理食塩水、または別の薬学的に許容されるキャリア中の溶液としての組成物中に、対象抗体を含みうる。
【0318】
本明細書で使用される「単位剤形」という用語は、ヒト被験体および動物被験体のための単位投与量として適する、物理的に個別の単位を指し、各単位は、薬学的に許容される希釈剤、キャリア、または媒体と会合して、所望の効果をもたらすのに十分な量に計算された、既定分量の、本開示の抗LAG-3抗体を含有する。対象抗体の仕様は、用いられる特定の抗体、達成される効果、および宿主における各抗体と関連する薬力学に依存しうる。
【0319】
他の投与方式もまた、本開示の方法と共に使用が見出される。例えば、対象抗体は、坐剤に、場合によって、エアゾール剤および鼻腔内組成物に製剤化することができる。坐剤のためには、媒体組成物は、ポリアルキレングリコール、またはトリグリセリドなど、従来の結合剤およびキャリアを含む。このような坐剤は、有効成分を、約0.5%~約10%(w/w)、例えば、約1%~約2%の範囲で含有する混合物から形成することができる。
【0320】
鼻腔内製剤は通例、鼻腔粘膜への刺激を引き起こしたり、繊毛機能を著しく撹乱したりしない媒体を含む。水、生理食塩水溶液、または他の公知の物質などの希釈剤も用いることができる。経鼻製剤はまた、クロロブタノールおよび塩化ベンザルコニウムなどであるがこれらに限定されない保存剤も含有しうる。鼻腔粘膜による対象抗体の吸収を増強するように、界面活性剤も存在しうる。
【0321】
対象抗体は、注射用製剤として投与することができる。注射用組成物は、液体溶液または懸濁液として調製することが典型的であるが、注射の前に液体媒体中に溶解または懸濁させるのに適する固体形態もまた、調製することができる。調製物はまた、乳化させても、リポソーム媒体内に封入した抗体でもよい。
【0322】
適切な賦形剤媒体は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびこれらの組合せである。加えて、所望の場合、媒体は、保湿剤または乳化剤またはpH緩衝化剤など、少量の補助物質も含有しうる。このような剤形を調製する実際の方法は、当業者に公知であるか、または明らかであろう。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvania、17版、1985年を参照されたい。投与される組成物または製剤は、いずれにせよ、処置される対象において所望の状態を達成するのに適正な分量の対象抗体を含有するであろう。
【0323】
媒体、アジュバント、キャリア、または希釈剤など、薬学的に許容される賦形剤は、公衆にたやすく入手可能である。さらに、pH調整剤および緩衝化剤、張性調整剤、安定化剤、保湿剤など、薬学的に許容される補助物質も、公衆にたやすく入手可能である。
【0324】
一部の実施形態では、対象抗体を、制御放出製剤に製剤化する。持続放出調製物は、当技術分野で周知の方法を使用して調製することができる。持続放出調製物の適切な例は、抗体を含有する固体の疎水性ポリマーによる半透性マトリックスであって、成形品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態にあるマトリックスを含む。持続放出マトリックスの例は、ポリエステル、L-グルタミン酸と、エチル-L-グルタメートとのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、ハイドロゲル、ポリラクチド、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、およびポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。持続放出調製物中に含まれる抗体の、生物学的活性の可能な喪失および免疫原性の可能な変化は、適切な添加剤を使用することにより、水分含量を制御することにより、および特異的ポリマーマトリックス組成物を開発することにより防止することができる。
【0325】
本開示の範囲内にある制御放出は、いくつかの延長放出剤形のうちのいずれか1つを意味すると解することができる。本開示の目的では、以下の用語:連続放出、制御放出、遅延放出、デポー剤、延長放出、段階的放出、即時放出、長期放出、プログラム放出、長時間放出、比例放出、長期化放出、リポジトリー、遅延、緩徐放出、間隔放出、持続放出、タイムコート、時限放出、遅延作用、延長作用、多層時間作用、長時間作用型、長期作用、反復作用、緩徐作用型、持続作用、および持続作用投薬は、制御放出と実質的に同等であると考えることができる。これらの用語についてのさらなる考察は、Lesczek Krowczynski、Extended-Release Dosage Forms、1987年(CRC Press, Inc.)において見出すことができる。
【0326】
多様な制御放出技術は、薬物剤形の非常に広範なスペクトルを対象とする。制御放出技術は、物理系および化学的系を含むがこれらに限定されない。
【0327】
物理系は、マイクロカプセル化系、マクロカプセル化系、および膜系など、速度制御膜を有するレザバー系;中空糸、超微小孔性三酢酸セルロース、および多孔性ポリマー基質、および発泡体など、速度制御膜を伴わないレザバー系;非多孔性、ポリマー性、またはエラストマー性のマトリックス内に物理的に溶存させた系(例えば、非浸食性、浸食性、環境作用物質進入性、および分解性)、および非多孔性、ポリマー性、またはエラストマー性のマトリックス内に物理的に分散させた材料(例えば、非浸食性、浸食性、環境作用物質進入、および分解性)を含むモノリシック系;制御外層と化学的に類似するかまたは類似しないレザバー層を含む層状構造;ならびに浸透圧ポンプまたはイオン交換樹脂への吸着など、他の物理的方法を含むがこれらに限定されない。
【0328】
化学系は、ポリマーマトリックスの化学的浸食(例えば、異種浸食または同種浸食)、またはポリマーマトリックスの生物学的浸食(例えば、異種または同種)を含むがこれらに限定されない。制御放出のための系の類別についてのさらなる考察は、Agis F. Kydonieus、Controlled Release Technologies:Methods, Theory and Applications、1980年(CRC Press, Inc.)において見出すことができる。
【0329】
いくつかの経口投与のために開発されている制御放出薬物製剤がある。これらは、浸透圧制御型胃腸管送達系;動圧制御型胃腸管送達系;微小孔性膜透過制御型胃腸管送達デバイスを含む、膜透過制御型胃腸管送達系;胃液抵抗性腸ターゲティング制御放出胃腸管送達デバイス;ゲル拡散制御型胃腸管送達系;ならびにカチオン性薬物およびアニオン性薬物を含む、イオン交換制御型胃腸管送達系を含むがこれらに限定されない。制御放出薬物送達系に関するさらなる情報は、Yie W. Chien、Novel Drug Delivery Systems、1992年(Marcel Dekker, Inc.)において見出すことができる。
【0330】
投与量
適切な投与量は、主治医または他の有資格の医療従事者が、多様な臨床因子に基づき決定することができる。医療技術分野で周知の通り、任意の1人の患者のための投与量は、患者の体格、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、患者の性別、投与回数および投与経路、全般的な健康状態、ならびに共時的に投与されている他の薬物を含む多くの因子に依存する。対象抗体は、用量当たり体重1kg当たり1ng~体重1kg当たり20mg、例えば、体重1kg当たり0.001~10、0.01~10、0.1~10、1~10、0.001~1、0.01~1、0.1~1、0.05~5、0.05~0.5、または0.5~5mgの量で投与することができる。しかし、とりわけ、上述の因子を考慮して、この例示的な範囲を下回るか、または上回る用量も想定される。レジメンが連続注入である場合、用量は、1分間当たり体重1kg当たり1μg~体重1kg当たり10mgの範囲でありうる。
【0331】
一部の実施形態では、対象の抗LAG-3抗体の用量は、0.001μg~100mgの範囲、例えば、0.001μg~10mg、0.001μg~1mg、0.001μg~0.1mg、0.01μg~10mg、0.1μg~10mg、0.1μg~1mg、または0.1μg~0.1mg、または0.01~100mg、0.01~10mg、0.01~1mg、0.01~0.1mg、0.1~100mg、0.1~10mg、0.1~1mgにある。
【0332】
一部の実施形態では、投与量は、例えば、体重1kg当たり約0.0001~100mg、または体重1kg当たり約0.01~5mg(例えば、0.02~5mg/kg、0.25~5mg/kg、0.5~5mg/kg、0.75~5mg/kg、1~5mg/kg、2~5mg/kgなど)の範囲でありうる。例えば、投与量は、体重1kg当たり0.1、1、もしくは10mg、または0.01~10mg/kgの範囲内、または少なくとも0.1mg/kgでありうる。
【0333】
特定の実施形態では、本発明の抗LAG-3抗体またはその断片の用量は、最大で体重1kg当たり0.5mg、例えば、体重1kg当たり0.0001~0.5mg、体重1kg当たり0.001~0.5mg、体重1kg当たり0.01~0.5mg、体重1kg当たり0.1~0.5mg、体重1kg当たり0.0001~0.1mg、体重1kg当たり0.001~0.1mg、体重1kg当たり0.01~0.1mgの範囲である。
【0334】
一部の実施形態では、対象の抗LAG-3抗体の用量を、約0.001μg/ml~約1mg/ml、例えば、0.0001μg/ml~1μg/ml、0.001μg/ml~1μg/ml、0.001μg/ml~0.1μg/ml、0.01~1、または0.01~0.1μg/ml、または約0.005μg/ml~約1μg/ml、または約0.1μg/ml~約1μg/ml、または約1μg/ml~約2.5μg/ml、約2.5μg/ml~約5μg/ml、約5μg/ml~約7.5μg/ml、約7.5μg/ml~約10μg/ml、約10μg/ml~約25μg/ml、約25μg/ml~約50μg/ml、約50μg/ml~約100μg/ml、約100μg/ml~約250μg/ml、約250μg/ml~約500μg/ml、約500μg/ml~約750μg/ml、または約750μg/ml~約1000μg/mlのピーク血清濃度をもたらす量で投与する。一部の実施形態では、対象の抗LAG-3抗体を、1mg/mlを超える、例えば、約1mg/ml~約2mg/ml、約2mg/ml~約5mg/ml、または約5mg/ml~約10mg/mlのピーク血清濃度をもたらす量で投与する。他の実施形態では、本発明の抗LAG-3抗体またはその断片を、最大で1μg/ml、例えば、0.0001μg/ml~1μg/ml、0.001μg/ml~1μg/ml、0.01μg/ml~1μg/ml、0.1~1μg/ml、0.0001μg/ml~0.1μg/ml、0.001μg/ml~0.1μg/ml、または0.01μg/ml~0.1μg/mlの範囲のピーク血清濃度をもたらす量で投与する。このような投与は、皮下注射により行うことが適切である。
【0335】
個体には、このような用量を、毎日、隔日、毎週、または実証解析により決定される、他の任意のスケジュールに従い投与することができる。例示的な処置は、長期間、例えば、少なくとも6カ月間にわたる、複数投与量による投与を伴う。さらなる例示的な処置レジメンは、隔週1回または毎月1回または3~6カ月ごとに1回の投与を伴う。
【0336】
例示的な投与量スケジュールは、毎日0.01~1mg/kg、0.01~0.1mg/kg、0.1~1mg/kg、1~10mg/kg、もしくは15mg/kg、隔日0.02~20mg/kg、例えば、0.2mg/kg、0.5mg/kg、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、もしくは20mg/kg、または毎週0.1~100mg/kg、例えば、1mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、50mg/kg、もしくは60mg/kgを含む。一部の方法では、結合特異性が異なる、2つまたはこれを超えるモノクローナル抗体を、同時に投与するが、この場合、投与される各抗体の投与量は、示した範囲内に収まる。進行は、定期的な評価によりモニタリングすることができる。
【0337】
被験体における、LAG-3を発現するCD4+ T細胞および/またはCD8+ T細胞の数は、比較的小さい。本発明の抗体(特に、ヒトIgGアイソタイプ抗体(これは、CDC活性およびADCC活性を欠く)などの、少なくとも2週間の血清半減期を有し、著明なCDCおよびADCC活性を欠く、本発明の抗体、またはCDC活性およびADCC活性を低減するか、または消失させる、1つもしくは複数の変異を含む抗体)の単回投与は、抗原により誘導されるCD4+および/またはCD8+ T細胞の増殖を、少なくとも数週間阻害することにおいて、有効でありうることが予測される。この見地から、適切な処置レジメンは、本発明の抗体(例えば、0.01~1mg/kgの抗体)の、4、6、8、もしくは10週間ごとに1回、または2もしくは3カ月ごとに1回の投与を含みうる。このような処置は、少なくとも6カ月間、または少なくとも1、2、3、4、もしくは5年間、またはこれを超える期間にわたり、例えば、投与により処置される疾患の経過を通して、または被験体の生涯を通して提供することができる。
【0338】
当業者は、用量レベルおよび投与スケジュールが、具体的な抗体、症状の重症度、および被験体の副作用に対する感受性の関数として変動しうることをたやすく認識するであろう。所与の化合物に好ましい投与量および投与スケジュールは、当業者が、様々な手段により、たやすく決定可能である。
【0339】
投与経路
薬物送達に適する、in vivo法およびex vivo法のほか、全身投与経路および局所投与経路を含む、任意の利用可能な方法および経路を使用して、対象抗体を、個体へと投与する。
【0340】
従来の薬学的に許容される投与経路は、鼻腔内、筋内、気管内、髄腔内、頭蓋内、皮下、皮内、局所、静脈内、腹腔内、動脈内(例えば、頸動脈を介する)、脊髄内または脳内送達、直腸内、経鼻、経口、ならびに他の経腸および非経口投与経路を含む。投与経路は、所望の場合、抗体および/または所望の効果に応じて、組み合わせる、あるいは調整することができる。対象抗体の組成物は、単回投与で、または複数回投与で投与することができる。一部の実施形態では、対象抗体の組成物は、経口投与する。一部の実施形態では、対象抗体の組成物は、吸入経路を介して投与する。一部の実施形態では、対象抗体の組成物は、鼻腔内投与する。一部の実施形態では、対象抗体の組成物は、局所投与する。一部の実施形態では、対象抗体の組成物は、頭蓋内投与する。一部の実施形態では、対象抗体の組成物は、静脈内投与する。一部の実施形態では、対象抗体の組成物は、髄腔内投与する。
【0341】
本開示の抗体は、従来の薬物の送達に適する、任意の利用可能な、従来の方法および全身経路または局所経路を含む経路を使用して、宿主へと投与することができる。一般に、本発明により想定される投与経路は、経腸経路、非経口経路、または吸入経路を含むが必ずしもこれらに限定されない。
【0342】
吸入投与以外の非経口投与経路は、局所経路、経皮経路、皮下経路、筋内経路、眼窩内経路、関節包内経路、脊髄内経路、胸骨内経路、髄腔内経路、および静脈内経路、すなわち、消化管を介する以外の任意の投与経路を含むが必ずしもこれらに限定されない。非経口投与は、対象抗体の、全身送達または局所送達をもたらすように実行することができる。全身送達が所望される場合、投与は、医薬調製物の、侵襲性であるかまたは全身吸収性である、局所投与または経粘膜投与を伴うことが典型的である。
【0343】
対象抗体はまた、被験体へと、経腸投与により送達することもできる。経腸投与経路は、経口達および直腸内(例えば、坐剤を使用する)送達を含むが必ずしもこれらに限定されない。
【0344】
「処置」は、少なくとも宿主が罹患する病態と関連する症状の改善を意味し、ここで、改善は、例えば、免疫障害など、処置される病態と関連する症状の、少なくともパラメーターの大きさにおける低減を指すように、広い意味で使用される。したがって、処置はまた、病態、または少なくともこれと関連する症状を、完全に阻害する、例えば、これが生じることを防止するか、またはこれを停止させる、例えば、宿主がもはや、病態、または少なくとも病態を特徴付ける症状を患わないように、これを終結させた状況も含む。
【0345】
一部の実施形態では、対象抗体は、例えば、脳動脈内の部位へ注射および/または送達により、または脳組織へと直接、投与する。対象抗体はまた、例えば、標的部位への遺伝子銃送達により、標的部位へと直接投与することもできる。
【0346】
様々な宿主(本明細書では、「宿主」という用語を、「被験体」、「個体」、および「患者」という用語と互換的に使用する)が、対象の方法に従い処置可能である。一般に、このような宿主は、「哺乳動物」または「哺乳動物の」宿主であり、この場合、これらの用語は、食肉目(例えば、ネコ)、草食動物(例えば、ウシ、ウマ、およびヒツジ)、雑食動物(例えば、イヌ、ヤギ、およびブタ)、齧歯目(例えば、マウス、モルモット、およびラット)、および霊長目(例えば、ヒト、チンパンジー、およびサル)を含む、哺乳綱内の生物について記載するのに広く使用される。一部の実施形態では、宿主は、哺乳動物、魚類、または無脊椎動物など、補体系を有する個体である。一部の実施形態では、宿主は、補体系を含有する哺乳動物、魚類、または無脊椎動物である、愛玩動物、農場動物、作業動物、動物園動物、または実験動物である。一部の実施形態では、宿主は、ヒトである。
【0347】
実施形態は、個体へと投与するための、対象の抗LAG-3抗体を含む組成物を含有するのに適する容器を含む組成物を含む。例えば、対象抗体は、医薬組成物を含有するのに適する容器内に配置することができる。容器は、例えば、ボトル(例えば、キャップなどの閉止デバイスを有する)、ブリスターパック(例えば、ブリスター1つ当たり1回または複数回の用量の封入をもたらす)、バイアル、可撓性のパッケージング(例えば、密閉型Mylarバッグまたはプラスチックバッグ)、アンプル(溶液による単回用量用)、ドロッパー、シリンジ、薄膜、チューブなどでありうる。一部の実施形態では、滅菌容器などの容器は、対象の医薬組成物を含む。一部の実施形態では、容器は、ボトルまたはシリンジである。一部の実施形態では、容器は、ボトルである。一部の実施形態では、容器は、シリンジである。
【0348】
例えば、経口用量または注射用用量では、単位用量の対象抗体を有するキットが提供される。このようなキットでは、単位用量を含有する容器に加えて、情報を与える添付文書が、目的の病態の処置における抗体の使用およびこれに付随する有益性について記載している。好ましい化合物および単位用量は、本明細書の上で記載した化合物および単位用量である。
【0349】
処置法
本発明に従い、医薬としての使用のための、本発明の抗体、もしくはその抗原結合性断片、または本発明の医薬組成物もまた提供される。
【0350】
本発明の抗体、断片、または組成物は、被験体におけるLAG-3の効果を増大させることが所望される、任意の治療において利用することができる。
【0351】
「被験体」という用語は、任意のヒトまたは非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」という用語は、非ヒト霊長動物、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ニワトリ、両生類、および爬虫類など、全ての脊椎動物、例えば、哺乳動物および非哺乳動物を含むが、非ヒト霊長動物、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、およびウマなど、哺乳動物が好ましい。
【0352】
抗体、断片、または組成物は、T細胞の増殖および/または機能を負に調節することが所望される、任意の治療において使用することができる。
【0353】
本発明に従い、被験体における、CD4+および/もしくはCD8+ T細胞の増殖もしくは活性と関連する障害、または被験体におけるLAG-3の発現および/もしくは活性の減少と関連する障害の処置における使用のための、本発明の抗体、もしくはその抗原結合性断片、または本発明の医薬組成物もまた提供される。
【0354】
本発明に従い、被験体における、CD4+および/もしくはCD8+ T細胞の増殖もしくは活性と関連する障害、または被験体におけるLAG-3の発現および/もしくは活性の減少と関連する障害を処置するための医薬の製造における、本発明の抗体、もしくはその抗原結合性断片、または本発明の医薬組成物の使用もまた提供される。
【0355】
さらに、本発明に従い、被験体における、CD4+および/もしくはCD8+ T細胞の増殖もしくは活性と関連する障害、または被験体におけるLAG-3の発現および/もしくは活性の減少と関連する障害を処置する方法であって、有効量の、本発明の抗体、もしくはその抗原結合性断片、または本発明の医薬組成物を、このような処置を必要とする被験体へと投与するステップを含む方法も提供される。
【0356】
CD4+および/またはCD8+ T細胞の増殖または活性と関連する障害は、免疫障害、特に、炎症性疾患または自己免疫障害などのT細胞媒介性免疫障害でありうる。
【0357】
抗体、断片、または組成物を使用して、炎症過程を軽減する、または炎症過程を防止することができる。一実施形態では、T細胞の増殖または活性化、特に、不適切な炎症性免疫応答に関与する、例えば、このような応答の近傍/場所へと動員されるT細胞の増殖または活性化の、in vivoにおける低減が提供される。
【0358】
本明細書で用いられる、T細胞の増殖または活性化の低減は、処置の前または処置を伴わない場合と比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、またはこれを超えるパーセントの低減でありうる。
【0359】
有利には、本発明に従う抗体、断片、または組成物による処置は、患者の一般的なT細胞(非活性化T細胞)レベルを低減することなく、T細胞の増殖または活性化の低減を可能としうる。これは、副作用の減少を結果としてもたらし、患者におけるT細胞の枯渇を防止しうる。
【0360】
免疫障害は、例えば、感染症(ウイルス、細菌、真菌、および寄生虫の)、感染症と関連する内毒素性ショック、敗血症、関節炎、関節リウマチ、喘息、COPD、骨盤炎症性疾患、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、ペーロニー病、セリアック病、胆嚢疾患、毛巣病、腹膜炎、乾癬、血管炎、手術に伴う癒着、脳卒中、I型糖尿病、ライム病、関節炎、髄膜脳炎、自己免疫性ブドウ膜炎;多発性硬化症、ループス(全身性エリテマトーデスなど)、およびギラン-バレー症候群など、中枢および末梢神経系の免疫媒介性炎症性障害;アトピー性皮膚炎、自己免疫性肝炎、線維化肺胞炎、グレーブス病、IgA腎症、特発性血小板減少性紫斑病、メニエール病、天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変、サルコイドーシス、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、他の自己免疫障害、膵炎、外傷(手術による外傷)、移植片対宿主病、移植片拒絶;心筋梗塞およびアテローム性動脈硬化などの虚血性疾患を含む心疾患;血管内凝固、骨吸収、骨粗鬆症、骨関節炎、歯周炎、ならびに低塩酸症(hypochlorhydia)、または母児間免疫寛容の欠如と関連する不妊症からなる群から選択され得る。
【0361】
本発明の抗体、断片、または組成物は、LAG-3の、MHCクラスII分子への結合を阻害するか、抗原提示細胞(APC)への、MHCクラスII活性化シグナルをアンタゴナイズするか、またはLAG-3により誘導されるAPCの活性化を阻害することが所望される、任意の治療において使用することができる。
【0362】
本発明に従い、被験体におけるAPCの活性化と関連する障害の処置における使用のための、本発明の抗体、もしくはその抗原結合性断片、または本発明の医薬組成物もまた提供される。
【0363】
本発明に従い、被験体におけるAPCの活性化と関連する障害を処置するための医薬の製造における、本発明の抗体、もしくはその抗原結合性断片、または本発明の医薬組成物の使用もまた提供される。
【0364】
さらに、本発明に従い、被験体におけるAPCの活性化と関連する障害を処置する方法であって、有効量の、本発明の抗体、もしくはその抗原結合性断片、または本発明の医薬組成物を、このような処置を必要とする被験体へと投与するステップを含む方法も提供される。
【0365】
本明細書で使用される、「処置」、「~を処置すること」、「~を処置する」などの用語は、所望の薬理学的効果および/または生理学的効果を得ることを指す。効果は、疾患もしくはその症状の完全もしくは部分的な防止の点で予防的な場合もあり、かつ/または疾患および/もしくは疾患に帰せられる有害効果の部分的もしくは完全な治癒の点で治療的な場合もある。本明細書で使用される「処置」は、哺乳動物、特に、ヒトにおける疾患の任意の処置を対象とし、(a)疾患に素因がありうるが、それを有するとまだ診断されてはいない被験体において、疾患が生じることを防止すること;(b)疾患を阻害すること、すなわち、その進展を停止させること;および(c)疾患を和らげること、すなわち、疾患の退縮を引き起こすことを含む。
【0366】
本明細書で互換的に使用される、「個体」、「被験体」、「宿主」、および「患者」という用語は、任意のヒトまたは非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」という用語は、非ヒト霊長動物、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ニワトリ、両生類、および爬虫類など、全ての脊椎動物、例えば、哺乳動物および非哺乳動物を含むが、非ヒト霊長動物、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、およびウマなど、哺乳動物が好ましい。
【0367】
「治療有効量」または「効果的な量」は、疾患を処置するために、哺乳動物または他の被験体へと投与されると、疾患のためのこのような処置を行うのに十分な、抗LAG-3抗体の量を指す。「治療有効量」は、抗LAG-3抗体、疾患、およびその重症度、ならびに処置される被験体の年齢、重量などに応じて変動する。
【0368】
本明細書で言及される全ての刊行物は、それらとの関係で刊行物が引用される、方法および/または材料について開示および記載するために、参照により本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)に結合し、抗原により誘導されるCD4 T細胞および/もしくはCD8 T細胞の増殖、または抗原により誘導されるCD4 T細胞および/もしくはCD8 T細胞の活性化を阻害する単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目2)
抗原により誘導されるCD4 T細胞および抗原により誘導されるCD8 T細胞の増殖を阻害する、項目1に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目3)
抗原により誘導されるCD8 T細胞の増殖を、抗原により誘導されるCD4 T細胞の増殖より強く阻害する、項目1または2に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目4)
抗原により誘導されるCD8 T細胞の増殖の前記阻害が、LAG-3依存性、かつIL-2非依存性である、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目5)
抗原により誘導されるCD4 T細胞および/またはCD8 T細胞の増殖、ならびに抗原により誘導されるCD4 T細胞および/またはCD8 T細胞の活性化を阻害する、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目6)
リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)に結合し、抗原により誘導されるCD4 T細胞および/またはCD8 T細胞の活性化を阻害する単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目7)
モノクローナル抗体17B4より大きなアフィニティーで、LAG-3に結合する、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目8)
LAG-3またはIMP321の、MHCクラスII陽性細胞への結合を阻害する、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目9)
LAG-3により誘導される抗原提示細胞(APC)の活性化、またはIMP321により誘導される単球の活性化を阻害する、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目10)
LAG-3のMHCクラスII結合性部位と重複する、LAG-3のエピトープに結合する、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目11)
配列番号7のアミノ酸配列を含む抗体重鎖可変(VH)領域の、1つ、2つ、もしくは3つの相補性決定領域(CDR)、および/または配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体軽鎖可変(VL)領域の、1つ、2つ、もしくは3つのCDRを含む、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目12)
前記抗体VH領域のCDRが、配列番号1、2、3、21、22、および23のアミノ酸配列のCDRから選択され、前記抗体VL領域のCDRが、配列番号4、5、6、24、25、および26のアミノ酸配列のCDRから選択される、項目11に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目13)
VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含む抗体VH領域を含む、
項目11または12に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片であって、該VH CDR1が、配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有し、かつ/または該VH CDR2が、配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有し、かつ/または該VH CDR3が、配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有する、単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目14)
前記VH CDR1が、配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VH CDR2が、配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有するか;
前記VH CDR1が、配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VH CDR3が、配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有するか;
前記VH CDR2が、配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VH CDR3が、配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有するか;または
前記VH CDR1が、配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VH CDR2が、配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VH CDR3が、配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有する、
項目13に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目15)
VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含む抗体VL領域を含む、項目11から14のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片であって、該VL CDR1が、配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有し、かつ/または該VL CDR2が、配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有し、かつ/または該VL CDR3が、配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有する、単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目16)
前記VL CDR1が、配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VL CDR2が、配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有するか;
前記VL CDR1が、配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VL CDR3が、配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有するか;
前記VL CDR2が、配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VL CDR3が、配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有するか;または
前記VL CDR1が、配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VL CDR2が、配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VL CDR3が、配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有する、
項目15に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目17)
前記VH CDR1が、配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VH CDR2が、配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VH CDR3が、配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有し;かつ/または前記VL CDR1が、配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VL CDR2が、配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VL CDR3が、配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有する、項目13から16のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目18)
前記抗体VH領域のCDRが、配列番号1、2、および3のアミノ酸配列のCDRであり、前記抗体VL領域のCDRが、配列番号4、5、および6のアミノ酸配列のCDRである、項目11から17のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目19)
前記抗体VH領域のCDRが、配列番号21、22、および23のアミノ酸配列のCDRであり、前記抗体VL領域のCDRが、配列番号24、25、および26のアミノ酸配列のCDRである、項目11から17のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目20)
配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を含むCDRを有する抗体VH領域、ならびに/または配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を含むCDRを有する抗体VL領域を含む、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目21)
配列番号21、22、および23のアミノ酸配列を含むCDRを有する抗体VH領域、ならびに/または配列番号24、25、および26のアミノ酸配列を含むCDRを有する抗体VL領域を含む、項目1から19のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目22)
(a)配列番号1、または配列番号1と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR1領域;(b)配列番号2、または配列番号2と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR2領域;および(c)配列番号3、または配列番号3と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR3領域を含む重鎖可変領域;ならびに/あるいは(a)配列番号4、または配列番号4と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR1領域;(b)配列番号5、または配列番号5と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR2領域;および(c)配列番号6、または配列番号6と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR3領域を含む軽鎖可変領域を含む、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目23)
(a)配列番号21、または配列番号21と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR1領域;(b)配列番号22、または配列番号22と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR2領域;および(c)配列番号23、または配列番号23と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR3領域を含む重鎖可変領域;ならびに/あるいは(a)配列番号24、または配列番号24と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR1領域;(b)配列番号25、または配列番号25と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR2領域;および(c)配列番号26、または配列番号26と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR3領域を含む軽鎖可変領域を含む、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目24)
配列番号7のアミノ酸配列、もしくは配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および/または配列番号8のアミノ酸配列、もしくは配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VL領域を含む、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目25)
配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VL領域を含む、項目24に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目26)
配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体VL領域を含む、項目24に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目27)
配列番号7のアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VL領域を含む、項目24に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目28)
配列番号7のアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号8のアミノ酸配列を含む抗体VL領域を含む、項目24に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目29)
配列番号17のアミノ酸配列を含む抗体VH領域の、1つ、2つ、もしくは3つのCDR、および/または配列番号18のアミノ酸配列を含む抗体VL領域の、1つ、2つ、もしくは3つのCDRを含む、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目30)
前記抗体VH領域のCDRが、配列番号11、12、13、31、32、および33のアミノ酸配列のCDRから選択され、前記抗体VL領域のCDRが、配列番号14、15、16、34、35、および36のアミノ酸配列のCDRから選択される、項目29に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目31)
VH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含む抗体VH領域を含む、項目29または30に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片であって、該VH CDR1が、配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を有し、かつ/または該VH CDR2が、配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を有し、かつ/または該VH CDR3が、配列番号13および33から選択されるアミノ酸配列を有する、単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目32)
前記VH CDR1が、配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VH CDR2が、配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を有するか;
前記VH CDR1が、配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VH CDR3が、配列番号13および33から選択されるアミノ酸配列を有するか;
前記VH CDR2が、配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VH CDR3が、配列番号13および33から選択されるアミノ酸配列を有するか;または
前記VH CDR1が、配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VH CDR2が、配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VH CDR3が、配列番号13および33から選択されるアミノ酸配列を有する、
項目31に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目33)
VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含む抗体VL領域を含む、項目29から32のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片であって、該VL CDR1が、配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を有し、かつ/または該VL CDR2が、配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を有し、かつ/または該VL CDR3が、配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を有する、単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目34)
前記VL CDR1が、配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VL CDR2が、配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を有するか;
前記VL CDR1が、配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VL CDR3が、配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を有するか;
前記VL CDR2が、配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VL CDR3が、配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を有するか;または
前記VL CDR1が、配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VL CDR2が、配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VL CDR3が、配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を有する、
項目33に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目35)
前記VH CDR1が、配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VH CDR2が、配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VH CDR3が、配列番号13および33から選択されるアミノ酸配列を有し;かつ/または前記VL CDR1が、配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VL CDR2が、配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を有し、前記VL CDR3が、配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を有する、項目31から34のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目36)
前記抗体VH領域のCDRが、配列番号11、12、および13のアミノ酸配列のCDRであり、前記抗体VL領域のCDRが、配列番号14、15、および16のアミノ酸配列のCDRである、項目29から35のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目37)
前記抗体VH領域のCDRが、配列番号31、32、および33のアミノ酸配列のCDRであり、前記抗体VL領域のCDRが、配列番号34、35、および36のアミノ酸配列のCDRである、項目29から35のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目38)
配列番号11、12、および13のアミノ酸配列を含むCDRを有する抗体VH領域、ならびに/または配列番号14、15、および16のアミノ酸配列を含むCDRを有する抗体VL領域を含む、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目39)
配列番号31、32、および33のアミノ酸配列を含むCDRを有する抗体VH領域、ならびに/または配列番号34、35、および36のアミノ酸配列を含むCDRを有する抗体VL領域を含む、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目40)
(a)配列番号11、または配列番号11と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR1領域;(b)配列番号12、または配列番号12と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR2領域;および(c)配列番号13、または配列番号13と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むCDR
3領域を含む重鎖可変領域;ならびに/あるいは(a)配列番号14、または配列番号14と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR1領域;(b)配列番号15、または配列番号15と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR2領域;および(c)配列番号16、または配列番号16と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR3領域を含む軽鎖可変領域を含む、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目41)
(a)配列番号31、または配列番号31と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR1領域;(b)配列番号32、または配列番号32と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVH CDR2領域;および(c)配列番号33、または配列番号33と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むCDR3領域を含む重鎖可変領域;ならびに/あるいは(a)配列番号34、または配列番号34と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR1領域;(b)配列番号35、または配列番号35と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR2領域;および(c)配列番号36、または配列番号36と比較して、1、2、3、4、もしくは5つの、アミノ酸の置換、欠失、もしくは付加を有するアミノ酸配列を含むVL CDR3領域を含む軽鎖可変領域を含む、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目42)
配列番号17のアミノ酸配列、もしくは配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および/または配列番号18のアミノ酸配列、もしくは配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VL領域を含む、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目43)
配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VL領域を含む、項目42に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目44)
配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号18のアミノ酸配列を含む抗体VL領域を含む、項目42に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目45)
配列番号17のアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号18のアミノ酸配列と少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含む抗体VL領域を含む、項目42に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目46)
配列番号17のアミノ酸配列を含む抗体VH領域、および配列番号18のアミノ酸配列を含む抗体VL領域を含む、項目42に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目47)
ヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合性断片である、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目48)
ヒト化軽鎖フレームワーク領域を含む、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目49)
前記ヒト化軽鎖フレームワーク領域が、VL 、VL 、VL 、またはVL について表27に示したアミノ酸置換のうちのいずれかを有するアミノ酸配列を含む、項目48に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目50)
前記ヒト化軽鎖フレームワーク領域が、配列番号68~83のうちのいずれかのアミノ酸配列を含む、項目48または49に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目51)
配列番号68のVLフレームワーク領域1(VL FR1);配列番号69のVL FR2;配列番号70のVL FR3;および配列番号71のVL FR4;
配列番号72のVLフレームワーク領域1(VL FR1);配列番号73のVL FR2;配列番号74のVL FR3;および配列番号75のVL FR4;
配列番号76のVLフレームワーク領域1(VL FR1);配列番号77のVL FR2;配列番号78のVL FR3;および配列番号79のVL FR4;または
配列番号80のVLフレームワーク領域1(VL FR1);配列番号81のVL FR2;配列番号82のVL FR3;および配列番号83のVL FR4
を含む、項目50に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目52)
配列番号68のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号69のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号70のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号71のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目53)
配列番号68のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号69のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号70のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号71のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目54)
配列番号68のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号69のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号70のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号26のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号71のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目55)
配列番号72のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号73のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号74のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号75のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目56)
配列番号72のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号73のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号74のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号75のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目57)
配列番号72のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号73のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号74のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号26のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号75のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目58)
配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目59)
配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目60)
配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号26のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目61)
配列番号80のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号81のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号82のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号83のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目62)
配列番号80のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号81のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号82のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号83のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目63)
配列番号80のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号81のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号25から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号82のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号26から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号83のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目64)
配列番号68のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号69のアミノ酸配列を有するVL
FR2;配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号70のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号71のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目65)
配列番号68のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号69のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号15のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号70のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号71のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目66)
配列番号68のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号69のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号35のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号70のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号36のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号71のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目67)
配列番号72のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号73のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号74のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号75のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその
抗原結合性断片。
(項目68)
配列番号72のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号73のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号15のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号74のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号75のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目69)
配列番号72のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号73のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号35のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号74のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号36のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号75のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目70)
配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目71)
配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号15のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目72)
配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号35のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号36のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目73)
配列番号80のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14および34から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号81のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号15および35から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号82のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16および36から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号83のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目74)
配列番号80のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号14のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号81のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号15のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号82のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号16のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号83のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目75)
配列番号80のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号81のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号35のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号82のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号36のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号83のアミノ酸配列を有するVL FR4
を含む抗体VL領域を含む、項目48から51のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目76)
ヒト化重鎖フレームワーク領域を含む、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目77)
前記ヒト化重鎖フレームワーク領域が、VH 、VH 、VH 、またはVH について表26に示したアミノ酸置換のうちのいずれかを有するアミノ酸配列を含む、項目76に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目78)
前記ヒト化重鎖フレームワーク領域が、配列番号52~67のうちのいずれかのアミノ酸配列を含む、項目76または77に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目79)
配列番号52のVHフレームワーク領域1(VH FR1);配列番号53のVH FR2;配列番号54のVH FR3;および配列番号55のVH FR4;
配列番号56のVHフレームワーク領域1(VH FR1);配列番号57のVH FR2;配列番号58のVH FR3;および配列番号59のVH FR4;
配列番号60のVHフレームワーク領域1(VH FR1);配列番号61のVH FR2;配列番号62のVH FR3;および配列番号63のVH FR4;または
配列番号64のVHフレームワーク領域1(VH FR1);配列番号65のVH FR2;配列番号66のVH FR3;および配列番号67のVH FR4
を含む、項目78に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目80)
配列番号52のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号53のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;ならびに配列番号55のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目81)
配列番号52のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号53のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR3;ならびに配列番号55のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目82)
配列番号52のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号53のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号23のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号55のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目83)
配列番号56のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号57のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号58のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号59のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目84)
配列番号56のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号57のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号58のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号59のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目85)
配列番号56のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号57のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号58のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号23のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号59のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目86)
配列番号60のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号61のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号62のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号63のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目87)
配列番号60のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号61のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号62のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号63のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目88)
配列番号60のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号61のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号62のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号23のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号63のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目89)
配列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目90)
配列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目91)
配列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号23のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目92)
配列番号52のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号53のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3および33から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号55のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目93)
配列番号52のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号53のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号55のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目94)
配列番号52のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号31のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号53のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号54のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号33のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号55のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目95)
配列番号56のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号57のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号58のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号13および33から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号59のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目96)
配列番号56のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号57のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号58のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号13のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号59のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目97)
配列番号56のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号31のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号57のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号58のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号33のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号59のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目98)
配列番号60のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号61のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号62のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号13および33から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号63のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目99)
配列番号60のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号61のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号62のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号13のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号63のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目100)
配列番号60のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号31のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号61のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号62のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号33のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号63のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目101)
配列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11および31から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12および32から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号13および33から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目102)
配列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号11のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号13のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目103)
配列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号31のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号33のアミノ酸配列を有するVH CDR3;および配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4
を含む抗体VH領域を含む、項目76から79のいずれかに記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目104)
配列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1および21から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2および22から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3および23から選択されるアミノ酸配列を有するVH CDR3;ならびに配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4を含む抗体VH領域と;配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4および24から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5および25から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6および26から選択されるアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4を含む抗体VL領域とを含む、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目105)
配列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号1のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号2のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号3のアミノ酸配列を有するVH CDR3;ならびに配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4を含む抗体VH領域と;配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号4のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号5のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号6のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4を含む抗体VL領域とを含む、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目106)
配列番号64のアミノ酸配列を有するVH FR1;配列番号21のアミノ酸配列を有するVH CDR1;配列番号65のアミノ酸配列を有するVH FR2;配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR2;配列番号66のアミノ酸配列を有するVH FR3;配列番号23のアミノ酸配列を有するVH CDR3;ならびに配列番号67のアミノ酸配列を有するVH FR4を含む抗体VH領域と;配列番号76のアミノ酸配列を有するVL FR1;配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR1;配列番号77のアミノ酸配列を有するVL FR2;配列番号25のアミノ酸配列を有するVL CDR2;配列番号78のアミノ酸配列を有するVL FR3;配列番号26のアミノ酸配列を有するVL CDR3;ならびに配列番号79のアミノ酸配列を有するVL FR4を含む抗体VL領域とを含む、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目107)
キメラ抗体分子、またはその抗原結合性断片である、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目108)
先行するいずれかの項目に記載の抗体の可変領域アミノ酸配列、およびヒト定常領域アミノ酸配列を含む、項目107に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目109)
補体依存性細胞傷害性(CDC)および抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)を欠く、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目110)
ヒトLAG-3タンパク質(またはヒトLAG-3Igタンパク質)に、例えば、Biacore解析により決定される、100pM以下の、90pM以下の、80pM以下の、70pM以下の、60pM以下の、50pM以下の、40pM以下の、30pM以下の、または25pM以下の解離定数(K )で結合する、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目111)
アゴニスト性の抗LAG-3抗体またはその抗原結合性断片である、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目112)
ヒトLAG-3タンパク質の、第1のN末端D1ドメインの、30アミノ酸のエクストラループ配列(配列番号40)に結合しない、先行するいずれかの項目に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片。
(項目113)
先行するいずれかの項目に記載の抗体またはその抗原結合性断片をコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
(項目114)
配列番号9、10、19、もしくは20のうちのいずれかのヌクレオチド配列、または配列番号9、10、19、もしくは20のうちのいずれかのヌクレオチド配列と、少なくとも80%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸。
(項目115)
項目113または114に記載の核酸を含む組換えベクター。
(項目116)
項目113もしくは114に記載の核酸、または項目115に記載の組換えベクターを含む組換え細胞。
(項目117)
項目1から112のいずれか一項に記載の単離抗体またはその抗原結合性断片、および薬学的に許容されるキャリア、賦形剤、または希釈剤を含む医薬組成物。
(項目118)
医薬としての使用のための、項目1から112のいずれか一項に記載の単離抗体もしくはその抗原結合性断片、または項目117に記載の医薬組成物。
(項目119)
T細胞媒介性免疫障害の処置における使用のための、項目1から112のいずれか一項に記載の単離抗体もしくはその抗原結合性断片、または項目117に記載の医薬組成物。
(項目120)
T細胞媒介性免疫障害を処置するための医薬の製造における、項目1から112のいずれか一項に記載の単離抗体もしくはその抗原結合性断片、または項目117に記載の医薬組成物の使用。
(項目121)
T細胞媒介性免疫障害を処置する方法であって、有効量の、項目1から112のいずれか一項に記載の単離抗体もしくはその抗原結合性断片、または項目117に記載の医薬組成物を、このような処置を必要とする被験体へと投与するステップを含む方法。
(項目122)
前記T細媒介在性免疫障害が、炎症性疾患または自己免疫障害である、項目119に記載の単離抗体もしくはその抗原結合性断片、項目120に記載の使用、または項目121に記載の方法。
(項目123)
前記T細胞媒介性免疫障害が、感染症(ウイルス、細菌、真菌、および寄生虫の)、感染症と関連する内毒素性ショック、敗血症、関節炎、関節リウマチ、喘息、COPD、骨盤炎症性疾患、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、ペーロニー病、セリアック病、胆嚢疾患、毛巣病、腹膜炎、乾癬、血管炎、手術に伴う癒着、脳卒中、I型糖尿病、ライム病、関節炎、髄膜脳炎、自己免疫性ブドウ膜炎;多発性硬化症、ループス(全身性エリテマトーデスなど)、およびギラン-バレー症候群など、中枢および末梢神経系の免疫媒介性炎症性障害;アトピー性皮膚炎、自己免疫性肝炎、線維化肺胞炎、グレーブス病、IgA腎症、特発性血小板減少性紫斑病、メニエール病、天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変、サルコイドーシス、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、他の自己免疫障害、膵炎、外傷(手術による外傷)、移植片対宿主病、移植片拒絶;心筋梗塞およびアテローム性動脈硬化などの虚血性疾患を含む心疾患;血管内凝固、骨吸収、骨粗鬆症、骨関節炎、歯周炎、ならびに低塩酸症(hypochlorhydia)、または母児間免疫寛容の欠如と関連する不妊症からなる群から選択される、項目119に記載の単離抗体もしくはその抗原結合性断片、項目120に記載の使用、または項目121に記載の方法。
【0369】
本発明の実施形態は、これより添付図面を参照して一例としてのみ記載される。
【図面の簡単な説明】
【0370】
図1図1は、成熟ヒトLAG-3タンパク質のアミノ酸配列(配列番号27)を示す。4つの細胞外Igスーパーファミリードメインは、アミノ酸残基1~149(D1)、150~239(D2)、240~330(D3)、および331~412(D4)にある。ヒトLAG-3タンパク質のD1ドメインのエクストラループ構造のアミノ酸配列が太字下線で示されている(配列番号40)。
【0371】
図2図2は、モノクローナル抗体13E2のV CDRループ(Lefranc, M.-P.ら、Dev. Comp. Immunol.、27巻、55~77頁(2003年))の図形表示を示す。
【0372】
図3図3は、コードする核酸配列とアライメントされたモノクローナル抗体13E2のVドメインのアミノ酸配列を示す。
【0373】
図4図4は、モノクローナル抗体13E2のV CDRループ(Lefranc, M.-P.ら、Dev. Comp. Immunol.、27巻、55~77頁(2003年))の図形表示を示す。
【0374】
図5図5は、コードする核酸配列とアライメントされたモノクローナル抗体13E2のVドメインのアミノ酸配列を示す。
【0375】
図6図6は、モノクローナル抗体34F4のV CDRループ(Lefranc, M.-P.ら、Dev. Comp. Immunol.、27巻、55~77頁(2003年))の図形表示を示す。
【0376】
図7図7は、コードする核酸配列とアライメントされたモノクローナル抗体34F4のVドメインのアミノ酸配列を示す。
【0377】
図8図8は、モノクローナル抗体34F4のV CDRループ(Lefranc, M.-P.ら、Dev. Comp. Immunol.、27巻、55~77頁(2003年))の図形表示を示す。
【0378】
図9図9は、コードする核酸配列とアライメントされたモノクローナル抗体34F4のVドメインのアミノ酸配列を示す。
【0379】
図10図10は、モノクローナル抗体13E2のV領域をコードするヌクレオチド配列のトップV-D-J生殖系列BLASTアライメントを示す。
【0380】
図11図11は、モノクローナル抗体13E2のV領域をコードするヌクレオチド配列のトップV-J生殖系列BLASTアライメントを示す。
【0381】
図12図12は、モノクローナル抗体34F4のV領域をコードするヌクレオチド配列のトップV-D-J生殖系列BLASTアライメントを示す。
【0382】
図13図13は、モノクローナル抗体34F4のV領域をコードするヌクレオチド配列のトップV-J生殖系列BLASTアライメントを示す。
【0383】
図14図14は、アイソタイプ対照抗体(mIgG1)と比較した、LAG-3トランスフェクトチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に対する種々の濃度のアゴニスト抗LAG-3モノクローナル抗体13E2および34F4、ならびにアンタゴニスト抗LAG-3モノクローナル抗体17B4の結合の結果を示す。
【0384】
図15図15は、健康なドナー(ドナー1)由来の、アイソタイプ対照抗体(mIgG1)と比較した、CD4およびCD8初代細胞(SEB刺激PBMC)に対する種々の濃度のアゴニスト抗LAG-3モノクローナル抗体13E2および34F4、ならびにアンタゴニスト抗LAG-3モノクローナル抗体17B4の結合の結果を示す。
【0385】
図16図16Aは、アイソタイプ対照抗体(mIgG1)と比較した、種々の濃度のアゴニスト抗LAG-3モノクローナル抗体13E2および34F4、ならびにアンタゴニスト抗LAG-3モノクローナル抗体17B4による、MHCクラスII陽性B細胞へのIMP321(LAG-3Ig、1μg/ml)の結合の阻害の結果を示す。図16Bは、アイソタイプ対照抗体(mIgG1)と比較した、種々の濃度のアゴニスト抗LAG-3モノクローナル抗体13E2および34F4、ならびにアンタゴニスト抗LAG-3モノクローナル抗体17B4の存在下のIMP321(20ng/ml)によるTHP-1細胞の活性化の阻害の結果を示す。
【0386】
図17図17(A)は、実施例10に記載されたアッセイに使用されたフローサイトメトリーおよびゲーティング戦略により解析した、mIgG1、17B4、13E2、または34F4の存在下の1人のドナーのCD8T細胞のCMVにより誘導される増殖プロファイルを図示する。図17(B)は、同じドナーについてアイソタイプ対照抗体(mIgG1)と比較した、抗体13E2、34F4、および17B4によるCD8T細胞増殖の阻害に関するアッセイの結果を示す。ベースライン増殖も示されている(刺激なし)。
【0387】
図18図18は、幾人かの異なるドナーにおいてアイソタイプ対照抗体(mIgG1)と比較した、抗体13E2または34F4によるCD4またはCD8T細胞増殖の阻害に関するアッセイの結果を示す。
【0388】
図19図19は、CD8T細胞増殖に対する種々の濃度のアゴニスト抗LAG-3モノクローナル抗体13E2および34F4の効果を示す。
【0389】
図20図20は、キメラ13E2-ヒトIgG4 Fc抗体の重鎖アミノ酸配列(図中、キメラ13E2-ヒトIgG4 Fc重鎖アミノ酸配列は13E2IgG4mutと呼ばれる)、およびキメラ13E2-ヒトIgK抗体の軽鎖アミノ酸配列(図中、キメラ13E2-ヒトIgK軽鎖アミノ酸配列は13E2IgKと呼ばれる)を示す。
【0390】
図21図21は、枯渇、アンタゴニスト、およびアゴニスト抗LAG-3抗体のT細胞に対する異なる効果を図示する。
【0391】
図22図22は、元のマウスモノクローナル抗体13E2の対応する配列(それぞれ、13E2 VHおよび13E2 VL)と、ヒト化VHバリアント1~4(VH、VH、VH、およびVH)の可変領域のアライメント、およびヒト化VLバリアント1~4(VL、VL、VL、およびVL)の可変領域のアライメントを示す。CDR配列がグレーで強調されている。元のマウス配列と比較したバリアントのヒト化フレームワーク配列の変化が、下線および太字で示されている。
【0392】
図23図23は、抗体Chim13E2IgG4のキメラ13E2-ヒトIgG4 Fc重鎖アミノ酸配列(13E2IgG4mut)とアライメントさせたヒト化13E2-ヒトIgG4 Fc抗体(IMP761)の重鎖アミノ酸配列を示す。V領域が太字で示され、Fc領域が強調して示されている。キメラ13E2IgG4mut配列の対応する残基とは異なるヒト化IMP761配列のアミノ酸残基に一重下線が引かれている。CDR配列(組み合わされたIMGT/Kabat CDR配列同定に基づく)は二重下線で示されている。
【0393】
図24図24は、抗体Chim13E2IgG4のキメラ13E2-ヒトIgK軽鎖アミノ酸配列(13E2IgK)とアライメントさせたヒト化13E2-ヒトIgK抗体(IMP761)の軽鎖アミノ酸配列を示す。V領域が太字で示され、IgK領域が強調して示されている。キメラ13E2Igκ配列の対応する残基とは異なるヒト化IMP761配列のアミノ酸残基に一重下線が引かれている。CDR配列(組み合わされたIMGT/Kabat CDR配列同定に基づく)は二重下線で示されている。
【0394】
図25図25は、CHO-LAG-3細胞へのキメラ13E2-ヒトIgG4 Fc抗体(Chim13E2IgG4)およびIMP761の結合を試験するアッセイの結果を示す。
【0395】
図26図26は、(a)抗原により誘導されるCD8T細胞増殖、および(b)CD8T細胞内のCD25発現に対するIMP761およびChim13E2IgG4の効果を試験するアッセイの結果を示す。
【0396】
図27図27は、アイソタイプをマッチさせた対照と比較した(a)CD8T細胞増殖の阻害百分率、および(b)CD8T細胞内のCD25発現の阻害百分率のプロットとしての、抗原により誘導されるCD8T細胞増殖、およびCD25発現に対するIMP761およびChim13E2IgG4の効果を示す。
【0397】
図28図28は、抗原により誘導されるCD8T細胞増殖に対する種々の濃度のIMP761およびChim13E2IgG4の効果を示す。
【0398】
図29図29は、Promegaから入手可能なADCC Reporter Bioassay(a)、およびIL-2刺激PBMCをエフェクター細胞として用いたADCCアッセイ(結果は、PBMC集団におけるCD4およびCD8T細胞(b)、またはLAG-3CD4およびLAG-3CD8T細胞(c)の百分率としてプロットされている)を用いて、IMP761がLAG-3発現細胞に対して細胞傷害活性を有するかどうかを決定するためのADCCアッセイの結果を示す。
【0399】
図30図30は、IMP761がLAG-3発現細胞に対して細胞傷害活性を有するかどうかを決定するための、ウサギ補体を用いたCDCアッセイの結果を示す(結果は、PBMC集団における(a)CD4およびCD8T細胞、または(b)LAG-3CD4およびLAG-3CD8T細胞の百分率としてプロットされている)。
【0400】
図31図31は、抗原刺激PBMCを抗体と3日間培養した後、IMP761がLAG-3発現細胞に対して細胞傷害活性を有するかどうかを決定するためのアッセイの結果を示す。結果は、(a)PBMC集団におけるCD4およびCD8T細胞の百分率、および(b)CD4およびCD8T細胞亜集団におけるLAG-3細胞の百分率としてプロットされている。
【発明を実施するための形態】
【0401】
(実施例1)
13E2抗LAG-3モノクローナル抗体の生成
抗LAG-3抗体を生成するために、15匹のBalb/cマウス(以下にマウス番号1~15と呼ばれる)を以下に記載された免疫化プロトコールに従って免疫した。
【0402】
13匹のマウスは、100μgのIMP321(LAG-3Ig)、臨床等級ロットS017/LC1/041011(以下「LC1」と称する)の皮下(s.c.)注射によりそれぞれ免疫した:3回(マウス番号12);4回(マウス番号9);5回(マウス番号5および14);または0日目、15日目、30日目、50日目、67日目、および108日目に6回(マウス番号3、および11)。マウス番号1、2、4、8、10、13、および15は、さらに最大4回免疫した。並行して、対照として使用される2匹のマウス(マウス番号6およびマウス番号7)は、完全フロイントアジュバント(CFA)中10μgのLC1で0日目に1回、ならびに不完全フロイントアジュバント(IFA)中同じ用量の抗原で15日目、30日目、50日目、67日目、および108日目に免疫した。
【0403】
6回目の免疫化の12日後、マウス番号1、2、3、4、8、10、11、13、および15の血清を採取し(マウス番号5、9、12、および14はすでに屠殺済み)、LAG-3 D1~D4を被覆抗原、精製抗LAG-3 17B4マウスモノクローナル抗体を参照、およびヤギ抗マウスIg-HRPを標識二次抗体として用いる酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)で解析して、血清中に存在する抗LAG-3抗体の濃度を決定した。結果を以下の表2に示す:
【表2】
【0404】
6回の免疫化後、数匹のマウス(マウス番号3を含む)由来の血清は、これらのマウスがアジュバントとしてのCFAまたはIFAの非存在下、IMP321で免疫されたにもかかわらず、驚くべきことに2匹の陽性対照マウス(番号6および7)由来の血清より良い結果を示した。この通常とは異なる手法(すなわち、CFAまたはIFAをアジュバントとして使用することなく、PBSでIMP321により免疫化)はまた、IFAでLAG-3発現CHO細胞を用いた他の実験と比較して良い結果を示した(データ不図示)。理論に拘束されることなく、これはIMP321自体がアジュバントとなる、すなわち、IMP321が樹状細胞の活性化および成熟を直接引き起こすことが理由たり得ると考えられる。
【0405】
同じ血清試料を、Raji B細胞で発現されるIMP321のリガンド、MHCクラスIIへのIMP321の結合を阻害する能力について評価した。Alexa-Fluor488コンジュゲートIMP321 10μg/mlの溶液10マイクロリットルを、各マウスから収集した血清またはナイーブ血清5μlと共に、およびこれらの血清なしで4℃、30分間プレインキュベートした。次いでRaji細胞を50μlの最終容量に添加し、4℃で30分間インキュベートした。細胞結合蛍光をフローサイトメトリーにより解析した。
【0406】
マウス番号3由来の血清が、D1~D4血清ELISAアッセイにおいて高い力価(423μg/ml)(表1)、およびMHCクラスIIRaji B細胞へのIMP321の結合を阻害する強い能力を示したため、マウス番号3を選択した。
【0407】
6回目の免疫化の12日後、マウス番号3は、10μg D1~D4 LAG-3(Fcテールなし)組換えタンパク質(CHO細胞で作製され、精製された)による静脈内(i.v.)追加免疫を受けた。i.v.追加免疫注射の3日後、マウス番号3を屠殺し、脾臓を取り除いた。脾臓細胞を、脾臓の断片を5ml注射器ゴムプランジャーで圧搾して完全無血清DMEMを含有するペトリ皿に抽出した。脾臓細胞およびSp2/0骨髄腫細胞(RPMI 1640+10%FCS+2mMグルタミン+0.5%P/Sで培養した)を無血清培地で洗浄した。2つの細胞型を脾臓細胞:骨髄腫5:1の比で混ぜ合わせ、次いで遠心分離によりペレット化した。融合剤(PEG-1500、PBS中ポリエチレングリコール溶液50%w/v、Roche 10783641001、10細胞当たり1ml)を37℃で予熱し、細胞ペレットドロップに滴下した。細胞をごく穏やかに再懸濁し、90秒後に容量を倍増して希釈した。細胞を、約5分にわたって一定の間隔で1~15の最終希釈までさらに希釈した。細胞を次いで遠心分離し、10%FBSを含有する培地に再懸濁し、37℃で約1時間インキュベートした。細胞(10,000細胞/ウェル)を次いで、46枚の96ウェルプレート中、Ultralow Ig FBS(Gibco 16250)10%、2% HAT(Gibco 21060)を含有し、10%BM Condimed H1(融合後およびクローニング中にB細胞ハイブリドーマの増殖を支持するための培養培地への補充物、Roche 11088947001)を補充した完全RPMIに播種し、スクリーニングまで培養した。
【0408】
スクリーニングをLAG-3が膜発現しているCHO細胞を用いてサイトメトリーにより行って、FITCコンジュゲートヤギ抗マウスIgにより明らかにした、増殖しているハイブリドーマの上清に存在する抗体の結合能力を解析した。陽性ハイブリドーマを拡大増殖させ、CHO LAG-3細胞および野生型CHO細胞について再スクリーニングした。この融合から、合計632ウェルをLAG-3発現CHO細胞についてFACS解析によりスクリーニングした(14%の収量)。13E2を含む4個のハイブリドーマクローンが、抗LAG-3抗体を安定に発現することを見出した。ハイブリドーマを限界希釈により次いでサブクローニングした。
【表3】
【0409】
(実施例2)
抗体13E2の可変領域のアミノ酸配列
アミノ酸配列:
【化1】
【0410】
配列番号7は、抗体13E2の重鎖可変(V)ドメインのアミノ酸配列である。IMGT番号付けシステム(Lefranc, M.-P.ら、Nucleic Acids Research、27巻、209~212頁(1999年))により決定した相補性決定領域(CDR)に下線が引かれている。Kabat番号付けシステムにより決定したCDRは太字で示されている。
【0411】
図2は、モノクローナル抗体13E2のV CDRループ(Lefranc, M.-P.ら、Dev. Comp. Immunol.、27巻、55~77頁(2003年))の図形表示を示す。網かけした円(残基番号4、12、13、19、21、23、25、41、50、52、53、71、76、78、87、89、91、94、100)は、大多数の抗体において疎水性である部位のフレームワーク1~3中の疎水性(非極性)残基である。四角は、各CDRの開始および終了の重要な残基である。フレームワークのアミノ酸残基番号23、41、89、104、118は、構造的に保存されたアミノ酸である。
【0412】
アミノ酸配列:
【化2】
【0413】
配列番号8は、抗体13E2の軽鎖可変(V)ドメインのアミノ酸配列である。IMGT番号付けシステム(Lefranc, M.-P.ら、Nucleic Acids Research、27巻、209~212頁(1999年))により決定した相補性決定領域(CDR)は下線が引かれている。Kabat番号付けシステムにより決定したCDRは、太字で示されている。
【0414】
【表4】
【0415】
図4は、モノクローナル抗体13E2のV CDRループ(Lefranc, M.-P.ら、Dev. Comp. Immunol.、27巻、55~77頁(2003年))の図形表示を示す。網かけした円(残基番号4、11、19、21、23、25、40、41、52、53、54、71、76、87、89、91、94、96、100、101)は、大多数の抗体において疎水性である部位のフレームワーク1~3中の疎水性(非極性)残基である。四角は、各CDRの開始および終了の重要な残基である。フレームワークのアミノ酸残基番号23、41、89、104、118は、構造的に保存されたアミノ酸である。
【0416】
(実施例3)
抗体13E2の可変ドメインをコードする核酸配列
モノクローナル抗体13E2のVHドメインをコードする核酸配列を図3、および以下に示す:
CAGGTTACTCTGAAAGAGTCTGGCCCTGGGATATTGCAGCCCTCCCAGACCCTCAGTCTGACTTGTTCTTTCTCTGGGTTTTCACTGAGCACTTCTGGTATGGGTCTAGGCTGGATTCGTCAGCCATCAGGGAAGGGTCTGGAGTGGCTGACACACATTTGGTGGGATGATATCAAGCGCTATAACCCAGACCTGAGGAGCCGACTGACTATCTCCAAGGATACCTCCAGCAGCCAGATTTTCCTCAAGATCGCCAGTGTGGACACTGCAGATACTGCCACATATTACTGTGCTCGAATAGTGGAGGGTTCATACAGTAGTAGTTACTTCGATGTCTGGGGCGCAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCAG(配列番号9)。
【0417】
核酸BLASTアライメントは、モノクローナル抗体13E2のVHドメインをコードする核酸配列が、以下の生殖系列遺伝子:IGHV8-801、IGHV8-1101、IGHV8-1201、IGHD2-1201、IGHD1-101、IGHJ101、IGHJ102、IGHJ103の配列と有意な同一性を有することを示している。
【0418】
図10は、13E2抗体のVHドメインをコードする核酸配列のトップ生殖系列遺伝子マッチとのアライメントを示す。図10は、13E2 VH領域のヌクレオチド1~301を含む部分(重鎖フレームワーク領域FR1、FR2、およびFR3を包含する)が、V遺伝子IGHV8-801の核酸配列と92.7%核酸配列同一性を有することを示している。
【表5】
【0419】
モノクローナル抗体13E2のVLドメインをコードする核酸配列を図5、および以下に示す:
GACATTGTGATGACCCAGCCTCACAAATTCATGTCCACATCAGTGGAAGACAGGGTCACCATCACCTGCAAGGCCAGTCAGGATGTGATTTTTGATGTAGCCTGGTATCAACAGAAACCAGGACAATCTCCTAAATTACTGATTTACTCGGCATCCTCCCGGGTCAGTGGAGTCCCTGATCGCTTCACTGGCAGTGGATCTGGGACGGATTTCACTTTCACCATCAGTAGTGTGCAGGCTGAAGACCTGGCAGTTTATTACTGTCAGCAACACTATAGTACTCCGTACACGTTCGGAGGGGGGACCACGCTGGAAATAAAAC(配列番号10)。
【0420】
核酸BLASTアライメントは、モノクローナル抗体13E2のVLドメインをコードする核酸配列が、以下の生殖系列遺伝子:IGKV6-1701、IGKV6-2501、IGKV6-2301、IGKJ201、IGKJ203、IGKJ202の配列と有意な同一性を有することを示している。
【0421】
図11は、13E2抗体のVLドメインをコードする核酸配列のトップ生殖系列遺伝子マッチとのアライメントを示す。図11は、13E2 VL領域のヌクレオチド1~284を含む部分(軽鎖フレームワーク領域FR1、FR2、およびFR3を包含する)が、V遺伝子IGKV6-1701の核酸配列と94.7%核酸配列同一性を有することを示している。
【0422】
【表6】
【0423】
(実施例4)
34F4抗LAG-3モノクローナル抗体の生成
4匹のBalb/cマウス(以下にマウス番号1~4と呼ばれる)を、0日目、14日目、28日目、43日目、および70日目に、100μg IMP321(LAG-3Ig)、臨床等級ロットS017/LC1/041011(以下「LC1」と称する)の4回(マウス番号2および4)、または5回(マウス番号1および3)s.c.注射によりそれぞれ免疫した。追加のBalb/cマウス(以下にマウス番号5と呼ばれる)を、D1~D4 LAG-3の3回s.c.注射により免疫した。
【0424】
3回目の注射の2週間後、各マウス由来の血清をELISAアッセイ(実施例1に記載)で抗LAG-3抗体含量について試験した。結果を以下の表7に示す:
【表7】
【0425】
Raji B細胞へのIMP321の結合を阻害する、各マウス由来の血清の能力を、FACS解析(実施例1に記載)により決定した。
【0426】
表7から分かるように、抗体価は全てのマウスにおいて低かった。いずれの血清も3回の免疫化後、MHCクラスIIRaji B細胞へのIMP321の結合を阻害しなかった。血清力価および阻害能を試験するための他の採血は行われなかった。免疫化工程を継続し、LC1の5回s.c.注射を受けたマウス番号3を、92日目に10μgのD1~D4 LAG-3 i.v.で追加免疫した。
【0427】
i.v.追加免疫注射の3日後、マウス番号3由来の7,300万個の脾臓細胞を、実施例1に記載された同じ手順後に1,500万個のSp2/0骨髄腫細胞と融合させた。40枚の96ウェルプレートのウェルに1ウェル当たり約25,500細胞を播種し、次いで10%BM Condimed H1を含む培養培地を補充して培養した。2,256ウェルを、LAG-3発現CHO細胞についてFACS解析によりスクリーニングした(59%の収量)。34F4を含む2個の安定な抗LAG-3ハイブリドーマを選択した(以下の表8を参照のこと)。
【0428】
【表8】
【0429】
(実施例5)
抗体34F4の可変領域のアミノ酸配列
アミノ酸配列:
【化3】
【0430】
配列番号17は、抗体34F4の重鎖可変(V)ドメインのアミノ酸配列である。IMGT番号付けシステム(Lefranc, M.-P.ら、Nucleic Acids Research、27巻、209~212頁(1999年))により決定した相補性決定領域(CDR)に下線が引かれている。Kabat番号付けシステムにより決定したCDRは太字で示されている。
【0431】
図6は、モノクローナル抗体34F4のV CDRループ(Lefranc, M.-P.ら、Dev. Comp. Immunol.、27巻、55~77頁(2003年))の図形表示を示す。網かけした円(残基番号4、12、13、19、21、23、25、41、50、52、53、71、76、78、87、89、91、94、100)は、大多数の抗体において疎水性である部位のフレームワーク1~3の疎水性(非極性)残基である。四角は、各CDRの開始および終了の重要な残基である。フレームワークのアミノ酸残基番号23、41、89、104、118は、構造的に保存されたアミノ酸である。
【0432】
アミノ酸配列:
【化4】
【0433】
配列番号18は、抗体34F4の軽鎖可変(V)ドメインのアミノ酸配列である。IMGT番号付けシステム(Lefranc, M.-P.ら、Nucleic Acids Research、27巻、209~212頁(1999年))により決定した相補性決定領域(CDRs)に下線が引かれている。Kabat番号付けシステムにより決定したCDRは太字で示されている。
【0434】
【表9】
【0435】
図8は、モノクローナル抗体34F4のV CDRループ(Lefranc, M.-P.ら、Dev. Comp. Immunol.、27巻、55~77頁(2003年))の図形表示を示す。網かけした円(残基番号4、11、19、21、23、25、40、41、52、53、54、71、76、87、89、91、94、96、100、101)は、大多数の抗体において疎水性である部位のフレームワーク1~3の疎水性(非極性)残基である。四角は、各CDRの開始および終了の重要な残基である。フレームワークのアミノ酸残基番号23、41、89、104、118は、構造的に保存されたアミノ酸である。
【0436】
(実施例6)
抗体34F4の可変ドメインをコードする核酸配列
モノクローナル抗体34F4のVHドメインをコードする核酸配列を図7、および以下に示す:
CAGGTTACTCTGAAAGAGTCTGGCCCTGGGATATTGCAGCCCTCCCAGACCCTCAGTCTGACTTGTTCTTTCTCTGGGTTTTCACTGAACACTTCTGGTATGGGTGTAGGCTGGATTCGTCAGCCATCAGGGAAGGGTCTGGAGTGGCTGACACACATTTGGTGGGATGATGTCAAGCGCTATAATCCAGCCCTGAAGAGCCGACTGACTATCTCCAAGGATACCTCCAGCAGCCAGGTATTCCTCAAGATCGCCAGTGTGGACACTGCAGATACTGCCACATACTACTGTGCTCGAATAGAGGGGGATACTTACTACGACTATTACTTTGACTACTGGGGCCAAGGCGTCACTCTCACAGTCTCCTCAG(配列番号19).
【0437】
核酸BLASTアライメントは、モノクローナル抗体34F4のVHドメインをコードする核酸配列が、以下の生殖系列遺伝子:IGHV8-801、IGHV8-1201、IGHV8-1101、IGHD1-101、IGHD1-201、IGHD2-301、IGHJ201、IGHJ202、IGHJ203の配列と有意な同一性を有することを示している。
【0438】
図12は、34F4抗体のVHドメインをコードする核酸配列のトップ生殖系列遺伝子マッチとのアライメントを示す。図12は、34F4 VH領域のヌクレオチド1~301を含む部分(重鎖フレームワーク領域FR1、FR2、およびFR3を包含する)が、V遺伝子IGHV8-801の核酸配列と94.4%核酸配列同一性を有することを示している。
【0439】
【表10】
【0440】
モノクローナル抗体34F4のVLドメインをコードする核酸配列を図9、および以下に示す:
GACATTGTGATGACCCAGTCTCACAAACTCATGTCCACATCAGTTGGAGACGGGCTCAGCATCACCTGCAAGGCCAGTCAGGATGTGAGCATTGCTGTAGTCTGGTATCAACAGAAACCAGGACAATCTCCTAAACTGCTGATTTACTCGGCATCCTTCCGGTACACTGGAGTCCCTGATCGCTTCACTGGCAGTGGATCTGGGACGGATTTCACTTTCACCATCAGCAGTGTGCAGGCTGAAGACCTGGCAGTTTATTACTGTCAGCAACATTATAGTATTCCGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAAC(配列番号20).
【0441】
核酸BLASTアライメントは、モノクローナル抗体34F4のVLドメインをコードする核酸配列が、以下の生殖系列遺伝子:IGKV6-1701、IGKV6-2501、IGKV6-2301、IGKJ101、IGKJ102、IGKJ201の配列と有意な同一性を有することを示している。
【0442】
図13は、34F4抗体のVLドメインをコードする核酸配列のトップ生殖系列遺伝子マッチとのアライメントを示す。図13は、34F4 VL領域のヌクレオチド1~284を含む部分(軽鎖フレームワーク領域FR1、FR2、およびFR3を包含する)が、V遺伝子IGKV6-1701の核酸配列と94.7%核酸配列同一性を有することを示している。
【0443】
【表11】
【0444】
(実施例7)
17B4アンタゴニストモノクローナル抗体と比較した、LAG-3トランスフェクト初代細胞へのアゴニスト13E2および34F4モノクローナル抗体の結合
LAG-3トランスフェクトCHO細胞、または健康なドナー由来のSEB刺激PBMCを、抗LAG-3モノクローナル抗体、またはアイソタイプ対照(mIgG1)とPBS、BSA0.5%、アジド0.1%中で4℃、30分間インキュベートした。細胞を洗浄し、細胞結合抗体をFITCコンジュゲートヤギF(ab’)2抗マウスIg(H+L)(Coulter)により明らかにした。二次抗体を洗い流し、CHO細胞はフローサイトメトリーにより直接解析した。PBMCはCD4-PE-Cy7およびCD8-APC-Cy7を用いて表現型を決定した。
【0445】
CHO LAG-3細胞への結合
結果は、抗体濃度の関数としての、ヒトLAG-3コードプラスミドをトランスフェクトしたCHO細胞の蛍光強度の平均(MFI)として示される。結果を、以下の表12および図14に示す。
【0446】
【表12】
【0447】
表12の結果に基づき、LAG-3発現CHO細胞への各抗体の結合に対するEC50値、17B4:0.7nM、13E2:0.3nM、34F4:0.5nMである。
【0448】
LAG-3発現CHO細胞への各抗体の結合に対する4つの独立した実験からの平均EC50値(データ不図示)は、17B4:0.7nM、13E2:0.4nM、34F4:0.5nMである。
【0449】
4つの独立した実験からの13E2 EC50値の平均は、17B4 EC50値の平均の2.7倍である。
【0450】
4つの独立した実験からの34F4 EC50値の平均は、17B4 EC50値の平均の1.6倍である。
【0451】
SEB刺激PBMCへの結合
結果は、抗体濃度の関数としての、3日間0.5μg/ml SEBで刺激したドナー(ドナー1)のPBMC由来のCD4+またはCD8+細胞における蛍光強度の平均として示される。ドナー1に関するCD4およびCD8細胞への結合の結果を、以下の表13および図15に示す。
【表13】
【0452】
表13に示された結果に基づき、CD4細胞への各抗体の結合に対するEC50値は、17B4:0.5nM、13E2:0.1nM、34F4:0.1nMである。
【0453】
CD4細胞への各抗体の結合に対する3人のドナーからの平均EC50値(データ不図示)は、17B4:0.8nM、13E2:0.2nM、34F4:0.2nMである。
【0454】
3人のドナーからの13E2および34F4 CD4 EC50値の平均は、17B4 EC50値の平均の3.8倍である。
【0455】
表13に示された結果に基づき、CD8細胞への各抗体の結合に対するEC50値は、17B4:0.7nM、13E2:0.3nM、34F4:0.2nMである。
【0456】
CD8細胞への各抗体の結合に対する3人のドナーからの平均EC50値(データ不図示)は、17B4:1nM、13E2:0.4nM、34F4:0.5nMである。
【0457】
3人のドナーからの13E2および34F4 CD8 EC50値の平均は、17B4 EC50値の平均の2.5倍である。
【0458】
結果は、13E2および34F4モノクローナル抗体がそれぞれ、LAG-3を発現するCHO細胞、ならびにCD4T細胞およびCD8T細胞と17B4より高いアフィニティーで結合することを示している。
チップ上のLAG-3Igおよびランニング緩衝液中の17B4抗体を用いたBiacore解析は、以下の結果を示した:
ka (1/Ms) 1.09 x 106
kd (1/s) 1.32 x 10-4
KD (M) 1.21 x 10-10
チップ上の17B4抗体およびランニング緩衝液中のLAG-3Igを用いたBiacore解析は、以下の結果を示した:
ka (1/Ms) 2.22 x 105
kd (1/s) 8.18 x 10-4
KA (1/M) 2.71 x 108
KD (M) 3.69 x 10-9
【0459】
(実施例8)
MHCクラスII陽性細胞へのIMP321(LAG-3Ig)の結合の13E2および34F4による阻害
MHCクラスII陽性B細胞(Raji細胞)へのIMP321コンジュゲート(LAG-3Ig-Alexa 488)の結合を、コンジュゲート(4℃、1μg/ml)と、抗LAG-3モノクローナル抗体(13E2、34F4、または17B4)またはアイソタイプ対照(mIgG1)とのプレインキュベーション後に決定した。細胞結合蛍光の解析は、蛍光活性化細胞選別(FACS)を用いて実施した。
【0460】
抗体濃度の関数としての細胞結合LAG-3Igに対応する平均蛍光強度(MFI)を、以下の表14および図16Aに示す。
【0461】
【表14】
【0462】
結果は、Raji細胞へのIMP321の結合が、LAG-3特異的モノクローナル抗体の各々とのプレインキュベーションにより阻害されたことを示している。
【0463】
(実施例9)
13E2および34F4によるIMP321(LAG-3Ig)により誘導される単球活性化の阻害
IMP321(20ng/ml)を、抗LAG-3モノクローナル抗体13E2、34F4、もしくは17B4、またはアイソタイプ対照(mIgG1)と37℃で5分間プレインキュベートした後、混合物をTHP-1細胞と37℃で4時間インキュベーションした。THP-1細胞によるCCL4分泌の量を使用して、単球活性化のレベルを決定した。
【0464】
Ab濃度の関数としてのCCL4濃度(pg/mlで表された)を、以下の表15および図16Bに示す。
【0465】
【表15】
【0466】
結果は、IMP321により誘導される単球活性化が、IMP321とアンタゴニスト抗LAG-3モノクローナル抗体17B4とのプレインキュベーションにより、ならびにまたアゴニストモノクローナル抗体13E2および34F4とのプレインキュベーションによっても阻害されることを示している。
【0467】
アンタゴニスト17B4モノクローナル抗体と同じようにアゴニストモノクローナル抗体13E2および34F4は、LAG-3Ig(IMP321)の結合および活性をブロックする能力により示される通り、LAG-3のMHCクラスII結合部位と相互作用するまたは近接していることが、これらの結果および実施例8の結果から結論付けられた。
【0468】
(実施例10)
17B4と比較した13E2および34F4によるT細胞増殖の阻害
3人の健康なドナー由来のPBMC(完全RPMI+10%FBS中1×10/mlで0.2×10細胞/ウェル)をカルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)で標識し、モノクローナル抗LAG-3抗体13E2、34F4、17B4、またはアイソタイプ対照(mIgG1)の存在下、CMV pp35の配列を含むペプチドのプールとインキュベートした(最適上限用量、ドナー#1および#2については300ng/ml、ドナー#3については100ng/ml)。
【0469】
T細胞応答を、5日目にCD4またはCD8T細胞のCFSEベースの増殖を測定して調べた。それぞれの異なる抗体の存在下のドナー#1のCD8T細胞のFACSプロファイルおよびゲーティング戦略を、図17(A)に示す。図17(B)は、細胞分裂の関数としての、同じドナーに関する各分裂ピーク下のCD8T細胞の百分率を示す。3人のドナーの結果を以下の表16に示す。抗原ペプチドなしにおけるベースライン増殖(刺激なし)も測定した(図17(A)最下位のパネルおよび表16を参照のこと)。ドナー#1のCD4T細胞はCMV特異的増殖を全く示さなかったため、この集団の結果は含まれていない。
【0470】
【表16】
【0471】
増殖指数(PI)(各分裂ピーク下のCD4またはCD8T細胞の百分率に分裂数を乗じた合計として計算)を表17に示す。この指数は、数回の分裂を経験した細胞の百分率を際立たせる。表17はまた、PI値に基づくアイソタイプ対照(mIgG1)と比較した各抗体の阻害百分率も記録する。
【0472】
【表17】
【0473】
結果は、モノクローナル抗体13E2および34F4は、抗原ペプチドにより誘導されたCD4およびCD8T細胞の増殖を一貫して阻害したが、モノクローナル抗体17B4は、試験した濃度では軽度の正の効果を有する傾向があることを示している。
【0474】
(実施例11)
13E2および34F4によるT細胞増殖の阻害
12人の健康なドナー由来のPBMC(完全RPMI+10%FBS中1×10/mlで0.2×10細胞/ウェル)をCFSEで標識し、モノクローナル抗LAG-3抗体13E2、34F4、またはアイソタイプ対照(mIgG1)の存在下、CMV pp35の配列を含むペプチドのプールとインキュベートした。
【0475】
T細胞応答を、5日目にCD4またはCD8T細胞のCFSEベースの増殖を測定して調べた。各分裂ピーク下のCD4またはCD8T細胞の百分率を、図17(A)に図示されたゲーティング戦略を用いて細胞分裂の関数として計算した。抗原ペプチドなしにおけるベースライン増殖(刺激なし)も測定した。ドナー#1、#5、および#12のCD4T細胞はCMV特異的増殖を全く示さなかったため、これらの試料の結果は含まれていない。
【0476】
各ドナーに対する増殖指数(PI)(各分裂ピーク下のCD4またはCD8T細胞の百分率に分裂数を乗じた合計として計算)を表18に示し、結果を図18にプロットする。表18はまた、PI値に基づくアイソタイプ対照(mIgG1)と比較した各抗体の阻害百分率も記録する。
【0477】
【表18】
【0478】
これらの結果からの平均値を表19に提示する。
【0479】
【表19】
【0480】
結果は、モノクローナル抗LAG-3抗体13E2および34F4が、抗原ペプチドにより誘導されたCD4およびCD8T細胞の増殖を阻害することを示している。結果は、各抗体の阻害効果がCD4T細胞よりCD8T細胞に対してより顕著となり得ることを示唆している。試験したドナーのほとんどで、13E2および34F4抗体の効果は極めて類似していたため、抗体は同等の活性を有すると思われる。
【0481】
(実施例12)
CD8T細胞増殖に対するアゴニスト抗体の用量反応
CFSE標識PBMCを、様々な濃度のアゴニスト抗LAG-3モノクローナル抗体13E2、34F4、またはアイソタイプ対照(mIgG1)の存在下、上記したようにCMVペプチドにより刺激した。
【0482】
T細胞応答を、5日目にCD8T細胞のCFSEベースの増殖を測定して調べた。増殖指数(各分裂ピーク下のCD8T細胞の百分率に分裂数を乗じた合計として計算)を表20に示す。
【0483】
【表20】
【0484】
以下の表21は、抗体濃度の関数としてのCD8T細胞増殖指数を記録する。表21の結果は、図19にプロットされている。
【表21】
【0485】
結果は、モノクローナル抗LAG-3抗体13E2または34F4の30ng/mlと低い用量が、CD8T細胞増殖の最大阻害をもたらすことを示している。結果はまた、抗体の効果が極めて類似していたことも示している。
【0486】
(実施例13)
34F4によるCD8T細胞増殖の阻害はIMP321とのプレインキュベーションにより元に戻る
2人のドナー由来のCFSE標識PBMCを、様々な濃度の34F4抗体の存在下、上記したようにCMVペプチドにより刺激した。1μg/ml用量の34F4も、10倍過剰のIMP321で中和後に評価した。
【0487】
T細胞応答を、5日目にCD8T細胞のCFSEベースの増殖を測定して調べた。CD8T細胞の増殖の阻害の百分率を、IMP321ありまたはなしにおける対照と比較した、34F4抗体、または34F4抗体およびIMP321(LAG-3Ig)の存在下で観察された分裂細胞の百分率に基づき計算した。
【0488】
結果を以下の表22に示す。
【0489】
【表22】
【0490】
結果は、34F4抗体とIMP321とのプレインキュベーションが、CD8T細胞の増殖に対する34F4抗体の阻害効果を元に戻すことを示している。これは、34F4によって媒介されるCD8T細胞増殖の阻害が、LAG-3への34F4抗体の結合に依存することを示している。
【0491】
(実施例14)
13E2および34F4によるCD8T細胞増殖の阻害はIL-2により元に戻らない
CFSE標識PBMCを、IL-2ありまたはなしで、13E2または34F4抗体の存在下、上記したようにCMVペプチドにより刺激した。
【0492】
T細胞応答を、5日目にCD8T細胞のCFSEベースの増殖を測定して調べた。CD8T細胞の増殖の阻害の百分率を、IL-2ありまたはなしにおけるアイソタイプ対照と比較した、IL-2ありまたはなしにおける13E2または34F4抗体の存在下で観察された分裂細胞の百分率に基づき計算した。
【0493】
結果を以下の表23に示す。
【0494】
【表23】
【0495】
結果は、外因性IL-2の付加が、CD8T細胞の増殖に対する13E2または34F4抗体の阻害効果を克服できなかったことを示している。これらの結果から、抗体13E2および34F4はそれぞれ、CD8T細胞においてシグナル1(CMV抗原に対する応答、T細胞受容体依存性経路)を直接阻害するが、シグナル2(IL-2に対する応答、すなわちCD4細胞からの助け)を直接阻害しないと結論付けられる。
【0496】
(実施例15)
T細胞活性化マーカー分泌に対する13E2の効果
末梢血単核細胞(PBMC)は、リンパ球(T細胞、B細胞、およびNK細胞)、単球、および樹状細胞を含む。IFN-γは、活性化CD4およびCD8メモリーおよびエフェクターT細胞、ならびに活性化時のNK細胞により主に分泌される。in vitroで特異的抗原により再刺激後、IFN-γの分泌が誘導される。
【0497】
4人の健康なドナー由来のPBMC(完全RPMI+10%FBS中1×10/mlで0.2×10細胞/ウェル)をCFSEで標識し、モノクローナル抗LAG-3抗体13E2またはアイソタイプ対照(mIgG1)の存在下、CMV pp35の配列を含むペプチドのプールとインキュベートした。T細胞応答を、2日目に細胞上清中のIFN-γの放出を測定して調べた。IFN-γの濃度、および13E2によるIFN-γ分泌の阻害百分率を、以下の表24に示す。
【0498】
【表24】
【0499】
結果は、モノクローナル抗体13E2が、試験したドナーの各々においてIFN-γの分泌を阻害したことを示している。これは、モノクローナル抗体13E2がT細胞の活性化を阻害する証拠を提供するものである。
【0500】
(実施例16)
T細胞活性化マーカー発現に対する13E2および34F4の効果
4人の健康なドナー由来のPBMC(完全RPMI+10%FBS中1×10/mlで0.2×10細胞/ウェル)をCFSEで標識し、モノクローナル抗LAG-3抗体13E2もしくは34F4、またはアイソタイプ対照(mIgG1)の存在下、CMV pp35の配列を含むペプチドのプールとインキュベートした。
【0501】
T細胞応答を、5日目にCD8T細胞における活性化マーカーとしてのCD25の発現を測定して調べた。CD25を発現するCD8T細胞の百分率、および13E2または34F4によるCD25発現の阻害百分率を、以下の表25に示す。
【表25】
【0502】
結果は、各モノクローナル抗体、13E2および34F4が、CD8T細胞におけるCD25の発現を有意に阻害したことを示している。これは、各抗体がCD8T細胞の活性化を阻害する証拠を提供するものである。
【0503】
(実施例17)
キメラ13E2-ヒト抗体配列
13E2重鎖および軽鎖のマウス可変領域をコードするヌクレオチド配列を、それぞれヒトIgG4重鎖およびカッパ軽鎖の定常領域をコードする配列と融合させた。これらの合成キメラ配列を、発現ベクターにサブクローニングし、懸濁液で増殖させたCHO細胞において発現させた。
【0504】
キメラ13E2-ヒトIgG4 Fc抗体の重鎖アミノ酸配列を、以下および図20(A)に示す。抗体は、マウスモノクローナル抗体13E2のVドメイン、およびS228P変異(Fabアーム交換をなくすための)を有するヒトIgG4 Fc部分(13E2IgG4mut)を含む。図中、V領域は太字で示され、Fc領域は強調して示されている。
【0505】
13E2IgG4mut
MGWTLVFLFLLSVTAGVHSQVTLKESGPGILQPSQTLSLTCSFSGFSLSTSGMGLGWIRQPSGKGLEWLTHIWWDDIKRYNPDLRSRLTISKDTSSSQIFLKIASVDTADTATYYCARIVEGSYSSSYFDVWGAGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号30)
【0506】
キメラ13E2-ヒトIgK抗体の軽鎖アミノ酸配列を、以下および図20(B)に示す。抗体は、モノクローナル抗体13E2のVドメイン、および野生型ヒトIgカッパ(IgK)鎖C部分(13E2IgK)を含む。図中、V領域は太字で示され、IgK領域は強調して示されている。
【0507】
13E2IgK
MVSSAQFLGLLLLCFQGTRCDIVMTQPHKFMSTSVEDRVTITCKASQDVIFDVAWYQQKPGQSPKLLIYSASSRVSGVPDRFTGSGSGTDFTFTISSVQAEDLAVYYCQQHYSTPYTFGGGTTLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号37)
【0508】
キメラ13E2-ヒト抗体(Chim13E2IgG4と呼ばれる)は、キメラ重鎖および軽鎖:13E2IgG4mutおよび13E2IgKを含む。
【0509】
(実施例18)
ヒト化13E2モノクローナル抗体(IMP761)配列
CDRループコンフォメーションの最適保持には、組み合わされたIMGT/Kabat CDR配列同定を使用して、13E2のヒト化バージョンを得るためにマウス13E2由来のCDRをヒトフレームワークにグラフトした。これらの合成キメラ配列を発現ベクターにサブクローニングし、懸濁液で増殖させたCHO細胞において発現させた。
【0510】
ヒト化13E2モノクローナル抗体(IMP761と呼ばれる)の重鎖および軽鎖アミノ酸配列を以下に示す。可変ドメインは太字で示され、CDR配列は下線で示されている。
【0511】
IMP761重鎖のアミノ酸配列
【化5】
【0512】
この配列(IMP761重鎖)と実施例17のキメラ重鎖配列、13E2IgG4mutとのアライメントを図23に示す。図中、V領域は太字で示され、Fc領域は強調して示されている。キメラ13E2IgG4mut配列の対応する残基とは異なるヒト化IMP761配列のアミノ酸残基に一重下線が引かれている。CDR配列(組み合わされたIMGT/Kabat CDR配列同定に基づく)は二重下線で示されている。ヒト化配列における変化した残基も以下の表26に提示する(VHバリアント4、VH、ならびに元の13E2重鎖配列の3つの他のヒト化バリアント:VHバリアント1、2、および3、VH、VH、およびVHにおける変化した残基として)。
【0513】
【表26】
【0514】
ヒト化抗体(抗体IMP761)の重鎖フレームワーク配列は:
VH FR1:QITLKESGPTLVKPTQTLTLTCTFS(配列番号64);
VH FR2:WIRQPPGKTLEWLT(配列番号65);
VH FR3:RLSITKDTSKNQVVLTMTNMDPLDTGTYYC(配列番号66); and
VH FR4:WGQGTLVTVSS(配列番号67)
である。
【0515】
IMP761軽鎖のアミノ酸配列
【化6】
【0516】
この配列(IMP761軽鎖)と実施例17のキメラ軽鎖配列、13E2Igκとのアライメントを図24に示す。図中、V領域は太字で示され、IgK領域は強調して示されている。キメラ13E2Igκ配列の対応する残基とは異なるヒト化IMP761配列のアミノ酸残基に一重下線が引かれている。CDR配列(組み合わされたIMGT/Kabat CDR配列同定に基づく)は二重下線で示されている。ヒト化配列における変化した残基を以下の表27に提示する(VLバリアント3、VH、ならびに元の13E2軽鎖配列の3つの他のヒト化バリアント:VLバリアント1、2、および4、VL、VL、およびVLにおける変化した残基として)。
【0517】
【表27】
【0518】
ヒト化抗体(抗体IMP761)の軽鎖フレームワーク配列は:
VL FR1:DIVMTQTPSSLSASVGDRVTITC(配列番号76);
VL FR2:WYQQRPGQAPKLLIY(配列番号77);
VL FR3:GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC(配列番号78);および
VL FR4:FGQGTRLDIK(配列番号79
である。
【0519】
(実施例19)
CHO-LAG-3細胞へのキメラ13E2-ヒト抗体(Chim13E2IgG4)およびヒト化13E2抗体(IMP761)の結合
LAG-3を表面に発現するCHO細胞(PBS、0.5%BSA、0.1%アジド中、0.05×10細胞/ウェル)を、実施例17に記載されたキメラ重鎖および軽鎖(重鎖:13E2IgG4mut、軽鎖:13E2IgK)を含む種々の濃度のキメラ13E2-ヒト抗体(Chim13E2IgG4と呼ばれる)、IMP761、またはヒトIgG4(アイソタイプをマッチさせた陰性対照として)とインキュベートした。二次抗体ヤギ抗ヒトIgG-FITCを使用して、CHO-LAG-3細胞の表面の抗体の存在を検出した。FITC平均蛍光強度(mean fluorescence of intensity)(MFI)を、フローサイトメトリーによる解析後に決定した。
【0520】
結果を以下の表28および図25に示す。
【0521】
【表28】
【0522】
結果は、ヒト化モノクローナル抗体IMP761が、キメラ抗体と極めて同じように表面にLAG-3を発現するCHO細胞に結合することを示している。
【0523】
(実施例20)
ヒトLAG-3Igタンパク質に対するキメラ13E2-ヒト抗体(Chim13E2IgG4)およびヒト化13E2抗体(IMP761)の結合アフィニティー
Biacore(商標)表面プラズモン共鳴解析を、C1センサーチップに共有結合で固定化したキメラ抗体Chim13E2IgG4(実施例17に記載されたキメラ重鎖13E2IgG4mut、およびキメラ軽鎖13E2IgKを含む)、または実施例18に記載されたヒト化13E2抗体(IMP761)を用いて行った。被覆を10mM酢酸ナトリウム、pH5.0中で行って13±1RUに達した。組換えヒトLAG-3Igタンパク質(IMP321)に、次いで、25℃の解析用緩衝液(10mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、3mM EDTA、0.05%Tween20)中、0.078~2.5nMにわたる6つの異なる濃度で捕捉抗体を通過させ、サイクルごとに再生した。解析はBiacore(商標)T200で実施し、データは動態グローバルフィット(kinetic global fit)(ラングミュア1:1)モデルを用いてフィットさせた。動態パラメーターは表29に記録されており、3回のランの平均を表している。
【表29】
【0524】
結果は、ヒト化モノクローナル抗体IMP761が、ヒトLAG-3Igタンパク質に対してキメラ抗体と同じアフィニティーを有することを示している。両方の抗体は、LAG-3に対する13E2由来抗体の高いアフィニティーを説明する、極めて速い会合速度を示す。
【0525】
(実施例21)
抗原刺激により誘導されたCD8T細胞増殖およびCD25発現に対するヒト化13E2抗体(IMP761)の効果
健康なドナー由来のCFSE標識PBMC(完全RPMI+10%FBS中、0.2×10細胞/ウェル)を、300ng/mlヒトIgG4(アイソタイプ対照)、Chim13E2IgG4またはIMP761と共に、CMV pp35の配列を含むペプチドのプールと三連でインキュベートした。増殖指数(各分裂ピーク下のCD8T細胞の百分率に分裂数を乗じた合計として計算)を用いて評価した増殖、およびフローサイトメトリーによる5日目のCD25の発現を測定して、T細胞応答を評価した。アイソタイプをマッチさせた陰性対照(huIgG4)と比較した各抗体の阻害百分率を、増殖指数値、またはCD8T細胞集団内のCD25T細胞の百分率に基づき計算した。
【0526】
結果を、以下の表30および31ならびに図26および27に示す。
【0527】
【表30】
【0528】
【表31】
【0529】
結果は、ヒト化モノクローナル抗体IMP761が、抗原により誘導されるCD8T細胞増殖、およびCD25発現の阻害に対してキメラ抗体Chim13E2IgG4と類似した効果があったことを示している。両方の抗体は平均すると、抗原により誘導されるCD8T細胞増殖の約60%阻害、およびCD8+T細胞集団内のCD25T細胞の約45%阻害をもたらした。
【0530】
(実施例22)
CD8T細胞応答に対する種々の用量のキメラ13E2-ヒト抗体(Chim13E2IgG4)およびヒト化13E2抗体(IMP761)の効果
健康なドナー由来のCFSE標識PBMC(完全RPMI+10%FBS中、0.2×10細胞/ウェル)を、種々の用量のChim13E2IgG4、IMP761、またはヒトIgG4(アイソタイプをマッチさせた陰性対照)と共に、CMV pp35の配列を含むペプチドのプールと三連でインキュベートした。T細胞応答を、5日目にフローサイトメトリーにより増殖(CFSE希釈)を測定して評価した。分裂数ごとのCD8T細胞の百分率を、使用した種々の抗体用量に対して計算した。
【0531】
結果を、以下の表32および図28に示す。
【0532】
【表32】
【0533】
結果は、抗原により誘導されるCD8T細胞増殖に対するIMP761およびChim13E2IgG4の阻害効果が、用量依存的であることを示している。特に、各抗体の阻害効果は、用量が10ng/ml~100ng/ml抗体に増加するにつれて増加した。300ng/ml抗体では、阻害効果は100ng/ml抗体と類似していた。IMP761の阻害効果は、試験した全ての用量でChim13E2IgG4と類似していた。
【0534】
(実施例23)
ヒト化13E2抗体(IMP761)はLAG-3発現細胞に対する細胞傷害活性を持たない
ヒト化13E2抗体(IMP761)がLAG-3発現細胞に対する細胞傷害活性を持たないことを確認するために、幾つかのタイプのアッセイを使用した。
【0535】
1)ADCCレポーターバイオアッセイ(Promega、G7015)
このアッセイでは、初代ドナーPBMCまたはNK細胞を、ヒトFcγRIIIa(高アフィニティーV158受容体)を安定に発現するJurkat細胞、およびルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現を駆動するNFAT応答性エレメントと置き換えた。試験抗体がADCC活性を有するならば、試験抗体は標的細胞とJurkat細胞のFcγRIIIa受容体とを結び付けることになる。FcγRIIIa受容体のシグナル伝達経路下流の得られた活性化はNFAT経路活性化をもたらし、それによってルシフェラーゼレポーター遺伝子発現を誘導する。ルシフェラーゼ活性は、発光読み取りにより定量化する。
【0536】
LAG-3トランスフェクトCHOおよびJurkat細胞、およびLAG-3の発現をもたらすためにSEBにより2日間刺激したPBMC(PBMCの55%がLAG-3であった)を標的細胞として使用して、アイソタイプをマッチさせた陰性対照抗体、hIgG4(BioRad製の組換えmAb)と比較したIMP761のADCC活性をアッセイした。アッセイキットにより提供された抗CD20抗体およびRaji細胞を、陽性対照として使用した。抗CD20抗体もSEB刺激PBMCで試験した。アッセイは、12,500個の標的細胞を含む75,000個のエフェクター細胞を用いて、製造者の説明書に従って実施した。37℃で6時間インキュベーション後、製造者の説明書に従ってBio-Gloルシフェラーゼアッセイシステムを使用して、PerkinElmer EnVision 2103ルミノメーター(0.5秒/ウェルの積分時間)を用いて発光を測定した。
【0537】
結果を、以下の表33および図29(a)に示す。結果は、試験抗体(製造者により推奨された最大濃度、3μg/mlの)の存在下で得られたRLUを、抗体なしで得られたRLUで除して計算した、相対発光量(RLU)の変化(倍)として示されている。
【0538】
【表33】
【0539】
結果は、標的細胞がLAG-3を発現しているか否かにかかわらず、IMP761抗体のRLUの変化(倍)は試験した異なる標的細胞の各々に関して約1倍であったことを示している。アイソタイプをマッチさせた陰性対照抗体、hIgG4に関して得られたRLUの変化(倍)はわずかに高く、異なる標的細胞に関して1.4~2.5倍であった。陽性対照抗CD20抗体は、Raji細胞(B細胞株)に対して、およびわずかな百分率のB細胞を含有するSEB刺激PBMCに対して有意なADCC活性を示した。
【0540】
IMP761抗体は、LAG-3発現細胞に対して全くADCC活性を持たないことがこれらの結果から結論付けられた。
【0541】
2)従来のADCCアッセイ
このアッセイは、IL-2(Roche)100IU/mlによりX-Vivo 10培地(Lonza)で1日刺激したPBMC、およびT細胞でのLAG-3の発現を可能にするためにSEBで2日間刺激したCFSE標識PBMCを使用した。アッセイは、高用量(3μg/ml)IMP761またはアイソタイプをマッチさせた陰性対照抗体、hIgG4と共に、50:1エフェクター:標的比でX-Vivo 10培地で実施した。4時間後、細胞混合物を回収し、蛍光色素コンジュゲート抗体を用いてCD4、CD8、CD25およびLAG-3について染色した。各血液細胞集団における細胞生存率を次いで、膜の完全性を失った(細胞死の後に急速に出現する現象)細胞を標識する蛍光色素である、7-アミノ-アクチノマイシンD(7-AAD)染色に対して陽性と思われた細胞を除外後、フローサイトメトリーにより評価した。
【0542】
結果を、表34ならびに図29(b)および(c)に示す。結果は、PBMC集団中の生きているCD4またはCD8細胞の百分率(b)、およびPBMC集団中の生きているLAG-3CD4またはLAG-3CD8細胞の百分率(c)として示されている。
【0543】
【表34】
【0544】
結果は、IMP761抗体が、PBMC集団中のCD8もしくはCD4T細胞の百分率、またはPBMC集団中のLAG-3CD8細胞傷害性T細胞、もしくはLAG-3CD4ヘルパーT細胞の百分率を減少させないことを示している。アイソタイプをマッチさせた陰性対照抗体、hIgG4は、PBMC集団中のT細胞、特にLAG-3を発現する活性化T細胞の生存率のわずかな減少をもたらした。
【0545】
IMP761抗体は、LAG-3発現T細胞に対して全くADCC活性を持たないことがこれらの結果から結論付けられた。
【0546】
3)CDCアッセイ
CDC試験のために、標的細胞として使用したSEB刺激細胞を、PBS、0.5%BSA中で45分間、3μg/mlのIMP761、アイソタイプをマッチさせた陰性対照抗体、hIgG4、CDC陽性抗CD3対照抗体(クローンMEM-57、Cerdalane)、またはアイソタイプをマッチさせた陰性対照マウス抗体、mIgG2aとインキュベートした。非結合抗体を次いで洗い流し、細胞を、RPMI培地で37℃、1時間、3容量により希釈したウサギ補体とインキュベートした。細胞を、蛍光色素コンジュゲート抗体を用いてCD4、CD8、CD25およびLAG-3について染色した。各血液細胞集団における細胞生存率を次いで、7-AADにより標識した細胞を除外後、フローサイトメトリーにより評価した。
【0547】
結果を、表35および図30に示す。結果は、PBMC集団中の生きているCD4またはCD8の百分率(a)、およびPBMC集団中の生きているLAG-3CD4またはLAG-3CD8細胞の百分率(b)として示されている。
【0548】
【表35】
【0549】
結果は、IMP761抗体が、PBMC集団中のCD8もしくはCD4T細胞の百分率、またはPBMC集団中のLAG-3CD8細胞傷害性T細胞、もしくはLAG-3CD4ヘルパーT細胞の百分率を減少させないことを示している。予想通り、抗CD3陽性対照抗体は、PBMC集団中のT細胞、およびLAG-3を発現する活性化T細胞の百分率の減少をもたらした。
【0550】
IMP761抗体は、LAG-3発現T細胞に対して全くCDC活性を持たないことがこれらの結果から結論付けられた。
【0551】
4)T細胞増殖アッセイにおける細胞傷害性の評価
IMP761抗体は、上記の(1)~(3)に記載された短期細胞傷害性アッセイのいずれにおいても細胞傷害活性を示さなかった。LAG-3発現T細胞に対するIMP761の細胞傷害性も、抗原刺激PBMCを数日間培養した後に評価した。以前の例に記載された増殖アッセイと同じような方法で、健康なドナー由来のPBMC(完全RPMI+10%FBS中、0.2×10細胞/ウェル)を、300ng/ml IMP761、またはヒトIgG4(アイソタイプをマッチさせた陰性対照として)の存在下、CMV pp35の配列を含むペプチドのプールと三連でインキュベートした。3日後、生きているリンパ球においてゲーティングしたCD8およびCD4T細胞の百分率、ならびにこれらのT細胞サブセットにおけるLAG-3細胞の百分率を、フローサイトメトリーにより測定した。
【0552】
結果を、表36および図31に示す。
【0553】
【表36】
【0554】
結果は、IMP761抗体が、リンパ球集団中のCD8もしくはCD4T細胞の百分率、またはリンパ球集団中のLAG-3CD8細胞傷害性T細胞、もしくはLAG-3CD4ヘルパーT細胞の百分率を減少させないことを示している。
【0555】
IMP761抗体は、この増殖アッセイにおいてLAG-3発現T細胞に対して全く細胞傷害活性を示さないことがこれらの結果から結論付けられた。
【0556】
IMP761抗体は細胞傷害活性を持たず、そのため、この抗体による、抗原により誘導されるT細胞増殖および活性化の阻害は、活性化T細胞に対する何らかの細胞傷害活性によるものではないことがこの例で示された結果から結論付けられた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
【配列表】
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